JP5097983B2 - 抗酸化活性を有する組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
このため、化粧品や食品等の分野において、酸素の弊害を除去するための抗酸化剤の開発が行われている。
従来の市販笹エキスには、抗菌作用、フリーラジカル消去活性、アルコール性脂肪肝、糖尿病、食欲増進作用、抗腫瘍作用等の機能性が知られているものの有効成分が特定されているものは少ない。
(1)ササ及び/又はタケの葉の低級脂肪族アルコール、アセトン、アセトニトリル、熱水又は希酸溶液による抽出液から、当該溶液を蒸発するとともに水に置換又は加水し、濾過後又は濾過をせず、石油エーテル、ジクロロメタン、ベンゼン及び/又はジエチルエーテルで液・液分配を行わせて水層の液を取り出すことでクロロフィルを除去した後、該水層の液に酢酸エチルを添加して液・液分配を行い、酢酸エチル層の液並びに水層、ジエチルエーテル層を採取しササ及び/又はタケの葉由来のフラボノイド成分、特にルテオリン6−C−グルコシド及び/又はルテオリン6−C−アラビノシド等のルテオリン配糖体やトリシンを含む組成物を得ることを特徴とする抗酸化性組成物の製造方法。
(6)ササ葉又はタケの葉の抽出液を直接又は分画後に加水分解することにより、ルテオリン6C−グルコシド、ルテオリン6−C−アラビノシド、トリシンの含有率を高めることを特徴とする上記(1)〜(5)の抗酸化性組成物の製造方法。
ササ葉やタケの葉由来のルテオリン6−C−グルコシドがこのような優れた特性を有することは、従来全く知見がなく、誰もが予想し得ないところであった。
原料となるササは、クマイザサ、チマキザサ、クマザサ、チシマザサ、ミヤコザサ、ヤクシマダケ、スズタケ等その種類は問わない。また、タケも、モウソウチク、インヨウチク、マダケ、オオバヤダケ、メダケ、ホウライチク等が使用可能である、これらのササあるいはタケの葉の部分を、水洗した後、必要に応じて適当な大きさに細断し乾燥(水分除去)して使用する。ササ又はタケの葉は、粉末にしてもよく、枯れさせてもよい。
(第1工程:アルコール抽出・蒸発乾固・粗抽出液の調製)
ササ葉1gに対して10倍容のメタノールで抽出する。抽出は暗所で24時間放置し、24時間後濾過する。この操作を4回繰り返し、得られた濾液をあわせ、ロータリーエバポレーターで濃縮乾固し、試料重量の2倍容の純水に溶解する。このようにして得られた溶液を粗抽出液とする。
上記の粗抽出液に対して同量の石油エーテルを加え、分液ロートにて水・石油エーテル溶媒の液・液分配を行う。この操作を2〜3回繰り返し行い、石油エーテル層と水層とを得る。石油エーテル層にはクロロフィルが含まれるので廃棄する。
次に、得られた水層に該水層と同量のジエチルエーテルを添加し、分液ロートにて水・ジエチルエーテル溶媒の液・液分配を行う。この操作を2〜3回繰り返し行い、ジエチルエーテル層、水層を得る。ジエチルエーテル層をロータリーエバポレーターで乾固する。
第3工程で得られた水層に、該水層と同量の酢酸エチルを加え、分液ロートにて、水・酢酸エチル溶媒の液・液分配を行う。この操作を2〜3回繰り返し行い、酢酸エチル層、水層を得る。各層をロータリーエバポレーターで濃縮乾固し、メタノールに置換する。
上述のようにして得たジエチルエーテル層には、主にトリシンが含まれ、酢酸エチル層には、ルテオリン6−C−アラビノシド、ルテオリン6−C−グルコシド並びにトリシンが主に含まれる。一方、水層には、ルテオリン6−C−グルコシドが主に含まれる。すでに述べたように、これらは抗酸化活性を有する化合物であり、これらの少なくとも1種の化合物を含む組成物もまた抗酸化活性を有する。
酢酸エチル層に抗酸化成分として含まれるルテオリン6−C−アラビノシドは、それ自体、従来未知の新規化合物である。以下、ルテオリン6−C−アラビノシド及びその他の有効成分の単離・精製及び同定について詳細に説明する。
メタノールに置換した酢酸エチル層2mlを、セファデックス(Sephadex)LH−20をガラス管(内径2cm、高さ90cm)に充填したカラムクロマトグラフィーにアプライする。溶離液に60%メタノールを用い、フラクションコレクターで8mlずつ分画する。それぞれのフラクションについて波長350、330及び250nmにおける吸光度に従い分画し、ピークを得たら、該当ピークを濃縮しフォトダイオードアレイ検出器を用いたHPLCによる分取を行う。HPLCの条件は下記のとおりである。
カラム:TSKgel ODS−80Ts(21.5mmI.D.×300mm)
移動相:水/アセトニトリル/メタノール=7/2/1(v/v/v)
流速:6.0ml/min
オーブン温度:40℃
本発明で得られる抗酸化性組成物に含まれる有効成分の化合物は、吸収スペクトル分析、質量分析及びNMR分析等により同定することが出来る。以下、本発明者らが実施した同定法について詳述する。
<吸収スペクトル法>
精製物をメタノールに溶解し、450〜230nmにおけるUV・VIS吸収スペクトルを測定した。すなわち、試料のメタノール溶液を測定した後、ナトリウムメチラート(NaOMe)、塩化アルミニウム(AlCl3)、12%塩酸(12%HCl)、酢酸ナトリウム(NaOAc)、ホウ酸(H3BO3)の各種試薬を添加し吸収スペクトルを測定した。その結果は、下記の表1に示すとおりである。
NaOMe添加によってBd.Iが45〜65nmの深色移動することから、3位の遊離水酸基の欠如又は酸素化(OR)が示唆される。また、Bd.Iの極大吸収が増大することより4′位に遊離水酸基が存在することがわかる。
AlCl3添加によってBd.Iが深色移動することより、3位又は5位又はその両方に遊離水酸基ないしは隣接する遊離水酸基が存在する。
AlCl3+HCl添加によってAlCl3のBd.Iより浅色移動するが元のBd.Iに戻りきらないことより、3位又は5位又はその両方に遊離水酸基が存在し、さらにB環中に隣接する遊離水酸基の存在することがわかる。
NaOAc添加によりBd.IIが5〜20nmの深色移動することから7位に遊離水酸基が存在する。
NaOAc+H3BO3添加により、Bd.Iが12〜36nmの深色移動することから3′,4′位に遊離水酸基が存在する。
なお、Bd.Iとは、波長330〜420nm付近の極大吸収を示し、Bd.IIとは230〜290nm付近の極大吸収を示す。また、深色移動は長波長側、浅色移動は短波長側にシフトすることを示す。
以上の事より、3′,4′,5,7位に遊離水酸基が存在するフラボン骨格のルテオリンであることが、また、Bd.IIに2つの極大が見られることから6位又は8位に結合糖が存在することがわかる。
NaOMe添加によってBd.Iが45〜65nmの深色移動することから、3位の遊離水酸基の欠如又は酸素化(OR)が示唆された。また、Bd.Iの極大吸収が増大することより4′位に遊離水酸基が存在することがわかる。
AlCl3添加によってBd.Iが深色移動することより、3位又は5位又はその両方に遊離水酸基ないしは隣接する遊離水酸基が存在する。
AlCl3+HCl添加によってAlCl3のBd.Iより浅色移動するが元のBd.Iに戻りきらないことより、3位又は5位又はその両方に遊離水酸基が存在し、さらにB環中に隣接する遊離水酸基が存在することがわかる。
NaOAc添加によりBd.IIが5〜20nmの深色移動することから7位に遊離水酸基が存在する。
NaOAc+H3BO3添加によってBd.Iから12〜36nmの深色移動することより、3′,4′位に遊離水酸基が存在する。
以上の事より、3′,4′,5,7位に遊離水酸基が存在するフラボン骨格のルテオリンであることが、そして、Bd.IIに2つの極大が見られることから6位又は8位に結合糖が存在することがわかる。
NaOMe添加によりBd.Iが45〜65nmの深色移動することより、3位の遊離水酸基の欠如又は酸素化(OR)がわかる。また、Bd.Iの極大吸収が増大することより、4′位に遊離水酸基が存在する。
AlCl3添加によりBd.Iが深色移動することから、3位又は5位又はその両方に遊離水酸基ないしは隣接する遊離水酸基が存在する。
AlCl3+HCl添加によりAlCl3のBd.Iと比較し浅色移動しないことより、3位又は5位又はその両方に遊離水酸基が存在するが、B環中に隣接する遊離水酸基がないことがわかる。
NaOAc添加によりBd.IIが5〜20nmの深色移動することから、7位に遊離水酸基が存在する。
NaOAc+H3BO3の添加によりメタノール溶液のBd.Iと比べて深色移動がないことより、隣接する遊離水酸基がないことがわかる。
以上の事より、4′,5,7位に遊離水酸基が存在するフラボン骨格を持つ色素であることがわかる。
精製した試料について、パーセプティブ社製質量分析計Marinerを用い、分子量を正イオンモード(POS)で測定した。条件は下記の表2に示すとおりである。
[質量分析条件]
内部標準:4−acetamidophenol(m/z152.07),reserpine(m/z609.28)
インターフェイス:Electrospray ionization(ESI)
温度:室温(25℃)
吸収スペクトルで糖の結合が示唆されるが、ルテオリン骨格であることを考慮するとm/zから結合糖はペントース1つであることがわかる。また、イオン化の際に断片化を生じていないことから、糖との結合はC結合であることがわかる。
吸収スペクトルで糖の結合が示唆されたが、ルテオリン骨格であることを考慮するとm/zから結合糖はヘキソース1つであることがわかる。またイオン化の際に断片化を生じていないことから、糖とアグリコンの結合はC結合であることがわかる。
吸収スペクトルからフラボン類であることがわかるが、m/zから結合糖は存在しないアグリコンであることがわかった。また、m/zから構造の2カ所がメトキシル化されていることが推測される。
トリシンには、抗腫瘍活性、抗白血病活性があること、脂質の過酸化を抑制することが知られている。また、防虫効果もある。
それぞれ、十分に乾燥したサンプルを2〜10mg計量採取し、NMR測定管に移して重メタノールもしくは重ジメチルスルホキシド0.7mlに溶解して、1H−NMRをJeolJNM−A400(400MHz)にて測定する。(内部標準:CD3OD,3.30,DMSO−d6,2.49)
δ=3.60(dd,J=2.8,9.6Hz,1H,3”−H),3.72(d,J=12.0Hz,1H,5”−Heq),3.95(m,1H,4”−H),3.99(dd,J=2.4,12.0Hz,1H,5”−Hax),4.24(dd,J=9.6,9.6Hz,1H,2”−H),4.79(d,J=9.6Hz,1H,1”−H),6.50(s,1H,8−H),6.55(s,1H,3−H),6.89(d,J=8.4Hz,1H,5’−H),7.36(br.d,J=2.0Hz,1H,2’−H),7.37(dd,J=2.0,8.4Hz,1H,6’−H).
次に、δ=3.60(dd,J=2.8,9.6Hz),3.72(d,J=12.0Hz),3.95(m),3.99(dd,J=2.4,12.0Hz),4.24(dd,J=9.6,9.6Hz),4.79(d,J=9.6Hz)のシグナルにより、糖の存在が示唆される。アノマー位(1”位)のプロトン4.79(d,J=9.6Hz)の結合定数から、アノマー位の隣接プロトンとはアキシアル−アキシアルの関係にある、即ち糖部分はβ結合にてアグリコンに結合していると決定される。またその化学シフトがO−グルコシドよりも高磁場シフトしていることから、糖部分はC−グリコシル化しているものと考えられ質量分析の結果に整合した。糖部分のシグナルの化学シフトと結合定数はアラビノースのものとよい対応を示すことから糖部分はアラビノースであると推定される。
以上、アグリコン部、糖部を総合し、先の吸収スペクトルと質量分析結果ををあわせて考慮した結果、この化合物はルテオリン6−C−アラビノシドと決定することができる。
δ=3.41(m,1H,5”−H),3.44−3.49(m,2H,3”,4”−H),3.72(dd,J=5.6,12.4Hz,1H,6”−CHH),3.86(dd,J=2.8,12.4Hz,1H,6”−CHH),4.16(ddd,J=2.8,9.6,9.6Hz,1H,2”−H),4.90(m,1H,1”−H),6.49(s,1H,8−H),6.56(s,1H,3−H),6.89(d,J=8.4Hz,1H,5’−H),7.36(br.d,J=2.0Hz,1H,2’−H),7.37(dd,J=2.0,8.4Hz,1H,6’−H).
次に、δ=3.41(m,1H),3.44−3.49(m,2H),3.72(dd,J=5.6,12.4Hz,1H),3.86(dd,J=2.8,12.4Hz,1H),4.16(ddd,J=2.8,9.6,9.6Hz,1H),4.90(m,1H)のシグナルにより、糖の存在が示唆される。アノマー位(1”位)のプロトン4.90(m)に隣接していると考えられるプロトン4.16(ddd,J=2.8,9.6,9.6Hz)の結合定数より、2”位は二つの隣接するプロトンとアキシアルーアキシアルーアキシアルの関係にあると考えられる。すなわち、糖部分はβ結合にてアグリコン部に結合していると推定される。また、その化学シフトがO−グルコシドよりも高磁場シフトしていることから、C−グリコシル化しているものと考えられ、先の質量分析の結果と一致する。糖部分のシグナルの化学シフトと結合定数はグルコースのものとよい対応を示すことから糖部分はグルコースであると推定される。
以上、アグリコン部、糖部を総合し、先の吸収スペクトルと質量分析結果とをあわせて考慮した結果、この化合物はルテオリン6−C−グルコシドと決定することができる。
δ=3.1−3.6(br.s,2H,7,4’−H−O),3.87(s,6H,2×Me−O),6.17(d,J=2.0Hz,1H,6−H),6.53(d,J=2.0Hz,1H,8−H),6.96(s,1H,3−H),7.31(s,2H,2’,6’−H),13.0(s,1H,5−H−O).
以上、先の吸収スペクトル、質量分析結果とをあわせた結果、この化合物はトリシンと決定することができる。
これらの方法によれば、より高い収率で上記3種のフラボノイド化合物を得ることができるので、工業的に特に有利である。
したがって、本発明による抗酸化性の組成物は、化粧品、食品、医薬品等の広い分野で有用である。
さらに、本発明の組成物は、優れた消臭作用を有するため、例えば魚介類等を用いた食品加工時や調理ごみ、畜産廃棄物処理時等に発生する臭気を、該組成物を添加することにより有効に抑制することができるという効果も期待できる。
安定なラジカルであるDPPHラジカルに対するラジカル消去活性について検討した。
0.5mMのDPPHラジカル・エタノール溶液100μl、試料100μlの順に小ワッセルマンに採取し混合した。すばやく攪拌し、偏平セルに吸い上げてキャビティに挿入し、一定時間後(45秒)にESR装置(JeolJES−FR30)に装填し測定を開始した。ブランクには超純水又はアセトニトリルを用いた。下記条件のESRに供した。なお、ラジカルの消去率を(1−サンプル値/ブランク値)×100として求めた。
Field:335±5mT
Power:4mW
Modulation Width:40μT
Sweep Time:2min
Time const:0.1sec
Amp:250
ヒポキサンチンを基質とし、キサンチンオキシターゼ(XOD)の反応によるスーパーオキシドアニオンラジカル発生系を用い、SOD様活性を測定した。
原液DMPO(ラボテックNH−687)15μl、5mMのHypoxanthine(SIGMA H−9377)50μl、5.5mMのDTPA(同仁化学347−01141)35μl、試料50μl、0.4U/mlのXOD(SIGMA X−4376)50μlの順に小ワッセルマンに採取し混合した。すばやく攪拌し、偏平セルに吸い上げてキャビティに挿入し、一定時間後(45秒)にESR装置(JeolJES−FR30)に装填し測定を開始した。ブランクには超純水又はアセトニトリルを用いた。下記条件のESRに供した。スーパーオキシドアニオンラジカルの消去率を(1−サンプル値/ブランク値)×100として求めた。
Field:335±5mT
Power:4mW
Modulation Width:0.079mT
Sweep Time:2min
Time const:0.1sec
Amp:250
4%リノール酸メチル・メタノール溶液10ml、0.1Mリン酸緩衝液(pH7.4)10mlを遠沈管に採取し、サンプル1ml加え、オーブンで55℃、48時間加熱処理し、過酸化脂質を生成させた。サンプルはササ葉1g/100mlの濃度になるように調製した。ブランクとしてメタノール、対象として20ppmトコフェロールをサンプルの代わりに加え、同様にオーブンで55℃、48時間加熱処理し、過酸化脂質を生成させた。
生じた過酸化脂質の過酸化物価(POV)を常法にしたがい測定し、抗酸化剤が無い状態のコントロールのPOVを0%とし、試料の脂質過酸化抑制率を求めた。
原料のササ葉として北海道に自生しているクマイザサ(Sasa senanensis)の葉(採取地:網走市葉八坂)を用い、これを図1に示すような手順で、以下のように処理し、液状の組成物を得た。
まず、水洗したササ葉1gを5倍容のメタノールに浸漬・抽出した。暗所で24時間放置して抽出した後、濾過した。次いで濾液をロータリーエバポレーターで濃縮乾固し、ササ葉重量の2倍容の純水に溶解した。得られた水溶液を粗抽出液とした。
上記の粗抽出液に対して、等量の石油エーテルを加え、水・石油エーテル溶媒の液・液分配を行った。この操作を2〜3回繰り返し行い、石油エーテル層及び水層を得た。得られた水層を用い、水・ジエチルエーテル溶媒の液・液分配を行った。この操作を2〜3回繰り返し行い、ジエチルエーテル層と水層とを得た。得られた水層を採取してこれに酢酸エチルを加え、水・酢酸エチルの液・液分配を行った。この操作を2〜3回繰り返し行い、酢酸エチル層及び水層を得た。
得られた各層を採取し、ササ葉重量に対して等量の液量になるようにロータリーエバポレーターで濃縮・乾固し、これをメタノールに置換して抗酸化性組成物を得た。水層については、XADカラムにより遊離の糖を取り除いて抗酸化性組成物を得た。
置換した各層の液状組成物を用い、それぞれフェノール物質の定量及び抗酸化活性の測定を行った。
フォリン試薬を用いるSwainらの方法を一部改良した方法により組成物のフェノール物質含量を測定した。すなわち、試料0.5mlに1Nフェノール試薬を1ml加え混合し、1N水酸化ナトリウムを含む10%炭酸ナトリウム2.5mlを加え混合した。混合後、室温で30分間放置した。濁ったサンプルについては遠心分離(1000rpm、10分間)を行い、波長650nmにおける吸光度を測定した。また、0.5mM没食子酸を用いて検量線を作成し、検量線より各層中のフェノール含量及び、ササ葉1g中のフェノール含量を没食子酸換算で求めた。その結果を、図2に示す。
各層組成物の抗酸化活性を評価するため、安定なラジカルであるDPPHラジカルに対するラジカル消去活性及びSOD様活性(O2 −・[スーパーオキシドアニオンラジカル]消去活性)について検討した。
まず、DPPHラジカル消去活性を測定するため、0.5mMDPPHラジカル・エタノール溶液100μl、試料100μlの順に小ワッセルマンに採取し混合した。すばやく攪拌し、偏平セルに吸い上げてキャビティに挿入し、一定時間後(45秒)にESR測定を開始した。ブランクには超純水又はアセトニトリルを用いた。上記の条件のESRに供した。消去率を(1−サンプル値/ブランク値)×100として求めた。得られた消去率より消去率が50%になる濃度(IC50)を求めた。
原液DMPO(ラボテックNH−687)15μl、5mM Hypoxanthine50μl、5.5mM DTPA35μl、試料50μl、0.4U/ml XOD50μlの順に小ワッセルマンに採取し混合した。すばやく攪拌し、偏平セルに吸い上げてキャビティに挿入し、一定時間後(45秒)にESR測定を開始した。ブランクには超純水又はアセトニトリルを用いた。上記と同様の条件でESRに供した。
消去率を(1−サンプル値/ブランク値)×100として求めた。得られた消去率より消去率が50%になる濃度(IC50)を求めた。
そこで、酢酸エチル層及び水層について、それぞれ、セファデックスLH−20吸着カラムクロマトグラフィーによる分画を行った。
酢酸エチル層、水層のLH−20カラムによる吸着分画の結果、図4及び図5に示すように、酢酸エチル層が8個、水層が7個のピークが観察された。酢酸エチル層のそれぞれのピークをEA#1からEA#8とし、水層のそれぞれのピークをW#1からW#7とした。この得られたピークの各部分を濃縮・乾固し、メタノールに置換した。
また、抗酸化活性を測定した結果、図6に示すごとく、DPPHラジカル消去活性では、EA#3,EA#5,EA#6,EA#7の消去率が高く、それぞれ、60.09%、52.03%、73.74%、79.73%の消去率であった。SOD様活性(スーパーオキシドアニオンラジカル消去活性)では、EA#5,EA#6,EA#7が高く、それぞれ、39.97%、42.35%、53.80%の消去率を示した。
耐熱性試験の結果を図10、図12に、耐光性試験の結果を図11、図13に示す。
この結果より、ササ葉の抗酸化成分であるルテオリン6−C−グルコシドは100℃では壊れにくく、実用上十分な熱安定性を有すること、紫外線に対する安定性が高く耐光性にも優れていることがわかった。
<油脂過酸化抑制率の測定>
(1)試料油脂の調整
4%リノール酸メチル・メタノール溶液10ml、0.1Mリン酸緩衝液(pH7.4)10mlを遠沈管に採取し、サンプル1ml加え、オーブンで55℃、48時間加熱処理し、過酸化脂質を生成させた。サンプルはササ葉1g/100mlの濃度になるように調製した。ブランクとしてメタノール、対象として20ppmトコフェロールをサンプルの代わりに加え、同様にオーブンで55℃、48時間加熱処理し、過酸化脂質を生成させた。
POV検定は、日本油脂学会による酸化油脂中の過酸化物価の測定法に従い、過酸化脂質(ヒドロペルオキシド)が酸性条件下で還元される反応に基づき、遊離されるヨウ素をチオ硫酸ナトリウムで滴定する方法で行った。
重クロム酸カリウムを純水に溶解し、0.01N重クロム酸カリウム溶液を作成する。このとき、重クロム酸カリウム溶液のファクター(f=採取量/理論値)を求めておく。ヨウ化カリウム1gを純水5mlに溶解させる。そこに0.01N重クロム酸カリウム溶液20ml、塩酸5mlを加え、撹拌後栓をして5分間暗所に放置した。5分後、純水300mlを加え、遊離ヨウ素を0.01Nチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定した。褐色が消えかかったら、1%澱粉指示薬を加え、青色が完全に消失するまで滴定した。滴定値がVmlのとき、0.01Nチオ硫酸ナトリウム溶液のファクターは、F=20×f/Vで求め、滴定を行った。
上述のように調製した試料油脂1gを採取し、クロロホルム−氷酢酸混液(3:2)25ml、飽和ヨウ化カリウム溶液1ml加え、すぐに撹拌し、1分間暗所に放置した。反応を止めるために純水75mlを加えた。2層に分かれる上層の赤紫色の消失を終点とし、遊離ヨウ素を0.01Nチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定した。空試験には純水1gを用いて行った。ここで、過酸化物価(POV)は、以下の数式で算出される。
0.05Mクロロゲン酸を基質とし酵素液としてタマネギ鱗茎より抽出・部分精製を行った酵素液を用いた。すなわち、1.3mlの10mMリン酸緩衝液(pH7.0)に1mM濃度、2mM濃度、10mM濃度に調製した阻害剤を0.1ml、酵素液を0.1ml添加し混合、30℃に10分間予備加温後、0.05Mクロロゲン酸基質溶液を0.1ml加え混合し30℃、30分間加温後の波長420nmにおける褐変度を求めた。阻害剤添加の代わりに10mMリン酸緩衝液(pH7.0)を加えたものをコントロールとし、活性を100%として阻害効果を相対活性で示した。
したがって、これらのササの葉由来のフラボン類は、例えば、食品類の褐変防止剤として有効に利用することができる。
細胞増殖抑制率の測定結果を図14に示す。また、各層のクロマチン凝縮について測定した結果を図15に示す。
これらの図から明らかなように、本発明の抗酸化性組成物のうち、特に水層、水(メタノール可溶性)、酢酸エチル層は、ヒト腫瘍細胞(白血病)の増殖抑制効果も有し、水層、水(メタノール可溶性)、酢酸エチル層、ジエチルエーテル層はクロマチン凝縮活性を有することがわかった。
すなわち、クマイザサ抽出液の酸加水分解とは、クマイザサ抽出液(メタノール溶液)に塩酸(最終濃度が0.2〜0.7N)を加え(抽出液と塩酸の比率は1:1になるようにする)、混合後、100℃のウォーターバスで30分間加熱し、30分後、氷中で冷却した。
各加水分解物(無処理を含む)は、XADカラムに吸着させ、加水分解物から酸を洗い流し、メタノールに溶媒置換後、LH−20カラムに供し、精製後HPLCで定量分析した。
図17において、BIIはルテオリン6−C−グルコシド(Luteolin6−C−glucoside)の溶出ピーク、BIIIはルテオリン6−C−アラビノシド(Luteolin6−C−arabinoside)のピークであり、トリシンアグリコンは図18では2HIIIのピークである。それぞれの処理によって得られる各フラボンの結果を、それぞれ図20、図21及び図22に示す。なお、HPLCやXADカラム、LH−20カラムの条件はすでに述べた条件と同じである。
図17、図18、図19から、加水分解によって図17のBIピークが減少し、図18の2HIII及び図19の7HIIIが新たに検出することが確認できる。図17のBIIピーク、図18の2HIピーク及び図19の7HIピークは溶出位置から同じ成分であることがわかる。このピークは以前に同定したルテオリン6−C−グルコシドである。図17のBIIIピーク、図18の2HIIピーク及び図19の7HIIピークは溶出位置から同じ成分であることがわかる。このピークは、以前に同定したルテオリン6−C−アラビノシドである。
Claims (3)
- ササ及び/又はタケの葉を低級脂肪族アルコールによって抽出する抽出工程と、
前記抽出工程で得た抽出液を酸によって加水分解する酸加水分解工程と、
前記酸加水分解工程で得た加水分解抽出液に石油エーテルを添加することで液液分配を行い、水層画分を採取する第1分画工程と、
前記第1分画工程で得た水層画分にジエチルエーテルを添加することで液液分配を行い、トリシンを含有するジエチルエーテル層及び/又は水層画分をそれぞれ採取する第2分画工程と、
前記第2分画工程で得た水層画分に酢酸エチルを添加することで液液分配を行い、ルテオリン6−C−グルコシド、ルテオリン6−C−アラビノシド及びトリシンを含有する酢酸エチル層及び/又はルテオリン6−C−グルコシドを含有する水層をそれぞれ採取する第3分画工程と、
を有することを特徴とする、
抗酸化活性を有する組成物の製造方法。 - 前記抽出液をゲルろ過によって分画する工程を有する、
請求項1に記載の抗酸化活性を有する組成物の製造方法。 - 前記酸加水分解工程で使用される酸が抽出液に対して終濃度0.2〜0.7mol/Lの塩酸である、
請求項1又は2に記載の抗酸化活性を有する組成物の製造方法。
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