JP5123340B2 - 映像データ送信装置,映像データ送信方法および映像データ送信プログラム - Google Patents

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Description

本発明は,符号化された動画像データをネットワークを通して伝送させるためにパケット化する技術に関し,特に動画像データの転送効率を向上させるデータ送信技術に関するするものである。
H.264/AVCで符号化された動画像データは,NALユニット(NAL: Network Abstraction Layer;ネットワーク抽象レイヤ)という単位に分割されて伝送や蓄積が行われる。例えば,映像データのストリーム配信におけるRTP(Real-time Transport Protocol)においては,RTPパケットへの格納がNALユニットを単位として行われる。
NALユニットは,映像を圧縮符号化したデータを格納したものと,その他のSPS(シーケンスパラメータセット),PPS(ピクチャパラメータセット) やSEI(VCL復号用付加情報)といった符号化のパラメータ等を格納したものが存在する。ここで,前者をVCL NALユニット,後者を非VCL NALユニットと呼ぶ。一般に,非VCL NALユニットは,VCL NALユニットに比べてデータ量が非常に少ない。また,その長さは標準的なTCP,UDP,RTPのパケットサイズに比べても短い。
データをネットワークで伝送する場合,データはパケット化されるためパケットの長さが短いほどヘッダ等のオーバーヘッドの割合が大きくなり,転送速度が低下する。エラー訂正に用いられるFECもパケットを単位とするため,パケット長が短くなると映像データのパケット数が増加して処理効率が低下する。
パケット長が短くなるのを防ぐためのNALユニット格納方法に集合パケット(非特許文献1の第 231-234ページ参照)がある。集合パケットは,一つのRTPパケットに複数のNALユニットを格納するものである。
図6,図7に集合パケットの構成を示す。集合パケットのRTPペイロードには,1個のNALユニットのデータを格納してヘッダを付与した集合ユニットが複数個と,識別子等の情報を格納したヘッダ部分(図7の集合パケット識別子の部分)が格納される。図6,図7のように,集合パケットには複数の集合ユニットが格納される。
非VCL NALユニットの数が十分多くなく,バッファに存在する,パケットのペイロードより短いNALユニットを,すべて一つのRTPパケットに格納してもRTPパケットの最大長に達しない場合には,集合パケットの最後尾に空き領域の断片(フラグメント)が発生する。
図8は,k個のパケットにm個のNALユニットを格納し,その直後にパケットのペイロードより長いVCL NALユニットが続く場合の例を示している。この長いNALユニットは,それ以前のk個のパケットとは別のパケットに格納する必要があり,k番目のパケットにフラグメントが生じる。図8のパケットkに示すとおり,この現象はエンコーダから出力される非VCL NALユニットの数によらず,後続するVCL NALユニットとの境界で必ず発生する。
図6に示したRTPペイロードにおいて,破線の部分はフラグメントである。このように短いNALユニットの数が十分な場合であっても,パケット最後尾の空き領域の長さがどのNALユニットを格納するのにも足りない場合には,フラグメントが発生する。同様のことは,図8のパケット1,パケット2,…でも示されている。ここで発生するフラグメントの長さは,そのパケットに格納するNALユニットの組み合わせに依存する。
一方,RTPパケットに,パケットのペイロードより長いNALユニットを格納する方法に分割ユニットを用いる方法がある(非特許文献1の第 231ページ,第 234-236ページ参照)。分割ユニットは,一つのNALユニットを分割して複数のパケットに格納するものである。
図9,図10に分割ユニットの構成を示す。図9は長いNALユニットであるVCL NALユニットをk個の部分に分割して,k個のパケットに格納した図であり,図10はH.264の分割パケットの構造を表す図である。分割ユニットを格納したRTPペイロードには,分割したNALユニットのデータのうち,NALユニットヘッダを除いた部分が格納されて,さらにヘッダとして識別子等のデータが付与される。
ここで,k個目のパケットには,NALユニットの最後のデータが格納されているが,その長さは最大のRTPパケット長に達せず,フラグメントが生じる。分割ユニットを用いて長いNALユニットをパケットに格納する場合には,このフラグメントが必ず発生する。
大久保,角野,菊池,鈴木:「改訂版H.264/AVC教科書」,インプレスR&D,ISBN978−4−8443−2204−7。
集合パケットによるH.264のRTP伝送では,パケットのペイロードより短いNALユニットとパケットのペイロードより長いNALユニットの境界でパケット内のフラグメントが発生し,伝送効率やFEC(前方誤り訂正機能:Forward Error Correction)処理が低下する。また,分割ユニットを用いて長いNALユニットを分割して格納した最後のパケットの内部にもフラグメントが発生して,同様に効率が低下する。
本発明は,分割パケットと集合パケットの両方の機能をもつパケット構造を導入して,この問題を解決する。同時に,パケットに格納するNALユニットの組み合わせを最適化することで,集合パケットの最後尾で発生するフラグメントを減少させることを目的とする。
この目的を達成するために,本発明は,エンコーダが出力するNALユニットを一定期間格納するバッファと,NALユニットの長さとパケット長の最大値を用いて,パケット内のフラグメントを最小化するNALユニットの組み合わせを決定する手段と,組み合わせたNALユニットをパケットに分割格納してパケットを生成する手段とを備えることを特徴とする。
本発明の作用は,以下のとおりである。長いNALユニットの前後に短いNALユニットを連結して複数パケットに格納するので,従来,次に長いNALユニットが来る場合に短いNALユニットを格納したパケットの末尾に発生していたフラグメントを,その部分に長いNALユニットのデータの一部を格納して,減少させることができる。
また,従来,長いNALユニットを格納した最後のパケットの末尾に発生していたフラグメントを,その部分に短いNALユニットを格納するか,または,長いNALユニットの最後尾がパケットの最後尾に格納されるように長いNALユニットのパケット中の格納位置をその前に格納するNALユニットの合計の長さによって調整することで減少させることができる。
このように,最適に組み合わされた複数のNALユニットからなるデータを複数パケットに格納することで,どのNALユニットの転送遅延も増加させることなく,平均パケット長を増加させ,転送効率を向上させる。
また,これによってパケット単位の処理を行うFECの処理効率を向上させることができる。
本発明によれば,1パケットに格納できるデータ量が増加して,データ伝送速度が向上する。また,同一データを伝送するのに必要なパケット数が減少し,FECの処理効率が向上する。
本発明に係る映像データ送信装置の構成例を示す図である。 複数のNALユニットを組み合わせたデータ系列の例とNALユニットのパケットへの格納状態を示す図である。 第1の例におけるNALユニット組合せ決定手段とパケット生成手段の処理を示すフローチャートである。 第1の例におけるNALユニット組合せ決定手段とパケット生成手段の処理を示すフローチャートである。 第2の例におけるNALユニット組合せ決定手段とパケット生成手段の処理を示すフローチャートである。 H.264の集合パケットの構造を表す図である。 H.264の集合パケットの構造を表す図である。 H.264のNALユニットのパケットへの格納の状態を表す図である。 パケット内のフラグメントの状態を表す図である。 H.264の分割パケットの構造を表す図である。
[背景技術]の項で述べたように,H.264/AVCで符号化された動画像データはNALユニットと呼ばれる部分に分割され,NALユニットはRTPなどのパケットへの格納やファイルへの格納の際の格納単位となる。H.264/AVCをストリーム配信する場合,平均パケット長が短くパケット数が多いとオーバーヘッドが増加して配信効率が低下する。また,RTPによるストリーム配信ではエラー訂正のためにFECが用いられることが多いが,FECはパケットを単位として行われ,最大のパケット長に満たないパケットは足りない部分にパディングデータを埋めることで処理を行う。よって,ここでも短いパケットは効率の低下につながる。
そこで,本発明では,NALユニットの分割と集約によってNALユニットのパケットへの格納を最適化することで,データ転送の効率向上とエラー訂正処理の効率向上を実現する。以下に,その実施例を説明する。
図1に,映像データ送信装置の構成例を示す。図1において,エンコーダ1は,映像信号をH.264/AVC符号化方式により符号化する。映像データ送信装置2は,H.264/AVCのエンコーダ1から出力されるデータをパケット化してネットワークに送信する。
このデータ送信のため,映像データ送信装置2は,RTP送信部20を備え,RTP送信部20は,エンコーダ1の出力するH.264/AVCデータであるNALユニット・データを一時的に蓄えるバッファ21,パケット化するNALユニットの組み合わせを決定するNALユニット組合せ決定手段22,NALユニットをパケットに格納してパケットを生成するパケット生成手段23を持つ。
本装置は,パケットに格納できるデータ長の最大値より短いNALユニットとそれより長いNALユニットを同一パケットに格納する構造を持たせ,従来は集合パケット内と,長いNALユニットを分割格納した最後尾のパケット内に発生した空き領域の断片(フラグメント)を減少させ,パケット化のオーバーヘッドを減少させることができる。
本例では,RTPによる伝送のための方式について述べる。RTPパケットによらず,最大長の決まっている一般のパケットに適用可能である。
[第1の例]
以下に本方式によるNALユニットのパケットへの格納の手続きを述べる。
〔ステップ1〕:エンコーダ1が出力するH.264で符号化された映像データのNALユニットは,エンコーダ1の出力する順にバッファ21に格納される。
〔ステップ2〕:バッファ21に格納されたNALユニットを対象として,NALユニット組合せ決定手段22は,パケットに格納するNALユニットの組み合わせを決定する。
以下は,NALユニットの組み合わせを決定する手続きである。
バッファ21中に存在するn1個(n1≧1)の短い,つまりパケットの最大のペイロードより短く1パケットに格納可能なNALユニット(通常,SPS,PPS,SEI等を格納した非VCL NALユニット)を,
SN(1),SN(2),SN(3),…,SN(n1)
とし,1パケットに格納しきれない長いNALユニット(通常,スライスのデータを符号化したVCL NALユニット)のうち最初のものを,
LN(1)
とする。
NALユニット組合せ決定手段22は,SN(1),SN(2),SN(3),…,SN(n1)を,次のようにm1個とm2個(m1+m2=n1)のNALユニットに分類する。
SN1(1),SN1(2),…,SN1(m1)
SN2(1),SN2(2),…,SN2(m2)
ここで,SN1(1)〜SN1(m1)は,LN(1)より先に送信しなければならないNALユニットであり,SN2(1)〜SN2(m2)は,それ以外のNALユニットである。SN1(1)〜SN1(m1)に分類する基準の一例は,LN(1)が符号化しているスライスとピクチャに関わるパラメータ等の情報を格納しているNALユニットであることである。
RTPパケットにNALユニットを格納するペイロードの最大サイズを,Lpとすると,LN(1)は,最大で長さがLpとなる複数の部分に分割したデータとしてk個のパケットに格納されると,最後のパケットには空きができ,フラグメントが発生する。フラグメントの長さLfは, Lf=k×Lp−L(LN(1)) …… 式(1)
である。L(LN(1))は,k個のパケットに格納する際のNALユニットLN(1)のk個の部分の合計のデータ長である。
ここで,m2個のSN2(1)〜SN2(m2)のNALユニットの中からm2′個のNALユニット(m2′≧0 )を次の条件を満たすように選ぶ。
ここで,m2′個のNALユニットの選び方は,例えば
〔選出方法1〕:m1+m2′個のNALユニットを格納するパケットのフラグメントの長さを最小化する組み合わせ(後述),
〔選出方法2〕:エンコーダ1から出力される順にパケットに格納,
という複数の方法がとれる。〔選出方法2〕は計算量が少ないが,パケット化の効率は低下する。
[条件]
前記m1個とm2′個のNALユニットをそれぞれパケットに格納するときの合計の長さを
L1,L2
としたとき,
L1<Lfならば,L1+L2<Lf ……式(2)
を満たし,
Lf≦L1<Lpならば,L1+L2<Lf+Lp ……式(2′)
を満たす。
なお,ここではL1≦Lpと仮定したが,L1>Lpとなるとき,つまり,SN1(1)〜SN1(m1)の合計の長さが,パケットの最大長Lpを超えるとき,次の手続きによって,L1<Lpとすることができる。
[L1<Lpとする手続き]
まず,SN1(1)〜SN1(m1)の中から,合計の長さL1′が,L1′≦Lpとなるm1′個のNALユニットSN1′(1),SN1′(2),…,SN1′(m1′)を選択する。このm1′個のNALユニットから1個以上の集合パケットをパケット生成手段23で生成して,送出する。
SN1(1)〜SN1(m1)からSN1′(1)〜SN1′(m1′)を除いて残ったNALユニットを,SN1″(1),SN1″(2),…,SN1″(m1″)とし,その合計の長さをL1″とする。
ここで,m1′個のNALユニットの選び方は,例えば以下の複数の方法がある。
〔選出方法1〕:m1′個のNALユニットを格納するパケットのフラグメントの長さを最小化する組み合わせ(後述)。
〔選出方法2〕:エンコーダ1から出力される順にパケットに格納することを,L1″<Lfとなるまで繰り返す。
後者の〔選出方法2〕は計算量が少ないが,パケット化の効率は低下する。なお,〔選出方法2〕では,複数のNALユニットを一つのパケットに格納する集合パケットとして構成するのが効率がよい。
残ったm1″個のNALユニットSN1″(1),SN1″(2),…,SN1″(m1″)を,新たにSN1(1),SN1(2),…,SN1(m1)とし,
その合計の長さをL1とみなせば,常に,L1<Lpと仮定することができる。
〔ステップ3〕:選ばれたNALユニットのデータをバッファ21から取り除き,パケット生成手段23へ出力する。
〔ステップ4〕:m1個のNALユニットの直後にLN(1)を接続し,その直後にm2′個のNALユニットを接続したデータ系列Nを作成する。つまり,Nは,
SN1(1)SN1(2)…SN1(m1)LN(1)SN2(1)SN2(2)…SN2(m2′)
というデータになる。
図2(A)に,作成されたデータ系列Nの例を示す。これを,図2(B)に示すように複数パケットに分割して格納する。すなわち,パケット生成手段23は,データ系列Nを一つのNALユニットとみなして,通常のH.264/AVCと同様に分割ユニット(非特許文献1の第 231ページ,第 234-236ページ参照)に分割して,複数パケットに格納する。
図3および図4は,NALユニット組合せ決定手段22が,パケットに格納するNALユニットの組み合わせを決定し,パケット生成手段23が,それらをパケットに格納して送出する手続きを示すフローチャートである。
処理P1:短いNALユニットのうち,長いNALユニットLN(1)より先に送らなければならないNALユニットSN1(1),SN1(2),SN1(3),…,SN1(m1)の合計の長さをL1とし,パケット長をLpとする。
処理P2:L1とLpの大小を比較し,L1がLpより大きい場合,処理P3へ進み,L1がLp以下であれば,処理P7へ進む。
処理P3:SN1(1),SN1(2),SN1(3),…,SN1(m1)の集合をSNとし,SNの中から合計の長さL1′がLp以下で,Lpに最も近い値になるm1′個のNALユニットを選択する。選択したNALユニットを,
SN1′={SN1′(1),SN1′(2),SN1′(3),…,SN1′(m1′)}とする。
処理P4:SN1′(1),SN1′(2),SN1′(3),…,SN1′(m1′)をパケットに格納する。
処理P5:パケット生成手段23からパケットを送出する。
処理P6:次に,SN1からSN1′を取り除いたものを,新たに,
SN={SN1(1),SN1(2),SN1(3),…,SN1(m1−m1′)とし,m1−m1′をm1とする。また,SN1(1),SN1(2),SN1(3),…,SN1(m1−m1′)の合計の長さをL1とする。その後,処理P2に戻り,同様に処理を繰り返す。
処理P7:SN1(1),SN1(2),SN1(3),…,SN1(m1)を連接したデータ系列N(N=SN1(1)SN1(2)SN1(3)…SN1(m1))を作る。
処理P8:NとLN(1)を連接したものを新たにNとする。
処理P9:L1とLfの大小を比較し,L1がLfより小さければ,処理P10へ進み,そうでなければ,処理P11へ進む。
処理P10:SN2(1),SN2(2),SN2(3),…,SN2(m2)から,合計の長さL2′がLf−L1となるm2′個のNALユニットを選択し,選択したNALユニットを,SN2′(1),SN2′(2),…,SN2′(m2′)とする。その後,処理P12へ進む。
処理P11:SN2(1),SN2(2),SN2(3),…,SN2(m2)から,合計の長さL2′がLf+LP−Lfとなるm2′個のNALユニットを選択し,選択したNALユニットを,SN2′(1),SN2′(2),SN2′(3),…,SN2′(m2′)とする。
処理P12:NとSN2′(1),SN2′(2),SN2′(3),…,SN2′(m2′)とを連接して,新たなNとする。
処理P13:Nを複数パケットに分割格納する。
処理P14:パケット生成手段23からパケットを送出する。
以上の処理によって,フラグメントの総量が減少し,全体としてのパケット数が減少する。加えて,長いNALユニットを含めたすべてのNALユニットについて,格納に必要なパケット数は従来方式よりも増加することはない。また,従来方式でそれぞれ格納するパケットよりも後ろのパケットに格納しないようにNALユニットを選択することができる。よって,パケット損失によるNALユニット毎のエラー耐性等の低下は少なく,パケット送出の遅延の増加も防ぐことができる。
NALユニットの長さはそれぞれ異なるため,格納するNALユニットの組み合わせで集合ユニットのデータ長は変動し,集合パケットの全体の長さも変動する。例えば,図6の集合パケットBは,集合パケットAよりもフラグメントが小さい。式(2)で,L1+L2を最適化する問題(図3の処理P3および図4の処理P10,P11)は,ナップザック問題として知られ,良い近似解を与える効率のよい多項式時間アルゴリズムが存在する。前記手続きにおける,各集合パケットのフラグメント長が最小になるようなNALユニットの選択も同様にナップザック問題を解くことにより得られる。また,最適化を考慮せず,バッファ21への到着順でもよい。
なお,図2(A)に示したデータ系列Nの作成例では,SN2(1)SN2(2)…SN2(m2′)はすべてLN(1)の後ろに格納したが,その一部または全部をLN(1)の前に格納してもよい。
SN1(k)の個数とSN2(1),SN2(2),…,SN2(m2′)の長いNALユニットに対する格納位置によって,短いNALユニットの格納位置は,以下の3種類に設定できる。
〔パタン1:前だけに詰める〕
すべての短いNALユニットを長いNALユニットの前に格納する。
〔パタン2:後ろだけに詰める〕
すべての短いNALユニットを長いNALユニットの後ろに格納する。
この場合,LN(1)が長いとき,LN(1)の後ろのNALユニットが来なくても,パケット送出を開始できる。
〔パタン3:前と後ろに詰める〕
一部の短いNALユニットを長いNALユニットの前に格納し,残りの短いNALユニットを長いNALユニットの後に格納する。
[第2の例]
第2の例として,長いNALユニットが複数存在する場合の例について説明する。前述した第1の例を繰り返すことで,長いNALユニットが複数存在する場合にも対応できる。
バッファ21中に,n1個の短いNALユニット
SN(1),SN(2),SN(3),…,SN(n1)
と,n2個の長いNALユニット(通常,VCL NALユニット)
LN(1),LN(2),LN(3),…,LN(n2)
が存在する場合,LN(i)を分割パケットに格納した場合のフラグメントの長さを,
Lf(i)
とする。ここで,短いNALユニットSN(1),SN(2),SN(3),…,SN( n1)を,
SN1(1),SN1(2),…,SN1(m1)
SN2(1),SN2(2),…,SN2(m2)
に2分割し,第1の例のように,LN(1)の前後に短いNALユニットを接続してパケットに格納する。LN(1)の前後に格納した短いNALユニットを除いて,パケットに格納されずに残った短いNALユニットを,再びSN(1),SN(2),SN(3),…,SN(n1)とみなして,LN(2)からLN(n2)まで,各LN(i)について順次この操作を繰り返す。ここで,各LN(i)を格納する際のフラグメントは,式(1)と同様に,
Lf=k×Lp−L(LN(i)) ……式(1′)
で得られる。L(LN(i))は,k個のパケットに格納する際のNALユニットLN(i)のk個の部分の合計のデータ長である。
図5は,この第2の例におけるNALユニット組合せ決定手段22とパケット生成手段23の処理を示すフローチャートである。
処理P20:バッファ21内のすべての短いNALユニットの集合を,
SN={SN(1),SN(2),SN(3),…,SN(n1)}
とし,バッファ21内のすべての長いNALユニットの集合を,
LN={LN(1),LN(2),LN(3),…,LN(n2)}
とする。
処理P21:ループカウンタiを1に初期化する。
処理P22:短いNALユニットの集合SNを,長いNALユニットより先に送信しなければならないNALユニットの集合SN1と,そうでないものの集合SN2とに分割する。
SN1={SN1(1),SN1(2),SN1(3),…,SN1(m1)}
SN2={SN2(1),SN2(2),SN2(3),…,SN2(m2)}
処理P23:SN1,SN2,LN(i)を,図3および図4で説明した手続きに基づいてパケットに格納して送信する。ここで,パケットに格納したNALユニットの集合をSN′とする。
処理P24:SNからSN′を取り除いたものを,新たな集合SNとし,ループカウンタiに1を加算する。
処理P25:ループカウンタiがn2以下であるかどうか,すなわち最終のNALユニットまでの送信が未終了であるかどうかを判定し,未終了である場合には,処理P22へ戻って,同様に処理を繰り返す。最終のNALユニットまでの送信が終了した場合には,本処理を終了する。
本発明は,H.264/AVCのエンコーダ1におけるパケット生成だけでなく,送信途中でパケットサイズを変更するなどのパケットの構成を変更する際の処理にも適用することができる。
以上の映像データ送信の処理は,コンピュータとソフトウェアプログラムとによっても実現することができ,そのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録することも,ネットワークを通して提供することも可能である。
1 エンコーダ
2 映像データ送信装置
20 RTP送信部
21 バッファ
22 NALユニット組合せ決定手段
23 パケット生成手段

Claims (4)

  1. 動画像の符号化データをパケット化して送信する映像データ送信装置であって,
    エンコーダが出力するNALユニットを格納して一時的に蓄えるバッファと,
    前記バッファに格納されたNALユニットの長さとパケットに格納可能な最大長に基づいて,パケットに格納できる最大長より長い第1のNALユニットを複数パケットに分割して格納したときに生じるパケットの余裕分の長さを算出し,パケットのペイロードより短い他のNALユニットから,合計の長さが前記パケットの余裕分の長さに収まる第2のNALユニットを抽出し,前記第1のNALユニットと前記第2のNALユニットとの組み合わせを決定するNALユニット組合せ決定手段と,
    組み合わせたNALユニットを複数パケットに分割格納してパケットを生成するパケット生成手段とを備える
    ことを特徴とする映像データ送信装置。
  2. 請求項1記載の映像データ送信装置において,
    前記NALユニット組合せ決定手段は,前記パケットのペイロードより短い他のNALユニットを,前記第1のNALユニットより先に送信しなければならないNALユニットと,先に送信しなくてもよいNALユニットとに分け,前記第2のNALユニットの抽出では,前記第1のNALユニットより先に送信しなければならないNALユニットを先に抽出し,前記パケットの余裕分の長さから前記先に抽出したNALユニットの合計の長さを引いた長さに収まる長さ分のNALユニットを,前記第1のNALユニットより先に送信しなくてもよいNALユニットから抽出する
    ことを特徴とする映像データ送信装置。
  3. 動画像の符号化データをパケット化して送信する映像データ送信方法であって,
    エンコーダが出力するNALユニットをバッファに格納して一時的に蓄える過程と,
    前記バッファに格納されたNALユニットの長さとパケットに格納可能な最大長に基づいて,パケットに格納できる最大長より長い第1のNALユニットを複数パケットに分割して格納したときに生じるパケットの余裕分の長さを算出し,パケットのペイロードより短い他のNALユニットから,合計の長さが前記パケットの余裕分の長さに収まる第2のNALユニットを抽出し,前記第1のNALユニットと前記第2のNALユニットとの組み合わせを決定するNALユニット組合せ決定過程と,
    組み合わせたNALユニットを複数パケットに分割格納してパケットを生成するパケット生成過程とを有する
    ことを特徴とする映像データ送信方法。
  4. コンピュータを,請求項1または請求項2記載の映像データ送信装置が備える前記NALユニット組合せ決定手段と,前記パケット生成手段として機能させるための映像データ送信プログラム。
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