JP5145161B2 - 農事用空気調和装置 - Google Patents
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Description
ところで、農事用ではないが厨房又は工場向けの空気調和装置には、下面の外装パネルに空気吸込口を形成し、前面の外装パネル中央に吹出口を形成し、この吹出口左右に、スポット空調用のダクトを接続するダクト吹出口を形成したものがある(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、上述した厨房又は工場向けの空気調和装置は、天井設置の構成であるため、比較的脆弱なビニールハウスに設置するのに適さない。また、下面から空気を吸い込んで前面左右から排出する構成であるため、装置内の通風路が屈曲して空気抵抗が比較的多くなってしまうと共に熱交換器のレイアウトスペースが制約され、送風量及び熱交換能力が制約される等の農事用空気調和装置に適用さない様々な問題がある。
図1は、植物等の栽培に用いられるビニールハウス(植物栽培用ハウス)1内に本実施形態に係る農事用空調機(農事用空気調和装置)6を設置した状態を示す概要図である。
ビニールハウス1は、外側空間2と内側空間3とを仕切る外壁4によって温室として区画されており、その内部を所定の温度に維持することで植物5の栽培を促進させる。この外壁4には、断熱性に優れた合成樹脂等が使用される。
この室外機10は、図2に示すように、略直方体箱形状のユニットケース11を備えている。このユニットケース11は、底板12、天板13、左側前面パネル14a、右側前面パネル14b、及び、外板15によって構成されている。左側前面パネル14aの内側には、後述する2つの送風ファン34、34が上下に並設されており、このパネル14aの前面には、送風ファン34、34の各々に対応する前面開口部(吹出口として機能する開口部)16、16が形成され、この前面開口部16、16は、ファンガード17、17で覆われている。
このように室外熱交換器32をユニットケース11の左側面及び背面から露出(表出)させることで、外気との接触面積を広く確保し、熱交換率を高めることができる。また、本構成では、室外熱交換器32をユニットケース11のケース高さと略同高さに形成しており、これにより、ユニットケース11の左側面及び背面にて上下に渡って室外熱交換器を露出させ、ユニットケース11全体に占める熱交換面積をより広く確保することができる。
すなわち、送風ファン34、34を駆動した場合、ユニットケース11の背面開口部18から外気が吸い込まれ、室外熱交換器32を通過して熱交換され、この熱交換された空気が、ユニットケース11の前面開口部16、16から各々排出される。本構成では、送風ファン34、34を上下に配置したため、上方の送風ファン34により上方空気の強制排気を行い、下方の送風ファン34により下方空気の強制排気を行うことで、室外熱交換器32における熱交換が強制的に促進され、さらに、機械室40に収容される圧縮機41や電源トランス48等から発せられる熱が、室外機10の外部へ放出される。また、これらの送風ファン34は、プロペラファン型が適用され、モータ容量が同一の場合のシロッコファンと比較して送風能力を高くすることができる。
この室内機50は、上述した室外機10(すなわち、汎用の空調機に使用される室外機と同一の室外機)と使用可能な部品の共通化(少なくとも主要部品である、室内熱交換器52(室外熱交換器32と同一)、ユニットケース11、ファンモータ33、送風ファン34が同一)が図られたものであり、その外観構成及び外観形状は室外機10(図2参照)と略同じである。以下の説明では、室内機50に使用される部品であって室外機10の部品と同じ部品については同一の符号を付して説明する。
すなわち、室内熱交換器52が、ユニットケース11の左側面及び背面から露出することで、外気(ハウス1内の空気)との接触面積を広く確保し、熱交換効率を高めることができると共に、室内機50の空気吸込口(=背面開口部18)を広く確保することができる。また、室内熱交換器52と室外熱交換器32とが共通で同一形状かつ同一サイズとなるため、室内と室外とで熱交換量のバランスをとりやすくなり、エネルギー消費効率の向上に有利なレイアウトにすることができる。
これら2個のファンモータ33、33は、それぞれ電装ボックス56から電源供給を受けて回転し、送風ファン34、34を駆動する。この送風ファン34、34を駆動した場合には、ユニットケース11の背面開口部18から外気が吸い込まれ、室内熱交換器52を通過して熱交換され、この熱交換された空気(調和空気とも言う)が、ユニットケース11の前面開口部16、16から各々排出される。この室内機50でも、送風ファン34、34を上下に配置したため、室外熱交換器32における熱交換を効率よく行うことができ、また、ユニット内の通風路を直線にでき、かつ、送風ファン34、34をプロペラファン型としているため、モータ容量が同一の場合のシロッコファンと比較して送風能力を高くすることができる。
このフレキシブルダクト61、61は、基端部にフランジ部62、62を有し、室内機50のユニットケース11には、フランジ部62をねじ止めするための図示せぬねじ孔が形成され、フランジ部62がユニットケース11にねじで締結される。なお、図4では、フレキシブルダクト61、61を取り外した状態を示している。
このように室内機50の前面開口部16、16にフレキシブルダクト61、61を接続することにより、室内熱交換器52で熱交換された全調和空気をフレキシブルダクト61、61を通じてビニールハウス1内に供給することができる。このフレキシブルダクト61、61はその曲げ方向や長さに調整自由度があるため、調和空気の供給位置及び吹き出し方向の自由度を向上させることができる。
また、下面や前面から空気を吸い込んで前面から吹き出す構造では、室内熱交換器の熱交換面積を大きくすることが困難である。すなわち、ユニットケースの外側に熱交換器を表出させる構造と異なり、ユニットケース内に室内熱交換器を内包するようにしなければならないため、熱交換器が小さくなってしまう。換言すれば、同一の熱交換面積を確保するためには、ユニットケースの外形状を大きくしなければならず、かつ、大きくするために農事用空調機6としての専用設計が必要となる。
さらに、送風ファンも、居室空間に設置するシロッコファンのように静音のものを使用しなくてもよく、音が多少大きくても多くの空気を吸い込み/吹き出すことのできる送風ファン34を使用することが得策である。
さらにまた、室外機は防水構造で構成されているため、防水構造にするための専用設計を必要とせず、散水等によって室内機50に水がかかっても問題はない。
また、側面視では、図6に示すように、室内機50、50の上側のフレキシブルダクト61が若干上向きとされ、下側のフレキシブルダクト61が地面の上などに引き回されて地面近傍に調和空気を吹き出す。これにより、ビニールハウス1の上方空間と下方空間とに調和空気を吹き出し、上下方向の室内温度の偏りもなくすことができる。これにより、ビニールハウス1の内側空間3を均質に空調することができる。
本構成では、このような植物5の栽培高さに合わせてフレキシブルダクト61の向き及び長さを調整して、植物5の栽培に適した所望の温度分布環境をつくることも可能である。具体的には、地面近傍で植物5を育てる場合には、地面近傍の温度分布を適切にするフレキシブルダクト61の向き及び長さに調整し、人の腰の高さ程度で植物5を育てる場合には、人の腰の高さ程度の高さを基準に温度分布を適切にするフレキシブルダクト61の向き及び長さに調整し、人の頭上程度の高さで植物5を育てる場合には、人の頭上程度の高さを基準に温度分布を適切にするフレキシブルダクト61の向き及び長さに調整し、といった具合である。
しかも、フレキシブルダクト61を備えるため、室内機50の前面開口部16、16の向きが制約されず、図1に示すように、室内機50をビニールハウス1の外壁4に近接配置しても適切な温度環境をつくることができ、室内機50の配置自由度を向上することができる。また、ビニールハウス1の空間が幅広であったり、天井高であったりした場合でも、この空間に合わせてフレキシブルダクト61の向き、長さを変更することで、適切な温度環境を効率よくつくることができる。また、栽培する植物5の種類を代えて栽培高さが変わった場合でも、室内機50のレイアウトを変更する必要もない。
なお、室内機50からフレキシブルダクト61を取り外した場合には、室内機50のユニットケース11のねじ孔を利用して、室外機10と同様のファンガード17、17を取り付けることが可能である。
なお、この場合において、レシーバタンクを設置する場合には、圧縮機41及びアキュムレータ44が設置されていない室内機50側に配置することで、室内機50内のスペースを有効に利用することができる。
また、本実施形態では、ビニールハウス1の中に、2台の室内機50を配置したが、これに限らず、ビニールハウス1の容積が小さい場合には、一台の室内機50だけ設置する構成としてもよく、ビニールハウス1の容積が大きい場合には、多数台の室内機50(この場合、室外機10も多数台)を設置する構成としてもよい。
2 外側空間
3 内側空間
4 外壁
5 植物
6 農事用空調機(農事用空気調和装置)
7 冷媒配管
10 室外機
11 ユニットケース
16 前面開口部
18 背面開口部
32 室外熱交換器
34 送風ファン
50 室内機
52 室内熱交換器
61 フレキシブルダクト
Claims (1)
- 植物栽培用ハウス内に設置された室内機と、
前記植物栽培用ハウス外に設置され前記室内機に冷媒配管で接続された室外機とを備え、
前記室外機は圧縮機、室外熱交換器、プロペラファン、ファンモータを収容するケースを備え、該ケース、プロペラファンおよびファンモータが防水構造となっており、
前記室内機は、前記室外機の主要部品である室外熱交換器、プロペラファン、ファンモータおよびケースと共通化された、室内熱交換器、プロペラファン、ファンモータおよびケースを備え、このケースの背面には、前記室内熱交換器を露出させる背面開口部が形成され、前記ケースの前面には、前記プロペラファンにより前記背面開口部から吸い込んで前記室内熱交換器を通過した調和空気を吹き出す前面開口部が上下に間隔を空けて形成され、上の前面開口部には、上の前面開口部から吹き出す調和空気が通るフレキシブルダクトが前記植物栽培用ハウス内で上向きに角度および長さを調整可能に取り付けられ、下の前面開口部には、下の前面開口部から吹き出す調和空気が通るフレキシブルダクトが前記植物栽培用ハウス内で下向きに角度および長さを調整可能に取り付けられていることを特徴とする農事用空気調和装置。
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