JP5115436B2 - マイクロ化学デバイス及びその製造方法 - Google Patents

マイクロ化学デバイス及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5115436B2
JP5115436B2 JP2008254116A JP2008254116A JP5115436B2 JP 5115436 B2 JP5115436 B2 JP 5115436B2 JP 2008254116 A JP2008254116 A JP 2008254116A JP 2008254116 A JP2008254116 A JP 2008254116A JP 5115436 B2 JP5115436 B2 JP 5115436B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
plate
polymer
pdms
oxygen
group
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2008254116A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010082540A (ja
Inventor
正也 黒川
政人 藤橋
涼 久野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Starlite Co Ltd
Original Assignee
Starlite Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Starlite Co Ltd filed Critical Starlite Co Ltd
Priority to JP2008254116A priority Critical patent/JP5115436B2/ja
Publication of JP2010082540A publication Critical patent/JP2010082540A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5115436B2 publication Critical patent/JP5115436B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Micromachines (AREA)
  • Physical Or Chemical Processes And Apparatus (AREA)

Description

本発明は、ポリジメチルシロキサン(以下「PDMS」と称する)プレートと各種高分子プレートとを接合したマイクロ化学デバイス及びその製造方法に関するものである。
バイオ関連分野、臨床検査分野、あるいは環境関連分野などにおいて、数μmから数百μmの微細な形状を有するガラス製のマイクロ化学デバイスが用いられている。これらのマイクロ化学デバイスの中で、流路系のマイクロ化学デバイスでは、流路系デバイスとしてデバイス内に流路を形成するために、数μmから数百μmの微細な流路形状を有するデバイスの微細流路面にフラットなプレートを接合させる必要がある。但し、プレートはフラットに限定されるものではない。
ガラス製のマイクロ化学デバイスの場合、二枚のガラスプレートを接合する方法として陽極接合という接合手法がすでに確立されていて、この接合方法でガラス製のマイクロ流路デバイスが製作されている。そして、このガラス製のマイクロ流路デバイスでは、数μmから数百μmの微細な流路をウエットエッチング法で製作するのが一般的である。ところが、ウエットエッチング法は、流路パターンのマスキングが必要であり、またエッチング速度も遅いため、流路を形成するのに長時間を要し、また流路形状もデバイス毎に異なるため多数のマスキングパターンが必要であるといった欠点がある。更に、陽極接合手法で二枚のガラスプレートを接合するのに長時間を要するなど、製造効率が悪く、コスト高となる欠点がある。
一方、近年、射出成形法でプラスチック製のマイクロ化学デバイスを製作する検討が進行中であり、一旦所望するマイクロ化学デバイス上の微細形状を反転させた金型入子さえ製作できれば、射出成形という成形手法での再現精度の高い成形品が得られる。マイクロ化学デバイスの材質がポリマーになった場合でも、流路系デバイスの場合は流路を完成させるために、フラットなプラスチック製のプレートを流路系デバイスと貼合せしなければならない。ここで、プラスチック製のマイクロ化学デバイスの場合の接合方法としては、1)熱プレス接合、2)レーザによる接合、3)超音波接合、4)溶液接合などが上げられる。しかし、プラスチックでは、ガラス製デバイスと比べて、1)接合面の平滑性が悪い、2)耐熱性が低い、3)耐溶媒性が悪いなどの欠点がある。
そこで、本出願人は、マイクロ流路の流路側壁にフラットなプレートと接合する接合代(リブ部)を設けたプラスチック製のマイクロ流路デバイスを提案した(特許文献1)。この手法では、接合面のうねり量・ヒケ量をマイクロ流路の側壁のリブが吸収して、フラットなプレートとの接合が可能となる。また、接合面全体を接合するのではなく、マイクロ流路の両側壁のリブ部のみを接合するため、マイクロ流路デバイスとフラットプレートとの全面接合で多発するエアートラップ現象は見られない。
しかし、このようなリブ部を有するマイクロ流路デバイスにおいても、マイクロ流路側のプレートとフラットなプレートとは、原則的に同じ材質のものを使用しなければならない。更に、射出成形で製作するプラスチック製のマイクロ化学デバイスでは、デバイスに求められる微細形状を反転させた金型の製作費が高く、マイクロ化学デバイスの生産枚数が少ない場合は、金型製作費を含めたマイクロ化学デバイスの製作コストが高額になってしまう。
更に、PDMSプレートと、高分子プレートとの接合に関しては、特許文献2にあるように、高分子プレートの接合面側に酸化シリコン膜をスパッタリングで10nmから40nmの膜厚で形成する手法がある。スパッタリングでは膜厚のコントロールが難しいことと、高分子プレートによって酸化シリコン被膜の接着強度が異なるなどの問題点がある。
射出成形でPDMS製のマイクロ化学デバイスを製作する場合、通常、デバイス上の微細形状を反転させた金属製の金型を射出成形モールドベースに組込んでPDMS製のマイクロ化学デバイスをナノレベルからマイクロレベルの形状再現性で生産できる。ここで、マイクロ化学デバイスの生産枚数が数十枚程度と少ない場合は、射出成形という成形品の形状再現性を有する成形方法を提案している(非特許文献1)。
PDMS製のマイクロ流路デバイスを製作する場合、マイクロ流路を形成させるためにマイクロ流路面側にプレートを接合させなければならない。この場合、一般的には、貼り合わせるプレートもPDMS製、あるいはガラス基板が用いられ、デバイス、プレート双方の接合面にプラズマを照射することで接合させる。しかし、PDMS同士の接合では、PDMS樹脂の性質上、柔軟性に富んでいるためデバイス厚みが5mm未満の場合はデバイスが扱い難い。一方、ガラスプレートを用いた場合、使用後のデバイスの廃棄処理、ガラスプレート上の加工、ガラスプレート面とPDMS面との親水性が大きく異なることなどの問題がある。
特開2006−142198号公報 特開2005−257283号公報 黒川正也、老子真人、藤橋政人、田中登紀子、西川直樹,「射出成形によるPDMS製マイクロデバイスの開発」,第17回化学とマイクロ・ナノシステム研究会(17th CHEMINAS)講演要旨集,FP01、p5(2008年5月20日(火)、21日(水))
射出成形でPDMS製のマイクロ化学デバイスを製作する場合、PDMSは射出成形金型に充填後に硬化するという特徴から、一般的な射出成形材料を用いたマイクロ化学デバイスより薄肉(薄膜)のマイクロ化学デバイスを製作することが可能となる。そこで、肉厚の薄い、0.1mmから5mm以下、好ましくは0.5mmから3mm以下、更に好ましくは0.5mmから1.5mm以下のマイクロ化学デバイスの場合は、PDMSプレートと接合する相手プレート(微細パターンの有無は問わない)を高分子プレートとし、それらを接合する新規な手法を提案する。
一般的には、PDMS製のデバイスと高分子プレートとは双方の接合面をプラズマ照射しても接合しない。高分子ポリマー同士の接合では熱による接合面の溶融により接合が可能となるが、PDMSは200℃以下の温度で高分子ポリマーとは接合しない。更に、一般的にプラスチックの界面改質として用いられるテトラメトキシシラン(TMOS)をPDMS製のデバイスと高分子プレートの界面に介在させても両者は接合しない。
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、PDMSプレートと高分子プレートの何れか一方又は双方の接合面に微細流路が形成され、両プレートを接合することで接合面境界に閉じた微細流路が形成されるマイクロ化学デバイスにおいて、PDMSプレートと高分子プレートの接合面を改質し、両プレートの接合性を高めたマイクロ化学デバイス及びその製造方法を提供する点にある。
第1発明は、前述の課題解決のために、ポリジメチルシロキサン(以下「PDMS」と称する)プレートと、ポリスチレン(PS)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、環状オレフィン系ポリマー(COP)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルイミド(PEI)の少なくとも一つからなる高分子プレートの何れか一方又は双方の接合面に微細流路が形成され、前記PDMSプレートと高分子プレートの両接合面のうち少なくとも前記高分子プレートの接合面に酸素含有基を導入し、この酸素含有基中の水酸基にシラノール基を有する有機官能基成分を反応させる処理を施した後、前記PDMSプレートと高分子プレートの両接合面を加圧接合することで、接合面境界に閉じた微細流路を形成したことを特徴とするマイクロ化学デバイスを構成した(請求項1)。
ここで、前記PDMSプレートと高分子プレートのそれぞれの接合面に、接合直前に酸素含有基を導入することが好ましい(請求項2)。
また、マイクロ化学デバイスの製造方法として、ポリジメチルシロキサン(以下「PDMS」と称する)プレートと、ポリスチレン(PS)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、環状オレフィン系ポリマー(COP)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルイミド(PEI)の少なくとも一つからなる高分子プレートの何れか一方又は双方の接合面に微細流路が形成され、両プレートを接合することで接合面境界に閉じた微細流路が形成されるマイクロ化学デバイスの製造方法であって、
(a)両接合面の何れか一方又は双方に微細流路が形成されたPDMSプレートと高分子プレートを用意するステップと、
(b)前記PDMSプレートと高分子プレートの両接合面のうち少なくとも前記高分子プレートの接合面に酸素含有基を導入するステップと、
(c)酸素含有基を導入した高分子プレート又は高分子プレートとPDMSプレートの接合面に、水系による加水分解でシラノール基となった有機官能基成分を導入するステップと、
(d)両プレートを常温〜200℃以下の温度で加圧接合するステップと、
を有することを特徴とするマイクロ化学デバイスの製造方法を構成した(請求項3)。
更に、製造方法において、前記ステップ(c)の後で両プレートを接合するステップ(d)の直前に、有機官能基成分を導入した高分子プレート又は高分子プレートとPDMSプレートの接合面に、酸素含有基を導入するステップ(c2)を有してなることがより好ましい(請求項4)
ここで、前記酸素含有基を導入するステップは酸素含有基を導入する前記プレートの接合面を、酸素存在下でプラズマ処理するものである(請求項5)。
また、有機官能基成分を導入するステップ(c)は、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤又はアルミネート系カップリング剤を添加した溶液中に、前記高分子プレート又はPDMSプレートを浸漬して酸素含有基中の水酸基にシラノール基を有する有機官能基成分を反応させるものである(請求項6)。
以上にしてなる本発明のマイクロ化学デバイス及びその製造方法によれば、PDMSプレートと高分子プレートの何れか一方又は双方の接合面に微細流路が形成され、両プレートを接合することで接合面境界に閉じた微細流路が形成されるマイクロ化学デバイスにおいて、PDMSプレートと高分子プレートの両接合面のうち少なくとも前記高分子プレートの接合面に、酸素含有基を導入し、この酸素含有基中の水酸基にシラノール基を有する有機官能基成分を反応させた後、PDMSプレートと高分子プレートとを常温〜200℃以下の温度で加圧接合することができ、また高分子プレートの材質を選択することにより、微細流路を形成するPDMSプレート面と高分子プレート面の親水性を近似させることができ、更に使用後のデバイスの廃棄処理が容易になり、環境に優しいマイクロ化学デバイスとなる。そして、PDMSプレートと高分子プレートのそれぞれの接合面に、接合直前に酸素含有基を導入することにより、より確実に接合できる。
また、PDMSプレートと高分子プレートの何れか一方又は双方の接合面に微細流路が形成され、両プレートを接合することで接合面境界に閉じた微細流路が形成されるマイクロ化学デバイスにおいて、PDMSプレートと高分子プレートのそれぞれの接合面に酸素含有基を導入し、この酸素含有基中の水酸基にシラノール基を有する有機官能基成分を反応させた後、PDMSプレートと高分子プレートのそれぞれの接合面に、接合直前に酸素含有基を導入することにより、前述の効果に加えて、流路の内面全周に有機官能基成分が導入されることになるので、均一な親水性を備えた流路となる。
PDMSプレートと高分子プレートに酸素含有基を導入するには、酸素存在下でプラズマ処理を行うだけで簡単にでき、酸素含有基中の水酸基にシラノール基を有する有機官能基成分を反応させるには、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤などを添加した溶液中に浸漬するだけで行うことができる。
次に、本発明の詳細を実施形態に基づいて説明する。先ず、射出成形でPDMS製プレートと高分子プレートとを製作する。数μmから数百μmの微細な形状は、PDMSプレート側、高分子プレート側、どちらに形成しても構わないし、双方に形成してもよい。
数μmから数百μmの微細な形状を有するPDMS製のデバイスを数枚から数十枚製作する場合は、デバイスの微細形状を反転させた形状を紫外線(UV)露光機でUVレジスト上に形成させ、レジスト型として射出成形用のモールドベースに組み込むことで、PDMS製のデバイスを短期間でかつ低価格で製作することができる。このPDMS製のデバイスの微細形状面を、例えば、ヤマトマテリアル株式会社製のプラズマ発生装置(商品名「プラズマクリーナー PDC210」)でプラズマ処理することで、微細形状面に酸素含有基を導入することができる。このプラズマ照射では、酸素をプラズマ照射チャンバー内に導入後にプラズマを照射した方が、酸素含有基の導入は多くなる。
高分子ポリマーも同様に射出成形で製作する。高分子ポリマーとしては、ポリスチレン(PS)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、環状オレフィン系ポリマー(COP)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルイミド(PEI)が挙げられるが、これらの材料は透明性が高いという特徴から、主として透過型の光学検出用のデバイス用に用いられる。透過型の光学検出以外のデバイス用では、これらの材料にカーボンブラックなどの添加剤を射出成形でデバイスを金型から離型する際にデバイスにクラックが入らない程度に配合することができる。更に、使用目的によっては、これら以外の高分子ポリマーも使用できる。
射出成形で得られた高分子ポリマーの厚みは0.5mmから3mm、好ましくは0.7mmから2mmがよい。0.5mm未満になると射出成形時の射出成形圧力が非常に高くなり、未充填のデバイスが得られたり、たとえ完全充填のデバイスが得られたとしても高い射出圧力の影響でデバイスに大きな変形、反りが発生する。また、肉厚が3mmを越えると、デバイスの中央部が外周部に比べて凹む、いわゆるヒケが急激に大きくなる。
一方、射出成形以外で得られる高分子プレートとしては、一般的にフィルムプレートがあり、このフィルムプレートを用いる場合の厚みは特に限定されず、PDMSプレートと接合した際のマイクロ化学デバイスのハンドリング性やフィルムの入手の可否で決めればよい。
数μmから数百μmの微細な形状を高分子プレート面に形成する場合は、使用する高分子がポリプロピレン(PP)のように比較的柔らかい材料(曲げ弾性率が9000Pa以下)で、数枚から数十枚程度であれば上述のレジスト型を用いて射出成形で製作することも可能であるが、それ以外は微細形状を反転させた形状の金属製の金型を製作し、この金属製の金型をモールドベースに組み込んで射出成形する。
射出成形で得られた高分子ポリマーとPDMSプレートとの接合面をプラズマ処理し、接合面に酸度含有基を導入する。この場合、PDMS製のプレートの場合と同様に酸素存在下でプラズマ処理すると酸素含有基を効果的に導入することが可能となる。なお、酸素以外に炭酸ガス存在下でプラズマ処理を実施しても効果的に酸素含有基を導入することができる。プラズマ照射条件の一例として、前述のプラズマクリーナーPDC210の場合、照射出力300W、照射時間30秒、酸素を導入した場合の酸素導入量100mlを挙げるが、この条件に限定されない。更に、酸素含有基の導入は真空プラズマ装置に限定させず、大気圧プラズマ装置、コロナ放電装置を用いても良い。
表1は、ポリスチレン(PS)プレートの表面を真空プラズマ処理、酸素プラズマ処理をした場合に、プレート表面に導入された水酸基量をX線光電子スペクトル(XPS)で測定した値を示している。未処理に比べて真空プラズマ処理をした場合は、水酸基が2倍以上に増加し、更に積極的に酸素存在下で行う酸素プラズマ処理をした場合では、更に真空プラズマ処理をした場合と比較して10倍以上の水酸基の増加が観察された。
Figure 0005115436
そして、ビニル基、エポキシ基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、アミノ基、ウレイド基、クロロプロピル基、メルカプト基、スルフィド基、イソシアネート基を有機官能基として有するシランカップリング剤、例えば、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メラクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどを、水、あるいは水とメタノールとの混媒、又は水とエタノールとの混媒に数%の濃度で、単体、あるいは複数種を組み合わせて溶かし、このシランカップリング剤を添加した溶液中に、プラズマ処理後のPDMSプレート、高分子プレートを浸漬させ、プラズマ処理して導入した酸素含有基の中の水酸基と、シランカップリング剤が加水分解したシラノール基とを反応させる。反応時間は、酸素含有基中の水酸基とシラノール基とが十分に反応する時間であれば特に限定されないが、常温の場合では、数分から120分間、好ましくは、5分から60分程度である。所定時間後に水溶液中から高分子ポリマーを取り出し、30℃から90℃、好ましくは50℃から80℃の温度で水酸基とシラノール基との反応を完結させる。その後に、有機官能基成分を導入した接合面をプラズマ処理する。このプラズマ処理工程は、接合相手プレートの接合面と同じプラズマチャンバー内で同時にプラズマ処理をする場合が多いが、特に限定されるものではない。
なお、本プロセスではプラズマ処理後に反応させる物質はシランカップリング剤に限定されず、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤など、加水分解後に主として水酸基、カルボニル基、カルボキシル基、アミノ基などと反応する有機官能基を有する物質を用いることができる。
プラズマ処理後、直ちに、両プレートの接合面を合わせ加圧する。加圧力は、PDMSプレートが変形しない程度で構わない。特に、両プレートに微細形状がある場合は、両プレートの接合時の位置合わせが重要となる。位置合わせとして、高分子プレート側に凸形状の位置合わせ部位を、一方、PDMS側に凹形状の位置合わせ部位を1セット以上設けることで両プレートの位置合わせ精度が向上する。なお、位置合わせに関しては、上述の手法に限定されるものではなく、両プレート間に位置合わせ用のアライメントマークを数個設けるといった方法でもよい。
本発明の特徴は、PDMSプレートと異種材料の高分子プレートとを加熱せずに常温で接合できることである。但し、この場合、PDMSプレートと高分子プレートとの線膨張係数を十分に考慮して、接合時間の短縮のため接合時にプレートを加熱しても良い。ここで述べる接合とは、PDMSの1つの特徴である自己粘着性による接合ではない。
また、PDMSプレートに関しては、接合する前に200℃、4時間程度、PDMSをポストキュアさせ、未硬化のPDMSを硬化あるいは揮散させてもよい。
シランカップリング剤では、ビニル基、エポキシ基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、アミノ基、ウレイド基、クロロプロピル基、メルカプト基、スルフィド基、イソシアネート基などの有機官能基によって溶媒への溶解度が異なる。水に溶解可能なシランカップリング剤は水を溶媒として用いることが可能であるが、水に溶けにくい、あるいは不溶のシランカップリング剤は、水とアルコールとの混合溶媒というように適切な溶媒を選定する必要がある。
一方、この発明で接合をしたデバイスでは、数μmから数百μmの微細な形状面に有機官能基が存在することになる。この有機官能基は接合時のプラズマ処理で消失することがないため、蛋白質あるいはDNAといったバイオ関連物質を扱うデバイスでは、微細表面上の有機官能基に測定(解析)物質が吸着されないようにしなければならない。
更に、PDMSプレートと高分子プレートとの接合により形成された微細流路の各壁面を同じ環境にするには、PDMSプレート側、高分子プレート側双方とも接合前に有機官能基成分を導入しておく方が望ましい。
なお、本発明ではシランカップリング剤処理後に処理面をプラズマ処理しているが、このプラズマ処理でシランカップリング剤の処理効果が無くならないことを、間接的ではあるが処理面上の水滴接触角から確認している(表2参照)。
Figure 0005115436
表2は、PDMSプレートに各種表面処理を施し、水の接触角の経時変化を調べた結果である。プラズマ処理後にシランカップリング剤処理をした場合と、プラズマ処理後にシランカップリング剤処理をし、更にプラズマ処理をした場合では、最終工程処理直後の水の接触角はともに20°以下となっている。一方、何れの処理の場合も、最終工程処理直後が最も水の接触角が小さく、6日経過後には水の接触角は大きくなり、それ以降は安定化する傾向がある。プラズマ処理直後は、水の接触角が小さい、即ち親水性が高いので、プラズマ処理直後に高分子プレートと接合するのである。
そして、PDMSプレートと各種高分子プレートとの組み合わせで、接合面に各種に表面処理を施した場合について接合性を調べた結果を次の表3に示す。表3中の左欄は、各種表面処理を示し、本発明による処理は、高分子プレートをプラズマ処理した後、シランカップリング剤処理をし、更に接合直前のPDMSプレートと高分子プレートを同時にプラズマ処理した場合である。この結果、本発明による処理のみが良好な接合性が得られたことが分かる。
Figure 0005115436
前記PDMSプレートと高分子プレートを接合する直前に、プラズマ処理して接合面に酸素含有基を導入するが、その際に両プレートを同じプラズマ処理装置で同時に処理することが可能であり、この場合には同じ条件でプラズマ処理できる利点がある。しかし、高分子プレートの種類によっては、PDMSプレートと同じ条件でプラズマ処理しない方が好ましい場合があり、その際には、PDMSプレートと高分子プレートを別々にプラズマ処理装置で条件を変えて処理する。

Claims (6)

  1. ポリジメチルシロキサン(以下「PDMS」と称する)プレートと、ポリスチレン(PS)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、環状オレフィン系ポリマー(COP)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルイミド(PEI)の少なくとも一つからなる高分子プレートの何れか一方又は双方の接合面に微細流路が形成され、前記PDMSプレートと高分子プレートの両接合面のうち少なくとも前記高分子プレートの接合面に酸素含有基を導入し、この酸素含有基中の水酸基にシラノール基を有する有機官能基成分を反応させる処理を施した後、前記PDMSプレートと高分子プレートの両接合面を加圧接合することで、接合面境界に閉じた微細流路を形成したことを特徴とするマイクロ化学デバイス。
  2. 前記PDMSプレートと高分子プレートのそれぞれの接合面に、接合直前に酸素含有基を導入する請求項1記載のマイクロ化学デバイス。
  3. ポリジメチルシロキサン(以下「PDMS」と称する)プレートと、ポリスチレン(PS)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、環状オレフィン系ポリマー(COP)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルイミド(PEI)の少なくとも一つからなる高分子プレートの何れか一方又は双方の接合面に微細流路が形成され、両プレートを接合することで接合面境界に閉じた微細流路が形成されるマイクロ化学デバイスの製造方法であって、
    (a)両接合面の何れか一方又は双方に微細流路が形成されたPDMSプレートと高分子プレートを用意するステップと、
    (b)前記PDMSプレートと高分子プレートの両接合面のうち少なくとも前記高分子プレートの接合面に酸素含有基を導入するステップと、
    (c)酸素含有基を導入した高分子プレート又は高分子プレートとPDMSプレートの接合面に、水系による加水分解でシラノール基となった有機官能基成分を導入するステップと、
    (d)両プレートを常温〜200℃以下の温度で加圧接合するステップと、
    を有することを特徴とするマイクロ化学デバイスの製造方法。
  4. 前記ステップ(c)の後で両プレートを接合するステップ(d)の直前に、有機官能基成分を導入した高分子プレート又は高分子プレートとPDMSプレートの接合面に、酸素含有基を導入するステップ(c2)を有してなる請求項3記載のマイクロ化学デバイスの製造方法。
  5. 前記酸素含有基を導入するステップは酸素含有基を導入する前記プレートの接合面を、酸素存在下でプラズマ処理するものである請求項3又は4記載のマイクロ化学デバイスの製造方法。
  6. 有機官能基成分を導入するステップ(c)は、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤又はアルミネート系カップリング剤を添加した溶液中に、前記高分子プレート又はPDMSプレートを浸漬して酸素含有基中の水酸基にシラノール基を有する有機官能基成分を反応させるものである請求項3又は4記載のマイクロ化学デバイスの製造方法。
JP2008254116A 2008-09-30 2008-09-30 マイクロ化学デバイス及びその製造方法 Active JP5115436B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008254116A JP5115436B2 (ja) 2008-09-30 2008-09-30 マイクロ化学デバイス及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008254116A JP5115436B2 (ja) 2008-09-30 2008-09-30 マイクロ化学デバイス及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010082540A JP2010082540A (ja) 2010-04-15
JP5115436B2 true JP5115436B2 (ja) 2013-01-09

Family

ID=42247029

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008254116A Active JP5115436B2 (ja) 2008-09-30 2008-09-30 マイクロ化学デバイス及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5115436B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5870813B2 (ja) * 2012-03-29 2016-03-01 スターライト工業株式会社 マイクロ化学デバイスの製造方法
US20160184789A1 (en) * 2013-08-23 2016-06-30 Asahi Fr R&D Co., Ltd. Microchemical chip and reaction device

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002048752A (ja) * 2000-08-07 2002-02-15 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> フローセルおよびポリマー膜の形成方法
JP2004325153A (ja) * 2003-04-23 2004-11-18 Aida Eng Ltd マイクロチップ及びその製造方法
FR2861609B1 (fr) * 2003-10-31 2006-02-03 Commissariat Energie Atomique Procede de repartition de gouttes d'un liquide d'interet sur une surface
FR2861608B1 (fr) * 2003-10-31 2005-12-23 Commissariat Energie Atomique Dispositif de travail comportant des zones de travail bordees, laboratoire sur puce et microsysteme
US20070207055A1 (en) * 2003-10-31 2007-09-06 Commissariat A L'energie Atomique Operating Device Comprising A Localized Zone For The Capture Of A Drop A Liquid Of Interest
WO2006014460A2 (en) * 2004-07-06 2006-02-09 University Of Utah Research Foundation Spotting device and method for high concentration spot deposition on microarrays and other microscale devices
EP1897426A2 (en) * 2005-05-18 2008-03-12 President And Fellows Of Harvard College Fabrication of conductive pathways, microcircuits and microstructures in microfluidic networks

Also Published As

Publication number Publication date
JP2010082540A (ja) 2010-04-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Hosseini et al. Recent advances in surface functionalization techniques on polymethacrylate materials for optical biosensor applications
Borók et al. PDMS bonding technologies for microfluidic applications: A review
Gokaltun et al. Recent advances in nonbiofouling PDMS surface modification strategies applicable to microfluidic technology
Wei et al. Photochemically patterned poly (methyl methacrylate) surfaces used in the fabrication of microanalytical devices
CN105474018B (zh) 微量化学芯片和反应装置
WO2011089892A1 (ja) 硬質シリコーン樹脂の接着方法、微細構造を有する基板の接合方法および当該接合方法を利用したマイクロ流体デバイスの製造方法
US8784973B2 (en) Resin bonding method by photoirradiation, method for producing resin article, resin article produced by the same method, method for producing microchip, and microchip produced by the same method
WO2009084622A1 (ja) 真空紫外光照射による樹脂の接着方法、該方法を用いる樹脂物品又はマイクロチップの製造方法、該方法で製造される樹脂物品又はマイクロチップ
JPWO2008087800A1 (ja) マイクロチップの製造方法、及びマイクロチップ
JPWO2008065868A1 (ja) マイクロチップ基板の接合方法、及びマイクロチップ
Ansari et al. Increasing silicone mold longevity: A review of surface modification techniques for PDMS-PDMS double casting
JP5115436B2 (ja) マイクロ化学デバイス及びその製造方法
Baraket et al. Development of a flexible microfluidic system based on a simple and reproducible sealing process between polymers and poly (dimethylsiloxane)
Orhan et al. Internal modification of poly (dimethylsiloxane) microchannels with a borosilicate glass coating
Huyen et al. Flexible capillary microfluidic devices based on surface-energy modified polydimethylsiloxane and polymethylmethacrylate with room-temperature chemical bonding
Millare et al. Dependence of the quality of adhesion between poly (dimethylsiloxane) and glass surfaces on the conditions of treatment with oxygen plasma
JP2005199394A (ja) Pdms基板と他の合成樹脂基板との接着方法及びマイクロチップの製造方法
Tony et al. A preliminary experimental study of polydimethylsiloxane (PDMS)-To-PDMS bonding using oxygen plasma treatment incorporating isopropyl alcohol
US9758631B2 (en) Method of modifying substrate surface
WO2020137065A1 (ja) シリコーンゴム製親水性強化成形体、及びそれを用いた親水性強化接合体
Rein et al. Rapid prototyping for high-pressure microfluidics
Yamamoto Solid‐state bonding of silicone elastomer to glass by vacuum oxygen plasma, atmospheric plasma, and vacuum ultraviolet light treatment
JP5239871B2 (ja) マイクロチップ、及びマイクロチップの製造方法
JP2006136990A (ja) バルブを有するマイクロ流体デバイス
JP4009683B2 (ja) 分析用具の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100528

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110713

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110809

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20111007

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120731

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120827

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120918

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20121001

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5115436

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151026

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151026

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250