JP5128055B2 - 抗血液凝固性被膜および抗血栓性活性酸素測定用センサー - Google Patents

抗血液凝固性被膜および抗血栓性活性酸素測定用センサー Download PDF

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本発明は、抗血液凝固性被膜およびこれを利用する抗血栓性活性酸素測定用センサーに関し、更に詳細には、金属等の上に形成することにより、血液中に放置しても血液凝固が生じない被膜およびこれを利用した、血流中に留置した場合であってもその表面に血栓等を生成することなく、安定的かつ継続的に血中の活性酸素を測定することのできる、抗血栓性活性酸素測定用センサーに関する。
スーパーオキシドアニオンラジカル(O ・)などの活性酸素種は生体の維持に不可欠なものであるが、一方では、各種の疾患、癌、老化などの要因になることが知られており、医療等の分野において、その正確な量の計測法が種々検討されている。
従来、スーパーオキシドアニオンラジカルは、ケミルネッセンス法等の分光法が使用されていたが、近年は、シトクロムc(cyt.c)固定化電極によりスーパーオキシドアニオンラジカルのアンペロメトリーでの電気化学的検出が可能であることが示され、イン・ビボ(in vivo)測定への応用例が報告されている(非特許文献1ないし非特許文献3)。しかし、シトクロムcは、酵素であるため数日間で失活してしまい、長期の使用は不可能であるという欠点があった。
一方、本発明者は、先に全合成型の長期間安定なポルフィリン電解重合膜系センサー(PEPセンサー)を作製し、これをスーパーオキシドアニオンラジカル作用極として用いて三電極式セルを組み、スーパーオキシドアニオンラジカルをはじめとする活性酸素種が計測できることを報告した(特許文献1)。
上記方法により、安定してスーパーオキシドアニオンラジカル等の活性酸素種の量を測定し、医療分野における利用が可能となったが、未だ、解決しなければならない問題もあった。すなわち、上記センサーを血管内に留置しておいた場合、このセンサー上に血栓が生成してしまい、短時間で測定不能となる問題があり、継続的に生体内の活性酸素種量を測定する場合の隘路となっていた。
WO03/054536 C. J. McNeil et al. Free Radical Res. Commun., 7, 89(1989) M. J. Tariov et al. J. Am. Chem. Soc. 113, 1847(1991) J. M. Cooper, K. R. Greenough and C. J. McNeil, J. Electro- anal. Chem., 347, 267(1993)
従って、センサー等の表面に血栓が生成することを防ぎ、継続的に生体内の活性酸素種量を測定することができる活性酸素測定用センサーが求められており、新しい血栓生成防止技術およびこの技術を利用した、血流内に留置可能なセンサーを提供することが本発明の課題である。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行った。そして、血栓はフィブリノーゲンにトロンビンが作用して生成するフィブリンが、血小板を凝集させることにより生じるものであることから、フィブリンの形成を防ぐことにより、抗血栓性が得られることに気づいた。そこで更に、フィブリンの形成を防ぐための技術について鋭意検討を行った結果、ヘパリン等の硫酸化多糖は、フィブリンの生成を防ぐアンチトロンビン作用を有すると共に、電解重合膜形成物質であるピロールと相溶性が良く、十分な強度を有する電解重合膜を形成することを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、硫酸化多糖を含有する電解重合ピロール膜から構成される抗血液凝固性被膜である。
また本発明は、すくなとも、作用極および対極を有する活性酸素測定用センサーにおいて、作用極および対極を硫酸化多糖を含有する電解重合ピロール膜で被覆したことを特徴とする抗血栓性活性酸素測定用センサーである。
本発明の抗血液凝固性被膜(以下、「抗凝血被膜」ということがある)は、金属等の表面に形成させることにより、血液の凝固を有効に阻止することができるものである。
また、この抗凝血被膜を利用する本発明の抗血栓性活性酸素測定用センサー(以下、「抗血栓センサー」ということがある)は、当該被膜の作用により、センサー上でのフィブリンの生成、付着を防ぐものであり、血管内に留置しても血栓の付着がなく、安定して活性酸素種の測定を行うことができるものである。
従って本発明により、従来困難であるとされていた、継続的に血液中の活性酸素種の測定を行うことが可能となる。
本発明の抗凝血被膜は、硫酸化多糖とピロールを含有する溶液を電解重合することにより得られる、硫酸化多糖を含有する電解重合ピロール膜(以下、「重合ピロール膜」ということがある)より構成されるものである。
この重合ピロール膜を形成するための溶液としては、ピロールと硫酸化多糖のほか、適当な支持電解質を含有する溶液を挙げることができる。この溶液における溶媒としては、純水等が利用でき、また溶媒中のピロールの濃度は、1ないし10mM程度であり、好ましくは、2ないし5mM程度である。また、硫酸化多糖の濃度は、2ないし20mg/ml程度であり、好ましくは、5ないし10mg/ml程度である。更に、上記溶液におけるピロールと硫酸化多糖の割合は、それらの重量比で、1:1ないし10:1の範囲であり、好ましくは、2:1ないし4:1である。
上記成分のうち、硫酸化多糖としては、ヘパリンまたはその誘導体が好ましく、このものにより、電解質としての役割も併せて果たすことができる。
上記の重合ピロール膜は、常法に従った電解重合により形成させることができる。例えば、重合ピロール膜で被覆すべき導電性物品を作用極、白金(Pt)電極等の貴金属電極、チタン電極、カーボン類電極、ステンレス綱電極等の不溶性電極を対極とし、定電位、定電流、可逆電位掃引、パルス式の電解等を行い、重合させることにより被覆すべき導電性物品の表面に重合ピロール膜を形成させることができる。なお、ここで用いる対極を生体内の活性酸素種量の測定においても使用する場合は、対極として、生体適合性があり、抗凝血性であるSUS304等のステンレスを用いることが特に好ましい。また電解は、作用極および対極の2電極式の電解であっても、あるいは作用極および対極のほか、飽和カロメル電極(SCE)あるいは銀−塩化銀電極等を参照極とする3電極式の電解であっても良い。
かくして、抗凝血被膜である重合ピロール膜で被覆された導電性物品が得られるが、このものは重合ピロール膜中に含有された硫酸化多糖の作用により、その表面でフィブリノーゲンがフィブリンへ変化することを防ぎ、結果として導電性物品上での血栓生成を防ぐことが可能となる。従って、重合ピロール膜で被覆された導電性物品は、血液と接した場所で使用されても、血栓が生成しないので、長時間血管中に留置する医療製品や、長時間血液と接する医療機器の部品等に有利に使用できる。
次に、本発明の抗凝血被膜を利用する抗血栓センサーについて説明する。
本発明の抗血栓センサーは、例えば、図1に示すような二室式電気化学セルを用いて電解重合することにより調製することができる。図中、1はガラスセル、2はテフロンキャップ、3はニードル型電極、4は参照極、5はピロール/硫酸化多糖溶液、6は硫酸化多糖水溶液、7は微小サンプルホルダーをそれぞれ示す。
すなわち、活性酸素測定用センサーとして、WO03/054536(特許文献1)に開示のようなニードル型電極(周囲が対極であるステンレス針であり、これから絶縁された中央に、ポルフィリン電解重合膜で被覆された作用極が存在する)を用い、これを作用極とし、ピロール/硫酸化多糖溶液中で、周囲の不溶解性電極となるステンレス針部分(SUS304が好ましい)を対極として電解し、作用極部分を重合ピロール膜で被覆し本発明の抗血栓センサーを得ることができる。
上記のニードル型電極については、上記特許文献1に詳しく記載されているので、これに従い、容易に作成することができる。なお、本発明の抗血栓センサーが、このニードル型電極を使用するものに限られるものでないことはいうまでもなく、例えば、作用極、対極を別々に調製し、これらのそれぞれを重合ピロール膜で被覆しても良い。
このようにして得られた抗血栓センサーは、重合ピロール膜がイオンの流通に十分な空隙を有しながら、フィブリンの生成を防ぐ作用を有するため、長期間安定に血流中の活性酸素を測定することが可能となる。
以下実施例および参考例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例等に何ら制約されるものでないことはいうまでもない。
参 考 例 1
金属ポルフィリン錯体の調製:
(1)5,10,15,20−テトラキス(3−チオフェニル)ポルフィリン(HT3
ThP)の合成:
容量100mlの丸底フラスコ中にプロピオン酸50ml、3−チオフェンカルバルデヒド2.0ml及びピロール1.4mlを入れ、攪拌しながら160℃で1時間還流した。還流後、この反応物を室温まで放冷し、更に氷冷して、200mlの冷メタノール中に加えた。次に吸引濾過を行い、残留物をメタノールで洗浄後、さらにシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム)により精製、乾固、再結晶、減圧乾燥し、H2T3ThPを黒色粉末結晶として得た(収量:0.63g 収率:19%)。生成物はUV−visibleスペクトル(UV−2100:(株)島津製作所製)及びH−NMR測定により同定した。
(2)金属ポルフィリン錯体の合成(メタレーションによるHT3ThPへの中心
金属(Fe)の導入):
容量50mlの3つ口フラスコに48%臭化水素酸10mlを入れ、30分間窒素ガスを吹き込み、さらに還元鉄100mgを加え、100℃で還元鉄が溶解するまで攪拌した。攪拌後、溶液を減圧下で乾固させ、白色粉末の臭化鉄無水和物を得た。
この生成物中に上記(1)で調製したポルフィリン(HT3ThP)250mgと、あらかじめ窒素ガスを30分間吹き込んだジメチルホルムアミド(DMF)200mlを加えて、窒素下で4時間反応させた。反応終了後、反応物にクロロホルム200mlを加え、さらにイオン交換水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水、濾過、エバポレータにより蒸発乾固した。乾固後、アルミナカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム/メタノール=20/1)で精製した。溶出液に48%臭化水素酸を加え、無水硫酸ナトリウムで脱水、濾過、エバポレーターにより蒸発乾固し、再結晶後、減圧乾燥して金属ポルフィリン(中心にFeを含むHT3ThP;以下、「FeT3ThP」という)の黒色結晶を得た(収量:230mg 収率:84%)。
(3)軸配位子を有する金属ポルフィリン錯体の合成(1−メチルイミダゾールが配
位したFeT3ThPの合成):
上記(2)で得たFeT3ThP(0.018g)と1−メチルイミダゾール(2〜100μl、FeT3ThP:1−メチルイミダゾール=1〜50(モル比))をジクロロメタン0.5mlに加え、超音波(15W)照射下で撹拌(5分)または超音波非照射下で撹拌(6時間以上)した。
配位子付与の確認として紫外・可視吸収スペクトル測定をおこなった。FeT3ThPに1−メチルイミダゾールが配位した錯体の吸収ピークは421nmに生じ、前記のFeT3ThPとは異なる吸収ピークとなり、配位子付与を確認した。
これをエバポレーターで乾固して活性酸素種用電極の作製に供した。
参 考 例 2
活性酸素種用電極の作製:
グラッシーカーボン(0.28〜0.30mmφ)の線材をガラスキャピラリー(内径0.3mmφ)中に導入し、さらにこれらを注射用ステンレス針(SUS304製;寸法は18G)に導入した。これらの間をエポキシ系接着剤で接着、固定し、次に、グラッシーカーボンおよび外側のニードルを、各々、導電性接着剤(銀ペースト)を介して白金線と接合させ、さらに、先端をグラインダーで研磨して3層構造のニードル型の電極を作製した(グラッシーカーボンは作用極用電極部、中側のガラスキャピラリーが作用極と対極の絶縁部、外側のニードルは対極用電極部となる)。
テトラブチルアンモニウムパークロレート(TBAP)0.171gを5ml容メスフラスコに取り、ジクロロメタンで5mlにメスアップして調製した電解質溶液をセル容器に入れた。先端部をパイコールガラスで封止したサンプルバイアルの先端部を上記の電解質溶液に浸しながら、このサンプルバイアル中にTBAP0.0171gを含む参考例6で得た1−メチルイミダゾールが配位したFeT3ThPのジクロロメタン溶液を加えた。
WO03/054536(特許文献1)の図3に示すように、このサンプルバイアル中に上記で作製したニードル型の電極(作用極および対極)を入れ、サンプルバイアルの外側にAg/Ag電極を設置し、2室型3電極式電気化学セルを組み立てた。
このセルを用い、可逆電位掃引法(電位掃引範囲:Ag/Agに対し−0.1Vから+2.0V、電位掃引速度10から500mV/sec)および定電位法(電位:Ag/Agに対し+2.0V)により電解重合を5分から120分間行った。電解重合終了後、ジクロロメタン、イオン交換水で順次洗浄し、作用極表面(面積;約0.1cm)に1−メチルイミダゾールが配位したFeT3ThPの重合膜が形成されたグラッシーカーボン電極を含む3層構造のニードル型の電極(グラッシーカーボン上に重合膜を修飾したものが作用極用電極部、中側のガラスキャピラリーが作用極と対極の絶縁部および外側のニードルは対極用電極部である)を得た。
実 施 例 1
抗血栓センサーの作製:
重合ピロール膜の電解重合時の電気化学セルとして、図1に示すような、ガラスセル、微小サンプルホルダー、テフロンキャップから構成される二室式のものを使用した。ヘパリン5.56mgを純水0.5mlに溶解させたものを、微小サンプルホルダーに入れ、更にピロール0.168ml(5.0mM)を加えた。また、ガラスセルにヘパリン50mgを含む純水5.0mlを入れた。参考例2で作成したニードル型電極のうち、ポルフィリン重合膜で表面を修飾したグラッシーカーボン部分を作用極に、ステンレス針部分を対極用い、参照極にはAg/AgClを用いた。
セル内をアルゴン雰囲気下にし、走引速度50mV/sec、電位0〜2.0V vs Ag/AgCl、5サイクルの条件で電解重合を行った。電解重合後、ポルフィリン重合膜修飾グラッシーカーボン部分の表面が黒色の重合膜で被覆されたニードル型活性酸素センサー(抗血栓センサー)を得た。なお、比較品として、ヘパリン水溶液を使用しない以外は上記と全く同一にして作成したセンサーを作製し、用いた。
実 施 例 2
重合ピロール膜中のヘパリン存在の確認:
重合ピロール膜中にヘパリンが存在することの確認はトルイジンブルー法(P. K. Smith et al., Anal. Biochem., 109, 466(1980))を用いて行った。すなわち、実施例1で作製した抗血栓センサーを0.05%トルイジンブルー溶液0.1mlに1時間浸漬後、このトルイジンブルー溶液をエタノールで1/10に希釈し、UV−vis測定を行って重合ピロール膜に吸着されたトルイジンブルー量を比較した。
図2に示すように、ヘパリンを含まないピロール重合膜で被覆したニードル型電極(比較品)を浸漬した溶液の631nmの吸光度は1.35であったのに対し、ヘパリンを含んだピロール重合膜で被覆した抗血栓センサー(本発明品)の吸光度は0.85であり、本発明品の重合ピロール膜中に含まれるヘパリンが、トルイジンブルーを吸着したことが示された。
実 施 例 3
抗血栓センサーによる活性酸素の測定:
作用極部分をヘパリンを含んだピロール重合膜で被覆した抗血栓センサーであっても正確に活性酸素濃度が測定できるかどうかを以下のようにして確認した。すなわち、実施例1で調製した抗血栓センサーの、金属ポルフィリン皮膜の形成された部分を作用極、周囲のステンレス部分を対極とし、参照極としてステンレス線を用いた3極式測定系を構成した。
この電気化学セルの中に、0.15mMキサンチンのTris緩衝液(pH7.5)溶液を入れ、これに所定量のキサンチンオキシダーゼ(XOD)を添加することにより発生するスーパーオキシドアニオンラジカル量を測定した。XODの添加により発生するスーパーオキシダーゼ量(計算値)と増加する電流量(添加9秒後)の関係は、図3の通りであった。なお、この測定の印加電圧は、0.5Vとした。
図3に示すように直線性を有することから、ヘパリンを含むポリピロール膜で作用電極表面を被覆してもスーパーオキシドアニオンラジカル量が測定できることが示された。
実 施 例 4
抗血栓性評価:
フィブリノーゲンの0.05g/ml溶液に、トロンビン10U/mlを添加し、血栓モデル溶液を作成した。この血栓モデル溶液に、実施例1で得た抗血栓性センサーを30分浸漬した後、実施例3と同じキサンチン/キサンチンオキシダーゼ(XOD)系による30mU/mlXOD添加時のスーパーオキシダーゼ量の測定を行った(1日目)。更に、上記血栓モデル液に継続的に抗血栓性センサーを浸漬し、経時的に測定可能性を調べた。この結果、7日目まで、1日目と同様にスーパーオキシドアニオンラジカル量の測定したところ、図4に示す測定値に何の影響もなかった。これに対し、比較センサー(WO
03/054536の実施例4で得たセンサー)では、浸漬1日で電気絶縁性のフィブリンが電極表面を覆うため、O ・が発生しても酸化電流を検出することは不可能であった(図5)。
また、血栓モデル液に1日浸漬した後の、抗血栓性センサー(本発明品)および比較センサーの先端を顕微鏡で観察したところ、本発明品ではフィブリンの付着は認められなかった(図6)のに対し、比較センサーではフィブリンに覆われていた(図7)。
本発明の抗血液凝固性被膜は、電解重合ピロール膜中に含まれる硫酸化多糖の働きにより、フィブリンの形成を有効に抑制することができ、その結果、血栓の生成も防ぐことができるものである。
従って、本発明の抗血液凝固性被膜は、これを長時間血管中に留置する医療製品や、長時間血液と接する医療機器の部品等の表面に形成せしめることにより、血栓が生成しないので、これら医療製品あるいは医療機器部品の製造に有利に使用できる。
また、この抗血液凝固性皮膜は、イオンの流通等の妨げにならず、血栓の生成のみを防止するので、この皮膜で作用極や対極を被覆した活性酸素濃度測定用センサーは、血流中に留置し、安定的かつ継続的に血中の活性酸素を測定することのできるものとして、医療分野等において有利に利用できるものである。
本発明の抗血液凝固性被膜を形成させるために使用することのできる二室式電気化学セルの構成例を示す図面 トルイジンブルー法により、重合ピロール膜中にヘパリンが存在すること確認した結果を示す図面 本発明抗血栓性センサーによる、スーパーオキシドアニオンラジカル量と電流増加量の関係を示す図面 血栓モデル溶液の浸漬による、スーパーオキシドアニオンラジカル量での電流増加量の経時的変化を示す図面(本発明センサー) 血栓モデル溶液の浸漬による、スーパーオキシドアニオンラジカル量での電流増加量の経時的変化を示す図面(比較センサー) 本発明抗血栓センサーの、血栓モデル溶液浸漬後の外観変化を示す顕微鏡写真 比較センサーの、血栓モデル溶液浸漬後の外観変化を示す顕微鏡写真
符号の説明
1 … … ガラスセル
2 … … テフロンキャップ
3 … … ニードル型電極
4 … … 参照極
5 … … ピロール/硫酸化多糖溶液
6 … … ヘパリン水溶液
7 … … 微小サンプルホルダー

Claims (4)

  1. 金属ポルフィリン錯体の重合膜の表面に形成される抗血液凝固性被膜であって、へパリンとピロールを含有する溶液を電解重合させることにより前記金属ポルフィリン錯体の重合膜の表面に重合して形成された電解重合ピロール膜であって、前記へパリンとピロールとが相溶するとともにイオンの流通可能な空隙を有するへパリンを含有する電解重合ピロール膜から構成される抗血液凝固性被膜。
  2. ピロールとへパリンを、それらの重量比で、1:1ないし10:1の範囲で含む溶液から得たものである請求項1記載の抗血液凝固性被膜。
  3. 導電性部材の表面に金属ポルフィリン錯体の重合膜を形成した作用極を有する活性酸素測定用センサーにおいて、前記金属ポルフィリン錯体の重合膜の表面をへパリンとピロールを含有する溶液を電解重合させることにより前記金属ポルフィリン錯体の重合膜の表面に重合して形成された電解重合ピロール膜であって、前記へパリンとピロールとが相溶するとともにイオンの流通可能な空隙を有するへパリンを含有する電解重合ピロール膜で被覆したことを特徴とする抗血栓性活性酸素測定用センサー。
  4. 前記へパリンを含有する電解重合ピロール膜が、ピロールとへパリンを、それらの重量比で、2:1ないし4:1の範囲で含む電解液中を用いて電解することにより得られたものである請求項3記載の抗血栓性活性酸素測定用センサー。
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