JP5101507B2 - 遺伝子発現の調節のための生物学的装置 - Google Patents

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Description

〔優先権主張〕
本願は、米国特許出願第60/707,637号(2005年8月12日出願)、および米国特許出願第11/272,432号(2005年11月10日出願)の出願日の利益を主張するものである。なお、上記出願は、本明細書中において参考として援用される。
〔発明の分野〕
本発明は、主に、遺伝子治療、例えば、遺伝学的に改変された細胞、または組換え遺伝子治療ベクターに関するものであり、これに限定されるものではないが、特に、遺伝子発現の直接的な制御のための方法および装置に関するものである。
〔背景〕
心臓は、人の循環系の中心である。心臓は、二つの主なポンプ機能を実現する電気機械的な機構を備えている。心臓の左部分は、肺から酸素が供給された血液を吸引して、身体の各器官へと送り出し、各器官の酸素への代謝上の必要性を充足させる。心臓の右部分は、上記各器官から、酸素が失われた血液を吸引して、血液が酸素を得る場所である肺へと送り出す。身体の酸素への代謝上の必要性は、その身体の物理的な活動レベルとともに上昇する。上記ポンプ機能は、心筋の収縮によって達成される。正常な心臓では、洞結節(心臓の生来のペースメーカー)活動電位として知られる電気的な刺激を生成する。上記刺激は、心臓の様々な領域に導電系を介して伝達され、それらの領域の心筋組織を励起する。正常な導電系における活動電位の広がりの協働する遅れによって、心臓の様々な領域が同調して収縮し、上記ポンプ機能が効率的に実施される。
ブロックされているか、または他の傷害を有する導電システムは、心筋を、遅過ぎるか、早すぎるか、および/または不規則なリズムで収縮させる。このような異常なリズムは、一般に、不整脈として知られている。不整脈は、心臓のポンプ動作の効率性を低減させ、それゆえ、身体への血流を減衰させる。劣化した心筋、収縮性を減少させ、これもまた、身体への血流を減衰させる。心不全患者は、しばしば、傷害を有する導電システムおよび劣化した心筋の両方に苦しむ。減衰した血流は、身体の様々な器官への不十分な血液供給を導き、それらの器官が正常に機能することを妨げ、様々症状を引き起こす。例えば、急性の非代償性心不全患者は、腎臓への不十分な血液供給が、代償不全と称される状態である、体液うっ滞ならびに肺および身体の末端領域における水腫をもたらす。効果的な治療なしには、急性の非代償性心不全は、心臓血管および全体的な健康の急速な劣化をもたらし、推定余命の顕著な短縮をもたらす。不整脈および心不全の治療は、これに限定されるものではないが、ペーシングおよび除細動のような電気的な治療、薬剤による治療、および遺伝子に基づく治療を含む生物学的な治療を含む。
遺伝子に基づく治療は、治療学的な遺伝子を標的細胞に送達することを含み、場合によっては、調節システムを利用する。ベクター内の配列の発現が必要となる遺伝子に基づく治療のために、プロモーターが、発現すべき配列につなげられている。強力なウイルス性のプロモーターは、広い範囲の組織および細胞において、高いレベルの発現を促進することができるが、構成的な発現は、開ループ系であり、コードされた遺伝子の産物は、細胞傷害性または耐性をもたらし得るか、ネガティブフィードバックを介して発現が抑制され得る。
標的の遺伝子の発現を制御する1つの戦略は、内在性の調節因子を利用する。他の戦略は、外因性の導入可能な遺伝子発現システムを利用する。例えば、熱ショック導入座は、哺乳動物細胞において、異種の遺伝子の発現を制御するために用いられている。また、エリスロポエチン遺伝子由来の低酸素誘導性シス作動性配列は、点酸素誘導性転写因子(HIF−1)による転写応答を可能にする。
例えば心臓血管の状態を治療するための、遺伝学的に改変された細胞を含む、遺伝子治療ベクターの発現を制御するために有用な装置が、求められている。
〔発明の概要〕
本発明は、埋め込み型の装置を提供する。上記装置は、当該装置により宿主哺乳動物(レシピエント)に運搬された外因性または内在性の遺伝子の発現を制御するようになっている。上記遺伝子は、上記装置が埋め込まれている間、当該装置内に保持されていてもよく、心臓血管の状態を含む様々な状態を予防、抑制、または治療するために有用である。特に、本発明は、埋め込み型の装置を用いて、当該装置によって送達され、場合によっては当該装置内に保持されている遺伝子の発現の開始、および制御(調節)を行うことにより、分泌型の因子の治療学的効果を提供する。一実施形態において、上記埋め込み型の装置は、その本体が、例えばHO−1もしくはPAI−2のような望ましい遺伝子産物を発現もしくは発現するように導入され得る改変されていないドナー細胞を含むドナー細胞、または望ましい遺伝子産物の発現のための発現カセットを備えているドナー細胞(「遺伝学的に改変されたドナー細胞」)もしくは組換えウイルスを送達するようになっている、1つか、それ以上の中空の保管部(「遺伝子保管部」)を備えるように改変されているリードである。上記遺伝子保管部は、多孔性であり、生体適合性であり、かつ実質的に非生分解性である材料であって、例えば原核細胞または真核細胞のような細胞が該材料を通過することを許可せず、可溶性の細胞性因子、すなわち該細胞によって発現される因子が該材料を通過することを許可する、該材料を備えている。一実施形態では、上記多孔性であり、生体適合性であり、かつ実質的に非生分解性である材料は、遺伝子保管部によって宿主哺乳動物に送達されたウイルスが通過することを許可する一方、他の実施形態では、該多孔性であり、生体適合性であり、かつ実質的に非生分解性である材料は、ウイルスの通過を許可しない。一例として、一実施形態において、上記材料は、ウイルスの通過を許容するように選択された約20nmを超える孔径を有する。上記孔径は、用いられる上記ウイルスに応じて、例えば、約50、100、または200nmを超える。他の実施形態において、上記多孔性であり、生体適合性であり、かつ実質的に非生分解性である材料は、ウイルスおよび細胞が該材料を通過することを阻止または抑制し、かつ可溶性の因子が該材料を通過することを許可するような孔径を有し得る。
上記1つか、それ以上の遺伝子保管部は、上記リード本体から突き出ているか(「小結節」)、該リード本体と実質的に同じ外径を有しているか、該リード本体内の奥まった位置に配置されるか、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。例えば複製能力のないウイルスのような上記組換えウイルス、または例えば遺伝学的に改変されたドナー細胞のようなドナー細胞は、上記1つか、それ以上の遺伝子保管部に、移植の前または後に導入され得る。一例として、上記遺伝子保管部は、上記埋め込み型の装置の移植の前に、組換えウイルスまたはドナー細胞が装填され得、それゆえ、上記遺伝子保管部を有している、例えばリードである、該埋め込み型の装置が、上記哺乳動物に導入されたとき、上記発現カセットが該哺乳動物に運搬されることとなる。または、上記遺伝子保管部は、装置の移植の後に、組換えウイルスまたはドナー細胞によって装填されてもよい。
上記埋め込み型の装置において用いるための、組換えウイルスまたは遺伝学的に改変されたドナー細胞は、特定のオープンリーディングフレームに機能し得る形でつながっている調節可能な転写制御因子を備えている。上記オープンリーディングフレームは、哺乳動物における発現が、望ましい(有益な)効果を奏するものである。上記埋め込み型の装置において用いるための、遺伝学的に改変されていないドナー細胞は、望ましい(有益な)効果を奏する遺伝子産物を発現する。そこでは、生来(内在性)の遺伝子は、オープンリーディングフレームにつながった、調節可能な転写制御因子を含んでいる。一実施形態において、調節可能な転写制御因子は、光または電場によって調節される。一実施形態において、上記オープンリーディングフレームは、遺伝子産物を発現するドナー細胞から分泌される(細胞外環境へと放出される)上記遺伝子産物をコードする。上記遺伝子産物は、少なくとも遺伝子保管部の一部を形成する、多孔性であり、生体適合性であり、かつ実質的に非生分解性である材料を通過することができる。他の実施形態において、上記遺伝子産物は、上記ドナー細胞における、他の1つか、それ以上の遺伝子産物の発現を変化、例えば増加させる。上記他の1つか、それ以上の遺伝子産物は、上記細胞から、例えば分泌されて放出され、上記多孔性であり、生体適合性であり、かつ実質的に非生分解性である材料を通過する。したがって、一実施形態において、上記オープンリーディングフレームの上記発現の有利な効果は、例えば、上記発現が治療学的な可溶性の因子をもたらすように直接的である一方、他の実施形態では、上記の望ましいオープンリーディングフレームの上記発現の有利な効果は、例えば、上記コードされた遺伝子産物が、ドナー細胞において、少なくとも1つの他の、可溶性因子をコードする遺伝子の上記発現を変化させるように間接的である。また、さらに他の実施形態では、上記オープンリーディングフレームの上記発現は、宿主細胞における1つか、それ以上の遺伝子の上記発現を変化させる可溶性因子を産生して、これにより、上記宿主の細胞に有利な効果を有する可溶性因子をもたらす。
遺伝子保管部内に存在する上記望ましい遺伝子の上記発現を制御するために、上記埋め込み型の装置はまた、少なくとも1つの遺伝子調節刺激装置を導入する。上記遺伝子調節刺激装置は、上記組換えウイルス、遺伝学的に改変されていないドナー細胞、または遺伝学的に改変されているドナー細胞を備えている上記1つか、それ以上の遺伝子保管部に付随している。一実施形態において、1つか、それ以上の遺伝子刺激装置は、遺伝子保管部に付随している。一実施形態において、1つか、それ以上の遺伝子刺激装置は、遺伝子保管部の外部に、該遺伝子保管部に隣接して、または接近して結合されている。一実施形態において、上記発現カセットまたは上記内在性遺伝子における上記オープンリーディングフレームの発現は、調節刺激が送達され(例えば、発せられ)、場合によっては継続された後に、少なくとも該調節刺激が停止してから一定の時間、増加する。一実施形態において、上記調節刺激が終了した後、上記オープンリーディングフレームの上記発現は、例えば、より低レベルへと減少するか、または、停止して、例えば刺激送達前のレベルとなる。
本発明は、さらにシステムを提供する。上記システムは、1つか、それ以上の調節刺激装置を有するリードのような、埋め込み型の医療用装置を備えている。上記調節刺激装置は、特定のオープンリーディングフレームに機能し得る形でつながっている調節可能な転写制御因子を備えている発現カセット中、または調節可能な転写制御因子を備えている内在性の遺伝子中の調節可能な転写制御因子を調節し得る調節刺激を発する。例えばリードである、上記埋め込み型の装置は、発現カセットを備えている組換えウイルスを該埋め込み型の装置によって運搬するようになっているか、または、例えば、発現カセットを有するドナー細胞のようなドナー細胞を該埋め込み型の装置によって運搬し保持するようになっている、1つか、それ以上の遺伝子保管部をまた備えている。上記遺伝子保管部は、上記埋め込み型装置の本体に設置されている。少なくとも一つの遺伝子調節刺激装置が、少なくとも1つの遺伝子保管部に付随しており、該遺伝子調節刺激装置から発せられた調節刺激は、望ましいオープンリーディングフレームの発現を変化させることができる。例えば、発光ダイオード(LED)は、遺伝子調節刺激になり得、1つ以上のLEDが各遺伝子調節部に付随し得る。上記1つか、それ以上の遺伝子保管部は、多孔性であり、生体適合性であり、かつ実質的に非生分解性である材料であって、分泌されたか、排出されたか、またはその他の細胞から自由な(可能性の)タンパク質もしくは糖タンパク質もしくは他の実施形態においてウイルスのような可溶性の細胞性因子が、該材料を通過することを許容し、かつ細胞が該材料を通過することを阻止するように選択されている、該材料を備えている。すなわち、上記遺伝子保管部によって上記哺乳動物に送達されたドナー細胞は、上記装置に留まり、宿主細胞は、該遺伝子保管部から排除される。一実施形態において、上記システムは、予め定められた状態を示す生理学的パラメータを検知するセンサーをさらに備えている。一実施形態において、上記システムは、上記センサーおよび上記1つか、それ以上の遺伝子調節刺激装置に連結されたコントローラをさらに備えており、該コントローラは、少なくとも、検知された上記生理学的パラメータに基づいて、上記調節刺激の発生を制御するようになっている。他の実施形態において、上記システムは、遠隔測定装置に連結されたコントローラをさらに備えており、該遠隔測定装置は、外部からの指令を受信するようになっており、該コントローラは、少なくとも、該外部からの指令に基づいて、上記調節刺激の発生を制御するようになっている。他の実施形態において、上記システムは、プログラム可能な装置に連結されたコントローラをさらに備えており、該コントローラは、該プログラム可能な装置によって実行される所定のプログラムに基づいて、上記調節刺激の発生を制御するようになっている。
リードもまた、提供される。上記リードの本体に沿って組換えウイルス、細胞、または両方を送達するようになっている1つか、それ以上の遺伝子保管部を備えている。上記1つか、それ以上の遺伝子保管部は、多孔性であり、生体適合性であり、かつ実質的に非生分解性である材料であって、可溶性の細胞性因子、場合によってはウイルスが該材料を通過することを許容し、かつ細胞が該材料を通過することを阻止するように選択されている、該材料を備えている。上記1つか、それ以上の遺伝子保管部は、特定のオープンリーディングフレームに機能し得る形でつながっている調節可能な転写制御因子を備えている発現カセットを備えている組換えウイルス、または、例えば、特定のオープンリーディングフレームに機能し得る形でつながっている調節可能な転写制御因子を備えている発現カセットを備えている、遺伝学的に改変されたドナー細胞等のドナー細胞を備えている。上記リードはまた、上記1つか、それ以上の遺伝子保管部に付随している、1つか、それ以上の遺伝子調節刺激装置をさらに備えており、該1つか、それ以上の遺伝子調節刺激装置は、上記発現カセット中の調節可能な転写制御因子を調節し得る調節刺激を発する。
本発明に係るリードを調製する方法もまた、提供される。上記方法は、非複製型ウイルスのような組換えウイルス、または、例えば、遺伝学的に改変されたドナー細胞等のドナー細胞を、本発明に係る上記リード内の1つか、それ以上の遺伝子保管部に導入する工程を包含する。一実施形態において、上記組換えウイルスは、生分解性の基質、または、例えば、ポリマーから形成されたような、カプセルに、分散または包含されている。一例において、組換えウイルスは、ハイドロゲル、アルギン酸繊維、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA)、PGAおよびPLAの共重合体、ポリ(エーテル エステル)ポリエチレングリコール(PEG)、またはPEGおよびポリ(ブチレンテレフタレート)のブロック共重合体に分散または包含されている。一実施形態において、上記ウイルスを包含している生分解性基質または粒子は、約1から60日、例えば、約14から30日の半減期を有している。
本発明に係るシステムまたはリードを使用する方法もまた、提供される。上記方法は、本発明に係るシステムまたはリードを哺乳動物に供給する工程、および1つか、それ以上の遺伝子調節刺激装置から、転写制御因子を有効に調節し得る量の調節刺激を送達して、該転写制御因子につながっている特定のオープンリーディングフレームによってコードされる遺伝子産物を調節する工程を包含している。一実施形態において、上記哺乳動物は、心臓の状態を有しているか、その危険性があり、上記発現カセット中の上記特定のオープンリーディングフレームは、上記哺乳動物における該オープンリーディングフレームの発現が、該状態、または少なくともその一つの症状を、予防、抑制、または治療するように選択されている。一実施形態において、上記方法は、本発明に係るリードを有する哺乳動物における所定の心臓状態を示す生理学的パラメータを検知する工程と、少なくとも検知された上記生理学的パラメータに基づいて、該リード中の1つか、それ以上の遺伝子調節刺激装置から調節刺激を送達する工程を包含する。他の実施形態において、調節刺激は、例えば、外部指令または埋め込まれたプログラム可能な装置からの指令等の指令に基づいて、上記リード中の1つか、それ以上の遺伝子調節刺激装置から送達される。
したがって、本発明は、心臓のまたはその他の臓器の疾患を抑制または治療する可溶性因子を直接的または間接的に産生する遺伝子を発現する、遺伝学的に改変されたドナー細胞、遺伝学的に改変されていないドナー細胞、または組換えウイルスの制御を維持する埋め込み型の装置を使用する方法を提供する。遺伝学的に改変されたドナー細胞等のドナー細胞を用いる実施形態では、体内での上記可溶性因子の発現は、上記装置が埋め込まれている間のみ、生じる。ウイルスを用いる実施形態では、例えば、宿主ゲノムに組み込まれたり、染色体外に維持されたりしないウイルスのような、延長された期間、宿主において維持されず、そして、場合によっては非溶解性であるウイルスベクターが、上記可溶性因子の、限定期間での発現のために用いられ得る。以上のように、本発明は、少なくとも可溶性因子の初期位置、該因子の発現のタイミング、および場合によっては該因子の量のレベルを制御する。
〔発明の詳細な説明〕
以下の詳細な説明では、本明細書の一部をなし、本発明の特定の実施形態を模式的に示している、添付する図面への参照がなされる。これらの実施形態は、当業者が本発明を実施するために十分なように詳細が説明されるが、該実施形態は組合され得、または他の実施形態も用いられ得、本発明の精神および範囲から離れない範囲で、構造、論理および電気的な変更がなされ得る。以下の詳細な説明は、例を提供する。そして、本発明の範囲は、特許請求の範囲等により規定される。
本明細書の「一」、「1つ」または「様々な」実施形態は、同一の実施形態である必要はなく、そのような参照は、一つよりも多くの実施形態を想定している。
また、図面は、例示の目的であり、限定の目的ではなしに、本明細書において議論される様々な実施形態の概要を示す。図面は、説明的な目的であり、縮尺どおりに示されているわけではない。
〔概要〕
本明細書は、他の事項とともに、空間的、時間的、および/または条件的な、埋め込み型の装置によって送達され、場合によっては該装置内に維持される、1つか、それ以上の外因性(発現カセット)または内在性の遺伝子の発現制御のための方法および装置を説明する。上記外因性または内在性遺伝子のin vivoでの発現は、特定の状態の少なくとも1つの症状を予防、抑制、または治療する。一実施形態において、上記状態は、心臓の状態であり、該心臓の状態を有しているか、その危険性がある、哺乳動物等の動物内の、上記埋め込み型の装置によって送達されるか、該装置内に存在している上記外因性または内在性の遺伝子の発現は、該状態の少なくとも一つの症状を改善する。一実施形態において、上記遺伝子は、遺伝子産物をコードし、少なくとも1つの調節可能な転写制御因子に機能し得る形でつながっている少なくとも1つのオープンリーディングフレームを有している。本発明に係る装置は、これに限定されるものではないが、上記調節可能な転写制御因子によって認識される、特定のもしくはある範囲の波長の光、特定のエネルギーの光、電場、または他の温度もしくは事物の形態を含む、1つか、それ以上の刺激を送達する。調節可能な転写制御因子は、例えば誘導可能もしくは抑制可能なプロモーター等のプロモーター、エンハンサー、またはそれらの組み合わせを含んでいる。
一実施形態において、上記オープンリーディングフレームによってコードされる上記遺伝子産物は、細胞から分泌、もしくは他の形態で放出されるタンパク質もしくは糖タンパク質、または細胞から分泌、もしくは他の形態で放出されるタンパク質もしくは糖タンパク質のオープンリーディングフレームにつながっているプロモーターに結合する転写因子である。転写因子は、これに限定されるものではないが、血管形成タンパク質、血管内皮成長因子(VEGF)のような成長因子、分化因子(differentiation factor)、bcl-2ファミリー、Aktのメンバー、もしくはそれらのホモログ、もしくはそれらのオルソログのような生存因子(survival factor)、例えばヘムオキシゲナーゼのような有利な効果を有するサイトカインもしくはその他の遺伝子産物、または、例えばPAI−2(プラスミノゲンアクチベータインヒビター−2)のようなセルピン等のプロテアーゼインヒビターを含む。
特定の遺伝子は、組換えウイルス、単離された核酸、またはドナー細胞中に存在し得る。一実施形態において、例えば自家性の細胞等のドナー細胞は、本発明に係るシステムにおいて用いるために、ex vivoで、望ましいオープンリーディングフレームにつながっている調節可能な転写制御因子を備えている発現カセットを該細胞に導入することにより遺伝学的に改変されている。また他の実施形態において、ドナー細胞は、例えば、組換えウイルスまたはドナー細胞を用いることによりinvivoにおいて改変されている。上記組換えウイルス、組換え核酸、遺伝学的に改変されたドナー細胞、または遺伝学的に改変されていないドナー細胞は、膜または網のような、多孔性であり、生体適合性であり、かつ実質的に非生分解性である材料により、少なくとも一部が形成されている、1つか、それ以上の補完部に導入される。なお、上記材料は、比較的小さい分子が該補完部を出入りすることを許容し、宿主(内在性)細胞の流入およびドナー細胞の流出を許容しない。
上記埋め込まれた装置内の上記遺伝子の発現を制御するために、該埋め込み型の装置は、調節可能な転写制御因子に機能し得る形でつながっているオープンリーディングフレームの発現を変化、例えば誘導する量および/または強度(振幅)で刺激を発する遺伝子調節刺激装置を備えている。以上のように、本発明に係るシステムおよび方法における上記遺伝子調節刺激装置は、哺乳動物において、時間的および/または条件的な、オープンリーディングフレームによってコードされた遺伝子産物の投与を提供する。
一実施形態において、本発明は、リード本体に沿った1つか、それ以上の位置に配置された1つか、それ以上の遺伝子保管部を有するリードを備えたシステムを提供する。一実施形態において、上記装置は、経静脈的なシステムの一部である。上記遺伝子保管部は、自家性の細胞、例えば、結合されたオープンリーディングフレームの発現を調節し得る調節可能な転写制御因子、例えばプロモーター等を備えた発現カセットを備えた遺伝学的に改変された自家性の細胞を備えていてもよい。上記遺伝子保管部は、栄養媒体の流入および発現された可溶性因子の流出のための多孔性の膜を有している。上記システムは、また、上記遺伝子保管部に近接して存在している、限定空間における遺伝子刺激のための刺激源(遺伝子調節刺激装置)を備えている。
上記システムおよび本発明に係る方法は、可溶性因子による治療、予防、またはその他の効果がある任意の状態の1つか、それ以上の症状を予防、抑制、または治療するために用いられ得る。一実施形態において、本発明に係る上記システムは、心臓血管の状態の1つか、それ以上の症状を治療、抑制、または予防するために有用である。心臓血管の状態は、これに限定されるものではないが、心房性不整脈、心室性不整脈、心筋梗塞(MI)、うっ血性心不全を含む心不全、回帰性頻拍(reentrant tachycardias)、心臓洞組織機能不全(dysfunctional cardiac sinus tissue)、拡張機能不全(diastolic dysfunction)、虚血性心疾患、狭心症、拡張型心筋症、アテローム性動脈硬化症、脆弱なプラーク(vulnerable plaque)、高血圧、および、例えば、発作、メタボリックシンドローム、糖尿病、肥満(obesity orpnea)等の心臓の臓器不全を含む。例えば、本発明に係るシステムは、MI、または心臓領域における再還流時のMI後コンディショニング(post MI conditioningの影響を受けた心臓領域において、細胞の成長を促進するために用いられ得る。しかしながら、本発明に係る方法は、心臓血管の状態のために限定されるものではなく、上記リードは任意の遺伝子を送達して、該遺伝子に関連する疾患または状態を予防、抑制または治療するために用いることができる。
以上のように、本明細書は、他の埋め込み型の医療機器を備え得るシステムの一部であり得、該システムに連結され得るリードを備える、遺伝子発現調節システムを説明する。一実施形態において、上記埋め込み型の医療機器は、治療の必要性を示す所定の状態を検知する。その結果、上記リード内の、埋め込まれた遺伝子調節刺激装置が、1つか、それ以上の刺激を送達する。さらなる一実施形態において、遺伝子発現調節治療が、ペーシング療法のような電気的な治療法とともに実施される。本発明に係るリードとともに用いられるための埋め込み型の医療機器の1つの具体的な例は、埋め込み型の心臓リズム管理(CRM)装置である。いくつかの実施形態が、様々な治療装置および方法の例を提供するために以下に示される。
〔定義〕
「ベクター」または「コンストラクト」(遺伝子移入手段または遺伝子運搬手段と称されることもある)は、in vitroまたはin vivoにおいて宿主細胞に送達されるべきポリヌクレオチドを備えている、高分子または分子の複合体を指す。上記ポリヌクレオチドは、遺伝子治療のための特定の配列を備え得る。ベクターは、例えば、トランスポゾン、およびその他の部位特異的可動因子、ウイルスベクター、例えば、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ポックスウイルス、パピローマウイルス、レンチウイルス、ヘルペスウイルス、泡沫状ウイルス、およびレトロウイルスベクター等、シュードタイプウイルス、リポソーム、およびその他の脂質含有複合体、ならびに宿主細胞へのポリヌクレオチドの送達を媒介する他の高分子複合体、例えばDNA被膜金粒子、ポリマー−DNA複合体、リポソーム−DNA複合体、リポソーム−ポリマー−DNA複合体、例えばアデノウイルス−ポリリジン−DNA複合体のようなウイルス−ポリマー−複合体、および抗体−DNA複合体を含んでいる。ベクターはまた、遺伝子送達および/または遺伝子発現をさらに調節するか、または該ベクターが導入されるべき上記細胞に有利な特性を与える他の因子または機能を備えていてもよい。そのような他の因子には、例えば、細胞への結合またはターゲッティングに影響を与える因子(細胞のタイプまたは組織特異的な結合を媒介する因子を含む);上記細胞による上記ベクターの核酸の取り込みに影響を与える因子;上記細胞内における、取り込み後の上記ポリヌクレオチドの局在に影響を与える因子(例えば、核局在を媒介する薬剤);および上記ポリヌクレオチドの発現に影響を与える因子が含まれる。そのような因子はまた、上記ベクターによって送達された上記核酸を取り込んで発現している細胞を検出または選択するために用いられ得る検出用および/または選択用マーカーのようなマーカーを含み得る。そのような因子は、上記ベクターの生来の特性として提供され得(例えば、結合および取り込みを媒介する因子または機能を有する特定のウイルスベクターを使用する)、また、そのような機能を提供するようにベクターが改変され得る。そのようなベクターは幅広く知られており、一般に入手可能である。ベクターが宿主細胞において維持されている間、該ベクターは、細胞分裂の際、該細胞によって自立した形態で安定的に複製されるか、該宿主細胞のゲノム内に組み込まれるか、または該宿主細胞の核もしくは細胞質内に維持されるかのいずれかがなされ得る。
「組換えウイルスベクター」は、1つか、それ以上の異種の遺伝子または配列を備えているウイルスベクターを指す。多くのウイルスベクターは、パッケージングに関連して、サイズ上の制約があるため、上記異種の遺伝子または配列は、典型的には、1つか、それ以上の該ウイルスゲノムの部分を置き換えることによって導入される。そのようなウイルスは、複製に欠陥を有し、ウイルスの複製およびカプセル化の際に、欠損した機能を他から提供される必要がある場合がある(例えば、ヘルパーウイルス、または複製および/もしくはカプセル化に必要な遺伝子を保有するパッケージング細胞株を用いる)。送達されるべきポリヌクレオチドを、自ウイルス粒子の外部に保有する改変されたウイルスベクターは、既に知られている。
本明細書において用いられる場合、「遺伝子送達」「遺伝子運搬」等は、例えば組換えウイルスまたは遺伝学的に改変されたドナー細胞を介した、外因性のポリヌクレオチド(「トランス遺伝子」と称されることもある)の宿主細胞への導入を指す。なお、導入の手法は限定されない。そのような手法は、例えばベクターを介した遺伝子運搬(例えば、ウイルスの感染/トランスフェクション、またはその他の様々なタンパク質ベースもしくは脂質ベースの遺伝子送達複合体によるもの)、ならびに「裸の」ポリヌクレオチドの送達を実現するための技術(例えば、エレクトロポレーション法、イオン泳動法、「遺伝子ガン」送達、およびポリヌクレオチドを導入するためのその他の様々な技術)等の様々な周知の技術を含む。上記導入されたポリヌクレオチドは、安定的に、または一時的に、上記宿主細胞中に維持され得る。安定的な維持は、典型的には、上記導入されたポリヌクレオチドが、上記宿主細胞と互換性の転写開始点を有しているか、例えば、染色体外レプリコン(例えばプラスミド)、または核またはミトコンドリア染色体等の該宿主細胞のレプリコン内に組み込まれているかのいずれかが必要となる。当該技術分野において周知のように、多くのベクターが、哺乳動物細胞への遺伝子の運搬を媒介する能力を有していることが知られている。
「トランス遺伝子」は、一時的、または恒久的に、人為的に細胞に挿入された、任意の核酸分子(例えばDNA)の断片であって、ゲノムに組み込まれるか、染色体外に維持される場合、該細胞の一部となるものが意図される。このようなトランス遺伝子は、遺伝子組換え個体において、部分、または全体が異種の(すなわち外因性の)遺伝子を含み得るか、または上記個体の内在性の遺伝子と相同な遺伝子であり得る。
「遺伝子組換え細胞」または「遺伝学的に改変された細胞」は、トランス遺伝子を備えている細胞が意図される。例えば、発現カセットを備えるベクターによって形質転換された幹細胞は、表現型の特徴が変更された一群の細胞を製造するために用い得る。
用語「野生型」は、自然から単離されたときの遺伝子または遺伝子産物の特性を有している、遺伝子または遺伝子産物を指す。野性型の遺伝子は、集団において最も頻繁に観察され、それゆえ、該遺伝子の「正常」または「野生」型と称されることとなる。反対に、用語「改変された」または「変異」は、配列および/または機能特性において、野生型の遺伝子または遺伝子産物に比べたときに改変が見られる(特徴が変化した)遺伝子または遺伝子産物を指す。なお、自然発生した突然変異体も単離され得ることに留意されたい。これらは、野生型の遺伝子または遺伝子産物に比べたときに変化した特徴が変化しているという事実により同定される。
用語「形質導入」は、in vivoまたはin vitroのいずれかにおいて、ウイルスベクター、好ましくは組換えAAVのように、複製に欠陥のあるウイルスベクターを介して、レシピエント細胞にポリヌクレオチドを送達することを意味する。
遺伝子配列および制御配列のような核酸配列に関する場合、用語「異種」は、通常は特定の細胞に結合されない、および/または該細胞に関連付けされない配列を意味する。従って、核酸のコンストラクトまたはベクターの「異種」領域とは、自然状態では、他の特定の分子と関連して見出されない該特定の核酸分子内、または該分子に付属する核酸の部分である。例えば、核酸のコンストラクトの異種領域は、本来はコーディング配列に関連しては見出されない配列に隣接する該コーディング配列を含み得る(すなわち、異種プロモーター)。異種コーディング配列の他の例は、コーディング配列自身が自然には見出されないコンストラクト(例えば、本来の遺伝子とは異なるコドンを有する合成配列)である。同様に、細胞中に通常は存在しないコンストラクトによって形質転換された該細胞は、本発明の目的において、異種であるとされる。
「DNA」は、直鎖状DNA分子(例えば、制限酵素断片)、ウイルス、プラスミド、および染色体において特に見出される、二重鎖または一重鎖形態の、デオキシリボ核酸(アデニン、グアニン、チミン、またはシトシン)の、重合体形態が意図される。特定のDNA分子の構造についての議論において、本明細書では、通常の慣習に基づき、5’から3’への方向に沿ったDNAの転写されていない鎖(すなわち、mRNAに相補的な配列を有する鎖)の配列のみが記載される。本用語が範囲とする分子は、アデニン、グアニン、チミン、またはシトシンの4種の塩基を含むだけでなく、公知の塩基類似体をも含む。
本明細書において用いられる場合、用語「相補的」または「相補性」は、ベースペアリングルールに関連したポリヌクレオチド(すなわち、ヌクレオチドの配列)に関して用いられる。例えば、配列「A−G−T」は、配列「T−C−A」と相補的である。相補性は、「部分的」であり得る。「部分的」な場合、いくつかの核酸塩基のみが、ベースペアリングルールに従って適合している。他方、核酸間の「完全」な、または「全体的」な相補性も存在し得る。核酸の鎖間の相補性の程度は、核酸の鎖間のハイブリダイゼーションの効率および強度への顕著な効果を有している。このことは、増幅反応、および核酸間の結合に基づいた検出方法において、特に重要となる。
DNA分子は、「5’末端」および「3’末端」を有するとされる。なぜなら、単ヌクレオチドは、1つの単ヌクレオチドのペントース環の5’リン酸が、隣の単ヌクレオチドの3’酸素に、リン酸ジエステル結合を介して一つの方向に、結合する様式で、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドを形成するからである。したがって、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの一つの末端は、その5’リン酸が、単ヌクレオチドのペントース環の3’酸素に結合していない場合、「5’末端」と称され、その3’酸素が、つながる単ヌクレオチドのペントース環の5’リン酸に結合していない場合、「3’末端」と称される。本明細書で用いられる場合において、核酸配列は、それがより大きなオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドに内在するものであっても、5’末端および3’末端を有しているとされる。直鎖状、または環状DNA分子のいずれにおいても、個別の因子は、「下流」または3’側の因子の、「上流」または5’側にあると称される。このような用語法は、転写がDNA鎖に沿って5’側から3’側への様式で進行するという事実に即するものである。結合する遺伝子の転写を導く、プロモーターおよびエンハンサー因子は、一般に、コーディング領域の5’側または上流に位置している。しかしながら、エンハンサー因子は、上記プロモーター領域および上記コーディング領域の3’側に位置していてもその効果を奏し得る。転写終止およびポリアデニル化刺激は、上記コーディング領域の3’側または下流に位置する。
特定の遺伝子産物を「コード」する「遺伝子」「ポリヌクレオチド」「コーディング領域」または「配列」は、適切な調節配列の支配下に置いたとき、in vivoまたはin vitroにおいて転写され、必要に応じて翻訳されて、例えばポリペプチドのような遺伝子産物にあり得る核酸分子である。上記コーディング領域は、cDNA、ゲノムDNAまたはRNA形態で存在し得る。DNA形態で存在するとき、核酸分子は、一重鎖(すなわち、センス鎖)または二重鎖であり得る。コーディング領域の境界は、5’(アミノ)末端の開始コドンと、3’(カルボキシ)末端の転写終止コドンとによって規定される。遺伝子は、これに限定されるものではないが、原核動物または真核動物のmRNA由来のcDNA、原核動物または真核動物のDNAからのゲノムDNA配列、および合成DNA配列を含み得る。したがって、遺伝子は、遺伝子産物をコードする全長のオープンリーディングフレーム(センス方向)またはその部分(センス方向)であって、上記全長のオープンリーディングフレームによってコードされる遺伝子産物と実質的に同等の活性を有する遺伝子産物をコードするもの、上記ポリヌクレオチドの相補鎖、例えば、上記全長オープンリーディングフレームの相補鎖(アンチセンス方向)、および場合によっては、5’および/または3’側にノンコーディング配列が付加されたもの、またはその部分、例えば、対応するmRNAの転写、安定性、もしくは翻訳を抑制するために有用なオリゴヌクレオチドを含み得る。転写終止配列は、通常、上記遺伝子配列の3’側に位置している。
「オリゴヌクレオチド」は、少なくとも7個、好ましくは15個、より好ましくは20個、またはそれ以上であって、100個までの、RNAまたはDNAのいずれかの連続したヌクレオチドを含んでいる。上記ヌクレオチドは、選択されたmRNAの上記ノンコーディング鎖もしくは上記コーディング鎖の相補鎖に対応しているか、または該mRNAもしくは該mRNAをコードするDNAにハイブリダイズして、中程度に(moderately)ストリンジェントな条件もしくは高度に(highly)ストリンジェントな条件下において安定に結合されている。上記条件は、周知の技法、例えば、Sambrooket al., A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Press(1989)に記載のものにおいて定義されている。
用語「制御因子」は、集まって、レシピエント細胞におけるコーディング配列の複製、転写、転写後修飾、および翻訳を提供する、プロモーター領域、ポリアデニル化刺激領域、転写終止配列、上流制御領域、転写開始点、内部リボソーム結合配列(「IRES」)、エンハンサー、およびスプライシング結合部等をまとめて指し示す。適切なホスト細胞において、選択されたコーディング領域が、複製され、転写され、翻訳され得るために、これらすべての制御因子が、常に存在する必要はない。
用語「プロモーター領域」は、本明細書において、その通常の意味で用いられ、DNA調節配列を備える核酸領域を指す。上記調節配列は、RNAポリメラーゼに結合し得、下流(3’方向)のコーディング配列の転写を開始し得る遺伝子から派生している。したがって、「プロモーター」は、自らに機能し得る形でつながっている遺伝子またはコーディング配列の転写を制御するポリヌクレオチド配列を指す。様々な由来を有する、構成的な、誘導可能な、または抑制可能なプロモーターを含む、多数のプロモーターが知られている。
「エンハンサー因子」は、プロモーターの近傍に存在していた場合に、該エンハンサー領域の不在下での、該プロモーターによって得られる転写活性に比べて、向上した転写活性をもたらす核酸配列を意味する。それゆえ、「エンハンサー」は、自らに機能し得る形でつながっている遺伝子またはコーディング配列の転写を促進するポリヌクレオチド配列を含む。様々な由来を有する多数のエンハンサーが知られている。プロモーター配列(例えば、一般に用いられるCMVプロモーター)を有する、多数のポリヌクレオチドはまた、エンハンサー配列を有している。
「機能し得る形でつながっている」とは、上述の要素が、望むべき機能を可能にするような関係性を持って並べられていることを指す。核酸分子について「機能し得る形でつながっている」とは、二つか、それ以上の核酸分子(例えば、転写すべき核酸分子、プロモーター、およびエンハンサー因子)が、該核酸分子の転写を可能にするような様式で結合されていることを意味する。プロモーターがコーディング配列の転写を制御している場合、該プロモーターは、該コーディング配列に機能し得る形でつながっている。機能し得る形でつながっているプロモーターは、一般に、上記コーディング配列の上流に位置しているが、連続している必要はない。エンハンサーが、コーディング配列の転写を増加させている場合、該エンハンサーは、該コーディング配列に機能し得る形でつながっている。機能し得る形でつながっているエンハンサーは、上記コーディング配列の上流、該配列中、または下流に位置していてもよい。ポリアデニル化配列は、コーディング配列の下流末端に位置して、該コーディング配列の処理からポリアデニル化配列へと転写が進行するようになっていれば、該コーディング配列に機能し得る形でつながっている。ペプチドおよび/またはポリペプチド分子について、「機能し得る形でつながっている」とは、二つか、それ以上のペプチド、および/またはポリペプチド分子が、各ペプチドおよび/または融合されたポリペプチド要素の少なくとも1つの特性を有している、単一のポリペプチド鎖、すなわち融合ポリペプチド、を産生するように結合されていることが意図される。したがって、刺激またはターゲッティングペプチド配列は、得られる融合物が、分泌刺激ペプチドの存在の結果として、細胞から分泌されるか、またはオルガネラターゲッティングペプチドの存在の結果として、オルガネラへと分泌される場合、他のタンパク質に、機能し得る形でつながっている。
「相同性」は、二つのポリヌクレオチド、または二つのポリペプチド間の一致率を指す。1つの配列と、他との対応は、公知の技術によって決定され得る。例えば、相同性は、配列情報を位置合わせてして、容易に入手可能なコンピュータープログラムを用いることによって、二つのポリペプチド分子間の配列情報の直接的な対比により決定され得る。または、相同性は、安定した二重鎖を形成し得る条件下でのポリヌクレオチドのハイブリダイゼーション、一重鎖特異的ヌクレアーゼによる消化、および消化した断片のサイズ決定によっても決定することができる。二つのDNAまたは二つのポリペプチドの配列が、互いに「実質的に相同である」とは、少なくとも約80%、好ましくは少なくとも約90%、最も好ましくは少なくとも約95%のヌクレオチドまたはアミノ酸のそれぞれが、一定の長さにわたって一致するように、上述した方法によって決定された場合である。
「哺乳動物」とは、これに限定するものではないが、ヒト、チンパンジーおよび他の類人猿およびサル種等の非ヒト霊長類;ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、およびウマ等の家畜(farm animals);イヌおよびネコ等の家畜(domestic animals);マウスおよびラット等のげっ歯類、ウサギ、ならびにギニアピッグ等の実験動物を含む哺乳類(Mammalia)の任意のメンバーを意味する。「動物」は、哺乳動物、鳥類、両生類、は虫類、魚類を含む水生動物等の脊椎動物を含んでいる。
「由来の」とは、核酸分子が、親の核酸分子に基づいて作成または設計されており、派生物は、該親の核酸分子と実質的に同一の機能的特性を維持していること、例えば、親の核酸分子に基づいて作成または設計されており、該親の核酸分子がコードする遺伝子産物と実質的に同一の活性を有する遺伝子産物をコードしていること、が意図される。
「発現コンストラクト」、または「発現カセット」とは、転写を導き得る核酸分子が意図される。発現コンストラクトは、少なくともプロモーターを備えている。付加的な因子、例えばエンハンサー、および/または転写終止刺激も含まれ得る。
細胞または個体中のタンパク質、遺伝子、または例えばポリヌクレオチド等の核酸について用いられる場合、用語「外因性」とは、上記細胞または個体に人為的または天然の手段により導入されたタンパク質、遺伝子、または核酸を指す。また、細胞に関して用いられる場合、用語「外因性」とは、単離され、続いて、人為的または天然の手段により他の細胞または個体に導入された細胞(「ドナー」細胞)を指す。外因性の核酸は、他の個体もしくは細胞由来であり得、または、個体または細胞内において自然に生じた核酸の1つか、それ以上の付加的なコピーであり得る。外因性の細胞は、他の個体由来であり得、または、同じ個体由来であり得る。非限定的な例示として、外因性の核酸は、天然の細胞とは、染色体上の局在が異なるか、または、自然に見つかるものとは異なる核酸配列が付加している。
核酸、ペプチド、ポリペプチド、またはウイルスについて用いられる場合、用語「単離された」とは、通常、天然の源に関連付けられた混合された核酸、ポリペプチド、または他の生物学的な要素において同定され、単離された、核酸、ペプチド、ポリペプチド、またはウイルスを指す。単離された核酸、ペプチド、ポリペプチドまたはウイルスは、自然において見出される形態または環境とは異なって存在している。例えば、特定のDNA配列(例えば、遺伝子)は、宿主細胞の染色体中に、近隣の遺伝子の近傍に見出される;特定のタンパク質をコードする特定のmRNA配列のようなRNA配列は、数多の、他の様々なタンパク質をコードするmRNAの混合物として細胞中に見出される。単離された核酸分子は、一重鎖または二重鎖形態で存在し得る。単離された核酸分子が、タンパク質を発現させるために用いられた場合、該分子は、少なくともセンス鎖またはコーディング鎖を含んでおり(すなわち、該分子は、一重鎖であり得る)、センス鎖とアンチセンス鎖との両方を含んでいてもよい(すなわち、該分子は、二重鎖であり得る)。
本明細書において用いられる場合、用語「組換えDNA分子」とは、分子生物学的な手段により結合された、DNA分節により構成されたDNAを指す。
本明細書において用いられる場合、用語「組換えタンパク質」または「組換えポリペプチド」は、組換えDNA分子から発現されたタンパク質分子を指す。
用語「ペプチド」、「ポリペプチド」、および「タンパク質」は、本明細書において、交換可能に用いられ、別段の区別がなければ、任意の長さのアミノ酸のポリマーを指す。これらの用語はまた、グリコシル化、アセチル化、およびリン酸化を含む反応を経た翻訳後の修飾を受けているタンパク質を含む。
「成長因子」は、少なくとも細胞の成長を促進するか、または表現形の変化を誘導する薬剤が意図される。
用語「血管形成の」とは、単独または他の薬剤と組み合わせて血管新生を誘導する薬剤が意図され、これに限定されないが、繊維芽細胞増殖因子(FGF)、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)、肝細胞成長因子、アンジオゲニン、トランスフォーミング成長因子(TGF)、組織壊死因子(TNF、例えばTNF−α)、血小板由来成長因子(PDGF)、顆粒球コロニー刺激因子(GCSF)、胎盤成長因子、IL−8、プロリフェリン、アンジオポエチン、例えば、アンジオポエチン−1およびアンジオポエチン−2、トロンボスポンディン、エフリン−A1、Eセレクチン、レプチン、ならびにヘパリン親和性調節ペプチドを含む。
本明細書において用いられる場合、「遺伝子調節」または「遺伝子調節治療」は、発現カセット内の遺伝子発現を調節する、1つか、それ以上の遺伝子調節刺激の送達を含む。上記遺伝子調節刺激は、転写制御因子、例えばプロモーターをトリガーする刺激を含む。
「使用者」は、患者を治療するために遺伝子調節システムを使用する医師もしくはその他の介護者を含む。
〔遺伝子送達手段、および遺伝子発現の制御〕
本発明の方法および装置には、in vivoで発現することにより特定の状態の少なくとも一つの症状を予防し、抑制し、または治療する遺伝子を動物に送達するための組み換えウイルスまたは遺伝子組み換え細胞、の利用が含まれている。体外から送達される遺伝子は、遺伝子産物をコードするオープンリーディングフレームを少なくとも一つ含んでおり、このオープンリーディングフレームは、少なくとも一つの調節可能な発現制御因子に、機能し得る形でつながっている。本方法および本装置はまた、刺激を放出する遺伝子調節刺激装置を用いており、刺激としては、特定の波長の光もしくは複数の波長を含む範囲の光、特定のエネルギーを有する光、電界、または温度もしくは状況のその他の形態が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの刺激は、調節可能な転写制御因子によって認識される。調節可能な転写制御因子としては、たとえば誘導プロモータもしくは抑制プロモータなどのプロモータ、エンハンサー、またはこれらの組み合わせが挙げられる。たとえば、プロモータは、特定の波長の光に応答するものであってもよい。しかしながら、本発明は、調節刺激および調節因子の特定の組み合わせに限定されるものではない。
〔A.調節可能な転写制御因子〕
導入遺伝子の発現を制御して、その結果として調節可能な転写制御因子または誘導転写制御因子との関連でベクターの薬物動態を変化させるために、さまざまな計画が考えられてきた。これらの調節プロモータの多くは、導入遺伝子の発現を制御するために体外から投与される物質を利用し、またいくつかは、遺伝子発現を制御するために生理的環境を利用する。外因性の制御プロモータの例としては、テトラサイクリン応答プロモータ、単純ヘルペスビリオンタンパク質16のトランスアクチベーションドメインと結合したバクテリアtetリプレッサー由来のテトラサイクリン結合ドメインと、DNAとからなるキメラトランスアクチベータ;嚢胞性繊維症膜貫通調節遺伝子(CFTR)の5’側隣接領域の最小断片が付加された複数の環状アデノシンモノリン酸塩応答因子を有するキメラプロモータ;EGR1放射線誘導プロモータ;およびAd2主要後期プロモータTATAボックス開始部位の挿入とタンデムに並んでいるラットチロシンアミノ基転移酵素遺伝子由来の5つのGREs(Narumi et al., Blood, 92:812 (1998))を有するGREプロモータ(Lee et al., J.Thoracic Cardio. Surg., 118:26 (1996))、が挙げられる。プロモータの生理的制御の例としては、チミジンキナーゼプロモータと、外因性および内在性の3ヨードサイロニンのいずれにも応答する甲状腺ホルモンおよびレチノイン酸応答因子とのキメラ(Hayashiet al., J. Biol. Chem., 269:23872 (1994));炎症性刺激に応答する補体因子3および血清アミロイドAのプロモータ;grp78およびBiPストレス誘導プロモータ、グルコース欠乏および慢性酸素欠乏症および酸性pHによって誘導されるグルコース調節タンパク質、(Gazitet al., Cancer Res., 55:1660 (1995));in vivoでの遺伝子治療の状況で調節可能なプロモータとして働くことが示されている、低酸素誘導因子1および低酸素細胞内のヒトエリスロポエチン遺伝子の転写を活性化するヘテロ二量体塩基性へリックス・ループ・へリックスタンパク質(Forsytheet al., Mol. Cell Biol., 16:4604 (1996))、が挙げられる。
本発明の装置および方法に有用な調節可能な転写制御因子としては、切断されたプロゲステリンレセプターのリガンド結合ドメイン(抗黄体ホルモンにより制御)、tetプロモータ(tetおよびdoxにより制御)(Dhawan et al., Somat. Cell. Mol. Genet., 21, 233 (1995); Gossen etal., Science, 268:1766 (1995); Gossen et al., Science, 89:5547 (1992); Shockettet al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 92, 6522 (1995))、低酸素誘導核因子(Semenza et al.,Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88, 5680 (1991); Semenza et al., J. Biol. Chem.,269, 23757))、グルココルチコイド誘導因子(GRE)(Mader and White, Proc. Natl. Acad. Sci. USA,90, 5603 (1993))およびRU486誘導のための融合コンセンサス因子(Wang et al., Proc. Natl. Acad. Sci.USA, 91:818 (1994))などのステロイド誘導因子およびプロモータ、たとえばメタロチオネインIまたはII、c−mycおよびHSP70プロモータに存在するもの(Linet al., J. Cell. Biochem., 81:143 (2001); Lin et al., J. Cell. Biochem., 54:281(1994);米国出願公開20020099026)および電気パルス(Rubenstrunk et al., J. Gene Med., 5:773(2003))などの電磁場感受性のもの、このほかにも酵母GAL4/TATAプロモータ、オーキシン誘導因子、エクジソン応答因子(No et al., Proc.Natl. Acad. Sci. USA, 93:3346 (1996))、ラパマイシン(FK506)またはそのアナログにより誘導される因子(Riveraet al., Nat. Med., 2:1028 (1996); Ye et al., Science, 283:88 (1999); Rivera etal., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 96:8657 (1999))、tat応答因子、亜鉛などの金属誘導因子、放射線誘導因子(たとえば電離放射線は初期成長応答遺伝子(Erg−1)プロモータの誘導因子として使用されている)(Hallahanet al., Nat. Med., 1:786 (1995))、PPRE(PPAR応答因子、WO00/78986参照)に融合している最小プロモータを含んでいる核レセプターPPARγ(ペルオキシソーム増殖応答性受容体)に結合する因子、シトクロムP450/A1プロモータ、MDR−1プロモータ、特定のサイトカインによって誘導されるプロモータ(Varleyet al., Nat. Biotech., 15:1002 (1997))、光誘導因子(Shimizu-Sato et al., Nat.Biotech., 20:1041 (2002))、lacZプロモータ、ならびに酵母Leu3プロモータ、が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
いくつかの実施形態において、たとえば筋特異的な誘導プロモータ、エンハンサーおよびこれらに類するものなどの細胞または組織特異的な制御因子は、たとえば調節可能な転写制御因子と結合させるなどして特定の形態で利用される。このような制御因子としては、たとえばmyoD遺伝子ファミリー(Weintraub et al., Science, 251, 761 (1991))などのアクチンおよびミオシン遺伝子ファミリーに由来するもの;筋細胞特異的エンハンサー結合因子MEF2(Cserjesiand Olson, Mol. Cell Biol., 11, 4854 (1991));ヒト骨格筋アクチン遺伝子(Muscat et al., Mol.Cell Bio., 7, 4089 (1987))および心筋アクチン遺伝子由来の制御因子;筋クレアチンキナーゼ配列因子(Johnson et al.,Mol. Cell Biol., 9, 3393 (1989))およびマウスクレアチンキナーゼエンハンサー(mCK)因子;骨格筋速筋(skeletalfast-twitch)トロポニンC遺伝子、心筋遅筋(slow-twitch cardiac)トロポニンC遺伝子および遅筋トロポニンI遺伝子由来の制御因子、が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
心臓細胞に限定されたプロモータとしては、下記の遺伝子に由来するプロモータが挙げられるが、それらに限定されるものではない:たとえば心室α−ミオシン重鎖遺伝子などのα−ミオシン重鎖遺伝子、たとえば心室β−ミオシン重鎖遺伝子などのβ−ミオシン重鎖遺伝子、たとえば心室ミオシン軽鎖2遺伝子などのミオシン軽鎖2v遺伝子、たとえば心室ミオシン軽鎖2遺伝子などのミオシン軽鎖2a遺伝子、心筋に限定されている心筋アンキリン反復タンパク質(CARP)遺伝子、心筋α−アクチン遺伝子、心筋m2ムスカリン性アセチルコリン遺伝子、ANP遺伝子、BNP遺伝子、心筋トロポニンC遺伝子、心筋トロポニンI遺伝子、心筋トロポニンT遺伝子、心筋小胞体Ca−ATP合成酵素遺伝子、骨格筋α−アクチン遺伝子、および人工的な心筋細胞特異的プロモータ。
一つ以上の断続的な刺激、長期刺激または異なるレベルの刺激、に対する調節可能な転写制御因子の応答について、in vitroまたはin vivoでテストしてもよい。ベクターは、マーカー遺伝子、すなわち、緑色蛍光タンパク質(GFP)などの、容易に検出できるものまたは検出が可能なもの、につながっている調節可能な転写制御因子を有していてもよい。たとえば、電気パルスに感受性のあるプロモータ、MT−IプロモータまたはMT−IIプロモータ(Rubenstrucket al., J. Gene Med., 5:773 (2003))を有するベクターは、マーカー遺伝子のオープンリーディングフレームにつながっている。結果として得られる発現カセット、たとえば、アデノウイルスベクターまたはプラスミドベクターに導入されるものは、たとえばマウス心臓細胞などのマウス細胞または心臓セクションに感染させるため、またはトランスフェクトするために用いられる。小さなフラスコ内で使用するために設計された電極システムが、電気パルスを送達するために使用される。次いで、細胞内またはその細胞の溶解物内の蛍光を検出し、および/または、ベクター特異的RNAをたとえばRT−PCRにより測定し、任意で、コントロール細胞のデータと比較する。同様に、電気パルスに感受性のあるプロモータを有するベクターは、治療用遺伝子のオープンリーディングフレームにつながっており、組み換え細胞の表現型はコントロール細胞と比較される。ベクターを、たとえばブタなどの非ヒト大型動物モデルに導入し、動物内の埋め込み型装置からの刺激、たとえば電気パルス、に応答する、体外から導入される遺伝子のレベルおよび空間的発現を決定するために用いる。
〔B.遺伝子送達手段〕
外来遺伝子は、組み換えウイルス、単離した核酸またはドナー細胞内にあってもよい。ドナー細胞源としては、骨髄由来細胞、たとえば間充織細胞およびストロマ細胞、平滑筋細胞、繊維芽細胞、SP細胞、多分化能性細胞または全能性細胞、たとえば奇形腫細胞、造血幹細胞、例としては、臍帯血由来の細胞および単離したCD34細胞、多能性成人前駆細胞、成人幹細胞、胚幹細胞、骨格筋由来細胞、例としては、骨格筋細胞および骨格筋芽細胞、心臓由来の細胞、筋細胞、たとえば心室筋細胞、心房筋細胞、洞房結節筋細胞(SA nodal myocytes)、房室結節筋細胞(AV nodal myocytes)、ならびにプルキンエ細胞、が挙げられるが、これらに限定されるものではない。一実施形態において、ドナー細胞は、自己細胞であるが、たとえば異種個体の非自己細胞を用いてもよい。受け手の動物に投与するための増大したドナー細胞集団を提供するために、ドナー細胞をinvitroにおいて増大できる。さらに、ドナー細胞をin vitroにおいて下記に例示するように処理してもよい。ドナー細胞源およびこれらの細胞の培養方法は、周知のものである。
本明細書において参考として援用される米国特許出願第10/722,115号、発明の名称“METHOD AND APPARATUS FOR CELL AND ELECTRICAL THERAPY OF LIVINGTISSUE”に記載されているように、ドナー細胞を、機械的、電気的もしくは生物学的調整またはこれらの組み合わせの調整に供してin vitroで処理してもよい。この調整は、外因性刺激を継続的または断続的に与えるものであってよい。例として、生物学的調整としては、分化因子、成長因子、血管由来タンパク質、生存因子およびサイトカインなどの外因性物質をドナー細胞に与えることが挙げられる。また、血管由来タンパク質、成長因子、分化因子、生存因子もしくはサイトカインなどである遺伝子産物をコードする導入遺伝子を含む発現カセットを、ドナー細胞に与えることが挙げられる。導入遺伝子がコードする遺伝子産物は、上記したものに限定されるものではない。一実施形態においては、exvivoで本発明のシステムに使用するために、調節可能な転写制御因子を有する発現カセットを細胞に導入することにより、ドナー細胞、たとえば自己間充織幹細胞などの自己または非自己細胞、について遺伝子組み換えをおこなう。この調節可能な転写制御因子は、前駆生存因子(prosurvivalfactor)のオープンリーディングフレームなどの所望のオープンリーディングフレームとつながっている。別の実施形態において、たとえば組み換えウイルスおよびドナー細胞を用いることにより、invivoでドナー細胞の遺伝子組み換えをおこなう。
それぞれ異なる導入遺伝子または少なくとも二つの導入遺伝子を有するベクターを有する、一つの導入遺伝子を保持するベクター、または任意でベクターの組み合わせを、ドナー細胞の一つのタイプまたは異なるドナー細部に送達できる。これらは、同一の遺伝子保管部または同一の装置の異なる遺伝子保管部に導入されてもよい。導入遺伝子の送達は、導入遺伝子を含むベクターなど裸のDNAのトランスフェクション、リポソーム、カルシウムを用いた形質転換、エレクトロポレーションまたはたとえば組み換えウイルス、例としてアデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レトロウイルスもしくはレンチウイルスを用いた形質導入など、任意の手段によりおこなえばよい。いくつかのトランスフェクション技術が従来知られている。たとえば、Graham et al., Virology, 52, 456 (1973), Sambrook et al., MolecularCloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratories, New York (1989),Davis et al., Basic Methods in Molecular Biology, Elsevier (1986) and Chu etal., Gene, 13, 197 (1981)を参照。特に適したトランスフェクションとしては、リン酸カルシウムの共沈(Graham et al.,Virol., 52, 456 (1973))、培養細胞へ直接マイクロインジェクション(Capecchi, Cell, 22, 479 (1980))、エレクトロポレーション(Shigekawaet al., BioTechniques, 6, 742 (1988))、リポソームによる遺伝子導入(Mannino et al.,BioTechniques, 6, 682 (1988))、脂質を介した形質導入(Felgner et al., Proc. Natl. Acad. Sci.USA, 84, 7413 (1987))、および高速マイクロプロジェクタイル法を用いた核酸送達(Klein et al., Nature, 327, 70(1987))が挙げられる。外因性導入遺伝子をドナー細胞または宿主細胞に送達するための好ましい組み換えウイルスとしては、組み換えレンチウイルス、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)およびヘルペスウイルスが挙げられ、ヘルペスウイルスはサイトメガロウイルスを含む。
本発明の範囲に含まれるベクターとしては、たとえば染色体外に維持されるプラスミドベースのベクターなどの単離した核酸、ウイルスおよび非ウイルスベクターを含む、組み換えアデノウイルス、レトロウイルス、レンチウイルス、ヘルペスウイルス、ポックスウイルス、パピローマウイルスもしくはアデノ随伴ウイルスなどのウイルスベクター、ならびに宿主細胞への遺伝子送達を媒介できる他の高分子複合体が挙げられるがこれらに限定されるものではなく、上記ウイルスおよび非ウイルスベクターは、DOSPA/DOPEリポソーム、DOGS/DOPEリポソーム、もしくはDMRIE/DOPEリポソームなどの中性もしくは陽イオン性リポソームなどの、リポソームおよび他の脂質含有複合体内にあり、および/または、DNA抗DNA抗体陽イオン性脂質(DOTMA/DOPE)複合体などの他の分子と結びついている。実例として、本発明においては、ウイルスまたは単離した核酸とともに、リポソームおよび他の脂質含有送達複合体を用いることができる。このような複合体を遺伝子送達に使用するための方法および調製方法は、従来記載されている(see, e.g., Ledley, Human Gene Therapy, 6:1129 (1995); Miller et al.,FASEB Journal, 9:190 (1995); Chonn et al., Curr. Opin. Biotech., 6:698 (1995);Schofield et al., British Med. Bull., 51:56 (1995); Brigham et al., J. LiposomeRes., 3:31 (1993))。
ベクターは、遺伝子送達および/または遺伝子発現をさらに調節する他の構成もしくは機能性、または標的細胞に有益な特性を与える構成もしくは機能性を含んでいてもよい。このような他の構成としては、たとえば、細胞に対する結合または標的に影響を与える個性(細胞型結合または組織型結合を介した構成も含む);細胞におけるベクターの取り込みに影響を与える構成;取り込み後の細胞内における導入遺伝子の局在に影響を与える構成(たとえば核局在を媒介する物質など);および遺伝子の発現に影響を与える構成が挙げられる。このような構成として、マーカーも挙げられる。マーカーは、たとえば、ベクターにより送達された核酸を取り込み、それを発現している細胞を検出もしくは選択することができる検出マーカーおよび/または選択マーカーなどである。このような構成はベクターの本来的な特質(たとえば結合および取り込みを仲介する構成または機能性を有する特定のウイルスベクターの使用など)として与えられる。またはそのような機能性を与えるためにベクターを改変するものであってもよい。選択マーカーは、ポジティブなもの、ネガティブなもの、または両方の機能を有するものであってよい。ポジティブ選択マーカーを用いれば、マーカーを保持する細胞を選択することができ、一方、ネガティブ選択マーカーを用いれば、マーカーを保持する細胞を選択的に排除することができる。両方の機能を有する(すなわち、ポジティブ/ネガティブ)マーカーを含め、様々な種類のこれらのマーカー遺伝子が報告されている(たとえばWO92/08796;およびWO94/28143)。このようなマーカー遺伝子により、遺伝子治療の状況において有利である制御の別の指標が提供される。このようなベクターは従来知られており、一般的に入手可能である。
レトロウイルスベクターは、安定的に正確に宿主ゲノムに取り入れられ、長期にわたって導入遺伝子を発現させる能力を含め、いくつかの特異的な特徴を有している。全身感染および患者から患者への伝播のリスクを最小にするために感染性の遺伝子粒子を取り除くため、これらのベクターをex vivoでマニピュレートしてもよい。シュードタイプのレトロウイルスベクターは、宿主細胞の向性を変化させることができる。
レンチウイルスは、ヒト免疫不全ウイルスおよび猫免疫不全ウイルスを含むレトロウイルスの科に由来する。しかしながら、分裂細胞のみに感染するレトロウイルスとは異なり、レンチウイルスは分裂細胞および非分裂細胞のいずれにも感染できる。例として、ヒト免疫不全ウイルスゲノムを基にしたレンチウイルスベクターでは、in vivoで効率よく心筋細胞に形質導入できる。レンチウイルスは特定の親和性を有するが、水疱性口内炎ウイルスによってウイルス外皮膜をシュードタイプ化することにより、幅広い範囲の親和性を有するウイルスが得られる。
ウイルスの遺伝子発現に関与する初期(E1AおよびE1B)遺伝子をゲノムから取り除くことにより、アデノウイルスベクターを複製不能にしてもよく、また染色体外の形態として宿主細胞に安定的に維持される。これらのベクターは、複製細胞および非複製細胞のいずれもトランスフェクトでき、とりわけ、これらのベクターは、in vivoで、たとえば直接注入後または潅流後に、心筋細胞に効率よく感染することが示されている。アデノウイルスベクターを用いれば、invivoで治療用遺伝子が一過的に発現することが示されており、この発現は、7日目にピークをむかえほぼ4週間持続する。さらに、アデノウイルスベクターは力価が非常に高く、少量のウイルスで効率よく遺伝子導入できる。
組み換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)は、非病原性のパルボウイルスに由来し、基本的に細胞性免疫応答を引き起こさず、ほとんどのシステムにおいて導入遺伝子の発現を数ヶ月持続する。さらには、アデノウイルスのように、アデノ随伴ウイルスベクターもまた、複製細胞および非複製細胞のいずれにも感染でき、人に対しては非病原性であると考えられている。
ヘルペス単純ウイルス1(HSV−1)は、in vivoで重要な遺伝子送達ベクターとなるいくつかの重要な特質を有している。HSV−1を基礎としたベクターには2つの型がある:1)ウイルスゲノムのバックボーンに外来遺伝子を挿入することによって作出されたもの、および2)後で複製されビリオン粒子にパッケージされるアンプリコンプラスミドに、外来遺伝子を挿入することによって作出されるHSVアンプリコンビリオン。HSV−1は、分裂細胞および非分裂細胞いずれも含め、幅広い種類の細胞に感染できるが、神経細胞に対しては明らかに強力な親和性を有している。HSV−1は、ゲノムサイズが非常に大きく、非常に大きな導入遺伝子(>35kb)を伴うことができる。ヘルペスウイルスベクターは、大きい遺伝子の送達に特に実用的である。
より複雑なパッケージングシステムを保持していないことを指すために、プラスミドDNAを、“裸のDNA”ということがある。プラスミドDNAをin vivoで心筋細胞に直接注入することがおこなわれてきている。プラスミドを基礎としたベクターは、比較的に非免疫原性および非病原性であり、安定的に細胞ゲノムに組み入れられる潜在能力を有している。その結果、invivoで分裂終了細胞において長期にわたって遺伝子が発現する。たとえば、焦点の導入遺伝子の発現レベルは比較的に低かったにもかかわらず、プラスミドDNAを筋肉注射した後の分泌血管新生因子の発現は、動物モデルにおいて有意義な生物学的効果を示しており、臨床上期待できるようである(Isner,Nature, 415:234 (2002))。さらに、プラスミドDNAは血流中で速やかに分解される。そのため、離れた場所にある器官系において導入遺伝子が発現する可能性はごくわずかであり無視してよい。プラスミドDNAは、たとえばリポソームまたはDNA−タンパク質複合体などの高分子複合体の一部として細胞に送達されてもよい。またエレクトロポレーションなどの技術を用いて送達を向上させてもよい。
ドナー細胞、単離した核酸または組み換えウイルスは、リード(lead)を埋め込む前または埋め込んだ後に、リード本体にある一つ以上の遺伝子保管部(gene depositories)に取り入れられる。この一つ以上の遺伝子保管部は、多孔性で生体適合性があり実質的に非生分解性である材料の少なくとも一部として形成される。このような材料は、たとえば、比較的小さい分子は保管部に抜け出たり入ったりできるが宿主細胞は侵入できずまたドナー細胞が抜け出ていかない膜またはメッシュなどである。一実施形態において、保管部の一部を形成している、多孔性で生体適合性があり実質的に非生分解性である材料は、ドナー細胞の付着のための基質として適している。一実施形態において、多孔性材料に加えて、保管部は、ドナー細胞付着のための分離した基質支持体を含むか、またはこの基質支持体から形成されていてもよい。一実施形態において、遺伝子保管部は、たとえば繊維芽細胞などの遺伝子組み換え細胞によって種付けされる。保管部の種付け(seeding)が埋め込みの前におこなわれる場合には、細胞は、遺伝子保管部を形成している多孔性材料の内部もしくは外部またはその両方に種付けされる。ドナー細胞は、それ自身が有益な効果をもたらす因子を放出するか、または、有益な効果をもたらす因子を放出する宿主細胞を含んでいてもよい。
別の実施形態において、一つ以上の保管部の多孔性で生体適合性があり実質的に非生分解性の材料に付着する内在性(宿主)細胞、たとえば繊維化した繊維芽細胞に、組み換えウイルスまたは単離した核酸を送達することに、一つ以上の遺伝子保管部が用いられる。組み換えウイルスとしては、組み換えレンチウイルス、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルスおよびヘルペスウイルスが挙げられるが、これらに限定されるものではない。そのため、一実施形態において、保管部は多孔性材料を用いて形成されており、この多孔性材料は、保管部の内側から、保管部の外側の内在性細胞に、たとえば遺伝子保管部の多孔性で生体適合性があり実質的に非生分解性の材料の外側に付着している内在性細胞に、ウイルスを透過させる。装置を配置して、内在性細胞が多孔性材料上で増殖した後、本発明の発現カセットを有するウイルスが保管部から放出され、多孔性材料の外側にある内在性細胞に感染する。一実施形態において、ドナー細胞は、組み換えウイルス、たとえば複製不能ウイルスの供給源であってよい。別の実施形態において、遺伝子保管部は組み換えウイルスを含んでいるか、または組み換えウイルスを有している生体適合粒子(マトリクスまたはカプセル)を含んでいる。粒子からのウイルスの放出および拡散により、その後のドナー細胞または宿主細胞たとえば宿主繊維芽細胞への感染がおきる。組み換えウイルスもしくは非ウイルス性組み換え核酸を保持する宿主細胞またはドナー細胞は、それ自身が有益な効果をもたらす因子を放出するか、または、有益な効果をもたらす因子を放出する宿主細胞を含んでいる。
遺伝子保管部に導入される、遺伝子組み換えされていないドナー細胞の量または遺伝子組み換えされたドナー細胞などのベクター量または組み換えウイルスなどの無細胞形態のベクター量、および、特定の結果を得るために放出される、装置に基づく刺激の量は、種々の因子に依存してさまざまである。このような因子としては、選択される遺伝子およびプロモータ、状態、患者に特異的なパラメータ、たとえば身長、体重および年齢など、ならびに予防または処置が達成されているかどうかが挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明のベクター/装置システムは、予防目的の長期にわたる使用に適している。
本発明のベクターは、投与に適した処方の形態で都合よく提供されてもよい。適した投与形態は、個々の患者に対する医者により標準的な手法にしたがって決定されるのがもっともよい。医薬品として許容される適切なキャリアおよびこれらの処方は、標準的な処方の専門書、たとえばRemington’s Pharmaceuticals Sciencesに記載されている。本発明のベクターは、中性pH、たとえばおよそpH6.5からおよそpH8.5まで、好ましくはおよそpH7から8までの溶液で処方される。またたとえば4.5%マンニトールまたは0.9%塩化ナトリウムなど溶液をほぼ等張性にする賦形剤が用いられ、またたとえばリン酸ナトリウムなどの公知の緩衝溶液でpHがバッファリングされる。これらは一般的に安全と見られている。また0.1%から0.75%のメタクレゾール、より好ましくは0.15%から0.4%のメタクレゾールなどの一般的な防腐剤も用いられる。所望の等張性は、塩化ナトリウムまたは他の薬事上許容される物質、たとえばデキストロース、ホウ酸、酒石酸ナトリウム、プロピレングリコール、多価アルコール(たとえばマンニトールおよびソルビトール)または他の無機もしくは有機溶質、を用いることによって得られる。塩化ナトリウムは、ナトリウムイオンを含む緩衝液としてとりわけ好ましい。必要に応じて、有効期間および安定性を向上させるように上記組成の溶液を調製できる。治療に有用な本発明の組成は、下記の一般に受け入れられている手法により材料を混合することによって調製できる。たとえば、選択した成分を混合して濃縮した混合物を生成し、次いで、pHを調整するために水および/または緩衝液を添加するか、または等張性を制御するために他の溶質を添加することによって、混合物の最終の濃度および粘性を調整してもよい。
ウイルスベクターの場合には、少なくとも約10から10の数のウイルス粒子、好ましくは約10の数のウイルス粒子、より好ましくは約1011の数のウイルス粒子を、一つ以上の遺伝子保管部に導入できる。ウイルス粒子の数は、1014を超えてもよいが、超えないことが好ましい。ドナー細胞の送達の場合には、約10から1010、たとえば10から10、10から10、または10から10の数の細胞を、一つ以上の遺伝子保管部に導入できる。細胞の機能を向上させるかまたは血管形成を刺激する物質、そのようなピルビン酸塩、カテコールアミン刺激物質、たとえば塩基性繊維芽細胞増殖因子、酸性繊維芽細胞増殖因子、繊維芽細胞増殖因子−4および繊維芽細胞増殖因子−5などの繊維芽細胞増殖因子、上皮増殖因子、血小板由来増殖因子、血管内皮増殖因子(たとえばVEGF121、VEGF145、VEGF165、VEGF189またはVEGF206)、組織増殖因子などが、任意に、ドナー細胞とともに遺伝子保管部に含まれていてもよく、または別個に投与されてもよい。プラスミドDNAのみ、または他の高分子との複合体中のプラスミドDNAを送達する場合には、投与するDNAの量は、受け手において有益な効果が現れる量である。たとえば、個々または分割したときの一回分において、0.0001から1mgまたはそれ以上たとえば最大1gのDNA、たとえば0.001から0.5mg、または0.01から0.1mgのDNAを投与できる。
単離した核酸ベクターまたは組み換えウイルスを含んでいる一つ以上の適した単位剤形(unit dosage form)であり、任意で持続放出により処方されてもよい剤形が、投与され得る。製剤は、適切な場所において、個々の単位剤形で簡便に存在し、または製薬において周知である任意の方法によって調合してもよい。そのような方法では、液状キャリア、固体マトリクス、半固体キャリア、微紛化固体キャリアまたはこれらの組み合わせを、ベクターに結びつける工程が含まれており、必要であれば、次いで、生成物を、所望の送達システムに導入するかまたは成形する。
ベクターを含む製薬製剤は、周知で容易に入手可能な材料を用いて、当業者に公知の手順によって、調製できる。たとえば、一般的な賦形剤、希釈剤またはキャリアを用いて調製でき、また、タブレット、カプセル、懸濁液、パウダーなどに成形できる。本発明のベクターは、経口投与しやすいエリキシル剤もしくは溶液として、または、たとえば筋肉経由、皮下経由もしくは静脈経由などの非経口投与に適した溶液として調製もできる。
ベクターの製薬製剤は、水溶液もしくは無水溶液の形態、分散形状、またはエマルジョンもしくは懸濁液の形態をとることができる。
有効成分は、懸濁液、溶液、または油性もしくは水性媒体中のエマルジョンのような形態をとってもよく、また、懸濁化剤、分解防止剤および/または分散剤のような処方物質を含んでいていてもよい。あるいは、有効成分は、たとえば、使用前に、発熱物質を含まない滅菌した水などの適切な媒体を形成するために、滅菌した固体の無菌単離または溶液の凍結乾燥により得られるパウダーの形態であってもよい。
これらの製剤は、従来周知である薬事上使用可能な媒体およびアジュバントを含むことができる。たとえば、生理学的観点から使用し得る一つ以上の有機溶媒を用いて溶液を調製することが可能である。
所望により、上述した製剤を、例として、たとえば天然ガス、合成ポリマーゲルまたはこれらの混合物を含むある種の親水性ポリマーマトリクスと組み合わせることによって、用いられている有効成分が持続放出されるように適合させることができる。
さらには、ベクターは、持続放出させる調剤形態の製剤などに非常に適している。被覆剤、外皮および保護マトリクスは、例として、たとえばポリラクチド−グリコール酸塩、リポソーム、微小エマルジョン、微小粒子、ナノ粒子またはワックスなどのポリマー体物質から作られてもよい。
本明細書中に記載した製剤および組成は、たとえば抗菌剤または防腐剤などの他の材料を含むものであってもよい。さらには、本明細書に記載したように、有効成分は他の治療剤または治療と組み合わせて用いてもよい。
〔C.生体適合材料の例示〕
本発明に有用な生体適合材料としては、実質的に非生分解性のもの、すなわちその内容物の少なくとも一つの成分を保持するためのもの、および生分解性のもの、すなわちその内容物の少なくとも一つの成分を持続放出するものである。生体適合材料は、ドナー細胞もしくは組み換えウイルスを含んでいるか、これらに埋め込まれているかおよび/または覆われていてもよい。また生体適合材料は、生理的条件下で、たとえば埋め込んだ後数ヶ月間または数年間などの継続した期間、ドナー細胞または任意で他の治療剤を含む他の物質を、保持しおよび/または固定することに適している。遺伝子保管部を形成するために、いったんドナー細胞を生体適合材料に導入するか、埋め込むかまたは塗りつければ、埋め込み型医療装置につなげることができる。もしくは、生体適合材料を、埋め込み型医療装置に最初につなげてもよく、次いでドナー細胞をそこに導入するか、埋め込むかまたは塗りつける。
生体適合材料は半透膜であってもよく、この半透膜により、低分子量物質を内側および外側に輸送でき、それにより細胞が生存しおよび機能し、また、たとえば抗体および免疫細胞などの望まない分子の侵入およびドナー細胞の抜け出しなど、巨大な物質が侵入し出て行くことを防ぐ。例として、半透過壁のマイクロカプセルおよび中空の繊維を用いてもよい。半透膜によって遮断される分子量は、約50から100kDである。膜は、たとえば、アガロース、ポリビニルアルコール、たとえばクロスリンクしたポリビニルアルコール、ポリアクリレート、ポリアミドおよびポリウレタンなど、非生分解性および生体適合性を有する任意の適した材料により作られている。また膜は、透析膜、ナイロンもしくはセルロース、たとえば酢酸セルロースもしくはメチルセルロースであってもよく、in vivoでの分解を低下させるために誘導体化されたものでもよい。半透過性物質は、免疫原性応答、血液凝固および表面への細胞接着を減少させるために、へパリンおよび/またはポリエチレングリコール(PEG)と結合していてもよい。このような囲いおよび半透過膜の例は、米国特許第5,593,852号;米国特許第5,431,160号:米国特許第5,372,133号;米国特許第4,919,141号、および米国特許第4,703,756号に挙げられている。
生体適合材料は、ポリグリコール酸およびその誘導体、カルボキシル含有ポリマー、ポリオルトエステル、たとえばヒドロキシル含有ポリエステルなどのポリエステル、ポリウレタン、ポリリジンなどのポリアミノ酸、乳酸/グリコール酸共重合体、ポリ無水物、およびスルホン化ポリテトラフルオロエチレンなどのイオン交換樹脂、ポリジメチルシロキサン(シリコーンゴム)またはこれらの組み合わせであってよい。ポリマーの反応基、たとえばヒドロキシ基またはアミノ基は、アセチル化できる(たとえばポリマー−O−C(=O)CHまたはポリマー−NR−C(=O)CH)。またこれらの反応基は、モノマーの重合前または重合後のいずれかで調製できる。
さらには、生体適合材料は、天然のタンパク質または天然の材料から作られてもよく、これらの材料は、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノ−プロピル)カルボジイミド塩酸塩などのクロスリンク剤を用いてクロスリンクなどの修飾が任意で施されていてもよい。このような天然材料としては、再生したセルロース(レーヨン)を含むセルロースなどの多糖類、アルブミン、コラーゲン、フィブリン、アルギン酸塩、細胞外マトリクス(ECM)、たとえば異種個体のECM、ヒアルロナン、キトサン、ゼラチン、ケラチン、電気泳動に用いるために加水分解したジャガイモでんぷん、およびアガー−アガー(アガロース)、または他の“単離した物質”が挙げられる。“単離した”物質は、一個体内またはin vitroで培養した一細胞集団内などの自然状態において、一般的に関連している少なくとも一つの汚染物質構造から分離されている。
一実施形態において、上記材料として、リポソーム、ヒドロゲル、シクロデキストリン、ナノカプセルまたはミクロスフィアが挙げられる。そのため、生体適合材料としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンおよびポリアクリルアミドなどの、ヒドロゲルまたは他の多孔性材料の形態、たとえば浸透構造もしくは浸透形態の合成ポリマー、ポリエチレン酸化物、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート);ゴムおよびでんぷんなどの天然ポリマー;シリコーンゴム、ポリウレタンゴムなどの合成高分子弾性体;天然ゴム、およびポリ[α(4−アミノブチル)]−1−グリコール酸、ポリエチレン酸化物(Roy et al., Mol. Ther., 7:401 (2003))、ポリオルトエステル(Helleret al., Adv. Drug Delivery Rev., 54:1015 (2002))、シルク−エラスチン様ポリマー(Megeld et al.,Pharma. Res., 19:954 (2002))、アルギン酸塩(Wee et al., Adv. Drug Deliv. Rev., 31:267(1998))、EVAc(エチレン−酢酸ビニル共重合)D,L−ラクチド−コ−グリコリド(lactide-co-glycolide)共重合体およびポリ(L−ラクチド)およびポリグリコリド(polyglycolide)などのミクロスフィア、ポリジオキセノン(polydioxenone
)、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)−b−ポリ(D,L−ラクチド)、グリオキサールでクロスリンクしてヒドロキシルアパタイトなどの生理活性充填剤で強化したものなどの大豆マトリクス(soy matrix)、ポリ(イプシロン−カプロラクトン)−ポリ(エチレングリコール)共重合体、ポリ(アクリロイルヒドロキシエチル)スターチ、ポリリジン−ポリエチレングリコール、アガロースヒドロゲル、または脂質微小管ヒドロゲルが挙げられる。
一実施形態において、ドナー細胞または組み換え核酸は、生体適合材料に封入され、埋め込まれ、または塗りつけられる。生体適合材料は、たとえば非生分解性または生分解性材料で、それぞれ、ポロキサマー(poloxamers)のヒドロゲル、ポリアクリルアミド、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、カルボキシビニル−重合体(たとえばCarbopol934,Goodrich Chemical Co.)、たとえばメチルセルロース、酢酸セルロースおよびヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、またはポリビニルアルコールが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
いくつかの実施形態において、組み換え核酸は、生体適合性で生分解性の重合体に埋め込まれているか、または封入されている。上記重合体は、たとえばコラーゲン、フィブリン、ポリヒドロキシアルカン酸塩、セルロース、ポリ乳酸−ポリグリコール酸、またはポリ無水物などである。
他の例としては、親水性、疎水性または両親媒性のあらゆる生体適合ポリマーが制限なく挙げられ、たとえば、酢酸エチレンビニル共重合体(EVA)、ポリメチルメタクリレート、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニル塩化物、ポリテトラフルオロエチレン、N−イソプロピルアクリルアミド共重合体、ポリ(エチレンオキシド)/ポリ(プロピレンオキシド)ブロック共重合体、ポリ(エチレングリコール)/ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)ブロック共重合体、ポリグリコリド、ポリラクチド(PLLAまたはPDLA)、ポリ(カプロラクトン)(PCL)、ポリ(ジオキサノン)(poly(dioxanone))(PPS)、または酢酸セルロースなどのセルロース誘導体が挙げられる。他の実施形態において、たとえばタンパク質、たとえば水酸化コラーゲンなどのコラーゲン、フィブリン、ポリ乳酸−ポリグリコール酸またはポリ無水物などの、生物学的由来のポリマーが、重合マトリクス材料に適している。
別の実施形態において、生体適合材料としては、ポリエチレンテレファレート(polyethyleneterephalate)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンオキシドとポリプロピレンオキシドとの共重合体、ポリグリコール酸およびポリヒドロキシアルカン酸塩の組み合わせ、ゼラチン、アルギン酸塩、コラーゲン、ヒドロゲル、ポリ−3−ヒドロキシ酪酸塩、ポリ−4−ヒドロキシ酪酸塩、ポリヒドロキシオクタン酸塩、およびポリアクリロニトリルポリビニル塩化物、が挙げられる。
生体適合材料またはその他の基質に付着および/または埋め込まれている(種付けされている)、固定するものに依存している細胞に対して、以下のポリマーを用いてもよい。たとえばスターチ、キチン、クリコサミノグリカンなどの天然ポリマー、たとえばヒアルロン酸、デルマタン硫酸およびクロンドロチン硫酸(chrondrotin sulfate)、コラーゲン、ならびに微生物性ポリエステル、たとえばヒドロキシ吉草酸塩およびヒドロキシ酪酸塩共重合体などのヒドロキシアルカン酸塩、合成ポリマー、たとえばポリ(オルトエステル)およびポリ無水物、グリコリドおよびラクチドのホモおよび共重合体(たとえば、ポリ(L−ラクチド)、ポリ(L−ラクチド−コ−D,L−ラクチド)、ポリ(L−ラクチド−コ−グリコリド)、ポリグリコリド、ポリ(D,L−ラクチド)、ポリ(D,L−ラクチド−コグリコリド)、ポリ(乳酸コリシン)およびポリカプロラクトン)が挙げられる。リン酸三カルシウム、ヒドロキシアパタイトおよび塩基性塩などの分子をポリマーマトリクスに取り込むことにより、マトリクスの分解速度および吸収速度を変化させることができる。さらには、クロスリンク剤を用いてポリマーの特性を変更することができる。
一実施形態において、ドナー細胞のための生体適合基質は、単離したECMである。ECMは、様々な細胞集団、組織および/または器官の内皮層から単離してもよく、たとえば、温血哺乳動物の、皮膚の真皮、肝臓、消化器系、呼吸器系、腸、泌尿器もしくは生殖器トラック(tracks)を含む任意の器官または組織から単離してよい。本発明に用いられるECMは、供給源の組み合わせ由来であってもよい。単離したECMは、シート状、粒子状形態、ゲル状形態などに調製してもよい。In vivoにおける単離したECMの調製および使用については、同時に係属している、同一出願人による米国特許出願第11/017,237号、発明の名称“USE OF EXTRACELLULAR MATRIX AND ELECTRICAL THERAPY”、2004年12月20日出願に記載されており、この出願は、参考としてそのまま本明細書に援用される。
別の実施形態において、生体適合材料は、合成の非生分解性ポリマーであり、たとえば、ポリウレタン、ポリジメチルシロキサン(シリコーンゴム)、酢酸エチレンビニル共重合体(EVA)、ポリメチルメタクリレート、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニル塩化物、ポリビニルアルコール、ポリテトラフルオロエチレン、または酢酸セルロースなどのセルロース誘導体が挙げられる。
一実施形態において、生体適合材料は、透析膜またはナイロンなどの選択性半透過膜の役目を果たす。
〔D.調節刺激の例示〕
埋め込み型装置における遺伝子の発現を制御するために、埋め込み型装置には、刺激を放出する遺伝子調節刺激装置が備わっている。調節可能な転写制御因子に機能し得る形で結合しているオープンリーディングフレームの発現を、放出される刺激の量および/または強度(すなわち、大きさ)によって、たとえば発現を誘導して、変化させる。一実施形態において、生理学的パラメータもしくは生理学的パラメータの変化を検知して、または命令の結果として、刺激が放出される。たとえば、刺激放出のタイミング、刺激放出時間の長さおよび間隔、刺激の大きさ、またはこれらの任意の組み合わせを命令するプログラムなどの所定のプログラムからの命令に応じて、刺激が放出される。本発明のシステムおよび方法における遺伝子調節刺激装置により、哺乳動物内のオープンリーディングフレームにコードされている遺伝子産物の、一時的および/または条件的な投薬がなされる。典型的な刺激としては、発光ダイオード(LED)による特定の波長の光、または、2つ以上の電極によってもたらされる電流を挙げることができる。刺激として光を用い、遺伝子調節刺激装置が遺伝子保管部の外側にある実施形態においては、遺伝子保管部の少なくとも一部を形成している多孔性材料により、光の透過が可能となっている。すなわち、その材料は、光透過性または半透明である。刺激として電流を用い、遺伝子調節装置が遺伝子保管部の内側にある実施形態においては、多孔性材料は、遺伝子保管部にあるウイルスもしくは細胞を心臓のペーシング由来の電気刺激から電気的に隔離する、または、宿主(外来)細胞を遺伝子調節刺激装置による電気刺激から電気的に隔離する、導電部分を含んでいる。一実施形態において、刺激は所定の時間間隔で放出される。したがって、装置からの刺激を制御することによって、遺伝子発現をオンにしたりオフにしたり、または滴定することができる。
本発明に係る、調節刺激およびそれにより放出される(排出される、分泌される、または無細胞の)因子は、継続的または断続的であってもよく、また、たとえば、受け手の生理状態、投与の目的が治療目的か予防目的か、および当業者に知られた他の因子、に依存していてもよい。投与は、前もって選んでおいた時間にわたって本質的に継続していてもよく、または、間隔をあけた投与の一連であってもよい。
〔E.システムの例示〕
一実施形態において、本発明は、リード本体に沿って一つ以上の部位に位置している一つ以上の遺伝子保管部を備えたリードを有するシステムを提供する。一実施形態において、装置は経静脈システムの一部である。遺伝子保管部は、調節可能な転写制御因子を有する発現カセットを保持する、遺伝子組み換えされた自己の細胞、または、調節可能な転写制御因子を有する内在性遺伝子を保持する、遺伝子組み換えされた自己の細胞、を含んでいてもよい。調節可能な転写制御因子は、それぞれ、たとえば、つながっているオープンリーディングフレームの発現を調節できるプロモータなどである。転写調節制御因子は、保管部の内部または近傍に位置する遺伝子調節刺激装置によって与えられる刺激に応答する。一実施形態において、遺伝子保管部は、非組み換えのドナー細胞を含んでいてもよい。ドナー細胞は、たとえば、一つ以上の内在性遺伝子を保持する、真皮繊維芽細胞もしくは心筋繊維芽細胞、内皮細胞もしくは上皮細胞であり、上記内在性遺伝子は、保管部の内部もしくは近傍に位置する遺伝子調節刺激装置によって与えられる刺激に応答する。たとえば、ヘムオキシゲナーゼ(HO−1)の発現は、400から500nmの光刺激、たとえば、50%出力の波長域が30から50nmであるLEDにより発せられる約470nmにピークを持つ450から490nmの間の光、によってアップレギュレートされてもよい。この発現により、次に、疾病および傷害に関連したアポトーシス、炎症および酸化的ストレスを変化させる。別の実施形態において、セルピンB2(プラスミノゲンアクチベーターインヒビター2、PAI−2)の発現は、400から500nmの光刺激、たとえば、50%出力の波長域が30から50nmであるLEDにより発せられる約470nmにピークを持つ450から490nmの間の光、によってアップレギュレートされてもよい。この発現により、次に、凝固、補体活性化、炎症、繊維素溶解および血管形成を変化させる。
埋め込みの前に、組み換えウイルスまたは組み換え細胞を、リードにある遺伝子保管部に充填してもよい。たとえば、組み換えウイルスを含む生分解性粒子を、埋め込みの前に、一つ以上の遺伝子保管部に導入してもよい。埋め込みの後、粒子は時間経過とともに分解し、その結果、組み換えウイルスを放出する。いったん放出されると、組み換えウイルスは、宿主哺乳動物の内在性細胞、たとえば、多孔性で生体適合性がある非生分解性材料に付着しているものに、ウイルスが材料を通過し得る限り、感染する。別の実施形態において、組み換えウイルスは、保管部内にあるドナー細胞に感染してもよい。別の実施形態において、組み換えウイルスまたはドナー細胞を、リード埋め込み後に、一つ以上の遺伝子保管部に導入してもよい。この実施形態において、組み換えウイルスまたは細胞を保管部に送達するために、リード内の一箇所以上の内腔を用いてもよい(図3参照)。例として、薬ポンプを充填するときに用いられる手法と同様の手法により、組み換えウイルスまたは細胞を筐体内に導入し、内腔を通してリード内に送り込んでもよい。あるいは、組み換えウイルスまたは細胞を、引き込み口(port)を通してリード内の一箇所以上の内腔に導入してもよい。たとえば、引き込み口にアクセスするために、注射針および注射器を用いてもよい。
たとえば、本発明は、リードと、遺伝子刺激のための刺激源とを含んでいる埋め込み型送達システムを提供し、上記リードは、栄養物を内部に流入させ発現因子を外部に流出させるための多孔性膜を有する遺伝子保管部内に、遺伝子組み換えされた細胞などのドナー細胞を含んでおり、また、上記刺激源は、遺伝子保管部の近傍に位置するかまたは遺伝子保管部内部にある、限定された空間(遺伝子調節刺激装置)内にある。このシステムは、左心内膜リード(動脈)、左経静脈リード、右心内膜リード、左心外膜リードおよび右心外膜リードなどのリードを含んでいる。一実施形態において、システムは、経静脈リードを含んでいる。たとえば心室リードなど、リードを心臓に配置した後、前駆生存因子などの遺伝子産物の発現を上昇させるために、リード内の遺伝子送達調節刺激装置によって調節刺激が送達され、上記遺伝子産物そのものまたはこれにより誘導される遺伝子産物が、細胞外環境に放出され、多孔性で生体適合性であり実質的に非生分解性の材料を通過し、それにより、患者の血液中に入る。とりわけ、前駆生存因子が患者の心臓内にあることにより、梗塞を起こした心筋層の治療が向上し、リバースリモデリング(reverse remodeling)が向上し、虚血および/または正常化した心仕事量のための心臓のプレコンディショニング(preconditioning)を向上することができる。低酸素環境など虚血状態において前駆生存因子があると、梗塞サイズが減少し、LV機能が維持できる。
〔F.遺伝子調節刺激、遺伝子および送達ベクターの例示〕
一実施形態において、埋め込み型装置は、心臓機能の低下、たとえば心拍数のばらつき(HRV)の低下、または心拍出量の低下を検出する。心臓機能の低下を検出すると、遺伝子調節刺激装置は、たとえば調節プロモータからの発現を誘導する光など、シグナルを放出する。たとえば、光ファイバーまたはLEDを介して適切な刺激が放出される。一実施形態において、放出される光は、単色性ではなく、任意の波長を中心に、50%出力において10nmまたはそれ以上たとえば30nmのバンド幅を有していてもよい。光刺激により、心臓機能を高めるために効果的な量に、オープンリーディングフレームが発現する。別の実施形態において、遺伝子保管部は、閾値下(筋肉励起の閾値以下)、閾値もしくは閾値上の電圧またはこれらの組み合わせに感受性のあるプロモータ、たとえばMT1プロモータ、を含んでいる。心臓機能の低下を検出すると、遺伝子調節刺激装置は、このプロモータからの発現を誘導する電圧を生じさせる。心臓機能を高めるために効果的な量に、オープンリーディングフレームを発現させるために、刺激が放出される。
たとえば、オープンリーディングフレームは、前駆生存遺伝子産物の発現を調節する遺伝子産物をコードしていてもよい。一実施形態において、組み換えウイルスまたはドナー細胞は、MT1をコードするオープンリーディングフレームにつながっている調節プロモータを含む発現カセットを保持している。適切な刺激に応じて調節プロモータからの転写が変化した後、たとえば調節プロモータからの転写が増加した後、MT1が発現し、プロモータを活性化する。このプロモータは、たとえば、前駆生存遺伝子であるAkt1をコードするオープンリーディングフレーム、または相同なオープンリーディングフレームにつながっているものである。あるいは、二つの発現カセットが用いられる。第一のカセットは、調節可能な転写制御因子、たとえば電気刺激に反応するもの、を含んでおり、この転写制御因子は、所望のオープンリーディングフレームにつながっている別のプロモータを調節するタンパク質をコードするオープンリーディングフレームにつながっている。別の実施形態において、発現カセットは、Akt1オープンリーディングフレームにつながっている調節プロモータを有するDNAを含んでおり、調節プロモータからの転写が変化すると、たとえば増加すると、Akt1の発現がアップレギュレートされる。一実施形態において、オープンリーディングフレームが発現することにより、虚血のための心臓のプレコンディショニングが向上し、梗塞を起こした心筋組織の治療が向上し、および/または、心筋活動のリバースリモデリングが向上化し、および心筋活動が正常化する。
一実施形態において、心筋虚血または心筋梗塞による損傷を防止または抑制するために、心臓のプレコンディショニングを高める遺伝子産物または心筋を修復する遺伝子産物をコードするベクターを用いている。たとえば、一実施形態において、たとえばアデノウイルスベクターなど複製能力のあるウイルスベクターは、調節プロモータに機能し得る形でつながっているAkt1遺伝子を含んでおり、ex vivoで自己ドナー細胞に感染させて遺伝子組み換えドナー細胞を産生するために用いられる。この遺伝子組み換えドナー細胞としては、たとえば、幹細胞、繊維芽細胞または血管細胞などの遺伝子組み換え自己細胞が挙げられる。これらの細胞を増大させ、遺伝子保管部に導入する前に調整をおこなってもよい。Invitroで培養した細胞を、in vitroで調整してもよく、たとえば、低酸素状態に供してもよい。細胞を基質上に種付けし、保管部に導入する前にin vitroでさらに任意で培養してもよい。装置を埋め込む前に遺伝子組み換えした細胞を導入してもよく、または装置を埋め込む前もしくは埋め込んだ後に一箇所以上の内腔を介して一つ以上の保管部に導入してもよい。一実施形態において、調節可能な転写制御因子は、光感受性プロモータによって調節される。たとえば、オープンリーディングフレームは、Akt1遺伝子などの前駆生存遺伝子に由来するものであってよい。発現カセットを保持する遺伝子組み換えドナー細胞は、リードの保管部に導入され、この発現カセットは、Akt1のオープンリーディングフレームにつながっている調節可能な転写制御領域を含んでいる。埋め込まれたリードにある遺伝子調節刺激装置から刺激が放出されると、Aktタンパク質の発現がアップレギュレートされ、それにより細胞外環境、たとえば心臓内の患者の血液に、前駆生存因子が放出される。心臓を通って循環する特定の発現因子において、この因子は、虚血のために心臓をプレコンディションし、たとえば梗塞サイズを減少させ、LV機能を維持し、梗塞を起こしている心筋組織の治療を助け、および/またはリバースリモデリングおよび心筋活動の正常化を助ける。継続的な遺伝子の発現は、リザーバー(reservoirs)内にある細胞に対してストレスになるか、またはそのような細胞のコンディショニング(conditioning)になる。そのため、刺激は、ほんのわずかの時間および/または一定のレベルで放出される。
別の実施形態において、経静脈リードの遺伝子保管部は、発現カセットを保持する組み換えウイルスを含んでおり、この発現カセットは、調節可能な転写制御因子に機能し得る形でつながっている所望の遺伝子産物をコードするオープンリーディングフレームを含んでいる。一実施形態において、組み換えウイルスは保管部内の生分解性粒子内にあり、遺伝子保管部にある多孔性で生体適合性である実質的に非生分解性材料により、組み換えウイルスがこの材料を通って移動できる。一実施形態において、組み換えウイルスは複製能力がない。したがって、装置を埋め込んだ後、時間経過とともに、ウイルスが粒子から放出され、多孔性で生体適合性があり実質的に非生分解性材料を通過し、多孔性で生体適合性があり実質的に非生分解性材料に付着している繊維芽細胞に感染する。ウイルスに感染した細胞内の発現カセットからの発現は、埋め込み型装置の保管部に結びついている遺伝子調節刺激装置からの刺激、たとえばLEDからの光など、によって制御されている。したがって、一実施形態において、多孔性で生体適合性のある材料により、保管部の外側への内在性繊維芽細胞の付着が促進される。
図1は、システム100の一部およびシステム100が用いられる環境を表す概略図である。図1において、システム100は、組織、たとえば人間または他の哺乳動物の心臓106などに、リード104を介してつながっている埋め込み型医療装置(IMD)102、たとえばパルス発生器、を含んでいる。IMD102は、胸部、腹部または他の場所の皮下に埋め込んでもよい。
IMD102は、心臓106に電気刺激(たとえば、ペーシング、除細動(defibrillation)または心除細動(cardioversion))を伝えるための、および/または、心臓106の固有活性または応答活性を感知するための、任意のタイプの発生器を総称的に表すことを意図している。IMD102は、とりわけ、ペースメーカー、心臓再同期治療(“CRT”という)装置、除細動器および心除細動器のうちの一つまたは一つの組み合わせの例を表している。一実施例において、IMD102は、ペースメーカーである。ペースメーカーはまた、心ポンプ効率を改善するために、心房収縮および心室収縮を調整するものであってもよい。
別の実施例において、IMD102は、心ポンプ効率を改善するために、たとえばCHFに悩んでいる被験者のために、心脱分極の空間的性質を調整するCRT装置である。さらに別の実施例において、IMD102は、(たとえば、ペーシングパルスと比較して)より高いエネルギーの刺激を心臓に伝えることができる除細動器である。除細動器は、心除細動器であってもよく、この心除細動器は、そのような刺激の送達を、感知した内在性の心臓活動刺激に同調させる。
IMD102は、さらに任意でコントローラ103を含んでいる。コントローラ103は、リード104を調節する命令を用いてあらかじめプログラムされていてもよく、心臓刺激装置を含んでおり、また、調節刺激または心臓刺激を提供できる。本実施例において、システム100は、たとえば遠隔測定装置112を用いてIMD102と無線通信するように構成されている任意の外部プログラマ110を含んでいる。リード104またはその一部に命令を送るために、外部プログラマ110を用いることができる。コントローラおよび/または外部プログラマは、感知した生理パラメータに基づいて調節刺激の放出を制御するように、構成することができる。
リード104は、リード近接端部114を含むリード本体108を有しており、近接端部114は、一実施例において、たとえばヘッダーを介してIMD102と結びついている。リード104は、リード近接端部114からリード遠位端部118に延びており、近接端部114と遠位端部118との間には中間部117がある。一実施例において、リード遠位端部118は、心臓106の内部、心臓106上、または心臓106の周囲と結合している。
リード104はさらに、リード本体108に沿って配列している一つ以上の遺伝子保管部130を有しており、図2Aにおいて、一つ以上の遺伝子保管部130の一実施例を、より詳細に示している。一つ以上の遺伝子保管部130は、任意で、遺伝子組み換え細胞132など、さまざまな材料を有しているが、これに限定されるものではなく、また遺伝子組み換え細胞132は、上述したように幹細胞または繊維芽細胞などであるがこれらに限定されるものではない。別の選択肢としては、一つ以上の遺伝子保管部130は、その内部にウイルスを含むことができる。一実施例において、遺伝子組み換えされていないドナー細胞または遺伝子組み換えされているドナー細胞を、一つ以上の遺伝子保管部130の内部表面および/または外部表面上で培養する。この方法で種付けすることにより、埋め込み後に発達する繊維芽細胞の自然発生よりも前の細胞増殖が維持される。図4および5は、リード104、および培養細胞を含む一つ以上の遺伝子保管部130の実施例を表している。一実施例において、リード104は、DNA組み換えされた繊維芽細胞をメッシュ基材107上で増殖させるために、メッシュ基材107を含んでいる。
詳細に上述したように、一つ以上の遺伝子保管部130により、リードによって送達される一つ以上の外来遺伝子または非組み換えドナー細胞からの遺伝子発現を制御できる。外来遺伝子または内在性遺伝子が発現することにより、特定の状態、たとえば心臓状態、の少なくとも一つの症状を、防止、抑制または処置できる。一実施例において、一つ以上の遺伝子保管部130は、たとえば多孔性膜材料など、たとえばウイルス、および/またはタンパク質、酵素、栄養は通過できるが、細胞は横断できない、材料を含んでいる。図2Bは、一つ以上の遺伝子保管部130における別の実施例を示している。一実施例において、一つ以上の遺伝子保管部は、栄養および酵素が移動できる開口138、たとえば溝139、を含んでいる。別の実施例において、一つ以上の遺伝子保管部は、ウイルスおよびドナー細胞を含んでいる。ここで、ウイルスは生分解性粒子内にあり、また、タンパク質、酵素または栄養は通過できるが細胞またはウイルスは横断しないように、多孔性で生体適合性であり実質的に非生分解性材料が選択される。
図1および図2Aを再び参照すれば、リード104は、一つ以上の遺伝子保管部130に結びついている一つ以上の遺伝子刺激装置140をさらに含んでいる。遺伝子刺激装置140により、遺伝子保管部130の材料、たとえば遺伝子組み換え細胞132など、を刺激できる。一実施例において、遺伝子刺激装置140は、LED、電極もしくは他のものの、任意の一つ以上の組み合わせであってもよい。一実施例において、遺伝子刺激装置140は、発現カセット内の調節可能な転写制御因子を調節できる調節刺激を放出できる。遺伝子刺激装置140および刺激、エネルギー、またはそれらによって放出される刺激、一実施例において、IMD102により制御が可能である。一実施例において、遺伝子刺激装置は、光などのエネルギーがたとえばIMD102から中を通って移動することができる導管と、結びついている。さらに別の実施例においては、制御シグナルは、外部から送達される。一実施例において、導管は、リード本体に沿って配置されている。たとえば、導管は、リード本体に沿って縦方向に配置されている。一実施例において、導管は、光ファイバー導波管(wave guide)107であり、光ファイバー導波管107は、たとえばIMDのヘッダーに配置されているLEDなどの光源またはある供給源からのエネルギーを伝達する。一実施例において、遺伝子刺激装置140を、外部プログラマ110によって制御できる。別の選択肢として、制御シグナルは、リードまたはシステムを配置することにより、または、システムが内部に埋め込まれている患者を外部エネルギー領域に配置することにより、与えられる。外部エネルギー領域には、たとえば光領域が挙げられるが、これに限定されるものではない。
図3は、リード104の別の実施例を示している。リードには、一つ以上の遺伝子保管部130およびそれに結びついている遺伝子刺激装置が含まれている。この一つ以上の遺伝子保管部は、膜など、繊維芽細胞の増殖を促進する多孔性材料142を含んでいる。ウイルスが材料を通って移動できるように、多孔性材料412を選択する。更なる選択肢として、多孔性材料142は、光透過性または半透明である。カプセル144は、一つ以上の遺伝子保管部130内に配置されており、または遺伝子保管部130と結びついており、たとえば、分解性カプセルであり、内部にウイルス146を含んでいる。一実施形態において、埋め込みの前、埋め込む時、または埋め込みの後に、ウイルス146を、一つ以上の遺伝子保管部130に導入する。埋め込んだ後、カプセル144が壊れる前に、繊維化した細胞148を遺伝子保管部130の外側に形成する。細胞148は、ウイルス146に対するバリアを形成する。カプセル144は最終的に分解され、ウイルスを放出し、一つ以上の遺伝子保管部130の外部に付着している細胞148への感染が起こる。
別の実施例において、リード104は、内部に一箇所以上の内腔がある。一箇所以上の内腔により、一つ以上の保管部130の内部への、ウイルスの送達が可能となる。たとえば、埋め込み後にウイルス146を一つ以上の保管部130に導入するために、注入部分とともに注射器190を用いることができる。繊維芽細胞が一つ以上の保管部の外側に付着し始めた後、たとえば数週間後、リード内にウイルス146が送達される。これは、たとえば、ウイルスの生存に限界があるとき、とりわけ遺伝子保管部の環境において、用いることができる。
システム100は、遺伝子操作した細胞、および遺伝子刺激のための刺激源を、たとえば限定された空間内に含んでいる装置を提供する。上記限定された空間は、たとえば、栄養培地を内部に流入させ、また発現した治療因子を流出させることができる多孔性膜などの材料を保持している遺伝子保管部である。
上述した記載は、例示的に用いられ、限定的に用いられないことを意図するものである。埋め込み型装置の利用は、たとえば、心臓刺激システム内のリードとしての利用が記載されているが、埋め込み型装置は、身体刺激システムの他のタイプとしても同様に用いられる。上記の記載を検討することにより、多くの他の実施形態は、当業者にとって明白である。そのため、発明の範囲は、権利が与えられる特許性球の範囲と同等なすべての範囲とともに、特許請求の範囲に基づいて定まる。
少なくとも一実施形態に係るシステムの模式図である。 少なくとも一実施形態に係るリードの部分の正面図である。 少なくとも一実施形態に係るリードの部分の正面図である。 少なくとも一実施形態に係るリードの部分の正面図である。 少なくとも一実施形態に係るリードの部分の正面図である。 少なくとも一実施形態に係るリードの部分の正面図である。

Claims (27)

  1. 近接端部から遠隔端部へと伸びているリード本体を備えている、リード;
    該リード本体に沿って配置されている、1つか、それ以上の遺伝子保管部であって、多孔性であり、生体適合性であり、かつ実質的に非生分解性である材料であって、可溶性の細胞性因子が該材料を通過することを許容し、かつ細胞が該材料を通過することを阻止するように選択されている、該材料を備えている、該1つか、それ以上の遺伝子保管部;および
    該1つか、それ以上の遺伝子保管部に付随している、1つか、それ以上の遺伝子調節刺激装置であって、
    特定のオープンリーディングフレームに機能し得る形でつながっている調節可能な転写制御因子を備えている発現カセット中、または
    特定のオープンリーディングフレームに機能し得る形でつながっている調節可能な転写制御因子を備えている内在性の遺伝子中
    の、該調節可能な転写制御因子を調節し得る調節刺激を発する、該1つか、それ以上の遺伝子調節刺激装置
    を備えていることを特徴とするシステム。
  2. 生理学的パラメータのセンサーをさらに備えており、
    該センサーは、予め定められた心臓の状態を示す生理学的パラメータを検知するようになっていることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
  3. 上記センサーおよび上記1つか、それ以上の遺伝子調節刺激装置に連結されたコントローラをさらに備えており、
    該コントローラは、少なくとも、検知された上記生理学的パラメータに基づいて、上記調節刺激の発生を制御するようになっていることを特徴とする請求項2に記載のシステム。
  4. 遠隔測定装置に連結されたコントローラをさらに備えており、
    該遠隔測定装置は、外部からの指令を受信するようになっており、
    該コントローラは、少なくとも、該外部からの指令に基づいて、上記調節刺激の発生を制御するようになっていることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
  5. プログラム可能な装置に連結されたコントローラをさらに備えており、
    該コントローラは、該プログラム可能な装置によって実行される所定のプログラムに基づいて、上記調節刺激の発生を制御するようになっていることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
  6. 上記1つか、それ以上の遺伝子保管部が、上記発現カセットを備えている組換えウイルスを備えていることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
  7. 上記1つか、それ以上の遺伝子保管部が、上記組換えウイルスを備えている生分解性粒子を備えていることを特徴とする請求項6に記載のシステム。
  8. 上記生分解性粒子が、約1日から30日の半減期を有していることを特徴とする請求項7に記載のシステム。
  9. 上記1つか、それ以上の遺伝子保管部が、上記発現カセットを備えている遺伝学的に改変されたドナー細胞を備えていることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
  10. 上記遺伝学的に改変されたドナー細胞が、上記遺伝子保管部の1つか、それ以上に導入される前に、in vitroにおいて調整を受けていることを特徴とする請求項9に記載のシステム。
  11. 上記1つか、それ以上の遺伝子保管部が、幹細胞、繊維芽細胞、血管内皮細胞、または血管平滑筋細胞を備えていることを特徴とする請求項1または9に記載のシステム。
  12. 上記1つか、それ以上の遺伝子保管部が、ドナー細胞を備えていることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
  13. 上記改変されたドナー細胞が、自家細胞であることを特徴とする請求項9または12に記載のシステム。
  14. 少なくとも一つの上記遺伝子調整刺激装置が、少なくとも一つの上記遺伝子保管部内に存在することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
  15. 上記遺伝子調節刺激装置が、電流発生装置を備えていることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
  16. 上記遺伝子調節刺激装置が、
    予め定められた波長およびエネルギーを有する光を発する、1つか、それ以上の発光装置、
    音響エネルギーを発する、1つか、それ以上のスピーカー、
    熱エネルギーを発する、1つか、それ以上の放熱体、
    電場を発生させる、1つか、それ以上の電場発生装置、
    化学薬品を備えている、1つか、それ以上の薬品送達装置、または
    それらの任意の組み合わせ
    を備えていることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
  17. 上記リードが、上記遺伝子保管部の1つか、それ以上に、ウイルスまたは細胞を送達するようになっている1つか、それ以上の内腔を備えていることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
  18. 上記材料が、ポリサルフォン、ポリエチルサルフォン、フッ化ポリビニリデン、ポリプロピレン、または再生セルロースを備えていることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
  19. 上記材料が、ウイルスが通過可能なように選ばれていることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
  20. 上記リードに沿って配置された光ファイバー導波管、および該リードに付随しているヘッダー内に配置された光源をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
  21. 近接端部から遠隔端部へと伸びており、その間に中間部を有している、リード本体;
    該リード本体に沿って配置されている、1つか、それ以上の遺伝子保管部;および
    該1つか、それ以上の遺伝子保管部に付随している、1つか、それ以上の遺伝子調節刺激装置
    を備えており、
    該1つか、それ以上の遺伝子保管部は、多孔性であり、生体適合性であり、かつ実質的に非生分解性である材料を備えており、
    該材料は、可溶性の細胞性因子が該材料を通過することを許容し、かつ細胞が該材料を通過することを阻止するように選択されており、
    該1つか、それ以上の遺伝子保管部は、
    特定のオープンリーディングフレームに機能し得る形でつながっている調節可能な転写制御因子を備えている発現カセットを備えている、遺伝学的に改変されたドナー細胞、
    特定のオープンリーディングフレームに機能し得る形でつながっている調節可能な転写制御因子を備えている内在性の遺伝子を備えている、遺伝学的に改変されていないドナー細胞、または
    それらの組み合わ
    を備えており、
    該1つか、それ以上の遺伝子調節刺激装置は、該調節可能な転写制御因子を調節し得る調節刺激を発することを特徴とするリード。
  22. 上記ドナー細胞が、幹細胞、繊維芽細胞、または血管細胞であることを特徴とする請求項21に記載のリード。
  23. 上記遺伝子調節刺激装置が、
    電流を発生させる、1つか、それ以上のジェネレータ、
    予め定められた波長およびエネルギーを有する光を発する、1つか、それ以上の発光装置、
    音響エネルギーを発する、1つか、それ以上のスピーカー、
    熱エネルギーを発する、1つか、それ以上の放熱体、
    電場を発生させる、1つか、それ以上の電場発生装置、または
    化学薬品を備えている、1つか、それ以上の薬品送達装置
    のうちの少なくともいずれか1つを備えていることを特徴とする請求項21に記載のリード。
  24. リード本体;
    調節可能な転写制御因子を調節し得る調節刺激を発する、1つか、それ以上の遺伝子調節刺激装置;および
    該リード本体に沿って配置されており、ウイルスまたは細胞を送達するようになっている、1つか、それ以上の遺伝子保管部であって、多孔性であり、生体適合性であり、かつ実質的に非生分解性である材料であって、可溶性の細胞性因子が該材料を通過することを許容し、かつ細胞が該材料を通過することを阻止するように選択されている、該材料を備えている、該1つか、それ以上の遺伝子保管部
    を備えているリードであって、少なくとも一つの遺伝子調節刺激装置は、該1つか、それ以上の遺伝子保管部に付随している該リードを提供する工程と、
    特定のオープンリーディングフレームに機能し得る形でつながっている調節可能な転写制御因子を備えている発現カセットを備えている、遺伝学的に改変されたドナー細胞、または
    特定のオープンリーディングフレームに機能し得る形でつながっている調節可能な転写制御因子を備えている内在性の遺伝子を備えている、遺伝学的に改変されていないドナー細胞
    を該遺伝子保管部の1つか、それ以上に導入する工程とを含むことを特徴とする方法。
  25. 前記材料は、ウイルスが該材料を通過することを阻止するようにさらに選択される、請求項1に記載のシステム。
  26. 前記材料は、ウイルスが該材料を通過することを阻止するようにさらに選択される、請求項21に記載のリード。
  27. 前記材料は、ウイルスが該材料を通過することを阻止するようにさらに選択される、請求項24に記載の方法。
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