次に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の一例に過ぎず、これらに限定されるものではない。
本発明では、制御局装置は、データを割り当て得る少なくとも一つのサブキャリアをキャリアホールに設定し、キャリアホールを特定する情報を端末装置へ通知し、そして、端末装置がキャリアホールにおける受信電力を測定する。そして、制御局装置は、端末装置から干渉電力情報を受信する。あるいは、制御局装置は、複数のサブキャリアのうち予めデータを割り当てないことが決められているサブキャリアの周波数帯域で測定した隣接セルからの干渉電力を示す干渉電力情報を、前記端末装置から受信する。これらにより、スロットの空きの少ない状況であっても干渉電力の測定を可能とするものである。
制御局装置は、無線通信を行なう端末装置を制御する。制御局装置は、無線通信の基地局、無線LAN(Local Area Network)のアクセスポイントを含む。
端末装置は、制御局装置の制御のもとで、無線通信を行なう。端末装置は、固定端末装置、移動端末装置を問わず、セルラシステムにおける移動局、無線LANシステムにおけるステーションを含む。
マルチキャリア伝送は、データを割り当てる複数のサブキャリアから構成されるキャリアを用いるものであり、サブキャリア毎の符号化・送信電力の変更を可能にする複数のサブキャリアから構成されるキャリア(周波数帯域)を用いてデータを伝送する。
キャリアホールは、データを割り当てないサブキャリアをいう。また、通信スロットは、データ伝送に用いる最小単位であり、一定の時間長で定められるひとつ以上の時間チャネルと、一定の周波数帯域で定められるひとつ以上の周波数チャネルとによって特定される。通信スロットは、スロットとも記す。また、通信フレームは、複数の通信スロットにより構成される。通信フレームは、フレームとも記す。
なお、以下の実施形態では、1セル繰り返しOFDM/(TDMA、FDMA)システムにおける無線通信について本発明を適用し、制御局装置としての基地局と、端末装置(移動局)とが無線通信を行なう場合を例にとって説明する。しかしながら、本発明は、これらの無線通信の適用に限られるわけではなく、制御局装置としてのアクセスポイントが端末装置としてのステーションを制御して無線通信を実施する場合、例えば、無線LANなどにも適用することができる。
(第1の実施形態)
第1の実施形態は、セル内のトラフィックが増加し、空きスロットが非常に少ない状況においても、各端末装置が割り当てられているスロットにおいて各端末装置が受ける干渉電力を測定する場合を説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る基地局がキャリアホールを設定したシンボル構成の一例を示す図である。図1の下段は、OFDMシンボルを構成する、ダウンリンク通信の2つのフレームを示す。また、図1上段は、2つのフレームそれぞれについて、フレームの先頭データスロットと2番目のデータスロットの先頭シンボルについてサブキャリアの配置を示している。なお、他のシンボル、並びに、他のデータスロットについても同様のサブキャリア配置となっているものとする。
図1に示すシンボル構成は、基地局から端末装置へのダウンリンク通信において、1周波数チャネル(64サブキャリア)当たり8サブキャリア(図1に矢印にて指し示してあるサブキャリア位置)がキャリアホールとして設定されている。また、フレーム内の各スロットは、同一のパターンでキャリアホールが設定され、各フレームは、一つ前に伝送されるフレームとは異なるサブキャリア位置へキャリアホールを設定するパターンを用いて、キャリアホールが配置されている。図1では、基地局は、(式1)を満たすnが特定するサブキャリア位置をキャリアホールとして設定している。
(n+x+b)mod8=0 (式1)
ここで、nは、1周波数チャネルを構成するサブキャリアの番号であり、64個のサブキャリアのいずれかを特定する。図1に示すように、各周波数チャネル中の各サブキャリアには、あらかじめ0から63までの整数が振られているものとする。xは、伝送するフレームが何フレーム目かを表すフレーム番号であり、x≧1の整数である。xの値は、ある一定時間経過する(一定数のフレームの伝送が行われる)と再び1にリセットされるものとし、さらにすべての基地局で共通の値が用いられるものとする。bは、あらかじめ各基地局に割り振られた番号であり、隣り合う基地局では必ず差が8(図1では、8サブキャリア毎に1つのキャリアホールを設定しているため)未満の異なる番号であるものとする。
このようにbの値を隣り合う基地局において異なる値とすることにより、各基地局において設定されるキャリアホールも異なるサブキャリア位置とすることができる。従って、(式1)を満たすnがサブキャリア番号として割り当てられているサブキャリアの位置をキャリアホールとすることにより、8サブキャリア当たり1つのキャリアホールをフレーム毎および隣接する基地局毎にずれた位置に配置することができる。なお、(式1)は、8サブキャリア毎にキャリアホールを設定する例を示しているが、これに限られるわけではない。
キャリアホールが設定された信号を受信した端末装置では、FFT後に得られる周波数領域の信号について、キャリアホールとなっているサブキャリア位置における受信電力の測定を行なう。そして、1周波数チャネル当たり8つ配置されたキャリアホールにおける受信電力を平均し、この平均値をセル間の干渉電力情報とする。このように測定された干渉電力情報を端末装置から基地局へ通知することにより、該当スロットに割り当てられた端末装置が受ける干渉量を、基地局において把握することができる。
このように、第1の実施形態は、ダウンリンク伝送におけるシンボル内のサブキャリアを、(式1)で表されるあらかじめ決められたパターンに基づきキャリアホールに設定・伝送し、キャリアホールに設定されたサブキャリア位置における電力を、端末装置において測定することにより、隣接セルから到来する干渉量の推定を行なう手法である。このようなキャリアホールを利用した干渉電力の測定は、キャリアホールに設定されたサブキャリアは無伝送となるため自セルの信号が含まれず、該当サブキャリア(キャリアホール)の位置には干渉成分のみが観測されるために可能となる手法である。
次に、第1の実施形態における基地局並びに端末装置の構成を説明する。図2は、第1の実施形態に係る基地局の概略構成の一例を示すブロック図である。図3は、第1の実施形態に係る端末装置の概略構成の一例を示すブロック図である。
図2に示す基地局は、マルチプレックス部100、誤り訂正符号部101‐a〜101‐l、シリアル/パラレル変換部(S/P変換部)102‐a〜102‐l、変調方式決定部103、マッピング部104、送信電力制御部105、IFFT部106、パラレル/シリアル変換部(P/S変換部)107、ガードインターバル挿入部(GI挿入部)108、デジタル/アナログ変換部(D/A変換部)109、無線送信部(送信部)110、アンテナ部111、無線受信部(受信部)112、アップリンク受信機113、キャリアホール設定部114、スロット割り当て部115を備える。誤り訂正符号部101‐a〜101‐l、S/P変換部102‐a〜102‐lは、周波数チャネル数と同数(ここではa〜lで示す12)備える。
マルチプレックス部100は、制御データや情報データを送信するパケット単位で周波数チャネル数分(ここでは12)の系列に分離し、誤り訂正符号部101‐a〜101‐lは、分離されたデータそれぞれを誤り訂正符号化し、S/P変換部102‐a〜102‐lは、誤り訂正符号化されたデータを64系統に分離する。
変調方式決定部103は、端末装置側受信電力情報とキャリアホールパターンとを用いて、変調方式情報を作成する。第1の実施形態では、変調方式決定部103は、端末装置側の受信電力情報を用いてデータを割り当てるサブキャリアについて変調方式を選択し、キャリアホールパターンを用いてキャリアホールとするサブキャリアにはキャリアホールであることを設定する変調方式情報を作成する。
マッピング部104は、変調方式情報に基づいて、サブキャリア毎に変調を施す。
送信電力制御部105は、変調されたサブキャリアを、送信電力制御情報に基づいて、定められた送信電力に変換する。送信電力制御情報は、予め制御部(図2に図示せず)によって作成される。制御部は、CPU(Central Processing Unit)の制御のもとで実行
されるモジュールである。IFFT部106は、変換されたデータをIFFT処理し、P/S変換部107は、データをシリアル変換し、GI挿入部108は、ガードインターバルを挿入し、D/A変換部109は、データをアナログ信号に変換する。
無線送信部110は、アンテナ部111を介して、信号(制御信号、データ)を送信する。
無線受信部112は、アンテナ部111を介して、各端末装置から送信される信号(制御信号、データ)を受信する。
アップリンク受信機113は、無線受信部112が受信した信号を変換処理(復調・復号等)し、情報データと端末装置毎の干渉電力情報、端末装置側の受信電力情報を取り出す。
キャリアホール設定部114は、データを割り当て得る少なくとも一つのサブキャリアをキャリアホールとする。すなわち、キャリアホール設定部114は、キャリアホールとするサブキャリアの位置を設定し、キャリアホールに設定したサブキャリアを特定するキャリアホールパターンを作成する。この実施形態では、キャリアホール設定部114は、(式1)を用いて、キャリアホールを設定する。キャリアホール設定部114は、「データを割り当て得る少なくとも一つのサブキャリア」、すなわち、データの送信に使用するサブキャリアの少なくとも一つを、強制的にキャリアホールとする。これにより、キャリアホールは、データを割り当て得るサブキャリアへ強制的に設定される。
また、第1の実施形態では、キャリアホール設定部114は、(式1)を用いて、隣接するセルでキャリアホールに設定されたサブキャリアとは異なる周波数のサブキャリアをキャリアホールに設定し、データを割り当て得る複数のサブキャリアのうちキャリアホールに設定されたサブキャリアを特定するキャリアホールパターンを作成する。作成したキャリアホールパターンは、変調方式設定部103へ出力され、変調方式情報へ組み込まれる。
スロット割り当て部115は、アップリンク受信機113から入力される端末装置側の受信電力情報と、他端末への割り当て状況や送信を行なう情報データ量に基づいて、各端末装置が使用するスロット割り当てを決定し、スロット割り当て情報を作成する。
次に、端末装置について説明する。図3に示す端末装置は、アンテナ部200、無線受信部(端末装置側受信部)201、アナログ/デジタル変換部(A/D変換部)202、同期部203、ガードインターバル除去部(GI除去部)204と、シリアル/パラレル変換部(S/P変換部)205、FFT部206、受信電力測定部207、伝送路推定デマッピング部208、パラレル/シリアル変換部(P/S変換部)209‐a〜209‐l、誤り訂正復号部210‐a〜210‐l、デマルチプレックス部211、アップリンク送信機212、無線送信部(端末装置側送信部)213、制御部214を備える。P/S変換部209‐a〜209‐l、誤り訂正復号部210‐a〜210‐lは、周波数チャネル数と同数(ここではa〜lで示す12)備える。
無線受信部(端末装置側受信部)201は、アンテナ部200を介して、基地局から送信される信号(制御信号、データ)を受信する。
A/D変換部202は、信号をデジタル信号に変換し、同期部203は、OFDMのシンボル同期を取り、GI除去部204は、ガードインターバルを除去し、S/P変換部205は、1024のデータにパラレル化する。FFT部206は、1024ポイントのFFTを行ない、サブキャリア毎の信号に変換する。
受信電力測定部207は、キャリアホールパターンに基づいて、キャリアホールに設定されているサブキャリアの受信電力を測定し、測定した受信電力の平均値を干渉電力情報として算出する。接続先の基地局では、キャリアホールに設定されているサブキャリアについて、送信電力を零とするため、キャリアホールの受信電力は、隣接セルからの干渉電力となる。
伝搬路推定デマッピング部208は、FFT処理された768波のサブキャリアを復調する。P/S変換部209‐a〜209−lは、12系統のデータ毎に変換し、誤り訂正復号部210‐a〜210−lは、誤り訂正復号処理を行なう。
デマルチプレックス部211は、誤り訂正されたデータを制御データや情報データに処理することに加え、キャリアホールパターン(変調方式情報に含まれている場合もある)を受信電力測定部207へ出力する。
アップリンク送信機212は、端末装置から送信する情報を、送信用の信号へ変換処理(符号化、変調等)し、変換処理した信号を、無線送信部213へ出力する。
無線送信部213は、アンテナを介して、信号(制御信号、データ)を基地局へ送信する。
制御部214は、制御データを入力し、制御データに含まれるスロット割り当て情報に基づいて、自己の端末装置が割り当てられたスロットの情報を検出する。検出した情報は、受信電力測定部207へ出力される。
次に、第1の実施形態の干渉電力測定の動作を説明する。図4は、第1の実施形態における干渉電力測定の動作の一例を示すフローチャートである。フローチャートは、左側に基地局側処理を示し、右側に端末装置側処理を示し、矢印は、基地局と端末装置との間で情報が送受信される様子を示す(他の図面のフローチャートも同様の形式をとる)。
まず、基地局は、端末装置へ制御信号を伝送する(ステップS100)。制御信号は、セル内のすべての端末装置が受信できるようにあらかじめ決められた全サブキャリア共通の変調方式によって変調された信号である。次に、基地局は、キャリアホールに設定するサブキャリア番号を決定する(ステップS101)。具体的には、キャリアホール設定部114は、(式1)を満たすnを求め、キャリアホールパターンを作成し、作成したキャリアホールパターンを変調方式決定部103へ受け渡す。次に、変調方式決定部103は、キャリアホールパターンに基づいて、nに対応するサブキャリア番号が割り当てられているサブキャリアをキャリアホールに設定し、さらにキャリアホール以外のサブキャリアの変調方式を決定し、変調方式情報を作成する(ステップS102)。このようにして作成された変調方式情報は、キャリアホールの位置を示すキャリアホール情報と、変調方式とを含む。変調方式情報は、キャリアホールに設定されたサブキャリアに特定の記号(マーク)を付す等、予め端末装置との間で取り決めた手法で、変調方式情報の中にキャリアホールを特定する。次いで、各サブキャリアは、変調方式情報を基に変調され(ステップS103)、各サブキャリアの変調方式を受信側へ通知するために必要な変調方式情報がデータへ付加され、データが無線送信部110から端末装置へ送信される(ステップS104)。
端末装置は、まず、送信された制御信号を受信し、スロット割り当て情報を取得する(ステップS110)。また、端末装置は、その後送信されるデータを受信する(ステップS111)。データは、付加された変調方式情報を基に復調が行われる(ステップS112)。次に、端末装置の受信電力測定部207は、変調方式情報に含まれているキャリアホール情報からキャリアホールに設定されているサブキャリアの位置を特定し、キャリアホールに設定されたサブキャリアの受信電力(干渉電力)を測定する。また、受信電力測定部207は、データが割り当てられているサブキャリア(キャリアホールに設定されていないサブキャリア)について、受信電力を測定して受信電力情報を算出する(ステップS113)。
次に、受信電力測定部207は、1周波数チャネル当たりに8つ設けられたキャリアホールにおける受信電力を平均して平均値を算出し、算出した平均値を、該当スロットに割り当てられた端末装置が受ける該当スロットにおけるセル間の干渉電力情報とする(ステップS114)。アップリンク送信機212は、受信電力情報と干渉電力情報とを、送信用の信号へ変換処理し、無線送信部213から基地局へ送信する(ステップS115)。
基地局の無線受信部112は、変換された信号を受信し、アップリンク受信機113は、受信した信号を変換処理し、受信電力情報と干渉電力情報とを取得する(ステップS105)。
このようにして、基地局は、1フレームに含まれる複数のスロットそれぞれについて、スロットを割り当てられた端末装置から干渉電力情報を取得することができる。基地局が取得した干渉電力情報は、次のように用いられる。スロット割り当て部115は、取得した複数の干渉電力情報を用いて隣接セルの影響を考慮して、スロットのスケジューリング等を実施する。また、スロット割り当て部115は、複数の端末装置それぞれから、割り当てられたスロットについて、干渉電力情報と共に、各サブキャリアの受信電力情報を取得する。取得した各サブキャリアの受信電力情報は次フレームを伝送する際の、各サブキャリアの変調方式の決定等に用いられる。以上の手順により、複数のサブキャリアをキャリアホールに設定し、設定されたキャリアホールによって隣接セルから到来する干渉の電力を測定することができる。
このように、基地局がデータを割り付けうるサブキャリアへキャリアホールを強制的に設定することによって、キャリアホールにおける干渉電力情報の測定が可能となる。従って、基地局は、空きスロットが非常に少ない状況になっても、干渉電力情報を取得し、周囲の環境の変化に柔軟に対応したスロットの割り当てが可能となる。
なお、あらかじめ決められたパターンによりキャリアホールを設定する場合に、図1に示すキャリアホール設定パターンではなく、別のパターンによるキャリアホールの設定を行なっても同様の干渉電力の測定を行なうことが可能である。この場合、図1に示すように、所定の間隔を空けてキャリアホールを設定することにより、より正確な干渉電力を測定することができる。これは、隣接するサブキャリアの受信電力は相関が高くなるため、キャリアホールをまとめて設けた場合には、フェージングの影響により、干渉電力が非常に高く測定される場合や、逆に非常に低く測定される場合があり、該当スロットが平均的に受ける干渉の影響を正しく評価することができないためである。これに対し、図1に示すように、ある間隔でキャリアホールを設定する場合にも、フェージングの影響により干渉電力が高く測定されるキャリアホールと低く測定されるキャリアホールが存在するが、これらを平均することにより、該当スロットにおいて測定端末装置が受ける干渉電力を、より正確に求めることができる。
また、端末装置において複数のアンテナを用いたダイバーシチ受信を行なう場合には、アンテナ毎に異なる受信電力を平均した後、基地局へ報告する構成とする。さらにこれとは別に、各アンテナにおいてキャリアホール毎に観測された干渉電力のうち、最も大きい値をキャリアホール毎に選択し平均した後、基地局に報告する構成としてもよい。このような構成とすることにより、フェージングの影響により干渉電力が低く見積もられることを回避することができる。
また、キャリアホール設定部114は、(式1)を用い、1つのフレーム内では、スロット毎に同じキャリアホールパターンを作成したが、スロット毎に異なるキャリアホールパターンを作成してもよい。キャリアホール設定部114は、各周波数チャネル内の相対的な位置が異なるサブキャリアへキャリアホールを設定することもできるし、各時間チャネル内の相対的な位置が異なるサブキャリアにキャリアホールを設定することもできる。
さらに、以上の説明では、基地局を送信側、端末装置を受信側として説明したが、本発明はこれに限定されるわけではない。例えば、基地局に受信電力測定部を設け、端末装置にキャリアホール設定部を設ける構成を採る。そして、基地局からどのサブキャリアをキャリアホールとすべきかを示すリクエスト情報を端末装置に送信し、端末装置でキャリアホールを設定してアップリンク通信を行ない、基地局ではキャリアホールにおいて干渉電力を測定するという形態を採ることも可能である。
また、第1の実施形態を、無線LANを用いる通信に適用する場合は、隣接するセルのキャリアホールパターンを考慮する必要はない。制御局装置は、データを割り当て得るサブキャリアへ強制的に設定するキャリアホール設定部を備えていることによって、本発明を適用することが可能となる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、1つのスロットにおける干渉電力を複数の端末装置が測定し、各端末装置において測定された干渉電力情報を基地局に通知する場合について説明する。
図5は、第1の実施形態に係る基地局の概略構成の一例を示すブロック図である。基地局は、図3に示した構成に加え、切り替えスイッチ316、重み付け部317、干渉電力算出部318が追加された構成となっている。また、キャリアホール設定部314には、機能が追加されている。
キャリアホール設定部314は、図2で説明した機能に加え、作成したキャリアホールパターンを切り替えスイッチ316へ出力する。また、キャリアホール設定部314は、第1の実施形態と同様に、(式1)を用いて、キャリアホールパターンを作成することを前提とする。
切り替えスイッチ316は、変調方式決定部103が作成する変調方式情報とキャリアホール設定部314が作成するキャリアホールパターンとのいずれかを選択してマルチプレックス部100へ受け渡す。切り替えスイッチ316は、マルチプレックス部100へ入力されるデータとして、制御データが入力される場合はキャリアホールパターンを選択し、情報データが入力される場合は、変調方式情報を選択する。すなわち、切り替えスイッチ316は、基地局から端末装置へ送信するデータによって、制御データの送信時にはキャリアホールパターンを選択し、情報データの送信時には各サブキャリアの変調方式情報を選択してマルチプレックス部100へ受け渡す。
重み付け部317は、複数の端末装置から送信された干渉電力情報を、端末装置に関する所定の情報を用いて重み付けする。所定の情報には、各端末装置と基地局との距離情報、各端末装置の位置情報等が含まれる。第2の実施形態では、重み付け部317は、距離情報に応じた重み付けを行なう場合を説明する。具体的には、重み付け部317は、1周波数チャネル当たりに基地局が送信することができる最大送信電力Pmaxと各端末装置への1周波数チャネル当たりのダウンリンク伝送に要する送信電力Pi(iは端末装置番号:i=1、2、…、端末装置数)の比(Pmax/Pi)を、それぞれ測定された干渉電力情報に乗算する。但し、基地局から各端末装置へのダウンリンク伝送では、端末における受信電力が一定となるように送信電力制御が行なわれるものとする。
重み付けは、セル内の各端末装置へのダウンリンク伝送において正しく送信電力制御が行われている場合、セルエッジ付近に位置する(ダウンリンク伝送に要する送信電力が最大送信電力に近い)端末装置が報告した干渉電力情報には1に近い値の重み(ほぼ重みなし)が乗算され、逆に、基地局周辺に位置する(ダウンリンク伝送に要する送信電力は最大送信電力よりも非常に低い)端末装置が報告した干渉電力情報には非常に大きい値の重みが乗算されることとなる。隣接セルのダウンリンク伝送による干渉は、通常、セルエッジ付近に位置する端末装置においては大きく観測されるが、干渉源(隣接セルの基地局)との距離が離れている自セルの基地局周辺ではセルエッジ付近ほど大きくは観測されない。しかし、自セルの基地局周辺に位置する端末装置にて干渉が観測されない(または非常に弱い)からといって、隣接セルから到来する干渉電力が必ずしも弱いとは限らず、干渉源から遠く離れた基地局周辺に位置する端末装置において、わずかでも干渉が観測されるスロットは、隣接セルの基地局から大きな電力の信号が送信されているスロットであると考えることもできる。重み付けは、測定端末装置の位置の違いにより生じる測定干渉電力のレベル差を、基地局‐端末装置間距離に応じて補正する。
平均干渉電力算出部318は、各端末装置が測定した複数の干渉電力情報を平均して、平均干渉電力値を算出し、算出した平均干渉電力値を各スロットの干渉電力情報としてスロット割り当て部115へ出力する。また、平均干渉電力算出部318は、各端末装置から通知される各スロットの干渉電力情報は、サンプル数が多くなるため次のような処理を行なう。平均干渉電力算出部318は、重み付け部317から入力された各スロットの干渉電力情報について、数値が大きい干渉電力情報の順にあらかじめ決められたサンプル数だけスロット毎に抽出する。次に、抽出した干渉電力情報をスロット毎に平均して、各スロットの干渉電力の算出を行なう。
このように、平均干渉電力算出部318に入力される各スロットの干渉電力情報の中から、数値が大きいものだけを抽出することにより、隣接セルの基地局が信号(干渉)を送信しているにも関わらずシャドウイングや距離の影響によりその干渉を全く観測できない端末装置による測定結果を除外し、干渉電力が実際より低く見積もられることを回避することができる。
なお、図5中、図2と同じ符号を付した構成要素は、同じ名称、同様の機能を有するため、説明を省略する。また、端末装置は、図3に示す端末装置と同様の構成で実現できる。
第2の実施形態では、各端末装置は他端末装置が割り当てられているスロットにおいてもキャリアホールを利用した干渉の測定を行なうため、端末装置が割り当てられているすべてのスロットにおけるキャリアホールの設定状況をすべての端末装置が把握する必要がある。また、空きスロット(どの端末装置も割り当てられていないスロット)がある場合には、空きスロットの全サブキャリアについて干渉電力の測定を行なう(空きスロットにおける干渉電力の測定は従来と同様の手法)こととする。このため、端末装置は自分の割り当てスロット以外の割り当て状況もすべて把握しておく。ここで、第2の実施形態においても第1の実施形態と同様に、フレーム内の各スロットは同一のパターンでキャリアホールを設定するものとすると、各フレームの先頭の制御スロット中に各スロットの割り当て情報と共にキャリアホールパターンを示す情報を入れておくことにより、全スロットのキャリアホールパターンをすべての端末装置において簡単に把握することができる。また、フレーム内の各スロットにおいて異なるキャリアホールパターンを設定する場合にも、キャリアホールパターンを示す情報の情報量は増加するものの、制御スロットにそれらの情報を入れておくことにより、すべての端末装置において全スロットのキャリアホールの位置を把握することができる。このような構成とすることにより、フレーム内の全スロットの割り当て情報やキャリアホールパターンを含む制御データを全端末装置に向けて送信することができる。
また、各端末装置はそれぞれが受信可能な周波数チャネル数を超えない範囲で可能な限りのスロットにおいて干渉電力を測定し、その測定結果をすべて基地局に報告することを前提とする。
図6は、第2の実施形態に係る端末装置の受信電力測定部の構成の一例を示す図である。図6は、第2の実施形態の干渉電力を測定する機能を実現する受信電力測定部207の構成の一例を示す図であり、受信電力測定部207と、アップリンク送信機212、並びに、制御部214との関係を示す。受信電力測定部207は、測定部501、選択部502、自スロット処理部503、空きスロット処理部504、他スロット処理部505を有する。
アップリンク送信機212は、図3と同様の機能を備える。制御部214は、制御データに含まれるスロット割り当て情報に基づいて、スロット種別を判断し、受信電力測定部207の選択部502へ出力する。スロット種別は、自己の端末装置が割り当てられている自スロット、他の端末装置が割り当てられている他スロット、端末装置が割り当てられていない空きスロットのいずれかを指定する。測定部501は、FFT部206から入力される信号の受信電力を測定する。図6に示す例では、測定部501は、各サブキャリアの受信電力を測定し、測定した受信電力を、選択部502を経由して、自スロット処理部503、空きスロット処理部504、他スロット処理部505のいずれかに受け渡す構成例を示している。
選択部502は、スロット種別を制御部214から入力し、入力したスロット種別に基づいて、自スロット処理部503、空きスロット処理部504、他スロット処理部505のいずれかの処理機能を選択し、選択した処理機能へ、測定部501が測定した受信電力を受け渡す。選択部502は、処理機能を選択するスイッチの役割を果たす。
自スロット処理部503は、自スロットの信号を測定した受信電力および変調方式情報を用いて、受信電力情報、干渉電力情報とを算出し、アップリンク送信機212へ出力する。
空きスロット処理部504、空きスロットを構成するサブキャリアそれぞれの受信電力を平均して受信電力情報を算出する。
他スロット処理部505は、他スロットの信号を測定した受信電およびキャリアホールパターンを用いて、干渉電力情報を算出する。キャリアホールパターンは、端末装置に送信された制御データから取得され、他スロット処理部505へ入力される。
このような構成を採ることにより、各スロットの干渉電力情報が複数の端末装置から報告される場合にも、測定端末装置の位置の違いによる測定結果のレベル差を補正し、スケジューリング等に用いる場合に有効な干渉電力の情報を算出することができる。
次に、第2の実施形態の干渉電力測定の動作を説明する。図7は、第2の実施形態における干渉電力測定の動作の一例を示すフローチャートである。基地局において、キャリアホール設定部314は、キャリアホールに設定するサブキャリア番号を算出し、キャリアホールパターンを作成する(ステップS200)。ここでは、第1の実施形態と同様に、(式1)を利用する。次に、切り替えスイッチ316は、作成されたキャリアホールパターンを、制御データが送信されるタイミングで、マルチプレックス部100へ入力する。キャリアホールパターンは、制御データ、並びに、スロット割り当て情報とともに制御信号に変換され、基地局から端末装置へ送信される(ステップS201)。送信された制御信号は、セル内に存在する複数の端末装置に受信され、送信されたフレームにおけるキャリアホールパターンとスロット割り当て情報が通知される。
各端末装置は、受信した制御信号から、キャリアホールパターンと、スロット割り当て情報とを取得する(ステップS210)。スロット割り当て情報から情報信号を復調すべきスロットおよび空きスロットを認識する。端末装置内では、スロット割り当て情報は、制御部214へ出力され、キャリアホールパターンは、受信電力測定部207へ出力される。制御部214は、スロット割り当て情報を入力し、スロット種別を判別する。
一方、基地局では、制御信号の伝送に続いて、変調方式決定部103は、各サブキャリアの変調方式を決定し、キャリアホールパターンに基づくキャリアホールを設定して変調方式情報を作成する(ステップS202)。切り替えスイッチ316は、作成された変調方式情報を、情報データが送信されるタイミングで、マルチプレックス部100へ入力する。各サブキャリアの変調方式情報は、情報データに付加され、変調方式情報が付加された情報データは、変調方式情報に基づいて変調され、情報信号に変換される(ステップS203)。情報信号は、時間チャネル毎に順次、基地局から端末装置へ送信される(ステップS204)。
基地局から送信された情報信号は、端末装置において順次受信される。選択部502は、制御部214からスロット種別を入力し、スロット割り当て情報に基づいて、送信された情報信号のスロットが、自己の端末装置に割り当てられたスロットであるか否かを判断する(ステップS211)。自己の端末装置に割り当てられていないスロットであると判断した場合(ステップS211でNO)、スロットが空きスロットかどうかの判断を行なう(ステップS212)。空きスロットである場合(ステップS212でNO)、測定部501は、空きスロットのサブキャリア全部の受信電力(干渉電力)を測定し、空きスロット処理部504は、測定された各サブキャリアの干渉電力を平均して、空きスロットの干渉電力情報を算出する(S213)。一方、他の端末装置が割り当てられている(空きスロットでない)場合(ステップS212でYES)、他スロット処理部505は、キャリアホールパターンを用いて、キャリアホールに設定されたサブキャリアを検出して、測定部501が測定した受信電力から、キャリアホールの受信電力(干渉電力)を取得する(ステップS214)。次に、他スロット処理部505は、測定した複数のキャリアホールの干渉電力を平均し、該当スロットにおける干渉電力情報を算出する(ステップS215)。算出された干渉電力情報は、アップリンク送信機212へ出力され、各端末装置から基地局へ通知される(ステップS216)。
また、選択部502は、スロット種別に基づいて、自己の端末装置に割り当てられたスロットであると判断した場合(ステップS211でYes)、端末装置は、受信した情報信号を復調する(ステップS218)。自スロット処理部503は、測定部501が測定したスロットの受信電力から、キャリアホールにおける受信電力(干渉電力)並びに各サブキャリアの受信電力を取得する(S219)。次に、自スロット処理部503は、測定した干渉電力を平均し該当スロットにおける干渉電力を算出する(ステップS220)。算出されたスロット毎の干渉電力情報と各サブキャリアの受信信号電力は、アップリンク送信機212へ出力され、各端末装置から基地局へ通知される(ステップS221)。なお、ステップS211〜ステップS221に示す処理は、端末装置において各周波数チャネルの各スロットにおいて繰り返し行われる。
基地局は、各スロットにおける干渉電力情報(および各サブキャリアの受信信号電力)を各端末装置から取得する(ステップS205)。重み付け部317は、取得した複数の干渉電力情報へ基地局‐測定端末装置間距離に応じた重み付けを行なう(ステップS206)。平均干渉電力算出部318は、重み付けされた複数の干渉電力情報について、スロット毎に数値が大きいものから順番にNサンプル(Nはあらかじめ決められた1以上の整数)を抽出し(ステップS207)、抽出されたサンプルについてスロット毎に平均を算出し、該当スロットの干渉電力情報とする(ステップS208)。算出された各スロットの干渉電力情報は、スロット割り当て部115へ出力され、隣接セルの影響を考慮したスケジューリング等へ使用する。
このように、第2の実施形態では、それぞれ異なる場所に位置する複数の端末装置が各スロットにおける干渉電力を測定し、測定された干渉電力情報を基地局に通知する。つまり、各端末装置は、自己の端末装置が割り当てられていないスロットについても干渉電力の測定を行なう。これにより、各スロットにおける干渉電力をより正確に測定することが可能になる。第1の実施形態では、スロットに割り当てられている端末装置が、割り当てられたスロットにおける干渉電力を測定するため、1つのスロットについて、1つの端末装置が干渉電力を測定することになる。しかしながら、干渉電力は、測定を行なう端末装置の位置(干渉源からの距離)等に大きく依存するため、該当スロットが受ける干渉電力を正しく表しているとは限らないが、この実施形態によれば、このような問題が解消できることになる。
なお、この実施形態で説明した重み付け方法は一例であり、これ以外にも様々な重み付け方法が考えられる。また、重み付けをしないで干渉電力情報の平均値を算出することも可能である。
また、図6で示した受信電力測定部207の構成は一例であり、これに限られるわけではない。図6では、測定部501で測定した受信電力を、選択部502が各処理部(自スロット処理部503、空きスロット処理部504、他スロット処理部505のいずれか)に振り分ける例を示したが、測定部501は、各処理部それぞれに測定結果を出力する構成にしてもよい。また、各処理部が測定部501の機能を備えるようにしてもよく、その他の構成であってもかまわない。
(第3の実施形態)
第3の実施形態では、基地局と端末装置との位置関係を考慮して干渉電力を測定する場合について説明する。
図8は、第3の実施形態に係る基地局の概略構成の一例を示すブロック図である。基地局は、図5に示す基地局の構成から重み付け部317が除かれるとともに、各端末装置がセルサーチの際に受信した基地局ID(基地局識別子)をアップリンク通信により接続先の基地局へ報告するため、基地局ID情報を受信する機能を備える。
アップリンク413は、無線受信部112が受信した信号を変換処理(復調、復号等)し、情報データと端末装置毎の干渉電力情報、端末装置側の受信電力情報、各端末装置の受信基地局ID情報を取り出す。
平均干渉電力算出部418は、各端末装置が測定した複数の干渉電力情報と、各端末装置から報告された基地局ID(位置情報)とを入力し、複数の干渉電力情報を基地局IDに対応づけて分類し、分類した干渉電力情報を平均して干渉電力値を算出する。すなわち、平均干渉電力算出部418は、基地局IDが一致する端末装置同士を端末装置群として扱い、同一の端末装置群に属する端末装置から報告された干渉電力情報をスロット毎に平均する。これにより、ある方向から到来する干渉電力をスロット毎に算出することができる。
なお、図8中、図2または図5と同じ符号を付した構成要素は、同じ名称、同様の機能を有するため、説明を省略する。
また、この第3の実施形態における端末装置は、図3に示す第1の実施形態における端末装置とほぼ同じ構成により実現できる。但し、第3の実施形態では、各端末装置はセルサーチの際に受信した制御信号に含まれる基地局IDを接続先の基地局へ通知するため、復調された基地局IDを図3のアップリンク送信機212に入力し、基地局ID情報をアップリンク通信により基地局へ通知できる構成が必要となる。
第3の実施形態では、セル内に分散する複数の端末装置を、基地局に対する方向によって分類する手段として、端末装置がセルサーチを行なう際に受信する制御信号に含まれる基地局IDを利用するものとする。具体的には、セル内の端末装置のうち、セルサーチの際に受信した制御信号に含まれる基地局IDが一致する端末装置を、同じ方向に位置する端末装置とし、それら同じ方向に位置する端末装置から報告された干渉電力を平均した結果を、それらの端末装置が位置する方向へ到来する干渉電力とする。これは、基地局から見て同じ方向に位置する端末装置では、セルサーチの際に同じ隣接基地局からの制御信号を受信することが多くなり、受信した基地局IDが一致する端末装置は同じ方向に位置する端末装置であると判断することができることによる。また、この実施形態においても上記実施形態と同様、端末装置が割り当てられているスロットにおいては既知のパターンによるキャリアホールを設定し、干渉電力の測定は設定されたキャリアホールにおいて行なうものとする。
次に、第3の実施形態の干渉電力測定の動作を説明する。図9は、第2の実施形態における干渉電力測定の動作の一例を示すフローチャートである。端末装置は、通信の開始に当たり、セルサーチを行なう(ステップS310)。一般に、セルサーチは、複数の基地局から送信される制御信号を受信し、接続すべき基地局、すなわち、最も高い受信電力が得られた信号を送信した基地局を探す処理である。セルサーチ後、端末装置は接続要求とともにセルサーチの間に受信したすべての制御信号に含まれていた送信元基地局IDを、接続すべき基地局へ通知する(ステップS311)。
基地局は、端末装置から接続要求と基地局IDとを受信する(ステップS300)。基地局において、スロット割り当て部115は、接続要求を通知した端末装置に対してスロットの割り当てを行なう(ステップS301)。スロット割り当ては、任意の手法でよいものとする。割り当てスロットの決定後、キャリアホール設定部314は、キャリアホールパターンを作成する(ステップS302)。ここでは、第1の実施形態と同様、(式1)を利用してキャリアホールを設定することを前提とする。次に、スロットの割り当て情報をキャリアホールパターンと共に、制御信号としてセル内の全端末装置に送信する(ステップS303)。次いで、キャリアホールを設定し、適応変調を行ったデータ信号を送信する(ステップS304〜ステップS306)。ステップS303〜ステップS306の各ステップは、図7のステップS201〜ステップS204の各ステップと同様の動作を実施する。
端末装置は、ステップS303で送信された制御信号を受信し、キャリアホールパターンとスロット割り当て情報とを取得する(ステップS312)。ステップS312のステップは、図7のステップS210のステップと同様の処理を実施する。また、ステップS306で送信されたデータ信号に対して、端末装置は、図7のステップS211〜ステップS221の各ステップを実施する(ステップS313)。これらのステップにより、端末装置は、キャリアホールまたは空きスロットにて測定した干渉電力情報を基地局へ通知する。
基地局は、各端末装置における干渉電力情報と受信電力情報の測定結果を受信し、先に通知された基地局IDが一致する端末装置を選択し、それらの端末装置から報告された干渉電力の平均値を算出する(ステップS308)。このような処理を行なうことにより、セルサーチの際に受信する信号の送信元基地局IDが一致する端末装置、つまり基地局から見て同じような方向に位置する端末装置から報告される干渉電力をスロット毎に算出することが可能となり、隣接セルから到来する干渉電力を方向毎に求めることができる。なお、図9に示す制御フローは、新規に接続を要求する端末装置とそれに対応する基地局について接続後の最初のフレームにおける制御を示しており、接続済みの端末装置に対してはステップS302〜ステップS308、ステップS312〜ステップS313がフレーム毎に繰り返されることとなる。
このように、第3の実施形態では、接続先の基地局から見て同じ方向に位置する端末装置から報告された干渉電力情報をまとめ、それぞれの方向から到来するセル間干渉の電力を算出することができる。これによって、隣接セルから到来する干渉の到来方向を考慮したスケジューリング等を行なうために、どの方向からどれくらいの干渉が到来するかを把握することができる。従って、基地局‐端末装置間の距離だけでなく測定端末装置が位置する方向にも考慮した干渉電力を測定することができる。
なお、基地局において指向性を有するセクタアンテナが用いられ、セル内がセクタ化されている場合に、同一セクタに収容されている複数の端末装置は基地局から見て同じような方向に位置するものと考えられる。そこで、平均干渉電力算出部418は、同じセクタに配置される端末装置から受信した干渉電力情報をスロット毎に平均する。このようにして、各セクタに収容されている端末装置から報告される干渉電力情報をセクタ毎、スロット毎に平均することにより、ある程度まとまった方向から到来する干渉電力の算出を行なうこともできる。
また、図8に示した基地局の概略構成へ、図5に示した重み付け部317を追加し、第2の実施形態に示したような重み付けを行なうことにより、より精度良く干渉電力を求めることが可能となる。
(第4の実施形態)
第4の実施形態では、あらかじめ決められたパターンによるキャリアホールを設定するのではなく、端末装置における受信電力が著しく低く、受信状況が悪いと判断されるサブキャリアを基地局にてキャリアホールに設定し、そのキャリアホールにおける干渉電力を端末装置にて測定する構成とする。
基地局は、図2に示した構成、端末装置は、図3に示した構成を用いることができるが、次の点が異なる。基地局は、キャリアホール設定部114の機能を使用しない。また、変調方式決定部103は、受信電力情報を用いて、キャリアホールに設定するサブキャリアを決定し、キャリアホールに設定したサブキャリアを特定できる記号等を変調方式情報に挿入する。記号等は、予め端末装置との間で取り決めたものを用い、キャリアホールであることが特定できればよい。また、変調方式決定部103は、キャリアホールパターンの入力を必要としない。端末装置の受信電力測定部207は、変調方式情報に挿入された記号等よって、キャリアホールに設定されたサブキャリアの位置を特定する。
次に、第4の実施形態の干渉電力測定の動作を説明する。図10は、第1の実施形態における干渉電力測定の動作の一例を示すフローチャートである。基地局は、制御信号を送信する(ステップS400)。制御信号は、全サブキャリア共通の変調方式によって変調された信号である。基地局の変調方式決定部103は、端末装置から通知された各サブキャリアの受信状況を基に、各サブキャリアの変調方式を決定する。この時、変調方式決定部103は、端末装置における受信状況が著しく悪い(受信電力が著しく低い)サブキャリアを、キャリアホールとする(ステップS401)。
このようにして、変調方式決定部103は、キャリアホールを記号等によって特定するキャリアホール情報を含む変調方式情報を作成する。次に、決められた変調方式により各サブキャリアの変調が行われ(ステップS402)、各サブキャリアの変調方式を受信側へ通知するために必要な変調情報が付加されたデータが送信される(ステップS403)。ステップS404、ステップS411〜ステップS415の各ステップは、図4のステップS105、ステップS111〜ステップS115の各ステップそれぞれと同様である。端末装置においてキャリアホールを利用した干渉電力の測定、各サブキャリアの受信電力の測定が行われ、その結果が基地局へ通知される。
このように、第4の実施形態と第1の実施形態の違いは、第1の実施形態では、キャリアホール設定部114が、図4のステップS100に示すように、(式1)により得られるフレーム毎に決められたキャリアホールパターンを作成するのに対し、第4の実施形態では伝搬路状況が著しく悪いサブキャリアを干渉電力測定用のキャリアホールとするため、キャリアホールに設定されるサブキャリアが適応的に変わることである。
このように、第4の実施形態では、受信状況が著しく悪いと判断されるサブキャリアをキャリアホールに設定するが、周波数選択性フェージング環境下の1つの周波数チャネルにおいて受信状況が著しく悪くなるサブキャリア数はさほど多くなく、さらに、ある程度まとまって分布するため、設定されたキャリアホールにおける干渉電力を測定しても、該当スロットが平均的に受ける干渉の影響を正しく評価することができないことが考えられる。しかし、第2の実施形態のように、セル内の異なる地点に位置する複数の端末装置による測定結果をあわせて評価することにより、該当スロットが隣接セルから受ける干渉電力をより正確に算出することが可能となる。
また、先に述べた第1の実施形態では所定のパターンに従ってキャリアホールを設定するため、受信状況の良いサブキャリアがキャリアホールに設定されることも多く、その場合には1シンボルで送信することができるデータ量が減少するが、第2の実施形態では受信状況の著しく悪いサブキャリア、つまり、誤りの原因となる可能性が高いサブキャリアをキャリアホールとし、受信状況の良いサブキャリアについてはデータ伝送に用いられることから、誤りを軽減しつつ1シンボルで送信することができるデータ量を維持することもできる。
(第5の実施形態)
第5の実施形態では、キャリアホールを設定せずに干渉電力を測定する手法について示す。一般に、到来する信号に対して同期が確立できている場合のFFTの出力信号は、送信時に信号を割り当てた各サブキャリア位置に現れるが、同期が確立できていない場合のFFTの出力信号は受信機が観測できる全帯域(FFTポイント全て)に広がってしまう。つまり、接続先の基地局から到来する希望信号と、隣接セルの基地局から到来する干渉信号が同期していない場合には、受信機は希望信号に同期して受信動作を行なうため、干渉信号は受信機が観測できる全帯域に広がって観測されることとなる。このような性質に基づき、第5の実施形態では、希望信号と干渉信号の受信タイミングがずれている場合について、帯域内で情報信号の伝送に用いられないサブキャリア位置(周波数領域のサンプル点)において干渉電力を測定するものとする。
第5の実施形態では、基地局は、図2に示した構成、端末装置は、図3に示した構成を用いることができるが、次の点が異なる。キャリアホール設定部114の機能を使用しない。また、変調方式決定部103は、キャリアホールパターンの入力を必要とせず、キャリアホールを示す情報を端末側へ通知する必要がない。従って、基地局では、少なくとも、無線送信部110は、データを割り当て得る複数のサブキャリアを用いて端末装置へデータを送信し、無線受信部112は、端末装置が、観測できる全帯域におけるサンプル点のうち予めデータを割り当てないことが決められているサンプル点で測定した隣接セルからの干渉電力を示す干渉電力情報を、端末装置から受信する、という機能を備えていればよい。
また、端末装置の受信電力測定部207は、予め、定められている伝送に用いられないサブキャリア位置(サンプル点)における電力を測って行なう。すなわち、受信電力測定部207は、観測できる全帯域におけるサンプル点のうち予めデータを割り当てないことが決められているサンプル点で、隣接セルからの受信電力を測定し、測定した受信電力の平均値を求める。また、無線送信部213は、受信電力の平均値を干渉電力情報として基地局へ送信する。例えば、図3では、FFTポイント数が1024であるのに対し、情報伝送に用いられるサブキャリア数は768(64×12)であり、伝送に用いられないサンプルが1024−768=256だけあることとなり、本実施例ではこの256のサンプル点において干渉電力の測定を行なう。
このような手法は、各セルの基地局が非同期であるシステムではすべての端末装置において用いることができるが、隣接セルと同期しているシステムでは、すべての端末装置において用いることはできない。隣接セルと同期しているシステムにおいては、基地局間が同期しているにも関わらず希望信号と干渉信号の受信タイミングにずれが生じる端末装置においてのみ干渉電力の測定を行なうことができるが、ここで、このような干渉電力の測定が可能となる端末装置の条件について簡単に説明する。
一般に、すべてのセルの基地局が完全に同期している場合に、接続先の基地局と干渉源となる隣接基地局の中間地点付近に位置する端末装置には、ほぼ同時に希望信号と干渉信号が到来する。しかし、端末装置が接続先の基地局周辺に位置し干渉源から遠く離れている場合には、希望信号と干渉信号は時間的にずれて到来するため、同期して復調(FFT)を行なうことができない。従って、本実施例における干渉電力の測定法を、接続先の基地局周辺に位置する端末装置において用いることにより、干渉電力の測定が精度良く行える。
このような基地局と端末装置の距離を判断する基準のひとつとしては、送信電力制御を行なう際の送信電力値がある。例えば、アップリンク通信に必要な送信電力と、あらかじめ決められた閾値の比較を行ない、必要な送信電力があらかじめ決められた閾値より小さいと判断された場合には、該当端末装置は基地局から遠くない地点に位置するものと考えられるため、干渉電力の測定を行ない、その結果を基地局へ報告する。逆に、送信電力が閾値より大きいと判断された場合には、該当端末装置は基地局から離れた地点(セルエッジ付近)に位置するものと考えられるため、干渉電力の測定は行わないこととなる。
また別の判断基準として、他セルから到来する干渉信号の伝搬路が観測できるか否かということが挙げられる。これは、他セルから到来する信号の伝搬路変動が観測できる場合には、端末装置における受信タイミングと干渉信号が到来するタイミングが一致しているものと考えられるためであり、このような端末装置においては干渉信号の測定を行わないよう制御する。
このような条件を満たす端末装置において、常に情報伝送に用いられないサブキャリア位置(サンプル点)における受信電力を測定することにより、隣接セルから到来する干渉信号の電力を測定することが可能となる。そして、それらの端末装置から報告された干渉電力を第2の実施形態や第3の実施形態に示す手順により基地局において平均することにより、スケジューリングを行なう際に有効な干渉電力の算出を行なうことができる。