JP5116007B2 - 飛行データ及び操作手順書を用いた乗員行動再構築システム - Google Patents

飛行データ及び操作手順書を用いた乗員行動再構築システム Download PDF

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本発明は、運航会社等における運航安全向上活動(飛行解析プログラム)に使用されて有効な乗員行動再構築システムに関する。
航空機の事故は一度に大勢の人の命に関わる事柄であるため、航空安全技術についての技術向上が強く求められている。飛行データの解析についての現状は、近年の大型旅客機には簡易取り出し式データ記録装置(Quick Access Recorder) が取り付けられ、ほぼ全ての運航にて多量のデータが記録されている。しかし、一方で、コックピットにカメラを設置するなどして乗員の行動を監視することは行われていない。
本出願人(JAXA)は、航空安全技術に関わる研究の一環として、航空ヒューマンファクタの研究を進めている。航空ヒューマンファクタの研究分野は広範囲にわたるが、そのうち、航空システムに関わりの深い研究課題を選んで実施している。従来より実施していたパイロット・インターフェースやパイロット性能の評価法に関する研究を継続する一方で、CRM(Crew Resource Management)スキル指標の研究、DRAP(Data Review and Analysis Program)の開発、計算機人間モデルの研究を運航安全技術研究として実施している。
航空機のハードウェア技術はこの半世紀で飛躍的に向上し、事故率は大幅に減少したものの、この15年間は横這いを続けている。近年の航空機事故原因の7割以上には乗員のヒューマン・ファクタが関与しているとされており、航空安全向上のため、ヒューマンファクタ技術の研究・開発が急務となっている。
このような状況の中で、本出願人は先に特許文献1を提示して特許出願した。この発明は航空機コックピットにおける時間軸解析を対象とし、設計者が容易に利用可能なシステムの構築を目指すためのもので、ワークロード推算出力機能を装備し、コックピット・ワークロード推算プログラムにおける行動計算用シナリオ生成を自動化することにあり、このコックピット・ワークロード推算システムは、ユーザが用意した入力ファイルを基に行動計算用のシナリオを作成するシナリオ生成プロセス、作成された前記シナリオに記述された一連の作業に基づき、航空機特性モデルと連動しながら行動計算を行って時間軸解析結果を出力する行動計算プロセスそして前記行動計算の結果を図表化する計算結果処理プロセスからなるもので、上記のシナリオ生成プロセスは、データベースとして人間基本性能データを備えたものであって、機器配置ファイル、操作手順ファイル、飛行時歴データファイルを入力データとし、補間動作の生成、個々の作業に必要な時間の算出、ワークロード設定の機能を持ち、最後に行動計算ルーチン用のシナリオを出力するものとした。
上記の機器配置ファイルは、スイッチ,レバー,計器類といったコックピット機器の名称、位置、寸法および操作特性が記述されたものとし、上記の操作手順ファイルは、PF(飛行担当乗員)とPNF(非飛行担当乗員)ごとに手順番号、作業内容および作業開始条件の順にコックピット操作手順を記述されたものであって、前記作業内容は述語(作業内容)V,目的語(操作対象)O,補語(終了条件)Cを用いて記述するものとし、そして、上記の飛行時歴ファイルは、飛行高度・速度等の航空機状態およびシステム状態変化を時系列で記述されたものであった。
特願2005−298755号 平成17年10月13日出願 Hamilton, D., vierbaum, G., & Fulford, L. (1991) Task Analysis/Workload (TAWL) User's Guide: Version 4.0.U.S. Army Research Institute Research Product 91-11. Alexandria, VA: U.S. Army Research Institute for the Behavioral and Social Sciences.
本発明の課題は、近年の航空機事故原因の7割以上が乗員のヒューマン・ファクタに起因していることに鑑み、日常運航時のパイロット・パフォーマンスを解析し、傾向分析や不安全要素抽出を可能とし、乗員の行動レベル(標準操作からの逸脱等)での解析を可能にするシステムを提供することにある。
本発明の乗員行動再構築システムは、記憶部に蓄積された当該航空機の航空機仕様書、コックピットレイアウトそして運航解析データのフォーマット情報と入力される操作手順書から標準操作手順の作業を生成する手段と、与えられたシステムパラメータから検知可能な乗員行動を生成する手段と、前記両手段からの出力を受け更に観察された乗員行動と不可観測な標準操作手順の作業情報とを基に乗員行動のシナリオを生成する手段と、該乗員行動のシナリオとシステムパラメータと運航パラメータとから乗員行動の再構築を行うようにした。
本発明の乗員行動再構築システムは、可観測な標準操作手順の行動を確認して、それから、検知された乗員行動と飛行データから不可観測な標準操作手順の実施タイミング不可観測な標準操作手順の作業を含めて乗員行動を再構築する機能を備えるものとした。
本発明の乗員行動再構築システムは、不可観測な乗員行動再構築ツールとして、標準操作手順の作業生成のために視覚V、聴覚A、認識C、身体運動P源データを用いる既存の行動のシナリオ発生器プログラムからシナリオ生成ルーチンのフレームワークを使うものとした。
本発明の乗員行動再構築システムは、得られた乗員行動の再構築情報から標準操作からの逸脱を判定し、乗員への情報提示と標準操作手順データの改善のためにフィードバック機能を備えるものとした。
本発明の乗員行動再構築システムは、可観測な乗員行動を生成する機能は、相当するパラメータの変化する瞬間に行動が完了するという仮定で検知される行動のタイミングを決定するものとした。
本発明の乗員行動再構築システムは、飛行データ解析プログラムで得られる飛行データから、乗員作業実行に関わるパフォーマンス・データを得ることを可能とした。
本発明の乗員行動再構築システムは、可観測な標準操作手順の行動を確認して、それから、検知された乗員行動と飛行データから不可観測な標準操作手順の実施タイミング不可観測な標準操作手順の作業を含めて乗員行動を再構築する機能を備えるものであるため、乗員の行動についてより実際的な解析を実現できた。
本発明の乗員行動再構築システムは、得られた乗員行動の再構築情報から標準操作からの逸脱を判定し、乗員への情報提示と標準操作手順データの改善のためにフィードバック機能を備えるものであるので、運航会社の安全性向上活動にて、乗員のワークロードが恒常的に高くなっている場所や機種などを特定し、空域設定の変更や操作手順の見直し等にフィードバックして安全性を向上することが可能になる。
本出願人がこの度開発した乗員行動の安全性解析ツールであるOPSAMS(Operational Procedures Safety Analysis and Monitoring System)の発展における予備ステップとして、初期タイプの乗員行動再構築アルゴリズムが開発されて、既に本出願人が開発していた飛行と乗員行動のシミュレーション構成要素(例えば行動のシナリオ生成と飛行データ処理ルーチン;特許文献1参照)と統合された。コンピュータシミュレーション実験は、行動再構築ルーチン能力とOPSAMSツールへのその適用性を調べるために行われた。本明細書では、OPSAMSの全体的な構造と初期タイプの乗員行動再構築ルーチンの作成について説明する。
図1に本発明に係るOPSAMSの全体概念図を示す。乗員行動は飛行データ解析(FDA:Flight Data Analysis)と標準操作手順(SOP:Standard Operational Procedures)と呼ばれるシナリオを用いて再構築される。フラップレバー位置またはギアレバー位置のようなFDAデータセットのパラメータは乗員操作の結果として状態が変化する。これらによって観測可能な動作には標準操作手順と非標準操作手順作業が含まれるが、コールアウトやチェックリスト実施といった標準操作手順の実行についての情報は、FDAデータセットから得ることができない。これらを推定するために、ツールに盛り込まれる計算機人間モデルは、FDAデータから可観測な標準操作手順の行動を確認して、それから、標準操作手順以外の観察された乗員行動と不可観測な標準操作手順の作業を調べることによって、残りの検知されない乗員行動を再構築する。
運航中、果たされなければならない乗員の典型的な作業の集合は、乗員行動シナリオで指定される。これは操作手順書と航空機仕様情報を標準操作手順の作業に変えて、これらを観察された活動と統合することによってOPSAMSシナリオ生成モジュールで準備され、標準操作手順作業とそれ以外の作業の実行を含むものとなる。すなわち、航空機仕様書の内容や当該航空機のFDA蓄積データをデータベースとし、その際行われる運航手続とその際の運航データとをOPSAMSシステムに入力し、上記の作動を実行する。表1は、シナリオに含まれる乗員行動の種類をまとめて示したものである。
Figure 0005116007
行動シミュレーションはそれから、FDAデータに基づいて実行されて、各々の乗員のワークロード状態と作業シーケンスを推定し出力する。標準操作手順からの逸脱または非常に高いワークロードの期間が検知されるならば、本システムはパイロットへの安全情報としてフィードバックするため、ワークロード超過事例としてこれらを記録する。非ワークロード超過データを含む相当量の日々の乗員行動から集められるデータは、傾向分析に利用されて安全に対する潜在的脅威を評価するために使うことができ、これらは標準操作手順を改善するためにフィードバックされる。そして、安全レポート、その他として乗員に広めることができる。
乗員行動再構築ルーチンの開発について説明する。ここでは、FDAデータと標準操作手順を使っている乗員の手順的な行為を推定する初期タイプの乗員行動再構築ルーチンについて述べる。図2は、乗員行動再構築ルーチンの構造を表したものである。
まず、「標準操作手順の作業生成」であるが、乗員行動再構築ツールは、標準操作手順の作業生成のために既存の行動のシナリオ発生器プログラムから、シナリオ生成ルーチン(FWEP-ScGen)のフレームワークを使う。(FWEP:Flight crew Workload Estimation Package;非特許文献1参照)このシナリオ生成ルーチンには、以下の特徴がある。
○シナリオ生成ルーチンは、コックピットと飛行手順設計時の解析のためのシミュレーションシナリオの作成を容易にするように設計されていた。
○シナリオ生成ルーチンは、コックピットレイアウト、PF(操縦担当乗員)とPNF(非操縦担当乗員)手順の入力ファイルと飛行データ記録のフォーマットから行動のシナリオファイルを生み出す。
○シナリオ内の各々の作業アイテムは、ゴール、作業負担レベル、タスク時間、トリガその他によって定義される。
○シナリオ生成ルーチンは、自動的に、入力(コックピットレイアウトと一連の手順的な作業の前後関係)と標準的な人間のパフォーマンスデータベースに基づく各々の作業の時間を計算する。
○シナリオ生成ルーチンは、自動的に、視覚V、聴覚A、認識C、身体運動P(Visual, Auditory, Cognitive and Psychomotor)源から成るTAWL(Task Analysis/Workload)インデックス(非特許文献1参照)を使用している仕事(タスクタイプと装置タイプ)の前後関係に基づく各々の仕事の作業負担(ワークロード)レベルを指定する。
次に「可観測な行動の生成」であるが、この機能はシステムパラメータの変化をシミュレーションされた乗員行動に変換する。そして、それはFDAデータセットから検知された行動と定義される。入力コックピットレイアウトファイルと飛行データフォーマットファイルで指定されるシステムパラメータの特質は、乗員による行動(例えば、「回転」、「押し」)の種を検知して、シナリオ生成ルーチンと同じアルゴリズムを用いたワークロードレベルと作業時間を決定するのに用いられる。この可観測な行動の生成機能は、相当するパラメータの変化する瞬間に行動が完了するという仮定で行動のタイミングを決定するので、乗員の行動(例えばフラップ位置またはギア位置)の後の一定時間を経た後に、状態を変えるパラメータは検知できる行動の再構築のために使うべきではない。パイロットの操作アクションの後すぐさま変えられるパラメータ(例えば自動操縦モードボタン状態やフラップレバー位置)が使用されるべきである。
続いて「乗員行動シナリオ生成 (OPSAMS-ScGen)」であるが、この乗員行動シナリオは標準操作手順の作業と検知された行動を集積することによって生成される。パラメータ変化に基づく検知された行動には、標準操作手順の作業およびそれ以外の作業が含まれる。しかし、FDAが記録したデータセットは行動の実施者(PFあるいはPNF)に関して情報を含まない。この機能は、したがって、最初に、標準操作手順のシナリオ内に記述された動作内容と検知動作の比較テストに基いて作業の実施者を特定する。それから、標準操作手順以外の動作については、マニュアルに記述されたコックピット内責任エリア(Area of Responsibility)に基づいて作業実施者を決定する。
表2は、飛行操作マニュアルで記述される進入着陸手順の例を示したものである。○印はFDAデータからモニターが可能な作業(可観測)、□印はモニターが不可能な作業(不可観測)である。操作手順書からの標準操作手順の作業生成が終わった段階では、各々の標準操作手順の開始条件作業アイテム(それはトリガと呼ばれている)は、例えば、「3,000フィートの高度を超えた後に」といった飛行パラメータ、および/または前の作業アイテムの完了によって指定される。観察された行動が標準操作手順の作業アイテムと確認されるならば、そのトリガは時間強制条件によって上書きされる。それから、観察された非標準操作手順の行動が加えられる。このようにして、乗員行動シナリオは生成されることになる。
Figure 0005116007
次に「行動再構築とパフォーマンス評価」について説明する。時間軸に沿った乗員の行動は、FDAデータおよび行動モデルによって、再構築される。検知された標準操作手順の作業およびそれ以外の検知作業は、時間強制的ペースで起動する。不可観測な標準操作手順の作業は、行動モデル内のルール・ベースの意志決定アルゴリズムと作業負担分配アルゴリズムによって起動される。不可観測な標準操作手順の作業を始めるためのアルゴリズムは、以下の通りである。
○もし、作業開始条件が満たされるならば、その作用状態は「開始準備完了」にセットされる。
○各々の乗員人間モデルは、自身のV,A,C,Pについて作業負担状態をチェックする。
○もしすべての必要なV,A,C,P源が仕事を果たすことに支障がないならば(すなわち、各々の源の作業負担レベルが7.0未満であるならば)、モデルはそれを開始する。
○もし、いずれのV,A,C,P源も他の進行中の行動のために利用できないならば、モデルは行動に関して「待機」となり、次のシミュレーションステップにおける上記のプロセスを繰り返す。
○開始できる状態が満たされている間に、ワークロードに空きがないなどモデルが作業を開始する時を捜し出すことができないならば、開始できる状態が満了する直前に、そのV,A,C,P状態をチェックすることなく作業開始を強制する。
計算結果として、推定されたタイミング及びモデルが実施した標準手順タスクの順序が出力される。また、検知されたタスク、(標準手順及びそれ以外を含む)及び推定された不可観測SOPタスクのワークロード時歴が出力される。各々の作業の作業負担は、標準操作手順シナリオで指定される標準的な作業時間と作業負担レベルに基づいて計算される。これらの結果は、標準操作手順シナリオからの逸脱の可能性解析や非常に高い作業負担状況を検出するのに用いられる。標準操作手順のなかのある作業アイテムがモデルで実行されないとき、あるいは、再構築された標準操作手順の作業の順番が不規則ならば、標準操作手順シナリオからの逸脱の可能性ありと診断される。2つの検知された行動の間があまりに短い場合若しくは、乗員行動モデルがいくつかの不可観測な標準操作手順の作業アイテムが強制的に実施されるような場合には、それらのワークロードが加算され、非常に高い作業負担状態が特定されることになる。
以下に、本発明に係るOPSAMSのシミュレーション実験の次第を示す。一連のシミュレーションは、OPSAMSツールの概念のデモンストテーションと、乗員行動再構築ルーチンのツールへの適用性を調べるために実行された。ジェット輸送機関コックピット構成とアプローチと着陸手順(表2)が使われた。異なる3セットのアプローチ飛行とシステムデータが入力用として準備された。これらは実際のFDAデータでなくて、飛行シミュレーションから記録されたものである。しかし、データフォーマット(例えばパラメータセットとサンプリング周波数)はFDAデータと同じであった。飛行プロフィールは各々のケースで同じであったが、システムパラメータのシーケンスとタイミングは3つのデータセットの間で異なっていた。表3は、これらの飛行データセットが再構築されたシミュレーション事例をまとめて示したものである。
Figure 0005116007
また、表4は入力される飛行データの明細を示す。
Figure 0005116007
シミュレーションの結果を示す。図3は、ケース1(ベースライン)のモデルによって飛行とシステムプロフィールとタスクシーケンスが再構築されることを示している。検知された標準操作手順の作業と不可観測な標準操作手順の作業と検知された他の活動といったさまざまな行動は再構築され、そして、タスクシーケンスと作業負担の履歴が生成された。全ての標準操作手順の作業は完遂され、飛行の間の作業負担レベルは7.0(最大限)未満であった。ケース2では、2つの乗員による運航作業が超過負担実例が観測され(図4参照)、両方とも複数の行動の干渉に起因していた。また、ケース1と異なる標準操作の作業アイテムの実施順序(表5参照)も報告された。
Figure 0005116007
ケース3では、PNFの手順作業ナンバー9の省略が報告された。これらの理由については、以下に説明する。
上記の再構築は、標準操作手順の作業実行シーケンス、タイミングと作業負担レベルの形で各々の飛行のために異なる乗員パフォーマンスを発生させた。飛行データだけを使っている安全解析と比較して、これは乗員の作業負担に関する非常に詳細で直接的な情報と標準操作手順シーケンスの実行を提供することができた。OPSAMSツールは、飛行において標準操作手順の逸脱の可能性を見つけて、機種毎、空港毎または一定の期間にわたって統計安全分析を実行するために、これらのデータを使う。以下は現在の乗員行動再構築ルーチンの適用性とその範囲を議論するとともに、今後の開発や機能検証の必要性を考察する。
通常、全ての作業が十分な作業負担レベルの下で果たされることができるように、コックピット手順は定められる。TAWLが手順設計段階において作業負担解析のために使われるとき、(V,A,C,P)作業負担が最大の(7.0)を決して上回ってはならないように、手順は設計されなければならない。このように、7.0を超えるV,A,C,Pシミュレーション出力は、許容できる作業負担レベルの超過を示す、安全でないかもしれない事例を示すことができた。しかし、これはモデルの行動再構築アルゴリズムの特性に基づいて、慎重に調査されなければならない。
ケース2では、作業負担の超過イベントは、表6で示される理由で発生したと考えられる。
Figure 0005116007
イベント1に類似した事例は実施には高い作業負担状態がなかったことということもあり得る。すなわち、実際の作業速度が単にモデルの標準的な作業期間より速かった、或いは高い作業負担の状況となり、結果として作業が速く実行されなければならなかったということが考えられる。これらの可能性のうちどちらがより高いかについて確認するためには、この事例の近傍における作業負担密度を調べることが有効であると考えられる。(イベント1の場合は、前者の可能性は、後者よりありえそうである。)
イベント2に類似した事例は、作業負担分配アルゴリズムが条件が満たされている期間内で作業開始タイミングを捜し出すことができなかった。したがって、これはベースラインよりも高い作業負担状況が発生したと考えられる。
作業負担レベルと作業時間については、それらが平均的乗員パフォーマンスに基づいたOPSAMSシーケンス生成の仮定によって計算されるためで、必ずしもある特定の実際の飛行を再現しているとはいえない。しかしながら、いろいろな飛行データセットを同じ仮定に基づいて再構築するため、これらを客観的かつ相関的に比較することが可能となる。この目的のためには、安全でない事例を見つけるために適当な境界値を決めることは、非常に重要で、かなりのデータ量の検査に基づかなければならない。飛行データと乗員行動を記録することができるHuman-in-the-loopシミュレーションはこれらの種類の試験に有効であって、このツールが実際のFDA解析に適用される前に、実行されるべきである。また、再構築機能は、さらに試験され、human-in-the-loopシミュレーションによって向上し、機能検証が行われなければならない。
ケース2において生成された標準操作実行手順は、ケース1におけるそれとは異なるものであった。本発明者はこれが標準操作シーケンスからの逸脱を必ずしも意味しないと考える。実際の飛行において、乗員は標準操作の作業手順を変えることができ、いろいろな状況に適応するために、安全でないパターンを確認するために標準操作アイテムを故意に省略することができる。しかし、標準操作実行手順の出力は、これらの蓄積が標準操作の手順実行について安全であるか否かの情報を提供することができるので、一層有用である。
検知行動を生成するとき、モデルは標準操作の手順と責任エリアの定義に基づいて実施を推定する。これは、FDAデータには、実施者の情報がないためである。実際の飛行において、乗員はある乗員の高い作業負担状況を楽にするために手順書上で割り当てられた標準操作の作業を別の乗員に実施してもらう場合があり得る。そして、これは飛行安全性の観点からの良い乗員間調整と考えてよい。しかし、我々のモデルはこの種の状況を確認することができない。再構築の方法は個々の乗員の能力を推定するのに用いるのではなく、全体として乗員の能力を推定するのに用いられなければならない。
この乗員行動再構築ルーチンでは、標準操作の作業でない不可観測な行動を再構築することができない。そのような行動は管制通信:ATC作業(プッシュツートークスイッチの操作信号が録音されないといった)や、FMS操作のようなナビゲーション作業、その他を含むことになろう。そして、本発明者はこれらの検知されない行動による高い作業負担状況が標準操作シーケンスの実行に影響を及ぼすと仮定する。そして、若干のてがかりはOPSAMSによって検知できるかもしれない。これはやはりhuman-in-the-loopシミュレーションによって調べられるべきものである。
本発明に係る乗員行動再構築システムの全体概念図を示す。 本発明に係る乗員行動再構築ルーチンの構造を表した図である。 あるケース(ベースライン)のモデルによって飛行とシステムプロフィールとタスクシーケンスが再構築されることを示すデータのグラフである。 2つの乗員による運航作業が超過負担イベントと観測された他の事例を説明する図である。

Claims (5)

  1. 記憶部に蓄積された当該航空機の航空機仕様書、コックピットレイアウトそして運航解析データのフォーマット情報と入力される操作手順書から標準操作手順の作業を生成する手段と、与えられたシステムパラメータから可観測な乗員行動を生成する手段と、前記両手段からの出力を受け更に観察された乗員行動と不可観測な標準操作手順の作業情報とを基に乗員行動のシナリオを生成する手段と、該乗員行動のシナリオとシステムパラメータと飛行パラメータとから乗員行動の再構築を行う乗員行動再構築システム。
  2. 検知できる標準操作手順の行動を確認して、それから、検知された乗員行動と飛行データから不可観測な標準操作手順の実施タイミングを推定し、不可観測な標準操作手順の作業を含めて乗員行動を再構築する機能を備えた請求項1に記載の乗員行動再構築システム。
  3. 乗員行動再構築ツールとして、不可観測な標準操作手順の作業生成のために視覚V、聴覚A、認識C、身体運動P源データを用いる既存の行動のシナリオ発生器プログラムからシナリオ生成ルーチンのフレームワークを使うものである請求項1又は2に記載の乗員行動再構築システム。
  4. 得られた乗員行動の再構築情報から標準操作からの逸脱を判定し、乗員への情報提示と標準操作手順データの改善のためにフィードバック機能を備えた請求項1乃至3のいずれかに記載の乗員行動再構築システム。
  5. 可観測な乗員行動を生成する機能は、相当するパラメータの変化する瞬間に行動が完了するという仮定で検知される行動のタイミングを決定するものである請求項1乃至4のいずれかに記載の乗員行動再構築システム。
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