JP5132156B2 - 固体高分子型燃料電池電極用触媒およびその製造方法 - Google Patents

固体高分子型燃料電池電極用触媒およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5132156B2
JP5132156B2 JP2007003116A JP2007003116A JP5132156B2 JP 5132156 B2 JP5132156 B2 JP 5132156B2 JP 2007003116 A JP2007003116 A JP 2007003116A JP 2007003116 A JP2007003116 A JP 2007003116A JP 5132156 B2 JP5132156 B2 JP 5132156B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
catalyst
platinum
fuel cell
precursor
polymer electrolyte
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2007003116A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008171659A (ja
Inventor
孝 飯島
英明 澤田
健一郎 田所
智博 羽田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel and Sumikin Chemical Co Ltd
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel and Sumikin Chemical Co Ltd
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel and Sumikin Chemical Co Ltd, Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel and Sumikin Chemical Co Ltd
Priority to JP2007003116A priority Critical patent/JP5132156B2/ja
Publication of JP2008171659A publication Critical patent/JP2008171659A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5132156B2 publication Critical patent/JP5132156B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

Description

本発明は、固体高分子型燃料電池電極用触媒およびその製造方法に関するものである。
固体高分子型燃料電池は、水素を燃料とするクリーンな電源として、電気自動車の駆動電源、また、発電と熱供給を併用する定置電源として開発が進められている。また、固体高分子型燃料電池は、リチウムイオン電池など二次電池と比較して高いエネルギー密度が特徴であり、携帯用コンピュータあるいは移動用通信機器の電源としても開発が進められている。
固体高分子型燃料電池の発電部分(セル)は、アノード(燃料極)とカソード(空気極)、および両極間に配したプロトン伝導性の固体高分子電解質膜で構成される。アノードおよびカソードは、通常、白金などの貴金属を担持した触媒、フッ素樹脂紛などの造孔剤、および固体高分子電解質の混合体薄膜である。
固体高分子型燃料電池では、単位電極面積当たりの出力が高いことが求められ、そのためには、アノードとカソードを構成する電極触媒で起こる電気化学反応の触媒活性を向上させることが必要である。最も効果的な前記解決策の一つは、アノードとカソードを構成する電極触媒で起こる電気化学反応の触媒活性を向上させることである。水素を燃料とするアノードでは、水素分子(H2)が水素カチオン(H+、プロトン)に酸化する電気化学的反応であって、その触媒活性の向上である。一方、カソードでは、固体高分子電解質から来るプロトンと酸素分子(O2)が反応して酸素分子が水(H2O)に還元される電気化学反応であって、その触媒活性の向上である。このような固体高分子型燃料電池のアノードとカソードの電極触媒には、白金などの貴金属が用いられる。しかしながら、貴金属は高価であるので、固体高分子型燃料電池の実用化や普及を加速するために電極単位面積当たりの使用量の低減が求められ、その為には触媒活性の更なる向上が必須である。
固体高分子型燃料電池用触媒の使用量削減には、これまで、微粒子化による単位質量当りの反応に関与する表面積の拡大と、白金と他の金属との合金化による触媒単位表面積当りの反応電流密度の増大(高活性化)の二つの方法が検討されてきた。これまでの精力的な研究により合金化に関しては、非特許文献1、非特許文献2にカソード反応、アノード反応に適した種々の合金の研究結果がまとめられている。しかしながら、実用展開のためには、合金で且つ数nmという微粒子を高密度に担体の上に担持する技術が有望であるが、この観点での技術が未だ構築されていない。
特許文献1には固体高分子型燃料電池の担持金属触媒として、白金を主とした種々の活性金属の微粒子触媒の製造方法が開示されている。特許文献1の製造法の特徴は、アルコール類、ケトン類、アルデヒド類などの有機酸を還元剤に用いるものであり、活性金属を微粒子で炭素担体に担持できることが示されている。
特許文献2には、カソード触媒として、白金と、イリジウム、ロジウム、パラジウムとの貴金属間の合金微粒子をカーボンブラックに担持した触媒が開示されている。実施例では、白金の前駆体として白金ジニトロジアンミン錯体を用い、他の貴金属塩として硝酸塩、塩化物を用い、これらの混合水溶液にカーボンブラックを分散させ乾固させた後、水素含有雰囲気下200℃で還元処理して、前記合金触媒が製造できることが記載されている。
特許文献3には、メタノール燃料電池の電極触媒として、貴金属を含む三元系合金の微粒子を炭素担体に担持した触媒が開示されている。エチレングリコールなど高温沸点のアルコール類を還元剤に用いポリビニルピロリドンなどのコロイド保護剤を添加することで、還流条件で白金と他の遷移金属を同時に還元し合金化を促進するとともに、粒子の成長を抑制するものである。
特開2001−224968号公報 特開2006−92957号公報 特開2004−87454号公報 H. A. Gasteiger et.al, "Activity benchmarks and requiremnets for Pt, Pt-alloy, and non-Pt oxygen reduction catalysts for PEMFCs", Applied catalysis B, vol.56, page9-35, 2005 T. J. Schmidt et.al, "PtRu alloy Colloids as Precursors for Fuel Cell Catalysts", Journal of Electrochemical Society, vol. 145, page925-931, 1998
特許文献1では、アルコール類、ケトン類、アルデヒド類などの有機酸を還元剤に用いるものであるが、本発明者らが検討した結果、これらの有機酸は白金を還元して微粒子を合成するには適度な還元速度を有し、速度が速すぎるために生じる粒子粗大化を抑制するには効果的であるが、鉄族元素と白金との合金触媒の製造に適用した場合には、鉄族元素が有機酸では殆ど還元されず、また還元の結果生成する微粒子は均質な合金の状態になっていない。高活性化するには高温熱処理が必須となり、その結果、粗大な粒子となるという課題を有している。
特許文献2では、含浸乾固法は50質量%以上の高密度担持の触媒を製造する場合には、熱処理時に粒子が融着・合体して、その結果、粗大な粒子となるという本質的な課題が残る。
特許文献3では、本発明者らが鋭意検討した結果、保護剤を適用すると炭素担体への触媒成分50質量%以上の高密度担持の触媒が得られない。保護剤を無くすと高密度担持の触媒とすることができるが、触媒粒子そのものが大きくなり、且つその粒子径の分布も広くなり、結局、質量活性の低下を招くことになる。
上述のように従来の合金触媒は、合金、微粒子、高密度担持を同時に満たすものではなく、合金触媒の持つ性能を充分に発揮できてはいなかった。
本発明は、白金を含む種々の合金の微粒子を高密度に炭素担体上に担持した固体高分子形燃料電池電極用の高活性触媒およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために、白金と他の元素との合金微粒子を炭素材料に担持させてなる合金触媒の活性向上を鋭意検討した。その結果、従来にない新規な構造をした白金の微粒子状前駆体を開発し、前記前駆体と、白金と合金を形成する他の金属元素の化合物とを同時に還元してなる合金触媒が、非常に活性の高い触媒活性を有することを見出した。前述の従来にない新規な構造の白金の前駆体は、X線吸収端微細構造スペクトル法(XAFS)の測定で得られる白金原子からの距離が0.18〜0.22nmに最近接原子のピークが現れ、その強度が大きいものである。
すなわち、本発明は、以下の要旨とするものである。
(1)金属元素として白金を含む化合物を還元剤で処理して調製された前駆体Aと白金以外の3d、4d、及び5d遷移元素の中から選ばれる1種以上の金属元素を含む化合物Bとを炭素担体に担持させ、次いで触媒合成としての還元処理を行って得られた合金触媒であって、
前記前駆体Aは、炭素担体に担持させてX線吸収端微細構造スペクトル法(XAFS)により測定された白金原子からの距離0.18〜0.22nmの最近接原子である酸素原子のピーク強度Xが、白金原子からの距離0.26〜0.30nmのピーク強度Yに対して、X/Y比で1以上10以下であり、また、
前記合金触媒中の白金と白金以外の金属の担持量の合計が金属換算で10質量%〜80質量%である
ことを特徴とする固体高分子型燃料電池電極用触媒。
(2)前記前駆体Aを得るための還元剤が、アルコール類、フェノール類、クエン酸類、ケトン類、アルデヒド類、カルボン酸類、エーテル類、ボロンハイドライド、及びヒドラジンから選ばれることを特徴とする(1)に記載の固体高分子型燃料電池電極用触媒。
(3)前記前駆体Aは、炭素担体に担持させてX線光電子分光法(XPS)により測定された白金4fの結合エネルギーのピーク位置が、金属白金の白金4fの結合エネルギーのピーク位置よりも0.5〜1.5eV高エネルギー側であることを特徴とする(1)又は(2)のいずれかに記載の固体高分子型燃料電池電極用触媒。
(4)前記前駆体Aは、炭素担体に担持させてX線(CuKα線)回折法により測定された回折角2θが32°から36°の範囲で回折ピークを示し、前記回折ピークの半値幅が5°以上20°以下であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の固体高分子型燃料電池電極用触媒。
(5)前記触媒合成としての還元処理が、不活性雰囲気、または、還元雰囲気での熱処理であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の固体高分子型燃料電池電極用触媒。
(6)前記触媒合成としての還元処理が、前記化合物Bを溶解した溶液に、前記前駆体Aが担持された炭素担体を分散した状態で、還元剤との接触により還元してなる処理であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の固体高分子型燃料電池電極用触媒。
(7)前記触媒合成としての還元処理が、前記化合物Bが溶解しない溶媒に、前記前駆体Aと前記化合物Bとの両方が担持された炭素担体を分散した状態で、還元剤との接触により還元してなる処理であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の固体高分子型燃料電池電極用触媒。
(8)前記化合物Bの金属元素が、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、Re、Ir、及びAuの中から選ばれる1種以上であることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載の固体高分子型燃料電池電極用触媒。
(9)金属元素として白金を含む化合物を還元剤で処理して前駆体Aを調製し、得られた前駆体Aと白金以外の3d、4d、及び5d遷移元素の中から選ばれる1種以上の金属元素を含む化合物Bとを炭素担体に担持させ、次いで触媒合成としての還元処理を行う合金触媒の製造方法であり、
前記前駆体Aは、炭素担体に担持させてX線吸収端微細構造スペクトル法(XAFS)により測定された白金原子から0.18〜0.22nmの距離の最近接原子である酸素原子のピーク強度Xが、0.26〜0.30nmのピーク強度Yに対して、X/Y比で1以上10以下であり、また、
前記合金触媒中の白金と白金以外の金属の担持量の合計が金属換算で10質量%〜80質量%である
ことを特徴とする固体高分子型燃料電池電極用触媒の製造方法。
10)前記前駆体Aを得るための還元剤が、アルコール類、フェノール類、クエン酸類、ケトン類、アルデヒド類、カルボン酸類、エーテル類、ボロンハイドライド、及びヒドラジンから選ばれることを特徴とする(9)に記載の固体高分子型燃料電池電極用触媒の製造方法。
11)前記触媒合成としての還元処理が、不活性雰囲気または還元雰囲気での熱処理、または、還元剤処理であることを特徴とする(9)又は(10)に記載の固体高分子型燃料電池電極用触媒の製造方法。
12)前記(1)〜(8)のいずれかに記載の固体高分子型燃料電池電極用触媒を含有することを特徴とする燃料電池用電極。
13)前記(12)に記載の固体高分子型燃料電池用電極を、正極又は負極の少なくとも一方に用いた燃料電池。
本発明の燃料電池用触媒は、白金を含む合金の微粒子を高密度に炭素担体上に担持した結果、従来の合金触媒に比べて触媒活性が飛躍的に向上した。また、本発明の燃料電池用触媒を用いることによって、固体高分子形燃料電池の性能を向上させる顕著な効果を奏する。
本発明の燃料電池用触媒は、白金と他の金属元素からなる合金微粒子を高密度に炭素単体に担持した触媒であって、X線吸収端微細構造スペクトル法(XAFS)の測定で得られる白金原子からの距離が0.18〜0.22nmに最近接原子のピーク、0.26〜0.30nmに第二近接原子のピークが各々現れ、前者の強度が後者に比較して大きいことを特徴とする白金を含む前駆体Aと、白金以外の金属元素を含む化合物Bが担持された炭素材料を還元処理してなる触媒とすることで、高活性化を達成したものである。本発明の触媒で本質的に重要な技術は、特殊な構造を有する白金の微粒子状前駆体Aを使用して合金微粒子とすることである。前記前駆体Aの構造上の特徴は非常に微細な結晶子サイズと、金属状態の白金原子と酸化状態にある白金原子との共存にある。前駆体Aを白金以外の合金元素からなる化合物Bと同時に還元することにより、前駆体Aの結晶子サイズが小さいために白金以外の原子が白金微粒子内部へ拡散する移動距離が短くなり、その結果、容易に均質な合金を形成する。他方、前駆体Aの白金原子の一部が酸化状態にあるために、白金以外の合金元素からなる化合物が還元される際に、前駆体Aの表面の白金原子も同時に還元され、その結果、白金以外の原子が前駆体Aの表面で合金化するのを促進すると推察される。これら二つの効果により、nmサイズを維持し、同時に均質に固溶した合金微粒子とすることができる。その結果、本発明の触媒は、従来よりも単位表面積当りの触媒比活性が向上するばかりでなく、微粒子化に伴い表面積が大きくなるために単位質量あたりの触媒比活性も大きくなる。
(白金の前駆体A)
本発明の合金微粒子とする白金の前駆体Aは、X線吸収端微細構造スペクトル(XAFS)のフーリエ変換図で0.26〜0.30nmと0.18〜0.22nmの二つのピークが現れる。前者は、白金バルク結晶の最近接原子間距離の0.28nmに相当するものであり、多少のピークの広幅化は微細結晶に由来する結晶性の乱れを反映するものと推察される。他方、後者のピークは、厳密に特定できてはいないが、結晶表面の白金原子と酸素との結合に由来するものと推察される。即ち、1nm以下の非常に微細な微粒子の場合には、表面を構成する原子数の全原子数に対する割合が50%以上に達し、表面を構成する白金原子は酸素と結合しているため、XAFS測定では、Pt-Oの結合距離である0.18〜0.22nmに強いピークを生じることになる。すなわち、0.26〜0.30nmのピークに対する0.18〜0.22nmのピーク強度が大きければ大きいほど、結晶サイズが小さくなる。したがって、本発明の前駆体Aは、これら2つのピークの強度(0.18〜0.22nmのピーク強度=X、0.26〜0.30nmのピーク強度=Y)の比X/Yが1以上10以下である。更に好ましくは、2以上10以下である。X/Yが1未満では、微粒子化が不十分で、且つ白金原子の酸化も不十分なため、本発明に期待される合金化促進効果が現れず、本発明には適用できない。10を越えると、PtO2のような酸化白金の構造に近くなり、その状態では酸化白金として粒子が大きくなるため適切な合金微粒子が形成されない。
ここで、X線吸収端微細構造スペクトル法(XAFS)の測定について説明する。X線のビームライン上に物質を置いて、物質に照射されたX線(入射X線:I0)強度と物質を透過してきたX線(透過X線:It)強度とから、その物質のX線吸光度が算出される。X線吸光度の増減をモニターしながらX線エネルギーを変化させ、X線吸収スペクトルを測定すると、特定の元素に固有の特性吸収端エネルギー位置でX線吸光度の急激な立ち上がりが観測される。X線吸収スペクトルにおいて、この吸収端から30〜1000 eV程度高エネルギー側の領域に現れる微細な振動構造が広域X線吸収微細構造(EXAFS)といわれる(宇田川康夫編、日本分光学会測定法シリーズ26 X線吸収微細構造―XAFSの測定と解析、学会出版センター出版(1993))。こうした吸収原子のX線吸収確率の変動は、X線の吸収により吸収原子から放出される光電子波と、それが周囲の原子により散乱されて戻ってくる光電子波の干渉効果の結果、引き起こされる。従って、これを詳細に解析することにより吸収原子近傍の局所構造に関する情報が得られる。X線吸収スペクトルから抽出されたEXAFSスペクトルをフーリエ変換すると、X線吸収原子を中心とした動径分布関数に相当するプロファイルが得られる。このフーリエ変換図を詳細に吟味することによって、このフーリエ変換図に表れるピークの位置からは吸収原子と散乱原子との距離に、ピークの強度からは散乱原子の数に関する情報を得ることができ、注目する吸収原子近傍の構造情報を明らかにできる。
本発明では、フーリエ変換図に表れる0.18〜0.22nmのピークの頂点を中心に±0.3nmの範囲を積分して得られる値を前記ピークの強度Xとし、0.26〜0.30nmのピーク強度Yは、同ピークの頂点を中心に±0.3nmの範囲を積分して得られる値としている。0.26〜0.30nmのピーク付近には、酸素原子を介した白金原子のピーク(約0.31nm)と一部重なる可能性があるが、積分範囲を前記のように狭くして前記影響を低減している。また、0.18〜0.22nmのピークも、塩化白金が共存あるいは残存しているとPt-Cl最近接原子(約0.24nm)と一部重なる可能性があるが、積分範囲を前記のように狭くしてPt-Cl最近接原子の影響を低減している。
本発明の前駆体Aは、更に、X線光電子分光(XPS)で測定される白金4fのピーク位置が、金属白金単体バルクで得られるピーク位置から高エネルギー側にシフトしていることが好ましい。具体的には、白金の4f電子のピーク位置が、白金単体バルクのピーク位置に比べて0.5〜1.5eV高エネルギー側に位置していることがより好ましい。上述したように、本発明の前駆体Aは微細な結晶子サイズが顕著な特徴であるが、更に、前駆体Aの表面がXPSで示される前記Ptの結合状態であることが好ましい。白金4fのピークが高エネルギー側にシフトが示すように、酸素が含まれることによって白金の0価(Pt0)より+1価(Pt1+)や+2価(Pt2+)などの酸化状態(Pt0+δ)に類似する電子状態にあることが、更なる合金化促進により良好な合金微粒子とすることができる。ピークシフトが0.5eVよりも小さいと、酸素と結合した白金原子の数が少ない、或いは、酸素との結合が弱くなり、本発明の前駆体Aに期待される合金化促進向上が現れない場合がある。
本発明の前駆体Aは、更に、粉末X線(CuKα線)回折法で測定されて得られる回折パターンで、回折角2θで32°〜36°に回折ピークが現れ、前記回折ピークの半値幅が、5°以上20°未満であることがより好ましい。粉末X線回折測定では白金金属の(111)回折ピークは通常2θ=39°近傍に現れるが、前駆体Aでは、前記ピークが殆ど現れないか、現れたとしても僅かである。これは、触媒が微粒子であり、微粒子中に酸素が適度に含有されていることに起因していると推測している。本発明では、上述したように、金属白金とは異なり、白金原子の近傍に酸素原子が存在してその構造を反映したと考えられる、回折面間隔(d値)が広い32°〜36°に回折ピークが現れる。半値幅が5°未満で回折ピークがシャープになる(回折面間隔の規則性が高くなる)と、合金微粒子とする合金化促進の更なる向上が認められない場合がある。一方、半値幅が20°以上になる、若しくは、このピークの見積りが不可能になるブロードな回折パターンでも、合金微粒子とする合金化促進の更なる向上が認められない場合がある。
(白金の前駆体Aの製造方法)
本発明の前駆体Aの製造方法を例示するならば、塩化白金酸等の白金塩化物や、白金硝酸塩、アセチルアセトナートなどの白金錯体を、アルコール類、フェノール類、クエン酸類、ケトン類、アルデヒド類、カルボン酸類及びエーテル類、ボロンハイドライド、ヒドラジンなどから選ばれる還元剤によって処理し、炭素担体に液相吸着させることによって、白金の前駆体Aを炭素担体に担持するのが好ましい。その際に、水酸化ナトリウムなどを加えてpHを調節し、更に、前駆体Aの微粒子の凝集を妨げるためにポリビニルピロリドンなどの保護剤を添加するのが好ましい。
前駆体Aの微粒子の凝集及び粒子成長と前駆体Aの炭素担体への吸着とは競合反応であるから、本発明の前駆体Aを生成するためには、炭素担体の吸着速度を高めることが有効であり、そのための合成指針として、炭素の表面積を大きくする、或いは、前駆体Aの液相での密度を小さくして前駆体Aの会合頻度を下げることが重要である。
また、上述のpH調整は、反応速度を調整する目的で導入するもので、pHを高めることで反応速度は高まり、また、同様の目的で、液相の温度を高めることで反応速度を高めることができる。本発明の前駆体Aを得るためには、核生成の反応速度、担体への吸着速度、核の会合による粒子成長の抑制などを最適化することが本質的に重要で、その手段には限定されるものではない。
(触媒の合成法)
本発明の触媒は、上述の白金の前駆体Aと白金以外の金属元素を含む化合物Bとを同時に還元することで合成できる。白金と白金以外の金属元素を同時に還元することにより、前駆体Aの表面で還元された白金原子と白金以外の金属元素との合金化が促進され、極めて微細で均質な合金微粒子が生成されると推察している。
従って、本発明の触媒は、前駆体Aに含まれる酸化物など未還元の白金と白金以外の金属元素を含む化合物とが同時に還元されて得られるものであり、そのための具体的方法として、(1)金属元素として白金を含む前駆体Aと、白金以外の金属元素を含む化合物Bとが担持された炭素材料を還元処理して製造する方法と、(2)白金以外の金属元素を含む化合物Bを溶解した溶液に、金属元素として白金を含む前駆体Aが担持された炭素材料を分散させた状態において、還元剤との接触により還元処理して製造できる。
(1)の方法の具体例としては、前述の方法に従って白金の前駆体Aを炭素担体に担持したものを用意し、更に、白金以外の金属元素の化合物B、具体的には、金属塩化物、硝酸塩、硫酸塩など水溶性の化合物を水に溶解し、その溶液に前記前駆体Aを担持した炭素担体を分散させ、エバポレーターなどを用いて含浸乾固させた後、水素ガス/アルゴンの混合ガスなど還元雰囲気、若しくは、アルゴン、窒素など不活性雰囲気中で熱処理するなどの還元方法を好適に用いることができる。ここで、白金以外の金属元素を含む化合物Bは、水溶性であることは必要条件ではなく、簡便の観点から例示した。その他、アセチルアセトン錯体、酢酸塩など、水に不溶で有機溶媒に可溶な化合物であっても使用できる。本質的に重要な点は、白金の前駆体Aと白金以外の金属元素を含む化合物Bとが同じ炭素担体上に担持された状態で、同時に還元されることである。還元方法としては、上述の気相還元の他に、液相還元も適用可能である。例示するならば、水に不溶な白金以外の金属元素を含む化合物Bを前駆体Aと一緒に炭素担体上に担持した後、前記前駆体Aと化合物B(例えば、アセチルアセトン錯体)が溶解しない水などの溶媒に分散させ、水に可溶な水素ガス、アルコール類、ヒドラジン、ボロンハイドライド、クエン酸などで還元する方法を適用することが可能である。白金以外の金属元素を含む化合物Bが水に可溶の場合には、前記化合物Bが不溶な溶媒で反応に関与しない溶媒を適宜選択し、更に、還元剤も水素ガス、或いは、選択した溶媒に可溶な、若しくは、選択した溶媒に混合可能な溶媒に還元剤を溶解させて、水溶系と同様の操作により還元反応を進めることが可能である。この際、還元剤の機能を溶媒自身に持たせることも可能である。還元機能を持った溶媒の具体例として、エタノールなどのような一価アルコール、エチレングリコールのような多価アルコールなどを例示することができるが、上述の製造プロセスの適した溶媒であれば、本発明はこの例に限定されるものではない。
(2)の方法では、液相に溶解した状態の白金以外の金属元素を含む化合物Bを固相状態にある白金の前駆体Aと同時に還元するという手法で、同時に還元するという観点においては(1)と(2)は本質的に同一のものである。(2)のプロセスでは、液相還元では溶媒自体が還元剤の機能を持つ場合と還元剤を添加する場合とに大別できる。還元剤機能を持つ溶媒としては、(1)同様、エタノールなどのような一価アルコール、エチレングリコールのような多価アルコールなどを例示することができる。他方、溶媒に添加する還元剤としては、ヘキサデカンジオールなどのように室温で固体のアルコール類、水素ガス、ヒドラジン、ボロンハイドライド、フェノール類、クエン酸類、ケトン類、アルデヒド類、カルボン酸類などを例示することができる。
上述の還元プロセスにおいて本質的に重要なのは、白金の前駆体Aと白金以外の金属元素を含む化合物Bとが同時に還元されることが必須であるから、前記化合物Bの還元しやすさに応じて還元剤の強さを制御することは重要である。即ち、白金のみ還元され、それよりも遥かに遅い反応速度で第二の金属元素が還元されても、本発明で目標とする合金で且つ微粒子・高担持の触媒を製造することはできない場合がある。例えば、コバルトなどの3d元素は白金に比較して還元されにくいので、ボロンハイドライド、ヒドラジンなど強い還元剤を用いて白金の前駆体Aと3d元素を含む化合物とを還元することが重要である。
(炭素担体)
炭素担体の機能は、電子伝導体としての機能、金属微粒子の担持体としての機能、固体高分子形燃料電池の電極としての機能として、プロトン伝導樹脂と反応ガスと触媒金属微粒子の3相界面を形成する場を提供する機能である。したがって、本発明に使用する炭素担体は、固体高分子形燃料電池の運転環境で化学的、電気化学的に安定で、前記機能を総合的に満たすのであれば、特に、炭素材料の種類など限定されるものではない。好適な炭素材料を例示するならば、いわゆるカーボンブラック、活性炭、黒鉛粉、コークス粉、天然黒鉛粉、カーボンナノチューブ、カーボンファイバー、カーボンナノファイバーなどを挙げることができる。金属微粒子を吸着・担持しやすい表面構造が重要との観点からは、比表面積が大きいことが重要で、具体的には、100m2/g以上、更に好ましくは、500m2/g以上であることが好ましい。
(白金以外の金属元素とその化合物B)
本発明における触媒が高活性を発現するのは、基本的に合金の状態の改善と微粒子化に伴う触媒比表面積の増大によるものであるから、そもそも合金自身の活性が高いことが必要である。カソード反応の場合に白金の持つ活性を合金化により高めるには、理論的・実験的解明は十分ではないものの白金金属表面への酸素の吸着エネルギーを少し小さくすることが有効と考えられている。これは、酸素原子の還元反応における律速過程が酸素の解離にあるとの前提に基づく。従って、合金化に適する元素は、白金の5d電子の一部が合金化の対象となる原子に移動し、酸素との結合に関与する5d電子を減少させることができる金属元素ということになる。この様な金属元素として、3d、4d、及び5d遷移元素が好適である。5d族の金属元素は白金の5d電子の移動先としての機能では3d、4d元素よりも弱いと推察されるが、一方、固体高分子形燃料電池の電極反応の環境での金属の腐食溶解という観点からは、5d元素と白金との合金化は白金の腐食を抑制するという観点から有効な合金元素である。
特に、カソード反応への本発明の適用に好適な白金以外の金属元素としては、本発明者らが鋭意検討の結果、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、Re、Ir、及びAuの中から選ばれる少なくとも1種以上が好ましい。更に好ましくは、Cr、Fe、Co、Ni、Rh、Pd、及びIrの中から選ばれる少なくとも1種以上である。電子論的な確固たる第一原理的な理論的裏づけはないが、前記金属元素は、白金の5d電子を適度に減少させる効果が高く、そのために酸素還元反応における触媒活性を高めると考えられる。
他方、本発明の合金触媒は基本的に合金の機能の底上げであるから、アノード反応にも効果的に適用することができる。アノード反応への白金の適用課題は、炭化水素から水素を製造する際に副生する一酸化炭素による白金触媒表面の強固な被覆による水素酸化反応の阻害(一酸化炭素による被毒)、或いは、メタノール燃料電池におけるメタノール酸化反応時のメタノール酸化過程の中間体などによる白金表面の被毒(被覆)である。アノード反応の被毒対策の基本指針は、白金表面に形成される一酸化炭素などを酸化燃焼させるもので、そのための酸素源として合金元素上に形成するというもので、例えばRu(ルテニウム)と白金との合金の場合には、Ru原子表面に形成される水酸基が酸素源となる。その他、アノードの耐被毒機能を持つ合金として、Pt−Fe、Pt−Moなどを例示することができる。
(担持量)
合金微粒子の炭素担体上への担持量は、金属換算で10質量%以上80質量%以下となるようにする。10質量%未満では、実用上必要な出力電圧を得るための触媒層の厚さが厚くなり過ぎるために過電圧が大きくなってしまうことがある。また、80質量%を超える担持量では触媒層が薄過ぎるため大電流密度の負荷運転時に正極で生成する水によるガス拡散孔の閉塞を生じやすく安定した燃料電池の運転に支障をきたしてしまう恐れがある。好ましくは、20質量%〜80質量%であり、更に好ましくは、20質量%〜60質量%である。
(燃料電池用電極の製造方法)
本発明の触媒を用いて構成される電極は、電極の構成材料である電解質材料の種類や形態、電極構成に必要なバインダー材料の種類・構造によらず触媒の効果を発揮するものであればよく、これら電極構成材料を特に限定するものではない。
本発明に使用される電解質膜や触媒層中に使用される電解質材料は、リン酸基、スルホン酸基等を導入した高分子、例えば、パーフルオロスルホン酸ポリマーやベンゼンスルホン酸が導入されたポリマー等を挙げることができるが、高分子に限定するものではなく、無機系材料との複合化膜、無機-有機ハイブリッド系の電解質膜等を使用した燃料電池に使用しても差し支えない。特に好適な作動温度範囲を例示するならば、常温〜150℃の範囲内で作動する燃料電池が好ましい。
(燃料電池)
本発明の燃料電池用電極で、電解質膜を挟み、さらに、ガス拡散層、セパレーター、燃料ガス流路基板、酸素もしくは空気流路基板、ガスマニホールド等を組み合わせて固体高分子型燃料電池とすることができる。
[実施例]
(白金の前駆体の製造法)
高比表面積タイプのカーボンブラック(BET評価による比表面積約815m2/g)を蒸留水に入れ、超音波によって十分に分散させた後、オイルバス等を用いて一定の温度に維持し、アルゴンガスをバブルさせた。その後、水酸化ナトリウムを入れてpHを調製した上で、ポリビニルピロリドンを混合したヘキサクロロ白金(IV)酸六水和物の水溶液とホルムアルデヒド水溶液をゆっくり滴下しながら混合し、一定時間攪拌後、濾過、洗浄を行った。これを90℃で真空乾燥した後、粉砕した。その際、ヘキサクロロ白金(IV)酸六水和物水溶液とホルムアルデヒド水溶液の混合量、ポリビニルピロリドンの混合量、pHを表1のように変え、前駆体(No.A−1〜No.A−7)を得た。得られた前駆体について、XAFS、XPS、粉末X線回折の測定を行い、その結果を表2に示した。
(XAFS測定)
XAFSの測定は、高エネルギー加速器研究機構の放射光を使用し、試料をX線が透過可能なフィルムに一様に塗布し、その試料を透過するX線の強度をイオンチャンバーで測定した。X線のエネルギーをPt L吸収端のエネルギーの近傍、例えばE=Pt L吸収端のエネルギー-500eV〜Pt L吸収端のエネルギー+1100eV、の領域で変化させ、試料によるX線の吸収率からXAFSスペクトルを求めた。XAFSスペクトルからバックグラウンドを除去し、振動項をフーリエ変換することにより、Pt原子の回りの動径分布関数に対応するフーリエ変換図を求めた。0.18〜0.22nmのピーク強度=Xは、0.18〜0.22nmの範囲に現れるピーク頂点位置から±0.3nmの範囲を積分して求めた。0.26〜0.30nmのピーク強度=Yについても、同様に、0.26〜0.30nmの範囲に現れるピーク頂点位置から±0.3nmの範囲を積分して求めた。但し、0.18〜0.22nmと0.26〜0.30nmの値については、逆フーリエ変換し、第一原理計算により散乱係数を求める計算プログラムFEFF ver.6 (Univ. of Washington)を用いて得られる散乱原子の散乱係数を入れてカーブフィッティングして求められた正確な距離であり、以上で求められたXとYを用い、X/Y比を決定した。試料や測定によるバラツキがあることを考慮して3回で測定し、その平均値からX/Y比を計算した。
(XPS測定)
XPSについては、X線光電子分光装置(アルバック‐ファイ製)を用い、試料及び白金バルクについてPt4fピークを測定し、Pt4fピークの結合エネルギーについて、試料の白金バルクからの高エネルギー側へのずれを見積った。
(X線回折測定)
粉末X線回折については、X線回折装置(理学電機製、線源CuKα)を用い、ステップ幅0.04°、計数時間1.5秒、受光スリット0.3mm、散乱スリット0.6mmで2θ=10〜60°まで測定し、2θ=34°近傍に現れるピークの半値幅を、バックグラウンドを引いた上で見積った。但し、ピーク幅が非常に広く半値幅の見積りが不可能な場合、若しくは、ピークが検出されない場合には−と記入した。
(触媒合成)
前記前駆体No.A−1〜A−7を用いて、以下の方法により、合金触媒No.1〜40を合成した。
(1)水素気相還元法
白金以外の金属元素を含む金属塩化物(市販品をそのまま使用)を蒸留水に溶解し、そこへ前述の白金前駆体となる前駆体Aを入れ超音波発生器を使って十分に分散させた後、エバポレーターを用いて水を蒸発・乾固させて、前駆体に金属塩化物を被覆させた。更に、これら乾固物を乳鉢で十分に粉砕した粉末を円筒状の石英反応管に入れ、水素10vol%アルゴン90vol%の混合ガスを流通させた状態で、所定の温度で1時間還元処理して触媒を得た。合成した触媒はX線回折測定により格子定数と粒子サイズ(直径)を評価した。触媒の金属成分の組成は、合成した触媒を熱王水で3時間処理して金属成分を溶解した溶液中の金属イオンの濃度をいわゆるICP分析法により評価した。
(2)液相還元法
白金以外の金属元素を含む金属塩化物(市販品をそのまま使用)とポリビニルピロリドン(東京化成社製、K15)を蒸留水に溶解し、そこへ上記で作製した前駆体Aを入れ超音波発生器を使って十分に分散させた後、NaBH4水溶液をゆっくりと滴下させることで前駆体と白金以外の金属塩化物を同時に還元した。更に、1時間攪拌して十分に反応を進行させた。反応は全て室温で行った。反応終了後、ろ過し、蒸留水へ再分散して触媒表面の付着物を洗浄した。この洗浄作業を3回繰り返した後、90℃で真空乾燥したのち、乳鉢にて充分に粉砕した。この粉末を円筒状の石英反応管に入れ、水素10vol%アルゴン90vol%の混合ガスを流通させた状態で、500℃で1時間還元処理して試験に供する触媒とした。(1)と同様に、合成した触媒の格子定数と粒子サイズ(直径)、金属成分の組成を各々評価した。
上記(1)の方法で合成した触媒の合成条件と合成した触媒の物性を表3と表4に、(2)の方法で合成した触媒の合成条件と合成した触媒の物性を表5に各々まとめた。
(触媒層電極・膜/電極接合体(Membrane Electrode Assembly , MEA)の作製)
各々の触媒を用いて下記の行程で触媒層電極を作製した。
予め乳鉢で充分に粉砕した触媒粉に5%濃度のナフィオン溶液(アルドリッチ製)を白金触媒の質量に対してナフィオン固形分の質量が2倍になるように加え、軽く撹拌後、超音波で充分に分散処理した。更に、この分散液を強く攪拌した状態で、触媒とナフィオンを合わせた固形分濃度が6質量%となるように酢酸ブチルを加え、触媒スラリーを作製した。
別容器にカーボンブラックに酢酸ブチルを加え、超音波で十分に分散させて、カーボンブラックが6質量%のカーボンブラックスラリーを作製した。触媒スラリーとカーボンブラックスラリーを質量比8:2で混合した後、十分攪拌し、触媒層スラリーとした。
市販のカーボンクロス(ElectroChem社製EC-CC1-060)を準備し、これを5%に希釈したテフロン(登録商標)分散液中に浸漬した後、乾燥し、さらにアルゴン気流中で340℃に昇温してガス拡散層を作製した。また、カーボンブラック1gにエタノール99gを加え、ボールミルでカーボンブラックを粉砕し、一次分散液を作った。その後、一次分散液を攪拌しながら30%テフロン(登録商標)分散液0.833gを少しずつ滴下し、マイクロポア層スラリーを作製した。このスラリーを先に作成したガス拡散繊維層の片面にスプレーを用いて塗布し、アルゴン気流中80℃で乾燥した後に340℃に昇温して、ガス拡散繊維層とマイクロポア層が積層したガス拡散層を作製した。
触媒層スラリーをガス拡散層のマイクロポア層の上にスプレーで塗布し、80℃のアルゴン気流中で1時間乾燥し、固体高分子型燃料電池用電極を得た。なお、各々の電極は白金使用量が0.12mg/cm2となるようにスプレー等の条件を設定した。白金使用量は、スプレー塗布前後の電極の乾燥質量を測定し、その差から計算して求めた。
さらに、得られた固体高分子型燃料電池用電極から2.5cm角の大きさを切り取り、アノード用電極、或いは、カソード用電極とした。アノード電極とカソード電極で電解質膜(ナフィオン112)をはさみ、130℃、総加圧0.625tで3分間ホットプレスを行い、MEAを作製した。
(セル評価法)
得られたMEAは、それぞれ燃料電池測定装置に組み込み、電池性能測定を行った。電池性能測定は、セル端子間電圧を開放電圧(通常0.9〜1.0V程度)から0.2Vまで段階的に変化させ、セル端子間電圧が0.8Vのときに流れる電流密度を測定した。ガスは、カソードに空気、アノードに純水素を、利用率がそれぞれ50%と80%となるように供給し、それぞれのガス圧は、セル下流に設けられた背圧弁で0.1MPaに圧力調整した。セル温度は80℃に設定し、供給する空気と純水素は、それぞれ80℃と90℃に保温された蒸留水中でバブリングを行い、加湿した。
表6に、触媒No.1を用いた電極をアノード、触媒No.1〜40を用いた電極をカソードに用いて作製したMEA1〜MEA40の電池性能を示した。表6から明らかなように、例えば前駆体のNo.A−2、A−3、A−4を用いて得たPt-Co合金触媒を用いたMEA5〜9は、通常のPt触媒を前駆体として作製したPt-Co合金触媒のMEA3〜4や、Pt触媒を用いたMEA1〜2と比べて優れた電池性能を示した。その他の実施例に相当するMEAについても優れた電池性能を示した。その中でも、XAFS測定のピーク強度比X/Yが大きく、XPS測定でのPt4fピークの白金バルク値からのずれが大きく、粉末X線回折測定で回折ピークの半値幅が5°以上20°以下である前駆体を使用した触媒は特に優れた電池性能を発揮した。
すなわち、前駆体No.A-2〜4、6、7を用いて作製した、3d、4d、及び5d遷移金属との各種合金触媒は、粒子径が小さく、優れたMEA特性を発揮した。
また、表7、8に、前駆体No.A-1、前駆体No.A-4を用い、金属塩として、RuCl3、MoCl5を用い、水素気相還元法を用いて作製した合金触媒の合成条件と物性をまとめて示した。
表8の触媒を用いた電極をアノード、触媒No.1を用いた電極をカソードに用いて作製したMEAの電池性能を示した。評価条件は、触媒の耐CO被毒特性を調べるために、アノードガスにCOガスを150ppm含有した水素ガス、カソードガスに空気を用いて評価した。
表8の結果から明らかに本発明の前駆体No.A-4を用いて作製した合金触媒で構成されたMEAは優れた耐CO被毒特性を発揮した。

Claims (13)

  1. 金属元素として白金を含む化合物を還元剤で処理して調製された前駆体Aと白金以外の3d、4d、及び5d遷移元素の中から選ばれる1種以上の金属元素を含む化合物Bとを炭素担体に担持させ、次いで触媒合成としての還元処理を行って得られた合金触媒であって、
    前記前駆体Aは、炭素担体に担持させてX線吸収端微細構造スペクトル法(XAFS)により測定された白金原子からの距離0.18〜0.22nmの最近接原子である酸素原子のピーク強度Xが、白金原子からの距離0.26〜0.30nmのピーク強度Yに対して、X/Y比で1以上10以下であり、また、
    前記合金触媒中の白金と白金以外の金属の担持量の合計が金属換算で10質量%〜80質量%である
    ことを特徴とする固体高分子型燃料電池電極用触媒。
  2. 前記前駆体Aを得るための還元剤が、アルコール類、フェノール類、クエン酸類、ケトン類、アルデヒド類、カルボン酸類、エーテル類、ボロンハイドライド、及びヒドラジンから選ばれることを特徴とする請求項1に記載の固体高分子型燃料電池電極用触媒。
  3. 前記前駆体Aは、炭素担体に担持させてX線光電子分光法(XPS)により測定された白金4fの結合エネルギーのピーク位置が、金属白金の白金4fの結合エネルギーのピーク位置よりも0.5〜1.5eV高エネルギー側であることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の固体高分子型燃料電池電極用触媒。
  4. 前記前駆体Aは、炭素担体に担持させてX線(CuKα線)回折法により測定された回折角2θが32°から36°の範囲で回折ピークを示し、前記回折ピークの半値幅が5°以上20°以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の固体高分子型燃料電池電極用触媒。
  5. 前記触媒合成としての還元処理が、不活性雰囲気または還元雰囲気での熱処理であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の固体高分子型燃料電池電極用触媒。
  6. 前記触媒合成としての還元処理が、前記化合物Bを溶解した溶液に、前記前駆体Aが担持された炭素担体を分散した状態で、還元剤との接触により還元してなる処理であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の固体高分子型燃料電池電極用触媒。
  7. 前記触媒合成としての還元処理が、前記化合物Bが溶解しない溶媒に、前記前駆体Aと前記化合物Bとの両方が担持された炭素担体を分散した状態で、還元剤との接触により還元してなる処理であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の固体高分子型燃料電池電極用触媒。
  8. 前記化合物Bの金属元素が、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、Re、Ir、及びAuの中から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の固体高分子型燃料電池電極用触媒。
  9. 金属元素として白金を含む化合物を還元剤で処理して前駆体Aを調製し、得られた前駆体Aと白金以外の3d、4d、及び5d遷移元素の中から選ばれる1種以上の金属元素を含む化合物Bとを炭素担体に担持させ、次いで触媒合成としての還元処理を行う合金触媒の製造方法であり、
    前記前駆体Aは、炭素担体に担持させてX線吸収端微細構造スペクトル法(XAFS)により測定された白金原子から0.18〜0.22nmの距離の最近接原子である酸素原子のピーク強度Xが、0.26〜0.30nmのピーク強度Yに対して、X/Y比で1以上10以下であり、また、
    前記合金触媒中の白金と白金以外の金属の担持量の合計が金属換算で10質量%〜80質量%である
    ことを特徴とする固体高分子型燃料電池電極用触媒の製造方法。
  10. 前記前駆体Aを得るための還元剤が、アルコール類、フェノール類、クエン酸類、ケトン類、アルデヒド類、カルボン酸類、エーテル類、ボロンハイドライド、及びヒドラジンから選ばれることを特徴とする請求項9に記載の固体高分子型燃料電池電極用触媒の製造方法。
  11. 前記触媒合成としての還元処理が、不活性雰囲気または還元雰囲気での熱処理、または、還元剤処理であることを特徴とする請求項9又は10に記載の固体高分子型燃料電池電極用触媒の製造方法。
  12. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の固体高分子型燃料電池電極用触媒を含有することを特徴とする燃料電池用電極。
  13. 請求項12に記載の固体高分子型燃料電池用電極を、正極又は負極の少なくとも一方に用いた燃料電池。
JP2007003116A 2007-01-11 2007-01-11 固体高分子型燃料電池電極用触媒およびその製造方法 Expired - Fee Related JP5132156B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007003116A JP5132156B2 (ja) 2007-01-11 2007-01-11 固体高分子型燃料電池電極用触媒およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007003116A JP5132156B2 (ja) 2007-01-11 2007-01-11 固体高分子型燃料電池電極用触媒およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008171659A JP2008171659A (ja) 2008-07-24
JP5132156B2 true JP5132156B2 (ja) 2013-01-30

Family

ID=39699554

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007003116A Expired - Fee Related JP5132156B2 (ja) 2007-01-11 2007-01-11 固体高分子型燃料電池電極用触媒およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5132156B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5325407B2 (ja) * 2007-10-15 2013-10-23 株式会社キャタラー 燃料電池及びそれに使用する担持触媒
JP5497049B2 (ja) * 2008-10-24 2014-05-21 ナノシス・インク. 燃料電池用電気化学的触媒
JP5486827B2 (ja) * 2008-10-31 2014-05-07 国立大学法人東北大学 白金−鉄合金微粉末の製造方法
JP6191326B2 (ja) * 2013-08-09 2017-09-06 日産自動車株式会社 燃料電池用電極触媒粒子、これを用いる燃料電池用電極触媒、電解質−電極接合体、および燃料電池、ならびに触媒粒子および触媒の製造方法

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06124712A (ja) * 1992-10-12 1994-05-06 Fuji Electric Co Ltd 燐酸形燃料電池の触媒とその製造方法
US7255954B2 (en) * 1998-08-27 2007-08-14 Cabot Corporation Energy devices
JP4773622B2 (ja) * 2001-01-30 2011-09-14 田中貴金属工業株式会社 高分子固体電解質型燃料電池用触媒の製造方法
JP2002248350A (ja) * 2001-02-23 2002-09-03 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 合金触媒の調製方法及び固体高分子型燃料電池の製造方法
US20040101718A1 (en) * 2002-11-26 2004-05-27 Lixin Cao Metal alloy for electrochemical oxidation reactions and method of production thereof
JP2004217626A (ja) * 2002-12-24 2004-08-05 Honjo Chemical Corp フラレノール及び/又はフラレノール硫酸水素エステルの有機白金族元素化合物とその利用とその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008171659A (ja) 2008-07-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Zou et al. Conversion of PtNi alloy from disordered to ordered for enhanced activity and durability in methanol-tolerant oxygen reduction reactions
Geraldes et al. Ethanol electro-oxidation in an alkaline medium using Pd/C, Au/C and PdAu/C electrocatalysts prepared by electron beam irradiation
Antolini et al. Palladium-based electrodes: A way to reduce platinum content in polymer electrolyte membrane fuel cells
Travitsky et al. Pt-, PtNi-and PtCo-supported catalysts for oxygen reduction in PEM fuel cells
Zhang et al. Effect of synthetic reducing agents on morphology and ORR activity of carbon-supported nano-Pd–Co alloy electrocatalysts
Li et al. Nanostructured Pt–Fe/C cathode catalysts for direct methanol fuel cell: The effect of catalyst composition
JP4949255B2 (ja) 燃料電池用電極触媒
Pires et al. Pd-based catalysts: Influence of the second metal on their stability and oxygen reduction activity
Feng et al. Electrocatalytic properties of PdCeOx/C anodic catalyst for formic acid electrooxidation
Zhao et al. High-performance nitrogen-doped intermetallic PtNi catalyst for the oxygen reduction reaction
Dutta et al. Tuning of platinum nano-particles by Au usage in their binary alloy for direct ethanol fuel cell: Controlled synthesis, electrode kinetics and mechanistic interpretation
Crisafulli et al. On the promotional effect of Cu on Pt for hydrazine electrooxidation in alkaline medium
Calderón et al. Palladium–nickel catalysts supported on different chemically-treated carbon blacks for methanol oxidation in alkaline media
Shao et al. Core–shell catalysts consisting of nanoporous cores for oxygen reduction reaction
Jung et al. Hybrid cathode catalyst with synergistic effect between carbon composite catalyst and Pt for ultra-low Pt loading in PEMFCs
Zignani et al. Investigation of PtNi/C as methanol tolerant electrocatalyst for the oxygen reduction reaction
Chen et al. Monodisperse ordered indium–palladium nanoparticles: synthesis and role of indium for boosting superior electrocatalytic activity for ethanol oxidation reaction
Ghavidel et al. The relationship between the structure and ethanol oxidation activity of Pt-Cu/C alloy catalysts
Kim et al. Highly active 40 wt.% PtRu/C anode electrocatalysts for PEMFCs prepared by an improved impregnation method
Yang et al. Highly efficient supported PtFe cathode electrocatalysts prepared by homogeneous deposition for proton exchange membrane fuel cell
Sharma et al. Graphene-manganite-Pd hybrids as highly active and stable electrocatalysts for methanol oxidation and oxygen reduction
Baglio et al. PtCo catalyst with modulated surface characteristics for the cathode of direct methanol fuel cells
EP3446781B1 (en) Electrocatalyst, membrane electrode assembly using said electrocatalyst, and fuel cell
da Silva et al. Electrochemical and fuel cell evaluation of PtIr/C electrocatalysts for ethanol electrooxidation in alkaline medium
JP5132156B2 (ja) 固体高分子型燃料電池電極用触媒およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090824

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20111220

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120110

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120309

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120626

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120725

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20121016

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20121106

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151116

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 5132156

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees