JP5124852B2 - 中皮腫とアスベスト肺に関する医用画像診断支援装置と画像診断支援プログラム - Google Patents

中皮腫とアスベスト肺に関する医用画像診断支援装置と画像診断支援プログラム Download PDF

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Description

本発明は、中皮腫やアスベスト肺のコンピュータ診断支援装置およびプログラムに関し、特にCT断層像に基づいて中皮腫やアスベスト肺を検出する技術するものである。
近年、アスベスト(石綿)による環境汚染は深刻でありアスベスト肺や悪性中皮腫の発症が社会的に深刻な問題となっている。石綿を吸入することによって生じる疾患としては、アスベスト肺、肺がん、中皮腫などがあるが、これらの石綿曝露の良い指標となるものとして、胸膜プラーク(胸膜肥厚斑)が知られている。
環境省と厚生労働省は、アスベストで健康被害を受けた患者を救済することを目的として、2006年に患者認定のための医学的基準をまとめ、健康被害のうち、中皮腫は原則として全員を救済対象とし、肺がんについては、アスベストを吸い込んだ際にできる「胸膜プラーク」と「肺組織(肺野)の硬化(線維化)」が見られることなどを条件としている。このため、アスベスト健診においては、医師は、CT画像の膨大な数のデータを正確に検診しなければならない。
アスベスト肺は、アスベストの健康影響として最も早くから注目されており、職業上アスベスト粉塵を通例10年以上吸入した労働者に起こるじん肺の一種である。吸入されたアスベストが細気管支や肺胞に刺激を与え、炎症を起し、次第に終未肺気管支周辺や肺胞の線維化を来たし、肺機能障害を起こす。これらはアスベストの曝露が中止した後にも進行することが知られている。このアスベスト肺の場合、肺線維症の進展の結果、最終的には呼吸不全で死亡する場合もある。アスベスト肺の胸部X線CT画像では、中下肺野、特に肋横角に近い部分に微細な不整形陰影としてはじまる。進行すると画像に、網状影や小輪状影が現れ肺野の縮みが見られるのが特徴である。
また、中皮腫は、胸膜、心膜、腹膜、精巣鞘膜より発生する悪性腫瘍であり、中皮腫の大多数は石綿由来である。潜伏期間は非常に長く、曝露開始20〜50年と言われている。一般的には、曝露濃度が高いと潜伏期間は短いが、肺がんより低濃度曝露で発症する。中皮腫の早期発見は難しく、何らかの症状(息切れ、胸郭より下の疼痛、咳など)がでてから受診し、初めて見つかることが多く、アスベスト健診でも見つかることは希である。中皮腫の診断は、まず呼吸機能検査、胸部単純X線検査、CT検査および血液検査が行われ、異常が見つかれば、胸腔鏡下生検、細胞診、胸水検査などが行われる。石綿曝露のある中皮腫では、ほぼ全例に胸膜プラークができると考えられているものの、画像では必ずしも確認できない。現在、より精度良く早期診断のためにPET(Positron Emission Tomography)あるいは血清診断の新しいプローブやマーカーの研究がされている。
ここで、胸膜プラークとは、主として壁側胸膜の中皮下に生じる両側性の不規則な白板状の肥厚である。組織学的には中皮で覆われた膠原線維束がバスケットの網目状に配列されたもので細胞成分をほとんど含まない。石綿曝露によって壁側胸膜に発生した胸膜の線維性の盛り上がり状態を意味し、胸膜プラークそれ自身では肺機能障害を伴わず、胸膜の疾患を意味するものではない。
日本では、胸膜プラークは石綿曝露によってのみ発生すると言われている。石綿曝露開始からの経過年数と関連しており、曝露開始から10年未満では発生しないが、15〜30年を経て出現する。そして、20年を経過すると一部が石灰化する場合がある。そのため、過去の石綿曝露の指標として重要である。例えば、石綿曝露によって発生する中皮腫の18〜86%に胸膜プラークが合併していると報告されている。
Hillerdalら(1980)は原発性肺がん症例のうち、石綿曝露のある症例では60〜70%に胸膜プラークが見られるが、無い例では1〜2%のみであり、胸膜プラークが石綿曝露の良い指標となることを明らかにしている。
また、石綿曝露量が多いほど胸膜プラークの発生率が高いことが報告されており、胸部エックス線で石綿肺所見を有しない石綿曝露によっても胸膜プラークが発生することも報告されている。
胸膜プラークは、最近胸痛と相関するとする報告があるものの、一般的には自覚症状等はない。胸部エックス線で認められる胸膜プラーク陰影は経過とともに徐々に石灰化し、その濃度を増すとともに、拡がってくるが、肺機能に及ぼす影響はほとんどないか、あっても著しい肺機能障害をもたらすことはない。胸膜プラーク自体が他の良性石綿胸膜疾患(胸膜炎、びまん性胸膜肥厚、円形無気肺)を引き起こすことはなく、また、中皮腫に転化することもない。しかし、胸膜プラーク有所見者は無所見者に比べて石綿の累積ばく露量が多いと考えられており、したがって、中皮腫のリスクは無所見者よりも高い、と推測されている。
アスベスト肺は、胸部X線所見で、両側下肺野の線状影を主とする異常陰影を呈し、しばしば両側性の胸膜プラークを伴う。
胸部HRCT(High-Resolution CT)の所見としては、(1)小葉内間質肥厚像及び小葉間隔壁肥厚像、(2)胸膜下曲線様陰影、(3)肺実質内帯状像、(4)胸膜下楔状像、(5)スリガラス状陰影、があげられる。石綿肺は高濃度の石綿曝露によって発生する疾患であり、進行した石綿肺の場合、蜂巣状(honeycombing)を呈する。軽度(早期)の石綿肺の診断に際しては、胸部HRCTの上述の所見が参考になるものの、決め手とはならない。むしろ、石綿以外の間質性肺線維症との鑑別には、胸部CT検査での胸膜プラーク所見の方が重要であると言われている。
胸膜プラークは、胸部X線上、正面か接線方向で観察される。胸膜プラークを正面で観察する場合、結節状、数珠球状、線状、索状、菱形、地図状、分葉状、ひいらぎの葉状などと形容される多様な形状を示す。横隔膜ドームに沿って見られる石灰化胸膜プラークも様々なパターンを示すものの、その形状は特徴的であり、一側であっても診断は比較的容易である。
一方で、従来から、CT装置やMRI装置で撮影された画像の陰影を、コンピュータを用いて解析し、その陰影の中から病巣候補を絞り込んで医者に提示し、医者の判断を仰ぐという医用画像診断支援が行われている。陰影の中から病巣候補を絞り込むものとして、肺野の医用画像を例にしたものが種々報告されている(例えば、非特許文献1)。
「胸部CT検診におけるコンピュータ読影支援システムの開発」(2001年3月発行)著者:中川徹他7名(URL:http://www.hitachi-medical.co.jp/medix/pdf/vol34/p33-p37.pdf)
上述したように、石綿を吸入することによって生じる疾患としては、アスベスト肺、肺がん、中皮腫などがあり、これらの石綿曝露の良い指標となるものとして、胸膜プラーク(胸膜肥厚斑)が知られている。しかしながら、石綿曝露のある中皮腫では、ほぼ全例に胸膜プラークができると考えられているものの、画像では必ずしも確認できない状況である。また、アスベスト肺は、胸部X線所見で、両側下肺野の線状影を主とする異常陰影を呈し、しばしば両側性の胸膜プラークを伴う。アスベスト健診においては、医師は、検診者の胸部CT画像の膨大な数のデータを正確に検診しなければならないのが実情である。
本発明は、胸膜プラークの検出と肺野の繊維化が強ければアスベスト肺と中皮腫とほぼ診断が行えることに着目し、一次検診として、胸部CT画像のデータから中皮腫とアスベストによる肺の繊維化を自動的に抽出し、分析したデータを検診者に示すことができる医用画像診断支援装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成すべく、本発明の医用画像診断支援装置は、
1)被検体の胸部組織を撮影した医用画像を読込む画像読込手段と、
2)医用画像から胸膜プラーク候補を抽出するプラーク候補抽出手段と、
3)医用画像から肺野の繊維化領域を抽出する繊維化領域抽出手段と、
4)プラーク候補抽出手段により抽出されたプラーク画像領域の三次元画像を生成するプラーク三次元画像生成手段と、
5)繊維化領域抽出手段により抽出された肺野の繊維化を数値化して肺野別にその強度分布を測定する強度分布測定手段と、
6)プラーク三次元画像生成手段により得られるプラーク三次元画像および強度分布測定手段により得られる肺野の繊維化の強度分布を表示する表示手段と、
を備えることを特徴とする。
本医用画像診断支援装置を用いることで、検出された胸膜プラーク画像の3次元表示と、肺野の繊維化の肺野別の数値化データ分布表示をコンピュータ画面に表示させ、それを見ながら診断医が判定することで可能であり、医師の負担軽減、誤診断(アスベスト肺や中皮腫の発症の看過)の防止を図ることができる。
ここで、上記5)の肺野の繊維化を数値化して肺野別にその強度分布を測定する強度分布測定手段は、具体的には、蜂窩肺,スリガラス状陰影,肺野高吸収域と細気管支拡張,気管支の牽引像,気管支と肺血管像の辺縁不整の各項目を定量的評価し数値化するものが好ましい。
先ず、蜂窩肺の定量的評価は、蜂窩肺の低吸収域を二値化してハニカム部の面積密度の測定し、蜂窩肺の低吸収域の成分分析を行い評価されるものである。ここで、蜂窩肺の低吸収域とは、肺野のCT値が−700〜−300の範囲内の領域をいう。具体的には、肺野のCT値が−700〜−300の範囲内の低吸収域を二値化した後に、ラベル付けを行い、ハニカム部を円とみなして直径を測定しその面積を求める。そして、測定した面積を全体に占める割合を求めることで繊維化の度合いを測る。また、蜂窩肺の低吸収域の成分分析は、CT画像のヒストグラムを作成して、患者(被検体)と健常者の比較を行う分析である。
次に、スリガラス状陰影の定量的評価は、CT値が−300〜100の範囲内の肺野高吸収域の体積測定の結果を用いて評価されるものである。
また、肺野高吸収域と細気管支拡張の定量的評価は、CT値が−300〜100の範囲内の肺野高吸収域の体積測定および細気管支の体積測定の結果を用いて評価されるものである。
また、気管支の牽引像の定量的評価は、二値化による気管支の検出と芯線部分の微分不連続点の数の測定結果を用いて評価されるものである。
また、気管支と肺血管像の辺縁不整の定量的評価は、気管支と肺血管の抽出およびそれぞれの内腔表面の不連続点の測定結果を用いて評価されるものである。
そして、これら5つの評価項目の各々に対して、段階的に定量的評価し数値化し、肺野別にその強度分布を測定する。
また、本発明の医用画像診断支援装置における医用画像は、胸部X線CT画像であることが好ましい。なお、胸部X線CT画像の他に、MR装置、PET装置など被検体の断層像を撮影可能な装置により取得される画像でも構わない。
次に、本発明の画像診断支援プログラムは、
コンピュータを用いて医用画像診断支援を行う画像診断支援プログラムであって、
コンピュータを、
1)被検体の胸部組織を撮影した医用画像を読込む画像読込手段と、
2)医用画像から胸膜プラーク候補を抽出するプラーク候補抽出手段と、
3)医用画像から肺野の繊維化領域を抽出する繊維化領域抽出手段と、
4)プラーク候補抽出手段により抽出されたプラーク画像領域の三次元画像を生成する三次元画像生成手段と、
5)繊維化領域抽出手段により抽出された肺野の繊維化を数値化して肺野別にその強度分布を測定する強度分布測定手段と、
6)三次元画像生成手段により得られるプラーク三次元画像および強度分布測定手段により得られる肺野の繊維化の強度分布を表示する表示手段と、
して機能させることを特徴とする。
ここで、上記の強度分布測定手段は、蜂窩肺,スリガラス状陰影,肺野高吸収域と細気管支拡張,気管支の牽引像,気管支と肺血管像の辺縁不整の各項目を定量的評価し数値化するものであることが好適である。なお、各手段については、上述した医用画像診断支援装置を構成する手段と同様である。
本発明の医用画像診断支援装置や画像診断支援プログラムによれば、胸部CT画像のデータから中皮腫とアスベストによる肺の繊維化を自動的に抽出し、検出された胸膜プラーク画像の3次元表示と、肺野の繊維化の肺野別の数値化データ分布をコンピュータの表示画面に表示させ、診断医の判定を仰ぐことで、医師の負担軽減、誤診断(アスベスト肺や中皮腫の発症の看過)の防止を図ることができるといった効果を有する。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明していく。
図1に、本実施形態に係る医用画像診断支援装置1のハードウェア構成図を示す。医用画像診断支援装置1は、被検体の断層像を撮影する医用画像撮影装置2とLAN(Local Area Network)などの通信ネットワーク3を介して接続されている。医用画像撮影装置2は、X線CT装置を用いて被検体の断層像を生成する。なお、X線CT装置の他、MR装置、PET装置などを断層像の撮影装置とすることも可能である。
医用画像診断支援装置1は、動作を制御する中央処理装置(CPU)11、本装置の制御プログラムが格納され、またプログラム実行時の作業領域となる主メモリ12、オペレーティングシステム(OS)、周辺機器のデバイスドライブ、胸膜プラークの検出や胸膜プラークの三次元画像表示をするためのプログラムを含む各種アプリケーションソフト等が格納される磁気ディスク13、表示用データを一時記憶する表示メモリ14、表示メモリ14からのデータに基づいて画像を表示するCRTモニタや液晶モニタ等のモニタ15、画面入力操作用のマウスやキーボードの操作デバイス16、操作デバイス16の状態を検出してモニタ15上のマウスポインタの位置やマウスの状態等の信号をCPU11に出力するコントローラ17、通信ネットワーク3とインタフェースする通信I/F18、上記の各構成要素を接続する内部バス19とから構成される。
以下に、医用画像診断支援装置1が実行する画像診断支援プログラムについて説明する。画像診断支援プログラムは、図2の機能ブロック図に示されるように、被検体の胸部組織を撮影した医用画像を読込む画像読込手段21、医用画像から胸膜プラーク候補を抽出するプラーク候補抽出手段22、医用画像から肺野の繊維化領域を抽出する繊維化領域抽出手段23、プラーク候補抽出手段22により抽出されたプラーク画像領域の三次元画像を生成するプラーク三次元画像生成手段24、繊維化領域抽出手段23により抽出された肺野の繊維化を数値化して肺野別にその強度分布を測定する強度分布測定手段25、プラーク三次元画像生成手段24により得られるプラーク三次元画像および強度分布測定手段25により得られる肺野の繊維化の強度分布を表示する表示手段26により構成される。
医用画像診断支援装置1のCPU11は、上記の画像診断支援プログラムを磁気ディスク13から読み出して主メモリ12にロードし、コンピュータを上記各手段(21〜26)として機能させる。
医用画像診断支援装置1のCPU11の処理の流れについて、図3のフローチャートを参照しながら説明を行う。
1)先ず、画像読込手段21で、被検体の胸部組織を撮影した胸部X線CT画像を医用画像撮影装置2から読込む(ステップS1)。
2)次に、プラーク候補抽出手段22で、読み込んだ胸部X線CT画像を画像解析して胸膜プラーク候補を抽出する(ステップS2)。具体的な画像解析は、CT断層画像を二値化した後、輪郭追跡を行い、胸膜プラーク候補の抽出を行っている。
3)次に、繊維化領域抽出手段23で、読み込んだ胸部X線CT画像から肺野の繊維化領域を抽出する(ステップS3)。ここで、上記2)の処理と、この3)の処理は前後してもかまわない。
4)そして、プラーク三次元画像生成手段24で、上記ステップS2で抽出されたプラーク画像領域の三次元画像を生成する(ステップS4)。
5)次に、強度分布測定手段25で、繊維化領域抽出手段により抽出された肺野の繊維化を数値化して肺野別にその強度分布を測定する(ステップS5)。胸膜プラークの検出と肺野の繊維化が強ければアスベスト肺と中皮腫とほぼ診断が行えることから、一次検診として、胸部X線CT画像のデータから繊維化領域抽出手段により抽出された肺野の繊維化を数値化して肺野別にその強度分布を測定することとしたのである。
6)最後に、表示手段26で、上記ステップS4により得られるプラーク三次元画像および上記ステップS5により得られる肺野の繊維化の強度分布をモニタ15に表示する(ステップS6)。
上述したステップS5の肺野の繊維化を数値化して肺野別にその強度分布を測定する処理では、蜂窩肺,スリガラス状陰影,高度の肺野高吸収域と細気管支拡張,気管支の牽引像,気管支と肺血管像の辺縁不整の各項目について定量的評価を行う。ここで、定量的評価とは、例えば、各項目を5段階に評価して、それぞれの項目毎に1〜5の数値を割り付けることである。図4に、各項目を5段階に評価して、各スコアの合計を肺野の繊維化度としてモニタに表示する処理のフローチャートを示す。
以下に、各項目の定量的評価について説明する。
(蜂窩肺の定量的評価)
ここでは、蜂窩肺について定量的評価(ステップS51)について説明する。
先ず、蜂窩肺の低吸収域を二値化した後、ラベル付けを行い、ハニカム部を円と見做して直径とその面積を測定する。そして、肺野全体(骨を除く)に占める割合を求めることで繊維化の度合いを算出する。
図5に、蜂窩肺患者のCT画像(二値化前)を示す。図5において、番号2〜11の矢印の先に示している部分が、ハニカム部である。この2〜8および10〜11のラベル付けされたハニカム部の直径、面積および密度の測定結果を表1に示す。
上記のようにして、蜂窩肺のCT値が−700〜−300の範囲内の低吸収域を二値化してハニカム部の面積を測定した後、CT画像のヒストグラムを作成して、患者と健常者の比較を行い、蜂窩肺の低吸収域の成分分析を行う。
図6は、図5の蜂窩肺患者のCT画像から測定した肺野部分の繊維化の度合い(度数)を示すヒストグラムである。図6のヒストグラムにおいて、CT値が−1000は空気を示す。健常者では肺野はほとんど空気であることから、CT値が−1000付近に鋭いピークが現れる。これに対して、アスベスト肺と中皮腫の患者では繊維化のためCT値が−1000以上の低吸収域に広がってしまうというデータとなる。
また、図7は、図6のヒストグラムに、アスベスト肺と中皮腫の患者の患部のみの関心領域(ROI:Region of interest)データを加えたものである。図7(1)は頻度度数の最大を180に設定したものであり、図7(2)は頻度度数の最大を800に設定したものである。度数180とは度数180までの部分を拡大していることを示しており、同様に、度数800とは度数800までの部分を拡大していることを示している。また、図7においてはCT値の幅を8として平滑化している。
図7(1)及び(2)に示されるように、蜂窩肺患部および患者患部は、正常肺全体および健常者全体と比べて、CT値が−1000〜−200ぐらいまでの頻度が高く、繊維化を反映しているのが確認できる。
このような特性を用いて、蜂窩肺の定量的評価は、正常肺全体および健常者全体と比べて、CT値が−1000〜−200ぐらいまでの頻度がどの程度高いかについて5段階にレベル分けして評価を行っている。
(スリガラス状陰影の定量的評価)
次に、スリガラス状陰影の定量的評価(ステップS52)について説明する。スリガラス状陰影の定量的評価は、CT値が−300〜100の肺野高吸収域の体積を測定して行う。スリガラス状陰影の体積測定は、例えば、図8に示すようなスライドからスリガラス状陰影を特定して、ボクセル(voxel)積算による体積測定を行う。ここで、スリガラス状陰影はCT値の band
passフィルタを用いて抽出している。例えば、band passフィルタは、CT値で−50〜100のものを用いて抽出できる。このようにして抽出したスリガラス状陰影のスライドから、スリガラス状陰影の面積を算出する。下表2は、算出の例として、10枚のスライド(スライスno.1〜10)におけるスリガラス状陰影面積を示したものである。
上記表2の結果を用いてボクセル積算を行い、スリガラス状陰影全体の体積を算出すると、221.14(cm)となる。
図9にスリガラス状陰影の定量的評価対象のCT画像を、図10にスリガラス状陰影のボリューム表示画面の一例を示す。なお、図10において処理が不完全で肋骨も見えてしまっている。
スリガラス状陰影の定量的評価は、CT値が−300〜100の範囲内の肺野高吸収域の体積測定の結果に基づいて5段階にレベル分けして評価を行っている。
(肺野高吸収域と細気管支拡張の定量的評価)
次に、肺野高吸収域と細気管支拡張の定量的評価(ステップS53)について説明する。肺野高吸収域と細気管支拡張の定量的評価は、CT値が−300〜100の範囲内の肺野高吸収域の体積の測定および細気管支の体積測定を行っている。
肺野高吸収域の体積の測定および細気管支の体積は、スリガラス状陰影の定量的評価における肺野高吸収域の体積測定と同様にボクセル(voxel)積算を用いて算出している。
肺野高吸収域と細気管支拡張の定量的評価は、CT値が−300〜100の範囲内の肺野高吸収域の体積の測定および細気管支の体積測定の結果に基づいて5段階にレベル分けして評価を行っている。
(気管支の牽引像の定量的評価)
次に、気管支の牽引像の定量的評価(ステップS54)について説明する。気管支の牽引像の定量的評価は、二値化による気管支の検出を画像解析で行った後に、芯線部分の微分不連続点の数の測定を行い、その測定結果に基づいて5段階にレベル分けして評価を行っている。具体的には、図11のように気管支の吸収域で二値化を行った後、図12のようにシュリンキングで細線化し不連続点を検出することにしている。
(気管支・肺血管像の辺縁不整の定量的評価)
最後に、気管支と肺血管像の辺縁不整の定量的評価(ステップS55)について説明する。気管支と肺血管像の辺縁不整の定量的評価は、気管支と肺血管を画像解析にて抽出し、それぞれの内腔表面の不連続点の測定を行い、その測定結果に基づいて5段階にレベル分けして評価を行っている。なお、図13は健常者の処理前画像である。
そして、これらの各項目の定量的評価は、同時並列で処理可能であり、集計された各スコアの合計を肺野の繊維化度として、画像診断装置の表示モニタに表示させている。
図14は、検出された胸膜プラーク画像の3次元表示と、肺野の繊維化の肺野別の数値化データ表示のコンピュータ画面の一例である。このように検出された胸膜プラーク画像の3次元表示と、肺野の繊維化の肺野別の数値化データを表示させることができるため、医師の負担軽減、誤診断(アスベスト肺や中皮腫の発症の看過)の防止を図ることができるのである。
今後、アスベスト肺や中皮腫と確定診断された症例のX線画像,X線CT画像,病理画像のデータを収集し、それとの比較のために正常肺や喫煙による肺繊維症その他の肺繊維症等の症例の画像データ収集を行い、データベース化を図っていく。
また、肺繊維化の定量的評価に関しては、アスベスト肺や喫煙による肺繊維症その他の肺繊維症のCT画像を用いた三次元画像データ処理による自動診断の機能開発を行い、症例を増加させることによる精度の向上を図る。
さらに、胸膜のプラークの自動検出に関して、胸膜の病変を自動診断する機能を本医用診断支援装置に機能追加を図る。中皮腫、肺結核、肺繊維症を用いた胸膜の胞厚データの三次元画像データ処理による自動診断の機能開発を行い、症例を増加させることによる精度の向上を図る。
本発明の医用画像診断支援装置や画像診断支援プログラムは、中皮腫やアスベスト肺のコンピュータ診断支援システムに有用である。
本発明の医用画像診断支援装置のハードウェア構成図を示す。 本発明の医用画像診断支援装置の機能ブロック図を示す。 本発明の医用画像診断支援装置の処理フローチャートを示す。 肺野の繊維化を数値化して肺野別にその強度分布を測定する処理のフローチャートを示す。 蜂窩肺患者のCT画像(二値化前) 蜂窩肺患者のCT画像から測定した肺野部分の繊維化の度合い(度数)を示すヒストグラム 蜂窩肺患者のCT画像から測定した肺野部分の繊維化の度合い(度数)を示すヒストグラム(関心領域のもの) スリガラス状陰影のスライド例 スリガラス状陰影の定量的評価対象のCT画像 スリガラス状陰影のボリューム表示画面の一例 二値化による気管支の検出を行った画像の一例 気管支の検出と芯線部分の微分不連続点の数の測定の様子を示す画像例 肺血管の抽出を行った画像例 検出された胸膜プラーク画像の3次元表示と、肺野の繊維化の肺野別の数値化データ表示のコンピュータ画面の一例
符号の説明
1 医用画像診断支援装置
2 医用画像撮影装置
3 通信ネットワーク
11 スリガラス状陰影部

Claims (10)

  1. 被検体の胸部組織を撮影した医用画像を読込む画像読込手段と、
    前記医用画像から胸膜プラーク候補を抽出するプラーク候補抽出手段と、
    前記医用画像から肺野の繊維化領域を抽出する繊維化領域抽出手段と、
    前記プラーク候補抽出手段により抽出されたプラーク画像領域の三次元画像を生成するプラーク三次元画像生成手段と、
    前記繊維化領域抽出手段により抽出された肺野の繊維化を数値化して肺野別にその強度分布を測定する強度分布測定手段と、
    前記プラーク三次元画像生成手段により得られるプラーク三次元画像および前記強度分布測定手段により得られる肺野の繊維化の強度分布を表示する表示手段と、
    を備えることを特徴とする医用画像診断支援装置。
  2. 前記肺野の繊維化を数値化して肺野別にその強度分布を測定する強度分布測定手段は、蜂窩肺,スリガラス状陰影,肺野高吸収域と細気管支拡張,気管支の牽引像,気管支と肺血管像の辺縁不整の各項目を定量的評価し数値化するものであることを特徴とする請求項1に記載の医用画像診断支援装置。
  3. 前記蜂窩肺の定量的評価は、蜂窩肺のCT値が−700〜−300の範囲内の低吸収域を二値化してハニカム部の面積密度を測定し、蜂窩肺の前記低吸収域の成分分析を行い、評価されるものであることを特徴とする請求項2に記載の医用画像診断支援装置。
  4. 前記スリガラス状陰影の定量的評価は、CT値が−300〜100の範囲内の肺野高吸収域の体積測定の結果を用いて評価されるものであることを特徴とする請求項2に記載の医用画像診断支援装置。
  5. 前記肺野高吸収域と細気管支拡張の定量的評価は、肺野高吸収域の体積の測定および細気管支の体積測定の結果を用いて評価されるものであることを特徴とする請求項2に記載の医用画像診断支援装置。
  6. 前記気管支の牽引像の定量的評価は、二値化による気管支の検出と芯線部分の微分不連続点の数の測定の結果を用いて評価されるものであることを特徴とする請求項2に記載の医用画像診断支援装置。
  7. 前記気管支と肺血管像の辺縁不整の定量的評価は、気管支と肺血管の抽出およびそれぞれの内腔表面の不連続点の測定の結果を用いて評価されるものであることを特徴とする請求項2に記載の医用画像診断支援装置。
  8. 前記医用画像は胸部X線CT画像であることを特徴とする請求項1に記載の医用画像診断支援装置。
  9. コンピュータを用いて医用画像診断支援を行う画像診断支援プログラムであって、
    前記コンピュータを、
    被検体の胸部組織を撮影した医用画像を読込む画像読込手段と、
    前記医用画像から胸膜プラーク候補を抽出するプラーク候補抽出手段と、
    前記医用画像から肺野の繊維化領域を抽出する繊維化領域抽出手段と、
    前記プラーク候補抽出手段により抽出されたプラーク画像領域の三次元画像を生成する三次元画像生成手段と、
    前記繊維化領域抽出手段により抽出された肺野の繊維化を数値化して肺野別にその強度分布を測定する強度分布測定手段と、
    前記三次元画像生成手段により得られるプラーク三次元画像および前記強度分布測定手段により得られる肺野の繊維化の強度分布を表示する表示手段と、
    して機能させることを特徴とする画像診断支援プログラム。
  10. 前記強度分布測定手段は、蜂窩肺,スリガラス状陰影,肺野高吸収域と細気管支拡張,気管支の牽引像,気管支と肺血管像の辺縁不整の各項目を定量的評価し数値化するものであることを特徴とする請求項9に記載の画像診断支援プログラム。
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