以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。具体的には、本発明の実施形態に係る遊技機の1つであるパチンコ遊技機1(以下、「遊技機1」という)について説明する。
[遊技機の構成]
以下に、本発明の実施形態に係る遊技機1の構成について説明する。
図1は、本実施形態に係る遊技機1の外観構成を示す正面図である。図2は、本実施形態に係る遊技機1のガラス枠を開放させた状態の外観構成を示す斜視図である。図3は、本実施形態に係る遊技機1の裏面側の外観構成を示す斜視図である。
遊技機1は、遊技店の島設備に取り付けられる外枠60と、その外枠60と回動可能に支持されたガラス枠50とが備えられている(図1、図2参照)。また、外枠60には、遊技球200が流下する遊技領域6が形成された遊技盤2が設けられている。ガラス枠50には、回動操作されることにより遊技領域6に向けて遊技球を発射させる操作ハンドル3と、スピーカからなる音声出力装置32と、複数のランプを有する演出用照明装置34と、押圧操作により演出態様を変更させるための演出ボタン35とが設けられている。
さらに、ガラス枠50には、複数の遊技球200を貯留する受け皿40が設けられており、この受け皿40は、操作ハンドル3の方向側に遊技球200が流下するように下りの傾斜を有している(図2参照)。この受け皿40の下りの傾斜の端部には、遊技球を受け入れる図示しない受入口が設けられており、この受入口に受け入れられた遊技球は、玉送りソレノイド4bが駆動することにより、ガラス枠50の裏面に設けられた玉送り開口部41へ1個ずつ送り出される。そして、玉送り開口部41へ送り出された遊技球は、打出部材4cの方向に向けて下り傾斜を有している発射レール42により、発射レール42の下り傾斜の端部に誘導される。発射レール42の下り傾斜の端部の上方には、遊技球を停留させるストッパー43が設けられており、玉送り開口部41から送り出された遊技球200は、発射レール42の下り傾斜の端部で1個の遊技球が停留されることになる(図2参照)。
そして、遊技者が操作ハンドル3を回動させると、操作ハンドル3に直結している発射ボリューム3b(図4参照)も回動し、発射ボリューム3bにより遊技球の発射強度が調整され、調整された発射強度で発射用ソレノイド4a(図4参照)に直結された打出部材4cが回転する。この打出部材4cが回転することで、打出部材4cにより発射レール42の下り傾斜の端部に貯留されている遊技球200が打ち出され、遊技球が遊技領域6に発射されることとなる。
上記のようにして発射された遊技球は、発射レール42からレール5a、5b間を上昇して玉戻り防止片5cを超えると、遊技領域6に到達し、その後遊技領域6内を落下する。このとき、遊技領域6に設けられた複数の釘や風車によって、遊技球は予測不能に落下することとなる。
また、上記遊技領域6には、複数の一般入賞口12が設けられている。これら各一般入賞口12には、一般入賞口検出スイッチ12a(図4参照)が設けられており、この一般入賞口検出スイッチ12aが遊技球の入賞を検出すると、所定の賞球(例えば10個の遊技球)が払い出される。
また、上記遊技領域6の中央下側の領域には、遊技球が入球可能な始動領域を構成する第1始動口14および第2始動口15と、遊技球が入球可能な第2大入賞口17とが設けられている。
この第2始動口15は、一対の可動片15bを有しており、これら一対の可動片15bが閉状態に維持される態様(以下、「第1の態様」という)と、一対の可動片15bが開状態となる態様(以下、「第2の態様」という)とに可動制御される。なお、第2始動口15が上記第1の態様に制御されているときには、当該第2始動口15の真上に位置する第2大入賞口17の入賞部材が障害物となって、遊技球の受入れを不可能としている。一方で、第2始動口15が上記第2の態様に制御されているときには、上記一対の可動片15bが受け皿として機能し、第2始動口15への遊技球の入賞が容易となる。つまり、第2始動口15は、第1の態様にあるときには遊技球の入賞機会がなく、第2の態様にあるときには遊技球の入賞機会が増すこととなる。
ここで、第1始動口14には遊技球の入球を検出する第1始動口検出スイッチ14a(図4参照)が設けられ、第2始動口15には遊技球の入球を検出する第2始動口検出スイッチ15a(図4参照)が設けられている。そして、第1始動口検出スイッチ14aまたは第2始動口検出スイッチ15aが遊技球の入球を検出すると、特別図柄判定用乱数値等を取得し、後述する大当たり遊技を実行する権利獲得の抽選(以下、「大当たりの抽選」という)が行われる。また、第1始動口検出スイッチ14aまたは第2始動口検出スイッチ15aが遊技球の入球を検出した場合にも、所定の賞球(例えば3個の遊技球)が払い出される。
また、第2大入賞口17は、遊技盤2に形成された開口部から構成されている。この第2大入賞口17の下部には、遊技盤面側からガラス板52側に突出可能な第2大入賞口開閉扉17bを有しており、この第2大入賞口開閉扉17bが遊技盤面側に突出する開放状態と、遊技盤面に埋没する閉鎖状態とに可動制御される。そして、第2大入賞口開閉扉17bが遊技盤面に突出していると、遊技球を第2大入賞口17内に導く受け皿として機能し、遊技球が第2大入賞口17に入球可能となる。この第2大入賞口17には第2大入賞口検出スイッチ17a(図4参照)が設けられており、この第2大入賞口検出スイッチ17aが遊技球の入球を検出すると、予め設定された賞球(例えば15個の遊技球)が払い出される。
さらに、上記遊技領域6の右側の領域には、遊技球が通過可能な普通領域を構成する普通図柄ゲート13と、遊技球が入球可能な第1大入賞口16とが設けられている。
このため、操作ハンドル3を大きく回動させ、強い力で打ち出された遊技球でないと、普通図柄ゲート13と第1大入賞口16とには遊技球が、通過または入賞しないように構成されている。
この普通図柄ゲート13には、遊技球の通過を検出するゲート検出スイッチ13a(図4参照)が設けられており、このゲート検出スイッチ13aが遊技球の通過を検出すると、普通図柄判定用乱数値を取得し、後述する「普通図柄の抽選」が行われる。
第1大入賞口16は、通常は第1大入賞口開閉扉16bによって閉状態に維持されており、遊技球の入球を不可能としている。これに対して、後述する特別遊技が開始されると、第1大入賞口開閉扉16bが開放されるとともに、この第1大入賞口開閉扉16bが遊技球を第1大入賞口16内に導く受け皿として機能し、遊技球が第1大入賞口16に入球可能となる。第1大入賞口16には第1大入賞口検出スイッチ16a(図4参照)が設けられており、この第1大入賞口検出スイッチ16aが遊技球の入球を検出すると、予め設定された賞球(例えば15個の遊技球)が払い出される。
さらには、遊技領域6の最下部であって遊技領域6の最下部の領域には、一般入賞口12、第1始動口14、第2始動口15、第1大入賞口16および第2大入賞口17のいずれにも入球しなかった遊技球を排出するためのアウト口11が設けられている。
また、遊技領域6の中央には、遊技球の流下に影響を与える飾り部材7が設けられている。この飾り部材7の略中央部分には、液晶表示装置31が設けられており、この液晶表示装置31の上方には、ベルトの形をした演出用駆動装置33が設けられている。
なお、本実施形態においては、液晶表示装置31を液晶表示器として用いているが、有機ELディスプレイを用いてもよいし、プロジェクター、円環状の構造物からなるリール、いわゆる7セグメントLED、ドットマトリクス等の表示装置等を用いてもよい。
この液晶表示装置31は、遊技が行われていない待機中に画像を表示したり、遊技の進行に応じた画像を表示したりする。なかでも、後述する大当りの抽選結果を報知するための3個の演出図柄36が表示され、特定の演出図柄36の組合せ(例えば、777等)が停止表示されることにより、大当りの抽選結果として大当りが報知される。
より具体的には、第1始動口14または第2始動口15に遊技球が入球したときには、3個の演出図柄36をそれぞれスクロール表示するとともに、所定時間経過後に当該スクロールを停止させて、演出図柄36を停止表示するものである。また、この演出図柄36の変動表示中に、さまざまな画像やキャラクタ等を表示することによって、大当たりに当選するかもしれないという高い期待感を遊技者に与えるようにもしている。
上記演出用駆動装置33は、その動作態様によって遊技者に期待感を与えるものである。演出用駆動装置33は、例えば、ベルトが下方に移動したり、ベルト中央部の回転部材が回転したりする動作を行う。これら演出用駆動装置33の動作態様によって、遊技者にさまざまな期待感を与えるようにしている。
さらに、上記の各種の演出装置に加えて、音声出力装置32は、バックグラウンドミュージック、サウンドエフェクト等を出力し、サウンドによる演出を行い、演出用照明装置34は、各ランプの光の照射方向や発光色を変更して、照明による演出を行うようにしている。
また、演出ボタン35は、例えば、上記液晶表示装置31に当該演出ボタン35を操作するようなメッセージが表示されたときのみ有効となる。演出ボタン35には、演出ボタン検出スイッチ35a(図4参照)が設けられており、この演出ボタン検出スイッチ35aが遊技者の操作を検出すると、この操作に応じてさらなる演出が実行される。
遊技領域6の右下方には、第1特別図柄表示装置20、第2特別図柄表示装置21、普通図柄表示装置22、第1特別図柄保留表示器23、第2特別図柄保留表示器24、普通図柄保留表示器25が設けられている。
上記第1特別図柄表示装置20は、第1始動口14に遊技球が入球したことを契機として行われた大当たりの抽選結果を報知するものであり、7セグメントのLEDで構成されている。つまり、大当たりの抽選結果に対応する特別図柄が複数設けられており、この第1特別図柄表示装置20に大当たりの抽選結果に対応する特別図柄を表示することによって、抽選結果を遊技者に報知するようにしている。例えば、大当たりに当選した場合には「7」が表示され、ハズレであった場合には「−」が表示される。このようにして表示される「7」や「−」が特別図柄となるが、この特別図柄はすぐに表示されるわけではなく、所定時間変動表示された後に、停止表示されるようにしている。
ここで、「大当たりの抽選」とは、第1始動口14または第2始動口15に遊技球が入球したときに、特別図柄判定用乱数値を取得し、取得した特別図柄判定用乱数値が「大当たり」に対応する乱数値であるか、「小当たり」に対応する乱数値であるかの判定する処理をいう。この大当たりの抽選結果は即座に遊技者に報知されるわけではなく、第1特別図柄表示装置20において特別図柄が点滅等の変動表示を行い、所定の変動時間を経過したところで、大当たりの抽選結果に対応する特別図柄が停止表示して、遊技者に抽選結果が報知されるようにしている。なお、第2特別図柄表示装置21は、第2始動口15に遊技球が入球したことを契機として行われた大当たりの抽選結果を報知するためのもので、その表示態様は、上記第1特別図柄表示装置20における特別図柄の表示態様と同一である。
また、本実施形態において「大当たり」というのは、第1始動口14または第2始動口15に遊技球が入球したことを条件として行われる大当たりの抽選において、大当たり遊技を実行する権利を獲得したことをいう。「大当たり遊技」においては、第1大入賞口16または第2大入賞口17が開放されるラウンド遊技を計15回行う。各ラウンド遊技における第1大入賞口16または第2大入賞口17の最大開放時間については予め定められた時間が設定されており、この間に第1大入賞口16または第2大入賞口17に所定個数の遊技球(例えば9個)が入球すると、1回のラウンド遊技が終了となる。つまり、「大当たり遊技」は、第1大入賞口16または第2大入賞口17に遊技球が入球するとともに、当該入球に応じた賞球を遊技者が獲得できる遊技である。
本実施形態では、「大当たりの抽選」においては、その当選確率により2つの遊技状態が設定されている。すなわち、当選確率が1/299.5に設定された「低確率遊技状態」と、当選確率が1/29.95に設定された「高確率遊技状態」である。また、「大当たり遊技」においても、複数種類の大当たり遊技が設定されている。例えば、「長当たり遊技」となれば、第1大入賞口16が、1ラウンド遊技ごとに、29.000秒間×1回開放(×15ラウンド)される。「短当たり遊技」となれば、第2大入賞口17が、1ラウンド遊技ごとに、0.052秒間×1回(×15ラウンド)開放される。「発展当たり遊技」となれば、第2大入賞口17が、最初の1ラウンド遊技では0.052秒間×3回開放され、2ラウンド目以降は、1ラウンド遊技ごとに29.000秒間×1回(×14ラウンド)開放される。
また、「小当たり」の場合は、当選確率が1/149.75の1つの遊技状態が設定されている。また、「小当たり遊技」となれば、ラウンド遊技ではないものの、第2大入賞口17が0.052秒間×15回開放される。なお、本実施形態では、「大当たり遊技」と「小当たり遊技」とを総称して「特別遊技」という。
また、普通図柄表示装置22は、普通図柄ゲート13を遊技球が通過したことを契機として行われる普通図柄の抽選結果を報知するためのものである。詳しくは後述するが、この普通図柄の抽選によって当たりに当選すると普通図柄表示装置22が点灯し、その後、上記第2始動口15が所定時間、第2の態様に制御される。
ここで、「普通図柄の抽選」とは、普通図柄ゲート13に遊技球が通過したときに、普通図柄判定用乱数値を取得し、取得した普通図柄判定用乱数値が「当たり」に対応する乱数値であるかどうかを判定する処理をいう。この普通図柄の抽選結果についても、普通図柄ゲート13を遊技球が通過して即座に抽選結果が報知されるわけではなく、普通図柄表示装置22において普通図柄が点滅等の変動表示を行い、所定の変動時間を経過したところで、普通図柄の抽選結果に対応する普通図柄が停止表示して、遊技者に抽選結果が報知されるようにしている。
さらに、特別図柄の変動表示中や後述する特別遊技中等、第1始動口14または第2始動口15に遊技球が入球して、即座に大当たりの抽選が行えない場合には、一定の条件のもとで、大当たりの抽選の権利が保留される。より詳細には、第1始動口14に遊技球が入球したときに取得された特別図柄判定用乱数値を第1保留として記憶し、第2始動口15に遊技球が入球したときに取得された特別図柄判定用乱数値を第2保留として記憶する。
これら両保留は、それぞれ上限保留個数を4個に設定し、その保留個数は、それぞれ第1特別図柄保留表示器23と第2特別図柄保留表示器24とに表示される。なお、第1保留が1つの場合には、第1特別図柄保留表示器23の左側のLEDが点灯し、第1保留が2つの場合には、第1特別図柄保留表示器23の2つのLEDが点灯する。また、第1保留が3つの場合には、第1特別図柄保留表示器23の左側のLEDが点滅するとともに右側のLEDが点灯し、第1保留が4つの場合には、第1特別図柄保留表示器23の2つのLEDが点滅する。また、第2特別図柄保留表示器24においても、上記と同様に第2保留の保留個数が表示される。
そして、普通図柄の上限保留個数も4個に設定されており、その保留個数が、上記第1特別図柄保留表示器23および第2特別図柄保留表示器24と同様の態様によって、普通図柄保留表示器25において表示される。
ガラス枠50は、遊技盤2の前方(遊技者側)において遊技領域6を視認可能に覆うガラス板52を支持している。なお、ガラス板52は、ガラス枠50に対して着脱可能に固定されている。
また、ガラス枠50は、左右方向の一端側(たとえば遊技機1に正対して左側)においてヒンジ機構部51を介して外枠60に連結されており、ヒンジ機構部51を支点として左右方向の他端側(たとえば遊技機1に正対して右側)を外枠60から開放させる方向に回動可能とされている。ガラス枠50は、ガラス板52とともに遊技盤2を覆い、ヒンジ機構部51を支点として扉のように回動することによって、遊技盤2を含む外枠60の内側部分を開放することができる。ガラス枠50の他端側には、ガラス枠50の他端側を外枠60に固定するロック機構が設けられている。ロック機構による固定は、専用の鍵によって解除することが可能とされている。また、ガラス枠50には、ガラス枠50が外枠60から開放されているか否かを検出する扉開放スイッチ133(図4参照)も設けられている。
遊技機1の裏面には、主制御部110が搭載された主制御基板、中間制御部180が搭載された中間制御基板、演出制御部120が搭載された演出制御基板、払出制御部130が搭載された払出制御基板、電源部170が搭載された電源基板、遊技情報出力端子板30などが設けられている。また、電源部170に遊技機1に電力を給電するための電源プラグ171や、図示しない電源スイッチが設けられている。
[遊技機の内部構成]
以下、本発明の実施形態に係る遊技機1の遊技進行に係る処理を制御する制御手段について説明する。
図4は、本実施形態に係る遊技機1の内部構成を示すブロック図である。
主制御部110は、遊技の基本動作を制御する主制御手段であり、第1始動口検出スイッチ14a等の各種検出信号を入力して、第1特別図柄表示装置20や第1大入賞口開閉ソレノイド16c等を駆動させて遊技を制御するものである。
この主制御部110は、メインCPU110a、メインROM110b、メインRAM110c、ブートROM110dから少なくとも構成されるワンチップマイコン110mと、主制御用の入力ポートと出力ポート(図示せず)とを少なくとも備えている。また、主制御部110は、出力ポートの中でも、特に、他の制御部(後述する中間制御部180)への制御コマンドの出力に用いられる送信部500を備えている。
この主制御用の入力ポートには、払出制御部130、一般入賞口12に遊技球が入球したことを検知する一般入賞口検出スイッチ12a、普通図柄ゲート13に遊技球が入球したことを検知するゲート検出スイッチ13a、第1始動口14に遊技球が入球したことを検知する第1始動口検出スイッチ14a、第2始動口15に遊技球が入球したことを検知する第2始動口検出スイッチ15a、第1大入賞口16に遊技球が入球したことを検知する第1大入賞口検出スイッチ16a、第2大入賞口17に遊技球が入球したことを検知する第2大入賞口検出スイッチ17aが接続されている。この主制御用の入力ポートによって、各種信号が主制御部110に入力される。
また、主制御用の出力ポートには、払出制御部130、第2始動口15の一対の可動片15bを開閉動作させる始動口開閉ソレノイド15c、第1大入賞口開閉扉16bを動作させる第1大入賞口開閉ソレノイド16c、第2大入賞口開閉扉17bを動作させる第2大入賞口開閉ソレノイド17c、特別図柄を表示する第1特別図柄表示装置20と第2特別図柄表示装置21、普通図柄を表示する普通図柄表示装置22、特別図柄の保留球数を表示する第1特別図柄保留表示器23と第2特別図柄保留表示器24、普通図柄の保留球数を表示する普通図柄保留表示器25、外部情報信号を出力する遊技情報出力端子板30が接続されている。この主制御用の出力ポートによって、各種信号が出力される。
主制御部110のメインCPU110aは、各検出スイッチや内部機能として組み込まれている図示しないタイマ等からの入力信号に基づいて、メインROM110bに記憶されたプログラムを読み出して演算処理を行うとともに、演算処理の結果に応じて、主制御部110を構成する各構成部に対する制御指示(以下、「制御信号」という)や主制御部110以外の他の制御部に対する制御コマンドを出力したりする。
主制御部110のメインROM110bには、遊技進行に係る処理の内容や手順を記述した遊技処理用プログラムや、各種の遊技の決定に必要な固定データ、テーブルが予め記憶されている。
メインROM110bに記憶されたテーブルとして一例を挙げれば、大当たり抽選に参照される大当り判定テーブル、普通図柄の抽選に参照される当り判定テーブル、特別図柄の停止図柄を決定する図柄決定テーブル、大当たり終了後の遊技状態を決定するための大当たり遊技終了時設定データテーブル、大入賞口開閉扉の開閉条件を決定する特別電動役物作動態様決定テーブル、大入賞口開放態様テーブル、特別図柄の変動パターンを決定する変動パターン決定テーブルなどがある。
また、メインROM110bには、電源投入時などの遊技機1のリセット時に行われる主制御部110のブート処理中に、ワンチップマイコン110mの内蔵回路や周辺回路等に対して設定される初期値(いわゆるハードウェアパラメータ)が予め記憶されている。また、メインROM110bには、遊技機1固有の情報である固有情報などが予め記憶されている。
主制御部110のブートROM110dには、ワンチップマイコン110mの内蔵回路や周辺回路等の初期化および初期値の設定処理(以下、「初期値設定処理」という)を含む、メインCPU110aが実行するブート処理の内容や手順を記述したブート処理用プログラムや、ブート処理用プログラムの実行の際に使用される固定データが記憶されている。このブート処理用プログラムは、メインCPU110aの起動直後に立ち上るように設定されている。
主制御部110のメインRAM110cは、メインCPU110aの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能し、複数の記憶領域を有している。
メインRAM110cが有する記憶領域として一例を挙げれば、普通図柄保留数(G)記憶領域、普通図柄保留記憶領域、普通図柄データ記憶領域、第1特別図柄保留数(U1)記憶領域、第2特別図柄保留数(U2)記憶領域、第1特別図柄乱数値記憶領域、第2特別図柄乱数値記憶領域、ラウンド遊技回数(R)記憶領域、開放回数(K)記憶領域、大入賞口入球数(C)記憶領域、遊技状態記憶領域(高確率遊技フラグ記憶領域等)、高確率遊技回数(X)カウンタ、遊技状態バッファ、停止図柄データ記憶領域、送信データ用記憶領域、特別図柄時間カウンタ、特別遊技タイマカウンタなど各種のタイマカウンタなどがある。
主制御部110の送信部500は、メインCPU110aからの指示によらず、主制御部110が出力する制御コマンドの正当性を検査して主制御部110の正当性を認証するための誤り検査値を生成するとともに、当該誤り検査値を用いた主制御部110に対する認証機能を担うよう予め定められた制御部(中間制御部180)へ送信する。具体的には、送信部500は、電源が投入されるとメインROM110bに記憶されたプログラムとは独立した自身のアルゴリズムに従って動作し、メインCPU110aから制御コマンドを受け取ると、受け取った制御コマンドの誤り検査値を生成する(以下、「検査値生成処理という」)。そして、送信部500は、生成した誤り検査値を制御コマンドに付加した後(以下、「検査値付加処理」という)、中間制御部180へ送信する。
遊技情報出力端子板30は、主制御部110において生成された外部情報信号を遊技店のホールコンピュータ等に出力するための基板である。遊技情報出力端子板30は、主制御部110と配線接続され、外部情報を遊技店のホールコンピュータ等と接続をするためのコネクタが設けられている。
電源部170は、コンデンサからなるバックアップ電源を備えており、遊技機1に電源電圧を供給するとともに、遊技機1に供給する電源電圧を監視し、電源電圧が所定値以下となったときに、電断検知信号を主制御部110へ出力する。より具体的には、電源電圧が、所定値以下を示すために電断検知信号がローレベルとなり一定時間経過すると、リセット信号がローレベルとなり、メインCPU110aは動作を停止する処理を行う。その後、電源電圧が、所定値以上を示すために電断検知信号がハイレベルとなり一定時間経過すると、リセット信号がハイレベルとなり、メインCPU110aは動作を開始する処理を行う。バックアップ電源はコンデンサに限らず、例えば、電池でもよく、コンデンサと電池とを併用して用いてもよい。
中間制御部180は、主に主制御部110に対する認証機能を実現するための制御手段である。この中間制御部180は、CPU180a、ROM180b、RAM180cを備えており、主制御部110と、主制御部110が本来の遊技処理に係る制御コマンドを送信する対象となる制御部(演出制御部120や払出制御部130等)との間に設けられている。例えば、図4に示すように、中間制御部180が主制御部110と演出制御部120との間に設けられている場合、中間制御部180は、主制御部110から中間制御部180への一方向に通信可能に接続され、中間制御部180から演出制御部120への一方向に通信可能に接続される。また、図示しないが、中間制御部180が主制御部110と払出制御部130との間に設けられている場合、中間制御部180は、主制御部110との間で双方向に通信可能に接続され、払出制御部130との間で双方向に通信可能に接続される。よって、演出制御部120や払出制御部130等は、主制御部110から直接制御コマンドを送信されず、中間制御部180を介して送信されることとなる。
CPU180aは、主制御部110から送信された制御コマンド、または、内部機能として組み込まれている図示しないタイマからの入力信号に基づいて、ROM180bに記憶されたプログラムを読み出して演算処理を行うとともに、当該処理に基づいて、対応するデータを後続する演出制御部120や払出制御部130へ送信する。RAM180cは、CPU180aの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能する。
例えば、中間制御部180のCPU180aは、主制御部110から送信された制御コマンドを受信すると、当該制御コマンドの正当性を検査して主制御部110の正当性を認証する誤り検査処理を行うとともに、当該処理にて得られた認証結果の情報(以下、「認証結果データ」という)を後続する演出制御部120や払出制御部130等へ送信し、認証結果データに基づく処理を実行させる。また、CPU180aは、受信した制御コマンドの具体的な処理内容および受信順序を維持したまま、当該制御コマンドを後続する演出制御部120や払出制御部130等へ送信する中継送信処理を行う。
また、ROM180bは、主制御部110のメインROM110bに記憶された固有情報に対応する情報や、CPU180aにて行われる受信した制御コマンドへの誤り検査処理を含む認証処理の内容や手順を記述した認証処理用プログラムが予め記憶されている。
このように、中間制御部180は、主制御部110に対する認証機能と、受信した制御コマンドを後続する演出制御部120や払出制御部130等へ中継送信する機能と、誤り検査処理にて得られた認証結果データを後続する演出制御部120や払出制御部130等へ送信する機能とを少なくとも有している。なお、これら認証処理に関する構成については後述する。
演出制御部120は、主に遊技中や待機中等の各演出を制御する。この演出制御部120は、サブCPU120a、サブROM120b、サブRAM120cを備えており、主制御部110に対して、当該主制御部110から演出制御部120への一方向に通信可能に接続されている。サブCPU120aは、主制御部110から送信された制御コマンド、または、上記演出ボタン検出スイッチ35a、タイマからの入力信号に基づいて、サブROM120bに記憶されたプログラムを読み出して演算処理を行うとともに、当該処理に基づいて、対応するデータをランプ制御部140または画像制御部150に送信する。サブRAM120cは、サブCPU120aの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能する。
例えば、演出制御部120におけるサブCPU120aは、主制御部110から送信された制御コマンドの1つである特別図柄の変動態様を示す変動パターン指定コマンドを受信すると、受信した変動パターン指定コマンドの内容を解析して、液晶表示装置31、音声出力装置32、演出用駆動装置33、演出用照明装置34に所定の演出を実行させるためのデータを生成し、かかるデータを画像制御部150やランプ制御部140へ送信する。
演出制御部120のサブROM120bには、演出制御用のプログラムや各種の遊技の決定に必要なデータ、テーブルが記憶されている。
サブROM120bに記憶されたテーブルとして一例を挙げれば、主制御部から受信した変動パターン指定コマンドに基づいて演出パターンを決定するための演出パターン決定テーブル、停止表示する演出図柄36の組み合わせを決定するための演出図柄決定テーブルなどがある。
演出制御部120のサブRAM120cは、サブCPU120aの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能し、複数の記憶領域を有している。
サブRAM120cが有する記憶領域として一例を挙げれば、遊技状態記憶領域、演出モード記憶領域、演出パターン記憶領域、演出図柄記憶領域などがある。
払出制御部130は、遊技球の払い出し制御を行う。この払出制御部130は、図示しない払出CPU、払出ROM、払出RAMから構成されるワンチップマイコンを備えており、主制御部110に対して、双方向に通信可能に接続されている。払出CPUは、遊技球が払い出されたか否かを検知する払出球計数スイッチ132、扉開放スイッチ133、タイマからの入力信号に基づいて、払出ROMに記憶されたプログラムを読み出して演算処理を行うとともに、当該処理に基づいて、対応するデータを主制御部110に送信する。
また、払出制御部130の出力側には、遊技球の貯留部から所定数の遊技球を払い出すための払出装置の払出モータ131が接続されている。払出CPUは、主制御部110から送信された制御コマンドの1つである払出個数指定コマンドに基づいて、払出ROMから所定のプログラムを読み出して演算処理を行うとともに、払出装置の払出モータ131を制御して所定の遊技球を払い出す。このとき、払出RAMは、払出CPUの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能する。
ランプ制御部140は、遊技盤2に設けられた演出用照明装置34を点灯制御したり、光の照射方向を変更するためのモータに対する駆動制御をしたりする。また、演出用駆動装置33を動作させるソレノイドやモータ等の駆動源を通電制御する。このランプ制御部140は、演出制御部120に接続されており、演出制御部120から送信された各種のコマンドに基づいて、上記の各制御を行うこととなる。
画像制御部150は、液晶表示装置31の画像表示制御を行うためのホストCPU、ホストCPU150aのワークエリアとして機能する一時的な記憶領域を有するホストRAM、ホストCPU150aの制御処理のプログラム等が記憶されたホストROM、画像データが記憶されたCGROM、画像データを描画するフレームバッファを有するVRAM、画像プロセッサとなるVDP(Video Display Processor)と、音の制御を行う音制御回路とを備えている。
ホストCPUは、演出制御部120から受信した演出パターン指定コマンドに基づいて、VDPにCGROMに記憶されている画像データを液晶表示装置31に表示させる指示を行う。
VDPは、ホストCPUからの指示に基づいて、CGROMに記憶された画像データをVRAMのフレームバッファに描画する。次に、VRAMにある表示用のフレームバッファに記憶された画像データに基づいて映像信号(RGB信号等)を生成し、生成した映像信号を液晶表示装置に出力する。
音制御回路には、音声データが多数記憶されている音声ROMが備えられており、音制御回路が、演出制御部120から送信されたコマンドに基づいて所定のプログラムを読み出すとともに、音声出力装置32における音声出力制御をする。
発射制御部160は、遊技球の発射制御を行う。この発射制御部160は、入力側にタッチセンサ3aおよび発射ボリューム3bが接続されており、出力側に発射用ソレノイド4aおよび玉送りソレノイド4bを接続している。発射制御部160は、タッチセンサ3aからのタッチ信号を入力するとともに、発射ボリューム3bから供給された電圧に基づいて、発射用ソレノイド4aや玉送りソレノイド4bを通電させる制御を行う。
タッチセンサ3aは、操作ハンドル3の内部に設けられ、遊技者が操作ハンドル3に触れたことによる静電容量の変化を利用した静電容量型の近接スイッチから構成される。タッチセンサ3aは、遊技者が操作ハンドル3に触れたことを検知すると、発射制御部160(図4参照)に発射用ソレノイド4aの通電を許可するタッチ信号を出力する。発射制御部160は、大前提としてタッチセンサ3aからタッチ信号の入力がなければ、遊技球200を遊技領域6に発射させないように構成されている。
発射ボリューム3bは、操作ハンドル3が回動する回動部に直結して設けられ、可変抵抗器から構成される。発射ボリューム3bは、その発射ボリューム3bに印加された定電圧(例えば5V)を可変抵抗器により分圧して、分圧した電圧を発射制御部160に供給する(発射制御部160に供給する電圧を可変させる)。発射制御部160は、発射ボリューム3bにより分圧された電圧に基づいて、発射用ソレノイド4aを通電して、発射用ソレノイド4aに直結された打出部材4cを回転させることで、遊技球200を遊技領域6に発射させる。
発射用ソレノイド4aは、ロータリーソレノイドから構成され、発射用ソレノイド4aには打出部材4cが直結されており、発射用ソレノイド4aが回転することで、打出部材4cを回転させる。
ここで、発射用ソレノイド4aの回転速度は、発射制御部160に設けられた水晶発振器の出力周期に基づく周波数から、約99.9(回/分)に設定されている。これにより、1分間における発射遊技数は、発射ソレノイドが1回転する毎に1個発射されるため、約99.9(個/分)となる。すなわち、1個の遊技球は約0.6秒毎に発射されることになる。
玉送りソレノイド4bは、直進ソレノイドから構成され、受け皿40にある遊技球を、発射用ソレノイド4aに直結された打出部材4cに向けて1個ずつ送り出す。
ここで、上記構成の演出制御部120、払出制御部130、ランプ制御部140、画像制御部150、および発射制御部160など、主制御部110からの制御コマンドに基づいて、若しくは当該制御コマンドに基づいて生成されるコマンドに従って遊技機1の制御処理を行う制御部であって、中間制御部180以外の制御部を総称して「周辺部300」という。また、演出制御部120が搭載された演出制御基板や払出制御部130が搭載された払出制御基板など、周辺部300の各制御部が搭載された各制御基板を総称して「周辺基板」という。なお、中間制御部180、ランプ制御部140、および画像制御部150は、演出制御部120と同一の基板上に搭載することもできる。また、払出制御部130および発射制御部160は、主制御部110と同一の基板上に搭載することもできる。
[遊技機の認証処理に関する内部構成]
以下、上記構成の遊技機1が不正行為防止のために有するセキュリティ機能を実現する制御手段について説明する。
本実施形態に係る遊技機1のセキュリティ機能は、中間制御部180が主制御部110から送信された制御コマンドの正当性を検査し主制御部110の認証を行うことによって実現される。そして、中間制御部180で得られた認証結果は周辺部300へ送信され、周辺部300にて受信した認証結果に応じた処理が行われる。そのために主制御部110、中間制御部180、および周辺部300が実行する処理を、通常の遊技進行に係る処理とは区別する意味で「認証処理」という。なお、本実施形態では、中間制御部180は、主制御部110と演出制御部120との間に設けられているとともに、中間制御部180で得られた認証結果は、周辺部300のうち演出制御部120へ送信され、演出制御部120が認証結果に応じた処理を行うこととして説明する。
具体的には、主制御部110は、制御コマンドを生成し中間制御部180へ送信する際に、当該制御コマンドより前(過去)に生成された制御コマンドの誤り検査値を生成し、今回送信すべき制御コマンドに付加して送信する。中間制御部180は、今回受信した制御コマンドに付加された誤り検査値と、当該制御コマンドより前に受信した制御コマンドを用いて予め生成しておいた誤り検査値とを照合する。そして、両者が一致すると、今回受信した制御コマンドの正当性が認証され、主制御部110の認証に成功したと判断される。中間制御部180は、得られた主制御部110に対する認証結果を、演出制御部120へ送信する。演出制御部120は、中間制御部180から送信された認証結果を確認し、認証結果に応じた処理を行う。
図5は、本実施形態に係る主制御部110の認証処理に関する内部構成を示す機能ブロック図である。図6は、本実施形態に係る(a)メインROM110bおよび(b)ブートROM110dのメモリマップを説明するための概略図である。図7は、本実施形態に係る制御コマンドへの誤り検査値の付加方法を説明するための概略図である。また、図6では、本発明の特徴的な領域以外は省略している。また、「xxxFH」などのアドレス表記は、各領域の区分を示すために便宜上設けたものであるとともに、各領域同士の位置関係においても、図6に示した位置関係に限定されるものではない。
主制御部110は、上記のようなメインCPU110a、メインROM110b、およびブートROM110dに加え、メインCPU110aからの送信指示に基づき、中間制御部180への制御コマンドの送信や誤り検査値の生成処理を行う送信部500を少なくとも備えている。また、これら主制御部110の各構成部は、各々が出力する各種データや信号を授受できるよう内部バス550にて接続されている。内部バス550は、アドレスバス、データバス、および制御バスの機能を少なくとも備え、主制御部110の各構成部から出力された制御信号に基づき内部バス550を通るデータの割り当てを行い、データの衝突が生じないように制御している。なお、図5においては、便宜上、内部バス550という形では明示せず、主制御部110の各構成部を結ぶ信号線として表している。
メインCPU110aは、上記のような遊技進行に係る処理を実行する他、遊技機1での認証処理を実行する。メインCPU110aは、ブートROM110dに記憶されたブート処理用プログラムやメインROM110bに記憶された各種初期値を用いて、各種演算処理を実行するとともに、各種演算処理の結果に応じて制御信号や制御コマンドを出力する。
例えば、メインCPU110aは、遊技処理用プログラムに基づいて、演出制御部120にて遊技進行に応じた演出処理を実行させるための制御コマンドを送信部500にて送信させる処理(以下、「コマンド送信処理」という)を行う際には、送信部500へ当該制御コマンドを書き込むための制御信号(以下、「書き込み信号」という)を出力し、当該制御コマンドを送信部500にて送信させる。
また、メインCPU110aは、ブート処理用プログラムに基づいて、ブート処理中の初期値設定処理を行う際には、メインROM110bに記憶された各種初期値を読み出すための制御信号(以下、「読み出し信号」という)を出力して各種初期値を取得し、取得した各種初期値のそれぞれに対応した構成回路へ出力して設定処理を行う。
メインROM110bには、上記のような遊技処理用プログラムやデータの他、リセット時のような主制御部110のブート処理後に初めて出力する制御コマンドに付加する誤り検査値として使用する、遊技機1の固有情報が記憶されている(図6(a)の「xyz0H」〜「xzxFH」の領域)。また、メインROM110bは、メインCPU110aや送信部500からの読み出し信号に応じて、遊技処理用プログラムコードや固有情報などを出力する。
主制御部110が出力する制御コマンドは、中間制御部180へ送信される際に、図7に示すように、今回送信するべき制御コマンドより前(過去)に生成された制御コマンドの誤り検査値が付加されるようになっている。この付加するべき誤り検査値は、所定の記憶領域(後述する送信部500の格納回路522)に格納されている。ただし、電源投入直後などの遊技機1のリセット時などにおいて、主制御部110が初期化された場合は、上記記憶領域に格納されていた付加するべき誤り検査値もクリアされる。このとき、付加するべき誤り検査値がクリアされてから、最初に生成された制御コマンドなどに付加する誤り検査値(以下、「初期検査値」)として、メインROM110bに予め格納された固有情報を用いる。初期検査値は、後述する誤り検査値の付加方法の内容によっては複数個(N個;Nは自然数)必要であるため、固有情報は、少なくとも初期検査値の必要数個以上、予め用意されている。
ここで、誤り検査値が上記のようにクリアされた直後に、最初に生成れた制御コマンドを「制御コマンド(1)」といい、制御コマンド(1)を用いて生成された誤り検査値を「誤り検査値(1)」という。同様に、誤り検査値が上記のようにクリアされてからM番目(Mは自然数)に生成された制御コマンドを「制御コマンド(M)」といい、制御コマンド(M)を用いて生成された誤り検査値を「誤り検査値(M)」という。Mは制御コマンドの生成回数を示しており、公知のカウンタ回路などによって計数すればよい。
固有情報は、主制御部110が保持する遊技機1固有の情報であれば特に限定されない。固有情報は、図6(a)では、メインROM110bの固定データが記憶された領域の中の特定のアドレス(図6(a)の「xyz0H」〜「xzxFH」の領域)のデータ(例えば、制御コマンドデータ)となっているが、例えば、メインROM110bのプログラムコードが記憶された領域(図6(a)の「0000H」〜「xxzFH」の領域)の中の特定のアドレスにおけるチェックサム値や、メインCPU110aに固有に付与されている識別番号(ID)や、メーカーコード・機種コード等の製品情報などが考えられる。また、予め中間制御部180との間で取り決められた誤り検査値のダミーデータなども考えられる。なお、固有情報は、メインROM110bとは別個の記憶手段(メモリセルやROMなど)に記憶されていてもよい。
また、メインROM110bには、上記のようなワンチップマイコン110mの内蔵回路や周辺回路等の初期値の一つであって、送信部500に設定される初期値である「生成パラメータ」が予め記憶されている(図6(a)の「yyy0H」〜「yyzFH」の領域)。生成パラメータは、ブート処理中の初期値設定処理の際に、送信部500が有する複数の、誤り検査値を付加する機能(以下、「誤り検査値付加機能」という)のうち、どの誤り検査値付加機能を選択するかを決定するためのパラメータである。
本実施形態では、今回送信する制御コマンド(M)に対し、これよりN個前に生成した制御コマンド(M−N)の誤り検査値(M−N)を付加する。Nは、今回送信する制御コマンドに対して、何個前に生成された制御コマンドの誤り検査値を付加するのかということを予め取り決めておいた数である(以下、Nを「遡及数」という)。
送信部500には、複数の誤り検査値付加機能として、複数の遡及数Nの値が予め用意されている。そして、ブート処理中の初期化処理時に、送信部500に対して特定の遡及数Nの値を使用するように設定される。生成パラメータは、この遡及数Nの値としてどの値を使用するのかを決定する為のパラメータであって、送信部500に予め用意された複数の遡及数Nの値のそれぞれと対応付けられている。例えば、生成パラメータは、生成回路521が生成し出力した誤り検査値が格納される格納回路522の各記憶領域(以下、「格納領域」という)のアドレスデータや識別番号などである。本実施形態では、ブート処理中の初期値設定処理でも、特に、送信部500へ生成パラメータを設定する処理を「生成パラメータ設定処理」という。また、設定された生成パラメータに対応した特定の遡及数Nに即して誤り検査値が付加されるように、誤り検査値の特定の付加方法を設定する処理を「付加方法設定処理」という。なお、誤り検査値付加機能およびその選択情報は、予め主制御部110と中間制御部180との間で取り決めておく。
なお、上記初期値および生成パラメータを記憶する領域は、図6ではメインROM110b内の領域であるが、本発明はこれに限定されず、メインROM110bとは別個のメモリセルに記憶したり、ブートROM110d内に記憶したりするように構成することもできる。すなわち、本発明では、上記初期値および生成パラメータの記憶領域と、遊技処理用プログラムや固定データ等の記憶領域とは、同一の記憶手段(メモリセルやROMなど)に搭載されていてもよいし、異なる記憶手段に搭載されていてもよい。
ブートROM110dには、ブート処理用プログラムやブート処理用プログラムの実行の際に使用する固定データが予め記憶されている(図6(b)の「zxx0H」〜「zyzFH」の領域)。ブート処理用プログラムは、メインCPU110aの起動直後にブートROM110dからブート処理専用RAM(図示せず)へ読み込まれ、メインCPU110aにて実行が開始されるように予め設定されており、メインCPU110a自身の自己診断処理や、メインCPU110aを搭載するワンチップマイコン110mの内蔵回路や送信部500を含む周辺回路等の初期化および初期値の設定処理(すなわち初期値設定処理)を制御するものである。なお、本実施形態では、ブート処理後に実行される遊技処理用プログラムなど、ブート処理用プログラム以外のプログラムを「ユーザープログラム」という。
ブート処理用プログラムは、CPUメーカーが開発・実装するプログラムであり、これらが記憶されたブートROM110dに対するアクセスは、遊技機1の出荷後、ブート処理時のメインCPU110aからのアクセスにのみ制限されている。一方、ユーザープログラムは、遊技機メーカーが開発・実装するプログラムであり、これらが記憶されたメインROM110bに対するアクセスは、遊技処理が実行されるたびにメインCPU110aからアクセスされる。しかしながら、メインROM110bの記憶領域でも、ワンチップマイコン110mの内蔵回路や送信部500を含む周辺回路等の初期値(生成パラメータを含む)が記憶された領域など、ユーザープログラムや固定データ等(固有情報を含む)が記憶された領域以外の記憶領域(例えば、図6(a)の「yxx0H」〜「yyzFH」の領域)は、ブート処理用プログラムの中でのみ定義された領域であり、遊技処理に係るユーザープログラム上では全く現れることが無い領域とされている。つまり、ブート処理が終了した後は、上記領域(図6(a)の「yxx0H」〜「yyzFH」の領域)は、ユーザープログラムからはアクセスできないように実質的な制限がかけられた領域とされている。
しかしながら、不正なアクセスを試みられた場合を考慮して、以下に示すさらなる制限をかけることで、ブート処理時にのみ得られる生成パラメータの秘匿性をより向上させることができる。
ブートROM110dおよびメインROM110bへのアクセス制限は、例えば、主制御部110に実行アドレス監視手段(図示せず)を設けておき、ブート処理終了後に実行アドレス監視手段を作動させ、ユーザープログラムが所定のアドレス(例えば、図6(a)の「0000H」〜「xzyFH」の領域)を超えた領域へアクセスしようとした場合には、メインCPU110aへリセット信号を出力してメインCPU110aを動作停止状態にすればよい。また、リセット信号を出力しないまでも、異常を検知した旨を示す報知信号を出力するようにしてもよい。
また、生成パラメータのメインROM110bへの実装においては複数の方法が考えられる。例えば、送信部500に備えられた複数の遡及数Nの値のそれぞれと対応する複数の生成パラメータを予め用意し、メインROM110bに実装する。そして、生成パラメータ設定処理の中で、どの生成パラメータを選択するかを決定するためのプログラムをブートROM110dに実装しておき、ブート処理のたびにどの遡及数Nの値を用いるのかを任意に選択できるように構成することができる。このように実装すると、ブート処理のたびに誤り検査値の付加方法が変更され、誤り検査値付加機能の秘匿性を向上させることができ、遊技機1のセキュリティ強度を向上させることができる。
一方、送信部500に備えられた遡及数Nの値および生成パラメータについては予め複数用意するものの、特定の生成パラメータのみをメインROM110bに実装し、これに対応する特定の遡及数Nの値のみを用いた誤り検査値付加方法だけが採用されるように構成することもできる。このように実装すると、ブート処理での生成パラメータの選択処理に伴うプログラムを新たに設ける必要がなく、プログラムのコードサイズを増大させることがない。また、このように実装すると、遊技機メーカーが特定の誤り検査値付加方法だけを採用したい場合であっても、遊技機メーカーが行うプログラム実装過程において、所望の誤り検査値付加方法を示す遡及数Nの値に対応した生成パラメータのみをメインROM110bに実装すればよく、遊技機メーカーの用途や嗜好に柔軟に対応することができる。なお、この場合であっても、生成パラメータは、主制御部110のブート処理時の初期値設定時以外ではアクセスされない記憶領域に記憶されているため、外部から遡及数Nの値を知ることができない。そのため、不正者が、遊技機1で採用された誤り検査値付加方法を解析することは困難であり、遊技機1が有する誤り検査値付加機能の秘匿性は確保される。また、遊技機1の開発段階中で設計・検証作業などに使用する生成パラメータと、その後に実際に実装される生成パラメータとを変えることによって、最終的にどの生成パラメータが実装されたのかを知り得る者が限定され、誤り検査値付加機能の秘匿性は更に向上する。本実施形態では、特定の遡及数Nの値に対応する生成パラメータのみがメインROM110bに実装されていることとして説明する。
送信部500は、メインCPU110aから出力されたデータの中でも、特に、制御コマンドを中間制御部180へ送信するための出力ポートの機能を果たし、制御部510と、検査値生成部520と、送信バッファ530と、送信回路540とを少なくとも備えている。なお、検査値生成部520は、誤り検査値を生成する生成回路521と、生成した誤り検査値を格納する格納回路522と、格納回路522から送信バッファ530へ出力する誤り検査値等が格納された領域のアドレスを設定するアドレス設定部523とを少なくとも有している。
制御部510は、自身が保持するアルゴリズムに従って、ブート処理中の付加方法設定処理、ならびにブート処理後の検査値生成処理および検査値付加処理を含むコマンド送信処理など、遊技機1のセキュリティ機能実現に係る主制御部110の処理全般を制御する回路である。
制御部510は、付加方法設定処理において、メインCPU110aによって設定された生成パラメータを確認し、この設定された生成パラメータに対応した格納回路522の特定の格納領域に格納された誤り検査値が送信バッファ530へ出力されるようにアドレス設定部523に対してアドレスデータ設定する。例えば、制御部510は、送信部500に予め設けられた格納回路522の複数の格納領域のアドレスデータと、予め用意された複数種類の生成パラメータとの対応付けが記憶されたデータテーブルを備えている。そして、制御部510は、付加方法設定処理において、メインCPU110aにて設定された生成パラメータがどの格納領域のアドレスデータに対応するかを確認するとともに、後述する検査値付加処理にて格納回路522から誤り検査値を読み出す際に、当該アドレスデータのみをアドレス設定部523へ出力するように設定する。
また、制御部510は、メインCPU110aからの制御コマンドの出力に基づいて、格納回路522に格納された誤り検査値を制御コマンドに付加する検査値付加処理を行う。具体的には、制御部510は、メインCPU110aが送信バッファ530へ出力する制御コマンドの書き込み信号を、内部バス550を通じて検知する検知手段(図示せず)を備えており、当該書き込み信号を検知することで、メインCPU110aが制御コマンドを送信バッファ530へ出力するタイミングを知ることができる。そして、制御部510は、当該書き込み信号の検知を契機として、格納回路522に格納された誤り検査値を読み出すための読み出し信号を出力して格納された誤り検査値を内部バス550へ出力させるとともに、読み出した誤り検査値を送信バッファ530へ書き込むための書き込み信号を出力し、内部バス550へ出力された誤り検査値を送信バッファ530へ書き込んでセットする。
すなわち、制御部510は、格納回路522に対する読み出し信号および送信バッファ530に対する書き込み信号を、メインCPU110aが出力する制御コマンドの書き込み信号を検知したことを契機として出力する。ただし、制御部510は、上記制御コマンドの書き込み信号を検知したときは無制限に上記の両制御信号を出力するわけではなく、後述する誤り検査値付加方法に従って出力する。なお、制御部510が、上記の両制御信号を出力するタイミングについては後述する。そして、送信バッファ530にて、上記制御コマンドに誤り検査値が付加される。
なお、制御部510は、検査値付加処理において、リセット時など付加するべき誤り検査値が格納回路522に格納されていない場合は、主制御部110のブート処理後の初期化処理中に、メインROM110bに記憶された固有情報を格納回路522へ設定する。具体的には、制御部510は、メインROM110bに記憶された固有情報を格納回路522へ書き込むための書き込み信号を出力し、格納回路522を構成する初期検査値格納領域へ固有情報を書き込み、当該固有情報を誤り検査値の初期検査値として格納する。このとき、後述する誤り検査値付加方法の内容に起因して、固有情報が予め複数個(N個)用意されている場合は、制御部510は、複数個(N個)の初期検査値を格納することになる。
そして、制御部510は、今回用いる初期検査値を初期検査値格納領域から読み出すための読み出し信号を出力するとともに、読み出した初期検査値を送信バッファ530へ書き込むための書き込み信号を出力し、当該初期検査値を送信バッファ530へ書き込んでセットする。そして、送信バッファ530にて、上記制御コマンドに初期検査値を付加させる。なお、制御部510は、メインROM110bに記憶された固有情報を初期検査値格納領域へ一旦格納せずに、直接送信バッファ530へ書き込むこともできる。
ここで、誤り検査値付加方法について、図7を用いて説明する。本実施形態における誤り検査値の付加方法は、メインCPU110aが今回送信するとして送信バッファ530にセットした制御コマンド(M)に対し、これよりN個前に生成された制御コマンド(M−N)の誤り検査値(M−N)を付加するというものであり、主制御部110と中間制御部180との間で予め取り決められている。図7(a)には、N=1の場合、図7(b)には、N=2の場合が示されている。
(i)M>Nであれば、制御部510は、予め生成されて格納回路522の格納領域に格納されていた誤り検査値(M−N)を、送信バッファ530に書き込んで、制御コマンドに誤り検査値を付加させる。誤り検査値(M−N)は、上述のように、ブート処理時に設定された生成パラメータと対応するアドレスデータが示す格納回路522の格納領域に格納されている。
(ii)M≦Nであれば、制御部510は、メインROM110bに格納されたN個の固有情報を、格納回路522の初期検査値格納領域に初期検査値(1)〜初期検査値(N)として格納し、制御コマンド(1)〜制御コマンド(N)と対応付ける。そして、制御部510は、初期検査値(1)〜初期検査値(N)のいずれかを、制御コマンドの生成順序と対応するように送信バッファ530に書き込んで、制御コマンドに初期検査値を付加させる。
Nの取り得る値は、格納回路522(および中間制御部180の格納部622)の記憶容量によって制限されるものの、基本的には任意である。Nの値が大きければ、不正者にとっては、制御コマンドとそれに付加された誤り検査値との関係性を解析することがより困難となり、不正行為をより一層防止することができる。但し、Nの値が、例えば1日の遊技機稼働中における制御コマンドの送信回数より遥かに大きい値となると、制御コマンドに付加される誤り検査値は全て固有情報となり、固有情報の秘匿性が損なわれるおそれがある。
なお、主制御部110が、制御コマンド(M)を生成する度に、中間制御部180へ送信するならば、遡及数Nは、今回送信する制御コマンドに対して、何個前に送信された制御コマンドの誤り検査値を付加するのかということを取り決めておいた数であると考えることができる。本発明には、このような概念も含まれる。すなわち、この場合、誤り検査値(M−N)は、今回送信する制御コマンド(M)に対して、これよりN個前に送信した制御コマンド(M−N)の誤り検査値となる。また、本実施形態では、「誤り検査値」および「誤り検査値(M−N)」という表現には、特に明記する場合を除き、M≦Nの場合に付加される初期検査値(初期検査値(1)〜初期検査値(N)のいずれか)も含まれるものとして説明する。
また、制御部510は、送信バッファ530に保持されたデータを送信回路540へ出力し、送信回路540から演出制御部120へ直ちに送信させる。具体的には、制御部510は、送信バッファ530に保持された制御コマンドおよび誤り検査値を送信回路540へ転送させるための制御信号(以下、「送信許可信号」という)を、送信バッファ530へ出力し、送信バッファ530に保持された誤り検査値付きの制御コマンドを送信回路540へ転送させ、送信回路540から中間制御部180へ直ちに送信させる。送信許可信号の出力タイミングは、例えば、メインCPU110aが実行する後述のタイマ割込処理の実行周期(α、例えば4ミリ秒)に同期させるように設定しておけばよい。
生成回路521は、入力されたデータを予め設定された誤り検査値生成のための演算方式(以下、「生成方式」という)で演算して誤り検査値を生成し、出力する回路である。具体的には、生成回路521は、メインCPU110aが出力した制御コマンドを入力するように接続されており、入力した制御コマンドを生成回路521の生成方式で演算し、誤り検査値を生成する。生成方式は、主制御部110と中間制御部180との間で予め取り決めてあれば、特に限定されない。生成方式は、例えば、チェックサム方式、CRC方式、奇数パリティ方式、偶数パリティ方式、群計数チェック方式、垂直パリティ方式、水平パリティ方式、またはハミング符号方式等の公知の方式を用いることができる。
また、生成回路521は、メインCPU110aが出力した制御コマンドをそのまま入力し、演算するように構成することもできるし、メインCPU110aが出力した制御コマンドの一部だけを入力し、演算するように構成することもできる。例えば、制御コマンドは後述するように1バイトの「MODE」の情報と1バイトの「DATA」の情報とから構成されているが、出力された制御コマンドの「MODE」の情報のみを入力し、演算するように構成することができる。
格納回路522は、制御部510や生成回路521から出力されたデータを格納しておく記憶回路であり、メインROM110bから出力された固有情報が格納される初期検査値格納領域と、生成回路521から出力された誤り検査値が格納される格納領域とを少なくとも備えている。格納領域には、生成回路521で生成および出力された誤り検査値を格納する記憶領域であって、少なくともN+1個以上の誤り検査値を格納することができるように設けられている。また、初期検査値格納領域は、格納領域に格納された誤り検査値の代わりに用いる固有情報を格納する記憶領域であって、N個以上の固有情報を格納することができるように設けられている。そして、格納回路522は、制御部510から誤り検査値を書き込むための書き込み信号が出力されると、誤り検査値を内部バス550から取り込んで格納領域へ格納する。なお、本実施形態では、生成回路521から出力された誤り検査値は、その出力順序に対応して格納回路522の各格納領域へ格納される。
また、格納回路522は、検査値付加処理において、制御部510から誤り検査値を読み出すための読み出し信号が出力されると、格納された誤り検査値を内部バス550へ出力するが、このとき、格納回路522が出力する誤り検査値は、アドレス設定部523から指定されたアドレスの格納領域に格納された誤り検査値である。アドレス設定部523は、制御部510と格納回路522との間に設けられており、制御部510から受け取ったアドレスデータに対応する格納回路522の格納領域を作動させ、当該格納領域に格納された誤り検査値を内部バス550へ出力させるための制御信号(以下、「セレクト信号」という)を出力する。格納回路522は、このセレクト信号によって指定された格納領域の誤り検査値を内部バス550へ出力することができる。
制御部510からアドレス設定部523へ出力されるアドレスデータは、検査値付加処理において、格納回路522から出力され送信バッファ530へ書き込まれるべき誤り検査値の格納場所を示すものである。このアドレスデータは、現にメインCPU110aから送信バッファ530へ書き込まれた制御コマンド(M)に対して、付加方法設定処理にて設定された遡及数Nの関係を満たす誤り検査値(M−N)が格納された格納場所のアドレスデータである。メインCPU110aから出力された制御コマンド(M)は、送信バッファ530へ書き込まれると同時に生成回路521へ入力され、生成回路521から誤り検査値(M)が格納回路522へ出力される。本実施形態では、生成回路521から出力された誤り検査値(M)は、その出力順序に対応して格納回路522の各格納領域へ格納される。よって、上記アドレスデータは、現に生成回路521から出力された誤り検査値(M)が格納される格納領域(M)に対する相対アドレスであって、格納領域(M)から遡及数N個前の格納領域(M−N)を指定するアドレスデータとしておけばよい。
送信バッファ530は、中間制御部180へ送信するデータを一時的に保持するためのバッファ回路である。具体的には、送信バッファ530は、メインCPU110aが出力した、今回送信すべき制御コマンドを送信バッファ530へ書き込むための書き込み信号が入力されると、当該書き込み信号に対応した制御コマンドを、内部バス550を介して取り込む。また、送信バッファ530は、制御部510が出力した、上記制御コマンドに付加すべき誤り検査値を送信バッファ530へ書き込むための書き込み信号が入力されると、当該書き込み信号に対応した誤り検査値を、内部バス550を介して取り込む。そして、送信バッファ530は、制御部510からの送信許可信号が入力されるまで取り込んだ制御コマンドおよび誤り検査値を一時的に保持し、送信許可信号が入力されると保持したデータを送信回路540へ直ちに受け渡す。
送信回路540は、中間制御部180へ送信するデータを、主制御部110と中間制御部180や演出制御部120との間のデータ伝送形式(シリアル伝送形式やパラレル伝送形式)に対応したデータ形式へ変換する機能などを備えている。そして、送信回路540は、送信バッファ530から受け渡されたデータに上記変換処理等を施して送信データとし、中間制御部180へ直ちに送信する。
次に、主制御部110の各構成部の認証処理に関する動作について説明する。
遊技機1に電源が投入されると、主制御部110にシステムリセットが発生し、メインCPU110aは、ブートROM110dに予め記憶されたブート処理用プログラムに基づいて、主制御部110のブート処理を行う。ブート処理の中で、メインCPU110aは、主制御部110のハードウェア設定項目の一つとして、メインROM110bに予め記憶された送信部500に関する初期値を送信部500に設定する。その際、メインCPU110aは、送信部500に関する初期値の一つである生成パラメータを送信部500に設定する生成パラメータ設定処理を行う。
具体的には、メインCPU110aは、メインCPU110aの起動直後に立ち上るように設定されているブート処理用プログラムを実行し、生成パラメータ設定処理を行う。まず、メインCPU110aは、送信部500の生成パラメータを読み出すための読み出し信号をメインROM110bへ出力する。メインROM110bでは、メインCPU110aからの読み出し信号が入力されたことにより、予め定めたメインROM110bの特定のアドレスに記憶されている各種初期値(図6の「yxz0H」〜「yyzFH」の領域)のうちの生成パラメータ(図6の「yyy0H」〜「yyzFH」の領域)が出力される。そして、メインCPU110aは、当該読み出し信号によりメインROM110bから出力された生成パラメータを、内部バス550を介して取り込む。
続いて、メインCPU110aは、取り込んだ生成パラメータを送信部500へ設定する。具体的には、メインCPU110aは、取り込んだ生成パラメータを送信部500の制御部510へ書き込むための書き込み信号を出力する。そして、メインCPU110aは、当該書き込み信号によりメインCPU110aから出力された生成パラメータを、内部バス550を介して制御部510の生成パラメータ用記憶領域へセットする。
次に、送信部500は、付加方法設定処理を行う。具体的には、送信部500を構成する制御部510は、自身が保持するアルゴリズムに従って、生成パラメータ用記憶領域にセットされた生成パラメータが、遡及数Nを担う複数の遡及数のうち、どの遡及数に対応した値であるかを確認する。そして、制御部510は、格納回路522に対する誤り検査値の読み出し信号を出力する際には、生成パラメータが示す遡及数Nに対応したアドレスデータが、内部バス550を介してアドレス設定部523へ出力されるように設定する。そして、アドレス設定部523からは、格納領域(M−N)を指定するセレクト信号が出力される。
その後、主制御部110のブート処理が終了すると、メインCPU110aは、メインROM110bに記憶された遊技処理用プログラムに基づき遊技進行に係る処理を行う。そして、メインCPU110aは、制御コマンドを送信するタイミングとなると、制御コマンド送信処理を行う。
具体的には、まず、メインCPU110aは、制御コマンドを構成するために必要なデータをメインROM110bから読み出すための読み出し信号を出力する。メインROM110bでは、当該読み出し信号に応じて、予め設定された記憶領域から取得して制御コマンドを構成するのに必要なデータを内部バス550へ出力する。そして、メインCPU110aは、当該読み出し信号によりメインROM110bから出力された上記データを、内部バス550を介して取り込む。そして、メインCPU110aは、取り込んだデータを用いて今回送信する制御コマンド(M)を構成し、メインRAM110cの送信データ用記憶領域にセットする。
次に、メインCPU110aは、送信データ用記憶領域にセットされた制御コマンド(M)を送信部500にて中間制御部180へ送信させる。具体的には、メインCPU110aは、メインRAM110cの送信データ用記憶領域にセットされている制御コマンド(M)を送信部500へ書き込むための書き込み信号を出力する。そして、メインCPU110aは、当該書き込み信号により送信データ用記憶領域から出力された制御コマンド(M)を、送信部500を構成する送信バッファ530へ書き込んでセットする。このとき、上記書き込み信号が、送信部500を構成する制御部510へ入力されるとともに、制御コマンド(M)が生成回路521へ入力される。これらの入力の検知を契機として、送信部500は、自身が保持するアルゴリズムに従って、検査値生成処理および検査値付加処理を実行する。
まず、送信部500は、送信バッファ530へセットされた制御コマンド(M)を用いて誤り検査値(M)を生成する検査値生成処理を行う。具体的には、送信部500を構成する生成回路521には、メインCPU110aが送信バッファ530へセットするために出力した制御コマンド(M)が入力される。生成回路521は、入力された制御コマンド(M)に対して予め設定された生成方式にて誤り検査値(M)を生成する。そして、生成された誤り検査値(M)は、そのまま格納回路522へ受け渡され、格納回路522の格納領域(M)に格納される。
そして、制御部510は、付加方法設定処理にて設定された誤り検査値付加方法に基づいて、検査値付加処理を行う。制御部510は、格納回路522の格納領域(M−N)に格納された誤り検査値(M−N)を送信バッファ530へセットする。具体的には、制御部510は、自身の検知手段が、メインCPU110aからの制御コマンドの書き込み信号を検知すると、当該書き込み信号の検知を契機として、付加方法設定処理にて設定されたアドレスデータをアドレス設定部523へ出力するとともに、格納回路522から誤り検査値を読み出すための読み出し信号を出力する。アドレス設定部523では、制御部510より出力されたアドレスデータが示す、格納領域(M−N)へのセレクト信号を出力する。格納回路522は、制御部510から上記読み出し信号が出力されると、上記セレクト信号が指定する格納領域(M−N)に格納された誤り検査値(M−N)を内部バス550へ出力する。続いて、制御部510は、格納回路522から出力された誤り検査値(M−N)を送信バッファ530へ書き込むための書き込み信号を出力し、誤り検査値(M−N)を、送信バッファ530へ書き込んでセットする。
なお、遊技機1のリセット時等では、格納回路522を構成する初期検査値格納領域に遊技機1の固有情報をセットしたうえで、上記検査値付加処理を行う。具体的には、制御部510は、固有情報を読み出すための読み出し信号をメインROM110bへ出力する。メインROM110bでは、制御部510からの読み出し信号が入力されたことにより、予め定めたメインROM110bの特定のアドレスに記憶されている固有情報(図6の「yyy0H」〜「yyzFH」の領域)が出力される。そして、制御部510は、当該読み出し信号によりメインROM110bから出力された固有情報を、内部バス550を介して格納回路522の初期検査値格納領域に取り込んで格納しておく。その後、制御部510は、格納回路522に格納した固有情報を初期検査値として送信バッファ530へセットする。
続いて、制御部510は、送信バッファ530にセットされた制御コマンド(M)および誤り検査値(M−N)を、送信回路540へ受け渡し、これらを送信データとして中間制御部180へ送信する。具体的には、制御部510は、上記検知手段での検知を契機として、予め定められた制御コマンドの送信タイミングで、送信バッファ530へ送信許可信号を出力する。送信バッファ530は、制御部510から送信許可信号が入力されると、セットされた制御コマンド(M)および誤り検査値(M−N)を、送信回路540へ直ちに受け渡す。送信回路540は、送信バッファ530から受け渡された制御コマンド(M)および誤り検査値(M−N)に上記変換処理等を施して送信データとし、中間制御部180へ直ちに送信する。このようにして、主制御部110を構成する送信部500から誤り検査値付きの制御コマンドが中間制御部180へ送信されることとなる。
その後、主制御部110を構成する送信部500から送信された制御コマンド(M)は、中間制御部180を構成する受信部600にて受信される。
図8に、本実施形態に係る中間制御部180の認証処理に関する機能ブロックを示す。
中間制御部180は、認証処理に関する機能として、受信部600と、検査部610と、検査値生成部620と、付加部630と、中継送信部640と、を少なくとも有している。さらに、検査値生成部620は、誤り検査値を生成する生成部621と、生成した誤り検査値を格納する格納部622の機能を少なくとも有している。
受信部600は、主制御部110からの送信データに上記変換処理に対応する処理等を施して制御コマンド(M)とし、自身の受信バッファに記憶する機能を有するものである。また、受信部600は、制御コマンド(M)の受信割込要求があった旨を示す信号を出力したり、制御コマンド(M)の受信が完了したことを示すフラグを立てたりして、中間制御部180のCPU180aが、主制御部110から送信された制御コマンド(M)の受信が完了したことを検知できるようにする機能を有するものである。
また、受信部600は、受信した誤り検査値付きの制御コマンド(M)から、付加された誤り検査値(M−N)を抽出して検査部610へ出力するとともに、誤り検査値(M−N)を抽出後の制御コマンド(M)を検査値生成部620および付加部630へ出力する機能を有するものである。なお、受信部600の機能を実現する具体的な手段は、図4に示すCPU180aの一部、ROM180bの一部、RAM180cの一部、およびコマンド受信用入力ポート(図示せず)等から構成することができる。
検査値生成部620は、生成部621によって、受信部600から出力された制御コマンド(M)を用いて誤り検査値(M)を生成する機能を有するものであり、この機能で生成された誤り検査値は、受信した制御コマンド(M)の正当性を検証するために用いられる。また、検査値生成部620は、生成部621で生成した誤り検査値(M)を格納部622に格納する機能を有するものである。また、検査値生成部620は、予め設定された誤り検査値の出力方法に基づいて、過去に格納部622にて格納しておいた誤り検査値を、検査部610へ出力する機能を有するものである。すなわち、検査値生成部620は、今回受信した制御コマンド(M)より前の制御コマンド(M−N)を用いて生成部621にて生成され、格納部622に格納しておいた誤り検査値(M−N)を検査部610へ出力する。
検査値生成部620が有する、過去に生成し格納しておいた誤り検査値を検査部610へ出力する機能(以下、「誤り検査値出力機能」という)は、主制御部110が有する誤り検査値付加機能と同様のものであり、本実施形態では、主制御部110の上記遡及数Nに即して誤り検査値が検査部610へ出力される。この誤り検査値出力機能に対する選択情報も、主制御部110の生成パラメータと同様のものである。そして、これら中間制御部180の誤り検査値出力機能およびその選択情報は、予め主制御部110と中間制御部180の間で取り決められている。また、格納部622においても、主制御部110の上記格納回路522と同様に、格納領域と初期検査値格納領域とを有し、初期検査値格納領域には、N個の固有情報が予め格納されている。そして、M≦Nの場合には、受信した制御コマンド(1)〜制御コマンド(N)に対応する初期検査値(1)〜初期検査値(N)のいずれかを検査部610へ出力する。このとき、遊技機1のリセット時等、主制御部110または中間制御部180が初期化され、格納部622に格納されていた過去の誤り検査値がクリアされた場合には、ROM180bから固有情報を読み出し、初期検査値格納領域に格納する。なお、生成部621および格納部622の機能を実現する具体的な手段は、図4に示すCPU180aの一部、ROM180bの一部、RAM180cの一部等から構成することができる。
検査部610は、受信部600から出力された誤り検査値と、検査値生成部620の格納部622から出力された誤り検査値とを照合する誤り検査処理を行う機能を有するものである。誤り検査処理では、受信部600から出力された誤り検査値と、格納部622から出力された誤り検査値とを比較し、共に誤り検査値(M−N)で一致する場合は、検査結果は正常であると判断され、一致しない場合は、検査結果は正常でないと判断される。
検査結果が正常と判断された場合、検査部610は、今回受信した誤り検査値(M−N)が付加された制御コマンド(M)、および今回の誤り検査値(M−N)の生成元であるN個前の制御コマンド(M−N)の正当性を認証し、主制御部110の正当性を認証することができたと判断する。そして、検査部610は、認証成功を示す認証結果データを生成し、付加部630へ出力する。一方、検査結果が正常と判断されなかった場合は、検査部610は、不正行為や通信エラーなどが発生したため主制御部110の正当性を認証することができなかったと判断する。そして、検査部610は、認証不成功を示す認証結果データを生成し、付加部630へ出力する。なお、認証結果データのデータ形式は、特に限定されないが、受信した制御コマンドに付加された誤り検査値と同一のデータ長を有するデータ形式としておけばよい。また、検査部610の機能を実現する具体的な手段は、図4に示すCPU180aの一部、ROM180bの一部、RAM180cの一部等から構成することができる。
付加部630は、受信部600から出力された、誤り検査値(M−N)抽出後の制御コマンド(M)に、検査部610から出力された認証結果データを付加し、認証結果データ付きの制御コマンド(M)を生成する機能を有するものである。また、付加部630は、生成した認証結果データ付きの制御コマンド(M)を中継送信部640へ出力する機能を有するものである。なお、付加部630の機能を実現する具体的な手段は、図4に示すCPU180aの一部、ROM180bの一部、およびRAM180cの一部等から構成することができる。
中継送信部640は、付加部630から出力された認証結果データ付きの制御コマンド(M)を演出制御部120へ送信する機能を有するものである。中継送信部640が演出制御部120へ送信する認証結果データ付きの制御コマンド(M)は、受信部600にて受信した制御コマンド(M)と同一内容の演出処理を示すものである。すなわち、受信部600にて受信した制御コマンド(M)は、その具体的な処理内容および受信順序が維持された状態で中継送信部640へ出力され、中継送信部640にて演出制御部120へ送信されることとなる。なお、中継送信部640の機能を実現する具体的な手段は、図4に示すCPU180aの一部、ROM180bの一部、およびRAM180cの一部等から構成することができる。
中間制御部180は、生成した認証結果データを演出制御部120へ送信する際に、受信した制御コマンドに付加して演出制御部120へ送信する。すなわち、認証結果データは、認証結果データ単体では送信されず、他の送信データである制御コマンドと一体的に演出制御部120へ送信されることとなる。認証結果データと誤り検査値とを同一のデータ長を有するデータ形式としておけば、主制御部110から中間制御部180へ送信される送信データと、中間制御部180から演出制御部120へ送信される送信データとは同一のデータ長を有するデータ形式とすることができる。このようにすることで、不正者が、中間制御部180と演出制御部120の間の送信データを窃取して、認証結果データの演出制御部120への送信タイミングを不正に解析することが困難となり、遊技機1のセキュリティ強度を向上することができる。
[制御コマンドの説明]
以下、本発明の実施形態に係る遊技機1の主制御部110から演出制御部120に対して送信される制御コマンドの種別について説明する。
図9は、本実施形態に係る遊技機1を構成する主制御部110から演出制御部120へ送信される制御コマンドの種別を示す図である。なお、図9に示された制御コマンドは一例であり、本発明に係る制御コマンドはこれに限定されるものではない。
主制御部110から中間制御部180を介して演出制御部120へ送信される制御コマンドは、1コマンドが2バイトのデータで構成されており、制御コマンドの分類を識別するための1バイトの「MODE」の情報と、各制御コマンドの詳細な制御内容を示す1バイトの「DATA」の情報とから構成されている。「MODE」の情報と「DATA」の情報は、上記のようにメインROM110bに予め記憶されている。なお、本実施形態では、制御コマンドには誤り検査値が付加され、誤り検査値付きの制御コマンドとして中間制御部180を介して演出制御部120に送信されるが、以下の説明において、「制御コマンドを送信する」との表現には、制御コマンドに誤り検査値を付加して送信することが含まれる。
「演出図柄指定コマンド」は、停止表示される特別図柄の種別を示すものであり、「MODE」の情報が「E0H」で設定され、特別図柄の種別に合わせて「DATA」の情報が設定されている。なお、特別図柄の種別が結果的に大当たりの種別や遊技状態を決定するものであるから、演出図柄指定コマンドは、大当たりの種別や、遊技状態を示すものともいえる。
この演出図柄指定コマンドは、各種の特別図柄が決定され、特別図柄の変動表示が開始されるときに、決定された特別図柄に対応する演出図柄指定コマンドが演出制御部120に送信される。具体的には、大当たりの抽選結果を判定し特別図柄各種の特別図柄が決定され特別図柄の変動表示が開始されるときに、決定された特別図柄に対応する演出図柄指定コマンドがメインRAM110cの送信データ用記憶領域にセットされる。その後、送信データ用記憶領域にセットされている演出図柄指定コマンドが中間制御部180を介して演出制御部120へ直ちに送信されることになる。
なお、演出図柄指定コマンド等と関連する大当たりの抽選に関する処理については後述する。
「第1特別図柄記憶指定コマンド」は、第1特別図柄保留数(U1)記憶領域に記憶されている保留記憶数を示すものであり、「MODE」の情報が「E1H」で設定され、保留記憶数に合わせて「DATA」の情報が設定されている。
この第1特別図柄記憶指定コマンドは、第1特別図柄保留数(U1)記憶領域に記憶されている保留記憶数が切り替わるときに、保留記憶数に対応する第1特別図柄記憶指定コマンドが演出制御部120に送信される。具体的には、第1始動口14への入球や大当たりの抽選結果の判定に際し第1特別図柄保留数(U1)記憶領域に記憶されている値が増減したときに、増減後の保留記憶数に対応する第1特別図柄記憶指定コマンドがメインRAM110cの送信データ用記憶領域にセットされる。その後、送信データ用記憶領域にセットされている第1特別図柄記憶指定コマンドが中間制御部180を介して演出制御部120へ直ちに送信されることになる。
「第2特別図柄記憶指定コマンド」は、第2特別図柄保留数(U2)記憶領域に記憶されている保留記憶数を示すものであり、「MODE」の情報が「E2H」で設定され、保留記憶数に合わせて「DATA」の情報が設定されている。
この第2特別図柄記憶指定コマンドは、第2特別図柄保留数(U2)記憶領域に記憶されている保留記憶数が切り替わるときに、保留記憶数に対応する第2特別図柄記憶指定コマンドが演出制御部120に送信される。具体的には、第2始動口15への入球や大当たりの抽選結果の判定に際し第2特別図柄保留数(U2)記憶領域に記憶されている値が増減したときに、増減後の保留記憶数に対応する第2特別図柄記憶指定コマンドがメインRAM110cの送信データ用記憶領域にセットされる。その後、送信データ用記憶領域にセットされている第2特別図柄記憶指定コマンドが中間制御部180を介して演出制御部120へ直ちに送信されることになる。
なお、本実施形態では、「第1特別図柄記憶指定コマンド」と「第2特別図柄記憶指定コマンド」とをまとめて「特別図柄記憶指定コマンド」という。
「図柄確定コマンド」は、特別図柄が停止表示されていることを示すものであり、「MODE」の情報が「E3H」で設定され、「DATA」の情報が「00H」に設定されている。
この図柄確定コマンドは、特別図柄が停止表示されているときに演出制御部120に送信される。具体的には、大当たりの抽選結果を判定し特別図柄の変動時間が経過した後に、特別図柄を第1特別図柄表示装置20または第2特別図柄表示装置21に停止表示させるときに、図柄確定コマンドがメインRAM110cの送信データ用記憶領域にセットされる。その後、送信データ用記憶領域にセットされている図柄確定コマンドが中間制御部180を介して演出制御部120へ直ちに送信されることになる。
「電源投入時指定コマンド」は、遊技機1の電源が投入されたことを示すものであり、「MODE」の情報が「E4H」で設定され、「DATA」の情報が「00H」に設定されている。
この電源投入時指定コマンドは、遊技機1の電源が投入されたときに演出制御部120に送信される。遊技機1の電源が投入され主制御部110の初期化処理が行われる際に、電源遮断時(以下、「電断時」という)に生成したメインRAM110cのバックアップ情報が有効でない場合は、メインRAM110cの作業領域がクリアされ、新たに作業領域の設定が行われる。その後、電源投入時指定コマンドがメインRAM110cの送信データ用記憶領域にセットされる。その後、送信データ用記憶領域にセットされている電源投入時指定コマンドが中間制御部180を介して演出制御部120へ直ちに送信されることになる。
なお、電源投入時指定コマンド等と関連する初期化処理については後述する。
「RAMクリア指定コマンド」は、メインRAM110cに記憶された情報がクリアされたことを示すものであり、「MODE」の情報が「E4H」で設定され、「DATA」の情報が「01H」に設定されている。
遊技機1の裏側には図示しないRAMクリアボタンが設けられており、RAMクリアボタンを押下しながら遊技機1の電源を投入すると、主制御部110にシステムリセットが発生し初期化処理が行われる。そして、メインRAM110cの作業領域がクリアされ新たに作業領域の設定が行われ電源投入時指定コマンドを送信した後に、RAMクリア指定コマンドがメインRAM110cの送信データ用記憶領域にセットされる。その後、送信データ用記憶領域にセットされているRAMクリア指定コマンドが中間制御部180を介して演出制御部120へ直ちに送信されることになる。
「電源復旧指定コマンド」は、遊技機1の電源が投入されて、正常に復旧したことを示すものであり、「MODE」の情報が「E4H」で設定され、電断時の遊技状態別に合わせて「DATA」の情報が設定されている。
この電源復旧指定コマンドは、遊技機1の電源が投入されて、正常に復旧したときに演出制御部120に送信される。具体的には、遊技機1の電源が投入され初期化処理が行われる際に、電断時に生成したメインRAM110cのバックアップ情報が有効である場合は、バックアップ情報が示す遊技状態に応じた電源復旧指定コマンドを生成し、生成した電源復旧指定コマンドがメインRAM110cの送信データ用記憶領域にセットされる。その後、送信データ用記憶領域にセットされている電源復旧指定コマンドが中間制御部180を介して演出制御部120へ直ちに送信されることになる。
「デモ指定コマンド」は、第1特別図柄表示装置20または第2特別図柄表示装置21が作動していないことを示すものであり、「MODE」の情報が「E5H」で設定され、「DATA」の情報が「00H」に設定されている。
このデモ指定コマンドは、第1特別図柄表示装置20または第2特別図柄表示装置21の特別図柄の保留記憶がないときに、演出制御部120に送信される。具体的には、大当たりの抽選、特別電動役物、遊技状態の制御を行うに際し、第1特別図柄保留数(U1)記憶領域または第2特別図柄保留数(U2)記憶領域のいずれの記憶領域にも1以上のデータがセットされていないときに、デモ指定コマンドがメインRAM110cの送信データ用記憶領域にセットされる。その後、送信データ用記憶領域にセットされているデモ指定コマンドが中間制御部180を介して演出制御部120へ直ちに送信されることになる。
「第1特別図柄用変動パターン指定コマンド」は、第1特別図柄表示装置20における特別図柄の変動時間(変動態様)を示すものであり、「MODE」の情報が「E6H」で設定され、各種の変動パターンに合わせて「DATA」の情報が設定されている。
この第1特別図柄用変動パターン指定コマンドは、第1特別図柄表示装置20の特別図柄の変動表示が開始されるときに、決定された特別図柄の変動パターンに対応する第1特別図柄用変動パターン指定コマンドが演出制御部120に送信される。具体的には、大当たりの抽選結果を判定し特別図柄の変動パターンが決定され特別図柄の変動表示が開始されるときに、決定された特別図柄の変動パターンに対応する第1特別図柄用変動パターン指定コマンドがメインRAM110cの送信データ用記憶領域にセットされる。その後、送信データ用記憶領域にセットされている第1特別図柄用変動パターン指定コマンドが中間制御部180を介して演出制御部120へ直ちに送信されることになる。
「第2特別図柄用変動パターン指定コマンド」は、第2特別図柄表示装置21における特別図柄の変動時間(変動態様)を示すものであり、「MODE」の情報が「E7H」で設定され、各種の変動パターンに合わせて「DATA」の情報が設定されている。
この第2特別図柄用変動パターン指定コマンドは、第2特別図柄表示装置21の特別図柄の変動表示が開始されるときに、決定された特別図柄の変動パターンに対応する第2特別図柄用変動パターン指定コマンドが演出制御部120に送信される。具体的には、大当たりの抽選結果を判定し特別図柄の変動パターンが決定され特別図柄の変動表示が開始されるときに、決定された特別図柄の変動パターンに対応する第2特別図柄用変動パターン指定コマンドがメインRAM110cの送信データ用記憶領域にセットされる。その後、送信データ用記憶領域にセットされている第2特別図柄用変動パターン指定コマンドが中間制御部180を介して演出制御部120へ直ちに送信されることになる。
なお、本実施形態では、「第1特別図柄用変動パターン指定コマンド」と「第2特別図柄用変動パターン指定コマンド」とをまとめて、「変動パターン指定コマンド」という。
「大入賞口開放指定コマンド」は、各種大当りの種別に合わせた大当たりのラウンド数を示すものであり、「MODE」の情報が「EAH」で設定され、大当たりのラウンド数に合わせて「DATA」の情報が設定されている。
この大入賞口開放指定コマンドは、大当りラウンドが開始されるときに、開始されたラウンド数に対応する大入賞口開放指定コマンドが演出制御部120に送信される。具体的には、大当たり遊技処理において第1大入賞口開閉扉16b(または第2大入賞口開閉扉17b)を開放させるときに、開放させるときのラウンド数に対応する大入賞口開放指定コマンドがメインRAM110cの送信データ用記憶領域にセットされる。その後、送信データ用記憶領域にセットされている大入賞口開放指定コマンドが中間制御部180を介して演出制御部120へ直ちに送信されることになる。
「オープニング指定コマンド」は、各種の大当りが開始することを示すものであり、「MODE」の情報が「EBH」で設定され、大当たりの種別に合わせて「DATA」の情報が設定されている。
このオープニング指定コマンドは、各種の大当りが開始するときに、大当たりの種別に対応するオープニング指定コマンドが演出制御部120に送信される。具体的には、大当たり遊技処理の開始のときに、大当たりの種別に対応するオープニング指定コマンドがメインRAM110cの送信データ用記憶領域にセットされる。その後、送信データ用記憶領域にセットされているオープニング指定コマンドが中間制御部180を介して演出制御部120へ直ちに送信されることになる。
「エンディング指定コマンド」は、各種の大当りが終了したことを示すものであり、「MODE」の情報が「ECH」で設定され、大当たりの種別に合わせて「DATA」の情報が設定されている。
このエンディング指定コマンドは、各種の大当りが終了するときに、大当たりの種別に対応するエンディング指定コマンドが演出制御部120に送信される。具体的には、大当り遊技終了処理の開始のときに、大当たりの種別に対応するエンディング指定コマンドがメインRAM110cの送信データ用記憶領域にセットされる。その後、送信データ用記憶領域にセットされているエンディング指定コマンドが中間制御部180を介して演出制御部120へ直ちに送信されることになる。
「遊技状態指定コマンド」は、遊技状態の内容を示すものであり、「MODE」の情報が「EDH」で設定され、遊技状態の内容に合わせて「DATA」の情報が設定されている。
この遊技状態指定コマンドは、特別図柄の変動開始時および変動終了時に遊技状態指定コマンドが演出制御部120に送信される。具体的には、特別図柄の変動開始時および変動終了時などによって、遊技状態記憶領域や高確率遊技回数カウンタなどの現在の遊技状態を示すデータを記憶した各種記憶領域の値が変化したときに、現在の遊技状態に対応する遊技状態指定コマンドがメインRAM110cの送信データ用記憶領域にセットされる。その後、送信データ用記憶領域にセットされている遊技状態指定コマンドが中間制御部180を介して演出制御部120へ直ちに送信されることになる。
[主制御部の制御処理]
以下、本発明の実施形態に係る遊技機1の主制御部110の制御処理について説明する。まず、主制御部110のメイン処理について説明する。
図10は、本実施形態に係る主制御部110によるメイン処理を示すフローチャートである。
遊技機1に電源が投入され、電源部170により電源が供給されると、主制御部110にシステムリセットが発生し、メインCPU110aは、初期化処理(図10のステップS1〜ステップS17までの処理)および乱数値更新処理(図10のステップS20およびステップS30の処理)を行う。
ステップS1において、メインCPU110aは、主制御部110の初期化処理の前提としてブート処理を行う。このブート処理において、メインCPU110aは、自身の自己診断処理や、内蔵回路や周辺回路等の初期化および初期値の設定を行う。なお、ブート処理の詳細については後述する。
ステップS2において、メインCPU110aは、メインRAM110cへのアクセスを許可に設定する。
ステップS3において、メインCPU110aは、RAMクリアスイッチがオンとなっているか判定し、RAMクリアスイッチがオンと判定された場合、RAMクリアを行うためステップS10に処理を移す。一方、RAMクリアスイッチがオンと判定されなかた場合には、ステップS4に処理を移す。
ステップS4において、メインCPU110aは、電源投入時のメインRAM110cの所定の記憶領域におけるチェックサムを生成する。
ステップS5において、メインCPU110aは、生成したチェックサムと、電断時に生成したメインRAM110cの所定の記憶領域におけるチェックサムとを比較する。ここで、一致していれば正常と判定し、ステップS6に処理を移し、一致していなければエラーと判定し、ステップS10に処理を移す。
ステップS6において、メインCPU110aは、演出制御部120をはじめとした周辺部300や中間制御部180との間で、起動後の動作の開始タイミングを調整する。具体的には、周辺部300や中間制御部180がすべて起動し安定状態となってから演出処理や認証処理等をほぼ同じタイミングで開始できるように、一定時間だけ待機する。
ステップS7において、メインCPU110aは、電断からの復旧に際して初期値を必要とするメインRAM110cの作業領域に初期値を設定し、バックアップが有効である場合のRAMの設定処理を行う。
ステップS8において、メインCPU110aは、電断時の遊技状態に復旧すべく、電断時に生成したメインRAM110cのバックアップ情報を読み込む。具体的には、バックアップされているメインRAM110cの遊技状態記憶領域から遊技状態の情報を読み込む。
ステップS9において、メインCPU110aは、読み込んだ遊技状態の情報に基づいて電源復旧指定コマンドを決定し、決定した電源復旧指定コマンドをメインRAM110cの送信データ用記憶領域にセットする。
ステップS10において、メインCPU110aは、上記ステップS6と同様に周辺部300や中間制御部180との間でのタイミング調整を行う。
ステップS11において、メインCPU110aは、メインRAM110cの使用領域をクリアする。
ステップS12において、メインCPU110aは、各種乱数値の初期値の設定をはじめとする、遊技機1の初期化に際して初期値を必要とするメインRAM110cの作業領域に初期値を設定し、バックアップが有効でない場合のメインRAM110cの設定処理を行う。
ステップS13において、メインCPU110aは、電源投入時指定コマンドを生成し、生成した電源投入時指定コマンドをメインRAM110cの送信データ用記憶領域にセットする。
ステップS14において、メインCPU110aは、送信データ用記憶領域にセットされている制御コマンドを中間制御部180に送信するコマンド送信処理を行う。すなわち、電源投入時指定コマンドを中間制御部180に送信する。なお、本ステップS14およびステップS16のコマンド送信処理は、上記検査値生成処理および上記検査値付加処理を伴う。さらに、この検査値付加処理では、格納回路522の初期検査値格納領域への上記固有情報の設定処理を伴う。コマンド送信処理の詳細については後述する。
ステップS15において、メインCPU110aは、RAMクリア指定コマンドを生成し、生成したRAMクリア指定コマンドをメインRAM110cの送信データ用記憶領域にセットする。
ステップS16において、メインCPU110aは、メインRAM110cの送信データ用記憶領域にセットされている制御コマンドを中間制御部180に送信するコマンド送信処理を行う。すなわち、電源復旧指定コマンドまたはRAMクリア指定コマンドのいずれかの制御コマンドを中間制御部180に送信する。
ステップS17において、メインCPU110aは、割込許可の設定をするとともに、タイマ割込プログラムの実行周期(α、例えば4ミリ秒)を設定する。
なお、ステップS14およびステップS16のコマンド送信処理は、本ステップS17での割込許可後に行われるタイマ割込処理の中で行ってもよい。このとき、各制御コマンドの送信順番が前後しないよう予め取り決めておく。
ステップS20において、メインCPU110aは、特別図柄の変動態様(変動時間)を決定するためのリーチ判定用乱数値および特図変動用乱数値を更新する演出用乱数値更新処理を行う。
ステップS30において、メインCPU110aは、特別図柄判定用初期乱数値、大当たり図柄用初期乱数値、小当たり図柄用初期値乱数値、普通図柄判定用初期乱数値を更新する初期乱数値更新処理を行う。その後、所定の割込処理が行われるまで、ステップS20とステップS30との処理を繰り返し行う。
次に、主制御部110の割込処理について説明する。
図11は、本実施形態に係る主制御部110による割込処理を示すフローチャートである。
メインCPU110aは、主制御部110に設けられたクロックパルス発生回路(図示せず)から出力されるクロック信号に基づいて、所定の周期(α)ごとに、主制御部110のタイマ割込処理を実行する。
まず、ステップS100において、メインCPU110aは、メインCPU110aのレジスタに記憶されている情報をスタック領域に退避させる。
ステップS110において、メインCPU110aは、特別図柄時間カウンタの更新処理、特別電動役物の開放時間等などの特別遊技タイマカウンタの更新処理、普通図柄時間カウンタの更新処理、普電開放時間カウンタの更新処理等の各種タイマカウンタを更新する時間制御処理を行う。具体的には、特別図柄時間カウンタ、特別遊技タイマカウンタ、普通図柄時間カウンタ、普電開放時間カウンタから1を減算する処理を行う。
ステップS120において、メインCPU110aは、特別図柄判定用乱数値、大当たり図柄用乱数値、小当たり図柄用乱数値、普通図柄判定用乱数値の乱数更新処理を行う。
具体的には、それぞれの乱数値および乱数カウンタに1を加算して更新する。なお、加算した乱数カウンタが乱数範囲の最大値を超えた場合(乱数カウンタが1周した場合)には、乱数カウンタを0に戻し、その時の初期乱数値からそれぞれの乱数値を新たに更新する。
ステップS130において、メインCPU110aは、ステップS30と同様に、特別図柄判定用初期乱数値、大当たり図柄用初期乱数値、小当たり図柄用初期値乱数値、普通図柄判定用初期乱数値を更新する初期乱数値更新処理を行う。
ステップS200において、メインCPU110aは、入力制御処理を行う。この処理において、メインCPU110aは、一般入賞口検出スイッチ12a、第1大入賞口検出スイッチ16a、第2大入賞口検出スイッチ17a、第1始動口検出スイッチ14a、第2始動口検出スイッチ15a、ゲート検出スイッチ13aの各スイッチに入力があったか否か判定する入力処理を行う。
具体的には、一般入賞口検出スイッチ12a、第1大入賞口検出スイッチ16a、第2大入賞口検出スイッチ17a、第1始動口検出スイッチ14a、第2始動口検出スイッチ15aからの各種検出信号を入力した場合には、ぞれぞれの入賞口毎に設けられた賞球のために用いる賞球カウンタに所定のデータを加算して更新する。
さらに、第1始動口検出スイッチ14aから検出信号を入力した場合には、第1特別図柄保留数(U1)記憶領域にセットされているデータが4未満であれば、第1特別図柄保留数(U1)記憶領域に1を加算し、特別図柄判定用乱数値、大当たり図柄用乱数値、小当たり図柄用乱数値、リーチ判定用乱数値および特図変動用乱数値を取得して、取得した各種乱数値を第1特別図柄乱数値記憶領域にある所定の記憶部(第0記憶部〜第4記憶部)に記憶する。
同様に、第2始動口検出スイッチ15aから検出信号を入力した場合には、第2特別図柄保留数(U2)記憶領域にセットされているデータが4未満であれば、第2特別図柄保留数(U2)記憶領域に1を加算し、特別図柄判定用乱数値、大当たり図柄用乱数値、小当たり図柄用乱数値、リーチ判定用乱数値および特図変動用乱数値を取得して、取得した各種乱数値を第2特別図柄乱数値記憶領域にある所定の記憶部(第0記憶部〜第4記憶部)に記憶する。
また、ゲート検出スイッチ13aから検出信号を入力した場合には、普通図柄保留数(G)記憶領域にセットされているデータが4未満であれば、普通図柄保留数(G)記憶領域に1を加算し、普通図柄判定用乱数値を取得して、取得した普通図柄判定用乱数値を普通図柄保留記憶領域にある所定の記憶部(第0記憶部〜第4記憶部)に記憶する。
さらに、第1大入賞口検出スイッチ16aまたは第2大入賞口検出スイッチ17aからの検出信号を入力した場合には、第1大入賞口16または第2大入賞口17に入賞した遊技球を計数するための大入賞口入球数(C)記憶領域に1を加算して更新する。
ステップS300において、メインCPU110aは、上記ステップS200での入力制御処理に基づいて、大当たりの抽選、特別電動役物、遊技状態の制御を行うための特別図柄・特別電動役物制御処理(以下、「特図特電制御処理」という)を行う。特図特電制御処理の詳細については、図12を用いて後述する。
ステップS400において、メインCPU110aは、普通図柄の抽選、普通電動役物の制御を行うための普通図柄・普通電動役物制御処理(以下、「普図普電制御処理」という)を行う。
具体的には、まず普通図柄保留数(G)記憶領域に1以上のデータがセットされているか否かを判定し、普通図柄保留数(G)記憶領域に1以上のデータがセットされていなければ、今回の普図普電制御処理を終了する。
普通図柄保留数(G)記憶領域に1以上のデータがセットされていれば、普通図柄保留数(G)記憶領域に記憶されている値から1を減算した後、普通図柄保留記憶領域にある第1記憶部〜第4記憶部に記憶された普通図柄判定用乱数値を1つ前の記憶部にシフトさせる。このとき、既に第0記憶部に書き込まれていた普通図柄判定用乱数値は上書きされて消去されることとなる。
そして、当たり判定テーブルを参照し、普通図柄保留記憶領域の第0記憶部に記憶された普通図柄判定用乱数値が「当たり」に対応する乱数値であるかどうかの判定する処理を行う。その後、普通図柄表示装置22において普通図柄の変動表示を行って、普通図柄の変動時間が経過すると普通図柄の抽選の結果に対応する普通図柄の停止表示を行う。そして、参照した普通図柄判定用乱数値が「当たり」のものであれば、始動口開閉ソレノイド15cを駆動させ、第2始動口15を所定の開放時間、第2の態様に制御する。
ステップS500において、メインCPU110aは、払出制御処理を行う。この払出制御処理において、メインCPU110aは、ぞれぞれの賞球カウンタを参照し、各種入賞口に対応する払出個数指定コマンドを生成して、生成した払出個数指定コマンドを払出制御部130に送信する。
ステップS600において、メインCPU110aは、外部情報データ、始動口開閉ソレノイドデータ、第1大入賞口開閉ソレノイドデータ、第2大入賞口開閉ソレノイドデータ、特別図柄表示装置データ、普通図柄表示装置データ、記憶数指定コマンドのデータ作成処理を行う。
ステップS700において、メインCPU110aは、出力制御処理を行う。この処理において、ステップS600で作成した外部情報データ、始動口開閉ソレノイドデータ、第1大入賞口開閉ソレノイドデータ、第2大入賞口開閉ソレノイドデータの信号を出力させるポート出力処理を行う。
また、第1特別図柄表示装置20、第2特別図柄表示装置21および普通図柄表示装置22の各LEDを点灯させるために、上記S600で作成した特別図柄表示装置データと普通図柄表示装置データとを出力する表示装置出力処理を行う。
さらに、メインRAM110cの送信データ用記憶領域にセットされている制御コマンドを中間制御部180へ送信するコマンド送信処理も行う。なお、本ステップS700のコマンド送信処理においても上記検査値生成処理および上記検査値付加処理を伴うが、詳細については後述する。
ステップS800において、メインCPU110aは、ステップS100で退避した情報をメインCPU110aのレジスタに復帰させる。
次に、主制御部110の特図特電制御処理を説明する。
図12は、本実施形態に係る主制御部110による特図特電制御処理を示すフローチャートである。
ステップS301において、メインCPU110aは、特図特電処理データの値を読み込む。この「特図特電処理データ」は、特図特電制御処理の各サブルーチンが記憶された記憶領域のアドレスにそれぞれ割り当てられた値であり、特図特電処理データを参照することで、どのサブルーチンを処理するかを識別することができる。そして、特図特電処理データは、後述するように特図特電制御処理の各サブルーチンの中で必要に応じてセットされていき、その遊技において必要なサブルーチンが適宜処理されていくことになる。
ステップS302において、メインCPU110aは、読み込んだ特図特電処理データから分岐アドレスを参照し、特図特電処理データ=0であれば特別図柄記憶判定処理(ステップS310)に処理を移し、特図特電処理データ=1であれば特別図柄変動処理(ステップS320)に処理を移し、特図特電処理データ=2であれば特別図柄停止処理(ステップS330)に処理を移し、特図特電処理データ=3であれば大当たり遊技処理(ステップS340)に処理を移し、特図特電処理データ=4であれば大当り遊技終了処理(ステップS350)に処理を移し、特図特電処理データ=5であれば小当り遊技処理(ステップS360)に処理を移す。
ステップS310の特別図柄記憶判定処理においては、メインCPU110aは、大当たり判定処理、停止表示する特別図柄の決定をする特別図柄決定処理、特別図柄の変動時間を決定する変動時間決定処理等を行う。ここで、図13を用いて、特別図柄記憶判定処理の具体的な内容を説明する。
図13は、本実施形態に係る主制御部110による特別図柄記憶判定処理におけるフローチャートである。
ステップS311において、メインCPU110aは、第1特別図柄保留数(U1)記憶領域または第2特別図柄保留数(U2)記憶領域に1以上のデータがセットされているか否かを判定する。
そして、第1特別図柄保留数(U1)記憶領域または第2特別図柄保留数(U2)記憶領域のいずれの記憶領域にも1以上のデータがセットされていなければ、特図特電処理データ=0を保持したまま、今回の特別図柄変動処理を終了する。
一方、第1特別図柄保留数(U1)記憶領域または第2特別図柄保留数(U2)記憶領域に1以上のデータがセットされていれば、ステップS312に処理を移す。
ステップS312において、メインCPU110aは、大当たり判定処理を行う。
具体的には、第2特別図柄保留数(U2)記憶領域に1以上のデータがセットされている場合には、第2特別図柄保留数(U2)記憶領域に記憶されている値から1を減算した後、第2特別図柄乱数値記憶領域にある第1記憶部〜第4記憶部に記憶された各種乱数値を1つ前の記憶部にシフトさせる。このとき、既に第0記憶部に書き込まれていた各種乱数値は上書きされて消去されることとなる。そして、大当たり判定テーブルを参照して、第2特別図柄乱数値記憶領域の第0記憶部に記憶された特別図柄判定用乱数値が「大当たり」に対応する乱数値であるか、「小当たり」に対応する乱数値であるかの判定を行う。
また、第2特別図柄保留数(U2)記憶領域に1以上のデータがセットされておらず、第1特別図柄保留数(U1)記憶領域に1以上のデータがセットされている場合には、第1特別図柄保留数(U1)記憶領域に記憶されている値から1を減算した後、第1特別図柄乱数値記憶領域にある第1記憶部〜第4記憶部に記憶された各種乱数値を1つ前の記憶部にシフトさせる。このときにも、既に第0記憶部に書き込まれていた各種乱数値は上書きされて消去されることとなる。そして、大当たり判定テーブルを参照して、第1特別図柄乱数値記憶領域の第0記憶部に記憶された特別図柄判定用乱数値が「大当たり」に対応する乱数値であるか、「小当たり」に対応する乱数値であるかの判定を行う。
本実施形態では、第1特別図柄乱数値記憶領域よりも第2特別図柄乱数値記憶領域に記憶された乱数値が優先してシフト(消化)されることになる。しかしながら、始動口に入賞した順序で、第1特別図柄記憶領域または第2特別図柄記憶領域をシフトさせてもよいし、第1特別図柄記憶領域を第2特別図柄記憶領域よりも優先させてシフトさせてもよい。
ステップS313において、メインCPU110aは、停止表示する特別図柄の種類を決定するための特別図柄決定処理を行う。
この特別図柄決定処理では、上記大当り判定処理(ステップS312)において「大当たり」と判定された場合には、図柄決定テーブルを参照して、第1特別図柄乱数値記憶領域の第0記憶部に記憶された大当たり図柄用乱数値に基づいて大当たり図柄(特別図柄1〜特別図柄6)を決定する。また、上記大当り判定処理(ステップS312)において「小当たり」と判定された場合には、図柄決定テーブルを参照して、第1特別図柄乱数値記憶領域の第0記憶部に記憶された小当たり図柄用乱数値に基づいて小当たり図柄(特別図柄A、特別図柄B)を決定する。また、上記大当り判定処理(ステップS312)において「ハズレ」と判定された場合には、図柄決定テーブルを参照して、ハズレ図柄(特別図柄0)を決定する。
そして、決定した特別図柄に対応する停止図柄データを停止図柄データ記憶領域に記憶する。
ステップS314において、メインCPU110aは、特別図柄の変動時間決定処理を行う。
具体的には、変動パターン決定テーブルを参照して、第1特別図柄乱数値記憶領域の第0記憶部に記憶されたリーチ判定用乱数値および特図変動用乱数値に基づいて、特別図柄の変動パターンを決定する。その後、決定した特別図柄の変動パターンに対応する特別図柄の変動時間を決定する。そして、決定した特別図柄の変動時間に対応するカウンタを特別図柄時間カウンタにセットする処理を行う。
ステップS315において、メインCPU110aは、第1特別図柄表示装置20または第2特別図柄表示装置21に特別図柄の変動表示(LEDの点滅)を行わせるための変動表示データを所定の処理領域にセットする。これにより、所定の処理領域に変動表示データがセットされていると、上記ステップS600でLEDの点灯または消灯のデータが適宜作成され、作成されたデータがステップS700において出力されることで、第1特別図柄表示装置20または第2特別図柄表示装置21の変動表示が行われる。
さらに、メインCPU110aは、特別図柄の変動表示が開始されるときに、上記ステップS314で決定された特別図柄の変動パターンに対応する特別図柄の変動パターン指定コマンド(第1特別図柄用変動パターン指定コマンドまたは第2特別図柄用変動パターン指定コマンド)をメインRAM110cの送信データ用記憶領域にセットする。
ステップS316において、メインCPU110aは、特図特電処理データ=0から特図特電処理データ=1にセットして、特別図柄変動処理のサブルーチンに移す準備を行い、特別図柄記憶判定処理を終了する。
再び、図12に示す特図特電制御処理について説明を戻すことにする。
ステップS320の特別図柄変動処理においては、メインCPU110aは、特別図柄の変動時間が経過したか否かを判定する処理を行う。
具体的には、ステップS314で決定された特別図柄の変動時間が経過したか(特別図柄時間カウンタ=0)否かを判定し、特別図柄の変動時間が経過していないと判定した場合には、特図特電処理データ=1を保持したまま、今回の特別図柄変動処理を終了する。なお、上記ステップS314でセットされた特別図柄の変動時間のカウンタは、上記ステップS110において減算処理されていく。
特別図柄の変動時間が経過したと判定すれば、上記ステップS313で決定された特別図柄を第1特別図柄表示装置20または第2特別図柄表示装置21に停止表示させる。これにより、第1特別図柄表示装置20または第2特別図柄表示装置21に特別図柄が停止表示され、遊技者に大当たりの判定結果が報知されることとなる。
また、高確率遊技回数(X)>0のときには高確率遊技回数(X)カウンタから1を減算して更新し、高確率遊技回数(X)=0となれば、高確率遊技フラグをクリアする。
最後に、特図特電処理データ=1から特図特電処理データ=2にセットして、特別図柄停止処理のサブルーチンに移す準備を行い、特別図柄変動処理を終了する。
ステップS330の特別図柄停止処理においては、メインCPU110aは、停止表示された特別図柄が「大当たり図柄」であるか、「小当たり図柄」であるか、「ハズレ図柄」であるかを判定する処理を行う。
そして、大当たり図柄と判定された場合には、遊技状態記憶領域に記憶されているデータを参照し、現在の遊技状態を示すデータを遊技状態バッファにセットする。その後に、遊技状態記憶領域(高確率遊技フラグ記憶領域等)に記憶されているデータ(高確率遊技フラグ)、高確率遊技回数(X)カウンタをクリアする。さらに、特図特電処理データ=2から特図特電処理データ=3にセットして、大当たり遊技処理のサブルーチンに移す準備を行い、特別図柄停止処理を終了する。
また、小当たり図柄と判定された場合には、遊技状態記憶領域に記憶されているデータはクリアせずに、特図特電処理データ=2から特図特電処理データ=5にセットして、小当たり遊技処理のサブルーチンに移す準備を行い、特別図柄停止処理を終了する。
一方、ハズレ図柄と判定された場合には、特図特電処理データ=2から特図特電処理データ=0にセットして、特別図柄記憶判定処理のサブルーチンに移す準備を行い、特別図柄停止処理を終了する。
ステップS340の大当たり遊技処理においては、メインCPU110aは、上記長当たりまたは短当たりのいずれの大当たりを実行させるかを決定し、決定した大当たりを制御する処理を行う。
具体的には、まず、特別電動役物作動態様決定テーブルを参照し、上記ステップS313で決定された大当たり図柄の種類(停止図柄データ)に基づいて、大当たりの開放態様を決定する。
次に、決定した大当たりの開放態様を実行させるために、大入賞口開放態様テーブルを参照し、大当たりの種類に応じた開放時間を特別遊技タイマカウンタにセットするとともに、第1大入賞口開閉ソレノイド16c(または第2大入賞口開閉ソレノイド17c)の駆動データを出力して第1大入賞口開閉扉16b(または第2大入賞口開閉扉17b)を開放させる。このとき、ラウンド遊技回数(R)記憶領域に1を加算する。
この開放中に規定個数の遊技球が入球するか、大入賞口の開放時間が経過すると(大入賞口入球数(C)=9または特別遊技タイマカウンタ=0である)と、第1大入賞口開閉ソレノイド16c(または第2大入賞口開閉ソレノイド17c)の駆動データの出力を停止して第1大入賞口開閉扉16b(または第2大入賞口開閉扉17b)を閉鎖させる。これにより、1回のラウンド遊技が終了する。このラウンド遊技の制御を繰り返し15回行う。
15回のラウンド遊技が終了すると(ラウンド遊技回数(R)=15)、ラウンド遊技回数(R)記憶領域および大入賞口入球数(C)記憶領域に記憶されているデータをクリアするとともに、特図特電処理データ=3から特図特電処理データ=4にセットして、大当り遊技終了処理のサブルーチンに移す準備を行い、大当たり遊技処理を終了する。
ステップS350の大当り遊技終了処理においては、メインCPU110aは、高確率遊技状態または低確率遊技状態のいずれかの確率遊技状態を決定する処理を行う。
具体的には、大当たり遊技終了時設定データテーブルを参照し、遊技状態バッファに記憶されているデータと上記ステップS313で決定された大当たり図柄の種類(停止図柄データ)とに基づいて、高確率遊技フラグの設定、高確率遊技回数(X)の設定を行う。例えば、特別図柄1であれば、高確率遊技フラグ記憶領域に高確率遊技フラグをセットし、高確率遊技回数(X)カウンタに10000回をセットする。
その後、特図特電処理データ=4から特図特電処理データ=0にセットして、特別図柄記憶判定処理のサブルーチンに移す準備を行い、大当り遊技終了処理を終了する。
ステップS360の小当たり遊技処理においては、メインCPU110aは、まず、特別電動役物作動態様決定テーブルを参照し、上記ステップS313で決定された小当たり図柄の種類(停止図柄データ)に基づいて、小当たりの開放態様を決定する。
次に、決定した小当たりの開放態様を実行させるために、大入賞口開放態様テーブルを参照し、小当たりの開放時間を特別遊技タイマカウンタにセットするとともに、第2大入賞口開閉ソレノイド17cの駆動データを出力して第2大入賞口開閉扉17bを開放させる。このとき、開放回数(K)記憶領域に1を加算する。
小当たりの開放時間が経過する(特別遊技タイマカウンタ=0)と、第2大入賞口開閉ソレノイド17cの駆動データの出力を停止して第2大入賞口開閉扉17bを閉鎖させる。この第2大入賞口開閉扉17bの開閉制御を繰り返し15回行う。
そして、第2大入賞口開閉扉17bの開閉制御が15回行われるか、第2大入賞口17に規定個数の遊技球が入球する(開放回数(K)=15または大入賞口入球数(C)=9である)と、小当たり遊技を終了させるため、第2大入賞口開閉ソレノイド17cの駆動データの出力を停止させ、開放回数(K)記憶領域および大入賞口入球数(C)記憶領域に記憶されているデータをクリアするとともに、特図特電処理データ=5から特図特電処理データ=0にセットして、特別図柄記憶判定処理のサブルーチンに移す準備を行い、小当たり遊技処理を終了する。
[主制御部の認証処理に関する制御処理]
以下、本発明の実施形態に係る遊技機1の主制御部110の認証処理に関する制御処理について説明する。まず、主制御部110のブート処理について説明する。
遊技機1に電源が投入されると、主制御部110にシステムリセットが発生し、メインCPU110aは、ブートROM110dに予め記憶されたブート処理用プログラムに基づいて、主制御部110のブート処理を行う。
図14は、本実施形態に係る主制御部110によるブート処理を示すフローチャートである。
ステップS51において、メインCPU110aは、内部状態を割込禁止に設定する。
ステップS52において、メインCPU110aは、自身の初期化後、メインCPU110a自身が正常に作動可能かどうかを確認する自己診断処理を行う。自己診断処理の結果、正常に作動可能であればステップS53へ処理を移し、正常に作動可能でなければ、その後の処理を行わない。
ステップS53において、メインCPU110aは、内蔵回路等への初期値設定処理を行う。具体的には、メインCPU110aは、スタックポインタにスタックポイント指定アドレスを設定し、内蔵レジスタの初期化を行うとともに、ワンチップマイコン110mの内蔵回路や周辺回路等の初期化、入出力ポートの初期化を行う。そして、メインCPU110aは、初期値を必要とするこれらの内蔵回路等へ各種の初期値を設定する。このとき、メインCPU110aは、送信部500の各構成部に対しても同様の処理を施して、送信部500に対する初期値設定処理を行う。
ステップS54において、メインCPU110aは、送信部500に対して生成パラメータ設定処理を行う。具体的には、メインCPU110aは、送信部500に対する生成パラメータを読み出すための読み出し信号をメインROM110bへ出力する。そして、メインCPU110aは、当該読み出し信号によりメインROM110bから出力された生成パラメータを、内部バス550を介して取り込む。続いて、メインCPU110aは、取り込んだ生成パラメータを送信部500の制御部510へ書き込むための書き込み信号を出力する。そして、メインCPU110aは、当該書き込み信号によりメインCPU110aから出力された生成パラメータを、内部バス550を介して制御部510の生成パラメータ用記憶領域へセットする。なお、本ステップS54の生成パラメータ設定処理は、メインCPU110aが行う初期値設定処理の中でも、送信部500に生成パラメータを設定する処理を特筆したものであるため、初期値設定処理の一環として、ステップS53の中で行うように構成することも可能である。
ステップS55において、送信部500は、付加方法設定処理を行う。具体的には、送信部500を構成する制御部510は、自身が保持するアルゴリズムに従って、生成パラメータ用記憶領域にセットされた生成パラメータが、遡及数Nを担う複数の遡及数のうち、どの遡及数に対応した値であるかを確認する。そして、制御部510は、格納回路522に対する誤り検査値の読み出し信号を出力する際には、生成パラメータが示す遡及数Nに対応したアドレスデータが、内部バス550を介してアドレス設定部523へ出力されるように設定する。そして、アドレス設定部523からは、格納領域(M−N)を指定するセレクト信号のみが出力される。本処理を終了すると、ブート処理が終了する。
次に、上記検査値生成処理および上記検査値付加処理を含む主制御部110のコマンド送信処理について説明する。
図15は、本実施形態に係る主制御部110におけるコマンド送信処理を示すフローチャートである。
主制御部110のブート処理を含む初期化処理を行った後、コマンド送信処理の実行タイミングとなると、メインCPU110aは、メインRAM110cの送信データ用記憶領域にセットされた制御コマンド(M)を送信部500へ出力し、誤り検査値を付加して中間制御部180へ送信させる。
ステップS71において、メインCPU110aは、送信部500を構成する送信バッファ530へ制御コマンド(M)を書き込むための書き込み信号を出力し、送信データ用記憶領域にセットされた制御コマンド(M)を、送信バッファ530へ書き込んでセットする。
ステップS72において、送信部500を構成する生成回路521は、メインCPU110aが出力した制御コマンド(M)が入力されると、予め設定された生成方式にて誤り検査値(M)を生成し、格納回路522の格納領域(M)へ出力する。
ステップS73において、格納回路522は、生成回路521が出力した誤り検査値(M)が入力されると、誤り検査値(M)を格納領域(M)へ格納する。
ステップS74において、送信部500を構成する制御部510は、上記ステップS71で送信バッファ530にセットされた制御コマンド(M)のMの値が、予め取り決められた遡及数Nより大きいか否かを判定する。制御部510は、M>Nでなければ、すなわちM≦Nであれば、ステップS76に処理を移し、M>Nであれば、ステップS75に処理を移す。
ステップS75において、制御部510は、予め設定された付加方法に基づき、上記ステップS71で送信バッファ530にセットされた制御コマンド(M)よりN個前に生成され、格納回路522の格納領域(M−N)に格納された誤り検査値(M−N)(初期検査値を含まず。以下、本ステップS75において同じ)を、送信バッファ530へ書き込んでセットする。具体的には、制御部510は、メインCPU110aが上記ステップS71で制御コマンド(M)を送信バッファ530へ書き込む際に出力される書き込み信号を検知し、検知した書き込み信号を入力する。制御部510は、当該書き込み信号の検知を契機として、格納領域(M−N)を示すアドレスデータ、および誤り検査値(M−N)を読み出すための読み出し信号を出力する。続いて、制御部510は、格納領域(M−N)から出力された誤り検査値(M−N)を送信バッファ530へ書き込むための書き込み信号を出力する。
この誤り検査値(M−N)の送信バッファ530への書き込み信号を出力するタイミングは、メインCPU110aが制御コマンド(M)を送信バッファ530へセットしてから、所定時間(β)経過後に、誤り検査値(M−N)を送信バッファ530へ書き込むとして設定する。そして、このタイミングは、送信バッファ530において、メインCPU110aのタイマ割込処理プログラム(実行周期:α)によって書き込まれる各制御コマンドの直後に連続して誤り検査値が書き込まれるようなタイミングである。
具体的には、制御部510は、検知した制御コマンド(M)の書き込み信号の検出時点から、制御コマンド(M)の送信バッファ530への書き込みが完了して制御コマンド(M)がセットされるまでに要する時間(=β <<α)が経過した後に、誤り検査値(M−N)の送信バッファ530への書き込みが開始されるようなタイミングに、誤り検査値(M−N)の書き込み信号の出力タイミングを設定する。なお、当該誤り検査値(M−N)の書き込み信号の出力タイミングは、メインCPU110aからの指示によらず、送信部500が保持するアルゴリズムで予め設定されている。
ステップS76において、制御部510は、メインROM110bに記憶されている固有情報を読み出し、格納回路522の初期検査値格納領域に初期検査値として格納する。このとき、予め設定された付加方法により、固有情報および初期検査値格納領域がN個分ある場合は、一度にN個の固有情報を読み出してもよいし、一度に1個ずつ、固有情報を読み出してもよい。なお、本ステップS76は、遊技機1のリセット時など、格納回路522に格納されていた過去の誤り検査値がクリアされた場合に行う処理であり、一度にN個全ての固有情報を読み出すならば、その後は実行しない。
ステップS77において、制御部510は、格納回路522の初期検査値格納領域に格納された初期検査値を読み出すための読み出し信号、および送信バッファ530へ書き込むための書き込み信号を出力し、初期検査値を送信バッファ530へ書き込んでセットする。この書き込み信号の出力タイミングも、ステップS75の、誤り検査値(M−N)(初期検査値を含まず)の送信バッファ530への書き込み信号を出力するタイミングと同様である。
なお、ステップS74〜ステップS77における処理(検査値付加処理)は、ステップS72〜ステップS73における処理(検査値生成処理)の前に行ってもよい。この場合、格納回路522の格納領域は、N個以上の誤り検査値を格納することができるように設けておけばよく、格納回路522の記憶領域を少なくすることができる。
ステップS78において、制御部510は、送信バッファ530にセットされている制御コマンド(M)の送信タイミングを設定する。具体的には、制御部510は、制御コマンド(M)の送信許可信号を送信バッファ530へ出力するタイミングを設定する。送信許可信号を出力するタイミングは、概略的に言えば、上記ステップS71での制御コマンド(M)の書き込み信号の出力から、次回の制御コマンド(M+1)の送信バッファ530への書き込み信号の出力までの間に行われる。本実施形態では、ステップS71での制御コマンド(M)の書き込み信号の出力から、メインCPU110aのタイマ割込処理プログラムの実行周期(α)が経過する前までの間に行われる。
ステップS79において、送信バッファ530は、制御部510が出力した送信許可信号が入力されると、セットされた制御コマンド(M)および誤り検査値(M−N)を送信回路540へ直ちに出力する。送信回路540は、送信バッファ530から出力された制御コマンド(M)および誤り検査値(M−N)を一連の送信データとして、中間制御部180へ直ちに送信する。よって、制御コマンド(M)は、誤り検査値(M−N)が付加された制御コマンドとして中間制御部180へ送信されることになる。
誤り検査値の書き込みタイミングを上記のように設定することで、今回付加すべき誤り検査値(M−N)の送信バッファ530への書き込みタイミングが他のデータの書き込みタイミングと重複して上書きされたり、誤り検査値(M−N)の書き込みタイミングに送信バッファ530の記憶領域に空き容量が存在せず、オーバーフローが発生したりすることを抑止することができる。このことが、中間制御部180での誤り検査処理の際に、予め取り決められた誤り検査値の付加方法との不整合によって誤り検査処理の検査結果が正常と判定されなくなるおそれを抑止し、誤り検査処理の確度を向上することにつながる。
また、誤り検査値の書き込みタイミングを上記のように設定することで、今回付加すべき誤り検査値(M−N)の送信バッファ530への書き込みタイミングと、制御コマンド(M)の送信バッファ530への書き込みタイミングの時間軸上の位置関係が明確化され、誤り検査値(M−N)は制御コマンド(M)の直後に必ず付加され、一つの送信データとして送信されることとなる。これにより、誤り検査値(M−N)が、誤り検査値(M−N)単体で中間制御部180へ送信されることがない。よって、不正者が、主制御部110と中間制御部180の間の送信データを窃取して、誤り検査値(M−N)を不正に解析し再利用することが困難となり、遊技機1のセキュリティ強度を向上することができる。
[中間制御部の制御処理]
以下、本発明の実施形態に係る遊技機1の中間制御部180の制御処理について説明する。
図16は、本実施形態に係る中間制御部180によるメイン処理を示すフローチャートである。
ステップS4010において、CPU180aは、初期化処理を行う。この処理において、CPU180aは、電源投入に応じて、ROM180bからメイン処理に関するプログラムコードを読み込む。これとともに、CPU180aは、RAM180cに記憶されるフラグなどを初期化し、所定値に設定する処理を行う。この処理が終了した場合には、ステップS4020へ処理を移す。なお、本ステップS4010の中で、主制御部110の誤り検査値付加機能に対応した誤り検査値出力機能を、検査値生成部620へ設定する処理が行われる。
ステップS4020において、CPU180aは、主制御部110が送信する制御コマンドを受信したか否かを判定する。
中間制御部180を構成する受信部600では、主制御部110から送信された制御コマンドを受信し、自身の受信バッファに記憶すると、主制御部110から制御コマンドの受信割込要求があった旨を示す信号を出力し、制御コマンドの受信割込処理を発生させる。
そして、CPU180aは、本ステップS4020において、受信部600からの上記受信割込要求信号が入力されるまで待機し、受信部600からの上記信号が入力されると、受信バッファに記憶されている制御コマンドに対して誤り検査処理を行う。具体的には、次のステップS4030からステップS4130の処理である。
ステップS4030において、CPU180aは、受信部600の受信バッファに記憶された制御コマンド(M)から、当該制御コマンド(M)に付加された誤り検査値(M−N)を抽出する。そして、CPU180aは、抽出した誤り検査値(M−N)を検査部610へ出力するとともに、誤り検査値(M−N)抽出後の制御コマンド(M)を検査値生成部620および付加部630へ出力する。
ステップS4040において、CPU180aは、検査値生成部620から出力された制御コマンド(M)の誤り検査値(M)を、検査値生成部620を構成する生成部621にて生成する。
ステップS4050において、CPU180aは、生成部621にて生成された誤り検査値(M)を、検査値生成部620を構成する格納部622にて格納する。
ステップS4060において、CPU180aは、今回受信した制御コマンド(M)のMの値が、予め設定された遡及数Nより大きいか否かを判定する。CPU180aは、M>Nでなければ、すなわちM≦Nであれば、ステップS4080に処理を移し、M>Nであれば、ステップS4070に処理を移す。
ステップS4070において、CPU180aは、予め設定された出力方法に基づき、受信バッファに記憶された制御コマンド(M)よりN個前に生成され、格納部622の格納領域(M−N)に格納された誤り検査値(M−N)(初期検査値を含まず)を検査部610へ出力する。
ステップS4080において、CPU180aは、ROM180bに記憶されている固有情報を読み出し、格納部622の初期検査値格納領域に初期検査値として格納する。このとき、予め設定された出力方法により、固有情報および初期検査値格納領域がN個分ある場合は、一度にN個の固有情報を読み出してもよいし、一度に1個ずつ、都度、固有情報を読み出してもよい。なお、本ステップS4080は、遊技機1のリセット時など、格納部622に格納されていた過去の誤り検査値がクリアされた場合に行う処理であり、一度にN個全ての固有情報を読み出すならば、その後は実行しない。
ステップS4090において、CPU180aは、格納部622の初期検査値格納領域に格納された初期検査値を検査部610へ出力する。
なお、ステップS4060からステップS4090における処理は、ステップS4040からステップS4050における処理の前に行ってもよい。この場合、格納部622の格納領域は、N個以上の誤り検査値を格納することができるように設けておけばよく、格納部622の記憶領域を少なくすることができる。
ステップS4100において、CPU180aは、受信部600から出力された誤り検査値(M−N)と、上記ステップS4030より過去に格納部622から出力された誤り検査値(M−N)とを検査部610にて比較する。両者とも誤り検査値(M−N)で一致する場合は、誤り検査の検査結果は正常であると判断し、一致しない場合は、検査結果は正常でないと判断する。
ステップS4110において、CPU180aは、検査結果が正常であると判断されたか否かを検査部610にて判定する。CPU180aは、検査結果が正常であると判断された場合は、今回受信した誤り検査値(M−N)が付加された制御コマンド(M)、および今回の誤り検査値(M−N)の生成元であるN個前の制御コマンド(M−N)の正当性を認証することができたことにより、主制御部110の正当性が認証されたと判断し、ステップS4120に処理を移す。また、検査結果が正常でないと判断された場合は、主制御部110の正当性を認証することができなかったと判断し、ステップS4130に処理を移す。
ステップS4120において、CPU180aは、認証成功を示す認証結果データを検査部610にて生成し、生成した認証結果データを付加部630へ出力し、ステップS4140に処理を移す。
ステップS4130において、CPU180aは、認証不成功を示す認証結果データを検査部610にて生成し、生成した認証結果データを付加部630へ出力し、ステップS4140に処理を移す。
ステップS4140において、CPU180aは、上記ステップS4030にて出力された制御コマンド(M)に対し、上記ステップS4120または上記ステップS4130にて出力された認証結果データを付加部630にて付加し、認証結果データ付きの制御コマンド(M)を中継送信部640へ出力し、ステップS4150に処理を移す。
ステップS4150において、CPU180aは、認証結果データ付きの制御コマンド(M)を送信データとして中継送信部640にて演出制御部120へ直ちに送信させる。その後、所定の割込処理があるまで、ステップS4020以降の処理を繰り返す。
[演出制御部の制御処理]
以下、本発明の実施形態に係る遊技機1の演出制御部120の制御処理について説明する。まず、演出制御部120のメイン処理について説明する。
図17は、本実施形態に係る演出制御部120によるメイン処理を示すフローチャートである。
ステップS1000において、サブCPU120aは、初期化処理を行う。この処理において、サブCPU120aは、電源投入に応じて、サブROM120bからメイン処理に関するプログラムコードを読み込む。これとともに、サブCPU120aは、サブRAM120cに記憶されるフラグなどを初期化し、所定値を設定する処理を行う。この処理が終了した場合には、ステップS1100へ処理を移す。なお、本ステップS1000の中で、主制御部110の誤り検査値付加機能に対応した誤り検査値出力機能を、検査値生成部620へ設定する処理が行われる。
ステップS1100において、サブCPU120aは、演出用乱数更新処理を行う。この処理において、サブCPU120aは、サブRAM120cに記憶される演出用乱数値、演出図柄決定用乱数、演出モード決定用乱数等を更新する処理を行う。以降は、所定の割込処理が行われるまで、上記ステップS1100の処理を繰り返し行う。
次に、演出制御部120の割込処理について説明する。
図18は、本実施形態に係る演出制御部120による割込処理を示すフローチャートである。
サブCPU120aは、演出制御部120に設けられたクロックパルス発生回路(図示せず)から出力されるクロック信号に基づいて、所定の周期(例えば2ミリ秒)ごとに、演出制御部120のタイマ割込処理を実行する。
ステップS1200において、サブCPU120aは、サブCPU120aのレジスタに記憶されている情報をスタック領域に退避させる。
ステップS1300において、サブCPU120aは、演出制御部120で用いられる各種タイマカウンタの更新処理を行う。
ステップS1500において、サブCPU120aは、コマンド解析処理を行う。この処理において、サブCPU120aは、サブRAM120cの受信データ用記憶領域に記憶された制御コマンドの種別を解析する処理を行う。
演出制御部120を構成する受信部(図示せず)では、中間制御部180から送信された制御コマンドを受信し、自身の受信バッファに記憶すると、中間制御部180から制御コマンドの受信割込要求があった旨を示す信号を出力し、制御コマンドの受信割込処理を発生させる。
そして、サブCPU120aは、受信した制御コマンドに付加された認証結果データの内容を解析する認証結果データ解析処理を行うとともに、認証結果データ解析処理において、中間制御部180によって制御コマンドの正当性が認証されたことが確認できると、当該制御コマンドを受信バッファからサブRAM120cの受信データ用記憶領域へ取り込んで記憶する。そして、サブCPU120aは、受信データ用記憶領域に記憶された制御コマンドの種別を解析し、制御コマンドの種別に応じた処理を行う。なお、コマンド解析処理の詳細については後述する。
ステップS1700において、サブCPU120aは、演出ボタン検出スイッチ35aの信号のチェックを行い、演出ボタン35からの入力に関する演出用入力制御処理を行う。
ステップS1800において、サブCPU120aは、サブRAM120cの送信データ用記憶領域にセットされた制御コマンドや各種データを、ランプ制御部140や画像制御部150へ送信するための処理である演出用出力制御処理を行う。
ステップS1900において、サブCPU120aは、ステップS1200で退避した情報をサブCPU120aのレジスタに復帰させる。
次に、演出制御部120のコマンド解析処理について説明する。
図19および図20は、本実施形態に係る演出制御部120によるコマンド解析処理を示すフローチャートである。なお、図20のコマンド解析処理2は、図19のコマンド解析処理1に引き続いて行われるものである。
ステップS1501において、サブCPU120aは、受信部の受信バッファに制御コマンドが記憶されているか否かを確認して、制御コマンドを受信したか否かを判定する。
サブCPU120aは、受信バッファに制御コマンドが記憶されていなければコマンド解析処理を終了し、受信バッファに制御コマンドが記憶されていればステップS1650に処理を移す。
ステップS1650において、サブCPU120aは、受信バッファに記憶されている制御コマンドに付加された認証結果データに対して認証結果データ解析処理を行い、受信した制御コマンドの正当性が認証されたことが確認できると、受信した制御コマンドを受信データ用記憶領域に取り込み、制御コマンドの種別を更に解析するべく、ステップS1510に処理を移す。なお、認証結果データ解析処理の詳細については後述する。
ステップS1510において、サブCPU120aは、受信データ用記憶領域に記憶されている制御コマンドが、デモ指定コマンドであるか否かを確認する。
サブCPU120aは、受信データ用記憶領域に記憶されている制御コマンドがデモ指定コマンドであれば、ステップS1511に処理を移し、デモ指定コマンドでなければステップS1520に処理を移す。
ステップS1511において、サブCPU120aは、デモ演出パターンを決定するデモ演出パターン決定処理を行う。
具体的には、デモ演出パターンを決定し、決定したデモ演出パターンを演出パターン記憶領域にセットするとともに、決定したデモ演出パターンの情報を画像制御部150とランプ制御部140に送信するため、決定したデモ演出パターンに基づく演出パターン指定コマンドをサブRAM120cの送信データ用記憶領域にセットする。
ステップS1520において、サブCPU120aは、受信データ用記憶領域に記憶されている制御コマンドが、特別図柄記憶指定コマンドであるか否かを確認する。
サブCPU120aは、受信データ用記憶領域に記憶されている制御コマンドが特別図柄記憶指定コマンドであれば、ステップS1521に処理を移し、特別図柄記憶指定コマンドでなければステップS1530に処理を移す。
ステップS1521において、サブCPU120aは、特別図柄記憶指定コマンドを解析して、液晶表示装置31に表示させる特別図柄の保留画像(以下、「特図保留画像」という)の表示個数を決定するとともに、決定した特図保留画像の表示個数に対応する特図表示個数指定コマンドを画像制御部150とランプ制御部140に送信する特別図柄記憶数決定処理を行う。
ステップS1530において、サブCPU120aは、受信データ用記憶領域に記憶されている制御コマンドが、演出図柄指定コマンドであるか否かを確認する。
サブCPU120aは、受信データ用記憶領域に記憶されている制御コマンドが演出図柄指定コマンドであれば、ステップS1531に処理を移し、演出図柄指定コマンドでなければステップS1540に処理を移す。
ステップS1531において、サブCPU120aは、受信した演出図柄指定コマンドの内容に基づいて、液晶表示装置31に停止表示させる演出図柄36を決定する演出図柄決定処理を行う。
具体的には、演出図柄指定コマンドを解析して、大当たりの有無、大当たりの種別に応じて演出図柄36の組み合わせを構成する演出図柄データを決定し、決定された演出図柄データを演出図柄記憶領域にセットするとともに、演出図柄データを画像制御部150とランプ制御部140に送信するため、演出図柄データ示す停止図柄指定コマンドをサブRAM120cの送信データ用記憶領域にセットする。
ステップS1532において、サブCPU120aは、上記ステップ1100において更新されている演出モード決定用乱数値から1つの乱数値を取得し、取得した演出モード決定用乱数値と受信した演出図柄指定コマンドに基づいて、複数の演出モード(例えば、ノーマル演出モードやチャンス演出モード)の中から1つの演出モードを決定する演出モード決定処理を行う。また、決定した演出モードは、演出モード記憶領域にセットされる。
ステップS1540において、サブCPU120aは、受信データ用記憶領域に記憶されている制御コマンドが、変動パターン指定コマンドであるか否かを確認する。
サブCPU120aは、受信データ用記憶領域に記憶されている制御コマンドが変動パターン指定コマンドであれば、ステップS1541に処理を移し、変動パターン指定コマンドでなければステップS1550に処理を移す。
ステップS1541において、サブCPU120aは、上記ステップ1100において更新されている演出用乱数値から1つの乱数値を取得し、取得した演出用乱数値、受信した変動パターン指定コマンドおよび演出モード記憶領域にセットされている演出モードに基づいて、複数の変動演出パターンの中から1つの変動演出パターンを決定する変動演出パターン決定処理を行う。
具体的には、ノーマル演出モードであれば、変動演出パターン決定テーブルを参照し、取得した演出用乱数値に基づいて1つの変動演出パターンを決定し、決定した変動演出パターンを演出パターン記憶領域にセットするとともに、決定した変動演出パターンの情報を画像制御部150とランプ制御部140に送信するため、決定した変動演出パターンに基づく演出パターン指定コマンドをサブRAM120cの送信データ用記憶領域にセットする。
その後、かかる演出パターンに基づいて、液晶表示装置31、音声出力装置32、演出用駆動装置33、演出用照明装置34が制御されることになる。なお、ここで決定した変動演出パターンに基づいて、演出図柄36の変動態様が決定されることとなる。
ステップS1550において、サブCPU120aは、受信データ用記憶領域に記憶されている制御コマンドが、図柄確定コマンドであるか否かを確認する。
サブCPU120aは、受信データ用記憶領域に記憶されている制御コマンドが図柄確定コマンドであれば、ステップS1551に処理を移し、図柄確定コマンドでなければステップS1560に処理を移す。
ステップS1551において、サブCPU120aは、演出図柄36を停止表示させるために、演出図柄を停止表示させるための停止指定コマンドをサブRAM120cの送信データ用記憶領域にセットする演出図柄停止表示処理を行う。
ステップS1560において、サブCPU120aは、受信データ用記憶領域に記憶されている制御コマンドが、遊技状態指定コマンドであるか否かを判定する。
サブCPU120aは、受信データ用記憶領域に記憶されている制御コマンドが遊技状態指定コマンドであればステップS1561に処理を移し、遊技状態指定コマンドでなければステップS1570に処理を移す。
ステップS1561において、サブCPU120aは、受信した遊技状態指定コマンドに基づいた遊技状態を示すデータをサブRAM120cにある遊技状態記憶領域にセットする。
ステップS1570において、サブCPU120aは、受信データ用記憶領域に記憶されている制御コマンドが、オープニング指定コマンドであるか否かを確認する。
サブCPU120aは、受信データ用記憶領域に記憶されている制御コマンドがオープニング指定コマンドであればステップS1571に処理を移し、オープニング指定コマンドでなければステップS1580に処理を移す。
ステップS1571において、サブCPU120aは、当たり開始演出パターンを決定する当たり開始演出パターン決定処理を行う。
具体的には、オープニング指定コマンドに基づいて当たり開始演出パターンを決定し、決定した当たり開始演出パターンを演出パターン記憶領域にセットするとともに、決定した当たり開始演出パターンの情報を画像制御部150とランプ制御部140に送信するため、決定した当たり開始演出パターンに基づく演出パターン指定コマンドをサブRAM120cの送信データ用記憶領域にセットする。
ステップS1580において、サブCPU120aは、受信データ用記憶領域に記憶されている制御コマンドが、大入賞口開放指定コマンドであるか否かを確認する。
サブCPU120aは、受信データ用記憶領域に記憶されている制御コマンドが大入賞口開放指定コマンドであればステップS1581に処理を移し、大入賞口開放指定コマンドでなければステップS1590に処理を移す。
ステップS1581において、サブCPU120aは、大当たり演出パターンを決定する大当たり演出パターン決定処理を行う。
具体的には、大入賞口開放指定コマンドに基づいて大当たり演出パターンを決定し、決定した大当たり演出パターンを演出パターン記憶領域にセットするとともに、決定した大当たり演出パターンの情報を画像制御部150とランプ制御部140に送信するため、決定した大当たり演出パターンに基づく演出パターン指定コマンドをサブRAM120cの送信データ用記憶領域にセットする。
ステップS1590において、サブCPU120aは、受信データ用記憶領域に記憶されている制御コマンドが、エンディング指定コマンドであるか否かを確認する。
サブCPU120aは、受信データ用記憶領域に記憶されている制御コマンドがエンディング指定コマンドであればステップS1591に処理を移し、エンディング指定コマンドでなければコマンド解析処理を終了する。
ステップS1591において、サブCPU120aは、当たり終了演出パターンを決定する当たり終了演出パターン決定処理を行う。
具体的には、エンディング指定コマンドに基づいて当たり終了演出パターンを決定し、決定した当たり終了演出パターンを演出パターン記憶領域にセットするとともに、決定した当たり終了演出パターンの情報を画像制御部150とランプ制御部140に送信するため、決定した当たり終了演出パターンに基づく演出パターン指定コマンドをサブRAM120cの送信データ用記憶領域にセットする。本処理を終了すると、コマンド解析処理が終了する。
次に、演出制御部120の認証結果データ解析処理について説明する。
図21は、本実施形態に係る演出制御部120による認証結果データ解析処理を示すフローチャートである。
ステップS1651において、サブCPU120aは、受信バッファに記憶された制御コマンドに、認証結果データが付加されているか否かを判定する。そして、サブCPU120aは、制御コマンドに認証結果データが付加されていなければ認証結果データ解析処理を終了し、認証結果データが付加されていればステップS1652に処理を移す。
ステップS1652において、サブCPU120aは、受信バッファに記憶された制御コマンドから認証結果データを抽出し、ステップS1653に処理を移す。
ステップS1653において、サブCPU120aは、抽出した認証結果データが、中間制御部180にて行った誤り検査処理の検査結果が正常であり、主制御部110の正当性を認証することができたか否かを判定する。そして、サブCPU120aは、認証結果データが認証成功を示す結果である場合、遊技機1が正常に稼働していると判断し、受信した制御コマンドをサブRAM120cの受信データ用記憶領域へ出力し、当該制御コマンドに応じた処理を行わせるべく、認証結果データ解析処理を終了する。一方、サブCPU120aは、認証結果データが認証不成功を示す結果である場合、遊技機1で不正行為等が発生したおそれがあると判断し、ステップS1654に処理を移す。
ステップS1654において、サブCPU120aは、遊技機1で不正行為等が発生したおそれがあると判断した場合、その旨を報知する為に報知信号を出力し、認証結果データ解析処理を終了する。
サブCPU120aは、生成した報知信号を、例えば、ランプ制御部140や画像制御部150、あるいは遊技機1を管理するホールコンピュータ等へ送信する。ランプ制御部140や画像制御部150等は、受信した報知信号に基づいて、遊技機1で不正行為が発生したおそれがある旨を報知する演出を実行する。この演出は、例えば、液晶表示装置31に通常出現しないキャラクタを出現させたり、通常出現するキャラクタを通常とは異なる方法で出現させるなどである。また、液晶表示装置31の輝度を変えたり、色を変えたり、ランプ制御部140に対して所定のランプを表示制御するようにしてもよい。いずれにしても、遊技店の従業員が当該遊技機1の前を通過した際に、その状態に気付くようにしてあればよい。また、この演出は、顧客がその状態に気付かないような演出でもよく、また、顧客が容易に気付く演出であってもよい。顧客が容易に気付く演出にすれば、不正行為を効率的に抑止することができる。
また、報知信号に、遊技機1の遊技状態や大当たりの種別に関する情報を含めてもよい。これらの情報に基づいて、遊技機1を管理するホールコンピュータ等によって不正行為が行われているか否かの判断を行ってもよい。例えば、「高確率遊技状態」は賞球が集中していても正常である場合がある。よって、高確率遊技状態中は、その他の状態とは異なる条件で不正行為のおそれがあるか否かについて判断するのがよい。また、遊技状態や大当たりの種別に関する情報は、報知信号に含めずに別信号として出力するようにしてもよい。この場合、従業員は、報知信号と遊技状態や大当たりの種別に関する情報の両方に基づいて、不正行為のおそれがあるか否かについて判断する。
なお、主制御部110と払出制御部130との間に中間制御部180を設けた場合の認証処理は、主制御部110と演出制御部120との間に中間制御部180を設けた場合の認証処理とほぼ同様の手順で行われるため説明を省略する。
以上のように、本実施形態では、セキュリティ機能として、主制御部110が出力する制御コマンドの正当性を検査して主制御部110の正当性を認証する。主制御部110は、制御コマンドの誤り検査値を生成し格納している。そして主制御部110は、今回送信する制御コマンドに、これより前(過去)に生成した制御コマンドの誤り検査値を付加して中間制御部180に送信する。一方、中間制御部180は、受信した制御コマンドの誤り検査値を生成し保存している。そして中間制御部180は、今回受信した制御コマンドに付加された誤り検査値と、今回受信した制御コマンドより前(過去)に生成された制御コマンドの誤り検査値とを照合して誤り検査を行う。
通常、チェックサム等の誤り検査値は生成元の制御コマンドに付加されて通信エラーチェックに利用される。これに対して、本実施形態では、上述のように、過去に生成した制御コマンドの誤り検査値を、今回送信する制御コマンドに付加する。このような従来にない新規かつ簡易な手法を用いることにより、不正者が制御コマンドと誤り検査値を窃取しても制御コマンドと誤り検査値の関係を容易に知ることができないようにすることができる。したがって、本実施形態によれば、不正行為を防止することができ、遊技機1のセキュリティ強度を向上させることができる。
また、主制御部110が過去に生成した制御コマンドの誤り検査値を、今回送信する制御コマンドに付加して送信し、中間制御部180が制御コマンドの誤り検査処理を行うことにより、今回受信した制御コマンドの正当性を認証するとともに、過去に生成された制御コマンド、すなわち、今回付加された誤り検査値の生成元となった制御コマンドの正当性をも認証することができる。すなわち、制御コマンドの連続性を認証することができることとなり、不正行為をより検出しやすくなり、遊技機1のセキュリティ強度を向上させることができる。
また、本実施形態では、M≦Nの場合に送信される制御コマンドには、遊技機1に固有の固有情報が付加されることで、誤り検査値が遊技機1に固有の値とすることができる。これにより、固有情報を知らない不正者が一部の制御コマンドを窃取したとしても誤り検査値の解析を不可能とすることができ、遊技機1のセキュリティ強度をより一層向上させることができる。
また、本実施形態では、通常は通信エラーチェックに用いる誤り検査値を、不正行為を検出するための検査値として利用している。このように通信エラーチェックに従来から用いられている誤り検査値を利用することで、不正行為を検出するための検査値生成手段を別途設けずとも不正行為を検出することができ、セキュリティ強度を向上させることができる。すなわち、遊技機の主制御部のリソースが限られているという状況下において、セキュリティ強度を向上させつつ、主制御部110の処理負荷の増大を抑制することができる。
また、本実施形態では、主制御部110が有する誤り検査値生成機能及び付加機能をハードウェアで構成するとともに、誤り検査値の生成および付加処理を、プログラムに記述されたメインCPU110aからの指示によらず、送信部500独自に保持するアルゴリズムに従って実行し、誤り検査値付きの制御コマンドを、中間制御部180へ自動的に送信している。そして、中間制御部180での誤り検査処理において、現在および過去に生成された制御コマンドの正当性を認証することで、主制御部110の個体としての正当性(アイデンティティ)を認証する。したがって、遊技機1は、セキュリティ機能を有しながらも、セキュリティ機能を有することで増大する主制御部110のCPUの処理負荷やコードサイズを最大限抑制することができ、遊技機1のセキュリティ強度の向上と処理速度の向上とを両立させることができる。
また、本実施形態では、送信部500が遡及数Nを複数備えることで、誤り検査値の付加方法を予め複数用意している。そして、どの誤り検査値付加方法によって誤り検査値を付加するかは、主制御部110のブート処理時の初期値設定時以外ではアクセスされないメインROM110bの特定の記憶領域に記憶されている生成パラメータの値に基づいて決定されている。よって、不正者が、主制御部110と中間制御部180との間の送信データを窃取しても、誤り検査値がどのような付加方法で付加されたかを解析することが困難となる。したがって、遊技機1が有する誤り検査値付加機能に対する秘匿性を確保することができ、遊技機1のセキュリティ強度を向上させることができる。
また、本実施形態では、誤り検査値付加機能およびその選択情報としての生成パラメータを予め複数種類用意するものの、特定の生成パラメータのみを実装している。よって、ブート処理での生成パラメータの選択処理に伴うプログラムを新たに設ける必要がなく、プログラムのコードサイズを増大させることもない。また、遊技機メーカーが特定の誤り検査値付加機能だけを採用したい場合などであっても、所望の誤り検査値付加機能に対応した生成パラメータのみを実装すればよく、遊技機メーカーの嗜好や用途に柔軟に対応することができる。したがって、多様性に富んだセキュリティ機能であっても比較的簡易に追加することができ、汎用性の高いセキュリティ機能を提供することができる。また、遊技機1の開発段階中で設計・検証作業等に使用する生成パラメータと、遊技機1の出荷前に実際に実装される生成パラメータとを変えることにより、最終的にどの生成パラメータが採用されたのかを知り得る者を限定することができ、誤り検査値付加機能に対する秘匿性を更に向上させることができる。
また、本実施形態では、主制御部110に対する認証機能は、通常の遊技進行に係る処理を行う周辺部300とは別個独立した中間制御部180に備えられている。よって、例えば、中間制御部180が主制御部110と演出制御部120との間に設けられているとき、演出制御部120で認証処理が実行されるのは、中間制御部180から認証結果データを受信した場合のみである。すなわち、認証処理を行うことによって演出制御部120のCPUの処理負荷が増大するのは、認証結果データを受信したときのみであるため、演出制御部120の処理負荷が増大する割合を抑えることができる。また、演出制御部120が実行するプログラムには、認証結果データ解析処理に関するプログラムコードを追加するだけでよい。したがって、演出制御部120が実行するプログラム全体にわたっての新たなタイミング設計を行う必要がないので、認証機能を追加する際の実装および検証作業を、より簡単に少ない作業工数で実施することができる。
また、本実施形態では、主制御部110と演出制御部120との間に中間制御部180が設けられているので、主制御部110を構成するメインCPU110aと演出制御部120を構成するサブCPU120aとの間の処理能力の差異や、主制御部110を構成するメインROM110bやメインRAM110cと演出制御部120を構成するサブROM120bやサブRAM120cとの間の記憶容量の差異を、中間制御部180において吸収することができる。これにより、主制御部110と演出制御部120との間で処理能力や記憶容量に差異がある場合でも、主制御部110と演出制御部120との間のセキュリティ強度を維持することができる。なお、このことは、中間制御部180が、主制御部110と払出制御部130との間に設けられた場合も同様である。
本実施形態では、今回送信する制御コマンド(M)に対し、これよりN個前に生成した制御コマンド(M−N)の誤り検査値(M−N)を付加する。これを実現するために、本実施形態では、送信部500にN+1個以上の格納領域を有する格納回路522を設けるとともに、格納回路522から送信バッファ530へ出力すべき誤り検査値の格納領域の場所を、現に生成回路521から出力される誤り検査値(M)の格納領域(M)に対してN個前に位置する格納領域(M−N)を示すアドレスデータとして指定し、指定された格納領域(M−N)から誤り検査値(M−N)を送信バッファ530へ出力することとした。しかしながら、本発明はこれに限定されず、以下のような構成とすることもできる。
例えば、図22(a)に示すように、格納回路522の替わりに、少なくとも遡及数N個に対応するN段の記憶回路(1)〜(N)で構成された記憶回路524を設ける。記憶回路524を構成する各記憶回路(1)〜(N)は、パイプライン構成となるように各々が接続されており、各記憶領域に記憶されたデータを順次シフトさせるための制御信号(以下、「シフト処理信号」という)が制御部510から入力されると、各記憶回路(1)〜(N)は、各々が記憶する誤り検査値を次段の記憶回路に順次シフトさせる。このように、記憶回路524は、いわゆるシフトレジスタ(FIFOメモリ)の機能を有している。最終段の記憶回路(図22(a)では記憶回路(1))は、送信バッファ530と接続されており、シフト処理信号の入力に伴って、自身が保持する誤り検査値を送信バッファ530に出力する。制御部510がシフト処理信号を出力するタイミングは、制御部510が誤り検査値を送信バッファ530へ書き込むための書き込み信号を出力するタイミングと合わせておけばよい。
また、図22(a)に示すように、生成回路521の出力側と記憶回路524との間には、デマルチプレクサ等で構成される出力選択回路525を設け、記憶回路524の各記憶回路(1)〜(N)の入力側とそれぞれ接続しておく。また、出力選択回路525と各記憶回路(1)〜(N)との接続から一の接続を有効にするための制御信号(以下、「接続切替信号」という)を出力する選択回路設定部526を設けておく。そして、選択回路設定部526は、付加方法設定処理にて設定された生成パラメータが示す遡及数Nに対応した記憶回路(図22(a)では記憶回路(N))との接続のみが有効となる接続切替信号を出力する。
このように構成することで、生成回路521にて生成および出力された誤り検査値(M)は、出力選択回路525を介して、記憶回路524の各記憶回路のうちの、送信バッファ530と接続された記憶回路(1)からN個遡って接続された記憶回路(N)に記憶されることとなる。またこのとき、記憶回路524では各記憶回路(1)〜(N)同士で誤り検査値がシフトされ、送信バッファ530に対して、誤り検査値(M)よりN個前に記憶された誤り検査値(M−N)が出力されることとなる。なお、図22には示していないが、M≦Nの場合に用いる初期検査値については、本実施形態と同様に、記憶回路524に記憶される誤り検査値がクリアされた際に、メインROM110bからN個の固有情報を全て読み出して初期検査値(1)〜(N)とし、各記憶回路(1)〜(N)へ設定しておけばよい。
また、図22(b)に示すように、記憶回路524を生成回路521の入力側に設け、記憶回路524で記憶する対象を制御コマンドとしてもよい。このとき、記憶回路524と生成回路521との間には、出力選択回路525の替わりに、マルチプレクサ等で構成される入力選択回路527を設けておけばよい。そして、入力選択回路527には、選択回路設定部526から出力された、付加方法設定処理にて設定された生成パラメータが示す遡及数Nに対応した接続切替信号にて有効となった接続元の記憶回路(図22(b)では記憶回路(N))に記憶された制御コマンドのみが入力され、生成回路521へと出力されることとなる。なお、図22(a)の記憶回路524におけるデータをシフトする方向(記憶回路(N)から(1)の方向)と、図22(b)の記憶回路524におけるシフトする方向(記憶回路(1)から(N)の方向)とは、それぞれ逆方向であるが、これは、説明の便宜上、記憶回路(1)〜(N)の符号を同一の順で付与したためである。いずれの記憶回路524もFIFOメモリとして機能するものであり、図22(a)、(b)における実施態様において、特段異なる構成を必要とするものではない。
なお、図5で示した本実施形態においても、格納回路522を生成回路521の入力側に設け、格納回路522で格納する対象を制御コマンドとしてもよい。また、中間制御部180においても、格納部622で格納する対象を誤り検査値としてもよいし、制御コマンドとしてもよい。また、主制御部110での格納対象と、中間制御部180での格納対象とが異なってもよい。
また、本実施形態では、今回送信する制御コマンド(M)に対し、1個の制御コマンド(M−N)だけから生成された誤り検査値(M−N)を付加していたが、本発明はこれに限定されず、制御コマンド(M)に対して付加する誤り検査値は、複数個の制御コマンドから生成された誤り検査値であってもよい。この場合、検査値生成部520は、制御コマンドを複数記憶しておくための記憶領域を新たに設け、この記憶領域から生成回路521へ制御コマンドを入力させるように構成すればよい。これにより、制御コマンドとそれに付加された誤り検査値との関係がより一層解析困難となり、遊技機1のセキュリティ強度を向上させることができる。
なお、制御コマンド(M)に対して付加する誤り検査値は、過去に生成した制御コマンドだけではなく、現在生成した制御コマンドも含む複数個の制御コマンドから生成された誤り検査値であってもよい。こうすると、中間制御部180にて今回受信した制御コマンドの通信エラーチェックを、今回受信した制御コマンドに付加された誤り検査値を用いて、リアルタイムに行うことができる。
また、本実施形態では、M≦Nの場合に、主制御部110では、制御コマンド(M)に対して初期検査値を付加して送信し、中間制御部180では、対応する初期検査値を用いて誤り検査処理を行うこととしたが、本発明はこれに限定されず、中間制御部180は、M≦Nの場合は誤り検査処理を行わず、M>Nとなってから初めて誤り検査処理を行うこととしてもよい。
また、本実施形態では、M≦Nの場合に用いる初期検査値を、メインROM110bに予め記憶された固有情報としたが、本発明はこれに限定されない。例えば、主制御部110に計時手段を設け、または主制御部110が予め備えている計時手段を用いて、電源投入時から制御コマンドの送信タイミングまでの経過時間を経時情報として取得し、取得した経時情報を初期検査値として用いてもよい。取得した経時情報の値は、ランダム性を有する変動値であるため、これを用いて生成された初期検査値を再利用することは困難であり、遊技機1のセキュリティ強度をより一層向上させることができる。このとき、中間制御部180は、上記のようにM≦Nの場合は誤り検査処理を行わないようにすればよい。
また、このとき、予めN≧2と取り決めてあれば、中間制御部180は、初期検査値として連続して送信された経時情報同士が時系列として連続性を有するか否か、すなわち、連続して送信された経時情報の値が送信順番に従って増加しているか否かを確認することによって誤り検査処理を行ってもよい。なお、経時情報は、計時手段をリアルタイムクロック回路等として取得される絶対的な時間であってもよいし、リセット時から計数された相対的な時間であってもよい。いずれにしても、経時情報は、その取得されるタイミングが不定期なタイミングであればある程、様々な値に変動するため、実質的に遊技機1に固有の情報と捉える事ができる。また、N≧2のとき、経時情報は、制御コマンドの送信タイミング毎に計時手段から取得した経時情報を用いてもよいし、最初に生成した制御コマンドの送信タイミングに取得した経時情報を複数の制御コマンドに対して初期検査値として用いてもよい。また、例えば、最初に生成した制御コマンドに付加する初期検査値は固定値あるメインCPU110aの識別番号(ID)を用い、それ以降の初期検査値は変動値である経時情報を用いるというように、固定値と変動値を組み合わせることもできる。
また、M≦Nの場合に用いる初期検査値として、例えば、主制御部110の誤り検査値付加機能の選択情報である生成パラメータを用いてもよい。すなわち、主制御部110の送信部500を構成する制御部510は、ブート処理時に自身の生成パラメータ用記憶領域にセットされた生成パラメータを、生成パラメータ設定処理後も記憶しておく。そして、制御部510は、M≦Nの場合に、メインROM110bに記憶された固有情報を読み出す替わりに、自身の生成パラメータ用記憶領域に記憶しておいた生成パラメータを読み出し、格納回路522の初期検査値格納領域に格納しておき、初期検査値として生成パラメータを用いればよい。生成パラメータは、その内容や実装方法を遊技機メーカーの独自の判断で決定することができるため秘匿性が高く、実質的に遊技機1に固有の情報と捉えることができる。なお、中間制御部180は、上記のようにM≦Nの場合は誤り検査処理を行わないようにすればよい。このようにすることで、中間制御部180は、生成パラメータに相当する誤り検査値付加機能の選択情報を、予め主制御部110との間で取り決めていなくとも、主制御部110で設定された誤り検査値付加機能に対応した誤り検査値出力機能を選択することができる。よって、不正者が、中間制御部180自体を解析しても、複数の誤り検査値出力機能のうちのどの出力機能でもって出力された誤り検査値を用いて誤り検査処理が行われるのかを特定することができず、当該出力機能の秘匿性を確保することができ、遊技機1のセキュリティ強度を更に向上させることができる。
また、本実施形態では、誤り検査値の付加タイミングの基準として制御部510が検知する対象を、メインCPU110aが送信バッファ530へ制御コマンドを書き込む際の書き込み信号の出力としたが、本発明はこれに限定されず、制御コマンドそのものの出力や、送信バッファ530に書き込みフラグが立てられたこととすることもできる。制御コマンドそのものの出力や、書き込みフラグが立てられたことを検知するというのは、メインCPU110aが制御コマンドを送信バッファ530へ出力が開始したタイミングや、出力が完了したタイミングを検知することであり、当該制御コマンドを中間制御部180へ送信せしめるための送信部500への送信指示を担う情報と捉える事ができる。この場合、制御部510は、メインCPU110aによる制御コマンドそのものの出力や、書き込みフラグが立てられたことを検知し、この検知信号の検出を基準として、所定時間(β)経過後に、格納回路522に格納された誤り検査値を送信バッファ530へ書き込むこととなる。
また、本実施形態では、中間制御部180は、認証結果データを制御コマンドに付加して認証結果データ付き制御コマンドとして演出制御部120へ送信することとしたが、本発明はこれに限定されず、制御コマンドおよび認証結果データを別々に送信するようにしてもよい。この場合、演出制御部120は、認証結果データを受信したかを判断し、認証結果データを受信した場合に認証結果データ解析処理を行うようにすればよい。なお、制御コマンドと認証結果データのそれぞれにダミーデータを付加して、データ長が同一となるようにしてもよい。このようにすることにより、不正者が、制御コマンドと認証結果データを区別することが困難となり、遊技機1のセキュリティ強度を向上することができる。
また、本実施形態では、中間制御部180は、認証成功の場合も認証不成功の場合も、認証結果データを生成し、受信した制御コマンドへ付加して演出制御部120へ送信することとしたが、本発明はこれに限定されず、例えば、中間制御部180は、認証不成功の場合のみ認証結果データを生成し、あるいは、認証不成功を示す信号を出力し、演出制御部120へ送信するようにしてもよい。演出制御部120は、認証結果データまたは認証不成功を示す信号を受信したか否かを判断し、受信した場合に報知信号を出力するように構成すればよい。
また、本実施形態では、制御部510、検査値生成部520、送信バッファ530、および送信回路540を送信部500として、ワンチップマイコン110mとは別個の回路構成としたが、本発明はこれに限定されず、送信部500をワンチップマイコン110mと一体の回路構成としてもよい。また、この場合、送信部500のうち、送信バッファ530、送信回路540、およびこれを制御する制御部510の制御機能のみをワンチップマイコン110mと一体の回路構成とし、検査値生成部520、およびこれを制御する制御部510の制御機能は、ワンチップマイコン110mとは別個の回路構成としてもよい。このようにすることで、既存のワンチップマイコンの送信部を転用することができ、セキュリティ機能を実現するために追加する回路を、比較的簡易な回路構成とすることができる。
また、本実施形態では、中間制御部180をCPU、ROM、RAM等を備えて構成しているが、同様の機能をLSI等の集積回路として実現するように構成してもよい。
また、本実施形態では、本発明をパチンコ遊技機に適用する例を示したが、これに限定されず、本発明は、雀球遊技機、アレンジボール等のパチンコ遊技機以外の弾球遊技機、スロットマシン等の回胴式遊技機などの他の遊技機にも適用することができる。これらの遊技機においても、本実施形態と同様に構成することにより、本実施形態と同様の効果を得ることができる。また、本実施形態は、その目的および構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用することができる。