JP5138186B2 - 被塗装性に優れた硬化性シーリング材又は硬化性パテ組成物 - Google Patents

被塗装性に優れた硬化性シーリング材又は硬化性パテ組成物 Download PDF

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Description

本発明は、硬化性組成物、シーリング材組成物、パテ組成物及び接着剤組成物に関し、さらに詳しくは塗料密着性、塗料非汚染性などの被塗装性に優れた硬化性組成物、シーリング材組成物、パテ組成物及び接着剤組成物に関する。
反応性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系有機重合体をベースにした室温硬化性組成物は、例えば建築物のシーラント(変成シリコーン系シーリング材と呼ばれている)に利用でき、安価で優れた性能を有している。
これらは構造物の隙間(目地)等に充填施工し、硬化させ隙間をふさいで水密、気密を保つために用いられるものである。シーリング材硬化物の表面には塗料を塗布することが望まれる場合があるが、塗料とシーラント表面との密着力は必ずしも充分ではなく、特に溶剤系塗料を使用した場合は十分とは言えない問題点があった。
また、通常シーリング基材以外に充填剤、可塑剤、硬化促進剤、老化防止剤などが添加されている。このうち、可塑剤は主として作業性を向上するために添加され、通常ジオクチルフタレート、ジイソノニルフタレート等のフタル酸エステル系の可塑剤が用いられる。今や汎用的になっている変成シリコーンを基材としたシーリング材でもこれまでにこれらの可塑剤が主に用いられてきているが、これは施工後年月を経るとともに表面にブリードし、自己汚染・周辺汚染をするという問題があった。
一方、特許文献1は、特殊な重合触媒を用いた重合によって得られるアクリル系重合体や、その特殊なアクリル系重合体とシランカップリング剤とからなる硬化性組成物を開示している。しかしながら、これら硬化性組成物は、接着性やゴム物性、塗料との密着性等が充分ではなかった。特許文献2は架橋性シリル基含有有機重合体と特許文献1記載の特殊なアクリル系重合体を含む硬化性組成物を開示している。しかしながら、特許文献2記載の硬化性組成物は、接着性やゴム物性は優れているが、塗料との密着性は充分とはいえなかった。
特開2001−40037号公報 国際公開第2005/012426号パンフレット
本発明は、塗料密着性に優れ、塗料汚染の問題を解消した被塗装性に優れた硬化性組成物、及び良好な塗料密着性及び塗料非汚染性を有し、作業性に優れたシーリング材組成物、パテ組成物、及び接着剤組成物を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の硬化性シーリング材又は硬化性パテ組成物は、架橋性シリル基含有有機重合体(A)、及びガラス転移温度が−100℃〜−10℃である、架橋性シリル基末端含有(メタ)アクリル酸エステル重合体(B)、を含有する硬化性シーリング材又は硬化性パテ組成物であって、前記(メタ)アクリル酸エステル重合体(B)が、下記式(1)で表されるメタロセン化合物及び架橋性シリル基含有チオール化合物の存在下に、重合性不飽和結合を有するアクリル系単量体を重合してなり、少なくとも1の末端に架橋性シリル基含有チオール化合物から水素原子が離脱した残基−S−R3(但し、R3は架橋性シリル基を有する基である)が結合している(メタ)アクリル酸エステル重合体であることを特徴とする。
Figure 0005138186
(但し、式(1)において、Mは、周期表4族、5族、14族の金属、クロム、ルテニウム及びパラジウムよりなる群から選択される金属であり、R1及びR2は、それぞれ独立に、置換基を有することもある脂肪族炭化水素基、置換基を有することもある脂環族炭化水素基、置換基を有することもある芳香族炭化水素基及び置換基を有することもある珪素含有基よりなる群から選択される少なくとも一種の基、若しくは、水素原子又は単結合のいずれかであり、さらに、R1及びR2が共同して式(1)で表わされる化合物中の2個の5員環を結合していてもよく、a及びbは、それぞれ独立に、1〜4の整数であり、Xは水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子で置換されていることもある炭化水素基またはハロゲン原子であり、nは0又は金属Mの価数−2の整数である。)
前記架橋性シリル基含有有機重合体(A)が、架橋性シリル基を末端に有するポリオキシアルキレン系重合体であることが好ましい。
前記(メタ)アクリル酸エステル重合体(B)における前記アクリル系単量体が、アクリル酸ブチル及び/又はアクリル酸2エチルヘキシルであることが好ましい。
前記(メタ)アクリル酸エステル重合体(B)が、重量平均分子量500以上10000以下であることが好ましく、500以上5000以下であることがより好ましい。
前記(メタ)アクリル酸エステル重合体(B)が、末端に1個の架橋性シリル基を有することが好ましい。
本発明のシーリング材組成物は、前記本発明の硬化性シーリング材組成物を主成分とすることを特徴とする。
本発明のパテ組成物は、前記本発明の硬化性パテ組成物を主成分とすることを特徴とする。
本発明のシーリング材硬化物またはパテ硬化物の塗装物の製造方法は、架橋性シリル基含有有機重合体(A)、及びガラス転移温度が−100℃〜−10℃である、架橋性シリル基末端含有(メタ)アクリル酸エステル重合体(B)、を含有する硬化性シーリング材または硬化性パテ組成物の硬化物表面に塗料を塗装した塗装物の製造方法であって、前記(メタ)アクリル酸エステル重合体(B)が、前記式(1)で表されるメタロセン化合物及び架橋性シリル基含有チオール化合物の存在下に、重合性不飽和結合を有するアクリル系単量体を重合してなり、少なくとも1の末端に架橋性シリル基含有チオール化合物から水素原子が離脱した残基−S−R (但し、R は架橋性シリル基を有する基である)が結合している(メタ)アクリル酸エステル重合体であることを特徴とする。
本発明によれば、塗料密着性に優れ、塗料汚染の問題を解消した被塗装性に優れた硬化性組成物、及び良好な塗料密着性及び塗料非汚染性を有し、作業性に優れたシーリング材組成物、パテ組成物、及び接着剤組成物を提供することができる。
以下に本発明の実施の形態を説明するが、これらは例示的に示されるもので、本発明の技術思想から逸脱しない限り種々の変形が可能なことはいうまでもない。
本発明の硬化性組成物は、成分(A)架橋性シリル基含有有機重合体、及び成分(B)架橋性シリル基を末端に有する(メタ)アクリル酸エステル重合体を必須成分として含有するものである。
前記成分(A)としては、珪素原子に結合した水酸基又は加水分解性基を有し、シロキサン結合を形成することにより架橋しうる珪素含有基、すなわち架橋性シリル基を含有する有機重合体が使用される。前記架橋性シリル基は、特に限定はないが、硬化性組成物の硬化性や硬化後の物性等の点から、分子内に1〜6個含まれるのが一般的である。架橋性シリル基の位置は特に限定されず、有機重合体分子鎖の末端あるいは内部にあってもよく、両方にあってもよいが、分子鎖末端にあることが好ましい。
更に、架橋性シリル基は、架橋しやすく製造しやすい下記一般式(2)で示されるものが好ましい。
Figure 0005138186
(式(2)中、R4は炭素数1〜20の置換もしくは非置換の1価の有機基であり、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基又は炭素数7〜20のアラルキル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。R4が複数存在する場合、それらは同じであっても異なっていてもよい。Yは水酸基又は加水分解性基であり、ハロゲン原子、水素原子、水酸基、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミド基、酸アミド基、メルカプト基、アルケニルオキシ基及びアミノオキシ基から選択される基が好ましく、アルコキシ基がより好ましく、メトキシ基が最も好ましい。Yが複数存在する場合、それらは同じであっても異なっていてもよい。cは1、2又は3であり、速硬化性の点から3が最も好ましい。)
前記成分(A)において、架橋性シリル基が複数存在する場合、これらは同じであっても異なっていても良く、さらに、前記式(2)中のcの数も同じであっても異なっていても良い。例えば、下記式(3)で示される架橋性シリル基及び下記式(4)で示される架橋性シリル基を併有する有機重合体も用いることができる。また、下記一般式(3)で示される架橋性シリル基を含有する有機重合体と、下記一般式(4)で示される架橋性シリル基を含有する有機重合体との混合物も好適に用いられる。
Figure 0005138186
Figure 0005138186
(式(3)及び(4)中、Y及びR4はそれぞれ式(2)と同様であり、dは1又は2である。)
上記成分(A)としては、例えば、特公平1-58219号、特許第3062625号、特開平8-337713号、特開2003-138151号、特開平11-12480号、特開昭52-73998号、特開昭55-9669号、特開昭59-122541号、特開昭60-6747号、特開昭61-233043号、特開昭63-112642号、特開平3-79627号、特開平4-283259号、特開平5-70531号、特開平5-287186号、特開平11-80571号、特開平11-116763号、特開平11-130931号、特許第3313360号等に開示されているものを挙げることができ、具体的には、架橋性シリル基を含有する、主鎖がそれぞれオルガノシロキサンを含有していてもよい、ポリオキシアルキレン系重合体、ビニル変性ポリオキシアルキレン系重合体、ビニル系重合体、ポリエステル重合体、(メタ)アクリル酸エステル重合体、これらの共重合体や混合物等を挙げることができる。特に、硬化後の引張接着性、モジュラス等の物性の点から、架橋性シリル基を含有する、ポリオキシアルキレン系重合体、(メタ)アクリル変性ポリオキシアルキレン系重合体、ポリイソブチレン系重合体、(メタ)アクリル系重合体、これらの共重合体や混合物等が好ましく、架橋性シリル基を分子鎖末端に有するポリオキシアルキレン系重合体が更に好ましい。
本発明の硬化性組成物において、上記成分(A)の数平均分子量は、好ましくは1000以上100000以下、より好ましくは3000〜50000で分子量分布の狭いものが、硬化前の粘度が低いので取り扱い易く、硬化後の強度、伸び、モジュラス等の物性が好適である。前記成分(A)は1種のみで用いても良く、2種以上併用してもよい。
本発明において、成分(B)架橋性シリル基を末端に有する(メタ)アクリル酸エステル重合体のガラス転移温度は−100℃以上−10℃以下であり、−60℃以上−20℃以下がより好ましい。ガラス転移温度(Tg)の測定方法としては、一般的な測定方法、例えば、TMA法、DTA法、DSC法、DMA法を用いることができる。具体的な測定方法としては、例えば、示差熱分析(DTA)、又は示差走査熱量計(DSC)を使用し、サンプルを一定速度で昇温する。DTA曲線、又はDSC曲線におけるベースラインの接線及びガラス転移による吸熱領域の急峻な下降位置の接線との交点を測定することによりサンプルのTgを導き出すことができる。
また、本発明において、成分(B)架橋性シリル基を末端に有する(メタ)アクリル酸エステル重合体は、特許文献1記載のメタロセン化合物を用いて製造される重合体であり、触媒として、下記式(1)で表されるメタロセン化合物及び架橋性シリル基含有チオール化合物を使用し、この触媒の存在下に、重合性不飽和結合を有するアクリル系単量体を重合して得られる重合体である。そして、この重合体には、少なくとも1の末端に触媒として使用した架橋性シリル基含有チオール化合物から水素原子が脱離した残基(−S−R3)が結合している。ここでは、R3は架橋性シリル基を有する基である。
前記重合触媒として使用されるメタロセン化合物は、下記式(1)で表すことができる。
Figure 0005138186
但し、前記式(1)において、Mは、周期表4族、5族、14族の金属、クロム、ルテニウム及びパラジウムよりなる群から選択される金属である。具体的にはMは、チタン、ジルコニウム、クロム、ルテニウム、バナジウム、パラジウム、錫などである。また、前記式(1)において、R1及びR2は、それぞれ独立に、置換基を有することもある脂肪族炭化水素基、置換基を有することもある脂環族炭化水素基、置換基を有することもある芳香族炭化水素基及び置換基を有することもある珪素含有基よりなる群から選択される少なくとも一種の基、若しくは、水素原子又は単結合のいずれかである。
さらに、R1及びR2が共同して前記式(1)で表わされる化合物中の2個の5員環を結合していてもよい。また、前記式(1)において、a及びbは、それぞれ独立に、1〜4の整数であり、Xは水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子で置換されていることもある炭化水素基またはハロゲン原子であり、nは0又は金属Mの価数−2の整数である。
前記メタロセン化合物としては、具体的には、ジシクロペンタジエン−Ti−ジクロライド、ジシクロペンタジエン−Ti−ビスフェニル、ジシクロペンタジエン−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジシクロペンタジエン−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジシクロペンタジエン−Ti−ビス−2,5,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジシクロペンタジエン−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジシクロペンタジエン−Ti−ビス−2,4−ジフルオロフェニ−1−イル、ジメチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジメチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジメチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジメチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロ−3−(ピル−1−イル)−フェニ−1−イルのようなチタノセン化合物;ジシクロペンタジエニル−Zr−ジクロライド、ジシクロペンタジエン−Zr−ビスフェニル、ジシクロペンタジエン−Zr−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジシクロペンタジエン−Zr−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジシクロペンタジエン−Zr−ビス−2,5,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジシクロペンタジエン−Zr−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジシクロペンタジエン−Zr−ビス−2,4−ジフルオロフェニ−1−イル、ジメチルシクロペンタジエニル−Zr−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジメチルシクロペンタジエニル−Zr−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジメチルシクロペンタジエニル−Zr−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジメチルシクロペンタジエニル−Zr−ビス−2,6−ジフルオロ−3−(ピル−1−イル)−フェニ−1−イル)のようなジルコノセン化合物;ジシクロペンタジエニル−V−クロライド、ビスメチルシクロペンタジエニル−V−クロライド、ビスペンタメチルシクロペンタジエニル−V−クロライド、ジシクロペンタジエニル−Ru−クロライド、ジシクロペンタジエニル−Cr−クロライドなどを挙げることができる。これらのメタロセン化合物は単独であるいは組み合わせて使用することができる。
前記メタロセン化合物は、通常の触媒量で使用することができ、具体的には、重合させようとするアクリル系単量体100質量部に対して、通常は1〜0.001質量部、好ましくは0.01〜0.005質量部の量で使用される。
また、本発明で前記メタロセン化合物と共に使用されるチオール化合物は、架橋性シリル基を有するチオール化合物であり、通常この架橋性シリル基含有チオール化合物は次の式HS−R3で表される化合物である。
ここでR3は架橋性シリル基を有する基であり、架橋性シリル基としては、成分(A)の説明において例示した架橋性シリル基を同様に用いることができ、特に、ヒドロキシシリル基、メトキシシリル基、エトキシシリル基、プロポキシシリル基、クロロシリル基及びブロモシリル基よりなる群から選択された少なくとも1種の架橋性シリル基が好ましい。R3は、具体的には、3−メルカプトプロピル−トリメトキシシラン、3−メルカプトプロピル−トリエトキシシラン、3−メルカプトプロピル−モノメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピル−モノフェニルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピル−ジメチルモノメトキシシラン、3−メルカプトプロピル−モノメチルジエトキシシラン、4−メルカプトブチル−トリメトキシシランおよび3−メルカプトブチル−トリメトキシシラン等を挙げることができる。
前記架橋性シリル基含有チオール化合物の使用量は得ようとする重合体の特性を考慮して適宜設定することができる。即ち、反応系における架橋性シリル基含有チオール化合物の濃度が増大すると単位時間あたりの重合率が高くなり、また、到達重合率も高くなる。この際、メタロセン化合物の量が多くなると単位時間あたりの重合率が高くなるが、到達重合率には大きな影響を及ぼさない。また、メタロセン化合物の使用量は、得られる重合体の分子量に対してほとんど影響を与えないが、このメタロセン化合物を使用しないと、反応は有効には進行しない。さらに、チオール化合物の使用量を多くすると重合速度が高くなる。こうした傾向から、本発明の成分(B)で用いられる触媒において、メタロセン化合物が反応全体において活性化触媒的に作用し、チオール化合物は、重合開始作用がある(重合開始種的に作用する)と考えられる。このように本発明の成分(B)で用いられる触媒において、架橋性シリル基含有チオール化合物の使用量は、分子量、重合率の律則となっていると考えられる。
従って、架橋性シリル基含有チオール化合物の使用量は、得ようとする重合体の分子量、重合速度等を考慮して適宜設定することができるが、反応を円滑に進め、かつ反応を暴走させないためには、メタロセン化合物と架橋性シリル基含有チオール化合物とは通常は100:1〜1:50000の範囲内のモル比、好ましくは10:1〜1:10000のモル比で使用される。
なお、この架橋性シリル基含有チオール化合物は、反応開始時に全量添加することもできるし、架橋性シリル基含有チオール化合物を最初に加えて、所望の時間反応させた後、さらに架橋性シリル基含有チオール化合物を追加添加することもできるし、架橋性シリル基含有チオール化合物とアクリル系単量体の両者を追加添加することもできる。このように架橋性シリル基含有チオール化合物の追加添加、あるいは、架橋性シリル基含有チオール化合物とアクリル系単量体との追加添加により、重合率が向上する。
本発明の成分(B)(メタ)アクリル酸エステル重合体は、前記特定の式(1)で表されるメタロセン化合物と架橋性シリル基含有チオール化合物とを用いてアクリル系単量体を反応させることにより得られるものであるが、この架橋性シリル基含有チオール化合物に加えて、本発明では、さらに、エチルメルカプタン、ブチルメルカプタン、ヘキシルメルカプタン、ターシャリードデシルメルカプタン、ノルマルドデシルメルカプタン、オクチルメルカプタン等のチオール基以外の官能基を有しないアルキルチオール類、フェニルメルカプタン、ベンジルメルカプタン等のチオール基以外の官能基を有しない芳香族系チオール類等のチオール化合物や、β−メルカプトプロピオン酸、メルカプトエタノール,チオフェノールなどのような、チオール基以外にも官能基含有チオール化合物、更には、トリチオグリセリンやペンタエリスリトールをβ−メルカプトプロピオン酸にてエステル化した多官能チオール化合物、また、ポリサルファイド系ポリマーのような活性のチオール基を有すポリマー型チオールを併用することも可能である。
さらに、本発明では、重合開始触媒としての前記メタロセン化合物および架橋性シリル基含有チオール化合物以外に、重合速度や重合度を調整することを目的として、ジスルフィド化合物、トリスルフィド化合物、テトラスルフィド化合物を使用することができる。ここで使用することができる重合調整剤として使用されるジスルフィド化合物、トリスルフィド化合物、テトラスルフィド化合物の例としては、ジエチルトリスルフィド、ジブチルテトラスルフィド、ジフェニルジスルフィド、ビス(2−ヒドロキシエチル)ジスルフィド、ビス(4−ヒドロキシブチル)テトラスルフィド、ビス(3−ヒドロキシプロピル)トリスルフィド、ビス(3−カルボキシプロピル)トリスルフィド、ビス(3−カルボキシプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−プロピルトリメトキシシラン)ジスルフィド、ビス(3−プロピルトリエトキシシラン)テトラスルフィドなどを挙げることができる。これらのスルフィド化合物は、単独であるいは組み合わせて使用することができる。このようなスルフィド化合物は、本発明の重合において、重合を失活させない程度に使用することができ、具体的には、重合させようとするアクリル系単量体100質量部に対して、通常は50〜0質量部、好ましくは20〜0.005質量部の量で使用される。
本発明の成分(B)(メタ)アクリル酸エステル重合体を形成する主鎖は、重合性不飽和結合を有するアクリル系単量体を各種重合法により(共)重合させることにより形成される。前記アクリル系単量体としては、アクリル酸ブチル、及びアクリル酸2エチルヘキシルが特に好ましい。前記アクリル系単量体は1種のみ使用してもよく、2種以上、例えば、アクリル酸ブチルとアクリル酸2エチルヘキシル、を併用し、共重合させてもよい。
また、本発明の成分(B)(メタ)アクリル酸エステル重合体を製造するに際して、架橋性シリル基を有する重合性不飽和単量体を共重合させることができる。該架橋性シリル基としては、成分(A)の説明において例示した架橋性シリル基を同様に用いることができ、特に、ヒドロキシシリル基、メトキシシリル基、エトキシシリル基、プロポキシシリル基、クロロシリル基及びブロモシリル基よりなる群から選択された少なくとも1種の架橋性シリル基が好ましい。
前記成分(B)(メタ)アクリル酸エステル重合体の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは500以上10000以下、より好ましくは、500以上5000以下である。
前記(B)(メタ)アクリル酸エステル重合体に含有される架橋性シリル基の数は特に限定されないが、約1個が好ましい。
成分(B)の配合割合は、特に限定はないが、成分(A)100質量部に対して、0.01〜100質量部用いることが好ましい。これらの(メタ)アクリル酸エステル重合体は、単独で使用しても良く、2種以上併用しても良い。
本発明の硬化性組成物は、上記した成分に加えて、必要に応じて、硬化触媒、接着付与剤、物性調整剤、充填剤、可塑剤、揺変剤、脱水剤(保存安定性改良剤)、粘着付与剤、垂れ防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、難燃剤、着色剤、ラジカル重合開始剤などの物質やトルエンやアルコール等の各種溶剤を配合してもよく、また相溶する他の重合体をブレンドしてもよい。
前記硬化触媒としては、成分(A)に対し硬化触媒の作用を示すものであれば、特に限定されないが、例えば、有機金属化合物やアミン類等が挙げられ、特にシラノール縮合触媒を用いることが好ましい。上記シラノール縮合触媒としては、例えば、スタナスオクトエート、ジブチル錫ジオクトエート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫マレエート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジアセチルアセトナート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ビストリエトキシシリケート、ジブチル錫ジステアレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジバーサテート、オクチル酸錫及びナフテン酸錫等の有機錫化合物;ジブチル錫オキサイドとフタル酸エステルとの反応物等;テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート等のチタン酸エステル類;アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート等の有機アルミニウム化合物類;ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、チタンテトラアセチルアセトナート等のキレート化合物類;オクチル酸鉛及びナフテン酸鉛等の有機酸鉛;オクチル酸ビスマス、ネオデカン酸ビスマス及びロジン酸ビスマス等の有機酸ビスマス;シラノール縮合触媒として公知のその他の酸性触媒及び塩基性触媒等が挙げられる。
前記接着付与剤としては、各種シランカップリング剤、例えば、アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルメチルメトキシシランなどのアミノシラン類、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどのエポキシシラン類、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどのアクリルシラン類、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプトシラン類、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシランなどのイソシアネートシラン類などが挙げられる。上記接着付与剤は単独で用いても良く、2種以上併用しても良い。
前記物性調整剤は引っ張り物性を改善する目的で添加される。前記物性調整剤の例としては、1分子中にシラノール基を1個有するシリコン化合物があり、例えば、トリフェニルシラノール、トリアルキルシラノール、ジアルキルフェニルシラノール、ジフェニルアルキルシラノール等が挙げられ、その他にも加水分解して1分子中にシラノール基を1個有する化合物を生成するシリコン化合物等の各種シランカップリング剤が挙げられ、例えば、トリフェニルメトキシシラン、トリアルキルメトキシシラン、ジアルキルフェニルメトキシシラン、ジフェニルアルキルメトキシシラン、トリフェニルエトキシシラン、トリアルキルエトキシシラン等が挙げられる。前記物性調整剤は単独で用いても良く、2種以上併用しても良い。
前記充填剤として、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、珪藻土含水ケイ酸、含水けい酸、無水ケイ酸、ケイ酸カルシウム、シリカ、二酸化チタン、クレー、タルク、カーボンブラック、スレート粉、マイカ、カオリン、ゼオライト等が挙げられ、このうち炭酸カルシウムが好ましく、脂肪酸処理炭酸カルシウムがより好ましい。また、ガラスビーズ、シリカビーズ、アルミナビーズ、カーボンビーズ、スチレンビーズ、フェノールビーズ、アクリルビーズ、多孔質シリカ、シラスバルーン、ガラスバルーン、シリカバルーン、サランバルーン、アクリルバルーン等を用いることもでき、これらの中で、組成物の硬化後の伸びの低下が少ない点からアクリルバルーンがより好ましい。前記充填剤は単独で用いても良く、2種以上併用しても良い。
前記可塑剤は硬化後の伸び物性を高めたり、低モジュラス化を可能とする目的で添加される。前記可塑剤として、例えば、リン酸トリブチル、リン酸トリクレジル等のリン酸エステル類;ジオクチルフタレート(DOP)、ジブチルフタレート、ブチルベンジルフタレートなどのフタル酸エステル類;グリセリンモノオレイン酸エステル等の脂肪酸一塩基酸エステル類;アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジオクチル等の脂肪酸二塩基酸エステル類;ポリプロピレングリコール等のグリコールエステル類;脂肪族エステル類;エポキシ可塑剤類;ポリエステル系可塑剤;ポリエーテル類;ポリスチレン類などが挙げられる。前記可塑剤は単独で用いても良く、または、2種類以上を併用しても良い。
前記揺変剤としては、例えば、コロイダルシリカ、石綿粉等の無機揺変剤、有機ベントナイト、変性ポリエステルポリオール、脂肪酸アマイド等の有機揺変剤、水添ヒマシ油誘導体、脂肪酸アマイドワックス、ステアリル酸アルミニウム、ステアリル酸バリウム等が挙げられる。前記揺変剤は単独で使用しても良く、または、2種類以上を併用しても良い。
前記脱水剤は保存中における水分を除去する目的で添加される。前記脱水剤として、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ジメトルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン等のシラン化合物が挙げられる。
前記酸化防止剤は、硬化シーリング材の酸化を防止して、耐候性を改善するために使用されるものであり、例えば、ヒンダードアミン系やヒンダードフェノール系の酸化防止剤等が挙げられる。ヒンダードアミン系酸化防止剤としては、例えば、N,N′,N″,N″′−テトラキス−(4,6−ビス(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N′−ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミン・N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重合体、[デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1(オクチルオキシ)−4−ピペリジル)エステル、1,1−ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンの反応生成物(70%)]−ポリプロピレン(30%)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、メチル1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケ−ト、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケ−ト、1−[2−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、8−アセチル−3−ドデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、例えば、ペンタエリストール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、チオジエチレン−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N′−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオアミド]、ベンゼンプロパン酸3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシC7−C9側鎖アルキルエステル、2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)フェノール、ジエチル[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスホネート、3,3′,3″,5,5′,5″−ヘキサン−tert−ブチル−4−a,a′,a″−(メシチレン−2,4,6−トリル)トリ−p−クレゾール、カルシウムジエチルビス[[[3,5−ビス−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスホネート]、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、N−フェニルベンゼンアミンと2,4,4−トリメチルペンテンとの反応生成物、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノールなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。前記酸化防止剤は単独で使用しても良く、または、2種類以上を併用しても良い。
前記紫外線吸収剤は、硬化シーリング材の光劣化を防止して、耐候性を改善するために使用されるものであり、例えば、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系等の紫外線吸収剤等が挙げられる。紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジ−tert−ブチル−6−(5−クロロベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−tert−ペンチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、メチル3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート/ポリエチレングリコール300の反応生成物、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール等のトリアジン系紫外線吸収剤、オクタベンゾン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート系紫外線吸収剤などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。前記紫外線吸収剤は単独で使用してもよく、又は、2種類以上を併用しても良い。
本発明の硬化性組成物は、塗料密着性、塗料非汚染性などの被塗装性に優れており、シーリング材組成物、パテ組成物及び接着剤組成物の主成分として特に好適に用いられる。
以下に実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、これらの実施例は例示的に示されるもので限定的に解釈されるべきでないことはいうまでもない。
[実施例1〜8及び比較例1〜7]
(実施例1)
金属触媒であるメタロセン化合物としてルテノセンジクロライドを用い、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランの存在下でアクリル酸ブチルを重合し、末端に1個の架橋性シリル基を有し、重量平均分子量(Mw)1300、ガラス転移温度(Tg)が−60℃の重合体B1を得た。なお、重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフで測定し、ガラス転移温度はTMA法で測定した。
表1に示すように、成分(A)架橋性シリル基末端含有有機重合体としてS203H[(株)カネカ製]、成分(B)架橋性シリル基含有(メタ)アクリル酸エステル重合体として前記得られた重合体B1、紫外線吸収剤、可塑剤、脱水処理剤、及び充填材をそれぞれ所定量ずつ仕込み、加熱減圧混合撹拌を行い、配合物質の脱水を行った。さらに、接着付与材及び硬化触媒を所定量ずつ添加し、撹拌配合して硬化性組成物を調整した。
(実施例2)
表1に示した如く、成分(A)架橋性シリル基末端含有有機重合体としてS303H[(株)カネカ製]を用いた以外は実施例1と同様に硬化性組成物を調製した。
(実施例3)
表1に示した如く、成分(B)架橋性シリル基含有(メタ)アクリル酸エステル重合体の配合割合を変更した以外は実施例1と同様に硬化性組成物を調製した。
(実施例4)
メタロセン化合物としてルテノセンジクロライドを用い、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランの存在下でアクリル酸ブチルを重合し、末端に1個の架橋性シリル基を有し、Mw4500、Tgが−60℃の重合体B2を得た。
表1に示した如く、成分(B)架橋性シリル基含有(メタ)アクリル酸エステル重合体として前記得られた重合体B2を用いた以外は実施例1と同様に硬化性組成物を調製した。
(実施例5)
メタロセン化合物としてルテノセンジクロライドを用い、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランの存在下でアクリル酸ブチルを重合し、末端に1個の架橋性シリル基を有し、Mw7500、Tgが−60℃の重合体B3を得た。
表1に示した如く、成分(B)架橋性シリル基含有(メタ)アクリル酸エステル重合体として前記得られた重合体B3を用いた以外は実施例1と同様に硬化性組成物を調製した。
(実施例6)
メタロセン化合物としてルテノセンジクロライドを用い、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランの存在下でアクリル酸ブチルを重合し、末端に1個の架橋性シリル基を有し、Mw15000、Tgが−60℃の重合体B4を得た。
表1に示した如く、成分(B)架橋性シリル基含有(メタ)アクリル酸エステル重合体として前記得られた重合体B4を用いた以外は実施例1と同様に硬化性組成物を調製した。
(実施例7)
メタロセン化合物としてルテノセンジクロライドを用い、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランの存在下でアクリル酸ブチルを重合し、末端に2個の架橋性シリル基を有し、Mw7000、Tgが−60℃の重合体B5を得た。
表1に示した如く、成分(B)架橋性シリル基含有(メタ)アクリル酸エステル重合体として前記得られた重合体B5を用いた以外は実施例1と同様に硬化性組成物を調製した。
(実施例8)
メタロセン化合物としてルテノセンジクロライドを用い、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランの存在下でアクリル酸2エチルヘキシルを重合し、末端に1個の架橋性シリル基を有し、Mw7000、Tgが−20℃の重合体B6を得た。
表1に示した如く、成分(B)架橋性シリル基含有(メタ)アクリル酸エステル重合体として前記得られた重合体B6を用いた以外は実施例1と同様に硬化性組成物を調製した。
(比較例1)
重合開始剤としてジターシャリーブチルパーオキサイドを用い、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランの存在下でアクリル酸ブチルを重合し、分子中に平均して1個の架橋性シリル基を有し、Mw6000、Tgが−60℃の重合体1を得た。
表2に示した如く、成分(B)を配合せず、前記得られた重合体1を配合した以外は実施例1と同様に硬化性組成物を調製した。
(比較例2)
メタロセン化合物としてルテノセンジクロライドを用い、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランの存在下でステアリルアクリレートを重合し、末端に1個の架橋性シリル基を有し、Mw6000、Tgが0℃の重合体2を得た。
表2に示した如く、成分(B)を配合せず、前記得られた重合体2を配合した以外は実施例1と同様に硬化性組成物を調製した。
(比較例3)
メタロセン化合物としてルテノセンジクロライドを用い、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランの存在下でアクリル酸メチルを重合し、末端に1個の架橋性シリル基を有し、Mw5800、Tgが7℃の重合体3を得た。
表2に示した如く、成分(B)を配合せず、前記得られた重合体3を配合した以外は実施例1と同様に硬化性組成物を調製した。
(比較例4)
メタロセン化合物としてルテノセンジクロライドを用い、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランの存在下でラウリルアクリレートを重合し、末端に1個の架橋性シリル基を有し、Mw6000、Tgが15℃の重合体4を得た。
表2に示した如く、成分(B)を配合せず、前記得られた重合体4を配合した以外は実施例1と同様に硬化性組成物を調製した。
(比較例5)
メタロセン化合物としてルテノセンジクロライドを用い、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランの存在下でステアリルメタクリレートを重合し、末端に1個の架橋性シリル基を有し、Mw5200、Tgが38℃の重合体5を得た。
表2に示した如く、成分(B)を配合せず、前記得られた重合体5を配合した以外は実施例1と同様に硬化性組成物を調製した。
(比較例6)
メタロセン化合物としてルテノセンジクロライドを用い、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランの存在下でメタクリル酸メチルを重合し、末端に1個の架橋性シリル基を有し、Mw5000、Tgが105℃の重合体6を得た。
表2に示した如く、成分(B)を配合せず、前記得られた重合体6を配合した以外は実施例1と同様に硬化性組成物を調製した。
(比較例7)
表2に示した如く、成分(B)を配合しない点以外は実施例1と同様に硬化性組成物を調製した。
Figure 0005138186
Figure 0005138186
表1及び2における配合物質の配合量は質量部で示され、*1〜21は次の通りである。
*1)重合体A1:(株)カネカ製、商品名「S203H」(架橋性シリル基末端含有ポリオキシアルキレン系重合体)
*2)重合体A2:(株)カネカ製、商品名「S303H」(架橋性シリル基末端含有ポリオキシアルキレン系重合体)
*3)重合体B1:メタロセン化合物を用いて得た、末端に架橋性シリル基を1個有するアクリル酸ブチルの重合体、Tg−60℃、Mw1300。
*4)重合体B2:メタロセン化合物を用いて得た、末端に架橋性シリル基を1個有するアクリル酸ブチルの重合体、Tg−60℃、Mw4500。
*5)重合体B3:メタロセン化合物を用いて得た、末端に架橋性シリル基を1個有するアクリル酸ブチルの重合体、Tg−60℃、Mw7500。
*6)重合体B4:メタロセン化合物を用いて得た、末端に架橋性シリル基を1個有するアクリル酸ブチルの重合体、Tg−60℃、Mw15000。
*7)重合体B5:メタロセン化合物を用いて得た、末端に架橋性シリル基を2個有するアクリル酸ブチルの重合体、Tg−60℃、Mw7000。
*8)重合体B6:メタロセン化合物を用いて得た、末端に架橋性シリル基を1個有するアクリル酸2エチルヘキシルの重合体、Tg−20℃、Mw7000。
*9)紫外線吸収剤:旭電化工業(株)製、商品名LA36。
*10)可塑剤:PPG、旭硝子(株)製、商品名PML3012。
*11)脱水処理剤:ビニルトリエトキシシラン、信越化学工業(株)製、商品名「KBM1003」。
*12)充填材1:重質炭酸カルシウム、白石カルシウム工業(株)製、商品名「ホワイトンSB」。
*13)充填材2:表面処理炭酸カルシウム、丸尾カルシウム(株)製、商品名「カルファイン500」。
*14)接着付与材:シランカップリング材、信越化学工業(株)製、商品名「KBM603」。
*15)硬化触媒:4価錫、日東化成(株)製、商品名「U−220」。
*16)重合体1:1分子中に平均して1個の架橋性シリル基を有するアクリル酸ブチルの重合体、Tg−60℃、Mw5000。
*17)重合体2:メタロセン化合物を用いて得た、末端に架橋性シリル基を1個有するステアリルアクリレートの重合体、Tg0℃。
*18)重合体3:メタロセン化合物を用いて得た、末端に架橋性シリル基を1個有するアクリル酸メチルの重合体、Tg7℃。
*19)重合体4:メタロセン化合物を用いて得た、末端に架橋性シリル基を1個有するラウリルアクリレートの重合体、Tg15℃。
*20)重合体5:メタロセン化合物を用いて得た、末端に架橋性シリル基を1個有するステアリルメタクリレートの重合体、Tg38℃。
*21)重合体6:メタロセン化合物を用いて得た、末端に架橋性シリル基を1個有するメタクリル酸メチルの重合体、Tg105℃。
前記得られた硬化性組成物を3mmの厚さに延ばし、23℃50%相対湿度(RH)条件下において7日間の養生条件で硬化させた後、硬化物表面に塗料を刷毛で塗布し、23℃50%RHの条件下で7日間、養生し、試験体とした。用いた塗料は表3に示したとおりである。
1.塗料密着性試験
前記試験体に対し、ニチバン(株)製のセロハンテープを用いて2mm間隔の碁盤目試験(25個)を行った。全碁盤目数に対する硬化物表面に残存する碁盤目数の百分率(%)が40%未満の場合を×、40%以上80%未満の場合を○、80%以上の場合を◎として評価した。結果を表3に示す。
2.塗料非汚染性試験
a)屋外暴露試験
前記試験体に対し、南面45度で屋外暴露を6ヶ月行い、塗料の汚染の有無を目視にて調べた。全ての塗料に対して汚染がない場合を○、汚染が観察された場合を×として評価した。結果を表3に示した。
b)促進試験
前記試験体を50℃条件下において7日間、養生し、塗料促進を行った。その後、23℃50%RH条件下に取り出し、24時間放置後、8号珪砂を塗料表面にふりかけ、1分後に90°の傾斜により塗料表面の珪砂付着度を確認した。珪砂付着度が10%未満の場合を○、10%以上の場合を×として評価した。結果を表3に示した。
Figure 0005138186
水系塗料1:エスケー化研(株)製、商品名「水性ミラクシーラーエコ」
水系塗料2:菊水化学工業(株)製、商品名「スーパーE」
溶剤系塗料1:エスケー化研(株)製、商品名「EXシーラー」
溶剤系塗料2:菊水化学工業(株)製、商品名「バンノウS」
弱溶剤系塗料:エスケー化研(株)製、商品名「クリーンマイルドウレタン」
表3に示した如く、実施例1〜8の本発明の硬化性組成物は、水系及び溶剤系のいずれの塗料に対しても塗料密着性及び塗料非汚染性に優れていたのに対し、成分(B)の代わりにメタロセン化合物を用いずに合成された架橋性シリル基含有有機重合体を配合した比較例1、成分(B)の代わりにガラス転移温度が−10℃を超える架橋性シリル基含有有機重合体を配合した比較例2〜6、成分(B)を配合しなかった比較例7では、塗料密着性に問題があった。

Claims (8)

  1. 架橋性シリル基含有有機重合体(A)、及びガラス転移温度が−100℃〜−10℃である、架橋性シリル基末端含有(メタ)アクリル酸エステル重合体(B)、を含有する硬化性シーリング材又は硬化性パテ組成物であって、前記(メタ)アクリル酸エステル重合体(B)が、下記式(1)で表されるメタロセン化合物及び架橋性シリル基含有チオール化合物の存在下に、重合性不飽和結合を有するアクリル系単量体を重合してなり、少なくとも1の末端に架橋性シリル基含有チオール化合物から水素原子が離脱した残基−S−R(但し、Rは架橋性シリル基を有する基である)が結合している(メタ)アクリル酸エステル重合体であることを特徴とする硬化性シーリング材又は硬化性パテ組成物。
    Figure 0005138186

    (但し、式(1)において、Mは、周期表4族、5族、14族の金属、クロム、ルテニウム及びパラジウムよりなる群から選択される金属であり、R及びRは、それぞれ独立に、置換基を有することもある脂肪族炭化水素基、置換基を有することもある脂環族炭化水素基、置換基を有することもある芳香族炭化水素基及び置換基を有することもある珪素含有基よりなる群から選択される少なくとも一種の基、若しくは、水素原子又は単結合のいずれかであり、さらに、R及びRが共同して式(1)で表わされる化合物中の2個の5員環を結合していてもよく、a及びbは、それぞれ独立に、1〜4の整数であり、Xは水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子で置換されていることもある炭化水素基またはハロゲン原子であり、nは0又は金属Mの価数−2の整数である。)
  2. 前記架橋性シリル基含有有機重合体(A)が、架橋性シリル基を末端に有するポリオキシアルキレン系重合体であることを特徴とする請求項1記載の硬化性シーリング材又は硬化性パテ組成物。
  3. 前記(メタ)アクリル酸エステル重合体(B)における前記アクリル系単量体が、アクリル酸ブチル及び/又はアクリル酸2エチルヘキシルであることを特徴とする請求項1又は2記載の硬化性シーリング材又は硬化性パテ組成物。
  4. 前記(メタ)アクリル酸エステル重合体(B)が、重量平均分子量500以上10000以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の硬化性シーリング材又は硬化性パテ組成物。
  5. 前記(メタ)アクリル酸エステル重合体(B)が、重量平均分子量500以上5000以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の硬化性シーリング材又は硬化性パテ組成物。
  6. 前記(メタ)アクリル酸エステル重合体(B)が、末端に1個の架橋性シリル基を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の硬化性シーリング材又は硬化性パテ組成物。
  7. 前記架橋性シリル基含有有機重合体(A)100質量部に対し、前記架橋性シリル基末端含有(メタ)アクリル酸エステル重合体(B)0.01〜30質量部含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の硬化性シーリング材又は硬化性パテ組成物
  8. 架橋性シリル基含有有機重合体(A)、及びガラス転移温度が−100℃〜−10℃である、架橋性シリル基末端含有(メタ)アクリル酸エステル重合体(B)、を含有する硬化性シーリング材または硬化性パテ組成物の硬化物表面に塗料を塗装した塗装物の製造方法であって、前記(メタ)アクリル酸エステル重合体(B)が、下記式(1)で表されるメタロセン化合物及び架橋性シリル基含有チオール化合物の存在下に、重合性不飽和結合を有するアクリル系単量体を重合してなり、少なくとも1の末端に架橋性シリル基含有チオール化合物から水素原子が離脱した残基−S−R (但し、R は架橋性シリル基を有する基である)が結合している(メタ)アクリル酸エステル重合体であることを特徴とするシーリング材硬化物又はパテ硬化物の塗装物の製造方法。
    Figure 0005138186
    (但し、式(1)において、Mは、周期表4族、5族、14族の金属、クロム、ルテニウム及びパラジウムよりなる群から選択される金属であり、R 及びR は、それぞれ独立に、置換基を有することもある脂肪族炭化水素基、置換基を有することもある脂環族炭化水素基、置換基を有することもある芳香族炭化水素基及び置換基を有することもある珪素含有基よりなる群から選択される少なくとも一種の基、若しくは、水素原子又は単結合のいずれかであり、さらに、R 及びR が共同して式(1)で表わされる化合物中の2個の5員環を結合していてもよく、a及びbは、それぞれ独立に、1〜4の整数であり、Xは水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子で置換されていることもある炭化水素基またはハロゲン原子であり、nは0又は金属Mの価数−2の整数である。)
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