JP5138197B2 - Lg21株用プライマー及び該プライマーを用いた検出方法 - Google Patents

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Description

本発明は、発酵乳製品製造やプロバイオティクスに関わる乳酸菌など食品微生物、及び、乳酸・アミノ酸・核酸など有用物質を生産する微生物、環境浄化に関わる微生物の検出方法に関する。さらに詳しくは、ラクトバチルス属ガセッリー菌の検出方法に関する。
ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)は、慢性胃炎および胃癌に関連する(非特許文献1)。ヘリコバクター・ピロリは、世界中の人口の50%以上に感染している。ヘリコバクター・ピロリに対する治療として、現在のところ、プロトンポンプ・インヒビターに基づくトリプル・レジメンツ(triple regiments)のような根絶治療が利用できるが、ヘリコバクター・ピロリの抗生物質抵抗性および根絶治療に関連する副作用などの問題がある。
近年、ラクトバチルス(Lactobacillus)属およびビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属といった乳酸菌が、ヘリコバクター・ピロリ感染のためのプロバイオティクスに有用であると考えられている(非特許文献2および3)。特に、多くのインビボ研究により、様々なラクトバチルス属がヘリコバクター・ピロリの成長を抑制することができるという可能性が示された(非特許文献4〜6)。
また、非特許文献7では、ラクトバチルス属菌を補給することにより、ヘリコバクター・ピロリ根絶治療における副作用が緩和されると報告している。報告されている胃のプロバイオティクスの中で、ラクトバチルス・ガッセリー(Lactobacillus gasseri)OLL2716株(以下LG21株;寄託番号FERM BP−6999)は、ヒトにおけるヘリコバクター・ピロリの定着を抑制するとともに、胃粘膜炎症を抑えるという効果を有する(非特許文献8)。
ヘリコバクター・ピロリは、胃の粘液層および上皮細胞への接着部分に定着することが知られている。また、多くの臨床試験の結果は、LG21株はヘリコバクター・ピロリを根絶するのではなく、その病原体を低レベルに維持することを示唆していることが報告されている(非特許文献9)。
乳酸菌の利用の有効性を評価するためには、例えば、生物試料中の乳酸菌の存在量を算出し、さらに各々の乳酸菌の菌種を測定することによって、臨床的な効果を判定することが必要である。それによって、摂取された乳酸菌の大腸への移行率や生存率を明らかにすることが可能となり、その保健効果が判定可能となる。したがって摂取された乳酸菌を確実に識別する技術が求められている。
従来、生物試料中や環境中の乳酸菌は、検体を嫌気培養してコロニーを分離した後、グラム染色や検鏡による菌型の観察などの形態学検査、あるいは、酵素活性、酸素耐性、糖発酵性などの生化学検査により、同定されてきた。前記検体の培養は、菌数測定や菌種の同定に通常用いられる標準的な方法で行われるが、必ずしも全ての生物試料中の乳酸菌を培養できるわけではなく、また嫌気装置を用いて培養を行う必要があり、培養時間が数日から1週間程度必要であるなど、手間がかかり複雑である。また、検体に含まれる乳酸菌を嫌気的かつ低温で保存し、生菌のまま分析に供しなければならず、さらに、分析を行う者の習熟度が要求されること等、多くの問題があった。
一方、近年、微生物の同定法としてリボソームRNA(rRNA)遺伝子を用いて検出する分子生物学的手法を用いて行われるようになってきた。原核生物のrRNA遺伝子は5S、16S、23SリボソームRNA遺伝子からなり、特に16S rRNA遺伝子は原核生物に普遍的に存在し、属及び菌種間に共通な塩基配列があるため、16S rRNA遺伝子の塩基配列を基準株と比較して種を決定することができる。この方法では、被検菌の16S rRNAの塩基配列を決定した後、これと近縁の菌の16S rRNAの塩基配列を整列させ(アラインメント)、塩基配列の違いを解析することによって行われる。しかし、この方法では、比較対照として、土壌、汚泥、糞便や食品などに存在する菌の16S rRNAの配列を決定し、多数配列間での系統的な解析を行う必要であり、多大な労力と時間を要する(非特許文献10)。
また、被検菌が、既に16S rRNAの特異的配列が知られている比較対照の菌と同一種であるか否かは、その配列を検出するためのプローブを用いて決定することができる。しかし、この方法は、実施に長時間を要するという問題がある。
さらに、16S rRNA遺伝子と23S rRNA遺伝子の中間に位置するIntergenic transcribed spacerの塩基配列は、種間で相違点が多いことから、乳酸菌の菌種間の比較に使用可能であることが報告されている(非特許文献11)。しかし、同属同種異株間の比較に関して応用可能かどうかについては詳細に検討されていない。
また、染色体DNAの多型性を用いて菌株を同定する方法がある。例えば、制限酵素を用いて染色体DNAを切断し、その切断DNAをパルスフィールドゲル電気泳動(Pulsed−Field Gel Electrophoresis)によって分離後、染色を行い泳動パターンにより菌株の違いを比較するPFGE法が行われている(非特許文献12)。また、10塩基長程度のPCR用プライマーを用いRAPD(Random Amplified Polymorphic DNA)によってPCRを行い、アガロース電気泳動によって分離後、染色を行い泳動パターンを比較することが行われている(非特許文献13)
しかし、PFGE法は精査を行うのには好適であるが、複雑な工程が必要であり、実施するのに数日が必要であるなどルティーンワークには不向きである。一方、RAPD法は迅速に検出が可能であるが、短いPCR用プライマーを使用して低温でアニーリングを行うため、再現性が劣る、あるいは使用する機器によって結果が異なることが知られている。
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本発明は、LG21株に特異的であり、他のラクトバチルス属の異なる菌株と交差反応を示さず、迅速かつ簡便にLG21株を検出し得るPCR用プライマー、及び該プライマーを用いた検出法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、LG21株に特異的な塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを含むPCR用プライマーを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下のとおりである。
1.配列番号1〜3のいずれか1の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを含むラクトバチルス属ガッセリー(Lactobacillus gasseri)OLL2716株(LG21株)検出用プライマー。
2.配列番号1または2の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと、配列番号3の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドの対からなる、LG21株検出用プライマー。
3.前項1または2記載のプライマーを含むことを特徴とするLG21株検出用キット。
4.以下の工程を含むLG21株の検出方法。
(1)前項1または2記載のプライマーを用いて核酸断片を増幅する工程
(2)工程(1)で得られた核酸断片を検出する工程
本発明によりLG21株を簡便かつ迅速に、かつ同種のラクトバチルス属ガッセリー菌株と交差反応を示すことなく、検出することができる。
本発明のプライマーは、LG21株に特異的な塩基配列を有する染色体DNA領域をPCR(ポリメラーゼ・チェイン・リアクション)により増幅し得るプライマーである。
本発明のプライマーとして、配列番号1〜3のいずれか1の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを含むプライマーを例示することができる。また、配列番号1または2の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと、配列番号3の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドの対からなる、プライマーを例示することができる。
本発明の検出法において使用できるプライマーには、塩基長やPCR条件等に依存して配列番号1〜3の塩基配列と実質的に相同な塩基配列を有するオリゴヌクレオチドからなるプライマーも含まれる。ここで、「実質的に相同」とは、PCR用プライマー等として機能し得る程度の断片長と相同性を有することを意味する。
例えば、本発明のプライマーは、使用目的や条件によっては、必ずしも配列番号1〜3の塩基配列と100%の相同性を有している必要はなく、目的とする領域のプライマーの5´末端付近で数塩基が異なっていてもよい。そのようなプライマーを使用しても、アニーリング温度等を検討することによって目的DNA断片を適宜増幅させることは可能である。
例えば、LG21株の検出に際し、高い特異性が要求される場合には、完全に相同な配列部位(配列番号1〜3の塩基配列)を使用し且つそのような配列でしかアニーリングしないPCR条件を選択すればよく、その反面、比較的特異性の低い条件が許容される場合には、配列番号1〜3の塩基配列とは数塩基異なる配列を使用し且つそれでもアニーリングするようなPCR条件を選択することができる。
配列番号1〜3の塩基配列は、LG21株に特異的な配列であることから、これらの一部の配列をDNAプローブとしたFISH法やサザンハイブリダイゼーション、ドットハイブリダイゼーションなどを実施することも可能である。
尚、LG21株とは、ラクトバチルス属ガッセリー菌株のうち、ラクトバチルス属ガッセリーOLL2716株(LG21株、寄託番号FERM BP−6999)を示す。
本発明のプライマーは、当業者によく知られた通常のDNAの合成法により、例えばDNA合成機を用いて合成することができる。また、DNA合成業者に合成を委託することによっても、本発明のプライマーを得ることができる。
本発明のプライマーを用いて、被検菌の染色体DNAを鋳型とするPCRを行い、増幅産物の有無を決定することにより、LG21株を検出することができる。すなわち、プライマーの配列に特異的なPCRの反応が起こると、LG21株の染色体DNA内の、各プライマーの配列に相当する配列に挟まれた領域(標的領域)が増幅される。
したがって、本発明のプライマーを用いて増幅産物が得られれば、被検菌はLG21株であると同定されるか、又は、被検菌にLG21株が含まれていると判定される。また、PCRを定量的に行うことにより、LG21株の存在量を測定することもできる。
また、増幅産物が得られる場合は、増幅産物の有無の決定には、増幅産物の長さの決定が含まれてもよい。例えば、配列番号1および配列番号3、または配列番号2および3の各組み合わせからなるオリゴヌクレオチドを含むLG21株検出用プライマーを用いた場合、被検菌にLG21株が含まれていれば、通常は各々330bp、193bpの増幅産物が得られる。
尚、本発明において、LG21株の検出とは、試料中にLG21株が存在するか否かを検出すること、及び、被検菌が単一種である場合には、同被検菌がLG21株であるか否かを同定すること、さらには、試料中のLG21株の存在量を測定することを含む。
被検菌は、LG21株が存在し得る試料に含まれる細菌であれば特に制限されず、例えば、ヒトや家畜の組織由来の生検試料、または糞便、食品、若しくは土壌等の環境中に含まれる細菌が挙げられる。好ましくは、LG21株又は同菌株以外の乳酸菌、特にラクトバチルス属ガッセリーである。被検菌は、分離された単一種であってもよく、複数の菌種を含む混合物であってもよい。
前記鋳型には、被検菌の染色体DNAを用いる。染色体DNAの調製は、PCRの鋳型となり得るこれらの核酸を取得することができるものであれば特に制限されず、通常、細菌の染色体DNAの抽出又は単離に用いられる方法を採用することできる。
前記核酸の抽出に用いる菌体は、例えば、前記生検試料、糞便、食品、又は土壌等から得た被検菌を、適当な培地、例えば3%グルコースを添加したGAM寒天培地で、二酸化炭素存在下で嫌気的に培養を行うことによって、取得することができる。また、必要に応じて、水、緩衝液、有機溶媒等によって培地から菌体を抽出してもよい。
得られた菌体をそのままPCRに供してもよく、菌体から核酸を抽出してPCRに用いてもよい。菌体から目的の核酸を抽出するには、例えば、日本バイオラッド社のインスタジーンマトリックス(InstaGene Matrix)や、Qiagen社のQIAamp DNA Stool Mini Kitなどの市販のDNA抽出キットを使用することができる。
また、Murmurの方法[Journal of Molecular Biology,Vol.3,p.208−218(1961)]やベンジルクロライド法[Nucleic Acid Research,Vol.21,p5279−5280(1993)]などにより細胞からDNAを抽出し、さらにはリボヌクレアーゼによりRNAを除去することによっても、DNAを抽出することができる。
核酸の抽出に際しては、PCR阻害物質を除去する物質、例えば牛血清アルブミン等を加えることが好ましい。DNAの抽出法は、Sambrookら、”Molecular Cloning A Laboratory Manual,Second Edition”,Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989)等にも記載されている。
本発明においては、PCRの反応は、2種類のオリゴヌクレオチドプライマーを用いる通常のPCRと同様にして行うことができる。典型的には、鋳型DNA、プライマー、及びDNAポリメラーゼを含む反応液を、変性、アニーリング及び伸長反応を各々適した温度に保温し、これを20〜35サイクル繰り返す。
PCRに用いるDNAポリメラーゼは、PCRに用いることができるものであれば特に制限されず、例えば、市販のKOD Dash(タカラバイオ)、AmpliTaq Gold(Applied Biosystems社)、Takara Taq(タカラバイオ)、Platinum Taq DNA polymerase(インビトロジェン社)などのTaq DNAポリメラーゼや、Platinum Pfx DNA polymerase(インビトロジェン社)やPyrobest DNA polymerase(タカラバイオ)等のDNAポリメラーゼ、又はこれらの酵素と緩衝液からなるキットも使用することができる。
PCRの反応条件は、使用する酵素や装置等に応じて、適宜設定すればよい。具体的には例えば、94℃ 4分間加温後、変性94℃ 20秒、アニーリング60℃ 10秒、及び伸長反応72℃ 30秒からなる反応を30サイクル繰返し、最後に72℃で10分間加熱する条件が挙げられる。鋳型DNAとプライマーの量比は、0.1μgのゲノムDNA量に対し、プライマー0.5μM程度が好ましい。
また、本発明においては更に感度の高い、かつ特異性の高い増幅を行うために上述の第1のPCRの反応後、第2のPCRを行ってもよい。このような方法はネスティッドPCR法(「入れ子PCR法」とも呼ばれる)と呼ばれる。ネスティッドPCR法は、増幅対象配列特異的な第1のプライマーセットを用いて1回目のPCRを行い、次に第1のプライマーセットによって増幅されるDNA断片を増幅し得る1対のプライマーであって第1のプライマーセットと共通のプライマーを含まない第2のプライマーセットを用いて、第1のプライマーセットを用いたPCR産物を鋳型として2回目のPCRを行う方法である。
ネスティッドPCR法によって、1回目のPCRにおいて目的とするDNA断片以外が増幅されることがあったとしても、2回目のPCRにおいて再びその目的とするDNA断片でないDNA断片が増幅される可能性が極めて低いため、増幅すべきDNA配列に非常に特性の高い増幅を行うことができる。例えば、配列番号1および配列番号3からなるオリゴヌクレオチドを含むLG21株検出用プライマーセットPCRを行えば、193bpのバンドの出現により、より高い特異性でLG21株を検出することができる。
PCRにより得られる増幅産物の有無又はその量もしくはその大きさは、通常の核酸の検出又は定量法によって、決定するができる。例えば、アガロース電気泳動やキャピラリ電気泳動によって電気泳動した後、エチジウムブロマイドやSYBRGreenIで染色することによって、増幅産物を検出することができる。また、蛍光強度によって増幅産物の量を、分子量マーカーとの比較によって分子量を決定することができる。また、予め蛍光染色液を含むアガロースゲルを用いて電気泳動を行うと、電気泳動終了後に染色作業を行うことなく、増幅産物を検出することができる。さらにはPCR産物をサイクルシーケンスした後、DNAシーケンサーを用いて塩基配列と長さを測定することによっても、増幅産物の有無又は量を確認することができる。また、リアルタイムPCR法によれば、経時的に増幅反応を検出することができる。
本発明のプライマーは、それのみで、又は、他の要素と併せて、LG21株検出用のキットとすることができる。前記の他の要素としては、核酸の抽出、PCR、及び増幅産物の検出に必要な試薬類の任意の1種又は2種以上が挙げられる。また、前記キットは、陽性コントロールとして、LG21株の染色体DNAの配列の一部を有し、本発明のプライマーにより増幅され得るDNA断片、および/または、陰性コントロールとして、本発明のプライマーに対応するが、1塩基又は数塩基のミスマッチを有する塩基配列を有するDNA断片を含んでいてもよい。
本発明のプライマーは、前記したように、LG21株の検出に用いることができる。また、本発明のプライマーを用いることにより、LG21株菌体又は同菌体を含む飲食品等を工業的に製造するに際し、菌数の測定や発酵状態の管理を容易に行うことができる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されない。
<方法>
1.被検者
ヘリコバクター・ピロリに感染していない58歳の日本人男性(被験者A)と同様に感染者である54歳の日本人男性を被験者(被験者B)とした。両者はともにヘリコバクター・ピロリの根絶治療およびプロトンポンプ・インヒビターを使用した治療を受けたことはなかった。両被験者は、LG株を投与する2週間前に、上部消化管内視鏡検査および生検(胃前庭部および胃体)を受けた。ヘリコバクター・ピロリは[13C]−ウレア呼気検査(大塚製薬)により確認し(陽性は2.5%またはそれ以上)、ヘマトキシリン−エオシン染色を使用して組織学的検査をした。
被験者AおよびBの[13C]−ウレア呼気検査の結果は、それぞれ0.4%および21.6%であった。上部消化管内視鏡検査の結果、両被験者とも内視鏡的病変は検出されなかった。しかし、Updated Sydney system(Dixon et al,1996)による解析の結果、被験者Bは胃体にグレード2の慢性活動性胃炎を有していた。被験者Bのヘリコバクター・ピロリ密度はグレード2であった。一方、被験者Aの組織像は正常であり、ヘリコバクター・ピロリは、胃前庭部および胃体の両方において検出されなかった。
2.LG21の投与
一晩の断食の後、被験者AおよびBは各々LG21含有(8.4―12×10CFU/120ml)ヨーグルトドリンク[LG21ヨーグルト(登録商標);明治乳業]を120ml摂取した。LG21ヨーグルトドリンクを摂取した1時間後に、内視鏡生検を受けた。生検試料は両被験者の胃前庭部および胃体の両方から採取した。その際、内視鏡的な粘膜病変は観察されなかった。
3.顕微解剖
胃前庭部および胃体由来の生検試料を滅菌水中で洗浄後、10%ホルマリンで固定した後に、パラフィンに包埋した。洗浄した試料を12μmの薄さにスライスし、顕微解剖のためにトルイジンブルーで染色した。脱パラフィン後、PALM−MB−III(P.A.L.M)を使用してLAMC法により粘液層を解剖した。摘出した組織断片由来のLG21株およびヘリコバクター・ピロリのDNAは、Instagene−matrix(Bio−Rad)を使用して、製造元のプロトコールにしたがって以下の方法で抽出した。
200μlの滅菌水を摘出した試料を入れた遠心チューブに添加し、チューブを穏やかに振とうした。室温にて12000×gで遠心後、ペレットに100μlのInstagene−matrix(Bio−Rad)を添加して混合し、56℃にて25分間振とうしながらインキュベートした。その後、製造元のプロトコール(Bio−Rad)にしたがい、Instagen−matrixを使用してDNAを抽出した。
4.PCRによる増幅およびヌクレオチド配列
(1)試料の前処理
PCRに供する菌体懸濁を以下の手順で調製した。1ml程度の培養液を1.5mlの微量遠心管に移し、室温にて7000rpmで5分間遠心し、上清をデカントして除いた。その後の手順は方法1または2により行った。
(2)方法1
500μlのTE緩衝液を各チューブに入れ、Vortexで軽く攪拌し、7000rpmで5分間遠心した。上清をマイクロピペットで完全に除き、100μlのTE緩衝液に菌体をマイクロピペットで懸濁し、凍結した(凍結/融解過程での菌体の破壊を目的としているので直後にPCRを行う場合も、一度凍結した)。
(3)方法2
500μlのPBE緩衝液[0.3mol/l ラフィノース、20mmol/l Tris/HCl(pH7.0)、1mmol/l EDTA(pH8.0)]を各チューブに入れ、Vortexで軽く攪拌し、室温にて7000rpmで5分間遠心した。上清をマイクロピペットで完全に除き、120μlのPBE緩衝液に菌体をマイクロピペットで懸濁した。24μlのリゾチーム溶液(12.5mg/ml)と6μlのムタノリシン溶液(4mg/ml)を加え、37℃にてで20分間消化した。その後、500μlのPBE緩衝液を各チューブに入れ、Vortexで軽く攪拌し、室温にて7000rpmで5分間遠心した。上清をデカントして除き、数秒遠心して壁面の液を落としてからマイクロピペットで完全に除き、100μlのTE緩衝液に菌体をマイクロピペットで懸濁し、凍結保存した。
5.LG21株特異的PCR用プライマー
LG21株についてはゲノム塩基配列のほとんどが判明しており、他のラクトバチルス属ガッセリーの菌株系統に較べて非常に多くのIS(挿入塩基配列)を持つことが判明している。そこで、図1に示すISの端部と近傍のラクトバチルス属ガッセリーの塩基配列に基づいて、以下に示すプライマー[CTG1A(配列番号1)、CTG1B(配列番号2)、IS30HR(配列番号3)]を作製し、約20系統のラクトバチルス属ガッセリー菌株について調べた結果、IS30HR−CTG1Aの330bpのPCR断片がLG21株でのみで観察されることを確認した。また、IS30HR−CTG1Bのsemi−nested PCRを行えば、193bpのバンドの出現で、より高い特異性でLG21株を検出することができる。
6.PCRの条件
KOD Dash DNAポリメラーゼ(東洋紡)を使用して行った。一般に用いられるTaq DNAポリメラーゼを使用したPCRについては検討していないが通常の反応条件で支障ないと考えられる。KOD Dash DNAポリメラーゼを使用したPCRでは時として副産物のバンドが多数出現することがあるが、増幅力が強く、反応時間も短縮できるのでKOD Dash DNAポリメラーゼを使用して実験することが推奨される。
PCRは、表2に示す組成の反応液を0.2mlのPCRチューブに入れ、94℃にて4分間熱変性後、94℃ 20秒、60℃ 10秒および72℃ 30秒を30サイクル行った。反応終了後、全量を8%ポリアクリルアミドゲル電気泳動にかけ、LG21株特異的なPCR断片(330bp)の増幅の有無を確認した。
また検出感度を高めたい場合は二段目のsemi−nested PCRを行った。表3に示す組成の反応液を0.2mlのPCRチューブに入れ、94℃にて4分間熱変性後、94℃ 20秒、60℃ 10秒および72℃ 30秒を20サイクル行った。反応終了後、全量を8%ポリアクリルアミドゲル電気泳動にかけ、LG21株特異的なPCR断片(193bp)の増幅の有無を確認した。
<結果>
本発明のLG21株検出用プライマーを用いたsemi−nestedPCR法により、ヨーグルトドリンクにより投与されたLG21株がヒトの胃粘液層において検出できるか否かを解析した。
レーザーを使用した顕微解剖の後、各生検試料由来の一つの組織断片を用いた。粘液層における切断標本の平均領域は、約200μmであった。顕微鏡写真法に用いる場合、パラフィン包埋ブロックは、通常5−7μmに切断するが、本実施例においては各組織由来のLG21株およびヘリコバクター・ピロリのゲノムDNAを得るために12μmの薄さに生検試料を切断し、LAMC法により解剖試料における粘液層のみを得た。被験者Aの胃前庭部、ならびに被験者Bの胃前庭部および胃体からLG21株特異的な領域のDNAを増幅した結果を図2に示す。
図2のレーン1〜5および6〜10は、それぞれLG21株およびヘリコバクター・ピロリについてPCRを行った結果を示す。レーン2および6は、ヘリコバクター・ピロリの感染がない被験者Aの胃体、レーン3および7は被験者Aの胃前庭部の結果である。レーン4および8は、ヘリコバクター・ピロリに感染した被験者Bの胃体、レーン5および9は被験者Bの胃前庭部の結果である。レーン1(193bp)および10(204bp)は、それぞれLG21株およびヘリコバクター・ピロリ陽性のコントロールであり、レーンMは分子サイズマーカーを示す。
PCRの結果、図2に示したように、被験者AおよびBの胃前庭部(レーン3および5)並びに被験者Bの胃体(レーン4)において、コントロール(レーン1)のPCR産物と同様の位置である193bpのLG21株特異的なPCR産物が検出された。この結果から、本発明のプライマーによれば、LG21株を特異的に検出し得ることがわかった。
LG21株の生存については解析しなかったが、LG21株を成人の胃液に2時間曝したとしても、ほとんどの生菌数は変化しない。胃粘膜においては、その高度の酸性環境によって胃の中に摂取されたほとんどのバクテリアが殺されると考えられている。したがって、粘液層におけるLG21株特異的なPCR産物は、生菌の存在を示している可能性が高い。
LG21株のゲノム塩基配列の一部(contig.1)を示す。LG21株の特異的検出のためのプライマー(CTG1A、CTG1B、IS30HR)がハイブリダイズする部位を下線で示す。太字の部分はISを示す(1008塩基を省略した)。 摘出した組織試料におけるLG21株特異的遺伝子およびUreA遺伝子をSemi−nested PCRで検出した結果を示す。

Claims (3)

  1. 配列番号1または2の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと、配列番号3の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドの対からなる、LG21株検出用プライマー。
  2. 請求項1記載のプライマーを含むことを特徴とするLG21株検出用キット。
  3. 以下の工程を含むLG21株の検出方法。
    (1)請求項1記載のプライマーを用いて核酸断片を増幅する工程
    (2)工程(1)で得られた核酸断片を検出する工程
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