JP5154323B2 - ドライバ内蔵圧電ポンプ - Google Patents

ドライバ内蔵圧電ポンプ Download PDF

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本発明は、同一のハウジング内に圧電ポンプとその制御基板を内蔵する圧電ポンプに関する。
圧電ポンプは、平板状の圧電振動子とハウジングの間に可変容積室(液体ポンプ室)を形成し、圧電振動子を振動させることにより、可変容積室の容積を変化させてポンプ作用を得ている。より具体的には、可変容積室に連なる一対の流路に、流れ方向の異なる一対の逆止弁(可変容積室への流体流を許す逆止弁と可変容積室からの流体流を許す逆止弁)を設けており、圧電振動子の振動により可変容積室の容積が変化すると、それに伴い一対の逆止弁の一方が閉じ他方が開く動作を繰り返すことから、ポンプ作用が得られる。
本出願人は、薄型にできるという圧電ポンプの特徴を生かして、水冷ノートパソコンの冷却水循環ポンプとして用いる圧電ポンプを開発中である。
特開昭63-102300号公報 特開2004-060640号公報 特表2004-517240号公報
小型化には、圧電振動子と、この圧電振動子に駆動電圧を与える駆動基板(ドライバ)とを同一のハウジング内に収納することが得策である。開発中の圧電ポンプでは、駆動基板は、ハウジングの基板収納空間に収納され、リジッドに固定されていた。ところが、加速試験を行うと、駆動により発生する振動により比較的短時間で駆動基板上の導電パターンや部品の故障や劣化が生じることが明らかになった。
本発明は、以上の問題点の発見に基づき、圧電振動子と駆動基板とを同一のハウジング内に収納するとき、駆動基板上の導電パターンや部品の故障を未然に防止できる駆動基板の固定構造を得ることを目的とする。
本発明は、駆動基板上の導電パターンや部品の故障の原因について追及の結果、駆動基板がハウジングにリジッドに固定されていると、圧電振動子の振動がハウジングを介して直接駆動基板に伝達されるため、駆動基板に常時振動や捩れが生じ、これらが故障の原因になるとの結論に至って本発明を完成したものである。
本発明は、単一のハウジング内に、表裏の少なくとも一面に液体ポンプ室を形成する圧電振動子と、該圧電振動子に対する給電制御用電気部品を搭載した制御基板とを収納し、圧電振動子を振動させることにより液体ポンプ室内に液体を給排してポンプ作用を行わせるドライバ内蔵圧電ポンプであって、ハウジングに、制御基板を収納する基板収納空間を形成し、この基板収納空間内に、制御基板の一端部が接触する揺動支点部を設け、該制御基板の他端部を、基板収納空間内壁に接着剤を介して固定したことを特徴としている。
好ましい一態様では、制御基板の周縁と基板収納空間の壁面との間には、揺動支点部を除いて、該制御基板のハウジングに対するマクロな相対移動を可能とする隙間を設け、この隙間に接着剤を介在させる。
基板収納空間の一部は、具体的には例えば、制御基板を板厚と平行な方向に挿脱する基板収納溝によって構成し、この基板収納溝の奥部に、制御基板の板厚方向と直交する方向に対して傾斜した、該制御基板と接触して揺動支点部となる少なくとも一対の傾斜壁を設けることができる。
この態様では、制御基板は、挿入方向後端部の両側を、基板収納溝内壁に接着するのが好ましい。
接着剤は、振動吸収作用のある接着剤、具体的には、アクリル樹脂系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、シリコーン樹脂系接着剤、ホットメルト接着剤から選ばれた1種を用いることが望ましい。
ハウジングは、具体的には、圧電振動子を収納する円形凹部と基板収納溝を含む基板収納空間を有するメインハウジングと、このメインハウジングの円形凹部及び基板収納空間の開放部を閉塞するアッパハウジングとから構成することができる。
基板収納溝は、圧電振動子を収納する円形凹部と少なくとも一部が平面視重複する位置に配置するのが好ましい。
本発明のドライバ内蔵圧電ポンプは、駆動基板を基板収納空間に収納してその一端部を揺動支点部に接触させ、他端部を接着剤を介して基板収納空間壁面に固定したので、接着剤による振動の吸収作用が期待でき、駆動基板を揺動支点部を中心に揺動可能に支持することができる。このため、駆動基板に加わる振動や捩れを軽減し、駆動基板上の導電パターンや部品の故障を未然に防止することができる。
図1ないし図5は、本発明によるドライバ内蔵圧電ポンプの一実施形態を示している。この圧電ポンプ20は、合成樹脂材料(例えばPBT(ポリブチレンテレフタレート)樹脂、PPS(ポリフェニレンスルフィド)樹脂)の成形品からなるメインハウジング(ロアハウジング)21とアッパハウジング22を有している。
メインハウジング21とアッパハウジング22の間には、Oリング27と環状挟着部材(ガイド)28を介して圧電振動子10が液密に狭着支持されていて、該圧電振動子10とメインハウジング21の円形凹部26との間に液体ポンプ室Pを構成している。圧電振動子10とアッパハウジング22との間には、大気室Aが形成される。大気室Aは、開放しても密閉してもよい。
メインハウジング21には、冷却水(液体)の吸入ポート24と吐出ポート25が開口しており、この吸入ポート24と吐出ポート25は、液体ポンプ室P側に開口する吸入流路30と吐出流路31に連通している。メインハウジング21には、この吸入流路30と吐出流路31に跨らせて逆止弁ユニット23が固定されている。逆止弁ユニット23には、吸入ポート24から液体ポンプ室Pへの流体流を許してその逆の流体流を許さない吸入側逆止弁(アンブレラ)32と、液体ポンプ室Pから吐出ポート25への流体流を許してその逆の流体流を許さない吐出側逆止弁(アンブレラ)33が設けられている。図示実施形態の逆止弁32、33は、同一の形態であり、弾性材料からなるアンブレラ32a、33aにより、常時は流路穴32b、33bを閉じている。
以上の圧電ポンプ20は、圧電振動子10が正逆に弾性変形(振動)すると、液体ポンプ室Pの容積が拡大する行程では、吸入側逆止弁32が開いて吐出側逆止弁33が閉じるため、吸入ポート24から液体ポンプ室P内に液体が流入する。一方、液体ポンプ室Pの容積が減少する行程では、吐出側逆止弁33が開いて吸入側逆止弁32が閉じるため、液体ポンプ室Pから吐出ポート25に液体が流出する。したがって、圧電振動子10を正逆に連続させて弾性変形(振動)させることで、ポンプ作用が得られる。
本実施形態は、以上の基本構造を有する圧電ポンプにおいて、圧電振動子10を駆動制御する制御基板(駆動制御基板)40を収納するために、メインハウジング21に、吸入ポート24と吐出ポート25が開口する端面とは反対側の端面を基板挿入開口21bとした基板収納空間21aを形成している。この基板収納空間21aは、上面開放部21cによって上面一部が開放されており、また、円形凹部26(圧電振動子10)の下方に、該円形凹部26の一部と平面位置が一致する基板収納溝21dを有している。つまり、この基板収納溝21dは、基板挿入開口21b側から挿入した制御基板40を受け入れる底壁21eと上壁21f(図2、図4)を有していて、基板挿入開口21bから圧電振動子10の中心に向かって延びている。上壁21fは、その上部一部に、ポンプ室Pの凹部26が存在する内壁であるのに対し、底壁21eは、ハウジング21の外面壁である。底壁21eには、制御基板40の図の底面が接触する凸部21e2と、空気流通空間21e1が形成されている。
制御基板40は、マクロに見て平面矩形をなしており、基板収納溝21dの奥部には、制御基板40の幅方向の2箇所に離間させて、制御基板40の板厚方向と直交する方向に対して傾斜する一対の傾斜壁21gが形成されている。この傾斜壁21gは、基板収納溝21dの高さを奥部に向けて狭めるもので、その高さ方向の中間部分に、制御基板40の挿入方向奥部上縁が線状に当接する(図2)。
制御基板40上には、図1、図2に示すように、圧電振動子10に対する給電制御を行う電気部品(電子回路部品)41と、これら電気部品41間を接続するプリント配線が形成されている。給電制御用電気部品41中には、基板上に突出する発熱要素としてのIC、インダクター及びFET回路が含まれており、プリント配線中には、圧電振動子10への給電端子42と43が含まれている。
また、本実施形態の圧電振動子10回りの構成を説明すると次の通りである。圧電振動子10は、平面円形のシム11と、シム11の表裏面の一方に形成した円形の圧電体(圧電体層)12とを有するユニモルフ型である。圧電体12は、液体ポンプ室P側に位置している。
シム11は、厚さ30〜300μm程度のステンレスや42アロイ等のばね性金属材料(導電性金属薄板)からなり、圧電体12を支持するための剛性を有している。このシム11は、その円形部分から外方に延びる端子部11aを備えている。圧電体12は、例えば厚さ50〜600μm程度のPZT(Pb(Zr、Ti)O3)等の圧電材料から構成されるもので、その表裏方向に分極処理が施されている。このような圧電振動子は周知である。
圧電体12の周縁には、Oリング27が弾接してポンプ室Pの液密が保持されている。本実施形態では、圧電体12のシム11とは反対側の面に対して給電するため、該圧電体12とOリング27との間に、環状電極(端子)29が介在している。この環状電極29は、厚さ10〜30μm程度のステンレス、42アロイ、燐青銅等のばね性金属材料からなるもので、シム11と同様に、その環状部分から外方に延びる端子部29aを一体に有している。これらのシム11の端子部11aと環状電極29の端子部29aは、リード線11b、29bを介して制御基板40上の給電端子42と43に接続される。給電端子42と43を介して圧電体12の表裏に交番電界が与えられると、圧電体12の表裏の一方が伸びて他方が縮むサイクルが繰り返され、シム11(圧電振動子10)が中央部の振幅が最も大きくなるように振動する。
アッパハウジング22には、基板収納空間21aの基板挿入開口21bを閉塞する蓋部22aが形成されており、この蓋部22aに外部端子挿入穴(大気流通穴)22b(図1)が形成されている。
上記構成の本ドライバ内蔵圧電ポンプは、メインハウジング21とアッパハウジング22との間に圧電振動子10、Oリング27、環状接触部材28及び環状電極29を挟着して結合し、シム11の端子部11aに接続されたリード線11bと環状電極29の端子部29aに接続されリード線29bを、メインハウジング21の上面開放部21cから基板収納空間21aに導き、制御基板40上の給電端子42と43に接続する(半田付けする)。
この状態で、基板収納空間21aの基板挿入開口21bから基板収納溝21dに制御基板40を挿入すると、制御基板40の先端部が一対の傾斜壁21gに機械的に線状に当接する。この一対の線状接触部21g’(図2、図5)が制御基板40の揺動支点部となる。制御基板40の幅dは、図5に模式的に示すように、基板収納溝21d内においてマクロな移動が可能なように、基板収納溝21dの幅Dより小さく設定されていて、両者の間に隙間sが確保される。本実施形態では、制御基板40の挿入方向後端部(手前側)の両側において、この隙間sを埋める接着剤ADによって、制御基板40の後端部がメインハウジング21(基板収納空間21a)に固定されている。接着剤ADは、振動吸収作用を有するもので、例えば、アクリル樹脂系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、シリコーン樹脂系接着剤、ホットメルト接着剤等が用いられる。
接着剤ADは、図5に鎖線で示すように、その後メインハウジング21に被せられて固定されるアッパハウジング22の蓋部22aと、制御基板40の後端壁との間の隙間に介在させてもよい。
上記構成の本圧電ポンプは、制御基板40を介して圧電振動子10に交番電界を与えるポンプ作用中においては、圧電振動子10の振動がメインハウジング21に伝達され、メインハウジング21の振動が制御基板40に伝わる。しかし、制御基板40の一端部(圧電振動子10の下方に位置する先端部)は、傾斜壁21gに機械的に線接触していて、後端部は、振動吸収作用を有する接着剤ADを介して基板収納溝21d(メインハウジング21)の壁面に固定されているため、制御基板40に振動が伝わりにくい。また、制御基板40はミクロに見て傾斜壁21gを中心とする揺動運動ができ、捩れは生じにくく、単純な振動となるため、制御基板40上に設置された電気部品(電子回路部品)41やこれら電気部品41がプリント配線に接続されている半田などに対するダメージを緩和することが可能となる。
また、本実施形態では、図2から分かるように、制御基板40は、圧電振動子10の反対側に液体ポンプ室Pの円形凹部26壁面を介して配置されており、その少なくとも一部が液体ポンプ室Pと平面視重複する位置に配置されている。このような構造とすることで液体ポンプ室P内に流入・排出される冷却液が液体ポンプ室Pの下部壁面を介して、ハウジング内に配置された制御基板から発生する熱を効率よく奪うことが可能となる。
以上の実施形態は、シム11の表裏の一面に圧電体12を有するユニモルフタイプの圧電振動子を用い、該圧電体12を液体ポンプ室P側に向けて配置したが、圧電振動子10の表裏を逆転させても、あるいはバイモルフタイプ、マルチモルフタイプの圧電振動子を用いても全く同様の給電構造を実現できる。
以上の実施形態では、シム11の端子部11aと環状電極29の端子部29aを、リード線11bと29bを介して制御基板40の給電端子42と43に導通させたが、この給電構造は一例であり、本発明は給電構造を限定するものではない。
本発明のドライバ内蔵圧電ポンプの一実施形態を示す分解斜視図である。 図1の圧電ポンプの組立状態におけるII-II線に沿う断面図(及び図4のII-II線に沿う断面図)である。 図1の同III-III線に沿う断面図である。 図1の同IV-IV線に沿う断面図である。 ハウジングと基板の固定構造をスケルトンで示した図である。
符号の説明
10 圧電振動子
11 シム(給電部材)
12 圧電体(圧電体層)
20 圧電ポンプ
21 メインハウジング
21a 基板収納空間
21b 基板挿入開口
21c 上面開放部
21d 基板収納溝
21e 底壁
21f 上壁
21g 傾斜壁
22 アッパハウジング
22a 蓋部
22b 大気流通穴
23 逆止弁ユニット
24 吸入ポート
25 吐出ポート
26 円形凹部
27 Oリング
28 環状狭着部材
29 環状電極(給電部材)
30 吸入流路
31 吐出流路
32 33 逆止弁
40 制御基板(駆動制御基板)
41 電気部品(駆動制御部品)
42 43 給電端子
A 大気室
P 液体ポンプ室
AD 接着剤
s 隙間

Claims (7)

  1. 単一のハウジング内に、表裏の少なくとも一面に液体ポンプ室を形成する圧電振動子と、該圧電振動子に対する給電制御用電気部品を搭載した制御基板とを収納し、上記圧電振動子を振動させることにより液体ポンプ室内に液体を給排してポンプ作用を行わせるドライバ内蔵圧電ポンプであって、
    上記ハウジングに、上記制御基板を収納する基板収納空間を形成し、
    この基板収納空間内に、上記制御基板の一端部が接触する揺動支点部を設け、
    該制御基板の他端部を、基板収納空間内壁に接着剤を介して固定したことを特徴とするドライバ内蔵圧電ポンプ。
  2. 請求項1記載のドライバ内蔵ポンプにおいて、制御基板の周縁と基板収納空間の壁面との間には、上記揺動支点部を除いて、該制御基板のハウジングに対するマクロな相対移動を可能とする隙間が存在し、上記接着剤はこの隙間に介在しているドライバ内蔵圧電ポンプ。
  3. 請求項1または2記載のドライバ内蔵圧電ポンプにおいて、上記基板収納空間は、上記制御基板を板厚と平行な方向に挿脱する基板収納溝を備えており、この基板収納溝の奥部に、制御基板の板厚方向と直交する方向に対して傾斜した、該制御基板と接触して上記揺動支点部となる少なくとも一対の傾斜壁が備えられているドライバ内蔵圧電ポンプ。
  4. 請求項3記載のドライバ内蔵圧電ポンプにおいて、上記制御基板は、挿入方向後端部の両側が、上記基板収納溝内壁に接着されているドライバ内蔵圧電ポンプ。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項記載のドライバ内蔵ポンプにおいて、上記接着剤は、アクリル樹脂系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、シリコーン樹脂系接着剤、ホットメルト接着剤から選ばれた1種であるドライバ内蔵圧電ポンプ。
  6. 請求項3ないし5のいずれか1項記載のドライバ内蔵圧電ポンプにおいて、上記ハウジングは、圧電振動子を収納する円形凹部と上記基板収納溝を含む基板収納空間を有するメインハウジングと、このメインハウジングの円形凹部及び基板収納空間の開放部を閉塞するアッパハウジングとを備えているドライバ内蔵圧電ポンプ。
  7. 請求項3ないし6のいずれか1項記載のドライバ内蔵ポンプにおいて、上記基板収納溝は、上記圧電振動子を収納する円形凹部と少なくとも一部が平面視重複する位置に配置されているドライバ内蔵圧電ポンプ。
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