JP5108303B2 - インスリン様成長因子(igf−i)のレベル上昇による内臓脂肪の低下方法 - Google Patents

インスリン様成長因子(igf−i)のレベル上昇による内臓脂肪の低下方法 Download PDF

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Description

発明の技術分野
本発明は、被検体において内臓脂肪を低下させるための方法および組成物に関する。
関連出願の相互参照
本出願は、参照として本明細書に組み入れられる2003年8月21日に出願された米国仮特許出願第60/497,008号に基づく恩典を主張するものである。
発明の背景
肥満には、寿命の短縮、ならびにインスリン抵抗性という代謝の問題、および真性糖尿病、および腎疾患、眼疾患、および循環器疾患を含むその多くの続発症を含む、多くの医学的な状態が伴う。Rissanen et al., 1990, Br Med J, 301:835-837を参照されたい。
肥満は、多くの状態、特に糖尿病、より具体的にはII型糖尿病のリスク因子である。いわゆる内臓脂肪症を表す大網および腸間膜の脂肪沈着は、特に骨格筋および肝臓において、肥満に誘導されるインスリン抵抗性と最も強く関連しているため、高レベルの内臓脂肪組織は、耐糖能の低下と関連している(Despres JP, 1993, Nutrition 9:452-459; Kissebah AH et al., 1994, Physiol Rev 74:761-811)。例えば、男性および女性においては、腹腔内または内臓脂肪の蓄積は、インスリン抵抗性と相関があるが、皮下脂肪の沈着はインスリン抵抗性ではなく循環するレプチンレベルとのみ相関する(M Cnop et al., 2002, Diabetes, 51:1005-1015)。非常に重要なことであるが、総体脂肪レベルで補正した後でも、内臓脂肪沈着と耐糖能の関係はやはり有意である。言い換えると、重要なのは体脂肪の量のみではなく、体脂肪の分布または場所も重要であり、内臓脂肪が最も重要である。
ヒトの被検体に対するIGF-I投与は、体脂肪および体組成に対してほとんど影響がない。Guevara-Aguirre et al., 1997, J Clin Endocrinol Metab 82:629-633, Mauras et al., 2000, J Clin Endocrinol Metab 85:3036-3042およびLaron et al., 1994, Clin Endocrinol 41:631-638 (ラロン症候群);Arnhold et al., J Endocrinol Invest 23:258-262 (成長ホルモン遺伝子を持たない小児における低身長);Grinspoon et al., 2003, J Clin Endocrinol Metab 88:1142-1149(神経性食欲不振症);ならびに米国特許第5,597,797号を参照されたい。これらの研究では、体脂肪の分布または内臓脂肪に対するIGF-Iの効果は評価されなかった。
日本人男性では、IGF-Iレベルの低下は内臓脂肪の増加と関連しており、運動に伴う内臓脂肪の低下は、運動に誘導されるIGF-Iレベルの上昇と正の相関があった。Kunitomi M et al., 2002, Int J Obes Relat Metab Disord 26:361-369を参照されたい。しかし、哺乳類の体脂肪に対するIGF-I投与の効果は、相反する結果を生じている。去勢されたオスのヒツジに組換えヒトIGF-Iを注射するとインスリンレベルが低下したが、体脂肪には検出可能な効果は見られなかった。Certain et al., 1992, Endocrinol 130:2924-2930を参照されたい。これはマウスにおける以前の研究と一致している。Siddiqui et al., 1990, J Endocrinol, 124:151-158を参照されたい。別の研究では、糖尿病、デキサメタゾン、または腸切除によって異化作用状態が誘導されたラットにIGF-Iが投与されると、体脂肪の割合が低下傾向を示した。Ballard et al., Modern Concepts of Insulin-like Growth Factors, ed. Spencer、p617-627 (1991)を参照されたい。組換えヒトIGF-Iで処理されたミニプードルでは、ボディマス指数(body mass index)が低下した。Guler et al., 1990, Acta Endo 121:456-464を参照されたい。特に、これらの研究のすべてにおいて、体脂肪分布または内臓脂肪に対する効果は調べられなかった。
肥満のための既存の治療法には、標準的な食餌療法および運動、超低カロリー食、行動療法、食欲抑制剤を用いた薬物療法、熱産生食物、食物吸収抑制剤、顎の鋼線締結のような機械的器具、腰帯、バルーン、および手術が含まれる。JungおよびChong, 1991, Clinical Endocrinology, 35:11-20; Bray, 1992, Am J Clin Nutr 55:538S-544Sを参照されたい。青年期の体重減少には、蛋白質節約性改良型絶食が有効であると報告されている。Lee et al., 1992, Clin Pediatr, 31:234-236を参照されたい。肥満治療のためにカロリー制限を行なうと、体の蛋白質の蓄積の異化作用が起こり、マイナスの窒素バランスが生じる。したがって、蛋白質補充食は、カロリー制限時の窒素損失を低下させるための手段として人気を博した。そのような食事では、窒素節約の程度が少ないので、除脂肪体重および蛋白質の蓄積を保存する、より効果的な方法が必要である。さらに、そのような養生法が体脂肪の損失を加速させることになれば、肥満治療はさらに改良される。そのような治療に対するさまざまな手法には、Weintraub and Bray, 1989, Med Clinics N Amer 73:237; Bray, 1991, Nutr Rev, 49:33によって考察されているものが含まれる。
したがって、当技術分野では、内臓脂肪を低下させ、ならびに内臓脂肪の沈着を予防し、薬剤に起因する内臓脂肪の沈着を軽減し、および体重減少の誘導の一部として内臓脂肪を低下させる方法が必要とされている。
本発明はこれらの必要性に対応するものである。
文献
対象となる文献には以下のものが含まれる:
Figure 0005108303
発明の概要
本発明は、被検体において生物活性のあるインスリン様成長因子-I (IGF-I)の血清濃度を上昇させる化合物を治療上有効な量、被検体に投与することによって、内臓脂肪を低下させ、それにより内臓肥満の負の効果を軽減させるための方法および組成物を提供する。本発明は、例えば、循環器疾患およびメタボリックシンドロームを含む、内臓肥満またはIGF-I欠乏に関連する状態の1つまたは複数の症状の治療、予防、または軽減に有用である。
本発明の1つの局面は、被検体の内臓脂肪を低下させるために、内臓脂肪を有する被検体に生物活性のあるインスリン様成長因子-I (IGF-I)の血清濃度を上昇させるある量の化合物を投与する段階であって、化合物が成長ホルモンではない段階を含む、被検体の内臓脂肪を低下させる方法に関する。1つの態様では内臓脂肪の低下は、皮下脂肪に対する内臓脂肪の比を決定することによって評価される。別の態様では、内臓脂肪の低下は、被検体における尻囲の値に対する腰囲の値の比を減少させることによって評価される。さらに別の態様では、内臓脂肪の低下は、コンピュータ断層撮影(CT)スキャンによって評価される。
1つの局面では、内臓肥満の被検体は、糖尿病も患う。別の局面では、糖尿病の被検体は、メタボリックシンドロームを有する。別の局面では、本発明は、IGF-I欠乏の被検体における生物活性のあるIGF-Iの血清濃度を上昇させる化合物を投与することにより、皮下脂肪に対する内臓脂肪の比を低下させる方法を提供する。1つの局面では、IGF-I欠乏被検体は、低身長でありかつ糖尿病である。特定の態様では、本発明の方法では、インスリンのみによる被検体の治療と比較して、被検体の治療に必要とされるインスリンは低用量で使用することができる。別の態様では、経口血糖低下剤による被検体の治療と比較して、被検体の治療に必要とされる経口血糖低下剤は低用量ですむ。
いくつかの態様では、生物活性のあるインスリン様成長因子-I (IGF-I)の血清濃度を上昇させる化合物はIGF-Iである。別の態様では、IGF-Iはインスリン様成長因子結合蛋白質-3(IGFBP-3)と複合体を形成する。別の態様では、IGF-Iの量は、約30μg/kg/日から約60μg/kg/日のような、約20μg/kg/日から約70μg/kg/日を含む、約10μg/kg/日から約80μg/kg/日の範囲である。別の態様では、IGF-Iは皮下投与される。別の態様では、生物活性のあるインスリン様成長因子-I (IGF-I)の血清濃度を上昇させる化合物は、成長ホルモンではない成長促進剤である。
別の態様では、生物活性のあるIGF-Iの血清濃度を上昇させる化合物は、IGF-I置換剤である。別の態様では、生物活性のあるIGF-Iの血清濃度を上昇させる化合物は、栄養補助食品である。
別の態様では、生物活性のあるIGF-Iの血清濃度を上昇させる化合物は、インスリンレベルを上昇させるまたはインスリン活性を改善する、有効量の血糖低下剤と共に投与される。別の態様では、インスリンレベルを上昇させる血糖低下剤はインスリンである。別の態様では、インスリンレベルを上昇させるまたはインスリン感受性を上昇させる血糖低下剤は、スルホニル尿素、ビグアニド、およびチアゾリジンジオンからなる群より選択される。別の態様では、血糖低下剤はグリブリドである。
別の態様では、生物活性のあるIGF-Iの血清濃度を上昇させる化合物は、有効量のIGF結合蛋白質と共に投与される。別の態様では、IGF結合蛋白質は、インスリン様成長因子結合蛋白質(IGFBP)である。
本発明の別の局面では、被検体の内臓脂肪の沈着を予防するために、生物活性のあるインスリン様成長因子-I (IGF-I)の血清濃度を上昇させる化合物の有効量を被検体に投与する段階を含む、被検体の内臓脂肪の沈着を予防する方法が提供される。そのような態様では、目的は、例えば思春期に起きるまたは閉経時に起きるような、年齢のような因子によって発生する脂肪の蓄積を予防することである。
本発明のさらに別の局面では、内臓脂肪の沈着を軽減するために、生物活性のあるインスリン様成長因子-I (IGF-I)の血清濃度を上昇させる成長ホルモンではない化合物の有効量を、薬剤とともに被検体に投与する段階を含む、薬剤に起因する内臓脂肪の沈着を軽減する方法が提供される。いくつかの態様では、本発明の目的は、インスリンまたはグリブリドのようなインスリンレベルを上昇させる化合物、またはインスリン感受性を上昇させる化合物に伴うような、薬物投与に伴う内臓脂肪の蓄積を予防することである。
いくつかの態様では、生物活性のあるIGF-Iの血清濃度を上昇させる化合物は、好ましくは組換えヒトIGF-1のようなIGF-Iである。
定義
本発明を詳細に説明する前に、本発明を説明するために使用される用語の意味および範囲を説明および定義するために、以下に定義を示す。
本明細書で使用される「被検体」は、ヒト、ウシ、ヒツジ、ブタ、イヌ、およびネコを含む任意の哺乳類をさす。いくつかの態様では、被検体はヒトである。
本明細書で使用される「内臓脂肪組織」または「内臓脂肪」は、腹腔内である腹部領域の脂肪と定義され、したがってこれは、「皮下脂肪組織」または「皮下脂肪」とは区別される。内臓脂肪を、例えばコンピュータ断層撮影(CT)スキャンのような、当技術分野で公知の標準的な測定法により、定性的または定量的のいずれかで評価することができる。
被検体における内臓脂肪レベルの変化(すなわち、「内臓脂肪の減少」)は、被検体の尻囲に対する腰囲の比によって見積もることができる。腰囲の測定(または「腹囲」)では、内臓脂肪と皮下脂肪の両方が勘定に入れられるが、尻囲の測定では皮下脂肪しか勘定に入れられない。内臓肥満の被検体における内臓脂肪の低下は、例えば、尻囲の値に対する腰囲の値の比が約1を超える値(腰囲の値と尻囲の値がほぼ同じ)から、約1未満の値(腰囲の値が尻囲の値よりも小さい)に低下することによって、見積もることができる。内臓肥満の被検体における内臓脂肪の低下は、例えば、尻囲に対する腰囲の比の低下が、約3%から約100%を含む、約2%を超え、例えば約4%から約98%の低下によっても決定することができる。一般に、腰囲の低下が尻囲の低下よりも大きければ、被検体の内臓脂肪が減少したことを示す。例えば、内臓脂肪が減少したことは、腰囲の値が尻囲の値よりも少なくとも約1 cmを超えて低下、尻囲よりも少なくとも約2 cmまたはそれ以上低下、例えば尻囲よりも少なくとも約3 cmから約5 cmまたはそれ以上低下したときに決定することができる。
本明細書で使用される「皮下脂肪」は、例えば大腿部の皮下のような、皮下にある脂肪沈着と定義される。
本明細書で使用される「脂肪の再分布」は、皮下脂肪に対する内臓脂肪の低下、すなわち、皮下脂肪に対する内臓脂肪の比の低下を意味する。理論に縛られることはないが、体脂肪の再分布は、体重またはBMIが比例して低下することなく被検体の内臓脂肪が低下することの説明となる可能性があり、例えば、皮下脂肪が比例してまたは比例せずに増加するためである可能性がある。
内臓肥満の被検体における皮下脂肪に対する内臓脂肪の比の低下は、例えば、尻囲の値に対する腰囲の値の比が約1を超える値(腰囲の値と尻囲の値がほぼ同じ)から、約1未満の値(腰囲の値が尻囲の値よりも小さい)に低下することによって、見積もることができる。被検体における皮下脂肪に対する内臓脂肪の比の低下は、例えば、尻囲に対する腰囲の比の低下が、約3%から約100%を含む、約2%を超え、例えば約4%から約98%の低下によっても決定することができる。一般に、腰囲の低下が尻囲の低下よりも大きければ、被検体の皮下脂肪に対する内臓脂肪の比が減少したことを示す。例えば、皮下脂肪に対する内臓脂肪の比が減少したことは、腰囲の値が尻囲の値よりも少なくとも約1 cmを超えて低下、尻囲よりも少なくとも約2 cmまたはそれ以上低下、例えば尻囲よりも少なくとも約3 cmから約5 cmまたはそれ以上低下したときに決定することができる。
本明細書で使用される「IGF-I」は、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、トリ、および好ましくはヒトを含む任意の種の、天然、合成、または組換えを問わない任意の供給源に由来する、天然型配列または変異型のインスリン様成長因子-Iをさす。
ヒトの天然型配列の成熟IGF-I、例えば、N末メチオニンを持たないもので、例えば、1987年8月5日公開の欧州特許第230,869号;1984年12月19日公開の欧州特許第128,733号;または1988年10月26日公開の欧州特許第288,451号に記述される工程によって調製されたものは、本方法に使用するために適している。いくつかの態様では、この天然型配列のIGF-Iは、組換えによって生産される。例えば欧州特許第123,228号および欧州特許第128,733号を参照されたい。rhIGF-Iは、組換えヒトIGF-Iをさす。
本明細書で使用されIGF-Iの「変異型」または「アナログ、ホモログ、および模倣物」には、1つまたは複数の残基の置換および/または欠失によってのみ天然IGF-Iの構造とは異なる化合物から、明らかな構造的類似性がない化合物まで含まれる。しかし、すべての場合にそのような化合物は、天然IGF-Iと実質的に同じ活性を有する。したがって、「アナログ」は、IGF-Iと同じ基本構造を持つがいくつかの残基が異なる化合物をさす;「ホモログ」は、限られた数の残基の欠失および/または置換によって天然のIGF-Iとは異なる化合物をさす;および「模倣物」は、IGF-Iとは特異的な構造的類似性はないが(例えば、IGF-Iの模倣物はポリペプチドである必要さえもない)、そのような化合物はIGF-Iの生物活性の特徴を示し、および/または体の内因性IGF-I産生を刺激する。
1991年12月31日付け米国特許第5,077,276号;同第5,164,370号、同第5,470,828号;1987年2月26日公開のPCT国際公開公報第87/01038号;および1989年6月29日公開の国際公開公報第89/05822号に記述されたIGF-I変異型、すなわち、少なくとも、成熟した分子のN末から3つ目の位置のグルタミン酸残基が存在しない、またはN末から最高5つのアミノ酸が欠失した変異型は、本発明に使用するために適している。いくつかの態様では、本方法で使用するためのIGF-I変異型においてN末の最初の3つのアミノ酸が欠失している(脳IGF, tIGF-I, des(1-3)-IGF-I、またはdes-IGF-Iのようにさまざまに呼ばれる)。
本明細書では、「IGF結合蛋白質」または「IGFBP」はポリペプチドが循環するか否かにかかわらず(すなわち血清または組織に存在する)、通常、IGF-IまたはIGF-2と会合するまたは結合するまたは複合体を形成する蛋白質またはポリペプチドをさす。そのような「IGF結合蛋白質」には、受容体は含まれない。「IGF結合蛋白質」という用語には、例えば、IGFBP-1, IGFBP-2, IGFBP-3, IGFBP-4, IGFBP-5, IGFBP-6, Mac 25 (IGFBP-7)、およびプロスタサイクリン刺激因子(PSF)または内皮細胞特異的分子(ESM-1)、ならびにIGFBPに高度の相同性を持つ他の蛋白質が含まれる。Mac 25は例えば、Swisshelm et al., 1995, Proc Natl Acad Sci USA 92:4472-4476およびOh et al., J Biol Chem, 271:30322-30325 (1996)に記述されている。PSFはYamauchi et al., 1994, Biochem J, 303:591-598に記述されている。ESM-1はLassalle et al., 1996, J Biol Chem, 271:20458-20464に記述されている。他の同定されているIGFBPについては、例えば、1990年6月27日公開の欧州特許第375,438号;1990年5月23日公開の欧州特許第369,943号;1989年10月5日公開の国際公開公報第89/09268号;Wood et al., 1988, Mol Endocrinol, 2:1176-1185; Brinkman et al., 1988, EMBO J, 7:2417-2423; Lee et al., 1988, Mol Endocrinol, 2:404-411; Brewer et al., 1988, Biochem Biophys Res Comm, 152:1289-1297; 1988年12月7日公開の欧州特許第294,021号;Baxter et al., 1987, Biochem Biophys Res Comm, 147:408-415; Leung et al., 1987, Nature, 330:537-543; Martin et al., 1986, J Biol Chem, 261:8754-8760; Baxter et al., 1988, Comp Biochem Physiol, 91B:229-235; 1989年9月21日公開の国際公開公報第89/08667;1989年10月19日公開の国際公開公報第89/09792;およびBinkert et al., 1989, EMBO J, 8:2497-2502を参照されたい。
内因性IGF-Iの血清および組織レベルの変化という文脈において本明細書で使用される「活性」、「生物活性の」、「生物活性のある」もしくは「遊離」IGF-Iは、IGFもしくはインスリン受容体、またはハイブリッドIGF/インスリン受容体、またはIGF結合蛋白質に結合する能力のある、またはそれ以外で内因性または外因性IGF-Iの生物活性を生じる能力のある、非結合IGF-Iをさす。
「生物活性のあるIGF-Iの血清濃度を上昇させる化合物」は、IGF受容体を活性化する能力のある遊離または生物活性のあるIGF-Iの血清濃度を上昇させる任意の化合物をさす。そのような化合物には、例えば、IGF-Iと任意のIGFBPとの相互作用を阻害または防止する化合物、IGF-Iの発現を増加させる化合物、生物活性のあるIGF-Iのクリアランスを阻害または防止する化合物などが含まれる。
IGF-Iと任意のIGFBPとの相互作用を「阻害」または「防止」する化合物とは、上昇の仕組みを問わず、生物活性のあるIGF-Iの血清および/または組織濃度を上昇させる分子をさす。例えば、化合物はIGFが1つまたは複数のIGFBPに結合した複合体の活性IGFを部分的または完全に置換できる、すなわち、IGF-I置換剤である場合がある。この定義による化合物は、IGFBPに結合し、おそらくそれによって以前にIGFBPに結合していた内因性IGFを置換するように作用するか、または受容体との相互作用に関与する部位とは離れた部位でIGF自身に結合し、IGFと1つまたは複数のIGFBPとの相互作用を阻害または防止するがIGFとその任意の受容体との相互作用は阻害も防止もしない可能性がある。さらに、化合物はIGFBPを占有するが、3成分複合体に対する効果は、2成分複合体が3成分複合体を形成できるかどうかに依存する。
本明細書で使用される「肥満」とは、米国疾病管理センター(United States Centers for Disease Control)により定義される状態を指し、これは現在のところ、約30またはそれ以上のボディマス指数(body-mass index:BMI)の成人(約20歳以上の被検体)と定義される。BMIに基づく肥満の定義は、当技術分野における状態の理解または実践の変化を反映して修正できることが、当業者には容易に理解されるが、BMIに基づく肥満の定義に対するそのような変更は、本明細書で予期されている。約2歳から20歳の被検体では、肥満は年齢に合わせたBMI計算に基づいて定義され、これは男女別の成長曲線にプロットされる(米国疾病管理センターから入手可能なものなど(例、ワールドワイドウェブサイトcdc.gov/growthcharts/を参照されたい)。約0.5または約1のBMIの変化は意味があると考えられる。
「内臓肥満」とは、過剰な内臓脂肪を伴う肥満をさし、例えば、正常なヒトまたは主に皮下脂肪による肥満の個体よりも、皮下脂肪に対する内臓脂肪の比が高い場合を指す。例えば、約1よりも大きな尻囲の値に対する腰囲の値の比を有する被検体は内臓肥満である。
「過体重」とは、成人(約20歳以上)が約25またはそれ以上のボディマス指数(BMI)を示す状態を指す。BMIに基づく過体重の定義は、当技術分野における状態の理解または実践の変化を反映して修正できることが、当業者には容易に理解されるが、BMIに基づく肥満の定義に対するそのような変更は、本明細書で予期されている。約2歳から20歳の被検体では、肥満は年齢ごとのBMI計算に基づいて定義され、これは男女別の成長曲線にプロットされる(米国疾病管理センターから入手可能なものなど(例、ワールドワイドウェブサイトcdc.gov/growthcharts/を参照されたい))。
本明細書で使用される「IGF-I欠乏」とは、被検体が、年齢および性別を考慮した正常範囲に満たないIGF-Iレベルを持つ任意の状態を意味する。IGF-I欠乏は遺伝的な異常に起因し得るか、またはIGF-I産生の欠乏もしくは低下を引き起こす疾病もしくは障害の結果であり得る。小児におけるIGF-I濃度の正常レベルは、例えば、Juul A, 2001, Horm Res, 55 Suppl 2:94-9に提供されている。年齢および性別ごとの血清中の遊離IGF-Iの正常範囲については、Juul A et al., 1997, J Clin Endocrinol Metab 82:2497-2502に提供されている。
本明細書で使用される「低身長」は、身長について同じ年齢および性別の正常の約≦2 SDの標準偏差スコアを持つ被検体を意味する。
本明細書で使用される「症状の軽減」というのは、例えば、肥満またはIGF-I欠乏関連状態のような疾病または障害の、少なくとも1つの識別できる症状または少なくとも1つの測定可能な身体的パラメータの改善をさし、例えば、循環器疾患の少なくとも1つの識別可能な症状または少なくとも1つの測定可能な身体的パラメータの改善である。
本明細書で使用される「内臓脂肪沈着の軽減」とは、尻囲の値に対する腰囲の値の比、腰囲、または腹部CTスキャンのような、標準的な技術によって測定された内臓脂肪沈着または既存の内臓脂肪が、治療しない場合と比較して減少することをさす。内臓脂肪沈着の軽減は、例えば、尻囲の値に対する腰囲の値の比の低下が、例えば約1.0から約0.95またはそれ以下、0.90またはそれ以下、および0.80またはそれ以下を含む、約1.0から約0.98またはそれ以下のような、約1から約1未満に低下することによって、決定することができる。
本明細書で使用される「治療」または「治療する」とは、身体的(例えば識別可能な症状の安定化)、生理的(例えば身体的パラメータの安定化)、またはその両方で、疾病もしくは障害(例えば内臓肥満)の進行を阻止する、または疾病もしくは障害(例えば内臓肥満)の発症を遅らせることをさす。本明細書で使用される「治療」、「治療する」などの用語は、望ましい薬理学的および/または生理学的効果を得ることをさす。効果は、疾病もしくは状態またはその症状を完全または部分的に防止するという点で予防的であってもよく、および/または疾病または障害および/または疾病もしくは障害に起因する有害効果の部分的または完全治癒という意味で治療的であってもよい。本明細書で使用される「治療」は、ヒトのような哺乳類における疾病または障害の任意の治療を含み、以下を含む:疾病による死亡リスクを低下させる;疾病の素因を持つがまだ診断されていない被検体において疾病または障害の発症を予防する;疾病または障害を阻害する、すなわちその進行を停止させる(例えば、疾病の進行速度を低下させる);および疾病を緩和する、すなわち疾病の退行を誘導する。本発明の治療の利点には、内臓肥満に伴う疾病または状態の発症リスクまたは重症度の低下、容姿の改善(例えば、治療は「美容上有効な」治療で、これにはさらに身体的容姿の改善、心理的利点、感情的利点等を伴なってもよい)が含まれるが、これらに限定されることはない。
本明細書で使用される「予防」、「予防する」または「予防的」とは、疾病の家族歴のような内臓肥満の遺伝的素因(例えば、IGF-I欠乏状態と関連してもよく、または関連しなくてもよい)または内臓肥満の非遺伝的な素因を持つ被検体が、疾病または障害(例えば内臓肥満)を患うリスクを低下させることをさす。
本明細書で使用される「治療上有効な量」とは、臨床家または医師が決定した、疾病または障害(例えば内臓肥満)を治療または管理するために十分な化合物の量をさす。治療上有効な量は、疾病の発病を遅らせるまたは低下させるために(例えば、内臓肥満および/または内臓肥満に伴う状態の発病を遅らせるまたは最小にするために)、十分な化合物の量である可能性がある。治療上有効な量はまた、疾病の治療または管理において治療上の利点を提供する化合物の量をさす可能性がある。さらに、本発明の化合物に関して治療上有効な量とは、疾病の治療または管理において単独または他の治療法と組み合わせて、治療上の利点を提供する化合物の量を意味する。この用語は、例えば、治療全体を改善する、望ましくない効果を低下または回避する、他の治療薬の有効性または相乗作用を増強する等を含み得る。
いくつかの態様では「治療上有効な量」は、臨床家または医師が決定した「美容上有効な量」も含み、被検体の外面的身体的容姿を改善するために十分な化合物の量をさす。被検体の外面的身体的容姿には、例えば、例えば体の中央部を含む、体の特定の領域における脂肪沈着の低下が含まれる可能性がある。
本明細書で使用される「高血糖症」は、インスリンの産生、分泌、または機能(すなわちインスリン抵抗性)が個体で変化した、当技術分野で公知の任意の障害を指し、例えば、I型糖尿病およびII型糖尿病のような糖尿病およびインスリン抵抗性に起因する障害、ならびに重度インスリン抵抗性、高インスリン血症、妊娠糖尿病、自己免疫性糖尿病、高血糖症、β細胞不全、インスリン抵抗性、異脂肪血症、アテローマ、インスリノーマ、および高脂血症、例えば、肥満被検体、およびインスリン抵抗性糖尿病、例えば、メンデンホール症候群、ウェルナー症候群、妖精症、脂肪萎縮性糖尿病、および他の脂肪組織萎縮がある。「糖尿病」自体は、インスリンの不適切な産生または利用の関与した炭水化物代謝の進行性疾患であり、高血糖および糖尿で特徴づけられる。
本明細書で使用される「成長促進剤」は、哺乳類において成長を促進する試薬である。そのような試薬には、血清中のIGFの濃度上昇を引き起こす、哺乳類における内因性GHの放出を促進する、成長ホルモン(GH)分泌促進物質が含まれるがこれらに限定されない。例には、TRH、ジエチルスチルベストロール、テオフィリン、エンケファリン、Eシリーズのプロスタグランジン、VIP-セクレチン-グルカゴン-GRFファミリーのペプチド、およびGHRP-6のような他のGH分泌促進物質、米国特許第4,411,890号に記述されるGHRP-1、および米国特許第5,206,235号に開示されるようなベンゾ基の融合したラクタムが含まれる。例えば、1996年5月23日公開の国際公開公報第96/15148号も参照されたい。他の成長促進剤には、成長ホルモン分泌ペプチド(GHRP)、成長ホルモン分泌ホルモン(GHRH)、GH、長時間作用性GH、GHプラスGHBP、およびそのアナログが含まれる。例えば、GHRPはいずれも1995年6月29日公開の国際公開公報第95/17422号および国際公開公報第95/17423号;Bowers, J, 1993, Pediatr Endocrinol, 6:21-31;ならびにSchoen et al., 1993, Annual Reports in Medicinal Chemistry, 28:177-186に記述されている。GHRH およびそのアナログは、例えば、1996年11月28日公開の国際公開公報第96/37514号に記述されている。さらなる成長促進剤にはIGF-2が含まれ、またはIGF-I以外の化合物が利用される場合には、IGFBP-3と複合体を形成したIGF-Iのような、IGFBPと合わせたIGF-IまたはIGF-Iが含まれる。例えば、1994年8月4日公開の国際公開公報第94/16723号に記述される、キャリア中にIGF-IおよびIGFBPを含む薬学的組成物を、IGF-I自体ではない化合物と組み合わせて使用することができる。
本明細書で使用される「血糖低下剤」という用語は、経口剤のような、糖代謝の調節のために有用な化合物をさす。いくつかの態様では、ヒトに使用するそのような薬剤には、インスリン、および膵臓によるインスリン分泌を誘導するスルホニル尿素系の経口血糖低下剤が含まれる。例には、グリブリド、グリピジド、およびグリクラジドが含まれる。さらに、ビグアニド(メトホルミンおよびフェンホルミンを含む)、およびREZULIN(商標)(トログリタゾン)ブランドのインスリン感受性改善薬のようなチアゾリジンジオン等の、インスリン感受性増強剤またはインスリン感受性改善薬、ならびにPPARγ核受容体に結合する他の化合物も、本定義に含まれる。
本明細書で使用される「インスリン」は、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、および好ましくはヒトを含む任意の種由来の任意のタイプで、天然、合成、または組換えを問わず任意の供給源由来のインスリンを指す。報告されているすべてのインスリン剤、例えば、Diabetes Mellitus - Theory and Practice、第4版、Harold Rifkin, MD, Ed.(Elsevier, N.Y., 1990)、Chapter 29、およびU.S. Pharmacist, 18 (Nov. Suppl.) P. 3840 (1993)は、本明細書に適切である。Jens Brange, Galenics of Insulin. The Physico-chemical and Pharmaceutical Aspects of Insulin and Insulin Preparations (Springer-Verlag, N.Y., 1987), p 17-40に記載されているような、任意の形の市販のヒトインスリンが含まれる。これには、レギュラーインスリン、イソフェンインスリンとも呼ばれるNPH(ニュートラルプロタミンハーゲドルン(Neutral Protamine Hagedron))インスリン、70%NPHインスリンおよび30%レギュラーインスリンで構成される70/30インスリン、セミレンテインスリン、ウルトラレンテインスリン、レンテインスリン、およびヒューマログインスリンが含まれる。
本明細書で使用される「薬学的組成物」は、哺乳類、特にヒトのような被検体に投与するために適した組成物を含む。一般に「薬学的組成物」は無菌的であり、好ましくは被検体において望ましくない反応を誘導する能力のある不純物は含まない(例、薬学的組成物における化合物は医薬品グレードである)。薬学的組成物は、経口、口内、経直腸、非経口、腹腔内、皮内、気管内等を含むいくつかの投与経路を通して、必要とする被検体または患者に投与するように設計されてもよい。いくつかの態様では、組成物はDMSO以外の浸透増強剤を用いて、経皮的に投与するために適している。他の態様では、薬学的組成物は経皮的投与以外の経路による投与に適している。
本明細書で使用される「薬学的に許容されるキャリア」という用語は、活性成分の生物活性の有効性に干渉しないキャリア媒体を指す。キャリア媒体は、本質的に化学的に不活性かつ非毒性である。
本明細書で使用される「薬学的に許容される」という用語は、動物、特にヒトに使用するために、連邦政府または州政府の規制当局によって承認された、または米国薬局方もしくは他の一般的に認められている薬局方に記載されたことを意味する。
本明細書で使用される「キャリア」という用語は、それとともに治療薬が投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤、または溶媒を指す。そのようなキャリアは生理食塩水の水溶液のような無菌の液体、または落花生油、大豆油、鉱物油、胡麻油等のような、石油、動物、植物、または合成を由来とする油を含む油であり得る。生理食塩水は、薬学的組成物が静脈内投与される場合に好ましいキャリアである。生理食塩水および水性デキストロースおよびグリセロール溶液は、特に注射用溶液のための液体キャリアとしても使用できる。適当な薬学的賦形剤には、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、グリセロールモノステアレート、タルク、塩化ナトリウム、脱脂粉乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノール等が含まれる。必要ならば、キャリアは少量の湿潤剤もしくは乳化剤、またはpH緩衝剤も含むことができる。これらの薬学的組成物は、溶液、懸濁液、乳濁液、錠剤、丸薬、カプセル、粉末、徐放製剤等の形で良い。組成物は、トリグリセリドのような通常の結合剤およびキャリアと共に、座薬としても調製できる。適当な薬学的キャリアの例は、E.W. MartinのRemington’s Pharmaceutical Sciencesに記述されている。適当な薬学的キャリアの例は、N-(1(2,3-ジオレイロキシ)プロピル-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロライド(DOTMA)およびジオレシルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)を含むがこれらに限定されないさまざまなカチオン性ポリアミンおよび脂質である。リポソームは本発明の遺伝子療法に使用するために適したキャリアである。そのような薬学的組成物は、被検体に適切に投与するための剤形を提供するために、理論的に有効量の化合物および適当な量のキャリアを合わせて含む必要がある。製剤は、投与様式に適している必要がある。
本明細書で使用される、本発明の化合物の「薬学的に許容される誘導体」には、塩、エステル、エノールエーテル、エノールエステル、アセタール、ケタール、オルソエステル、ヘミアセタール、ヘミケタール、酸、塩基、溶媒化合物、水和物、またはそのプロドラッグが含まれる。そのような誘導体は、そのような誘導体化のための公知の方法を用いて、当業者は容易に調製できる。生産された化合物は、実質的な毒性効果なしに動物またはヒトに投与でき、薬学的に活性であるか、プロドラッグのいずれかである。
本明細書で使用される「薬学的に許容される塩」という用語は、無機および有機酸および塩基を含む、薬学的に許容される、本質的に非毒性の酸および塩基から調製される塩を指す。薬学的に許容される塩には、塩酸、リン酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸等に由来するような遊離アミノ酸基を用いて形成されるもの、およびナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、水酸化第2鉄、イソプロピルアミン、トリエチルアミン、2-エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカイン等に由来するような遊離カルボキシル基を用いて形成されるものがある。
本明細書で使用される「と組み合わせて」という用語は、例えば、第2の化合物の投与期間全体に渡り第1の化合物が投与される;第2の化合物の投与と重複する一定期間、第1の化合物が投与される、例、第1の化合物の投与が第2の化合物の投与の前に開始し、第2の化合物の投与終了の前に第1の化合物の投与が終了する;第2の化合物の投与が第1の化合物の投与の前に開始し、第1の化合物の投与終了前に第2の化合物の投与が終了する;第1の化合物の投与が第2の化合物の投与前に開始し、第1の化合物の投与終了前に第2の化合物の投与が終了する;第2の化合物の投与が第1の化合物の投与前に開始し、第2の化合物の投与が終了する前に第1の化合物の投与が終了する、というような使用を指す。「組み合わせて」という用語は、2つまたはそれ以上の化合物の投与に関する投与計画も指すことがある。本明細書で使用される「と組み合わせて」という用語は、同一または異なる経路による、同一または異なる剤形の、同一または異なる製剤中で投与される、2つまたはそれ以上の化合物の投与もさす。
特許請求の範囲は、任意の自由に選択できる要素を排除して起草される可能性がある。本声明はそれ自体として、特許請求の範囲の要素の詳述に関連しては、「唯一」「のみ」というような排除的な用語、または「否定的な」限定の使用のための先行する基礎となることを意図している。
本発明をさらに説明する前に、本発明は、それ自体多様であり、記述される特定の態様に限定されないことを理解する必要がある。さらに、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるため、本明細書で使用される用語は、特定の態様を説明するためのみに使用され、限定する意図はないことも理解する必要がある。
値の範囲が提供されている場合は、その範囲の上限および下限の間にある各値、および述べられた範囲にある他の述べられたまたは間にある任意の値は、文脈上明らかにそうでない場合以外は、下限の値の単位の10分の1まで、本発明に含まれることが理解される。これらのより小さな範囲の上限および下限は、そのより小さな範囲に独立して含まれてもよく、述べられた範囲内で特異的に排除された任意の限界値を除き、本発明に含まれる。述べられた範囲が片方または両方の限界を含む場合には、これらの含まれた限界値の片方または両方を除いた範囲も、本発明に含まれる。
特に規定しない限り、本明細書で使用されるすべての技術および科学用語は、本発明の属する技術分野の当業者による一般的理解と同じ意味を持つ。本明細書に説明されたものと類似または同等な任意の方法および材料も本発明の実施または試験に使用できるが、好ましい方法および材料は、以下に記述される。本明細書に述べられるすべての刊行物は、刊行物の引用に関連する方法および/または材料を開示および記述するために、参照として本明細書に組み入れられる。
本明細書および添付の特許請求の範囲では、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、文脈上明らかにそうでない場合以外は、複数も含む。したがって、例えば「1つの個体(an individual)」は、1つまたは複数の個体を含み、「その方法(the method)」は当業者に公知の同等な工程および方法も含む。
本明細書で考察される刊行物は、単に本願の出願日以前の開示を示すためにのみ提供される。先行発明のために、本発明がそのような刊行物に先行する権利がないと認めていると解釈することはできない。さらに、提供されている発行日は実際の発行日とは異なる可能性があり、これは独立して確認する必要がある場合がある。本明細書中の参考文献の引用または考察は、それが本発明に先行すると認めていると解釈してはならない。
本発明の実施では、他の記載がない限り、当技術分野内の化学、生化学、組換えDNA技術、およびウイルス学の通常の方法が使用されると考えられる。そのような技術は、文献に十分説明されている。例えば、Fundamental Virology, 2nd Edition, Vol. I & II (B. N. Fields and D. M. Knipe eds.); A. L. Lehninger, Biochemistry (Worth Publishers, Inc., current addition); Sambrook, et al., Molecular Cloning; A Laboratory Manual (2nd Edition, 1989); Methods In Enzymology (S. Colowick and N. Kaplan eds., Academic Press, Inc.); Oligonucleotide Synthesis (N. Gait, ed., 1984); A Practical Guide to Molecular Cloning (1984).
以下に本発明を詳細に説明する。
発明の詳細な説明
本発明は、ヒトに投与されたIGF-Iは内臓脂肪を減少させ、被検体の体脂肪分布が改善される(例えば、治療後の被検体では、皮下脂肪に対する内臓脂肪の比が低下している)という驚くべき所見に基づいている。本発明の目的は、内臓脂肪減少のための方法および組成物を提供することである。1つの態様では、本方法に使用するために適した化合物は、それぞれ生物活性のあるIGF-Iレベルを上昇させる化合物を含む、内臓脂肪減少剤、内臓脂肪蓄積阻害剤、または体脂肪分布改善剤を含む。別の態様では、化合物はIGF-Iを含む。特定の態様では、IGF-Iは活性成分としての他の血糖低下剤と組み合わせて投与される。IGF-I欠乏被検体のような特定の態様では、治療の目標は同じ年齢および性別の正常な被検体に見られる範囲内にIGF-Iレベルを回復することである。
如何なる理論にも縛られることはないが、IGF-I欠乏被検体においては、血中または組織のIGF-Iレベルを上昇させると、内臓脂肪の量または内臓脂肪の蓄積が低下し、肥満の代謝、循環器、および脂質異常を含む過剰内臓脂肪の副作用を予防できると期待される。内臓脂肪の増加は、糖尿病の被検体のような、疾病の進行による蓄積である可能性がある。IGF-Iの予防的使用の一例は、若い肥満小児である(若年でII型糖尿病を発症する小児)。そのような被検体では、IGF-Iは、内臓脂肪の蓄積を予防する。したがって特定の局面では、本発明は過剰内臓脂肪に影響される1つまたは複数の症状または状態の治療、診断、予防、または軽減に関する。
IGF-Iレベルの上昇
本発明は、生物活性のあるIGF-Iの血清濃度を上昇させる化合物を被検体に投与する段階を含む、被検体の内臓脂肪を減少させる方法および組成物を提供する。本発明の方法は、成長ホルモンが使用されないという条件で、生物活性のあるIGF-Iの血清濃度を上昇させる任意の化合物を投与することにより実施できる。
IGF-Iはヒトの体液、例えば、血液および脳脊髄液、ならびにヒトの組織中に天然に存在する。IGF-Iは多くの組織で生産されるが、大部分の循環するIGF-Iは肝臓で合成されると考えられている。IGFBPはIGF-Iの生物活性を調節すると考えられており(Jones and Clemmons, 1995, Endocr Rev, 16:3-34を参照されたい)、IGFBP-1が糖代謝の調節に関与する主な結合蛋白質とされている(Lee et al., 1993, Proc Soc Exp Biol & Med, 204:4-29を参照されたい)。Baxter, 「Physiological roles of IGF binding proteins」, Spencer ed., Modern Concepts of Insulin-like Growth Factors (Elsevier, New York, 1991), pp.371-380を参照されたい。肝臓によるIGFBP-1生産は、栄養状態によって調節されており、インスリンは直接に生産の抑制をする。Suikkari et al., 1988, J Clin Endocrinol Metab, 66:266-272を参照されたい。
他の大部分の成長因子と異なり、IGFは血液循環中に高濃度で存在するが、IGFのごく一部のみが蛋白質と結合していない。例えば、ヒトまたは齧歯類では、通常、血中IGFの5%未満が「遊離」または非結合である。Juul et al., 1996, Clin Endocrinol, 44:515-523; Hizuka et al., 1991, Growth Regulation, 1:51-55; Hasegawa et al., 1995, J Clin Endocrinol Metab, 80:3284-3286を参照されたい。血液循環中のIGFの圧倒的大部分は、IGF-IまたはIGF-2、IGFBP-3、および酸不安定サブユニット(acid-labile subnuit:ALS)と呼ばれる大きな蛋白質を含む、非共有結合で会合した3成分複合体の一部として存在する。この複合体は3成分を等モル量で含む。IGF、IGFBP-3、およびALSの3成分複合体の分子量は、約150,000ダルトンで、循環血中のこの複合体の機能は、IGF-IおよびIGF-2の貯蔵所および緩衝剤として働き、遊離のIGF-IまたはIGF-2の急速な変化を予防している可能性があると示唆されている。
したがって、いくつかの態様では、生物活性のあるIGF-Iレベルの上昇は、IGFBPに結合したIGF-Iを置換する分子を用いて実行できる。別の態様では、IGF-Iレベルの上昇は、天然のヒトIGF-Iまたは組換えヒトIGF-I (rhIGF-I)またはその変異型もしくはアナログのような、IGF-Iを直接投与することによって達成できる。別の態様では、IGF-Iレベルの上昇は、IGFBP-3のようなIGFBPに結合したIGF-I複合体を直接投与することによって実施することができる。
IGF-I変異型は、本方法に使用するために適している。IGF-I変異型を、タイプI受容体への効率的な結合を保持しながら、血清キャリア蛋白質(例えばIGFBP)への結合が低下するように設計できる。1つの局面では、これらの変異型の設計は、インスリンが血清キャリア蛋白質に結合しないという所見に基づく。その全体が参照として本明細書に明示的に組み入れられる1989年10月24日発行の米国特許第4,876,242号を参照されたい。合成のインスリン様の2鎖アナログから得られた証拠は、キャリア蛋白質結合を担うIGF-Iのアミノ酸は、IGF-IのB領域にあることを示唆している。したがって、ヒトIGF-Iの合成遺伝子を修飾して、hIGF-Iの最初の16アミノ酸が、ヒトインスリンのB鎖の最初の17アミノ酸によって置換されたIGF-I変異型をコードするようにできる。その後、合成遺伝子を酵母組換えDNA発現系に入れ、そこから修飾された酵母細胞によって生産されたペプチドアナログを抽出し、精製する。IGF-I分子の更なる修飾が行われ、更なるアナログが作成されたが、このすべては実質的なIGF-IタイプI受容体結合および血清キャリア蛋白質への結合低下を示す。
当技術分野で周知の他のIGF-I変異型およびアナログも、本発明に使用するために適している。そのような変異型には、例えば、さらに国際公開公報第96/33216号に記述された本物のIGF-Iの残基1〜69を持つ変異型、さらに欧州特許第742,228号に記述された短縮型Cドメインを持つ天然に存在する一本鎖IGF-Iの誘導体である、2本鎖IGF-Iスーパーアゴニストが含まれる。そのようなIGF-I変異型およびアナログには、公式BCn,Aが当てはまるが、ここでBはIGF-IのBドメインまたはその機能的アナログ、CはIGF-IのCドメインまたはその機能的アナログ、nはCドメインのアミノ酸数であり約8から約10を含む、約6から約12アミノ酸であり、AはIGF-IのAドメインまたはその機能的アナログである。
当技術分野で周知のIGF-Iの機能的変異体も本方法に使用するために適している。そのような機能的変異体には、Cascieri et al. (1988, Biochemistry 27:3229-3233)に記述されたものが含まれるが、これは4つのIGF-I変異体を開示するもので、そのうち3つではタイプI IGF受容体に対する親和性が低下している。これらの変異体は:(Phe23, Phe24, Tyr25)IGF-I(タイプ1および2のIGF、およびインスリン受容体に対する親和性はヒトIGF-Iと同等である)、(Leu24)IGF-Iおよび(Ser24)IGF-I(ヒト胎盤タイプI IGF受容体、胎盤インスリン受容体、ならびにラットおよびマウス細胞のタイプI IGF受容体に対する親和性はIGF-Iより低下している)、ならびにデスオクタペプチド(Leu24)IGF-I(24位の芳香性の損失がhIGF-Iのカルボキシ末端D領域の欠失と組み合わさっており、タイプI受容体に対する親和性は(Leu24)IGF-Iよりも低下し、インスリン受容体に対する親和性は上昇している)である。これらの4つの変異体は、ヒト血清結合蛋白質に対しては正常な親和性を示す。
当技術分野で周知のIGF-Iの構造的アナログも、本発明の方法に使用するために適している。そのような構造的アナログには、Bayne et al. (1988, J Biol Chem 264:11004-11008)に開示されるものが含まれるが、これはIGF-Iの3つの構造的アナログを開示するものである:IGF-Iのカルボキシ末端の8アミノ酸D領域を欠如している(1-62)IGF-I;IGF-IのC領域の残基28〜37が4残基のグリシンブリッジによって置換されている(1-27, Gly4, 38-70)IGF-I;およびC領域のグリシン置換およびD領域の欠如を持つ(1-27, Gly4, 38-62)IGF-I。Peterkofsky et al. (1991, Endocrinology, 128:1769-1779)は、上記Bayne et al. のGly4変異体を用いたデータを開示している。米国特許第5,714,460号は、神経障害を治療するために、IGF-I、または活性IGF-I濃度を上昇させる化合物を用いている。
他の構造的アナログには、Cascieri et al. (1989, J Biol Chem, 264:2199-2202)に記述されるものが含まれるが、これはIGF-IのA領域中の特定の残基がインスリンのA鎖の対応する残基で置換された3つのIGF-Iアナログを開示している。アナログは:残基41がスレオニンからイソロイシンに変化し、A領域の残基42〜56が置換されたA鎖変異体(Ile41, Glu45, Gln46, Thr49, Ser50, Ile51, Ser53, Tyr55, Gln56)IGF-I;(Thr49, Ser50, Ile51)IGF-I;および(Tyr55, Gln56)IGF-Iである。
IGFBP-1またはIGFBP-3に結合し、内因性IGF-IとIGFBPとの相互作用を阻害するIGF-Iの点変異体も、本方法で使用するために適しており、米国特許第6,509,443号に開示されている。
別の態様では、IGF-Iと結合蛋白質との相互作用を効果的に阻害する能力のあるIGF-Iアゴニスト分子のような、結合蛋白質に対するIGF-Iの相互作用を予防または阻害する化合物を投与し、IGF-IがIGF受容体に結合して活性を示すようにすることによって、IGF-Iレベルが上昇する。本発明の方法で使用するために適したそのようなIGF-Iアゴニストには、例えば、各々の全体が参照として本明細書に組み入れられる米国特許第6,251,865号;同第6,420,518号;および同第6,121,416号、ならびにファージディスプレイによって同定されたIGF-Iアゴニストを開示する1998年10月15日公開の国際公開公報98/45427号およびLowman et al., 1998, Biochemistry, 37:8870-8に記述されたものが含まれる。これらのIGF-Iアゴニスト分子は、IGFBPに結合したIGF-Iを効果的に置換することができる。IGF結合蛋白質(IGFBP)は、少なくとも6つの蛋白質のファミリーであり(Jones and Clemmons, 1995, Endocr Rev, 16:3-34; Bach and Rechler, 1995, Diabetes Reviews, 3:38-61を参照されたい)、やはりIGFに結合する可能性のある他の関連する蛋白質もある。IGFBPはIGF-IおよびIGF-2にさまざまな親和性および特異性で結合する。Jones and Clemmons, 上記;Bach and Rechler, 上記を参照されたい。例えば、IGFBP-3はIGF-IとIGF-2に同様な親和性で結合するが、IGFBP-2およびIGFBP-6はIGF-IよりもIGF-2のほうにはるかに高い親和性で結合する。Bach and Rechler, 上記;Oh et al., 1993, Endocrinology, 132, 1337-1344を参照されたい。
本発明で使用するために適したものには、国際公開公報94/04569号に記述されるように、天然のIGFBP以外の、IGF-Iに結合することによってIGF-IのIGFBPへの結合を妨害し、IGF-Iの生物活性を増強することが可能な結合蛋白質が含まれる。さらに、IGF-Iの結合蛋白質への相互作用を予防または阻害する能力のある他の分子には、国際公開公報97/39032号に開示されるIGF-Iのリガンド阻害剤も含まれる。
非ペプチドの低分子阻害剤も、生物活性のあるIGF-IをIGF-I/IGFBP-3複合体から放出することができる。例えば、イソキノリンアナログが有効であることが分かった(Chen et al., 2001, J Med Chem 44:4001-10を参照されたい)。Chen et al., 2001に記述されるように、ハイスループットスクリーニングおよびIGFBP放射性リガンド結合アッセイ法を用いて、別の化合物を見つけることもできる。
他のIGF-Iアゴニストには、低分子;合成薬;ペプチド;ポリペプチド;蛋白質;核酸(例えば、アンチセンスヌクレオチド配列、生物活性を持つ蛋白質、ポリペプチド、またはペプチドをコードする3重鎖らせんおよびヌクレオチド配列を含むがこれらに限定されないDNAおよびRNAヌクレオチド);抗体;合成および天然無機分子;模倣薬;ならびに合成および天然有機分子が含まれるが、これらに限定されることはない。
本発明の別の態様では、栄養補助剤によってIGF-Iレベルが上昇する。例えば、L-アセチルカルニチン、L-イソバレリルカルニチン、L-プロピオニルカルニチン、またはその薬学的に許容される塩は、外因性IGF-Iの投与によって生じる望ましくない効果なしに、IGF-Iの生産を誘導する能力がある。その全体が参照として明示的に本明細書に組み入れられる2002年4月30日発行の米国特許第6,380,252号を参照されたい。
本発明の別の態様では、L-アセチルカルニチン、L-イソバレリルカルニチン、L-プロピオニルカルニチン、またはその薬学的に許容される塩のうち任意のものを、L-カルニチン、コエンザイムQ10、ビタミンE、および/またはSe-L-メチオニン、ならびにそれらの薬学的に許容される塩および誘導体と組み合わせて投与すると、IGF-Iレベルの上昇が誘導され得る。
また、本発明ではIGF-Iレベルを上昇させるために、遺伝子療法を用いた哺乳類の治療を意図している。一般に遺伝子療法は、IGF-I遺伝子を発現する組換えベクターを用いて哺乳類中でIGF-Iレベルを上昇させる(または過剰発現させる)ために使用することができる。また、遺伝子療法を用いて、ペプチドであればIGFアゴニスト化合物をコードする核酸を発現させることもできる。別の例では、アンチセンスオリゴヌクレオチドを用いて、IGFBPの発現を低下させることもできる。遺伝子療法の他の例は、当業者により予期することができる。
遺伝子療法のために被検体の細胞に核酸(任意でベクター中に含まれた核酸)を導入するためには、主に2つの手法、すなわちインビボおよびエクスビボの手法がある。インビボの送達のためには、被検体の、通常はIGF-Iレベルの上昇が必要な部位に、核酸を直接注入する。エクスビボの治療では、被検体の細胞を取り出し、これらの単離された細胞中に核酸を導入し、修飾した細胞を、被検体に直接、または、例えば多孔性膜に被包して被検体に移植するなどして投与する。いずれも全体が参照として本明細書に明示的に組み入れられる米国特許第4,892,538号および同第5,283,187号を参照されたい。
核酸を生きた細胞に導入するためには、さまざまな技術が利用できる。技術は、核酸がインビトロで培養細胞に導入されるか、または意図された宿主の細胞にインビボで導入されるかによって異なる。インビトロで哺乳類細胞に核酸を移入するために適した技術には、リポソームの使用、電気穿孔法、マイクロインジェクション、細胞融合、DEAE-デキストラン、リン酸カルシウム沈殿法等が含まれる。遺伝子のエクスビボの送達に一般的に使用されるベクターは、レトロウイルスである。
インビトロ核酸移入技術の例には、ウイルスベクター(アデノウイルス、I型単純ヘルペスウイルス、またはアデノ随伴ウイルス)によるトランスフェクションおよび脂質ベースの系(遺伝子の脂質を介した移入に有用な脂質は、例えばDOTMA, DOPEおよびDC-Cholである)がある。場合によっては、細胞表面膜蛋白質または標的細胞に特異的な抗体、標的細胞上の受容体のリガンド等のように、標的細胞をターゲットとする薬剤とともに、核酸源を提供することが望ましい。リポソームが使用される場合には、エンドサイトーシスに関連する細胞表面膜蛋白質に結合する蛋白質を用いて、ターゲティングおよび/または取り込みの促進を行なうことができる(例えば、特定の細胞型に親和性のあるキャプシド蛋白質またはその断片、サイクリングにおいてインターナリゼーションを受ける蛋白質の抗体、および細胞内局在性を標的とし且つ細胞内半減期を拡張する蛋白質)。受容体を介するエンドサイトーシスの技術は、例えば、Wu et al., 1987, J Biol Chem, 262:4429-4432;およびWagner et al., 1990, Proc Natl Acad Sci USA, 87:3410-3414に記述されている。現在公知の遺伝子マーキングおよび遺伝子療法のプロトコールの総説は、Anderson et al., 1992, Science, 256:808-813および国際公開公報第93/25673号ならびにそれらの引用文献を参照されたい。
組み合わせ療法
IGF-Iレベルを上昇させる化合物と、血中の総IGF-Iを上昇させるか、またはIGF-Iの効果を増強するような1つまたは複数の他の適当な試薬の組み合わせ療法もまた、本発明により意図される。1つの態様では、これらの更なる試薬は、一般的に血清中のIGFBPの量を上回る過剰の血清IGF-Iを可能にするか、またはIGFBPからのIGF-Iの放出を可能にし、成長促進剤はこれに含まれる。
試薬はIGF-I血清濃度を上昇させる化合物と順次または同時に投与でき、例えば、使用する試薬のタイプ、試薬および化合物が使用される目的、および臨床的な検討といった要因により、単独で用いる場合と同じ、これより高い、またはこれより低い用量で使用できる。さらに、食事または運動計画などのIGF状態を操作する他の手段はまた、本発明の一部として、組み合わせ療法であると考えられている。
いくつかの態様では、インスリンまたはスルホニル尿素のような、本明細書で規定される有効量の血糖低下剤と共に、製剤は投与される。血糖低下剤は、非経口、経鼻、経口、または他の任意な有効な経路を含む適当な技術により、哺乳類に投与される。最も好ましくは、投与は経口で行われる。例えば、Upjohnにより1.25 mg, 2.5 mgおよび5 mgの濃度の錠剤で市販されているMICRONASE(商標)錠剤(グリブリド)は、経口投与に適している。この治療を受けるII型糖尿病の通常の維持用量は、一般的に1日あたり約1.25〜20 mgの範囲であり、適切と考えられるように単回で投与しても1日の間で複数回に分割して投与しても良い。Physician’s Desk Reference, 2563-2565 (1995)を参照されたい。処方に利用できる他のグリブリドベースの錠剤の例には、GLYNASE(商標)ブランドの薬剤(Upjohn)、およびDIABETA(商標)ブランドの薬剤(Hoechst-Roussel)が含まれる。GLUCOTROL(商標)(Pratt)は、5 mgおよび10 mgの強度の両方があるグリピジド(1-シクロヘキシル-3-(p-(2-(5-メチルピラジンカルボキサミド)エチル)フェニル)スルホニル)尿素)錠剤の商標であり、食事制限後に血糖低下療法が必要なII型糖尿病、または他のスルホニル尿素に応答しなくなった被検体にも投与される。Physician’s Desk Reference, 1902-1903 (1995)を参照されたい。ビグアニド(例えば、メトホルミンおよびフェンホルミン)もしくはチアゾリジンジオン(例えば、トログリタゾン)のようなスルホニル尿素以外の他の血糖低下剤、またはインスリンの活性に影響を与える他の薬剤も、使用することができる。チアゾリジンジオンが化合物と併用される場合は、現在使用されているのと同じレベルまたはいくらか低いレベルで使用され、化合物単独で見られる効果またはジオンと併用して見られる効果について調節できる。単独で使用される場合のトログリタゾン(REZULIN(商標))の典型的な用量は、約300〜約600 mg/日のような、約200〜約800 mg/日を含む、1日あたり約100〜約1000 mgであり、そのような範囲は本明細書に適用される。例えば、Ghazzi et al., 1997, Diabetes, 46:433-439を参照されたい。他の態様では、トログリタゾンよりも強力なインスリン感受性改善剤であるチアゾリジンジオンが、より低い用量で使用される場合がある。
いくつかの態様では、インスリンも投与される場合に、インスリンは例えば、NPHインスリンのような任意のインスリン製剤で良く、NPHインスリンの場合の用量は1日2回、約5〜約50ユニット/回(すなわち約0.2〜約2 mg)の皮下注射である。インスリンと化合物の併用の場合は、本製剤におけるNPHインスリンと化合物の重量比は、通常、約1:1から約1:10、約1:1から約1:5および約1:1から約1:3のような、約1:1から約1:20を含む、約10:1から約1:50である。IGF-Iはインスリンと製剤化することができる(例えば、米国特許第5,783,556号または同第6,559,122号を参照されたい)。
別の態様では、IGF-Iは、任意の1つまたは複数のその結合蛋白質、例えば、IGFBP-1、IGFBP-2、IGFBP-3、IGFBP-4、IGFBP-5、またはIGFBP-6と共に適切に投与される。機構に縛られることはないが、IGF-IとIGFBPとの同時投与は、IGF-Iの半減期を延長することにより、IGF-I単独よりも大きな効果を提供する可能性がある。
使用に適した結合蛋白質の1つはIGFBP-3であり、これは米国特許第5,258,287号、およびMartin and Baxter, 1986, J Biol Chem, 261:8754-8760に開示されている。このグリコシル化されたIGFBP-3蛋白質は、内因性IGFの大部分を運ぶヒト血漿中に見られる125〜150 Kdの糖蛋白質複合体の、非還元SDS-PAGE上で約53 Kdの酸安定性成分であり、やはりGHに調節される。
IGF-Iと合わせたIGF結合蛋白質の投与は、米国特許第5,187,151号に記述される方法によって実施できる。簡単に述べると、IGF-IとIGFBPは、約1:1のような約0.75:1から約2:1を含む、約0.5:1から約3:1のモル比で、皮下大量注射によって有効量が投与される。
特定の薬剤は、その活性の副作用として脂肪沈着を含む。例えば、HIVの治療に使用されるプロテアーゼ阻害剤は、中心部の脂肪分布を引き起こす。Hui, DY, 2003, Prog Lipid Res 42:81-92を参照されたい。インスリンの投与、またはインスリン分泌の刺激、または内臓脂肪沈着におけるインスリン受容体の感受性を改善する化合物の投与も、内臓脂肪沈着における脂肪の沈着を増加させる(実施例1を参照されたい)。生物活性を持つIGF-Iの血清濃度を上昇させる化合物の同時投与は、これらの副作用を軽減し、全体の沈着を低下させるか、または沈着した内臓脂肪の量を低下させることができる。
内臓肥満に伴う疾病または状態
内臓肥満の被検体における皮下脂肪に対する内臓脂肪の比を低下させる方法を用いて、内臓脂肪に伴う疾病および状態のリスクを低下させることができる。内臓脂肪は、冠動脈性心疾患、特定の癌、糖尿病、糖不耐性、および高インスリン血症のような疾病および状態の重要な予測因子である。Montague, CT et al., 2000, Diabetes 49:883-888を参照されたい。特定の理論に縛られることはないが、内臓脂肪は肝臓に対してより大きな脂肪酸負荷をかけ、上記の状態の多くを誘導すると考えられている。さらに、体脂肪分布は寿命に非常に重要な影響を与え、男性の内臓脂肪の程度が高いために、特に寿命の性差に非常に重要な影響を持つことが示されている。Kissebah AH et al., 1994, Physiol Rev 74:761-811を参照されたい。内臓脂肪の蓄積は、肥満男性において高血圧の予測因子であることも示されている。Watanabe et al., 2003, Clin Exp Hypertens 25:199-208を参照されたい。内臓脂肪は歯周病にも関連している。Wood N et al, 2003, J Clin Periodontol 30:321-327を参照されたい。
内臓脂肪の重要性は、ダイエットまたは体重減少の効果にもおよぶ。非糖尿病の肥満被検体における体重減少インターベンション試験では、内臓脂肪組織の低下は、インスリン感受性の改善を最も良く予測した、体重減少後の体組成変化であった。Goodpaster, BH et al., 1999, Diabetes 48:839-847を参照されたい。
さらに、まだ中心部肥満ではないIGF-I欠乏個体は、内臓脂肪の沈着傾向を低下させるために、予防的に治療できる。そのような治療は、内臓脂肪に関連した疾病および状態のリスクを低下させると期待される。体脂肪分布の重要性は、II型糖尿病の発症リスクを持つためには肥満である必要はない、過剰な内臓脂肪自身が糖尿病の素因となるということを示したごく最近の証拠によって強調される。Goodpasterらは、正常体重の高齢男女が不釣り合いな量の腹部内臓脂肪を有する場合には、II型糖尿病を含む代謝異常のリスクがあることを示した。Goodpaster, BH et al., 2003 Diabetes Care 26:372-379を参照されたい。
肥満は、II型糖尿病の最も強力なリスク因子の1つである。これはおそらく、併発する肝臓および骨格筋における、インスリン抵抗性グルコース代謝のためである。例えば、最近の報告によると、小児におけるII型糖尿病の驚くべき増加を報告しており、日本人の学童においてはII型糖尿病は以前はまれであったが、現在ではI型糖尿病の7倍の頻度で見られ、過去20年間に発症率は30倍以上増加しているが、これは食事の変化と肥満の割合の上昇にさかのぼることができる。例えば、Rosenbloom, AL, 1999, Diabetes Care 22:345-354を参照されたい。肥満とインスリン抵抗性の関係は、脂肪組織の分布の研究によってさらに分析されてきた。
1つの態様では、本発明の方法により皮下脂肪に対する内臓脂肪の比を低下させることができ、これは任意で体重減少の誘導を伴う場合がある。1つの態様では、本発明の方法は、糖尿病の被検体における血糖コントロールも改善する。全体が参照として本明細書に明示的に組み入れられる米国特許第5,466,670号は、IGF-Iレベルが正常化すると血糖レベルの長期的コントロールが改善することを考察している。適切な血糖コントロールは、HbA1cレベルによって測定され得る。米国食品医薬品局は、正常な健常人では>5%のエンドポイントを認めている。別の態様では、本発明の方法は必ずしも体重減少を誘導することなく、皮下脂肪に対する内臓脂肪の比を低下させる。
さらに別の態様では、本発明の方法により、糖尿病のサブセットであるメタボリックシンドロームの被検体において、内臓脂肪(例えば、皮下脂肪に対する内臓脂肪の比により評価される)を低下させ、且つ心疾患のリスクを低下させることができる。メタボリックシンドロームは、以下の症状のうち3つまたはそれ以上を持つ被検体に伴う状態である:過剰な腹部脂肪(男性において、腰囲40インチ以上;女性において腰囲35インチ以上);空腹時高血糖(110 mg/dL以上);空腹時トリグリセリドレベル(150 mg/dL以上);低HDL(男性において40 mg/dL未満、女性において50 mg/dL未満);および高血圧(130/85以上)。
別の態様では、内臓脂肪の量を低下させ、場合によっては被検体の体重減少を誘導するために有効な量の化合物を投与する段階を含む、予防的(発症前)および/または美容的治療を含む、被検体の治療方法が提供される。場合によっては、体重減少は、内臓脂肪(例えば、皮下脂肪に対する内臓脂肪の比によって評価される)の減少と比例して減少するわけではない。
治療に適した被検体
本発明の方法は、皮下脂肪に対する内臓脂肪の比、または総体脂肪のうち内臓脂肪に起因する割合%として表されてもよい、過剰の内臓脂肪を有する被検体を助けると考えられる。特定の態様では、被検体は、肥満、糖尿病、またはIGF-I欠乏を持つ。
IGF-Iレベルの上昇から恩典を得る被検体を、当技術分野の通常の方法を用いて同定することができる。被検体の内臓脂肪を、直接測定することができる。内臓肥満を、被検体の尻囲の値に対する腰囲の値の比を決定することにより診断することができる。一般に、腰囲と尻囲の測定を行ない、比を内臓肥満に伴う特定の疾病または状態のリスク量を表す公開された表と比較する。腰囲の測定、すなわちベルトサイズは、それ自身でも使用できる。治療に応じた被検体の内臓脂肪レベルの変化(例えば、「内臓脂肪の減少」)は、被検体の尻囲の値に対する腰囲の値の比によって見積もることができる。腰囲(または「腹囲」)の測定では、内臓脂肪と皮下脂肪の両方が勘定に入れられるが、尻囲の測定では皮下脂肪のみが勘定に入れられる。
内臓脂肪を、当業者に公知の標準的な測定法、例えば腹部のコンピュータ断層撮影(CT)スキャンによって、定性的および定量的のいずれでも評価することができる。必要ならば、CTスキャンを用いて、以下の実施例に説明されるように、内臓および皮下脂肪の両方を評価することができる。そのような場合には、被検体が治療に反応するかどうかの決定の一部として、および/または本発明に従った治療のモニターのために、皮下脂肪に対する内蔵脂肪の比を決定することが有用である可能性がある。
別の態様では、被検体はIGF-I欠乏であるが、本発明の治療に反応するためには、被検体はIGF-I欠乏である必要はない。特定の態様では、IGF-I欠乏の被検体は、内臓肥満を患っており、低身長および/または糖尿病も患う可能性がある。本発明は、内臓肥満と診断されたが、IGF-I欠乏、糖尿病、または低身長ではない被検体の治療も含む。
IGF-I欠乏の被検体は、その年齢の正常範囲よりも低いIGF-Iレベルを持つ。IGF-I欠乏被検体は一般に、正常の-1SD以下、または-2SDより低いIGF-Iレベルを持つ。IGF-I欠乏被検体は、正常に満たない、または正常の-2SD以下の成長ホルモン結合蛋白質も持つ可能性がある。IGF-I欠乏被検体は、IGFBP-3の血中濃度も正常よりも低い可能性がある。
IGF-Iレベルの上昇から恩典を得るIGF-I欠乏被検体を、当技術分野の通常の方法を用いて同定することができる。IGF-Iレベルを血中で測定することができる。IGF-Iと関連する遺伝子異常は、標準的な遺伝子検査を用いることで検出できる。局所IGF-I欠乏のマーカーを(IGFBP-1のレベルのような)、通常の検査を用いて検出することができる。
体液または血液のような生体液におけるIGFレベルの測定は、RIAおよびELISAを含む、任意の方法で行なうことができる。例えば、血中の総IGF-Iを、特に抗IGF-I抗体と競合してIGF-Iの検出に干渉する結合蛋白質を酸エタノールを用いて血液試料から抽出した後、市販のラジオイムノアッセイ法(Medgenix Diagnostics, Brussels, Belgium; IGF-I RIA Kit, Nichols Institute, San Juan Capistrano, CA)により決定できる。IGFBPは、IGFBP-1およびIGFBP-3の測定のための市販の免疫ラジオメトリックアッセイ(IRMA)を用いて、測定することができる(Diagnostic System Laboratories, Inc., Webster, TX)。
別の方法では、血中の「遊離」または活性IGFの測定を行なう。例えば1つの方法は、その全体が参照として本明細書に明示的に組み入れられる米国特許第5,198,340号に記述されている。その全体が参照として本明細書に明示的に組み入れられる2001年6月26日発行の米国特許第6,251,865号には、IGF結合蛋白質に結合した内因性IGFもしくは外因性IGF、もしくはIGF結合蛋白質に結合するがIGF結合蛋白質に結合したヒトIGF受容体には結合しない化合物量を検出するための、または生体液中の非結合IGFのレベルを検出するための、別の方法が記述されている。この方法は:生体液に1)固相キャリアに結合した化合物に特異的な、化合物検出手段(例えば化合物上のエピトープに特異的な第1の抗体)であって、化合物の存在下ではIGF結合蛋白質への結合のために化合物上のIGF結合部位が利用でき、それによりこの手段とIGF結合蛋白質の間で複合体を形成する手段;および2) IGF結合蛋白質上の利用できるすべてのIGF結合部位を飽和し、飽和した複合体を形成するために十分な時間にわたって化合物とを接触させる段階;化合物がIGF結合蛋白質に結合したときに結合に利用できる、IGF結合蛋白質に特異的な検出可能に標識した第2の手段(例えばIGFBP上のエピトープに特異的な第2の抗体)を飽和した複合体に接触させる段階;および生体液中のIGFBPの尺度として、したがって、結合した化合物とIGF結合蛋白質、結合したIGFとIGF結合蛋白質、または生体液中に存在する活性IGFの量の尺度として、結合された標識手段の量を定量的に分析する段階を含む。
その全体が参照として本明細書に明示的に組み入れられる米国特許第5,593,844号および同第5,210,017号は、抗体を使用して液体試料中のIGFBPの量を定量するために使用できる、リガンドを介した免疫機能結合蛋白質アッセイ法を開示しているが、ここではこれらの結合蛋白質の1つとそれに結合するリガンドの間で複合体が形成される。
リガンドを介した免疫機能法(LIFA)と呼ばれる上述の抗体を用いた定量技術は、その全体が参照として本明細書に明示的に組み入れられる米国特許第5,593,844号において、IGFとの接触によりIGFBPの量を決定するために記述されている。
本発明の方法および組成物に反応してもよい正常な被検体、すなわちIGF-Iレベルの低下、肥満、または糖尿病の症状を示さない被検体を、遺伝子検査および家族歴のスクリーニングを含むがこれらに限定されない、肥満、糖尿病、またはIGF-Iレベルと関連した疾病もしくは状態を予測する、任意の方法によって同定することができる。
投与量およびスケジュール
治療または美容上有効な用量の選択は、当技術分野で公知のいくつかの要因を考慮して、臨床家または医師のような熟練した専門家によって決定され得る(例えば臨床試験)。そのような要因には、例えば、IGF-I血清濃度を上昇させる化合物の特定の型、バイオアベイラビリティ、代謝、半減期等のような化合物の薬物動態パラメータが含まれ、これらは、薬学的化合物の薬事承認において通常使用される開発過程において確立される。用量の検討における更なる要因には、治療する疾病または状態、被検体において達成される恩典、被検体の体重、被検体の免疫状態、投与経路、化合物または併用剤の投与が急性であるか慢性であるか、併用剤、および投与される薬剤の有効性に影響することが当業者で公知の他の要因が含まれる。
いくつかの態様では、1投与あたり非経口投与されるIGF-Iの合計の薬学的有効量は、被検体の体重当たり、約20〜約40μg/kg/日のような約10〜約80μg/kg/日を含む、約5μg/kg/日〜約400μg/kg/日の範囲であるが、これは多大に治療時に手加減されると考えられる。IGF-Iは、注射(単回または複数回、例えば1日あたり2〜4回を含む1日あたり1〜5回)または輸液を含む、任意の手段で投与されてもよい。いくつかの態様では、IGF-Iは1日1回または2回皮下注射される。徐放製剤が使用される場合には、通常は使用される用量(1日あたりで計算される)は、上記の半分まで低下すると考えられる。
本発明の別の態様では、内臓脂肪を減少させるために(例えば、皮下脂肪に対する内臓脂肪の比により評価される)、約40μg/kg/日のような約30μg/kg/日から約50μg/kg/日を含む、約20μg/kg/日から約60μg/kg/日の用量で、IGF-Iが投与される。
さらに本発明は、IGF-Iレベルを上昇させる化合物および薬学的に許容されるキャリアを含む、薬学的組成物を提供する。適当な薬学的に許容されるキャリアには、薬学的組成物の生物活性の有効性に干渉しない、本質的に化学的に不活性および非毒性の薬学的組成物が含まれる。適当な薬学的キャリアの例には、グリセロール溶液、エタノール、N-(1(2,3-ジオレイロキシ)プロピル)-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロライド(DOTMA)、ジオレシルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、およびリポソームが含まれるが、これらに限定されない。そのような薬学的組成物は、治療に有効な量の化合物と、適当な量のキャリアを合わせて含み、被検体に投与するために適切な形態を提供する必要がある。製剤は投与様式に適合する必要がある。例えば、経口投与の場合は、消化管内での分解から本発明を守るために、腸溶コーティングが必要である。別の例では、本発明の化合物は、特に核酸のためには、分解酵素から化合物を遮へいし、循環器系中での輸送を促進し、細胞膜を通して細胞内部位へ有効に送達するために、リポソーム製剤で投与してもよい。
別の態様では、薬学的組成物はIGF-I蛋白質、および/または1つもしくは複数の治療薬;および薬学的に許容されるキャリアを含む。1つの態様では、他の治療薬を含むまたは含まない、IGF-I蛋白質、および薬学的に許容されるキャリアを含む、薬学的組成物は、有効な用量である。
本発明の薬学的組成物は、中性または塩の形式で製剤化され得る。薬学的に許容される塩には、塩酸、リン酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸等に由来するような遊離アミノ基で形成されるもの、およびナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、水酸化第2鉄、イソプロピルアミン、トリエチルアミン、2-エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカイン等から得られるような遊離カルボキシル基を用いて形成されるものが含まれる。
好ましい態様では、組成物は、ヒトに対する皮下注射または静脈内投与に適合した薬学的組成物として、通常の手順にしたがって製剤化される。通常は、皮下注射または静脈内投与のための薬学的組成物は、無菌等張水性緩衝液中の溶液である。必要ならば、組成物は可溶化剤、および注射部位の疼痛緩和のためにリドカインのような局所麻酔剤も含んでもよい。一般に成分は、活性成分の量を示すアンプルまたは袋のような密封容器中で、乾燥した凍結乾燥粉末もしくは無水濃縮物として、別々にまたは1つの単位剤形中に混合して供給される。輸液により組成物が投与される場合は、無菌の医薬品グレードの水、生理食塩水、または他の許容される希釈剤を含む、輸液ボトル、バッグ、または他の許容される容器で調剤することができる。組成物が注射により投与される場合には、投与前に成分を混合できるように、注射用水または生理食塩水のアンプルを提供してもよい。
いくつかの態様では、IGF-Iの製剤は米国特許第5,681,814号に記述されるものである。この製剤は、以下のとおりである:組成物のpHが約5〜約5.5になるような量で、約2 mg/mlから約20 mg/mlのIGF-I、約2から約50 mg/mlの浸透圧剤、約1から約15 mg/mlの少なくとも1つの安定化剤、および緩衝液(酢酸塩緩衝液または酢酸ナトリウムのような)。任意で、製剤は、例えば約1〜約3 mg/mlのような約1〜5 mg/mlの量で、界面活性を含んでも良い。
いくつかの態様では、浸透圧剤は、約2〜10 mg/mlの濃度の無機塩または約40から約50 mg/mlの濃度の糖アルコールであり、安定化剤は、ベンジルアルコール、フェノール、または両方で、緩衝溶液は酢酸塩緩衝溶液である。別の態様では、浸透圧剤は塩化ナトリウムのような無機塩である。
別の態様では、IGF-Iの量は約8〜約12 mg/mlであり、塩化ナトリウムの量は約5〜約6 mg/mlであり、安定化剤は約8〜約10 mg/mlのベンジルアルコールおよび/または約2〜約3 mg/mlのフェノールであり、且つ緩衝液は約50 mMの酢酸ナトリウムで、pHは約5.4である。任意で、製剤は界面活性剤として約1〜約3 mg/mlのポリソルベートを含む。
経口投与に適応させた薬学的組成物は、例えば、カプセルまたは錠剤として;粉末または顆粒として;溶液、シロップ、または懸濁液として(水性または非水性液体中);可食泡沫またはホイップとして;または乳濁液として、提供されてもよい。錠剤またはハードゼラチンカプセルは、例えば、ラクトース、デンプンまたはその誘導体、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウム、ステアリン酸またはその塩を含んでもよい。ソフトゼラチンカプセルは、例えば、植物油、ワックス、脂肪、半固体、または液体ポリオール等を含んでもよい。溶液およびシロップは、例えば、水、ポリオール、および糖を含んでもよい。
経口投与を意図した活性の薬剤は、消化管中での活性の薬剤の分解を遅らせたり、または吸収に影響を与える物質(例えば、モノステアリン酸グリセリンまたはジステアリン酸グリセリン)で被膜または混合することができる。したがって、例えば、活性の薬剤の徐放は、何時間かに渡り達成でき、また必要ならば、活性の薬剤を消化管内での分解から保護することもできる。消化管におけるさまざまなpHおよび酵素条件を利用して、経口投与のための薬学的組成物を、特定の消化管部位での活性薬剤の放出を促進するように製剤化することができる。
非経口投与に適応させた薬学的組成物には、水性および非水性の無菌注射用溶液または懸濁液が含まれるがこれらに限定されることはない。これらは、抗酸化剤、緩衝液、制菌剤、および意図されたレシピエントの血液と薬学的組成物を実質的に等張にする溶質を含んでもよい。そのような薬学的組成物中に存在する可能性のある他の成分には、例えば水、アルコール、ポリオール、グリセリン、および植物油が含まれる。非経口投与のために適応させた組成物は、単位投与量または複数回投与量の容器中、例えば、密封アンプルおよびバイアルで提供されてもよく、凍結乾燥条件で保存し、使用直前に無菌液体キャリア、例えば、注射用無菌生理食塩水溶液を添加する必要がある場合がある。即時調合注射溶液および懸濁液は、無菌粉末、顆粒、および錠剤から調製されてもよい。そのような薬学的組成物は、IGF-Iの血清濃度を上昇させる治療または美容上有効な量の化合物および適当な量のキャリアを合わせて含み、被検体に適切に投与できる剤形を提供する。製剤は、投与様式に適合する必要がある。
経皮投与に適応させた薬学的組成物は、長時間にわたって表皮に密接に接触するような独立したパッチとして提供されてもよい。局所投与に適応させた薬学的組成物は、例えば、軟膏、クリーム、懸濁液、ローション、粉末、溶液、ペースト、ゲル、スプレー、エアゾル、またはオイルとして提供されてもよい。局所軟膏またはクリームは、好ましくは皮膚、口、目、または他の外部組織への局所投与に使用されてもよい。軟膏中に調合する場合には、活性成分はパラフィンまたは水混和性の軟膏基剤のいずれかと使用される場合がある。または、活性成分を、水中油基剤または油中水基剤とともにクリームに製剤化することができる。
目の局所投与用に適応させた薬学的組成物には、点眼剤または注射用薬学的組成物が含まれる。これらの薬学的組成物では、活性成分は適当なキャリア中に溶解または懸濁化されてもよく、これには、例えばカルボキシメチルセルロースを含むまたは含まない水性溶媒が含まれる。口の局所投与用に適応させた薬学的組成物には、例えばロゼンジ、香錠、およびマウスウォッシュが含まれる。
経鼻投与用に適応させた薬学的組成物には、粉末(好ましくは20〜500ミクロンの範囲の粒子サイズを持つ)のような固体キャリアが含まれてもよい。粉末は、鼻吸入が行われる様式で、すなわち鼻の近くにおいて粉末容器からの鼻を通した迅速な吸入により、投与され得る。または、経鼻投与用に適応させた薬学的組成物には、例えば、経鼻スプレーまたは点鼻薬のような液体キャリアが含まれてもよい。これらの薬学的組成物は、活性成分の水性または油性溶液を含んでもよい。吸入による投与のための組成物は、予め決定された投与量の活性成分を提供するように構成された加圧エアゾル、ネブライザー、または注入器を含むが、これらに限定されない特殊装置中で供給されてもよい。
直腸投与用に適応させた薬学的組成物は、座薬または浣腸剤として提供されてもよい。膣投与用に適応させた薬学的組成物は、例えば、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォーム、またはスプレー製剤として提供されてもよい。
座薬は一般に、重量で0.5%から10%の範囲で活性成分を含む。経口製剤は、好ましくは重量で10%から95%の活性成分を含む。
さらに別の態様では、部位からのIGF-Iのクリアランスを遅らせるか、例えば注射または投与部位からのIGF-Iの放出を遅らせるかのいずれかを行なう長時間作用型IGF-I製剤を用いて、IGF-Iを投与することができる。IGF-Iの血漿クリアランスを延長する長時間作用型製剤は、PEGおよびポリプロピレングリコールホモポリマーおよびポリオキシエチレンポリオールからなる群より選択される水溶性ポリマー、すなわち室温で水に可溶性のポリマーような高分子と複合体を形成するまたはこれと共有結合(可逆的または不可逆的結合)した形のIGF-Iであってもよい。または、IGF-Iは循環血中の半減期を上昇させるようなポリマーと複合体を形成してもよく、または結合してもよい。この目的のために有用なポリエチレンポリオールおよびポリオキシエチレンポリオールの例には、ポリオキシエチレングリセロール、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビトール、ポリオキシエチレングルコース等が含まれる。ポリオキシエチレングリセロールのグリセロール骨格は、例えば、動物およびヒトに存在するモノ、ジ、およびトリグリセリドの骨格と同じである。ポリマーは特定の分子量を持つ必要はないが、約3500〜100,000の間、より好ましくは5000〜40,000の間の分子量が好ましい。好ましくはPEGホモポリマーは置換されていないが、片方の端がアルキル基で置換されている場合もある。好ましくはアルキル基はC1-C4アルキル基で、最も好ましくはメチル基である。最も好ましくは、ポリマーはPEGの置換されないホモポリマー、PEGのモノメチル置換ホモポリマー(mPEG)、またはポリオキシエチレングリセロール(POG)であり、約5000〜約40,000の分子量を有する。
本発明の薬学的組成物の投与には、経口、静脈内注入、皮下注射、筋肉内、局所、デポ注入、移植、持続放出モード、腔内、鼻腔内、吸入、腫瘍内、眼内、および制御放出が含まれるが、これらに限定されることはない。本発明の薬学的組成物は、非経口、経粘膜(例、経口)、経鼻、経直腸、膣内、舌下、粘膜下、または経皮的に導入される場合もある。好ましくは、投与は非経口、すなわち消化管を通さずに、例えば、静脈内、皮下、筋肉内、腹腔内、眼窩内、包内、脊椎内、胸骨内、動脈内、または皮内投与のような、他の経路を通す。当業者は投与様式を選択する際に、検討すべき特定の利点および欠点を理解することができる。本発明は複数の投与様式を含む。例えば、IGF-I蛋白質は皮下注射で投与され、併用薬は静脈内注入で投与される。さらに、1つまたは複数のIGF-I蛋白質種の投与は、併用薬と共にまたは併用薬なしで、同時(すなわち同時投与)または順次に行われてもよい。例えば、まずIGF-I蛋白質を投与して、引き続く第2の併用薬投与または治療に対する感受性を上昇させる。別の態様では、他の治療薬のある場合でも、またはない場合でも、1つまたは複数のIGF-I蛋白質種の投与期間は重複する可能性がある。例えば、IGF-I蛋白質を7日間投与し、第2の治療薬をIGF-I蛋白質治療の5日目から開始し、第2の治療薬による治療が7日間のIGF-I蛋白質治療終了後も引き続く。IGF-Iは、米国特許第5,565,428号に記述されるように、サイクルで間欠的に投与することもできる。
1つの態様では、本発明の薬学的組成物は、制御放出または徐放系によって送達される。例えば、薬学的組成物を、静脈内注入、植え込み式浸透ポンプ、経皮パッチ、リポソーム、または他の投与様式を用いて投与することができる。1つの態様では、ポンプを使用することができる(例、Langer, 1990, Science 249:1527-33; Sefton, 1987, CRC Crit. Ref. Biomed. Eng. 14:201; Buchwald et al., 1980, Surgery 88:507; Saudek et al., 1989, N. Engl. J. Med. 321:574を参照されたい)。別の態様では、化合物を、小胞、特にリポソーム中で送達することができる(例えば、Langer, Science 249:1527-33 (1990); Treat et al., 1989, Liposomes in the Therapy of Infectious Disease and Cancer, Lopez-Berestein and Fidler (eds.), Liss, New York, pp. 353-65; Lopez-Berestein, 同上、pp. 317-27; 国際公開公報第91/04014号;米国特許第4,704,355号を参照されたい)。別の態様では、ポリマー材料を使用することができる(例、Medical Applications of Controlled Release, Langer and Wise (eds.), CRC Press: Boca Raton, Florida, 1974; Controlled Drug Bioavailability, Drug Product Design and Performance, Smolen and Ball (eds.), Wiley: New York (1984); Ranger and Peppas, 1953, J. Macromol. Sci. Rev. Macromol. Chem. 23:61; Levy et al., 1985, Science 228:190; During et al., 1989, Ann. Neurol. 25:351; Howard et al., 1989, J. Neurosurg. 71:105)。徐放性組成物の適当な例には、例えばフィルムまたはマイクロカプセルのような、成型された物質の形の半透過性ポリマー基質が含まれる。徐放基質には、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号、欧州特許第58,481号)、Lグルタミン酸とγ-エチル-L-グルタメートのコポリマー(Sidman et al., 1983, Biopolymers, 22:547-556を参照されたい)、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)(Langer et al., 1981, J. Biomed Mater Res, 15:167-277)、およびLanger, 1982, Chem Tech, 12:989-105)、エチレンビニルアセテート(Langer et al., 上記)またはポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸(欧州特許第133,988号)が含まれる。徐放性IGF-I組成物には、リポソームで捕獲されたIGF-Iも含まれる。IGF-Iを含むリポソームは、それ自体で公知の方法によって調製される:DE 3,218,121; Epstein et al., 1985, Proc Natl Acad Sci USA, 82:3688-3692; Hwang et al, 1980, Proc Natl Acad Sci USA, 77:4030-4034; 欧州特許第52,322号;欧州特許第36,676号;欧州特許第88,046号;欧州特許第143,949号;欧州特許第142,641号;日本特許出願第83-118008号;米国特許第4,485,045号および同第4,544,545号;および欧州特許第102,324号。通常は、リポソームは小さな単層タイプで、その脂質含量は約30 mol%コレステロールを超え、選択された割合は、最適なIGF-I療法のために調節される。
別の態様では、標的の近傍に制御放出系が置かれてもよい。例えば、マイクロポンプは、脳に直接に制御された用量を送達できるため、全身用量のごく一部のみしか必要とならない(例えば、Goodson, 1984, Medical Applications of Controlled Release, vol.2, pp.115-138を参照されたい)。IGF-Iは、内臓脂肪を薬剤に選択的に暴露するために、腹腔に直接送達しても良い。
1つの態様では、治療を必要としている部分に局所的に本発明の薬学的組成物を投与することが望ましい場合がある;これは例えば、制限するわけではないが、手術中の局所注入、局所適用(例えば、術後の創面包帯と合わせて)、注射、カテーテルを用いて、座薬を用いて、またはインプラントを用いて達成することができる。インプラントは、シラスティック膜のような膜または繊維を含む、多孔性、非多孔性、またはゲル状の材料でよい。
IGF-Iレベルを上昇させる化合物を、1つまたは複数の治療薬の投与の前、投与中、および/または投与後に投与してもよい。別の態様では、IGF-I蛋白質および/または1つもしくは複数の治療薬の投与の間に、重複期間がある。
本発明は以下の非限定的実施例を参照することによりより良く理解されるが、実施例は本発明の例示として提供されるに過ぎない。以下の実施例は、本発明の態様をより十分に説明するために提供される。本発明のより広い範囲を限定すると解釈することはできない。
実施例
以下の実施例は、当業者に本発明をどのように作成し使用するかを完全に開示および記述するために提供され、発明者らが本発明と見なす発明の範囲を限定する意図はなく、以下の実験が実施されたすべてあるいは唯一の実験であるという意図はない。使用する数字(例えば、量、温度等)については正確さを保証する努力がなされたが、いくらかの実験誤差および逸脱は考慮される必要がある。特に記載がない限り、割合は重量により、分子量は平均分子量、温度は摂氏、および圧力は大気圧またはその付近である。
以下の実施例では以下の方法および材料が使用される。
試験設計
初めは食事療法および運動によって治療されたII型糖尿病(DM)の大部分の個体は、後に血糖コントロールのために経口血糖低下薬を必要とするようになる。10年後には、経口剤に初めは反応した個体の50%は血糖コントロールが不十分になり、最終的にはインスリン療法を必要とするようになる。Yki-Jarvinen H et al., 1992, N Engl J Med 327:1426-33を参照されたい。短期間のインスリン療法には、平均5〜6 kgの体重増加が伴い、その3分の2は長期にわたる脂肪量の増加に起因する。Koivisto VA., 1993, Diabetes Care 16 Suppl 3:29-39を参照されたい。
したがって、II型糖尿病の被検体は、グリブリド治療にrhIGF-Iを添加した場合の、血糖コントロール、低血糖の頻度、および体重増加に対する潜在的利点を確認するために、rhIGF-Iおよびグリブリドの組み合わせ、またはrhIGF-Iもしくはグリブリド単独で治療された。
rhIGF-Iの安全性および薬物動態および薬力学効果を評価するために、二重盲検無作為化プラセボ対照試験が設計された。経口(PO)グリブリドまたはグリブリドプラセボに加えて、rhIGF-IまたはrhIGF-Iプラセボ(20μg/kg BIDまたは40μg/kg BID)が皮下投与された。前治療および治療期間において高血糖を治療するためにさらに経口薬またはインスリンを使用することは禁止された。
試験は4つの期からなっていた:1) 2週間のスクリーニング期間、2) 4週間の前治療期間(28日から1日目まで)、3) 12週間の治療期間(1日目から12週目まで)、および4) 2週間の後治療期間(12週目から14週目、または早期終了時の診療の2週間後まで)。
試験の説明および基本原理
有効性のエンドポイントは、ヘモグロビンA1c (HbA1c)レベルのベースライン(1日目から12週目)からの変化により評価した血糖コントロール、および空腹時血糖(BG)、体重、ならびに内臓および大腿中央部の脂肪のベースライン(1日目から12週目)からの変化だった。
試験の治療期間および後治療期間(1日目から14週目)におけるすべての有害事象は、14週目の追跡評価時までモニターされた。追跡時の診察以降に続く有害事象は、解消まで適切にモニターされた。
安全性の計画
本試験に使用された範囲の用量のrhIGF-Iを用いた臨床試験に基づくと、最も一般的に予想される有害事象には、顎の疼痛、浮腫、関節痛、および筋肉痛が含まれた。これらの事象が起きたときには、通常は本試験で使用された用量ではrhIGF-Iの中止は必要ではなかった。浮腫は外見上の問題であることが多く、特に治療をしなくても通常は解消した。まれに、軽い利尿剤治療が必要だった。
2種類の眼の所見(糖尿病性網膜症および視神経乳頭の腫脹)に対するrhIGF-Iの影響に関する懸念があったため、そのような所見の発生は安全性の尺度として記録された。スクリーニング期間に散瞳検眼鏡検査のための眼科診察が行われた。さらに、rhIGF-Iまたはプラセボ治療の開始前の7日目と1日目の間に、各対照の眼底写真撮影が行われた。最初のベースライン写真で視神経乳頭の腫脹が認められた場合には、ただちに被検体の試験を中止した。ベースライン写真においていずれかの眼で早期治療糖尿病性網膜症試験(Early Treatment Diabetic Retinopathy Study:ETDRS)スケールが35を超えた場合には、やはり被検体の試験は続けられなかった。
眼科検診および眼底写真のいずれも、治療期間の終了時または早期終了の場合には早期終了時の診察時に、繰り返された。眼科検診は眼底写真の3日以内に行われた。12週目または装置終了時の診察時の眼底写真で視神経乳頭の腫脹が認められた場合には、試験中止後1ヶ月〜3ヶ月の時点、およびさらに視神経乳頭の腫脹が解消するまで3ヶ月間隔で再度眼底写真を撮るように被検体に依頼した。
12週目または早期終了時の診察で得られた被検体の眼底写真は、試験中の網膜症の発生を評価するために、治療前に得られた写真と比較された。各眼の写真はETDRSスケールの最終版を用いて等級付けされた。各眼の得られたスコアを合わせてETDRS個体スコアとした。1日目と12週目(または早期終了)の間で、3段階以上(5ユニット)のフルスケールのETDRS個体スコアの変化があれば、網膜症の進行として、および有害事象として記録された。例えば、ベースラインスコアが20/20であって、12週目に35/35であれば、5ニットの3段階であり、変化は有害事象として記録された。
上述の有害事象に加えて、何人かの被検体では低血糖が起こると予測された。低血糖は、One-Touch Profile BGメーターまたは臨床検査による、<50 mg/dLのBGと定義される。低血糖エピソードが繰り返される場合には、グリブリドの用量を低下させることができた(治療期間のみ)。症候性低血糖エピソードは、血糖値の値にかかわらず、低血糖として記録された。
被検体
本試験は現在経口血糖低下薬でのみ治療されているII型糖尿病の男女約200名(男女とも最低85名)を含めることを目的とした。
製剤
rhIGF-Iは、保存料としてベンジルアルコールを添加した7 mLの酢酸/NaCl,pH 5.4中の70 mgのrhIGF-I無菌溶液を含むバイアル中で、Genentech, Inc.より提供された。
グリブリド錠剤(Diabeta, Hoechst製の5 mg錠剤)は市販のものであり、不透明なゼラチンカプセルに包まれていた。グリブリドのプラセボ錠剤は、活性成分以外の製品の賦形剤を含んでいた。グリブリドプラセボ錠剤は、活性錠剤と物理的に類似しており、同一の不透明のゼラチンカプセルに包まれていた。
現在の経口血糖低下薬の服用を中止し、オープンラベルのグリブリド(10 mg PO BID/5 mgカプセル2錠BID)を-28日目から、4週間の前治療期間に服用するように被検体に依頼した。
治療群および投与計画
表1に示されたように、被検体を12週間の治療期間の間の5つの投与計画(各群約40名)のうちの1つに無作為に割り付けた。無作為化は、性別、以前の血糖低下薬治療、および14日目のHbA1cレベルによって層別化された。
サンプルサイズは、合計200名の被検体で各治療群40名とするように意図された。HbA1cの変化の標準偏差を1.2%と見積もると、試験はこのエンドポイントに関して群平均で1%の差を検出する検出力が90%と見積もられた。
(表1)治療群および投与計画
Figure 0005108303
すべてのrhIGF-I(実薬(active)およびプラセボ(placebo))投与量の計算は、-14日目の体重に基づいて行われた。rhIGF-IまたはrhIGF-Iプラセボは、SC組織に注射された。
有効性の統計解析
12週目における血糖コントロールに対する治療効果の評価のための主要有効性変数は、HbA1cレベルのベースライン(1日目)からの変化だった。12週目の血糖コントロールの副次的有効性変数は以下の各変数のベースライン(1日目)からの変化だった:空腹時血糖濃度、体重、ならびに内臓および大腿中央部脂肪。
体脂肪のコンピュータ断層撮影(CT)スキャン測定
すべてのCTスキャンはGE Sytec 4000 CTスキャナーまたは同等のスキャナーで行われた。
大腿中央部のCTスキャン
最初の大腿部スキャンを以下の手順で行った。
1. 被検体はスキャナーに足を向けてCT検査台上に横たわった。被検体の膝は伸長した検査台の接合部から少なくとも3インチは上にあるが、真上ではなかった。
2. 足は互いに接触しないような位置に置き、手はスキャンに干渉しないように腹部で組んだ。
3. CT技師は検査台の位置を合わせた。大腿部全体が最初のトポグラムで見られた。
4. その後、技師は利き足ではない足の大腿部全体のトポグラムを作製し、フィルムに記録した。その後、大腿部の長さを測定および記録し、この測定を用いて大腿中央部を同定した。中央部を用いて、大腿部の断面を評価した。
5. 技師はGE Sytec 4000スキャナーで以下の設定値を用いて正確な大腿中央部レベルで10 mmのスライスを撮影した。
kV = 100
MA = 170
1秒
DFOV = 21
アルゴリズム=標準
技師に、スキャナーによって設定はわずかに異なる場合があるが、脂肪と除脂肪組織の最大の解像力を得るためにこの設定値は標準化する必要があると説明した。技師はスキャナーの適当な設定を決定した後、同じ設定値を各(スライス)スキャンに使用するように求められた。トポグラムはイメージ化しないので、異なる設定と使っても構わなかった。
6. スクリーン上で利き足ではない脚の大腿部の断面図全体が可視化された。スクリーン上で大腿部全体が可視化されない場合は、写真はより広い視野の表示に変更された。スクリーン上で大腿部全体が可視化されたら、技師は断面図をディスクにダウンロードした。ディスクに画像が実際に入っていることを確認した後、写真はフィルムに記録された。
7. 検査番号、シリーズ番号、およびスライスのイメージ番号が記録された。
8. この時点で、技師はフィルムをプリンターに送付した。フィルムでは1枚のフィルムに4つの写真が配置され、フィルムには大腿部の記録された全体の距離、中点、および大腿部のスライスが記録されていた。
最初のスキャンと同じ脚(左)が使用された。大腿部のトポグラムを作製し、ベースラインの大腿部スキャンで使用されたのと同じ距離を用いて、大腿部の中点まで測定された。ベースラインのスキャンで使用したものと同一の設定値を用いて、中央部で10 mm断面スキャンが行われた。検査番号、シリーズ番号、およびスライスのイメージ番号が記録された。
腹部CTスキャン
最初の腹部スキャンを以下の手順で行った。
1. 大腿部スキャン終了後、被検体の膝の下に小さな三角形の楔形の枕を当て、脊椎を正しい位置に傾けた。腕は肘を上げて腹部に入らないように、胸部/首の上で組んだ。被検体のパンツは下げ、下着のゴムがスキャンする部位から十分離れるようにした。
2. 技師は少なくともT12からL5の脊椎骨を含んだ側面像のトポグラムが得られるように、検査台をスキャナー中に入れた。写真はフィルムに記録された。
3. L3の中央切断の位置が同定された。
4. DFOVが35または45(小柄な被検体では35、大柄な場合は45)であった以外は大腿部スライスで使用したのと同じ設定値で、L3中点レベルで10 mmスライス(スライスが垂直であるように、角度はゼロでなくてはならない)が撮影された。
腹部の断面全体がスクリーンに表示された。全体が表示されない場合には、写真は変更された。腹部全体がスクリーンに入ったら、技師はこれをディスクにダウンロードし、実際に画像がディスクに入っていることを確認した。これはフィルムに記録された。
5. この時点で、技師はフィルムをプリンターに送付した。各フィルムに4枚の写真が含まれることが必要で、フィルムは脊椎の側面像トポグラムとスライスを含んでいた。
6. その後、技師は、検査番号、シリーズ番号、およびスライスのイメージ番号を記録した。
7. さらに測定するものがなければ、被検体は検査台から降りて、フィルムが集められた。
以後の腹部スキャンでも、同一の設定値と場所を用いて、同じ手順で撮影が行われた。
フィルムには以下の情報が含まれている必要があった:
大腿部
・大腿部全体のトポグラム
・大腿部距離が測定されたトポグラム(距離全体および中点を示した距離)
・大腿部断面図全体
胴部
・L3の中点に印をつけた脊椎側面像
・L3レベルでの全体のスライス
ディスクは以下の情報を含んでいた:
・大腿部の断面
・L3における胴部の断面
データ管理
スライスはスキャナーにダウンロードし、光ディスク(または可能ならばインターネット)を介して解析用のコンピュータに伝送した。解析時には下腹部および皮下の脂肪ならびに斜筋、腰筋、腰方形筋、および仙棘筋も測定された。画像はNIH IMAGEプログラムの改良版を用いて光学密度によってデジタル化し、骨、筋肉、および脂肪コンパートメントを分離した。ピクセル単位は、内部較正基準を用いて面積の測定に変換した。デジタル化画像は盲目で解析した。単一のスキャンの繰り返し解析の変動係数は、< 1.5%である。
実施例1
血糖コントロールに対する治療効果
血糖コントロールに対する治療効果の評価のための主要有効性変数は、HbA1cレベルのベースライン(1日目)からの変化だった。結果は表2に示されている。基礎HbA1c値が高い場合には、ベースラインにおける患者のII型糖尿病のコントロールは良くないことを示す。表2を調べると、IGF-1治療はHbA1cに対して持続する進行性の有益な効果を示すことが分かる。
治療意図解析(インテント・トゥー・トリート解析(intent-to-treat analysis))は表2の最後の列に、「エンドポイントの変化%」または最終観測値延長(ラストオブザべーションキャリードフォワード(last observation carried forward))で示されている。この有効性の尺度は、ベースラインと比較して両方の併用群(p<0.0001)および高用量IGF-1単独(p=0.038)のいずれでも統計的に有意だった。さらに、グリブリド単独と比較しても、併用治療(高用量および低用量の両方)はHbA1cレベルを有意に低下させ(p<0.0001)、高用量IGF-1単独でもグリブリド単独と比較するとHbA1cは低下した(p=0.043)。
HbA1cの低下量は、非常に大きかった。高用量のIGF-1がグリブリドと組み合わせて投与された場合には、12週目でHbA1cは1.75%低下し、低用量の場合には1.22%低下したが、IGF-1の投与を受けなかったグリブリド治療群ではHbA1cは0.32%上昇した。したがって、グリブリド単独群と2つの併用治療群の差は12週目で高用量群では-2.0%、低用量IGF-1で-1.5%だった。これらはHbA1cの低下としては非常に大きく、大きな統計的有意差だった(ベースラインに対してp<0.0001およびグリブリド単独に対してp<0.0001)。したがって、IGF-Iはインスリン分泌促進剤グリブリドと組み合わせた場合に特に有効であった。
さらに、IGF-1単独でもHbA1cが低下した。12週目では高用量のIGF-1はHbA1cを-0.58%低下させたが、これは統計的に有意な変化だった(p=0.035)。この低下は患者の以前の治療でグリブリドが中止されたにもかかわらず見られたことに注意する必要がある。したがってこの結果は、HbA1cに対する効果としては確立されているグリブリド治療よりもIGF-1が勝っていることを示す。
(表2)平均(SD)ヘモグロビンA1c(%):ベースラインおよびベースラインからの変化
Figure 0005108303
bHbA1cの12週の値のない被検体については、エンドポイントは最後に得られた測定値が解析に使用された。
実施例2
IGF-I治療の安全性
グリブリドと組み合わされたIGF-I治療の安全性は、表3および表4に示されている。表3に示されるように、使用されたIGF-Iの用量では、副作用の発生率は低かった。表4は5つの治療群の被検体の網膜のETDRSスコアを示す。IGF-I治療が網膜症の進行(ETDRSスコアの上昇)を引き起こさなかったことは明らかである。
さらに、IGF-I治療によって、網膜症が改善した(ETDRSスコアの低下)。プラセボ/グリブリド群(IGF-Iで治療されなかった唯一の群)では1人の被検体のみで網膜スコアの改善が見られたが、IGF-I治療群では4人、4人、6人および5人の被検体(それぞれIGF-I 20 +グリブリド、IGF-I 40 +グリブリド、IGF-I 20 +プラセボ、およびIGF-I 40 +プラセボ)で網膜スコアの改善が見られた。この結果は、IGF-Iが糖尿病被検体において血糖コントロールを改善し(ヘモグロビンA1cの低下)、内臓肥満を低下させるとともに、網膜スコアを改善する可能性を有することを示す。
(表3)試験薬と関連する可能性があるまたはおそらく関連すると判断された、報告された頻出(>5%)有害事象、n (%)
Figure 0005108303
(表4)ETDRS - 網膜の健康度の総合スコア
ETDRSレベルの変化、n (%)
Figure 0005108303
ETDRSレベルの変化は、ベースラインと試験中または治療後の値の変化の最大値であった。負の変化は改善を示した。
実施例3
治療に反応した体重およびBMIの変化
12週目の血糖コントロールを評価する副次的有効性変数は、以下の各々の項目についてのベースライン(1日目)からの変化だった:体重、ならびに内臓および大腿中央部の脂肪。表5は各治療群における体重の変化および平均の標準誤差(SE)を示す。
(表5)体重および1日目から8週目、12週目および14週目までの変化
Figure 0005108303
この結果は、併用治療時にはわずかな体重増加があり、IGF-Iのみでの治療では体重減少があるが、治療終了後にはIGF-I単独による体重減少は維持され、併用治療による体重増加は逆転することを示す。低用量のIGF-Iで治療された群は試験の進行につれて体重減少を示し、平均では8週目に1.5 kg、12週目に2.8 kgの減少を示した。低用量群でのこの体重減少はIGF-I治療中止後2週目でも維持され、この時の体重減少は2.7 kgだった(グリブリド単独に対してp=0.0069)。20μg IGF-I群のほうが40μg群よりも体重減少が大きかったことから、IGF-I治療の用量相関が見られた。したがって、IGF-Iを単独で投与すると、II型糖尿病被検体において体重減少を引き起こすことができる。IGF-Iとグリブリドの組み合わせでは、IGF-I単独治療と比較して8週目で体重増加が見られ、この結果は8週目(p<0.0001)および12週目(p <0.0001)で統計的に高度に有意だった。しかし、治療を中止するとこの体重は減少し、14週目ではグリブリド単独またはグリブリドとIGF-Iとの治療群の間に差は見られなくなった。全体として、グリブリドはIGF-Iが引き起こした体重減少を低下させた。しかし、IGF-Iが継続する体重増加を引き起こすことなく、血糖コントロールを改善できる(HbA1cの低下)ことは重要である。反対に、IGF-I単独では、HbA1cの改善と体重の減少の両方が見られており、これは非常に好ましい活性の組み合わせである。
(表6)BMIおよび1日目から8週目、12週目および14週目までのBMI変化
Figure 0005108303
ヒトにおける肥満度は、一般的にボディマス指数、すなわちBMIを計算することによって評価される。BMIは基本的に身長によって体重を補正するものである。非常に背が高い人は背の低い人よりも体重が多い可能性が明らかに高いので、この身長による補正により、BMIは補正されない体重よりも、肥満度の良い尺度となる。表6はIGF-Iで治療された被検体のBMIデータを提供する。ベースラインでは被検体は平均30以上のBMIを示した。過体重は25を超えるBMI、肥満は30を超えるBMIと定義されている。BMIの結果は、この試験に参加した被検体がほぼすべて肥満であり、多くは病的肥満であったことを示す。IGF-I治療によりBMIは低下し、この効果はIGF-I治療終了の2週間後である14週目まで維持された。20μgのIGF-Iで治療された被検体では、BMIは12週目で1.0 kg/m2、14週目で0.9 kg/m2低下した。BMIに対するIGF-Iのこの効果は、12週目(p=0.019)および14週目(p=0.0064)においてグリブリドと比較して統計的に高度に有意だった。したがって、IGF-IにはBMIを低下させる、または肥満の最も広く受け入れられている尺度に直接影響を与える能力がある。40μg/kgの高用量IGF-Iは、グリブリドと組み合わせて投与されたときにBMIを上昇させ、単独で投与されたときには低用量のIGF-Iよりも効果が少なかったので、用量相関関係がある。低用量のIGF-Iのほうの効果が大きいことは予想外であった。
実施例4
治療に反応した体脂肪のコンピュータ断層撮影(CT)スキャン測定の変化
別の独立した尺度は、腹部径および腹囲(例、ベルトサイズ)を測定したCTスキャンだった。グリブリド単独で治療された被検体の腹部径は変化しなかったが(-0.3±0.8 cm、平均±SEM)、20μg/kgのIGF-Iで治療された被検体では低下し(-1.4±0.8 cm)、40μg/kgで治療された被検体ではさらに低下した(-2.9±1.3 cm)。高用量IGF-Iにより引き起こされた胴回りのこの低下は、普通の言葉で言うと1インチを超える、またはベルト穴1つ分であるが、12週目でのみ明らかに有意な効果だった。
その後、コンピュータ断層撮影で測定された体組成の変化を検討して、体重、BMI、および胴回りに対するIGF-Iの有益な効果に寄与する体組成が分析された。2つのスキャンが行われた。1つのスキャンはIGF-I治療前、もう1つのスキャンはIGF-I治療後だった。これらの2つのスキャンは脂肪面積を測定することで解析し、IGF-I治療の効果を確認することができた。
体脂肪に対するIGF-Iの効果を、腹部の内臓脂肪組織(VAT)および腹部の皮下脂肪組織(SAT)を用いて見積もった。脂肪の変化の絶対値および脂肪の変化の割合%の両方を解析した。変化割合%は、解析において脂肪量の多い被検体が統計的に不当に加重されるのを防ぐために解析された。内臓脂肪組織(VAT)および皮下脂肪組織(SAT)のデータは、それぞれ表7にまとめられている。
(表7)腹部CTスキャンによる脂肪組織
(平均および(平均の標準誤差))
Figure 0005108303
表7のデータは、腹部スキャンの体脂肪測定の変化を示す。CATスキャンによるVATおよびSATの量は、2つの方法で表示されている:1) ベースラインからの絶対変化量(脂肪cm2)または 2) ベースラインからの脂肪割合の変化(%変化)。VATの%変化は図1にも示されている。
脂肪量の表示方法には関係なく、データはヒトにおいてグリブリド単独では内臓脂肪(VAT)が増加することを示す(例えば9%)。反対に、腹部皮下脂肪に対してはグリブリドはほとんど影響がなかった(1%の増加)。グリブリドとIGF-Iが組み合わせ投与された場合には、脂肪の絶対量(面積)または脂肪量の%変化のいずれかで表示された場合に、この内臓脂肪の上昇は逆転した。さらに、40μg/kgのIGF-I単独では、ほぼ10%の内臓脂肪の低下が実現した。グリブリド治療と比較すると、IGF-I単独の内臓脂肪の割合%に対するこの効果は、統計的に有意だった(p=0.021)。
(表8)大腿部CTスキャンによる脂肪組織
(平均および(平均の標準誤差))
Figure 0005108303
表8のデータは大腿部のスキャンにおける体脂肪の測定を示す。大腿部の脂肪量はCATスキャンにより測定され、表8のデータは、1) 大腿部脂肪組織(TAT)のベースラインの絶対量;2) TATのベースラインからの絶対変化量(脂肪cm2);または3) TATのベースラインからの変化割合%のいずれかで示されている。
大腿部の脂肪のほぼすべては皮下脂肪である。大腿部の脂肪量がどのような表示方法で表されていても、このデータは治療により大腿部の脂肪にはほとんど変化がなかったことを示す。大腿部の皮下脂肪に関するこのデータは、IGF-I治療により内臓脂肪が10%近く低下したという表7のデータとは、著しい対照を示す。
したがって、この結果は、IGF-I投与は、II型糖尿病被検体において体重減少およびBMIの低下を引き起こすのみならず、皮下脂肪に対する内臓脂肪の比を低下させるような、脂肪の再分布を誘導することを示す。
本明細書に引用されたすべての参考文献は、その全体が参照として本明細書に組み入れられる。
上記は本発明の代表的な態様を開示したものであり、当業者は、本開示は単なる例示であり、さまざまな改変、適用および修正は本発明の範囲であって、出願人が予期していることを理解すると思われる。したがって、本発明は上述の特定の態様によって限定されることはなく、特許請求の範囲によって規定される。
IGF-I単独または血糖低下剤のグリブリドとの組み合わせによる治療に応答した内臓脂肪の変化の割合%を示す。グループIは、グリブリドおよびIGF-Iのプラセボを投与された。グループIIは、20μg/kgのIGF-Iおよびグリブリドを投与された。グループIIIは、40μg/kgのIGF-Iおよびグリブリドを投与された。グループIVは、20μg/kgのIGF-Iおよびグリブリドのプラセボを投与された。グループVは、40μg/kgのIGF-Iおよびグリブリドのプラセボを投与された。

Claims (21)

  1. 過剰の内臓脂肪を有する被検体において内臓脂肪を低下させるために有効な量の、インスリン様成長因子I(IGF−I)を、該被検体に投与する段階を含む、過剰の内臓脂肪を有する被検体において内臓脂肪を低下させる方法において使用するための、IGF−Iを含む、薬学的組成物。
  2. 被検体における内臓脂肪の低下が、皮下脂肪に対する内臓脂肪の比を決定することによって評価される、請求項1記載の薬学的組成物。
  3. 被検体における内臓脂肪の低下が、被検体の尻囲の値に対する腰囲の値の比の減少によって評価される、請求項1記載の薬学的組成物。
  4. 被検体における内臓脂肪の低下が、コンピュータ断層撮影(CT)スキャンによって評価される、請求項1記載の薬学的組成物。
  5. IGF−Iがインスリン様成長因子結合蛋白質−3(IGFBP−3)と複合体を形成する、請求項1記載の薬学的組成物。
  6. IGF−Iの量が40μg/kg/日またはそれ以上である、請求項1記載の薬学的組成物。
  7. IGF−Iが皮下投与用に製剤化される、請求項1記載の薬学的組成物。
  8. 薬学的組成物が使用される方法が、有効量の血糖低下剤を被検体に投与する段階をさらに含む、請求項1記載の薬学的組成物。
  9. 血糖低下剤がインスリンである、請求項8記載の薬学的組成物。
  10. 血糖低下剤が、スルホニル尿素、ビグアニド、およびチアゾリジンジオンからなる群より選択される、請求項8記載の薬学的組成物。
  11. 血糖低下剤がグリブリドである、請求項8記載の薬学的組成物。
  12. 過剰の内臓脂肪を有する被検体における内臓脂肪沈着を低下させるために有効な量の、インスリン様成長因子−I(IGF−I)を、該被検体に投与する段階を含む、過剰の内臓脂肪を有する被検体において内臓脂肪沈着を低下させる方法において使用するための、IGF−Iを含む、薬学的組成物。
  13. 治療を必要とする被検体における薬剤に起因する内臓脂肪沈着の軽減に有効な量の、インスリン様成長因子−I(IGF−I)を、該被検体に投与する段階を含む、薬剤に起因する内臓脂肪沈着を軽減する方法において使用するための、IGF−Iを含む、薬学的組成物。
  14. 被検体が、薬学的組成物による治療の前には、被検体と同じ性別およびボディマス指数(BMI)を有する正常な成人の平均的な体組成を特徴付ける皮下脂肪に対する内臓脂肪の比よりも高い、皮下脂肪に対する内臓脂肪の比によって特徴付けられる体組成を示す成人である、請求項1記載の薬学的組成物。
  15. 被検体が、薬学的組成物による治療の前には、II型糖尿病を特徴とする状態、並びに、(1)被検体が男性の場合は40インチより大きい腰囲、および被検体が女性の場合は35インチより大きい腰囲、(2)110 mg/dLまたはそれ以上の空腹時血糖レベル、(3)150 mg/dLまたはそれ以上の空腹時トリグリセリドレベル、(4)被検体が男性の場合は40 mg/dL未満、および被検体が女性の場合は50 mg/dL未満の高比重リポ蛋白(HDL)レベル、および(5)130/85より高い血圧レベル、からなる群より選択される3つまたはそれ以上の症状を示す成人被検体である、請求項1記載の薬学的組成物。
  16. (i)被検体が、薬学的組成物による治療の前には、II型糖尿病、および少なくとも40インチの腰囲を有する成人男性である、または(ii)被検体が、薬学的組成物による治療の前にはII型糖尿病、および少なくとも35インチの腰囲を有する成人女性である、請求項1記載の薬学的組成物。
  17. 被検体が、薬学的組成物による治療の前には、尻囲の値に対する腰囲の値の比が1より大きいまたは約1のヒトである、請求項1記載の薬学的組成物。
  18. 被検体が、薬学的組成物による治療の前には、II型糖尿病を特徴とする状態、並びに、(1)被検体が男性の場合は40インチより大きい腰囲、および被検体が女性の場合は35インチより大きい腰囲、(2)110 mg/dLまたはそれ以上の空腹時血糖レベル、(3)150 mg/dLまたはそれ以上の空腹時トリグリセリドレベル、(4)被検体が男性の場合は40 mg/dL未満、および被検体が女性の場合は50 mg/dL未満の高比重リポ蛋白(HDL)レベル、および(5)130/85より高い血圧レベル、からなる群より選択される3つまたはそれ以上の症状を示す成人である、請求項12記載の薬学的組成物。
  19. (i)被検体が、薬学的組成物による治療の前には、II型糖尿病、および少なくとも40インチの腰囲を有する成人男性である、または(ii)被検体が、薬学的組成物による治療の前にはII型糖尿病、および少なくとも35インチの腰囲を有する成人女性である、請求項12記載の薬学的組成物。
  20. 薬学的組成物が使用される方法が、被検体に投与されるIGF−Iとの組み合わせで被検体における内臓脂肪沈着の低下に有効な量の成長ホルモンを被検体に投与する段階をさらに含む、請求項13記載の薬学的組成物。
  21. IGF−Iが、組換えヒトIGF−Iである、請求項1、12または13記載の薬学的組成物。
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