JP5119944B2 - トロンメル内におけるショートパスの防止方法 - Google Patents
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Description
前記HPAL法では、例えばニッケル酸化鉱石の鉱石スラリーに硫酸を添加し、高温高圧下で浸出し、ニッケル及びコバルトを含む浸出液を得る浸出工程、ニッケル、コバルトとともに、不純物元素を含む浸出液のpHを調整し、鉄等の不純物元素を含む中和澱物スラリーと浄液されたニッケル回収用母液を形成する中和工程、及び該ニッケル回収用母液に硫化水素ガスを供給し、ニッケル・コバルト混合硫化物と貧液を形成する硫化工程を含む(例えば、特許文献1参照。)。この方法では、前記浸出工程で、鉱石スラリー中のニッケルやコバルトの90%以上が浸出される。次いで、浸出液が分離された後に、中和法により浸出液中の不純物が分離除去される。また、得られるニッケル・コバルト混合硫化物中のニッケル品位、コバルト品位はそれぞれ55〜60%、3〜6%程度であり、ニッケル・コバルト製錬における中間原料として用いられている。
なお、ここで用いる「解砕」という用語は、団子状に固まったニッケル酸化鉱石の大きな塊を小さな塊にほぐすことを意味する。したがって、「解砕」という操作は、通常、脈石などの混入物を小さな塊に砕く意味として使用する「破砕」という操作に比べて弱い力で実施することができる。
前記トロンメルの内面のトロンメル回転軸に対する垂直断面の同一円周上に、該垂直断面円周上の断面形状が略長方形であり、かつ下記の(1)及び(2)の要件を満足する突起を、下記の(3)の要件を満足するように配置した突起列を形成することを特徴とするトロンメル内におけるショートパスの防止方法が提供される。
(1)前記垂直断面円周方向の断面形状における前記突起の横幅は、前記トロンメルの目開きと同程度の長さである。
(2)前記垂直断面円周方向の断面形状における前記突起の高さは、前記トロンメルの目開きの半分程度の長さである。
(3)前記垂直断面円周方向における前記突起列の突起のピッチは、前記トロンメルの目開きの4倍程度の長さである。
である。
本発明のトロンメル内におけるショートパスの防止方法は、ドラムとトロンメルとが連結して構成されるドラムウオッシャーに、ニッケル酸化鉱石を装入して、湿式法で解砕・分級する際に、該トロンメル内における鉱石のショートパスを防止する方法であって、
前記トロンメルの内面のトロンメル回転軸に対する垂直断面の同一円周上に、該円周上の断面形状が略長方形であり、かつ下記の(1)及び(2)の要件を満足する突起を、下記の(3)の要件を満足するように配置した突起列を形成することを特徴とする。
(1)前記突起の横幅は、前記トロンメルの目開きと同程度の長さである。
(2)前記突起の高さは、前記トロンメルの目開きの半分程度の長さである。
(3)前記突起列の突起のピッチは、前記トロンメルの目開きの4倍程度の長さである。
まず、ドラムウオッシャーの構造と機能を、図を用いて説明する。図1は、本発明に用いるドラムウオッシャーの構造の一例を表す概念図である。
図1において、ドラムウオッシャー1は、ドラム2と称する円筒形の部分とトロンメル3と称するラッパ状のスクリーンの部分とからなり、それらはそれぞれの円形断面の中心線がほぼ水平になるように連結されている。ドラムウオッシャー1のドラム2側から、例えば−150mmサイズのニッケル酸化鉱石4と水5の投入6が行われ、ドラムウオッシャー1が回転することにより、大部分の鉱石はドラム2内で解砕されるとともに、スラリー状態となる。
図2において、トロンメル3内の突起列が1列の場合を示している。ここでは、(b)正面図から分かるように、突起10を4個しか示していないが、通常はトロンメル3のサイズに合わせて、所定のピッチで多数の突起10が配置される。ここで、突起列は、(a)側方図に示すように一列に、トロンメル3の回転軸に対する垂直断面の同一円周上に、所定のサイズの突起10を所定のピッチで配置することにより形成する。
前記トロンメルへドラム部分から移送されたニッケル酸化鉱石及び混入物のうち、団子状の塊のままのニッケル酸化鉱石は、下り斜面となっているトロンメル上を下る途中で、突起に衝突すると解砕されて、目開きよりアンダーサイズになる。また、突起に直接衝突しない場合でも、従来の設備に比べてゆっくりとトロンメル上を下り、塊同士が衝突する頻度が高くなるので、ニッケル酸化鉱石は解砕されて目開きよりアンダーサイズとなる。一方、混入物は、破砕されるほどの力を受けないので、そのままトロンメルからリジェクトされる。
すなわち、突起の横幅を目開きと同程度以下では、突起のトロンメルへの設置強度が保てないためである。一方、突起の横幅が目開きと同程度より大きい場合には、ニッケル酸化鉱石が斜面を下るスピードが低下して閉塞してしまう。また、突起の高さを目開きの半分程度とするのは、目開きよりも大きな塊が、突起と突起の間で閉塞してしまうことを避けるためである。この目開きの半分程度の高さの突起では、この突起よりも大きな塊は、突起によって塊の重心点がさえぎられることはないので、この突起を容易に乗り越えていくことができる。一方、突起の高さが、目開きの半分程度より小さい場合には、目開きより小さな塊も容易に突起を乗り越えてしまうので、ショートパスすることを防止するために十分な効果が得られない。なお、目開きよりも小さなニッケル酸化鉱石は突起にさえぎられたとしても、容易にトロンメルの網目を通過するので、閉塞することはない。
したがって、突起列をこの位置に配置すれば、ニッケル酸化鉱石は、落下時に突起に衝突するので、解砕されやすくなる。なお、混入物については、同様に落下時に突起に衝突しても破砕されることはほとんどない。これによって、従来の突起を設置しないドラムウオッシャーを用いた場合にトロンメル内においてオーバーサイズとしてリジェクトされていた団子状のニッケル酸化鉱石量のうち、その約70%分以上をアンダーサイズとして回収することができる。
これによって、従来の突起を設置しないドラムウオッシャーを用いた場合にトロンメル内においてオーバーサイズとしてリジェクトされていた団子状のニッケル酸化鉱石量のうち、その約80%分以上をアンダーサイズとして回収することができる。
図4において、4段階の設備で、投入されたNi酸化鉱石26中に含まれる大きな塊鉱石や混入物が、解砕と分級により、順次、分離除去される。第1段目としては、例えば、スタティックグリズリ20と称する設備によって、サイズが+250mm(29)のものがリジェクトされ、例えば、第2段目のシェイクアウトマシーン21と称する設備に移送される。シェイクアウトマシーン21では、サイズが+150mm(30)のものがリジェクトされ、第3段目のドラムウオッシャー22と称する設備に移送される。ドラムウオッシャー22では、水28の装入により、サイズが+25mm(31)のものがリジェクトされ、第4段目のバイブレーティングスクリーン23と称する設備に移送される。バイブレーティングスクリーン23では、水28の装入により、サイズが+1.4mm(32)のものがリジェクトされ、それ以下のサイズのものは中継槽(スラリータンク)24を経由して、シックナー25で濃縮された後、HPAL工程27に移送される。
ここで、第2段目のシェイクアウトマシーンにより150mm以上のものはリジェクトされ、それ以下のものが第3段目のドラムウオッシャーにフィードされる。なお、混入物の大部分は解砕されずに、第1段目のスタティックグリズリと第2段目のシェイクアウトマシーンで除去される。
[鉱石処理工程]
図4に示す鉱石処理工程でリモナイト鉱とサプロライト鉱が共存するニッケル酸化鉱石の原鉱石を処理した。各設備の分級粒度としては、第1段目のスタティックグリズリが250mm、第2段目のシェイクアウトマシーンが150mm、第3段目のドラムウオッシャーが25mm、及び第4段目のバイブレーティングスクリーンが1.4mmである。
[ドラムウオッシャーとその操業条件]
上記ドラムウオッシャーは、回転軸方向の長さが6.1mのドラムと同1mのトロンメルが連結されている。また、ドラムの直径が3.2mであり、トロンメルの連結部分の直径が2.6m、及びトロンメルの出口部分の直径が2.8mのラッパ状であり、トロンメルは、目開きが25mmになるように鋼製の網で製造されている。また、ドラム部分の下方1m程度がニッケル酸化鉱石と水が混在されたスラリーの状態となっている。
ドラムウオッシャーの操業条件としては、装入原料として、上記鉱石処理工程で第2段目のシェイクアウトマシーンを通過した−150mmものを使用した。この装入原料には、混入物として脈石や樹木の根が同程度に混入しており、容量比で、ニッケル酸化鉱石が約90%、及び混入物が約10%である。また、ニッケル酸化鉱石の装入量としては、40m3/h(150湿量トン/h)程度、及び水の装入量としては、100m3/h程度である。
ここで、トロンメルへの突起列の設置の有無、及び突起の形状とピッチを変更して、操業した。
上記ドラムウオッシャーのトロンメルに突起列を形成した。ここで、突起列は、ドラムとトロンメルの連結部から出口に向かって300mmの位置に相当する、トロンメル回転軸に対する垂直断面の同一円周上に、突起を100mmのピッチでボルト締めすることによって配置された。前記突起としては、厚さが5mmの鋼製の板材を用いて製作した、横幅がトロンメルの目開きと同程度に相当する25mm、高さがトロンメルの目開きの半分程度に相当する13mm、及び厚さが5mmの板状のものである。
上記ドラムウオッシャーの操業条件にしたがって1時間操業した後に、トロンメル内でオーバーサイズとして除去されたものに含まれる団子状のニッケル酸化鉱石の質量割合(ショートパス率)、及び次工程のバイブレーティングスクリーンを通過後の鉱石スラリー中の鉱石粒度を求めた。結果を表1に示す。なお、トロンメルを通過してバイブレーティングスクリーンに移送された混入物は、ごく一部だった。
突起列をドラムとトロンメルの連結部から出口に向かって120mmの位置に相当する円周上に配置したこと以外は、実施例1と同様に操業した。
上記ドラムウオッシャーの操業条件にしたがって1時間操業した後に、トロンメル内でオーバーサイズとして除去されたものに含まれる団子状のニッケル酸化鉱石の質量割合(ショートパス率)、及び次工程のバイブレーティングスクリーンを通過後の鉱石スラリー中の鉱石粒度を求めた。結果を表1に示す。なお、トロンメルを通過してバイブレーティングスクリーンに移送された混入物は、ごく一部だった。
突起列をドラムとトロンメルの連結部から出口に向かって120mmの位置に1列目の突起を、200mmの位置に2列目の突起を配置し、かつ2列目の突起を配置する位置は市松模様状になるように、1列目の突起間の中間部分に配置したこと以外は、実施例1と同様に操業した。
上記ドラムウオッシャーの操業条件にしたがって1時間操業した後に、トロンメル内でオーバーサイズとして除去されたものに含まれる団子状のニッケル酸化鉱石の質量割合(ショートパス率)、及び次工程のバイブレーティングスクリーンを通過後の鉱石スラリー中の鉱石粒度を求めた。結果を表1に示す。なお、トロンメルを通過してバイブレーティングスクリーンに移送された混入物は、ごく一部だった。
上記ドラムウオッシャーのトロンメルに突起列を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様に操業した。
上記ドラムウオッシャーの操業条件にしたがって1時間操業した後に、トロンメル内でオーバーサイズとして除去されたものに含まれる団子状のニッケル酸化鉱石の質量割合(ショートパス率)、及び次工程のバイブレーティングスクリーンを通過後の鉱石スラリー中の鉱石粒度を求めた。結果を表1に示す。
突起の横幅が50mmであったこと以外は、実施例1と同様に操業した。
上記ドラムウオッシャーの操業条件にしたがって1時間操業したところ、鉱石がトロンメル上の斜面を下るスピードが低下するため、突起列の部分に鉱石が堆積して流送状態が悪化した。
突起を50mmのピッチで配置したこと以外は、実施例1と同様に操業した。
上記ドラムウオッシャーの操業条件にしたがって1時間操業したところ、塊により突起と突起の間が塞がれるため、突起列の部分に鉱石が堆積して流送状態が悪化した。
突起を150mmのピッチで配置したこと以外は、実施例1と同様に操業した。
上記ドラムウオッシャーの操業条件にしたがって1時間操業したところ、突起によるショートパスを抑える効果が得られなかった。
また、比較例2〜4では、突起の形状とピッチがこれらの条件に合わないので、突起列の部分に鉱石が堆積して流送状態が悪化したり、或いは突起によるショートパスを抑える効果が得られない。
2 ドラム
3 トロンメル
4 ニッケル酸化鉱石
5 水
6 投入
7 回収羽根
8 アンダーサイズ(−25mm)
9 オーバーサイズ(+25mm)
10 突起
20 スタティックグリズリ
21 シェイクアウトマシーン
22 ドラムウオッシャー
23 バイブレーティングスクリーン
24 中継槽(スラリータンク)
25 シックナー
26 Ni酸化鉱石
27 HPAL工程
28 水
29 +250mm
30 +150mm
31 +25mm
32 +1.4mm
Claims (7)
- ドラムとトロンメルとが連結して構成されるドラムウオッシャーに、ニッケル酸化鉱石を装入して、湿式法で解砕・分級する際に、該トロンメル内における鉱石のショートパスを防止する方法であって、
前記トロンメルの内面のトロンメル回転軸に対する垂直断面の同一円周上に、該垂直断面円周上の断面形状が略長方形であり、かつ下記の(1)及び(2)の要件を満足する突起を、下記の(3)の要件を満足するように配置した突起列を形成することを特徴とするトロンメル内におけるショートパスの防止方法。
(1)前記垂直断面円周方向の断面形状における前記突起の横幅は、前記トロンメルの目開きと同程度の長さである。
(2)前記垂直断面円周方向の断面形状における前記突起の高さは、前記トロンメルの目開きの半分程度の長さである。
(3)前記垂直断面円周方向における前記突起列の突起のピッチは、前記トロンメルの目開きの4倍程度の長さである。 - 前記トロンメルの目開きは25mmであり、かつ前記突起の横幅が22〜28mmの長さ、前記突起の高さが11〜14mmの長さであり、及び前記突起列の突起のピッチが88〜112mmの長さであることを特徴とする請求項1に記載のトロンメル内におけるショートパスの防止方法。
- 前記突起列は、ドラムから流送されるニッケル酸化鉱石と水とからなるスラリーがトロンメル内に落下する位置(a)に配置することを特徴とする請求項1又は2に記載のトロンメル内におけるショートパスの防止方法。
- 前記突起列の位置(a)は、ドラムとトロンメルとの連結部からトロンメル出口に向かって100〜150mmの位置であることを特徴とする請求項3に記載のトロンメル内におけるショートパスの防止方法。
- さらに、前記突起列の位置(a)からトロンメル出口に向かってトロンメルの目開きの3倍程度の長さの位置ごとに少なくとも1列の突起列を配置するとともに、配置された突起列の突起の位置が前列の突起間の略中間位置になるように配置することを特徴とする請求項3又は4に記載のトロンメル内におけるショートパスの防止方法。
- 前記トロンメルの目開きは25mmであり、かつ前記突起列の位置(a)からトロンメル出口に向かって66〜84mmの長さの位置ごとに少なくとも1列の突起列を配置することを特徴とする請求項5に記載のトロンメル内におけるショートパスの防止方法。
- 前記ドラムウオッシャーに装入するニッケル酸化鉱石は、分級粒度が150mm程度の分級設備を通過後のアンダー部分であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のトロンメル内におけるショートパスの防止方法。
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