以下、本発明の実施の形態に係るLポケット付きボトムズについて、図面を参照しつつ説明する。なお、実施の形態及び参考例において、実施の形態及び参考例の部分と同一の記号及び同一の符号は、実施の形態または参考例と同一または相当する機能部分を意味し、実施の形態及び参考例相互の同一の記号及び同一の符号は、それら実施の形態に共通する機能部分であるから、ここでは重複する詳細な説明を省略する。
参考例1
まず、本発明の参考例1に係るLポケット付きボトムズについて、図1乃至図6を参照して説明する。
図1(a)は本発明の参考例1に係るLポケット付きボトムズとしての綿パンの全体構造を示す正面図、(b)はその綿パンの左Lポケットとその近傍のウエスト周りが縮んだ状態を示す部分拡大図、(c)はウエスト周りが伸びた状態を示す部分拡大図である。図2(a),(b),(c)は本発明の参考例1に係るLポケット付きボトムズの要部裏面の縫製途中の構成を示す部品展開図である。図3(a),(b)は本発明の参考例1に係るLポケット付きボトムズの縫製が完成した状態の裏側を示す部分拡大図である。
図4(a),(b),(c),(d),(e),(f)は本発明の参考例1に係るLポケット付きボトムズの左Lポケットの外縁の伸縮構造の作製手順を表側から見て示す説明図である。図5(a),(b)は本発明の参考例1の第1変形例に係るLポケット付きボトムズの要部裏面の縫製途中の構成を示す部品展開図、(c)は本発明の参考例1の第1変形例に係るLポケット付きボトムズの縫製が完成した状態の裏側を示す部分拡大図である。図6(a),(b),(c)は本発明の参考例1の第2変形例,第3変形例,第4変形例に係るLポケット付きボトムズの縫製が完成した状態の裏側を示す部分拡大図である。
図1(a)に示されるように、参考例1に係るLポケット付きボトムズとしての綿パン1は、前身頃4のベルト部3の近傍に左右1対のLポケット2を有しており、これらのLポケット2のポケット口外縁2Aの前中心FCよりの部分(外縁2Aの上部)の近傍に、ベルト部3の見掛け上の長さを伸縮自在としたウエスト周り伸縮自在構造を有している。
すなわち、後で詳細に説明するように、ベルト部3には左右1対のLポケット2のポケット口外縁2Aの近傍に、収容部3Aとその収容部3A内に挿入される延出部3Bからなる重ね合せ部が形成されており、延出部3Bの先端と収容部3Aとが収容部3A内において主弾性材としてのゴムテープで接続されることによって、ベルト部3の見掛け上の長さを伸縮自在としている。
これによって、ベルト部3に引っ張り力が掛かっていない場合には、図1(b)に示されるようにLポケット2の外縁2Aの上部が収容部3Aの端と一致しており、ベルト部3に引っ張り力が掛かってウエスト周りが伸びると、図1(c)に示されるようにLポケット2の外縁2Aの上部も延出部3Bと一体に移動する。また、Lポケット2の袋布が表側から見えないようにするために、前身頃4と共地の綿生地からなる当て布9が左右1対のLポケット2の外側に縫付けられている。
なお、図1(b),(c)に示されるように、収容部3A及び延出部3Bの上下端にはベルト布ステッチ3a,3bが施されている。ジーンズ(Gパン)、綿パンを始めとするカジュアルなボトムズにおいては、このようなベルト布ステッチ3a,3bを施すのが一般的であるが、Lポケット付きボトムズにおいてもドレス調の婦人用のボトムズではベルト布ステッチを施さない場合もある。以下の各図においては、図を見易くするため、一部の図を除いてベルト布ステッチの図示を省略する。
次に、ウエスト周り伸縮自在構造について、図2を参照して説明する。図2は左側のLポケット2の近傍を綿パン1の裏側から見て示したものである。図2(a)に示されるように、収容部3Aを構成するベルト布3Aaは綿パン1の前身頃4と共地の綿生地であり、延出部3Bを構成するベルト布3Baも綿パン1の前身頃4と共地の綿生地である。図2(a)に示されるように、収容部3A及び延出部3B内には、芯材としてのソフト芯SC及びハード芯HCが、アイロンプレスによって貼り付けられている。
ここで、図2(a),(b)に示されるように、収容部3Aの端3Abは表裏ともベルト部3の長手方向に対して略垂直であり、収容部3Aの裏側の端からLポケット2の袋布5の前中心FCよりの端までの間に亘って、延出部3Bの内部に長方形の伸縮性を有しない生地6の上端が縫付けられて、伸縮性を有しない生地6の下端がベルト部3の下端に縫付けられる。また、収容部3Aを構成するベルト布3Aaの開口部近傍の内側には、延出部3Bの滑りを良くするために、伸縮性を有しない生地としてのポリエステル系生地からなる接着布13が、ソフト芯SC及びハード芯HCの上からアイロンプレスによって貼り付けられている。
これら延出部3Bの先端と収容部3Aの内側とが、収容部3Aの内部において主弾性材としての幅の広いゴムテープ10によって接続されている。更に、ゴムテープ10には伸縮性のない生地からなる帯状の伸び止め材11が縫付けられており、ゴムテープ10に引っ張り力が掛かっても、この伸び止め材11が折り畳まれている長さまでしか伸びることができない。
すなわち、伸び止め材11によって、ゴムテープ10の最大伸び長さが規定されている。これによって、ゴムテープ10が過度に伸びるのを防止して、ゴムテープ10が長持ちするようにしている。参考例1に係るLポケット付きボトムズとしての綿パン1においては、伸び止め材11の折り畳み部分の長さを約2cmとして、ウエスト周りの伸縮長さを約2cmとしている。
また、図2(c)に示されるように、Lポケット2の袋布5の上端と延出部3Bの下端とを補助弾性材としての幅の細いゴムテープ12で接続しており、これによってウエスト周り伸縮自在構造によって延出部3Bが移動する際にLポケット2の袋布5の形状が崩れたりして見栄えが悪くなるのを防ぐ働きをしている。更に、図2(c)に破線で示されるように、Lポケット2の袋布5の表側には、想像線で示されるLポケット2の外縁2Aの外側に袋布5の生地が見えるのを防ぐために、綿パン1の前身頃4と共地の綿生地からなる当て布9が当て布ステッチ9aによって縫付けられている。
このような構造を有する収容部3Aを輪にして下端で閉じるとともに、図2(b)に示されるように、収容部3Aの下端にLポケット2の袋布5の側を縫付け、延出部3Bを閉じるとともに延出部3Bの下端にLポケット2の外縁2Aを形成する綿パン1の前身頃4の側を縫付ける。
図3(a)に示されるように、このようにして縫製が完成した参考例1に係るLポケット付きボトムズとしての綿パン1は、収容部3Aの表裏の端3Abがベルト部3の長手方向に対して略垂直であるため、全ての縫製作業をミシン縫いで行うことができ、量産性を確保することができる。
また、延出部3Bの内部に長方形の伸縮性を有しない生地6の上端が縫付けられて、伸縮性を有しない生地6の下端がベルト部3の下端に縫付けられているために、図3(b)に示されるように、着用者等が興味本位で延出部3Bの下端をめくっても伸縮性を有しない生地6の一部が見えるだけで、ゴムテープ10,伸び止め材11等の内部構造は見えないため、着用者等が内部構造を引き出して伸縮自在構造を壊してしまうという事態も確実に防止することができる。
更に、参考例1に係るLポケット付きボトムズとしての綿パン1においては、ウエスト周り伸縮自在構造によってウエスト周りが伸びて延出部3Bが収容部3Aから抜き出される方向に移動する際に、Lポケット2の周囲にシワ等を生ずることなくLポケット2の外縁2Aが滑らかに変形する。これは、Lポケット2の外縁2Aが伸縮性を有しているからである。このLポケット2の外縁2Aに伸縮性を持たせる縫製方法について、図4を参照して説明する。図4(a),…,(f)は、全て左側のLポケット2を表側から見て縫製の手順を示したものである。
まず、図4(a)に示されるように、綿パン1の前身頃4の表側にLポケット2の外縁2Aの形状に合わせて裁断した袋布の生地5を、地縫い7によって縫付ける。次に、図4(b)に示されるように、外縁2Aの上部2Aaを略垂直に立てながら外縁2Aの中央部2Abを長さ方向に縮めた状態として、この状態で外縁中央部2Abの上からスチームアイロンを掛けて圧縮してプレスする。これによって、縮めた状態とした外縁中央部2Abのシワは綺麗に潰れて、図4(c)に示されるように滑らかな曲線となる。
この上から、図4(c)に示されるように、伸縮性を有する生地としての帯状のパワーネット8を、地縫い7の縫い目に沿って縫付ける。そして、図4(d)に示されるように、帯状のパワーネット8の縁に沿って外側の余った部分を切り取り、図4(e)に示されるように袋布5を地縫い7の部分で折り返して、袋布5を向こう側、すなわち綿パン1の裏側にひっくり返す。そして、図4(f)に示されるように新しいLポケット2の外縁2Aに沿ってダブルステッチ2aを掛けることによって、外縁中央部2Abが伸縮自在なLポケット2の構造が完成する。
なお、参考例1においては、地縫い7を縫い易くするために地縫い7の外縁2Aからの縫代を1.0cmと大きく取ったので、図4(d)に示されるように、帯状のパワーネット7の縁に沿って外側の余った部分を切り落とす工程が必要になっているが、最初から地縫い7の外縁2Aからの縫代を0.5cmと小さくしておけば、外側の余った部分を切り落とす工程が不要になるので、この方法によっても良い。
このように、参考例1に係るLポケット付きボトムズとしての綿パン1においては、ウエスト周り伸縮自在構造を構成する延出部3Bと収容部3Aの重ね合せ部がLポケット2の前中心FCよりの外縁2Aの近傍に位置するため、収容部3Aの端がLポケット2の前中心FCよりの外縁2Aとスムーズにつながるような外見となり、収容部3Aの端を隠さなくとも美観を損なうことがない。
また、外縁中央部2Abを長さ方向に縮めた状態で裏側からスチームアイロンによりプレスして、その上から伸縮性を有する生地としての帯状のパワーネット8を縫付けてあるため、ウエスト周り伸縮自在構造によってウエスト周りが伸びて延出部3Bが収容部3Aから抜き出される方向に移動する際に、Lポケット2の外縁上部2Aaも前中心FC方向に引っ張られるが、外縁中央部2Abが上述したように伸縮自在の構造になっているため滑らかに伸びて追従し、Lポケット2の周辺に従来のようなシワがよったりして見栄えを損ねることもない。
そして、ウエスト周りを伸ばそうとする力が解除されると、延出部3Bと収容部3Aとの間に両端が接続された主弾性材としてのゴムテープ10によって再び延出部3Bが収容部3A内に収容される方向に移動するが、この際にもLポケット2の外縁中央部2Abが伸縮自在の構造になっているため滑らかに縮んで追従し、綺麗にもとの状態に復帰する。このように、参考例1に係るLポケット付きボトムズとしての綿パン1においては、従来不可能とされてきたLポケット付きボトムズにウエスト周り伸縮自在構造を付加することを、簡単な構造によって可能としたものである。
このようにして、参考例1に係るLポケット付きボトムズとしての綿パン1においては、量産性を損なうことなく、見栄え・美観を良好に保ちつつLポケットの前中心よりの側に延出部と収容部の境界線を位置させてウエストサイズを伸縮自在とすることができる。
次に、参考例1の第1変形例に係るLポケット付きボトムズとしての綿パン1Aについて、図5を参照して説明する。参考例1の第1変形例に係る綿パン1Aの基本的な構造は上述した参考例1に係る綿パン1と同様であるので、同一の部分には同一の符号を付して説明を省略する。
図5(a),(b)に示されるように、第1変形例に係る綿パン1Aが綿パン1と異なるのは、延出部3Bの内部に伸縮性を有しない生地6を縫付ける代わりに、延出部の折り返し部分の内部に両面接着芯14を挟んでアイロンでプレスして延出部3Bの折り返し部分を接着した点である。このようにして縫製されるLポケット付きボトムズとしての綿パン1Aは、収容部3Aの表裏の端3Abがベルト部3の長手方向に対して略垂直であるため、全ての縫製作業をミシン縫いで行うことができ、量産性を確保することができる。
また、延出部3Bの内部に両面接着芯14を挟んでアイロンでプレスして延出部3Bの折り返し部分を接着したために、図5(c)に示されるように、着用者等が興味本位で延出部3Bの下端をめくっても袋布5の上端が見えるだけで、ゴムテープ10,伸び止め材11等の内部構造は見えないため、着用者等が内部構造を引き出して伸縮自在構造を壊してしまうという事態も確実に防止することができる。
このようにして、参考例1の第1変形例に係るLポケット付きボトムズとしての綿パン1Aにおいては、量産性を損なうことなく、見栄え・美観を良好に保ちつつLポケットの前中心よりの側に延出部と収容部の境界線を位置させてウエストサイズを伸縮自在とすることができる。
次に、参考例1の第2変形例乃至第4変形例に係るLポケット付きボトムズとしての綿パンについて、図6を参照して説明する。参考例1の第2変形例乃至第4変形例に係る綿パンの基本的な構造は上述した参考例1に係る綿パン1と同様であるので、同一の部分には同一の符号を付して説明を省略する。すなわち、図6(a),(b),(c)に示されるように、第2変形例乃至第4変形例に係る綿パン1B,1C,1Dにおいても、延出部3Bの内部に伸縮性を有しない生地6が縫付けられている。
第2変形例乃至第4変形例に係る綿パン1B,1C,1Dが綿パン1と異なるのは、Lポケット2の袋布5の上端の始末の仕方のみである。すなわち、図6(a)に示されるように、参考例1の第2変形例に係る綿パン1Bにおいては、Lポケット2の袋布5の前中心FC側の折り返し部分5aの上部に切り込みを入れる等によって分割部分を設けて、袋布5の上下方向にパイピング5dを施すとともに、袋布5の上端にもパイピング5cを施している。
これによって、延出部3Bの移動に伴ってパイピング5dを施した分割部分が開いて、袋布5が捩れてLポケット2の周辺にシワがよったりして見栄えが損なわれるのを防止するとともに、袋布5の上端にもパイピング5cを施すことによって、延出部3Bが移動する際の抵抗が少なくなってスムーズにウエスト周りが伸び、更に袋布5の上端が補強されるとともに、綿パン1Bが商品として陳列されている際の裏側の見栄えをも向上させることができる。
また、図6(b)に示されるように、参考例1の第3変形例に係る綿パン1Cにおいては、袋布5の上端を袋布5の生地を裁断したままの裁ち切り5bとしている。これによって、綿パン1Cの縫製工程が簡略化されて、低コストで製造することができる。更に、図6(c)に示されるように、参考例1の第4変形例に係る綿パン1Dにおいては、袋布5の上端をロック始末5eとしている。これによって、縫製工程を複雑にすることなく、裁ち切り5bの場合よりは袋布5の上端を補強することができる。
なお、参考例1の第2変形例乃至第4変形例に係るLポケット付きボトムズとしての綿パン1B,1C,1Dにおいては、綿パン1と同様に延出部3Bの内部に伸縮性を有しない生地6を縫付けているが、その代わりに、参考例1の第1変形例に係る綿パン1Aと同様に、延出部3Bの内部に両面接着芯14を挟んでアイロンプレスすることによって、延出部3Bを接着する構成とすることもできる。
また、参考例1においては、Lポケット2の袋布5の表側に綿パン1,1A,1B,1C,1Dの前身頃4と共地の綿生地からなる当て布9を縫付けているが、前身頃4の素材や厚さによってはLポケット2の袋布5自体を前身頃4と共地の綿生地から構成しても良い。
参考例2
次に、本発明の参考例2に係るLポケット付きボトムズについて、図7を参照して説明する。図7(a)は本発明の参考例2に係るLポケット付きボトムズとしての綿パンの左Lポケットとその近傍のウエスト周りが縮んだ状態を示す部分拡大図、(b)はウエスト周りが伸びた状態を示す部分拡大図、(c),(d)は左Lポケットの外縁の伸縮構造の作製手順を表側から見て示す説明図、(e)は本発明の参考例2の変形例に係る綿パンの左Lポケットの外縁の伸縮構造を表側から見て示す説明図である。
参考例2に係るLポケット付きボトムズとしての綿パン16は、参考例1に係るLポケット付きボトムズとしての綿パン1と同様に、前身頃のベルト部の近傍に左右1対のLポケット17を有しており、これらのLポケット17のポケット口外縁17Aの前中心FCよりの部分(外縁17Aの上部)の近傍に、ベルト部3の見掛け上の長さを伸縮自在としたウエスト周り伸縮自在構造を有している。
すなわち、参考例1と同様に、ベルト部3には左右1対のLポケット17のポケット口外縁17Aの近傍に、収容部3Aとその収容部3A内に挿入される延出部3Bからなる重ね合せ部が形成されており、延出部3Bの先端と収容部3Aとが収容部3A内において主弾性材としてのゴムテープ10で接続されることによって、ベルト部3の見掛け上の長さを伸縮自在としている。
また、収容部3Aの端部が表裏ともベルト部3の長手方向に対して略垂直になっている点や、延出部3Bの内部に伸縮性を有しない生地6を縫付けた点、更にはLポケット17の袋布5の上端と延出部3Bの下端とを補助弾性材としての幅の細いゴムテープ12で接続している点、ゴムテープ10には伸縮性のない生地からなる帯状の伸び止め材11が縫付けられている点等についても、参考例1に係る綿パン1と同様である。
これによって、ベルト部3に引っ張り力が掛かっていない場合には、図7(a)に示されるようにLポケット17の外縁17Aの上部が収容部3Aの端と一致しており、ベルト部3に引っ張り力が掛かってウエスト周りが伸びると、図7(b)に示されるようにLポケット17の外縁17Aの上部も延出部3Bと一体に移動して、Lポケット17の周囲にシワ等を生ずることなくLポケット17の外縁17Aが滑らかに変形する。これは、Lポケット17の外縁17Aが伸縮性を有しているからである。
このLポケット17の外縁17Aに伸縮性を持たせる縫製方法について、図7(c),(d)を参照して説明する。まず、図7(c)に示されるように、綿パン16の前身頃4の表側にLポケット17の外縁17Aの形状に合わせて裁断した袋布の生地5を、地縫い18によって縫付け、次に外縁17Aの中央部に切欠き17Bを設ける。そして、図7(d)に示されるように、外縁17Aの上部を略垂直に立てながら外縁中央部の切欠き17Bを縮めた状態として、この状態で外縁中央部の上から伸縮性を有する生地としての帯状のパワーネット19を、地縫い18の縫い目に沿って縫付ける。
なお、参考例2においては、地縫い18の縫代を最初から0.5cmと小さく取ったため、参考例1のように外縁17Aの縁を切り落とす作業の必要がなくなるが、参考例1と同様に地縫い18の縫代を1.0cm取っておいて、帯状のパワーネット19を縫付けた後に外縁17Aの縁を切り落とす方法を採っても良い。
後は、参考例1の図4(e)に示されるのと同様に、袋布5を地縫い18の部分で折り返して、袋布5を向こう側、すなわち綿パン16の裏側にひっくり返す。そして、図4(f)に示されるように新しいLポケット17の外縁17Aに沿ってダブルステッチ2aを掛けることによって、外縁中央部が伸縮自在なLポケット17の構造が完成する。
このように、参考例2においては、外縁17Aの中央部に切欠き17Bを設けることによって外縁17Aの中央部が伸縮自在なLポケット17としているため、参考例1のようにスチームアイロンでプレスする工程を省くことができ、より容易に短時間でLポケット17の外縁17Aに伸縮性を持たせることができる。なお、切欠き17Bは1つに限られるものではなく、図7(e)に示されるように、3ヵ所に切欠き17Bを設けてこれら3ヵ所の切欠き17Bを縮めた状態として、この状態で外縁中央部の上から伸縮性を有する生地としての帯状のパワーネット19を、地縫い18の縫い目に沿って縫付けることもできる。
これによって、ウエスト周り伸縮自在構造によってウエスト周りが伸びて延出部3Bが収容部3Aから抜き出される方向に移動する際に、Lポケット17の外縁上部17Aも前中心FC方向に引っ張られるが、外縁中央部17Aが上述したように伸縮自在の構造になっているため滑らかに伸びて追従し、Lポケット17の周辺に従来のようなシワがよったりして見栄えを損ねることもない。
そして、ウエスト周りを伸ばそうとする力が解除されると、延出部3Bと収容部3Aとの間に両端が接続された主弾性材としてのゴムテープ10によって再び延出部3Bが収容部3A内に収容される方向に移動するが、この際にもLポケット17の外縁中央部17Aが伸縮自在の構造になっているため滑らかに縮んで追従し、綺麗にもとの状態に復帰する。このように、参考例2に係るLポケット付きボトムズとしての綿パン16においては、従来不可能とされてきたLポケット付きボトムズにウエスト周り伸縮自在構造を付加することを、簡単な構造によって可能としたものである。
このようにして、参考例2に係るLポケット付きボトムズとしての綿パン16においては、量産性を損なうことなく、見栄え・美観を良好に保ちつつ、Lポケット17の前中心FCよりの側に延出部3Bと収容部3Aの境界線を位置させてウエストサイズを伸縮自在とすることができる。
参考例3
次に、本発明の参考例3に係るLポケット付きボトムズについて、図8を参照して説明する。図8(a)は本発明の参考例3に係るLポケット付きボトムズとしての綿パンの左Lポケットとその近傍のウエスト周りが縮んだ状態を示す部分拡大図、(b)はウエスト周りが伸びた状態を示す部分拡大図である。
参考例3に係るLポケット付きボトムズとしての綿パン21は、前身頃のベルト部3の近傍に左右1対のLポケット22を有しており、これらのLポケット22のポケット口外縁22Aの前中心FCよりの部分(外縁22Aの上部)の近傍に、ベルト部3の見掛け上の長さを伸縮自在としたウエスト周り伸縮自在構造を有している。
すなわち、参考例1、参考例2と同様に、ベルト部3には左右1対のLポケット22のポケット口外縁22Aの近傍に、収容部3Aとその収容部3A内に挿入される延出部3Bからなる重ね合せ部が形成されており、延出部3Bの先端と収容部3Aとが収容部3A内において主弾性材としてのゴムテープ10で接続されることによって、ベルト部3の見掛け上の長さを伸縮自在としている。
また、収容部3Aの端部が表裏ともベルト部3の長手方向に対して略垂直になっている点や、延出部3Bの内部に伸縮性を有しない生地6を縫付けた点、更にはLポケット22の袋布5の上端と延出部3Bの下端とを補助弾性材としての幅の細いゴムテープ12で接続している点、ゴムテープ10には伸縮性のない生地からなる帯状の伸び止め材11が縫付けられている点等についても、参考例1に係る綿パン1と同様である。
これによって、ベルト部3に引っ張り力が掛かっていない場合には、図8(a)に示されるようにLポケット22の外縁22Aの上部が収容部3Aの端と一致しており、ベルト部3に引っ張り力が掛かってウエスト周りが伸びると、図8(b)に示されるようにLポケット22の外縁22Aの上部も延出部3Bと一体に移動して、Lポケット22の周囲にシワ等を生ずることなくLポケット22の外縁22Aが滑らかに変形する。
この理由は、図8(a)に示されるように、Lポケット22の外縁22Aをベルト部3に接する上部から下部にいくに従って前中心方向FCに突出するように湾曲した形状としたためである。
これによって、ウエスト周り伸縮自在構造によってウエスト周りが伸びて延出部3Bが収容部3Aから抜き出される方向に移動する際に、Lポケット22の外縁22Aの上部も前中心FCの方向に引っ張られるが、外縁22Aの中央部が外縁22Aの上部よりも前中心FCの方向に突出しているため外縁22Aの上部が滑らかに追従することができ、Lポケット22の周辺に従来のようなシワがよったりして見栄えを損ねることがない。
更に、外縁22Aの中央部を長さ方向に縮めた状態で裏側からアイロン等によりプレスしたり、外縁22Aの中央部に1以上の切欠きを入れて切欠きを縮めた状態で上から伸縮性を有する生地を帯状に縫付けたりする必要がなく、生地の形状を変えるだけで良いため製造工程がより一層簡単になりより短時間で製造することができる。
そして、ウエスト周りを伸ばそうとする力が解除されると、延出部3Bと収容部3Aとの間に両端が接続された主弾性材としてのゴムテープ10によって再び延出部3Bが収容部3A内に収容される方向に移動するが、この際にもLポケット22の外縁22Aの上部が滑らかに追従することができ、綺麗にもとのLポケット22の形状に復帰する。このように、参考例3に係るLポケット付きボトムズとしての綿パン21においては、従来不可能とされてきたLポケット付きボトムズにウエスト周り伸縮自在構造を付加することを、極めて簡単な構造によって可能としたものである。
このようにして、参考例3に係るLポケット付きボトムズとしての綿パン21においては、量産性を損なうことなく、見栄え・美観を良好に保ちつつ、Lポケット22の前中心FCよりの側に延出部3Bと収容部3Aの境界線を位置させてウエストサイズを伸縮自在とすることができる。
なお、参考例3においても、Lポケット22の袋布5の表側に綿パン21の前身頃4と共地の綿生地からなる当て布9を縫付けているが、前身頃4の素材や厚さによってはLポケット22の袋布5自体を前身頃4と共地の綿生地から構成しても良い。
参考例4
次に、本発明の参考例4に係るLポケット付きボトムズについて、図9及び図10を参照して説明する。
図9(a)は本発明の参考例4に係るLポケット付きボトムズとしての綿パンの左Lポケットとその近傍のウエスト周りが縮んだ状態を裏側から見て示す部分拡大図、(b)はウエスト周りが伸びた状態を裏側から見て示す部分拡大図である。図10(a)は本発明の参考例4の変形例に係るLポケット付きボトムズとしての綿パンの右Lポケットとその近傍のウエスト周りが縮んだ状態を裏側から見て示す部分拡大図、(b)はウエスト周りが伸びた状態を裏側から見て示す部分拡大図である。
参考例4に係るLポケット付きボトムズとしての綿パンは、参考例1に係るLポケット付きボトムズとしての綿パン1と同様に、前身頃のベルト部の近傍に左右1対のLポケットを有しており、これらのLポケットのポケット口外縁の前中心よりの部分の近傍に、ベルト部3の見掛け上の長さを伸縮自在としたウエスト周り伸縮自在構造を有している。
すなわち、参考例1と同様に、ベルト部3には左右1対のLポケットのポケット口外縁の近傍に、収容部3Aとその収容部3A内に挿入される延出部3Bからなる重ね合せ部が形成されており、延出部3Bの先端と収容部3Aとが収容部3A内において主弾性材としてのゴムテープ10で接続されることによって、ベルト部3の見掛け上の長さを伸縮自在としている。
また、収容部3Aの端部が表裏ともベルト部3の長手方向に対して略垂直になっている点や、延出部3Bの内部に伸縮性を有しない生地6を縫付けた点、更にはLポケットの袋布の上端と延出部3Bの下端とを補助弾性材としての幅の細いゴムテープ12で接続している点、ゴムテープ10には伸縮性のない生地からなる帯状の伸び止め材11が縫付けられている点等についても、参考例1に係る綿パン1と同様である。
図9(a)に示されるように、参考例4に係るLポケット付きボトムズとしての綿パン25においては、Lポケットの袋布26の前中心FCの側の端の折り返し部分の上部にタック27を設けており、このタック27の近傍にウエスト周り伸縮自在構造を構成する収容部3Aと延出部3Bの境界線を位置させている。したがって、タック27を形成する場合の位置決めが極めて容易であり、またLポケットの外縁2Aの上部は、表側における収容部3Aの端と一致しているため、ベルト通しで隠さなくても美観を損ねることはない。
そして、ウエスト伸縮機構によって延出部3Bが移動する場合には、図9(b)に示されるように、それに伴ってLポケットの袋布袋布26が移動するのに従ってタック27が開くため、Lポケットの袋布26が捩れたり引きつったりすることがなく、かかる捩れや引きつりが表側に響いて見栄えを損ねることが確実に防止される。ここで、タック27の襞の幅はウエスト周り伸縮自在構造により伸縮する分より大きいことが好ましい。これによって、Lポケット付きボトムズ25のウエスト周りがウエスト周り伸縮自在構造の一杯まで伸びた場合においても、タック27が余裕を持って開くことができるために引っ張り力を確実に逃がすことができる。
かかるタック27を設けたLポケットの袋布26の構造は、単独でも十分にLポケット付きボトムズとしての綿パン25のウエスト周りが伸縮する際に、引っ張り力を逃がすことができて、表から見たLポケット2の周囲にシワ等を生ずることを効果的に防止することができる。また、上記参考例1乃至参考例3に係るLポケット付きボトムズとしての綿パン1,16,21におけるLポケットの外縁の構造と併用した場合には、Lポケット付きボトムズ1,16,21のウエスト周りが伸縮する際に表から見たLポケットの周囲にシワ等を生ずることを、より一層効果的に防止することができる。
また、図10(a)に示されるように、参考例4の変形例に係るLポケット付きボトムズとしての綿パン25Aにおいては、Lポケットの袋布28の前中心FCの側の端の折り返し部分の上部を余らせることによって襞のないタック29を設けており、このタック29の近傍にウエスト周り伸縮自在構造を構成する収容部3Aと延出部3Bの境界線を位置させている。したがって、タック29を形成する場合の位置決めが極めて容易であり、またLポケットの外縁2Aの上部は、表側における収容部3Aの端と一致しているため、ベルト通しで隠さなくても美観を損ねることはない。
そして、ウエスト伸縮機構によって延出部3Bが移動する場合には、図10(b)に示されるように、それに伴ってLポケットの袋布28が移動するのに従ってタック29が開くため、Lポケットの袋布28が捩れたり引きつったりすることがなく、かかる捩れや引きつりが表側に響いて見栄えを損ねることが確実に防止される。ここで、タック29の開く幅はウエスト周り伸縮自在構造により伸縮する分より大きいことが好ましい。これによって、Lポケット付きボトムズ25Aのウエスト周りがウエスト周り伸縮自在構造の一杯まで伸びた場合においても、タック29が余裕を持って開くことができるために引っ張り力を確実に逃がすことができる。
かかるタック29を設けたLポケットの袋布28の構造は、単独でも十分にLポケット付きボトムズとしての綿パン25Aのウエスト周りが伸縮する際に、引っ張り力を逃がすことができて、表から見たLポケット2の周囲にシワ等を生ずることを効果的に防止することができる。また、上記参考例1乃至参考例3に係るLポケット付きボトムズとしての綿パン1,16,21におけるLポケットの外縁の構造と併用した場合には、Lポケット付きボトムズ1,16,21のウエスト周りが伸縮する際に表から見たLポケットの周囲にシワ等を生ずることを、より一層効果的に防止することができる。
このようにして、参考例4に係るLポケット付きボトムズとしての綿パン25,25Aにおいては、見栄え・美観を損なうことなく、Lポケットの前中心よりの側に延出部と収容部の境界線を位置させてウエストサイズを伸縮自在とすることができる。
参考例5
次に、本発明の参考例5に係るLポケット付きボトムズについて、図11及び図12を参照して説明する。
図11(a)は本発明の参考例5に係るLポケット付きボトムズとしての綿パンの全体構造を示す正面図、(b)はその綿パンの左Lポケットとその近傍のウエスト周りが縮んだ状態を示す部分拡大図、(c)はウエスト周りが伸びた状態を示す部分拡大図である。図12(a)は本発明の参考例5の変形例に係るLポケット付きボトムズのLポケット近傍のベルト部分の内部構造を展開して示す部分展開拡大図、(b)は本発明の参考例5の変形例に係るLポケット付きボトムズのLポケット近傍を表から見て示す部分拡大図、(c)は本発明の参考例5に係るLポケット付きボトムズのLポケット近傍を表から見て更に拡大して示す部分拡大図である。
なお、参考例5に係るLポケット付きボトムズとしての綿パン1EのLポケット及びその外縁、並びにウエスト伸縮自在構造の構成は、図1乃至図4に示される参考例1に係る綿パン1と同様であるので、同一の部分には同一の符号を付して説明を省略する。図11に示されるように、参考例5に係るLポケット付きボトムズとしての綿パン1Eが参考例1に係る綿パン1と異なるのは、ベルト部3にベルト通し20が設けられている点である。
すなわち、図11(a)に示されるように、参考例5に係る綿パン1Eにおいては、ベルト部3の左右の収容部3Aと延出部3Bの境界に1対のベルト通し20が縫付けられている。勿論、ベルト通し20が1対のみでは不自然なので、綿パン1Eのベルト部3の両脇部及び背面部にも、同様のベルト通し20が適当な間隔をとって縫付けられている。これによって、収容部3Aの端がベルト通し20によって完全に隠されるので、より見栄え・美観に優れたLポケット付きボトムズとなる。
次に、参考例5の変形例に係るLポケット付きボトムズについて、図12を参照して説明する。図12(a)に示されるように、参考例5の変形例に係るLポケット付きボトムズとしてのGパン(ジーンズ)30においては、参考例1に係る綿パン1と同様に延出部3Bの内側に接着布6がステッチ6aによって縫付けられており、延出部3Bの先端近傍には、主弾性材としてのゴムテープ10の一方の端が、伸び止め材11の一方の端とともに縫付けられている。
更に、伸び止め材11がゴムテープ10の伸びる許容範囲の長さだけ(例えば、2cm)弛みを付けて、ゴムテープ10の他方の端とともに接着布芯31に縫付けられ、この接着布芯31は接着剤で収容部3Aの内部に接着される。そして、伸び止め材11の他方の端は、2本のステッチ11aによって接着布芯31とともにベルト布を貫通して縫付けられる。したがって、2本のステッチ11aはGパン30の表側から見えることになる。
しかしながら、図12(b)に示されるように、Gパン30にはベルト通し32,33を始めとして、全部で5ヵ所にベルト通しが取り付けられる。このうち、ベルト通し33が2本のステッチ11aの丁度真上に位置するように取り付けられ、したがって2本のステッチ117aはベルト通し33に隠れて表から見えなくなるので、Gパン30の美観が損なわれることはない。
すなわち、Lポケット付きボトムズにおいて、従来はベルト通しが全周で7ヵ所に付けられていたのが、近年はベルト通しを全周で5ヵ所に取り付けるのが主流になってきたため、ベルト通し32とベルト通し33との間隔が長くなる傾向にある。このような場合でも、2本のステッチ11aをベルト通し32から離れたベルト通し33で隠せるようにするために、図12(a)に示されるように、伸び止め材11の端を延長したものである。
そして、接着布芯31を設けたのは、特にGパン30の場合にはバイオ洗い(バイオ加工)によって、酵素で布地の表面を瞬間的に壊してケバを取ったり、軽石を入れて洗うことによって佩き古されたヴィンテージジーンズの感じを出したりすることが多いため、係るバイオ洗いの衝撃に耐えられるように収容部3Aを補強することが目的である。このようなバイオ洗い(バイオ加工)は、Gパン(ジーンズ)のみでなく、綿パンやチノパン等の他のカジュアルなLポケット付きボトムズに対しても実施される。
更に、図12(c)に示されるように、ベルト通し32は、一部が収容部3Aの上のベルト布ステッチ3aによって縫付けられる。すなわち、まずベルト通し32の上端が収容部3Aの上端よりの部分に地縫いで縫付けられ、ベルト通し32を起き上がらせた状態で上側のベルト布ステッチ3aが掛けられることによって、ベルト通し32の上端が縫付けられる。そして、ベルト布ステッチ3aの部分でベルト通し32を下側へ折り返して、Lポケット2の当て布9にベルト通し32の下端が縫い付けられる。
このようにして、参考例5の変形例に係るLポケット付きボトムズとしてのGパン(ジーンズ)30においては、接着布芯31によって収容部3Aが補強されてバイオ洗いの衝撃にも耐えられるとともに、図12(b)に示されるように伸び止め材11の端を止めるステッチ11aがベルト通し33で隠され、図12(c)に示されるように収容部3Aの出口がベルト通し32で隠されるため、見栄えの良いLポケット付きボトムズとなる。
参考例6
次に、本発明の参考例6に係るLポケット付きボトムズについて、図13及び図14を参照して説明する。
図13(a)は本発明の参考例6に係るLポケット付きボトムズのLポケット近傍のベルト部分の内部構造を展開して示す部分展開拡大図、(b)は本発明の参考例6の第1変形例に係るLポケット付きボトムズのLポケット近傍のベルト部分の生地の裁断形状を示す部分拡大図、(c)は本発明の参考例6の第1変形例に係るLポケット付きボトムズのLポケット近傍のベルト部分の内部構造を展開して示す部分展開拡大図である。
図14(a)は本発明の参考例6の第2変形例に係るLポケット付きボトムズのLポケット近傍のベルト部分の内部構造を展開して示す部分展開拡大図、(b)は本発明の参考例6の第3変形例に係るLポケット付きボトムズのLポケット近傍のベルト部分の生地の裁断形状を示す部分拡大図、(c)は本発明の参考例6の第3変形例に係るLポケット付きボトムズのLポケット近傍のベルト部分の内部構造を展開して示す部分展開拡大図である。
図13,図14に示されるように、参考例6に係るLポケット付きボトムズ35,35A,40,40Aにおいては、伸び止め材を延出部37,41のベルト布と共地にして、一体化していることを特徴としている。すなわち、図13(a)に示されるように、参考例6に係るLポケット付きボトムズ35においては、主弾性材としてのゴムテープ10の伸びを規制する伸び止め材を別に設ける代わりに、延出部37の左端を延長することによって、伸び止め材と同じ役割を果たすストッパー部分37aとしている。
ストッパー部分37aの左端は、ゴムテープ10の左端とともに、2本のステッチ37cによって、収容部36に縫付けられている。したがって、2本のステッチ37cは収容部36の表側から見えるが、Lポケット付きボトムズ35には7本のベルト通しが取付けられており、Lポケットの近傍にあるベルト通しから近い距離に設けられた隣のベルト通しによって、2本のステッチ37cを覆い隠すようになっている。したがって、Lポケット付きボトムズ35の見栄えが損なわれることはない。
一方、図13(b)に示されるように、参考例6の第1変形例に係るLポケット付きボトムズ35Aにおいては、同様に延出部38の左端を延長することによって、伸び止め材と同じ役割を果たすストッパー部分39としているが、ストッパー部分37aのように裁ち切りではなく、上下に折り返し部分39aを設けている。この折り返し部分39aを矢印に示されるように折り返して、図13(c)に示されるように上下にステッチ39bを掛けて止めている。
これによって、上記参考例6に係るLポケット付きボトムズ35における作用効果に加えて、ストッパー部分39の上下の縁が裁ち切りではなく、折り返されてステッチ39bで止められているため、多数回洗濯を繰り返した場合でも裁ち切りの場合のように縁からほつれて弱くなってくるような恐れがなく、極めて丈夫なストッパー部分39となるという作用効果が得られる。
次に、図14(a)に示されるように、参考例6の第2変形例に係るLポケット付きボトムズ40においては、5本のベルト通しが取付けられている。したがって、Lポケットの近傍にあるベルト通しの隣のベルト通しは離れた位置にあるため、伸び止め材と同じ役割を果たすストッパー部分41aを、主弾性材としてのゴムテープ10の左端よりも更に延長して、隣のベルト通しで2本のステッチ41dを覆い隠せるようにしている。なお、ゴムテープ10の左端とストッパー部分41aの中間部分を縫い止める2本のステッチ41cは、収容部36には縫付けられていないため、表側から見えることはない。
一方、図14(b)に示されるように、参考例6の第3変形例に係るLポケット付きボトムズ40Aにおいては、上記参考例6の第2変形例に係るLポケット付きボトムズ40と同様に、延出部42の左端を更に延長することによって、伸び止め材と同じ役割を果たすストッパー部分43としているが、ストッパー部分41aのように裁ち切りではなく、上下に折り返し部分43aを設けている。この折り返し部分43aを矢印に示されるように折り返して、図14(c)に示されるように上下にステッチ43bを掛けて止めている。
これによって、上記参考例6の第2変形例に係るLポケット付きボトムズ40における作用効果に加えて、ストッパー部分43の上下の縁が裁ち切りではなく、折り返されてステッチ43bで止められているため、多数回洗濯を繰り返した場合でも裁ち切りの場合のように縁からほつれて弱くなってくるような恐れがなく、極めて丈夫なストッパー部分43となるという作用効果が得られる。
このように、参考例6に係るLポケット付きボトムズ35,35A,40,40Aにおいては、伸び止め材の役割をするストッパー部分37a,39,41a,43を、延出部37,38,41,42のベルト布と共地にして一体化しているため、縫製工程が簡略化されてより容易に縫製できることから、低コスト化を図ることができる。
参考例7
次に、本発明の参考例7に係るLポケット付きボトムズについて、図15乃至図19を参照して説明する。
図15(a)は本発明の参考例7に係るLポケット付きボトムズとしての綿パンの全体構造を示す正面図、(b)はその綿パンの左Lポケットとその近傍のウエスト周りが縮んだ状態を示す部分拡大図、(c)はウエスト周りが伸びた状態を示す部分拡大図である。図16(a)は本発明の参考例7に係るLポケット付きボトムズとしての綿パンの左Lポケットの要部裏面の縫製途中の構成を示す部品展開図、(b)は本発明の参考例7に係るLポケット付きボトムズの作用効果を示す説明図である。図17(a),(b)は本発明の参考例7に係る綿パンにベルト布ステッチを掛ける手順を示す部分拡大図である。
図18(a),(b),(c),(d),(e),(f)は本発明の参考例7に係るLポケット付きボトムズの左Lポケットの外縁の伸縮構造の作製手順を表側から見て示す説明図である。図19(a)は本発明の参考例7の第1変形例に係るLポケット付きボトムズの要部裏面の縫製途中の構成を示す部品展開図、(b)は本発明の参考例7の第2変形例に係るLポケット付きボトムズの要部裏面の縫製途中の構成を示す部品展開図、(c)は本発明の参考例7の第3変形例に係るLポケット付きボトムズの要部裏面の縫製途中の構成を示す部品展開図、(d)は本発明の参考例7の第4変形例に係るLポケット付きボトムズの要部裏面の縫製途中の構成を示す部品展開図である。
図15(a)に示されるように、参考例7に係るLポケット付きボトムズとしての綿パン51は、前身頃54のベルト部53の近傍に左右1対のLポケット52を有しており、これらのLポケット52のポケット口外縁52Aの前中心FCよりの部分(外縁52Aの上部)の近傍に、ベルト部53の見掛け上の長さを伸縮自在としたウエスト周り伸縮自在構造を有している。
すなわち、ベルト部53には左右1対のLポケット52のポケット口外縁52Aの近傍に、収容部53Aとその収容部53A内に挿入される延出部53Bからなる重ね合せ部が形成されており、延出部53Bの先端と収容部53Aとが収容部53A内において主弾性材としてのゴムテープで接続されることによって、ベルト部53の見掛け上の長さを伸縮自在としている。また、Lポケット52の袋布が表側から見えないようにするために、前身頃54と共地の綿生地からなる当て布59が左右1対のLポケット52の外側に縫付けられている。
ここで、図15(b),(c)に示されるように、収容部53A及び延出部53Bの上下端にはベルト布ステッチ53a,53bが施されている。ジーンズ(Gパン)、綿パンを始めとするカジュアルなLポケット付きボトムズにおいては、このようなベルト布ステッチ53a,53bを施すのが一般的である。ただし、Lポケット付きボトムズにおいても、カジュアルではないドレス調の婦人用のボトムズ等においては、ベルト布ステッチを施さない場合もある。
このようなベルト布ステッチ53a,53bを施すことによって、図15(b),(c)に示されるように、収容部53A内に収容可能な幅がベルト布ステッチ53aの分だけ狭められるため、延出部53Bの幅は、収容部53Aの幅よりも2mm程度小さくする必要がある。これによって、最初に図34(a),(b)について説明したように、延出部103Bが収容部103Aから引き出される際に延出部103Bが下がることによって生ずる延出部103Bと収容部103Aとの段差が、一層目立つ結果となる。
そこで、参考例7に係るLポケット付きボトムズとしての綿パン51においては、図15(c)に矢印で示されるように、延出部53Bが収容部53Aから引き出される際に延出部53Bが上がるようにすることによって、前述した段差が目立たなくなり、ウエスト周り伸縮自在構造を有するLポケット付きボトムズの見栄えを格段に向上させることができる。
すなわち、ベルト部53に引っ張り力が掛かっていない場合には、図15(b)に示されるようにLポケット52の外縁52Aの上部が収容部53Aの端と一致しており、ベルト部53に引っ張り力が掛かってウエスト周りが伸びると、図15(c)に示されるようにLポケット52の外縁52Aの上部も延出部53Bと一体に移動するが、このとき延出部53Bが矢印で示されるように上方に移動することによって、前述した段差が目立たなくなる。
次に、このように延出部53Bが収容部53Aから引き出される際に延出部53Bが上がるようにする内部構造について、図16を参照して説明する。図16(a)に示されるように、参考例7に係る綿パン51においては、収容部53Aの内部に接着布芯50が接着されており、この接着布芯50に主弾性材としてのゴムテープ60及び伸び止め材61の一端が縫付けられている。
そして、ゴムテープ60及び伸び止め材61の他端は、延出部53Bの先端部分に、図16(a)に示されるように斜めのステッチ60aによって、上端が収容部53A側に傾くように斜めに縫付けられている。これによって、ゴムテープ60の伸縮自在な部分の長さは、上端においては、接着布芯50にゴムテープ60の一端及び伸び止め材61の中間を縫付けるステッチ60bの上端と斜めのステッチ60aの上端との間の長さαとなり、下端においては、ステッチ60bの下端と斜めのステッチ60aの下端との間の長さβとなる。
ここで、長さβの方が長さαよりも長いため、図16(b)に示されるように、延出部53Bが収容部53Aから引き出される方向に移動する際に、ゴムテープ60の上端よりもゴムテープ60の下端の方が長く伸びる結果、延出部53Bが矢印で示されるように上方に上がるように移動することになる。このようにして、延出部53Bが収容部53Aから引き出される際に延出部53Bが上がるものである。
なお、伸び止め材61がゴムテープ60の伸びる許容範囲の長さだけ(例えば、2cm)弛みを付けて、ゴムテープ60の他方の端とともに接着布芯50に縫付けられ、この接着布芯50は、ソフト芯SC及びハード芯HCの上から、接着剤で収容部53Aの内部に接着される。そして、伸び止め材61の他方の端は、2本のステッチ60cによって接着布芯50とともにベルト布を貫通して縫付けられる。したがって、2本のステッチ60cは綿パン51の表側から見えることになる。
しかしながら、綿パン51には、全部で5ヵ所にベルト通しが取り付けられる。このうち、1つのベルト通しが2本のステッチ60cの丁度真上に位置するように取り付けられ、したがって2本のステッチ60cはベルト通しに隠れて表から見えなくなるので、綿パン51の美観が損なわれることはない。すなわち、前述の如く、Lポケット付きボトムズにおいて、従来はベルト通しが全周で7ヵ所に付けられていたのが、近年はベルト通しを全周で5ヵ所に取り付けるのが主流になってきたため、隣り合うベルト通し同士の間隔が長くなる傾向にある。このような場合でも、2本のステッチ60cをベルト通しから離れたベルト通しで隠せるようにするために、図16(a)に示されるように、伸び止め材61の端を延長したものである。
そして、接着布芯50を設けたのは、特にGパンの場合にはバイオ洗い(バイオ加工)によって、酵素で布地の表面を瞬間的に壊してケバを取ったり、軽石を入れて洗うことによって佩き古されたヴィンテージジーンズの感じを出したりすることが多いため、係るバイオ洗いの衝撃に耐えられるように収容部53Aを補強することが目的である。このようなバイオ洗い(バイオ加工)は、Gパン(ジーンズ)のみでなく、綿パン51に対しても実施される。
したがって、バイオ洗いや酵素洗いをしない綿パン等のLポケット付きボトムズにおいては、接着布芯50を設ける必要がなく、この場合には伸び止め材61の他方の端は2本のステッチ60cによって、ハード芯HCを含むベルト布を貫通して縫付けられる。このような場合でも、2本のステッチ60cをベルト通しから離れたベルト通しで隠せるようにするために、図16(a)に示されるように、伸び止め材61の端を延長することになる。
ここで、ベルト布ステッチ53a,53bを縫付ける手順について、図17を参照して説明する。図17(a)に示されるように、まず収容部53Aが拡げられた状態で、矢印アで示されるように延出部53Bの下端にベルト布ステッチ53bが掛けられ、続いて矢印イで示されるように延出部53Bの下端を一部重ねて、延出部53Bの前中心FC側を回って延出部53Bの上端にベルト布ステッチ53bが掛けられる。そして、収容部53Aが折り込まれて、収容部53Aの上端及び下端に沿って、矢印ウと矢印エで示されるように、延出部53Bから離れる方向に向かってベルト布ステッチ53aが掛けられる。
更に、参考例7に係るLポケット付きボトムズとしての綿パン51においては、ウエスト周り伸縮自在構造によってウエスト周りが伸びて延出部53Bが収容部53Aから抜き出される方向に移動する際に、Lポケット52の周囲にシワ等を生ずることなくLポケット52の外縁52Aが滑らかに変形する。これは、Lポケット52の外縁52Aが伸縮性を有しているからである。このLポケット52の外縁52Aに伸縮性を持たせる縫製方法について、図18を参照して説明する。図18(a),…,(f)は、全て左側のLポケット52を表側から見て縫製の手順を示したものである。
まず、図18(a)に示されるように、綿パン51の前身頃54の表側にLポケット52の外縁52Aの形状に合わせて裁断した袋布の生地55を、地縫い57によって縫付ける。次に、図18(b)に示されるように、外縁52Aの上部52Aaを略垂直に立てながら外縁52Aの中央部52Abを長さ方向に縮めた状態として、この状態で外縁中央部52Abの上からスチームアイロンを掛けて圧縮してプレスする。これによって、縮めた状態とした外縁中央部52Abのシワは綺麗に潰れて、図18(c)に示されるように滑らかな曲線となる。
この上から、図18(c)に示されるように、伸縮性を有する生地としての帯状のパワーネット58を、地縫い57の縫い目に沿って縫付ける。そして、図18(d)に示されるように、帯状のパワーネット58の縁に沿って外側の余った部分を切り取り、図18(e)に示されるように袋布55を地縫い57の部分で折り返して、袋布55を向こう側、すなわち綿パン51の裏側にひっくり返す。そして、図18(f)に示されるように新しいLポケット52の外縁52Aに沿ってダブルステッチ52aを掛けることによって、外縁中央部52Abが伸縮自在なLポケット52の構造が完成する。
なお、参考例7においては、地縫い57を縫い易くするために地縫い57の外縁52Aからの縫代を1.0cmと大きく取ったので、図18(d)に示されるように、帯状のパワーネット58の縁に沿って外側の余った部分を切り落とす工程が必要になっているが、最初から地縫い57の外縁52Aからの縫代を0.5cmと小さくしておけば、外側の余った部分を切り落とす工程が不要になるので、この方法によっても良い。
このように、参考例7に係るLポケット付きボトムズとしての綿パン51においては、ウエスト周り伸縮自在構造を構成する延出部53Bと収容部53Aの重ね合せ部がLポケット52の前中心FCよりの外縁52Aの近傍に位置するため、収容部53Aの端がLポケット52の前中心FCよりの外縁52Aとスムーズにつながるような外見となり、収容部53Aの端を隠さなくとも美観を損なうことがない。
また、外縁中央部52Abを長さ方向に縮めた状態で裏側からスチームアイロンによりプレスして、その上から伸縮性を有する生地としての帯状のパワーネット58を縫付けてあるため、ウエスト周り伸縮自在構造によってウエスト周りが伸びて延出部53Bが収容部53Aから抜き出される方向に移動する際に、Lポケット52の外縁上部52Aaも前中心FC方向に引っ張られるが、外縁中央部52Abが上述したように伸縮自在の構造になっているため滑らかに伸びて追従し、Lポケット52の周辺に従来のようなシワがよったりして見栄えを損ねることもない。
そして、ウエスト周りを伸ばそうとする力が解除されると、延出部53Bと収容部53Aとの間に両端が接続された主弾性材としてのゴムテープ60によって再び延出部53Bが収容部53A内に収容される方向に移動するが、この際にもLポケット52の外縁中央部52Abが伸縮自在の構造になっているため滑らかに縮んで追従し、綺麗にもとの状態に復帰する。このように、参考例7に係るLポケット付きボトムズとしての綿パン51においては、従来不可能とされてきたLポケット付きボトムズにウエスト周り伸縮自在構造を付加することを、簡単な構造によって可能としたものである。
このようにして、参考例7に係るLポケット付きボトムズとしての綿パン51においては、延出部53Bが収容部53Aに対して摺動してウエスト周りが伸びる際に延出部53Bが上がるようにすることによって、延出部53Bと収容部53Aとの段差を感じさせず、見栄え・美観を良好に保ちつつLポケットの前中心よりの側に延出部53Bと収容部53Aの境界線を位置させてウエストサイズを伸縮自在とすることができる。
次に、参考例7の第1変形例乃至第4変形例に係るLポケット付きボトムズとしての綿パンについて、図19を参照して説明する。
図19(a)に示されるように、参考例7の第1変形例に係るLポケット付きボトムズとしての綿パン51Aは、接着布芯も伸び止め材も用いずに、主弾性材としてのゴムテープ60のみによって延出部53Bと収容部53Aとの間を接続している。そして、ゴムテープ60の端と延出部53Bの先端部分とを斜めのステッチ60aで縫付けることによって、ウエスト周りが伸びる際に延出部53Bが上がるようにしている。
また、図19(b)に示されるように、参考例7の第2変形例に係るLポケット付きボトムズとしての綿パン51Bにおいては、主弾性材としてのゴムテープ60のみによって延出部53Cと収容部53Aとの間を接続している点は同じであるが、延出部53Cの先端部分を斜めのステッチ60aの傾斜角と同程度に斜めにカットしている。これによって、ゴムテープ60の端と延出部53Cの先端部分とを斜めのステッチ60aで縫付ける際に、延出部53Cの先端部分に沿って縫付ければ良いため、縫製が容易になる。
また、図19(c)に示されるように、参考例7の第3変形例に係るLポケット付きボトムズとしての綿パン51Cにおいては、主弾性材としてのゴムテープ60に伸び止め材61を併設して、延出部53Bと収容部53Aとの間を接続している。そして、ゴムテープ60及び伸び止め材61の端と延出部53Bの先端部分とを斜めのステッチ60aで縫付けることによって、ウエスト周りが伸びる際に延出部53Bが上がるようにしている。
更に、図19(d)に示されるように、参考例7の第4変形例に係るLポケット付きボトムズとしての綿パン51Dにおいては、主弾性材としてのゴムテープ60に伸び止め材61を併設して、延出部53Bと収容部53Aとの間を接続している点は同じであるが、延出部53Cの先端部分を斜めのステッチ60aの傾斜角と同程度に斜めにカットしている。これによって、ゴムテープ60及び伸び止め材61の端と延出部53Cの先端部分とを斜めのステッチ60aで縫付ける際に、延出部53Cの先端部分に沿って縫付ければ良いため、縫製が容易になる。
参考例8
次に、本発明の参考例8に係るLポケット付きボトムズについて、図20を参照して説明する。図20(a)は本発明の参考例8に係るLポケット付きボトムズとしての綿パンの左Lポケットとその近傍のウエスト周りが縮んだ状態を示す部分拡大図、(b)はウエスト周りが伸びた状態を示す部分拡大図、(c),(d)は左Lポケットの外縁の伸縮構造の作製手順を表側から見て示す説明図、(e)は本発明の参考例8の変形例に係る綿パンの左Lポケットの外縁の伸縮構造を表側から見て示す説明図である。
参考例8に係るLポケット付きボトムズとしての綿パン66は、参考例7に係るLポケット付きボトムズとしての綿パン51と同様に、前身頃のベルト部53の近傍に左右1対のLポケット67を有しており、これらのLポケット67のポケット口外縁67Aの前中心FCよりの部分(外縁67Aの上部)の近傍に、ベルト部53の見掛け上の長さを伸縮自在としたウエスト周り伸縮自在構造を有している。
すなわち、参考例7と同様に、ベルト部53には左右1対のLポケット67のポケット口外縁67Aの近傍に、収容部53Aとその収容部53A内に挿入される延出部53Bからなる重ね合せ部が形成されており、延出部53Bの先端と収容部53Aとが収容部53A内において主弾性材としてのゴムテープ60で接続されることによって、ベルト部53の見掛け上の長さを伸縮自在としている。
そして、ゴムテープ60及び伸び止め材61の他端が延出部53Bの先端部分に、斜めのステッチ60aによって上端が収容部53A側に傾くように斜めに縫付けられており、延出部53Bが収容部53Aから引き出される方向に移動する際に、ゴムテープ60の上端よりもゴムテープ60の下端の方が長く伸びる結果、延出部53Bが上方に上がるように移動する点等についても、参考例7に係る綿パン51と同様である。
これによって、ベルト部53に引っ張り力が掛かっていない場合には、図20(a)に示されるようにLポケット67の外縁67Aの上部が収容部53Aの端と一致しており、ベルト部53に引っ張り力が掛かってウエスト周りが伸びると、図20(b)に示されるようにLポケット67の外縁67Aの上部も延出部53Bと一体に移動して、Lポケット67の周囲にシワ等を生ずることなくLポケット67の外縁67Aが滑らかに変形する。これは、Lポケット67の外縁67Aが伸縮性を有しているからである。
このLポケット17の外縁67Aに伸縮性を持たせる縫製方法について、図20(c),(d)を参照して説明する。まず、図20(c)に示されるように、綿パン66の前身頃54の表側にLポケット67の外縁67Aの形状に合わせて裁断した袋布の生地55を、地縫い68によって縫付け、次に外縁67Aの中央部に切欠き67Bを設ける。そして、図20(d)に示されるように、外縁67Aの上部を略垂直に立てながら外縁中央部の切欠き67Bを縮めた状態として、この状態で外縁中央部の上から伸縮性を有する生地としての帯状のパワーネット69を、地縫い68の縫い目に沿って縫付ける。
なお、参考例8においては、地縫い68の縫代を最初から0.5cmと小さく取ったため、参考例7のように外縁67Aの縁を切り落とす作業の必要がなくなるが、参考例7と同様に地縫い68の縫代を1.0cm取っておいて、帯状のパワーネット69を縫付けた後に外縁67Aの縁を切り落とす方法を採っても良い。
後は、参考例7の図18(e)に示されるのと同様に、袋布55を地縫い68の部分で折り返して、袋布55を向こう側、すなわち綿パン66の裏側にひっくり返す。そして、図18(f)に示されるように新しいLポケット67の外縁67Aに沿ってダブルステッチ62aを掛けることによって、外縁中央部が伸縮自在なLポケット67の構造が完成する。
このように、参考例8においては、外縁67Aの中央部に切欠き67Bを設けることによって外縁67Aの中央部が伸縮自在なLポケット67としているため、参考例7のようにスチームアイロンでプレスする工程を省くことができ、より容易に短時間でLポケット67の外縁67Aに伸縮性を持たせることができる。なお、切欠き67Bは1つに限られるものではなく、図20(e)に示されるように、3ヵ所に切欠き67Bを設けてこれら3ヵ所の切欠き67Bを縮めた状態として、この状態で外縁中央部の上から伸縮性を有する生地としての帯状のパワーネット69を、地縫い68の縫い目に沿って縫付けることもできる。
これによって、ウエスト周り伸縮自在構造によってウエスト周りが伸びて延出部53Bが収容部53Aから抜き出される方向に移動する際に、Lポケット67の外縁上部67Aも前中心FC方向に引っ張られるが、外縁中央部67Aが上述したように伸縮自在の構造になっているため滑らかに伸びて追従し、Lポケット67の周辺に従来のようなシワがよったりして見栄えを損ねることもない。
そして、ウエスト周りを伸ばそうとする力が解除されると、延出部53Bと収容部53Aとの間に両端が接続された主弾性材としてのゴムテープ60によって再び延出部53Bが収容部53A内に収容される方向に移動するが、この際にもLポケット67の外縁中央部67Aが伸縮自在の構造になっているため滑らかに縮んで追従し、綺麗にもとの状態に復帰する。このように、参考例8に係るLポケット付きボトムズとしての綿パン66においては、従来不可能とされてきたLポケット付きボトムズにウエスト周り伸縮自在構造を付加することを、簡単な構造によって可能としたものである。
このようにして、参考例8に係るLポケット付きボトムズとしての綿パン66においては、延出部53Bが収容部53Aに対して摺動してウエスト周りが伸びる際に延出部53Bが上がるようにすることによって、延出部53Bと収容部53Aとの段差を感じさせず、見栄え・美観を良好に保ちつつ、Lポケット67の前中心FCよりの側に延出部53Bと収容部53Aの境界線を位置させてウエストサイズを伸縮自在とすることができる。
なお、参考例8においても、Lポケット67の袋布55の表側に綿パン66の前身頃54と共地の綿生地からなる当て布59を縫付けているが、前身頃54の素材や厚さによってはLポケット67の袋布55自体を前身頃54と共地の綿生地から構成しても良い。
参考例9
次に、本発明の参考例9に係るLポケット付きボトムズについて、図21を参照して説明する。図21(a)は本発明の参考例9に係るLポケット付きボトムズとしての綿パンの左Lポケットとその近傍のウエスト周りが縮んだ状態を示す部分拡大図、(b)はウエスト周りが伸びた状態を示す部分拡大図である。
参考例9に係るLポケット付きボトムズとしての綿パン71は、前身頃のベルト部53の近傍に左右1対のLポケット72を有しており、これらのLポケット72のポケット口外縁72Aの前中心FCよりの部分(外縁72Aの上部)の近傍に、ベルト部53の見掛け上の長さを伸縮自在としたウエスト周り伸縮自在構造を有している。
すなわち、参考例7と同様に、ベルト部53には左右1対のLポケット72のポケット口外縁72Aの近傍に、収容部53Aとその収容部53A内に挿入される延出部53Bからなる重ね合せ部が形成されており、延出部53Bの先端と収容部53Aとが収容部53A内において主弾性材としてのゴムテープ60で接続されることによって、ベルト部53の見掛け上の長さを伸縮自在としている。
そして、ゴムテープ60及び伸び止め材61の他端が延出部53Bの先端部分に、斜めのステッチ60aによって上端が収容部53A側に傾くように斜めに縫付けられており、延出部53Bが収容部53Aから引き出される方向に移動する際に、ゴムテープ60の上端よりもゴムテープ60の下端の方が長く伸びる結果、延出部53Bが上方に上がるように移動する点等についても、参考例7に係る綿パン51と同様である。
これによって、ベルト部53に引っ張り力が掛かっていない場合には、図21(a)に示されるようにLポケット72の外縁72Aの上部が収容部53Aの端と一致しており、ベルト部53に引っ張り力が掛かってウエスト周りが伸びると、図21(b)に示されるようにLポケット72の外縁72Aの上部も延出部53Bと一体に移動して、Lポケット72の周囲にシワ等を生ずることなくLポケット72の外縁72Aが滑らかに変形する。
この理由は、図21(a)に示されるように、Lポケット72の外縁72Aをベルト部53に接する上部から下部にいくに従って前中心方向FCに突出するように湾曲した形状としたためである。
これによって、ウエスト周り伸縮自在構造によってウエスト周りが伸びて延出部53Bが収容部53Aから抜き出される方向に移動する際に、Lポケット72の外縁72Aの上部も前中心FCの方向に引っ張られるが、外縁72Aの中央部が外縁72Aの上部よりも前中心FCの方向に突出しているため外縁72Aの上部が滑らかに追従することができ、Lポケット72の周辺に従来のようなシワがよったりして見栄えを損ねることがない。
更に、外縁72Aの中央部を長さ方向に縮めた状態で裏側からアイロン等によりプレスしたり、外縁72Aの中央部に1以上の切欠きを入れて切欠きを縮めた状態で上から伸縮性を有する生地を帯状に縫付けたりする必要がなく、生地の形状を変えるだけで良いため製造工程がより一層簡単になりより短時間で製造することができる。
そして、ウエスト周りを伸ばそうとする力が解除されると、延出部53Bと収容部53Aとの間に両端が接続された主弾性材としてのゴムテープ60によって再び延出部53Bが収容部53A内に収容される方向に移動するが、この際にもLポケット72の外縁72Aの上部が滑らかに追従することができ、綺麗にもとのLポケット72の形状に復帰する。このように、参考例9に係るLポケット付きボトムズとしての綿パン71においては、従来不可能とされてきたLポケット付きボトムズにウエスト周り伸縮自在構造を付加することを、極めて簡単な構造によって可能としたものである。
このようにして、参考例9に係るLポケット付きボトムズとしての綿パン71においては、延出部53Bが収容部53Aに対して摺動してウエスト周りが伸びる際に延出部53Bが上がるようにすることによって、延出部53Bと収容部53Aとの段差を感じさせず、見栄え・美観を良好に保ちつつ、Lポケット72の前中心FCよりの側に延出部53Bと収容部53Aの境界線を位置させてウエストサイズを伸縮自在とすることができる。
なお、参考例9においても、Lポケット72の袋布55の表側に綿パン71の前身頃54と共地の綿生地からなる当て布59を縫付けているが、前身頃54の素材や厚さによってはLポケット72の袋布55自体を前身頃54と共地の綿生地から構成しても良い。
参考例10
次に、本発明の参考例10に係るLポケット付きボトムズについて、図22及び図23を参照して説明する。
図22(a)は本発明の参考例10に係るLポケット付きボトムズとしての綿パンの左Lポケットとその近傍のウエスト周りが縮んだ状態を裏側から見て示す部分拡大図、(b)はウエスト周りが伸びた状態を裏側から見て示す部分拡大図である。図23(a)は本発明の参考例10の変形例に係るLポケット付きボトムズとしての綿パンの右Lポケットとその近傍のウエスト周りが縮んだ状態を裏側から見て示す部分拡大図、(b)はウエスト周りが伸びた状態を裏側から見て示す部分拡大図である。
参考例10に係るLポケット付きボトムズとしての綿パンは、参考例7に係るLポケット付きボトムズとしての綿パン51と同様に、前身頃のベルト部の近傍に左右1対のLポケットを有しており、これらのLポケットのポケット口外縁の前中心よりの部分の近傍に、ベルト部53の見掛け上の長さを伸縮自在としたウエスト周り伸縮自在構造を有している。
すなわち、参考例7と同様に、ベルト部53には左右1対のLポケットのポケット口外縁の近傍に、収容部53Aとその収容部53A内に挿入される延出部53Bからなる重ね合せ部が形成されており、延出部53Bの先端と収容部53Aとが収容部53A内において主弾性材としてのゴムテープ60で接続されることによって、ベルト部53の見掛け上の長さを伸縮自在としている。
そして、ゴムテープ60及び伸び止め材61の他端が延出部53Bの先端部分に、斜めのステッチ60aによって上端が収容部53A側に傾くように斜めに縫付けられており、延出部53Bが収容部53Aから引き出される方向に移動する際に、ゴムテープ60の上端よりもゴムテープ60の下端の方が長く伸びる結果、延出部53Bが上方に上がるように移動する点等についても、参考例7に係る綿パン51と同様である。
図22(a)に示されるように、参考例10に係るLポケット付きボトムズとしての綿パン75においては、Lポケットの袋布76の前中心FCの側の端の折り返し部分の上部にタック77を設けており、このタック77の近傍にウエスト周り伸縮自在構造を構成する収容部53Aと延出部53Bの境界線を位置させている。したがって、タック77を形成する場合の位置決めが極めて容易であり、またLポケットの外縁52Aの上部は、表側における収容部53Aの端と一致しているため、ベルト通しで隠さなくても美観を損ねることはない。
そして、ウエスト伸縮機構によって延出部53Bが移動する場合には、図22(b)に示されるように、それに伴ってLポケットの袋布76が移動するのに従ってタック77が開くため、Lポケットの袋布76が捩れたり引きつったりすることがなく、かかる捩れや引きつりが表側に響いて見栄えを損ねることが確実に防止される。ここで、タック77の襞の幅はウエスト周り伸縮自在構造により伸縮する分より大きいことが好ましい。これによって、Lポケット付きボトムズ75のウエスト周りがウエスト周り伸縮自在構造の一杯まで伸びた場合においても、タック77が余裕を持って開くことができるために引っ張り力を確実に逃がすことができる。
かかるタック77を設けたLポケットの袋布76の構造は、単独でも十分にLポケット付きボトムズとしての綿パン75のウエスト周りが伸縮する際に、引っ張り力を逃がすことができて、表から見たLポケット52の周囲にシワ等を生ずることを効果的に防止することができる。また、上記参考例7乃至参考例9に係るLポケット付きボトムズとしての綿パン51,66,71におけるLポケットの外縁の構造と併用した場合には、Lポケット付きボトムズ51,66,71のウエスト周りが伸縮する際に表から見たLポケットの周囲にシワ等を生ずることを、より一層効果的に防止することができる。
また、図23(a)に示されるように、参考例10の変形例に係るLポケット付きボトムズとしての綿パン75Aにおいては、Lポケットの袋布78の前中心FCの側の端の折り返し部分の上部を余らせることによって襞のないタック79を設けており、このタック79の近傍にウエスト周り伸縮自在構造を構成する収容部53Aと延出部53Bの境界線を位置させている。したがって、タック79を形成する場合の位置決めが極めて容易であり、またLポケットの外縁52Aの上部は、表側における収容部53Aの端と一致しているため、ベルト通しで隠さなくても美観を損ねることはない。
そして、ウエスト伸縮機構によって延出部53Bが移動する場合には、図23(b)に示されるように、それに伴ってLポケットの袋布78が移動するのに従ってタック79が開くため、Lポケットの袋布78が捩れたり引きつったりすることがなく、かかる捩れや引きつりが表側に響いて見栄えを損ねることが確実に防止される。ここで、タック79の開く幅はウエスト周り伸縮自在構造により伸縮する分より大きいことが好ましい。これによって、Lポケット付きボトムズ75Aのウエスト周りがウエスト周り伸縮自在構造の一杯まで伸びた場合においても、タック79が余裕を持って開くことができるために引っ張り力を確実に逃がすことができる。
かかるタック79を設けたLポケットの袋布78の構造は、単独でも十分にLポケット付きボトムズとしての綿パン75Aのウエスト周りが伸縮する際に、引っ張り力を逃がすことができて、表から見たLポケット52の周囲にシワ等を生ずることを効果的に防止することができる。また、上記参考例7乃至参考例9に係るLポケット付きボトムズとしての綿パン51,66,71におけるLポケットの外縁の構造と併用した場合には、Lポケット付きボトムズ51,66,71のウエスト周りが伸縮する際に表から見たLポケットの周囲にシワ等を生ずることを、より一層効果的に防止することができる。
このようにして、参考例10に係るLポケット付きボトムズとしての綿パン75,75Aにおいては、延出部53Bが収容部53Aに対して摺動してウエスト周りが伸びる際に延出部53Bが上がるようにすることによって、延出部53Bと収容部53Aとの段差を感じさせず、見栄え・美観を損なうことなく、Lポケットの前中心よりの側に延出部53Bと収容部53Aの境界線を位置させてウエストサイズを伸縮自在とすることができる。
参考例11
次に、本発明の参考例11に係るLポケット付きボトムズについて、図24を参照して説明する。図24(a)は本発明の参考例11に係るLポケット付きボトムズとしての綿パンの全体構造を示す正面図、(b)はその綿パンの左Lポケットとその近傍のウエスト周りが縮んだ状態を示す部分拡大図、(c)はウエスト周りが伸びた状態を示す部分拡大図である。
なお、参考例11に係るLポケット付きボトムズとしての綿パン51EのLポケット及びその外縁、並びにウエスト伸縮自在構造の構成は、図15乃至図18に示される参考例7に係る綿パン51と同様であるので、同一の部分には同一の符号を付して説明を省略する。図24に示されるように、参考例11に係るLポケット付きボトムズとしての綿パン51Eが参考例7に係る綿パン51と異なるのは、ベルト部53にベルト通し70が設けられている点である。
すなわち、図24(a)に示されるように、参考例11に係る綿パン51Eにおいては、ベルト部53の左右の収容部53Aと延出部53Bの境界に1対のベルト通し70が縫付けられている。勿論、ベルト通し70が1対のみでは不自然なので、綿パン51Eのベルト部53の両脇部及び背面部にも、同様のベルト通し70が適当な間隔をとって縫付けられている。これによって、収容部53Aの端がベルト通し70によって完全に隠されるので、より見栄え・美観に優れたLポケット付きボトムズとなる。
このようにして、参考例11に係るLポケット付きボトムズとしての綿パン51Eにおいては、ウエスト周りが伸びる際に延出部53Bが上がるようにすることによって延出部53Bと収容部53Aとの段差を感じさせないだけでなく、収容部53Aの端がベルト通し70によって完全に隠されるので、より見栄え・美観を損なうことなく、Lポケットの前中心よりの側に延出部53Bと収容部53Aの境界線を位置させてウエストサイズを伸縮自在とすることができる。
実施の形態1
次に、本発明の実施の形態1に係るLポケット付きボトムズについて、図25乃至図31を参照して説明する。
図25(a)は本発明の実施の形態1に係るLポケット付きボトムズとしての綿パンの左Lポケットの要部裏面の縫製途中の構成を示す部品展開図、(b)は本発明の実施の形態1に係るLポケット付きボトムズの作用効果を示す説明図である。図26(a),(b),(c),(d)は本発明の実施の形態1に係るLポケット付きボトムズとしての綿パンのLポケットの袋布の縫製工程を示す説明図である。
図27(a),(b),(c),(d),(e),(f)は本発明の実施の形態1に係るLポケット付きボトムズの左Lポケットの外縁の伸縮構造の作製手順を表側から見て示す説明図である。図28(a),(b),(c),(d)は本発明の実施の形態1の第1変形例に係るLポケット付きボトムズとしての綿パンのLポケットの袋布の縫製工程を示す説明図である。図29(a),(b),(c),(d)は本発明の実施の形態1の第2変形例に係るLポケット付きボトムズとしての綿パンのLポケットの袋布の縫製工程を示す説明図である。
図30(a),(b),(c),(d),(e)は本発明の実施の形態1の第3変形例に係るLポケット付きボトムズとしての綿パンのLポケットの袋布の縫製工程を示す説明図である。図31(a),(b),(c),(d)は本発明の実施の形態1の第4変形例に係るLポケット付きボトムズとしての綿パンのLポケットの袋布の縫製工程を示す説明図である。
図25(a)に示されるように、実施の形態1に係るLポケット付きボトムズとしての綿パン81は、前身頃84のベルト部83の近傍に左右1対のLポケット82を有しており、これらのLポケット82のポケット口外縁82Aの前中心FCよりの部分(外縁82Aの上部)の近傍に、ベルト部83の見掛け上の長さを伸縮自在としたウエスト周り伸縮自在構造を有している。
すなわち、ベルト部83には左右1対のLポケット82のポケット口外縁82Aの近傍に、収容部83Aとその収容部83A内に挿入される延出部83Bからなる重ね合せ部が形成されており、延出部83Bの先端と収容部83Aとが収容部83A内において主弾性材としてのゴムテープ90及び伸び止め材91で接続されることによって、ベルト部83の見掛け上の長さを伸縮自在としている。また、Lポケット82の袋布85を保持するために、補助弾性材としての細いゴムテープ92が縫付けられている。
ここで、図25(a)に示されるように、実施の形態1に係る綿パン81においては、Lポケット82の袋布85の端部85aの上端を分割して、パイピング部分86が設けられている。このようにパイピング部分86を設けることによって、図25(b)に示されるように、袋布85の上端のパイピング部分86の内側のみが延出部83Bの摺動に伴って引っ張られ、袋布85の上端のパイピング部分86の外側が縫付けられている前身頃84の図の左端は引っ張られず、この部分が引き攣ることがなく、表側から見た場合でも良好な見栄えを保つことができる。
そして、実施の形態1に係る綿パン81においては、最初に図42において説明したように、従来の袋布105Aのパイピング106における折り返し部分106aが解れ易いという問題点を解決するために、袋布85の縫製方法を改良している。
実施の形態1に係る綿パン81における袋布85の縫製方法について、図26を参照して説明する。まず、図26(a)に示されるように、袋布85の生地80の折り返し部分80aに、上部から分割部分としての切り込み87を入れる。次に、図26(b)に示されるように、この袋布85の生地80の切り込み87を拡げて、パイピング専用のミシンを用いてパイピング80bを形成する材料となるバイアス布を供給しながら、パイピング80bを施す。
続いて、図26(c)に示されるように、パイピング80bの下端の折り返し部分80cに摘み縫い88を施し、図26(d)に示されるように、摘み縫い88を施した部分が内側になるように袋布85の生地80全体を裏返して、袋布85の生地80の下端及び反対側の端を縫い合わせる。このようにして、綿パン81の袋布85が縫製される。これによって、最終的に形成されたパイピング部分86は、折り返し部分80cに摘み縫い88を施して裏返して袋布85が縫い上げられていることによって、パイピング80bの下端の折り返し部分80cが強化されて、長期間の着用や洗濯の繰り返しによって力が掛かっても解れることがない。
そして、袋布85の前中心FCよりの端の上部を切り込み87によって分割して、分割部分87にパイピング80bを施しているため、袋布85の上端のパイピング部分86の内側のみが延出部83Bの摺動に伴って引っ張られ、袋布85の上端のパイピング部分86の外側が縫付けられている前身頃84の左端は引っ張られず、この部分が引き攣ることがなく、表側から見た場合でも良好な見栄えを保つことができる。
更に、実施の形態1に係るLポケット付きボトムズとしての綿パン81においては、ウエスト周り伸縮自在構造によってウエスト周りが伸びて延出部83Bが収容部83Aから抜き出される方向に移動する際に、Lポケット82の周囲にシワ等を生ずることなくLポケット82の外縁82Aが滑らかに変形する。これは、Lポケット82の外縁82Aが伸縮性を有しているからである。このLポケット82の外縁82Aに伸縮性を持たせる縫製方法について、図27を参照して説明する。図27(a),…,(f)は、全て左側のLポケット82を表側から見て縫製の手順を示したものである。
まず、図27(a)に示されるように、綿パン81の前身頃84の表側にLポケット82の外縁82Aの形状に合わせて裁断した袋布の生地85を、地縫い92によって縫付ける。次に、図27(b)に示されるように、外縁82Aの上部82Aaを略垂直に立てながら外縁82Aの中央部82Abを長さ方向に縮めた状態として、この状態で外縁中央部82Abの上からスチームアイロンを掛けて圧縮してプレスする。これによって、縮めた状態とした外縁中央部82Abのシワは綺麗に潰れて、図27(c)に示されるように滑らかな曲線となる。
この上から、図27(c)に示されるように、伸縮性を有する生地としての帯状のパワーネット93を、地縫い92の縫い目に沿って縫付ける。そして、図27(d)に示されるように、帯状のパワーネット93の縁に沿って外側の余った部分を切り取り、図27(e)に示されるように袋布85を地縫い92の部分で折り返して、袋布85を向こう側、すなわち綿パン81の裏側にひっくり返す。そして、図27(f)に示されるように新しいLポケット82の外縁82Aに沿ってダブルステッチ82aを掛けることによって、外縁中央部82Abが伸縮自在なLポケット82の構造が完成する。
なお、実施の形態1においては、地縫い92を縫い易くするために地縫い92の外縁82Aからの縫代を1.0cmと大きく取ったので、図27(d)に示されるように、帯状のパワーネット93の縁に沿って外側の余った部分を切り落とす工程が必要になっているが、最初から地縫い92の外縁82Aからの縫代を0.5cmと小さくしておけば、外側の余った部分を切り落とす工程が不要になるので、この方法によっても良い。
このように、実施の形態1に係るLポケット付きボトムズとしての綿パン81においては、ウエスト周り伸縮自在構造を構成する延出部83Bと収容部83Aの重ね合せ部がLポケット82の前中心FCよりの外縁82Aの近傍に位置するため、収容部83Aの端がLポケット82の前中心FCよりの外縁82Aとスムーズにつながるような外見となり、収容部83Aの端を隠さなくとも美観を損なうことがない。
また、外縁中央部82Abを長さ方向に縮めた状態で裏側からスチームアイロンによりプレスして、その上から伸縮性を有する生地としての帯状のパワーネット93を縫付けてあるため、ウエスト周り伸縮自在構造によってウエスト周りが伸びて延出部83Bが収容部83Aから抜き出される方向に移動する際に、Lポケット82の外縁上部82Aaも前中心FC方向に引っ張られるが、外縁中央部82Abが上述したように伸縮自在の構造になっているため滑らかに伸びて追従し、Lポケット82の周辺に従来のようなシワがよったりして見栄えを損ねることもない。
そして、ウエスト周りを伸ばそうとする力が解除されると、延出部83Bと収容部83Aとの間に両端が接続された主弾性材としてのゴムテープ90によって再び延出部83Bが収容部83A内に収容される方向に移動するが、この際にもLポケット82の外縁中央部82Abが伸縮自在の構造になっているため滑らかに縮んで追従し、綺麗にもとの状態に復帰する。このように、実施の形態1に係るLポケット付きボトムズとしての綿パン81においては、従来不可能とされてきたLポケット付きボトムズにウエスト周り伸縮自在構造を付加することを、簡単な構造によって可能としたものである。
このようにして、実施の形態1に係る綿パン81においては、Lポケット82の袋布85の強度を維持して長期間の着用や洗濯の繰り返しにも耐えるとともに、着用時にLポケット82の周辺が引き攣って美観を損なうことがない。
なお、実施の形態1に係る綿パン81においても、図6(a)に示される実施の形態1の第2変形例に係る綿パン1Bと同様に、Lポケット82の袋布85の前中心FC側の折り返し部分の上端にもパイピングを施すことができる。このように、袋布85の上端にもパイピングを施すことによって、延出部83Bが移動する際の抵抗が少なくなってスムーズにウエスト周りが伸び、更に袋布85の上端が補強されるとともに、綿パン81が商品として陳列されている際の裏側の見栄えをも向上させることができる。
次に、実施の形態1の第1変形例に係るLポケット付きボトムズとしての綿パンのLポケットの袋布の縫製工程について、図28を参照して説明する。実施の形態1の第1変形例に係るLポケットの袋布の縫製工程は、図26に示されるLポケット82の袋布85の縫製工程と同様である。異なるのは、パイピングが施される分割部分が、袋布の前中心側の折り返し部分から内側にずれている点である。
すなわち、図28(a)に示されるように、袋布85Bの生地80Bの折り返し部分80Baから約7mmずれた位置に、上部から分割部分としての切り込み87Bを入れる。次に、図28(b)に示されるように、この袋布85Bの生地80Bの切り込み87Bを拡げて、パイピング専用のミシンを用いてパイピング80Bbを形成する材料となるバイアス布を供給しながら、パイピング80Bbを施す。
続いて、図28(c)に示されるように、パイピング80Bbの下端の折り返し部分80Bcに摘み縫い88Bを施し、図28(d)に示されるように、摘み縫い88Bを施した部分が内側になるように袋布85Bの生地80B全体を裏返して、袋布85Bの生地80Bの下端及び反対側の端を縫い合わせる。このようにして、実施の形態1の第1変形例に係る袋布85Bが縫製される。
これによって、最終的に形成されたパイピング部分86Bは、折り返し部分80Bcに摘み縫い88Bを施して裏返して袋布85Bが縫い上げられていることによって、パイピング80Bbの下端の折り返し部分80Bcが強化されて、長期間の着用や洗濯の繰り返しによって力が掛かっても解れることがない。また、パイピング部分86Bの位置を、袋布85Bの折り返し部分85Baから約7mm、すなわちパイピング80Bbの幅の分だけずれた位置としたことによって、パイピング部分86Bが隠れて見えないため、商品として陳列された場合の裏側の美観が向上する。
そして、袋布85Bの前中心FCよりの端の上部を切り込み87Bによって分割して、分割部分87Bにパイピング80Bbを施しているため、袋布85Bの上端のパイピング部分86Bの内側のみが延出部83Bの摺動に伴って引っ張られ、袋布85Bの上端のパイピング部分86Bの外側が縫付けられている前身頃84の左端は引っ張られず、この部分が引き攣ることがなく、表側から見た場合でも良好な見栄えを保つことができる。
次に、実施の形態1の第2変形例に係るLポケット付きボトムズとしての綿パンのLポケットの袋布の縫製工程について、図29を参照して説明する。実施の形態1の第2変形例に係るLポケットの袋布85Cは、上記袋布85,85Bと異なり、一枚の生地から縫製されるのではなく、2枚の生地を接ぎ合わせて縫製される。
すなわち、図29(a)に示されるように、突出部分80Cbを有する2枚の袋布の生地80Cの端を合わせて、突出部分80Cbの上から約1cmをステッチ80Caで縫付けて、図29(b)に示されるように分割部分80Ccを拡げて、図29(c)に示されるように、この分割部分80Ccにパイピング専用のミシンを用いてパイピング80Cdを形成する材料となるバイアス布を供給しながら、パイピング80Cdを施す。
続いて、図29(d)に示されるように、パイピング80Cdの下端の折り返し部分80Ceに摘み縫い88Cを施し、図29(e)に示されるように、摘み縫い88Cを施した部分が内側になるように袋布85Cの生地80C全体を裏返して、袋布85Cの生地80Cの下端及び反対側の端を、突出部分80Cbの上からロックミシンによって縫い合わせる(インターロックを掛ける)。このようにして、実施の形態1の第2変形例に係る袋布85Cが縫製され、形成されたパイピング部分86Cのみならず、袋布85Cの下端及び反対側もロック始末87Cが施されるため、より丈夫な袋布85Cとなる。
次に、実施の形態1の第3変形例に係るLポケット付きボトムズとしての綿パンのLポケットの袋布の縫製工程について、図30を参照して説明する。実施の形態1の第3変形例に係るLポケットの袋布85Dは、2枚の生地を接ぎ合わせて縫製されるが、袋布85Cと異なり、まずパイピングが施されてから接ぎ合わされる。
すなわち、図30(a)に示されるように、まず2枚の袋布の生地80Dの端にそれぞれ、パイピング専用のミシンを用いてパイピング80Daを形成する材料となるバイアス布を供給しながら、パイピング80Daが施される。次に、図30(b)に示されるように、これら2枚の袋布の生地80Dのパイピング80Daを合わせて、パイピング80Daの下部を互いに縫付けるようにして、ステッチ80Dbによって接ぎ合わせる。
そして、図30(c),(d)に示されるように、パイピング80Daが内側になるように2枚の袋布の生地80Dを裏返して、袋布85Dの生地80Dの下端及び反対側の端を縫い合わせる。このようにして、実施の形態1の第3変形例に係る袋布85Dが縫製される。
次に、実施の形態1の第4変形例に係るLポケット付きボトムズとしての綿パンのLポケットの袋布の縫製工程について、図31を参照して説明する。実施の形態1の第4変形例に係るLポケットの袋布85Eは、やはり2枚の生地を接ぎ合わせて縫製されるが、袋布85Cと異なり、2枚の袋布の生地80Eの一方に予め当て布89が縫付けられている。
すなわち、図31(a)に示されるように、2枚の袋布の生地80Eの一方には予め当て布89が縫付けられており、他方にはLポケット82の外縁82Aが形成されている。これら2枚の袋布の生地80Eが合わせ目80Ebに沿って縫い合わされ、上部80Eaが縫い合わされずに分割部分として残される。次に、図31(b)に示されるように、この分割部分80Eaを拡げて、パイピング専用のミシンを用いてパイピング80Ecを形成する材料となるバイアス布を供給しながら、パイピング80Ecが施される。
続いて、図31(c)に示されるように、パイピング80Ecの下端の折り返し部分80Edに摘み縫い88Eを施し、図31(d)に示されるように、摘み縫い88Eを施した部分が内側になるように袋布85Eの生地80E全体を裏返して、袋布85Eの生地80Eの下端及び反対側の端を縫い合わせる。このようにして、実施の形態1の第4変形例に係る袋布85Eが縫製される。
なお、図31(e)に示されるように、2枚の袋布の生地の一方をLポケット付きボトムズとしての綿パンの前身頃と共地の生地89Fを用いて、同様な手順で縫い合わせることによって、袋布85Fとすることもできる。
実施の形態2
次に、本発明の実施の形態2に係るLポケット付きボトムズについて、図32を参照して説明する。図32(a)は本発明の実施の形態2に係るLポケット付きボトムズとしての綿パンの左Lポケットとその近傍のウエスト周りが縮んだ状態を示す部分拡大図、(b)はウエスト周りが伸びた状態を示す部分拡大図、(c),(d)は左Lポケットの外縁の伸縮構造の作製手順を表側から見て示す説明図、(e)は本発明の実施の形態2の変形例に係る綿パンの左Lポケットの外縁の伸縮構造を表側から見て示す説明図である。
実施の形態2に係るLポケット付きボトムズとしての綿パン96は、実施の形態1に係るLポケット付きボトムズとしての綿パン81と同様に、前身頃のベルト部83の近傍に左右1対のLポケット97を有しており、これらのLポケット97のポケット口外縁97Aの前中心FCよりの部分(外縁97Aの上部)の近傍に、ベルト部83の見掛け上の長さを伸縮自在としたウエスト周り伸縮自在構造を有している。
すなわち、実施の形態1と同様に、ベルト部83には左右1対のLポケット97のポケット口外縁97Aの近傍に、収容部83Aとその収容部83A内に挿入される延出部83Bからなる重ね合せ部が形成されており、延出部83Bの先端と収容部83Aとが収容部83A内において主弾性材としてのゴムテープ90で接続されることによって、ベルト部83の見掛け上の長さを伸縮自在としている。そして、Lポケット97の袋布85の端部85aの上端を分割して、パイピング部分86が設けられている点等についても、実施の形態1に係る綿パン81と同様である。
これによって、ベルト部83に引っ張り力が掛かっていない場合には、図32(a)に示されるようにLポケット97の外縁97Aの上部が収容部83Aの端と一致しており、ベルト部83に引っ張り力が掛かってウエスト周りが伸びると、図32(b)に示されるようにLポケット97の外縁97Aの上部も延出部83Bと一体に移動して、Lポケット97の周囲にシワ等を生ずることなくLポケット97の外縁97Aが滑らかに変形する。これは、Lポケット97の外縁97Aが伸縮性を有しているからである。
このLポケット97の外縁97Aに伸縮性を持たせる縫製方法について、図32(c),(d)を参照して説明する。まず、図32(c)に示されるように、綿パン96の前身頃84の表側にLポケット97の外縁97Aの形状に合わせて裁断した袋布の生地85を、地縫い98によって縫付け、次に外縁97Aの中央部に切欠き97Bを設ける。そして、図32(d)に示されるように、外縁97Aの上部を略垂直に立てながら外縁中央部の切欠き97Bを縮めた状態として、この状態で外縁中央部の上から伸縮性を有する生地としての帯状のパワーネット99を、地縫い98の縫い目に沿って縫付ける。
なお、実施の形態2においては、地縫い98の縫代を最初から0.5cmと小さく取ったため、実施の形態1のように外縁97Aの縁を切り落とす作業の必要がなくなるが、実施の形態1と同様に地縫い98の縫代を1.0cm取っておいて、帯状のパワーネット99を縫付けた後に外縁97Aの縁を切り落とす方法を採っても良い。
後は、実施の形態1の図27(e)に示されるのと同様に、袋布85を地縫い98の部分で折り返して、袋布85を向こう側、すなわち綿パン96の裏側にひっくり返す。そして、図27(f)に示されるように新しいLポケット97の外縁97Aに沿ってダブルステッチ82aを掛けることによって、外縁中央部が伸縮自在なLポケット97の構造が完成する。
このように、実施の形態2においては、外縁97Aの中央部に切欠き97Bを設けることによって外縁97Aの中央部が伸縮自在なLポケット97としているため、実施の形態1のようにスチームアイロンでプレスする工程を省くことができ、より容易に短時間でLポケット97の外縁97Aに伸縮性を持たせることができる。なお、切欠き97Bは1つに限られるものではなく、図32(e)に示されるように、3ヵ所に切欠き97Bを設けてこれら3ヵ所の切欠き97Bを縮めた状態として、この状態で外縁中央部の上から伸縮性を有する生地としての帯状のパワーネット99を、地縫い98の縫い目に沿って縫付けることもできる。
これによって、ウエスト周り伸縮自在構造によってウエスト周りが伸びて延出部83Bが収容部83Aから抜き出される方向に移動する際に、Lポケット97の外縁上部97Aも前中心FC方向に引っ張られるが、外縁中央部97Aが上述したように伸縮自在の構造になっているため滑らかに伸びて追従し、Lポケット97の周辺に従来のようなシワがよったりして見栄えを損ねることもない。
そして、ウエスト周りを伸ばそうとする力が解除されると、延出部83Bと収容部83Aとの間に両端が接続された主弾性材としてのゴムテープ90によって再び延出部83Bが収容部83A内に収容される方向に移動するが、この際にもLポケット97の外縁中央部97Aが伸縮自在の構造になっているため滑らかに縮んで追従し、綺麗にもとの状態に復帰する。このように、実施の形態2に係るLポケット付きボトムズとしての綿パン96においては、従来不可能とされてきたLポケット付きボトムズにウエスト周り伸縮自在構造を付加することを、簡単な構造によって可能としたものである。
このようにして、実施の形態2に係るLポケット付きボトムズとしての綿パン96においては、Lポケット97の袋布85の強度を維持して長期間の着用や洗濯の繰り返しにも耐えるとともに、着用時にLポケット97の周辺が引き攣って美観を損なうことがない。
以上、本発明に係るLポケット付きボトムズの各実施の形態について説明したが、更に可能な範囲でこれらの各実施の形態を同時に本発明に係るLポケット付きボトムズに適用することもできる。例えば、上記参考例1乃至参考例6に係るLポケット付きボトムズに、更に上記参考例7または上記実施の形態1に係るLポケット付きボトムズの構成を組み合わせることもでき、上記参考例7乃至参考例11に係るLポケット付きボトムズに、更に上記実施の形態1に係るLポケット付きボトムズの構成を組み合わせることもできる。
上記各実施の形態及び各参考例においては、収容部及び延出部をいずれもLポケット付きボトムズの前身頃と共地で作製しており、かつ、収容部及び延出部の表裏を一体として、ベルト部上端で折り曲げる構成とした例についてのみ説明したが、収容部及び延出部の構成はこれに限られるものではない。
例えば、収容部及び延出部の表側のみを前身頃と共地として、収容部及び延出部の裏側は別の生地として、ベルト部上端で両者の生地を接ぐ構成とすることもできる。ここで、収容部及び延出部の裏側を構成する別の生地としては、収容部の裏側をマーベルトとして延出部の裏側にもマーベルトを用いる構成、収容部及び延出部の裏側を一体として伸縮性を有する生地、例えばパワーネットやゴム生地を用いる構成が考えられる。また、延出部の裏側にゴム生地を用いて、収容部の裏側を前身頃と共地で作製するか、若しくはマーベルトとする構成を採用することもできる。
また、上記各実施の形態及び各参考例においては、Lポケット付きボトムズの前部の左右のポケットがいずれもLポケットである場合について説明したが、左右のポケットのいずれか一方のみがLポケットで、他方は脇ポケット等の異なるポケットであっても構わない。また、上記各実施の形態においては、主としてLポケット付きボトムズとして綿パンの例について説明したが、綿パンの一種であるチノパンやジーンズ(Gパン)等を始めとするLポケットを有するボトムズであれば、カジュアルなボトムズ、カジュアルでないボトムズを問わず、どのような衣服にも適用することができる。
更に、上記各実施の形態及び各参考例においては、主弾性材としてゴムテープを用いた場合について説明したが、主弾性材としては他にも平ゴム、ゴム製板等の様々な弾性を有する素材を用いることができる。
本発明を実施するに際しては、Lポケット付きボトムズの構造、形状、材質、生地、大きさ、長さ、幅、接続関係等についても、上記各実施の形態及び各参考例に限定されるものではない。なお、本発明の実施の形態及び各参考例で挙げている数値は、臨界値を示すものではなく、実施に好適な好適値を示すものであるから、上記数値を若干変更してもその実施を否定するものではない。