JP5137889B2 - 石膏ボード廃材の処理方法、及びセメントの製造方法 - Google Patents

石膏ボード廃材の処理方法、及びセメントの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、石膏ボード廃材の処理方法、特に、石膏ボード廃材から、セメント原料として再利用することのできる石膏を回収するための処理方法に関する。
建築物の改装・解体や新築内装工事等に伴って大量に排出される石膏ボード廃材は、その大部分が再利用されることなく廃棄され、埋立て処分されているのが現状である。
近年、石膏ボード廃材の発生量は年々増加する傾向にあり、石膏ボード廃材を廃棄処分するための埋立地の確保が困難になりつつあることや、環境保全の観点等から、石膏ボード廃材を再利用することが求められている。
石膏ボード廃材の再利用方法としては、石膏ボード廃材中の石膏を、セメントの石膏成分として利用することが検討されている。例えば、石膏ボード廃材から乾式破砕により紙を除去して得られる回収石膏を石膏成分の少なくとも一部として含有することを特徴とするコンクリート用ポルトランドセメントが提案されている(特許文献1)。
また、廃石膏ボードを粒子径5mm以上の粒子が10重量%以下となるように粉砕後、水洗して得られた回収石膏を石膏成分の少なくとも一部として含有することを特徴とするポルトランドセメントが提案されている(特許文献2)。
特開2003−192403号公報 特開2002−255598号公報
しかしながら、石膏ボード廃材から回収された石膏には、石膏ボードを製造する過程で添加される界面活性剤が残存しているため、そのままの状態でセメント原料として使用すると、界面活性剤の気泡作用によりモルタルやコンクリートの機械的強度(例えば、圧縮強さ)が低下することが確認されている。そのため、特許文献1の技術によると、ポルトランドセメントの石膏成分中の、石膏ボード廃材からの回収石膏の使用割合(置換率)を、低く抑えることが必要であり、それゆえ、石膏ボード廃材を大量に処理することが困難であるという問題があった。
一方、特許文献2の方法によると、粒度を調整した廃石膏を水洗するという簡易な作業によって、廃石膏中に残存する界面活性剤を低減することができる。得られた回収石膏を使用したポルトランドセメントは、特許文献1等の技術に比して強度の低下が少ないものの、未だその効果は不十分であるのが現状である。
また、特許文献2の方法では、水洗するために大量の水が必要になるという問題もある。
なお、水洗水の総使用量を低減するために、水洗水を循環再利用する方法が考えられる。しかし、この方法では、水洗水を2〜3回循環させて用いるだけで、該水洗水がCOD値(化学的酸素要求量)の高い水となってしまい、COD値を低下させるための高度な処理工程を必要とするという問題が生じる。また、水洗水を循環再利用した場合、循環の回数が増えるにつれて、混入する空気の量が増大し、得られた回収石膏を含むポルトランドセメントの強度発現性が低下するという問題もある。
そこで、本発明は、界面活性剤の含有率が十分に低減されており、それゆえ、セメントの石膏成分中に高い割合で置換して使用することのできる再資源化された石膏を、容易に得ることのできる石膏ボード廃材の処理方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、紙を除去した石膏ボード廃材粉砕物と、水洗水を混合して、スラリーを得た後、該スラリーにオゾン含有ガスを供給して、石膏ボード廃材粉砕物に含まれている界面活性剤を分解し、次いで、該スラリーを固液分離して、石膏を回収すれば、この石膏をセメント原料用の石膏として好適に用い得ること、および、石膏の回収時に固液分離で得られる液分を、前記と同様の水洗水として循環再利用して、該液分中のCOD値が200mg/リットルを超えた場合に、該液分にオゾン含有ガスを供給し、その後、該液分を前記と同様の水洗水として用いるようにすれば、回収した石膏を含むセメントの強度発現性の低下を抑制しうることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[]を提供するものである。
[1] 紙を除去した石膏ボード廃材粉砕物を準備する工程(A)と、前記石膏ボード廃材粉砕物と、水洗水を混合して、スラリーを得た後、該スラリーにオゾン含有ガスを供給し、次いで、該スラリーを固液分離して、石膏を回収する工程(B)と、工程(B)で固液分離して得られる液分を、工程(B)の水洗水として循環再利用する工程(C)を含む石膏ボード廃材の処理方法であって、工程(C)における循環再利用のうち、少なくとも最初の1回は、上記液分にオゾン含有ガスを供給せずに、上記液分を工程(B)の水洗水として用いるものであり、工程(C)において上記液分中のCOD値が200mg/リットルを超えた場合に、上記液分にオゾン含有ガスを供給し、その後、上記液分を工程(B)の水洗水として用いるものであることを特徴とする石膏ボード廃材の処理方法。
] 前記石膏ボード廃材粉砕物は、紙の含有率が3質量%以下である前記[1]記載の石膏ボード廃材の処理方法。
] 前記石膏ボード廃材粉砕物は、最大粒径が5mm以下である前記[1]又は[2]に記載の石膏ボード廃材の処理方法。
] 前記[1]〜[]のいずれかに記載の石膏ボード廃材の処理方法により石膏を得て、該石膏と、セメントクリンカーを混合することを特徴とするセメントの製造方法。
本発明の石膏ボード廃材の処理方法によると、紙を除去した石膏ボード廃材粉砕物を、オゾンの存在下で水洗するという簡易な方法によって、石膏ボード廃材から回収される石膏中の界面活性剤の含有率を大きく低減させることができる。
本発明の処理方法により得られた石膏は、界面活性剤の含有率が小さいため、セメントの石膏成分中に大きな割合(置換率)で使用することができる。例えば、普通ポルトランドセメントの原料である石膏成分の全量を、本発明の処理方法により得られた石膏で代替しても、通常の石膏(排脱二水石膏)とほぼ同等の物性(圧縮強さ等)を発現し得るポルトランドセメントを得ることができる。よって、石膏ボード廃材から界面活性剤を除去せずに、石膏を再資源化した場合と比べて、石膏ボード廃材の処理量、及び再資源化した石膏の使用量を増大させることができる。その結果、廃棄処分される石膏ボード廃材の量を削減することができ、石膏ボード廃材の埋立処分地の確保の問題なども軽減することができる。
本発明の石膏ボード廃材の処理方法によると、工程(B)の固液分離で得られる液分を、工程(B)の水洗水として循環再利用して、工程(B)の固液分離で得られる液分中のCOD値が200mg/リットルを超えた場合に、該液分にオゾン含有ガスを供給し、その後、該液分を工程(B)の水洗水として用いるようにすれば、回収した石膏を含むセメントの強度発現性の低下を抑制することができる。
まず、本発明の石膏ボード廃材の処理方法について詳細に説明する。
本発明の石膏ボード廃材の処理方法は、紙を除去した石膏ボード廃材粉砕物を準備する工程(A)と、前記石膏ボード廃材粉砕物と、水洗水を混合して、スラリーを得た後、該スラリーにオゾン含有ガスを供給し、次いで、該スラリーを固液分離して、石膏を回収する工程(B)と、工程(B)で固液分離して得られる液分を、工程(B)の水洗水として循環再利用する工程(C)を含む石膏ボード廃材の処理方法であって、工程(C)における循環再利用のうち、少なくとも最初の1回は、上記液分にオゾン含有ガスを供給せずに、上記液分を工程(B)の水洗水として用いるものであり、工程(C)において上記液分中のCOD値が200mg/リットルを超えた場合に、上記液分にオゾン含有ガスを供給し、その後、上記液分を工程(B)の水洗水として用いるものである
[工程(A)]
本工程は、紙を除去した石膏ボード廃材粉砕物を準備する工程である。
本発明の処理方法の対象となる石膏ボード廃材としては、廃棄物として扱われる石膏ボードであればよく、例えば、石膏ボードの生産時や新築内装工事等で発生する石膏ボードの端材や、建築物の改装・解体工事等で発生する石膏ボード等が挙げられる。
石膏ボードは、石膏を主体とする芯材を、石膏ボード用原紙で被覆した板状の構造を有するものである。
石膏ボードにおける石膏と紙の割合は、厚さ12mmの石膏ボードの場合、石膏が93質量%程度、紙が7質量%程度である。
セメント原料として用いる石膏成分中に紙が含まれていると、セメント組成物のフロー値の低下などの弊害が起こることがある。そのため、本発明において、石膏ボード廃材粉砕物は、紙を除去したものであることが必要である。なお、本発明において、「紙を除去する」とは、紙を完全に除去する場合に限らず、紙を部分的に除去する場合も含む。
石膏ボード廃材粉砕物中の紙の含有率は、前記の紙による弊害(例えば、圧縮強度等の機械的強度の低下)を避ける観点から、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下、さらに好ましくは1.5質量%以下である。
紙の除去方法としては、(a)石膏ボード廃材をジョークラッシャで解砕した後、篩を用いて紙と石膏とを分離する方法、(b)石膏ボード廃材をロール間で圧縮し、石膏分を粉状にして紙と石膏を分離する方法、(c)市販の石膏ボード粉砕分別機を用いる方法、などを挙げることができる。
なお、除去した紙には、若干の石膏分が付着している。この紙は、カルシウムサルホアルミネートクリンカーや特殊セメントクリンカー用の原料として使用することができる。
石膏ボード廃材粉砕物の最大粒径は、好ましくは5mm以下、より好ましくは2.5mm以下である。該最大粒径が5mmを超えると、界面活性剤の含有率の小さい石膏を製造することが困難になるため、好ましくない。
石膏ボード廃材の粉砕方法としては、上述の(a)〜(c)の紙の除去方法における粉砕手段(具体的には、ジョークラッシャ、ロール、石膏ボード粉砕分別機)と同様な粉砕手段を用いた方法等が挙げられる。なお、紙の除去時に、最大粒径が所望の大きさ以下(例えば、5mm以下)となっている場合には、さらに粉砕を行う必要はない。
石膏ボード廃材における紙の除去と石膏の粉砕の順序は、紙を除去した後に石膏を粉砕してもよいし、あるいは、石膏ボード廃材を粉砕して、所望の粒度の石膏粉砕物を得た後に、紙を除去してもよい。
[工程(B)]
本工程は、工程(A)で得た石膏ボード廃材粉砕物と、水洗水を混合して、スラリーを得た後、該スラリーにオゾン含有ガスを供給し、次いで、該スラリーを固液分離して、石膏を回収する工程である。
工程(A)で得た石膏ボード廃材粉砕物と、水洗水を混合してスラリーを得る方法としては、均一なスラリーを得ることができれば特に限定されるものではないが、例えば、撹拌手段を備えた容器に水および石膏ボード廃材粉砕物を収容し、所定の時間(好ましくは、10〜90分間、より好ましくは15〜60分間)、撹拌する方法が挙げられる。
水1リットル当たりの石膏ボード廃材粉砕物の量は、好ましくは5〜300g、より好ましくは20〜250g、さらに好ましくは50〜200gである。該量が5g未満では、石膏ボード廃材粉砕物の単位質量当たりの水量が大きくなり、処理の効率が低下するため、好ましくない。該量が300gを超えると、界面活性剤の含有率が小さい石膏を製造することが困難となるため、好ましくない。
上述の方法において、スラリーにオゾン含有ガスを供給する方法としては、例えば、スラリー中にオゾン含有ガスを吹き込んだ後、もしくは吹き込みつつ、撹拌する方法が挙げられる。撹拌時間は、好ましくは5〜90分間、より好ましくは10〜70分間である。
オゾン含有ガスとしては、オゾン化空気、オゾン含有酸素等が挙げられる。このうち、オゾン化空気は、空気を原料として、オゾンを発生させるオゾン発生機によって得ることができる。
オゾン含有ガス中のオゾン濃度は、0.1〜300g/m3(N)であることが好ましく、1〜250g/m3(N)であることがより好ましい。前記オゾン濃度が0.1g/m3(N)未満では、処理の効率が低下することがある。前記オゾン濃度が300g/m3(N)を超えると、オゾンが過剰となり、排ガス中の濃度が高くなることがある。
オゾン含有ガスは、一度に全量を添加してもよいが、継続的あるいは断続的に添加しながら撹拌することが好ましい。
オゾン含有ガスの添加量(吹き込み量)は、水1リットル当たり、0.1〜20リットル/分であることが好ましく、0.3〜15リットル/分であることがより好ましく、0.5〜10リットル/分であることが特に好ましい。該添加量(吹き込み量)が0.1リットル/分未満では、処理の効率が低下することがある。該添加量(吹き込み量)が20リットル/分を超えると、コスト高になり好ましくない。
固液分離の方法としては、例えば、ろ過、フィルタープレス、ベルトフィルター、ロールプレス等が挙げられる。固液分離によって、界面活性剤の含有率が低減した石膏を得ることができる。
なお、必要に応じて、固液分離により得られたケーキ(石膏)に対し、さらに水洗等の洗浄処理を行うことができる。
得られた石膏は、適宜乾燥処理等を行った後、セメント原料として使用することができる。
[工程(C)]
本工程は、工程(B)で固液分離して得られる液分を、工程(B)の水洗水として循環再利用する工程である。
本発明において、工程(C)における循環再利用のうち、少なくとも最初の1回は、上記液分にオゾン含有ガスを供給せずに、上記液分を工程(B)の水洗水として用いる。また、工程(C)において上記液分中のCOD値が200mg/リットルを超えた場合に、上記液分にオゾン含有ガスを供給し、その後、上記液分を工程(B)の水洗水として用いる。
工程(C)を含むことによって、水洗水の総使用量の低減、及び、排水の処理負担の軽減を図ることができる。
石膏ボード廃材粉砕物を水洗及び固液分離して得られる液分には、一般に、フッ素の溶出によるフッ素濃度の増大、および、界面活性剤やその他の水溶性有機化合物の溶出によるCOD値の増大が見られる。この点、本発明では、工程(B)において、石膏ボード廃材粉砕物をオゾンの存在下で水洗しているので、固液分離して得られる液分中のCOD値の増大を抑制することができる。また、工程(B)で固液分離して得られる液分中のフッ素濃度は、液分の循環再利用の回数が増えても、12mg/リットル程度で飽和する。このため、液分を循環再利用して得られた回収石膏が、該回収石膏を含むポルトランドセメントの強度発現性を低下させる可能性は少ない。そのため、本発明においては、工程(B)で固液分離して得られる液分を5回以上循環再利用することが可能である。
工程(C)においては、工程(B)で固液分離して得られる液分中のCOD値が200mg/リットルを超えた場合に、該液分にオゾン含有ガスを供給し、その後、該液分を工程(B)の水洗水として用いる。それによって、液分中のCOD値の増大を抑制することができ、液分の循環再利用の回数が増え、水洗水の総使用量のさらなる低減、及び、排水の処理負担のさらなる軽減を図ることができる。
一般に、固液分離して得られる液分中のCOD値が200mg/リットルを超えると、回収石膏を含むポルトランドセメントの強度発現性が低下する傾向がある。そこで、本発明においては、固液分離して得られる液分中のCOD値が200mg/リットルを超えた場合に、該液分にオゾン含有ガスを供給する。なお、上述のとおり、固液分離して得られる液分中のフッ素濃度は、12mg/リットル程度で飽和するので、回収石膏を含むポルトランドセメントの強度発現性が低下する可能性もほとんどない。
オゾン含有ガスの供給によって、循環再利用の回数を10回以上にすることが可能であり、最終的には排水をなくすことも可能と考えられる。
なお、この場合のオゾン含有ガスの供給方法、供給時間、オゾン濃度及び添加量については、工程(B)で説明したものと同様である。
本発明において、固液分離して得られる液分のフッ素濃度またはCOD値が、排水基準値(フッ素濃度:8mg/リットル以下、COD値:160mg/リットル以下)を超えた場合、該液分の全部または一部を排水処理してもよい。この場合、フッ素に関しては、アルミニウム塩やマグネシウム塩による凝集沈殿処理や、キレート処理や、吸着剤処理をすることによって、排水中のフッ素量を低減させることができる。COD値に関しては、オゾン含有ガスを供給することによって、排水のCOD値を低減させることができる。なお、この場合のオゾン含有ガスの供給方法、供給時間、オゾン濃度及び添加量については、工程(B)で説明したものと同様である。
本発明の処理方法によって得られる石膏は、界面活性剤の含有率が十分に低減されたものである。なお、石膏は、少なくとも回収時においては二水石膏の形態を有する。
本発明の処理方法により得られた石膏は、ほぼ全量が二水石膏であるので、そのままセメント原料(石膏成分)として用いることができる。
次に、本発明の処理方法によって得られた石膏を含むセメントについて説明する。
本発明の処理方法によって得られた石膏を、石膏成分として使用することのできるセメントとしては、二水石膏を用いるセメントであれば特に限定されないが、例えば普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント等のポルトランドセメントや、高炉セメント、フライアッシュセメント等の混合セメントや、ジェットセメント、白色セメント等の特殊セメントや、セメント系土壌改良材等が挙げられる。中でも、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント等のポルトランドセメントは、その生産量が多く、石膏ボード廃材の処理量を増大させることができるので、好ましい。
セメント(例えば、ポルトランドセメント)は、常法に従って、本発明の処理方法により得られた石膏と、セメントクリンカーとを混合することにより製造することができる。
セメント中の石膏の質量割合は、従来使用されている石膏(排脱石膏等)と同等である。
セメントの原料である石膏成分中の、本発明の処理方法により得られた石膏の使用割合は、特に限定されることがなく任意であるが、好ましくは50〜100質量%、より好ましくは60〜100質量%、さらに好ましくは70〜100質量%である。該使用割合を前記の好ましい数値範囲内とすれば、石膏ボード廃材の処理量の増大を図ることができ、また、従来セメント原料として使用されている排脱石膏等の使用量を削減することができる。なお、得られるセメントを用いて調製されるモルタル等は、界面活性剤の含有率が小さいため、排脱石膏を用いた場合とほぼ同等の物性(例えば、機械的強度、空気量等)を有するものである。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[石膏ボード廃材からの紙の除去]
石膏ボード廃材をクラッシャーで破砕し、10mmメッシュ及び2.5mmメッシュの篩かけを行い、紙の含有率が1.2質量%である石膏ボード廃材粉砕物(A−1)(最大粒径:2.5mm以下)を得た。
また、前記石膏ボード廃材粉砕物(A−1)をボールミルで粉砕し、1mmメッシュの篩かけを行い、紙の含有率が0.8質量%である石膏ボード廃材粉砕物(A−2)(最大粒径:1mm以下)を得た。
実験例1]
石膏ボード廃材粉砕物(A−1)と水を容器内で10分間混合撹拌し、均一なスラリー(石膏ボード廃材粉砕物の濃度:10質量%)を得た。次いで、得られたスラリーにオゾン含有ガス(オゾン装置:SS−700(オーニット社製)、オゾン濃度:2.6g/m3(N)、吹き込み量:水1リットル当たり10リットル/分)を吹き込みながら撹拌し、60分間オゾン洗浄を行った。その後、フィルタープレスを用いて固液分離することにより石膏を回収し、これを60℃で24時間乾燥することにより、石膏(B−1)を得た。
なお、得られた石膏(B−1)は、その全量が二水石膏(すなわち、半水石膏、無水石膏は0質量%)であった。
普通ポルトランドセメントクリンカーに対して、界面活性剤が除去された前記の石膏(B−1)を、普通ポルトランドセメント中のSO量が2.0質量%となるように加えて粉砕し、ブレーン値3270cm/gの普通ポルトランドセメント(C−1)を製造した。
実験例2]
石膏ボード廃材粉砕物(A−2)と水を容器内で10分間混合撹拌し、均一なスラリー(石膏ボード廃材粉砕物の濃度:10質量%)を得た。次いで、得られたスラリーに、実験例1と同様にしてオゾン含有ガスを吹き込みながら撹拌し、10分間オゾン洗浄を行った。その後、フィルタープレスを用いて固液分離することにより石膏を回収し、これを60℃で24時間乾燥することにより、石膏(B−2)を得た。
普通ポルトランドセメントクリンカーに対して、前記の石膏(B−2)を、普通ポルトランドセメント中のSO量が2.0質量%となるように加えて粉砕し、ブレーン値3270cm/gの普通ポルトランドセメント(C−2)を製造した。
実験例3]
オゾン洗浄時間を60分間としたこと以外は実験例2と同様にして、普通ポルトランドセメント(C−3)を製造した。
実験例4]
オゾン洗浄時間を90分間としたこと以外は実験例2と同様にして、普通ポルトランドセメント(C−4)を製造した。
[比較例1]
石膏ボード廃材粉砕物(A−1)に対して目開き105μmの篩による乾式振動ふるい処理を行って得たふるい通過分を、普通ポルトランドセメントクリンカーに対して、普通ポルトランドセメント中のSO量が2.0質量%となるように加えて粉砕し、ブレーン値3270cm/gの普通ポルトランドセメント(C−5)を製造した。
[比較例2]
石膏ボード廃材粉砕物(A−1)と水を混合撹拌し、均一なスラリー(石膏ボード廃材粉砕物の濃度:10質量%、撹拌時間:90分)を得た。次いで、得られたスラリーをフィルタープレスで固液分離した後、得られた固体分(石膏)を60℃で24時間乾燥することにより、石膏(B−3)を得た。
普通ポルトランドセメントクリンカーに対して、前記の石膏(B−3)を、普通ポルトランドセメント中のSO量が2.0質量%となるように加えて粉砕し、ブレーン値3270cm/gの普通ポルトランドセメント(C−6)を製造した。
[参考例1]
普通ポルトランドセメントクリンカーに対して、排脱二水石膏(市販の普通ポルトランドセメントの製造に使用されるもの)を、普通ポルトランドセメント中のSO量が2.0質量%となるように加えて粉砕し、ブレーン値3270cm/gの普通ポルトランドセメント(C−7)を製造した。
[普通ポルトランドセメントの物性の評価]
前記普通ポルトランドセメント(C−1)〜(C−7)について、下記に示す方法により、圧縮強さ、及び空気量を測定した。結果を表1に示す。
(1)モルタルの圧縮強さ
JIS R 5201(セメントの物理試験方法)に準じて、モルタルの圧縮強さを測定した。なお、測定は、混練時から3日後、7日後、28日後の3つの時点で行った。
(2)モルタルの空気量
前記(1)の圧縮強さの試験に用いた混練物の空気量を、モルタルエアメーター(丸東製作所社製;商品名:C13−S)を用いて測定した。
Figure 0005137889
表1から、石膏ボード廃材粉砕物と水を混合してなるスラリーに、オゾン含有ガスを吹き込んでオゾン洗浄を行い、その後、固液分離して得られた石膏を用いた普通ポルトランドセメント(実験例1〜4)は、排脱二水石膏を用いた普通ポルトランドセメント(参考例1)とほぼ同等の圧縮強さを有し、かつ、空気量についても、参考例1より劣るものの、比較例1、2より優れた結果を得ていることがわかる。一方、無処理の石膏ボード廃材粉砕物を用いて製造した普通ポルトランドセメント(比較例1)、及び、石膏ボード廃材粉砕物をオゾンの不存在下で水洗処理して得た石膏を用いて製造した普通ポルトランドセメント(比較例2)は、実験例1及び参考例1に比べて、モルタルの空気量が多く、かつ圧縮強さが小さく、物性が劣ることがわかる。
[実施例
水洗水として、フィルタープレスを用いて固液分離して得られた液分を循環再利用したこと以外は、実験例2と同様の方法で、石膏および普通ポルトランドセメントを製造した。
なお、石膏ボード廃材粉砕物の濃度が10質量%であるスラリーを調製する際に不足する水としては、水道水を使用した。
固液分離後の液分のフッ素濃度およびCOD値、および、得られた普通ポルトランドセメントの圧縮強さおよび空気量の測定結果を表2に示す。
Figure 0005137889
[実施例
表2のNo.6の液分にオゾン含有ガスを供給した。なお、オゾン含有ガスおよび供給量は、実験例1と同じである。撹拌時間は10分間とした。その結果、液分のCOD値は、40mg/リットルに低下した。フッ素濃度は変わらなかった。
オゾン含有ガスを用いてオゾン処理した後の液分を用いたこと以外は、実験例2と同様にして、石膏および普通ポルトランドセメントを製造した。なお、石膏ボード廃材粉砕物の濃度が10質量%であるスラリーを調製する際に不足する水としては、水道水を使用した。
その結果、固液分離後の液分のフッ素濃度は12mg/リットル、COD値は53mg/リットルであった。
また、モルタルの空気量は6.6%であった。モルタルの圧縮強さは、7日後で40.7N/mm2、28日後で60.1N/mm2であった。
[比較例3]
水洗水として、フィルタープレスを用いて固液分離して得られた液分を循環再利用したこと以外は、比較例2と同様にして、石膏および普通ポルトランドセメントを製造した。なお、石膏ボード廃材粉砕物の濃度が10質量%であるスラリーを調製する際に不足する水としては、水道水を使用した。
固液分離後の液分のフッ素濃度およびCOD値、および、得られた普通ポルトランドセメントの圧縮強さおよび空気量の測定結果を表3に示す。
Figure 0005137889
表2より、本発明においては、水洗水として、フィルタープレスを用いて固液分離して得られた液分を、多数回、循環再利用した場合であっても、得られる普通ポルトランドセメントの物性はほぼ同じであることがわかる。
また、実施例より、フィルタープレスを用いて固液分離して得られた液分に、オゾン含有ガスを供給してオゾン処理することによって、循環再利用可能な回数をさらに増加させうることがわかる。
一方、表3より、石膏ボード廃材粉砕物を単に水洗処理した水を循環再利用した場合には、再利用の回数が増加するに従って、モルタルの空気量が増大し、強度発現性が低下することがわかる。
以上の結果より、本発明においては、固液分離して得られた液分を多数回、循環再利用することが可能であり、水洗水の総使用量を大幅に低減させうることがわかる。

Claims (4)

  1. 紙を除去した石膏ボード廃材粉砕物を準備する工程(A)と、前記石膏ボード廃材粉砕物と、水洗水を混合して、スラリーを得た後、該スラリーにオゾン含有ガスを供給し、次いで、該スラリーを固液分離して、石膏を回収する工程(B)と、工程(B)で固液分離して得られる液分を、工程(B)の水洗水として循環再利用する工程(C)を含む石膏ボード廃材の処理方法であって、
    工程(C)における循環再利用のうち、少なくとも最初の1回は、上記液分にオゾン含有ガスを供給せずに、上記液分を工程(B)の水洗水として用いるものであり、
    工程(C)において上記液分中のCOD値が200mg/リットルを超えた場合に、上記液分にオゾン含有ガスを供給し、その後、上記液分を工程(B)の水洗水として用いるものであることを特徴とする石膏ボード廃材の処理方法。
  2. 前記石膏ボード廃材粉砕物は、紙の含有率が3質量%以下である請求項に記載の石膏ボード廃材の処理方法。
  3. 前記石膏ボード廃材粉砕物は、最大粒径が5mm以下である請求項1又は2に記載の石膏ボード廃材の処理方法。
  4. 請求項1〜のいずれか1項に記載の石膏ボード廃材の処理方法により石膏を得て、該石膏と、セメントクリンカーとを混合することを特徴とするセメントの製造方法。
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