JP5139916B2 - 発光装置 - Google Patents

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Description

本発明はLED(Light emitting
diode)素子を用いた発光装置に関し、特にストロボのフラッシュ光源として用いられる発光装置に関する。
従来からLEDの発熱を抑制するための放熱構造は数多く提案されている。例えば、特許文献1においては、図10に示されるように、ガラエポ樹脂からなる絶縁性を有する回路基板2の略中央部に貫通孔2aを設け、そこに高放熱部材5を配設し、この高放熱部材5上にLEDチップ6を搭載する構造を取っている。
LEDチップ6の発熱した熱を高放熱部材5に伝え、プリント基板8側に逃がす構造を取っている。
また、特許文献2においては、図11に示されるように、スリット12c部の絶縁部材13を挟んで一対の熱伝導率50W/m・K以上のメタル基板12を設け、その上面12aにバンプ付きLED素子16をフリップチップ実装し、また、LED素子16の真下でメタル基板12との隙間の間にはアンダーフィル樹脂17を設けた構造が示されている。
LED素子16の発熱した熱をメタル基板12に伝え、メタル基板12から外に放熱すると共に一対のメタル基板12からプリント基板側にも熱を逃がす構造になっている。
特開2005−64047号公報 特開2003−218398号公報
上記で述べた特許文献1に示された構造は、LEDの外径サイズの制約から高放熱部材の放熱表面積を拡大するのは困難であり、高電流のパルス点灯時における更なる放熱特性の向上には限界が生じる。
また、特許文献2に示された構造はメタル基板を用いた構造で、メタル基板を用いた構造は優れた放熱特性が現れて高輝度高出力の用途に向いている。しかしながら、この構造は基板に金属を用いることから材料費のアップが避けられない。また、スリット部に絶縁部材を充填する工程も必要とすることから、加工工程も多くなって製作コストが高くなると云う問題がある。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、高電流のパルス点灯時において発熱が抑制されて高輝度が得られ、また、製作コストも安くできる発光装置を得ることである。
課題を解決するための手段として、本発明の請求項1に記載の発光装置の構成は、LED素子を用いた発光装置であって、前記発光装置は絶縁性の基板に一対の電極を設けた回路基板と、該回路基板上に少なくとも1個を搭載したLED素子と、該LED素子を樹脂で封止した封止樹脂層と、該封止樹脂層の外周回りにあって前記一対の電極の一部分とそれぞれ接触して前記LED素子から発生した熱を取り込んで一次的に溜める蓄熱層を有し、かつ、前記発光装置は光学レンズを設けたキャップ形状の透過性のカバーを有し前記カバーのキャップ形状は頭部と筒部からなり、前記頭部に前記光学レンズが設けられており、前記封止樹脂層と前記蓄熱層は前記筒部の内部に配置されていて、前記封止樹脂層及び前記蓄熱層と前記カバーとの間には隙間を有することを特徴とする発光装置。
LED素子を写真撮影用のストロボのフラッシュ光源として用いる場合は、高電流印加の下でパルス点灯を行い高輝度を出力させる。しかしながら、この時のLED素子からの発熱量が大きいために熱によって発光効率が低下し、輝度は余り高くならない。そこで、LED素子から発生する熱を積極的に下げる必要がある。
本発明の請求項1に記載の構成の下では、LED素子から発生した熱は一対の電極に伝わり、そして、その一対の電極と接触している蓄熱層に伝わって、その蓄熱層にも熱が溜め込まれる。蓄熱層を封止樹脂層の回りに、つまり、LED素子の最も近い位置に設けていることから、LED素子から発生する熱は継続的に早い時間で蓄熱層に伝わって溜まる。即ち、LED素子から継続的に熱が早く逃げてLED素子の発熱を低く抑制することができるようになる。
また、本発明の発光装置の構成を、LED素子を用いた発光装置であって、前記発光装置は絶縁性の基板に一対の電極を設けた回路基板と、該回路基板上に少なくとも1個を搭載したLED素子と、該LED素子を樹脂で封止した封止樹脂層と、絶縁性の台座に一対の電極を設けて前記回路基板を搭載する台座基板と、前記回路基板の外周回りにあって前記回路基板の前記一対の電極及び前記台座基板の前記一対の電極の一部分とそれぞれ接触して前記LED素子からの発生した熱を取り込んで一次的に溜める蓄熱層と、を有するようにすることができる。
上記構成の下においては、蓄熱層を回路基板の外周回りに設ける。蓄熱層の体積は大きければ大きいほど溜められる熱量を多くすることができて好ましい。回路基板の外周回りに設ける蓄熱層は回路基板の大きさに制限を受けずに所望の体積をもって蓄熱層を形成することができる。つまり、LED素子から発生した熱を十分に溜めるに足りる体積をもって蓄熱層を形成することができる。
そして、LED素子からの発熱量を十分に取り込んでLED素子の発熱を低く抑制することができる。
また、本発明の請求項に記載の発光装置の構成は、前記発光装置には光学レンズを設けたキャップ形状の透過性のカバーを有することを特徴とする。
カバーの光学レンズによってLED素子からの光が集光されて撮影する被写体を明るく照明する。また、カバーを有することで封止樹脂層や蓄熱層を保護して損傷防止、変質防止などの効果が得られる。また併せて、発光装置をコンパクトな形状に纏めることができる。
また、本発明の請求項に記載の発光装置の構成は、前記カバーのキャップ形状は頭部と筒部からなり、前記頭部に前記光学レンズが設けられており、前記封止樹脂層と前記蓄熱層は前記筒部の内部に配置されていて、前記封止樹脂層及び前記蓄熱層と前記カバーとの間には隙間を有することを特徴とする。
この構成の下では、封止樹脂層と蓄熱層がカバーの筒部の内部に配置されていて隙間を有することから、蓄熱層に溜まった熱は隙間、即ち、空気層があるためにカバーに殆ど伝わらない。また、封止樹脂層にも熱が溜まるが、この熱も隙間があるためにカバーに殆ど伝わらない。このため、カバーの頭部に設けられた光学レンズは熱などによる影響を受けずにレンズ形状などの初期品質を維持することができる。
また、隙間なる空気層があるためにLED素子からの出射光は屈折を起こし、屈折による分散が発生する。そして、例えば請求項8や請求項9に記載した構成を取った場合には発光色の異なる光の混ざり合いが分散作用によって良く混ざり合うようになる。
また、本発明の請求項に記載の発光装置の構成は、前記カバーの前記筒部の内周面には反射膜を設けていることを特徴とする。
この構成の下では、LED素子からカバーの筒部の内周面に向かった光は反射膜によって反射される。そして、筒部内に戻され、あるいは光学レンズ側に向かって進む。このため、光学レンズを通過する光量が増える。光の利用効率が高められてより明るさが増す。
また、本発明の請求項に記載の発光装置の構成は、前記カバーの光学レンズはフレネルレンズであることを特徴とする。
フレネルレンズを通過する光は平行光に変換される。このため、光の分散光が少なくなって被写体に入射する光量は増え、更に明るい照明が得られる。
また、本発明の請求項に記載の発光装置の構成は、前記蓄熱層は半田からなることを特徴とする。
半田の熱伝導率は電極材より低いものの熱を良く伝導する。また、低温で溶解するので蓄熱層の形成が容易である。更に、電極との密着性が良いので剥離なども生じない。蓄熱層の材料として好適に適用できる。
また、本発明の請求項に記載の発光装置の構成は、前記LED素子は青色発光のLED素子であり、前記封止樹脂層はシリコーン系樹脂にYAG系蛍光体が含有したものからなることを特徴とする。
写真用のストロボ光源は白色光が必要とされる。青色発光のLED素子を用い、封止樹脂層にYAG系蛍光体を含有させることによって、僅かに青味成分を含んではいるものの白色光が得られる。また、封止樹脂層に用いるシリコーン系樹脂は紫外線や可視光などに劣化せず、耐光性に優れた特性を有する。また、耐湿性にも優れているので初期品質を長期間に渡って保持することができる。また、軟質性もあって耐衝撃性にも優れている。
また、本発明の請求項に記載の発光装置の特徴は、前記LED素子は青色発光のLED素子と赤色発光のLED素子であり、前記封止樹脂層はシリコーン系樹脂にYAG系蛍光体が含有したものからなることを特徴とする。
青色発光のLED素子に加えて赤色発光のLED素子を配設すると青味成分が消えて白色度の高い白色光が得られる。そして、演色性や色再現性の向上がもたらされて、写真画質が良くなる。
また、本発明の前記請求項1乃至のいずれかに記載の発光装置は筐体側に設けた一対のピンコンタクトと接触して該ピンコンタクトより電流の供給をうけるようにすることができる。

上記の構成は、発光装置を直接マザーボードに固定する構造ではなく、ピンコンタクトを介して導通接続する構造を取る。ピンコンタクトなどの中間部材を介することで、中間部材に熱が伝導して放熱が早く行われるようになる。また、各種の電子部品を装着したマザーボードに対して熱の影響を最小限に抑えることができる。
また、ピンコンタクトを介して導通接続する構造は狭いスペースで発光装置の取付けが可能になるので部品密集度の高い筐体において好適な取付け構造となる。
以上、発明毎にその作用・効果を詳細に説明したが、大きく纏めると、高電流のパルス点灯時において発熱を低く抑えることができて輝度の高い明るい照明が得られる。また、蓄熱層を単に回路基板上や回路基板の外周回りに設ける構成なので構造的にも複雑にならず、蓄熱層の形成も容易であることから製作コストは安く抑えることができる。
(第1実施形態)
以下、本発明を実施するための実施形態について図を用いながら説明する。最初に、第1実施形態に係る発光装置を図1〜図4を用いて説明する。なお、図1は本発明の第1実施形態に係る発光装置の要部断面図で、図2は図1における発光装置のカバーを取り除いて見たときの平面図、図3は図1における回路基板の斜視図を示している。また、図4は図1における蓄熱層の作用・効果を説明する説明図で、図4の(a)は印加するパルス波形図、図4の(b)はLED素子の発熱温度の変動を模式的に示した変動曲線図を示している。
本発明のLED素子を用いた発光装置はカメラなどに搭載されている写真撮影用のストロボのフラッシュ光源として用いられる発光装置である。写真撮影は非常に明るい照明が必要とされることから輝度の高い光源が用いられる。LED素子をストロボのフラッシュ光源に用いる場合は、非常に高いパルス電流を流して高い輝度を出力させる。例えば、通常の連続点灯時の定格電流に対して5〜50倍の電流で1〜1000ms間のパルス点灯を行う。
この時、LED素子の発熱量は大きいものとなって発光効率が低下し、輝度が低下してしまう。従って、所要の輝度を得るために積極的な放熱を行って発熱量を抑えることが必要とされる。
第1実施形態の発光装置はストロボのフラッシュ光源に適用できる構成を取るもので、以下にその構成を説明する。
図1において、21は基板で、基板21は絶縁性を有するガラスエポキシ樹脂やBTレジンなどの樹脂、あるいはセラミックなどからなる。
22、23は一対の電極で、22はアノード側の電極、23はカソード側の電極である。アノード側の電極22は基板21の上面から下面にと上面部22a、側面部22b(スルホール面)、下面部22cと繋がって設けられていて、この繋がった電極でもって電極22を構成している。同様に、カソード側の電極23も上面部23a、側面部23b(スルホール面)、下面部23cと繋がって電極23を構成している。本発明においては、基板21に一対の電極22、23を形成したものを回路基板24と表している。
一対の電極22、23の材料には電気抵抗率が低く導電性に優れた特性を持ち、且つ、熱伝導率が高く熱伝導に優れた材料が選ばれる。この両者の特性を有する材料としてはCu、Al、Ag、Au金属などの金属材料が挙げられ、これらの金属材料の少なくとも1種を用いて単層あるいは復層にして電極を形成する。本実施形態においては、Cu金属膜の上にNiメッキを施し、その上にAuメッキでのAu金属膜を形成したものから形成している。
また更に、LED素子の発熱量を積極的に放熱するために一対の電極22、23の形成面積を大きく設計している。例えば、図3に示すように、一対の電極22、23の上面部22a、23a、側面部22b、23b、下面部22c(図3には図示していない)、23cの幅wを許容できる範囲で大きく取っている。そして、広範囲に熱が拡散して伝わり、熱の放熱が積極的に行われるようにしている。
25はLED素子である。第1実施形態においては、窒化ガリウム系化合物であるInGaNからなるLED素子を用いており、青色発光の短波長の光を出射する。LED素子25はカソード側の電極23の上面部23a上に載置されて半田付けなどを介して固定される。
また、LED素子25は金線からなるボンディングワイヤ26でもってアノード側の電極22の上面部22aと接続している。
27は封止樹脂層である。第1実施形態においては、封止樹脂層27はシリコーン系樹脂にYAG系蛍光体を5〜60重量%の割合で配合したものからなる。YAG系蛍光体はYAL12:Ceなる化学式を持つ蛍光体を用いており、LED素子25の短波長の光に励起されて波長変換され、黄色の発光色を発する。
そして、黄色の発光色とLED25からの青色発光色とが混色して封止樹脂層27からは白色光が出射する。
28、29は蓄熱層である。蓄熱層28、29は一対あり、蓄熱層28は電極22の上面部22a上に設けた蓄熱層であり、蓄熱層29は電極23の上面部23a上に設けた蓄熱層である。蓄熱層28と蓄熱層29は対をなしていて、蓄熱層28は電極22と接触し、電極22に伝導された熱を一次的に溜める働きをなす。また、蓄熱層29は電極23と接触し、電極23に伝導された熱を一次的に溜める働きをなす。また、蓄熱層28と蓄熱層29(分かり易くするために図2においては斜線で示している)は、接触しないように所要の隙間を設けて分離して設けている。これは、蓄熱層28、29を後述するように導電性のある半田で形成しているためで、蓄熱層28と蓄熱層29の導通を避けるためである。また、この一対の蓄熱層28、29は封止樹脂層27の外周回りに設けている。
蓄熱層28、29は、第1実施形態においては、半田でもって形成している。半田は錫(Sn)と鉛(Pb)を主成分とした合金で、熱伝導率(Sn、Pbの割合によっても異なるが、概ね40〜50W/m・Kの熱伝導率)は一対の電極22、23よりは低いものの良く熱を伝導する。また、半田は金属膜からなる電極22、23には良く接合し、樹脂には接合しない。
半田は低温で溶解するので、溶解状態で電極22、23に付着させ、その後に硬化することで蓄熱層28、29が容易に形成することができる。
この蓄熱層28、29はLED素子25から発生した熱を取り込んで熱を一次的に溜めることを目的に設けている。つまり、バッファーとしての機能を果たす目的で設けている。
蓄熱層28、29はその体積量が大きければ大きいほど溜まる熱量も多くなる。従って、蓄熱層28、29の面積も大きく、また、厚みもより厚い方が好ましい。従って、一対の電極22、23の上面部22a、23aの面積を図3に示す如く大きく取って、その上に蓄熱層28、29を形成する。しかしながら、厚みの方は厚くなると発光素子20の厚みに影響を及ぼす。従って、発光素子20の厚みに影響を及ぼさない許容できる範囲の値を設定するのが良い。
30はレジスト膜である。このレジスト膜30はスルホールに設けた一対の電極22、23の側面部22b、23bに蓄熱層をなす半田が流れ込むのを防止する目的と、この部位における面を平坦面にして後述するカバー31の落着き状態を良好にするために設けている。このレジスト膜30にはマスキングテープなどが用いられる。
ここで、蓄熱層28、29を設けたときにおける作用・効果を図4などを用いて説明する。図4の(a)において、縦軸は印加するパルス順方向の電流値(mA)、横軸は時間(t)を示していて、Wは電流波形、tmは印加時間を示している。
パルス点灯を行う場合は、LED素子の通常の連続点灯を行う定格電流に対して5〜50倍の電流を印加する。例えば、通常の定格電流が20mAとすれば、印加する電流値は5倍では100mA、50倍では1Aとなる。
また、印加時間tmは1〜1000msの範囲で、印加電流値との関わりを持って適宜に設定される。例えば、印加電流値が低いときは印加時間は長目に、印加電流値が高いときは印加時間は短目に設定することが可能である。
次に、図4の(b)において、縦軸は発熱温度(°C)、横軸は時間(t)を示していて、実線で示したAは蓄熱層を設けた場合におけるLED素子の発熱温度の変動カーブ、鎖線で示したBは蓄熱層を設けなかった場合におけるLED素子の発熱温度の変動カーブを示している。いずれも模式的に表している。
図4の(b)において、鎖線で示したBの蓄熱層を設けなかった場合は、t1の時間にパルス電流を印加すると発熱温度は急激に上昇し、やがては上昇カーブは緩やかとなる。これは、一対の電極に熱が伝導し始めて放熱が行われることにより上昇カーブは緩やかになるものと推量される。そして、印加時間tmが終えるとカーブは下降状態に入って温度は下がってくる。
これに対して、実線で示したAの蓄熱層を設けた場合は、最初は急激な温度上昇は見られるが、途中でその上昇もピークを迎え、印加時間tm中に下降状態に入る。そして、印加時間tmが終えても下降を続け、比較的短い時間内で印加前の温度に復帰する。これは、一対の電極に熱が伝導し始めるまでの温度の上昇カーブはBのカーブと同じであるが、一対の電極に伝導し始めてから電極→蓄熱層へと熱が伝導して蓄熱層に熱が継続的に取り込まれていくことから温度カーブは印加時間tm中に上昇状態から下降状態に変化するものと推量される。
図4の(b)から分かるように、蓄熱層があることによって、それもLED素子の近くにあることによってLED素子の発熱温度は抑制され、そして、点灯後においても早い時間内で点灯前の元の温度に復帰する。
以上のことから本発明の作用・効果として次のことが云える。LED素子25から発生した熱は一対の電極22、23の上面部22a、23aに伝わって上面部22a、23aから側面部22b、23b、下面部22c、23cへと伝導して逃げていく。また、上面部22a、23aに伝わった熱は蓄熱層28、29に熱が取り込まれて蓄熱層28、29に熱が溜まる。
一対の電極22、23の面積は上記で述べたように可能な限り広くし、また、蓄熱層28、29の体積量も可能な限り大きく設定している。しかも、LED素子25からは最も近い距離の位置にある封止樹脂層27の回りに設けている。このため、LED素子25から発生した熱は広い面積の一対の電極22、23の上面部22a、23aに早いスピードで拡散して伝わり、更に、上面部22a、23a上にある蓄熱層28、29に早い時間に熱が取り込まれて蓄熱層28、29に熱が溜まって蓄熱されていく。
つまり、LED素子25から発生した熱は早いスピードで継続的に蓄熱層28、29に取り込まれていくのでLED素子25における熱の上昇は抑制されて高い発光輝度が得られるようになる。
カメラのフラッシュ点灯は不規則な時間間隔で断続的に行われるのが一般的である。蓄熱層28、29に溜まった熱はこの断続的な時間間隔の中で電極22、23に伝導され、そして放熱されていく。そして、蓄熱層28、29の熱の溜まりも消滅する。
次に、31はアクリル樹脂などで形成したカバーである。カバー31はキャップ形状をなしていて、頭部31aと筒部31bを有している。そして、LED素子25と対向する位置にある頭部31aには光学レンズ31dを設けている。第1実施形態においては、光学レンズ31dを通過する光を平行光に変換するためにフレネルレンズを形成している。
フレネルレンズを通過する光は分散光が少なくなり、平行光が多くなる。このため、多くの光量が平行光になって被写体に向かって出射する。そして、被写体に当たる光量が増えて明るく照明するようになる。
また、カバー31は筒部31bの先端を回路基板24の外周縁部にUV硬化型のアクリル樹脂などの樹脂接着剤を介して接着固定することによって回路基板24にカバー31が取付けられる。レジスト膜30の平坦面によってカバー31の落着き状態も良くなり、強固な接着固定力が確保される。
カバー31を取付けた状態で、カバー31と封止樹脂層27や蓄熱層28、29との間に隙間(中空部)31cを設けている。この隙間31cを設けることで光学レンズ31aに対する封止樹脂層27や蓄熱層28、29からの熱の影響を小さくしている。隙間31cには空気が存在するが、空気の熱伝導率は0.03W/m・Kと非常に小さい。このため、蓄熱層28、29に溜まった熱はカバー31には殆ど伝わらない。光学レンズ31aは熱に影響受けずに、レンズ形状などの初期品質がそのまま保持できる。また、隙間31cを有することで光に屈折が生じて分散光が増え、発光色の混色が良く行われるようになる。
101は一対のピンコンタクトである。発光装置を組付けるカメラの筐体(本体)内に設けられているもので、この一対のピンコンタクト101と発光装置20が接触して導通接続が取られる。一対のピンコンタクト101の内、一方のピンコンタクト101からアノード側の電極22にパルス順方向電流が流れ、そして、LED素子25に流れてLED素子25がパルス点灯する。また、LED素子25からカソード側の電極23に電流が流れ、電極23と接触する他方のピンコンタクト101に電流が流れるようになっている。
第1実施形態でのピンコンタクト101は真鍮材に金メッキなどを施したものであり、導電性にも優れ、熱伝導率も高い。ピンコンタクトと接触して導通接続を図る構造はこのピンコンタクトにも熱が伝導し、放熱が早く行われるようになる。このため、各種の電子部品を装着したマザーボードに対して熱の影響を最小限に抑えることができる。
また、ピンコンタクトを介して導通接続する構造は狭いスペースで発光装置の取付けが可能になる。部品密集度の高い筐体において好適な取付け構造と云える。
以上の構成を取ることにより、高電流のパルス点灯時においては発熱を低く抑えることができて輝度の高い明るい照明を得ることができる。また、蓄熱層も容易に形成できるので製作コストも安く抑えることができる。また、蓄熱層がカバーの内部に納まっているので発光装置自体がコンパクトな形状に仕上げられる。
なお、第1実施形態はLED素子を1個用いたもので説明したが、LED素子は1個に限るものではない。輝度を高めるために複数個用いても構わない。また、赤色発光、緑色発光、青色発光のR、G、Bの3種類のLED素子を配設して白色光を得る構成を取っても良いものである。
また、蓄熱層28、29は一対設けたが、これは導電性を有する半田で形成したことによる。絶縁性があって熱伝導率の高い材料であるならば蓄熱層は繋げて1つにしても構わない。
また、光学レンズ31dは、第1実施形態においては、フレネルレンズ構造のものを用いているが、特にフレネルレンズに限るものではなく、集光機能を持つ凸レンズ、凹レンズ、あるいはこれらのレンズのアレイ構造のものにしたものでも適用可能である。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る発光装置について図5、図6を用いて説明する。なお、図5は本発明の第2実施形態に係る発光装置の要部断面図、図6は図5における発光装置のカバーを取り除いて見たときの平面図を示している。また、図5、図6において、前述の第1実施形態での構成部品と同じ仕様をなす構成部品は同一符号を付して説明する。
第2実施形態の発光装置と前述の第1実施形態の発光装置を対比すると、第2実施形態の発光装置はLED素子を2個用いていること、カバーに反射膜を設けていること、の2点が前述の第1実施系の発光装置と大きく異なる。以下、構成の異なる所を主体にして説明する。
第2実施形態での発光装置40は、図6に示すように、LED素子を2個用いている。1個目のLED素子25は前述の第1実施形態で用いたLED素子と同じ仕様の青色発光のLED素子である。2個目のLED素子45は赤色発光のLED素子である。LED素子25とLED素子45が並列をなして電極23の上面部23aに取付けられている。そして、LED素子45はボンディングワイヤ26を介して電極22の上面部22aと接続している。
封止樹脂層27は前述の第1実施形態における封止樹脂層と同じ仕様をなす。即ち、シリコーン系樹脂にYAL12:Ceなる化学式を持つYAG系蛍光体を5〜60重量%の割合で配合したものからなる。
この蛍光体は青色発光をなすLED素子25の短波長の光に蛍光体が励起されて波長変換されて黄色の発光色が得られる。そして、LED25からの青色発光色と混色して白色光が得られる。
しかしながら、この白色光は僅かに青味成分を持った白色光であるので、第2実施形態においては、赤色発光のLED素子45をLED素子25と一緒に搭載して、LED素子45からの赤色成分の光を混色させている。そして、青味成分の発色を消し、白色度の高い白色光が得られるようにしている。
このような構成を取ることにより、演色性の向上や色再現性の向上などの効果が得られる。
一対の蓄熱層28、29は前述の第1実施形態における蓄熱層と同じ仕様をなす。即ち、半田でもって形成し、封止樹脂層27の外周回りに設けている。
第2実施形態のカバー51は、前述の第1実施形態で構成したカバーと同じ仕様のカバー31を用い、カバー31の筒部31bの内周面に反射膜51eを設けたものである。反射膜51eはAlやAg金属などの金属膜からなり、真空蒸着法やスパッタリング法などの方法で形成する。
筒部31bの内周面に反射膜51eを設けることで、内周面に入射したLED素子25、45からの光は反射膜51eによって反射され、その反射光が光学レンズ31dの方向に、あるいは隙間31c内に向かって進む。このように、反射膜51dを設けることによって光学レンズ31dを通過する光量が多くなって光の利用効率は高められる。そして、輝度の高い明るい照明が得られるようになる。
以上の構成をなすことにより、前述の第1実施形態の発光装置で説明した放熱効果の外に、白色度が高められた白色光が得られ、演色性や色再現性の向上がもたらされる。また、より明るさの明るい照明が得られる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係る発光装置について図7、図8を用いて説明する。なお、図7は本発明の第3実施形態に係る発光装置の要部断面図、図8は図7における発光装置のカバーを取り除いて見たときの平面図を示している。また、図7、図8において、前述の第1実施形態での構成部品と同じ仕様をなす構成部品は同一符号を付して説明する。
最初に、第3実施形態の発光装置の構成と前述の第1実施形態の発光装置の構成の大きな相違点を図7を用いて説明する。
相違点の第1点目は、一対の電極62、63を台座61上に設けた台座基板64を新たに設け、この台座基板64上に前述の第1実施形態の回路基板24を搭載する構成をなしている点である。
次に、相違点の第2点目は、一対の蓄熱層68、69を回路基板24の外周回りにあって回路基板24の一対の電極22、23及び台座基板64の一対の電極62、63とそれぞれ接触して設けた構成をなしている点である。
一対の蓄熱層68、69は半田から形成しており、この一対の蓄熱層68、69は回路基板24と台座基板64を固定する働きもなしている。なお、図示はしていないが、回路基板24の一対の電極22、23と台座基板64の一対の電極62、33の接触面(図7において、電極22と電極62との接触面、及び、電極23と電極63との接触面)にも半田が設けられて接合している。
前述の第1実施形態においては、蓄熱層は回路基板上の封止樹脂層の外周回りに配設した構成をなしたが、第3実施形態においては、封止樹脂層の外周回りではなく回路基板の外周回りに設けた構成を取っている。
次に、相違点の第3点目は、カバー71を台座基板64の外周縁部に取付けた構成をなしている点である。そして、そのカバー71には筒部71bの内周面と頭部71aの内面の一部分に反射膜71eを設けた構成にしている点である。
以下、相異するところの構成の部品仕様を説明する。台座基板64を構成するところの台座61はカラスエポキシ樹脂やBTレジンなどの樹脂からなり、平坦面を有する平板を用いている。
台座61に形成する一対の電極62、63は電気抵抗率が低く、且つ、熱伝導率の高いCu、Al、Ag、Au金属などの金属材料を用いて形成している。第3実施形態においては、回路基板24の一対の電極22、23と同じ材料のものを用いている。一対の電極62、63は台座61の上面、側面(スルホール面)、下面と繋がって設けており、幅も広く取って回路基板24の一対の電極22、23の幅と同じ幅に形成している。
回路基板24を構成する基板21と一対の電極22、23は前述の第1実施形態の部品仕様と同じであるので説明は省略する。
また、LED素子25、ボンディングワイヤ26も同様である。
封止樹脂層67は第1実施形態での封止樹脂層と同様にシリコーン系樹脂にYAG系蛍光体を含有したものからなるが、第3実施形態においては、回路基板24の上面全面に設けている。回路基板24の一対の電極22、23の露出面積を少なくしての防蝕効果、蛍光体での波長変換光量を多くする効果などを図っている。
一対の蓄熱層68、69は半田でもって形成している。回路基板24の外周回りに設けることで、蓄熱層68、69の厚みを厚くすることができ、蓄熱層68、69の体積を大きくすることができる。前述の第1実施形態で説明したことではあるが、蓄熱層はLED素子から発生した熱を取り込んで一次的に溜める役割をなす。蓄熱層の体積が大きくなればなるほど取り込んで溜める熱量は多くできる。そして、これによってLED素子の放熱スピードも速められてLED素子の温度上昇が抑制される。
前述の第1実施形態での蓄熱層は回路基板上に設けた構成をなす。蓄熱層を回路基板上に設ける構成は蓄熱層の厚みを余り厚くすることができないので体積に限度を有する。しかしながら、回路基板の外周回りに設ける構成は所望の厚みに形成することが可能になるので、余裕をもった体積にすることができる。
図7において、70はレジスト膜である。このレジスト膜70はスルホール面を塞ぎ、蓄熱層68、69の半田が流れ込まないようにすると共に、カバー71取付けの落着き状態を良くするために設けている。
カバー71は透明なアクリル樹脂などからなる。頭部71aと筒部71bを有し、頭部71aには光学レンズ71dを設けている。なお、この光学レンズ71dはフレネルレンズからなっている。
また、カバー71は筒部71bの内周面と頭部71aの一部分の面(光学レンズ71d面を除いた面)に反射膜71eを設けている。カバー71の筒部71bから光が漏れないようにして光の利用効率を高め、光学レンズ71dの面から多くの光量が出射して輝度を高めるようにしている。
カバー71は台座基板64の外周縁部に固定するが、固定した状態において、蓄熱層68、69や封止樹脂層67とカバー71との間に隙間(中空部)71cが設けられている。この隙間71cがあることでカバー71に熱が余り伝わらず、光学レンズの熱変形が防止できる。また、光の屈折が生まれて光が分散するので混色が良く行われるようになる。
以上の構成をなすことにより、蓄熱層68、69の体積を大きくできること、台座基板64の一対の電極62、63の面積も加わって熱伝導媒体の面積が大きくなること、などによってよりLED素子25の温度上昇を抑制することができる。
また、図示はしていないが、この発光装置60は筐体側に配設した一対のピンコンタクトと接触し、導通接続が取られて駆動が行われる。
また、上記の構成は、回路基板24の外周回りに設けた一対の蓄熱層68、69は、図8に示すように、回路基板24の左右の両側に設けた構成を取っているが、次の応用例の如く、回路基板24の外周回りに蓄熱層の形成領域を増やした構成を取ることも可能である。
(応用例)
図9に示すものは、回路基板の外周回りに設ける蓄熱層を領域を増やして設けた応用例で、図中において回路基板24の左右の両側と上下側にも広がって一対の蓄熱層68、69を設けた構成をなしている。
これは、台座基板64の一対の電極62、63の幅を広く取ることによってこの構成の蓄熱層68、39を形成することができる。
この構成は、蓄熱層68、69の体積も増え、また、台座61に設ける一対の電極62、63の面積も増えることになるのでその効果は一層促進されることになる。
本発明の第1実施形態に係る発光装置の要部断面図である。 図1における発光装置のカバーを取り除いて見たときの平面図である。 図1における回路基板の斜視図である。 図1における蓄熱層の作用・効果を説明する説明図で、図4の(a)は印加するパルス波形図、図4の(b)はLED素子の発熱温度の変動を模式的に示した変動曲線図である。 本発明の第2実施形態に係る発光装置の要部断面図である。 図5における発光装置のカバーを取り除いて見たときの平面図である。 本発明の第3実施形態に係る発光装置の要部断面図である。 図7における発光装置のカバーを取り除いて見たときの平面図である。 第3実施形態に係る発光装置の蓄熱層の構成の応用例を示す平面図である。 特許文献1に示された発光ダイオードの要部断面図である。 特許文献2に示された表面実装型発光ダイオードの要部断面図である。
符号の説明
20、40、60 発光装置
21 基板
22、23、62、63 電極
22a、23a 上面部
22b、23b 側面部
22c、23c 下面部
24 回路基板
25、45 LED素子
26 ボンディングワイヤ
27、67封止樹脂層
28、29、68、69 蓄熱層
30、70 レジスト膜
31、51、71 カバー
31a、71a 頭部
31b、71b 筒部
31c、71c 隙間
31d、71d 光学レンズ
51e、71e 反射膜
61 台座
64 台座基板
101 ピンコンタクト

Claims (6)

  1. LED素子を用いた発光装置であって、前記発光装置は絶縁性の基板に一対の電極を設けた回路基板と、該回路基板上に少なくとも1個を搭載したLED素子と、該LED素子を樹脂で封止した封止樹脂層と、該封止樹脂層の外周回りにあって前記一対の電極の一部分とそれぞれ接触して前記LED素子から発生した熱を取り込んで一次的に溜める蓄熱層と、を有し、かつ、前記発光装置は光学レンズを設けたキャップ形状の透過性のカバーを有し、前記カバーのキャップ形状は頭部と筒部からなり、前記頭部に前記光学レンズが設けられており、前記封止樹脂層と前記蓄熱層は前記筒部の内部に配置されていて、前記封止樹脂層及び前記蓄熱層と前記カバーとの間には隙間を有することを特徴とする発光装置。
  2. 前記カバーの前記筒部の内周面には反射膜を設けていることを特徴とする請求項に記載の発光装置。
  3. 前記カバーの光学レンズはフレネルレンズであることを特徴とする請求項に記載の発光装置。
  4. 前記蓄熱層は半田からなることを特徴とする請求項に記載の発光装置。
  5. 前記LED素子は青色発光のLED素子であり、前記封止樹脂層はシリコーン系樹脂にYAG系蛍光体が含有したものからなることを特徴とする請求項に記載の発光装置。
  6. 前記LED素子は青色発光のLED素子と赤色発光のLED素子であり、前記封止樹脂層はシリコーン系樹脂にYAG系蛍光体が含有したものからなることを特徴とする請求項に記載の発光装置。
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