JP5100811B2 - 地表面の緑化部材と緑化方法 - Google Patents

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Description

本発明は、道路面や切土、盛土の法面、堤防や河川の斜面のような地表面を緑化する部材と緑化する方法に関するものである。
地表面の全面をコンクリート、アスファルトなどで舗装して自然を隠してしまう構造に比較して、その一部に植生がなされていると、人の心を安らかにする環境を提供できる。
そのように、地表面の一部を被覆し、残りの部分を緑化する方法として、イギリスの「Grass Crete」と称する方法が知られている。
これは図9から図13に示すような方法である。
すなわち図9に示すように、菓子箱の仕切りのような、一枚の面から複数の容器を膨出させた、薄いプラスチック製の型枠を使用する。
この容器は底を備えており、その開口部を下向きにし、底面を上向きにした状態で地表面に伏せて設置する。
次に、容器間にメッシュ金網を敷設し、容器と容器の間にコンクリートを打設する。
次にコンクリートの表面に露出している容器の底面をジェット炎で融解または焼却して容器を開口する。
開口した底面から、種を混合した培養のための土壌を投入して、道路面の舗装と植生とを同時に完成させる。
「Grass Crete」のホームページ。
前記した緑化方法にあっては、次のような問題点がある。
<1> 道路舗装の場合に、植生する容器の表面積を大きくすると通行するタイヤが落ち込んでしまうから容器の容積を大きくできない。そのために内部の土壌の容量も大きくできず、その結果、保水機能が低いために日照りが続くと植物の生育が困難となりやすい。
<2> 表面に露出している容器の底面を除去するためにジェット炎で溶解させる方法を採用している。そのために広い面積を施工すると、ダイオキシンなどが発生する。
上記のような課題を解決するために、本発明の地表面の緑化部材は、適度の間隔を介して配置した複数の容器と、容器の上の開口面を閉塞し除去可能な蓋と、容器の底面に開口した排水口と、排水口の周囲に形成した越流堰と、越流堰と容器の壁面の間に形成した貯水槽13とで構成したことを特徴としたものである。
上記の貯水槽13の上にはフィルタを配置することができる。
また上記の貯水槽13の内部には、排水材を配置することができる。
また上記の複数の容器は、共通する基盤3上に設置することができる。
また前記の基盤3は、板状の基盤3を採用することができる。
また前記の基盤3は、網状の基盤3を採用することができる。
また上記の容器は、貯水槽13と、その上部とが分離しており、両者を一体化可能に構成することができる。
また前記の容器の蓋は、容器内に押し込んで破壊できる構成を採用することができる。
また前記の容器の蓋は、生分解する材料で構成することができる。
また前記の容器の蓋は、逆円錐台の形状に構成することができる。
また前記の容器の形状は、円形の筒、あるいは多角形の筒を採用することができる。
また本発明の地表面の緑化方法は、上記の緑化部材を使用し、隣接する容器の間にコンクリート、アスファルトなどの硬化材4を充填し、硬化材4の硬化後に蓋を除去し、容器の内部に土壌を充填して植生することを特徴としたものである。
上記の方法において、容器と容器との間に鉄筋などの補強材を配置することができる。
本発明の地表面の緑化部材と緑化方法は以上説明したようになるから次のような効果を得ることができる。
<1> 容器の底部分に貯水槽13を設けてあるから、乾燥地帯や乾燥季においても、容器内の土壌に適度の水分を供給することができる。
<2> 貯水槽13の越流堰には一定の高さがあるから、斜面に配置した場合にも貯水槽13内の水が流出してしまうことがなく、一定の量の水を確保することができる。
<3> コンクリートなどが硬化するまでは、容器の上部の開放部には蓋が嵌合している。したがって容器の周囲から流動状態のコンクリートなどの圧力が加わっても容器は変形しにくく、正確な形状の土壌充填範囲を確保することができる。
<4> 本願のように舗装面の一部緑化を行い、散水または降雨と組み合わせれば、コンクリートまたはアスファルトの温度を低下させ、夏の都市のヒートアイランド現象の低下が期待できる。
本発明の地表面の緑化部材の実施例の説明図。 緑化部材の容器の実施例の説明図。 容器と蓋の実施例の説明図。 容器の実施例の断面図。 容器に植生した実施例の断面図。 緑化部材を使用した緑化方法の実施例の説明図。 容器と基盤の実施例の説明図。 容器と基盤の他の実施例の説明図。 従来の緑化方法の実施例の説明図。 従来の緑化方法の実施例の説明図。 従来の緑化方法の実施例の説明図。 従来の緑化方法の実施例の説明図。 従来の緑化方法の実施例の説明図。
以下図面を参照にしながら本発明の好適な実施の形態を、緑化部材と緑化方法に分けて詳細に説明する。
<1>全体の構成。
本発明の緑化部材は、隣接して位置する複数の容器1と、容器1の上の開口面を閉塞し除去可能な蓋2と、容器1の底面に開口した排水口11と、排水口11の周囲に形成した越流堰12と、越流堰12と容器1の壁面の間に形成した貯水槽13とで構成したものである。
以下、個別に説明する。
<2>容器。
容器1は、上面開放の筒体であり、断面が円形の筒、あるいは多角形の筒を採用することができる。
この容器1の外周にはコンクリートなどの硬化材4が打設されるから一定の強度を備えていることが必要である。
この容器1は、コンクリートまたはアスファルトを打設した後の箱抜きに相当する。
ただし強固な金属製である必要はなく、各種の公知のプラスチック、紙、木質材料などによって構成することができる。
容器1単体は以下に説明するような構成であるが、本発明の緑化部材は、複数の容器1を隣接して配置する。
隣接する容器1と容器1との間隔が、後述するコンクリート等の打設空間となるので、両者が直接接触することなく、かつあまり離れすぎることもない、適度な間隔を保持することが必要である。
<3>蓋。
容器1の上面の開放部を、除去が容易な蓋2で閉塞する。
蓋2で閉塞する理由は、容器1の周囲にコンクリート、アスファルトなどの硬化材4を打設した場合に、それらを容器1の内部に流入させないためである。
したがって強固な蓋2である必要はなく、各種の公知のプラスチック、紙、木質材料などによって構成することができる。
この蓋2は一般に容器1の内径と同寸法の栓体部21と、その上の容器1の外形と等しい寸法の蓋体部22とによって構成する。
蓋2はそれ自体を外部へ撤去する構成に限らず、容器1内に押し込んで破壊できる構成を採用することができる。
あるいは薄く曲がりやすい材料で蓋2を構成すれば、破壊させずに単に押し込みだけで元の位置から除去することができる。
また前記の容器1の蓋2は、膜状の素材で形成し、破いたり、破壊して除去することもできる。
また膜状の蓋2は、容器1と一体で形成することもできる。
また前記の容器1の蓋2は、生分解する材料で構成することができる。
また前記の容器1の蓋2は、逆円錐台の形状に構成することができる。
逆円錐台の形状に構成した場合には、蓋2を撤去した場合に、周囲に打設した硬化材4の縁に、傾斜した面取り部を形成することができ、硬化材4の縁部の破損を防止できる。
<4>貯水槽。
容器1は底面を備えた容器であるが、その底面の一部には排水口11を開口する。
排水口11の存在によって、容器1内が水で充満してしまう状況を避けることができる。
この排水口11の周囲に囲む状態で、越流堰12を形成する。
すると、越流堰12と、容器1の壁面の間に貯水槽13を形成することができる。
越流堰12の高さ次第で、貯水槽13の容積を決定することができるから、乾燥地帯や、傾斜角の大きい斜面に設置する場合には越流堰12の高さを高く形成して対応することができる。
貯水槽13の内部に、後述する土壌が入ることがないように、貯水槽13の上にはフィルタ15を配置することができる。
あるいは貯水槽13の内部には、擁壁の背面に設置するような、市販の各種の排水材を配置することができる。
また上記の容器1を一体成型する場合に限らず、図3に示すように、貯水槽13と、その上部の筒部14とを分離して製造し、現場で両者を一体化可能に構成することができる。
このように容器1を筒部14と貯水槽13とで分離して構成すると、多少複雑な形状の容器1であっても安価に製造することができる。
<5>基盤。
現場では上記の容器1を隣接して多数配置し、容器1と容器1との間に硬化材4を打設する。
したがって現場で容器1単体を並べてもよいが、複数の容器1を共通する基盤3上に設置することができる。
そのために図7に示すように板状の基盤3に、容器1の外形とほぼ等しい穴31を均等に多数、開口しておき、その穴31に容器1を挿入して設置することができる。
あるいは、図8に示すように基盤3として溶接金網のような網状の基盤3を採用し、容器1の外形とほぼ等しい穴としての網目32の間に容器1を多少強い力で挿入して一体化する構成を採用することもできる。
<6>地表面の緑化方法。
次に上記の緑化部材を使用した緑化方法について図6によって説明する。
<7>対象とする地表面。
本発明の緑化方法の対象は、道路、切土や盛土の斜面、堤防の斜面などである。
<8>容器の設置。(図6の第1工程)
対象とする地表面の上に、上記の容器1を間隔を介して多数個設置する。
容器1群を共通の基盤3に固定してあれば、基盤3ごと設置することができる。
あるいはまず地表面に基盤3を敷設し、その後に基盤3の穴31や網目32に容器1を挿入して設置することもできる。
その段階ではすべての容器1の上部の開放面は蓋2で閉塞している。
<9>硬化材の打設。(図6の第2工程)
要求される強度によっては、 容器1と容器1との間にメッシュ金網や鉄筋などの補強材を配置する。
そして、隣接する容器1と容器1との間の空間に、硬化材4を打設、投入して容器1の高さまで充填する。
硬化材4として、例えば一般のコンクリート、アスファルト、以外にも透水性コンクリート、ポーラスコンクリート、透水性アスファルト、ポーラスアスファルトなどを採用することができる。
これらの硬化材4はポンプ車などで打設し、バイブレータで振動を与えれば、蓋2の蓋体部22が逆円錐台の形状であってもその下面に充填することも容易である。
<10>蓋の撤去。(図6の第3工程)
硬化材4が硬化したら、容器1の上面を閉塞していた蓋2を除去する。
その場合に、前記したように蓋2を外部に撤去するだけでなく、その位置で蓋2を容器1の中に押し込み、蓋2を数片に破壊したり、押し込んで変形するような除去方法を採用することも可能である。
<11>土壌の充填。(図6の第4工程)
蓋2を撤去すれば容器1の上部を開放できるから、その内部に土壌5を充填する。
土壌5の中に肥料や植物の種子を混入しておけば、そのまま放置するだけで植物51を育成して地表面に植生することができる。
上記の方法において、容器1と容器1との間に鉄筋などの補強材を配置することができる。
以上の工程によって、コンクリートなどの硬化材4の表面に多数の植生区域を確保した地表面を提供することができる。
1:容器
2:蓋
13:貯水槽
3:基盤
4:硬化材
5:土壌

Claims (9)

  1. 適度の間隔を介して配置した複数の容器と、
    各容器の上の開口面を閉塞し除去可能な蓋と、
    各容器の底面に開口した排水口と、
    排水口の周囲に形成した越流堰と、
    越流堰と容器の壁面の間に形成した貯水槽とで構成したことを特徴とした、
    地表面の緑化部材。
  2. 複数の容器は、
    共通する基盤上に配置した、
    請求項1記載の地表面の緑化部材。
  3. 基盤は、板状の基盤を採用した、
    請求項2記載の地表面の緑化部材。
  4. 基盤は、網状の基盤を採用した、
    請求項2記載の地表面の緑化部材。
  5. 容器は、
    貯水槽と、その上部とが分離しており、両者を一体化可能に構成した、
    請求項1記載の地表面の緑化部材。
  6. 容器の蓋は、容器内に押し込んで破壊できるように構成した、
    請求項1記載の地表面の緑化部材。
  7. 容器の蓋は、生分解する材料で構成した、
    請求項1記載の地表面の緑化部材。
  8. 請求項1記載の緑化部材を使用し、
    隣接する容器の間にコンクリート、アスファルトなどの硬化材を充填し、
    硬化材の硬化後に蓋を除去し、
    容器の内部に土壌を充填して植生することを特徴とした、
    地表面の緑化方法。
  9. 容器と容器との間に鉄筋などの補強材を配置することを特徴とした、
    請求項8記載の地表面の緑化方法。
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