JP5139690B2 - 超音波診断装置、データ計測方法及びデータ計測プログラム - Google Patents

超音波診断装置、データ計測方法及びデータ計測プログラム Download PDF

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Description

本発明は、被検体に超音波を送信及び受信することによって得られる検出信号に基づいて内膜中膜複合体厚(intima media thickness:IMT)等のデータ計測を行う機能を有する超音波診断装置に関する。さらに、本発明は、そのようなデータ計測に用いられるデータ計測方法及びデータ計測プログラムに関する。
近年、動脈硬化を判定する指標として、内膜中膜複合体厚(IMT)が注目されている。図16を参照すると、動脈壁は、内膜901と、中膜902と、外膜903とを含む3層構造を有している。IMTは、その内の内膜901と中膜902とを合わせた厚さ(即ち、血管腔900と内膜901との境界から、中膜902と外膜903との境界までの長さ)のことである。近年の研究により、動脈硬化が進行するほど内膜中膜複合体が厚くなったり、プラークが形成されたりすることがわかってきている。ここでプラークとは、血管壁が内側に盛り上がった部分のことである。プラークの組織は、血栓や、脂肪性、繊維性等の様々であり、頚動脈の狭窄や脳梗塞や脳虚血等の原因ともなっている。
図17及び図18は、頚動脈の一部を示す模式図である。図17及び図18に示すように、心臓から押し出された血液は、総頚動脈(common carotid artery:CCA)911に導入され、顔面の動脈につながる外頚動脈(external carotid artery:ECA)912と、脳動脈につながる内頚動脈(internal carotid artery:ICA)913とに分岐する。
先に説明したIMTは、超音波検査(頚動脈超音波検査)によって計測される。即ち、複数の超音波トランスデューサが配列された超音波トランスデューサアレイを備える超音波用探触子を、被検体(患者)の頸部に当接して超音波を送信する。ここで、頚動脈においてIMTが計測されるのは、頚動脈が動脈硬化の好発部位だからである。その際に、複数の超音波トランスデューサを順次駆動することにより、複数の超音波の合成によって超音波ビームが形成され、被検体が電子的に走査される。そのようにして送信された超音波は、被検体内の構造物の表面(異なる組織の界面)において反射されるので、それによって生じる超音波エコーを超音波用探触子によって受信し、検出信号を生成する。これらの検出信号を、超音波用探触子に接続された超音波診断装置本体において処理することにより、超音波画像が生成される。さらに、そのようにして生成された超音波画像において、検査者(医師等のオペレータ)がノギス等を用いて血管壁を計測することにより、IMTが求められる。さらに、このIMTに基づいて動脈硬化の程度を測定したり、その結果に基づいて心臓や脳を含む全身の血管状態を推測する。
しかしながら、このような計測方法によれば、計測に時間がかかると共に、検査者の熟練度によって計測精度が大きく異なることが問題となっている。そのため、集団検診等においてもIMTを積極的に活用できるように、検査者ごとに生じる計測結果の差が少なく、短時間に効率良くIMT計測できることが望まれている。
関連する技術として、非特許文献1には、血管を超音波検査する際の注意点及びポイントが記載されている。頚動脈超音波検査においては、血管径と、図17に示すmax(最大)IMTと、図18に示すmean(平均)IMTとが計測される。このmeanIMTは、maxIMTとその両側1cmの位置b及びcにおけるIMTとを求め、それら3点の平均値{maxIMT+IMT(a)+IMT(b)}/3を計算することにより得られる。非特許文献1によれば、IMT計測においては、総頚動脈911と、血管分岐部914から内頚動脈913に至る領域との2箇所において、計測が行われる。プラーク915は、総頚動脈911の入口付近や、血管分岐部(BIF)914付近のように、血流の方向が変化する領域に形成され易いからである。
また、特許文献1には、超音波により撮影した画像のデータをディジタルデータとして出力する超音波装置と、該超音波装置のディジタル出力を光結合により伝送するデータ伝送装置と、該データ伝送装置により伝送された血管の画像データに基づいて、血管の内膜中膜複合厚を算出するデータ解析装置であって、ディジタルの画像データの輝度値の移動平均値に基づいて基準位置を算出し、基準位置から血管の管壁部方向に向かって所定のピクセル範囲内における輝度値の極大値及び極小値に基づいて血管の内膜中膜複合体厚を算出するデータ解析装置とを備える血管膜厚測定装置が開示されている。
特許文献1においては、輝度値の極大値及び極小値に基づいてIMT値を自動計算している。しかしながら、IMTの計測においてどの点(極大点や極小点)を用いるかについては検査者ごとに基準や好みがある。また、ノイズの影響等を考慮すると超音波画像の状態や条件は毎回同じとは限らないので、毎回同じ点を利用して所望の結果が得られるとは限らない。さらに、特許文献1においては、所望の計測結果が得られなかった場合における動作(例えば、回帰演算)が複雑なので、検診等において効率的に検査できるとは言い難い。また、特許文献1においては、maxIMTやmeanIMTの算出方法については言及されていない。
特許文献2には、被検体の体内に超音波を送波し、該体内で反射された超音波を受波して高周波電気信号に変換する超音波プローブと、高周波電気信号を高周波ディジタルデータに変換するA/D変換手段と、高周波ディジタルデータを記憶する高周波ディジタルデータ記憶手段と、高周波ディジタルデータを画像表示のためのディジタルデータに変換する画像データ変換手段と、画像表示用データに基づいて画像を表示する画像表示手段と、高周波ディジタルデータ記憶手段から高周波ディジタルデータを取得して所定の解析を行うデータ解析手段とを備える超音波診断装置が開示されている。上記データ解析手段は、血管の内膜及び外膜の内壁を検出し、内膜中膜複合膜厚を算出する。
特許文献2においては、RFデータをCINEメモリに記憶し、このRFデータから変換された画像データに所定のデータ処理(例えば、ノイズを除去するためのフィルタリング処理)を施し、データ処理後の画像データに基づいて、IMTを自動計算している(段落0022、0026、0027)。そして、所望の計算結果が得られなかった場合には、フィルタリング等のデータ処理のパラメータを再設定して、再度IMTを求める計算を行っている(段落0030)。しかしながら、RFデータはデータ量が多いので、CINEメモリのコストが高くなる。また、パラメータの再設定は検査者が行わなければならないので、やはり、検診等において効率的に検査できるとは言い難く、検査者に応じて結果のバラツキが生じる可能性もある。
特許第2889568号公報 特開2005−118314号公報 戸出浩之、「正しい血管超音波検査」、超音波検査技術、2006年、第31巻、第2号、第80頁
そこで、上記の点に鑑み、本発明は、IMT検査等のデータ計測を簡単な操作で効率良く行うことができる超音波診断装置を提供することを目的とする。また、本発明は、超音波診断装置においてそのようなデータ計測を行うために用いられるデータ計測方法及びデータ計測プログラムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の1つの観点に係る超音波診断装置は、被検体に向けて超音波を送信し、該超音波が被検体において反射することによって生じる超音波エコーを受信することにより検出信号を出力する超音波用探触子と、超音波用探触子から出力される検出信号に対して少なくとも包絡線検波処理を施すことにより包絡線データを生成する信号処理手段と、包絡線データに基づいて、被検体に関する超音波画像を表す画像データを生成する画像データ生成手段と、血管腔と内膜との境界において超音波が反射されることによって現れる輝度の第1のピークと、中膜と外膜との境界において超音波が反射されることによって現れる輝度の第2のピークとの間隔を計測するために抽出すべき極小値及び極大値を含む複数の計測ポイントの複数の組み合わせ、及び、それらの優先順位を設定するために用いられる操作部と、該複数の組み合わせの内から優先順位の順で選択された組み合わせに従って、包絡線データから1組の計測ポイントを抽出し、抽出された1組の計測ポイントの座標に基づいて血管のIMT(内膜中膜複合体厚)を計測するIMT計測手段とを具備する。
本発明の1つの観点に係るデータ計測方法は、被検体に向けて超音波を送信し、該超音波が被検体において反射することによって生じる超音波エコーを受信することにより出力される検出信号に対して少なくとも包絡線検波処理を施すことにより包絡線データを生成する超音波診断装置において用いられるデータ計測方法であって、包絡線データに基づいて、被検体に関する超音波画像を表す画像データを生成するステップ(a)と、オペレータの操作に従って、血管腔と内膜との境界において超音波が反射されることによって現れる輝度の第1のピークと、中膜と外膜との境界において超音波が反射されることによって現れる輝度の第2のピークとの間隔を計測するために抽出すべき極小値及び極大値を含む複数の計測ポイントの複数の組み合わせ、及び、それらの優先順位を設定するステップ(b)と、該複数の組み合わせの内から優先順位の順で選択された組み合わせに従って、包絡線データから1組の計測ポイントを抽出し、抽出された1組の計測ポイントの座標に基づいて血管のIMT(内膜中膜複合体厚)を計測するステップ(c)とを具備する。
本発明の1つの観点に係るデータ計測プログラムは、被検体に向けて超音波を送信し、該超音波が被検体において反射することによって生じる超音波エコーを受信することにより出力される検出信号に対して少なくとも包絡線検波処理を施すことにより包絡線データを生成する超音波診断装置において用いられるデータ計測プログラムであって、包絡線データに基づいて、被検体に関する超音波画像を表す画像データを生成する手順(a)と、オペレータの操作に従って、血管腔と内膜との境界において超音波が反射されることによって現れる輝度の第1のピークと、中膜と外膜との境界において超音波が反射されることによって現れる輝度の第2のピークとの間隔を計測するために抽出すべき極小値及び極大値を含む複数の計測ポイントの複数の組み合わせ、及び、それらの優先順位を設定する手順(b)と、該複数の組み合わせの内から優先順位の順で選択された組み合わせに従って、包絡線データから1組の計測ポイントを抽出し、抽出された1組の計測ポイントの座標に基づいて血管のIMT(内膜中膜複合体厚)を計測する手順(c)とをCPUに実行させる。
本発明の1つの観点によれば、複数の計測ポイントの複数の組み合わせ、及び、それらの優先順位を予め設定しておくことにより、それらの組み合わせの内から優先順位の順で選択された組み合わせに従って包絡線データから1組の計測ポイントを抽出し、抽出された1組の計測ポイントの座標に基づいて血管のIMTを計測するので、検査者(オペレータ)の基準や好みに合ったIMT計測を簡単な操作で効率良く行うことができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。なお、同一の構成要素には同一の参照番号を付して、説明を省略する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る超音波診断装置を示すブロック図である。この超音波診断装置は、超音波を送受信する超音波用探触子100と、超音波の送受信を制御すると共に、取得された検出信号に基づいて超音波画像を生成し、さらに、動脈の内膜中膜複合体厚(IMT)計測機能、循環器計測機能及び産科計測機能等を有する超音波診断装置本体200とを含んでいる。両者は、ケーブルによって互いに接続されている。また、このような超音波診断装置は、LAN等のネットワークNWを介して、レポートシステム300やプリンタ400に接続されていても良い。
超音波用探触子100は、コンベックスタイプ、リニアスキャンタイプ又はセクタスキャンタイプ等の被検体に当接させて用いられるプローブである。この超音波用探触子100は、1次元又は2次元のトランスデューサアレイを構成する複数の超音波トランスデューサ10を備えている。これらの超音波トランスデューサ10は、印加される駆動信号に基づいて超音波ビームを被検体に送信すると共に、被検体から反射される超音波エコーを受信することにより検出信号を出力する。
各超音波トランスデューサは、例えば、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛:Pb(lead) zirconate titanate)に代表される圧電セラミックや、PVDF(ポリフッ化ビニリデン:polyvinylidene difluoride)に代表される高分子圧電素子等の圧電性を有する材料(圧電体)の両端に電極を形成した振動子によって構成される。そのような振動子の電極に、パルス状又は連続波の電気信号を送って電圧を印加すると、圧電体が伸縮する。この伸縮によって、それぞれの振動子からパルス状又は連続波の超音波が発生し、これらの超音波の合成によって超音波ビームが形成される。また、それぞれの振動子は、伝搬する超音波を受信することによって伸縮し、電気信号を発生する。これらの電気信号は、超音波の検出信号として出力される。
あるいは、超音波トランスデューサとして、超音波変換方式の異なる複数種類の素子を用いても良い。例えば、超音波を送信する素子として上記の振動子を用い、超音波を受信する素子として光検出方式の超音波トランスデューサを用いるようにする。光検出方式の超音波トランスデューサとは、超音波信号を光信号に変換して検出するものであり、例えば、ファブリーペロー共振器やファイバブラッググレーティングによって構成される。
超音波診断装置本体200は、超音波診断装置全体の動作を制御する制御部21と、操作卓22と、格納部23と、走査制御部24と、送信回路25、受信回路26及びA/D変換器27を含む送受信部と、信号処理部28と、シネメモリ29と、Bモード画像データ生成部30と、データ計測部31と、DSC(ディジタル・スキャン・コンバータ)32と、D/A変換器33と、表示部34と、外部インタフェース35とを含んでいる。
操作卓22は、超音波診断装置本体200に種々の命令や情報を入力する際に検査者(オペレータ)によって用いられる入力デバイスである。図2に示すように、操作卓22には、文字入力キー41と、データ計測操作部42と、フリーズボタン43とが設けられている。文字入力キー41は、例えば、患者情報を入力する際に用いられる。また、データ計測操作部42は、IMTのように、超音波画像に関する種々のデータを計測する際に用いられ、データ計測ボタン42a、設定ボタン42b、トラックボール42c、ネクスト(NEXT)ボタン42d、オーケー(OK)ボタン42e、キャンセル(CANCEL)ボタン42f、レポート出力(OUT)ボタン42g等を含んでいる。さらに、フリーズボタン43は、画面に表示されている超音波画像についてライブモード(動画)とフリーズモード(静止画)とを切り替えるために設けられており、フリーズボタン43を押下するごとに、フリーズ信号及びフリーズ解除信号が制御部21(図1)に交互に入力される。
格納部23は、ハードディスク又はメモリ等によって構成されており、超音波診断装置本体200に含まれるCPUに動作を実行させるための基本プログラム及び種々の処理を行うために用いられるプログラム(ソフトウェア)や、それらの処理に用いられる情報等を格納する。
走査制御部24は、制御部21の制御の下で、超音波ビームの送信方向又は超音波エコーの受信方向を順次設定し、設定された送信方向に応じて送信遅延パターンを選択する送信制御機能と、設定された受信方向に応じて受信遅延パターンを選択する受信制御機能とを有している。
ここで、送信遅延パターンとは、複数の超音波トランスデューサ10から送信される超音波によって所望の方向に超音波ビームを形成するために駆動信号に与えられる遅延時間のパターンであり、受信遅延パターンとは、複数の超音波トランスデューサ10によって受信される超音波によって所望の方向からの超音波エコーを抽出するために検出信号に与えられる遅延時間のパターンである。複数の送信遅延パターン及び複数の受信遅延パターンが、メモリ等に格納されている。
送信回路25は、複数の超音波トランスデューサ10にそれぞれ印加される複数の駆動信号を生成する。その際に、走査制御部24によって選択された送信遅延パターンに基づいて複数の駆動信号にそれぞれの遅延時間を与えることができる。ここで、送信回路25は、複数の超音波トランスデューサ10から送信される超音波が超音波ビームを形成するように、複数の駆動信号の遅延量を調節して超音波用探触子10に供給するようにしても良いし、複数の超音波トランスデューサ10から一度に送信される超音波が被検体の撮像領域全体に届くように、複数の駆動信号を超音波用探触子10に供給するようにしても良い。
受信回路26は、複数の超音波トランスデューサ10からそれぞれ出力される複数の検出信号を増幅し、A/D変換器27は、受信回路26によって増幅されたアナログの検出信号をディジタルの検出信号(本願においては、「RFデータ」ともいう)に変換する。A/D変換器27から出力されるRFデータは、信号処理部28に入力される。信号処理部28は、走査制御部24によって選択された受信遅延パターンに基づいて、RFデータによって表される複数の検出信号にそれぞれの遅延時間を与え、それらの検出信号を加算することにより、受信フォーカス処理を行う。この受信フォーカス処理によって、超音波エコーの焦点が絞り込まれた音線データが形成される。
さらに、信号処理部28は、音線データに対して、STC(Sensitivity Time gain Control:センシティビティ・タイム・ゲイン・コントロール)によって、超音波の反射位置の深度に応じて距離による減衰の補正をした後、ローパスフィルタ等によって包絡線検波処理を施すことにより、包絡線データを生成する。
信号処理部28によって生成された包絡線データは、シネメモリ29に順次格納されると共に、Bモード画像データ生成部30に供給される。シネメモリ29は、複数フレーム分の包絡線データを蓄積するためのメモリ容量を有している。Bモード画像データ生成部30は、包絡線データに対して、Log(対数)圧縮やゲイン調整等のプリプロセス処理を施してBモード画像データを生成し、生成されたBモード画像データをDSC32に出力する。なお、Log(対数)圧縮等の処理は、信号処理部28において行うようにしても良い。
データ計測部31は、包絡線メモリ311と、計測前処理部312と、IMT計測部313と、IMT計測制御部314と、ROI設定部315とを有しており、包絡線データに基づいてIMTを計測する。
本実施形態においては、包絡線メモリ311を除くデータ計測部31が、中央演算装置(CPU)と、CPUに各種の処理を行わせるためのソフトウェア(データ計測プログラム)とによって構成されるが、それをディジタル回路又はアナログ回路で構成しても良い。また、制御部21、走査制御部24、信号処理部28、Bモード画像データ生成部30、及び、DSC32も、CPU及びソフトウェアによって構成されるが、信号処理部28、Bモード画像データ生成部30、及び、DSC32は、ディジタル回路又はアナログ回路で構成することもできる。上記のソフトウェアは、格納部23に格納されている。また、格納部23に、走査制御部24によって選択される送信遅延パターン及び受信遅延パターンを格納するようにしても良い。
DSC32は、Bモード画像データ生成部30によって生成されたBモード画像データを通常のテレビジョン信号の走査方式に従う超音波画像データに変換(ラスター変換)し、階調処理等の必要な画像処理を施すことにより、超音波画像データを生成する。また、DSC32は、超音波画像データに基づいて表示用の画像データを生成する。さらに、DSC32は、データ計測部31にから出力されるデータに基づいて、超音波画像中の内膜中膜複合体をカラー表示したり、種々の情報を超音波画像に重ね合わせて表示するための合成データを生成する。なお、DSC32よりも後段に、ゲイン調整及びコントラスト調整を含む線形の階調処理や、γ補正を含む非線形な階調処理等の画像処理を施す画像処理部を設けても良い。
D/A変換器33は、DSC32において変換された表示用の画像データをアナログ信号に変換して表示部34に出力する。
表示部34は、例えば、ラスタスキャン方式のCRTディスプレイ又はLCDディスプレイであり、D/A変換器33においてアナログ変換された画像信号に基づいて、超音波画像の動画又は静止画や、種々の設定画面や、IMT計測の結果等を表示する。なお、本実施形態においては、表示部を1つだけ設けているが、例えば、種々の設定画面を表示するための装置を別途設けても良い。
次に、図1に示す超音波診断装置におけるデータ計測部31の機能について説明する。
包絡線メモリ311は、ライブモードにおいては信号処理部28から供給される包絡線データを格納し、フリーズモードにおいてはシネメモリ29から供給される包絡線データを格納する。
計測前処理部312は、ROI設定部315によって設定される関心領域に対応する包絡線データを包絡線メモリ311から読み出し、平滑化処理、コントラスト強調処理、エッジ強調処理、ノイズ除去処理、又は、構造画像生成処理等の画像処理を施す。それにより、IMT計測処理により適した(より計測し易い)包絡線データが得られる。ここで、構造画像とは、超音波画像からスペックル画像を差し引くことによって得られる画像のことである。構造画像においては、エッジや境界線等の情報が保存されているので、IMT計測のためには有効である。特に、通常のBモード画像では内膜や中膜の境界の一部が途切れてしまう場合においても、構造画像を生成することによりIMT計測を行うことが可能となる。
ここで、構造画像の生成処理について詳しく説明する。
まず、包絡線データによって表される信号の極大点及び極小点を求める。極大点及び極小点は、包絡線データを表す信号の1次微分及び2次微分を計算することにより求めることができる。その際には、微分計算に基づいて単純に求められた極大点及び極小点を採用するのではなく、直前に抽出された極大点又は極小点との距離を算出し、その距離が送信された超音波の波長よりも長い場合には、その点を採用しないといった条件を付加することが望ましい。包絡線データには、スペックルによって生じた極大/極小点と、構造物によって生じた極大/極小点とが混合している可能性があるからである。
次に、そのようにして求められた極大点を表す信号と極小点を表す信号との平均値を表す信号を求める。この平均値を表す信号が、撮像領域における構造物の超音波画像(構造画像)を表す構造画像データとなる。なお、構造物を表す信号を得る際に、一般的なフィルタ処理ではなく、包絡線データにおける極大点や極小点を用いるのは、次のような理由による。即ち、撮像領域に表出されるスペックルパターンの大きさ(スペックルサイズ)は、撮像領域の深さによって異なっているため、包絡線データについて一律にフィルタ処理を行うと、スペックルを除去しきれなかったり、反対に、構造物を表す信号まで除去してしまったりする場合が生じるからである。
IMT計測部313は、前処理された包絡線データ上の複数の計測ポイントを探索することによりIMTを求め、さらに、IMTの最大値(maxIMT)、及び、maxIMTとその両側1cmとの3点におけるIMTの平均値(meanIMT)を算出する。
IMT計測制御部314は、オペレータの操作に従って、IMT計測処理部37において用いられる複数の計測ポイントを設定する。ここで、IMT計測制御部314には、複数の計測ポイントの組み合わせが予め複数組用意されており、IMT計測制御部314は、ユーザ設定に従ってそれらの組み合わせをIMT計測部313に対して順次適用する。なお、そのような複数の組み合わせを格納するメモリを別途用意しておいても良い。
ROI設定部315は、検査者の操作に従って、Bモード画像上にROIを表示すると共に、前処理すべき包絡線データ(関心領域に対応する包絡線データ)の範囲を計測前処理部312に指示する。
次に、本実施形態に係る超音波診断装置においてIMT計測を行う際に事前に行われる計測ポイントの設定動作について説明する。
IMT計測を行う場合に、検査者は、まず、図2に示すデータ計測ボタン42aを押下する。それにより、図3に示す計測メニュー画面44が表示部34に表示される。検査者は、計測メニュー画面44において、IMT計測ボタン44aを選択し、設定ボタン42b(図2)を押下する。それにより、超音波診断装置はIMT計測モードに入り、信号処理部28において信号処理された包絡線データが順次、又は、シネメモリ29に蓄積されている包絡線データがフレームごとに、包絡線メモリ311に入力される。なお、本実施形態に係る超音波診断装置においては、それ以外の計測を行うことも可能であるので、その場合には、検査者は、循環器計測ボタン44bや産科計測44c等の所望のボタンを選択する。
IMT計測モードに入った状態で、図2に示す設定ボタン42bを押下すると、図4に示すIMT計測設定メニュー画面45が表示部34に表示される。検査者は、この画面において、IMTを算出する際に用いられる複数の計測ポイントの優先順位を設定する。
図4に示すように、IMT計測設定メニュー画面45は、計測ポイント表示領域46と、優先順位表示部47と、計測ポイント選択欄48と、スクロールボタン49とを含んでいる。計測ポイント表示領域46には、包絡線メモリ311に格納されている包絡線データに基づいて、超音波が動脈壁によって反射される際の反射の強さ(輝度)を表すグラフが示されている。
超音波は、血管腔と内膜との境界、及び、中膜と外膜との境界において強く反射されるので、超音波を送受信することによって得られる包絡線データの値には、計測ポイント表示領域46に示すように、主として2つのピークが現れる。IMTはそれらの2つの境界の間隔なので、計測ポイントとしては、極小点A〜極小点A'、極大点C〜極大点C'、極大点と極小点との中点の間隔B〜B'、極小点A〜極大点C'、…等、様々な組み合わせが挙げられる。
そこで、検査者は、2つのピークの内で計測ポイントとすべき2箇所の組み合わせを、優先順位をつけて複数組選択する。具体的には、スクロールボタン49を操作することにより、優先順位の高い順(優先順位表示部47参照)に、所望の計測ポイント(A〜C、A'〜C')の組み合わせ(BB'、AB'…)を計測ポイント選択欄48に表示させる。ここで、複数の組み合わせを選択するのは、どの位置を計測ポイントとして用いるかについては検査者ごとに基準や好みがあり、また、超音波画像の状態(例えば、ノイズの影響等)によっては、特定の計測ポイント(例えば、極小点)を抽出し難い場合があるので、1つの組み合わせで適切な計測ポイントを抽出できなかった場合に、別の組み合わせで抽出できるようにするためである。なお、図4においては、優先順位が第6位までの組み合わせが設定されている。
計測ポイントの設定が終了し、設定ボタン42bを再度押下すると、IMT計測設定メニュー画面45が解除される。なお、計測ポイントの優先順位が予め設定されており、変更する必要がない場合には、再度設定しなくても良い。
次に、本実施形態に係る超音波診断装置におけるIMT計測動作について説明する。図5は、IMT計測動作を示すフローチャートである。また、図6は、表示部34に表示されるIMT検査画面50を示している。IMT検査画面50は、超音波画像(Bモード画像)表示領域51と、検査日付表示欄52と、患者情報表示欄53と、計測結果表示欄54とを含んでいる。
検査者が患者の頸部に超音波用探触子100(図1)を当接することにより、超音波撮像を開始すると、超音波画像表示領域51にBモード画像が表示される。IMT計測によって動脈硬化等の診断をしようとする場合には、総頚動脈(CCA)及び内頚動脈(ICA)の各々において、maxIMT及びmeanIMTが計測される。
まず、図5のステップS11において、検査者は、表示部に表示された超音波画像(図6参照)を観察しながら、トラックボール42c(図2)を用いてCCAにROI55を設定する。その際に、検査者は、プラーク56と見られる場所や血管壁が厚くなっている場所を選択する。それに応じて、ROI設定部315(図1)は、Bモード画像データ生成部30に対して、表示中のBモード画像に選択された領域を重ねて表示させる。検査者は、選択された領域で良ければOKボタン42eを押下してROIを確定し、失敗した場合には、キャンセルボタン42fを押下して領域選択をやり直す(ステップS12)。ROIが確定すると、ROI設定部315は、計測前処理部312に対して、包絡線メモリ311に格納されている包絡線データの内からROI55に対応するデータ領域を指定する。それに応じて、計測前処理部312は、そのデータ領域に含まれる包絡線データに前処理を施し、IMT計測部313に出力する。
ステップS13において、IMT計測制御部314は、予め設定された計測ポイントの組み合わせの内で優先順位nが第1位の組み合わせをIMT計測部313に適用する。ステップS14において、n=1なので(n≠None)、処理はステップS15に移行する。ステップS15において、IMT計測部313は、前処理済みの包絡線データ及び現在適用されている計測ポイントに従って、IMT計測に用いられる計測ポイントを抽出し、それらをBモード画像上に表示する。
ここで、ステップS15における計測ポイントの抽出アルゴリズムについて、図7及び図8を参照しながら説明する。
図7の(a)に示すように、ROI60を示す枠(長方形)の1組の辺(図の左右方向)は、超音波の走査方向(方位方向)に沿うように設定され、他の組の辺(図の上下方向)は、深さ方向に沿うように設定される。本実施形態においては、この深さ方向においてIMTが計測される。
図7の(b)に示すように、通常、ROI60内の計測ラインのプロファイルには、血管腔と内膜との境界(以下において、IMTの内膜側境界ともいう)、及び、中膜と外膜との境界(以下において、IMTの中膜側境界ともいう)を表す2つのピークが見られる。そこで、図8のステップS31において、IMT計測部313は、ROI60の左端の計測ラインを選択する。そして、ステップS32において、IMTの内膜側境界として、極大点1と、それよりも浅い方向において最も近い極小点3とを抽出して記憶する。一方、IMTの中膜側境界として、極大点2と、それよりも浅い方向において最も近い極小点4とを抽出し、それらの位置座標(深度)を記憶する。次に、ステップS33において、IMT計測部313は、内膜側の極大点1と極小点3との中間点、及び、中膜側の極大点2と極小点4との中間点の位置座標を算出して記憶する。
次に、ステップS34において、IMT計測部313は、現在設定されている計測ポイントの組み合わせに従ってIMTを算出し、それを記憶する。例えば、図4に示すように、計測ポイントとして、優先順位が第1位であるBB'(中間点−中間点)が設定されている場合には、中間点B'の位置座標から中間点Bの位置座標を差し引き、その値をIMTとする。IMT計測部313は、このようなIMT算出動作を、図7の(a)に示すROI60内の計測ラインを右方向にずらしながら、計測ラインがROI60の右端に至るまで繰り返す(ステップS35及びS36)。なお、計測ラインをずらす間隔は、超音波ビームの走査間隔に合わせることが望ましい。
ROI60内の全ての計測ラインについてIMTを算出し終えると、ステップS37において、IMT計測部313は、算出されたIMTを比較することにより、IMTが最大(maxIMT)となる計測ラインを抽出する。さらに、IMT計測部313は、抽出された計測ライン上の計測ポイント(抽出点)を出力し、表示部34に表示されているBモード画像上の対応する位置に表示させる。
再び、図5を参照すると、検査者は、表示されているBモード画像を参照して、抽出された計測ポイントが適切でないと判断した場合には、NEXTボタン42dを押下する。それに応じて、IMT計測制御部314は、予め設定されている計測ポイントの組み合わせの内で優先順位が第2位(n+1=2)の組み合わせをIMT計測部37に適用し(ステップS17)、再度、ROIにおける計測ポイントの抽出を行う。
このようなROI上の計測ポイントの抽出は、検査者がOKボタン42eを押下するまで(ステップS19)、或いは、IMT計測設定メニュー画面45(図4)において予め設定された計測ポイントの組み合わせがなくなるまで(図4においてはn=6まで)行われる。そして、最後の組み合わせによっても所望の計測ポイントが得られない場合、即ち、ステップS14においてn=Noneとなった場合には、検査者による手動ポイント設定が行われる(ステップS18)。この場合に、検査者は、トラックボール42c及びOKボタン42eを操作しながら、超音波画像上においてカーソル位置を移動させ、所望の2点を選択することにより計測ポイントを設定する。
或いは、検査者は、超音波画像を見て適切な計測ポイントの自動抽出が困難であると判断した場合には、自動抽出モードから抜けて、手動で計測ポイントを設定しても良い(ステップS16及びS18)。この場合には、予め設定されたにもかかわらず、まだ適用されていない計測ポイントの組み合わせが残っていても、NEXTボタン42dを長押しすることにより、手動設定モードに入ることができる。
ステップS19において、検査者は、自動抽出された計測ポイントを用いる場合、又は、手動で設定した計測ポイントを用いる場合に、OKボタン42eを押下する。反対に、適切な計測ポイントを抽出できないと判断した場合には、キャンセルボタン42fを押下する。後者の場合に、IMT計測モードは終了する。
ステップS20において、IMT計測部313は、自動抽出された計測ポイントに基づいて、ROI内のmaxIMTを計測して出力する。それにより、図6に示す計測結果表示欄54に、CCAにおけるmaxIMTの値が表示される。また、ステップS21において、IMT計測部313は、maxIMTの左右それぞれ1cmの点におけるIMTを抽出し、それら3点のIMTの平均値meanIMTを算出して出力する。それにより、図6に示す計測結果表示欄54に、CCAにおけるmeanIMTの値が表示される。
次に、ステップS22において、IMT計測部313及びIMT計測制御部314は、ICAにROI57(図6)を設定し、そこにおけるIMTを計測することにより、maxIMT及びmeanIMTを求める。このステップの詳細については、ステップS12〜S21におけるものと同様である。
次に、ステップS23において、検査者がレポート出力ボタン42g(図2)を押下すると、ステップS24において、制御部21は、IMT計測結果をネットワークNWによって接続されているレポートシステム300やプリンタ400等に出力する。
図9は、レポートシステム300等に出力されるレポート出力画面61を示している。この画面61は、患者情報及び検査日情報等を含む検査情報表示欄62と、超音波画像(Bモード画像)表示領域63と、計測結果表示欄64とを含んでいる。超音波画像表示領域63には、ROI65及びmaxIMTが得られた位置(図の矢印)も併せて表示される。
ステップS25において、検査者が、IMT計測やそれ以外のデータ計測をさらに行う場合には、データ計測ボタン42aを押下する。それにより、図3に示す計測メニュー画面4が表示されるので、検査者は、画面表示に従って所定のボタンを押下又は選択することにより、同じ、又は、別のデータ計測を行うことができる。
以上説明したように、本実施形態においては、画面に表示されているROIに対応するデータに画像処理(前処理)を施し、処理後のデータに基づいてIMTを算出するので、IMT計測をより適切且つ正確に行うことができるようになる。その際に、前処理するデータの範囲をROI内に限定することにより、高速に処理することが可能になる。また、本実施形態においては、IMT計測を行う際に、計測ポイントの組み合わせを、優先順位をつけて複数設定するので、検査者自身の基準や好みに合ったIMT計測を、簡単且つ効率良く行うことが可能になる。さらに、本実施形態においては、検出データによって表される波形に包絡線検波処理等を施してデータ量を低減するので、それを格納するシネメモリに要するコストを抑制することが可能になる。
次に、本発明の第2の実施形態に係る超音波診断装置について、図10を参照しながら説明する。
本実施形態に係る超音波診断装置において、超音波診断装置本体500は、図1に示す超音波診断装置本体200に対して、フレーム選択部71をさらに有している。フレーム選択部71は、IMT計測部313によってフレームごとにmaxIMTが算出されると、それらを蓄積する。そして、全フレームについてのIMT計測が終了すると、それらの内からmaxIMTの値が最大となるフレームを抽出する。その他の構成については、図1に示すものと同様である。
本実施形態に係る超音波診断装置の動作について、図10〜図12を参照しながら説明する。
まず、検査者は、計測ポイントの組み合わせの優先順位を予め設定した上で、IMT計測を開始する。それに応じて、図11のステップS11〜S19において、IMT計測部313は、自動抽出又はユーザによる手動設定により計測ポイントを抽出する。なお、これらのステップの動作については、第1の実施形態において説明したのと同様である。
次に、ステップS41において、図12の(a)に示すように、IMT計測部313は、抽出された計測ポイントを用いて、シネメモリ29又は包絡線メモリ311に格納されている複数のフレームi=1、2、3、…におけるmaxIMTを算出する。それらの値は、フレーム選択部71に蓄積される。所定数のフレームについて演算が終了すると、フレーム選択部71は、それらの内からmaxIMTが最大となるフレームを選択してIMT計測部313に出力する。
図12の(b)に示すように、IMT計測部313は、フレーム選択部71から出力されたフレームにおけるmaxIMTを算出して出力すると共に(ステップS42)、maxIMTの値及びそれが取得された位置に基づいて、maxIMTの左右それぞれ1cmの点におけるIMTを抽出し、それらの点のIMTの平均値meanIMTを算出して出力する。(ステップS43)。
次に、ステップS44において、IMT計測部313、IMT計測制御部314、及び、フレーム選択部71は、ステップS11〜S43におけるのと同様に、ICAについて、maxIMTが最大となるフレームにおけるmaxIMTの値及びmeanIMTの値を求める。さらに、ステップS23〜S25において、制御部21は、ユーザの操作に従って、IMT計測の結果をレポートシステム300等にレポート出力する。
以上説明したように、本実施形態によれば、maxIMTが最大となる断面を選択し、その断面におけるmaxIMTを算出するので、動脈硬化等の診断精度を向上させることが可能になる。
次に、本発明の第3の実施形態に係る超音波診断装置について、図13を参照しながら説明する。
本実施形態に係る超音波診断装置において、超音波診断装置本体600は、図1に示す超音波診断装置本体200に対して、ROI方向設定部81をさらに有している。ROI方向設定部81は、検査者の操作に従って、ROI設定部33によって設定されたROIを回転させる。その他の構成については、図1に示すものと同様である。
本実施形態に係る超音波診断装置の動作について、図13〜図15を参照しながら説明する。
まず、検査者は、計測ポイントの組み合わせの優先順位を予め設定した上で、IMT計測を開始する。そして、図14のステップS11〜S12において、図15の(a)に示すように、ROI設定部315が、ユーザの操作に従って、CCAの注目領域(例えば、プラーク82)にROI83を設定する。なお、これらのステップの詳細な動作については、第1の実施形態において説明したのと同様である。
先にも述べたように、IMTの計測ラインの方向は、ROIの辺(深さ方向)に対して固定されている。そのため、図15の(a)に示すように、計測ラインが血管壁の厚さ方向に対して斜めになっていると、IMTを正確に計測することができなくなってしまう。
そこで、ステップS51において、検査者は、計測ラインがIMTの真の厚さ方向にほぼ平行となるように(即ち、計測ラインが血管壁の長さ方向とほぼ直交するように)、トラックボール42c(図2)等を用いてROI83を回転させる。そして、ステップS52において、検査者は、ROI81の向きが適切であると判断すると、OKボタン42eを押下する。それにより、ROI83の位置及び向きが確定する。
さらに、第1の実施形態において説明したのと同様に、ステップS13〜S25において、IMT計測部313が、CCA及びICAにおけるmaxIMT及びmeanIMTを計測して出力する。その際に、計測ポイントは、ROI83の回転角度に応じて定まる計測ラインに沿って抽出される。
以上説明したように、本実施形態によれば、ROIを回転させることにより、計測ラインをIMTの厚さ方向に揃えるので、IMTをより正確に計測できるようになる。さらに、本実施形態においては、計測前処理部312が、ROIの回転角度に応じて、平滑化処理等の画像処理を行う方向を変化させても良い。計測ラインの方向に合わせた画像処理を行うことにより、IMT計測の精度をさらに向上させることができる。
以上説明した第1及び第2の実施形態においては、maxIMTの位置を中心とする3点における平均値をmeanIMTとしたが、maxIMTを含む所定の範囲内におけるIMTの平均値を算出しても良い。計測点を増やすことにより、平均値のバラツキを減らすことができるので、医療診断の精度をより向上させることが可能になる。
本発明は、被検体に超音波を送信及び受信することによって得られる検出信号に基づいてIMT等のデータ計測を行う機能を有する超音波診断装置、並びに、そのようなデータ計測に用いられるデータ計測方法及びデータ計測プログラムにおいて利用することが可能である。
本発明の第1の実施形態に係る超音波診断装置の構成を示すブロック図である。 図1に示す操作卓の構成を示す模式図である。 計測メニュー画面を示す模式図である。 IMT計測設定メニュー画面を示す模式図である。 本発明の第1の実施形態に係る超音波診断装置におけるIMT計測動作を示すフローチャートである。 IMT検査画面を示す模式図である。 計測ポイントを抽出するアルゴリズムを説明するための図である。 計測ポイントを抽出するアルゴリズムを示すフローチャートである。 IMT計測レポートの出力結果画面を示す模式図である。 本発明の第2の実施形態に係る超音波診断装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第2の実施形態に係る超音波診断装置におけるIMT計測動作を示すフローチャートである。 図10に示すフレーム選択部の動作を説明するための図である。 本発明の第3の実施形態に係る超音波診断装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第3の実施形態に係る超音波診断装置におけるIMT計測動作を示すフローチャートである。 図13に示すROI方向設定部の動作を説明するための図である。 動脈の構造を説明するための図である。 頚動脈の形状及びmaxIMTの計測位置を示す図である。 頚動脈の形状及びmeanIMTの計測位置を示す図である。
符号の説明
10 超音波トランスデューサ
21 制御部
22 操作卓
23 格納部
24 走査制御部
25 送信回路
26 受信回路
27 A/D変換器
28 信号処理部
29 シネメモリ
30 Bモード画像データ生成部
31 データ計測部
32 ディジタル・スキャン・コンバータ(DSC)
33 D/A変換器
34 表示部
35 外部インタフェース
41 文字入力キー
42 データ計測操作部
42a データ計測ボタン
42b 設定ボタン
42c トラックボール
42d ネクスト(NEXT)ボタン
42e オーケー(OK)ボタン
42f キャンセル(CANCEL)ボタン
42g レポート出力(OUT)ボタン
43 フリーズボタン
44 計測メニュー画面
44a IMT計測ボタン
44b 循環器計測ボタン
44c 産科計測ボタン
45 IMT計測設定メニュー画面
46 計測ポイント表示領域
47 優先順位表示部
48 計測ポイント選択欄
49 スクロールボタン
50 IMT検査画面
51 超音波画像(Bモード画像)表示領域
52 検査日付表示欄
53 患者情報表示欄
54 計測結果表示欄
55、57、60、83 関心領域(ROI)
56、82 プラーク
61 レポート出力画面
62 検査情報画表示欄
63 超音波画像(Bモード画像)表示領域
64 計測結果表示欄
71 フレーム選択部
72 フレーム画像
81 ROI方向設定部
100 超音波用探触子
200、500、600 超音波診断装置本体
300 レポートシステム
311 包絡線メモリ
312 計測前処理部
313 IMT計測部
314 IMT計測制御部
315 ROI設定部
400 プリンタ
900 血管腔
901 内膜
902 中膜
903 外膜
911 総頚動脈(CCA)
912 外頚動脈(ECA)
913 内頚動脈(ICA)
914 血管分岐部(BIF)

Claims (16)

  1. 被検体に向けて超音波を送信し、該超音波が被検体において反射することによって生じる超音波エコーを受信することにより検出信号を出力する超音波用探触子と、
    前記超音波用探触子から出力される検出信号に対して少なくとも包絡線検波処理を施すことにより包絡線データを生成する信号処理手段と、
    包絡線データに基づいて、被検体に関する超音波画像を表す画像データを生成する画像データ生成手段と、
    血管腔と内膜との境界において超音波が反射されることによって現れる輝度の第1のピークと、中膜と外膜との境界において超音波が反射されることによって現れる輝度の第2のピークとの間隔を計測するために抽出すべき極小値及び極大値を含む複数の計測ポイントの複数の組み合わせ、及び、それらの優先順位を設定するために用いられる操作部と、
    該複数の組み合わせの内から優先順位の順で選択された組み合わせに従って、包絡線データから1組の計測ポイントを抽出し、抽出された1組の計測ポイントの座標に基づいて血管のIMT(内膜中膜複合体厚)を計測するIMT計測手段と
    具備する超音波診断装置。
  2. 前記信号処理手段によって生成される画像データによって表される超音波画像において関心領域を設定する関心領域設定手段をさらに具備し、
    前記IMT計測手段が、前記関心領域設定手段によって設定される関心領域に対応する包絡線データに基づいてIMTを計測する、
    請求項記載の超音波診断装置。
  3. 前記関心領域設定手段によって設定される関心領域を回転させる関心領域方向制御手段をさらに具備し、
    前記IMT計測手段が、前記関心領域方向制御手段によって回転させられた関心領域の回転角度に応じて、IMTの計測ラインの方向を変化させる、
    請求項記載の超音波診断装置。
  4. 前記関心領域設定手段によって設定される関心領域に対応する包絡線データに対して、平滑化処理、コントラスト強調処理、エッジ強調処理、及び、ノイズ除去処理の内の少なくとも1つを含む処理を施す計測前処理手段をさらに具備し、
    前記IMT計測手段が、前記計測前処理手段によって処理が施された包絡線データに基づいてIMTを計測する、
    請求項又は記載の超音波診断装置。
  5. 前記操作部が、複数の計測ポイントを設定するために用いられる入力手段を含み、前記入力手段を用いて複数の計測ポイントが入力された場合に、該複数の計測ポイントを前記IMT計測手段に提供する、請求項1〜4のいずれか1項記載の超音波診断装置。
  6. 前記信号処理手段によって生成される複数フレーム分の包絡線データを格納するメモリをさらに具備し、
    前記IMT計測手段が、前記メモリに格納されている複数フレーム分の包絡線データに基づいて各フレームにおけるIMTの最大値を計測し、該最大値が最大となるフレームにおけるIMTの最大値を求める、
    請求項のいずれか1項記載の超音波診断装置。
  7. 前記IMT計測手段が、IMTの最大値を求め、その後、該最大値が得られた位置を基準としてIMTの平均値を求める、請求項のいずれか1項記載の超音波診断装置。
  8. 前記IMT計測手段によって計測されるIMTの計測結果をレポート出力する出力手段をさらに具備するのいずれか1項記載の超音波診断装置。
  9. 被検体に向けて超音波を送信し、該超音波が被検体において反射することによって生じる超音波エコーを受信することにより出力される検出信号に対して少なくとも包絡線検波処理を施すことにより包絡線データを生成する超音波診断装置において用いられるデータ計測方法であって、
    包絡線データに基づいて、被検体に関する超音波画像を表す画像データを生成するステップ(a)と、
    オペレータの操作に従って、血管腔と内膜との境界において超音波が反射されることによって現れる輝度の第1のピークと、中膜と外膜との境界において超音波が反射されることによって現れる輝度の第2のピークとの間隔を計測するために抽出すべき極小値及び極大値を含む複数の計測ポイントの複数の組み合わせ、及び、それらの優先順位を設定するステップ(b)と、
    該複数の組み合わせの内から優先順位の順で選択された組み合わせに従って、包絡線データから1組の計測ポイントを抽出し、抽出された1組の計測ポイントの座標に基づいて血管のIMT(内膜中膜複合体厚)を計測するステップ(c)と、
    を具備するデータ計測方法。
  10. ステップ(a)において生成される画像データによって表される超音波画像において関心領域を設定するステップ(d)をさらに具備し、
    ステップ(c)が、ステップ(d)において設定される関心領域に対応する包絡線データに基づいてIMTを計測することを含む、
    請求項記載のデータ計測方法。
  11. ステップ(d)において設定される関心領域を回転させるステップ(e)をさらに具備し、
    ステップ(c)が、ステップ(e)において回転させられた関心領域の回転角度に応じて、IMTの計測ラインの方向を変化させることを含む、
    請求項10記載のデータ計測方法。
  12. ステップ(a)において生成される複数フレーム分の包絡線データをメモリに格納するステップ(f)をさらに具備し、
    ステップ(c)が、前記メモリに格納されている複数フレーム分の包絡線データに基づいて各フレームにおけるIMTの最大値を計測し、該最大値が最大となるフレームにおけるIMTの最大値を求めることを含む、
    請求項11のいずれか1項記載のデータ計測方法。
  13. 被検体に向けて超音波を送信し、該超音波が被検体において反射することによって生じる超音波エコーを受信することにより出力される検出信号に対して少なくとも包絡線検波処理を施すことにより包絡線データを生成する超音波診断装置において用いられるデータ計測プログラムであって、
    包絡線データに基づいて、被検体に関する超音波画像を表す画像データを生成する手順(a)と、
    オペレータの操作に従って、血管腔と内膜との境界において超音波が反射されることによって現れる輝度の第1のピークと、中膜と外膜との境界において超音波が反射されることによって現れる輝度の第2のピークとの間隔を計測するために抽出すべき極小値及び極大値を含む複数の計測ポイントの複数の組み合わせ、及び、それらの優先順位を設定する手順(b)と、
    該複数の組み合わせの内から優先順位の順で選択された組み合わせに従って、包絡線データから1組の計測ポイントを抽出し、抽出された1組の計測ポイントの座標に基づいて血管のIMT(内膜中膜複合体厚)を計測する手順(c)と、
    をCPUに実行させるデータ計測プログラム。
  14. 手順(a)において生成される画像データによって表される超音波画像において関心領域を設定する手順(d)をさらにCPUに実行させ、
    手順(c)が、手順(d)において設定される関心領域に対応する包絡線データに基づいてIMTを計測することを含む、
    請求項13記載のデータ計測プログラム。
  15. 手順(d)において設定される関心領域を回転させる手順(e)をさらにCPUに実行させ、
    手順(c)が、手順(e)において回転させられた関心領域の回転角度に応じて、IMTの計測ラインの方向を変化させることを含む、
    請求項14記載のデータ計測プログラム。
  16. 手順(a)において生成される複数フレーム分の包絡線データをメモリに格納する手順(f)をさらにCPUに実行させ、
    手順(c)が、前記メモリに格納されている複数フレーム分の包絡線データに基づいて各フレームにおけるIMTの最大値を計測し、該最大値が最大となるフレームにおけるIMTの最大値を求めることを含む、
    請求項1315のいずれか1項記載のデータ計測プログラム。
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