JP5129735B2 - 膨張シール付きシリンジ・プランジャ・ジャケット - Google Patents

Description

（０００１）
本発明は自動注入器と組み合わせて使用するシリンジに関する。より詳細には、本発明は膨張安全シールを有するシリンジ・プランジャ・ジャケットに関する。

（０００２）
動物に流体を注入するための自動注入器は当技術分野でよく知られている。典型的な自動注入器は、シリンジ取付部を有する注入器ヘッドと、それに往復自在に取り付けられた作動ラムとを備える。このシリンジは注入器に対して後方装着または前面装着によって取り付ける。シリンジは、あらかじめ充填されているものであっても、空であって、流体の注入に先立って使用者がシリンジに造影剤を吸引しなければならないものであってもよい。

（０００３）
自動注入器用のシリンジも当技術分野でよく知られている。前段落で述べたように、シリンジは、シリンジの後端を注入器に挿入してシリンジを注入器に取り付ける前面装着式であることができる。また、シリンジは、例えば注入器の面板が回転式になっていて該面板の後方から前端から先にシリンジを装着する等の方法による後方装着であってもよい。

（０００４）
注入器の作動ラムはシリンジのプランジャに取り付けることができて、それによってプランジャをシリンジに対して前方に動かし、シリンジの排出端から流体を放出する。典型的な注入手順では、プランジャが前方に移動することによって発生する圧力は約１００ｐｓｉから１２００ｐｓｉの範囲であることができる。シリンジ内の造影剤がプランジャを通して漏れないようにするため、プランジャ・アセンブリは典型的にはシリンジ・バレルの内面に接する少なくとも２つの一体型シール・リングを備えている。典型的には、最前方シール・リングが密封作用の大半を行い、最後方シール・リングは最前方リングに不首尾があったときのためのバックアップ用安全シールである。

（０００５）
２つのシール・リングを有するプランジャにおける問題の１つは、一旦シリンジに取り付けた後は、２つのシール・リングの間の区域の殺菌が困難になるところにある。大半の材料において、殺菌ガスを２つのシール・リングの間の区域に届かせることは難しい。そのため、従来技術における欠点を克服するシリンジ・ジャケット（シール）が必要とされている。本発明による設計は、プランジャをシリンジに取り付けたときに、２つのシールの間の殺菌しにくい空間をなくすことができる。そこで、本発明をここに紹介する。

発明の概要
（０００６）
シリンジのプランジャ／ジャケット・アセンブリは、剛性プランジャに取り付けられた可撓性ジャケットを備えることができる。ジャケットは、シリンジからの流体の注入中にバレル後部から流体が漏れるのを防ぐ少なくとも２つ（前部および後部）のシール・リングを備えることができる。後部シール・リングは、空の状態ではシリンジ・バレルの内面に接すること、またはシールを施すことはできない。充填状態では、シリンジの前方排出端の方向に力が加えられると、プランジャ・ジャケット・アセンブリがシリンジ・バレルに対して前方に移動し、それによってジャケットに対する圧力を生じる。この条件によって後部シールは膨張してシリンジ・バレルの内面に接触し、そして／またはシールを施す。

（０００７）
したがって、本発明の１つの態様は、シリンジ用プランジャ・アセンブリを含むことができる。このプランジャ・アセンブリは、プランジャ本体と、プランジャ本体を少なくとも部分的に覆うジャケットであって、ジャケットが前部シール・リングおよび後部シール・リングを有しており、前部シール・リングが後部シール・リングよりも大きな外径を有するジャケットとを備える。

（０００８）
本発明の第２の態様は、シリンジ・アセンブリを含むことができる。このシリンジ・アセンブリは、内面および外面を有する全体的に円筒形の本体部分、排出口を有する閉じた前方端、ならびに開いた後方端を有するバレルと、少なくとも一部がバレル内にあるプランジャ・アセンブリであり、プランジャ本体およびプランジャ本体を少なくとも部分的に覆うジャケットを含むプランジャ・アセンブリとを備え、プランジャ・ジャケットが、径方向外側面上に１つの最前方シール・リングと径方向外側面上に該最前方シール・リングの後方に間隔をあけて少なくとも１つの補助シール・リングとを備え、少なくとも１つの補助シール・リングが、プランジャ・アセンブリに対して排出口の方向に力が加えられたときにのみ、プランジャ・アセンブリとバレルの間にシールを形成するようになっている。

（０００９）
本発明の第３の態様は、軸を有するシリンジ・プランジャ・ジャケットを含むことが出来る。このシリンジ・プランジャ・ジャケットは、前面、中間面および後面を備え、後面から前方に伸びて中間面で終わる凹部を含み、前面と中間面の間を測った厚さが、軸からの距離が増すにつれて大きくなる。

発明の実施形態の詳細な説明
（００１７）
本発明を添付の図面を参照しながらさらに詳しく説明する。

（００１８）
膨張シール付きシリンジ・プランジャ・ジャケット・アセンブリ（単に「アセンブリ」という）の１つの実施形態を、その全体に１０番の符号を付けて図１〜６に図示する。アセンブリ１０は、一般に可撓性ジャケット１２および剛性プランジャ２０（一部のみ図示）を備える。アセンブリ１０のプランジャ２０は、アセンブリを前に動かしてシリンジから造影剤を押し出す注入器の作動ラムに取り付けられる。

（００１９）
ジャケット１２は、一般に円錐形または円錐台形の前面１４を有することができるが、前面１４の個別形状は、シリンジ・バレルの前方排出端の形状に依存することができる。すなわち、前面１４は、シリンジの前方排出端と同じ角形状であることができる。シリンジ・ジャケット１２は、当技術分野で知られている複数の種類および形状のプランジャ２０のいずれにも接続することができる。例えば、プランジャは、自動注入器の作動ラムにプランジャを取り付けるための相対する複数のフック部材を有することができる。あるいは、プランジャ２０は、作動ラムに取付け可能な後方に伸びた突起を有することができる。その他の作動ラムとプランジャのいかなる接続も、本発明の範囲を逸脱することなく利用することができる。あるいは、プランジャは、既知の手動シリンジやシリンジ・ポンプ用シリンジの場合と同様に、シリンジ・バレルから後方に伸びる延長部分を有していることもできる。

（００２０）
図１に示すように、アセンブリ１０は一般に複数の一体型外周シール・リング３０、３２（以下「シール」という）を備える。２つのシールないしシール・リングが図示されているが、シール・リングはいくつでも使用可能であるものと考えられる。最前方シール３０は一般にシリンジ・バレルの内面に常時接することができる。しかし、後部膨張シール３２、または補助シールないし補助シール・リングは、流体注入中にアセンブリ１０がシリンジ・バレル内を前方に移動するときにのみ、シリンジ・バレルの内面と接することができる。休止または空の状態では、シール３２はシリンジ・バレルの内面と接することはできない。既に述べたとおり、シリンジ・バレルと接触しないかかるシール３２の利点は、典型的には２つのシールの間の殺菌しにくいスペースをその設計によってなくすことにある。別法として、補助シール３２は休止状態でバレルの内面に断続的に接触し、力Ｆ_１を加えたときにバレルとの間にシールを形成できるようにすることができる。

（００２１）
シリンジから流体が排出される間、シール３２が膨張できるようにするアセンブリ１０の典型的な構成例を以下に説明する。図１に示すように、シリンジ・ジャケット１２は、前面１４と、プランジャ２０の前部に接することができる中間面１８とを備えることができる。前面１４、中間面１８ともに頂点１４’および１８’を有することができる。角度αは、ジャケット前部の頂点１４’との接線であって、二等分線Ｘに対して直角をなす線と、前面１４との間の角度である。一方、βは、頂点１８’との接線であって、二等分線Ｘに対して直角をなす線と、中間面１８との間の角度である。

（００２２）
この実施形態では、角度βは角度αよりも大きい。換言すれば、図６に示すように、前面および中間面が円錐形の場合、前部の円錐１４の開角２２は、中間部の円錐１８の開角２４よりも大きい。この角度の差により、前面１４から中間面１８に向けて二等分線Ｘと平行に測ったジャケット１２の厚さは、径方向に外側に行くほど大きくなる。この厚さの差は、長さδ_１がδ_２よりも小さく示された図１に例示される。

（００２３）
シリンジから流体を注入する間、例えば注入器の作動ラムなどによって、力Ｆ_１がシリンジのプランジャ・アセンブリ１０の後端に対して、シリンジの前方排出端の方向にかけられる。シリンジ・バレルには造影剤が充填されており、造影剤はＦ_１と逆方向にそれに対向する力Ｆ_２を発生させる。それにより、アセンブリ１０は後方への力Ｆ_１と前方への力Ｆ_２とによって圧縮を受ける。その結果、力Ｆ_３が発生し、それによってジャケット１２の直径が大きくなる。それと同時に、シール３２が径方向に膨張してシリンジ・バレルの内面に接触し、そして／またはシールを施す。

（００２４）
ジャケット１２はあらゆる適当な可撓性材料で作ることができるものと考えられる。例えば、クロロブチルはシリンジ・ジャケット２０に使用される典型的な材料であるが、適度な低デュロメータを有するあらゆる適当な可撓性材料が適しうる。より柔らかい材料の方が圧力を受けたときに形状を変えやすく、又、すぐに変形しやすいため、低デュロメータの材料がこの用途には潜在的により適している。一方では、材料は大きな変形に耐えられるだけの剛性を備えていなければならない。

（００２５）
シリンジ・バレルの内面と膨張シール３２の間のギャップは０．００１０インチ程度にすることで、有効なシールを形成するために必要な膨張がごくわずかとなるようにすることができるものと考えられる。しかし、シリンジから慣行どおりに流体を注入する間に膨張シールがシリンジ・バレルの内面に接するものである限り、シリンジ・バレルと膨張シール３２の間には任意の休止時ギャップが意図されるものと考えられる。本発明の範囲を制限することなく、具体的な適用例では、ギャップは０．００５インチから０．０２０インチまでであることができる。また、シール間の区域の殺菌を可能とする不連続なギャップが十分に存在する限りにおいて、膨張シール３２はシリンジ・バレルの内側に実際に断続的に接することができることも考えられる。

（００２６）
プランジャ／ジャケット・アセンブリ１０とともに使用することができるシリンジ４０の典型的な実施形態。シリンジ４０は、外面４４および内面４６を有するバレル４２を備える。シリンジは、１つまたはそれ以上の保持フランジ４８と排出口５０および／またはルアー接続部５２とを有することができる。シリンジは、保持フランジに加え、またはそれに代えて、シリンジ・バレル４２を一周する連続的なフランジを有することができる。

（００２７）
上述の開示は本発明の１つを例示するものであって、本発明を制限するものと見なされるべきものではない。本発明の実施形態の１つまたはそれ以上について説明したが、当業者であれば、開示された発明の範囲および精神から外れることなく、様々な変更を加えることが可能であることを容易に了解するはずである。そのため、かかる変更はすべて本発明の範囲の中に含められるべきものとされていることが理解される必要がある。上記説明及び図面は、本発明の１つまたはそれ以上の典型的な実施形態を例示するものであって、限定的な性格のものであると見なされるべきものではない。

（００１０）本発明の１つの実施形態によるプランジャ・ジャケット・アセンブリの好ましい実施形態の断面図である。 （００１１）図１のプランジャ・ジャケット・アセンブリの一部分の詳細図である。 （００１２）図１のジャケットの前面図である。 （００１３）図１のジャケットの後面図である。 （００１４）角度αおよびβをあわせて図示した、図１のジャケットの別の断面図である。 （００１５）前面および中間面の開角をあわせて図示した、図１のジャケットの別の断面図である。 （００１６）シリンジ・アセンブリの透視図である。

Claims (7)

1. 内面および外面を有する全体的に円筒形の本体部分、排出口を有する閉じた前方端、ならびに開いた後方端を有するバレルと、
   少なくとも一部が前記バレル内にあり、プランジャ本体および前記プランジャ本体を少なくとも部分的に覆うジャケットを含むプランジャ・アセンブリと、
   を備え、
   前記プランジャ・ジャケットが、
   軸方向後方に伸びるにつれて第１の角度で径方向外側に伸びる円錐形の前面と、前記円錐形の前面から後方に伸びる円筒形の外面と、前記円錐形の前面から間隔をあけて配置され、軸方向後方に伸びるにつれて第２の角度で径方向外側に伸び、前記プランジャ・ジャケットの前壁を間に形成する円錐形の中間面を備え、前記円錐形の前面の開角が前記円錐形の中間面の開角よりも大きく、
   前記前壁が、径方向外側に伸びるにつれて厚さが増し、円筒形の内壁が前記円錐形の中間面から後方に伸び、前記円筒形の内壁が、前記プランジャ本体の対応する表面に適合する所定の直径を有しており、縁部が前記円筒形の外面から径方向内側および前記円筒形の内壁の径方向内側に伸び、前記縁部が前記プランジャ・ジャケットの端部を形成し、
   更に、充填状態および休止状態の両方において径方向外側面上に径方向外側面から突出している１つの最前方シール・リングと、充填状態および休止状態の両方において径方向外側面上に径方向外側面から突出し前記最前方シール・リングの後方に間隔をあけて配置された少なくとも１つの補助シール・リングとを備え、
   前記補助シール・リングが、前記最前方シール・リングから軸方向に間隔をあけて配置され、間に環状の空間を画定し、前記最前方シール・リング及び前記少なくとも１つの補助シール・リングは、休止状態で夫々前記プランジャ・ジャケットから突出し、
   前記補助シール・リングが、休止状態で前記シリンダの前記壁に密封係合せず、滅菌流体が前記シール・リング間の前記空間に流入又は流出可能とする空隙を画定し、
   前記少なくとも１つの補助シール・リングは、前記中間面の延長線と前記プランジャ・ジャケットの外側面との交差部分で前記プランジャ・ジャケットから外方に突出し、
   前記少なくとも１つの補助シール・リングが、前記プランジャ・アセンブリに対して前記排出口の方向に力が加えられたときにのみ、前記プランジャ・アセンブリと前記バレルの間にシールを形成し、前記力が前記プランジャ・アセンブリに加えられ前記プランジャ・アセンブリを前方に駆動すると、前記徐々に厚みが増す前壁が、作用する対向力により圧縮されて前記円錐形の中間面の線に沿って伸びる派生力を生じ、前記少なくとも１つの補助シール・リングを膨張させて前記プランジャ・アセンブリおよび前記バレルの間にシールを形成するようになっているシリンジ・アセンブリ。
2. 前記補助シール・リングが、前記プランジャ・アセンブリに対して前記排出口の方向に力が加えられたときにのみ、前記シリンジ・バレル内側に接するようになっている請求項１に記載のシリンジ・アセンブリ。
3. 前記補助シール・リングと前記バレル内面の間の休止時ギャップが少なくとも０．００１インチである請求項２に記載のシリンジ・アセンブリ。
4. 休止時ギャップが０．００５インチから０．０２０インチまでの間である請求項３に記載のシリンジ・アセンブリ。
5. 前記補助シール・リングが、少なくとも断続的には前記シリンジ・バレルに常時接しているが、前記プランジャ・アセンブリに対して前記排出口の方向に力が加えられたときにのみ、前記プランジャ・アセンブリと前記バレルの間にシールを形成するようになっている請求項１に記載のシリンジ・アセンブリ。
6. 前記プランジャ・ジャケットがクロロブチル・ゴムを含んで構成される請求項１から５のうちいずれか１項に記載のシリンジ・アセンブリ。
7. 前記プランジャ本体が前記バレルの後端から後方に伸びる延長部材を含む請求項１から６のうちいずれか１項に記載のシリンジ・アセンブリ。

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