以下、添付図面を参照して、本発明に係る食品乾燥庫の実施の形態について説明する。
図1に示す食品乾燥庫1は、果実や野菜等の各種食品を対象とする乾燥処理および乾燥処理後の冷蔵を可能に構成された装置であって、筐体2、内側容器3、ヒートポンプ4、ファン5a〜5c、温度センサ6a〜6d、電源部7、操作部8およびコントローラ9を備えて構成されている。
この場合、本例の食品乾燥庫1におけるヒートポンプ4は、圧縮機41、調整弁42a,42b、凝縮器43a,43b、膨張弁44a,44bおよび蒸発器45a,45bを備え、これらが冷媒配管を介して相互に連結されている。また、本例のヒートポンプ4では、凝縮器43aが「第1凝縮器」に相当し、凝縮器43bが「第2凝縮器」に相当し、膨張弁44aが「第1膨張弁」に相当し、膨張弁44bが「第2膨張弁」に相当し、蒸発器45aが「第1蒸発器」に相当し、蒸発器45bが「第2蒸発器」に相当すると共に、圧縮機41から、調整弁42a、凝縮器43a、膨張弁44aおよび蒸発器45aをこの順で通過して圧縮機41に戻る冷媒流路が「第1冷媒流路」に相当し、かつ、圧縮機41から、調整弁42b、凝縮器43b、膨張弁44bおよび蒸発器45bをこの順で通過して圧縮機41に戻る冷媒流路が「第2冷媒流路」に相当する。
圧縮機41は、蒸発器45a,45bを通過した冷媒をコントローラ9の制御に従って圧縮して調整弁42a,42bに向けて吐出する。調整弁42a,42bは、「冷媒流量調整部」に相当し、流量可変型の電子弁で構成されて、圧縮機41から吐出された冷媒のうちの上記の「第1冷媒流路」を通過させる冷媒の流量、および上記の「第2冷媒流路」を通過させる冷媒の流量をコントローラ9の制御に従って調整する。具体的には、本例のヒートポンプ4では、圧縮機41から吐出された冷媒のすべてが調整弁42a,42bのいずれかを通過する構成が採用されている。また、本例のヒートポンプ4では、調整弁42aが、圧縮機41からの冷媒の吐出量に対する凝縮器43aへの冷媒の供給量(「第1冷媒流路」への冷媒の供給量)の比率(「第1の比率」の一例)を調整し、調整弁42bが、圧縮機41からの冷媒の吐出量に対する凝縮器43bへの冷媒の供給量(「第2冷媒流路」への冷媒の供給量)の比率(「第2の比率」の一例)を調整する構成が採用されている(「冷媒流量調整部」によって「第1の比率」および「第2の比率」の双方を調整する構成の例であって、「圧縮機41からの冷媒吐出量」=「調整弁42aを通過して凝縮器43aに供給される冷媒量」+「調整弁42bを通過して凝縮器43bに供給される冷媒量」の構成の例)。
なお、この種の「調整弁」では、全閉状態においても極く小さな隙間が生じて極く少量の冷媒が「調整弁」を通過し、かつ全開状態においても極く僅かな冷媒通過抵抗が生じて冷媒の通過が僅かに規制される。つまり、この種の「調整弁」の調整可能範囲は、極く少量の冷媒が通過する状態(全閉状態)から、冷媒の通過が僅かに規制される状態(全開状態)までの範囲となっている。したがって、本例の食品乾燥庫1では、例えば、調整弁42aを全閉状態とし、かつ調整弁42bを全開状態としたときに圧縮機41から吐出された冷媒の一部が調整弁42aを通過して「第1冷媒流路」に供給され、調整弁42aを全開状態とし、かつ調整弁42bを全閉状態としたときに圧縮機41から吐出された冷媒の一部が調整弁42bを通過して「第2冷媒流路」に供給される。しかしながら、全閉状態の調整弁42a,42bを通過する冷媒の量や、全開状態において規制される冷媒の量が極く少量のため、以下、全閉状態の調整弁42a,42bを通過する冷媒や、全開状態において通過を規制される冷媒については、以下、無視するものとする。
凝縮器43a,43bは、圧縮機41によって圧縮されて調整弁42a,42bを通過させられた冷媒を凝縮する。膨張弁44a,44bは、一例として、電子膨張弁で構成され、冷媒流路における蒸発器45a,45bの上流側にそれぞれ配設されると共に、凝縮器43a,43bにおいて凝縮された冷媒をコントローラ9の制御に従って蒸発器45a,45b内に向けてそれぞれ吐出する。蒸発器45a,45bは、膨張弁44a,44bから吐出された低温低圧の冷媒と周囲の空気との間で熱交換させることで、周囲の空気を温度低下させ、かつ冷媒を温度上昇(気化)させる。
一方、筐体2は、互いに分離可能に形成された上側容器2aおよび下側容器2bを備えて構成されている。上側容器2aは、一例として、ステンレススチール等の金属板によって内側容器3を収容可能な箱状に形成され、下側容器2bの上に載置可能に構成されている。この場合、内側容器3は、「第1収容部」を構成し、一例として、ステンレススチール等の金属板によって、乾燥対象の食品を収容可能な箱状に形成されている。また、内側容器3には、筐体2における上側容器2aとの間に形成される空気流路S1b内の空気を食品の食品収容空間S1aに導入する導入口Ha、および食品収容空間S1a内の空気を空気流路S1bに排気する排気口Hbが形成されている。
また、内側容器3は、上側容器2aと相まって「第2収容部」を構成する。具体的には、本例の食品乾燥庫1では、上側容器2aおよび内側容器3の間に形成された空気流路S1bが「第2収容部」として機能するように上側容器2a内に内側容器3が収容されている。また、空気流路S1b内には、ヒートポンプ4における蒸発器45aおよび凝縮器43bと、後述するように蒸発器45aの周囲に生じる結露水(ドレン水)を集水するドレンパン11aとが配設されると共に、空気流路S1b内の空気を内側容器3の導入口Haから食品収容空間S1a内に供給するためのファン5aが配設されている。
この場合、ドレンパン11aは、「ドレンパン」の一例であって、後述する「冷却除湿処理」によって蒸発器45aの周囲に生じたドレン水を集水可能に金属材料(一例として、ステンレススチール)で浅皿状に形成されて、蒸発器45aの下方に配設されている。また、ファン5aは、「送風機」に相当し、一例として、蒸発器45aおよび凝縮器43bに対して空気流路S1bにおける下流側に配置され、コントローラ9の制御に従って空気流路S1b内の空気を蒸発器45aおよび凝縮器43bの順で通過させるように送風する。この場合、ファン5aの位置は、上記の例に限定されず、蒸発器45aおよび凝縮器43bの間に配置したり、蒸発器45aおよび凝縮器43bに対して空気流路S1bにおける上流側に配置したりすることができる。
なお、食品乾燥庫1の正面側には、上記の上側容器2aおよび内側容器3を連通するようにして食品出入口が設けられると共に、食品収容空間S1a内に乾燥処理対象の食品を収容し、かつ乾燥処理を完了した食品を食品収容空間S1aから庫外に取り出すための扉が取り付けられているが、食品乾燥庫1の構成、および動作原理についての理解を容易とするために、この食品出入口や扉に関する図示および説明を省略する。
下側容器2bは、「第3収容部」を構成し、一例として、ステンレススチール等の金属板によって、ヒートポンプ4における圧縮機41、調整弁42a,42b、凝縮器43a、膨張弁44a,44bおよび蒸発器45bや、ファン5b,5c、電源部7およびコントローラ9などを収容可能な箱状に形成されている。具体的には、下側容器2bは、図2,3に示すように、箱状の容器本体20と、容器本体20における正面パネル22の正面側に取り付けられた正面カバー21と、容器本体20における背面パネル23の内側に取り付けられた仕切板24とを備えて構成されている。また、本例では、後述する操作部8の各操作スイッチが上記の正面カバー21に取り付けられている。
この場合、本例の筐体2では、ヒートポンプ4における上記の各構成要素や電源部7およびコントローラ9等を収容する機器収容空間S2aが容器本体20内に設けられている。また、本例の筐体2では、機器収容空間S2a内に収容されたファン5bによって機器収容空間S2a内の空気が凝縮器43aおよび蒸発器45bをこの順で通過するように送風される構成が採用されている。さらに、本例の筐体2では、後述するように蒸発器45bの周囲に生じる結露水(ドレン水)を集水するドレンパン11bと、一端部が上記の上側容器2a内のドレンパン11aに接続されると共にドレンパン11aによって集水した結露水(ドレン水)をドレンパン11bから機器収容空間S2aに排水してドレンパン11b上に流下させるためのドレンパイプ12aとが機器収容空間S2a内に配設されている。
この場合、本例の食品乾燥庫1では、ドレンパン11bによって集水された結露水(ドレン水)、およびドレンパイプ12aを介してドレンパン11b上に流下した結露水(ドレン水)が、ドレンパイプ12bを介して、機器収容空間S2aの外部(すなわち、筐体2の外部)に排水される構成が採用されている。また、本例の食品乾燥庫1では、ドレンパン11bがドレンパン11aと同様にして金属材料(一例として、ステンレススチール)で浅皿状に形成されると共に、ドレンパイプ12a,12bが金属材料(一例として、銅または真鍮)で円管状に形成されている。この場合、この食品乾燥庫1では、ドレンパイプ12aが「ドレンパイプ」に相当し、後述するように、ドレンパン11aの蓄熱を機器収容空間S2a内の空気に放熱することでドレンパン11aを冷却し、これにより、ドレンパン11aを冷却器として機能させる構成が採用されている。
さらに、本例の筐体2では、正面カバー21に導入口H1が設けられている。また、この筐体2では、容器本体20における正面パネル22に連通孔H3が設けられると共に、正面カバー21と正面パネル22との間に前室S2bが設けられている。この場合、この筐体2では、図4に示すように、導入口H1から前室S2b内への異物の侵入を阻止するために、正面カバー21の導入口H1に網板21aが取り付けられている。さらに、本例の筐体2では、図3に示すように、容器本体20の天板における背面パネル23寄りの部位に排気口H2が上向きに開口されている。また、この筐体2では、図2,3に示すように、背面パネル23の内側に取り付けられる仕切板24に連通孔H4が形成されると共に、背面パネル23と仕切板24との間に後室S2cが設けられている。なお、本例の筐体2では、上記の機器収容空間S2a、前室S2bおよび後室S2cが相まって「第3収容部」である下側空間S2が構成されている。
さらに、この筐体2では、機器収容空間S2a内の空気を後室S2cに排出することで排気口H2から筐体2の外部に排出するためのファン5cが連通孔H4に取り付けられている。これにより、この食品乾燥庫1では、後述するように、ファン5cを動作させることにより、機器収容空間S2a内の空気が連通孔H4から後室S2cに送風された後に、ファン5cの羽根車における回転軸の軸線(食品乾燥庫1の前後方向に沿った線)と交差する向き(この例では、上向き)で排気口H2から排出される。
また、この筐体2では、図2,4に示すように、正面カバー21に設けられた導入口H1から導入された空気が機器収容空間S2aと前室S2bとを仕切る正面パネル22に当接して正面パネル22に沿って前室S2b内を移動した後に連通孔H3から機器収容空間S2a内に流入するように、導入口H1および連通孔H3は、互いの開口面が対向しない非対向位置にそれぞれ形成されている。この場合、この筐体2では、導入口H1から連通孔H3までの空気の通過抵抗によって導入口H1からの空気の導入を制限するように構成されている。
さらに、この筐体2では、後述するように、コントローラ9が、温度センサ6cからのセンサ信号に基づいて特定される温度(筐体2の外部の空気の温度)に基づき、ファン5cによる機器収容空間S2aから後室S2cへの空気の送風を停止させて排気口H2からの空気の排出を制限させると共に、温度センサ6dからのセンサ信号に基づいて特定される温度(機器収容空間S2a内の空気の温度)に基づき、ファン5cによる空気の送風を開始させて排気口H2からの空気の排出の制限を解除させる構成が採用されている。この場合、この筐体2では、動作を停止させた状態のファン5cと、連通孔H4から排気口H2までの空気の通過抵抗とによって排気口H2からの空気の排出を制限するように構成されている。
また、本例の筐体2では、図3,5,6に示すように、排気口H2の口縁部にフラップ25が取り付けられている。このフラップ25は、排気口H2を閉塞する向きにスプリング(図示せず)によって付勢されて、図5に示すように、ファン5cが動作していない状態(排気口H2からの空気の排出の制限された状態)において、排気口H2を閉塞すると共に、図6に示すように、ファン5cが動作している状態(排気口H2からの空気の排出の制限が解除された状態)において、ファン5cの作動に伴って生じる排気口H2からの空気の排出圧力によって上記のスプリングの付勢力に抗して排気口H2を開口する。
一方、図1に示すように、温度センサ6aは、一例として、空気流路S1bにおける導入口Haの近傍に設置されて空気流路S1b内の空気の温度に応じたセンサ信号を出力する。また、温度センサ6bは、一例として、食品収容空間S1aにおける排気口Hbの近傍に設置されて食品収容空間S1a内の空気の温度に応じたセンサ信号を出力する。さらに、温度センサ6cは、一例として、下側容器2bにおける正面カバー21の近傍に設置されて庫外の空気の温度に応じたセンサ信号を出力する。また、温度センサ6dは、一例として、機器収容空間S2aにおける連通孔H4の近傍に設置されて機器収容空間S2a内の空気の温度に応じたセンサ信号を出力する。なお、図1は、上側容器2a内に収容されている各構成要素や、下側容器2b内に収容されている各構成要素の接続関係等を説明するための概念図であるため、同図における各構成要素の配置や、導入口H1,Ha、排気口H2,Hbおよび連通孔H3,H4の形成位置などは、実際の配置や形成位置とは相違する。
電源部7は、ヒートポンプ4における圧縮機41を動作させるためのインバータや、調整弁42a,42b、膨張弁44a,44b、ファン5a〜5cおよびコントローラ9などに直流電源を供給する変換器などを備えて機器収容空間S2a内に収容されている。操作部8は、後述する乾燥処理等の開始/終了を指示するスタート/ストップスイッチ(「終了指示スイッチ」の一例)や、処理継続時間を設定操作するための操作スイッチ(共に図示せず)を備え、スイッチ操作に応じた操作信号をコントローラ9に出力する。
コントローラ9は、「制御部」に相当し、食品乾燥庫1を総括的に制御する。具体的には、コントローラ9は、ファン5aを制御して空気流路S1b内の空気を送風させると共に、電源部7を制御してヒートポンプ4の圧縮機41を動作させ、かつ調整弁42a,42bおよび膨張弁44a,44bを制御することで、蒸発器45aによって空気流路S1b内の空気を除湿および冷却させ(「冷却除湿処理」の一例)、かつ、蒸発器45aが除湿および冷却した空気を凝縮器43bによって加熱させる(「加熱処理」の一例)。
また、コントローラ9は、温度センサ6cからのセンサ信号に基づき、一例として、庫外の温度が18℃〜23℃の範囲内で予め規定された温度(例えば、22℃)以下になったときに、ファン5cを制御して動作を停止させることにより、排気口H2からの空気の排出を制限させる。さらに、コントローラ9は、温度センサ6dからのセンサ信号に基づき、一例として、機器収容空間S2a内の温度が24℃〜26℃の範囲内で予め規定された温度(例えば、25℃)以上のときに、ファン5cを制御して送風を開始させることにより、排気口H2からの空気の排出制限を解除させる。
この場合、本例の食品乾燥庫1では、食品収容空間S1a内に収容した食品を乾燥させるだけの「乾燥処理A(「処理A」の実行によって庫内の食品を乾燥させる処理)」と、食品収容空間S1a内の食品を乾燥させた後に冷蔵する「乾燥処理B(「処理B」の実行によって庫内の食品を乾燥させる処理)」の2つの処理のうちから利用者が選択した一方を実行するように構成されている。具体的には、操作部8の操作によって上記の「乾燥処理A」の実行を選択されているときに、コントローラ9は、後述するように、空気流路S1b内の空気を「冷却除湿処理」によって冷却および除湿すると共に「加熱処理」によって例えば60℃±1℃に加熱した後に食品収容空間S1aに供給することで食品収容空間S1a内の食品を乾燥させる。
また、操作部8の操作によって上記の「乾燥処理B」の実行を選択されているときに、コントローラ9は、後述するように、空気流路S1b内の空気を「冷却除湿処理」によって冷却および除湿すると共に「加熱処理」によって例えば60℃±1℃に加熱した後に食品収容空間S1aに供給することで食品収容空間S1a内の食品を乾燥させ(上記の「乾燥処理A」と同様の処理)、その後に、蒸発器45aに対する冷媒供給量の増加制御(「処理Ba」の一例)および凝縮器43bに対する冷媒供給量の減少制御(「処理Bb」の一例)のうちの予め規定された少なくとも一方(一例として、双方)を実行して食品収容空間S1aに供給する空気の温度を上記の「乾燥処理A」と同様の処理時よりも低温の例えば10℃±1℃に低下させることで食品収容空間S1a内の食品を低温保存(冷蔵)する。
さらに、本例の食品乾燥庫1では、上記の「乾燥処理A」および「乾燥処理B」のいずれか一方の実行中に、その一方の処理を終了させる「終了条件」が満たされたときに、蒸発器45aに付着しているドレン水を排除する(蒸発器45aの外表面を乾燥させる)と共に、空気流路S1b内を温度上昇させつつ、空気流路S1b内の空気に含まれている水分を減少させることで蒸発器45aに付着している菌を殺菌する(加熱殺菌(低温加熱殺菌)する)「殺菌処理」を実行する構成が採用されている。
この「殺菌処理」に際して、コントローラ9は、調整弁42aを制御して圧縮機41からの冷媒の吐出量に対する凝縮器43aへの冷媒の供給量の比率(第1の比率)を「終了条件」が満たされた時点よりも減少させる処理(「処理Ca」の一例)、および調整弁42bを制御して圧縮機41からの冷媒の吐出量に対する凝縮器43bへの冷媒の供給量の比率(第2の比率)を「終了条件」が満たされた時点よりも増加させる処理(「処理Cb」の一例)のうちの予め規定された少なくとも一方(一例として双方)を実行することで、「終了条件」が満たされた時点よりも空気流路S1b内の空気の温度を上昇させ、かつ「終了条件」が満たされた時点よりも機器収容空間S2a内の空気の温度を低下させる。
この場合、コントローラ9は、「処理Ca」において調整弁42aにおける「第1の比率」の調整可能範囲内で「第1の比率」を最も減少させると共に、「処理Cb」において調整弁42bにおける「第2の比率」の調整可能範囲内で「第2の比率」を最も増加させる。なお、上記の「処理Ca」や「処理Cb」の実行による蒸発器45aの乾燥(殺菌)に関しては、後に詳細に説明する。
また、本例の食品乾燥庫1では、上記の「終了条件」として、ヒートポンプ4等の作動中に操作部8のスタート/ストップスイッチが操作されたとき、操作部8のスイッチ操作によって予め設定された時間が経過したとき、および温度センサ6a,6bによる検出温度が予め規定された温度範囲内の温度になったとき(「乾燥処理A」の実行時)などの各種条件のうちから利用者が任意に選択することができるように構成されている。
さらに、本例の食品乾燥庫1では、「殺菌処理」の開始後に、温度センサ6aによる検出温度が予め規定された温度(63℃〜70℃:例えば、65℃)に達してから予め規定された時間(3分から15分の範囲内で予め規定された時間:例えば10分)が経過したときや、操作部8のスタート/ストップスイッチが予め規定された時間を超えて長押しされたときに、コントローラ9がヒートポンプ4、調整弁42a,42bおよび各ファン5a〜5cの動作を停止させて「殺菌処理」を終了して、食品乾燥庫1を完全停止状態とする構成が採用されている。
この食品乾燥庫1によって食品を乾燥させる際には、まず、操作部8の操作スイッチを操作して、上記の「乾燥処理A」および「乾燥処理B」のいずれの処理を実行させるかを指定すると共に、上記の「終了条件」を指定する。この際には、一例として「乾燥処理A」を実行するように指定すると共に、操作部8のスタート/ストップスイッチの操作によって「乾燥処理A」を終了するように指定する。次いで、処理対象の食品を食品収容空間S1a内に収容すると共に、操作部8のスタート/ストップスイッチを操作して「乾燥処理A」を開始させる。この際には、コントローラ9が、ファン5a,5bを動作させると共に、電源部7を制御して圧縮機41の運転を開始させ、かつ、調整弁42a,42bおよび膨張弁44a,44bを制御してヒートポンプ4による「除湿冷却処理」および「加熱処理」を開始させることで「乾燥処理A」を開始する。
具体的には、コントローラ9は、調整弁42a,42bを制御して、蒸発器45aが空気流路S1b内の空気を好適に除湿するのに要する冷媒が凝縮器43aから供給されるように圧縮機41から凝縮器43aへの冷媒の流量(第1の比率)を調整すると共に、凝縮器43bが蒸発器45aによって除湿および冷却された空気を好適に加熱するのに要する冷媒が供給されるように圧縮機41から凝縮器43bへの冷媒の流量(第2の比率)を調整して、電源部7を制御して圧縮機41に必要量の冷媒を圧送させる。これにより、ファン5aによって送風された空気流路S1b内の空気が蒸発器45aによって除湿および冷却されると共に、凝縮器43bによって加熱される結果、空気流路S1bから導入口Haを介して食品収容空間S1a内に高温低湿の空気が供給される。この結果、食品収容空間S1a内の食品が温度上昇させられて、食品中の水分が食品収容空間S1a内に徐々に揮発する。
また、食品収容空間S1a内において食品から揮発した水分を含有した高温高湿の空気は、排気口Hbを介して空気流路S1bに排出された後に、蒸発器45aによって除湿および冷却されると共に、凝縮器43bによって加熱された後に、導入口Haから食品収容空間S1a内に再び供給される。また、蒸発器45aによる空気流路S1b内の空気の冷却(除湿)に伴って蒸発器45aの周囲に生じた結露水は、蒸発器45aから滴り落ちてドレンパン11aによって集水された後にドレンパイプ12aを流下してドレンパン11b上に滴り落ち、その後にドレンパイプ12bを通過して筐体2の外部に排水される。この後、コントローラ9は、温度センサ6aからのセンサ信号に基づき、一例として、食品収容空間S1a内の温度が目標温度範囲(例えば60℃±1℃)となるようにヒートポンプ4の各部を制御する。
この場合、本例の食品乾燥庫1では、「乾燥処理A」の実行中に、コントローラ9が温度センサ6a,6bからのセンサ信号や、ヒートポンプ4の各部に配設された冷媒圧力センサ(図示せず)からのセンサ信号に基づいて調整弁42a,42bを制御することにより、調整弁42aが、圧縮機41からの冷媒の吐出量に対する凝縮器43aへの冷媒の供給量の比率(第1の比率)を一例として30%〜50%の範囲内で調整し、かつ、調整弁42bが、圧縮機41からの冷媒の吐出量に対する凝縮器43bへの冷媒の供給量の比率(第2の比率)を一例として50%〜70%の範囲内で調整する構成(「乾燥処理A」の実行中に凝縮器43aに対する冷媒の供給量と凝縮器43bに対する冷媒の供給量との比が30:70〜50:50の範囲内で調整される構成)が採用されている。
なお、空気流路S1b内の温度が低下する冬期等においては、空気流路S1b内の空気の温度を短時間で十分な温度に上昇させるために、「乾燥処理A」の開始直後においては、凝縮器43aに対する冷媒の供給量と凝縮器43bに対する冷媒の供給量との比が一例として10:90〜0:100の範囲内となるように調整弁42a,42bを調整することもある。また、本例の食品乾燥庫1では、「乾燥処理A」の実行中に、温度センサ6a,6bからのセンサ信号や、冷媒圧力センサからのセンサ信号に基づき、コントローラ9が電源部7(インバータ)を制御して圧縮機41の運転状態を適宜変化させるが、負荷状態に応じた圧縮機41の運転状態変更制御については公知のため、「食品乾燥庫」の動作原理についての理解を容易とすべく、この運転状態変更制御に関する説明を省略する。
この場合、この食品乾燥庫1では、上記の「乾燥処理A」(または「乾燥処理B」)に際して、電源部7および圧縮機41からの放熱や、蒸発器45aに供給すべき冷媒を凝縮させる凝縮器43aからの放熱によって機器収容空間S2a内が温度上昇する。このため、凝縮器43aにおいて蒸発器45aに供給すべき冷媒を好適に凝縮させ、かつ、電源部7の動作不良や圧縮機41の故障が生じるのを回避するために、機器収容空間S2a内が過剰に高温となることを回避する必要がある。したがって、この食品乾燥庫1では、一例として、温度センサ6dによる検出温度(機器収容空間S2a内の温度)が例えば25℃以上のときに、コントローラ9がファン5cを制御して送風を開始させる。
この際には、機器収容空間S2a内の空気が図2,3に示す矢印C1の向きで連通孔H4から後室S2cに排出されるのに伴い、前室S2b内の空気が矢印A2の向きで連通孔H3を介して機器収容空間S2a内に導入され、かつ、庫外の空気が矢印A1の向きで導入口H1を介して前室S2b内に導入される。これにより、機器収容空間S2a内に導入された空気によって電源部7や圧縮機41が十分に冷却されると共に、ファン5bによって矢印B1の向きで凝縮器43aおよび蒸発器45bをこの順で通過するように送風されることで、凝縮器43aが十分に冷却される。この際に、蒸発器45bの周囲に生じる結露水(ドレン水)は、蒸発器45bからドレンパン11b上に滴り落ちて、ドレンパイプ12aを流下した上記の結露水と共にドレンパイプ12bを通過して筐体2の外部に排水される。
また、ファン5cを動作させている状態においては、連通孔H4から後室S2cに機器収容空間S2a内の空気が排出されることにより、図3,6に示すように、その排出圧によってフラップ25が排気口H2を開口した状態となるため、後室S2cに排出された高温の空気は、矢印C2の向きで排気口H2から上方に向けて食品乾燥庫1の背面部位に排出される。これにより、電源部7、圧縮機41およびコントローラ9等の冷却によって温度上昇した空気が機器収容空間S2a内に滞留して冷却効率が低下する事態が回避される。
一方、庫外の温度が低下する冬期等においては、上記したようにファン5cを動作させることで低温の空気を機器収容空間S2a内に導入したときに、蒸発器45bにおける吸熱効率が低下してヒートポンプ4の処理効率が低下するおそれがある。この場合、冬期等においては、空気流路S1b内の温度も低下しているため、十分に加熱した空気を食品収容空間S1aに供給するには、大量の冷媒を凝縮器43bに供給して凝縮器43bの加熱処理能力を十分に上昇させる必要が生じる。このため、冬期等においては、凝縮器43bから排出された大量の冷媒が膨張弁44bを通過して蒸発器45bに導入されることとなり、機器収容空間S2a内の温度が低い状態では、蒸発器45bにおける十分な吸熱が困難となり、また、最悪の場合には、霜付き等が生じて吸熱効率が一層低下する。したがって、この食品乾燥庫1では、一例として、温度センサ6cによる検出温度(庫外の温度)が例えば22℃以下のときに、コントローラ9がファン5cを制御して動作を停止させる。
この際には、機器収容空間S2a内の空気が連通孔H4から後室S2cに排出されるのが制限されるのに伴い、前室S2b内の空気が連通孔H3を介して機器収容空間S2a内に導入されたり、庫外の空気が導入口H1を介して前室S2b内に導入されたりするのが制限される。これにより、機器収容空間S2a内の空気がファン5bによって攪拌されるだけで、庫外の低温の空気が機器収容空間S2a内に導入されて機器収容空間S2a内が温度低下する事態が回避される。また、機器収容空間S2a内の空気は、電源部7、圧縮機41および凝縮器43aからの排熱によって徐々に温度上昇する。したがって、ファン5bによってこの高温の空気を矢印B2の向きで蒸発器45bに供給することで、蒸発器45bに霜付き等が生じる事態を回避すると共に、蒸発器45bの吸熱効率を維持して十分に温度上昇した(気化した)状態の冷媒を圧縮機41に吸引させることができるため、ヒートポンプ4の処理能力を十分なレベルに維持することが可能となる。
また、この食品乾燥庫1では、導入口H1から連通孔H3までの空気の通過抵抗によって導入口H1からの空気の導入を制限するように構成されている。したがって、庫外において正面カバー21に向かって低温の空気が吹き付けられていたとしても、この空気が導入口H1から前室S2b内に進入して連通孔H3から機器収容空間S2a内に進入する事態が好適に阻止される。これにより、ファン5cの動作を停止させている状態において庫外の低温の空気によって機器収容空間S2a内が温度低下させられる事態を好適に回避することが可能となっている。このため、本例の食品乾燥庫1では、機器収容空間S2a内が過剰に高温となり易い夏期等や、機器収容空間S2a内が過剰に低温となり易い冬期等においても、「乾燥処理A」(または、「乾燥処理B」)や、後述する「殺菌処理」を好適に実施することが可能となっている。
この場合、上記の「乾燥処理A」(または、「乾燥処理B」)に際して食品収容空間S1a内の食品が十分に乾燥していない状態においては、導入口Haから導入される高温低湿の空気の熱エネルギーが、食品からの水分の揮発によって奪われる結果、排気口Hbを介して食品収容空間S1aから空気流路S1bに排出される空気の温度が、導入口Haを介して空気流路S1bから食品収容空間S1a内に導入される空気の温度よりも低温となる。これに対して、食品収容空間S1a内の食品が十分に乾燥した状態においては、食品からの水分の揮発によって奪われる熱エネルギーが減少する結果、排気口Hbを介して食品収容空間S1aから空気流路S1bに排出される空気の温度が、導入口Haを介して空気流路S1bから食品収容空間S1a内に導入される空気の温度と同程度の温度となる。
したがって、操作部8のスタート/ストップスイッチが操作されたときに「乾燥処理A」を終了させるよう「終了条件」が指定されている本例とは相違するが、本例の食品乾燥庫1では、一例として、温度センサ6a,6bの検出温度の差(温度差)が予め規定された温度(例えば、1℃〜3℃の範囲内で予め規定された温度)を下回ったときに、コントローラ9が、食品収容空間S1a内の食品が十分に乾燥したと判別して「乾燥処理A」を終了させることもできる。
一方、スタート/ストップスイッチの操作時に「乾燥処理A」を終了させるよう指定されている本例では、利用者によってそのようなスイッチ操作が行われたときに、コントローラ9が、「終了条件」が満たされたと判別して「乾燥処理A」を終了させる。具体的には、食品が十分に乾燥したと判断した利用者は、一例として、処理を完了した食品を食品収容空間S1aから取り出し、その後に操作部8のスタート/ストップスイッチを操作する。なお、スタート/ストップスイッチの操作後に食品収容空間S1aから食品を取り出すこともできる。
この場合、スタート/ストップスイッチが操作された時点においては、その直前まで「乾燥処理A」が実行されているため、蒸発器45a等が配設されている空気流路S1b内の空気が例えば60℃±1℃に加熱された状態となっており、かつ、「冷却除湿処理」を実行していた蒸発器45aが低温となっている。また、食品収容空間S1aからの食品の取り出しに際しては、正面扉の開閉に伴い、食品収容空間S1aを介して空気流路S1bに外気が侵入し、空気流路S1b内の空気の温度が1℃〜5℃程度低下する。この際に、梅雨時や、高湿度の使用環境下においては、「乾燥処理A」によって水分を除去された食品収容空間S1aや空気流路S1b内の空気と比較して多くの水分を含む外気が侵入することで、食品収容空間S1a内や空気流路S1bの空気に含まれる絶対的な水分量が増加する。
したがって、スタート/ストップスイッチが操作された時点(「乾燥処理A」の終了時点)において、ヒートポンプ4を完全に停止させた場合には、空気流路S1b内の空気の温度が徐々に低下して露点温度に達したときに、空気中の水分が凝結する。この際に、前述したように蒸発器45aが低温となっているため、この蒸発器45aの周囲(表面)において凝結(結露)が生じ易く、この結果、主として蒸発器45aの表面が結露水(ドレン水)で濡れた状態となる。また、スタート/ストップスイッチの操作時点までの食品の乾燥状態によっては、蒸発器45aの表面にドレン水が付着した状態となっていることもある。このため、この状態で放置したときには、蒸発器45aの表面において雑菌が繁殖するおそれがある。
一方、本例の食品乾燥庫1では、スタート/ストップスイッチの操作によって「乾燥処理A」を終了する「終了条件」が満たされたときに、コントローラ9が、「殺菌処理」を開始する。具体的には、コントローラ9は、ファン5aを動作させた状態を維持しつつ、調整弁42aを制御して、圧縮機41からの冷媒の吐出量に対する凝縮器43aへの冷媒の供給量の比率(第1の比率)を0%(「冷媒流量調整部における第1の比率の調整可能範囲内で第1の比率を最も減少させる」との制御の一例)に調整し(「処理Ca」の一例)、かつ、調整弁42bを制御して、圧縮機41からの冷媒の吐出量に対する凝縮器43bへの冷媒の供給量の比率(第2の比率)を100%(「冷媒流量調整部における第2の比率の調整可能範囲内で第2の比率を最も増加させる」との制御の一例)に調整することで(「処理Cb」の一例)、凝縮器43aに対する冷媒の供給量と凝縮器43bに対する冷媒の供給量との比を0:100とする。
この場合、「乾燥処理A」に際して調整弁42aを通過した冷媒が供給されていた蒸発器45aでは、「第1の比率」が上記のように調整されることで「乾燥処理A」の実行中よりも冷媒供給量が減少する(この例では、冷媒の供給がほぼ停止される)ため、空気流路S1b内の空気によって加熱されて徐々に温度上昇する。したがって、蒸発器45aの表面に結露が生じていたとしても(蒸発器45aの表面が濡れていたとしても)、この結露水が徐々に揮発して、蒸発器45aが乾燥させられると共に、後に空気流路S1b内の空気の温度が徐々に低下したときにも蒸発器45aの表面に結露が生じ難くなる。また、「乾燥処理A」時よりも多くの冷媒が凝縮器43bに供給されることで、凝縮器43bが温度上昇して放熱量が増加すると共に、「乾燥処理A」時よりも蒸発器45aに対する冷媒供給量が減少することで、蒸発器45aによる吸熱量が減少するため、空気流路S1b内の空気が温度上昇させられる。これにより、蒸発器45aが一層好適に乾燥させられる。
一方、この「殺菌処理」に際しては、上記のように「第1の比率」が調整されて「乾燥処理A」の実行中よりも「第1冷媒流路」に対する冷媒供給量が減少する(この例では、冷媒供給がほぼ停止する)ことで凝縮器43aからの放熱量が低下し、かつ上記のように「第2の比率」が調整されて「乾燥処理A」の実行中よりも「第2冷媒流路」に対する冷媒供給量が増加することで蒸発器45bによる吸熱量が増加する。したがって、機器収容空間S2a内の空気の温度が「乾燥処理A」の実行中よりも低下する。この際に、ドレンパイプ12aが機器収容空間S2a内に引き込まれている本例の食品乾燥庫1では、このドレンパイプ12aが連結されているドレンパン11aの熱がドレンパイプ12bを介して機器収容空間S2a内の低温の空気に放出されるため、ドレンパン11aの温度が「乾燥処理A」の実行中よりも低下する(ドレンパン11aが冷却される)。
したがって、「殺菌処理」に際しては、ドレンパン11aが「冷却装置」として機能して、ファン5aによる送風によってこのドレンパン11aに当接させられた空気流路S1b内の空気が冷却されて、この空気中に含まれている水分がドレンパン11aの表面に結露するため、空気流路S1b内の空気に含まれる水分量が徐々に減少する。なお、ドレンパン11aの表面に結露した結露水(ドレン水)は、上記の「乾燥処理A」のときと同様にしてドレンパイプ12aを伝ってドレンパン11b上に流下し、ドレンパイプ12bから庫外に排水される。
この際に、コントローラ9は、温度センサ6aから出力されるセンサ信号を「殺菌処理」の開始時点から監視し、一例として、65℃に達したときに、計時を開始すると共に、予め規定された時間(この例では、10分)が経過するまで、空気流路S1b内の空気の温度が、一例として65℃±1℃の範囲内となるようにヒートポンプ4の各部を制御する。これにより、上記したように空気流路S1b内の空気に含まれている水分がドレンパン11aに結露してドレンパイプ12a、ドレンパン11bおよびドレンパイプ12bを介して庫外に排水される結果、空気流路S1b内の空気に含まれる水分量が減少する。また、周囲の空気に含まれる水分量の減少、および空気流路S1b内の温度上昇に伴い、蒸発器45aの表面等に雑菌が付着していたり、空気流路S1b内の空気中に雑菌が含まれていたりしたとしても、この雑菌が好適に殺菌される。
この場合、空気流路S1b内(蒸発器45aの表面等)を十分に乾燥させることで、空気流路S1b内を、雑菌の繁殖を十分に抑制可能な環境とすることができる。しかしながら、単に乾燥させただけでは、「殺菌処理」の終了後に空気流路S1b内が温度低下したときに、空気流路S1b内において結露が生じて雑菌の繁殖を抑制可能な環境を維持するのが困難となるおそれがある。したがって、この食品乾燥庫1では、「殺菌処理」によって殺菌した雑菌(仮死状態の雑菌を含む)や、殺菌し切れなかった雑菌を、空気流路S1b内の水分(結露水)と共に庫外に排出することにより、「殺菌処理」の終了後に空気流路S1b内が温度低下して空気流路S1b内において結露が生じたとしても、この空気流路S1b内において雑菌が繁殖するのを回避する構成が採用されている。この後、空気流路S1b内が65℃に達してから10分が経過した時点において、コントローラ9は、ヒートポンプ4(圧縮機41および膨張弁44a,44b)、ファン5cおよび調整弁42a,42b等の動作を停止させて食品乾燥庫1を完全停止状態とし、この「殺菌処理」を終了する。
一方、「乾燥処理A」の実行を指定した上記の例とは相違し、「乾燥処理B」の実行を指定したときには、コントローラ9は、上記の「乾燥処理A」と同様の処理をした後に庫内の食品を低温保存させる。具体的には、一例として、上記の「乾燥処理A」と同様の処理の実行中に、温度センサ6a,6bの検出温度の差(温度差)が予め規定された温度(例えば、1℃〜3℃の範囲内で予め規定された温度)を下回ったときに(「予め規定された条件」の一例)、コントローラ9は、食品収容空間S1a内の食品が十分に乾燥したと判別してヒートポンプ4を「冷蔵モード」に移行させる。なお、「予め規定された条件」は、上記の例に限定されず、例えば、「乾燥処理B」の実行が指定されている状態において、スタート/ストップスイッチが最初に操作されたときに「予め規定された条件」が満たされたとし、かつ、スタート/ストップスイッチが2回目に操作されたときに「終了条件」が満たされたと判別する構成や、「乾燥処理B」を開始してから予め規定された時間が経過したときに「予め規定された条件」が満たされたと判別する構成を採用することができる。
この「冷蔵モード」では、コントローラ9は、電源部7を制御して圧縮機41による冷媒の圧縮量を減少させると共に、調整弁42aを制御して蒸発器45aへの冷媒の供給量を増加させ(「処理Ba」の一例)、かつ調整弁42bを制御して凝縮器43bへの冷媒の供給量を減少させる(「処理Bb」の一例)。この際には、蒸発器45aに対して空気流路S1b内の空気を十分に冷却することが可能な量の冷媒が供給され、かつ、凝縮器43bに対して蒸発器45aによって除湿および冷却された空気を過剰に加熱することのない程度の冷媒が供給されるため、蒸発器45aによって十分に冷却された空気流路S1b内の空気が、凝縮器43bによって僅かに加熱された状態で導入口Haから食品収容空間S1a内に供給される。これにより、食品収容空間S1a内の温度が徐々に低下して、食品収容空間S1a内の食品の温度が徐々に低下する。したがって、食品収容空間S1a内の食品の乾燥が必要以上に進行する事態を招くことなく、この食品が低温保存される。なお、庫外の温度によっては、この「冷蔵モード」において上記の「処理Ba」および「処理Bb」のいずれか一方だけを実行することもできる。
また、食品の冷蔵中に、操作部8のスタート/ストップスイッチが操作されたときに、コントローラ9は、「終了条件」が満たされたと判別して、前述した「殺菌処理」を開始する。なお、「殺菌処理」の具体的内容は、上記の「殺菌処理」と同様のため、詳細な説明を省略する。これにより、「乾燥処理A」に続いて「殺菌処理」を実行したときと同様にして、空気流路S1b内が十分に温度上昇させられ、かつ空気流路S1b内の空気に含まれる水分量が減少する結果、空気流路S1b内が殺菌(加熱殺菌(低温加熱殺菌))される。
このように、この食品乾燥庫1では、コントローラ9が、「乾燥処理A」および「乾燥処理B」のいずれかの実行中に「終了条件」が満たされたときに、調整弁42aを制御して「終了条件」が満たされた時点よりも「第1の比率」を減少させる「処理Ca」、および調整弁42bを制御して「終了条件」が満たされた時点よりも「第2の比率」を増加させる「処理Cb」のうちの予め規定された少なくとも一方(本例では双方)を実行する。
したがって、この食品乾燥庫1によれば、「処理Ca」の実行によって蒸発器45aによる吸熱量が減少し、かつ「処理Cb」の実行によって凝縮器43bからの放熱量が増加するため、「終了条件」が満たされた時点よりも空気流路S1b内の空気の温度が上昇する結果、「乾燥処理A」または「乾燥処理B」の終了時点において蒸発器45aの表面に水分が付着して蒸発器45aが濡れていたとしても、この水分を、空気流路S1b内の温度上昇した空気中に揮発させて蒸発器45aを好適に乾燥させることができる。また、空気流路S1b内の空気の温度上昇に伴い、蒸発器45aそのものの温度を上昇させることができるため、蒸発器45aの表面に再び結露が生じる事態を回避することができる。さらに、「処理Ca」の実行によって凝縮器43aからの放熱量が減少し、かつ「処理Cb」の実行によって蒸発器45bによる吸熱量が増加するため、「終了条件」が満たされた時点よりも機器収容空間S2a内の温度が低下する結果、ドレンパイプ12aを介してドレンパン11aの蓄熱を機器収容空間S2a内に好適に放熱させることができ、これにより、ドレンパン11aを好適に冷却して「冷却装置」として機能させることができる。このため、空気流路S1b内の空気中に含まれる水分をドレンパン11aに結露させて除去することができる結果、空気流路S1b内の空気中に含まれる水分量を減少させることができる。したがって、この食品乾燥庫1によれば、蒸発器45a等に雑菌が付着していたとしても、これを好適に殺菌することができると共に、殺菌できなかった雑菌についても、空気流路S1b内の空気に含まれる水分量が減少することで、この雑菌の繁殖を好適に回避することができる。
また、この食品乾燥庫1によれば、「処理Ca」の開始時点において調整弁42aにおける「第1の比率」の調整可能範囲内で「第1の比率」を最も減少させることにより、蒸発器45aによる吸熱量を短時間で減少させることができるため、空気流路S1b内の空気を短時間で温度上昇させることができ、かつ、凝縮器43aからの放熱量を短時間で減少させることができるため、機器収容空間S2a内の空気を短時間で温度低下させることができると共に、「処理Cb」の開始時点において調整弁42bにおける「第2の比率」の調整可能範囲内で「第2の比率」を最も増加させることにより、凝縮器43bからの放熱量を短時間で増加させることができるため、空気流路S1b内の空気を短時間で温度上昇させることができ、かつ、蒸発器45bによる吸熱量を短時間で増加させることができるため、機器収容空間S2a内の空気を短時間で温度低下させることができる。これにより、蒸発器45aを短時間で乾燥させることができると共に、空気流路S1b内の空気中に含まれる水分を短時間で除去することができる。
さらに、この食品乾燥庫1によれば、空気流路S1b内の空気の温度が予め規定された温度(本例では、例えば65℃)に達してから予め規定された時間(本例では、例えば10分)が経過したときに、ヒートポンプ4、ファン5a〜5cおよび調整弁42a,42bの動作を停止させることにより、比較的簡易な構成でありながら、蒸発器45aの乾燥、および空気流路S1b内の空気中に含まれる水分の除去に必要十分な時間に亘って、ヒートポンプ4、ファン5a〜5cおよび調整弁42a,42b等を動作させた後にこれらの動作を自動的に停止させることができるため、「乾燥処理A」または「乾燥処理B」の後にヒートポンプ4、ファン5a〜5cおよび調整弁42a,42b等によって消費される電力量を十分に低減してランニングコストを十分に低下させることができる。
また、この食品乾燥庫1によれば、スタート/ストップスイッチが操作されたときに、「終了条件」が満たされたとすることにより、利用者が「乾燥処理A」または「乾燥処理B」を終了させるためにスタート/ストップスイッチを操作したときに、「処理Ca」および「処理Cb」のうちの予め規定された少なくとも一方(本例では、双方)が自動的に実行されるため、既存の「食品乾燥庫」と同様の使用方法で使用することで、食品乾燥庫1の動作停止前に、蒸発器45aを乾燥させ、かつ空気流路S1b内の空気に含まれる水分量を十分に減少させることができる。
なお、「食品乾燥庫」の構成は、上記の食品乾燥庫1の構成に限定されるものではない。例えば、「殺菌処理」に際して、調整弁42aを制御して、圧縮機41からの冷媒の吐出量に対する凝縮器43aへの冷媒の供給量の比率(第1の比率)を0%に調整し、かつ、調整弁42bを制御して、圧縮機41からの冷媒の吐出量に対する凝縮器43bへの冷媒の供給量の比率(第2の比率)を100%に調整することで、凝縮器43aに対する冷媒の供給量と凝縮器43bに対する冷媒の供給量との比を0:100とする例について説明したが、「第1の比率」および「第2の比率」は上記の例に限定されず、「終了条件が満たされた時点よりも低い」との条件を満たす範囲において「第1の比率」を任意に変更したり、「終了条件が満たされた時点よりも高い」との条件を満たす範囲において「第2の比率」を任意に変更したりすることができる。このような構成を採用した場合においても、上記の食品乾燥庫1と同様にして、「殺菌処理」によって空気流路S1b内の空気に含まれる水分を好適に減少させることができ、これにより、雑菌の繁殖を好適に回避することができる。
また、「殺菌処理」に際して、「処理Ca」および「処理Cb」の双方を実行する構成を例に挙げて説明したが、「第1の比率」を「乾燥処理A」(または、「乾燥処理B」)の終了時点と同じく維持して「第2の比率」を増加させる構成や(「処理Cb」だけを実行する例)、「第2の比率」を「乾燥処理A」(または、「乾燥処理B」)の終了時点と同じく維持して「第1の比率」を減少させる構成(「処理Ca」だけを実行する例)を採用することもできる。このような構成を採用した場合においても、「乾燥処理A」(または、「乾燥処理B」)の終了時点よりも空気流路S1b内を温度上昇させ、かつ機器収容空間S2a内を温度低下させることができるため、上記の食品乾燥庫1と同様にして、「殺菌処理」によって空気流路S1b内の空気に含まれる水分を好適に減少させることができ、これにより、雑菌の繁殖を好適に回避することができる。
さらに、ドレンパン11aによって集水したドレン水がドレンパイプ12aを介してドレンパン11b上に流下し、ドレンパン11bによって集水したドレン水と共にドレンパイプ12bを介して庫外に排水される構成を採用した例について説明したが、「食品乾燥庫」の構成はこれに限定されず、ドレンパイプ12aによって空気流路S1bから機器収容空間S2a内に流下させたドレン水を直接庫外に排水する構成を採用することもできる。この場合、ドレンパン11bによって集水したドレン水については、ドレンパイプ12aとは別個に設けたドレンパイプ(例えば、ドレンパイプ12b)によって庫外に排水してもよいし、また、ドレンパイプ12aにドレンパン11bを連結してドレンパン11aによって集水したドレン水と共に庫外に排水してもよい。このような構成を採用した場合においても、ドレンパイプ12aが機器収容空間S2a内に配管されていることで、「殺菌処理」に際して機器収容空間S2a内の空気の温度が低下したときに、ドレンパン11aを十分に温度低下させて「冷却装置」として機能させることができるため、上記の食品乾燥庫1と同様の効果を奏することができる。