JP5154235B2 - 水トリー劣化診断方法 - Google Patents

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Description

本発明は、CVケーブル等の試料の水トリー劣化を電気的に診断する水トリー劣化診断方法に関する。
代表的な電力ケーブルである架橋ポリエチレン絶縁電力ケーブル(以下、CVケーブルという)の主な劣化形態は、水トリー(water tree)劣化である。この水トリー劣化は、CVケーブル絶縁体中に存在する水分と電界の作用により発生する絶縁体中の変質であり、この変質が時間の経過と共に増大することにより、CVケーブルの絶縁性能を低下させて絶縁破壊に至る場合がある。この水トリー劣化を診断するための劣化診断技術が検討されている。
例えば、高電圧を発生する変圧器と試料(測定対象)であるCVケーブルとの間に変流器を接続し、更に、標準コンデンサを変流器の変圧器側に接続し、変圧器からCVケーブルに高電圧の交流電圧を印加して、標準コンデンサに流れる電流と、CVケーブルに接続された変流器により検出されたケーブル絶縁体中を流れる電流とを、損失電流測定ブリッジに入力して検出電流中の変位電流成分(容量性電流成分)を除去して損失電流成分のみを抽出し、更に、その損失電流中に含まれる第3高調波成分に基づいてCVケーブルの劣化を診断する劣化診断方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、特許文献1に記載された従来の損失電流測定方法では、高電圧側に設けた変流器はリアクトルを応用しているため、CVケーブル等の試料の静電容量やその他の浮遊容量との組み合わせにより、CVケーブル、変流器を含む検出回路が共振現象を起こし、検出信号の周波数特性が変化して波形歪みを生じる。このため、劣化信号の波形解析に誤差が生じる。更に、静電容量がCVケーブルの試料毎に変化、すなわち試料毎に共振周波数が変化するため、測定条件が試料毎に変わるという問題もある。
このCVケーブル等の試料の静電容量やその他の浮遊容量に左右されない従来の劣化診断方法として、例えば、2チャンネル信号発信器を用い、この2チャンネル信号発信器の出力端に試料の芯線を接続すると共に遮蔽層等の外側導電部と接地間に検出抵抗を接続して試料に電流を流し、更に、2チャンネル信号発信器で作った変位電流と逆位相の信号を試料電流に加算(合成)処理して、試料に流れる電流から変位電流成分を打消すことにより損失電流を検出する損失電流測定装置が知られている(例えば、非特許文献1参照)。
特開2004−354093号公報 平成17年電気学会全国大会2−S10(17〜20頁)
しかし、上記非特許文献1に記載された従来の損失電流測定装置によると、損失電流の測定時に、測定対象のケーブルの商用運転を停止して試料に検出器を接続する必要があるため、商用運転中(活線中)における測定は行えなかった。このため、ケーブルの劣化が判定された場合、診断精度の高い耐電圧法等による測定を改めて実施する必要があり、ケーブルに対して2回の停電作業が必要であった。また、損失電流を測定しているときに侵入する外部ノイズに対して対策を行おうとすると、多大な労力を費やす必要があった。
従って、本発明の目的は、商用運転中におけるケーブルの損失電流の測定が簡便に行えると共に、外部ノイズの影響を低減して診断精度を向上させることが可能な水トリー劣化診断方法を提供することにある。
また、本発明は、上記目的を達成するため、測定対象物に検出抵抗を直列接続して商用電源から課電し、前記検出抵抗に流れる電流が前記検出抵抗の両端に生じさせた電圧を検出信号とし、前記商用電源から取得した課電圧位相情報に基づいて生成(例えば微分処理)した変位電流成分除去用信号をレベル調整した信号を前記検出信号に重畳して前記検出信号中の変位電流成分を除去し、損失電流または前記測定対象物に流れる高調波電流を測定し、前記損失電流または前記高調波電流と前記測定対象物の静電容量とを定期的に測定して経時変化を監視し、前記損失電流または前記高調波電流の増加傾向及び前記静電容量の増加傾向に基づいて水トリー劣化の状態を判定することを特徴とする水トリー劣化診断方法を提供することにある。
本発明の水トリー劣化診断方法によれば、商用運転中におけるケーブルの損失電流の測定が簡便に行えると共に、外部ノイズの影響を低減して診断精度を向上させることができる。
本発明の実施の形態を説明する前に、ケーブル線路のトレンド監視の有効性について説明する。図1は、トレンド監視の有効性の検証に用いた損失電流測定システムの構成を示す。この損失電流測定システム100は、2種類の電圧v1,v2を発生する2チャンネル信号発信器1と、2チャンネル信号発信器1に一次巻線2aが接続された課電トランス2と、課電トランス2の二次巻線2bの高電位端に接続された第1の測定電極3と、CVケーブル等の測定対象物としての試料20を挟んで第1の測定電極3に対向配置された第2の測定電極4と、第2の測定電極4と接地間に接続された検出抵抗(rd)5と、検出抵抗5の両端に一対の入力端が接続された増幅器6と、増幅器6の出力端と接地間に接続された抵抗7と、2チャンネル信号発信器1から出力される電圧v2を増幅する増幅器8と、増幅器8の出力端子と増幅器6の出力端子との間に接続されたキャンセル抵抗(可変抵抗)9と、抵抗7の出力端の波形を観測するオシロスコープ10と、抵抗7の端子電圧を電子データにして記録するデータレコーダ11と、抵抗7の端子電圧を高速フーリエ変換するFFT処理装置12とを備えて構成されている。
2チャンネル信号発信器1は、信号源であり、変位電流除去用の電圧v2(−cosθ)と、課電トランス2に印加する課電用の電圧v1(sinθ)との2チャンネルの信号を、同期をとりながら出力する構成を有する。
増幅器6は、検出抵抗5の両端に生じた電圧を入力信号とし、この入力信号を所定のレベルに差動増幅して出力する差動増幅器である。なお、増幅器6は、外部ノイズの侵入を防止するため、検出抵抗5とともに、できるだけ試料20に近い場所に設置するのが好ましい。
(トレンド監視の有効性の検証)
図1の損失電流測定システム100において、試料20の損失電流を測定する場合、試料20を第2の測定電極4の上面に設置し、二次巻線2bに接続済みの第1の測定電極3を試料20の上面に設置する。
次に、2チャンネル信号発信器1から課電トランス2の一次巻線2aにsinθの電圧v1を課電用として印加し、二次巻線2bに巻線比に応じた高電圧を発生させる。同時に、増幅器8に変位電流除去用の電圧v2(−cosθ)を印加する。
課電トランス2の二次巻線2bに発生した高圧交流電圧は、第1の測定電極3と接地間に印加される。この印加電圧により、試料20の劣化状態に応じた電流iが、第1の測定電極3、試料20、第2の測定電極4及び検出抵抗5を経由して流れ、検出抵抗5に電圧降下が生じる。検出抵抗5に流れる電流iは、試料20の静電容量に流れる変位電流と、試料20の抵抗に流れる損失電流とが合成されたものである。ここで、損失電流は、課電電圧と同位相の基本周波数電流波形である。従って、損失電流を測定するためには、この検出抵抗5を流れる電流iから変位電流を差し引けばよい。
そこで、2チャンネル信号発信器1により、変位電流成分除去用の電圧v2を、キャンセル抵抗9を介して抵抗7に印加し、増幅器6から出力される試料20の変位電流成分を変位電流成分除去用の電圧v2をキャンセル抵抗9で調整した電圧によりキャンセルする。
課電トランス2による課電圧を正弦波と見たとき、試料20の静電容量に流れる変位電流は、余弦波(単に電圧波形の90°進み位相=cosθ)で表現される。このため、余弦波に相当するキャンセル信号Scのレベルを変えて、検出抵抗5の電流から差し引けばよい。このとき、抵抗7に印加するキャンセル信号Scのレベル調整は、「検出抵抗電流−変位電流」波形の位相が課電圧波形に一致するようにする。この調整により得られた差分波形が、損失電流波形になる。
試料20の静電容量を流れる変位電流のレベルは、キャンセル信号Scのレベルに一致する。このため、静電容量は、キャンセル抵抗9の値に反比例して変化する。即ち、キャンセル抵抗9が大きくなると、キャンセル信号Scが小さくなる。換言すれば、静電容量が小さくなると変位電流も小さくなる。従って、キャンセル抵抗9の値を把握すれば、試料20の静電容量も把握できることになる。
抵抗7に生じた損失電流の波形は、オシロスコープ10によって測定者により観測され、また、データレコーダ11によりデータが保存される。更に、FFT処理装置12によりトレンド監視(管理)に必要な解析処理が実施される。
(課電試験の検証)
図2は、課電周波数を500Hzとした加速劣化試験における損失電流の経時変化を示す。また、図3は、キャンセル抵抗の値から求めた静電容量の経時変化を示す。図2から明らかなように、損失電流は24日目頃から急増しており、劣化の進行している様子が分かる。これに対して、静電容量は、図3から明らかなように、課電開始3日目までは急激に変化しているものの、その後の増加量は、小さくなっていることが分かる。
図4は、損失電流の経時変化を35日目から49日目まで4時間毎に記録した結果である。図4から明らかなように、劣化信号レベルには日間変化が見られる。また、図2においても、測定日によって、前後日のデータと大きく変化している場合が見受けられる。以上から、1回の測定結果から劣化を判定するよりも、トレンド管理をした方が、より正確な劣化診断(劣化判定)が可能になることがわかる。
(水トリー劣化の評価)
図5は、試料内部の水トリー発生状況を試料の静電容量及び損失電流に対応させて示したものである。例えば、未劣化若しくは軽劣化試料の場合、損失電流、静電容量共に小さい値である。これに対して、長大な水トリーが存在した場合や水トリーが数多く存在した場合には、損失電流の増加が見られる。しかし、損失電流のレベルだけでは、水トリーが大きいのか多いのかを判断できない。そこで、静電容量の情報を付加する。
なお、静電容量(C)は、下記式(1)により求めることができる。
変位電流(=変位電流除去信号)は、[変位電流=2π×課電周波数×静電容量×課電電圧]で表される。従って、静電容量(C)は、
C=変位電流/(2π×課電周波数×課電電圧)・・・式(1)となる。
静電容量は、理論上、試料20の電極面積が同じ場合、誘電率と絶縁厚さに依存する。例えば、短い水トリーが数多く発生すれば、見掛けの絶縁厚さが薄くなったと見なされ、静電容量が増大することになる。一方、長い水トリーが少数発生した場合、絶縁体の厚みの薄い部分の電極面積が小さいため、静電容量の増加量は前者に比べて小さくなる。このような考えをもとに、同じ損失電流であれば、静電容量の増加量が小さいほど危険な水トリーと判断できる。また、同じ静電容量であれば、損失電流が大きいほど危険な水トリーと判断できる。
例えば、図5において、Aは試料20が未(軽)劣化の特性域、Bは長大な水トリーが局部的に発生したときの特性域、Cは長めの水トリーが少数発生したときの特性域、Dは短小の水トリーが多数発生したときの特性域、Eは長めの水トリーが多数発生したときの特性域、Fは長めの水トリーが多数発生し且つ長大な水トリーが局部的に発生したときの特性域である。
また、静電容量と損失電流の関係で言えば、Aの特性域(判定域)は静電容量及び損失電流が共に小さい場合であり、Bの特性域は損失電流が大きく静電容量が小さい場合であり、Cの特性域はBの特性域に比べて損失電流が小さく静電容量が大きい場合であり、Dの特性域はCの特性域に比べて損失電流が小さく静電容量が大きい場合であり、Eの特性域は損失電流がBの特性域とCの特性域との間にあり且つ静電容量がDの特性域より大きい場合であり、Fの特性域は静電容量がDの特性域より大きく且つ損失電流がBの特性域より大きい場合である。
以上から、測定結果が、EやFの特性域になった場合を「重大欠陥有り」として判定することができる。このような判定は、予め損失電流及び静電容量の各値に対して段階的に設定値(損失電流と前記測定対象物の静電容量の比)を設けておき、それぞれの設定値を損失電流及び静電容量の測定値の比が超えたときに、図5及び表1の分類に従って実施する。
Figure 0005154235
表1は、図5に基づいて水トリー劣化を評価した結果を示す。破壊電圧若しくは水トリー長の関係を記録及び蓄積し、この結果を表1及び図5に照らし合わせることにより、残存破壊電圧や残存絶縁厚さの推定が可能になる。
なお、図5では、損失電流及び静電容量を絶対値としているが、これを初期値からの変化量(率)としてデータ整理して、残存破壊電圧や残存絶縁厚さを推定する方法、或いは、図6に示すように、損失電流と静電容量の変化の推移から水トリー劣化を判定することも可能である。
図6は、ケーブルにおける損失電流と静電容量の関係を示す。図6は、試料1,2,3の3つの試料における損失電流−静電容量特性を示しており、それぞれの試料は、共に、損失電流が静電容量に比例することがわかる。例えば、試料3は静電容量2.0を超えるレベルから急激に損失電流が増えている。この特性変化から、水トリー劣化を判定することができる。
なお、図1に示した構成は、2チャンネル信号発信器1を信号源に用いているため、商用運転で活線状態にある試料20の損失電流を測定することができない。そこで、商用運転で測定が可能な実施の形態について、以下に説明する。
[実施の形態]
(損失電流測定装置の構成)
図7は、本発明の実施の形態に係る損失電流測定装置の構成を示す。この損失電流測定装置200は、商用電源線30及び上記試料(CVケーブル)20に接続されて損失電流を測定する信号検出部40と、計器用変圧器50に接続された微分器60と、微分器60及び信号検出部40に接続されて変位電流をキャンセルする容量性電流キャンセル部70とを備えて構成されている。信号検出部40の出力端と容量性電流キャンセル部70の入力端とは、光ファイバ90によって接続されている。また、損失電流測定装置200には、モニタ80が接続されている。
微分器60は、商用電源線30による線路に設置された計器用変圧器(PT)50から課電圧の電圧位相情報を取り込み、微分処理して変位電流成分キャンセル用信号を生成する回路構成を有する。
モニタ80は、例えば、観測波形を画面に表示するLCD(液晶表示器)等のディスプレイを備えて構成され、更に、損失電流測定装置200からの信号を観測及び処理する手段、例えば、データ蓄積手段、損失電流をFFTにより処理する手段等を備えている。
(信号検出部の構成)
信号検出部40は、商用電源線30に接続された高電位端Hと試料20の芯線に接続された低電位端Lの間に直列接続された検出抵抗41と、この検出抵抗41に並列接続された開閉器42と、高電位端H及び低電位端Lに一対の入力端が接続された増幅器43と、増幅器43の出力端に接続されたE/O変換器44と、増幅器43及びE/O変換器44の電子回路部に電源を供給するバッテリー等からなるDC電源部45とを備える。
検出抵抗41は、検出抵抗41及び試料20に流れる電流iによって所定の電圧降下が得られる抵抗値に設定される。
開閉器42は、検出抵抗41に大きな負荷電流(検出電流)が流れたときに検出抵抗41が発熱するのを防止できるように、また、非測定時に検出抵抗41が線路にとって負荷とならないように、自動的に或いは手動により検出抵抗41を短絡できるように構成されている。
増幅器43は、検出抵抗41の両端に生じた電圧を入力信号とし、この入力信号を所定のレベルに増幅して検出信号として出力する差動増幅器の構成を有する。
E/O変換器44は、増幅器43の出力信号(検出信号)を電気信号から光信号に変換し、この光信号を光ファイバ90へ出力する回路構成を有する。
(容量性電流キャンセル部の構成)
容量性電流キャンセル部70は、E/O変換器44からの光信号を電気信号に変換するO/E変換器71と、微分器60の出力信号を調整して出力するキャンセル抵抗(可変抵抗)72と、O/E変換器71の出力端に一方の入力端が接続され、キャンセル抵抗72の出力端に他方の入力端が接続された増幅器73と、増幅器73の他方の入力端と接地間に接続された抵抗74とを備えて構成されている。容量性電流キャンセル部70は、光ファイバ90を介して信号検出部40から信号を受信しているため、電気ノイズの影響を受けにくくなっている。
(損失電流測定方法)
次に、図7の損失電流測定装置の動作について説明する。図7において、損失電流測定を行うときには、測定者等により開閉器42を“開”にし、商用電源線30から、交流電圧v1を検出抵抗41に印加する。交流電圧v1の印加により、試料20の劣化状態に応じた電流iが、商用電源線30〜検出抵抗41〜試料20の芯線〜試料20の遮蔽層等の外側導電部〜商用電源線30を経由する通電ループLで流れ、検出抵抗41に電圧降下が生じる。検出抵抗41の両端に生じた電圧は、増幅器43によって増幅されて検出信号として出力された後、その増幅出力(検出信号)がE/O変換器44によって光信号に変換され、光ファイバ90へ出力される。
容量性電流キャンセル部70では、信号検出部40のE/O変換器44からの光信号を光ファイバ90を介してO/E変換器71により受信して電気信号に変換し、これを検出信号Sdとして抵抗74に印加する。同時に、容量性電流キャンセル部70は、キャンセル抵抗72を介して微分器60からの交流電圧v2を取り込み、抵抗74に印加する。
微分器60により計器用変圧器50の出力電圧(課電圧位相情報)を微分する理由は、仮に課電圧波形に高調波成分や気中コロナパルスなどが重畳している場合、変位電流成分も高調波成分やパルス信号を含むことになるため、課電圧波形を微分すれば、実際に則した変位電流のキャンセル信号が得られることにある。従って、微分器60による出力信号を用いることにより、変位電流のキャンセルと同時に、これらノイズの除去も同時に行うことができる。
計器用変圧器50から出力される交流電圧v2は、静電容量の変位電流成分を除去するための負極性弦波(−sinθ)であり、この交流電圧v2は微分器60で−cosθに位相変換され、続いてキャンセル抵抗72により出力調整されてキャンセル信号Sc(−cosθ)となり、増幅器73の入力端に印加される。増幅器73は、O/E変換器71からの検出信号Sd(cosθ+sinθ)にキャンセル信号Sc(−cosθ)に重畳して変位電流成分(cosθ)のみをキャンセルし、損失電流基本波及び高調波分を出力する。この損失電流成分の信号は、モニタ80及び図示を省略しているデータレコーダへ出力され、表示及び記録が行われる。なお、キャンセル抵抗72による出力調整は、容量性電流キャンセル部70の出力をモニタ80で観測しながら、変位電流波形のピーク位相(正弦波のゼロクロス位置)が0になるようにすればよい。
上記(1)式で示したように、静電容量Cは、C=変位電流/(2π×課電周波数×課電電圧)により算出することができる。変位電流の大きさはバランスが取れた時のキャンセル信号Scと同じであるから、課電周波数及び試料20への印加電圧(課電電圧)、及びキャンセル信号の大きさから容易に静電容量Cを算出することができる。
モニタ80及びデータレコーダでは、図2〜図4に示したように各種の経時変化を観測及び記録することにより損失電流及び静電容量のデータとして蓄積し、このデータに基づいて、図5及び表1に示したようにしてトレンド監視を実行する。なお、各回の測定においては、測定終了後、開閉器42を“閉”にし、負荷への課電が行えるようする。
(第1の実施の形態の効果)
第1の実施の形態によれば、次の効果を奏する。
(イ)検出抵抗41を試料20と商用電源線30の間に接続し、試料20の外側導電部を接地できる構成にし、かつ、損失電流の測定時には検出抵抗41を開閉器42で試料20の芯線に接続できるようにしたため、活線状態において頻繁に損失電流の測定が行えるようになり、トレンド(傾向)監視が可能になる。
これに対して、従来の測定方法は、頻繁な測定や、定期的に同じ条件(気象条件や気温など)で測定することが困難なため、測定値の単純比較だけでは水トリー劣化以外の要因による誤差を把握できず、測定値の変化が明確に表れなければ劣化診断を行うことができない。
(ロ)計器用変圧器50からの課電圧位相情報を微分した信号により変位電流成分をキャンセルさせるため、高調波成分、気中コロナパルス等が商用電源に混入していて電圧波形に歪みが生じた場合でも、それに則した変位電流キャンセル信号を得ることができる。この結果、変位電流のキャンセルと同時に、高調波成分や気中コロナパルス等のノイズを除去することができる。
(ハ)損失電流値と試料の静電容量値が把握できるため、これら2値若しくはこれら2値の増加傾向から試料内部の水トリーの状況を、図5及び表1のように推定することができる。これにより、試料20の余寿命を推定する基礎データを得ることができる。
(ニ)本実施の形態を1次スクリーニングとして活用すれば、活線状態で随時線路の状態監視ができ、更に、劣化の兆候のある線路にのみ信頼性の高い耐電圧法による2次スクリーニングを行えば、1度の停止作業で信頼度の高い劣化診断(劣化判定)を行うことができる。
[他の実施の形態]
なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想を逸脱あるいは変更しない範囲内で種々な変形が可能である。
例えば、測定対象を損失電流に代えて、或いは、損失電流と共に高調波電流を測定するようにしてもよい。これにより、損失電流(=課電電圧と同位相の基本周波数電流)値からマクロ的な劣化状況を把握でき、また、高調波電流(試料20に流れる全電流に含まれる高調波電流成分)から局部劣化状況を把握することができる。このとき、課電電圧上の高調波電流は、増幅器73において、微分器60及びキャンセル抵抗72からのキャンセル信号Scによりキャンセルされるが、試料20で発生した高調波成分は、損失電流成分と共にO/E変換器71及び増幅器73を介してモニタ80に出力され、これにより局部的な劣化状況を把握することができる。
また、高調波やパルス信号をキャンセルし、変位電流についてはキャンセルしない構成も可能であり、この場合には、微分器60からは高調波やパルス信号をキャンセルに対応したキャンセル信号Scのみを出力すればよい。したがって、例えば、キャンセル信号Scとして予想される高調波やパルス信号の周波数域をバンドパスフィルタ等で抽出し、その逆位相の波形をキャンセル信号Scとして用いることも可能である。
また、耐電圧試験法の際に、本発明の実施の形態に係る損失電流測定を組合せれば、商用運転電界よりも高電界下での劣化信号の有無が判断できるため、通常の耐電圧法よりも更に信頼性の高い診断が可能になる。
トレンド監視の有効性の検証に用いた損失電流測定システムの構成を示す回路図である。 課電周波数を500Hzとした加速劣化試験における損失電流の経時変化を示す特性図である。 キャンセル抵抗の値から求めた静電容量の経時変化を示す特性図である。 損失電流の経時変化を所定時間毎に記録した結果を示す特性図である。 試料内部の水トリー発生状況を試料静電容量及び損失電流に対応させて示した説明図である。 ケーブルにおける損失電流と静電容量の関係を示す特性図である。 本発明の実施の形態に係る損失電流測定装置の構成を示す回路図である。
符号の説明
1 2チャンネル信号発信器
2 課電トランス
2a 一次巻線
2b 二次巻線
3 第1の測定電極
4 第2の測定電極
5 検出抵抗
6 増幅器
7 抵抗
8 増幅器
9 キャンセル抵抗
10 オシロスコープ
11 データレコーダ
12 FFT処理装置
20 試料
30 商用電源線
40 信号検出部
41 検出抵抗
42 開閉器
43 増幅器
44 E/O変換器
45 DC電源部
50 計器用変圧器(PT)
60 微分器
70 容量性電流キャンセル部
71 O/E変換器
72 キャンセル抵抗
73 増幅器
74 抵抗
80 モニタ
90 光ファイバ
100 損失電流測定システム
200 損失電流測定装置

Claims (2)

  1. 測定対象物に検出抵抗を直列接続して商用電源から課電し、
    前記検出抵抗に流れる電流が前記検出抵抗の両端に生じさせた電圧を検出信号とし、
    前記商用電源から取得した課電圧位相情報に基づいて生成した変位電流成分除去用信号をレベル調整した信号を前記検出信号に重畳して前記検出信号中の変位電流成分を除去し、損失電流または前記測定対象物に流れる高調波電流を測定し、
    前記損失電流または前記高調波電流と前記測定対象物の静電容量とを定期的に測定して経時変化を監視し、前記損失電流または前記高調波電流の増加傾向及び前記静電容量の増加傾向に基づいて水トリー劣化の状態を判定することを特徴とする水トリー劣化診断方法。
  2. 前記静電容量は、前記変位電流成分除去用信号と前記商用電源からの課電電圧とに基づいて算出することを特徴とする請求項に記載の水トリー劣化診断方法。
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