このような特許文献1では、ポンプモジュールとモータモジュールとの駆動力の連結は、ポンプモジュール側のピニオンとモータモジュール側のギヤとを噛合させることにより行われる。しかし、ポンプモジュールとモータモジュールとを積み重ねて組立てる際、ピニオンとギヤとの互いの歯部の位相がずれている場合には、ピニオン及びギヤとが互いに重なり合ってピニオンまたはギヤが破壊されてしまうことが考えられる。また、破壊されない場合においても過負荷によりステップモータが駆動できないというような課題がある。
また、ステップモータはモータモジュールに含まれている。特許文献1では、ウオッチ用のステップモータを採用した構造を例示しているが、このようなステップモータは、構成要素の寸法が非常に小さく、ポンプモジュールを駆動する際の負荷により耐久性が確保できないことが予測される。この小型ぜん動ポンプ装置は、人体に直接装着し薬液を注入することを主たる用途としており、ステップモータの駆動の信頼性、耐久性が重要である。
このような用途の場合には、直接薬液に接触しないモータモジュールは繰り返し使用し、薬液を流動するポンプモジュールは使い捨てにすることが望ましい。そして上記理由からステップモータも、所定期間駆動した後に交換することが望ましい。しかしながら、ステップモータは、モータモジュール、つまりウオッチムーブメントに組み込まれていることから、ステップモータを取り出すことは、特殊技能が必要となり容易にはできない。
さらに、ポンプモジュールとモータモジュールとが適切に組立てられていないと、上述したように、ピニオン及びギヤとを破壊されてしまう、また、ステップモータが駆動できないことがあるというような課題があり、駆動前に、適切に組立てられていることを検出する検出装置が要求される。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]本適用例のマイクロポンプは、弾性を有するチューブを押圧して流体を輸送する蠕動駆動方式のマイクロポンプであって、前記チューブと、前記チューブを押圧するカムと、前記カムに軸止されるカム軸と、を含むポンプモジュールと、モータからの駆動力を前記カム軸に伝達する駆動力伝達機構を含む駆動モジュールと、前記ポンプモジュールと前記駆動モジュールとを着脱可能に結合する結合部材と、前記モータと前記カム軸との間に設けられ、駆動力を連結する連結機構と、が備えられていることを特徴とする。
本適用例によれば、ポンプモジュールと駆動モジュールとが着脱可能な構成であり、ポンプモジュールまたは駆動モジュールのどちらか一方を繰り返し使用、他方を都度更新使用とすることができる。薬液等を流動する場合には、薬液に直接接触することや耐久性が他の機構に比べ低いチューブを含むポンプモジュールを都度更新使用とすれば信頼性を高めることができる。また、ポンプモジュールよりもモータを含む駆動モジュールの方が耐久性が低い場合には、駆動モジュールを都度更新使用してもよい。
また、モータとカム軸との間に駆動力を連結する連結機構を設けていることから、これらの部品や機構を壊すことなくポンプモジュールと駆動モジュールとの着脱を行うことができる。
さらに、ポンプモジュールと駆動モジュールとを着脱可能に結合する結合部材を備えていることから、容易にポンプモジュールと駆動モジュールの着脱を行うことができる。
[適用例2]上記適用例に係るマイクロポンプにおいて、前記駆動モジュールが、前記カム軸と脱着可能なカム駆動車を有する前記駆動力伝達機構と、前記モータと、を備え、前記連結機構が、前記カム軸または前記カム駆動車に設けられる断面形状非円形の嵌着穴と前記カム駆動車または前記カム軸に設けられる断面形状非円形のカム駆動軸部と、前記カム軸または前記カム駆動車のいずれか一方を前記嵌着穴と前記カム駆動軸部とを連結する方向に付勢する第1弾性部材と、を備えていることが好ましい。
このような構成によれば、ポンプモジュールがモータを含む駆動モジュールよりも簡素な構成となり、ポンプモジュールを都度更新使用とすればランニングコストの低減が図れるという効果がある。
また、ポンプモジュールと駆動モジュールとを積み重ねて結合し構成される。この際、ポンプモジュールのカム軸とカム駆動車とが、嵌着穴とカム駆動軸との間で嵌着結合(嵌着連結)される。従って、従来のピニオンとギヤの噛合による結合(連結)構造よりも剛性が高い結合構造とすることができる。
さらに、カム駆動車またはカム軸とを連結する方向に付勢する第1弾性部材を板ばねとすれば、安定した付勢力を与えることができ、厚さ方向の寸法も増加せず実現できる。
[適用例3]上記適用例に係るマイクロポンプにおいて、前記ポンプモジュールと前記駆動モジュールとが結合される際、前記カム駆動軸部と前記嵌着穴との回転方向の位相がずれているときには、前記カム駆動軸部の端部と前記嵌着穴の周端部とが当接し、前記カム駆動車が回転して前記カム駆動軸部と前記嵌着穴との回転方向の位相が一致したときに、前記第1弾性部材が前記カム駆動車または前記カム軸を互いに近づける方向に移動させ、前記カム駆動軸部と前記嵌着穴とが嵌着し連結されることが好ましい。
このような構成によれば、カム駆動軸部と嵌着穴とは、モータを回転すれば人為的に行わなくても嵌着し連結させることができ、モータの駆動をカムにまで伝達することができるという効果がある。
また、カム駆動軸部の端部と嵌着穴の周縁部の位相がずれて嵌着せずに当接するときには、カム軸またはカム駆動車には第1弾性部材の付勢力が軸方向に加えられるだけのため破壊されることがない。
[適用例4]上記適用例に係るマイクロポンプにおいて、前記ポンプモジュールが、モータ駆動軸を有する前記モータを含み、前記駆動モジュールが、カム駆動車とモータ伝え車を含む前記駆動力伝達機構と、を備え、前記連結機構が、前記カム軸または前記カム駆動車に設けられる断面形状非円形の嵌着穴と前記カム駆動車または前記カム軸に設けられる断面形状非円形のカム駆動軸部と、前記カム軸または前記カム駆動車のいずれか一方を前記嵌着穴と前記カム駆動軸部とを連結する方向に付勢する第1弾性部材と、断面形状非円形の前記モータ駆動軸と前記モータ伝え車に設けられる断面形状非円形のモータ軸嵌着穴と、前記モータ伝え車を前記モータ駆動軸と前記モータ軸嵌着穴とを連結する方向に付勢する第2弾性部材と、を備えていることが好ましい。
マイクロポンプを生体に装着する場合、モータも超小型のものが用いられる。当然、モータの構成要素の寸法が非常に小さく、ポンプモジュールを駆動する際の負荷により耐久性が確保できないことが予測される。このような場合、ポンプモジュール交換のタイミングで、モータを含んで交換することができることが好ましい。従って、モータをポンプモジュールに配設することにより、モータ単独でポンプモジュールから取り外す必要がなく、ポンプモジュール交換と共にモータの交換を行うことができる。
また、ポンプモジュールと駆動モジュールとを結合させる際、カム軸とカム駆動車とが連結されると共に、ポンプモジュール側に備えられるモータ駆動軸と駆動モジュール側に備えられるモータ伝え車とを嵌着させることにより連結し、モータの駆動力をカムに伝達させることができる。
[適用例5]上記適用例に係るマイクロポンプにおいて、前記ポンプモジュールと前記駆動モジュールとが結合される際、前記カム駆動軸部と前記嵌着穴との回転方向の位相がずれているときには、前記カム駆動軸部の端部と前記嵌着穴の周端部とが当接し、前記カム駆動車が回転して前記カム駆動軸部と前記嵌着穴との回転方向の位相が一致したときに、前記第1弾性部材が前記カム駆動車または前記カム軸を互いに近づける方向に移動させ、前記カム駆動軸部と前記嵌着穴とが嵌着し連結されると共に、前記モータ駆動軸と前記モータ軸嵌着穴との回転方向の位相がずれているときには、前記モータ駆動軸の端部と前記モータ軸嵌着穴の周端部とが当接し、前記モータ駆動軸が回転して、前記モータ駆動軸と前記モータ軸嵌着穴との回転方向の位相が一致したときに、前記第2弾性部材が前記モータ伝え車を前記モータ駆動軸の軸方向に近づけるように移動させ、前記モータ駆動軸と前記モータ軸嵌着穴とが嵌着し連結されることが好ましい。
このような構成にすれば、ポンプモジュールと駆動モジュールとを連結する際、モータ駆動軸の端部と嵌着穴の周端部の位相がずれて嵌着せずに当接するときには、モータ及びモータ伝え車には第2弾性部材の付勢力が軸方向に加えられるだけのため破壊されることがない。
また、モータ駆動軸が回転して、モータ駆動軸と嵌着穴の回転方向の位相が一致したとき、モータ伝え車が第2弾性部材により付勢されてモータと嵌着し連結されることから、モータとモータ伝え車との連結を人為的に行わなくてもよい。
[適用例6]上記適用例に係るマイクロポンプにおいて、前記ポンプモジュールが、前記チューブと、前記カムと、前記カム軸と、モータ伝え車が軸止された前記モータと、を含み、前記駆動モジュールが、前記カム軸に前記モータの駆動力を伝達するカム駆動車と第1伝達車とを含む前記駆動力伝達機構を備え、前記連結機構が、前記カム軸または前記カム駆動車に設けられる断面形状非円形の嵌着穴と前記カム駆動車または前記カム軸に設けられる断面形状非円形のカム駆動軸部と、前記カム軸または前記カム駆動車のいずれか一方を前記嵌着穴と前記カム駆動軸部とを連結する方向に付勢する第1弾性部材と、前記第1伝達車を前記モータ伝え車に噛合させるように軸方向に付勢する第3弾性部材と、を備えていることが好ましい。
このような構成によれば、ポンプモジュール交換のタイミングでモータを含んで交換することができる。また、ポンプモジュールと駆動モジュールとを結合させる際、カム軸とカム駆動車とが連結されると共に、ポンプモジュール側に備えられるモータに軸止されたモータ伝え車と、駆動モジュール側に備えられる第1伝達車とを噛合させることにより連結し、モータの駆動力をカムに伝達させることができる。
[適用例7]上記適用例に係るマイクロポンプにおいて、前記ポンプモジュールと前記駆動モジュールとが結合される際、前記カム駆動軸部と前記嵌着穴との回転方向の位相がずれているときには、前記カム駆動軸部の端部と前記嵌着穴の周端部とが当接し、前記カム駆動車が回転して前記カム駆動軸部と前記嵌着穴との回転方向の位相が一致したときに、前記第1弾性部材が前記カム駆動車または前記カム軸を互いに近づける方向に移動させ、前記カム駆動軸部と前記嵌着穴とが嵌着し連結されると共に、前記モータ伝え車の歯車部と前記第1伝達車の伝達歯車との回転方向の位相がずれているときには、前記歯車部と前記伝達歯車とが重なり合い、前記モータ伝え車が回転して、前記歯車部と前記伝達歯車との回転方向の位相が一致したときに、前記第3弾性部材が前記第1伝達車を軸方向に移動させ、前記第1伝達車と前記モータ伝え車とが噛合し連結されることが好ましい。
このような構成にすれば、ポンプモジュール交換のタイミングで、モータを含んでポンプモジュールを交換することができる。また、ポンプモジュールと駆動モジュールとを連結する際、モータ伝え車と第1伝達車の伝達歯車との歯部の回転方向の位相がずれているときには、モータ伝え車の歯車部と第1伝達車の伝達歯車とが重なり合うが、モータ伝え車及び第1伝達車には第3弾性部材の付勢力が軸方向に加えられるだけのため破壊されることがない。
また、モータ伝え車がモータの駆動力により回転して、モータ伝え車の歯車部と第1伝達車の伝達歯車との回転方向の位相が一致したとき、第1伝達車が第2弾性部材により付勢されて他方に近づく方向に移動して噛合結合し、モータからの駆動力をカム軸に伝達し、カムを駆動することができる。
従って、従来技術では、ピニオンとギヤの位相を合わせて組立てる必要があるが、本適用例では、モータ伝え車の歯車部と第1伝達車の伝達歯車とを互いの位相を合わせて組立てる必要性がなく、モータを駆動することにより相互に噛合結合させることから組立て性を向上させることができる。
なお、ポンプモジュールに含まれるカム軸と、駆動モジュールに含まれるカム駆動車との結合は、前述した適用例2と同様に行うことができ、同様な効果を有する。
[適用例8]上記適用例に係るマイクロポンプにおいて、前記連結機構が、前記ポンプモジュールと前記駆動モジュールとの間で互いに対向する一方の端部に少なくとも二つの凸部を、他方の端部に少なくとも二つの凹部を有し、前記ポンプモジュールと前記駆動モジュールとを結合する際、前記凸部と前記凹部とが係合して前記モータと前記カム軸との間に前記駆動力伝達機構を連結することが好ましい。
このような構成によれば、対向する凹部及び凸部によりポンプモジュールと駆動モジュールとの間の駆動の連結を行うことができ、構造を簡素化することができる。
[適用例9]上記適用例に係るマイクロポンプにおいて、前記凸部と前記凹部とが、互いに冠歯車で形成されていることが好ましい。
このような構成によれば、冠歯車の歯数をnとしたとき、互いに噛合わせるときには、1/n回転すればよいので、素早く噛合連結させることができる。
[適用例10]上記適用例に係るマイクロポンプにおいて、前記結合部材が、前記駆動モジュールの外周に設けられる鍔部を押圧する鍔部と、前記ポンプモジュールの外周に設けられる螺子に螺合する螺子と、を有し、前記ポンプモジュールと前記駆動モジュールとが前記結合部材により螺合結合されることが好ましい。
このような結合構造は、ポンプモジュールがボルト、結合部材がナットと見立てることができる。つまり、ボルトとナットによる結合構造であって、結合部材を締め付けることにより、容易にポンプモジュールと駆動モジュールとを結合することが可能で、取り外しも容易である。
[適用例11]上記適用例に係るマイクロポンプにおいて、前記駆動モジュールが外周に設けられる結合部材押え部を有し、前記ポンプモジュールが外周に周方向に設けられる結合部材固定溝と、前記結合部材固定溝に略垂直に連通する結合部材挿入溝と、を有し、前記結合部材が前記結合部材押え部を押圧する駆動モジュール固定鍔と、内側方向に突設されたポンプモジュール固定鍔と、を備え、前記ポンプモジュール固定鍔を前記結合部材挿入溝に挿入した後、前記結合部材固定溝に沿って回転し、前記ポンプモジュールと前記駆動モジュールとを結合することが好ましい。
このような構成では、結合部材のポンプモジュール固定鍔をポンプモジュールの結合部材挿入溝から挿入し、結合部材固定溝に沿って回転させることで容易にポンプモジュールと駆動モジュールとの結合を行うことができる。
また、結合部材を結合部材固定溝に沿って逆方向に結合部材挿入溝の位置まで回転すれば、容易に取り外すことができる。
[適用例12]上記適用例に係るマイクロポンプにおいて、前記ポンプモジュールと前記駆動モジュールとが互いに所定の位置に結合されていることを検出する検出装置がさらに備えられていることが望ましい。
なお、検出方法としては、例えば、接触式検出、光検出等を採用できる。
このような検出装置を備えることで、ポンプモジュールと駆動モジュールとの結合状態を検出することができ、所定の状態に結合された状態を検出してモータの駆動を継続することによりマイクロポンプを安心して使用することができる。
[適用例13]上記適用例に係るマイクロポンプにおいて、前記検出装置が、前記ポンプモジュールまたは前記駆動モジュールのいずれか一方に設けられる第1検出端子と、他方に設けられ弾性を有する第2検出端子と、を有し、前記第1検出端子と前記第2検出端子との接続を検出したときにモータの駆動を継続することが好ましい。
このような構成は接触式検出手段であって、第1検出端子と第2検出端子との接続を電気的にONの状態において、ポンプモジュールと駆動モジュールとが所定の状態に結合されていると判定してマイクロポンプの駆動を安心して継続することができる。
[適用例14]上記適用例に係るマイクロポンプにおいて、前記第2検出端子が、前記連結機構に備えられる第1弾性部材または第2弾性部材または第3弾性部材であることが望ましい。
このような構成によれば、第2検出端子を第1弾性部材または第2弾性部材または第3弾性部材とすることにより検出専用の検出端子を設ける必要がないので、構造を簡素化することができる。
[適用例15]上記適用例に係るマイクロポンプにおいて、前記モータを駆動後、前記カム駆動車が少なくとも1回転しても前記検出装置が、前記ポンプモジュールと前記駆動モジュールとの結合を検出しないときには、前記モータの駆動を停止することが好ましい。
このように、ポンプモジュールと駆動モジュールとが所定の状態に結合されていないときにはモータの駆動を停止する。従って、正常な流体の輸送が行われない状態でマイクロポンプの駆動を継続することがなくなるという効果がある。
[適用例16]上記適用例に係るマイクロポンプにおいて、前記連結機構によって前記モータと前記カム軸との間に前記駆動力伝達機構を連結する前に、前記ポンプモジュールと前記駆動モジュールとの平面方向の位置を一致させる位置決め部材が、前記ポンプモジュールまたは前記駆動モジュールに備えられていることが望ましい。
このような構成によれば、ポンプモジュールと駆動モジュールとの平面方向位置が位置決め部材によって位置規制される。このことにより連結機構の正確な位置も規制されるためポンプモジュールと駆動モジュールとの結合を確実に行うことができる。
[適用例17]本適用例のポンプモジュールは、モータからの駆動力をカムに伝達する駆動力伝達機構を備える駆動モジュールと着脱可能なポンプモジュールであって、弾性を有するチューブと、前記チューブを押圧して流体を輸送する前記カムと、前記カムに軸止されるカム軸と、を備えていることを特徴とする。
本適用例によれば、ポンプモジュールと駆動モジュールとが着脱可能な構成であり、ポンプモジュールまたは駆動モジュールのどちらか一方を繰り返し使用、他方を都度更新使用とすることができる。薬液等を流動する場合には、薬液に直接接触することや耐久性が他の機構に比べ低いチューブを含むポンプモジュールを都度更新使用とすれば信頼性を高めることができる。
[適用例18]上記適用例に係るポンプモジュールは、前記チューブと、前記カムと、前記カム軸と、からなることが好ましい。
このような構成のポンプモジュールは、構成要素が少ない簡素な構成を実現でき、ポンプモジュールを都度更新使用対象とすればランニングコストを低減することができる。
[適用例19]上記適用例に係るポンプモジュールは、前記チューブと、前記カムと、前記カム軸と、前記モータと、からなることが好ましい。
このような構成によれば、モータをポンプモジュールに配設することにより、モータ単独でポンプモジュールから取り外す必要がなく、ポンプモジュール交換と共にモータの交換を行うことができる。
[適用例20]上記適用例に係るポンプモジュールは、前記チューブと、前記カムと、前記カム軸と、前記モータと、前記モータに軸止されると共に前記モータと連結される第1伝達車と歯合するモータ伝え車と、を備えていることが好ましい。
このような構成においても、モータをポンプモジュールに配設することにより、モータ単独でポンプモジュールから取り外す必要がなく、ポンプモジュール交換と共にモータの交換を行うことができる。
[適用例21]本適用例の駆動モジュールは、弾性を有するチューブと、前記チューブを押圧するカムと、前記カムに軸止されるカム軸と、を備えるポンプモジュールと着脱可能な駆動モジュールであって、モータからの駆動力を前記カムに伝達するカム駆動車を含む駆動力伝達機構を備えることを特徴とする。
本適用例によれば、ポンプモジュールと駆動モジュールとが着脱可能な構成であり、ポンプモジュールまたは駆動モジュールのどちらか一方を繰り返し使用、他方を都度更新使用とすることができる。
[適用例22]上記適用例に係る駆動モジュールは、前記モータと、前記駆動力伝達機構と、からなることが好ましい。
このような構成の駆動モジュールは、モータと駆動力伝達機構とを備えており、ポンプモジュールよりも高コストになることが予測される。従って、駆動モジュールを繰り返し使用対象とすれば、ランニングコストを低減することができる。
[適用例23]上記適用例に係る駆動モジュールは、前記モータと連結するモータ伝え車を含む前記駆動力伝達機構を備えることが好ましい。
このような構成によれば、モータをポンプモジュールに配設することにより、モータ単独でポンプモジュールから取り外す必要がなく、ポンプモジュール交換と共にモータの交換を行うことができる。
[適用例24]上記適用例に係る駆動モジュールは、前記モータと連結される第1伝達車を含む前記駆動力伝達機構を備えることが好ましい。
このような構成においても、モータをポンプモジュールに配設することにより、モータ単独でポンプモジュールから取り外す必要がなく、ポンプモジュール交換と共にモータの交換を行うことができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図7は実施形態1に係るマイクロポンプを示し、図8,9は実施形態2、図10は実施形態3、図11は実施形態4、図12は実施形態5、図13,14は実施形態6に係るマイクロポンプを示している。
なお、以下の説明で参照する図は、図示の便宜上、部材ないし部分の縦横の縮尺は実際のものとは異なる模式図である。
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係るマイクロポンプの1形態の概略構成を示す斜視図である。図1において、マイクロポンプ10は、弾性を有するチューブ50を押圧するカムとこのカムに駆動力を伝達するカム軸とを含むポンプモジュール11と、駆動源としてのモータと、カム軸に駆動力を伝達する駆動力伝達機構を含む駆動モジュール12と、ポンプモジュール11と駆動モジュール12とを着脱可能に結合する結合部材13とから構成されている。
ポンプモジュール11に含まれるチューブ50は、液体を収容するリザーバ(図示せず)から液体を流入する流入口部52と、吐出する流出口部53とがポンプモジュール11から突設されている。なお、リザーバをポンプモジュール11の内部に設ける構造としてもよい。
ポンプモジュール11と駆動モジュール12とは、積み重ねられて結合部材13によって密接固定される。
図2は、マイクロポンプを構成するポンプモジュール11と駆動モジュール12の組立分解図である。(a)はポンプモジュール11、(b)は駆動モジュール12、(c)は結合部材13を表す斜視図である。図2において、ポンプモジュール11の下部(駆動モジュール12側)には、カム軸76が覗くように設けられている。カム軸76には、連結機構の一方としての断面形状非円形のカム駆動車嵌着穴76aが設けられている。
一方、駆動モジュール12の上部(ポンプモジュール11側)には、連結機構の他方としてのカム駆動車74が覗くように設けられている。カム駆動車74の先端部には、断面形状非円形のカム駆動軸部74cが形成されている。
なお、断面形状非円形とは、断面形状が多角形や楕円形の場合やローレット形状等を意味し、カム駆動車嵌着穴76aとカム駆動軸部74cとが嵌着結合されたときに、カム駆動車74からカム軸76に駆動力の伝達が可能であれば形状は限定されない。以降、本実施形態では、断面形状が正方形の場合を例示して説明する。
ポンプモジュール11と駆動モジュール12とは積み重ねられる、この際、カム駆動車嵌着穴76aとカム駆動軸部74cとが嵌着結合される。ポンプモジュール11と駆動モジュール12とは結合部材13によって結合される。結合部材13は、筒状部材であり、一方の端部には内側方向に鍔部131が突設され、筒部の内側には雌螺子132が形成されている。また、ポンプモジュール11の鍔部141の外周には雄螺子142が形成されている。また、駆動モジュール12には外周に突設される鍔部192が設けられている。
ポンプモジュール11と駆動モジュール12とを積み重ねた状態で、結合部材13を駆動モジュール12側から挿入する。そして、結合部材13の雌螺子132とポンプモジュール11の雄螺子142とを螺合させる。その際、結合部材13の鍔部131により駆動モジュール12の鍔部192をポンプモジュール11側に押圧することで、ポンプモジュール11と駆動モジュール12とが一体化される。
次に、本実施形態によるマイクロポンプ10の内部構造について説明する。
図3は、本実施形態に係るマイクロポンプの構造を示す部分断面図である。図3において、駆動モジュール12は、駆動源としてのモータ70を備え、モータ70の駆動(回転)をモータ伝え車71、第1伝達車72、第2伝達車73、カム駆動車74まで伝達する。本実施形態において、モータ伝え車71、第1伝達車72、第2伝達車73、カム駆動車74で構成される輪列が駆動力伝達機構である。
第1伝達車72は伝達歯車72aとピニオン72bとから構成され、第2伝達車73は伝達歯車73aとピニオン73bとから構成され、カム駆動車74は伝達歯車74aと駆動軸74bとから構成されている。また、駆動軸74bの一方の先端部には支持軸部74d、他方の先端部にはカム駆動軸部74cが設けられ、支持軸部74dは第4機枠18に挿入されており、カム駆動軸部74cはポンプモジュール11側のカム軸76に穿設されるカム駆動車嵌着穴76aに挿入されている。
カム駆動軸部74c及びカム駆動車嵌着穴76aとは、断面形状が正方形であり、挿入するときには遊嵌の関係にあり、嵌着された状態で相互に回転力を伝達可能な寸法設定としている。詳しくは、図4を参照して後述する。
カム駆動車74は、支持軸部74dの先端部を第1弾性部材としてのカム駆動車ばね200によりカム軸76の方向に付勢されている。カム駆動車ばね200は板ばねであって、尾部を固定螺子220により第4機枠18に固定され、先端部200aが第4機枠18の表面に当接され、カム駆動車74とカム軸76とが嵌着された状態において、軸方向の負荷を減じている。従って、カム駆動車74の支持軸部74dの先端形状は、滑らかに仕上げておくことがより好ましい。
モータ70は、小型ステップモータを採用している。このモータ70は、図示は省略するが、内部に4極ロータを有し、ロータに対向して一対のステータ及びコイルを有している。モータ70は、植立されたモータ案内軸70b(2本存在する)をモータ保持枠78に挿着した状態で、第3機枠17に植立されたモータ固定軸213に挿着して第3機枠17に取り付けられている。モータ固定軸213は複数設けられている。モータ70は、一対のコイルを有していることから、4個(2対)の接続端子80に接続される。また、接続端子80は、図示しない回路ブロックに接続される。
回路ブロックは、駆動モジュール12内部に配設され、モータ70の駆動制御を行う制御回路、メモリ、電源制御回路、検出回路を含む回路群が回路基板上に装着されている。
また、駆動モジュール12は裏蓋19によって封止されている。裏蓋19は容器状の形状を有し、縁端部の固定部191を第3機枠17の外周部に圧入することで、上述した機能要素を第3機枠17との間で内包している。
次に、ポンプモジュール11の構造について図3を参照して説明する。ポンプモジュール11は、略中央部に第1カム20と第2カム30とからなるカムと、第1カム20と第2カム30とによって押動されるフィンガー群(フィンガーは複数設けられるが、図3ではフィンガー44を例示している)と、フィンガー群によって押圧されるチューブ50と、これらを保持するための第1機枠14と、第2機枠15と、チューブ枠16とから構成されている。
第1カム20はカム軸76に軸止される。また、第2カム30は、カム軸76に回動可能に軸支され、第1カム20とカム軸76の鍔部によって軸方向の位置が規制されている。第1カム20と第2カム30とはそれぞれが外周部にフィンガー押圧部を有している(図3では、第2カム30のフィンガー押圧部32を例示している)。
第1カム20と第2カム30とは、カム軸76に軸止または軸支された状態で、第1機枠14と第2機枠15によって回転可能に軸支されている。具体的には、カム軸76の一方の先端軸部は第1機枠14の軸孔に挿入され、他方の先端軸部は、第2機枠15に植立された伝達車軸受75に挿入されている。
第1機枠14とチューブ枠16と第2機枠15とは積層されて、第1機枠14に植立された固定軸212を用いて固定螺子220によって、互いに密接固定されている。
フィンガー44は、カムに当接する端部44bが丸められており、チューブ50を押圧する部分には鍔部44cが形成されている。そして、フィンガー44は、チューブ枠16に設けられたチューブ案内溝121に挿着されている。
カム軸76にモータ70からの駆動力(回転力)が伝達されると第1カム20と第2カム30とが一方方向に回転し、フィンガー押圧部32にてチューブ50を第1機枠14に設けられたチューブ案内壁122に押圧して圧搾する。さらに回転すると、チューブ50を押圧しない領域である円弧部36に達し、フィンガー44はチューブ50の弾性力によって内側方向に戻され、チューブ50は、押圧されない管状(図中、二点鎖線で表される)に復帰する。この動作が繰り返されるが、詳しくは、図5を参照して説明する。
次に、ポンプモジュール11と駆動モジュール12との結合構造について図3を参照して説明する。図1,2も参照する。第1機枠14の外周には、駆動モジュール12側に突設された鍔部141を有し、鍔部141の外周部には雄螺子142が形成されている。また、裏蓋19の外周部には外側に突設された鍔部192が設けられている。
ポンプモジュール11と駆動モジュール12とを積み重ねながら、結合部材13を裏蓋19側から挿入し、ポンプモジュール11と駆動モジュール12とを結合部材13によって螺合結合する。ポンプモジュール11または駆動モジュール12には、特にカム軸76とカム駆動車74との平面方向の相対位置を正確に規制するための位置決め部が設けられる(図5を参照して後述する)。
結合部材13には、内側方向に突設された鍔部131と筒部内側に形成された雌螺子132が設けられており、結合部材13とポンプモジュール11とを螺合結合する際、第1機枠14の鍔部141の周縁端部と裏蓋19の鍔部192とが密接され、マイクロポンプ10内部の防水性が確保される。
なお、密接される鍔部141の周縁端部と鍔部192との接合部にシール部材を設けるか、シール剤を塗布することにより密着性を高めれば、さらに防水性を高めることができる。また、結合部材13の外周部には断面方向に螺子の締め付けをしやすくするためローレット133または凹凸が形成されている。
次に、カム軸76とカム駆動車74との嵌着構造について図面を参照して説明する。
図4は、カム軸とカム駆動車との嵌着構造を示し、(a)は、位相がずれているときを表す説明図、(b)は位相がずれているときのカム軸とカム駆動車の関係を表す部分断面図、(c)は位相が一致したときを表す説明図である。図4(a)において、ポンプモジュール11と駆動モジュール12とを結合する際、カム軸76に穿設されるカム駆動車嵌着穴76aとカム駆動車74に形成されるカム駆動軸部74cとが回転方向において位相がずれていることがある。このような場合、カム駆動軸部74cの4隅の端部とカム駆動車嵌着穴76aの周端部とが当接しており、嵌着は不可能である。この状態におけるカム軸76とカム駆動車74との断面関係を図4(b)を参照して説明する。
なお、カム駆動軸部74cは丸棒の外周を4面カットすることで形成でき、カム駆動車嵌着穴76aは下穴76bを形成した後、スタンピング加工で形成することができる。
図4(b)において、図4(a)に示したようなカム駆動軸部74cの4隅の端部とカム駆動車嵌着穴76aの周端部とが当接している状態では、カム駆動車74は第4機枠18側に押し下げられる。カム駆動車74は、支持軸部74dの先端部にてカム駆動車ばね200を撓める。この際、カム駆動車74の伝達歯車74aは、図中二点鎖線で表す位置から移動するが第2伝達車73のピニオン73bとの噛合は外れない。従って、このような状態で、ポンプモジュール11と駆動モジュール12とを結合させてもカム軸76とカム駆動車74は破壊されない。
なお、カム駆動車74がカム軸76によって押し下げられても、伝達歯車74aと第2伝達車73の伝達歯車73aとは、隙間があるように寸法設定されている。
そして、カム駆動軸部74cの4隅の端部とカム駆動車嵌着穴76aの周縁端部とが当接している状態でモータ70を駆動しカム駆動車74を回転し、カム駆動軸部74cとカム駆動車嵌着穴76aとの回転方向の位相が一致したときに(図4(c)に表す状態)、カム駆動車74がカム駆動車ばね200によってカム軸76の方向に移動され、カム駆動軸部74cとカム駆動車嵌着穴76aとが嵌着される。
なお、この際、カム駆動車74の伝達歯車74aは、第2伝達車73のピニオン73bと噛合した状態で移動する。
カム駆動軸部74cとカム駆動車嵌着穴76aとが嵌着結合されることにより、モータ70からの駆動力が駆動力伝達機構を介してカム駆動車74からカム軸76に伝達され、第1カム20及び第2カム30がフィンガー群を介してチューブ50を押圧していく。
図5は、ポンプモジュールと駆動モジュールとの平面方向の位置決め構造の1例を示す断面図である。図5において、駆動モジュール12のポンプモジュール11側の第3機枠17には、2本の案内軸90,91が植立されている。この案内軸90,91はカム軸76に対して略180度離間して配設される。
一方、ポンプモジュール11の駆動モジュール12側の第2機枠15には、案内軸90,91に対向して案内穴92,93が開設されている。案内軸90,91と案内穴92,93によって位置決め部材が構成され、この案内穴92,93に案内軸90,91を挿入することによりポンプモジュール11と駆動モジュール12の平面方向の位置を一致させる。この際、カム軸76に設けられるカム駆動車嵌着穴76aとカム駆動車74に設けられるカム駆動軸部74cの平面方向の位置が正確に規制される。
案内穴92,93と案内軸90,91とは、カム駆動車嵌着穴76aとカム駆動軸部74cとが互いに嵌着し始めるより先に係合開始するように設定されることがより好ましい。
なお、案内穴92,93を第3機枠17に、案内軸90,91を第2機枠15に設ける構造としてもよい。
続いて、本実施形態のポンプモジュール11の平面構造及び作用について図面を参照して説明する。
図6は、本実施形態に係るポンプモジュールの概略構造を示す平面図である。なお、図6は、マイクロポンプ10を定常駆動している状態を示している。なお、第1機枠14、チューブ枠16を透視して表している。図6において、本実施形態のポンプモジュール11は、中心部のカム軸76に軸止または軸支された第1カム20と第2カム30と、流体を流動するチューブ50と、チューブ50と第1カム20及び第2カム30との間に、カム軸76の回転中心Pから放射状に介設された7本のフィンガー40〜46とから構成されている。フィンガー40〜46は、それぞれが等間隔に放射状に配設されている。
第1カム20は、中心部がカム軸76の軸部に軸止され、外周部に3箇所の突出部を備え、最外周部にフィンガー押圧部21a〜21cが形成されている。フィンガー押圧部21a〜21cは、回転中心Pから等距離の同心円上に形成される。フィンガー押圧部21aとフィンガー押圧部21b、及びフィンガー押圧部21bとフィンガー押圧部21cとの周方向ピッチと外形形状は等しく形成されている。また、フィンガー押圧部21aとフィンガー押圧部21cとの間は、フィンガー押圧部21a,21b、またはフィンガー押圧部21b,21cの周方向ピッチの2倍の間隔を有している。
フィンガー押圧部21aの基部には、カム軸76の回転中心P(第1カム20及び第2カム30の回転中心と一致)と同心円上に形成される凹部が設けられ、この凹部の底面は、後述する第2カム30のバネ部33が乗り上げる第2カム載り面25である。上述したフィンガー押圧部21a〜21cは、それぞれ、フィンガー押圧斜面22と回転中心Pとを中心とする同心円上の円弧部23とが連続して形成されている。この円弧部23は、フィンガー40〜46を押圧しない位置に設けられる。
また、フィンガー押圧部21a,21b,21cの一方の端部と円弧部23とは、回転中心Pから延長した直線部24で結ばれている。
第2カム30は、上述した第1カム20のフィンガー押圧部21a,21b,21cそれぞれと同形状のフィンガー押圧部32と、フィンガー押圧斜面22と同形状のフィンガー押圧斜面31と、を備えている。また、第2カム30には、半島状に突出したバネ部33が形成されている。このバネ部33は回転中心Pに対して同心円上に設けられ、前述した第1カム20に形成されている第2カム載り面25内に収まることができる形状を有している。バネ部33の先端裏側には円柱状の摩擦係合部34が突出されている。
第2カム30には、バネ部33とは平面方向反対側に、第1カム20に設けられる円弧部23と同じ径の円弧部36と、円弧部36とフィンガー押圧部32とを接続する回転中心Pを結ぶ直線部35とが設けられている。
次に、第1カム20と第2カム30との関係について説明する。第1カム20は、カム軸76の軸部に軸止されているため、カム軸76の回転と共に矢印R方向に回転する。第2カム30は、カム駆動車74の軸部とは遊嵌の関係にあるため第1カム20に駆動初期では追従して回転しないが、第2カム30の端部の第1カム係合部38が、第1カム20のフィンガー押圧部21cの端部の第2カム係合部26と係合した状態で、第1カム20の回転力が第2カム係合部26から第1カム係合部38に伝達され、第1カム20と共に回転し、フィンガー40〜46を押圧可能な状態となる。このような状態を第2の状態と呼称する。
このような第2の状態では、第2カム30のバネ部33と第1カム20の第2カム載り面25との係合が解除されており、第1カム20と第2カム30とは、あたかも4箇所にフィンガー押圧部21a〜21c,32を備える1個のカムを構成した状態となる。
なお、図示は省略しているが、フィンガー押圧部21a〜21c,32とは、回転中心Pに対して同心円上に形成され、この同心円で形成されるフィンガー押圧領域に、隣接する2本のフィンガーが当接可能な寸法になるように設定されている。
これら第1カム20と第2カム30とは離間した位置に流体を流動するチューブ50が配設されている。チューブ50は弾性を有し、本実施形態ではシリコン系ゴムによって形成されている。チューブ50は、第2機枠15及びチューブ枠16(図3、参照)に形成されたチューブ案内溝121内に装着され、一方の端部は、流体が外部に吐出される流出口部53であり、マイクロポンプ10の外部に突出している。他方の端部は流体が流入する流入口部52であり、接続管55に接続され、接続管55の端部が流体を収容するリザーバ(図示は省略する)に連通している。なお、接続管55とリザーバとの間をチューブで連通する構造としてもよい。
チューブ50は、フィンガー40〜46によって押圧される範囲が、回転中心Pに対して同心円となるように形成されたチューブ案内溝121内に装着されている。チューブ50と第1カム20及び第2カム30との間には、フィンガー40〜46が、回転中心Pから放射状に配設される。
フィンガー40〜46は、それぞれ同じ形状で形成されているので、フィンガー44を例示して説明する。図3も参照する。フィンガー44は、円柱状の軸部44aと、軸部44aの一方の端部に設けられる鍔部44cと、他方の端部が半球状に丸められた端部44bと、によって構成されている。鍔部44cがチューブ50を押圧する押圧部であり、端部44bが第1カム20または第2カム30によって押圧される押圧部である。
フィンガー40〜46は、フィンガー案内溝126に沿って往復移動が可能であり、第1カム20及び第2カム30によって外側方向に押圧され、チューブ案内溝121のチューブ案内壁122との間でチューブ50を押圧して流体流動部51を閉塞する(図3も参照)。フィンガー40〜46の断面方向の中心位置は、チューブ50の中心とほぼ一致している。
続いて、本実施形態による流体の輸送に係る作用について図6を参照して説明する。図6に図示した状態は、第2の状態のうちの一状態を表しており、第2カム30のフィンガー押圧部32でフィンガー44を押圧し、フィンガー45はフィンガー押圧部32とフィンガー押圧斜面31との接合部に当接しており、チューブ50を閉塞している。また、フィンガー46はフィンガー押圧斜面31上でチューブ50を押圧しているが、フィンガー46はフィンガー44の押圧量より小さく、チューブ50を完全には閉塞していない。
フィンガー41〜43は、第2カム30の円弧部36の範囲にあり、押圧しない初期位置にある。また、フィンガー40は第1カム20のフィンガー押圧斜面22に当接しているが、この位置では、まだチューブ50を閉塞していない。
この位置から、さらに第1カム20と第2カム30とを矢印R方向に回転すると、第2カム30のフィンガー押圧部32によって、フィンガー45,46の順で押圧してチューブ50を閉塞していく。フィンガー44は、フィンガー押圧部32から解除されチューブ50は開放される。チューブ50のフィンガーから閉塞が開放される位置またはまだ閉塞されていない位置には、流体流動部51に流体が流入している。
第1カム20をさらに回転すると、フィンガー押圧斜面22が、フィンガー40,41,42,43の順に順次押圧していき、フィンガー押圧部21cに達したときにチューブ50を閉塞する。
このような動作を繰り返すことにより、流体を流入口部52側から流出口部53側に向けて流動し、流出口部53から吐出する。
この際、第1カム20及び第2カム30のそれぞれのフィンガー押圧部には、フィンガーのうちの2本が当接し、次のフィンガーを押圧する位置に移動するときには、フィンガーのうちの1本を押圧する。このように、フィンガーを2本押圧する状態と、一本を押圧する状態と、を繰り返すことにより、少なくとも1本のフィンガーがチューブ50を常時閉塞している状態を形成する。このことにより、第1カム20及び第2カム30がフィンガーを順次押圧していくとき、フィンガーの押圧切換時においても、必ず1本のフィンガーを押圧してチューブ50を閉塞し、流体の逆流を防止すると共に、流体を連続流動することを可能にする。このような運動によるマイクロポンプの構造は蠕動駆動方式と呼ばれる。
次に、本実施形態のポンプモジュール11の駆動開始直前の第1の状態と、定常駆動状態の第2の状態への移行方法について説明する。図示は省略する。第1の状態は、マイクロポンプ10を組立てた直後の状態でもある。第1カム20と第2カム30とは、第2カム30のバネ部33が、第1カム20の第2カム載り面25に配設されるよう組立てられている。
第2カム30のバネ部33は、第2カム載り面25に載り上げ、バネ部33の先端に突出された摩擦係合部34が、バネ部33の上下方向(厚さ方向)の弾性力によって第2カム載り面25に付勢されている。この弾性力で、第2カム30は第1カム20に持着され、ポンプモジュール11を駆動するまでこの状態が維持される。この摩擦係合部34は、第1の状態においては、その状態を維持すると共に、第2の状態に移行する際には、摩擦抵抗を減ずるために設けられている。
第1の状態における第1カム20と第2カム30との平面位置は、第1カム20のフィンガー押圧部21cと第2カム30のフィンガー押圧部32との間にフィンガー40〜46が配設される。従って、フィンガー40はフィンガー押圧斜面22の一部に当接するが、この位置ではフィンガー40はチューブ50を押圧しない。
また、フィンガー41,42,43は、第1カム20と第2カム30が共に存在していない位置、フィンガー44,45,46は、第2カム30の円弧部36の範囲となり、これらもチューブ50を押圧しない。従って、このような第1の状態でポンプモジュール11を組立て、第1の状態に保持しておけば、チューブ50の流体流動部51は開放された状態を維持するため、変形してしまうことはない。
次に、上述した第1の状態から第2の状態への移行について説明する。第1カム20と第2カム30とは、第1の状態のまま矢印R方向に回転する。この際、第1カム20のフィンガー押圧部21c,21b,21aは、フィンガー40〜46を順次押圧し、流体を流動する。
そして、第2カム30のフィンガー押圧斜面31がフィンガー40に当接する位置に達したときに第2の状態への移行が始まる。フィンガー40にフィンガー押圧斜面31が達し、さらに第1カム20が矢印R方向に回転すると、フィンガー押圧斜面31がフィンガー40を徐々に押圧し、フィンガー40は、チューブ50を押圧し始める。すると、フィンガー押圧部32とフィンガー40との摩擦抵抗が増加する。
第2カム30は、カム軸76とは遊嵌の関係であり、バネ部33と第2カム載り面25との間の摩擦抵抗のみで第1カム20との相互位置関係が保持されているため、フィンガー押圧斜面31とフィンガー40との摩擦抵抗がバネ部33と第2カム載り面25との間の摩擦抵抗よりも大きくなった時点で、第2カム30が第1カム20に対して相対的に逆方向に回動を始める。そして、図6に示すような第2の状態に移行する。
また、ポンプモジュール11と駆動モジュール12との間には、ポンプモジュール11と駆動モジュール12とが所定の状態に結合されていることを検出する検出装置が、備えられている。なお、検出装置としては、例えば、接触式検出、光検出等を採用できるが、本実施形態では接触式検出を例示して説明する。
図7は、検出装置の1例を示し、(a)は部分断面図、(b)は検出装置の第2検出端子を示す平面図である。図7(a),(b)において、検出装置は、第1検出端子としての検出軸240と第2検出端子250とから構成される。なお、図7(a)はポンプモジュール11と駆動モジュール12とが適切に結合された状態(ポンプモジュール11と駆動モジュール12とが、互いの接合面で密接されている状態)を表している。検出軸240は導電性を有する軸部材からなり、第1機枠14に植立され、チューブ枠16と第2機枠15を貫通する。検出軸240の一方の先端部240aは、第1機枠14の上面から突出されている。また、他方の先端部240bは、駆動モジュール12の第3機枠17から一部が突出されている。
検出軸240の先端部240bは、第3機枠17に設けられた第2検出端子250の端子部250bを付勢して接触している。検出軸240による端子部250bの付勢量(撓み量)は、ポンプモジュール11(第2機枠15)と駆動モジュール12(第3機枠17)とが接触したときに先端部240bと端子部250bとの接触圧が確保できる範囲とする。
第2検出端子250は導電性を有する材料からなり、図7(b)に示すようにリング状の保持部250aと内側に突設される端子部250bとから構成されている。端子部250bは弾性を有し、検出軸240を所定の接触圧で付勢している。なお、第2検出端子250は、保持部250aにおいて、第3機枠17に設けられた2段の凹部17aの上段に導電性接着剤等を用いて固着される(図7(a)、参照)。従って、端子部250bは自由端である。
ポンプモジュール11と駆動モジュール12と適切な範囲に結合されているときには、検出軸240と第2検出端子250とが接触し電気的に導通する。この導通状態を図示しないテスター等の検出器で検出する。
ポンプモジュール11と駆動モジュール12とが適切な範囲内に結合されていないときには、検出軸240と第2検出端子250とが離間し電気的に導通しない。この状態を検出器にて検出すればよい。
以上説明した実施形態1によれば、マイクロポンプ10はポンプモジュール11と駆動モジュール12とを積み重ねて結合部材13によって着脱可能に結合し構成される。従って、薬液等の流体に直接接触するチューブ50を含み、且つ、チューブ50の耐久性を考慮してポンプモジュール11を駆動モジュール12から取り外して使い捨てとし、薬液に接触しない駆動モジュールは繰り返し使用することが可能となる。ポンプモジュール11は、チューブ50、カム(第1カム20と第2カム30)とカム軸76とから構成される最少構成のため、ランニングコストを低減することができる。
また、ポンプモジュール11と駆動モジュール12とを結合する際、カム軸76のカム駆動車嵌着穴76aとカム駆動車74のカム駆動軸部74cとの位相がずれているときには、カム駆動車ばね200を撓めてカム駆動車74を遠ざかる方向に移動するためカム軸76とカム駆動車74に付勢される負荷はカム駆動車ばね200の弾性力のみのため破壊されることがない。
また、カム駆動車74がモータ70により回転され、カム駆動車嵌着穴76aとカム駆動車74のカム駆動軸部74cとの回転方向の位相が一致したとき、カム駆動車74がカム駆動車ばね200の付勢力によりカム軸76に近づく方向に移動して嵌着結合し、モータ70からの駆動力をカム軸76に伝達することができる。つまり、カムを回転し、流体の輸送を行うことができる。従来技術では、ピニオンとギヤの位相を合わせて組立てる必要があるが、本実施形態では、カム軸76とカム駆動車74とを互いの位相を合わせて組立てる必要性がなく、組立て性を向上させることができる。また、組立て時(結合時)においてカム軸76とカム駆動車74を破壊することがないという効果がある。
また、本実施形態では、駆動源としてのモータ70を駆動モジュール12に備えることで、モータ70とカム駆動車74間の連結(噛合連結)が一般の歯車列と同様に行うことができる。
また、ポンプモジュール11と駆動モジュール12とが所定の状態に結合されていることを検出する検出装置を備えることで、ポンプモジュール11と駆動モジュール12との適切な結合状態を検出することができ、マイクロポンプ10を安心して使用することができる。
また、カム駆動車74を付勢するカム駆動車ばね200は、カム駆動車嵌着穴76aとカム駆動軸部74cとが適切に嵌着された状態で、先端部200aが第4機枠18に当接している。従って、駆動時においてカム駆動車74とカム軸76との間に軸方向の接触負荷を適切な範囲に抑えることができ、駆動の安定性及び信頼性を高める。
また、本実施形態では、ポンプモジュール11と駆動モジュール12との平面方向の位置を一致させる位置決め部材が備えられている。この位置決め部材は、連結機構が嵌着開始する前にポンプモジュールと駆動モジュールとの平面方向位置を位置規制する。このことにより連結機構のカム駆動車嵌着穴76aとカム駆動軸部74cとの正確な位置も規制されるためポンプモジュールと駆動モジュールとの結合を確実に行うことができる。
なお、上述した実施形態1では、カム駆動車74を軸方向に移動可能な構造を例示したが、カム軸76を移動する構造としてもよい。具体的には、カム軸76の上部側に弾性部材を配設し、カム軸76が第1カム20及び第2カム30を装着した状態で軸方向に移動可能とし、カム駆動車74は軸方向の移動を規制する構造とすることで実現できる。
(実施形態2)
続いて、実施形態2に係るマイクロポンプについて図面を参照して説明する。実施形態2は、前述した実施形態1がモータ70を駆動モジュール12に設けていることに対し、モータ70をポンプモジュール11に設けていることに特徴を有している。従って実施形態1と異なる個所を中心に説明する。なお、本実施形態においても、カム軸76とカム駆動車74との嵌着結合構造が用いられているが、前述した実施形態1と同じ構造のため図示と説明を省略する。
図8,9は、実施形態2に係るマイクロポンプを示す部分断面図である。図8は、ポンプモジュール11と駆動モジュール12とが結合され駆動可能な状態を示している。図8において、駆動源としてのモータ70はポンプモジュール11の第2機枠15に設けられる凹部15a内に装着されている。
モータ70は、モータ案内軸70b(複数設けられる)を第2機枠15に圧入し、モータ伝え車71とモータ駆動軸70a、及びカム軸76とカム駆動車74(図3、参照)との平面方向の正確な相対的位置を正確に規制して固定されている。モータ駆動軸70aは断面形状が正方形となるよう形成され、モータ伝え車71に穿設される断面形状が正方形のモータ軸嵌着穴71cに挿入され、嵌着されている。
モータ伝え車71は、歯車部71aと支持軸71bとから構成されており、先端部71dが第2弾性部材としてのモータ伝え車ばね210によりモータ70の方向に付勢されている。この状態でモータ伝え車71の歯車部71aと第1伝達車72の伝達歯車72aとが噛合結合されている。従って、モータ70の駆動力が第1伝達車72を介してポンプモジュール11に伝達される。
モータ70は、モータ基板230に4個の接続端子80によって接続されている。モータ基板230は、ポンプモジュール11側に配設されていることから、駆動モジュール12側に配設される制御回路、メモリ、電源制御回路を含む回路基板とは、コンタクトピン等(図示せず)を用いて接続される。
図9は、モータ駆動軸70aとモータ軸嵌着穴71cとの互いの回転方向の位相がずれているときのモータ70とモータ伝え車71との関係を示す部分断面図である。図8の状態では、モータ駆動軸70aの4隅の端部とモータ軸嵌着穴71cの周縁端部とが当接されている。この際、モータ伝え車71は第4機枠18側に押し下げられる。そして、モータ伝え車71は、先端部71dにてモータ伝え車ばね210を撓める。なお、モータ伝え車71の歯車部71aは、第1伝達車72の伝達歯車72aとの噛合が外れない。従って、このような状態で、ポンプモジュール11と駆動モジュール12とを結合させてもモータ駆動軸70aとモータ伝え車71は破壊されることがない。
そして、図9に示す状態で、モータ70を駆動すると、モータ駆動軸70aとモータ軸嵌着穴71cとの回転方向の位相が一致したときに、モータ伝え車71がモータ伝え車ばね210によってモータ70の方向に移動され、モータ駆動軸70aとモータ軸嵌着穴71cとが嵌着結合される。なお、この際、モータ伝え車71の歯車部71aは、第1伝達車72の伝達歯車72aと噛合した状態で移動し、図8に示す駆動力が伝達可能な状態となる。
なお、第1機枠14にモータ伝え車71を組立てる際、モータ伝え車71の周囲を第4機枠18または他のガイド部材によりガイドすることにより、ポンプモジュール11を結合させるまでのモータ伝え車71の姿勢を安定保持することができる。
マイクロポンプ10を生体または生体内に装着する場合、モータも超小型のものが用いられ、従来技術ではウオッチ用のステップモータを使用している。従って、モータ70の構成要素の寸法が非常に小さく、ポンプモジュール11を駆動する際の負荷により耐久性が確保できないことが予測される。この際、ポンプモジュール11の交換のタイミングで、モータ70を含んで交換することができる。
従って、ポンプモジュール11の交換の際、ポンプモジュール11からモータ70を取り外す必要がなく作業性が向上するという効果もある。
(実施形態3)
続いて、実施形態3について図面を参照して説明する。実施形態3は、連結機構の他の実施例であって、連結機構が、ポンプモジュール11と駆動モジュール12との間で互いに対向する一方の端部に凸部を、他方の端部にの凹部を有し、凸部と凹部とが係合してモータとカム軸との間に駆動力伝達機構を連結することを特徴としている。従って、連結機構を中心に説明する。
図10は、実施形態3に係る連結機構を示し、(a)はカム軸とカム駆動車との連結を示す部分断面図、(b)はモータ駆動軸とモータ伝え車との連結を示す部分断面図である。
また、図10(a)は実施形態1(図4、参照)の他の実施例であって、カム軸76の端面には冠歯車76cが設けられ、冠歯車76cに対向するカム駆動車74の端面には冠歯車74eが設けられている。冠歯車76c,74eは互いにピッチが同じ歯型をしている。図10(a)は、カム軸76とカム駆動車74との回転方向の位相がずれている状態を図示しており、冠歯車76cの歯先と、冠歯車74eの歯先とが当接している。この状態からカム駆動車74を回転すると、冠歯車76cと冠歯車74eの位相が一致し噛合して、カム駆動車74とカム軸76とが連結し、モータからの駆動力をカムまで伝達することができる。
図10(b)は、実施形態2(図8,9、参照)の他の実施例であって、モータ駆動軸70aの端面には冠歯車70cが設けられ、冠歯車70cに対向するモータ伝え車71の端面には冠歯車71eが設けられている。冠歯車70c,71eは互いにピッチが同じ歯型をしている。図10(b)は、モータ駆動軸70aとモータ伝え車71との回転方向の位相がずれている状態を図示しており、冠歯車70cの歯先と、冠歯車71eの歯先とが当接している。この状態からモータ駆動軸70aを回転すると、冠歯車70cと冠歯車71eの位相が一致し噛合して、モータ駆動軸70aとモータ伝え車71とが連結し、モータ70からの駆動力をカムまで伝達することができる。
図10(c)は、さらなる他の実施例を示す部分断面図である。カム軸とカム駆動車との結合を例示して説明する。カム軸76の端部外周には凹部としての溝76d,76eが設けられている。一方、カム駆動車74のカム軸76と対向する端面には凸部としての案内軸74f,74gが突設されている。図10(c)は、カム軸76とカム駆動車74の回転方向の位相がずれている状態を図示しており、カム駆動車74のカム軸76と対向する互いの端面が当接している。この状態からカム駆動車74を回転すると、溝76d,76eと案内軸74f,74gの位相が一致し嵌着(係合)して、カム駆動車74のカム軸76が連結し、モータからの駆動力をカムまで伝達することができる。
上述した他の実施例によれば、冠歯車76c,74e(または冠歯車70c,71e)の歯数をnとしたとき、互いに噛合させるには、1/n回転すればよいので、素早く噛合連結させることができる。
また、連結機構を溝76d,76eと案内軸74f,74gで構成する場合には、構造を簡素化できると共に、歯型成形機のような特殊な加工機械を用いることなく製造できるという効果もある。
なお、このような連結機構としては、溝及び案内軸の数は限定されず、3対以上設ける構造としてもよく、溝の代わりに複数の穴を設ける構造としてもよい。
(実施形態4)
続いて、実施形態4に係るマイクロポンプについて図面を参照して説明する。前述した実施形態2がモータ駆動軸70aとモータ伝え車71と嵌着結合する構造に対して、実施形態4は、モータ伝え車71と第1伝達車72との噛合結合構造を採用していることに特徴を有する。従って、他の構造は前述した実施形態1と同じであるため、図示と説明を省略する。
図11は、実施形態4に係るマイクロポンプを示す部分断面図である。図11において、駆動源としてのモータ70はポンプモジュール11の第2機枠15に設けられる凹部15a内に装着されている。また、モータ70のモータ駆動軸70aにはモータ伝え車71が軸止されている。
モータ70は、モータ案内軸70b(複数設けられる)を第2機枠15に圧入し、駆動力伝達機構との平面方向の正確な相対的位置を正確に規制して固定されている。
第1伝達車72は伝達歯車72aとピニオン72bとから構成され、第3機枠17と第4機枠18の間で軸方向に移動可能に軸支されている。そして、支持軸72cの先端部が第3弾性部材としての第1伝達車ばね215によって第3機枠17側に付勢されている。図11では、ポンプモジュール11と駆動モジュール12とが適切に結合され、モータ伝え車71と第1伝達車72の伝達歯車72a、第1伝達車72のピニオン72bと第2伝達車73の伝達歯車73aとが、互いに噛合しあい、カム軸76にモータ70からの駆動力が伝達される状態を示している。
次に、ポンプモジュール11と駆動モジュール12とを結合する際のモータ伝え車71と第1伝達車72との関係について説明する。ポンプモジュール11と駆動モジュール12とを結合するとき、モータ伝え車71と第1伝達車72の伝達歯車72aとの回転方向の位相がずれていることがある。このような状態では、モータ伝え車71の先端部71dと伝達歯車72aの上面72dとが歯部において重なり合い、第1伝達車72が第1伝達車ばね215を撓め、軸方向に、且つ、モータ伝え車71(つまり、モータ70)から遠ざかる方向に移動される(図中、二点鎖線で表す)。
その状態で、モータ70を駆動してモータ伝え車71が回転し、モータ伝え車71と伝達歯車72aの歯部の位相が一致したときに、第1伝達車ばね215によって第1伝達車72が付勢されていることから第1伝達車72が押し上げられて、モータ伝え車71と伝達歯車72aとが噛合結合される。
なお、第1伝達車72は上述した軸方向の移動の範囲において、第3機枠17と第4機枠18との嵌合が外れないように支持軸の寸法が設定される。また、第1伝達車72の伝達歯車72aと第2伝達車73の伝達歯車73aとの断面方向の噛合が外れないように伝達歯車72aの寸法が設定されている。
従って、実施形態4によれば、前述した実施形態2と同様にポンプモジュール11交換のタイミングで、モータ70を含んでポンプモジュール11を交換することができることができる。
また、ポンプモジュール11と駆動モジュール12とを結合する際、モータ伝え車71と第1伝達車72の伝達歯車72aとの歯部の回転方向の位相がずれているときには、モータ伝え車71と伝達歯車72aとが重なり合うが、モータ伝え車71及び第1伝達車72には第1伝達車ばね215の付勢力が軸方向に加えられるだけのため破壊されることがない。
また、モータ伝え車71がモータ70の駆動力により回転して、モータ伝え車71と第1伝達車72の伝達歯車72aとの歯部の回転方向の位相が一致したとき、第1伝達車72が第1伝達車ばね215により付勢されてモータ伝え車71に近づく方向に移動して噛合結合し、モータ70からの駆動力をカム軸76に伝達し、第1カム20及び第2カム30を駆動することができる。
従って、従来技術では、ピニオンとギヤの位相を合わせて組立てる必要があるが、本適用例では、モータ伝え車71と第1伝達車72の伝達歯車72aの歯部とを互いの位相を合わせて組立てる必要性がなく、モータ70を駆動することにより相互に噛合結合させることから組立て性を向上させることができる。
なお、ポンプモジュール11に含まれるカム軸76と、駆動モジュール12に含まれるカム駆動車74との結合は、前述した実施形態1と同様に行うことができ、同様な効果を有する。
(実施形態5)
続いて、実施形態5について図面を参照して説明する。実施形態5は、検出装置の他の実施例であって、第2検出端子を実施形態1(図3、参照)に記載のカム駆動車ばね200、または実施形態2(図8、参照)に記載のモータ伝え車ばね210、または実施形態4(図11、参照)に記載の第1伝達車ばね215と兼用していることに特徴を有している。
図12は、実施形態5に係る検出装置を示す部分断面図である。図12はカム駆動車ばね200を第2検出端子とした場合を例示している。第4機枠18の表面には、電極パターン95,96が設けられている。電極パターン95,96それぞれは電気的に独立している。そして、電極パターン95,96のうちの一方が図示しない検出回路に、他方がGNDに接続されている。
カム駆動車ばね200の形状及び取付けに関する構造は実施形態1(図3、参照)と同じであり、尾部は電極パターン96上に固定螺子220によって接続固定されている。一方、先端部200aは、カム軸76とカム駆動車74との回転方向の位相がずれているときは電極パターン95と離れている(実線で図示)。カム軸76とカム駆動車74との回転方向の位相が一致したとき、つまり、ポンプモジュール11と駆動モジュール12とが所定の結合状態となったときには、先端部200aが検出軸240(図7(a)、参照)に相当する電極パターン95に接続される。従って、ポンプモジュール11と駆動モジュール12とが所定の結合状態となったことを検出することができる。
実施形態2のモータ伝え車ばね210、実施形態4の第1伝達車ばね215も同様な構造で第2検出端子とすることができる。この際、実施形態2の構成ではカム駆動車ばね200とモータ伝え車ばね210のどちらか一方または両方を第2検出端子とすることができる。また、実施形態4の構成ではカム駆動車ばね200と第1伝達車ばね215のどちらか一方または両方を第2検出端子とすることができる。
このような構成によれば、第2検出端子をカム駆動車ばね200またはモータ伝え車ばね210または第1伝達車ばね215とすることにより検出専用の検出端子を設ける必要がないので構造を簡素化することができる。また、検出装置を配設するスペースも不要となり小型化に寄与する。
(実施形態6)
続いて、実施形態6に係るマイクロポンプについて図面を参照して説明する。実施形態6は、前述した実施形態1の結合部材13が、ナット状の結合部材による螺合結合であることに対してバヨネット構造にしたことに特徴を有している。従って、結合構造について説明する。
図13は、実施形態6に係る結合構造を示す部分断面図、図14は結合方法を示す説明図である。図13において、駆動モジュール12側の第3機枠17の外周部にはリング形状の固定リング150の第3機枠固定部150aが圧入され、第3機枠17と固定リング150とが一体化されている。また、ポンプモジュール11側の第1機枠14の外周部には、駆動モジュール12側にリング状に突出される固定部14aが設けられている。
固定部14aには、外周方向に突設される鍔状の結合部材支持部143が設けられ、その下部に結合部材固定溝144が形成されている。
結合部材13は、概ねリング形状をなし、上部端部にはパッキン装着溝134、下部端部にはパッキン装着溝135が設けられ、それぞれにシール部材及び弾性部材としてのパッキン160,161が装着されている。また、結合部材13の最下部外周部には、裏蓋固定部138が突設されている。
そして、結合部材13には、内側に突設されたポンプモジュール固定鍔136と、駆動モジュール固定鍔137とが設けられ、駆動モジュール固定鍔137にて固定リング150の設けられる段状の結合部材押え部150bをポンプモジュール11側に押し上げ、ポンプモジュール固定鍔136は結合部材固定溝144内に装着されている。
ポンプモジュール固定鍔136は、パッキン160の弾性力で結合部材固定鍔145の鍔上面145aを押圧する。この際、ポンプモジュール11と駆動モジュール12とは、結合部材固定鍔145と駆動モジュール固定鍔137によって圧接される方向に押圧され、互いの接合面で密接結合される。
また、結合部材13の最下部に設けられる裏蓋固定部138には裏蓋19が図示しない固定螺子によって固定されている。結合部材13と裏蓋19の間にはパッキン161が設けられており、結合部材13と第1機枠14との間に設けられるパッキン160と共に、マイクロポンプ10内に流体の浸入を防止している。
なお、裏蓋19は、結合部材13に固定した後、ポンプモジュール11と駆動モジュール12との結合を行っても、ポンプモジュール11と駆動モジュール12との結合の後に、結合部材13に取り付けてもよい。
図14を参照して、ポンプモジュール11と駆動モジュール12との結合方法について説明する。(a)はポンプモジュールを示す斜視図、(b)は結合部材の一部を示す斜視図である。第1機枠14の固定部14aには、外周方向に沿って設けられる結合部材固定溝144と、固定部14a端部から結合部材固定溝144に略垂直に連通する結合部材挿入溝146と、が形成されている。
結合部材13の内側に突設されるポンプモジュール固定鍔136を結合部材挿入溝146から挿入し、結合部材固定溝144に沿って回転させることで、図9に示すように、ポンプモジュール11と駆動モジュール12とを結合することができる。
なお、第1機枠14に設けられる結合部材固定溝144と結合部材挿入溝146とは、固定部14aの互いに対向する位置に一対設けられており、結合部材13のポンプモジュール固定鍔136も対向する位置に一対設けられ、結合における圧接力のバランスがとれている。従って、これら結合に係る鍔、溝等は一対に限らず2対としてもよく、また、周方向に等間隔で3個設ける構造としてもよい。このような結合構造をバヨネット構造と称する。
従って、上述した実施形態4によれば、結合部材13のポンプモジュール固定鍔136を第1機枠14の結合部材挿入溝146から挿入し、結合部材固定溝144に沿って回転させることで容易にポンプモジュール11と駆動モジュール12との結合を行うことができる。
また、ポンプモジュール11を駆動モジュール12から取り外す場合には、取付け操作とは逆の操作を行えばよい。具体的には、結合部材13を結合部材固定溝144に沿って逆方向に結合部材挿入溝146の位置まで回転すれば、容易に取り外すことができる。
なお、前述した実施形態2におけるモータ70をポンプモジュール11側に設ける構造でも、同様なバヨネット構造による結合構造を採用できる。
また、結合部材13を、ポンプモジュール11側から駆動モジュール12側に装着する構造とすることも可能である。この場合、結合後に裏蓋19を結合部材13に固定する構造とすればよい。
なお、本発明は前述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
10…マイクロポンプ、11…ポンプモジュール、12…駆動モジュール、13…結合部材、20…第1カム、30…第2カム、50…チューブ、70…モータ、74…カム駆動車、74c…カム駆動軸部、76…カム軸、76a…カム駆動車嵌着穴、200…カム駆動車ばね。