例えば携帯電話のような携帯端末において、ユーザが端末の操作を行う際に使用する入力装置は、各端末の機能や用途に応じて様々なものが開発されている。多くの場合、携帯端末本体の表面に予め配設された機械式のキーまたはボタンなどを、ユーザが指などで直接押下することによって、入力操作を行う構成になっている。
このような端末における入力装置の機械的なキー(例えばテンキー等)は、当該端末の主要な用途に応じて予め配置されているのが普通であり、一般的に、最初に規定されたキーの物理的配置を、後から変更することはできない。
ところで、最近では、携帯電話にデジタルカメラや音楽再生の機能を搭載したものがあるように、小型の携帯端末に多種多様な機能が組み込まれている。携帯電話のように、端末の主要な用途以外に補助的な機能が数多く搭載されているものや、PDA(Personal Digital Assistant:携帯情報端末)等のように、1つの端末でスケジュール管理や住所録など、主要な用途を複数有するものもある。このような端末においては、キーの配置が固定されていると、使用する機能によっては、操作入力時に著しく不便さを感じることがある。
このような操作入力の際の不便さを解消するために、表示部を構成する液晶表示画面の前面に透明な入力部を重ねて配設することにより構成したタッチパネルを備える入力装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。このようなタッチパネルを有する入力装置は、一般的に、タッチパネルの表示画面上に画像で表示された操作キーやボタンなどを押圧すると、その位置に対応する入力部が入力を受け付けるようになっている。
上記特許文献1に記載の折り畳み型携帯電話機は、タッチパネルの表示画面上に任意にキーの配置を表示させて、ユーザの操作入力を受け付けることができ、自由なキー配置を構成することが可能である。したがって、この携帯電話機は、端末の各機能を切り替える毎に、その機能に応じてキー配置を自在に変更することにより、極めて良好な操作性を提供することができる。例えば、携帯電話機に搭載されているデジタルカメラ機能を使用する際は、タッチパネル上にデジタルカメラ用の操作部を表示して操作入力を受け付けることができる。一方、この携帯電話機を用いて電子メールなどの文字を入力する際は、タッチパネル上にパーソナルコンピュータ(PC)のようなキーボードを表示して入力を受け付けることができる。このように、タッチパネルを備えることにより、1つの入力装置を、複数の機能にそれぞれ最適化して操作入力を受け付けることができる。
また、タッチパネルを有する入力装置は、表示部上に表示された(キーやボタンなどの)画像にユーザが指先などで直接触れる(タッチする)入力方式により入力を受け付けるため、ユーザは極めて直感的な操作を行うことができる。すなわち、ユーザは、タッチパネルの画面に表示された案内に従って、画面に表示されたキーやボタンなどに指先などで直接触れることにより操作を行う。このため、ユーザは、画面に表示された誘導に応じて直感的な操作により非常に容易に端末を動作させることができ、結果的に誤操作を低減させる効果も期待できる。
このように、タッチパネルを備える携帯端末を用いて、現在、通常の携帯電話による通話や電子メール作成の際の操作入力のみならず、インターネットを利用して配信されるコンテンツの視聴やウェブ閲覧(ブラウズ)の際の操作入力を行うこともできる。また、このようなタッチパネルを有する入力装置は、携帯端末以外においても、例えば銀行などのATM(現金自動預入支払機)や、駅などの券売機に配設され、現在日常的に利用されている。さらに、ファーストフード店などの店舗においては、従業員が顧客の注文を処理する際、上述したようなタッチパネルを有する入力装置を備えた端末装置を用いて業務が行われている。入力装置にタッチパネルを用いることにより、タッチパネル以外のキーボードなどの、機械式の操作ボタンまたはキーなどは必須の要素ではなくなる。したがって、端末装置本体に機械式の操作ボタン等を配置する領域が少なくて済むため、端末装置自体を全体的に小型化することができ、様々な店内や駅構内などにおける端末装置の設置場所の自由度を高めることもできる。
また、入力装置にタッチパネルを用いれば、従来一般的である機器の構成のように、各種情報を表示する表示部と、ユーザの操作入力を受け付ける入力部とを、別個の機能部として構成する必要はなく、情報表示部と入力部とを一画面上に構成することができる。したがって、例えば、タッチパネル上にキーボードのキーの配列を表示させてユーザの入力を受け付け、さらに、この入力結果を、当該タッチパネル上のキーボードのそばに表示させることもできる。このようにすれば、ユーザは、一画面上で、入力操作と、その入力操作による入力結果の確認を行うことができる。
以上説明したように、タッチパネルは、入力部と表示部とを同一画面上に構成することができ、なおかつその操作入力を直観的に行うことができるというメリットのため、このような入力装置を有する各種の端末装置はますます増加傾向にある。
しかしながら、タッチパネルを有する入力装置においては、入力部と表示部とを同一画面上に構成して、直観的な操作入力を受け付けるがために生じる特有の問題点もある。すなわち、端末がタッチパネルにより操作入力を受け付けるタイミングと、ユーザがタッチパネルに対して実際に操作入力を行うタイミングがずれてしまうと、ユーザが意図しない入力操作を受け付けてしまう場合がある。
例えば、図9(A)に示すように、携帯電話の電子メール作成機能により、タッチパネル300に操作入力用のテンキーを表示させてユーザの入力を受け付け、その入力結果をタッチパネル300上方の表示領域に表示する場合について検討する。図9(A)は、タッチパネル300のテンキーにユーザがタッチ(押圧入力)することにより、表示領域に「今から向かいますので、」の文字を入力した時点の状態を示している。この時点では、ユーザはまだ電子メールの文章を作成している途中であるため、ユーザは、タッチパネル300のテンキーにタッチすることにより引き続き入力を行おうとしている。なお、携帯電話などの携帯端末のテンキーを用いて、キーの入力回数に応じて、各キーに対応する仮名文字を遷移させることによって、電子メールなどの文字を1文字ずつ入力する方法は、従来「マルチタップ入力方式」として公知技術であり、説明を省略する。
このようにして電子メールの文字の入力を受け付けている最中に、携帯電話が、その通話機能により外部からの電話を着信した場合、携帯電話のタッチパネル300には、図9(B)に示すような表示が現れる。このように、電話の着信や電子メールの受信など、即時性が重要な情報は、電子メール作成機能のように他の機能が使用されている最中であっても、現在使用中の画面に割り込んで表示されるのが一般的である。図9(A)に示す状態において、ユーザが電子メールの次の文字を入力すべくタッチパネル300にタッチしようとした瞬間に、タッチパネル300の表示が図9(B)に示す着信画面に変化するような場合も充分に考えられる。このような場合、ユーザは、タッチしようとしていた箇所にそのままタッチしてしまうことが考えられる。
例えば、図9(A)に示す電子メール作成中に、ユーザがタッチパネル300の「6(は行)」のキーの部分にタッチしようとした瞬間図9(B)の着信画面に変化した場合、ユーザは図9(B)のタッチパネル300における「切断」の部分にタッチしてしまう。したがって、例えば通話することが必要な相手からの着信であったとしても、携帯電話のユーザは、意図せずにその着信を切断してしまうことになる。
また、図9(A)に示す電子メール作成中に、ユーザがタッチパネル300の「4(た行)」のキーの部分にタッチしようとした瞬間図9(B)の着信画面に変化した場合、ユーザは図9(B)のタッチパネル300における「通話」の部分にタッチしてしまう。したがって、例えば通話を望まない相手からの着信であったとしても、携帯電話のユーザは、意図せずにその着信を接続してしまうことになる。
なお、このような例は、電話の着信時のみならず、電子メールの受信時においても起こり得る。例えば、新規電子メールの作成中に他の電子メールを受信した場合、ユーザが次の文字の入力を意図した操作入力を行おうとした瞬間に、受信した電子メールの表示の可否の入力を受け付ける画面に突然変化することも考えられる。このような場合、ユーザは、意図せずに受信電子メールを開封して表示する操作を行ってしまい、不必要なスパムメール(迷惑メール)を開封してしまう恐れもある。
さらに、例えば図9(C)に示すように、携帯電話のウェブブラウザ機能を用いて、インターネットのウェブサイトなどを閲覧している最中に、図9(D)に示すようなポップアップ広告がタッチパネル300に割り込んで表示されることもある。なお、このウェブブラウザにおいては、下線の引いてある文字部分にユーザがタッチ(押圧入力)することにより、該当ページまたはサイトにジャンプすることができる。このような場合、図9(C)において、例えばユーザがタッチパネル300に表示された「乗換案内」の部分にタッチしようとした瞬間図9(D)に示すポップアップ広告が表示されることも考えられる。この場合、ユーザは意図せずにポップアップ広告にタッチしてしまう。
近年、悪質なポップアップ表示または広告などにより、別の偽サイトにアクセスを促すような、いわゆるフィッシング詐欺なども報告されている。したがって、このようなポップアップ表示などに対してユーザが意図しない操作入力をしてしまうことは、ユーザにとって不利益になる恐れがある。
なお、パーソナルコンピュータ(PC)を操作する場合には、携帯端末の場合とは異なり、比較的大きな表示画面(モニタ)に表示される小さなキーやボタンなどのオブジェクトを、マウスなどの入力デバイスを用いて操作入力を行うことができる。このような場合、表示画面全体に対して、キーやボタンなどのオブジェクトまたはポップアップ広告などが表示される面積の割合は比較的小さい。そのため、キーやボタンなどのオブジェクトやポップアップ表示などが画面上に突然表示されても、ユーザがもともと入力を意図していたオブジェクトと重なって表示される確率は低いと考えられる。
しかしながら、携帯端末の場合には、携帯性を重視すると表示画面の大きさは制限され、タッチパネルも通常それほど大きなサイズのものは搭載されない。また、タッチパネルに表示するキーやボタンなどのオブジェクトは、操作性を考慮すると、あまり小さなサイズにすることはできない。したがって、上述したような、タッチパネル上に突然割り込んで表示されるオブジェクトが、ユーザが入力を意図しているオブジェクトと重なって表示される問題は、携帯端末の場合に特に顕著になる。
このような、ユーザの意図しない入力を受け付けてしまうリスクを回避し得るものとして、タッチパネルによる操作の有効化/無効化を切り替えることができる入力装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。この特許文献2には、図10(A)に示すように、表示部320の前面に入力部340を重畳させたタッチパネル310を備える入力装置100が開示されている。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。以下の実施の形態では、本発明の入力装置を具える携帯端末の一例として、携帯電話を想定して説明する。しかしながら、本発明の入力装置が適用できる携帯端末は携帯電話に限定されるものではなく、例えばPDAなどタッチパネルを有する任意の携帯端末などに適用できる。また、本発明は、タッチパネルを有する携帯端末に限定されるものでもなく、上述したような銀行のATMや駅の券売機など、タッチパネルを有する任意の入力端末にも適用できる。
図1は、本発明の実施の形態に係る入力装置を備える携帯電話10の概略構成を示す外観斜視図である。この携帯電話10は、端末本体の前面に、一部切り欠いて示すように、液晶ディスプレイ(LCD)または有機ELディスプレイなどに種々の情報およびキーやボタンなどの形状を描画してこれらの配列を表示する表示部32を備えている。また、この表示部32の前面には、ユーザの指やスタイラスペンなどによる入力を受け付けるマトリクススイッチ等で構成した入力部34を配設する。本実施の形態では、これら表示部32と入力部34とを含めてタッチパネル30を構成している。携帯電話10はさらに、マイクなどにより構成される音声入力部70、スピーカなどにより構成される音声出力部80、および、少なくとも1つの機械的なキーにより構成されるキー入力部90も備えている。
他にも、携帯電話10は、必要な機能に応じて、デジタルカメラ機能部、ワンセグ放送用チューナ、赤外線通信機能部などの近距離無線通信部、および各種インタフェース等を備える場合もあるが、これらの詳細については図示および説明を省略する。
図2は、本実施の形態に係る携帯電話10の内部構成を概略的に示す機能ブロック図である。図2に示すように、携帯電話10は、制御部20と、タッチパネル30と、荷重検出部40と、振動部50と、記憶部60と、音声入力部70と、音声出力部80と、キー入力部90と、を備えている。制御部20は、携帯端末10の各機能ブロックをはじめとして携帯端末10全体を制御および管理する。タッチパネル30は、上述したように、ユーザからの入力を受け付ける入力部34を、表示部32の前面に重畳させて配設することにより構成する。このような構成により、タッチパネル30は、ユーザからの操作入力を受け付けると共に、各アプリケーションプログラム(以下、「アプリケーション」と略記する)に応じて入力結果など各種情報の表示を行う。
タッチパネル30の入力部34は、ユーザの指先やスタイラス等の接触(押圧)による入力を検知することにより、当該接触による入力が検知された位置に対応する信号を出力する。このタッチパネル30は、例えば抵抗膜方式や静電容量方式などの公知のものを用いて構成する。表示部32は、各アプリケーションに対応する表示を行う他、入力部34へのユーザの操作入力を受け付ける各種キーやボタンなどで構成するユーザインタフェースを所定の表示領域に描画して表示する。以下、このように、タッチパネル30の入力部34に対するユーザの操作入力を受け付けるために、表示部32に表示する各種キーやボタンやポップアップ広告などの画像を「入力用オブジェクト」と記す。
荷重検出部40は、タッチパネル30(または入力部34)に対する押圧荷重を検出するもので、例えば歪みゲージセンサを用いて構成する。振動部50は、タッチパネル30を振動させるもので、例えば、圧電素子または超音波振動子などを用いて構成する。なお、荷重検出部40および振動部50と、タッチパネル30との構成上の関係については後述する。
記憶部60は、各種アプリケーションおよび入力された各種情報などを記憶するとともに、ワークメモリなどとしても機能する。また、記憶部60は、各アプリケーションに応じて使用される各種の入力用オブジェクトを含んだ複数のテンプレートなども記憶する。
音声入力部70は、ユーザの音声などを入力信号に変換して制御部20に伝達する。音声出力部80は、制御部20から伝達された音声信号を音声に変換して出力する。キー入力部90は、ユーザによる操作入力に応じて、対応する信号を制御部10に送信する。キー入力部90を構成する各種キーは、使用するアプリケーションに従って、その用途および機能が規定される。
なお、携帯電話10はさらに、音声通話および電子メールのデータなど各種情報をインターネットや無線通信等を介して基地局と送受信するアンテナおよび無線通信部など、通常の携帯電話としての機能を提供するために必要な各種機能部も備えている。しかしながら、これらは全て公知技術のものと特に変わるところはないため、説明を省略する。
次に、上述した荷重検出部40および振動部50と、タッチパネル30との構成上の関係について説明する。
図3は、図2に示した携帯電話10のタッチパネル30、荷重検出部40、および振動部50の実装構造の一例を示す図である。図3(A)は要部断面図であり、図3(B)は要部平面図である。
タッチパネル30に各種の入力用オブジェクトを表示する表示部32は、筐体12内に収納保持する。表示部32上には、弾性部材からなるインシュレータ36を介して、入力部34を保持する。なお、本実施の形態に係る入力装置は、表示部32および入力部34を平面視で矩形状とする。図3においては、タッチパネル30は、正方形状として示してあるが、タッチパネル30を実装する携帯端末の仕様に応じて、長方形としてもよい。また、この入力装置は、入力部34を、図3(B)に仮想線で示す表示部32の表示領域Aから外れた4隅に配設したインシュレータ36を介して、表示部32に保持する。
また、筐体12には、表示部32の表示領域から外れた入力部34の表面領域を覆うようにアッパカバー14を設け、このアッパカバー14と入力部34との間に、弾性部材からなるインシュレータ16を配設する。
なお、入力部34は、例えば、表面すなわち操作入力を受け付ける面が透明フィルムで構成され、裏面がガラスで構成され、操作面が押圧されると、押圧力に応じて表面の透明フィルムが微少量撓む(歪む)構造のものを用いる。
さらに、本実施の形態に係る入力装置は、入力部34の表面の透明フィルム上で、アッパカバー14で覆われる各辺の近傍に、入力部34に加わる押圧荷重(押圧力)を検出するための歪みゲージセンサをそれぞれ接着等により設ける。また、入力部34の裏面のガラス面上で、対向する2つの辺の近傍には、入力部34を振動させるための圧電素子または超音波振動子などを、それぞれ接着等により設ける。すなわち、図3に示す入力装置は、図2に示した荷重検出部40を4つの歪みゲージセンサを用いて構成し、振動部50を2つの振動子を用いて構成する。なお、図3(B)は、図3(A)に示した筐体12、アッパカバー14、およびインシュレータ16の図示を省略している。
本実施の形態に係る入力装置は、制御部20において、入力部34で検知される入力を監視するとともに、荷重検出部40で検出される押圧荷重を監視する。制御部20は、入力部34で検知された押圧入力が表示部32に表示された入力用オブジェクトに対する入力で、かつ、荷重検出部40により検知される押圧荷重が、当該入力を受け付ける際の所定の基準を満たした際に、当該入力を正規の入力として受け付ける。以下、このような「入力を受け付ける際の基準」を、単に「荷重基準」と記す。また、入力の荷重基準が満たされた際、制御部20は、振動部50に振動を発生させて、入力部34を押圧しているユーザの指もしくはスタイラスペンなどの押圧物に対して振動を伝えるように制御する。なお、荷重検出部40は、例えば、4つの歪みゲージセンサの出力の平均値から荷重を検出する。また、振動部50は、例えば、2つの超音波振動子を同相で駆動する。このような、荷重基準が満たされた際に発生する振動部50の振動により、ユーザは、自らの行った押圧入力が適切に受け付けられたことを認識することができる。
次に、本実施の形態による、入力用オブジェクトの割り込み発生時の処理の概要について説明する。本処理を行うにあたり、まず、割り込み発生前に表示部32に表示されている入力用オブジェクトに対して通常の操作入力を行うための、入力部34に入力がされたと判定する荷重基準を予め設定する。以下、この荷重基準について説明する。
図4は、ユーザがタッチパネル30の入力部34を押圧する動作により操作入力を行う際の、荷重検出部40が検出する押圧荷重(押圧力)の時間変化の例を概略的に表すグラフである。一般的に、ユーザは、タッチパネル30の入力部34を押圧する動作(押圧入力)を行う際、入力部34に触れてから、入力が受け付けられたと判断できる時点までは、入力部34に対する押圧力を増大し続ける(つまり入力部34を押し込む動作を行う)。また、ユーザは、入力が受け付けられたと判断した時点からは、入力部34に対する押圧力を低減する(つまり入力部34から指などを離そうとする動作を行う)。したがって、荷重検出部40が検出する荷重は、図4に示す曲線のように、左から右に時間の経過に従って最初は右上がりに増大し、途中から右下がりに減少する。
入力用オブジェクトの割り込み発生時の処理を行う前提として、まず、ユーザが表示部32に対して通常の操作入力を行う際の普段の押圧力に基づいて、荷重基準の値P1を設定する。この設定に基づいて、ユーザが通常の操作入力を行う際の普段の押圧力として、P1(A1)を超える押圧荷重が荷重検出部40によって検出された場合、制御部20は、表示部32に表示されている入力用オブジェクトが押下されたと判定する。また、(A1の後)押圧された入力用オブジェクトに対してP1(A2)を割り込んだ押圧荷重が荷重検出部40によって検知された場合、制御部20は、押下中の入力用オブジェクトに対する操作入力が完了(確定)したと判定する。
この荷重基準の値P1は、入力用オブジェクトの割り込み発生前のみならず、入力部34に対する通常の(つまり入力用オブジェクトの割り込み発生時以外の)操作入力に係る荷重基準の値として設定するのが好適である。このように、荷重基準の値P1を設定することにより、ユーザが入力部34にごく軽く触れただけで入力として判定してしまうことを防ぎ、これにより、ユーザの意図しない入力を回避することができる。
また、このように荷重基準の値P1を設定することにより、入力部34上で同一位置(同じ入力用オブジェクト)を連続して複数回押圧する連打入力を行う場合、ユーザは、1回の入力ごとに入力部34から指を離すことなく連打入力を行うことができる。すなわち、入力部34上にユーザの指が触れたままであっても、ユーザは、指の押圧力の強弱を調整して、荷重基準の値P1に対して連続して押圧力を上下させるような入力を行うことにより、当該入力を連打入力として入力部34に認識させることができる。このような入力方法は、ユーザにとっては指を動かすストロークが少なくて済むため、ユーザは、この入力方法に習熟することにより、より少ない動きで素早く楽に入力を行うことができる。
次に、本実施の形態では、ユーザが入力部34に対して通常の操作入力を行う際の普段の押圧力よりも大きな押圧力に基づいて、荷重基準の値P2を設定する。本実施の形態では、このように設定した荷重基準の値P2を超える押圧を、入力用オブジェクトの割り込み発生時の処理に係る入力として受け付ける。割り込み表示された入力用オブジェクトに対して、ユーザが通常の操作入力を行う際の普段の押圧力(P1)より大きなP2(B1)を超える押圧荷重が荷重検出部40によって検出された場合、制御部20は、当該入力用オブジェクトが押下されたと判定する。また、(B1の後)押圧された入力用オブジェクトに対してP2(B2)を割り込んだ押圧荷重が荷重検出部40によって検出された場合、制御部20は、押下中の入力用オブジェクトに対する操作入力が完了(確定)したと判定する。すなわち、制御部20は、表示部32に表示されている入力用オブジェクトに対する押圧入力を受け付ける荷重基準よりも、表示部32に割り込みで表示された入力用オブジェクトに対する押圧入力を受け付ける荷重基準を高くするように制御する。
したがって、割り込み表示された入力用オブジェクトに対して、ユーザが通常の操作入力を行う際の普段の(P2に達しない)押圧力で押圧されたとしても、この押圧入力は、割り込み表示された入力用オブジェクトに対する入力として受け付けられない。ユーザが通常の操作入力を行う際の普段の押圧力(P1)よりも大きなP2を超える押圧力で押圧された場合に初めて、この押圧入力は、割り込み表示された入力用オブジェクトに対する入力として受け付けられる。
なお、上述の説明では、例として、荷重基準の値を「押圧荷重のしきい値」に見立て、荷重基準の値を超えた場合に「荷重基準が満たされた」と判定する態様について説明した。以下も、このような態様により判定する場合について説明するが、「荷重基準が満たされた」と判定できる態様はこれに限定されるものではなく、いくつもの態様を含むことが想定できる。例えば、入力用オブジェクトに対するユーザの押圧入力による押圧荷重が上記荷重基準の値に達した場合に「荷重基準が満たされた」と判定することもできる。また、上記荷重基準の値を示す押圧荷重が荷重検出部40によって検出された場合に「荷重基準が満たされた」と判定することもできる。
次に、本実施の形態による、入力用オブジェクトの割り込み発生時の動作および処理について説明する。図5は、本実施の形態に係る入力装置の入力用オブジェクトの割り込み発生時の動作および処理を説明するフローチャートである。以下、新規電子メール作成アプリケーションを起動し、文字入力用オブジェクトを表示部32に表示して、入力部34に対するユーザの入力を受け付けている最中に、他の入力用オブジェクトを割り込み表示する場合について説明する。
このような、入力用オブジェクトの割り込み表示が発生する場合とは、上述したように、例えば、電話の着信や電子メールの受信を受信した際に、これらの受信をユーザに知らせるためのアプリケーションが起動する場合などが想定される。ユーザ自らの意図による入力に基づいてアプリケーションが起動する場合は、入力用オブジェクトの割り込み表示の発生とは見なさない。また、ウェブブラウザのアプリケーションの起動中であれば、入力要求フォームやポップアップ表示、あるいはポップアップ広告を表示する要求がアプリケーションに割り込むこと等が想定される。なお、入力用オブジェクトの割り込み発生時における処理以外の通常の操作入力に係る動作および処理は、従来技術と変わらないため、説明を省略する。
本実施の形態による、入力用オブジェクトの割り込み発生時の処理が開始すると、まず、制御部20は、入力用オブジェクトをタッチパネル30の表示部32に割り込み表示する(ステップS11)。次に、制御部20は、タッチパネル30の入力部34に対するユーザの指先やスタイラスなどによる入力(以下、「ユーザによる入力」と略記する)が検知されたか否かを判定する(ステップS12)。
ステップS12にて入力部34に対するユーザによる入力が検知された場合、制御部20は、入力部34からの入力に基づいて、当該入力を受け付けた入力部34の位置に対応する、表示部32における位置を判定する(ステップS13)。さらに、この判定結果に基づいて、制御部20は、入力が検知された位置に対応する表示部32の位置が、割り込み表示した入力用オブジェクトに対応する位置であるか否かを判定する。入力位置が割り込み表示した入力用オブジェクトに対応する位置である場合(ステップS13のYes)、制御部20は、当該入力用オブジェクトをハイライト表示する(ステップS14)。
ステップS14におけるハイライト表示とは、入力用オブジェクトに対して、ユーザの指先などが触れていることをユーザに認識させるために行う強調表示のことである。例えば、図6(A)に示すような数字キーの入力用オブジェクトに対するユーザの入力が検知された場合、制御部20は、当該入力用オブジェクトを、図6(B)に示すようなハイライト表示に変化させる。これにより、ユーザは、入力部34に触れている自分の指先などの入力が適切に検知されていることを視認できる。なお、このハイライト表示は、ユーザの指先などが入力部34に触れていることのみを示すものであり、この時点では、まだ入力が受け付けられた(つまりキーが押下された)とは認識されていない。
次に、制御部20は、荷重検出部40により検出される押圧荷重の値Pが荷重基準の値P2を超えたか否かを判定する(ステップS15)。割り込み表示された入力用オブジェクトに対しては、この荷重基準の値P2を超える入力がなされないと、入力を受け付けたものとして処理しない。したがって、ステップS15にて、荷重基準の値P2を超える値の押圧荷重Pが荷重検出部40により検出されない場合、制御部20は、入力部34に対するユーザによる入力が解除されたか否かを判定する(ステップS16)。
ステップS16にて当該入力が解除されない(つまりユーザが指先などを入力部34から離していない)場合、制御部20は、ステップS15に戻って、荷重検出部40により検出される押圧荷重の値Pを監視する。ステップS16にて、入力部34に対するユーザによる入力が解除された場合、ユーザが触れた入力用オブジェクトに対しては入力がされなかったものとして扱い、ハイライト表示を解除して(ステップS17)、本処理は終了する。
ステップS17におけるハイライト表示の解除とは、入力用オブジェクトに対応する位置の入力部34に触れていたユーザの指先などの入力が検知されなくなったことを、ユーザに示すための表示である。例えば、図6(B)に示すように、制御部20は、ユーザの入力が検知されて表示部32にハイライト表示していた入力用オブジェクトのハイライト表示を、図6(A)に示すような表示に戻す。これにより、ユーザは、入力部34に触れていた自分の指先などが、入力部34から離れたことを視認できる。
一方、ステップS15にて、荷重基準の値P2を超える押圧荷重Pが荷重検出部40により検出された場合、制御部20は、押圧荷重Pが荷重基準の値P2を超えたことをユーザに知らせるために、振動部50を振動させる(ステップS18)。この場合に、振動部50により発生される振動は、入力の種類を問わず同じ態様の振動としてもよいが、押圧荷重Pが荷重基準の値P2を超えたことをユーザが識別できるように、他の振動とは異なる態様の振動とするのが好適である。
さらに、ステップS18において、制御部20は、入力が検知されている入力用オブジェクトが押下されたことを示すように表示部32の表示を変更する。すなわち、例えば、図6(B)に示すようなハイライトされた入力用オブジェクトの表示を、図6(C)に示すように、当該入力用オブジェクトが押下されたことを示すような表示を行う。これにより、ユーザは、入力部34に触れていた自分の指先などによる押圧入力が、入力用オブジェクトに対して、押下入力として適切に受け付けられていることを視認できる。
ステップS18の後、制御部20は、入力部34に対するユーザによる入力の押圧力が減少し、荷重検出部40により検出される押圧荷重Pが荷重基準の値P2以下になったか否かを判定する(ステップS19)。ステップS19にて、押圧荷重Pが荷重基準の値P2以下になった場合、制御部20は、現在入力を受け付けている最中の、割り込み表示された入力用オブジェクトに対する操作入力が確定されたものとして受け付ける(ステップS20)。すなわち、本実施形態による入力処理においては、機械式のキーに例えると、キーを押下した時点では、まだキーの入力の受け付けを確定せずに、キーの押下が解除された時点で初めて当該キーの入力の受け付けを確定する。
さらに、ステップS20においては、制御部20は、入力が検知されている入力用オブジェクトの押下が解除されたことを示すように、表示部32の表示をハイライト表示に戻す。すなわち、例えば、図6(C)に示す入力用オブジェクトが押下されたことを示すような表示を、図6(B)に示すように、ハイライト表示された入力用オブジェクトの表示に戻す。これにより、ユーザは、入力用オブジェクトに対する押下入力が入力として確定され、かつ、入力用オブジェクトを押圧している押圧力を緩和させたことが適切に認識されていることを視認できる。
ステップS20の後、制御部20は、入力部34に対するユーザによる入力が解除されたか否かを判定する(ステップS21)。ステップS21にて当該入力が解除されない(つまりユーザが指先などを入力部34から離していない)場合、制御部20は、荷重検出部40により検出される押圧荷重Pを監視し続ける。ステップS21にて、入力部34に対するユーザによる入力が解除された場合、上述したステップS17に移行してハイライト表示を解除して、本処理は終了する。
以上のようにして、割り込み表示された入力用オブジェクトに対して、P2を超える押圧荷重の操作入力が確定した後は、当該入力用オブジェクトも含め、他の入力用オブジェクトも全て、P1を超える通常の押圧荷重による入力を受け付ける。すなわち、本実施の形態による処理は、割り込み表示された入力用オブジェクトがない状態で、最初に割り込み表示される入力用オブジェクトについての処理とするのが好適である。このようにすれば、ユーザの意図しない入力を回避するには充分である。また、そのようにすれば、ユーザが意図して強い(P2を超える)押圧荷重の押圧入力により、割り込み表示される入力用オブジェクトに対する入力を一度確定させた後は、通常どおりの軽い押圧力により入力操作を継続できる。
一方、ステップS13にて、入力位置が割り込み表示した入力用オブジェクトに対応する位置ではない場合、制御部20は、ステップS22に移行して、当該入力用オブジェクトをハイライト表示する。なお、ステップS13からステップS22に移行する場合というのは、ユーザによる入力が入力用オブジェクトに対して検知されたが、当該入力用オブジェクトが割り込み表示されたものではない場合である。この場合に行う入力用オブジェクトのハイライト表示も、ステップS14にて説明したのと同じ態様のハイライト表示を行う。
次に、制御部20は、荷重検出部40により検出される押圧荷重の値Pが荷重基準の値P1を超えたか否かを判定する(ステップS23)。割り込み表示された入力用オブジェクトではない入力用オブジェクトに対しては、通常の操作入力を行う場合と同様に、P2よりも小さな荷重基準の値P1を超える入力がなされれば、入力を受け付けたものとして処理する。そのため、ステップS23にて、荷重基準の値P1を超える値の押圧荷重Pが荷重検出部40により検出されない場合、入力部34に対するユーザによる入力が解除されたか否かを判定する(ステップS24)。
ステップS24にて当該入力が解除されない(つまりユーザが指先などを入力部34から離していない)場合、制御部20は、ステップS23に戻って、荷重検出部40により検出される押圧荷重の値Pを監視する。ステップS24にて、入力部34に対するユーザによる入力が解除された場合、ユーザが触れた入力用オブジェクトに対しては入力がされなかったものとして扱い、ハイライト表示を解除して(ステップS17)、本処理は終了する。
一方、ステップS23にて、荷重基準の値P1を超える押圧荷重Pが荷重検出部40により検出された場合、制御部20は、押圧荷重Pが荷重基準の値P1を超えたことをユーザに知らせるために、振動部50を振動させる(ステップS25)。この場合も、振動部50により発生される振動は、入力の種類を問わず同じ態様の振動としてもよいが、押圧荷重Pが荷重基準の値P1を超えたことをユーザが識別できるように、この場合特有の態様の振動とするのが好適である。
さらに、ステップS25において、制御部20は、入力が検知されている入力用オブジェクトが押下されたことを示すように表示部32の表示を変更する。すなわち、例えば、図6(B)に示すようなハイライトされた入力用オブジェクトの表示を、図6(C)に示すように、当該入力用オブジェクトが押下されたことを示すような表示を行う。これにより、ユーザは、入力部34に触れていた自分の指先などによる押圧入力が、入力用オブジェクトに対して、押下入力として適切に受け付けられていることを視認できる。
ステップS25の後、制御部20は、入力部34に対するユーザによる入力の押圧力が減少し、荷重検出部40により検出される押圧荷重Pが荷重基準の値P1以下になったか否かを判定する(ステップS26)。ステップS26にて、押圧荷重Pが荷重基準の値P1以下になった場合、制御部20は、現在入力を受け付けている最中の入力用オブジェクトに対する操作入力が確定されたものとして受け付ける(ステップS27)。
さらに、ステップS27において、制御部20は、入力が検知されている入力用オブジェクトの押下が解除されたことを示すように、表示部32の表示をハイライト表示に戻す。すなわち、例えば、図6(C)に示すような入力用オブジェクトが押下されたことを示すような表示を、図6(B)に示すように、ハイライト表示された入力用オブジェクトの表示に戻す。これにより、ユーザは、入力用オブジェクトに対する押下入力が入力として確定され、かつ、入力用オブジェクトを押圧している押圧力を緩和させたことが適切に認識されていることを視認できる。
ステップS27の後、制御部20は、入力部34に対するユーザによる入力が解除されたか否かを判定する(ステップS21)。ステップS21にて当該入力が解除されない(つまりユーザが指先などを入力部34から離していない)場合、制御部20は、荷重検出部40により検出される押圧荷重Pを監視し続ける。ステップS21にて、入力部34に対するユーザによる入力が解除された場合、上述したステップS17に移行してハイライト表示を解除して、本処理は終了する。
以上のような処理による動作を、典型的な実施例につき具体的に説明する。例えば図7(A)に示すように、新規電子メール作成アプリケーションを起動し、文字入力用オブジェクトをタッチパネル30の表示部32に表示して、入力部34に対するユーザの入力を受け付けている場合を想定する。このような、電子メールの文字入力など通常の操作入力は、ユーザが通常の操作入力を行う普段の押圧力に基づいて、例えば1N(ニュートン)とする荷重基準の値P1を超える押圧荷重により行う。
このようにして、新規電子メール作成アプリケーションにより文字入力を受け付けている最中に、電話を着信したとする。電話を着信すると、電話の通話を行うためのアプリケーションが起動して、表示部32には、図7(B)に示すような「通話」および「切断」の入力用オブジェクトが割り込み表示される。このように割り込み表示された入力用オブジェクトに対する入力が有効に受け付けられるためには、ユーザは、通常の操作入力を行う際の普段の押圧力(P1)より大きな、例えば3Nとする荷重基準の値P2(B1)を超える押圧荷重で操作入力を行う必要がある。
したがって、ユーザが、電子メールの文字を入力中に、突然変化した電話の着信画面に気が付かずに入力部34に対する入力を行ったとしても、意図せずに「通話」または「切断」のキーに対して行った入力は受け付けられない。また、ユーザが、電子メールの文字を入力中に、突然変化した電話の着信画面に気が付いたが、動作の変更が間に合わずに入力部34に対する入力を行ったとしても、同様に意図しないキーに対する入力は受け付けられない。
このように、本実施の形態では、表示部32に割り込み表示される入力用オブジェクトに対する最初の押圧入力のみ、普段の操作入力に基づく押圧荷重よりも大きな(重い)荷重に設定する。普段の操作入力よりも大きな(重い)押圧荷重による入力は、通常の入力方法として想定される各種の入力態様(例えば長押しや、ダブルクリックのような2度押しなど)とは異なる入力である。したがって、割り込み表示される入力用オブジェクトに対して、通常の入力方法として想定される各種の入力態様による入力は受け付けられないため、ユーザが意図せずに誤って行ってしまった入力は有効な入力として受け付けられることはない。すなわち、ユーザの意図しない誤操作による入力は回避される。
さらに、電子メールの文字の入力中に、電話の着信画面に変化したことをユーザが認識している場合には、ユーザは、通常の操作入力を行う際の普段の押圧力よりも多少強い押圧力で意図的に操作入力を行うようにする。これにより、意図通りに「通話」または「切断」のキーに対する押圧入力は有効に受け付けられる。
なお、本実施の形態の処理により入力用オブジェクトを割り込み表示する場合、当該入力用オブジェクトに対する入力は通常の操作入力時よりも強い押圧力で入力する必要があることを、ユーザに示唆する表示を行うのが好適である。例えば、図7(B)に示す「通話」および「切断」のキーの入力用オブジェクトのように、他のキーの入力用オブジェクトとは異なる色により表示部32に表示して、割り込み表示された入力用オブジェクトであることを強調することができる。また、このような割り込み表示の入力用オブジェクトを表示部32に表示する際には、例えば図7(C)に示すような、「キーに強めにタッチして下さい」等の文字と共に表示してもよい。
また、他の実施例について説明する。例えば図8(A)に示すように、ウェブブラウザのアプリケーションを起動し、インターネットのウェブサイトをタッチパネル30の表示部32に表示して、入力部34に対するユーザの入力を受け付けている場合を想定する。図8(A)に示す画面においては、下線を施した文字列(リンク)が入力用オブジェクトになっており、ユーザがこれら各入力用オブジェクトを押圧することにより、他のページ(サイト)にジャンプできる。このような、ジャンプ先のリンクを押圧する入力など通常の操作入力は、ユーザが通常の操作入力を行う普段の押圧力に基づいて、例えば1Nとする荷重基準の値P1を超える押圧荷重により行う。
このようにして、ウェブブラウザのアプリケーションによりリンクに対して押圧入力を行っている最中に、このアプリケーションに対してポップアップ広告を表示する要求があったとする。ポップアップ広告を表示する要求が処理されると、表示部32には、図8(B)に示すようなポップアップ広告の入力用オブジェクトが割り込み表示される。このように割り込み表示された入力用オブジェクトに対する入力が有効に受け付けられるためには、ユーザは、通常の操作入力を行う際の普段の押圧力(P1)より大きな、例えば3Nとする荷重基準の値P2(B1)を超える押圧荷重で操作入力を行う必要がある。
したがって、ユーザが、ジャンプ先のリンクを押圧しようとしている最中、突然ポップアップ広告が表示されたことに気が付かずに入力部34に対する入力を行ったとしても、意図せずにポップアップ広告に対して行った入力は受け付けられない。また、ユーザが、リンクを押圧しようとしている最中、突然ポップアップ広告が表示されたことに気が付いたが、動作の変更が間に合わずに入力部34に対する入力を行ったとしても、意図せずにポップアップ広告に対して行った入力は受け付けられない。
さらに、ポップアップ広告が表示されたことをユーザが認識している場合、ユーザは、通常の操作入力を行う際の普段の押圧力よりも多少強い押圧力で意図的に操作入力を行うようにする。これにより、意図通りにポップアップ広告に対する入力は有効に受け付けられる。
なお、本実施の形態の処理により、ポップアップ広告等の入力用オブジェクトを割り込み表示する場合、当該入力用オブジェクトに対する入力は通常の操作入力時よりも強い押圧力で入力する必要があることを、ユーザに示唆する表示を行うのが好適である。例えば、図8(B)に示すポップアップ広告の入力用オブジェクトのように、他のキーの入力用オブジェクトとは異なる色により表示部32に表示して、割り込み表示された入力用オブジェクトであることを強調することができる。また、このような割り込み表示の入力用オブジェクトを表示部32に表示する際には、例えば図8(C)に示すような、「表示に強めにタッチして下さい」等の文字と共に表示してもよい。
なお、図8(B)または(C)に示すように、もともと入力用オブジェクトが表示されていたところに、他の入力用オブジェクトが割り込み表示されて、複数の入力用オブジェクトが混在する場合もある。このような場合でも、本実施の形態の処理により、もともと表示されている入力用オブジェクトについては、P1を超える通常の押圧力により、通常通りの操作入力を行うことができる。一方、後から割り込み表示された入力用オブジェクトは、通常通りの操作入力よりも大きなP2を超える押圧力でないと、入力とは見なされない。そのため、複数の入力用オブジェクトが混在する場合であっても、もともと表示されていた入力用オブジェクトと、割り込み表示された入力用オブジェクトと、の入力は区別して行うことができる。
なお、本発明は、上述した実施の形態にのみ限定されるものではなく、幾多の変更または変形が可能である。例えば、上述した実施の形態においては、荷重基準の値P1およびP2は、予め設定することを想定したが、必要に応じて、ユーザが適宜変更または調整できるようにするのが望ましい。このようにすれば、操作中に、ユーザが押圧荷重の設定について違和感がある場合、後から適宜設定を修正することができる。
上述した実施の形態による処理では、荷重基準の値がP1またはP2を越えた時点ではまだ入力として確定させずに、荷重基準の値がP1またはP2を越えた後に、それぞれP1またはP2以下になった時点で操作入力が確定したと判定している。しかしながら、これらの処理を簡略化して、荷重基準の値がP1またはP2に達した、または越えた時点で即座に入力として確定する処理にしてもよい。
また、上述した実施の形態では、ユーザによる入力の押圧荷重がP1またはP2を超えた際、そのことをユーザに認識させるために、振動部40を振動させた。しかしながら、このような場合に振動を発生させることは必須の要件ではなく、振動の他にも、例えば音声出力部80から特定の音を発生することもできる。また、当該入力を受け付けている入力用オブジェクトの色や表示態様を表示部32上で変化させることにより、ユーザによる入力の押圧荷重がP1またはP2を超えたことを示してもよい。
さらに、上記実施の形態で説明した以外にも、例えばステップS20やステップS27でも振動部40を振動させて、ユーザの入力に対する処理が適切に行われていることを示してもよい。