JP5102612B2 - B細胞疾患の標的 - Google Patents

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Description

発明の分野
本発明は、多発性骨髄腫(MM)などのB細胞疾患の診断および治療に関する。特に、本発明は、リンパ球の表面上に発現された遊離のλ軽鎖に結合するリガンドを用いたリンパ球増殖性疾患の治療に関する。
発明の背景
多発性骨髄腫とは、悪性細胞が最終分化単クローン性B細胞である血液の癌である。この疾患の従来の治療法は、自己幹細胞移植を伴うまたは伴わない大量化学療法である。しかし、腫瘍は最終的に抵抗性となることから、この療法は必然的に機能しなくなるという確かな臨床上の証拠が挙がっている(Davies et al. (2000) Eur. J. Haematol. 64:359-367(非特許文献1);Ryoo et al. (2002) Blood Rev. 16:167-174(非特許文献2);Kyle RA, (2001a) Oncologist 6:119-124(非特許文献3))。
多発性骨髄腫の現在の治療法
MMの現在の治療法は参考文献で報告されており、これには大量化学療法の変形が含まれる(Kyle RA (2001a) Oncologist 6:119-124(非特許文献3);Kyle RA (2001b) Seminars in Hematology 38; 2; 3; 11-14(非特許文献4)、Anderson et al. (1999) Seminars in Hematology 36; 1; 3-8(非特許文献5))。大部分のMM罹患患者は診断時に症候性疾患を有し、治療を必要とするが、一部の患者は無症候性であり、一般に症状が現れるまでが治療が施されない。
65歳未満のMM患者に選択される治療法は、化学療法と併用した自己末梢血幹細胞移植(APBST)である(Harousseau and Attal (2002) Blood Reviews 16; 245-253(非特許文献6))。65歳を超える患者または移植が不可能な65歳未満の患者には、単独の化学療法が好ましい初期治療である。APBSTは、半数を超えるMM罹患患者に適用可能である。移植物への腫瘍細胞の混入を減少させる試みにもかかわらず、自己末梢血幹細胞には一般に骨髄腫細胞またはその前駆細胞が混入していることが示されている。その結果、悪性細胞を有する骨髄が再増殖し、最終的に再発する。
症候性MM患者の初期治療は、大量化学療法である(Kyle RA (2001a) The Oncologist 6; 119-124(非特許文献3);Kyle RA (2001b) Seminars in Hematology 38; 2; 3; 11-14(非特許文献4)、Anderson et al. (1999) Seminars in Hematology 36; 1; 3-8(非特許文献5))。大抵の医師は患者をビンクリスチン、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、およびデキサメタゾン(VAD)で3〜4ヶ月間治療する。これにより、骨髄および末梢血中の腫瘍細胞は減少する。次に、高用量のシクロホスファミドおよび顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)が投与される。G-CSFは、自己末梢血幹細胞移植のために、末梢血幹細胞(CD34+ B細胞)の産生を促進する。この段階で末梢血を採取し、蛍光活性化セルソーター(FACS)を用いて幹細胞を回収する。
現在、幹細胞による骨髄移植の前には、少なくとも2つの治療法の選択肢がある。第1の場合には、患者に大量化学療法および/または全身照射を施し、その後APBSTを行い得る。または、幹細胞を採取した後に、停滞状態に達するまで患者にアルキル化剤を投与し得る。次いで、細胞の増殖および分裂を阻害するためにα2-インターフェロンを投与してもよいし、または再発するまで治療を施さなくてもよい。この段階で、患者に高用量メルファランおよび/または全身照射を施し、あらかじめ採取しておいた血液幹細胞を注入する。一般に、毒性が低いことからメルファラン(200 mg/m2)を投与し、全身照射の使用には利点はないようである。
MM患者における従来の化学療法およびAPBSTと併用した大量化学療法の比較研究から、後者の方が無再発生存率および全体的な生存率を有意に改善することが示された(Harousseau and Allat (2002) Blood Reviews 16; 245-253(非特許文献6))。現在のところ、VAD治療を行いその後にAPBSTを行うと、VAD治療単独に対して、移植群において有利な5年生存率をもたらす(52%対12%)。化学療法は、患者が停滞状態となるまでまたは1年間継続し得る。6ヵ月後に停滞期で再発した場合には、化学療法を再開すべきである。治療法における近年の改善にもかかわらず、これらの臨床研究の長期追跡から、患者からの骨髄腫の排除は、大量化学療法およびAPBSTでさえも起こらないことが示されている。
したがって、現在の治療は患者の寿命は延ばすが、治癒的ではない。現在では、疾患の進行は遺伝的不安定性に関連し、より具体的には接着、アポトーシス、細胞周期、薬剤耐性、増殖停止、発癌、シグナル伝達、および転写に関与する遺伝子の調節不全に関連することが明白である(Zhan et al. (2002) Blood 99; 5; 1745-1757(非特許文献7))。
多段階形質転換過程である疾患の進行
いくつかの研究から、多発性骨髄腫における疾患の進行は、悪性形質細胞における進行的な遺伝的事象と関連があることが示唆されている(Hallek et al. (1998) Blood 91, 1; 3-21(非特許文献8);Avet-Loiseau et al. (2002) Blood 99; 6; 2185-2191(非特許文献9);Zhan et al. (2002) Blood 99; 5; 1745-1757(非特許文献7))。この疾患の進行期は、細胞は不死化しているものの形質転換はしていない、意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症(MGUS)と称される既存の単クローン性形質細胞疾患によって始動されるようである。進行の次の段階は、骨髄内にのみそのような細胞が認められ、生存のために骨髄間質細胞(BMSC)に依存する髄内骨髄腫である。特に、インターロイキン-6(IL-6)およびインターロイキン-6受容体(IL-6R)のパラ分泌ループが、MM細胞とBMSCとの間に発生する。IL-6は、骨髄に骨髄腫細胞が定着する上で最も重要なサイトカインであると考えられる。最も顕著な効果は、IL-6が骨髄腫細胞においてデキサメタゾン誘導性アポトーシスを阻害する能力である。
同時に、骨髄腫細胞は骨吸収に関与する破骨細胞を刺激して、MMにおいて認められる特徴的な骨病変をもたらす。この段階の次は、細胞がより迅速に増殖し、血液中で(形質細胞性白血病、PCL)または他の髄外部位で増殖する髄外期である。進行の最終段階には、細胞が完全に調節不全となり、インビトロで増殖し得る。
遺伝子異常
細胞レベルでの疾患の進行は、遺伝子調節不全の具体例と関係している遺伝子異常と密接に関わっている(Hallek et al. (1998) Blood 91, 1: 3-21(非特許文献8))。いくつかの核型研究から、異数性が骨髄腫細胞の共通の特徴であり、これは病期とは無関係であることが示されている。これらの研究の総説により、多発性骨髄腫には遺伝子異常の2つの主要なカテゴリーが存在することが示唆されている(Fonseca et al. (2004) Cancer Research 64; 1546-1558(非特許文献10))。1つのカテゴリーは、免疫グロブリン重鎖遺伝子座(IgH)が関与する転座を有する患者からなり、これは骨髄腫患者における遺伝子異常のおよそ半数を占める。低二倍体核型および13番染色体モノソミーがIgG転座に付き物であることもまた明らかである。特定のIgH転座の罹患率および臨床上の重要が近年決定され、Fonseca et al. (2004) Cancer Research 64; 1546-1558(非特許文献10)に報告されている。
残り50%の患者は高二倍体を有すると見られ、IgH転座は有していない。
軽鎖(IgL)遺伝子が関与する転座は十分に特徴づけられていない。1つの研究から、MGUS試料の約10%および髄内MM腫瘍の約20%中にIgL-λ転座が存在することが示されている(Fonseca et al. (2002) Blood, 100; 1417-1424(非特許文献11))。IgL-κの転座は、髄内MMの少数の腫瘍で同定されているにすぎない(Fonseca et al. (2004) Cancer Research 64; 1546-1558(非特許文献10))。現時点では、IgL転座の臨床上の重要性は不明である。
骨髄腫細胞の単クローン性タンパク質
多発性骨髄腫で認められる核型異常の複雑性にもかかわらず、この疾患の臨床検査上の特徴は単クローン性タンパク質(M-タンパク質)の血液および/または尿中への産生および分泌である。一般に、M-タンパク質は免疫グロブリン、または正常な抗体機能を保持していない免疫グロブリンの成分である。通常、過剰のλまたはκ軽鎖(ベンスジョーンズタンパク質、BJP)が骨髄腫細胞から産生される。BJPは細胞の細胞質中に存在し、また血中にも分泌される。BJPは単量体(22〜25 kD)および二量体(50 kD)形態で分泌される頻度が高く、尿中に自由に通過するのに十分小さい(Durie (2003) International Myeloma Foundation, Multiple Myeloma, Concise Review of the Disease and Treatment Options(非特許文献12))。
重鎖と会合していない膜結合λ軽鎖の存在は、骨髄腫細胞上の新規な治療標的を提供すると考えられる。
Davies et al. (2000) Eur. J. Haematol. 64:359-367 Ryoo et al. (2002) Blood Rev. 16:167-174 Kyle RA (2001a) The Oncologist 6; 119-124 Kyle RA (2001b) Seminars in Hematology 38; 2; 3; 11-14 Anderson et al. (1999) Seminars in Hematology 36; 1; 3-8 Harousseau and Attal (2002) Blood Reviews 16; 245-253 Zhan et al. (2002) Blood 99; 5; 1745-1757 Hallek et al. (1998) Blood 91, 1; 3-21 Avet-Loiseau et al. (2002) Blood 99; 6; 2185-2191 Fonseca et al. (2004) Cancer Research 64; 1546-1558 Fonseca et al. (2002) Blood, 100; 1417-1424 Durie (2003) International Myeloma Foundation, Multiple Myeloma, Concise Review of the Disease and Treatment Options
発明の概要
本発明者らは、多発性骨髄腫および他のB細胞疾患の診断または治療用に設計された方法において使用するための、骨髄腫細胞上の新規な標的を同定した。この標的は、骨髄腫細胞の表面上に発現される遊離のλ軽鎖である。「遊離のλ軽鎖」とは、無傷の免疫グロブリンと会合していないλ軽鎖を意味する。骨髄腫細胞の表面上に発現される遊離のλ軽鎖を、本明細書ではλ骨髄腫抗原(「LMA」)と称する。
本発明者らの提唱する治療法は、B細胞疾患罹患患者中の悪性細胞を枯渇させるために、LMAに特異的に結合する結合成分またはリガンドを投与することに基づく。好ましくは、リガンドは抗LMA抗体である。本明細書に記載する治療アプローチは、B細胞疾患の以前の治療および現在利用できる治療からの徹底的な脱却を表す。
したがって、本発明は、対象のB細胞疾患を治療する方法であって、対象中のリンパ球の増殖を阻害するかまたはリンパ球を死滅させるために、有効量の抗LMA抗体を対象に投与する段階を含む方法を提供する。
本発明はまた、B細胞疾患を治療する医薬品を調製するための抗LMA抗体の使用を提供する。
本発明の好ましい態様において、B細胞疾患はリンパ球増殖性疾患である。好ましくは、リンパ球増殖性疾患は、多発性骨髄腫、B細胞リンパ腫、およびマクログロブリン血症からなる群より選択される。好ましくはリンパ球増殖性疾患は多発性骨髄腫であり、より好ましくはλ型多発性骨髄腫である。
1つの特定の態様において、本発明は、対象中のリンパ球の増殖を阻害するかまたはリンパ球を死滅させる方法であって、抗LMA抗体がリンパ球に結合してリンパ球の増殖を阻害するかまたはリンパ球を死滅させるのに十分な条件下で、抗LMA抗体を対象に投与する段階を含む方法に関する。例えば、リンパ球の抑制または死滅は、アポトーシスによって、または対象の免疫細胞によって(例えば、抗体依存性細胞傷害(ADCC)によって)もたらされ得る。
本発明はまた、対象中のリンパ球を抑制するかまたは死滅させる方法であって、細胞毒性成分または生物学的修飾因子に結合されたLMAリガンドを、LMAリガンド複合体が癌細胞に結合して癌細胞の増殖を阻害するかまたは癌細胞を死滅させるのに十分な条件下で投与することによって提供される方法を提供する。
本発明の好ましい態様において、リンパ球は骨髄腫細胞である。
本明細書で使用する「LMAリガンド複合体」という用語は、細胞毒性成分または生物学的修飾因子に結合されたLMAリガンドを指す。
LMAリガンドは、LMAに対して結合親和性を有すると同定される任意のポリペプチドまたは化合物であってよい。リガンドとLMAとの結合は、共有結合性もしくは非共有結合性相互作用、または共有結合性相互作用と非共有結合性相互作用の組み合わせによって媒介され得る。リガンドとLMAとの相互作用によって非共有結合で結合された複合体が生成される場合、生じる結合は典型的に、静電気的結合、水素結合、または親水性/親油性相互作用の結果である。特に好ましいLMAリガンドは抗LMA抗体である。
1つの態様において、細胞毒性成分は毒素(光活性化毒素であってよい)、化学療法薬、または放射性薬剤である。
非限定的例として、細胞毒性成分は、細胞毒性薬、または細菌もしくは植物起源の酵素活性のある毒素(ゲロニンなど)もしくはそのような毒素の酵素活性のある断片(「A鎖」)であってよい。酵素活性のある毒素およびその断片が好ましく、これは、ゲロニン、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性断片、外毒素A鎖(緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)由来)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシンA鎖、α-サルシン、シナアブラギリ(Aleurites fordii)タンパク質、ジアンシン(dianthin)タンパク質、ヨウシュヤマゴボウ(Phytoiacca americana)タンパク質(PAPI、PAPII、およびPAP-S)、ニガウリ(momordica charantia)阻害剤、クルシン(crucin)、クロチン、サボンソウ(saponaria officinalis)阻害剤、マイトゲリン(mitogellin)、レストリクトシン(restrictocin)、フェノマイシン(phenomycin)、およびエノマイシン(enomycin)によって例証される。
本発明に有用な細胞毒性薬は、これらに限定されないが、アドリアマイシン(およびその誘導体)、シスプラチン複合体(およびその誘導体)、ブレオマイシン、およびメトトレキセート(およびその誘導体)である。これらの毒性薬は、再発性腫瘍、特に乳癌の臨床管理に有用な場合があるが、その使用は重篤な副作用および非標的細胞に生じる損傷によって複雑化される。抗LMA抗体はそのような薬剤の有用な担体として役立ち、それらを癌細胞へ送達するおよび癌細胞への侵入を増強する有効な手段を提供し得る。
細胞毒性成分はまた放射性薬剤であってもよい。特に、細胞毒性成分は、例えば、イットリウム-90(90Y)、インジウム-111(111In)、ヨウ素-131(131I)、または銅-67(67Cu)などの放射性核種であってよい。
LMAリガンドに結合され、本発明において使用され得る生物学的応答修飾因子には、これらに限定されないが、IL-2およびインターフェロン(α、β、またはγ)などのリンホカインおよびサイトカインが含まれる。これらの生物学的応答修飾因子は、腫瘍細胞に対して様々な効果を及ぼす。これらの効果の中には、直接作用による腫瘍細胞死滅の増加、および宿主防御に媒介される過程の増加による腫瘍細胞死滅の増加が含まれる。これらの生物学的応答調節因子にLMAリガンドを結合させることにより、非標的細胞に毒性をもたらす非特異的効果を抑制しつつ、リンパ球内への選択的局在化およびひいては抗増殖性効果の改善が可能になる。
LMAリガンドを含む複合体は、種々の二官能性タンパク質カップリング剤を使用して作製され得る。そのような試薬の例は、SPDP、IT、イミドエステルの二官能性誘導体(例えば、ジメチルアジピミダートHCl)、活性エステル(例えば、スベリン酸ジスクシンイミジル)、アルデヒド(例えば、グルタルアルデヒド)、ビス-アジド化合物(例えば、ビス(p-アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビス-ジアゾニウム誘導体(例えば、ビス-(p-ジアゾニウムベンゾイル)エチレンジアミン)、ジイソシアネート(例えば、トリレン-2,6-ジイソシアネート)、およびビス-活性フッ素化合物(例えば、1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼン)である。
別の態様において、細胞毒性成分は、細胞毒性薬をコードする核酸分子である。この態様において、LMAリガンドは、細胞毒性薬をコードする治療遺伝子、例えば、毒素遺伝子(例えば、ジフテリア毒素-A、レクチン、シュードモナス(Pseudomonas)外毒素A、サボンソウSO-6(Soria M, (1989) Pharmacol. Res., 21 Suppl2:35-46)、またはリシンなど);細胞自殺遺伝子(例えば、チミジンキナーゼまたはニトロ還元酵素);ガンシクロビルまたはマイトマイシンCなどの化学療法遺伝子を活性化するタンパク質;リボザイム、RNase、またはアンチセンス配列(例えば、BCL2配列)を骨髄腫細胞などのLMA+細胞に導入するための担体として機能する。好ましくは、治療遺伝子によってコードされるいくつかの細胞毒性薬分子のみの発現で、そのような遺伝子を発現する細胞を死滅させるのに十分である。治療遺伝子は、細胞特異的または組織特異的転写単位、例えば細胞または組織特異的プロモーターおよび/またはエンハンサーに機能的に連結されていることが好ましい。好ましい転写単位は、B細胞(例えば、Ig重鎖遺伝子、Igκ遺伝子、Igλ遺伝子、BCL-6遺伝子(Dalla Favera et al., C.S.H. Smp. Quant. Biol., 59, 117 (1994))、CD19遺伝子、CD20遺伝子、またはCD22遺伝子(Kerhl et al., Immunol. Today, 15, 432 (1994)に由来する転写単位)、T細胞(例えば、IL-4遺伝子、IL-2遺伝子、IL-2R遺伝子、T細胞受容体遺伝子、IL-5遺伝子、IL-13遺伝子、GM-CSF遺伝子、およびFasリガンド遺伝子(Nagata et al., Prog. Mol. Subcell. Biol., 16, 87 (1996))、または骨髄腫細胞において発現を指示する転写単位である。骨髄腫特異的転写単位には、これらに限定されないが、米国特許第5,502,176号に開示されている転写単位、ならびにPU.1遺伝子(Fisher et al., Stem Cells, 16, 25 (1998))、CD11cもしくはCD18遺伝子(Corbi et al., Leuk. & Lymph., 25, 415 (1997))、IgHエンハンサー、CSF受容体G、GM、および/もしくはG遺伝子(Zhang et al., Cur. Top. Micro & Immunl., 211, 137 (1996))、またはC/EBP、Runt/PEBP2/CBF、もしくはEts遺伝子(Clarke et al., J. Leuko, Biol., 63, 153 (1998))に由来する転写単位が含まれる。
好ましい態様において、本発明の方法は、抗LMA抗体またはLMAリガンド複合体を投与する前に、対象の体液中に存在する遊離λ軽鎖のレベルを減少させるように対象を処置する段階をさらに含む。好ましくは、対象の血清中に存在する遊離軽鎖のレベルを減少させる。血清中の遊離軽鎖のレベルの減少は、例えば、化学療法もしくは血漿分離交換法によって、またはLMAリガンド(抗LMA抗体など)が固体支持体(例えば、滅菌フィルター)に結合され、体液から遊離λ軽鎖を捕獲するために使用される方法によって達成され得る。対象の体液中の遊離軽鎖のレベルを減少させる処置は、抗LMA抗体またはLMAリガンド複合体を投与する直前に対象において行われることが好ましい。
本発明はまた、リンパ球が抗LMA抗体またはLMAリガンド複合体に結合する条件下で、細胞試料を抗体または複合体に曝露し、抗体または複合体に結合しない細胞試料の細胞画分を単離することによって、例えばこれに限定されるわけではないが骨髄細胞などの単離された細胞試料からリンパ球を除去する方法を提供する。本方法は、例えば、自己骨髄移植のための骨髄試料から骨髄腫細胞を除去する際に使用することができる。
本発明はまた、以下の段階を含む、対象における自己造血細胞移植の方法を提供する
(i) 対象から造血前駆細胞集団を切除する段階、
(ii) 細胞集団を抗LMA抗体またはLMAリガンド複合体で処理する段階、および
(iii) 段階(ii)による処置した細胞集団を対象に移植する段階。
前駆細胞集団を抗LMAまたはLMAリガンド複合体で処理する段階は、好ましくは、抗LMA抗体またはLMA複合体が集団中に存在するリンパ球に結合して、リンパ球の増殖を阻害するかまたはリンパ球を死滅させるのに十分な条件下で、細胞集団を抗LMA抗体またはLMAリガンド複合体と接触させる段階を含む。
好ましい態様において、本方法はまた、抗LMA抗体またはLMAリガンド複合体の対象への静脈内注入を含む。
さらなる好ましい態様において、自己移植のこの方法は、細胞減少療法中にまたは細胞減少療法後に対象で行われる。
さらなる好ましい態様において、抗LMA抗体またはLMAリガンド複合体は固体支持体に結合されている。
本発明のさらに別の局面では、上記の複合体または抗LMA抗体は、骨髄試料などの細胞試料中のリンパ球の増殖を阻害するかまたはリンパ球を死滅させるために、インビトロで使用され得る。
本発明はまた、抗LMA抗体の結合部位を反映し、抗体が認識する高次構造エピトープに特異的である抗イディオタイプ抗体に関する。本発明はさらに、能動免疫によってB細胞疾患を治療するための、これらの抗イディオタイプ抗体の使用に関する。
本発明のさらに別の局面においては、抗LMA抗体またはLMAリガンドを投与し、抗体またはリガンドを対象内の細胞に結合させ、対象内の抗体またはリガンドの位置を決定することにより、対象内のリンパ球の位置を特定する方法を提供する。この局面の好ましい態様において、抗体またはリガンドは、例えば放射性核種、フルオロフォア、発色団、または酵素で検出可能に標識されている。
リガンドの標識化形態を作製する際に使用し得る標識には、直接検出され得る成分(例えば、蛍光色素および放射性標識)、および検出されるために反応または誘導体化されねばならない成分(例えば、酵素)が含まれる。このような標識の例は、放射性同位元素32P、125I、3H、14C、フルオレセインおよびその誘導体、ローダミンおよびその誘導体、ダンシル、ウンベリフェロン、ルシフェリア(luciferia)、2,3-ジヒドロフタルアジンジオン、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、リゾチーム、およびグルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼである。リガンドは、周知の方法によってそのような標識でタグ化され得る。例えば、アルデヒド、カルボジイミド、ジマレイミド、イミダート、スクシンイミド、ビス-ジアゾ化ベンザジンなどのカップリング剤を用いて、リガンドを上記の蛍光標識、化学発光標識、および酵素標識と結合させることができる。
本発明の別の局面では、細胞毒性成分または生物学的修飾因子に結合された抗LMA抗体を提供する。この局面の1つの態様において、細胞毒性成分は、毒素、光活性化毒素、化学療法薬、または放射性薬剤である。
この局面の別の態様において、細胞毒性成分は核酸分子である。したがって、本発明は、LMA細胞表面分子を選択的に標的するが、好ましくはプラスミドDNAなどの環状DNA形態の治療遺伝子として、免疫原性タンパク質よりもむしろ免疫原性が低いかまたは免疫原性がない、宿主哺乳動物に導入される治療組成物を提供する。その結果、特に治療遺伝子によってコードされる細胞毒性薬に対する顕著な抗体応答を生じることなく、哺乳動物、例えば骨髄腫対象に治療組成物を繰り返し投与することが可能であると考えられる。さらに、本発明の治療組成物は、B細胞リンパ腫およびマクログロブリン血症などの他のLMA+形質細胞増殖性疾患に罹患した患者中の細胞を死滅させるのに有用である。好ましくは、ヒトで使用するには、組成物中の融合ポリペプチドの抗体部分はヒト化型が用いられる。
別の局面において、本発明は、非限定的例としてフルオロフォア、発色団、放射性核種、または酵素などの検出可能な成分で標識された抗LMA抗体に関する。
さらに別の局面において、本発明は、本発明の抗LMA抗体および薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤を含む薬学的組成物に関する。
本発明はまた、固体支持体に結合された抗LMA抗体またはLMAリガンド/細胞毒に関する。
本発明のさらなる好ましい態様において、抗LMA抗体はキメラ抗体またはヒト化抗体である。
本明細書を通して、「含む(comprise)」という用語または「含む(comprises)」もしくは「含むこと(comprising)」などの変化形は、記載された要素、整数、もしくは段階、または要素、整数、または段階群を含めることを意味するが、その他の要素、整数、もしくは段階、または要素、整数、または段階群を排除するものではないと解釈されよう。
上記の個々の項で記載した本発明の種々の特徴および態様は、必要に応じて、必要な変更を加えて他の項に適用される。その結果、1つの項において明記した特徴は、必要に応じて、他の項において明記した特徴と組み合わせることができる。
発明の詳細な説明
一般的技法
特記されない限り、本明細書で使用する専門用語および科学用語はすべて、当業者(例えば、細胞培養、分子遺伝学、免疫学、免疫組織化学、タンパク質科学、および生化学における)によって共通に理解される意味と同じ意味をもつと見なすものとする。
特記されない限り、本発明で使用する組換えタンパク質、細胞培養、および免疫学的技法は、当業者に周知である標準的な手法である。そのような技法は、J. Perbal, A Practical Guide to Molecular Cloning, John Wiley and Sons (1984)、J. Sambrook et al, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbour Laboratory Press (1989)、T.A. Brown(編者)、Essential Molecular Biology: A Practical Approach, Volumes 1 and 2, IRL Press (1991)、D.M. Glover and B.D. Hames(編者)、DNA Cloning: A Practical Approach, Volumes 1-4, IRL Press (1995 and 1996)、およびF.M. Ausubel et al(編者)、Current Protocols in Molecular Biology, Greene Pub. Associates and Wiley-Interscience(1988、現在までの最新版をすべて含む)、Ed Harlow and David Lane(編者) Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbour Laboratory, (1988)、およびJ.E. Coligan et al.(編者) Current Protocols in Immunology, John Wiley & Sons(現在までの最新版をすべて含む)などの情報源の文献を通して記載および説明されており、これらは参照により本明細書に組み入れられる。
LMAリガンドおよび抗LMA抗体
本発明者らは、遊離のλ軽鎖(LMA)が骨髄腫細胞の表面上に発現されることをここに初めて示した。LMAに対する抗体が、ADCC、補体依存性溶解、およびアポトーシスなどの機構を介してλ型骨髄腫細胞を死滅させ得り、よってλ型骨髄腫細胞に対する有効な治療薬であることが予想される。さらに、LMAに対するリガンドを用いて、悪性細胞に細胞毒を直接送達することができる。
λ型免疫グロブリンが4本のポリペプチド鎖からなり、そのうちの2本は重鎖であり(それぞれ約50〜70 kD)、2本はλ軽鎖である(それぞれ約26 kD)ことは当業者には周知であろう。各鎖のN末端は、主に抗原認識に関与する約100〜110個またはそれ以上のアミノ酸の可変領域を規定する。可変軽鎖(VL)および可変重鎖(VH)という用語は、それぞれこれらL鎖およびH鎖を指す。λ軽鎖をコードする遺伝子の構築は、λ軽鎖遺伝子座におけるV、J、およびC遺伝子部分の再編成を含む(Chapter 5, 「Organization and Expression of Immunoglobulin Genes」、Kuby Immunology 4th ed, Goldsby et al. (Freeman, 2000)を参照されたい)。
したがって、本明細書において「LMA」という用語を使用する場合、この用語は、λ型免疫グロブリンに由来する軽鎖と同等の任意の遊離λ軽鎖を包含する。したがって、この用語は、可変領域配列が異なり得る一連のλ軽鎖ポリペプチドを包含する。
本発明の好ましい態様において、LMAは単量体形態で約26 kDであり、二量体形態で約52 kDである。
本発明において有用なLMAリガンドは、LMAに対して結合親和性を有すると同定される任意のポリペプチドまたは化合物であってよい。LMAリガンドは、LMAが膜に結合しているかまたは単離された状態である(例えば、膜を含まない)場合に、LMAと結合し得ることが好ましい。特に好ましいLMAリガンドは抗LMA抗体である。
必須というわけではないが、LMAリガンドはLMAに特異的に結合し得る。「特異的に結合する」という語句は、特定の条件下で、LMAリガンドがLMAに結合し、他のタンパク質または炭水化物に有意な量結合しないことを意味する。そのような条件下でのLMAへの特異的結合は、その特異性について選択される抗体を必要とし得る。LMAと特異的に免疫反応する抗体を選択するには、種々の免疫測定形式を用いることができる。例えば、タンパク質または炭水化物と特異的に免疫反応する抗体を選択するには、固相ELISA免疫測定法が日常的に用いられる。特異的免疫反応性を決定するために使用し得る免疫測定形式および条件の記載に関しては、Harlow and Lane (1988) Antibodies, a Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Publications, New Yorkを参照されたい。
抗LMA抗体は当業者に周知であると考えられる。例えば、骨髄腫を診断する試験において、血清または尿中の遊離λ軽鎖を検出するためにLMAに対する抗体が用いられている(Bradwell et al., (2001) Clin. Chem. 47:673-680)。しかし今日まで、LMAは、骨髄腫を治療するための、または患者中の骨髄腫細胞の位置を特定するための標的としては使用されていない。
適切な抗LMA抗体の例としては、RDI-TRK1L7-3D1(RDI;米国、ニュージャージー州、フランダース)、CBL317(Cymbus Biotechnology Ltd、英国)、2G7(Nakano and Nagata (2003) J Immunol Methods 275; 9-17)、L7もしくはME-154(AbCam Ltd(英国、ケンブリッジ))、またはmAb1306(Chemicon International、オーストラリア)が挙げられる。
抗体は完全な免疫グロブリンとして存在してもよいし、または、例えばVHもしくはVLドメインを含むドメイン抗体、重鎖可変領域の二量体(ラクダについて記載されるようなVHH)、軽鎖可変領域の二量体(VLL)、軽鎖および重鎖可変領域のみを含むFv断片、または重鎖可変領域およびCH1ドメインを含むFd断片を含む、種々の形態をした修飾物として存在してもよい。互いに連結されて一本鎖抗体を形成する、重鎖および軽鎖の可変領域からなるscFv(Bird et al., Science, 242: 424-426 (1988);Huston et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 85: 5879-5883 (1988)、いずれも参照により本明細書に組み入れられる)、ならびにダイアボディーおよびトライアボディー(triabody)のようなscFvのオリゴマーもまた、「抗体」という用語に包含される。Fab断片、(Fab')2断片、ならびに可変領域および定常領域の一部を含むFabFc2断片などの抗体断片もまた包含される。CDR移植抗体断片および抗体断片のオリゴマーもまた包含される。Fvの重鎖および軽鎖成分は同じ抗体に由来してもよいし、または異なる抗体に由来して、キメラFv領域を生成してもよい。抗体は動物(特に、マウスまたはラット)もしくはヒト起源であってもよいし、またはキメラであるか(Morrison et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81, 6851-6855 (1984)、いずれも参照により本明細書に組み入れられる)もしくはヒト化されていてもよい(Jones et al., Nature, 321, 522-525 (1986)、およびUK特許出願第8707252号、いずれも参照により本明細書に組み入れられる)。本明細書で使用する「抗体」という用語はこれら種々の形態を含む。本明細書に提供する指針、ならびに上記の参考文献およびHarlow & Lane, Antibodies: a Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, (1988)などの出版物に記載される当業者に周知である方法を使用すれば、本発明の抗体を容易に作製することができる。
LMA結合抗体は、可変軽鎖(VL)および可変重鎖(VH)を含むFv領域であってよい。軽鎖および重鎖は、直接またはリンカーを介して連結され得る。本明細書で使用するリンカーとは、軽鎖および重鎖と共有結合して、それらの産生の対象であるエピトープに特異的に結合し得る高次構造を生じ得るように、2つの鎖間に十分な空間および可動性を提供する分子を指す。タンパク質リンカーは融合ポリペプチドのIg部分の固有の成分として発現され得るため、このリンカーが特に好ましい。
本発明の別の好ましい態様は、組換えによって産生される一本鎖scFv抗体、好ましくはヒト化scFvである。
抗体またはその断片をコードする遺伝子の調製
抗体をコードする遺伝子、軽鎖遺伝子および重鎖遺伝子の両方またはそれらの一部、例えば一本鎖Fv領域は、ハイブリドーマ細胞株からクローニングすることができる。それらはすべて、同様の一般的戦略を用いてクローニングすることができる。典型的には、例えば、ハイブリドーマ細胞から抽出したポリ(A)+ mRNAを、プライマーとしてランダムヘキサマーを用いて逆転写する。Fv領域に関しては、VHドメインおよびVLドメインを2つのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって別々に増幅する。重鎖配列は、抗LMA重鎖それぞれのアミノ末端タンパク質配列に従って設計された5'末端プライマーおよび共通免疫グロブリン定常領域配列に従った3'末端プライマーを用いて増幅し得る(Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest. 5th edition. U.S. Department of Health and Human Services, Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, Md. (1991)、参照により組み入れられる)。軽鎖Fv領域は、抗LMA軽鎖のアミノ末端タンパク質配列に従って設計された5'末端プライマーをプライマーC-κと組み合わせて使用して増幅する。当業者は、Fv領域を得るために、多くの適切なプライマーを使用し得ることを理解すると考えられる。
PCR産物を適切なクローニングベクターにサブクローニングする。DNA制限による正確な大きさの挿入物を含むクローンを同定する。次いで、クローニング部位に隣接した配列決定プライマーを使用して、二本鎖プラスミドDNAから重鎖または軽鎖コード領域のヌクレオチド配列を決定し得る。DNAの配列決定を容易にするために、市販のキット(例えば、Sequenase(商標)キット、United States Biochemical Corp.、米国、オハイオ州、クリーブランド)を使用してもよい。
したがって、Fv領域をコードするDNAは任意の適切な方法によって調製することができ、このような方法としては、例えば、リガーゼ連鎖反応(LCR)(Wu and Wallace, Genomics 4: 560 (1989) 、Landegren et al., Science 241: 1077 (1988)、およびBarringer, et al., Gene 89: 117 (1990)を参照されたい)、転写増幅(Kwoh et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 86: 1173 (1989)を参照されたい)、および自律的配列複製(Guatelli et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87: 1874 (1990)を参照されたい)のような増幅技法、適切な配列のクローニングおよび制限、またはNarang et al., Meth. Enzymol. 68: 90-99 (1979)のホスホトリエステル法;Brown et al., Meth Enzymol. 68: 109-151 (1979)のホスホジエステル法;Beaucage et al., Tetra. Lett., 22: 1859-1862 (1981)のジエチルホスホラミダイト法;および米国特許第4,458,066号の固体支持体法のような方法による直接的化学合成が挙げられる。
化学合成により一本鎖オリゴヌクレオチドが得られる。これは、相補的配列とのハイブリダイゼーションによって、または一本鎖を鋳型として使用するDNAポリメラーゼを用いた重合によって、二本鎖DNAに変換することができる。一本鎖Fv領域全体を化学合成することも可能であるが、多くの短い配列(約100〜150塩基)を合成し、その後これらを連結することが好ましい。
または、サブ配列をクローニングし、適切な制限酵素を使用して適切なサブ配列を切断し得る。次いで、断片を連結して、所望のDNA配列を生成することができる。
Fv可変軽鎖DNAおよび可変重鎖DNAが得られたならば、当業者に周知の技法を使用して、直接またはペプチドリンカーをコードするDNA配列を介して、配列を共に連結し得る。1つの態様において、重鎖および軽鎖領域は、重鎖Fvドメインのカルボキシ末端から始まり、軽鎖Fvドメインのアミノ末端で終了する可動性のペプチドリンカー(例えば、(Gly4Ser)3)によって連結される。完全な配列は、一本鎖抗原結合タンパク質の形態のFvドメインをコードする。
細胞毒性成分
本発明で使用するための適切な細胞毒性成分には、これらに限定されるわけではないが、細菌または植物毒素、薬剤、例えばシクロホスファミド(CTX;サイトキサン)、クロランブシル(CHL;リューケラン)、シスプラチン(CisP;CDDP;プラチノール)、ブスルファン(ミレラン(myleran))、メルファラン、カルムスチン(BCNU)、ストレプトゾトシン、トリエチレンメラミン(TEM)、マイトマイシンC、およびその他のアルキル化剤;メトトレキセート(MTX)、エトポシド(VP-16;ベペシド(vepesid))、6-メルカプトプリン(6MP)、6-チオグアニン(6TG)、シラタビン(Ara-C)、5-フルオロウラシル(5FU)、ダカルバジン(DTIC)、2-クロロデオキシアデノシン(2-CdA)、およびその他の代謝拮抗剤;アクチノマイシンD、ドキソルビシン(DXR;アドリアマイシン)、ダウノルビシン(ダウノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシン、およびその他の抗生物質を含む抗生物質;ビンクリスチン(VCR)、ビンブラスチンなどのアルカロイド;ならびに、グルココルチコイド(デキサメタゾン(DEX;デカドロン)など)およびコルチコステロイド(プレドニゾンなど)細胞分裂阻害剤、
ヌクレオチド酵素阻害剤(ヒドロキシ尿素など)を含むその他の抗癌剤などの物質が含まれる。
当業者は、周知の技法によりLMAリガンドに結合され、腫瘍組織を特異的に破壊するために送達され得る、数多くの他の放射性同位体および化学細胞毒性薬があることをを理解すると考えられる。例えば、Blattlerらの米国特許第4,542,225号を参照されたい。光活性化毒素の例には、ジヒドロピリジン-およびオメガ-コノトキシンが含まれる(Schmidt et al., J Biol. Chem., 1991, 266(27):18025-33)。使用し得る画像処理試薬および細胞毒性試薬の例には、125I、131I、111In、123I、99mTc、32P,3H、および14C;フルオレセインおよびローダミンなどの蛍光標識、ならびにルシフェリンなどの化学発光剤が含まれる。抗体は、当技術分野で周知の技法を使用して、そのような試薬で標識することができる。例えば、抗体の放射標識に関する技法については、Wenzel and Meares, Radioimmunoimaging and Radioimmunotherapy, Elsevier, N.Y. (1983)を参照されたい(Colcer et al., 「Use of Monoclonal Antibodies As Radiopharmaceuticals For The Localization Of Human Carcinoma Xenografts In Nude Mice」, Methods Enzymol., 121:802-16, 1986:「Order, Analysis, Results and Future Prospective of the Therapeutic Use of Radiolabeled Antibody in Cancer Therapy」, Monoclonal Antibodies for Cancer Detection and Therapy, Baldwin et al. (eds), pp. 303-16 (Academic Press 1985)もまた参照されたい)。
一例では、インジウム-111またはイットリウム-90に対する高親和性キレート部位を提供するために、安定なチオ尿素によってリンカーキレーターチウキセタンがLMAリガンドに結合される。
細胞毒性薬をコードするDNA分子が本発明の治療組成物中に存在する場合、DNAは好ましくは細菌または植物毒素であるポリペプチドをコードする。これらのポリペプチドには、これらに限定されないが、天然または改変シュードモナス外毒素(PE)、ジフテリア毒素(DT)、リシン、アブリン、ゲロニン、モモルジンII、志賀毒素および志賀毒素a鎖などの細菌RIP、ルフィン(luffin)[Islam et al., Agricultural Biological Chem., 54(5):1343-1345 (1990)を参照]、aトリコサンチン[Chow et al., J. Biol. Chem., 265:8670-8674 (1990)を参照]、モモルジンI[Ho et al., BBA, 1088:311-314 (1991)を参照]、ミラビリス(Mirabilis)抗ウイルスタンパク質[Habuka et al., J. Biol. Chem., 264(12):6629-6637 (1989)を参照]、ヨウシュヤマゴポウ抗ウイルスタンパク質[Kung et al., Agric. Biol. Chem., 54(12):3301-3318 (1990を参照]、ブリオジン(byodin)2(米国特許第5,597,569号)、ガポリン(gaporin)[Benatti et al., Eur. J. Biochem., 183:465-470 (1989)を参照]、および遺伝子操作したこれらの変種などのポリペプチドが含まれる。天然のPEおよびDTは非常に毒性の強い化合物であり、典型的に肝臓毒性により死に到らしめる。好ましくは、PEおよびDTは改変して、毒素の天然の標的化成分(例えば、PEのドメインIaおよびDTのB鎖)を除去した形態に修飾する。当業者は、本発明が特定の細胞毒性薬に限定されないことを理解すると考えられる。
本明細書で使用する「シュードモナス外毒素(PE)」という用語は、全長の天然(天然に存在する)PEまたは改変されたPEを指す。そのような改変には、ドメインIaの除去、ドメインIIおよびIIIにおける種々のアミノ酸の欠失、単一アミノ酸置換(例えば、590位および606位のLysをGlnで置換する)、およびカルボキシル末端における1つまたは複数の配列の付加が含まれ得るが、これらに限定されない。Siegall et al., J. Biol. Chem., 264: 14256-14261 (1989)を参照されたい。したがって、例えば、PE38はアミノ酸253〜364および381〜613から構成される切断型シュードモナス外毒素を指す。PEの天然C末端、REDLK(残基609〜613)を配列KDEL、REDLで置換することができ、またLys-590およびLys-609をそれぞれGlnに変異させることもできる。
本明細書で使用する「ジフテリア毒素(DT)」という用語は、全長の天然DTまたは改変されたDTを指す。改変は典型的にB鎖中の標的化ドメインの除去を含み、より詳細にはB鎖のカルボキシル領域の切断を含む。
抗体融合ポリペプチドの調製
LMA結合成分(例えば、抗LMA抗体断片)をコードするDNA配列が同定された時点で、そのような領域を含む融合ポリペプチドを当業者に周知の方法により調製することができる。例えば、Fv領域をコードする遺伝子を、細胞毒性成分、好ましくはポリペプチドである成分をコードする遺伝子に融合させる。任意に、Fv遺伝子はペプチドコネクターをコードする部分に連結される。ペプチドコネクターは、単に、LMA結合成分と細胞毒性成分の間に空間を提供するため、またはこれらの領域間の可動性を促進してそれぞれが最適な高次構造が得られるように存在し得る。コネクターを含むDNA配列は、クローニングを容易にする配列(例えば、プライマー部位または制限部位)を提供することもでき、または結合成分をコードする配列と細胞毒性成分をコードする配列の間の読み枠を保存することもできる。そのようなコネクターペプチドの設計は当業者に周知である。
一般に、融合ポリペプチドの生成は、Fv軽鎖および重鎖ならびにそれらを融合させる任意の他のタンパク質をコードするDNAを別々に調製する段階、およびDNA配列をプラスミドまたは他のベクター中で組み換えて特定の所望の融合ポリペプチドをコードする構成物を形成する段階を含む。しかしながら、より簡便なアプローチは、特定のFv領域をコードするDNAを、所望の第2のポリペプチドを既にコードしている構築物中に挿入する段階を含む。Fv領域をコードするDNA配列は、当業者に周知である技法を使用して、構築物中に挿入される。
本発明の1つの態様は、DNA結合ポリペプチドに連結された、VHおよびCHまたはそれらの一部を含む組換えによって生成された抗体を含む融合ポリペプチドである。この融合ポリペプチド、ならびにVLおよびCLまたはそれらの一部を含む抗体は共に、あらかじめ選択された線状または環状DNA分子を、あらかじめ選択された標的分子を有する細胞または組織に方向づけるのに有用な組換え抗体を形成する。
本発明の別の好ましい態様は、組換えによって生成された一本鎖scFv抗体、好ましくはヒト化scFvである。特に、本発明は、DNA結合ポリペプチドに連結された組換え一本鎖抗体を提供するが、これらの抗体はDNAと特異的に結合し得ることから、これらの抗体は、DNA結合ポリペプチドに結合されたDNAをLMAを有する細胞または組織に方向づける働きをする標的成分として有用である。
本発明の組換え一本鎖抗体は、当業者に周知でありかつ当業者が利用可能な任意の方法により、特定の活性を有する細胞毒または他の分子に融合させるか、または別の方法で結合させることができる。2つの成分は、様々な周知の化学的手順のいずれかにより、共に化学結合させることができる。例えば、結合はヘテロ二官能性架橋剤、例えばSPDP、カルボジイミド、グルタルアルデヒドなどによるものであってよい。様々な免疫毒素の製造および化学的結合法は当技術分野において周知であり、例えば「Monoclonal Antibody-Toxin Conjugates: Aimimg the Magic Bullet」, Thorpe et al., Monoclonai Antibodies in Clinical Medicine, Academic Press, pp. 168-190 (1982);Waldmann, Science 252: 1657 (1991);Vitetta et al., 1987, Science, 238:1098;Pastan et al., 1986; Cell, 47:641;およびThorpe et al., 1987, Cancer Res., 47:5924に見出すことができ、これらは参照により本明細書に組み入れられる。これらの方法は一般に、2つのポリペプチド間にジスルフィド結合を導入する架橋剤を用いて、細胞毒と抗体を結合する。非還元性結合によって調製された免疫毒素は、ジスルフィド結合によって架橋された同様の毒素よりも一貫して細胞毒性が低いことが示されている。
他の好ましい試薬は、2-イミノチオラン塩酸(2IT)、S-4-スクシンイミジルオキシカルボニル-α-メチルベンジルチオ硫酸ナトリウム(SMBT)および2IT、またはスクシンイミジルオキシカルボニル-α-メチル-α(2-ピリジルジチオ)-トルエンおよび2ITである。各試薬群は還元可能な抗体と毒素の間にジスルフィド結合を導入するが、この結合はまた分解に対し耐性であり、インビトロおよびインビボにおける複合体の安定性を提供する。標的細胞のリソソームまたはエンドソーム内に内部移行する際、結合は還元される。例えば、組換えPE分子を抗体と共に使用するには、システインのチオール部分を介して毒素を抗体または他のリガンドに結合させるために、アミノ酸287位にシステインを有するPE分子の形態が好ましい。
1の態様において、LMA結合成分はまた、組換えDNA技法の使用を介するなど組換え手段によって細胞毒に融合させ、抗体と細胞毒の両方をコードする核酸を生成し、その組換えDNA配列を真核生物(例えば、CHOまたはCOS細胞などの哺乳動物)宿主または原核生物(例えば、大腸菌(E. coli))宿主などの宿主細胞中で発現させることができる。融合ポリペプチドをコードするDNAは、当業者に周知の任意のクローニング手順により、cDNA形態でまたはゲノム形態でクローニングすることができる。例えば、参照により本明細書に組み入れられる、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory (1989)を参照されたい。
化学合成、生物学的発現、または精製の後に、融合ポリペプチドが天然抗体とは実質的に異なる高次構造を有し得ることを当業者は理解するであろう。この場合、ポリペプチドを変性および還元し、次いでポリペプチドを好ましい高次構造になるよう再折りたたみさせることが必要であると考えられる。ポリペプチドを還元および変性し、再折りたたみを誘導する方法は当業者に周知である。(参照により本明細書に組み入れられる、Debinski et al., J. Biol. Chem, 268: 14065-14070 (1993);Kreitman and Pastan, Bioconjug. Chem., 4: 581-585 (1993);およびBuchner et al., Anal. Biochem., 205: 263-270 (1992)を参照されたい。)例えば、Debinskiらは、グアニジン-DTE中での封入体タンパク質の変性および還元について記載している。次いで、酸化グルタチオンおよびL-アルギニンを含む酸化還元緩衝液中で、ポリペプチドを再折りたたみさせる。
生物活性を減少させることなく融合ポリペプチドに改変を行い得ることを、当業者は理解するであろう。融合ポリペプチドの抗体部分のクローニング、発現、または融合ポリペプチドへの組み込みを容易にするために、いくつかの改変を行うことができる。そのような改変は当業者に周知であり、これには例えば、開始部位を提供するためのアミノ末端へのメチオニンの付加、精製を容易にするためのポリペプチドのいずれかの末端へのHisタグの付加、または都合よく位置する制限部位もしくは終止コドンを作製するためのいずれかの末端へのさらなるアミノ酸の付加が含まれる。
他の改変も行い得ることは当業者に明らかであろう。したがって、例えば、融合ポリペプチドの特異性または結合親和力を増大させるアミノ酸置換を行ってもよい。または、分子の非必須領域を短縮するかまたは完全に削除してもよい。したがって、それ自体が分子の活性に関与しない分子の領域が存在する場合、それらを削除するか、または分子の活性成分間の正しい空間的関係を維持するのに役立つ短い断片で置換することができる。または、より可動性の高い断片をドメイン間領域に置き、分子の折りたたみまたは産生を促進することも可能である(Brinkmann et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89: 3075-3079 (1992))。
モノクローナル抗体
LMAエピトープに対するモノクローナル抗体は、当業者によって容易に作製され得る。ハリブリドーマによりモノクローナル抗体を作製する一般的な方法は周知である。不死化抗体産生細胞株は、細胞融合によって、およびまた発癌性DNAによるBリンパ球の直接形質転換、またはエプスタイン・バーウイルスによるトランスフェクションなどの他の技法によって作製することができる。LMAエピトープに対して産生されたモノクローナル抗体群は、種々の特性に関して;すなわちアイソタイプおよびエピトープ親和性に関してスクリーニングし得る。
マウス由来モノクローナル抗体は、インビボにおける直接免疫療法および体外免疫療法の両方に使用できる。しかし、マウス由来モノクローナル抗体を治療薬としてヒトで使用した場合、患者によりヒト抗マウス抗体が産生されることが認められている。したがって、マウス由来モノクローナル抗体は、治療、特に長期使用には好ましくない。しかし、確立された遺伝子工学法を用いて、動物由来部位およびヒト由来部位を有するキメラ抗体またはヒト化抗体を作製することが可能である。動物は、マウスまたはラットなどの他の齧歯動物であってよい。
キメラ抗体の可変領域がマウスに由来するが定常領域がヒト由来である場合、そのキメラ抗体は一般に「純粋な」マウス由来モノクローナル抗体よりも免疫原性が低くなる。これらのキメラ抗体は治療上の使用により適している可能性が高く、「純粋な」マウス由来抗体は不適切であることが判明した。
キメラ抗体
当業者は、キメラ抗体を作製する方法を利用できる。例えば、軽鎖および重鎖を、例えば別々のプラスミド中の免疫グロブリン軽鎖および免疫グロブリン重鎖を使用して、別々に発現させ得る。次いで、これらを精製し、インビトロで組み立てて完全な抗体を構築し得る;このような構築を達成する方法が説明されている。例えば、Scharff, M., Harvey Lectures 69:125 (1974)を参照されたい。Oi et al., Bio Techniques 4(4):214-221 (1986);およびSun et al., Hybridoma 5 (1986) Suppl 1:517-20もまた参照されたい。このようなDNA構築物は、ヒト定常領域をコードするDNAに連結された抗LMA抗体の軽鎖または重鎖の可変領域の機能的に再編成された遺伝子をコードするDNAを含み得る。軽鎖および重鎖に関するDNA構築物をトランスフェクションした骨髄腫またはハイブリドーマなどのリンパ球細胞は、抗体鎖を発現および構築し得る。
単離された還元型の軽鎖および重鎖からIgG抗体を形成するためのインビトロ反応パラメータについてもまた説明されている。例えば、Beychok, S., Cells of Immunoglobulin Synthesis, Academic Press, New York, p.69, 1979を参照されたい。完全なH2L2 IgG抗体への重鎖および軽鎖の細胞内会合および連結を達成するために、同一細胞中で軽鎖および重鎖を同時発現させることもまた可能である。そのような同時発現は、同一宿主細胞において同じまたは別のプラスミドを使用して達成し得る。
ヒト化抗体
本発明の別の好ましい態様において、抗LMA抗体はヒト化される、すなわち、抗体のヒト含量が最大となるが、マウス抗体の可変領域に起因する結合親和性がほとんどまたは全く損なわれなることがない抗体が分子モデリング法により作製される。
以下に記載する方法は、抗LMA抗体のヒト化に適用できる。
ヒト化の過程には、どのヒト抗体配列を使用すべきかを決定する上で考慮すべきいくつかの要因が存在する。軽鎖および重鎖のヒト化は互いに独立して検討されるが、論法はそれぞれについて基本的に同様である。
選択過程は、以下の原理:所与の抗体の抗原特異性および親和性は、主として可変領域CDRのアミノ酸配列によって決まる、に基づいている。可変ドメインフレームワーク残基は、直接寄与することはほとんどまたは全くない。フレームワーク領域の主な機能は、抗原を認識できるようにCDRを適切な空間配置に保持することにある。このため、齧歯動物のCDRをヒトの可変ドメインフレームワーク中に置換挿入すると、ヒトの可変ドメインフレームワークが齧歯動物CDRが得られた元の齧歯動物可変ドメインと高度に相同的である場合には、それらの正しい空間配置が保持される可能性が極めて高い。それ故、ヒトの可変ドメインは、好ましくは、齧歯動物可変ドメインと高度に相同的であるものを選択すべきである。適切なヒト抗体可変ドメイン配列は、以下のように選択され得る
段階1.
コンピュータプログラムを用いて、齧歯動物抗体の可変ドメインと最も相同的なヒト抗体可変ドメインの配列に関して、利用可能なすべてのタンパク質(および)データベースを検索する。適切なプログラムの出力は、齧歯動物抗体と最も相同的な配列、各配列に対するパーセント相同性、および各配列の齧歯動物配列に対するアラインメントのリストである。これは、重鎖および軽鎖可変ドメイン配列の両方について独立して行われる。上記の解析は、ヒト免疫グロブリン配列のみが含まれるている場合、より容易に達成される。
段階2.
ヒト抗体可変ドメイン配列を列挙し、相同性を比較する。主として、比較は、極めて可変的である重鎖のCDR3を除外したCDRの長さに対して行われる。ヒト重鎖ならびにκおよびλ軽鎖は、サブグループに分類される;重鎖3サブグループ、κ鎖4サブグループ、λ鎖6サブグループ。各サブグループにおけるCDRサイズは類似しているが、サブグループ間で異なる。通常、相同性の最初の近似として、齧歯動物抗体CDRをヒトサブグループのうちの1つに一致させることが可能である。次いで、同様の長さのCDRを有する抗体を、特にCDR内のアミノ酸配列について比較し、またそればかりでなく周囲のフレームワーク領域中のアミノ酸配列についても比較する。最も相同的であるヒト可変ドメインを、ヒト化のためのフレームワークとして選択する。
実際のヒト化方法/技法
抗体は、EP-A-0239400号に従って、所望のCDRをヒトフレームワークに移植することによってヒト化し得る。したがって、そのCDRを再形成することが望まれるヒトDNAから開始して、所望の再形成抗体をコードするDNA配列を作製し得る。所望のCDRを含む齧歯動物可変ドメインアミノ酸配列を、選択したヒト抗体可変ドメイン配列のアミノ酸配列と比較する。ヒト可変領域に齧歯動物CDRを取り込ませるために、齧歯動物中の対応する残基に変更する必要があるヒト可変ドメイン中の残基を明らかにする。また、ヒト配列を置換する、ヒト配列に付加する、またはヒト配列から欠失させる必要がある残基が存在する場合もある。
ヒト可変ドメインのフレームワークを所望の残基を含むように突然変異させるために使用し得るオリゴヌクレオチドを合成する。それらのオリゴヌクレオチドは、任意の簡便な大きさのものであってよい。通常は、使用し得る特定の合成機の性能によってのみ、長さが限定される。オリゴヌクレオチド特異的インビトロ突然変異誘発法は周知である。
または、ヒト化は、国際公開公報第92/07075号の組換えポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法を用いて達成し得る。この方法を使用して、CDRはヒト抗体のフレームワークの領域間に挿入され得る。
一般的に、国際公開公報第92/07075号の技法は、2つのヒトフレームワーク領域、ABおよびCD、ならびにそれらの間にある、ドナーCDRによって置換されるべきCDR含む鋳型を用いて行うことができる。プライマーAおよびBはフレームワーク領域ABを増幅するために用いられ、プライマーCおよびDはフレームワーク領域CDを増幅するために使用される。しかしながら、プライマーBおよびCはそれぞれその5'末端に、ドナーCDR配列のすべてまたは少なくとも一部に相当するさらなる配列も含んでいる。プライマーBおよびCは、PCRが行われ得る条件下で互いにその5'末端のアニーリングを可能とするのに十分な長さだけ重複している。このため、増幅領域ABおよびCDは重複伸長によって遺伝子接合を行って、単一の反応でヒト化産物を産生し得る。
再形成された抗体のトランスフェクションおよび発現
抗体を再形成するための突然変異誘発反応を行った後、突然変異を誘発したDNAを軽鎖または重鎖定常領域をコードする適切なDNAに連結し、発現ベクターにクローニングし、宿主細胞、好ましくは哺乳動物細胞にトランスフェクションし得る。これらの段階は、日常的な様式で行うことができる。したがって、再形成された抗体は、以下の段階を含む工程によって調製され得る:
(a) 少なくともIg重鎖または軽鎖の可変ドメイン、ヒト抗体に由来するフレームワーク領域および本発明のヒト化抗体に必要とされるCDRを含む可変ドメインをコードするDNA配列に機能的に連結された適切なプロモーターを含む第1の複製可能な発現ベクターを調製する段階;
(b) それぞれ少なくとも補間的なIg軽鎖または重鎖の可変ドメインをコードするDNA配列に機能的に連結された適切なプロモーターを含む第2の複製可能な発現ベクターを調製する段階;
(c) 調製した第1のベクターまたは両ベクターで細胞株を形質転換する段階;および
(d) 形質転換した細胞を培養して改変抗体を産生させる段階。
好ましくは、段階(a)のDNA配列は、可変ドメインおよびヒト抗体鎖の各定常ドメインの両方をコードしている。ヒト化抗体は、任意の適切な組換え発現系を用いて調製することができる。改変抗体を産生させるために形質転換する細胞株は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株、または有利には、骨髄腫、ハイブリドーマ、トリオーマ、もしくはクアドローマ(quadroma)細胞株のようなリンパ系起源の不死化哺乳動物細胞株であってよい。細胞株には、エプスタイン・バーウイルスなどのウイルスで形質転換することによって不死化されたB細胞などの正常なリンパ球も含まれ得る。最も好ましくは、不死化細胞株は骨髄腫細胞株またはその派生物である。
本発明の抗体の発現に用いられるCHO細胞はジヒドロ葉酸還元酵素(dhfr)が欠損し、それ故増殖するためにチミジンおよびヒポキサンチンに依存し得る(Urlaub et al., Proc. Natl. Acac. Sci. U.S.A., 77 4216-4220 (1980))。親のdhfr- CHO細胞株に、抗体をコードするDNAおよびdhfr陽性表現型のCHO細胞形質転換体の選択を可能にするdhfr遺伝子をトランスフェクションする。選択は、チミジンおよびヒポキサンチンを欠く培地上でコロニーを培養することによって行うが、これらが存在しないことによって、非形質転換細胞が増殖すること、および形質転換細胞が葉酸経路を再利用して選択系を回避することが妨げられる。これらの形質転換体は、通常、トランスフェクションされた関心対象のDNAおよびdhfrをコードするDNAを共に組み込んだことにより、低レベルの関心対象DNAを発現する。抗体をコードするDNAの発現レベルは、メトトレキセート(MTX)を用いた増幅によって増加させることができる。この薬剤は酵素dhfrの直接阻害剤であり、これらの条件下で生存するのに十分なdhfr遺伝子コピー数を増幅する耐性コロニーの単離を可能にする。dhfrおよび抗体をコードするDNA配列は元の形質転換体において密接に連結しているため、通常、同時に増幅が起こり、よって所望の抗体の発現が増加する。
CHOまたは骨髄腫細胞と共に使用するのに好ましい別の発現系は、国際公開公報第87/04462号に記載されるグルタミン合成酵素(GS)増幅系である。この系は、酵素GSをコードするDNAおよび所望の抗体をコードするDNAの細胞へのトランスフェクションを含む。次いで、グルタミン非含有培地中で増殖し、GSをコードするDNAが組み込まれたことが推測され得る細胞を選択する。次に、これらの選択されたクローンを、メチオニンスルホキシミン(Msx)を用いる酵素GSの阻害に供する。細胞は、生存するために、抗体をコードするDNAの同時増幅を伴ってGSをコードするDNAを増幅する。
ヒト化抗体を産生させるために使用する細胞株は好ましくは哺乳動物細胞株であるが、または、細菌細胞株または酵母細胞株などの任意の他の適切な細胞株を使用することも可能である。特に、大腸菌由来細菌株を使用し得ることが想定される。得られた抗体は、機能について確認する。機能が失われている場合には、段階(2)に戻って、抗体のフレームワークを改変することが必要である。
発現された時点で、硫安塩析、アフィニティーカラム、カラムクロマトグラフィー、ゲル電気泳動などを含む、当技術分野で標準的な手順に従って、本発明の抗体全体、その二量体、個々の軽鎖および重鎖、または他の免疫グロブリン型を回収および精製し得る(一般的には、Scopes, R., Protein Purification, Springer-Verlag, N.Y. (1982)を参照されたい)。薬学的用途には、少なくとも約90〜95%の均一性の実質的に純粋な免疫グロブリンが好ましく、98〜99%またはそれ以上の均一性が最も好ましい。ひとたび部分的にまたは所望の均一性になるまで精製されたならば、次いでヒト化抗体を、治療上、またはアッセイ手順、免疫蛍光染色などを開発および実行する際に使用し得る(一般的には、Immunological Methods, Vols.I and II, Lefkovits and Pernis, eds., Academic Press, New York, N.Y. (1979 and 1981)を参照されたい)。
Greenwood and Clark((1993) Eur. J. Immunol. 23:1098-1104)によって実施された研究により、ヒトエフェクター細胞による抗体のFc領域の認識は、免疫グロブリン分子の定常領域を操作することによって最適化できることが実証されている。これは、所望の特異性を有する抗体の可変領域遺伝子を、ヒト対象において効率的なADCCを実証した免疫グロブリンアイソタイプ、例えばIgG1およびIgG3アイソタイプをコードするヒト定常領域遺伝子に融合させることによって達成され得る(Greenwood and Clark (1993) Protein Engineering of Antibody Molecules for Prophylactic and Therapeutic Applications in Man. Edited by Mike Clark, published by Academic Titles. Section II 85-113)。LMAに対する得られたキメラ抗体またはヒト化抗体は、ADCCを誘導するのに特に効果的であるはずである。
抗原誘発に応答して完全なヒト可変領域を有する抗体を産生するように改変され、内因性遺伝子座の機能を失わせたトランスジェニック動物に抗原を投与することにより、LMAに対するそのような抗体を調製することも可能である。抗体自体またはその類似体を得るために、種々のそれに続く操作が行われ得る(例えば、米国特許第6,075,181号を参照されたい)。
治療法
1つの局面において、本発明の方法は、抗体または断片がインサイチューで骨髄腫細胞の表面LMAに結合してその上で免疫攻撃を促進することに依存して、修飾されていない抗体または結合断片を利用する。例えば、抗原結合部位がヒトFc領域、例えばIgG1に結合されたキメラ抗体を用いて、抗体依存性細胞傷害または補体媒介性細胞傷害を促進することができる。
本発明の別の局面では、細胞毒性薬または生物学的修飾因子に結合されたLMA結合成分を用いて、治療法が行われ得る。得られた複合体が腫瘍細胞に結合することで、細胞の増殖が阻害されるかまたは細胞が死滅する。
本発明の抗体に対する抗イディオタイプモノクローナル抗体もまた、能動腫瘍免疫および腫瘍治療において治療的に使用され得る(例えば、Hellstrom et al., 「Anti Idiotypes」, Covalently Modified Antigens and Antibodies in Diagnosis and Therapy, 前期、pp. 35-41を参照されたい)。
多発性骨髄腫の分野において、本発明の抗体または抗体断片は、骨髄腫細胞を除去した細胞試料の調製においてさらなる有用性を有する。この使用は自己骨髄移植において特に重要であり、この場合、骨髄試料は、癌患者が大量化学療法を受ける前に患者から採取される。大量化学療法の目標は癌細胞を破壊することであるが、それはまた骨髄細胞の減少ももたらす。そのような処置の後に、採取した骨髄細胞が患者に再導入される。
骨髄腫および関連疾患では、採取された骨髄に骨髄腫細胞が混入している;そのため、無処置の骨髄を再導入することは、単に疾患を再導入することになる。癌細胞の再導入を防ぐための従来法には、インビトロにおいて骨髄試料を化学療法薬および他の抗腫瘍薬で処置することが含まれた。他の方法には、癌細胞試料のパージングが含まれる。
本発明のさらなる実施では、患者に再導入する前に患者の骨髄試料から骨髄腫細胞を除去するために、本発明のモノクローナル抗体および断片が使用され得る。1つの非限定的な例では、モノクローナル抗体または結合断片をビーズなどのマトリックスに結合させる。これは、抗体またはその結合断片を含むアフィニティーマトリックスを調製するためのいくつかの既知方法のいずれかによって達成され得る。次いで、試料中の骨髄腫細胞が抗原/抗体相互作用を介して、マトリックスに結合している抗体または結合断片と結合するのを促進する条件下で、マトリックスを含むカラムに細胞を通過させるなどして、骨髄試料をマトリックスに曝露する。試料中の骨髄腫細胞はマトリックスに付着し;カラム流出液、すなわち非吸着性の細胞集団からは骨髄腫細胞が除去されている。この手順の有効性は、以下に記載するような検出可能に標識された抗体を使用するなどして、残存する骨髄腫細胞について細胞を検査することによりモニターし得る。この手順は、有効性を高めるために繰り返すかまたは改善することができる。
このパージング手順(例えば、Ramsay et al., J. Clin. Immunol., 8(2):81-88, 1988を参照されたい)は、癌細胞を除去するかまたは死滅させる他の方法と共に実施することができ、そのような方法には、これに限定されるわけではないが、精製された骨髄細胞の化学療法薬への曝露が含まれる。そのような化学療法薬には、インビボ治療処置について上記したような、化学療法薬に結合された本発明の抗体または抗体結合断片の使用が含まれる。したがって、本発明の抗体または抗体断片と細胞毒性薬との複合体は、細胞試料中の腫瘍細胞のエキソビボ死滅に使用することができる。この方法はさらに、骨髄腫細胞が迅速に分化し、それによってその細胞表面上での癌特異抗原の発現が上方制御されるよう促進するために、サイトカイン(例えば、GM-CSF、IL-6)、サイトカイン受容体(例えば、IL-6受容体)、マイトジェン(例えば、ヨウシュヤマゴボウマイトジェン(PWM))、または接着分子(例えば、CD40リガンド)に細胞を曝露する段階を含む。これらの治療様式は、本発明によるモノクローナル抗体またはその断片とのインキュベーションにより達成されるインビトロ媒介性細胞毒性を骨髄腫細胞が受けやすくなるように意図されている。
本発明の治療法の別の局面において、化学療法薬、光活性化毒素、また放射性核種などの細胞毒性薬と結合された抗体またはその結合断片は、上記パージング技法の不在下で、骨髄試料による骨髄腫細胞を抑制するかまたは死滅させるためにインビトロまたはエキソビボで使用され得る。細胞毒性抗体または抗体断片による試料の処置は、移植する組織から細胞を除去することによって、骨髄移植、特に自己骨髄移植の有効性を高めるために、癌細胞を死滅させる他の方法と組み合わせることができる。これらの方法は、細胞をサイトカインなどに曝露する段階をさらに含み得る。したがって、骨髄腫細胞がモノクローナル抗体またはその結合断片に付着する条件下で、本明細書に記載のモノクローナル抗体または抗体結合断片が結合している固体マトリックスに細胞試料を曝露する段階、およびマトリックスに結合しない細胞試料の細胞画分を単離する段階を含む、単離された細胞試料から骨髄腫細胞を除去する方法を、本明細書に記載する。非限定的な例として、骨髄細胞は特に移植に、好ましくは自己骨髄移植に用いられる。
当業者に理解されるように、一部の骨髄腫患者は血液循環中に顕著なレベルの遊離λ軽鎖を有する。抗LMA抗体はこれらの遊離軽鎖と反応するため、対象の体液中に遊離軽鎖が存在することによって治療の有効性が低下し得る。したがって、本発明の好ましい態様において、本治療法は、抗LMA抗体を投与する前に、対象の体液(例えば、血液)中を循環している遊離λ軽鎖のレベルを減少させるために対象を処置する段階をさらに含む。このさらなる処置段階は、例えば血漿分離交換を含み得る。当業者に周知であるように、血漿分離交換とは、細胞分離装置として知られる装置によって血液細胞から血漿を除去する過程である。分離装置は、高速で血液を回転させ体液から細胞を分離することによって、または血漿のみが透過し得るほど小さな孔を有する膜に血液を通過させることによって機能する。細胞を対象に戻し、遊離κ軽鎖を含む血漿は廃棄して、他の体液と置換する。この過程では、血液の凝固を回避する医薬品(例えば、抗凝固薬)を静脈を介して投与し得る。
抗LMA抗体の使用を含む、多発性骨髄腫などのB細胞疾患を治療する方法は、単独で、または既知の化学療法もしくは放射線療法の補助として行われ得ることが理解されると考えられる。例えば、抗LMA抗体治療は、メルファランまたはシクロホスファミドなどの薬剤の治療と同時に、またはその後で行われ得る。
薬学的組成物、投与量、および投与経路
本発明はまた、抗LMA抗体および薬学的に許容される担体または希釈剤を含む薬学的組成物に関する。
本発明の抗体および薬学的組成物は、予防および/または治療処置のための、非経口、局所、経口、または局部投与、例えばエアロゾルによる投与または経皮投与に有用である。抗LMA抗体の好ましい投与経路は非経口である;本明細書で使用する「非経口」という用語には、静脈内、筋肉内、皮下、直腸、腟内、または腹腔内投与が含まれる。これらのうち、静脈内投与が最も好ましい。
投与用の組成物は、通常、薬学的に許容される担体、好ましくは水性担体中に溶解された抗体の溶液を含む。例えば緩衝生理食塩水などの様々な水性担体を使用することができる。このような溶液は無菌であり、通常は不用物を含まない。これらの組成物は、常用の周知の滅菌技法により滅菌し得る。組成物は、生理的条件に近づけるために必要とされる薬学的に許容される補助物質、例えばpH調整剤および緩衝剤、毒性調整剤など(例えば、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、乳酸ナトリウム)を含み得る。これらの製剤中の抗体の濃度は大きく異なり得り、選択した特定の投与形態および患者の必要性に従って、主として液量、粘度、体重などに基づいて選択されることになる。
腫瘍細胞の増殖は、治療を必要とする対象に有効量の抗LMA抗体の投与することによって阻害され得るかまたは減少され得る。典型的に、抗体は約0.001〜2000 mg/kg体重/用量、より好ましくは約0.01〜500 mg/kg体重/用量という量で投与され得る。反復用量は、治療する医師によって処方される通りに投与され得る。しかし、その他の量もまた適切である。一般に、抗体の投与は、有害効果をもたらし得る抗体の存在量が投与速度を変更することで制御され得るように、注入によって行われる。典型的に、1用量の注入は数時間持続し得る。しかし、本明細書では、血清中に抗体が一定レベルとなるよう維持し得る、治療目的のための用量の一定注入も意図される。抗LMA抗体の注入は、以下のように行われ得る。静脈(I.V.)菅を例えば0.9% NaClおよび5%ヒト血清アルブミンであらかじめ処理し、静脈内投与用に設定し得る。I.V.注入液は全量250 mlの0.9% NaClおよび5%ヒト血清アルブミンを含み、観察される速度依存的な副作用に応じて約2時間にわたって注入され得る。例えば、注入中15分おきに、および注入後安定するまで1時間おきに、生命徴候をとらえるべきである。注入前および注入後に、徹底的な心肺身体診察を行い得る。アレルギー反応を起こした場合に治療できるよう、アセトアミノフェン、ジフェンヒドラミン、エピネフリン、およびコルチコステロイドを含む医薬品を手元に置いておいてもよい。実施者が望ましいと認める通りに、抗体の投与を繰り返してもよい。
本発明の一例では、LMAを発現する細胞を標的化する治療薬として、放射標識型の抗λ抗体が静脈内注射によって送達される。放射標識抗体および治療薬としてこれらを患者に投与する方法は、当技術分野において周知である。例として、HLA-DRのβサブユニットに対するヨウ素131標識Lym-1(DeNardo SJ et al. Antibody Immunoconj Radiophar (1988) 1:17-33;DeNardo SJ et al. Int J Biol Markers (1987) 2:49-53)、ならびに抗CD20のヨウ素111およびイットリウム90標識イブリツモマブチウキセタン(IDEC-Y2B8、ZEVALIN(登録商標)ならびにヨウ素I 131トシツモマブ(BEXXAR(登録商標)が挙げられる。
いずれの治療計画においても、治療組成物は、単独で、またはこれらに限定されないが免疫抑制剤、耐性誘導剤、増強剤、および副作用緩和剤などその他の治療薬、組成物などを含む混合物として、患者に投与することができる。特に好ましいのは、宿主のアレルギー反応を抑制するのに有用な免疫抑制剤である。好ましい免疫抑制剤には、プレドニゾン、メルファラン、プレドニゾロン、DECADRON(Merck, Sharp & Dohme、ペンシルバニア州、ウェストポイント)、シクロホスファミド、シクロスポリン、6-メルカプトプリン、メソトレキセート、アザチオプリン、およびi.v.γグロブリン、またはそれらの組み合わせが含まれる。好ましい増強剤には、モネンシン、塩化アンモニウム、ペルヘキシリン、ベラパミル、アマタジン、およびクロロキンが含まれる。これらはすべて、Physicians' Desk Reference, 41st Ed., Publisher Edward R. Barnhart, N.J. (1987)、1989年8月10日に公表された特許協力条約(PCT)特許出願国際公開公報第89/069767号(参照により本明細書に組み入れられる)に開示されているような、一般に許容される有効投与量範囲で投与される。
診断アッセイ法およびキット
本発明の抗体はまた、ヒト多発性骨髄腫細胞を検出するための、インビトロおよびインビボでの診断用途に有用である。インビトロ診断法には、腫瘍細胞の免疫組織学的検出が含まれる。免疫組織化学技法は、組織試料などの生物試料を本発明の抗体で染色する段階、および次いでその抗原と複合化した抗体の存在を抗原-抗体複合体として検出する段階を含む。試料とそのような抗体-抗原複合体が形成されることで、その組織中に多発性骨髄腫細胞が存在することが示される。試料上での抗体の検出は、免疫酵素技法(例えば、免疫ペルオキシダーゼ染色技法)、またはアビジン-ビオチン技法、または免疫蛍光技法などの当技術分野で周知の技法を用いて達成され得る(例えば、Ciocca et al., 「Immunohistochemical Techniques Using Monoclonal Antibodies」, Methods Enzymol, 121:562-79, 1986、およびKimball, (ed), Introduction to Immunology (2nd Ed), pp. 113-117 (Macmillan Pub. Co., 1986)を参照されたい)。
好ましい態様において、検出は、融合ポリペプチドに結合された標識の検出による。ポリペプチドを標識する方法は、当業者には周知である。標識は、共有結合を介して調節連結され得るか、または典型的に標識および抗体それぞれと共有結合を形成し得る反応部位を有する連結分子を介して共有結合され得る。一般的なアプローチは、ポリペプチドおよび標識をアビジンもしくはストレプトアビジンまたはビオチンで標識するものであり、それらは次に互いに不可逆的的に結合する。
適切な標識は、当業者には周知である。本明細書で使用する「標識」という用語は、分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的、または化学的手段によって検出可能な組成物を指す。例えば、有用な標識には、32P、14C、125I、3H、および35S、フルオレセインまたはローダミンなどの蛍光色素、高電子密度試薬、イソチオシアネート;発色団、酵素(ELISAで一般に用いられるもの)、ルシフェラーゼなどの発光酵素などが含まれる。
そのような標識抗体または結合断片は、例えば、抗原および抗原を有する細胞を検出および/または定量するために、抗原の組織学的局在、ELISA、細胞選別、および他の免疫学的技法に使用され得る。上記のように、そのような標識抗体またはその断片の特定の使用は、移植、特に自己骨髄移植に先立って、骨髄組織からの骨髄腫細胞除去の有効性を決定することにある。
本発明はまた、本明細書において上記した抗LMA抗体を使用する、多発性骨髄腫の画像診断法に関する。LMAを有する他の癌もまた、このような診断手順に適している。本方法は、放射性核種などの検出成分に結合されたまたは結合されていない、本明細書に記載のモノクローナル抗体または結合断片の投与または注入を含む。投与または注入した後、抗体または抗体断片は腫瘍細胞に結合し、その後抗体または断片の位置が決定される。放射性核種で標識されるなど、検出可能に標識された抗体またはそれらの結合断片の場合には、画像診断装置を用いて体内の薬剤の位置が同定され得る。非標識抗体または断片を使用する場合には、抗体または抗体断片の位置を示す検出可能な第2の試薬を投与し得り、適切に検出し得る。これらの方法は他の抗体でも用いられており、当業者は、体内の抗体または断片の位置を画像化するこれらの種々の方法を十分に認識していると考えられる。
LMA保有癌細胞の解剖学的位置の検出は、特定の各患者における抗腫瘍治療のその後の計画に有用であり得る。特に、組織切片(例えば、生検試料)、体液試料(例えば、血液)、または細胞学的調製物における免疫組織化学的病理診断は、本発明の融合ポリペプチドを用いて行うことができる。
本発明はまた研究または診断目的用のキットを包含する。キットは典型的に、抗LMA抗体を含む1つまたは複数の容器を含む。抗LMA抗体は、その後の検出を提供するために、標識で誘導体化され得るか、または二次標識と結合され得る。上記したように、そのような標識には、放射標識、蛍光標識、酵素標識(すなわち、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP))などが含まれ得る。キットはまた、適切な二次標識(例えば、ヒツジ抗マウスHRPなど)を含み得る。キットはまた、融合ポリペプチドの結合、非特異的結合抗体の除去、および結合した標識の検出を容易にする種々の試薬を含み得る。そのような試薬は、当業者には周知である。
本発明のさらなる局面においては、固体支持体に結合された本明細書に記載のモノクローナル抗体または抗体結合断片を含む組成物を提供する。本発明で使用するための固体支持体は、結合のための反応条件に対して不活性である。本発明で使用するための固相支持体は、モノクローナル抗体またはその結合パートナーをそこに付着させるために、反応基または活性基を有さなくてはならない。別の態様において、固相支持体は、炭水化物ポリマーSEPHAROSE.RTM.、SEPHADEX.RTM.、またはアガロースなどの有用なクロマトグラフィー支持体であってよい。本明細書で使用する固相支持体は、特定の種類の支持体に限定されない。むしろ、数多くの支持体が利用でき、それらは当業者に周知である。固相支持体には、例えば、シリカゲル、樹脂、誘導体化プラスチックフィルム、ガラスビーズ、綿、プラスチックビーズ、アルミナゲル、磁気ビーズ、膜(ニトロセルロース、セルロース、ナイロン、およびガラスウールが含まれるが、これらに限定されない)、プラスチックおよびガラス製のディッシュまたはウェルなどが含まれる。
上記の研究および診断キットを使用する方法は一般に周知であり、一般にキットを使用するための取扱説明書中に提供される。
本発明がより明瞭に理解され得るように、以下の非限定的な例を参照して好ましい形態について説明する。
実施例
材料および方法
抗体
これらの研究で使用するマウスモノクローナル抗体(mAb)はヒト遊離λ軽鎖(λLC)に対して産生されたものであり、アイソタイプはIgG2aであった。本明細書でL7(クローン3D12)およびME154(クローンME-154)と称するmAbは、AbCam Ltd.(英国、ケンブリッジ)から入手した。本明細書でmab1306(クローンHP6054)と称するmAbは、Chemicon International Inc.(オーストラリア、ビクトリア州、メルボルン)から入手した。
細胞株
ヒトλ型多発性骨髄腫細胞株(LP-1)は、German Collection of Microorganisms and Cell Cultures(DSMZ、ドイツ、ブラウンシュワイク)から入手した。細胞は、DSMZの推奨に従って、イスコフMDMおよび20% FBS中、5% CO2を付加して37℃で維持した。
ELISA
種々のヒト遊離λ軽鎖(λLC)に対するmAb L7、mab1306、およびME154の特異性を、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)によって確証した。特異的抗原は、λ型多発性骨髄腫患者の尿から単離されたヒト遊離λ軽鎖(ベンスジョーンズタンパク質、BJP)からなった。4つのλLC試料、Lam F、Lam H、Lam K、およびLamQは、Australian Proteomic Analysis Facility(APAF)においてHPLCを使用して精製され、単量体画分および二量体画分に分離された。重鎖と会合したλ軽鎖は、Bethyl Laboratories, Inc.(米国、テキサス州、モンゴメリー)から入手した正常ヒト血清から精製された原型のポリクローナルλ型ヒトγグロブリン(IgGλ)によって表された。非関連の対照抗原は、単量体型および二量体型のヒト遊離κ軽鎖(κLC)からなった。
ELISAプレートのウェルを、0.02%アジ化ナトリウムを添加したリン酸緩衝食塩類pH 7.4(PBS-az)に溶解した各抗原でコーティングした。37℃で1時間インキュベートした後、ウェルをPBS-azで3回洗浄し、PBS-azに溶解した3% BSAで4℃にて一晩ブロッキングした。mAbを抗原と共に37℃で3時間インキュベートし、次いでウェルをPBS-azで3回洗浄した。ヤギ抗マウスIgG-APコンジュゲート(Sigma-Aldrich、米国、ミズーリ州、セントルイス)を各ウェルに添加し、37℃で1時間インキュベートした。最後に、ウェルを上記の通り洗浄し、基質(pNpp;Sigma)を各ウェルに添加した。発色は抗原に結合したmAbの量に比例し、ELISAプレートリーダーにて405 nmでの吸光度として測定した。
表面プラズモン共鳴(SPR)
ヒト遊離λ軽鎖に対するmAb L7およびmab1306の特異性を、Biacore 2000バイオセンサー装置上でSPRを用いて確認した。デキストランコーティングされたBiacore CM5チップ上にアミンカップリングを介してmAb L7およびmab1306を固定化し、ELISAで使用したのと同じベンスジョーンズタンパク質抗原を固定化mAb上に10μg/mLで12分間かけて注入した。MAb-抗原結合をレゾナンスユニットとしてSPRにより測定したが、このユニットは、抗原のmAb捕獲によって起こるチップ表面上での質量増加に比例するものである。
フローサイトメトリー
LP-1骨髄腫細胞の表面へのmAb L7、mab1306、およびME154の結合を、フローサイトメトリーによって評価した。LP-1細胞を回収し、遠心分離によって洗浄し、1% BSAを添加したPBS-az中に1 x 106 細胞/mLの密度で再懸濁した。一定分割量5 x 105 細胞をペレット化し、次いで氷上でmAb(100μg/mL)と共に30分間インキュベートした。対照試料は、アイソタイプ(IgG2a)の一致した同じ濃度の対照mAb、または1% BSAを添加した単なるPBS-azからなった。抗体と共にインキュベートした後、1% BSAを添加したPBS-az 750μLで細胞を2回洗浄し、PE結合ヤギ抗マウスF(ab')2(Dako)の1:20希釈物50μL中で氷上にて30分間インキュベートした。細胞を2回洗浄してから、FACSCaliburフローサイトメーター(BD Biosciences)のFL-2チャネルで解析した。
LP-1細胞に対するL7結合の遊離λLC阻害
L7(100μg/mL)を、種々の濃度の遊離λ軽鎖二量体(LamFおよびLam H)と共に、またはκLC(800μg/mL)と共に、37℃で1時間プレインキュベートした。プレインキュベーション後、抗体混合物を5 x 105 細胞に添加し、上記のようにフローサイトメトリーによって結合を判定した。
蛍光顕微鏡観察によるLP-1細胞の表面上における遊離λLC抗原の同定
免疫グロブリン重鎖(γ)および軽鎖(λ)の局在性を、2カラー蛍光顕微鏡観察によって調べた。γ鎖は、Open Biosystems(米国、アラバマ州、ハンツビル)から入手した、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)に結合されたヤギ抗ヒトγ特異的抗体を用いて検出した。λ鎖は、テキサスレッドに結合されたヤギ抗ヒトλ抗体を用いて検出し、この抗体はEY Laboratories Inc.(米国、カリフォルニア州、サンマテオ)から入手した。抗λ抗体は、遊離の軽鎖および重鎖と会合した軽鎖の両方に結合した。LP-1細胞に対する抗体結合を、106 個の細胞を、1% BSAを添加したPBS-az中で、200μg/mLの抗γ-FITCおよび抗λ-テキサスレッドと共に氷上で30分間インキュベートすることによって示した。細胞を2回洗浄してから、BX51蛍光顕微鏡(日本、東京、オリンパス)で解析した。表面免疫グロブリンの位置は、FITC染色(緑色)を示すために、470〜490 nmバンドパス励起フィルターを使用してUV光下で検出した。表面λ軽鎖の位置は、テキサスレッド染色(赤色)を示すために、520〜550 nmバンドパス励起フィルターを使用してUV光下で検出した。次いで、FITC像とテキサスレッド像を重ねて、2カラー像を作製した。FITC像およびテキサスレッド像が共存する場合は、緑色と赤色が融合して黄色となる。このようにして、λ軽鎖がγ鎖の占有するする領域以外の領域に存在するかどうかを決定することが可能である。
ウェスタンブロッティングによるLP-1細胞の細胞膜画分における遊離λLC抗原の同定
LP-1細胞の細胞膜画分における遊離λLC抗原の存在を、ウェスタンブロッティングにより実証した。LP-1細胞(4.5 x 107)をPBSによる遠心分離によって2回洗浄し、次いで40 mM Tris pH 7.2および完全プロテアーゼ阻害剤(Roche)中に107 細胞/mLの濃度で再懸濁した。細胞を30秒間ボルテックスし、15分間超音波処理し、次いで再度30秒間ボルテックスした。室温で20分間インキュベートした後、細胞をボルテックスし、次に4000 gで10分間遠心分離した。上清から細胞質画分を取得し、細胞膜画分はペレットからなった。ペレットをPBSによる遠心分離により2回洗浄し、次いで1% NP 40を含むTris緩衝食塩水(TBS)で再懸濁した。可溶化した細胞膜を氷上で30分間インキュベートし、次いで4000 gで10分間遠心分離した。上清を可溶化細胞膜画分として回収した。一定分割量の細胞質画分および細胞膜画分を、非変性条件を用いるSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供し、次いでニトロセルロース膜にブロッティングした。遊離λLC抗原の検出は、mAb L7、mab1306、およびME154と共に室温で90分間インキュベートし、その後0.05% Tweenおよび0.3% BSAを含むTBSで3階洗浄することによって検出した。続いて、膜を抗マウスGAM-APコンジュゲート(Sigma)と共に90分間インキュベートし、次いで上記の通り3回洗浄した。タンパク質バンドの発色は、膜をBCIPおよびNBT(Sigma FAST(商標))と共にインキュベートすることによって行った。
抗体依存性細胞傷害(ADCC)
mAb mab1306およびME154がADCCを誘導する能力を、Wilkinson et al(Journal of Immunological Methods 2001 258: pp183-91)のフローサイトメトリー法を用いてインビトロで評価した。ナチュラルキラー(NK)細胞をエフェクター細胞として使用し、LP-1骨髄腫細胞を標的として使用した。
健常Balb/cマウスから回収した脾臓リンパ球の懸濁液から、MACS Magentic Cell Sorting(Miltenyi Biotech、ドイツ)を使用してマウスNK細胞を単離した。Miltenyi Biotech NK Cell Isolation Kitを使用して、NK細胞以外のリンパ球をすべて除去し、精製された非標識NK細胞を残した。125 ng/mLの組換えマウスIL-2(Sigma-Aldrich、米国)を添加したRPMI 10% FCS中で、NK細胞を6日間培養した。
アッセイは、U底96ウェル組織培養プレート(Nunc、デンマーク)で行った。アッセイの直前に、標的細胞(LP-1骨髄腫細胞)を、製造業者の説明書に従って、蛍光膜色素PKH-26(Sigma-Aldrich、米国)で標識した。LP-1細胞(3 x 104 細胞/mL)を滅菌PBS中のME 154またはmab1306と共に(最終濃度7 nMおよび0.7 nM)、37℃および5% CO2にて15分間プレインキュベートした。エフェクター細胞、マウスNK細胞を洗浄し、RPMIで再懸濁し、次いでNKとLP-1の比が25:1、12.5:1、および6.25:1となるように添加した。細胞を混合し、次に、密接な細胞間の接触を確実にするためにプレートを400 gで10分間遠心分離した。プレートを37℃で16時間インキュベートした。
16時間後、50μLのDNA結合色素TO-PRO-Iodide 3(PBS中1μM;Molecular Probes Inc.、米国)を各試験試料に添加した。TO-PRO-Iodide 3は損傷された膜を有する細胞にのみ侵入し、二本鎖DNAと結合する。そのようなDNA結合が起こった際にのみ、TO-PRO-Iodide 3は蛍光を発する。2〜5分後、細胞をFACSCaliburフローサイトメーター(BD Inc.、米国)に供した。TO-PRO-Iodide 3/DNA複合体によって生じるFL-4チャネルの陽性蛍光によって、死細胞を同定した。標的(LP-1)細胞は、PHK-26標識によって生じるFL2チャネルの陽性蛍光によって同定した。したがって、死滅した標的細胞は、FL2チャネルおよびFL4チャネルの両方が陽性蛍光である細胞として同定された。細胞傷害性の割合は以下のように算出した:
(FL4-FL2二重陽性細胞の数)/(FL2陽性細胞の数)*100。
実施例1:λ軽鎖に対する抗体L7、mab 1306、およびME 154の特異性
ヒト遊離λ軽鎖に対するL7結合の特異性を図1Aおよび図2Aに示す。これらの結果から、L7が、3つの異なるλ軽鎖(Lam F、Lam H、およびLam K)の単量体型および二量体型の両方、ならびに4つの目のλ軽鎖(Lam Q)の単量体型と結合することが示される。この抗体は、正常ヒト免疫グロブリンにおける重鎖と会合したλ軽鎖にも、遊離κ軽鎖にも結合しない。
一連のヒトλ軽鎖に対するmab1306の抗原結合特性を図1Bおよび図2Bに示す。これらの結果から、mab1306が一連の遊離λ.LCおよび免疫グロブリン会合λ.LCには結合するが、遊離κ.LCには結合しないことが実証される。同様に、mAb ME 154は、遊離λLCおよび重鎖会合λLCの両方に結合する(図1C)。3つのmAbはすべて、単量体型のLam Qとの結合を示すが、この抗原の二量体型との結合は示さない。
実施例2:LP-1骨髄腫細胞上のλ軽鎖の同定
フローサイトメトリーの結果から、L7、mab1306、およびME 154はすべて、LP-1骨髄腫細胞上の細胞表面抗原と特異的に結合することが示される(図3)。mAb L7に関しては、LP-1細胞に対する抗体結合は、2つの異なる単量体型λ軽鎖、Lam FおよびLam Hとのプレインキュベーションによって阻害される(図4)。この阻害は濃度依存的様式で起こるが(図4B)、L7結合は同等の濃度の遊離κ軽鎖によって阻害されない。
蛍光顕微鏡観察により、Ig重鎖と会合していない遊離λ軽鎖抗原の存在が、LP-1細胞の表面上で実証された(データは示さず)。細胞をIgGγ鎖に特異的な蛍光標識ポリクローナル抗体(抗γ-FITC)と共にインキュベートすると、LP-1細胞の不均一な強度の緑色染色が示されたが、λ軽鎖に対するポリクローナル抗体、抗λ-テキサスレッドと共にインキュベートした場合には、細胞表面上にいくつかの赤色の強い斑が示された(データは示さず)。赤色(λ軽鎖)の最も強い斑は、緑色(Ig会合γ鎖)とは異なる位置に存在するようであった。この知見は、同じ細胞の2カラー写真を重ねることによって確認された。赤色と緑色が融合して黄色となるが、抗体の一方のみで染色された領域は元の色のままであった。細胞表面上の黄色は、免疫グロブリンと会合しているλ軽鎖を示した。しかし、Igと会合していないλ軽鎖の斑を示す赤色の明確な斑が存在し、したがって、細胞表面上には遊離λ軽鎖の領域が存在した。
mAb L7、mab1306、およびME 154を用いた非還元SDS-PAGEのウェスタンブロットにより、LP-1骨髄腫細胞からの膜会合λ軽鎖の検出を行った。(図5)。陽性対照は、3つの抗体すべてによって検出される精製ヒト遊離λ軽鎖からなった。mab 1306(図5B)およびME 154(図5C)はいずれも、細胞の膜画分および細胞質画分において、単量体型(25 kD)および二量体型(50 kD)の遊離λ軽鎖を検出した。mAb L7は、膜に会合した単量体型および二量体型の遊離λ軽鎖との結合を示したが、細胞質においては単量体型の抗原のみを検出したようであった。
考察
マウスモノクローナル抗体、L7は、4つの異なるヒト遊離λ軽鎖に特異的に結合し、重鎖と会合しているλ軽鎖とは結合しない。λ型骨髄腫細胞株、LP-1に対する抗体の結合の解析から、この抗体が細胞表面抗原に結合することが示される。細胞表面抗原への結合は、この抗体を2つの異なるλ軽鎖とプレインキュベートすることによって阻止され得る。さらに、可溶型の遊離λ軽鎖は、LP-1細胞上の細胞表面抗原に対するL7の結合を完全に抑止し得る。これらのデータから、この抗体は、遊離λ軽鎖上に見出されるエピトープと同様のエピトープを含む細胞表面抗原を認識することが示唆される。
蛍光顕微鏡観察から、λ型骨髄腫細胞の表面上で、細胞表面遊離λ軽鎖はIg会合λ軽鎖と識別され得ることが示された。さらに、λ骨髄腫細胞の細胞膜画分において、3つのmAbすべてにより、25 kD単量体型および50 kD二量体型の細胞膜遊離λ軽鎖が検出されることが実証され得た。
抗体mab 1306およびME 154を用いて、λ骨髄腫細胞の特定抗原依存性細胞傷害が実証され得た。これらの結果から、細胞表面上の単量体型および二量体型の遊離λ軽鎖と結合する抗体が、エフェクター細胞の存在下で細胞死を誘導し得ることが示唆される。
本明細書において詳述した実験から、遊離λ軽鎖に対するいくつかのマウスモノクローナル抗体が、細胞膜上の単量体型(25 kD)および二量体型(50 kD)のλ抗原を検出し得ることが実証される。本発明者らは、このLMAが細胞膜と会合した遊離λ軽鎖からなり、モノクローナル抗体を用いてλ型多発性骨髄腫患者の骨髄腫細胞を特異的に標的するために、LMAを使用し得ることを提案する。
さらに、LMAは、種々のB細胞疾患に由来するB細胞上にも存在することが予想される。そのような細胞の例は、DOHH-2(ヒトB細胞リンパ腫)、WSU-NHL(ヒトB細胞リンパ腫)、DB(ヒトB細胞リンパ腫)、KARPAS-1106P(ヒトB細胞リンパ腫)、WSU-DLCL2(ヒトB細胞リンパ腫)、SU-DHL-5(ヒトB細胞リンパ腫)、MHH-PREB-1(ヒトB細胞リンパ腫)、GRANTA-519(ヒトB細胞リンパ腫)、およびMC-116(ヒトB細胞リンパ腫)である。
LMAは悪性B細胞の細胞膜に独特であるため、これらの抗原と選択的に結合し得る任意のmAbは、多発性骨髄腫などの疾患の治療に有用であることが提唱される。二次効果として、LMAと結合し得る適切なアイソタイプの任意のmAbは、宿主のエフェクター細胞を使用することで細胞死を誘導し、ADCCを引き起こし得る。この二次効果は、B細胞疾患患者中のB細胞の除去を助けると考えられる。
上記明細書において言及した出版物はすべて、参照により本明細書に組み入れられる。本発明に記載の方法および系の種々の修正および変更が、本発明の範囲および精神から逸脱することなくなされ得ることは、当業者に明らかであると考えられる。本発明を特定の好ましい態様に関して説明したが、主張する本発明は、そのような特定の態様に過度に限定されるべきではないことが理解されるべきである。実際に、分子生物学分野または関連分野の当業者に明らかな、本発明を実行するために記載した様式の様々な修正が、本発明の範囲内にあることが意図される。
ELISAによる、遊離λ軽鎖に対するmAb結合の解析を示す。mAb L7(A)、mab1306(B)、およびME 154(C)を、ELISAプレート上に固定化された、ヒトλ軽鎖(単量体型(mon)および二量体型(dim)のλLC F、λLC H、λLC K、およびλLC Q)、プールした正常ヒトIgGλ(Hu IgGλ)、および遊離ヒトκ軽鎖(κLC)からなる抗原に対してインキュベートした。抗マウスIgG-APコンジュゲートを用いて、結合したmAbを検出した。抗体-抗原複合体をpNPP酵素反応によって可視化し、405 nmで吸光度を測定した。 表面プラズモン共鳴(SPR)による、遊離λ軽鎖に対するmAb結合の解析を示す。mAb L7(A)およびmab1306(B)をBiacore CM5-デキストランチップ上に固定化した。ヒトλ軽鎖(単量体型(mon)および二量体型(dim)のLam F、Lam H、Lam K、Lam Q)、プールした正常ヒトIgGλ(λIgG)、および遊離ヒトκ軽鎖(κLC)からなる抗原を、固定化したmAb上を通過させた。Biacore 2000バイオセンサーを使用して、SPRにより抗体-抗原結合を測定した。 LP-1骨髄腫細胞に対する抗λmAbの結合を示す。LP-1λ骨髄腫細胞(5 x 105)を、50μLの100μg/mL mAb L7(A)、mab1306(B)、またはME 154(C)と共に氷上で30分間インキュベートした。次いで細胞を2回洗浄し、PE標識ヤギ抗マウスF(ab')2と共にインキュベートし、洗浄してフローサイトメトリーにより解析した。グレーの実線のヒストグラムは、非関連のmAbと共にインキュベートし、その後PE標識ヤギ抗マウスF(ab')2と共にインキュベートした細胞を表す。 遊離λLCとのプレインキュベーションにより、LP-1細胞に対するmAb L7の結合が阻害される。mAb L7(100μg/mL)を、200〜800μg/mLの濃度の遊離λ軽鎖(λF LC、AまたはλH LC、B)または遊離κ軽鎖(κLC)と共に37℃で30分間インキュベートした。次いで阻害したL7と共に細胞を氷上で30分間インキュベートし、2回洗浄して、PE標識ヤギ抗マウスF(ab')2と共にインキュベートした。2回洗浄した後、細胞をフローサイトメトリーにより解析した。グレーの実線のヒストグラムは、抗κLC mAb(陰性対照)と共にインキュベートし、その後PE標識ヤギ抗マウスF(ab')2と共にインキュベートした細胞を表す。 ウェスタンブロットによる、LP-1λ骨髄腫細胞の表面上における遊離λLC抗原の同定を示す。LP-1細胞を40 mM Tris中で溶解し、細胞質画分および膜結合タンパク質画分を非還元条件下で単離した。画分を12% SDS-PAGEで分離し、ニトロセルロース膜に転写した。膜をBSAでブロッキングした後、抗λmAb L7(A)、mab1306(B)、またはME 154(C)でλ軽鎖を検出した。図の左側の数字はおおよその分子量(kDa)である。 λ軽鎖にmAbが結合することにより、LP-1骨髄腫細胞に対する抗体依存性細胞傷害(ADCC)が誘導される。PKH-26標識LP-1骨髄腫細胞を、IL-2刺激したマウスNK細胞の存在下で、7 nM(1μg/mL)または0.7 nMのmab 1306(黒棒)またはME 154(斜線棒)と共にインキュベートした。16時間後、死滅したLP-1細胞をフローサイトメーターを用いてTO-PRO-Iodide 3蛍光により検出し、死滅したLP-1細胞の割合を算出した。また、抗体非依存性細胞傷害(AICC)を管理するために、LP-1細胞を、NKエフェクター細胞の存在下で、抗体を含まないPBS中でインキュベートした(エラーバーは三つ組SEMを示す)。

Claims (11)

  1. 対象のB細胞リンパ球増殖性疾患を治療または予防するための組成物であって、対象中のリンパ球の増殖を阻害するかまたはリンパ球を死滅させるために、有効量の抗λ骨髄腫抗原(LMA)抗体を含む、組成物。
  2. B細胞リンパ球増殖性疾患が、多発性骨髄腫、B細胞リンパ腫、およびマクログロブリン血症からなる群より選択されるリンパ球増殖性疾患である、請求項1記載の組成物。
  3. B細胞リンパ球増殖性疾患が多発性骨髄腫である、請求項1または2記載の組成物。
  4. 抗λ骨髄腫抗原(LMA)抗体が細胞毒性成分または生物学的修飾因子に結合されている、請求項1〜3のいずれか一項記載の組成物。
  5. 細胞毒性成分が毒素、化学療法薬、または放射性薬剤である、請求項4記載の組成物。
  6. 細胞毒性成分が細胞毒性ポリペプチドをコードする核酸分子である、請求項4記載の組成物。
  7. 生物学的応答修飾因子がリンホカイン、サイトカイン、またはインターフェロンである、請求項4記載の組成物。
  8. 対象中のリンパ球の増殖を阻害するかまたはリンパ球を死滅させるための組成物であって、細胞毒性成分または生物学的修飾因子に結合された抗λ骨髄腫抗原(LMA)抗体を、抗λ骨髄腫抗原(LMA)抗体複合体がリンパ球に結合してリンパ球の増殖を阻害するかまたはリンパ球を死滅させるのに十分な量で含み、ここで、前記細胞毒性成分が毒素、化学療法薬、または放射性薬剤であり、前記生物学的修飾因子がリンホカイン、サイトカイン、またはインターフェロンである、組成物。
  9. 細胞毒性成分が細胞毒性ポリペプチドをコードする核酸分子である、請求項8記載の組成物。
  10. 対象の体液中に存在する遊離λ軽鎖のレベルを減少させるように対象を処置した後に、抗λ骨髄腫抗原(LMA)抗体または抗λ骨髄腫抗原(LMA)抗体複合体を投与するための、請求項1〜のいずれか一項記載の組成物。
  11. 対象の血清中に存在する遊離軽鎖のレベルが、化学療法または血漿分離交換法によって減少される、請求項10記載の組成物。
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