以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。具体的には、本発明の実施形態に係る遊技機の1つであるパチンコ遊技機1(以下、「遊技機1」という)について説明する。
[遊技機の構成]
以下に、本発明の一実施形態に係る遊技機1の構成について説明する。
図1は、本実施形態に係る遊技機1の外観構成を示す正面図である。図2は、本実施形態に係る遊技機1のガラス枠を開放させた状態の外観構成を示す斜視図である。図3は、本実施形態に係る遊技機1の裏面側の外観構成を示す斜視図である。
遊技機1は、遊技店の島設備に取り付けられる外枠60と、その外枠60と回動可能に支持されたガラス枠50とが備えられている(図1、図2参照)。また、外枠60には、遊技球200が流下する遊技領域6が形成された遊技盤2が設けられている。ガラス枠50には、回動操作されることにより遊技領域6に向けて遊技球を発射させる操作ハンドル3と、スピーカからなる音声出力装置32と、複数のランプを有する演出用照明装置34と、押圧操作により演出態様を変更させるための演出ボタン35とが設けられている。
更に、ガラス枠50には、複数の遊技球200を貯留する受け皿40が設けられており、この受け皿40は、操作ハンドル3の方向側に遊技球200が流下するように下りの傾斜を有している(図2参照)。この受け皿40の下りの傾斜の端部には、遊技球を受け入れる図示しない受入口が設けられており、この受入口に受け入れられた遊技球は、玉送りソレノイド4bが駆動することにより、ガラス枠50の裏面に設けられた玉送り開口部41へ1個ずつ送り出される。そして、玉送り開口部41へ送り出された遊技球は、打出部材4cの方向に向けて下り傾斜を有している発射レール42により、発射レール42の下り傾斜の端部に誘導される。発射レール42の下り傾斜の端部の上方には、遊技球を停留させるストッパー43が設けられており、玉送り開口部41から送り出された遊技球200は、発射レール42の下り傾斜の端部で1個の遊技球が停留されることになる(図2参照)。
そして、遊技者が操作ハンドル3を回動させると、操作ハンドル3に直結している発射ボリューム3b(図4参照)も回動し、発射ボリューム3bにより遊技球の発射強度が調整され、調整された発射強度で発射用ソレノイド4a(図4参照)に直結された打出部材4cが回転する。この打出部材4cが回転することで、打出部材4cにより発射レール42の下り傾斜の端部に貯留されている遊技球200が打ち出され、遊技球が遊技領域6に発射されることとなる。
上記のようにして発射された遊技球は、発射レール42からレール5a、5b間を上昇して玉戻り防止片5cを超えると、遊技領域6に到達し、その後遊技領域6内を落下する。このとき、遊技領域6に設けられた複数の釘や風車によって、遊技球は予測不能に落下することとなる。
また、上記遊技領域6には、複数の一般入賞口12が設けられている。これら各一般入賞口12には、一般入賞口検出スイッチ12a(図4参照)が設けられており、この一般入賞口検出スイッチ12aが遊技球の入賞を検出すると、所定の賞球(例えば10個の遊技球)が払い出される。
また、上記遊技領域6の中央下側の領域には、遊技球が入球可能な始動領域を構成する第1始動口14および第2始動口15と、遊技球が入球可能な第2大入賞口17とが設けられている。
この第2始動口15は、一対の可動片15bを有しており、これら一対の可動片15bが閉状態に維持される態様(以下、「第1の態様」という)と、一対の可動片15bが開状態となる態様(以下、「第2の態様」という)とに可動制御される。なお、第2始動口15が上記第1の態様に制御されているときには、当該第2始動口15の真上に位置する第2大入賞口17の入賞部材が障害物となって、遊技球の受入れを不可能としている。一方で、第2始動口15が上記第2の態様に制御されているときには、上記一対の可動片15bが受け皿として機能し、第2始動口15への遊技球の入賞が容易となる。つまり、第2始動口15は、第1の態様にあるときには遊技球の入賞機会がなく、第2の態様にあるときには遊技球の入賞機会が増すこととなる。
ここで、第1始動口14には遊技球の入球を検出する第1始動口検出スイッチ14a(図4参照)が設けられ、第2始動口15には遊技球の入球を検出する第2始動口検出スイッチ15a(図4参照)が設けられている。そして、第1始動口検出スイッチ14aまたは第2始動口検出スイッチ15aが遊技球の入球を検出すると、特別図柄判定用乱数値等を取得し、後述する大当たり遊技を実行する権利獲得の抽選(以下、「大当たりの抽選」という)が行われる。また、第1始動口検出スイッチ14aまたは第2始動口検出スイッチ15aが遊技球の入球を検出した場合にも、所定の賞球(例えば3個の遊技球)が払い出される。
また、第2大入賞口17は、遊技盤2に形成された開口部から構成されている。この第2大入賞口17の下部には、遊技盤面側からガラス板52側に突出可能な第2大入賞口開閉扉17bを有しており、この第2大入賞口開閉扉17bが遊技盤面側に突出する開放状態と、遊技盤面に埋没する閉鎖状態とに可動制御される。そして、第2大入賞口開閉扉17bが遊技盤面に突出していると、遊技球を第2大入賞口17内に導く受け皿として機能し、遊技球が第2大入賞口17に入球可能となる。この第2大入賞口17には第2大入賞口検出スイッチ17a(図4参照)が設けられており、この第2大入賞口検出スイッチ17aが遊技球の入球を検出すると、予め設定された賞球(例えば15個の遊技球)が払い出される。
更に、上記遊技領域6の右側の領域には、遊技球が通過可能な普通領域を構成する普通図柄ゲート13と、遊技球が入球可能な第1大入賞口16とが設けられている。
このため、操作ハンドル3を大きく回動させ、強い力で打ち出された遊技球でないと、普通図柄ゲート13と第1大入賞口16とには遊技球が、通過または入賞しないように構成されている。
この普通図柄ゲート13には、遊技球の通過を検出するゲート検出スイッチ13a(図4参照)が設けられており、このゲート検出スイッチ13aが遊技球の通過を検出すると、普通図柄判定用乱数値を取得し、後述する「普通図柄の抽選」が行われる。
第1大入賞口16は、通常は第1大入賞口開閉扉16bによって閉状態に維持されており、遊技球の入球を不可能としている。これに対して、後述する特別遊技が開始されると、第1大入賞口開閉扉16bが開放されるとともに、この第1大入賞口開閉扉16bが遊技球を第1大入賞口16内に導く受け皿として機能し、遊技球が第1大入賞口16に入球可能となる。第1大入賞口16には第1大入賞口検出スイッチ16a(図4参照)が設けられており、この第1大入賞口検出スイッチ16aが遊技球の入球を検出すると、予め設定された賞球(例えば15個の遊技球)が払い出される。
更には、遊技領域6の最下部であって遊技領域6の最下部の領域には、一般入賞口12、第1始動口14、第2始動口15、第1大入賞口16および第2大入賞口17のいずれにも入球しなかった遊技球を排出するためのアウト口11が設けられている。
また、遊技領域6の中央には、遊技球の流下に影響を与える飾り部材7が設けられている。この飾り部材7の略中央部分には、液晶表示装置31が設けられており、この液晶表示装置31の上方には、ベルトの形をした演出用駆動装置33が設けられている。
なお、本実施形態においては、液晶表示装置31を液晶表示器として用いているが、有機ELディスプレイを用いてもよいし、プロジェクター、円環状の構造物からなるリール、いわゆる7セグメントLED、ドットマトリクス等の表示装置等を用いてもよい。
この液晶表示装置31は、遊技が行われていない待機中に画像を表示したり、遊技の進行に応じた画像を表示したりする。なかでも、後述する大当たりの抽選結果を報知するための3個の演出図柄36が表示され、特定の演出図柄36の組合せ(例えば、777等)が停止表示されることにより、大当たりの抽選結果として大当たりが報知される。
より具体的には、第1始動口14または第2始動口15に遊技球が入球したときには、3個の演出図柄36をそれぞれスクロール表示するとともに、所定時間経過後に当該スクロールを停止させて、演出図柄36を停止表示するものである。また、この演出図柄36の変動表示中に、さまざまな画像やキャラクタ等を表示することによって、大当たりに当選するかもしれないという高い期待感を遊技者に与えるようにもしている。
上記演出用駆動装置33は、その動作態様によって遊技者に期待感を与えるものである。演出用駆動装置33は、例えば、ベルトが下方に移動したり、ベルト中央部の回転部材が回転したりする動作を行う。これら演出用駆動装置33の動作態様によって、遊技者にさまざまな期待感を与えるようにしている。
更に、上記の各種の演出装置に加えて、音声出力装置32は、バックグラウンドミュージック、サウンドエフェクト等を出力し、サウンドによる演出を行い、演出用照明装置34は、各ランプの光の照射方向や発光色を変更して、照明による演出を行うようにしている。
また、演出ボタン35は、例えば、上記液晶表示装置31に当該演出ボタン35を操作するようなメッセージが表示されたときのみ有効となる。演出ボタン35には、演出ボタン検出スイッチ35a(図4参照)が設けられており、この演出ボタン検出スイッチ35aが遊技者の操作を検出すると、この操作に応じてさらなる演出が実行される。
遊技領域6の右下方には、第1特別図柄表示装置20、第2特別図柄表示装置21、普通図柄表示装置22、第1特別図柄保留表示器23、第2特別図柄保留表示器24、普通図柄保留表示器25が設けられている。
上記第1特別図柄表示装置20は、第1始動口14に遊技球が入球したことを契機として行われた大当たりの抽選結果を報知するものであり、7セグメントのLEDで構成されている。つまり、大当たりの抽選結果に対応する特別図柄が複数設けられており、この第1特別図柄表示装置20に大当たりの抽選結果に対応する特別図柄を表示することによって、抽選結果を遊技者に報知するようにしている。例えば、大当たりに当選した場合には「7」が表示され、ハズレであった場合には「−」が表示される。このようにして表示される「7」や「−」が特別図柄となるが、この特別図柄はすぐに表示されるわけではなく、所定時間変動表示された後に、停止表示されるようにしている。
ここで、「大当たりの抽選」とは、第1始動口14または第2始動口15に遊技球が入球したときに、特別図柄判定用乱数値を取得し、取得した特別図柄判定用乱数値が「大当たり」に対応する乱数値であるか、「小当たり」に対応する乱数値であるかの判定する処理をいう。この大当たりの抽選結果は即座に遊技者に報知されるわけではなく、第1特別図柄表示装置20において特別図柄が点滅等の変動表示を行い、所定の変動時間を経過したところで、大当たりの抽選結果に対応する特別図柄が停止表示して、遊技者に抽選結果が報知されるようにしている。なお、第2特別図柄表示装置21は、第2始動口15に遊技球が入球したことを契機として行われた大当たりの抽選結果を報知するためのもので、その表示態様は、上記第1特別図柄表示装置20における特別図柄の表示態様と同一である。
また、本実施形態において「大当たり」というのは、第1始動口14または第2始動口15に遊技球が入球したことを条件として行われる大当たりの抽選において、大当たり遊技を実行する権利を獲得したことをいう。「大当たり遊技」においては、第1大入賞口16または第2大入賞口17が開放されるラウンド遊技を計15回行う。各ラウンド遊技における第1大入賞口16または第2大入賞口17の最大開放時間については予め定められた時間が設定されており、この間に第1大入賞口16または第2大入賞口17に所定個数の遊技球(例えば9個)が入球すると、1回のラウンド遊技が終了となる。つまり、「大当たり遊技」は、第1大入賞口16または第2大入賞口17に遊技球が入球するとともに、当該入球に応じた賞球を遊技者が獲得できる遊技である。
本実施形態では、「大当たりの抽選」においては、その当選確率により2つの遊技状態が設定されている。すなわち、当選確率が1/299.5に設定された「低確率遊技状態」と、当選確率が1/29.95に設定された「高確率遊技状態」である。また、「大当たり遊技」においても、複数種類の大当たり遊技が設定されている。例えば、「長当たり遊技」となれば、第1大入賞口16が、1ラウンド遊技ごとに、29.000秒間×1回開放(×15ラウンド)される。「短当たり遊技」となれば、第2大入賞口17が、1ラウンド遊技ごとに、0.052秒間×1回(×15ラウンド)開放される。「発展当たり遊技」となれば、第2大入賞口17が、最初の1ラウンド遊技では0.052秒間×3回開放され、2ラウンド目以降は、1ラウンド遊技ごとに29.000秒間×1回(×14ラウンド)開放される。
また、「小当たり」の場合は、当選確率が1/149.75の1つの遊技状態が設定されている。また、「小当たり遊技」となれば、ラウンド遊技ではないものの、第2大入賞口17が0.052秒間×15回開放される。なお、本実施形態では、「大当たり遊技」と「小当たり遊技」とを総称して「特別遊技」という。
また、普通図柄表示装置22は、普通図柄ゲート13を遊技球が通過したことを契機として行われる普通図柄の抽選結果を報知するためのものである。詳しくは後述するが、この普通図柄の抽選によって当たりに当選すると普通図柄表示装置22が点灯し、その後、上記第2始動口15が所定時間、第2の態様に制御される。
ここで、「普通図柄の抽選」とは、普通図柄ゲート13に遊技球が通過したときに、普通図柄判定用乱数値を取得し、取得した普通図柄判定用乱数値が「当たり」に対応する乱数値であるかどうかを判定する処理をいう。この普通図柄の抽選結果についても、普通図柄ゲート13を遊技球が通過して即座に抽選結果が報知されるわけではなく、普通図柄表示装置22において普通図柄が点滅等の変動表示を行い、所定の変動時間を経過したところで、普通図柄の抽選結果に対応する普通図柄が停止表示して、遊技者に抽選結果が報知されるようにしている。
更に、特別図柄の変動表示中や後述する特別遊技中等、第1始動口14または第2始動口15に遊技球が入球して、即座に大当たりの抽選が行えない場合には、一定の条件のもとで、大当たりの抽選の権利が保留される。より詳細には、第1始動口14に遊技球が入球したときに取得された特別図柄判定用乱数値を第1保留として記憶し、第2始動口15に遊技球が入球したときに取得された特別図柄判定用乱数値を第2保留として記憶する。
これら両保留は、それぞれ上限保留個数を4個に設定し、その保留個数は、それぞれ第1特別図柄保留表示器23と第2特別図柄保留表示器24とに表示される。なお、第1保留が1つの場合には、第1特別図柄保留表示器23の左側のLEDが点灯し、第1保留が2つの場合には、第1特別図柄保留表示器23の2つのLEDが点灯する。また、第1保留が3つの場合には、第1特別図柄保留表示器23の左側のLEDが点滅するとともに右側のLEDが点灯し、第1保留が4つの場合には、第1特別図柄保留表示器23の2つのLEDが点滅する。また、第2特別図柄保留表示器24においても、上記と同様に第2保留の保留個数が表示される。
そして、普通図柄の上限保留個数も4個に設定されており、その保留個数が、上記第1特別図柄保留表示器23および第2特別図柄保留表示器24と同様の態様によって、普通図柄保留表示器25において表示される。
ガラス枠50は、遊技盤2の前方(遊技者側)において遊技領域6を視認可能に覆うガラス板52を支持している。なお、ガラス板52は、ガラス枠50に対して着脱可能に固定されている。
また、ガラス枠50は、左右方向の一端側(たとえば遊技機1に正対して左側)においてヒンジ機構部51を介して外枠60に連結されており、ヒンジ機構部51を支点として左右方向の他端側(たとえば遊技機1に正対して右側)を外枠60から開放させる方向に回動可能とされている。ガラス枠50は、ガラス板52とともに遊技盤2を覆い、ヒンジ機構部51を支点として扉のように回動することによって、遊技盤2を含む外枠60の内側部分を開放することができる。ガラス枠50の他端側には、ガラス枠50の他端側を外枠60に固定するロック機構が設けられている。ロック機構による固定は、専用の鍵によって解除することが可能とされている。また、ガラス枠50には、ガラス枠50が外枠60から開放されているか否かを検出する扉開放スイッチ133(図4参照)も設けられている。
遊技機1の裏面には、主制御部110が搭載された主制御基板、中間制御部180が搭載された中間制御基板、演出制御部120が搭載された演出制御基板、払出制御部130が搭載された払出制御基板、電源部170が搭載された電源基板、遊技情報出力端子板30などが設けられている。また、電源部170に遊技機1に電力を給電するための電源プラグ171や、図示しない電源スイッチが設けられている。
[遊技機の内部構成]
以下、本発明の実施形態に係る遊技機1の遊技進行に係る処理を制御する制御手段について説明する。
図4は、本実施形態に係る遊技機1の内部構成を示すブロック図である。
主制御部110は、遊技の基本動作を制御する主制御手段であり、第1始動口検出スイッチ14a等の各種検出信号を入力して、第1特別図柄表示装置20や第1大入賞口開閉ソレノイド16c等を駆動させて遊技を制御するものである。
この主制御部110は、メインCPU110a、メインROM110b、メインRAM110c、ブートROM110dから少なくとも構成されるワンチップマイコン110mと、検査値生成部500と、送信部550と、主制御用の入力ポートと出力ポート(図示せず)とを少なくとも備えている。
この主制御用の入力ポートには、払出制御部130、一般入賞口12に遊技球が入球したことを検知する一般入賞口検出スイッチ12a、普通図柄ゲート13に遊技球が入球したことを検知するゲート検出スイッチ13a、第1始動口14に遊技球が入球したことを検知する第1始動口検出スイッチ14a、第2始動口15に遊技球が入球したことを検知する第2始動口検出スイッチ15a、第1大入賞口16に遊技球が入球したことを検知する第1大入賞口検出スイッチ16a、第2大入賞口17に遊技球が入球したことを検知する第2大入賞口検出スイッチ17aが接続されている。この主制御用の入力ポートによって、各種信号が主制御部110に入力される。
また、主制御用の出力ポートには、払出制御部130、第2始動口15の一対の可動片15bを開閉動作させる始動口開閉ソレノイド15c、第1大入賞口開閉扉16bを動作させる第1大入賞口開閉ソレノイド16c、第2大入賞口開閉扉17bを動作させる第2大入賞口開閉ソレノイド17c、特別図柄を表示する第1特別図柄表示装置20と第2特別図柄表示装置21、普通図柄を表示する普通図柄表示装置22、特別図柄の保留球数を表示する第1特別図柄保留表示器23と第2特別図柄保留表示器24、普通図柄の保留球数を表示する普通図柄保留表示器25、外部情報信号を出力する遊技情報出力端子板30が接続されている。この主制御用の出力ポートによって、各種信号が出力される。
主制御部110のメインCPU110aは、各検出スイッチや内部機能として組み込まれている図示しないタイマ等からの入力信号に基づいて、メインROM110bに記憶されたプログラムを読み出して演算処理を行うとともに、演算処理の結果に応じて、主制御部110を構成する各構成部に対する制御指示(以下、「制御信号」という)や主制御部110以外の他の制御部に対する制御コマンドを出力したりする。
主制御部110のメインROM110bには、遊技進行に係る処理の内容や手順を記述した遊技処理用プログラムや、各種の遊技の決定に必要な固定データ、テーブルが予め記憶されている。
メインROM110bに記憶されたテーブルとして一例を挙げれば、大当たり抽選に参照される大当たり判定テーブル、普通図柄の抽選に参照される当たり判定テーブル、特別図柄の停止図柄を決定する図柄決定テーブル、大当たり終了後の遊技状態を決定するための大当たり遊技終了時設定データテーブル、大入賞口開閉扉の開閉条件を決定する特別電動役物作動態様決定テーブル、大入賞口開放態様テーブル、特別図柄の変動パターンを決定する変動パターン決定テーブルなどがある。
また、メインROM110bには、検査値生成部500を介して送信部550から制御コマンドを送信する処理の内容や手順を記述した認証処理用プログラムや、認証処理用プログラムを実行する際に使用される固定データなどが予め記憶されている。また、メインROM110bには、電源投入時などの遊技機1のリセット時に行われる主制御部110のブート処理中に、ワンチップマイコン110mの内蔵回路や周辺回路等に対して設定される初期値(いわゆるハードウェアパラメータ)が予め記憶されている。また、メインROM110bには、遊技機1固有の情報である固有情報などが予め記憶されている。
主制御部110のブートROM110dには、ワンチップマイコン110mの内蔵回路や周辺回路等の初期化および初期値の設定処理(以下、「初期値設定処理」という)を含む、メインCPU110aが実行するブート処理の内容や手順を記述したブート処理用プログラムや、ブート処理用プログラムの実行の際に使用される固定データが記憶されている。このブート処理用プログラムは、メインCPU110aの起動直後に立ち上るように設定されている。
主制御部110のメインRAM110cは、メインCPU110aの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能し、複数の記憶領域を有している。
メインRAM110cが有する記憶領域として一例を挙げれば、普通図柄保留数(G)記憶領域、普通図柄保留記憶領域、普通図柄データ記憶領域、第1特別図柄保留数(U1)記憶領域、第2特別図柄保留数(U2)記憶領域、第1特別図柄乱数値記憶領域、第2特別図柄乱数値記憶領域、ラウンド遊技回数(R)記憶領域、開放回数(K)記憶領域、大入賞口入球数(C)記憶領域、遊技状態記憶領域(高確率遊技フラグ記憶領域等)、高確率遊技回数(X)カウンタ、遊技状態バッファ、停止図柄データ記憶領域、送信データ用記憶領域、特別図柄時間カウンタ、特別遊技タイマカウンタなど各種のタイマカウンタなどがある。
主制御部110の検査値生成部500は、メインCPU110aと送信部550との間に設けられている。検査値生成部500は、主制御部110が制御コマンドを送信する際に、制御コマンドの正当性を検査して主制御部110の正当性を認証するための誤り検査値を生成し、制御コマンドに付加する機能(以下、「誤り検査値付加機能」という)を有している。具体的には、検査値生成部500は、メインCPU110aが送信部550にて制御コマンドを送信する処理(以下、「コマンド送信処理」という)を行う際に、メインCPU110aから制御コマンドを受け取る。そして、検査値生成部500は、受け取った制御コマンドの誤り検査値を生成する処理(以下、「検査値生成処理という」)を行う。そして、検査値生成部500は、生成した誤り検査値を制御コマンドに付加する処理(以下、「検査値付加処理」という)を行った後、誤り検査値付きの制御コマンドを送信部550へ出力する。
主制御部110の送信部550は、上記主制御用の出力ポートの中でも、特に、主制御部110に対する認証機能を担うよう予め定められた制御部(後述する中間制御部180)への制御コマンドの出力に用いられる。具体的には、送信部550は、検査値生成部500に後続して設けられており、検査値生成部500から出力された誤り検査値付きの制御コマンドを中間制御部180へ送信する。
遊技情報出力端子板30は、主制御部110において生成された外部情報信号を遊技店のホールコンピュータ等に出力するための基板である。遊技情報出力端子板30は、主制御部110と配線接続され、外部情報を遊技店のホールコンピュータ等と接続をするためのコネクタが設けられている。
電源部170は、コンデンサからなるバックアップ電源を備えており、遊技機1に電源電圧を供給するとともに、遊技機1に供給する電源電圧を監視し、電源電圧が所定値以下となったときに、電断検知信号を主制御部110へ出力する。より具体的には、電源電圧が、設定値以下を示すために電断検知信号がローレベルとなり一定時間経過すると、リセット信号がローレベルとなり、メインCPU110aは動作を停止する処理を行う。その後、電源電圧が、設定値以上を示すために電断検知信号がハイレベルとなり一定時間経過すると、リセット信号がハイレベルとなり、メインCPU110aは動作を開始する処理を行う。バックアップ電源はコンデンサに限らず、例えば、電池でもよく、コンデンサと電池とを併用して用いてもよい。
中間制御部180は、主に主制御部110に対する認証機能を実現するための制御手段であり、CPU180a、ROM180b、RAM180cを備えている。中間制御部180は、主制御部110と、主制御部110が本来の遊技処理に係る制御コマンドを送信する対象となる制御部(演出制御部120や払出制御部130等)との間に設けられている。
例えば、図4に示すように、中間制御部180が主制御部110と演出制御部120との間に設けられている場合、中間制御部180は、主制御部110から中間制御部180への一方向に通信可能となるように接続され、中間制御部180から演出制御部120への一方向に通信可能となるように接続される。また、図示しないが、中間制御部180が主制御部110と払出制御部130との間に設けられている場合、中間制御部180は、主制御部110との間で双方向に通信可能となるように接続され、払出制御部130との間で双方向に通信可能となるように接続される。よって、中間制御部180が介在する場合、演出制御部120や払出制御部130等は、主制御部110から直接制御コマンドを送信されず、中間制御部180を介して送信されることとなる。
CPU180aは、主制御部110から送信された制御コマンド、または、内部機能として組み込まれている図示しないタイマからの入力信号に基づいて、ROM180bに記憶されたプログラムを読み出して演算処理を行う。そして、CPU180aは、当該処理に基づいて、対応するデータを後続する演出制御部120や払出制御部130へ送信する。RAM180cは、CPU180aの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能する。
例えば、中間制御部180のCPU180aは、主制御部110から送信された制御コマンドを受信すると、当該制御コマンドの正当性を検査して主制御部110の正当性を認証する誤り検査処理を行う。そして、CPU180aは、当該処理にて得られた認証結果の情報(以下、「認証結果データ」という)を後続する演出制御部120や払出制御部130等へ送信し、認証結果データに基づく処理を実行させる。また、CPU180aは、受信した制御コマンドの具体的な処理内容および受信順序を維持したまま、当該制御コマンドを後続する演出制御部120や払出制御部130等へ送信する中継送信処理を行う。
また、ROM180bには、CPU180aにて行われる受信した制御コマンドへの誤り検査処理を含む認証処理の内容や手順を記述した認証処理用プログラムや、認証処理用プログラムの実行の際に使用される固定データ、および主制御部110のメインROM110bに記憶された固有情報に対応する情報などが予め記憶されている。
このように、中間制御部180は、主制御部110に対する認証機能と、受信した制御コマンドを後続する演出制御部120や払出制御部130等へ中継送信する機能と、誤り検査処理にて得られた認証結果データを後続する演出制御部120や払出制御部130等へ送信する機能とを少なくとも有している。なお、これら認証処理に関する構成については後述する。
演出制御部120は、主に遊技中や待機中等の各演出を制御する。この演出制御部120は、サブCPU120a、サブROM120b、サブRAM120cを備えており、主制御部110から演出制御部120への一方向に通信可能となるように設けられている。なお、図4に示すように、中間制御部180が主制御部110と演出制御部120との間に設けられている場合、演出制御部120は、中間制御部180を介して主制御部110から演出制御部120への一方向に通信可能となる。
サブCPU120aは、主制御部110から送信された制御コマンド、または、上記演出ボタン検出スイッチ35a、タイマからの入力信号に基づいて、サブROM120bに記憶されたプログラムを読み出して演算処理を行うとともに、当該処理に基づいて、対応するデータをランプ制御部140または画像制御部150に送信する。サブRAM120cは、サブCPU120aの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能する。
例えば、演出制御部120におけるサブCPU120aは、主制御部110から送信された制御コマンドの1つである特別図柄の変動態様を示す変動パターン指定コマンドを受信すると、受信した変動パターン指定コマンドの内容を解析して、液晶表示装置31、音声出力装置32、演出用駆動装置33、演出用照明装置34に所定の演出を実行させるためのデータを生成し、かかるデータを画像制御部150やランプ制御部140へ送信する。
演出制御部120のサブROM120bには、演出制御用のプログラムや各種の遊技の決定に必要なデータ、テーブルが記憶されている。
サブROM120bに記憶されたテーブルとして一例を挙げれば、主制御部から受信した変動パターン指定コマンドに基づいて演出パターンを決定するための演出パターン決定テーブル、停止表示する演出図柄36の組み合わせを決定するための演出図柄決定テーブルなどがある。
演出制御部120のサブRAM120cは、サブCPU120aの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能し、複数の記憶領域を有している。
サブRAM120cが有する記憶領域として一例を挙げれば、遊技状態記憶領域、演出モード記憶領域、演出パターン記憶領域、演出図柄記憶領域などがある。
払出制御部130は、遊技球の払い出し制御を行う。この払出制御部130は、図示しない払出CPU、払出ROM、払出RAMから構成されるワンチップマイコンを備えており、主制御部110に対して、双方向に通信可能となるように設けられている。なお、図示しないが、中間制御部180が主制御部110と払出制御部130との間に設けられている場合、払出制御部130は、中間制御部180を介して主制御部110との間で双方向に通信可能となる。
払出CPUは、遊技球が払い出されたか否かを検知する払出球計数スイッチ132、扉開放スイッチ133、タイマからの入力信号に基づいて、払出ROMに記憶されたプログラムを読み出して演算処理を行うとともに、当該処理に基づいて、対応するデータを主制御部110に送信する。
また、払出制御部130の出力側には、遊技球の貯留部から所定数の遊技球を払い出すための払出装置の払出モータ131が接続されている。払出CPUは、主制御部110から送信された制御コマンドの1つである払出個数指定コマンドに基づいて、払出ROMから所定のプログラムを読み出して演算処理を行うとともに、払出装置の払出モータ131を制御して所定の遊技球を払い出す。このとき、払出RAMは、払出CPUの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能する。
ランプ制御部140は、遊技盤2に設けられた演出用照明装置34を点灯制御したり、光の照射方向を変更するためのモータに対する駆動制御をしたりする。また、演出用駆動装置33を動作させるソレノイドやモータ等の駆動源を通電制御する。このランプ制御部140は、演出制御部120に接続されており、演出制御部120から送信された各種のコマンドに基づいて、上記の各制御を行うこととなる。
画像制御部150は、液晶表示装置31の画像表示制御を行うためのホストCPU、ホストCPUのワークエリアとして機能する一時的な記憶領域を有するホストRAM、ホストCPUの制御処理のプログラム等が記憶されたホストROM、画像データが記憶されたCGROM、画像データを描画するフレームバッファを有するVRAM、画像プロセッサとなるVDP(Video Display Processor)と、音の制御を行う音制御回路とを備えている。
ホストCPUは、演出制御部120から受信した演出パターン指定コマンドに基づいて、VDPにCGROMに記憶されている画像データを液晶表示装置31に表示させる指示を行う。
VDPは、ホストCPUからの指示に基づいて、CGROMに記憶された画像データをVRAMのフレームバッファに描画する。次に、VRAMにある表示用のフレームバッファに記憶された画像データに基づいて映像信号(RGB信号等)を生成し、生成した映像信号を液晶表示装置に出力する。
音制御回路には、音声データが多数記憶されている音声ROMが備えられており、音制御回路が、演出制御部120から送信されたコマンドに基づいて所定のプログラムを読み出すとともに、音声出力装置32における音声出力制御をする。
発射制御部160は、遊技球の発射制御を行う。この発射制御部160は、入力側にタッチセンサ3aおよび発射ボリューム3bが接続されており、出力側に発射用ソレノイド4aおよび玉送りソレノイド4bを接続している。発射制御部160は、タッチセンサ3aからのタッチ信号を入力するとともに、発射ボリューム3bから供給された電圧に基づいて、発射用ソレノイド4aや玉送りソレノイド4bを通電させる制御を行う。
タッチセンサ3aは、操作ハンドル3の内部に設けられ、遊技者が操作ハンドル3に触れたことによる静電容量の変化を利用した静電容量型の近接スイッチから構成される。タッチセンサ3aは、遊技者が操作ハンドル3に触れたことを検知すると、発射制御部160(図4参照)に発射用ソレノイド4aの通電を許可するタッチ信号を出力する。発射制御部160は、大前提としてタッチセンサ3aからタッチ信号の入力がなければ、遊技球200を遊技領域6に発射させないように構成されている。
発射ボリューム3bは、操作ハンドル3が回動する回動部に直結して設けられ、可変抵抗器から構成される。発射ボリューム3bは、その発射ボリューム3bに印加された定電圧(例えば5V)を可変抵抗器により分圧して、分圧した電圧を発射制御部160に供給する(発射制御部160に供給する電圧を可変させる)。発射制御部160は、発射ボリューム3bにより分圧された電圧に基づいて、発射用ソレノイド4aを通電して、発射用ソレノイド4aに直結された打出部材4cを回転させることで、遊技球200を遊技領域6に発射させる。
発射用ソレノイド4aは、ロータリーソレノイドから構成され、発射用ソレノイド4aには打出部材4cが直結されており、発射用ソレノイド4aが回転することで、打出部材4cを回転させる。
ここで、発射用ソレノイド4aの回転速度は、発射制御部160に設けられた水晶発振器の出力周期に基づく周波数から、約99.9(回/分)に設定されている。これにより、1分間における発射遊技数は、発射ソレノイドが1回転する毎に1個発射されるため、約99.9(個/分)となる。すなわち、1個の遊技球は約0.6秒毎に発射されることになる。
玉送りソレノイド4bは、直進ソレノイドから構成され、受け皿40にある遊技球を、発射用ソレノイド4aに直結された打出部材4cに向けて1個ずつ送り出す。
ここで、上記構成の演出制御部120、払出制御部130、ランプ制御部140、画像制御部150、および発射制御部160など、主制御部110からの制御コマンドに基づいて、若しくは当該制御コマンドに基づいて生成されるコマンドに従って遊技機1の制御処理を行う制御部であって、中間制御部180以外の制御部を総称して「周辺制御部300」という。また、演出制御部120が搭載された演出制御基板や払出制御部130が搭載された払出制御基板など、周辺制御部300の各制御部が搭載された各制御基板を総称して「周辺制御基板」という。なお、中間制御部180、ランプ制御部140、および画像制御部150は、演出制御部120と同一の基板上に搭載することもできる。また、払出制御部130および発射制御部160は、主制御部110と同一の基板上に搭載することもできる。
[遊技機の認証処理に関する内部構成]
以下、上記構成の遊技機1が不正行為防止のために有するセキュリティ機能を実現する制御手段について説明する。
本実施形態に係る遊技機1のセキュリティ機能は、中間制御部180が主制御部110から送信された制御コマンドの正当性を検査し主制御部110の認証を行うことによって実現される。そして、中間制御部180で得られた認証結果は、周辺制御部300へ送信され、周辺制御部300にて受信した認証結果に応じた処理が行われる。そのために主制御部110、中間制御部180、および周辺制御部300が実行する処理を、通常の遊技進行に係る処理とは区別する意味で「認証処理」という。なお、本実施形態では、中間制御部180は、主制御部110と演出制御部120との間に設けられているとともに、中間制御部180で得られた認証結果は、周辺制御部300のうち演出制御部120へ送信され、演出制御部120が認証結果に応じた処理を行うこととして説明する。
具体的には、主制御部110は、制御コマンドを生成し中間制御部180へ送信する際に、当該制御コマンドより前(過去)に生成された制御コマンドの誤り検査値を生成し、今回送信するべき制御コマンドに付加して送信する。中間制御部180は、今回受信した制御コマンドに付加された誤り検査値と、当該制御コマンドより前に受信した制御コマンドを用いて予め生成しておいた誤り検査値とを照合する。そして、両者が一致すると、今回受信した制御コマンドの正当性が認証され、主制御部110の認証に成功したと判断される。中間制御部180は、得られた主制御部110に対する認証結果を、演出制御部120へ送信する。演出制御部120は、中間制御部180から送信された認証結果を確認し、認証結果に応じた処理を行う。
図5は、本実施形態に係る主制御部110の認証処理に関する内部構成を示す機能ブロック図である。図6は、本実施形態に係る(a)メインROM110bおよび(b)ブートROM110dのメモリマップを説明するための概略図である。図7は、本実施形態に係る制御コマンドへの誤り検査値の付加手順を説明するための概略図である。また、図6では、本発明の特徴的な領域以外は省略している。また、「xxxFH」などのアドレス表記は、各領域の区分を示すために便宜上設けたものであるとともに、各領域同士の位置関係においても、図6に示した位置関係に限定されるものではない。
主制御部110は、上記のようにメインCPU110a、メインROM110b、およびブートROM110dに加え、メインCPU110aからの制御指示に基づき、誤り検査値の生成処理および付加処理を行う検査値生成部500と、中間制御部180への制御コマンドの送信処理を行う送信部550とを少なくとも備えている。また、これら主制御部110の各構成部は、各々が出力する各種データや信号を送受できるようバス接続されている(図示せず)。
バスは、アドレスバス、データバス、および制御バスの機能を少なくとも備え、主制御部110の各構成部から出力された制御信号に基づきバス上を通るデータの割り当てを行い、データの衝突が生じないように制御している。なお、図5においては、便宜上、バスという形では明示せず、主制御部110の各構成部を結ぶ信号線として表し、その中でも特徴的なものだけを示している。また、主制御部110の各構成部には、クロックパルス発生回路(図示せず)により出力された所定のクロック信号がそれぞれ入力されている。
メインCPU110aは、上記のように遊技進行に係る処理を実行する他、遊技機1での認証処理を実行する。メインCPU110aは、メインROM110bに記憶された認証処理用プログラムや各種固定データを用いて各種演算処理を実行する。また、メインCPU110aは、ブートROM110dに記憶されたブート処理用プログラムやメインROM110bに記憶された各種初期値を用いて各種演算処理を実行する。そして、メインCPU110aは、これらの演算処理の結果に応じて制御信号や制御コマンドを出力する。
例えば、メインCPU110aは、認証処理用プログラムに基づいて、中間制御部180へ送信するべき制御コマンドのコマンド送信処理を行う際には、検査値生成部500へ当該制御コマンドを書き込むための制御信号(以下、「書き込み信号」という)を出力し、当該制御コマンドを検査値生成部500を介して送信部550にて送信させる。
また、メインCPU110aは、ブート処理用プログラムに基づいて、ブート処理中の初期値設定処理を行う際には、メインROM110bに記憶された各種初期値を読み出すための制御信号(以下、「読み出し信号」という)を出力して各種初期値を取得し、取得した各種初期値のそれぞれに対応した構成回路へ出力して各種初期値を設定する処理を行う。
また、メインCPU110aは、主制御部110の初期化処理時に、後述する固有情報を検査値生成部500へ設定する必要があるときは、メインROM110bに記憶された固有情報を読み出すための読み出し信号を出力して固有情報を取得し、取得した固有情報を検査値生成部500へ設定する処理を行う。
メインROM110bには、上記のような遊技処理用プログラムやデータの他、メインCPU110aが遊技機1にて認証処理を実行するための認証処理用プログラムが予め記憶されている(図6(a)の「xxy0H」〜「xxzFH」の領域)。また、メインROM110bには、主制御部110が初期化された後に初めて出力する制御コマンドに付加する誤り検査値として使用する、遊技機1の固有情報が記憶されている(図6(a)の「xyz0H」〜「xzxFH」の領域)。また、メインROM110bは、メインCPU110aからの読み出し信号に応じて、認証処理用プログラムコードや固有情報などを出力する。
固有情報は、主制御部110が保持する遊技機1固有の情報であれば特に限定されない。固有情報は、図6(a)では、メインROM110bの固定データが記憶された領域の中の特定のアドレス(図6(a)の「xyz0H」〜「xzxFH」の領域)のデータ(例えば、制御コマンドデータ)となっているが、例えば、メインROM110bのプログラムコードが記憶された領域(図6(a)の「0000H」〜「xxzFH」の領域)の中の特定のアドレスにおけるチェックサム値や、メインCPU110aに固有に付与されている識別番号(ID)や、メーカーコード・機種コード等の製品情報などを用いることができる。また、固有情報は、予め中間制御部180との間で取り決められた誤り検査値のダミーデータなど用いることができる。これらのデータに四則演算や論理演算等を施した値でもよい。なお、固有情報は、メインROM110bとは別個の記憶手段(メモリセルやROMなど)に記憶されていてもよい。
主制御部110が出力する制御コマンドは、中間制御部180へ送信される際に、図7に示すように、今回送信するべき制御コマンドより前(過去)に生成された制御コマンドの誤り検査値が付加されるようになっている。この付加するべき誤り検査値は、所定の記憶領域(後述する生成手段520の格納回路522)に格納されている。
ただし、電源投入直後などの遊技機1のリセット時などにおいて、主制御部110が初期化された場合は、上記記憶領域(後述する生成手段520の格納回路522)に格納されていた付加するべき誤り検査値もクリアされる。このとき、付加するべき誤り検査値がクリアされてから、最初に生成された制御コマンドなどに付加する誤り検査値(以下、「初期検査値」)として、メインROM110bに予め格納された固有情報を用いる。初期検査値は、後述する誤り検査値の付加手順の内容によっては複数個必要であるため、固有情報は、少なくとも初期検査値の必要数個以上、予め用意されている。
ここで、誤り検査値が上記のようにクリアされた直後に、最初に生成れた制御コマンドを「制御コマンド(1)」といい、制御コマンド(1)を用いて生成された誤り検査値を「誤り検査値(1)」という。同様に、誤り検査値が上記のようにクリアされてからP番目(Pは正の整数)に生成された制御コマンドを「制御コマンド(P)」といい、制御コマンド(P)を用いて生成された誤り検査値を「誤り検査値(P)」という。
Pの値は、誤り検査値が上記のようにクリアされた直後からの制御コマンドの生成個数を示しており、公知のカウンタ回路などによって計数すればよい(以下、Pを「生成個数」という)。
本実施形態では、メインRAM110cに生成個数記憶領域(P)を設けておき、メインCPU110aがコマンド送信処理の際に生成個数記憶領域(P)の値に1を加算して更新する。これによって、メインCPU110aは、コマンド送信処理の際に現に出力する制御コマンドが、主制御部110が初期化されて付加するべき誤り検査値がクリアされてから何番目に生成された制御コマンドであるかを把握することができる。そして、メインCPU110aは、P=1であれば、メインROM110bに予め格納された固有情報を初期検査値として、検査値生成部500へ出力する。
なお、本実施形態では、今回のコマンド送信処理において出力された制御コマンドを制御コマンド(P)とし、当該制御コマンド(P)よりN個前(N;正の整数)に生成された制御コマンドを制御コマンド(P−N)とする。そして、制御コマンド(P)に対して、これよりN個前に生成された制御コマンド(P−N)を用いて生成された誤り検査値(P−N)を付加する。そして、制御コマンド(P)と、これに付加された誤り検査値(P−N)とを中間制御部180へ送信する。
Nの値は、今回送信する制御コマンドに対して、何個前に生成された制御コマンドの誤り検査値を付加するのかということを示した値である(以下、Nを「遡及数」という)。
また、本実施形態では、後述するように、予め中間制御部180との間で取り決められた規則に従って遡及数を変更するが、遡及数の取り得る最大値を「Nmax」とする(Nmax;正の整数、N≦Nmax)。そして、本実施形態では、少なくともNmax個分の固有情報を用意し、それぞれの固有情報を、制御コマンドに付加する順番に初期検査値(1)〜初期検査値(Nmax)として定義する。そして、本実施形態では、上記のように付加するべき誤り検査値がクリアされてから、制御コマンドの生成個数のPの値が遡及数のNの値以下である場合(すなわち、P≦Nの場合)は、N個の固有情報で構成された初期検査値(1)〜初期検査値(N)のいずれかを制御コマンドへ付加する。
また、遡及数のNの値の取り得る範囲(1≦N≦Nmax)は、生成した誤り検査値が格納される格納回路522(および中間制御部180の後述する格納部622)の記憶容量によって制限されるものの、基本的には任意である。Nmaxの値が大きければ、不正者にとっては、制御コマンドとそれに付加された誤り検査値との関係性を解析することがより困難となり、不正行為をより一層防止することができる。但し、Nmaxの値が、例えば1日の遊技機稼働中における制御コマンドの送信回数より遥かに大きい値となると、制御コマンドに付加される誤り検査値は全て固有情報となり、固有情報の秘匿性が損なわれるおそれがある。
また、主制御部110が、制御コマンド(P)を生成する度に、中間制御部180へ送信するならば、Nは、今回送信する制御コマンドに対して、何個前に送信された制御コマンドの誤り検査値を付加するのかということを取り決めておいた数であると考えることができる。本発明には、このような概念も含まれる。すなわち、この場合、誤り検査値(P−N)は、今回送信する制御コマンド(P)に対して、これよりN個前に送信した制御コマンド(P−N)の誤り検査値となる。また、本実施形態では、「誤り検査値」および「誤り検査値(P−N)」という表現には、特に明記する場合を除き、P≦Nの場合に付加される初期検査値(初期検査値(1)〜初期検査値(N)のいずれか)も含まれるものとして説明する。
メインROM110bには、上記のようにワンチップマイコン110mの内蔵回路や周辺回路等の初期値(いわゆるハードウェアパラメータ)の一つであって、検査値生成部500に設定されるハードウェアパラメータ(以下、「HWパラメータ」という)が予め記憶されている(図6(a)の「yyy0H」〜「yyzFH」の領域)。HWパラメータは、検査値生成部500が有する複数の誤り検査値を生成および付加する機能(誤り検査値付加機能)のうち、どの誤り検査値付加機能を採用するのかを選択するための選択情報である。誤り検査値付加機能およびその選択情報は、予め主制御部110と中間制御部180との間で取り決めておく。
本実施形態では、検査値生成部500には、複数の誤り検査値付加機能の具体的な実施態様として、今回送信する制御コマンドに対して付加するべき誤り検査値を示す情報である遡及数が予め複数用意されている。本実施形態では、ブート処理中の初期値設定処理の際に、検査値生成部500に対して予め用意された複数の遡及数のうちの特定の遡及数が設定される。HWパラメータは、この特定の遡及数としてどのNの値を採用するのかを選択する為の選択情報である。
例えば、複数の遡及数のそれぞれと対応付けられた複数のHWパラメータを用意し、検査値生成部500には、遡及数とHWパラメータの対応関係が分かるデータテーブルを予め設けておく。そして、ブート処理中の初期値設定処理の際、メインCPU110aが検査値生成部500へ特定のHWパラメータを設定すると、検査値生成部500は、設定されたHWパラメータを確認し、当該HWパラメータに対応した遡及数をデフォルト値に用いる。
本実施形態では、メインCPU110aが行う設定処理であって、ブート処理中の初期値設定処理でも、特に、検査値生成部500へ特定のHWパラメータを設定する処理を「HWパラメータ設定処理」という。また、本実施形態では、検査値生成部500が行う設定処理であって、コマンド送信処理の際に制御コマンドに付加するべき誤り検査値を示した遡及数を決定し、決定した遡及数に応じた誤り検査値が出力されるように後述の生成手段520を設定する処理を「遡及数設定処理」という。なお、遡及数設定処理の詳細については後述する。
また、上記初期値およびHWパラメータを記憶する領域は、図6ではメインROM110b内の領域であるが、本発明はこれに限定されず、メインROM110bとは別個のメモリセルに記憶したり、ブートROM110d内に記憶したりするように構成することもできる。すなわち、本発明では、上記初期値およびHWパラメータの記憶領域と、遊技処理用プログラムや固定データ等の記憶領域とは、同一の記憶手段(メモリセルやROMなど)に搭載されていてもよいし、異なる記憶手段に搭載されていてもよい。
ブートROM110dには、ブート処理用プログラムやブート処理用プログラムの実行の際に使用される固定データが予め記憶されている(図6(b)の「zxx0H」〜「zyzFH」の領域)。ブート処理用プログラムは、メインCPU110aの起動直後にブートROM110dからブート処理専用RAM(図示せず)へ読み込まれ、メインCPU110aにて実行が開始されるように予め設定されており、メインCPU110a自身の自己診断処理や、メインCPU110aを搭載するワンチップマイコン110mの内蔵回路や検査値生成部500を含む周辺回路等の初期化および初期値の設定処理(すなわち初期値設定処理)を制御するものである。なお、本実施形態では、ブート処理後に実行される遊技処理用プログラムなど、ブート処理用プログラム以外のプログラムを「ユーザープログラム」という。
ブート処理用プログラムは、CPUメーカーが開発・実装するプログラムであり、これらが記憶されたブートROM110dに対するアクセスは、遊技機1の出荷後、ブート処理時のメインCPU110aからのアクセスにのみ制限されている。一方、ユーザープログラムは、遊技機メーカーが開発・実装するプログラムであり、これらが記憶されたメインROM110bに対するアクセスは、遊技処理が実行されるたびにメインCPU110aからアクセスされる。
しかしながら、メインROM110bの記憶領域でも、ワンチップマイコン110mの内蔵回路や検査値生成部500を含む周辺回路等の初期値(HWパラメータを含む)が記憶された領域など、ユーザープログラムや固定データ等(固有情報を含む)が記憶された領域以外の記憶領域(例えば、図6(a)の「yxx0H」〜「yyzFH」の領域)は、ブート処理用プログラムの中でのみ定義された領域であり、遊技処理に係るユーザープログラム上では全く現れることが無い領域とされている。つまり、ブート処理が終了した後は、上記領域(図6(a)の「yxx0H」〜「yyzFH」の領域)は、ユーザープログラムからはアクセスできないように実質的な制限がかけられた領域とされている。
しかしながら、不正なアクセスを試みられた場合を考慮して、以下に示す更なる制限をかけることで、ブート処理時にのみ得られるHWパラメータの秘匿性をより向上させることができる。
ブートROM110dおよびメインROM110bへのアクセス制限は、例えば、主制御部110に実行アドレス監視手段(図示せず)を設けておき、ブート処理終了後に実行アドレス監視手段を作動させ、ユーザープログラムが所定のアドレス(例えば、図6(a)の「0000H」〜「xzyFH」の領域)を超えた領域へアクセスしようとした場合には、メインCPU110aへリセット信号を出力してメインCPU110aを動作停止状態にすればよい。また、リセット信号を出力しないまでも、異常を検知した旨を示す報知信号を出力するようにしてもよい。
また、HWパラメータのメインROM110bへの実装においては複数の方法が考えられる。例えば、検査値生成部500に予め用意された複数の遡及数のそれぞれと対応する複数のHWパラメータを予め用意し、メインROM110bに実装する。そして、HWパラメータ設定処理の中で、どのHWパラメータを採用するかを選択するためのプログラムをブートROM110dに実装しておき、ブート処理のたびにどの遡及数を用いるのかを任意に選択できるように構成することができる。このように実装すると、ブート処理のたびに遡及数が変更され、誤り検査値付加機能の秘匿性を向上させることができ、遊技機1のセキュリティ強度を向上させることができる。
一方、検査値生成部500に備えられた遡及数およびHWパラメータについては予め複数用意するものの、特定のHWパラメータのみをメインROM110bに実装し、これに対応する特定の遡及数のみが採用されるように構成することもできる。このように実装すると、ブート処理でのHWパラメータの選択処理に伴うプログラムを新たに設ける必要がなく、プログラムのコードサイズを増大させることがない。また、このように実装すると、遊技機メーカーが特定の遡及数だけを採用したい場合であっても、遊技機メーカーが行うプログラム実装過程において、所望の遡及数に対応したHWパラメータのみをメインROM110bに実装すればよく、遊技機メーカーの用途や嗜好に柔軟に対応することができる。
なお、この場合であっても、HWパラメータは、主制御部110のブート処理時の初期値設定時以外ではアクセスされない記憶領域に記憶されているため、外部から遡及数の内容を知ることができない。そのため、不正者が、遊技機1で採用された付加するべき誤り検査値を示す遡及数を解析することは困難であり、遊技機1が有する誤り検査値付加機能の秘匿性は確保される。また、遊技機1の開発段階中で設計・検証作業などに使用するHWパラメータと、その後に実際に実装されるHWパラメータとを変えることによって、最終的にどのHWパラメータが実装されたのかを知り得る者が限定され、誤り検査値付加機能の秘匿性は更に向上する。本実施形態では、特定の遡及数に対応する特定のHWパラメータのみがメインROM110bに実装されていることとして説明する。
検査値生成部500は、メインCPU110aと送信部550との間に設けられている。そして、メインCPU110aと検査値生成部500との接続、および検査値生成部500と送信部550との接続は、上記のようにバス接続されており、それぞれの接続に使用されるバスは同一規格のバスとなっている。すなわち、検査値生成部500のメインCPU110a側の入力インターフェースと、送信部550の検査値生成部500側の入力インターフェースにおいて、各インターフェース間でのデータ送受を制御する方式(以下、「入出力制御形式」という)は、それぞれ、メインCPU110aの検査値生成部500側の出力インターフェースに設定された入出力制御方式に対応した方式となっている。なお、バス規格は、公知の規格を用いればよい。
本実施形態では、メインCPU110aの検査値生成部500側の出力インターフェースの入出力制御方式を、「CPUインターフェース方式」という。そして、このCPUインターフェース方式は、上記のバス規格に基づいて定められた公知の入出力制御方式を用いればよく、検査値生成部500を追加する前のメインCPU110aと送信部550の間のバス規格に基づいて定められた入出力制御方式でよい。検査値生成部500の送信部550側の出力インターフェースも、CPUインターフェース方式で構成されている。
本実施形態のCPUインターフェース方式を具体的に説明する。例えば、メインCPU110aが制御コマンドを検査値生成部500へ出力する際、メインCPU110aは、データバスに制御コマンド、アドレスバスに検査値生成部500の所定の記憶領域を指定するアドレスデータ、制御バスに書き込み信号を出力する。このアドレスデータは、デコーダを介してチップセレクト信号へ変換され、検査値生成部500へ入力される。検査値生成部500は、チップセレクト信号および書き込み信号がアクティブとなると(本実施形態では制御信号がアクティブとなることを「制御信号が入力される」という)、データバス上の制御コマンドを取り込む。このような入出力制御方式で、制御コマンドがメインCPU110aから検査値生成部500へ出力される。メインCPU110aがHWパラメータを検査値生成部500へ出力する際も同様である。
また、検査値生成部500が制御コマンドを送信部550へ出力する際も、検査値生成部500は、データバスに制御コマンド、アドレスバスに送信部550の所定の記憶領域を指定するアドレスデータ、制御バスに書き込み信号を出力する。そして、送信部550は、当該アドレスデータのチップセレクト信号および書き込み信号が入力されると、データバス上の制御コマンドを取り込み、制御コマンドが検査値生成部500から送信部550へ転送される。検査値生成部500が誤り検査値を送信部550へ出力する際も同様である。
なお、本実施形態では、出力されたアドレスデータは、チップセレクト信号へ変換された後、指定された主制御部110内の構成部へ入力されるものとし、アドレスデータからチップセレクト信号への変換については説明を省略する。また、本実施形態では、バスは、制御コマンドまたは誤り検査値のいずれか小さい方のデータ長以上のビット幅を有するバスを設けておけばよい。
例えば、制御コマンドは2バイト、誤り検査値は1バイトのデータであるとすると、データバスのビット幅は、少なくとも1バイト以上とすればよい。この場合、メインCPU110aおよび検査値生成部500は、まず、2バイト長の制御コマンドの上位1バイトをデータバスへ出力し、続いて、下位1バイトをデータバスへ出力する。続いて、検査値生成部500は、1バイトの誤り検査値をデータバスへ出力する。
検査値生成部500は、メインCPU110aから出力された制御コマンドに対して誤り検査値を付加して送信部550へ出力する機能を果たし、遡及数設定処理、検査値生成処理、および検査値付加処理など、遊技機1のセキュリティ機能実現に係る主制御部110の処理全般を実行する回路である。具体的には、検査値生成部500は、バッファ手段510と、決定手段540と、生成手段520と、付加手段530とを少なくとも備えている。そして、検査値生成部500の各手段は、ワイヤードロジック制御方式で回路構成されている。
本実施形態では、検査値生成部500内の各手段同士および各手段内の各回路同士でのデータ送受は、主制御部110のクロックパルス発生回路から出力されたクロック信号に同期して行われる。そのため、本実施形態では、検査値生成部500内の各手段や各回路の入出力制御方式を、「同期インターフェース方式」という。同期インターフェース方式では、出力するデータの接続先に対してイネーブル信号等を出力すれば、接続先は当該イネーブル信号およびクロック信号等の入力に基づいて、当該出力データを取り込む。よって、同期インターフェース方式は、バスを介して送出されるアドレスデータ(チップセレクト信号)および書き込み信号を必要とするCPUインターフェース方式とは異なる。
バッファ手段510は、ブート処理後のコマンド送信処理において、メインCPU110aから出力された制御コマンドや固有情報を入力し、一時的に保持する回路である。そして、バッファ手段510は、保持した制御コマンドを後続する生成手段520および付加手段530へ出力する回路である。固有情報が入力された場合は、生成手段520へのみ出力する。すなわち、バッファ手段510は、メインCPU110aが中間制御部180へ送信する制御コマンドを一時的に保持し、メインCPU110aのコマンド送信処理の実行タイミングと、後続する生成手段520の検査値生成処理および付加手段530の検査値付加処理の各実行タイミングとを調整する役割を担っている。
バッファ手段510の入力側は、メインCPU110aとの間で、上記のようにCPUインターフェース方式に対応する入出力制御方式でデータ送受が制御されている。一方、バッファ手段510の出力側は、後続する生成手段520および付加手段530との間で、同期インターフェース方式でデータ送受が制御されている。すなわち、バッファ手段510は、自身の入力側と出力側とで異なる入出力制御方式を有し、メインCPU110aのCPUインターフェース方式と検査値生成部500内の同期インターフェース方式とを整合する役割を担っている。
そして、バッファ手段510は、データバッファ511と制御回路512とを少なくとも備えている。データバッファ511は、メインCPU110aから出力された制御コマンドや固有情報を、データバスを介して取り込んで保持する回路である。制御回路512は、メインCPU110aから出力された制御信号の入力に基づいて、データバッファ511の動作を制御する回路である。
具体的には、制御回路512は、メインCPU110aから出力された制御コマンドや固有情報をバッファ手段510のデータバッファ511へ書き込むための書き込み信号と、バッファ手段510を指定するアドレスデータとが入力されると、データバス上の制御コマンドや固有情報をデータバッファ511が取り込むよう作動させるためのイネーブル信号(以下、「作動許可信号」という)を出力する。データバッファ511は、当該作動許可信号の入力に基づいて、データバス上の制御コマンドや固有情報を取り込む。
また、制御回路512は、データバッファ511が取り込んだ制御コマンドや固有情報を生成手段520や付加手段530へ出力するよう作動させるための作動許可信号を出力する。データバッファ511は、当該作動許可信号の入力に基づいて、取り込んだ制御コマンドを生成手段520および付加手段530へ出力すると共に、取り込んだ固有情報を生成手段520へ出力する。
そして、制御回路512は、データバッファ511から出力された制御コマンドが、生成手段520および付加手段530で入力可能となるよう、生成手段520の制御回路523、および付加手段530の制御回路532に対して、作動許可信号を出力する。なお、制御回路512が、上記各作動許可信号を出力するタイミングは、検査値生成部500内の各手段の動作時間等を考慮しながら、各手段がメインCPU110aからの制御信号およびクロック信号の入力に同期して正常に動作できるようなタイミングとなるように予め設定されている。
また、制御回路512は、データバッファ511から出力された固有情報が、生成手段520で入力可能となるように、生成手段520の制御回路523に対して作動許可信号を出力する。なお、図5では、データバッファ511から生成手段520へ出力されるデータ線には、制御コマンドのみが記載されているが、固有情報においても、当該データ線を経由してデータバッファ511から生成回路521を介して格納回路522へ出力される。この場合、生成回路521にて固有情報へ演算処理を施してもよいし、施さないように制御してもよく、いずれにしても初期検査値として設定された値が中間制御部180と整合するように予め取り決めておく。また、図5では省略したが、データバッファ511と生成手段520の格納回路522とを別途データ線で接続しておき、固有情報をデータバッファ511から格納回路522へ直接固有情報を出力してもよい。
決定手段540は、バッファ手段510から出力された制御コマンドに付加するべき誤り検査値を決定し、決定した誤り検査値が、中間制御部180との間で取り決められた付加手順に即して制御コマンドに付加されるように、生成手段520への設定を行う回路である。すなわち、決定手段540は、検査値生成部500の遡及数設定処理を実行する役割を担っている。
具体的には、決定手段540は、ブート処理中のHWパラメータ設定処理において、メインCPU110aから設定されたHWパラメータに基づいてデフォルトの遡及数を決定し、決定した遡及数に応じて生成手段520の設定を行う。また、決定手段540は、ブート処理後のコマンド送信処理において、バッファ手段510から出力された制御コマンドに付加した誤り検査値に基づいて、当該制御コマンドより後に出力される制御コマンドへ付加するべき誤り検査値を示す遡及数を決定する。そして、決定手段540は、決定した遡及数に応じて生成手段520の設定を行う。
本実施形態では、バッファ手段510から出力された制御コマンドに付加した誤り検査値は、今回のコマンド送信処理において生成手段520が検査値生成処理を実行して付加手段530へ出力した誤り検査値である。また、当該制御コマンドより後に出力される制御コマンドへ付加するべき誤り検査値は、次回のコマンド送信処理において生成手段520が検査値生成処理を実行して付加手段530へ出力するべき誤り検査値である。決定手段540は、今回のコマンド送信処理において生成手段520が出力した誤り検査値を入力し、入力した誤り検査値に基づいて、次回のコマンド送信処理においてバッファ手段510から出力された制御コマンドに付加するべき誤り検査値を示す遡及数を決定する。このとき、決定手段540は、入力した誤り検査値によっては、予め定められた遡及数の変更規則(以下、「変更プロトコル」という)に従って、現在決定されている遡及数を新たな遡及数へ変更する。
より具体的には、決定手段540は、判定回路541と決定回路542とを少なくとも備えている。判定回路541は、生成手段520から出力された誤り検査値を入力し、入力した誤り検査値が、現在の遡及数を変更するとして予め定められた条件(以下、「変更条件」という)を満たす誤り検査値であるか否かの判定処理を実行し、判定結果を決定回路542へ通知する回路である。
判定回路541の入力側は、生成手段520の後述する入力選択回路524を介して格納回路522とデータ線で接続され、生成手段520の制御回路523と制御線で接続されている。また、判定回路541の出力側は、決定手段540内の決定回路542と制御線で接続されている。判定回路541には、変更条件を予め記憶させておく変更条件記憶器(図示せず)と、入力した誤り検査値と変更条件とを比較する比較器(図示せず)とが備えられている。そして、判定回路541は、生成手段520の制御回路523から出力された作動許可信号の入力に基づいて、生成手段520の入力選択回路524を介して格納回路522から出力された誤り検査値を比較器に入力し、変更条件記憶器にて予め記憶しておいた変更条件と比較する。続いて、判定回路541は、入力した誤り検査値が変更条件を満たす誤り検査値であるか否かの判定結果を通知するための制御信号(以下、「判定結果信号」という)を出力する。
変更条件は、予め中間制御部180との間で取り決めておけば基本的に任意である。例えば、本実施形態では、生成手段520から出力された誤り検査値の値が、所定値であるか否かを変更条件として設定する。所定値は、例えば、当該誤り検査値が、偶数であるか(または奇数であるか)、予め定めた数値以上であるか(または数値以下であるか)、予め定めた数値の倍数であるか(または数値の倍数ではないか)など、種々のルールで取り決めておけばよい。
変更条件記憶器は、レジスタなどで構成しておき、所定値のビットパターンを記憶しておけばよい。比較器は、変更条件記憶器と同等以上のビット数を比較可能なイコールコンパレータやマグニチュードコンパレータなどで構成しておくとともに、入力選択回路524を介して格納回路522とデータ線で接続しておく。また、比較器は、決定回路542と制御線で接続しておく。そして、比較器は、制御回路523から出力された作動許可信号の入力に基づいて、入力選択回路524を介して格納回路522から出力された誤り検査値を入力する。
そして、比較器は、入力した誤り検査値と変更条件とを比較し、両者が一致すれば、生成手段520から出力された誤り検査値が変更条件を満たす誤り検査値であることを示す判定結果信号を決定回路542へ出力する。一方、比較器は、両者が一致しなければ、生成手段520から出力された誤り検査値が変更条件を満たす誤り検査値でないことを示す判定結果信号を決定回路542へ出力する。
一方、決定回路542は、メインCPU110aから設定されたHWパラメータや判定回路541の判定結果に応じて遡及数を決定し、決定した遡及数に応じた誤り検査値が次回のコマンド送信処理において、検査値付加処理を実行する付加手段530へ出力されるように、生成手段520への設定を行う回路である。
決定回路542の入力側は、バスを介してメインCPU110aと接続され、メインCPU110aとの間では、CPUインターフェース方式に対応する入出力制御方式でデータ送受が制御されている。そして、決定回路542は、HWパラメータ設定処理の際に、メインCPU110aから出力されたHWパラメータをデータバス上から取り込む。また、決定回路542の入力側は、判定回路541と制御線で接続され、判定回路541との間では、同期インターフェース方式に対応する入出力制御方式でデータ送受が制御されている。そして、決定回路542は、判定回路541から出力された判定結果信号を入力する。
また、決定回路542の出力側は、生成手段520と制御線で接続され、生成手段520との間でも、同期インターフェース方式でデータ送受が制御されている。そして、決定回路542は、メインCPU110aから出力されたHWパラメータや判定回路541から出力された判定結果信号に応じて遡及数を決定し、決定した遡及数に応じた誤り検査値を生成手段520から出力させるための制御信号を出力する。
具体的には、決定回路542には、HWパラメータと遡及数の対応関係が分かるデータテーブルが予め設けられており、決定回路542は、取り込んだHWパラメータによって遡及数を決定することができる。また、決定回路542には、遡及数を示すNの値を記憶する遡及数記憶領域(N)が設けられている。そして、決定回路542は、HWパラメータ設定処理において、メインCPU110aから設定されたHWパラメータに対応する遡及数を示すNの値を、デフォルト値として遡及数記憶領域(N)に記憶する。
なお、本実施形態では、検査値付加処理を実行する付加手段530に対し、遡及数が示すN個前の制御コマンドの誤り検査値を出力するための具体的な態様として、誤り検査値を格納する生成手段520の格納回路522には、複数の格納回路(図5では、格納回路(1)〜(Nmax))が設けられている。そして、決定回路542には、Nの値と生成手段520の複数の格納回路(図5では、格納回路(1)〜(Nmax))との対応関係が分かるデータテーブルが設けられている。
そして、決定回路542は、ブート処理中の遡及数設定処理の際に、遡及数記憶領域(N)に記憶された値に基づいて、複数の格納回路のうちのどの格納回路を格納回路522として作動させ、格納回路522から誤り検査値を出力させればよいかを決定する。そして、決定回路542は、当該格納回路522との接続のみを有効とする制御信号(以下、「接続切替信号」という)を生成手段520の入力選択回路524へ出力する。なお、遡及数記憶領域(N)には、後述するように遡及数が変更された場合には、変更後の遡及数を示すNの値(以下、変更後の遡及数の値を「N’」とする)が記憶されることになる。決定回路542は、今回のコマンド送信処理にて遡及数を変更した場合、変更後の遡及数を記憶した遡及数記憶領域(N)の値を確認することで、次回のコマンド送信処理において、付加するべき誤り検査値を示す遡及数を把握することができる。
また、決定回路542には、メインRAM110cと同様に、現在までの制御コマンドの生成個数の値を記憶しておく生成個数記憶領域(P)が設けられている。そして、決定回路542は、判定回路541から判定結果信号が出力されたことを検知したときに生成個数記憶領域(P)の値に1を加算して更新する。これによって、決定回路542は、当該判定結果信号の由来となった誤り検査値が付加された制御コマンド、すなわち、バッファ手段510から出力された制御コマンドが、主制御部110が初期化されて付加するべき誤り検査値がクリアされてからP番目に生成された制御コマンド(P)であることを把握することができる。
なお、メインRAM110cに設けられた生成個数記憶領域(P)の値と決定回路542に設けられた生成個数記憶領域(P)の値とは同一の値となり、バッファ手段510から出力された制御コマンド(P)は、メインCPU110aから現に出力された制御コマンド(P)と同一である。
本実施形態では、上記のように、メインCPU110aが、生成手段520の格納回路522へ固有情報を設定する必要があるか否かを判断するが、決定回路542が判断してもよい。例えば、決定回路542は、HWパラメータを設定されたことに伴い、バッファ手段510へその旨を通知する。そして、バッファ手段510は、メインCPU110aに対して固有情報を出力するように要求するための制御信号を出力して、メインROM110bに格納された固有情報を出力させることとしてもよい。
また、決定回路542は、ブート処理後の遡及数設定処理の際に、予め中間制御部180との間で取り決められた遡及数の変更プロトコルに従って、遡及数を変更する。具体的には、決定回路542は、判定回路541から出力された判定結果信号を確認し、生成手段520から出力された誤り検査値が変更条件を満たす誤り検査値であるか否かを把握する。そして、決定回路542は、生成手段520から出力された誤り検査値が変更条件を満たす誤り検査値であれば、予め定めた変更タイミングで、所定の変更方式に従って遡及数を示すNの値を変更する。すなわち、上記変更プロトコルとは、遡及数を変更するべきか否かを判定するための変更条件と、遡及数の変更タイミングの設定方法と、遡及数の変更方式とから少なくとも構成される。
変更条件は、上記のように本実施形態では、生成手段520から出力された誤り検査値が、所定値に該当するか否かである。
遡及数の変更方式は、予め中間制御部180との間で取り決めておけば基本的に任意である。例えば、現在の遡及数の値に、予め取り決めておいた各種の四則演算や論理演算を施して得られた演算結果を変更後の遡及数を示すN’の値としたり、予め用意した乱数生成回路を作動させ、得られた乱数値を変更後の遡及数を示すN’の値としたりすることができる。但し、乱数生成回路を用いる場合は、得られた乱数値を中間制御部180へ通知する必要がある。
また、遡及数の変更タイミングの設定方法は、予め中間制御部180との間で取り決めてあれば基本的に任意であるが、本実施形態では、次のように変更タイミングを設定するものとする。すなわち、決定回路542は、バッファ手段510から出力された制御コマンド(P)に対して付加するべき誤り検査値として、生成手段520から出力された誤り検査値(P−N)が所定値である場合は、生成個数がMo個(Mo;正の整数)経過した時点(すなわち、生成個数がP+Moの時)に、上記変更方式に従って遡及数を変更して遡及数記憶領域(N)の値をN’へ更新する。その結果、当該時点に出力された制御コマンド(P+Mo)の次のコマンド送信処理で出力される制御コマンド(P+Mo+1)に対して付加される誤り検査値には、遡及数記憶領域(N)に記憶された変更後の遡及数であるN’の値が反映される。そして、制御コマンド(P+Mo+1)に対し、このN’の値に対応した誤り検査値(P+Mo+1−N')が付加するべき誤り検査値であると決定される。本実施形態では、Moは、予め中間制御部180との間で取り決めてある固定値である。
なお、決定回路542には、遡及数の変更タイミング時の生成個数の値を示す変更タイミング情報Miを記憶する変更タイミング情報記憶領域(Mi)を設けておく。決定回路542は、生成手段520から出力された誤り検査値(P−N)が変更条件を満たす誤り検査値である場合に、当該誤り検査値(P−N)が付加された制御コマンド(P)の生成個数に、予め取り決められたMoの値を加えた値(P+Mo)を、変更タイミング情報Mi(=P+Mo)として、変更タイミング情報記憶領域(Mi)に記憶する。すなわち、変更タイミング情報記憶領域(Mi)に記憶された値は、変更条件を満たす誤り検査値が付加された制御コマンドが出力されてからMo個後に出力された制御コマンドの生成個数のPの値と等しくなる。
よって、決定回路542は、現在の制御コマンドの生成個数、すなわち、生成個数記憶領域(P)の値と、変更タイミング情報記憶領域(Mi)の値とを比較することで、現在は変更タイミングであるか否かを把握することができる。決定回路542には、生成個数記憶領域(P)の値と変更タイミング情報記憶領域(Mi)の値とを比較するための比較回路(図示せず)を設けておく。なお、決定回路542は、生成個数記憶領域(P)の値と変更タイミング情報記憶領域(Mi)の値とが一致して変更タイミングが到来し、遡及数を変更した後(遡及数記憶領域(N)の値を変更した後)は、変更タイミング情報記憶領域(Mi)をクリアする。
本実施形態では、生成手段520から出力された誤り検査値が変更条件を満たす誤り検査値であると判明した時点から、実際に遡及数を変更する時点までの間に、更に変更条件を満たす誤り検査値が出力される可能性がある。そこで、本実施形態では、複数の変更タイミング情報記憶領域(Mi)を設けておく。iは、複数の変更タイミング情報記憶領域(Mi)のそれぞれに対する識別番号である。
決定回路542は、変更条件を満たす誤り検査値が出力されるごとに、それぞれの変更タイミング情報Miを変更タイミング情報記憶領域(Mi)へ記憶しておく。変更タイミング情報記憶領域(Mi)は、遡及数を変更した後(遡及数記憶領域(N)の値を変更した後)はクリアされる。よって、変更タイミング情報Miは、遡及数の変更タイミングが到来した時点から、更に変更条件を満たす誤り検査値が出力された個数分だけ記憶されることとなり、決定回路542は、最大でもMo+1個分の変更タイミング情報記憶領域(Mi)を確保しておけば足りる。このように取り決めておくと、iの値の取り得る範囲は、1≦i≦Mo+1となる。なお、本実施形態では、複数の変更タイミング情報Miの値の中で、最も小さい変更タイミング情報Miの値を「Mmin」という。
このようにして、決定回路542は、メインCPU110aから設定されたHWパラメータや判定回路541の判定結果に応じて、生成手段520から付加手段530へ出力するべき誤り検査値を示した遡及数を決定する。そして、決定回路542は、決定した遡及数にて示された誤り検査値が、生成手段520の格納回路522から付加手段530へ出力されるように上記接続切替信号を入力選択回路524へ出力することで、決定した遡及数に応じて生成手段520の設定を行うことができる。
生成手段520は、バッファ手段510から出力された制御コマンドを用いて誤り検査値を生成し、生成した誤り検査値を後続する付加手段530および決定手段540へ出力する回路である。すなわち、生成手段520は、検査値生成処理を実行する役割を担っている。そして、生成手段520は、生成回路521と、格納回路522と、制御回路523と、入力選択回路524とを少なくとも備えている。生成回路521は、バッファ手段510から出力された制御コマンドに演算処理を施して誤り検査値を生成する回路である。格納回路522は、生成回路521で生成した誤り検査値を格納する回路である。制御回路523は、バッファ手段510から出力された作動許可信号の入力に基づいて、生成回路521および格納回路522の動作を制御する回路である。入力選択回路524は、格納回路522と付加手段530との間の接続を選択的に切り替える回路である。
具体的には、生成回路521は、バッファ手段510から出力された制御コマンドに対し、予め設定された誤り検査値生成のための演算方式(以下、「生成方式」という)で演算して誤り検査値を生成し、格納回路522へ出力する回路である。
生成回路521の入力側は、バッファ手段510のデータバッファ511とデータ線で接続され、制御回路523と制御線で接続されている。また、生成回路521の出力側は、後述の格納回路522を担う複数の格納回路(1)〜(Nmax)の中の、初段の格納回路(図5では格納回路(1))とデータ線で接続されている。そして、制御回路523は、バッファ手段510の制御回路512から出力された作動許可信号の入力に基づいて、制御コマンドを入力して演算処理するよう作動させるための作動許可信号を生成回路521に対して出力する。生成回路521は、制御回路523から当該作動許可信号が入力されると、データバッファ511から出力された制御コマンドを入力する。そして、生成回路521は、入力した制御コマンドを予め設定された生成方式で演算して誤り検査値を生成し、生成した誤り検査値を格納回路522の初段の格納回路(図5では格納回路(1))へ出力する。
生成方式は、予め中間制御部180との間で取り決めてあれば、特に限定されない。生成方式は、例えば、チェックサム方式、CRC方式、奇数パリティ方式、偶数パリティ方式、群計数チェック方式、垂直パリティ方式、水平パリティ方式、またはハミング符号方式等の公知の方式を用いることができる。なお、生成回路521は、バッファ手段510が出力した制御コマンドをそのまま入力し、演算するように構成することもできるし、バッファ手段510が出力した制御コマンドの一部だけを入力し、演算するように構成することもできる。例えば、制御コマンドは後述するように1バイトの「MODE」の情報と1バイトの「DATA」の情報とから構成されているが、出力された制御コマンドの「MODE」の情報のみを入力し、演算するように構成することができる。
格納回路522は、生成回路521から出力された誤り検査値を格納しておく回路である。より詳細には、格納回路522は、少なくとも遡及数の取り得る最大値Nmaxの値に対応するNmax段の格納回路(1)〜(Nmax)で構成されている。格納回路522を構成する各格納回路(1)〜(Nmax)は、パイプライン構成となるように各々が接続されており、遡及数の取り得る最大値Nmaxの値に対応するNmax段のシフトレジスタ(FIFOメモリ)の機能を少なくとも有している。
そして、格納回路522は、バッファ手段510がメインCPU110aより受け取った制御コマンド(P)から、当該制御コマンド(P)よりNmax個前の制御コマンド(P−Nmax)までの、Nmax個の制御コマンドのそれぞれに対応した誤り検査値(誤り検査値(P)〜誤り検査値(P−Nmax))を格納することができる。そして、格納回路522は、以下に示す構成を有することで、バッファ手段510から制御コマンド(P)が出力されると、決定手段540で決定された遡及数のNの値に対応する誤り検査値である誤り検査値(P−N)を出力することができる。
具体的には、格納回路522の初段の格納回路(図5では格納回路(1))の入力側は、生成回路521とデータ線で接続されている。また、各格納回路(1)〜(Nmax)は、それぞれ制御回路523と制御線で接続されている。そして、制御回路523は、各格納回路(1)〜(Nmax)に格納されたデータを順次シフトさせるための制御信号(以下、「シフト処理信号」という)を出力する。各格納回路(1)〜(Nmax)は、シフト処理信号が制御回路523から入力されると、各々が格納する誤り検査値を次段の格納回路に順次シフトさせる。
また、各格納回路(1)〜(Nmax)の出力側は、マルチプレクサ等で構成された入力選択回路524とそれぞれデータ線で接続されている。そして、各格納回路(1)〜(Nmax)は、制御回路523から出力されたシフト処理信号が入力されると、各々が格納する誤り検査値を、次段の格納回路に順次シフトさせ、シフトさせた各誤り検査値をそれぞれ入力選択回路524へ出力する。
入力選択回路524は、複数の格納回路(1)〜(Nmax)の中の特定の格納回路(図5では格納回路(N))を格納回路522として選択的に接続できるような接続切替機能を有する回路である。入力選択回路524は、遡及数設定処理にて決定回路542から出力された接続切替信号の入力に基づいて、当該接続切替信号が示す格納回路(図5では格納回路(N))との接続のみを有効に設定する。また、入力選択回路524の出力側は、付加手段530の入力選択回路531および決定手段540の判定回路541とそれぞれデータ線で接続されており、入力された誤り検査値を後続する付加手段530および決定手段540へ出力することができる。
入力選択回路524は、上記シフト処理信号の入力に伴って各格納回路(1)〜(Nmax)のそれぞれから誤り検査値が出力されると、上記接続切替信号の入力により接続が有効となった格納回路522を担う特定の格納回路(図5では格納回路(N))から出力された誤り検査値のみを取り込む。そして、入力選択回路524は、取り込んだ誤り検査値を後続する付加手段530の入力選択回路531へ出力する。
これとともに、入力選択回路524は、取り込んだ誤り検査値を後続する決定手段540の判定回路541へ出力する。このとき、制御回路523は、上記シフト処理信号の出力に基づいて、生成手段520内の各回路や判定回路541等の動作時間などを考慮しながら、判定回路541が誤り検査値を入力して上記判定処理を実行するよう作動させるための作動許可信号を判定回路541に対して出力する。判定回路541は、制御回路523から当該作動許可信号が入力されると、入力選択回路524から出力された誤り検査値を入力し、入力した誤り検査値が変更条件を満たす誤り検査値である否かの上記判定処理を実行する。
このようにして、格納回路522は、生成回路521にて生成された誤り検査値を格納回路522を担う初段の格納回路(図5では格納回路(1))へ入力するとともに、格納回路522を担う複数の格納回路から、各々が格納する誤り検査値を入力選択回路524へ出力する。しかしながら、決定手段540の遡及数設定処理により、特定の格納回路(図5では格納回路(N))と入力選択回路524との接続のみが有効とされる。これにより、入力選択回路524は、特定の格納回路から出力された誤り検査値のみを入力し、入力した誤り検査値を付加手段530および決定手段540へ出力する。よって、格納回路522から入力選択回路524を介して付加手段530および決定手段540へ出力される誤り検査値は、HWパラメータや変更プロトコルに従って決定された遡及数に対応する誤り検査値のみとなる。
付加手段530は、バッファ手段510から出力された制御コマンドに対し、生成手段520から出力された誤り検査値を付加して、送信部550へ出力する回路である。すなわち、付加手段530は、検査値付加処理を実行する役割を担っている。また、付加手段530の入力側は、バッファ手段510および生成手段520との間で、同期インターフェース方式でデータ送受が制御されている。一方、付加手段530の出力側は、後続する送信部550との間で、上記のようにCPUインターフェース方式に対応する入出力制御方式でデータ送受が制御されている。すなわち、付加手段530は、自身の入力側と出力側とで異なる入出力制御方式を有し、検査値生成部500内の同期インターフェース方式と送信部550のCPUインターフェース方式に対応する入出力制御方式とを整合する役割を担っている。
そして、付加手段530は、マルチプレクサ等で構成された入力選択回路531と、制御回路532とを少なくとも備えている。入力選択回路531は、決定手段540にて決定された遡及数と整合するように、バッファ手段510から出力された制御コマンドと、生成手段520から出力された誤り検査値とを選択的に取り込むような接続切替機能を有する回路である。制御回路532は、バッファ手段510から出力された作動許可信号の入力に基づいて、入力選択回路531の動作を制御する回路である。
具体的には、入力選択回路531の入力側は、バッファ手段510のデータバッファ511とデータ線で接続され、生成手段520の格納回路522と入力選択回路524を介してデータ線で接続されている。また、入力選択回路531の入力側は、制御回路532と制御線で接続されている。入力選択回路531は、デフォルトは、データバッファ511との接続を有効となるように予め設定されており、データバッファ511から出力された制御コマンドを取り込む。そして、制御回路532は、バッファ手段510の制御回路512から出力された作動許可信号に基づき、所定時間遅延して、入力選択回路531の入力選択回路524との接続を有効とするための制御信号(以下、「接続切替信号」という)を入力選択回路531へ出力する。入力選択回路531は、制御回路532から当該接続切替信号が入力されると、格納回路522から入力選択回路524を介して出力された誤り検査値を取り込む。
そして、入力選択回路531は、送信部550と接続されたデータバスへ取り込んだ制御コマンドおよび誤り検査値を出力する。また、制御回路532は、送信部550と接続されたアドレスバスに送信部550の所定の記憶領域を指定するアドレスデータ、制御バスに書き込み信号を出力する。このとき、制御回路532が、上記書き込み信号を出力するタイミングは、バッファ手段510の制御回路512から出力された作動許可信号の入力に基づいて、生成手段520および送信部550の動作時間等を考慮しながら、決定手段540にて決定された遡及数に応じた誤り検査値が付加されるようなタイミングとなるように予め設定されている。
送信部550は、検査値生成部500から出力された制御コマンドと誤り検査値を中間制御部180へ送信する機能を果たし、送信バッファ551と、送信回路552とを少なくとも備えている。
送信バッファ551は、中間制御部180へ送信するデータを一時的に保持するためのバッファ回路である。具体的には、送信バッファ551は、検査値生成部500から出力された制御コマンドを送信バッファ551へ書き込むための書き込み信号と、送信バッファ551を指定するアドレスデータとが入力されると、当該制御コマンドをバスを介して取り込む。また、送信バッファ551は、検査値生成部500から出力された上記制御コマンドに付加するべき誤り検査値を送信バッファ551へ書き込むための書き込み信号と、送信バッファ551を指定するアドレスデータとが入力されると、当該誤り検査値をバスを介して取り込む。そして、送信バッファ551は、取り込んだ制御コマンドおよび誤り検査値を送信回路552へ直ちに受け渡す。
送信回路552は、中間制御部180へ送信するデータを、主制御部110と中間制御部180との間、および中間制御部180と演出制御部120との間のデータ伝送形式(シリアル伝送形式やパラレル伝送形式)に対応したデータ形式へ変換する機能などを備えている。そして、送信回路552は、送信バッファ551から受け渡されたデータに上記変換処理等を施して送信データとし、中間制御部180へ直ちに送信する。
上述のように構成された主制御部110の認証処理に関する各構成部の動作および誤り検査値の付加手順について、図7を用いて説明する。本実施形態における誤り検査値の付加手順は、メインCPU110aが今回送信するとしてバッファ手段510に書き込んだ制御コマンド(P)に対し、これよりN個前に生成された制御コマンド(P−N)の誤り検査値(P−N)を付加するというものである。図7では、付加するべき誤り検査値がクリアされてから11番目に出力された制御コマンド(制御コマンド(1)〜制御コマンド(11))までの例を示す。なお、図7では、デフォルトの遡及数をN=2、遡及数の取り得る最大値Nmaxの値をNmax=3とし、変更タイミングの指標となるMoの値をMo=4とする。
まず、遊技機1に電源が投入されると、主制御部110にシステムリセットが発生し、メインCPU110aは、主制御部110の初期化処理の一つとしてブート処理を行う。ブート処理の中で、メインCPU110aは、主制御部110のハードウェア設定項目の一つとして、メインROM110bに予め記憶された検査値生成部500に関する初期値を検査値生成部500に設定する。
その際、メインCPU110aは、検査値生成部500に関する初期値の一つであるHWパラメータを設定するHWパラメータ設定処理を行う。HWパラメータ設定処理において、メインCPU110aは、メインROM110bからHWパラメータを取り込み、検査値生成部500の決定手段540へ設定する。このとき、メインCPU110aは、書き込み信号およびアドレスデータを決定手段540へ出力する。
そして、決定手段540は、ブート処理中の遡及数設定処理として、メインCPU110aから設定されたHWパラメータに対応してデフォルトの遡及数をN=2と決定し、遡及数記憶領域(N)に記憶する。そして、決定手段540は、生成手段520の格納回路(2)を有効に作動させるための接続切替信号を生成手段520へ出力する。生成手段520は、決定手段540から出力された接続切替信号の入力に基づいて、格納回路(2)と入力選択回路524の接続の設定を行う。
その後、ブート処理が終了すると、メインCPU110aは、メインROM110bに記憶された遊技処理用プログラムに基づき遊技進行に係る処理を行う。そして、メインCPU110aは、制御コマンドを送信するタイミングとなると、コマンド送信処理を行う。
まず、メインCPU110aは、制御コマンドを構成するために必要なデータをメインROM110bから読み出し、今回送信する制御コマンド(P)を構成して、メインRAM110cの送信データ用記憶領域にセットする。今回送信する制御コマンドは、制御コマンド(1)であり、初期検査値の設定を行う。具体的には、メインCPU110aは、メインRAM110cの生成個数記憶領域(P)の値を「P=1」に更新して、メインROM110bに格納された固有情報を読み出す。このとき、メインCPU110aは、Nmax=3であるため、3つの固有情報を読み出し、各格納回路(1)〜(3)へ格納する。そして、メインCPU110aは、制御コマンド(1)をバッファ手段510へ出力する。このとき、メインCPU110aは、書き込み信号およびアドレスデータをバッファ手段510へ出力する。
バッファ手段510は、メインCPU110aから出力された書き込み信号等の入力に基づいて、メインCPU110aから出力された制御コマンド(1)を取り込んで一時的に保持し、生成手段520および付加手段530へ出力する。このとき、バッファ手段510は、生成手段520および付加手段530へ作動許可信号を出力する。以下、図7の説明において同様とする。
生成手段520は、検査値生成処理として、バッファ手段510から出力された作動許可信号の入力に基づいて、バッファ手段510から出力された制御コマンド(1)の誤り検査値(1)を生成する。そして、生成手段520は、シフト処理信号を出力して、決定手段540の接続切替信号に基づいて設定した格納回路(2)に格納された固有情報を、初期検査値(1)として付加手段530および決定手段540へ出力する。これとともに、生成手段520は、各納回路(1)〜(3)に格納された固有情報を次段の格納回路へそれぞれシフトさせ、生成した誤り検査値(1)を格納回路(1)へ格納する。そして、生成手段520は、決定手段540へ作動許可信号を出力する。以下、図7の説明において同様とする。
付加手段530は、検査値付加処理として、バッファ手段510から出力された作動許可信号の入力に基づいて、バッファ手段510から出力された制御コマンド(1)を入力して、送信部550へ出力する。また、付加手段530は、バッファ手段510から出力された作動許可信号の入力から所定時間遅延して、自身の入力選択回路531の接続を切り替え、生成手段520から出力された誤り検査値である初期検査値(1)を入力して、送信部550へ出力する。このとき、付加手段530は、書き込み信号およびアドレスデータを送信部550へ出力する。これにより、送信部550は、制御コマンド(1)に初期検査値(1)が付加された、誤り検査値付きの制御コマンドを中間制御部180へ送信することができる。以下、図7の説明において同様とする。
また、決定手段540は、ブート処理後の遡及数設定処理として、次回のコマンド送信処理で付加するべき誤り検査値を示した遡及数を決定する。具体的には、決定手段540は、生成手段520から出力された作動許可信号の入力に基づいて、生成手段520から出力された誤り検査値である初期検査値(1)を入力して、初期検査値(1)が所定値か否かを判定する。そして、決定手段540は、生成個数記憶領域(P)の値を「P=1」に更新して、当該誤り検査値(すなわち初期検査値(1))が付加される制御コマンド(1)の生成個数の値がいくつの制御コマンドであるかを確認する。
そして、決定手段540は、当該誤り検査値(すなわち初期検査値(1))が変更条件を満たす誤り検査値であるかを確認する。なお、図7では、初期検査値(1)は、変更条件を満たす誤り検査値ではないとする。このため、決定手段540は、変更タイミング情報Miを設定せず、変更タイミング情報記憶領域(Mi)はクリアされたままとする。また、決定手段540は、変更タイミング情報記憶領域(Mi)の値と生成個数記憶領域(P)の値とを比較する。決定手段540は、変更タイミング情報記憶領域(Mi)の値(クリア)と生成個数記憶領域(P)の値(P=1)が一致しないため、変更タイミングではなく、遡及数記憶領域(N)の値(N=2)はデフォルトのまま維持する。以下、図7の説明において同様とする。なお、P≦N=2の場合も上記と同様であり、制御コマンド(2)には初期検査値(2)が付加される。
続いて、メインCPU110aから制御コマンド(3)が出力されたときを説明する。生成手段520は、制御コマンド(3)を用いて誤り検査値(3)を生成し、格納回路(1)へ格納するするとともに、決定手段540の遡及数設定処理にて設定された格納回路(2)に格納された誤り検査値(1)を出力する。これによって、今回のコマンド送信処理において出力された制御コマンド(3)には、現在の遡及数記憶領域(N)の値に対応する誤り検査値(1)が付加されることとなる。また、図7では、誤り検査値(3)は変更条件を満たす誤り検査値ではないとする。このため、決定手段540は、変更タイミング情報Miを設定しない。また、遡及数記憶領域(N)の値(N=2)もデフォルトのまま維持する。
続いて、メインCPU110aから制御コマンド(4)が出力されたときを説明する。上記と同様に、制御コマンド(4)には誤り検査値(2)が付加される。また、図7では、誤り検査値(2)は変更条件を満たす誤り検査値であるとする。このとき、決定手段540は、変更タイミング情報MiをM1として設定する。変更タイミング情報M1は、上述のように、M1=P+Mo=4+4=8であり、決定手段540は、変更タイミング情報記憶領域(M1)にM1=8の値を記憶する。これをもって、決定手段540は、生成個数記憶領域(P)の値がP=8になったタイミングで、遡及数記憶領域(N)の値を変更しなければならないことが分かる。また、決定手段540は、変更タイミング情報記憶領域(Mi)の値(M1=8)と生成個数記憶領域(P)の値(P=4)とが一致しないため、遡及数記憶領域(N)の値(N=2)を維持する。制御コマンド(5)が出力されたときも同様であり、誤り検査値(3)が付加される。
続いて、メインCPU110aから制御コマンド(6)が出力されたときを説明する。上記と同様に、制御コマンド(6)には誤り検査値(4)が付加される。また、図7では、誤り検査値(4)は変更条件を満たす誤り検査値であるとする。このとき、決定手段540は、変更タイミング情報MiをM2として設定する。変更タイミング情報M2は、上述のように、M2=P+Mo=6+4=10であり、決定手段540は、変更タイミング情報記憶領域(M2)にM2=10の値を記憶する。これをもって、変更タイミング情報記憶領域(Mi)には、M1=8とM2=10の2つの変更タイミング情報が設定されることになる。決定手段540は、変更タイミング情報記憶領域(Mi)の中で最小値Mminをもった変更タイミング情報記憶領域(M1)の値(M1=8)と、生成個数記憶領域(P)の値(P=6)とを比較する。決定手段540は、変更タイミング情報記憶領域(M1)の値(M1=8)と生成個数記憶領域(P)の値(P=6)とが一致しないため、遡及数記憶領域(N)の値(N=2)を維持する。制御コマンド(7)が出力されたときも同様であり、誤り検査値(5)が付加される。
続いて、メインCPU110aから制御コマンド(8)が出力されたときを説明する。上記と同様に、制御コマンド(8)には誤り検査値(6)が付加される。また、図7では、誤り検査値(6)は変更条件を満たす誤り検査値ではないとする。このため、決定手段540は、変更タイミング情報Miを新たに設定しない。また、変更タイミング情報記憶領域(Mi)の中で最小値Mminをもった変更タイミング情報記憶領域(M1)の値(M1=8)が生成個数記憶領域(P)の値(P=8)と一致するため、現在は変更タイミングである。決定手段540は、遡及数記憶領域(N)の値(N=2)を予め取り決められた変更方式に従って変更する。図7では、N=2→N’=3に変更されたとする。決定手段540は、変更後の遡及数の値N’=3を、遡及数記憶領域(N)へ記憶する。
そして、決定手段540は、遡及数記憶領域(N)に記憶された変更後の遡及数の値(変更後のN’=3)に応じて生成手段520の設定を行う。図7では、決定手段540は、生成手段520に設けられた複数の格納回路のうちの格納回路(3)との接続を有効とする接続切替信号を、生成手段520の入力選択回路524へ出力する。これにより、次回のコマンド送信処理において出力される制御コマンド(9)に付加するべき誤り検査値は、制御コマンド(6)の誤り検査値(6)となる。また、決定手段540は、最小値Mminをもった変更タイミング情報記憶領域(M1)の値(M1=8)をクリアする。
以後、上記と同様な処理を行い、決定手段540にて遡及数記憶領域(N)の値を変更しながら、バッファ手段510から出力された制御コマンドへ付加するべき誤り検査値が決定され、決定された誤り検査値が付加手段530にて当該制御コマンドへ付加される。そして、誤り検査値付きの制御コマンドが送信部550にて中間制御部180へ送信されることとなる。
その後、主制御部110を構成する送信部550から送信された制御コマンド(P)は、中間制御部180を構成する受信部600にて受信される。
図8に、本実施形態に係る中間制御部180の認証処理に関する機能ブロックを示す。
中間制御部180は、認証処理に関する機能として、受信部600と、検査部610と、検査値生成部620と、付加部630と、中継送信部640とを少なくとも有している。更に、検査値生成部620は、誤り検査値を生成する生成部621と、生成した誤り検査値を格納する格納部622と、検査部610にて検査する対象となる誤り検査値を決定する決定部623との機能を少なくとも有している。
受信部600は、主制御部110からの送信データに上記変換処理に対応する処理等を施して制御コマンド(P)とし、自身の受信バッファに記憶する機能を有するものである。また、受信部600は、制御コマンド(P)の受信割込要求があった旨を示す信号を出力したり、制御コマンド(P)の受信が完了したことを示すフラグを立てたりして、CPU180aが、主制御部110から送信された制御コマンド(P)の受信が完了したことを検知できるようにする機能を有するものである。
また、受信部600は、受信した誤り検査値付きの制御コマンド(P)から、付加された誤り検査値(P−N)を抽出して検査部610へ出力するとともに、誤り検査値(P−N)を抽出後の制御コマンド(P)を検査値生成部620へ出力する機能を有するものである。なお、受信部600の機能を実現する具体的な手段は、図4に示すCPU180aの一部、ROM180bの一部、RAM180cの一部、およびコマンド受信用入力ポート(図示せず)等から構成することができる。
検査値生成部620は、受信部600から出力された制御コマンド(P)を用いて、生成部621にて誤り検査値(P)を生成する機能を有するものである。この機能で生成された誤り検査値は、受信した制御コマンド(P)の正当性を検証するために用いられる。また、検査値生成部620は、生成部621で生成した複数の誤り検査値(P)を格納部622に格納する機能を有するものである。また、検査値生成部620は、過去に格納部622にて格納しておいた複数の誤り検査値の中から、今回の誤り検査の検査対象となる誤り検査値を決定部623にて決定し、決定した誤り検査値(P−N)を格納部622から検査部610へ出力する機能を有するものである。
検査値生成部620が有する、過去に生成・格納しておいた誤り検査値を検査部610へ出力する機能(以下、「誤り検査値出力機能」という)は、主制御部110が有する誤り検査値付加機能と同様のものである。また、検査値生成部620は、主制御部110と同様に、誤り検査値出力機能を予め複数有しており、その具体的な実施態様として、主制御部110と同様の遡及数が予め複数用意されている。そして、誤り検査値出力機能に対する選択情報も、主制御部110のHWパラメータと同様のものである。そして、これら中間制御部180の誤り検査値出力機能およびその選択情報は、予め主制御部110と中間制御部180との間で取り決められている。
とりわけ、決定部623が、格納部622から出力された誤り検査値(P−N)に基づいて遡及数を変更し、検査部610へ出力するべき誤り検査値を決定する機能においても、主制御部110の決定手段540が有する遡及数を変更する機能と同様のものである。すなわち、決定部623は、誤り検査値が所定値か否かを判定する機能(主制御部110の判定回路541に相当)、判定結果に応じて遡及数を決定し、決定した遡及数が示す誤り検査値を格納部622から検査部610へ出力させる機能(主制御部110の決定回路542に相当)を有している。そして、決定部623の機能を実現するために、RAM180cには、主制御部110の変更条件記憶器に相当する記憶領域や、主制御部110の生成個数記憶領域(P)に相当する受信個数記憶領域(P)が設けられている。遡及数記憶領域(N)、変更タイミング情報記憶領域(Mi)も同様である。
また、生成部621が、予め主制御部110との間で取り決められた生成方式にて、受信部600から出力された制御コマンド(P)の誤り検査値(P)を生成する機能も、主制御部110の生成手段520が有する機能と同様のものである。
また、格納部622が、生成部621にて生成された誤り検査値(P)を格納するとともに、決定部623から通知された誤り検査値(P−N)を検査部610および決定部623へ出力する機能も、主制御部110の格納回路522が有する機能と同様のものである。また、主制御部110または中間制御部180が初期化され、格納部622に格納されていた過去の誤り検査値がクリアされた場合には、CPU180aがROM180bから固有情報を読み出し、初期検査値として格納部622へ格納する機能も、主制御部110と同様である。
なお、決定部623、生成部621、および格納部622の機能を実現する具体的な手段は、図4に示すCPU180aの一部、ROM180bの一部、RAM180cの一部等から構成することができる。
検査部610は、受信部600から出力された誤り検査値と、検査値生成部620の格納部622から出力された誤り検査値とを照合する誤り検査処理を行う機能を有するものである。誤り検査処理では、受信部600から出力された誤り検査値と、格納部622から出力された誤り検査値とを比較し、共に誤り検査値(P−N)で一致する場合は、検査結果は正常であると判断され、一致しない場合は、検査結果は正常でないと判断される。
検査結果が正常と判断された場合、検査部610は、今回受信した誤り検査値(P−N)が付加された制御コマンド(P)、および今回の誤り検査値(P−N)の生成元であるN個前の制御コマンド(P−N)の正当性を認証し、主制御部110の正当性を認証することができたと判断する。そして、検査部610は、認証成功を示す認証結果データを生成し、付加部630へ出力する。一方、検査結果が正常と判断されなかった場合は、検査部610は、不正行為や通信エラーなどが発生したため主制御部110の正当性を認証することができなかったと判断する。そして、検査部610は、認証不成功を示す認証結果データを生成し、付加部630へ出力する。なお、認証結果データのデータ形式は、特に限定されないが、受信した制御コマンドに付加された誤り検査値と同一のデータ長を有するデータ形式としておけばよい。また、検査部610の機能を実現する具体的な手段は、図4に示すCPU180aの一部、ROM180bの一部、RAM180cの一部等から構成することができる。
付加部630は、受信部600から出力された、誤り検査値(P−N)抽出後の制御コマンド(P)に、検査部610から出力された認証結果データを付加し、認証結果データ付きの制御コマンド(P)を生成する機能を有するものである。また、付加部630は、生成した認証結果データ付きの制御コマンド(P)を中継送信部640へ出力する機能を有するものである。なお、付加部630の機能を実現する具体的な手段は、図4に示すCPU180aの一部、ROM180bの一部、およびRAM180cの一部等から構成することができる。
中継送信部640は、付加部630から出力された認証結果データ付きの制御コマンド(P)を演出制御部120へ送信する機能を有するものである。中継送信部640が演出制御部120へ送信する認証結果データ付きの制御コマンド(P)は、受信部600にて受信した制御コマンド(P)と同一内容の演出処理を示すものである。すなわち、受信部600にて受信した制御コマンド(P)は、その具体的な処理内容および受信順序が維持された状態で中継送信部640へ出力され、中継送信部640にて演出制御部120へ送信されることとなる。なお、中継送信部640の機能を実現する具体的な手段は、図4に示すCPU180aの一部、ROM180bの一部、およびRAM180cの一部等から構成することができる。
中間制御部180は、生成した認証結果データを演出制御部120へ送信する際に、受信した制御コマンドに付加して演出制御部120へ送信する。すなわち、認証結果データは、認証結果データ単体では送信されず、他の送信データである制御コマンドと一体的に演出制御部120へ送信されることとなる。認証結果データと誤り検査値とを同一のデータ長を有するデータ形式としておけば、主制御部110から中間制御部180へ送信される送信データと、中間制御部180から演出制御部120へ送信される送信データとは同一のデータ長を有するデータ形式とすることができる。このようにすることで、不正者が、中間制御部180と演出制御部120の間の送信データを窃取して、認証結果データの演出制御部120への送信タイミングを不正に解析することが困難となり、遊技機1のセキュリティ強度を向上させることができる。
[制御コマンドの説明]
以下、本発明の実施形態に係る遊技機1の主制御部110から演出制御部120に対して送信される制御コマンドの種別について説明する。
図9は、本実施形態に係る遊技機1を構成する主制御部110から演出制御部120へ送信される制御コマンドの種別を示す図である。なお、図9に示された制御コマンドは一例であり、本発明に係る制御コマンドはこれに限定されるものではない。
主制御部110から中間制御部180を介して演出制御部120へ送信される制御コマンドは、1コマンドが2バイトのデータで構成されており、制御コマンドの分類を識別するための1バイトの「MODE」の情報と、各制御コマンドの詳細な制御内容を示す1バイトの「DATA」の情報とから構成されている。「MODE」の情報と「DATA」の情報は、上記のようにメインROM110bに予め記憶されている。
主制御部110では、制御コマンドの送信タイミングとなると、メインROM110bから読み出された「MODE」の情報と「DATA」の情報とによって制御コマンドが構成された後、メインRAM110cの送信データ用記憶領域にセットされる。送信データ用記憶領域にセットされた制御コマンドは、主制御部110のコマンド送信処理により、誤り検査値が付加され、誤り検査値付きの制御コマンドとして中間制御部180に送信され、中間制御部180の中継送信処理により、演出制御部120に送信されることになる。以下の説明において、それぞれの制御コマンドは、このようにして主制御部110から中間制御部180を介して演出制御部120に送信されるものとし、それぞれの制御コマンドがメインRAM110cの送信データ用記憶領域にセットされた後の処理については説明を省略する。また、以下の説明において、「制御コマンドを送信する」との表現には、制御コマンドに誤り検査値を付加して送信することが含まれ、「演出制御部120に送信する」との表現には、中間制御部180を介して演出制御部120に送信することが含まれるものとする。
「演出図柄指定コマンド」は、停止表示される特別図柄の種別を示すものであり、「MODE」の情報が「E0H」で設定され、特別図柄の種別に合わせて「DATA」の情報が設定されている。なお、特別図柄の種別が結果的に大当たりの種別や遊技状態を決定するものであるから、演出図柄指定コマンドは、大当たりの種別や、遊技状態を示すものともいえる。
この演出図柄指定コマンドは、各種の特別図柄が決定され、特別図柄の変動表示が開始されるときに、決定された特別図柄に対応する演出図柄指定コマンドが演出制御部120に送信される。具体的には、大当たりの抽選結果を判定し特別図柄各種の特別図柄が決定され特別図柄の変動表示が開始されるときに、決定された特別図柄に対応する演出図柄指定コマンドがメインRAM110cの送信データ用記憶領域にセットされる。
なお、演出図柄指定コマンド等と関連する大当たりの抽選に関する処理については後述する。
ここで、演出図柄指定コマンドのうち、「DATA」の情報が「00H」で設定される「ハズレ演出図柄指定コマンド」は、抽選結果がハズレの場合に、ハズレの結果を停止表示させるための制御コマンドである。すなわち、ハズレ演出図柄指定コマンド、抽選結果がハズレの場合に、主制御部110から演出制御部120に必ず送信される制御コマンドである。以下、ハズレ演出図柄指定コマンドを、ハズレの際の処理を実行させるコマンドとして、「ハズレコマンド」ともいう。
「第1特別図柄記憶指定コマンド」は、第1特別図柄保留数(U1)記憶領域に記憶されている保留記憶数を示すものであり、「MODE」の情報が「E1H」で設定され、保留記憶数に合わせて「DATA」の情報が設定されている。
この第1特別図柄記憶指定コマンドは、第1特別図柄保留数(U1)記憶領域に記憶されている保留記憶数が切り替わるときに、保留記憶数に対応する第1特別図柄記憶指定コマンドが演出制御部120に送信される。具体的には、第1始動口14への入球や大当たりの抽選結果の判定に際し第1特別図柄保留数(U1)記憶領域に記憶されている値が増減したときに、増減後の保留記憶数に対応する第1特別図柄記憶指定コマンドがメインRAM110cの送信データ用記憶領域にセットされる。
「第2特別図柄記憶指定コマンド」は、第2特別図柄保留数(U2)記憶領域に記憶されている保留記憶数を示すものであり、「MODE」の情報が「E2H」で設定され、保留記憶数に合わせて「DATA」の情報が設定されている。
この第2特別図柄記憶指定コマンドは、第2特別図柄保留数(U2)記憶領域に記憶されている保留記憶数が切り替わるときに、保留記憶数に対応する第2特別図柄記憶指定コマンドが演出制御部120に送信される。具体的には、第2始動口15への入球や大当たりの抽選結果の判定に際し第2特別図柄保留数(U2)記憶領域に記憶されている値が増減したときに、増減後の保留記憶数に対応する第2特別図柄記憶指定コマンドがメインRAM110cの送信データ用記憶領域にセットされる。
なお、本実施形態では、「第1特別図柄記憶指定コマンド」と「第2特別図柄記憶指定コマンド」とをまとめて「特別図柄記憶指定コマンド」ともいう。
「図柄確定コマンド」は、特別図柄が停止表示されていることを示すものであり、「MODE」の情報が「E3H」で設定され、「DATA」の情報が「00H」に設定されている。
この図柄確定コマンドは、特別図柄が停止表示されているときに演出制御部120に送信される。具体的には、大当たりの抽選結果を判定し特別図柄の変動時間が経過した後に、特別図柄を第1特別図柄表示装置20または第2特別図柄表示装置21に停止表示させるときに、図柄確定コマンドがメインRAM110cの送信データ用記憶領域にセットされる。
「電源投入時指定コマンド」は、遊技機1の電源が投入されたことを示すものであり、「MODE」の情報が「E4H」で設定され、「DATA」の情報が「00H」に設定されている。
この電源投入時指定コマンドは、遊技機1の電源が投入されたときに演出制御部120に送信される。遊技機1の電源が投入され主制御部110の初期化処理が行われる際に、電源遮断時(以下、「電断時」という)に生成したメインRAM110cのバックアップ情報が有効でない場合は、メインRAM110cの作業領域がクリアされ、新たに作業領域の設定が行われる。その後、電源投入時指定コマンドがメインRAM110cの送信データ用記憶領域にセットされる。
なお、電源投入時指定コマンド等と関連する初期化処理については後述する。
「RAMクリア指定コマンド」は、メインRAM110cに記憶された情報がクリアされたことを示すものであり、「MODE」の情報が「E4H」で設定され、「DATA」の情報が「01H」に設定されている。
遊技機1の裏側には図示しないRAMクリアボタンが設けられており、RAMクリアボタンを押下しながら遊技機1の電源を投入すると、主制御部110にシステムリセットが発生し初期化処理が行われる。そして、メインRAM110cの作業領域がクリアされ新たに作業領域の設定が行われ電源投入時指定コマンドを送信した後に、RAMクリア指定コマンドがメインRAM110cの送信データ用記憶領域にセットされる。
「電源復旧指定コマンド」は、遊技機1の電源が投入されて、正常に復旧したことを示すものであり、「MODE」の情報が「E4H」で設定され、電断時の遊技状態別に合わせて「DATA」の情報が設定されている。
この電源復旧指定コマンドは、遊技機1の電源が投入されて、正常に復旧したときに演出制御部120に送信される。具体的には、遊技機1の電源が投入され初期化処理が行われる際に、電断時に生成したメインRAM110cのバックアップ情報が有効である場合は、バックアップ情報が示す遊技状態に応じた電源復旧指定コマンドを生成し、生成した電源復旧指定コマンドがメインRAM110cの送信データ用記憶領域にセットされる。
なお、電源投入時に、電源投入時指定コマンド、RAMクリア指定コマンド、電源復旧指定コマンドのいずれか少なくとも1つが主制御部110から演出制御部120へ送信される。すなわち、「MODE」の情報が「E4H」で設定される上記の制御コマンド群は、電源投入時の処理を実行させるコマンドである。以下、「MODE」の情報が「E4H」で設定される上記の制御コマンド群を、「電源投入コマンド」ともいう。
「デモ指定コマンド」は、第1特別図柄表示装置20または第2特別図柄表示装置21が作動していないことを示すものであり、「MODE」の情報が「E5H」で設定され、「DATA」の情報が「00H」に設定されている。
このデモ指定コマンドは、第1特別図柄表示装置20または第2特別図柄表示装置21の特別図柄の保留記憶がなく、遊技者による操作がない非遊技状態が所定の時間経過したときに、演出制御部120に送信される。具体的には、大当たりの抽選、特別電動役物、遊技状態の制御を行うに際し、第1特別図柄保留数(U1)記憶領域または第2特別図柄保留数(U2)記憶領域のいずれの記憶領域にも1以上のデータがセットされていない状態が所定の時間継続したときに、デモ指定コマンドがメインRAM110cの送信データ用記憶領域にセットされる。
なお、デモ指定コマンドは、第1特別図柄表示装置20または第2特別図柄表示装置21の特別図柄の保留記憶がないとき直ちに送信するようにしてもよい。この場合、演出制御部120は、デモ指定コマンドを受信した後、他の制御コマンドを所定時間受信しなかった場合、すなわち非遊技状態が所定時間経過した場合にデモ演出を実行する。
「第1特別図柄用変動パターン指定コマンド」は、第1特別図柄表示装置20における特別図柄の変動時間(変動態様)を示すものであり、「MODE」の情報が「E6H」で設定され、各種の変動パターンに合わせて「DATA」の情報が設定されている。
この第1特別図柄用変動パターン指定コマンドは、第1特別図柄表示装置20の特別図柄の変動表示が開始されるときに、決定された特別図柄の変動パターンに対応する第1特別図柄用変動パターン指定コマンドが演出制御部120に送信される。具体的には、大当たりの抽選結果を判定し特別図柄の変動パターンが決定され特別図柄の変動表示が開始されるときに、決定された特別図柄の変動パターンに対応する第1特別図柄用変動パターン指定コマンドがメインRAM110cの送信データ用記憶領域にセットされる。
「第2特別図柄用変動パターン指定コマンド」は、第2特別図柄表示装置21における特別図柄の変動時間(変動態様)を示すものであり、「MODE」の情報が「E7H」で設定され、各種の変動パターンに合わせて「DATA」の情報が設定されている。
この第2特別図柄用変動パターン指定コマンドは、第2特別図柄表示装置21の特別図柄の変動表示が開始されるときに、決定された特別図柄の変動パターンに対応する第2特別図柄用変動パターン指定コマンドが演出制御部120に送信される。具体的には、大当たりの抽選結果を判定し特別図柄の変動パターンが決定され特別図柄の変動表示が開始されるときに、決定された特別図柄の変動パターンに対応する第2特別図柄用変動パターン指定コマンドがメインRAM110cの送信データ用記憶領域にセットされる。
なお、本実施形態では、「第1特別図柄用変動パターン指定コマンド」と「第2特別図柄用変動パターン指定コマンド」とをまとめて、「変動パターン指定コマンド」という。
ここで、変動パターン指定コマンドのうち、「DATA」の情報が「01H」、「02H」、「03H」、「04H」、「05H」で設定される制御コマンド群は、リーチ演出を実行させる制御コマンドである。以下、「MODE」の情報が「E6H」で設定され、かつ「DATA」の情報が「01H」〜「05H」で設定される制御コマンド群を、「リーチコマンド」ともいう。
「大入賞口開放指定コマンド」は、各種大当たりの種別に合わせた大当たりのラウンド数を示すものであり、「MODE」の情報が「EAH」で設定され、大当たりのラウンド数に合わせて「DATA」の情報が設定されている。
この大入賞口開放指定コマンドは、大当たりラウンドが開始されるときに、開始されたラウンド数に対応する大入賞口開放指定コマンドが演出制御部120に送信される。具体的には、大当たり遊技処理において第1大入賞口開閉扉16b(または第2大入賞口開閉扉17b)を開放させるときに、開放させるときのラウンド数に対応する大入賞口開放指定コマンドがメインRAM110cの送信データ用記憶領域にセットされる。
なお、「MODE」の情報が「EAH」で設定されるコマンド群は、大当たり中の各ラウンドに対応する処理を実行させるコマンドである。以下、「MODE」の情報が「EAH」で設定されるコマンド群を、「大当たりコマンド」ともいう。
「オープニング指定コマンド」は、各種の大当たりが開始することを示すものであり、「MODE」の情報が「EBH」で設定され、大当たりの種別に合わせて「DATA」の情報が設定されている。
このオープニング指定コマンドは、各種の大当たりが開始するときに、大当たりの種別に対応するオープニング指定コマンドが演出制御部120に送信される。具体的には、大当たり遊技処理の開始のときに、大当たりの種別に対応するオープニング指定コマンドがメインRAM110cの送信データ用記憶領域にセットされる。
なお、「MODE」の情報が「EBH」で設定されるコマンド群は、大当たり状態の処理を開始させるコマンドである。以下、「MODE」の情報が「EBH」で設定されるコマンド群を、「大当たり開始コマンド」ともいう。
「エンディング指定コマンド」は、各種の大当たりが終了したことを示すものであり、「MODE」の情報が「ECH」で設定され、大当たりの種別に合わせて「DATA」の情報が設定されている。
このエンディング指定コマンドは、各種の大当たりが終了するときに、大当たりの種別に対応するエンディング指定コマンドが演出制御部120に送信される。具体的には、大当たり遊技終了処理の開始のときに、大当たりの種別に対応するエンディング指定コマンドがメインRAM110cの送信データ用記憶領域にセットされる。
なお、「MODE」の情報が「ECH」で設定されるコマンド群は、大当たり状態の処理を終了させるコマンドである。以下、「MODE」の情報が「ECH」で設定されるコマンド群を、「大当たり終了コマンド」ともいう。
「遊技状態指定コマンド」は、遊技状態の内容を示すものであり、「MODE」の情報が「EDH」で設定され、遊技状態の内容に合わせて「DATA」の情報が設定されている。
この遊技状態指定コマンドは、特別図柄の変動開始時および変動終了時に遊技状態指定コマンドが演出制御部120に送信される。具体的には、特別図柄の変動開始時および変動終了時などによって、遊技状態記憶領域や高確率遊技回数カウンタなどの現在の遊技状態を示すデータを記憶した各種記憶領域の値が変化したときに、現在の遊技状態に対応する遊技状態指定コマンドがメインRAM110cの送信データ用記憶領域にセットされる。
[主制御部の制御処理]
以下、本発明の実施形態に係る遊技機1の主制御部110の制御処理について説明する。まず、主制御部110のメイン処理について説明する。
図10は、本実施形態に係る主制御部110によるメイン処理を示すフローチャートである。
遊技機1に電源が投入され、電源部170により電源が供給されると、主制御部110にシステムリセットが発生し、メインCPU110aは、初期化処理(図10のステップS1〜ステップS17までの処理)および乱数値更新処理(図10のステップS20およびステップS30の処理)を行う。
ステップS1において、メインCPU110aは、主制御部110の初期化処理の前提としてブート処理を行う。このブート処理において、メインCPU110aは、自身の自己診断処理や、内蔵回路や周辺回路等の初期化および初期値の設定を行う。なお、ブート処理の詳細については後述する。
ステップS2において、メインCPU110aは、メインRAM110cへのアクセスを許可に設定する。
ステップS3において、メインCPU110aは、RAMクリアスイッチがオンとなっているか判定し、RAMクリアスイッチがオンと判定された場合、RAMクリアを行うためステップS10に処理を移す。一方、RAMクリアスイッチがオンと判定されなかた場合には、ステップS4に処理を移す。
ステップS4において、メインCPU110aは、電源投入時のメインRAM110cの所定の記憶領域におけるチェックサムを生成する。
ステップS5において、メインCPU110aは、生成したチェックサムと、電断時に生成したメインRAM110cの所定の記憶領域におけるチェックサムとを比較する。ここで、一致していれば正常と判定し、ステップS6に処理を移し、一致していなければエラーと判定し、ステップS10に処理を移す。
ステップS6において、メインCPU110aは、演出制御部120をはじめとした周辺制御部300や中間制御部180との間で、起動後の動作の開始タイミングを調整する。具体的には、周辺制御部300や中間制御部180がすべて起動し安定状態となってから演出処理等をほぼ同じタイミングで開始できるように、一定時間だけ待機する。
ステップS7において、メインCPU110aは、電断からの復旧に際して初期値を必要とするメインRAM110cの作業領域に初期値を設定し、バックアップが有効である場合のRAMの設定処理を行う。
ステップS8において、メインCPU110aは、電断時の遊技状態に復旧すべく、電断時に生成したメインRAM110cのバックアップ情報を読み込む。具体的には、バックアップされているメインRAM110cの遊技状態記憶領域から遊技状態の情報を読み込む。
ステップS9において、メインCPU110aは、読み込んだ遊技状態の情報に基づいて電源復旧指定コマンドを決定し、決定した電源復旧指定コマンドをメインRAM110cの送信データ用記憶領域にセットする。
ステップS10において、メインCPU110aは、上記ステップS6と同様に周辺制御部300や中間制御部180との間でのタイミング調整を行う。
ステップS11において、メインCPU110aは、メインRAM110cの使用領域をクリアする。
ステップS12において、メインCPU110aは、各種乱数値の初期値の設定をはじめとする、遊技機1の初期化に際して初期値を必要とするメインRAM110cの作業領域に初期値を設定し、バックアップが有効でない場合のメインRAM110cの設定処理を行う。
ステップS13において、メインCPU110aは、電源投入時指定コマンドを生成し、生成した電源投入時指定コマンドをメインRAM110cの送信データ用記憶領域にセットする。
ステップS14において、メインCPU110aは、送信データ用記憶領域にセットされている制御コマンドを中間制御部180に送信するコマンド送信処理を行う。すなわち、電源投入時指定コマンドを中間制御部180に送信する。なお、ステップS14およびステップS16のコマンド送信処理は、遡及数設定処理、検査値生成処理、および検査値付加処理を伴う。更に、ステップS14およびステップS16のコマンド送信処理は、固有情報を格納回路522へ初期検査値として設定する処理を伴う。コマンド送信処理の詳細については後述する。
ステップS15において、メインCPU110aは、RAMクリア指定コマンドを生成し、生成したRAMクリア指定コマンドをメインRAM110cの送信データ用記憶領域にセットする。
ステップS16において、メインCPU110aは、メインRAM110cの送信データ用記憶領域にセットされている制御コマンドを中間制御部180に送信するコマンド送信処理を行う。すなわち、電源復旧指定コマンドまたはRAMクリア指定コマンドのいずれかの制御コマンドを中間制御部180に送信する。
ステップS17において、メインCPU110aは、割込許可の設定をするとともに、タイマ割込プログラムの実行周期(α、例えば4ミリ秒)を設定する。
なお、ステップS14およびステップS16のコマンド送信処理は、ステップS17での割込許可後に行われるタイマ割込処理の中で行ってもよい。このとき、各制御コマンドの送信順番が前後しないよう予め取り決めておく。
ステップS20において、メインCPU110aは、特別図柄の変動態様(変動時間)を決定するためのリーチ判定用乱数値および特図変動用乱数値を更新する演出用乱数値更新処理を行う。
ステップS30において、メインCPU110aは、特別図柄判定用初期乱数値、大当たり図柄用初期乱数値、小当たり図柄用初期値乱数値、普通図柄判定用初期乱数値を更新する初期乱数値更新処理を行う。その後、所定の割込処理が行われるまで、ステップS20とステップS30との処理を繰り返し行う。
次に、主制御部110の割込処理について説明する。
図11は、本実施形態に係る主制御部110による割込処理を示すフローチャートである。
メインCPU110aは、主制御部110に設けられたクロックパルス発生回路から出力されるクロック信号に基づいて、所定の周期(α)ごとに、主制御部110のタイマ割込処理を実行する。
まず、ステップS100において、メインCPU110aは、メインCPU110aのレジスタに記憶されている情報をスタック領域に退避させる。
ステップS110において、メインCPU110aは、特別図柄時間カウンタの更新処理、特別電動役物の開放時間等などの特別遊技タイマカウンタの更新処理、普通図柄時間カウンタの更新処理、普電開放時間カウンタの更新処理等の各種タイマカウンタを更新する時間制御処理を行う。具体的には、特別図柄時間カウンタ、特別遊技タイマカウンタ、普通図柄時間カウンタ、普電開放時間カウンタから1を減算する処理を行う。
ステップS120において、メインCPU110aは、特別図柄判定用乱数値、大当たり図柄用乱数値、小当たり図柄用乱数値、普通図柄判定用乱数値の乱数更新処理を行う。
具体的には、それぞれの乱数値および乱数カウンタに1を加算して更新する。なお、加算した乱数カウンタが乱数範囲の最大値を超えた場合(乱数カウンタが1周した場合)には、乱数カウンタを0に戻し、その時の初期乱数値からそれぞれの乱数値を新たに更新する。
ステップS130において、メインCPU110aは、ステップS30と同様に、特別図柄判定用初期乱数値、大当たり図柄用初期乱数値、小当たり図柄用初期値乱数値、普通図柄判定用初期乱数値を更新する初期乱数値更新処理を行う。
ステップS200において、メインCPU110aは、入力制御処理を行う。この処理において、メインCPU110aは、一般入賞口検出スイッチ12a、第1大入賞口検出スイッチ16a、第2大入賞口検出スイッチ17a、第1始動口検出スイッチ14a、第2始動口検出スイッチ15a、ゲート検出スイッチ13aの各スイッチに入力があったか否か判定する入力処理を行う。
具体的には、一般入賞口検出スイッチ12a、第1大入賞口検出スイッチ16a、第2大入賞口検出スイッチ17a、第1始動口検出スイッチ14a、第2始動口検出スイッチ15aからの各種検出信号を入力した場合には、ぞれぞれの入賞口毎に設けられた賞球のために用いる賞球カウンタに所定のデータを加算して更新する。
更に、第1始動口検出スイッチ14aから検出信号を入力した場合には、第1特別図柄保留数(U1)記憶領域にセットされているデータが4未満であれば、第1特別図柄保留数(U1)記憶領域に1を加算し、特別図柄判定用乱数値、大当たり図柄用乱数値、小当たり図柄用乱数値、リーチ判定用乱数値および特図変動用乱数値を取得して、取得した各種乱数値を第1特別図柄乱数値記憶領域にある所定の記憶部(第0記憶部〜第4記憶部)に記憶する。
同様に、第2始動口検出スイッチ15aから検出信号を入力した場合には、第2特別図柄保留数(U2)記憶領域にセットされているデータが4未満であれば、第2特別図柄保留数(U2)記憶領域に1を加算し、特別図柄判定用乱数値、大当たり図柄用乱数値、小当たり図柄用乱数値、リーチ判定用乱数値および特図変動用乱数値を取得して、取得した各種乱数値を第2特別図柄乱数値記憶領域にある所定の記憶部(第0記憶部〜第4記憶部)に記憶する。
また、ゲート検出スイッチ13aから検出信号を入力した場合には、普通図柄保留数(G)記憶領域にセットされているデータが4未満であれば、普通図柄保留数(G)記憶領域に1を加算し、普通図柄判定用乱数値を取得して、取得した普通図柄判定用乱数値を普通図柄保留記憶領域にある所定の記憶部(第0記憶部〜第4記憶部)に記憶する。
更に、第1大入賞口検出スイッチ16aまたは第2大入賞口検出スイッチ17aからの検出信号を入力した場合には、第1大入賞口16または第2大入賞口17に入賞した遊技球を計数するための大入賞口入球数(C)記憶領域に1を加算して更新する。
ステップS300において、メインCPU110aは、上記ステップS200での入力制御処理に基づいて、大当たりの抽選、特別電動役物、遊技状態の制御を行うための特別図柄・特別電動役物制御処理(以下、「特図特電制御処理」という)を行う。特図特電制御処理の詳細については、図12を用いて後述する。
ステップS400において、メインCPU110aは、普通図柄の抽選、普通電動役物の制御を行うための普通図柄・普通電動役物制御処理(以下、「普図普電制御処理」という)を行う。
具体的には、まず普通図柄保留数(G)記憶領域に1以上のデータがセットされているか否かを判定し、普通図柄保留数(G)記憶領域に1以上のデータがセットされていなければ、今回の普図普電制御処理を終了する。
普通図柄保留数(G)記憶領域に1以上のデータがセットされていれば、普通図柄保留数(G)記憶領域に記憶されている値から1を減算した後、普通図柄保留記憶領域にある第1記憶部〜第4記憶部に記憶された普通図柄判定用乱数値を1つ前の記憶部にシフトさせる。このとき、既に第0記憶部に書き込まれていた普通図柄判定用乱数値は上書きされて消去されることとなる。
そして、当たり判定テーブルを参照し、普通図柄保留記憶領域の第0記憶部に記憶された普通図柄判定用乱数値が「当たり」に対応する乱数値であるかどうかの判定する処理を行う。その後、普通図柄表示装置22において普通図柄の変動表示を行って、普通図柄の変動時間が経過すると普通図柄の抽選の結果に対応する普通図柄の停止表示を行う。そして、参照した普通図柄判定用乱数値が「当たり」のものであれば、始動口開閉ソレノイド15cを駆動させ、第2始動口15を所定の開放時間、第2の態様に制御する。
ステップS500において、メインCPU110aは、払出制御処理を行う。この払出制御処理において、メインCPU110aは、ぞれぞれの賞球カウンタを参照し、各種入賞口に対応する払出個数指定コマンドを生成して、生成した払出個数指定コマンドを払出制御部130に送信する。
ステップS600において、メインCPU110aは、外部情報データ、始動口開閉ソレノイドデータ、第1大入賞口開閉ソレノイドデータ、第2大入賞口開閉ソレノイドデータ、特別図柄表示装置データ、普通図柄表示装置データ、記憶数指定コマンドのデータ作成処理を行う。
ステップS700において、メインCPU110aは、出力制御処理を行う。この処理において、ステップS600で作成した外部情報データ、始動口開閉ソレノイドデータ、第1大入賞口開閉ソレノイドデータ、第2大入賞口開閉ソレノイドデータの信号を出力させるポート出力処理を行う。
また、第1特別図柄表示装置20、第2特別図柄表示装置21および普通図柄表示装置22の各LEDを点灯させるために、上記S600で作成した特別図柄表示装置データと普通図柄表示装置データとを出力する表示装置出力処理を行う。
ステップS710において、メインCPU110aは、メインRAM110cの送信データ用記憶領域にセットされている制御コマンドを中間制御部180へ送信するコマンド送信処理を行う。なお、ステップS710のコマンド送信処理においても、上記と同様に、遡及数設定処理、検査値生成処理、および検査値付加処理を伴うが、詳細については後述する。
ステップS800において、メインCPU110aは、ステップS100で退避した情報をメインCPU110aのレジスタに復帰させる。
次に、主制御部110の特図特電制御処理を説明する。
図12は、本実施形態に係る主制御部110による特図特電制御処理を示すフローチャートである。
ステップS301において、メインCPU110aは、特図特電処理データの値を読み込む。この「特図特電処理データ」は、特図特電制御処理の各サブルーチンが記憶された記憶領域のアドレスにそれぞれ割り当てられた値であり、特図特電処理データを参照することで、どのサブルーチンを処理するかを識別することができる。そして、特図特電処理データは、後述するように特図特電制御処理の各サブルーチンの中で必要に応じてセットされていき、その遊技において必要なサブルーチンが適宜処理されていくことになる。
ステップS302において、メインCPU110aは、読み込んだ特図特電処理データから分岐アドレスを参照し、特図特電処理データ=0であれば特別図柄記憶判定処理(ステップS310)に処理を移し、特図特電処理データ=1であれば特別図柄変動処理(ステップS320)に処理を移し、特図特電処理データ=2であれば特別図柄停止処理(ステップS330)に処理を移し、特図特電処理データ=3であれば大当たり遊技処理(ステップS340)に処理を移し、特図特電処理データ=4であれば大当たり遊技終了処理(ステップS350)に処理を移し、特図特電処理データ=5であれば小当たり遊技処理(ステップS360)に処理を移す。
ステップS310の特別図柄記憶判定処理においては、メインCPU110aは、大当たり判定処理、停止表示する特別図柄の決定をする特別図柄決定処理、特別図柄の変動時間を決定する変動時間決定処理等を行う。ここで、図13を用いて、特別図柄記憶判定処理の具体的な内容を説明する。
図13は、本実施形態に係る主制御部110による特別図柄記憶判定処理におけるフローチャートである。
ステップS311において、メインCPU110aは、第1特別図柄保留数(U1)記憶領域または第2特別図柄保留数(U2)記憶領域に1以上のデータがセットされているか否かを判定する。
そして、第1特別図柄保留数(U1)記憶領域または第2特別図柄保留数(U2)記憶領域のいずれの記憶領域にも1以上のデータがセットされていなければ、特図特電処理データ=0を保持したまま、今回の特別図柄変動処理を終了する。
一方、第1特別図柄保留数(U1)記憶領域または第2特別図柄保留数(U2)記憶領域に1以上のデータがセットされていれば、ステップS312に処理を移す。
ステップS312において、メインCPU110aは、大当たり判定処理を行う。
具体的には、第2特別図柄保留数(U2)記憶領域に1以上のデータがセットされている場合には、第2特別図柄保留数(U2)記憶領域に記憶されている値から1を減算した後、第2特別図柄乱数値記憶領域にある第1記憶部〜第4記憶部に記憶された各種乱数値を1つ前の記憶部にシフトさせる。このとき、既に第0記憶部に書き込まれていた各種乱数値は上書きされて消去されることとなる。そして、大当たり判定テーブルを参照して、第2特別図柄乱数値記憶領域の第0記憶部に記憶された特別図柄判定用乱数値が「大当たり」に対応する乱数値であるか、「小当たり」に対応する乱数値であるかの判定を行う。
また、第2特別図柄保留数(U2)記憶領域に1以上のデータがセットされておらず、第1特別図柄保留数(U1)記憶領域に1以上のデータがセットされている場合には、第1特別図柄保留数(U1)記憶領域に記憶されている値から1を減算した後、第1特別図柄乱数値記憶領域にある第1記憶部〜第4記憶部に記憶された各種乱数値を1つ前の記憶部にシフトさせる。このときにも、既に第0記憶部に書き込まれていた各種乱数値は上書きされて消去されることとなる。そして、大当たり判定テーブルを参照して、第1特別図柄乱数値記憶領域の第0記憶部に記憶された特別図柄判定用乱数値が「大当たり」に対応する乱数値であるか、「小当たり」に対応する乱数値であるかの判定を行う。
本実施形態では、第1特別図柄乱数値記憶領域よりも第2特別図柄乱数値記憶領域に記憶された乱数値が優先してシフト(消化)されることになる。しかしながら、始動口に入賞した順序で、第1特別図柄記憶領域または第2特別図柄記憶領域をシフトさせてもよいし、第1特別図柄記憶領域を第2特別図柄記憶領域よりも優先させてシフトさせてもよい。
ステップS313において、メインCPU110aは、停止表示する特別図柄の種類を決定するための特別図柄決定処理を行う。
この特別図柄決定処理では、上記大当たり判定処理(ステップS312)において「大当たり」と判定された場合には、図柄決定テーブルを参照して、第1特別図柄乱数値記憶領域の第0記憶部に記憶された大当たり図柄用乱数値に基づいて大当たり図柄(特別図柄1〜特別図柄6)を決定する。また、上記大当たり判定処理(ステップS312)において「小当たり」と判定された場合には、図柄決定テーブルを参照して、第1特別図柄乱数値記憶領域の第0記憶部に記憶された小当たり図柄用乱数値に基づいて小当たり図柄(特別図柄A、特別図柄B)を決定する。また、上記大当たり判定処理(ステップS312)において「ハズレ」と判定された場合には、図柄決定テーブルを参照して、ハズレ図柄(特別図柄0)を決定する。
そして、決定した特別図柄に対応する停止図柄データを停止図柄データ記憶領域に記憶する。
ステップS314において、メインCPU110aは、特別図柄の変動時間決定処理を行う。
具体的には、変動パターン決定テーブルを参照して、第1特別図柄乱数値記憶領域の第0記憶部に記憶されたリーチ判定用乱数値および特図変動用乱数値に基づいて、特別図柄の変動パターンを決定する。その後、決定した特別図柄の変動パターンに対応する特別図柄の変動時間を決定する。そして、決定した特別図柄の変動時間に対応するカウンタを特別図柄時間カウンタにセットする処理を行う。
ステップS315において、メインCPU110aは、第1特別図柄表示装置20または第2特別図柄表示装置21に特別図柄の変動表示(LEDの点滅)を行わせるための変動表示データを所定の処理領域にセットする。これにより、所定の処理領域に変動表示データがセットされていると、上記ステップS600でLEDの点灯または消灯のデータが適宜作成され、作成されたデータがステップS700において出力されることで、第1特別図柄表示装置20または第2特別図柄表示装置21の変動表示が行われる。
更に、メインCPU110aは、特別図柄の変動表示が開始されるときに、上記ステップS314で決定された特別図柄の変動パターンに対応する特別図柄の変動パターン指定コマンド(第1特別図柄用変動パターン指定コマンドまたは第2特別図柄用変動パターン指定コマンド)をメインRAM110cの送信データ用記憶領域にセットする。
ステップS316において、メインCPU110aは、特図特電処理データ=0から特図特電処理データ=1にセットして、特別図柄変動処理のサブルーチンに移す準備を行い、特別図柄記憶判定処理を終了する。
再び、図12に示す特図特電制御処理について説明を戻すことにする。
ステップS320の特別図柄変動処理においては、メインCPU110aは、特別図柄の変動時間が経過したか否かを判定する処理を行う。
具体的には、ステップS314で決定された特別図柄の変動時間が経過したか(特別図柄時間カウンタ=0)否かを判定し、特別図柄の変動時間が経過していないと判定した場合には、特図特電処理データ=1を保持したまま、今回の特別図柄変動処理を終了する。なお、上記ステップS314でセットされた特別図柄の変動時間のカウンタは、上記ステップS110において減算処理されていく。
特別図柄の変動時間が経過したと判定すれば、上記ステップS313で決定された特別図柄を第1特別図柄表示装置20または第2特別図柄表示装置21に停止表示させる。これにより、第1特別図柄表示装置20または第2特別図柄表示装置21に特別図柄が停止表示され、遊技者に大当たりの判定結果が報知されることとなる。
また、高確率遊技回数(X)>0のときには高確率遊技回数(X)カウンタから1を減算して更新し、高確率遊技回数(X)=0となれば、高確率遊技フラグをクリアする。
最後に、特図特電処理データ=1から特図特電処理データ=2にセットして、特別図柄停止処理のサブルーチンに移す準備を行い、特別図柄変動処理を終了する。
ステップS330の特別図柄停止処理においては、メインCPU110aは、停止表示された特別図柄が「大当たり図柄」であるか、「小当たり図柄」であるか、「ハズレ図柄」であるかを判定する処理を行う。
そして、大当たり図柄と判定された場合には、遊技状態記憶領域に記憶されているデータを参照し、現在の遊技状態を示すデータを遊技状態バッファにセットする。その後に、遊技状態記憶領域(高確率遊技フラグ記憶領域等)に記憶されているデータ(高確率遊技フラグ)、高確率遊技回数(X)カウンタをクリアする。更に、特図特電処理データ=2から特図特電処理データ=3にセットして、大当たり遊技処理のサブルーチンに移す準備を行い、特別図柄停止処理を終了する。
また、小当たり図柄と判定された場合には、遊技状態記憶領域に記憶されているデータはクリアせずに、特図特電処理データ=2から特図特電処理データ=5にセットして、小当たり遊技処理のサブルーチンに移す準備を行い、特別図柄停止処理を終了する。
一方、ハズレ図柄と判定された場合には、特図特電処理データ=2から特図特電処理データ=0にセットして、特別図柄記憶判定処理のサブルーチンに移す準備を行い、特別図柄停止処理を終了する。
ステップS340の大当たり遊技処理においては、メインCPU110aは、上記長当たりまたは短当たりのいずれの大当たりを実行させるかを決定し、決定した大当たりを制御する処理を行う。
具体的には、まず、特別電動役物作動態様決定テーブルを参照し、上記ステップS313で決定された大当たり図柄の種類(停止図柄データ)に基づいて、大当たりの開放態様を決定する。
次に、決定した大当たりの開放態様を実行させるために、大入賞口開放態様テーブルを参照し、大当たりの種類に応じた開放時間を特別遊技タイマカウンタにセットするとともに、第1大入賞口開閉ソレノイド16c(または第2大入賞口開閉ソレノイド17c)の駆動データを出力して第1大入賞口開閉扉16b(または第2大入賞口開閉扉17b)を開放させる。このとき、ラウンド遊技回数(R)記憶領域に1を加算する。
この開放中に規定個数の遊技球が入球するか、大入賞口の開放時間が経過すると(大入賞口入球数(C)=9または特別遊技タイマカウンタ=0である)と、第1大入賞口開閉ソレノイド16c(または第2大入賞口開閉ソレノイド17c)の駆動データの出力を停止して第1大入賞口開閉扉16b(または第2大入賞口開閉扉17b)を閉鎖させる。これにより、1回のラウンド遊技が終了する。このラウンド遊技の制御を繰り返し15回行う。
15回のラウンド遊技が終了すると(ラウンド遊技回数(R)=15)、ラウンド遊技回数(R)記憶領域および大入賞口入球数(C)記憶領域に記憶されているデータをクリアするとともに、特図特電処理データ=3から特図特電処理データ=4にセットして、大当たり遊技終了処理のサブルーチンに移す準備を行い、大当たり遊技処理を終了する。
ステップS350の大当たり遊技終了処理においては、メインCPU110aは、高確率遊技状態または低確率遊技状態のいずれかの確率遊技状態を決定する処理を行う。
具体的には、大当たり遊技終了時設定データテーブルを参照し、遊技状態バッファに記憶されているデータと上記ステップS313で決定された大当たり図柄の種類(停止図柄データ)とに基づいて、高確率遊技フラグの設定、高確率遊技回数(X)の設定を行う。例えば、特別図柄1であれば、高確率遊技フラグ記憶領域に高確率遊技フラグをセットし、高確率遊技回数(X)カウンタに10000回をセットする。
その後、特図特電処理データ=4から特図特電処理データ=0にセットして、特別図柄記憶判定処理のサブルーチンに移す準備を行い、大当たり遊技終了処理を終了する。
ステップS360の小当たり遊技処理においては、メインCPU110aは、まず、特別電動役物作動態様決定テーブルを参照し、上記ステップS313で決定された小当たり図柄の種類(停止図柄データ)に基づいて、小当たりの開放態様を決定する。
次に、決定した小当たりの開放態様を実行させるために、大入賞口開放態様テーブルを参照し、小当たりの開放時間を特別遊技タイマカウンタにセットするとともに、第2大入賞口開閉ソレノイド17cの駆動データを出力して第2大入賞口開閉扉17bを開放させる。このとき、開放回数(K)記憶領域に1を加算する。
小当たりの開放時間が経過する(特別遊技タイマカウンタ=0)と、第2大入賞口開閉ソレノイド17cの駆動データの出力を停止して第2大入賞口開閉扉17bを閉鎖させる。この第2大入賞口開閉扉17bの開閉制御を繰り返し15回行う。
そして、第2大入賞口開閉扉17bの開閉制御が15回行われるか、第2大入賞口17に規定個数の遊技球が入球する(開放回数(K)=15または大入賞口入球数(C)=9である)と、小当たり遊技を終了させるため、第2大入賞口開閉ソレノイド17cの駆動データの出力を停止させ、開放回数(K)記憶領域および大入賞口入球数(C)記憶領域に記憶されているデータをクリアするとともに、特図特電処理データ=5から特図特電処理データ=0にセットして、特別図柄記憶判定処理のサブルーチンに移す準備を行い、小当たり遊技処理を終了する。
[主制御部の認証処理に関する制御処理]
以下、本発明の実施形態に係る遊技機1の主制御部110の認証処理に関する制御処理について説明する。まず、主制御部110のブート処理について説明する。
遊技機1に電源が投入されると、主制御部110にシステムリセットが発生し、メインCPU110aは、ブートROM110dに予め記憶されたブート処理用プログラムに基づいて、主制御部110のブート処理を行う。
図14は、本実施形態に係る主制御部110によるブート処理を示すフローチャートである。
ステップS51において、メインCPU110aは、内部状態を割込禁止に設定する。
ステップS52において、メインCPU110aは、自身の初期化後、メインCPU110a自身が正常に作動可能かどうかを確認する自己診断処理を行う。自己診断処理の結果、正常に作動可能であればステップS53に処理を移し、正常に作動可能でなければ、その後の処理を行わない。
ステップS53において、メインCPU110aは、内蔵回路等への初期値設定処理を行う。具体的には、メインCPU110aは、スタックポインタにスタックポイント指定アドレスを設定し、内蔵レジスタの初期化を行うとともに、ワンチップマイコン110mの内蔵回路や周辺回路等の初期化、入出力ポートの初期化を行う。そして、メインCPU110aは、初期値を必要とするこれらの内蔵回路等へ各種の初期値を設定する。このとき、メインCPU110aは、検査値生成部500の各構成部に対しても同様の処理を施して、検査値生成部500に対する初期値設定処理を行う。
ステップS54において、メインCPU110aは、検査値生成部500に対してHWパラメータ設定処理を行う。具体的には、メインCPU110aは、検査値生成部500に対するHWパラメータを読み出すための読み出し信号をメインROM110bへ出力する。そして、メインCPU110aは、当該読み出し信号によりメインROM110bから出力されたHWパラメータを、バスを介して取り込む。
続いて、メインCPU110aは、取り込んだHWパラメータを検査値生成部500の決定手段540へ書き込むための書き込み信号を出力する。そして、メインCPU110aは、当該書き込み信号によりメインCPU110aから出力されたHWパラメータを、バスを介して決定手段540の決定回路542へセットする。なお、ステップS54のHWパラメータ設定処理は、メインCPU110aが行う初期値設定処理の中でも、検査値生成部500にHWパラメータを設定する処理を特筆したものであるため、初期値設定処理の一環として、ステップS53の中で行うように構成することも可能である。
ステップS55において、検査値生成部500は、遡及数設定処理を行う。具体的には、決定手段540の決定回路542は、セットされたHWパラメータが、予め用意された複数の遡及数のうち、どの遡及数に対応した値であるかを確認する。そして、決定回路542は、セットされたHWパラメータに対応する遡及数のNの値を、デフォルト値として遡及数記憶領域(N)にセットする。そして、決定回路542は、遡及数記憶領域(N)にセットされた値に基づいて、生成手段520の格納回路522を担う複数の格納回路のうちの特定の格納回路から誤り検査値が出力されるように、生成手段520の入力選択回路524へ接続切替信号を出力する。
これによって、生成手段520は、検査値生成処理の際に、遡及数記憶領域(N)に記憶された遡及数に対応した誤り検査値を付加手段530へ出力することができ、付加手段530は、検査値付加処理の際に、当該遡及数に対応した誤り検査値をバッファ手段510から出力された制御コマンドに付加することができる。本処理を終了すると、ブート処理が終了する。
次に、遡及数設定処理、検査値生成処理、および検査値付加処理を含む主制御部110のコマンド送信処理について説明する。
図15は、本実施形態に係る主制御部110におけるコマンド送信処理を示すフローチャートである。なお、図15の各ステップにおいて、中括弧{}内の表記は、検査値生成部500の決定回路542に設けられた、生成個数記憶領域(P)、変更タイミング情報記憶領域(Mi)、および遡及数記憶領域(N)への処理を概説するためのものである。
主制御部110のブート処理を含む初期化処理を行った後、コマンド送信処理の実行タイミングとなると、メインCPU110aは、メインRAM110cの送信データ用記憶領域にセットされた制御コマンド(P)を、検査値生成部500を介して送信部550へ出力し、中間制御部180へ送信させる。
ステップS71において、メインCPU110aは、メインRAM110cの生成個数記憶領域(P)の値を1加算して更新する。
ステップS72において、メインCPU110aは、送信データ用記憶領域にセットされた制御コマンド(P)が制御コマンド(1)に該当するか否かを判定する。具体的には、メインCPU110aは、生成個数記憶領域(P)の値を参照し、P=1であるか否かを判定する。P=1であれば、ステップS73に処理を移し、P=1でなければ、ステップS75に処理を移す。
ステップS73において、メインCPU110aは、メインROM110bに記憶されている固有情報を読み出す。このとき、固有情報がNmax個分ある場合は、一度にNmax個の固有情報を読み出す。そして、メインCPU110aは、読み出した固有情報を検査値生成部500へ出力する。
ステップS74において、検査値生成部500は、メインCPU110aから出力された固有情報を、生成手段520の格納回路522を構成する各格納回路(1)〜(Nmax)に格納し、初期検査値として設定する。具体的には、検査値生成部500のバッファ手段510は、メインCPU110aからバスを介して固有情報をデータバッファ511へ取り込み、生成手段520へ出力する。生成手段520は、データバッファ511から出力された固有情報を、自身の格納回路522を構成する各格納回路(1)〜(Nmax)に格納する。
ステップS75において、メインCPU110aは、送信データ用記憶領域にセットされた制御コマンド(P)を検査値生成部500のバッファ手段510へ書き込む。具体的には、メインCPU110aは、バッファ手段510へ制御コマンド(P)を書き込むための書き込み信号およびアドレスデータを出力するとともに、送信データ用記憶領域にセットされた制御コマンド(P)をデータバスへ出力する。バッファ手段510の制御回路512は、メインCPU110aから出力された書き込み信号の入力に基づいて、バッファ手段510のデータバッファ511へ作動許可信号を出力する。データバッファ511は、制御回路512から出力された作動許可信号の入力に基づいて、データバス上の制御コマンド(P)を取り込む。
ステップS76において、バッファ手段510は、取り込んだ制御コマンド(P)を、生成手段520および付加手段530へ出力する。具体的には、バッファ手段510の制御回路512は、メインCPU110aから出力された書き込み信号の入力から所定時間遅延して、データバッファ511へ作動許可信号を出力する。データバッファ511は、当該作動許可信号の入力に基づいて、取り込んだ制御コマンド(P)を生成手段520および付加手段530へ出力する。続いて、制御回路512は、データバッファ511から出力された制御コマンドが、生成手段520および付加手段530で入力可能となるよう、これらの手段に対して作動許可信号を出力する。
ステップS77において、生成手段520は、バッファ手段510から出力された作動許可信号の入力に基づいて、制御コマンド(P)を取り込み、取り込んだ制御コマンド(P)に対応する誤り検査値(P)を生成する。具体的には、生成手段520の制御回路523は、バッファ手段510の制御回路512から出力された作動許可信号の入力に基づいて、生成手段520の生成回路521へ作動許可信号を出力する。生成回路521は、制御回路523から出力された作動許可信号の入力に基づいて、制御コマンド(P)を取り込み、制御コマンド(P)を用いて誤り検査値(P)を生成し、生成手段520の格納回路522へ出力する。
ステップS78において、生成手段520は、生成した誤り検査値(P)を自身の格納回路522へ格納するとともに、過去に格納された誤り検査値(P−N)を付加手段530および決定手段540へ出力する。具体的には、制御回路523は、制御回路512から出力された作動許可信号の入力から所定時間遅延して、格納回路522へシフト処理信号を出力する。格納回路522は、制御回路523から出力されたシフト処理信号の入力に基づいて、各格納回路(1)〜(Nmax)のうち、決定手段540から出力された接続切替信号によって有効に接続された格納回路(図5では格納回路(N))から、当該格納回路に格納しておいた誤り検査値(P−N)を付加手段530および決定手段540へ出力する。これとともに、格納回路522は、格納回路(1)〜(Nmax)に格納された各誤り検査値を次段へ順次シフトするとともに、生成回路521から出力された誤り検査値(P)を初段の格納回路(図5では格納回路(1))に取り込む。また、制御回路523は、上記シフト処理信号の出力に基づいて、決定手段540の判定回路541へ作動許可信号を出力する。
ステップS79において、決定手段540は、生成手段520から出力された作動許可信号の入力に基づいて、誤り検査値(P−N)を取り込み、当該誤り検査値(P−N)が、予め取り決められた変更条件を満たす誤り検査値であるか否かを判定する。具体的には、決定手段540の判定回路541は、生成手段520の制御回路523から出力された作動許可信号の入力に基づいて、当該誤り検査値(P−N)が所定値であるか否かの判定処理を実行する。判定回路541は、当該誤り検査値(P−N)が所定値であれば、生成手段520から出力された誤り検査値が変更条件を満たす誤り検査値であることを示す判定結果信号を決定回路542へ出力し、ステップS80に処理を移す。一方、判定回路541は、当該誤り検査値(P−N)が所定値でなければ、生成手段520から出力された誤り検査値が変更条件を満たす誤り検査値でないことを示す判定結果信号を決定回路542へ出力し、ステップS80に処理を移す。
ステップS80において、決定回路542は、判定回路541から出力された判定結果信号の入力に応じて、決定回路542に設けられた生成個数記憶領域(P)の値を1加算して更新する。これにより、決定回路542は、当該判定結果信号の由来となった誤り検査値(P−N)が付加された制御コマンド、すなわち、バッファ手段510から出力された制御コマンド(P)の生成個数を把握することができる。
ステップS81において、決定回路542は、判定回路541から出力された判定結果信号が、生成手段520から出力された誤り検査値(P−N)が変更条件を満たす誤り検査値であることを示す判定結果信号であるか否かを確認する。決定回路542は、判定結果信号の内容が、当該誤り検査値(P−N)が変更条件を満たす誤り検査値であることを示していれば、ステップS82に処理を移す。一方、決定回路542は、判定結果信号の内容が、当該誤り検査値(P−N)が変更条件を満たす誤り検査値でないことを示していれば、ステップS83に処理を移す。
ステップS82において、決定回路542は、生成手段520から変更条件を満たす誤り検査値が出力されると、遡及数を変更するタイミング、すなわち、遡及数記憶領域(N)に記憶されたNの値を変更するタイミングを設定する。具体的には、決定回路542は、変更タイミング情報Miを設定するべく、自身の変更タイミング情報記憶領域(Mi)に対して、現在の生成個数記憶領域(P)の値に予め取り決められたMoの値を加算した値(P+Mo)を記憶する。
ステップS83において、決定回路542は、現在が遡及数を変更するタイミングであるか否かを判定する。具体的には、決定回路542は、変更タイミング情報記憶領域(Mi)の最小値Mminと現在の生成個数記憶領域(P)の値とを比較する。そして、決定回路542は、両者が一致していれば、現在は変更タイミングであると判定し、ステップS84に処理を移し、両者が一致していなければ、現在は変更タイミングでないと判定し、ステップS85に処理を移す。
ステップS84において、決定回路542は、遡及数を変更するべく、遡及数記憶領域(N)に記憶されたNの値を変更する。具体的には、Nの値を予め取り決められた変更方式に従って変更し、変更後のNの値であるN’を遡及数記憶領域(N)へ記憶する。そして、決定回路542は、変更後の遡及数記憶領域(N)の値に基づいて、生成手段520の格納回路522を担う複数の格納回路のうちのどの格納回路から誤り検査値を出力させるかを決定し、当該格納回路522と生成手段520の入力選択回路524との接続のみを有効とする接続切替信号を、入力選択回路524へ出力する。生成手段520では、入力選択回路524へ当該接続切替信号が入力されることで、変更後の遡及数に応じた当該格納回路522に格納された誤り検査値が、次回のコマンド送信処理において付加手段530へ出力されることになる。
ステップS85において、付加手段530は、バッファ手段510から出力された作動許可信号の入力に基づいて、制御コマンド(P)および誤り検査値(P−N)を取り込む。そして、付加手段530は、取り込んだ制御コマンド(P)および誤り検査値(P−N)を送信部550へ書き込む。具体的には、付加手段530の入力選択回路531は、バッファ手段510のデータバッファ511から出力された制御コマンド(P)を取り込み、取り込んだ制御コマンド(P)をデータバスへ出力する。また、付加手段530の制御回路532は、バッファ手段510の制御回路512から出力された作動許可信号の入力に基づいて、送信部550の送信バッファ551へ制御コマンド(P)を書き込むための書き込み信号およびアドレスデータを出力する。
また、制御回路532は、当該書き込み信号の出力から所定時間遅延して、入力選択回路531へ接続切替信号を出力する。入力選択回路531は、制御回路532から出力された接続切替信号の入力に基づいて、接続元をデータバッファ511から格納回路522へ切り替える。そして、入力選択回路531は、生成手段520の格納回路522から入力選択回路524を介して誤り検査値(P−N)を取り込み、取り込んだ誤り検査値(P−N)をデータバスへ出力する。また、制御回路532は、接続切替信号を出力して入力選択回路531から誤り検査値(P−N)がデータバス上へ出力されると、送信バッファ551へ誤り検査値(P−N)を書き込むための書き込み信号およびアドレスデータを直ちに出力する。
ステップS86において、送信部550は、付加手段530から出力された制御コマンド(P)および誤り検査値(P−N)を中間制御部180へ直ちに送信する。具体的には、送信部550の送信バッファ551は、付加手段530から出力された制御コマンド(P)の書き込み信号の入力に基づいて、データバス上の制御コマンド(P)を取り込み、取り込んだ制御コマンド(P)を直ちに送信回路552へ出力する。また、送信バッファ551は、付加手段530から出力された誤り検査値(P−N)の書き込み信号の入力に基づいて、データバス上の誤り検査値(P−N)を取り込み、取り込んだ誤り検査値(P−N)を送信回路552へ直ちに出力する。送信回路552は、送信バッファ551から出力された制御コマンド(P)および誤り検査値(P−N)を一連の送信データとして、中間制御部180へ直ちに送信する。よって、制御コマンド(P)は、誤り検査値(P−N)が付加された制御コマンドとして中間制御部180へ送信されることになる。
なお、ステップS85およびステップS86の処理は、ステップS78より後に行われてばよく、ステップS84の直後に行われる必要はない。
また、ステップS85において、制御回路532が、入力選択回路531に対して接続切替信号を出力するタイミングは、入力選択回路531から出力された制御コマンド(P)が送信バッファ551へ書き込みが完了されるまでに要する時間が経過した後に、誤り検査値(P−N)の送信バッファ551への書き込みが開始されるようなタイミングに設定する。これによって、誤り検査値(P−N)が送信バッファ551へ書き込まれるタイミングは、送信バッファ551に書き込まれる制御コマンド(P)の直後に連続して誤り検査値(P−N)が書き込まれるようなタイミングとなる。
誤り検査値の書き込みタイミングを上記のように設定することで、送信バッファ551のオーバーランやアンダーラン等が発生し、今回送信する制御コマンド(P)に対して付加するべき誤り検査値(P−N)が適切に付加されなくなるおそれを抑止することができる。このことが、中間制御部180での誤り検査処理の際に、実際に付加されて送信された誤り検査値が本来付加するべき誤り検査値と整合していないことに起因して誤り検査処理の検査結果が正常と判定されなくなるおそれを抑止し、誤り検査処理の確度を向上することにつながる。
また、誤り検査値の書き込みタイミングを上記のように設定することで、今回付加するべき誤り検査値(P−N)の送信バッファ551への書き込みタイミングと、制御コマンド(P)の送信バッファ551への書き込みタイミングの時間軸上の位置関係が明確化され、誤り検査値(P−N)は制御コマンド(P)の直後に確実に付加され、一つの送信データとして送信されることとなる。これにより、誤り検査値(P−N)が、誤り検査値(P−N)単体で中間制御部180へ送信されることがない。よって、不正者が、主制御部110と中間制御部180の間の送信データを窃取して、誤り検査値(P−N)を不正に解析し再利用することが困難となり、遊技機1のセキュリティ強度を向上することができる。
[中間制御部の制御処理]
図16は、本実施形態に係る中間制御部180によるメイン処理を示すフローチャートである。なお、図16の各ステップにおいて、中括弧{}内の表記は、RAM180cに設けられた、受信個数記憶領域(P)、変更タイミング情報記憶領域(Mi)、および遡及数記憶領域(N)への処理を概説するためのものである。
ステップS4010において、CPU180aは、初期化処理を行う。この処理において、CPU180aは、電源投入に応じて、ROM180bからメイン処理に関するプログラムコードを読み込む。これとともに、CPU180aは、RAM180cに記憶されるフラグなどを初期化し、設定値を設定する処理を行う。
なお、ステップS4010の中で、主制御部110の誤り検査値付加機能に対応した誤り検査値出力機能を、検査値生成部620へ設定する処理が行われる。すなわち、CPU180aは、主制御部110にてブート処理中に実行されるHWパラメータ設定処理および遡及数設定処理と同様の処理を行う。その際、CPU180aは、決定部623でデフォルトの遡及数を決定し、決定した遡及数に応じて格納部622の設定を行う。この処理が終了した場合には、ステップS4020へ処理を移す。
ステップS4020において、CPU180aは、主制御部110から送信された制御コマンドを受信したか否かを判定する。
中間制御部180の受信部600では、主制御部110から送信された制御コマンドを受信し、自身の受信バッファに記憶すると、主制御部110から制御コマンドの受信割込要求があった旨を示す信号を出力し、制御コマンドの受信割込処理を発生させる。
そして、CPU180aは、ステップS4020において、受信部600からの上記受信割込要求信号が入力されるまで待機し、受信部600からの上記信号が入力されると、受信バッファに記憶されている制御コマンドに対して誤り検査処理を行う。具体的には、次のステップS4030からステップS4190の処理である。
ステップS4030において、CPU180aは、制御コマンドの受信割込要求があった旨を示す信号が受信部600から出力されると、RAM180cの受信個数記憶領域(P)の値を更新する。
ステップS4040において、CPU180aは、受信部600の受信バッファに記憶された制御コマンド(P)が制御コマンド(1)に該当するか否かを判定する。具体的には、CPU180aは、受信個数記憶領域(P)の値を参照し、P=1であるか否かを判定する。P=1であれば、ステップS4050に処理を移し、P=1でなければ、ステップS4070に処理を移す。
ステップS4050において、CPU180aは、ROM180bに記憶されている固有情報を読み出す。このとき、固有情報がNmax個分ある場合は、一度にNmax個の固有情報を読み出す。そして、CPU180aは、読み出した固有情報を検査値生成部620へ出力する。
ステップS4060において、CPU180aは、検査値生成部620へ出力された固有情報を検査値生成部620内の格納部622にて格納し、初期検査値として設定する。
ステップS4070において、CPU180aは、受信部600の受信バッファに記憶された制御コマンド(P)から、当該制御コマンド(P)に付加された誤り検査値(P−N)を抽出する。
ステップS4080において、CPU180aは、抽出した誤り検査値(P−N)を検査部610へ出力するとともに、誤り検査値(P−N)を抽出後の制御コマンド(P)を検査値生成部620の生成部621へ出力する。
ステップS4090において、CPU180aは、受信部600から出力された制御コマンド(P)の誤り検査値(P)を、予め主制御部110との間で取り決められた生成方式を用いて生成部621にて生成する。
ステップS4100において、CPU180aは、生成した誤り検査値(P)を格納部622へ格納するととともに、格納部622にて過去に格納しておいた誤り検査値のうち、決定部623から通知された遡及数に対応した誤り検査値(P−N)を、検査部610および決定部623へ出力する。
ステップS4110において、CPU180aは、格納部622から出力された誤り検査値(P−N)が、予め取り決められた変更条件を満たす誤り検査値であるか否かを決定部623にて判定する。具体的には、CPU180aは、当該誤り検査値(P−N)が所定値であるか否かを判定する。
ステップS4120において、CPU180aは、誤り検査値(P−N)が所定値であれば、格納部622から出力された誤り検査値(P−N)が変更条件を満たす誤り検査値であると判断し、ステップS4130に処理を移す。一方、CPU180aは、誤り検査値(P−N)が所定値でなければ、格納部622から出力された誤り検査値(P−N)が変更条件を満たす誤り検査値でないと判断し、ステップS4140に処理を移す。
ステップS4130において、CPU180aは、格納部622から変更条件を満たす誤り検査値が出力されると、遡及数を変更するタイミング、すなわち、遡及数記憶領域(N)に記憶されたNの値を変更するタイミングを決定部623にて設定する。具体的には、CPU180aは、変更タイミング情報Miを設定するべく、変更タイミング情報記憶領域(Mi)に対して、現在の生成個数記憶領域(P)の値に予め取り決められたMoの値を加算した値(P+Mo)を記憶する。
ステップS4140において、CPU180aは、現在が遡及数を変更するタイミングであるか否かを決定部623にて判定する。具体的には、CPU180aは、変更タイミング情報記憶領域(Mi)の最小値Mminと現在の受信個数記憶領域(P)の値とを比較する。そして、CPU180aは、両者が一致していれば、現在は変更タイミングであると判定し、ステップS4150に処理を移し、両者が一致していなければ、現在は変更タイミングでないと判定し、ステップS4160に処理を移す。
ステップS4150において、CPU180aは、遡及数を変更すべく遡及数記憶領域(N)に記憶されたNの値を決定部623にて変更する。具体的には、CPU180aは、Nの値を予め取り決められた変更方式に従って変更し、変更後のNの値であるN’を遡及数記憶領域(N)へ記憶する。そして、CPU180aは、変更後の遡及数記憶領域(N)の値に基づいた誤り検査値を格納部622から検査部610へ出力するように、決定部623から格納部622へ通知する。格納部622では、変更後の遡及数に応じた誤り検査値が、次回の誤り検査処理において検査部610へ出力することになる。
ステップS4160において、CPU180aは、受信部600から出力された誤り検査値(P−N)と、格納部622から出力された誤り検査値(P−N)とを検査部610にて比較して照合する。CPU180aは、両者が共に誤り検査値(P−N)で一致する場合は、誤り検査の検査結果は正常であると判断する。一方、CPU180aは、両者が一致しない場合は、検査結果は正常でないと判断する。
ステップS4170において、CPU180aは、検査結果が正常であるか否かを検査部610にて判断する。CPU180aは、検査結果が正常であると判断された場合は、今回受信した誤り検査値(P−N)が付加された制御コマンド(P)、および今回の誤り検査値(P−N)の生成元であるN個前の制御コマンド(P−N)の正当性を認証することができたことにより、主制御部110の正当性が認証されたと判断し、ステップS4180に処理を移す。一方、CPU180aは、検査結果が正常でないと判断された場合は、主制御部110の正当性を認証することができなかったと判断し、ステップS4190に処理を移す。
ステップS4180において、CPU180aは、認証成功を示す認証結果データを検査部610にて生成し、生成した認証結果データを付加部630へ出力し、ステップS4200に処理を移す。
ステップS4190において、CPU180aは、認証不成功を示す認証結果データを検査部610にて生成し、生成した認証結果データを付加部630へ出力し、ステップS4200に処理を移す。
ステップS4200において、CPU180aは、受信部600にて出力された制御コマンド(P)に対し、検査部610にて出力された認証結果データを付加部630にて付加し、認証結果データ付きの制御コマンド(P)を中継送信部640へ出力し、ステップS4210に処理を移す。
ステップS4210において、CPU180aは、認証結果データ付きの制御コマンド(P)を送信データとして中継送信部640にて演出制御部120へ直ちに送信する。その後、所定の割込処理があるまで、ステップS4020以降の処理を繰り返す。なお、ステップS4160〜ステップS4210の処理は、ステップS4100より後に行われてばよく、必ずしもステップS4150の直後に行われる必要はない。
[演出制御部の制御処理]
以下、本発明の実施形態に係る遊技機1の演出制御部120の制御処理について説明する。まず、演出制御部120のメイン処理について説明する。
図16は、本実施形態に係る演出制御部120によるメイン処理を示すフローチャートである。
ステップS1000において、サブCPU120aは、初期化処理を行う。この処理において、サブCPU120aは、電源投入に応じて、サブROM120bからメイン処理に関するプログラムコードを読み込む。これとともに、サブCPU120aは、サブRAM120cに記憶されるフラグなどを初期化し、設定値を設定する処理を行う。この処理が終了した場合には、ステップS1100に処理を移す。
ステップS1100において、サブCPU120aは、演出用乱数更新処理を行う。この処理において、サブCPU120aは、サブRAM120cに記憶される演出用乱数値、演出図柄決定用乱数、演出モード決定用乱数等を更新する処理を行う。以降は、所定の割込処理が行われるまで、上記ステップS1100の処理を繰り返し行う。
次に、演出制御部120の割込処理について説明する。
図18は、本実施形態に係る演出制御部120による割込処理を示すフローチャートである。
サブCPU120aは、演出制御部120に設けられたクロックパルス発生回路(図示せず)から出力されるクロック信号に基づいて、所定の周期(例えば2ミリ秒)ごとに、演出制御部120のタイマ割込処理を実行する。
ステップS1200において、サブCPU120aは、サブCPU120aのレジスタに記憶されている情報をスタック領域に退避させる。
ステップS1300において、サブCPU120aは、演出制御部120で用いられる各種タイマカウンタの更新処理を行う。
ステップS1500において、サブCPU120aは、コマンド解析処理を行う。この処理において、サブCPU120aは、サブRAM120cの受信データ用記憶領域に記憶された制御コマンドの種別を解析する処理を行う。
演出制御部120の受信部(図示せず)では、中間制御部180から送信された制御コマンドを受信し、自身の受信バッファに記憶すると、中間制御部180から制御コマンドの受信割込要求があった旨を示す信号を出力し、制御コマンドの受信割込処理を発生させる。
そして、サブCPU120aは、受信した制御コマンドに付加された認証結果データの内容を解析する認証結果データ解析処理を行う。サブCPU120aは、認証結果データ解析処理において、中間制御部180によって制御コマンドの正当性が認証されたことが確認できると、当該制御コマンドを受信バッファからサブRAM120cの受信データ用記憶領域へ取り込んで記憶する。そして、サブCPU120aは、受信データ用記憶領域に記憶された制御コマンドの種別を解析し、制御コマンドの種別に応じた処理を行う。なお、コマンド解析処理の詳細については後述する。
ステップS1700において、サブCPU120aは、演出ボタン検出スイッチ35aの信号のチェックを行い、演出ボタン35からの入力に関する演出用入力制御処理を行う。
ステップS1800において、サブCPU120aは、サブRAM120cの送信データ用記憶領域にセットされた制御コマンドや各種データを、ランプ制御部140や画像制御部150へ送信するための処理である演出用出力制御処理を行う。
ステップS1900において、サブCPU120aは、ステップS1200で退避した情報をサブCPU120aのレジスタに復帰させる。
次に、演出制御部120のコマンド解析処理について説明する。
図19および図20は、本実施形態に係る演出制御部120によるコマンド解析処理を示すフローチャートである。なお、図20のコマンド解析処理2は、図19のコマンド解析処理1に引き続いて行われるものである。
ステップS1501において、サブCPU120aは、演出制御部120を構成する受信部の受信バッファに制御コマンドが記憶されているか否かを確認して、制御コマンドを受信したか否かを判定する。
サブCPU120aは、受信バッファに制御コマンドが記憶されていれば、ステップS1650に処理を移し、受信バッファに制御コマンドが記憶されていなければ、コマンド解析処理を終了する。
ステップS1650において、サブCPU120aは、受信バッファに記憶されている制御コマンドに付加された認証結果データに対して認証結果データ解析処理を行う。そして、サブCPU120aは、中間制御部180で制御コマンドの正当性が認証されたことが確認できると、受信した制御コマンドを受信データ用記憶領域に取り込み、ステップS1510に処理を移す。なお、認証結果データ解析処理の詳細については後述する。
ステップS3000において、サブCPU120aは、受信バッファに記憶されている制御コマンドに対して誤り検査処理を行い、受信した制御コマンドの正当性が認証されると、受信した制御コマンドを受信データ用記憶領域に取り込み、制御コマンドの種別を更に解析するべく、ステップS1510に処理を移す。なお、誤り検査処理の詳細については後述する。
ステップS1510において、サブCPU120aは、受信データ用記憶領域に記憶されている制御コマンドが、デモ指定コマンドであるか否かを確認する。
サブCPU120aは、受信データ用記憶領域に記憶されている制御コマンドがデモ指定コマンドであれば、ステップS1511に処理を移し、デモ指定コマンドでなければステップS1520に処理を移す。
ステップS1511において、サブCPU120aは、デモ演出パターンを決定するデモ演出パターン決定処理を行う。
具体的には、デモ演出パターンを決定し、決定したデモ演出パターンを演出パターン記憶領域にセットするとともに、決定したデモ演出パターンの情報を画像制御部150とランプ制御部140に送信するため、決定したデモ演出パターンに基づく演出パターン指定コマンドをサブRAM120cの送信データ用記憶領域にセットする。
ステップS1520において、サブCPU120aは、受信データ用記憶領域に記憶されている制御コマンドが、特別図柄記憶指定コマンドであるか否かを確認する。
サブCPU120aは、受信データ用記憶領域に記憶されている制御コマンドが特別図柄記憶指定コマンドであれば、ステップS1521に処理を移し、特別図柄記憶指定コマンドでなければステップS1530に処理を移す。
ステップS1521において、サブCPU120aは、特別図柄記憶指定コマンドを解析して、液晶表示装置31に表示させる特別図柄の保留画像(以下、「特図保留画像」という)の表示個数を決定するとともに、決定した特図保留画像の表示個数に対応する特図表示個数指定コマンドを画像制御部150とランプ制御部140に送信する特別図柄記憶数決定処理を行う。
ステップS1530において、サブCPU120aは、受信データ用記憶領域に記憶されている制御コマンドが、演出図柄指定コマンドであるか否かを確認する。
サブCPU120aは、受信データ用記憶領域に記憶されている制御コマンドが演出図柄指定コマンドであれば、ステップS1531に処理を移し、演出図柄指定コマンドでなければステップS1540に処理を移す。
ステップS1531において、サブCPU120aは、受信した演出図柄指定コマンドの内容に基づいて、液晶表示装置31に停止表示させる演出図柄36を決定する演出図柄決定処理を行う。
具体的には、演出図柄指定コマンドを解析して、大当たりの有無、大当たりの種別に応じて演出図柄36の組み合わせを構成する演出図柄データを決定し、決定された演出図柄データを演出図柄記憶領域にセットするとともに、演出図柄データを画像制御部150とランプ制御部140に送信するため、演出図柄データ示す停止図柄指定コマンドをサブRAM120cの送信データ用記憶領域にセットする。
ステップS1532において、サブCPU120aは、上記ステップS1100において更新されている演出モード決定用乱数値から1つの乱数値を取得し、取得した演出モード決定用乱数値と受信した演出図柄指定コマンドに基づいて、複数の演出モード(例えば、ノーマル演出モードやチャンス演出モード)の中から1つの演出モードを決定する演出モード決定処理を行う。また、決定した演出モードは、演出モード記憶領域にセットされる。
ステップS1540において、サブCPU120aは、受信データ用記憶領域に記憶されている制御コマンドが、変動パターン指定コマンドであるか否かを確認する。
サブCPU120aは、受信データ用記憶領域に記憶されている制御コマンドが変動パターン指定コマンドであれば、ステップS1541に処理を移し、変動パターン指定コマンドでなければステップS1550に処理を移す。
ステップS1541において、サブCPU120aは、上記ステップS1100において更新されている演出用乱数値から1つの乱数値を取得し、取得した演出用乱数値、受信した変動パターン指定コマンドおよび演出モード記憶領域にセットされている演出モードに基づいて、複数の変動演出パターンの中から1つの変動演出パターンを決定する変動演出パターン決定処理を行う。
具体的には、ノーマル演出モードであれば、変動演出パターン決定テーブルを参照し、取得した演出用乱数値に基づいて1つの変動演出パターンを決定し、決定した変動演出パターンを演出パターン記憶領域にセットするとともに、決定した変動演出パターンの情報を画像制御部150とランプ制御部140に送信するため、決定した変動演出パターンに基づく演出パターン指定コマンドをサブRAM120cの送信データ用記憶領域にセットする。
その後、かかる演出パターンに基づいて、液晶表示装置31、音声出力装置32、演出用駆動装置33、演出用照明装置34が制御されることになる。なお、ここで決定した変動演出パターンに基づいて、演出図柄36の変動態様が決定されることとなる。
ステップS1550において、サブCPU120aは、受信データ用記憶領域に記憶されている制御コマンドが、図柄確定コマンドであるか否かを確認する。
サブCPU120aは、受信データ用記憶領域に記憶されている制御コマンドが図柄確定コマンドであれば、ステップS1551に処理を移し、図柄確定コマンドでなければステップS1560に処理を移す。
ステップS1551において、サブCPU120aは、演出図柄36を停止表示させるために、演出図柄を停止表示させるための停止指定コマンドをサブRAM120cの送信データ用記憶領域にセットする演出図柄停止表示処理を行う。
ステップS1560において、サブCPU120aは、受信データ用記憶領域に記憶されている制御コマンドが、遊技状態指定コマンドであるか否かを判定する。
サブCPU120aは、受信データ用記憶領域に記憶されている制御コマンドが遊技状態指定コマンドであればステップS1561に処理を移し、遊技状態指定コマンドでなければステップS1570に処理を移す。
ステップS1561において、サブCPU120aは、受信した遊技状態指定コマンドに基づいた遊技状態を示すデータをサブRAM120cにある遊技状態記憶領域にセットする。
ステップS1570において、サブCPU120aは、受信データ用記憶領域に記憶されている制御コマンドが、オープニング指定コマンドであるか否かを確認する。
サブCPU120aは、受信データ用記憶領域に記憶されている制御コマンドがオープニング指定コマンドであればステップS1571に処理を移し、オープニング指定コマンドでなければステップS1580に処理を移す。
ステップS1571において、サブCPU120aは、当たり開始演出パターンを決定する当たり開始演出パターン決定処理を行う。
具体的には、オープニング指定コマンドに基づいて当たり開始演出パターンを決定し、決定した当たり開始演出パターンを演出パターン記憶領域にセットするとともに、決定した当たり開始演出パターンの情報を画像制御部150とランプ制御部140に送信するため、決定した当たり開始演出パターンに基づく演出パターン指定コマンドをサブRAM120cの送信データ用記憶領域にセットする。
ステップS1580において、サブCPU120aは、受信データ用記憶領域に記憶されている制御コマンドが、大入賞口開放指定コマンドであるか否かを確認する。
サブCPU120aは、受信データ用記憶領域に記憶されている制御コマンドが大入賞口開放指定コマンドであればステップS1581に処理を移し、大入賞口開放指定コマンドでなければステップS1590に処理を移す。
ステップS1581において、サブCPU120aは、大当たり演出パターンを決定する大当たり演出パターン決定処理を行う。
具体的には、大入賞口開放指定コマンドに基づいて大当たり演出パターンを決定し、決定した大当たり演出パターンを演出パターン記憶領域にセットするとともに、決定した大当たり演出パターンの情報を画像制御部150とランプ制御部140に送信するため、決定した大当たり演出パターンに基づく演出パターン指定コマンドをサブRAM120cの送信データ用記憶領域にセットする。
ステップS1590において、サブCPU120aは、受信データ用記憶領域に記憶されている制御コマンドが、エンディング指定コマンドであるか否かを確認する。
サブCPU120aは、受信データ用記憶領域に記憶されている制御コマンドがエンディング指定コマンドであればステップS1591に処理を移し、エンディング指定コマンドでなければコマンド解析処理を終了する。
ステップS1591において、サブCPU120aは、当たり終了演出パターンを決定する当たり終了演出パターン決定処理を行う。
具体的には、エンディング指定コマンドに基づいて当たり終了演出パターンを決定し、決定した当たり終了演出パターンを演出パターン記憶領域にセットするとともに、決定した当たり終了演出パターンの情報を画像制御部150とランプ制御部140に送信するため、決定した当たり終了演出パターンに基づく演出パターン指定コマンドをサブRAM120cの送信データ用記憶領域にセットする。本処理を終了すると、コマンド解析処理が終了する。
次に、演出制御部120の認証結果データ解析処理について説明する。
図21は、本実施形態に係る演出制御部120による認証結果データ解析処理を示すフローチャートである。
ステップS1651において、サブCPU120aは、演出制御部120を構成する受信部の受信バッファに記憶された制御コマンドに、認証結果データが付加されているか否かを判定する。そして、サブCPU120aは、認証結果データが付加されていれば、ステップS1652に処理を移し、制御コマンドに認証結果データが付加されていなければ、認証結果データ解析処理を終了する。
ステップS1652において、サブCPU120aは、受信バッファに記憶された制御コマンドから認証結果データを抽出し、ステップS1653に処理を移す。
ステップS1653において、サブCPU120aは、抽出した認証結果データが、中間制御部180にて行った誤り検査処理の検査結果が正常であり、主制御部110の正当性を認証することができたか否かを判定する。そして、サブCPU120aは、認証結果データが認証成功を示す結果である場合、遊技機1が正常に稼働していると判断する。そして、サブCPU120aは、受信した制御コマンドをサブRAM120cの受信データ用記憶領域へ出力し、当該制御コマンドに応じた処理を行わせるべく、認証結果データ解析処理を終了する。一方、サブCPU120aは、認証結果データが認証不成功を示す結果である場合、遊技機1で不正行為等が発生したおそれがあると判断し、ステップS1654に処理を移す。
ステップS1654において、サブCPU120aは、遊技機1で不正行為等が発生したおそれがあると判断した場合、その旨を報知する為に報知信号を出力し、認証結果データ解析処理を終了する。
サブCPU120aは、生成した報知信号を、例えば、ランプ制御部140や画像制御部150、あるいは遊技機1を管理するホールコンピュータ等へ送信する。ランプ制御部140や画像制御部150等は、受信した報知信号に基づいて、遊技機1で不正行為が発生したおそれがある旨を報知する演出を実行する。この演出は、例えば、液晶表示装置31に通常出現しないキャラクタを出現させたり、通常出現するキャラクタを通常とは異なる方法で出現させるなどである。また、液晶表示装置31の輝度を変えたり、色を変えたり、ランプ制御部140に対して所定のランプを表示制御するようにしてもよい。いずれにしても、遊技店の従業員が当該遊技機1の前を通過した際に、その状態に気付くようにしてあればよい。また、この演出は、顧客がその状態に気付かないような演出でもよく、また、顧客が容易に気付く演出であってもよい。顧客が容易に気付く演出にすれば、不正行為を効率的に抑止することができる。
また、報知信号に、遊技機1の遊技状態や大当たりの種別に関する情報を含めてもよい。これらの情報に基づいて、遊技機1を管理するホールコンピュータ等によって不正行為が行われているか否かの判断を行ってもよい。例えば、「高確率遊技状態」は賞球が集中していても正常である場合がある。よって、高確率遊技状態中は、その他の状態とは異なる条件で不正行為のおそれがあるか否かについて判断するのがよい。また、遊技状態や大当たりの種別に関する情報は、報知信号に含めずに別信号として出力するようにしてもよい。この場合、従業員は、報知信号と遊技状態や大当たりの種別に関する情報の両方に基づいて、不正行為のおそれがあるか否かについて判断する。
なお、主制御部110と、周辺制御部300の他の制御部との間に中間制御部180が設けられた場合の認証処理は、主制御部110と演出制御部120との間に中間制御部180が設けられた場合の認証処理とほぼ同様の手順で行われるため説明を省略する。
以上のように、本実施形態では、セキュリティ機能として、主制御部110が出力する制御コマンドの正当性を検査して主制御部110の正当性を認証する。主制御部110は、制御コマンドの誤り検査値を生成し格納している。そして主制御部110は、今回送信する制御コマンドに、これより前(過去)に生成した制御コマンドの誤り検査値を付加して中間制御部180に送信する。一方、中間制御部180は、受信した制御コマンドの誤り検査値を生成し保存している。そして中間制御部180は、今回受信した制御コマンドに付加された誤り検査値と、今回受信した制御コマンドより前(過去)に生成された制御コマンドの誤り検査値とを照合して誤り検査を行う。
通常、チェックサム等の誤り検査値は生成元の制御コマンドに付加されて通信エラーチェックに利用される。これに対して、本実施形態では、上述のように、過去に生成した制御コマンドの誤り検査値を、今回送信する制御コマンドに付加する。このような従来にない新規かつ簡易な手法を用いることにより、不正者が制御コマンドと誤り検査値を窃取しても制御コマンドと誤り検査値の関係を容易に知ることができないようにすることができる。したがって、本実施形態によれば、不正行為を防止することができ、遊技機1のセキュリティ強度を向上させることができる。
また、主制御部110が過去に生成した制御コマンドの誤り検査値を、今回送信する制御コマンドに付加して送信し、中間制御部180が制御コマンドの誤り検査処理を行うことにより、今回受信した制御コマンドの正当性を認証するとともに、過去に生成された制御コマンド、すなわち、今回付加された誤り検査値の生成元となった制御コマンドの正当性をも認証することができる。すなわち、制御コマンドの連続性を認証することができることとなり、不正行為をより検出しやすくなり、遊技機1のセキュリティ強度を向上させることができる。
また、本実施形態では、P≦Nの場合に送信される制御コマンドには、遊技機1に固有の固有情報が付加されることで、誤り検査値が遊技機1に固有の値とすることができる。これにより、固有情報を知らない不正者が一部の制御コマンドを窃取したとしても誤り検査値の解析を不可能とすることができ、遊技機1のセキュリティ強度をより一層向上させることができる。
また、本実施形態では、通常は通信エラーチェックに用いる誤り検査値を、不正行為を検出するための検査値として利用している。このように通信エラーチェックに従来から用いられている誤り検査値を利用することで、不正行為を検出するための検査値生成手段を別途設けずとも不正行為を検出することができ、セキュリティ強度を向上させることができる。すなわち、遊技機の主制御部のリソースが限られているという状況下において、セキュリティ強度を向上させつつ、主制御部110の処理負荷の増大を抑制することができる。
また、本実施形態では、主制御部110へ追加するセキュリティ機能の具体的態様として追加された検査値生成部500は、ワイヤードロジック制御方式のハードウェアで回路構成され、メインCPU110aと送信部550との間に設けられている。その際、検査値生成部500とメインCPU110aとの間の入出力制御方式、および検査値生成部500と送信部550との間の入出力制御方式を、それぞれCPUインターフェース方式としている。そして、検査値生成部500内の各手段や各回路間の入出力制御方式を同期インターフェース方式としている。よって、本実施形態では、メインCPU110aの処理負荷やコードサイズを増大させない検査値生成部500を、既存遊技機のメインCPUと送信部との間の入出力制御方式を維持しつつ、追加することができる。したがって、本実施形態によれば、遊技機1がセキュリティ機能を有しながらも、セキュリティ機能を有することで増大する主制御部110のCPUの処理負荷やコードサイズを最大限抑制することができる。同時に、本実施形態によれば、このような特徴を有するセキュリティ機能を既存の遊技機に比較的簡易に追加することができる。
また、本実施形態では、検査値生成部500が複数の遡及数を備えることで、誤り検査値付加機能を予め複数用意している。そして、どの遡及数に基づいて誤り検査値を付加するかは、主制御部110のブート処理時の初期値設定時以外ではアクセスされないメインROM110bの特定の記憶領域に記憶されているHWパラメータの値に基づいて決定されている。よって、不正者が、主制御部110と中間制御部180との間の送信データを窃取しても、誤り検査値がどのような遡及数に基づいて誤り検査値が付加されたかを解析することが困難となる。したがって、遊技機1が有する誤り検査値付加機能に対する秘匿性を確保することができ、遊技機1のセキュリティ強度を向上させることができる。
また、本実施形態では、ブート処理後の遊技処理中においても、送信する制御コマンドに付加された誤り検査値に基づいて、検査値生成部500が備える遡及数を変更することで、誤り検査値付加機能を変更している。よって、不正者が、制御コマンドおよび誤り検査値を複数窃取したとしても、制御コマンドと誤り検査値の対応関係を解析することが更に困難となる。したがって、遊技機1が有する誤り検査値付加機能に対する秘匿性を更に向上させることができ、遊技機1のセキュリティ強度を更に向上させることができる。
また、本実施形態では、誤り検査値の遡及数を変更するタイミングを、遡及数を変更するか否かの判断対象となる誤り検査値が付加される制御コマンドの出力タイミングから、Mo個後に出力された制御コマンドの出力タイミングとしている。すなわち、本実施形態では、遡及数の変更条件が成立したタイミングと実際の変更タイミングとを分散させている。よって、不正者が、制御コマンドおよび誤り検査値を複数窃取したとしても、制御コマンドと誤り検査値の対応関係を解析することが更に困難となる。したがって、遊技機1が有する誤り検査値付加機能に対する秘匿性を更に向上させることができ、遊技機1のセキュリティ強度を更に向上させることができる。
また、本実施形態では、誤り検査値付加機能およびその選択情報としてのHWパラメータを予め複数種類用意するものの、特定のHWパラメータのみを実装している。よって、ブート処理でのHWパラメータの選択処理に伴うプログラムを新たに設ける必要がなく、プログラムのコードサイズを増大させることもない。また、遊技機メーカーが特定の誤り検査値付加機能だけを採用したい場合などであっても、所望の誤り検査値付加機能に対応したHWパラメータのみを実装すればよく、遊技機メーカーの嗜好や用途に柔軟に対応することができる。したがって、多様性に富んだセキュリティ機能であっても比較的簡易に追加することができ、汎用性の高いセキュリティ機能を提供することができる。また、遊技機1の開発段階中で設計・検証作業等に使用するHWパラメータと、遊技機1の出荷前に実際に実装されるHWパラメータとを変えることにより、最終的にどのHWパラメータが採用されたのかを知り得る者を限定することができ、誤り検査値付加機能に対する秘匿性を更に向上させることができる。
また、本実施形態では、主制御部110に対する認証機能は、通常の遊技進行に係る処理を行う周辺制御部300とは別個独立した中間制御部180に備えられている。よって、例えば、中間制御部180が主制御部110と演出制御部120との間に設けられているとき、演出制御部120で認証処理が実行されるのは、中間制御部180から認証結果データを受信した場合のみである。すなわち、認証処理を行うことによって演出制御部120のCPUの処理負荷が増大するのは、認証結果データを受信したときのみであるため、演出制御部120の処理負荷が増大する割合を抑えることができる。また、演出制御部120が実行するプログラムには、認証結果データ解析処理に関するプログラムコードを追加するだけでよい。したがって、演出制御部120が実行するプログラム全体にわたっての新たなタイミング設計を行う必要がないので、認証機能を追加する際の実装および検証作業を、より簡単に少ない作業工数で実施することができる。
また、本実施形態では、主制御部110と演出制御部120との間に中間制御部180が設けられているので、主制御部110を構成するメインCPU110aと演出制御部120を構成するサブCPU120aとの間の処理能力の差異や、主制御部110を構成するメインROM110bやメインRAM110cと演出制御部120を構成するサブROM120bやサブRAM120cとの間の記憶容量の差異を、中間制御部180において吸収することができる。これにより、主制御部110と演出制御部120との間で処理能力や記憶容量に差異がある場合でも、主制御部110と演出制御部120との間のセキュリティ強度を維持することができる。なお、このことは、中間制御部180が、主制御部110と周辺制御部300の他の制御部との間に設けられた場合も同様である。
本実施形態では、バッファ手段510のデータバッファ511と生成手段520の生成回路521とを接続し、生成回路521の出力側に格納回路522を設けた。よって、格納回路522で格納する対象を、生成回路521で生成した誤り検査値とした。しかしながら、本発明はこれに限定されず、格納回路522で格納する対象を制御コマンドとしてもよい。具体的には、図22に示すように、格納回路522を生成回路521の入力側に設けるとともに、格納回路522と生成回路521との間に入力選択回路524を設ける。そして、入力選択回路524には、図5と同様に、決定回路542から出力された特定の格納回路(図22では格納回路(N))との接続のみを有効とする接続切替信号が入力される。
このように構成することで、生成回路521には、接続切替信号で有効となった接続元の格納回路(図22では格納回路(N))に格納された制御コマンドのみが入力される。なお、中間制御部180においても、格納部622で格納する対象を誤り検査値としてもよいし、制御コマンドとしてもよい。また、主制御部110での格納対象と、中間制御部180での格納対象とが異なってもよい。
また、本実施形態では、HWパラメータは、デフォルトの遡及数を決定するための選択情報として定義したが、本発明はこれに限定されない。例えば、図23に示すように、HWパラメータをデフォルトの変更条件を決定する選択情報とすることもできる。このとき、決定回路542には、予めHWパラメータに対応した複数の変更条件を用意しておくとともに、遡及数のデフォルト値を用意しておく。そして、決定回路542は、ブート処理中のHWパラメータ設定処理において、メインCPU110aから設定されたHWパラメータに対応する変更条件を、判定回路541の変更条件記憶器541aへセットすることとすればよい。
なお、判定回路541を構成する比較器541bは、図5の格納回路522(または、図22では生成回路521)から出力された誤り検査値が変更条件を満たしているとき、当該誤り検査値が変更条件を満たす誤り検査値であることを示す判定結果信号を、毎回出力しなくともよい。すなわち、比較器541bは、バッファ手段510から出力された制御コマンドに付加される誤り検査値が、変更条件を満たす誤り検査値であっても、決定回路542にて遡及数が変更されなくなり、不正者が遡及数の変更条件を解析することが更に困難となる。
更に、比較器541bは、誤り検査値が入力される度に、判定結果信号自体を毎回出力しなくともよい。この場合、生成手段520の制御回路523と決定回路542とを制御線で接続しておき、制御回路523から決定回路542へ作動許可信号を出力させる。決定回路542は、当該作動許可信号の入力に基づいて、生成個数記憶領域(P)の値を更新して、遡及数設定処理を行えばよい。更に、決定手段540の判定回路541や決定回路542と、生成手段520の制御回路523とを接続するのではなく、バッファ手段510の制御回路512と接続し、制御回路512から判定回路541や決定回路542へ作動許可信号を出力させるようにしてもよい。
また、HWパラメータは、変更方式や変更タイミングの設定方法を決定するための選択情報として定義することができる。例えば、HWパラメータで変更方式を決定する場合、決定回路542には、予め定められた遡及数の変更順序等を規定する変更方式を複数用意しておき、HWパラメータと対応付けておく。そして、決定回路542は、ブート処理中のHWパラメータ設定処理において、メインCPU110aから設定されたHWパラメータに対応する変更方式をセットし、セットされた変更方式に従って遡及数を変更させていけばよい。
また、HWパラメータは、デフォルトの遡及数のみを決定する等、変更プロトコルの一構成要素のみを決定するための選択情報として定義することに限定されない。例えば、HWパラメータは、デフォルトの遡及数とデフォルトの変更条件の両方を決定するための選択情報として定義することもできる。すなわち、本発明において、HWパラメータは、生成手段520で用いる遡及数を決定するための選択情報に限定されず、変更条件、変更タイミングの設定方法、および変更方式など、遡及数に係る変更プロトコルを決定するための選択情報として定義することができる。つまり、HWパラメータは、遡及数およびその変更プロトコルを実施態様とした誤り検査値付加機能に対する選択情報である。
このように、本発明では、誤り検査値付加機能が、主制御部110のブート処理時の初期値設定時以外ではアクセスされないメインROM110bの特定の記憶領域に記憶されているHWパラメータの値に基づいて決定される。よって、不正者が、主制御部110と中間制御部180との間の送信データを窃取しても、遊技機1にどのような誤り検査値付加機能が搭載されているのかを解析することが困難となり、誤り検査値付加機能に対する秘匿性は更に向上し、遊技機1のセキュリティ強度をより一層向上させることができる。
また、本実施形態では、P≦Nの場合に、主制御部110では、制御コマンド(P)に対して初期検査値を付加して送信し、中間制御部180では、対応する初期検査値を用いて誤り検査処理を行うこととしたが、本発明はこれに限定されず、中間制御部180は、P≦Nの場合は誤り検査処理を行わず、P>Nとなってから初めて誤り検査処理を行うこととしてもよい。
また、本実施形態では、中間制御部180は、主制御部110が有する遡及数を変更する機能と同様の機能を有する決定部623であることとしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、中間制御部180は、受信した制御コマンドに付加された誤り検査値と、格納部622に格納された全ての誤り検査値と照合して、誤り検査処理を行うこととしてもよい。この場合、中間制御部180は、格納部622のいずれかの誤り検査値と一致すれば、検査結果は正常であるとして、受信した制御コマンドの正当性ならびに主制御部110の正当性を認証すればよい。
また、本実施形態では、P≦Nの場合に用いる初期検査値を、メインROM110bに予め記憶された固有情報としたが、本発明はこれに限定されない。例えば、主制御部110に計時手段を設け、または主制御部110が予め備えている計時手段を用いて、電源投入時から制御コマンドの送信タイミングまでの経過時間を経時情報として取得し、取得した経時情報を初期検査値として用いてもよい。取得した経時情報の値は、ランダム性を有する変動値であるため、これを用いて生成された初期検査値を再利用することは困難であり、遊技機1のセキュリティ強度をより一層向上させることができる。このとき、中間制御部180は、上記のようにP≦Nの場合は誤り検査処理を行わないようにすればよい。
また、このとき、予めN≧2と取り決めてあれば、中間制御部180は、初期検査値として連続して送信された経時情報同士が時系列として連続性を有するか否か、すなわち、連続して送信された経時情報の値が送信順番に従って増加しているか否かを確認することによって誤り検査処理を行ってもよい。なお、経時情報は、計時手段をリアルタイムクロック回路等として取得される絶対的な時間であってもよいし、リセット時から計数された相対的な時間であってもよい。いずれにしても、経時情報は、その取得されるタイミングが不定期なタイミングであればある程、様々な値に変動するため、実質的に遊技機1に固有の情報と捉える事ができる。また、N≧2のとき、経時情報は、制御コマンドの送信タイミング毎に計時手段から取得した経時情報を用いてもよいし、最初に生成した制御コマンドの送信タイミングに取得した経時情報を複数の制御コマンドに対して初期検査値として用いてもよい。また、例えば、最初に生成した制御コマンドに付加する初期検査値は固定値あるメインCPU110aの識別番号(ID)を用い、それ以降の初期検査値は変動値である経時情報を用いるというように、固定値と変動値を組み合わせることもできる。
また、P≦Nの場合に用いる初期検査値として、例えば、主制御部110の誤り検査値付加機能の選択情報であるHWパラメータを用いてもよい。すなわち、主制御部110の検査値生成部500を構成する決定手段540は、ブート処理時に自身の決定回路542にセットされたHWパラメータを、HWパラメータ設定処理後も記憶しておく。そして、決定回路542が、格納回路522へ固有情報を設定する必要があるか否かを判断する。このとき、バッファ手段510の制御回路512と決定回路542とを制御線で接続しておき、制御回路512から作動許可信号を出力させる。決定回路542は、当該作動許可信号の入力に基づいて生成個数記憶領域(P)の値を更新し、生成個数記憶領域(P)の値がP=1であれば、バッファ手段510から出力された制御コマンドは、格納回路522に格納された誤り検査値がクリアされてから最初にメインCPU110aにて生成された制御コマンドであると判断する。この場合、決定回路542は、その旨をバッファ手段510へ通知して固有情報の出力を要求させず、自身に記憶しているHWパラメータを格納回路522へ設定し、初期検査値として用いればよい。
HWパラメータは、その内容や実装方法を遊技機メーカーの独自の判断で決定することができるため秘匿性が高く、実質的に遊技機1に固有の情報と捉えることができる。なお、中間制御部180は、上記のようにP≦Nの場合は誤り検査処理を行わないようにすればよい。このようにすることで、中間制御部180は、HWパラメータに相当する誤り検査値付加機能の選択情報を、予め主制御部110との間で取り決めていなくとも、主制御部110で設定された誤り検査値付加機能に対応した誤り検査値出力機能を選択することができる。よって、不正者が、中間制御部180自体を解析しても、複数の誤り検査値出力機能のうちのどの出力機能でもって出力された誤り検査値を用いて誤り検査処理が行われるのかを特定することができず、当該出力機能の秘匿性を確保することができ、遊技機1のセキュリティ強度を更に向上させることができる。
また、本実施形態では、検査値生成部500内の各手段間や各回路間の入出力制御方式を、同期インターフェース方式とした。そして、検査値生成部500内の各手段同士や各回路同士のデータ送受は、主制御部110のクロックパルス発生回路から出力されたクロック信号に同期して行うこととした。しかしながら、本発明はこれに限定されず、検査値生成部500内の各手段同士や各回路同士のデータ送受は、当該クロック信号に対して非同期で行うこととしてもよい。この場合であっても、検査値生成部500内では、出力するデータの接続先に対してイネーブル信号等を出力すれば、接続先は当該イネーブル信号等の入力に基づいて、当該出力データを取り込み、CPUインターフェース方式とは異なることとなる。
また、本実施形態では、誤り検査値を送信部550の送信バッファ551へ書き込むタイミングは、付加手段530の制御回路532が出力する接続切替信号の出力タイミングを調整することによって制御していた。しかしながら、本発明はこれに限定されず、バッファ手段510の制御回路512が、制御回路532に対して出力する作動許可信号の出力タイミングを調整することで制御することもできる。また、生成手段520の制御回路523が、生成回路521へ出力する作動許可信号の出力タイミングを調整することで制御することもできる。制御回路532が出力する接続切替信号の出力タイミングは、制御回路512が出力する作動許可信号の入力に基づいているからである。また、当該接続切替信号が入力される入力選択回路531に誤り検査値が入力されるタイミングは、制御回路523が出力する作動許可信号の入力に基づいているからである。
なお、制御回路523が出力する作動許可信号の出力タイミングにおいても、制御回路512が出力する作動許可信号の入力に基づいており、更に、制御回路512が出力する作動許可信号の出力タイミングは、メインCPU110aが出力するバッファ手段510への書き込み信号の入力に基づいている。そして、メインCPU110aが出力する当該書き込み信号は、既存の遊技処理用プログラムに元来規定されていたコマンド送信処理の実行タイミングによって予め指定されている。
このように、本発明では、検査値生成部500が誤り検査値を送信部550へ書き込むタイミングは、既存の遊技処理用プログラムで規定されたコマンド送信処理の実行タイミングに基づいて一意に決定すればよく、比較的簡易にタイミング設計が可能である。よって、本発明は、セキュリティ機能を既存の遊技機に比較的簡易に追加することができ、かつ、誤り検査値の書き込みタイミングの設計に、比較的大きなマージンを確保することができ、誤り検査値処理の確度確保が容易となる。
また、本実施形態では、中間制御部180は、認証結果データを制御コマンドに付加して認証結果データ付き制御コマンドとして演出制御部120へ送信することとしたが、本発明はこれに限定されず、制御コマンドおよび認証結果データを別々に送信するようにしてもよい。この場合、演出制御部120は、認証結果データを受信したかを判断し、認証結果データを受信した場合に認証結果データ解析処理を行うようにすればよい。なお、制御コマンドと認証結果データのそれぞれにダミーデータを付加して、データ長が同一となるようにしてもよい。このようにすることにより、不正者が、制御コマンドと認証結果データを区別することが困難となり、遊技機1のセキュリティ強度を向上することができる。
また、本実施形態では、中間制御部180は、認証成功の場合も認証不成功の場合も、認証結果データを生成し、演出制御部120へ送信することとしたが、本発明はこれに限定されず、例えば、中間制御部180は、認証不成功の場合のみ認証結果データを生成し、あるいは、認証不成功を示す信号を出力し、演出制御部120へ送信するようにしてもよい。演出制御部120は、認証結果データまたは認証不成功を示す信号を受信したか否かを判断し、受信した場合に報知信号を出力するように構成すればよい。
また、本実施形態では、検査値生成部500をワンチップマイコン110mとは別個の回路構成としたが、本発明はこれに限定されず、検査値生成部500をワンチップマイコン110mと一体の回路構成としてもよいし、送信部550と一体の回路構成としてもよい。更に、本発明は、検査値生成部500、ワンチップマイコン110m、及び送信部550の全てを一体の回路構成としてもよい。
また、本実施形態では、中間制御部180をCPU、ROM、RAM等を備えて構成しているが、同様の機能をLSI等の集積回路として実現するように構成してもよい。
また、本実施形態では、本発明をパチンコ遊技機に適用する例を示したが、これに限定されず、本発明は、雀球遊技機、アレンジボール等のパチンコ遊技機以外の弾球遊技機、スロットマシン等の回胴式遊技機などの他の遊技機にも適用することができる。これらの遊技機においても、本実施形態と同様に構成することにより、本実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、本実施形態では、本発明を遊技機に適用する例を示したが、これに限定されず、本発明は、遊技機のような複数の制御部を備え、これら制御部間のデータ伝送について認証処理を実行する電子機器およびその認証方法にも適用することができる。これらの電子機器およびその認証方法においても、本実施形態と同様に構成することにより、本実施形態と同様の効果を得ることができる。また、本実施形態は、その目的および構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用することができる。