JP5123606B2 - 防振制御回路 - Google Patents

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本願発明は、デジタルスチルカメラ等の撮像装置に加えられる振動によって生じる被写体のぶれ(手振れ)を抑制する防振制御回路に関する。
近年、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ等の撮像装置は、それに備えられる撮像素子の画素数を増加させることによって高画質化を実現している。その一方で、撮像装置の高画質化を実現する他の方法として、撮像装置を持つ手のぶれによって生じる被写体のぶれを防止するために、撮像装置は手振れ補正機能を備えることが望まれている。
具体的には、撮像装置はジャイロセンサなどの検出素子を備え、撮像装置の振動によって生じる角速度成分に応じてレンズや撮像素子などの光学部品を駆動して被写体のぶれを防止する。これによって、撮像装置が振動しても、取得される映像信号に振動の成分が反映されることはなく、像ぶれのない高画質な映像信号を取得することができる。
図2には、手振れ補正機能を実現するために用いられる、従来の防振制御回路100のブロック図を示す。防振制御回路100は撮像装置に備えられ、撮像装置に備えられる主制御回路(図示せず)の制御に応じて動作する。防振制御回路100は位置検出素子200、レンズ駆動素子300及び振動検出素子400に接続される。
位置検出素子200は、撮像装置に備えられるレンズの位置を検出する。詳述すると、位置検出素子200はホール素子とすることができ、レンズの絶対位置に応じた誘導電流を生成し、電圧信号を出力する。
レンズ駆動素子300は、防振制御回路100から出力されたレンズ駆動信号に応じてレンズの位置を移動させる。レンズ駆動素子300はボイスコイルモータとすることができ、防振制御回路100は、レンズ駆動素子300に加える電圧値を調整することによってボイスコイルモータの可動コイルの位置、つまりレンズの位置を制御する。レンズ駆動素子300は、撮像装置の光軸に対して垂直な面内でレンズを駆動する。
振動検出素子400は、撮像装置の振動を検出してその結果を防振制御回路100に出力する。振動検出素子400はジャイロセンサとすることができ、撮像装置に加えられた振動に応じた角速度信号を生成して、防振制御回路100に出力する。
位置検出素子200、レンズ駆動素子300及び振動検出素子400はそれぞれ、少なくとも2つの素子から構成されることが好適であり、撮像装置の光軸に垂直な面において水平成分と垂直成分に対応した複数の素子を設けて、レンズの位置検出、レンズの移動及び撮像装置の振動検出をそれぞれ制御する。
次に、防振制御回路100について詳細に説明する。防振制御回路100は、サーボ回路120、レンズドライバ140、アナログ−デジタル変換回路(ADC)142、CPU160及びデジタル−アナログ変換回路(DAC)162を含んで構成される。
サーボ回路120は、位置検出素子200の出力する電圧信号に応じて、レンズ駆動素子300を制御するための信号を生成する。サーボ回路120は、外付けの抵抗素子やコンデンサ等を含んだアナログのフィルタ回路を含んで構成され、レンズの光軸と撮像装置に備えられる撮像素子の中心とが一致するように、レンズ駆動素子300を制御するため
の信号を生成する。レンズドライバ140は、サーボ回路120から出力された信号に基づいて、レンズ駆動素子300を駆動するためのレンズ駆動信号を生成する。
ADC142は、振動検出素子400が出力するアナログの角速度信号をデジタル信号に変換する。CPU160は、デジタルの角速度信号に基づいて、撮像装置の移動量を示す角度信号を生成する。CPU160は、図示しないメモリに接続され、メモリに格納されたソフトウェアに基づいて角度信号の生成処理を行う。DAC162はCPU160で生成されたデジタルの角度信号をアナログ信号に変換する。
ここで、サーボ回路120は、DAC162が出力するアナログの角度信号と位置検出素子200の出力する電圧信号とを加算した信号に応じて、レンズ駆動素子300を駆動するためのレンズ駆動信号を生成する。つまり、手振れによる被写体ぶれを防止するために、撮像装置の移動量を示す角度信号に基づいてレンズの位置を変更して、撮像素子上の被写体像のぶれを抑制する。これによって、手振れによる被写体像のぶれを抑制して高画質な映像信号を得ることができる。
特開平10−213832号公報
図2に示す従来の防振制御回路100は、振動検出素子400から得られた角速度信号から撮像装置の移動量を示す角度信号を生成する際、CPU160を用いてソフトウェアによってその機能を実現している。このとき、防振制御回路100は速い処理速度が求められており、CPU160は高速クロックで動作可能なものとする必要がある。例えば、撮像装置が1秒間に30フレームの画像を撮影して動画を得る場合、レンズの位置は1/30秒より速い分解能で変更するように制御する必要がある。
高速クロックを用いてCPU160を駆動する場合、防振制御回路100における消費電力が増大する。防振制御回路100が搭載される撮像装置は、リチウムイオン電池等の2次電池を電源として駆動する。そのため、防振制御回路100の消費電力が増大すると、2次電池の消耗が早くなるため、撮像装置の駆動時間が短くなるため、動画の撮影時間が短くなるとともに、静止画の撮影枚数が減少するという問題が生じる。撮像装置の手振れ補正機能は、動画や静止画の撮影中だけでなく、撮影の準備中であるプレビュー時にも実行されることが多いため、手振れ補正機能に関する消費電力の低減が望まれる。
本願発明は、上記従来技術の問題を鑑み、高画質な映像信号を得るとともに、消費電力を低減した防振制御回路を提供することを目的とする。
本願発明は、撮像装置に備えられた振動検出素子の出力する信号に基づいて、撮像装置に備えられた光学部品を移動させる光学部品駆動素子を制御する防振制御回路であって、振動検出素子が出力する信号の低周波成分を除去するハイパスフィルタと、ハイパスフィルタの出力する信号に基づいて撮像装置の移動量を算出する移動量算出回路と、移動量算出回路の出力信号に対して、所定の値を減算するセンタリング処理回路と、センタリング処理回路の出力信号に基づいて、光学部品の位置を補正する補正信号を生成して光学部品駆動素子へ出力するサーボ回路と、を備え、センタリング処理回路は、デジタルフィルタ回路とレジスタとを含んで構成され、デジタルフィルタ回路はレジスタに格納されたフィルタ係数に基づいてフィルタ処理を行うこと、を特徴とする。
本願発明によれば、CPUを用いることなく撮像装置の移動量を算出することができる
ため、消費電力を低減しつつ、手振れの影響を抑制した高画質な映像信号を得ることが可能となる。
図1は本発明の実施形態の防振制御回路10の概略のブロック図である。防振制御回路10は、ADC12、42、サーボ回路20、レンズドライバ40、ハイパスフィルタ(HPF)44、パン・チルト判定回路46、ゲイン調整回路48、積分回路50及びセンタリング処理回路52を含んで構成される。防振制御回路10は、位置検出素子200、レンズ駆動素子300、振動検出素子400に接続され、これらの素子は従来技術に記載のものと同様である。
ADC12は、位置検出素子200、例えばホール素子から出力されたアナログの電圧信号をデジタル信号に変換する。ホール素子は、レンズに固定された磁石による磁力に応じた誘導電流を生成する。つまり、ホール素子は、レンズとの距離に応じてレンズの位置を示す電圧信号を出力し、ADC12はその電圧信号をデジタル信号に変換して位置信号SPとして出力する。ADC12は、レンズの光軸と撮像装置に備えられる撮像素子の中心とが一致する場合に、基準を示す信号、例えば、“0”を示すデジタル値を出力する構成とする。
サーボ回路20は、ADC12の出力する位置信号SPと後述する振動成分信号SVを加算した信号に応じて、レンズ駆動素子300の駆動を制御する補正信号SRを生成する。サーボ回路20は、レジスタ22と図示しないデジタルフィルタ回路を含んで構成され、レジスタ22に格納されるフィルタ係数を用いたフィルタ処理が行われる。
DAC30はデジタルの補正信号SRをアナログ信号に変換する。レンズドライバ40は、アナログの補正信号SRに基づいて、レンズ駆動素子300を駆動するためのレンズ駆動信号を生成する。
ADC42は、振動検出素子400、例えばジャイロセンサから出力されたアナログの角速度信号をデジタル信号に変換する。HPF44は、角速度信号に含まれる直流成分を除去し、撮像装置の振動が反映された角速度信号の高周波成分を抽出する。
パン・チルト判定回路46は、HPF44の出力する角速度信号に基づいて、撮像装置のパン動作、チルト動作を検出する。被写体の移動などに応じて撮像装置を水平方向に動かすことをパン動作といい、垂直方向に移動させることをチルト動作という。被写体の移動などに応じて撮像装置を移動させる場合、振動検出素子400はその移動に応じた角速度信号を出力する。しかし、パン動作またはチルト動作による角速度信号の変動は、手振れによるものではないため、レンズなどの光学系を補正する必要がない場合がある。パン・チルト判定回路46は上記のような制御を実現するために設けられる。具体的には、パン・チルト判定回路46は、一定期間角速度信号が所定値以上となることを検出したときに、パン動作またはチルト動作中であると判定する。
ゲイン調整回路48は、パン・チルト判定回路46の判定結果に応じて、HPF44から出力される角速度信号の増幅率を変更する。例えば、パン動作またはチルト動作中でない場合には、ゲイン調整回路48はHPF44が出力する角速度信号の強度を維持するようなゲイン調整を行う。また、パン動作またはチルト動作中の場合には、ゲイン調整回路48はHPF44が出力する角速度信号の強度を減衰して出力が0となるようなゲイン調整を行う。
積分回路50は、ゲイン調整回路48が出力する角速度信号を積分して、撮像装置の移
動量を示す角度信号を生成する。積分回路50は、図示しないデジタルフィルタを含んで構成することが好適であり、図示しないレジスタに設定されたフィルタ係数に応じたフィルタ処理を行うことによって角度信号、つまり撮像装置の移動量を求める。
センタリング処理回路52は、積分回路50から出力される角度信号に対して、所定の値を減算して、撮像装置の移動量を示す振動成分信号SVを生成する。撮像装置において手振れ補正処理を行う場合、補正処理を継続して実行するうちにレンズの位置が基準位置から徐々に離れていき、レンズの可動範囲の限界点付近に達する場合がある。このとき、手振れ補正処理を継続すると、レンズはある一方の方向には移動できるが、他方には移動できなくなる。センタリング処理回路52はこれを防止するために設けられるものであり、角度信号から所定の値を減算することによって、レンズの可動範囲の限界点に近づきにくいように制御する。
センタリング処理52は、図示しないデジタルフィルタを含んで構成することが好適であり、図示しないレジスタに設定されたフィルタ係数に応じたフィルタ処理を行うことによって、角度信号から所定の値を減算する処理を行う。
図1に記載の防振制御回路10を用いた、手振れによる被写体のぶれを補正するためのレンズの移動制御について説明する。
まず、手振れによる被写体のぶれのない場合について説明する。レンズ駆動素子300によって駆動されるレンズの位置は、その光軸と撮像装置に備えられる撮像素子の中心が一致するため、ADC12は“0”を示すデジタルの位置信号SPを出力する。サーボ回路20は、位置信号SPの値が“0”のとき、現在のレンズの位置を維持するようにレンズ駆動素子300を制御する補正信号SRを出力する。
また、レンズの位置と撮像素子の中心が一致しない場合、ADC12は“0”と異なる値を示すデジタルの位置信号SPを出力する。サーボ回路20は、ADC12の出力する値に応じて、位置信号SPの値が“0”となるようにレンズ駆動素子300を制御する補正信号SRを出力する。上記の動作を繰り返すことによって、レンズの位置と撮像素子の中心が一致するように、レンズの位置を制御する。
次に、手振れによって被写体のぶれが生じた場合について説明する。レンズ駆動素子300によって駆動されるレンズの位置は、その光軸と撮像装置に備えられる撮像素子の中心が一致するため、ADC12は“0”を示すデジタルの位置信号SPを出力する。一方、手振れによって撮像装置が移動するため、積分回路50及びセンタリング処理回路52は、振動検出素子400で検出された角速度信号に基づいて、撮像装置の移動量を示す角度信号を出力する。
サーボ回路20は、ADC12が出力する“0”を示す位置信号SPと、センタリング処理回路52が出力する角度信号と、を加算した信号に応じて、補正信号SRを生成する。このとき、位置信号SPは“0”であるにも関わらず、“0”でない角度信号が加算されているため、サーボ回路20はレンズを移動させる補正信号SRを生成する。サーボ回路20が出力する補正信号SRに基づいて、レンズ駆動素子300はレンズを移動させるため、撮像装置に備えられた撮像素子は手振れによる被写体のぶれを抑制した信号を得ることができる。このような制御を繰り返すことによって、防振制御回路10は手振れ補正制御を実現している。
本発明の実施形態では、振動検出素子400から得られた角速度信号から撮像装置の移動量を示す角度信号を生成する際、HPF44、積分回路50及びセンタリング処理回路
52を用いて生成する構成とした。これによって、角度信号の生成のためにCPUを用いる必要がなくなり、防振制御回路10での消費電力を低減することができる。
また、本発明の実施形態では、防振制御回路10はHPF44、積分回路50及びセンタリング処理回路52を設ける構成としたことによって、CPUを設ける構成に比べて回路面積を縮小することが可能となる。これによって、防振制御回路10が搭載される半導体チップのコストを低減することが可能となる。
本発明の実施形態では、防振制御回路10に設けられるサーボ回路20、HPF44、積分回路50及びセンタリング処理回路52はデジタルフィルタ回路を含んで構成した。図2に記載の従来技術において、サーボ回路120はアナログのフィルタ回路を含んで構成されていたため、抵抗素子やコンデンサなどの外付け部品が必要であった。従来の防振制御回路100の制御特性を調整するためにサーボ回路120のフィルタ係数を変更する場合、外付け部品を交換しなければならず容易にフィルタ係数を変更することが困難であった。しかし、本発明の防振制御回路10では、フィルタ係数を変更する場合、例えばレジスタ22などのレジスタに格納するフィルタ係数を変更すればよく、防振制御回路10の制御特性の調整を容易に行うことができる。
本発明の実施形態では、位置検出素子200、レンズ駆動素子300、振動検出素子400はそれぞれ、ホール素子、ボイスコイルモータ、ジャイロセンサとしたが、本願はそれに限られるものではない。例えば、レンズ駆動素子300はステッピングモータやピエゾ素子を用いることができる。レンズ駆動素子300としてステッピングモータを用いる場合、位置検出素子200もステッピングモータを用いることができ、ステッピングモータによってレンズを駆動するとともに、ステッピングモータの制御信号をレンズの位置を示す信号として使用することができる。また、振動検出素子400は、直線方向の加速度を検出するセンサを用いて、加速度信号に基づいて撮像装置の振動を検出する構成とすることができる。
また、本発明の実施形態では、レンズを駆動させて手振れ補正処理を行うレンズシフト方式としたが、本発明はこれに限られるものではない。たとえば、本発明は、撮像装置のぶれに応じてCCD素子などの撮像素子をシフトさせるCCDシフト方式にも適用することができる。このとき、位置検出素子200は撮像素子の位置を検出し、レンズ駆動素子300(請求項に記載の光学部品駆動素子)は撮像素子を駆動する素子とすることができる。
本発明の実施形態の防振制御回路の概略のブロック図である。 従来の防振制御回路の概略のブロック図である。
符号の説明
10,100 防振制御回路、12,42,142 ADC、20,120 サーボ回路、22 レジスタ、30,162 DAC、レジスタ、40,140 レンズドライバ、44 HPF、46 パン・チルト判定回路、48 ゲイン調整回路、50 積分回路、52 センタリング処理回路、1200 位置検出素子、300 レンズ駆動素子、400 振動検出素子。

Claims (1)

  1. 撮像装置に備えられた振動検出素子の出力する信号に基づいて、前記撮像装置に備えられた光学部品を移動させる光学部品駆動素子を制御する防振制御回路であって、
    前記振動検出素子が出力するアナログ信号をデジタル信号に変換するアナログ−デジタル変換回路と、
    前記デジタル信号の低周波成分を除去するハイパスフィルタと、
    前記ハイパスフィルタの出力する信号を増幅する増幅回路と、
    前記増幅回路の出力する信号に基づいて前記撮像装置の移動量を算出する移動量算出回路と、
    前記移動量算出回路の出力信号に対して、所定の値を減算するセンタリング処理回路と、
    前記センタリング処理回路の出力信号に基づいて、前記光学部品の位置を補正する補正信号を生成して前記光学部品駆動素子へ出力するサーボ回路と、
    前記ハイパスフィルタの出力する信号と所定のしきい値とを比較し、比較結果に応じてパン動作またはチルト動作の有無を判定するパン・チルト判定回路と、
    を備え、前記増幅回路は、前記パン・チルト判定回路の判定結果に応じて増幅率を変更し、
    前記サーボ回路は、前記光学部品の位置を検出する位置検出素子が出力する信号と前記移動量算出回路の出力信号とを加算した信号に基づいて、前記補正信号を生成し、
    前記ハイパスフィルタ、前記移動量算出回路、前記サーボ回路、及び前記センタリング処理回路はそれぞれ、デジタルフィルタ回路とレジスタとを含んで構成され、前記デジタルフィルタ回路は前記レジスタに格納されたフィルタ係数に基づいてフィルタ処理を行うことを特徴とする防振制御回路。
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