JP5144344B2 - 燃料油組成物 - Google Patents

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  • Production Of Liquid Hydrocarbon Mixture For Refining Petroleum (AREA)

Description

本発明は、燃料油組成物に関し、更に詳しくは、動粘度安定性に優れる燃料油組成物に関し、特に舶用燃料油に好適な燃料油組成物に関する。
舶用燃料油は、常圧蒸留や減圧蒸留等の残渣油といった重質基材に対し、粘度調整のために軽質基材として軽油留分を配合し、製造される。重質基材と軽質基材には様々な種類が存在するが、重質基材、軽質基材ともに一種または二種以上の基材が用いられている。
舶用燃料油は、船舶のタンクに貯蔵されている。そして、一般に、舶用燃料油は、常温より高い温度で貯蔵され、その結果、含有されているアスファルテンなどの成分の平衡状態が崩れて、スラッジが生成し、動粘度が上昇する場合があるため、舶用燃料油において貯蔵安定性は重要な要求項目である。舶用燃料油における動粘度上昇は、噴霧状態の悪化を引き起こし、燃焼不良を起こす場合があり、これを抑制することは重要である。舶用燃料油におけるスラッジ生成の原因としては、舶用燃料油中に含まれる僅かな溶存酸素によって、舶用燃料油の一部が酸化変質を引き起こすこと、又は、熱履歴によるアスファルテン・ミセルとマルテンとのバランスの崩壊が考えられる(例えば、非特許文献1参照)。
一方、舶用燃料油などの燃料油組成物のスラッジ生成を抑制する方法として、一定の性状を持つ重質基材に、一定の性状の特定の芳香族留分を混合する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、上記のようなスラッジ生成を抑制する方法によっても、舶用燃料油においては、常温での輸送や燃料タンク貯蔵中にしばしば動粘度が上昇してしまうという課題が残されている。
「舶用燃料の科学」(成山堂書店)、第100〜107頁 特開2001−98288号公報
本発明の目的は、上記状況に鑑み、貯蔵中の動粘度上昇を抑制した動粘度安定性に優れる燃料油組成物を提供することである。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、燃料油組成物において調合に用いる重質基材中のアスファルテン分における平均構造パラメータ値が燃料油組成物の常温における動粘度上昇に影響を与えること、及び、燃料油組成物の重質基材の含有割合と、重質基材または混合重質基材に混合する軽質基材の後記式1または2により算出されるH値またはH’値との関係が燃料油組成物の常温における動粘度上昇に影響を与えることを見出し、このアスファルテン分の平均構造パラメータ、及びこの重質基材の含有割合と軽質基材のH値またはH’値との関係を特定の範囲内に制御することにより、常温における動粘度の上昇が少なく安定性に優れる燃料油組成物を提供することで、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、上記目的を達成するために、以下に示す燃料油組成物を提供するものである。
1) 重質基材に、または該重質基材と軽質基材(1)との混合重質基材に、軽質基材(2)を混合してなる燃料油組成物において、
前記重質基材または混合重質基材は、アスファルテン分10質量%以下を含有し、該アスファルテン分の平均構造パラメータ値の芳香環数が80以下であり、
式1より算出される前記軽質基材(2)のH値、または燃料油組成物中の前記軽質基材(1)と軽質基材(2)の容量比率と式1により算出される前記軽質基材(1)と軽質基材(2)のH値を用いて式2により算出されるH’値が共に−230〜32で、軽質基材(1)または軽質基材(2)はアロマ分を10〜80容量%含有し、かつ
前記燃料油組成物は、前記重質基材の含有量が59〜68容量%で、50℃における動粘度が181〜280mm/sであることを特徴とする燃料油組成物。
H値=870×Log(Log(50℃における動粘度+0.8))+154 (式1)
H’値={(軽質基材(1)のH値)×(燃料油組成物中の軽質基材(1)の容量比率)+(軽質基材(2)のH値)×(燃料油組成物中の軽質基材(2)の容量比率)}/{(燃料油組成物中の軽質基材(1)の容量比率)+(燃料油組成物中の軽質基材(2)の容量比率)} (式2)
2)(a)式1より算出される前記軽質基材(2)のH値、または燃料油組成物中の前記軽質基材(1)と軽質基材(2)の容量比率と式1により算出される前記軽質基材(1)と軽質基材(2)のH値を用いて式2により算出されるH’値が共に−230以上−94未満であり、燃料油組成物における前記重質基材の含有量が65容量%以上68容量%以下であるか、又は、
(b)式1より算出される前記軽質基材(2)のH値、または燃料油組成物中の前記軽質基材(1)と軽質基材(2)の容量比率と式1により算出される前記軽質基材(1)と軽質基材(2)のH値を用いて式2により算出されるH’値が共に−94以上−19未満であり、燃料油組成物における前記重質基材の含有量が62容量%以上65容量%未満であるか、又は、
(c)式1より算出される前記軽質基材(2)のH値、または燃料油組成物中の前記軽質基材(1)と軽質基材(2)の容量比率と式1により算出される前記軽質基材(1)と軽質基材(2)のH値を用いて式2により算出されるH’値が共に−19以上32以下であり、燃料油組成物における前記重質基材の含有量が59容量%以上62容量%未満であることを特徴とする上記1)に記載の燃料油組成物。
本発明によれば、動粘度の上昇を抑制し、動粘度の安定性に優れた燃料油組成物を提供することができる。本発明の燃料油組成物は、舶用燃料油として特に好適に用いることができる。
以下、本発明の内容を更に詳しく説明する。
本発明の燃料油組成物は、重質基材に軽質基材(2)を混合してなるか、または該重質基材と軽質基材(1)との混合重質基材に軽質基材(2)を混合してなる。
軽質基材(1)と軽質基材(2)は、同一組成でも良いし、異なる組成でも良い。また、混合重質基材を用いる場合、軽質基材(1)と、軽質基材(2)の量的関係は、任意であるが、一般に、軽質基材(1)と軽質基材(2)の合計量に対する軽質基材(1)の量が5〜60容量%であることが適当である。
また、本発明の燃料油組成物においては、前記軽質基材(2)のH値、または前記軽質基材(1)と軽質基材(2)を用いたH’値は、式1または式2により算出した値と、燃料油組成物の重質基材の含有量との関係を、下記一定の関係に維持する。以下、本願明細書において、「前記軽質基材(2)、または前記軽質基材(1)と軽質基材(2)」を総称して「軽質基材」とも記す。
すなわち、軽質基材のH値またはH’値は、50℃における動粘度から式1または式2により算出した値が−230〜32で、アロマ分を10〜80容量%含有し、かつ燃料油組成物は、前記重質基材の含有量が59〜68容量%で、50℃における動粘度が181〜280mm/sである。
本発明は、好ましくは
(a)式1より算出される前記軽質基材(2)のH値、または燃料油組成物中の前記軽質基材(1)と軽質基材(2)の容量比率と式1により算出される前記軽質基材(1)と軽質基材(2)のH値を用いて式2により算出されるH’値が共に−230以上−94未満であり、燃料油組成物における前記重質基材の含有量が65容量%以上68容量%以下であるか、又は、
(b)式1より算出される前記軽質基材(2)のH値、または燃料油組成物中の前記軽質基材(1)と軽質基材(2)の容量比率と式1により算出される前記軽質基材(1)と軽質基材(2)のH値を用いて式2により算出されるH’値が共に−94以上−19未満であり、燃料油組成物における前記重質基材の含有量が62容量%以上65容量%未満であるか、又は、
(c)式1より算出される前記軽質基材(2)のH値、または燃料油組成物中の前記軽質基材(1)と軽質基材(2)の容量比率と式1により算出される前記軽質基材(1)と軽質基材(2)のH値を用いて式2により算出されるH’値が共に−19以上32以下であり、燃料油組成物における前記重質基材の含有量が59容量%以上62容量%未満である。
このように、軽質基材の50℃における動粘度から下記式1または式2により算出したH値またはH’値と、燃料油組成物の重質基材の含有量との関係を維持することにより、重質基材に含まれるアスファルテン分の平均構造パラメータ値の芳香環数が80以下であることと相俟って、燃料油組成物の動粘度を、所期のようにその上昇を抑制し、その安定化を図ることができる。
H値870×Log(Log(50℃における動粘度+0.8))+154 (式1)
(出典:石油精製技術便覧(第3版)、産業図書(株))
なお、軽質基材の50℃における動粘度は、JIS K 2283「原油及び石油製品−動粘度試験方法及び粘度指数算出方法」により定量できる。
本発明の燃料油組成物の調製に当たり、混合重質基材調製に使用する軽質基材(1)と、燃料油調製で混合重質基材と混合する軽質基材(2)が、異なっている場合、燃料油組成物に含まれる軽質基材の50℃におけるH’値は、式2より算出することができる。軽質基材(1)と軽質基材(2)が同じ場合も式2を適用できるが、H値と同じとなる。
H’値={(軽質基材(1)のH値)×(燃料油組成物中の軽質基材(1)の容量比率)+(軽質基材(2)のH値)×(燃料油組成物中の軽質基材(2)の容量比率)}/{(燃料油組成物中の軽質基材(1)の容量比率)+(燃料油組成物中の軽質基材(2)の容量比率)} (式2)
更にまた、本発明の燃料油組成物においては、燃料油組成物の50℃における動粘度は、181〜280mm/sであり、好ましくは190〜270mm/sである。50℃における動粘度が181〜280mm/sの範囲であれば、この動粘度を仕様とする低速ディーゼルエンジンの噴射装置において、燃料油組成物の噴霧状態が良好であるため、低速ディーゼルエンジンで好適に使用できる。なお、燃料油組成物の50℃における動粘度は、軽質基材の50℃における動粘度と同様、JIS K 2283「原油及び石油製品−動粘度試験方法及び粘度指数算出方法」により定量できる。
また、本発明の燃料油組成物の硫黄分は、4.5質量%以下であることが好ましく、更に好ましくは3.5質量%以下である。
本発明の燃料油組成物においては、用いる重質基材または混合重質基材に含まれるアスファルテン分の平均構造パラメータ値の芳香環数が80以下が好ましい。しかし重質基材を使用することから、通常、芳香族環数は40以上となる。この芳香環数が大きいと、スラッジが生成しやすく、動粘度を上昇させる場合がある。芳香環数が80以下であれば、得られた燃料油組成物は、貯蔵しても動粘度上昇が顕著になることがなく、動粘度の安定化が図れる。
なお、重質基材または混合重質基材のアスファルテン分の平均構造パラメータ値である芳香環数は、JPI−5S−22−83に準拠して抽出したアスファルテン分について、「電子計算機を用いた芳香族系重質油類の構造解析法」(日本化学会誌、1975年、(1)、第127〜134頁)に準拠して、炭素分、水素分、窒素分、硫黄分、平均分子量、芳香族水素、芳香族α位水素、側鎖水素、末端メチル基水素、炭素芳香族性を測定し、それらデータより算出した。
本発明の燃料油組成物に用いる重質基材または混合重質基材は、上記のように含まれるアスファルテン分の平均構造パラメータ値の芳香環数が一定範囲であることの他、含まれるアスファルテン分量が10質量%以下であり、好ましくは8質量%以下であり、さらに好ましくは7質量%以下である。しかし、重質基材を使用することから、通常、アスファルテン分量は1質量%以上となる。アスファルテン分は、それ自体は固くてもろい褐色ないし黒褐色の粉末で、分子量の大きい炭素化された物質であり、通常は重油中のレジン分を吸着して、重油の中に分散して、平衡を保ち、安定な液状を呈している。しかし、平衡が破られるとアスファルテン分は凝集しスラッジを生成し、動粘度を上昇させる場合がある。重質基材または混合重質基材に含まれるアスファルテン分量が10質量%以下であれば、得られる燃料油組成物のスラッジの発生を抑制できる。
また、本発明の燃料油組成物に用いる重質基材または混合重質基材においては、含まれるレジン分量は、10〜30質量%であり、好ましくは12〜25質量%であり、さらに好ましくは15〜21質量%である。レジン分は、アスファルテン分に吸着され、アスファルテン分と吸着平衡を保って、アスファルテン分を重質基材または混合重質基材中に分散させる作用を有し、重質基材または混合重質基材が安定な液状を呈すようにする。しかし、レジン分とアスファルテン分の吸着平衡が破られると吸着されていたアスファルテン分が凝集スラッジを生成し、動粘度を上昇させる場合がある。重質基材または混合重質基材に含まれるレジン分が10〜30質量%であれば、得られる燃料油組成物の貯蔵時のスラッジの発生を抑制できる。
また、重質基材または混合重質基材に含まれる芳香族分量は、35〜55質量%であり、好ましくは37〜53質量%であり、さらに好ましくは40〜49質量%である。芳香族分は、溶解性に優れているが、燃焼性やエンジン始動性に悪影響を与える。重質基材に含まれる芳香族分量が35質量%以上であれば、得られる燃料油組成物において溶解性が保てるため、スラッジの発生を抑制でき、また、55質量%以下であれば、得られる燃料油組成物において燃焼性やエンジン始動性の悪化を防止できる。
また、重質基材または混合重質基材に含まれる飽和分量は、20〜45質量%であり、好ましくは22〜43質量%であり、さらに好ましくは24〜39質量%である。飽和分は、溶解性が低いが、燃焼性に優れている。重質基材または混合重質基材に含まれる飽和分量が20質量%以上であれば、得られる燃料油組成物の燃焼性が優れる。また、45質量%以下であれば、得られる燃料油組成物において溶解性が保てるため、スラッジの発生を抑制できる。
なお、重質基材または混合重質基材に含まれるアスファルテン分、レジン分、芳香族分、飽和分は、JPI−5S−22−83「アスファルトのカラムクロマトグラフィー法による組成分析法」に基づいて定量できる。
本発明の燃料油組成物に用いる軽質基材は、上記のようにその50℃における動粘度から上記式1により算出したH値(軽質基材(1)と軽質基材(2)の組成が異なる場合はH値3)が一定範囲であることの他、軽質基材(1)または(2)に含まれるアロマ分量は10〜80容量%であり、好ましくは15〜77容量%であり、さらに好ましくは17〜74容量%である。アロマ分は、溶解性に優れているが、燃焼性やエンジン始動性に悪影響を与える。軽質基材(1)または軽質基材(2)に含まれるアロマ分量が10容量%以上であれば、得られる燃料油組成物において溶解性が保てるため、スラッジの発生を抑制できる。また、80容量%以下であれば、得られる燃料油組成物において燃焼性やエンジン始動性の悪化を防止できる。
また、本発明の燃料油組成物に用いる軽質基材(1)または(2)においては、含まれるオレフィン分量は、15容量%以下であり、好ましくは13容量%以下であり、さらに好ましくは12容量%以下である。また、含まれるオレフィン分量は0容量%であってもよい。オレフィン分は、熱に対しての安定性が悪い。軽質基材(1)または軽質基材(2)に含まれるオレフィン分量が15容量%以下であれば、得られる燃料油組成物の熱に対しての影響が少なく、スラッジの発生が抑制できる。
また、該軽質基材(1)または軽質基材(2)に含まれる飽和分量は、20〜85容量%であり、好ましくは22〜83容量%であり、さらに好ましくは24〜80容量%である。飽和分は、燃焼性に優れているが、溶解性が低い。軽質基材(1)または軽質基材(2)に含まれる飽和分量が20容量%以上であれば、得られる燃料油組成物が燃焼性に優れる。また、85容量%以下であれば、得られる燃料油組成物において溶解性が保てるため、スラッジの発生を抑制できる。
なお、軽質基材(1)または軽質基材(2)に含まれる飽和分、オレフィン分、アロマ分は、JPI−5S−49−97「石油製品−炭化水素タイプ試験方法−高速液体クロマトグラフ法(HPLC)」に基づいて定量できる。
本発明の燃料油組成物には、必要に応じて、各種の添加剤を適宜配合することができる。このような添加剤としては、酸化防止剤、スラッジ分散剤、エマルション防止剤、燃焼促進剤、腐食防止剤、低温流動性向上剤など公知の燃料添加剤が挙げられる。これらを一種又は数種組み合わせて添加することができる。
本発明に用いられる重質基材としては、上記要件を満たすものであれば、特に制限されるべきものではないが、例えば、常圧残渣油、減圧残渣油、接触分解残渣油、熱分解残渣油、脱硫重油等が挙げられ、これらの中から選ばれた少なくとも1種の基材が用いられる。また、軽質基材としても、上記要件を満たすものであれば、特に制限されるべきものではないが、直留軽油、脱硫軽油、接触分解軽油、熱分解軽油等が挙げられ、これらの中から選ばれた少なくとも一種の基材が用いられる。
本発明の燃料組成物の製造方法は、前記した性状を満足する限り特に制限されない。重質基材に軽質基材を混合する回数は、1回でも良いし、2回以上でも良い。
本発明の燃料油組成物を上記1回の混合で調製する場合は、混合重質基材を用いない場合である。例えば、重質基材としてアスファルテン分の平均構造パラメータ値が芳香環数80以下の減圧残渣油に、軽質基材(2)としてアロマ分を10〜80容量%含有する流動接触分解装置から得られた軽質接触分解軽油を、燃料油組成物中の前記重質基材の含有量が59〜68容量%となるよう混合することにより得られる。
また、本発明の燃料油組成物を上記2回以上の混合で調製する場合は、混合重質基材を用いる場合である。
例えば、重質基材(減圧残渣油、常圧残渣油など)に軽質基材(1)(軽質接触分解軽油、重質接触分解軽油、接触分解残渣油など)を任意の組み合わせで1回以上混合し、流動性を持たせた半製品である混合重質基材を製造する。混合重質基材の50℃における動粘度の下限は、目的とする製品の動粘度より高くする。また上限は、製造装置上の制限値となるが、281〜3500mm/sであり、好ましくは、400〜3000mm/s、さらに好ましくは400〜2000mm/sである。
このように半製品である混合重質基材を調製することにより、軽質基材(2)の調合割合を調整することで本願燃料油組成物で50℃における動粘度が規定の範囲を有する燃料油組成物を製造することができ、また、本願以外の50℃における動粘度の燃料油組成物も得ることができる。
つまり、混合重質基材を調製することにより、本願も含めた幅広い50℃における動粘度を有する燃料油組成物を製造することができる利点がある。
該混合重質基材に軽質分解軽油、直留軽油など1種または2種以上の軽質基材を混合することにより50℃における動粘度が181〜280mm/sである燃料油組成物が得られる。
また、上記燃料油組成物には、必要に応じて、酸化防止剤、スラッジ分散剤など公知の燃料添加剤を一種又は数種組み合わせて添加しても良い。
以下に本発明の内容を実施例及び比較例により更に詳しく説明するが、本発明はこれらによって制限されるものではない。
実施例及び比較例において、重質基材及び混合重質基材の飽和分、芳香族分、レジン分、アスファルテン分は、JPI−5S−22−83に準拠して測定した。
重質基材及び混合重質基材のアスファルテン分の平均構造パラメータである芳香環数は、JPI−5S−22−83に準拠して抽出したアスファルテン分について、「電子計算機を用いた芳香族系重質油類の構造解析法」(日本化学会誌、1975年、(1)、第127〜134頁)に準拠して、炭素分、水素分、窒素分、硫黄分、平均分子量、芳香族水素、芳香族α位水素、側鎖水素、末端メチル基水素、炭素芳香族性を測定し、それらのデータより算出した。
上記芳香族水素、芳香族α位水素、側鎖水素、末端メチル基水素は、H−NMRにより測定した。測定条件を以下に示す。
装置:JNM−ECX400
試料濃度:10mg/0.5mL
測定溶媒:CDCl(重クロロホルム)
NMR試料管:5mmΦ
測定パルス:single_pulse
パルス幅:45deg(6.05μsec)
パルス待ち時間:5sec
積算回数:8scans
上記炭素芳香族性は、13C−NMRにより測定した。測定条件を以下に示す。
装置:JNM−ECX400
試料濃度:100mg/0.5mL
測定溶媒:CDCl
NMR試料管:5mmΦ
測定パルス:single_pulse_dec(NNE)
パルス幅:45deg(4.57μsec)
パルス待ち時間:8sec
積算回数:5120scans
また、軽質基材の飽和分、オレフィン分、アロマ分は、JPI−5S−49−97に準拠して測定した。
実施例及び比較例において、用いた重質基材及び混合重質基材の組成の詳細を表1に、軽質基材の組成の詳細を表2に、燃料油組成物の組成の詳細を表3に示す。表1において、重質基材として減圧残渣油を用いた(重質基材2〜6の組成は不記載)。混合重質基材は、表2記載の組成を有する軽質基材を用いて上記重質基材と混合して調製した。分解軽油は、軽質接触分解軽油である。
なお、密度は、JIS K 2249「原油及び石油製品−密度試験方法」、硫黄分は、JIS K 2541「原油及び石油製品−硫黄分試験方法」、窒素分は、JIS K 2609「原油及び石油製品−窒素分試験方法」、蒸留は、重質基材では、JIS K 2254「石油製品−蒸留試験方法」の「6.ガスクロマトグラフ法蒸留試験方法」、軽質基材では、JIS K 2254「石油製品−蒸留試験方法」の「4.常圧蒸留試験方法」に準拠した。
また、得られた燃料油組成物の貯蔵における動粘度経時変化確認試験を下記試験条件で実施した。
試験温度:25℃
光の有無:暗所
測定項目:50℃における動粘度
1サンプルあたりの動粘度測定回数:1週間毎、4回
1サンプルあたりの試料量:200mL
サンプル小分け量:50mL
小分けサンプル用試験容器:ガラス製50mLサンプル管
また、軽質基材、及び燃料油組成物の50℃における動粘度を、JIS K 2283に準拠して測定した。なお、結果については4週間後の動粘度変化量ではなく、4週間の間の動粘度変化最大量(動粘度増加分)とした。
実施例1〜12、比較例1〜6
表1及び2に記載の重質基材と軽質基材を表3に示すように用いて燃料油組成物を調製した。燃料油組成物の軽質基材、重質基材の比率(軽質基材比率、重質基材比率)、軽質基材のH値またはH’値、燃料油組成物の50℃における動粘度及び硫黄分を表3に上記と合わせて示す。また、燃料油組成物の動粘度増加分を表4に示す。
Figure 0005144344
Figure 0005144344
Figure 0005144344

Figure 0005144344
上記表に示した結果から、本発明に従った燃料油組成物が、動粘度安定性に優れることは明らかである。

Claims (2)

  1. 重質基材に、または該重質基材と軽質基材(1)との混合重質基材に、軽質基材(2)を混合してなる燃料油組成物において、
    前記重質基材または混合重質基材は、アスファルテン分10質量%以下を含有し、該アスファルテン分の平均構造パラメータ値の芳香環数が80以下であり、
    式1より算出される前記軽質基材(2)のH値、または燃料油組成物中の前記軽質基材(1)と軽質基材(2)の容量比率と式1により算出される前記軽質基材(1)と軽質基材(2)のH値を用いて式2により算出されるH’値が共に−230〜32で、軽質基材(1)または軽質基材(2)はアロマ分を10〜80容量%含有し、かつ
    前記燃料油組成物は、前記重質基材の含有量が59〜68容量%で、50℃における動粘度が181〜280mm/sであることを特徴とする燃料油組成物。
    H値=870×Log(Log(50℃における動粘度+0.8))+154 (式1)
    H’値={(軽質基材(1)のH値)×(燃料油組成物中の軽質基材(1)の容量比率)+(軽質基材(2)のH値)×(燃料油組成物中の軽質基材(2)の容量比率)}/{(燃料油組成物中の軽質基材(1)の容量比率)+(燃料油組成物中の軽質基材(2)の容量比率)} (式2)
  2. (a)式1より算出される前記軽質基材(2)のH値、または燃料油組成物中の前記軽質基材(1)と軽質基材(2)の容量比率と式1により算出される前記軽質基材(1)と軽質基材(2)のH値を用いて式2により算出されるH’値が共に−230以上−94未満であり、燃料油組成物における前記重質基材の含有量が65容量%以上68容量%以下であるか、又は、
    (b)式1より算出される前記軽質基材(2)のH値、または燃料油組成物中の前記軽質基材(1)と軽質基材(2)の容量比率と式1により算出される前記軽質基材(1)と軽質基材(2)のH値を用いて式2により算出されるH’値が共に−94以上−19未満であり、燃料油組成物における前記重質基材の含有量が62容量%以上65容量%未満であるか、又は、
    (c)式1より算出される前記軽質基材(2)のH値、または燃料油組成物中の前記軽質基材(1)と軽質基材(2)の容量比率と式1により算出される前記軽質基材(1)と軽質基材(2)のH値を用いて式2により算出されるH’値が共に−19以上32以下であり、燃料油組成物における前記重質基材の含有量が59容量%以上62容量%未満であることを特徴とする請求項1に記載の燃料油組成物。
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