JP5162741B2 - 棘突起固定具 - Google Patents
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Description
また、頚椎症性脊髄症において、所謂ダイナミックな因子が加わる状態(動的に脊髄が圧迫される状態)もあり、これに対しては、対象となる棘突起間を拡大固定することが直接治療につながるものと考えられる。
このように、非特許文献1の棘突起固定具を用いて頚椎の隣接棘突起を固定する方法は、従来のやり方と比べて、より小さい皮膚切開から棘突起を固定できる治療であるものの、以前として、皮膚切開の部位の大きさからくる患者の負担や、器具を取扱いの煩雑さから起因する術者の作業負担が存在している。
上記目的を達成するため、本発明の棘突起固定具は、連結軸を備えたロッド部材と、該連結軸の先端部に軸支された隣接棘突起に当接し得る振り子部材と、連結軸用ガイド孔および連結軸用可動溝を備えた隣接棘突起に当接し得る被せ部材と、連結軸に対して固定自在のストッパー部材とから少なくとも構成され、
1)振り子部材は、軸支位置を挟んで対峙する部位に湾曲部が形成され、該湾曲部は、連結軸の先端部及び振り子部材が隣接棘突起間を通り抜けた際に、振り子部材が回動して湾曲部が隣接棘突起に当接し得るものであり、
2)被せ部材は、連結軸用ガイド孔を挟んで対峙する部位に隣接棘突起に当接し得る湾曲部が形成され、連結軸用可動溝から連結軸に通され、連結軸用可動溝により被せ部材の長手方向が連結軸の軸方向に向くように姿勢調整し得るものであり、
3)ストッパー部材は、被せ部材と嵌合もしくは当接し得るもので、振り子部材の湾曲部と被せ部材の湾曲部とにより棘突起を挟み込んだ状態を固定維持するものである、
ことを特徴とする構成とされる。
短辺側面には棘突起の略半周に当接できるような比較的深い湾曲部が形成され、一方、長辺側面には棘突起の略1/3〜1/4周に当接できるような比較的浅い湾曲部が形成されるのは、短辺側面の深い湾曲部はロッド部材の挿入方向の左側の棘突起としっかりと当接させ、また、長辺側面の浅い湾曲部はロッド部材の挿入方向の右側の棘突起と隣接する棘突起の間隔を調整できるように高い自由度で当接させるためである。
上述したように、被せ部材は、棘突起間に挿入時は、連結軸用可動溝を備えていることから被せ部材の長手方向が連結軸の軸方向に向くように姿勢調整でき、被せ部材の長手方向をロッド部材の長手方向に揃えることが可能で、また被せ部材の長手方向がロッド部材の長手方向と交差するように被せ部材を回動させて湾曲部を隣接棘突起に当接させることが可能である。
連結軸に螺子ヤマが形成され、ストッパー部材には連結軸と螺合し得るナット部が設けられることで、ストッパー部材は連結軸に対して固定自在となる。ストッパー部材は連結軸用貫通孔が設けられているため、ロッド部材をガイドとして術野に搬送できる。
ストッパー部材における被せ部材と嵌合し得る部位が、略半球もしくは円錐台形に形成されることにより、被せ部材の姿勢を変えることなく、振り子部材と被せ部材の間隔を狭めることができる。
ストッパー部材に、更に連結軸と螺合し得るナット部材を取り付けることで、安定性が向上する。
ロッド部材における連結軸は、振り子部材、被せ部材、ストッパー部材を連結する役目を成し、最終的に連結軸以外のロッド部材は患者体内から取り除かれることから、ロッド部材の連結軸との境界部位のロッド径を小さくすることで、その余分なロッド部材のカッティング(ロッド部材をねじ切ることによる切除など)を容易にできる。
特に、上記の中で、ハイドロキシアパタイト、リン酸カルシウム、リン酸カルシウム系のガラス材料等の生体活性材料で構成すると、自然骨との直接結合が可能である。
以下、ロッド部材2と振り子部材3と被せ部材4とストッパー部材5について、詳細に説明する。
振り子部材3は、ロッド部材2の先端部の連結軸2aに軸支されている。振り子部材3は、軸支位置3cを挟んで対峙する部位に湾曲部(3a,3b)が形成されている。振り子部材3が、軸支位置3cを中心に回動可能なように内部が刳り貫かれ、空間3dが設けられている。
振り子部材3は、図3(1)の平面図と図3(2)の参考平面図からわかるように、略直角三角形柱の斜辺3e側の2等分線上に軸支位置3cが形成され、短辺側面には略半円周の深いカーブの湾曲部3aと、弧状に丸い膨らみを帯びた側面3fが設けられている。また、長辺側面には略1/3〜1/4円周の浅いカーブの湾曲部3bが設けられている。
隣接棘突起間(6a,6b)に振り子部材3を挿入する場合は、振り子部材3の長手方向をロッド部材2の長手方向と合わせて、隣接棘突起間の隙間に挿入する。そして、連結軸2aの先端部及び振り子部材3が隣接棘突起間(6a,6b)を通り抜けた際に、棘突起6aの側面との接する部分を利用したモーメント力によって、振り子部材3は軸支位置3cを中心として時計回りに回動する(図4(1)参照)。
すなわち、棘突起6aの側面と振り子部材3の側面3fが接したところで、ロッド部材2を手前に引っ張ることにより、軸支位置3cをモーメント中心として時計周りのモーメント力が生じ、振り子部材3が回転するのである。振り子部材3が回動し易いように、振り子部材3の側面3fは、上述したように弧状に丸い膨らみを帯びているのである。
また、被せ部材4は、連結軸用ガイド孔(4e,4h)および連結軸用可動溝(4f,4g)が形成され、連結軸用ガイド孔(4e,4h)を用いてロッド部材2を挿入でき、また連結軸用可動溝(4f,4g)を備えていることから被せ部材4の姿勢調整が可能である。被せ部材4の姿勢調整は、側面の窪み4iをクランプ(clump)などの挟持器具で挟み込み行う。
被せ部材4は、連結軸用ガイド孔(4e,4h)に加えて、連結軸用可動溝(4f,4g)が形成されていることで、被せ部材4の長手方向が連結軸2aの長手方向と交差するように被せ部材を回動させることができる。すなわち、被せ部材4に連結軸用ガイド孔(4e,4h)だけが存在すると、図6(1)に示すように被せ部材4を連結軸2aが突き抜けた状態となるが、連結軸用ガイド孔の径が連結軸2aの径よりも少し大きい程度では、被せ部材4の姿勢を変更することは困難である。
しかし、連結軸用可動溝(4f,4g)が形成されているため、図6(2)に示すように姿勢を変更することが可能となる。深いカーブ端部(鳥の嘴のような形状の端部)4cをロッド部材2の挿入方向に向けるように、被せ部材4の長手方向が連結軸2aの長手方向と交差するように被せ部材を回動させることができ、被せ部材4は振り子部材3と同様に小さな皮膚切開で挿入することができるのである。
なお、棘突起固定具のサイズは、例えば、頚椎棘突起の固定に用いる場合は以下のように設計している。先ず、振り子部材3の長手方向は約30mm前後、厚みは6mmぐらいが適当である。また、ロッド部材2、特に連結軸2aの径と長さに関してはそれぞれ径3mm、長さは15mmぐらいが適当である。また、被せ部材4の長手方向は約25mmと振り子部材3よりやや短く、厚みは6mmぐらいが適当である。但し、これらのサイズについては、いずれも個人差や入れる場所によってサイズが異なることから、数種類のサイズのものを準備しておき、術前計測により適切なサイズを決定することになる。また、これらの素材としては、複雑な形状と強度から考えて、やはり金属性が好ましい。
被せ部材4は連結軸用可動溝を用いて姿勢が傾けられ、カーブ端部(鳥の嘴のような形状の端部)4cの先端を先頭にして、図中の矢印Aに向かって挿入される。クランプ7を用いて、被せ部材4の後部(4cと反対側)の窪み4iを掴み、被せ部材4の姿勢を調整する。被せ部材4はクランプ7を用いて、被せ部材4の長手方向がロッド部材2の長手方向と交差するように被せ部材4を回動させて、その湾曲部を隣接棘突起(図示せず)に当接させる(図9(2)の状態)。
最終的に、図9(3)に示すように、振り子部材3と被せ部材4とストッパー部材5が連結軸2aを介して連結する。連結軸2a以外の余分なロッド部材は境界部分の径が細くなっているところでねじ切って取り除く。なお、ねじ切ることができる素材としては、チタン性金属が繁用されている。
2 ロッド部材
2a 連結軸
3 振り子部材
3a,3b 湾曲部
3c 軸支位置
4 被せ部材
4a,4b 湾曲部
4e,4h 連結軸用ガイド孔
4f,4g 連結軸用可動溝
5 ストッパー部材
6a,6b,10 棘突起
7 クランプ
8 ナットドライバー
Claims (9)
- 連結軸を備えたロッド部材と、該連結軸の先端部に軸支された隣接棘突起に当接し得る振り子部材と、連結軸用ガイド孔および連結軸用可動溝を備えた隣接棘突起に当接し得る被せ部材と、連結軸に対して固定自在のストッパー部材とから少なくとも構成され、
1)振り子部材は、軸支位置を挟んで対峙する部位に湾曲部が形成され、該湾曲部は、連結軸の先端部及び振り子部材が隣接棘突起間を通り抜けた際に、振り子部材が回動して湾曲部が隣接棘突起に当接し得るものであり、
2)被せ部材は、連結軸用ガイド孔を挟んで対峙する部位に隣接棘突起に当接し得る湾曲部が形成され、連結軸用可動溝から連結軸に通され、連結軸用可動溝により被せ部材の長手方向が連結軸の軸方向に向くように姿勢調整し得るものであり、
3)ストッパー部材は、被せ部材と嵌合もしくは当接し得るもので、振り子部材の湾曲部と被せ部材の湾曲部とにより棘突起を挟み込んだ状態を固定維持するものである、
ことを特徴とする棘突起固定具。 - 前記振り子部材は、略直角三角形柱の形状を呈し、略直角三角形柱の斜辺の垂直2等分線上に軸支位置が形成され、短辺側面には棘突起の略半周に当接し得る湾曲部と、振り子部材が隣接棘突起間を通り抜けた際に振り子部材が回動し易いように側面が弧状に丸みを帯びており、長辺側面には棘突起の略1/3〜1/4周に当接し得る湾曲部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の棘突起固定具。
- 前記被せ部材は、前記振り子部材の略半周に当接し得る湾曲部に対峙する側面に形成された湾曲部は棘突起の略1/3〜1/4周に当接し得るものであり、前記振り子部材の略1/3〜1/4周に当接し得る湾曲部に対峙する側面に形成された湾曲部は棘突起の略半周に当接し得るものであることを特徴とする請求項2に記載の棘突起固定具。
- 前記被せ部材において、棘突起の略1/3〜1/4周に当接し得る湾曲部の側面に、挟持用器具と係合し得る凹部が設けられたことを特徴とする請求項3に記載の棘突起固定具。
- 前記連結軸に螺子ヤマが形成され、
前記ストッパー部材は、連結軸用貫通孔が設けられ、前記被せ部材と嵌合し得る部位と、連結軸と螺合し得るナット部から構成されることを特徴とする請求項1に記載の棘突起固定具。 - 前記ストッパー部材が前記被せ部材と嵌合し得る部位の形状は、略半球もしくは円錐台形であることを特徴とする請求項5に記載の棘突起固定具。
- 前記ストッパー部材を前記連結軸に固定した後で使用される、連結軸と螺合し得るナット部材を更に設けたことを特徴とする請求項5に記載の棘突起固定具。
- 前記ストッパー部材もしくはナット部材を取り付けた後、前記連結軸以外のロッド部材を取り除くため、ロッド部材の連結軸との境界部位のロッド径を小さくしたことを特徴とする請求項5又は7に記載の棘突起固定具。
- 前記ロッド部材と振り子部材と被せ部材とストッパー部材の何れか乃至全てが、アルミナ,ジルコニア,ハイドロキシアパタイト,リン酸カルシウムから選択されるセラミック材料、生体活性を有するリン酸カルシウム系のガラス材料、樹脂材料、プラスチック材料、若しくは、ステンレス,チタン,チタン合金から選択された金属材料から成ることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の棘突起固定具。
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