JP5095758B2 - 音声信号処理装置、音声信号処理方法、表示装置、ラック、プログラム、及び、記録媒体 - Google Patents

音声信号処理装置、音声信号処理方法、表示装置、ラック、プログラム、及び、記録媒体 Download PDF

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Description

本発明は、ステレオ音声信号を処理する音声信号処理装置、および、音声信号処理方法に関する。また、この音声信号処理装置を備えた表示装置、および、ラックに関する。さらに、この音声信号処理装置としてデジタルシグナルプロセッサを動作させるためのプログラム、および、このプログラムが記録されている記録媒体に関する。
テレビジョン受像機(以下、「テレビ」と称する)としては、ステレオ放送に対応したものが一般的になっている。これらのテレビは、表示する映像に付随したステレオ音声を出力する一対のスピーカを備えており、これらのスピーカの配置によって、サイドスピーカ型、または、アンダースピーカ型に分類される。サイドスピーカ型とは、表示パネルの左右に一対のスピーカを配置した形態を指し、アンダースピーカ型とは、表示パネルの下に一対のスピーカを配置した形態を指す。なお、本明細書において、「音声」とは、人間の発する声に限らず音一般を意味する。
ところで、2つのスピーカから同一の音声を出力すると、リスナは、これら2つのスピーカの中点に音源が位置しているように知覚する(以下、リスナが知覚する音源のイメージを「音像」と称する)。したがって、アンダースピーカ型のテレビには、表示パネルの左右にスピーカを配置する必要がなく、省スペース化を図れるというメリットがある反面、表示パネルの下方に音像が定位し、表示パネルに映し出された映像との整合がとれないというデメリットがある。表示パネルの大型化が進んでいる昨今、このデメリットは無視し得ない。
ここで、2つのスピーカから発せられた音波によってリスナが知覚する音像について、図9〜12を参照してもう少し詳しく説明する。
図9は、2つのスピーカから発せられた音波によってリスナが知覚する音像を示した図である。同図において、SPLは、リスナの左側前方に配置された、左チャンネルの音声信号Lにより駆動されるスピーカを示し、SPRは、リスナの右側前方に配置された、右チャンネルの音声信号Rにより駆動されるスピーカを示す。IMG1〜IMG5は、リスナによって知覚される音像を示す。なお、リスナは、スピーカSPLおよびSPRを2つの頂点とする正三角形のもう一つの頂点に位置しているものとする。
リスナが知覚する音像の大きさは、音声信号Lと音声信号Rとの相関によって決まる(非特許文献1の127頁参照)。例えば、音声信号Lと音声信号Rとが同一(相関が1)である場合、図1に示したように、リスナは、スピーカSPLとスピーカSPRとの中点Oに集中した音像IMG1を知覚する。逆に、音声信号Lと音声信号Rとの相関が零である場合、リスナは、スピーカSPLとスピーカSPRとの間に拡散した音像IMG2を知覚する。
なお、音声信号Lと音声信号Rとの相関Φは、連続時間の場合、(1)式により定義される(非特許文献1の127頁参照)。また、離散時間の場合、(2)式により定義される(非特許文献2の50頁参照)。
Figure 0005095758
Figure 0005095758
ここで、L(t)は、時刻tにおける音声信号Lの値を示し、R(t)は、時刻tにおける音声信号Rの値を示す。また、L(m)は、離散時間mにおける音声信号Lの値を示し、R(m)は、離散時間mにおける音声信号Rの値を示す。また、<L>および<R>は、それぞれ、音声信号LおよびRの平均値を示し、Nは、相互相関値を求めるサンプル数を示す。
音声信号Lと音声信号Rとに位相差およびレベル差を与えることによって、リスナが知覚する音像を方位角方向に移動することができる。例えば、音声信号Lの位相を進め、そのレベルを大きくすると、図1に示したように、リスナは、スピーカSPLとスピーカSPRとの中点Oの左方に音像IMG3を知覚する。逆に、音声信号Rの位相を進め、そのレベルを大きくすると、リスナは、スピーカSPLとスピーカSPRとの中点Oの右方に音像IMG4を知覚する。
ただし、位相差によって音像を移動することができるのは、1.6kHz以下の音声信号に限られる。なぜなら、図10に示したように、両耳間時間差(音波が両耳の鼓膜に到達する時間の差)が音像の知覚に影響を与えるのは、1.6kHz以下の帯域に限られるからである(非特許文献1の73頁に基づく)。なお、両耳間音圧レベル差(音波が両耳の鼓膜に与える音圧レベルの差)は、図10に示したように、全可聴帯域(20Hz以上20kHz以下)に渡って音像の知覚に影響を与える。
さらに、音声信号Lおよび音声信号Rの特定帯域を強調することによって、リスナが知覚する音像を仰角方向に移動することができる。例えば、音声信号Lおよび音声信号Rの8kHz帯を強調することによって、図1に示したように、リスナは、スピーカSPLとスピーカSPRとの中点Oより上方に音像IMG5を知覚する。特定帯域の強調による音像の仰角方向への移動は、脳の学習効果によって起こると考えられている。
図11は、音源を正中面内で仰角方向に移動したときに得られる音圧レベル(頭部、外耳、内耳を経て鼓膜に到達する音圧レベル)の変化を周波数毎にプロットした頭部伝達関数のグラフである(非特許文献3の18頁に基づく)。図11に示したように、7kHz以上10kHz以下では、θ=90°(リスナの真上に音源が位置している場合)の音圧レベルが、θ=0°(リスナの正面に音源が位置している場合)の音圧レベルより大きくなっている。リスナは、頭部伝達関数のこの特性を学習しており、8kHz帯が強調された音波の音源を、実際の音源より上にあると錯覚する。
図12に、このことを実証した実験結果を示す(非特許文献1の97頁に基づく)。実験は、複数の被験者に1/3オクターブバンドの音声信号を提示し、前方、上方、後方の何れに音源が位置していると感じたかを回答させることにより行われた。図12(a)は、音源が後方に位置していると回答した被験者の相対頻度を示し、図12(b)は、上方に位置していると回答した被験者の相対頻度を示し、図12(c)は、前方に位置していると回答した被験者の相対頻度を示す。図12(b)を参照すると、中心周波数8kHzの音声信号を提示したときに、被験者は、その音源が上方に位置していると錯覚しやすくなることが分かる。
特定帯域の強調により音像を上方に移動させる技術としては、特許文献1、2に記載のものなどが知られている。
特許文献1には、入力された音声信号を減衰させる減衰量可変な減衰器と、減衰された音声信号に作用するローパスフィルタと、入力された音声信号と上記ローパスフィルタを通過した音声信号との差に応じた音声信号を出力する差動増幅器とからなり、上記減衰器の減衰量が調整可能に構成された音響装置が開示されている。この音響装置は、ローパスフィルタの遮断帯域より上の帯域を相対的に強調することにより音像を上方へ移動するものである。しかしながら、このように特定帯域を強調するのみでは、十分な音像の上昇量を得ることができない。特に、アンダースピーカ型のテレビに適用する場合、表示パネルに表示された映像と整合するように、音像を上昇させることができない。
特許文献2には、特定帯域の強調に疑似サラウンドの手法を組み合わせた音像上方拡大回路が開示されている。この音像上昇拡大回路は、左チャンネル音声信号と右チャンネル音声信号との和信号に作用する中音域補正フィルター回路と、左チャンネル音声信号と右チャンネル音声信号との差信号に作用するCRフィルタと、上記CRフィルタを通過した音声信号の位相を遅延する位相遅延器と、左チャンネル音声信号と上記中音域補正フィルタの出力信号と上記位相遅延器の出力信号とを混合して左チャンネル出力信号を生成する混合器と、右チャンネル音声信号と上記中音域補正フィルタの出力信号と上記位相遅延器の出力信号とを混合して右チャンネル出力信号を生成する混合器とにより構成されている。この音像上昇拡大回路によれば、特定帯域の強調による音像の上昇効果と、疑似サラウンドによる音像の拡散効果とが相俟って、十分な音像の上昇量を得ることができる。
イェンス・ブラウエルト著、森本政之・後藤敏幸編著、「空間音響」、鹿児島出版会、昭和61年7月10日 城戸健一著、「ディジタル信号処理入門」、丸善株式会社、昭和60年7月20日 「空間音響」(2007年度 D302 聴覚と音響処理 第11週〜第12週分授業資料)、[online]、電気通信大学音響情報研究室、[平成19年12月12日検索]、インターネット<URL:http://www.sound.sie.dendai.ac.jp/stereo_theory.pdf> 日本国公開特許公報「特開2002−10400号公報」(公開日:平成14年 1月11日) 日本国公開特許公報「特開2006−42316号公報」(公開日:平成18年 2月 9日)
しかしながら、特許文献2に記載の技術では、左チャンネルの音声信号を、位相を遅らせて右側のスピーカからも出力し、右チャンネルの音声信号を位相を遅らせて左側のスピーカから出力するので、以下のような問題が生じる。
すなわち、音色の変化などの音質劣化が避けられないという問題を生じる。なぜなら、音像を上昇させるために、左チャンネル音声信号と右チャンネル音声信号の和信号および差信号を用いているからである。
また、アンダースピーカ型のテレビに適用した場合、音像が表示パネルの外側に定位してしまい、表示パネルに表示された映像と整合しないという問題を生じる。なぜなら、左チャンネルにのみに含まれている音声の音像が左側のスピーカより更に左に定位し、右チャンネルのみに含まれている音声の音像が右側のスピーカより更に右に定位するからである。
また、2つのスピーカを底角とする二等辺三角形の頂点の位置からリスナが右に(または左に)移動すると、音像定位が破綻するという問題を生じる。なぜなら、リスナが右に移動すると、左チャンネルにのみ含まれる音声の音像も、右チャンネルにのみ含まれる音声の音像も、両チャンネルに含まれる共通の音声の音像も、全て右側(または左側)のスピーカの周辺に定位してしまうからである。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、上記のような問題を生じることなく、リスナが知覚する音像を十分に上昇させることができる音声信号処理装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係る音声信号処理装置は、第1の音声信号と第2の音声信号とを含むステレオ音声信号を処理する音声信号処理装置であって、上記第1の音声信号における8kHzを含む帯域を強調する第1のイコライザと、上記第2の音声信号における上記帯域を強調する第2のイコライザと、上記第1のイコライザから出力された上記第1の音声信号、または、上記第1のイコライザに入力される上記第1の音声信号の位相を遅延するフィルタと、を備えている、ことを特徴としている。
上記の構成によれば、第1の音声信号、および、第2の音声信号における8kHzを含む帯域が強調される。したがって、第1の音声信号、および、第2の音声信号に共通のモノラル音声が含まれる場合、リスナは、当該モノラル音声の音像を、第1の音声信号、および、第2の音声信号によって駆動される一対のスピーカの中点の上方に知覚し易くなる。しかも、上記の構成によれば、第1の音声信号の位相が遅延される。したがって、第1の音声信号、および、第2の音声信号に含まれる上記モノラル音声の相関が低下し、上記モノラル音声の音像は、単に8kHzを含む帯域を強調した場合と比べて拡散される。この際、単に第1の音声信号の位相を遅延する場合(すなわち、第1のイコライザと第2のイコライザとがない場合)と比べて、相関の低下する信号の割合が、第1のイコライザと第2のイコライザとによって増加するので、両者の相乗効果によって音像が一層拡散される。このため、音像の十分な上昇量を得ることができる。
しかも、上記の構成によれば、第1の音声信号と第2の音声信号とが独立に処理され、第1の音声信号に含まれる音声が第2の音声信号に混合されたり、第2の音声信号に含まれる音声が第1の音声信号に混合されたりすることはない。したがって、音色の変化などの音質劣化が起こったり、リスナが左右に移動することによって音像定位が破綻したりすることがない。また、アンダースピーカ型のテレビや、スピーカを内蔵したテレビ用ラック等に適用した場合に、表示パネルの下方に配置された左右2つのスピーカの外側に音像が定位してしまうこともない。
なお、上記第1のイコライザ、および、上記第2のイコライザは、8kHzを含む帯域を強調することができるイコライザであれば何でもよく、例えば、当該帯域内の周波数成分を選択的に増幅する増幅型のイコライザであってもよいし、当該帯域外の周波数成分を選択的に減衰する減衰型のイコライザであってもよい。
本発明に係る音声信号処理装置において、上記フィルタは、上記第1の音声信号の振幅を全可聴帯域に渡って不変に保つ、ことが好ましい。
上記の構成によれば、当該音声信号処理装置に入力される第1の音声信号と第2の音声信号のレベルが同一であれば、当該音声信号処理装置から出力される第1の音声信号と第2の音声信号のレベルも同一となる。したがって、両耳間音圧レベル差よる音像の方位角方向の移動を生じさせることなく、また音色の変化を生じさせることなく、仰角方向に音像を十分に上昇させることができる。
本発明に係る音声信号処理装置において、上記フィルタは、周波数が低下するにつれて位相遅延量が単調に減少する周波数特性を有する、ことが好ましい。
上記の構成によれば、8kHz帯においては、音像を拡散にするのに十分な位相遅延量を得ることができ、同時に、両耳間時間差が音像の知覚に影響を与える帯域(1.6kHz以下)においては、位相遅延量を小さく抑えることができる。したがって、両耳間時間差による音像の方位角方向の移動を生じさせることなく、仰角方向に音像を十分に上昇させることができる。
上記課題を解決するために、本発明に係る音声信号処理方法は、第1の音声信号と第2の音声信号とを含むステレオ音声信号を処理する音声信号処理方法であって、上記第1の音声信号における8kHzを含む帯域を強調する第1のイコライジング工程と、上記第2の音声信号における上記帯域を強調する第2のイコライジング工程と、上記第1のイコライジング工程を経た後の上記第1の音声信号、または、上記第1のイコライジング工程を経る前の上記第1の音声信号の位相を遅延するフィルタリング工程と、を含んでいる、ことを特徴としている。
上記の構成によれば、上記音声信号処理装置と同様、音像の十分な上昇量を得ることができる。しかも、第1の音声信号と第2の音声信号との加算または減算に起因する音色の変化などの音質劣化が起こったり、リスナが左右に移動することによって音像定位が破綻したりすることがなく、また、アンダースピーカ型のテレビや、スピーカを内蔵したテレビ用ラック等に適用した場合に、表示パネルの下方に配置された左右2つのスピーカの外側に音像が定位してしまうこともない。
なお、上記音声信号処理装置を備えた表示装置、および、ラックも本発明の範疇に含まれる。
すなわち、本発明に係る表示装置は、映像を表示する表示パネルと、上記映像に付随したステレオ音声を出力する一対のスピーカであって、上記表示パネルの下方に配置された一対のスピーカとを備えた表示装置において、上記音声信号処理装置を備え、上記音声信号処理装置によって処理されたステレオ音声信号を上記一対のスピーカに供給する、ことを特徴としている。
また、本発明に係るラックは、映像を表示する表示装置を載置するためのラックであって、上記映像に付随したステレオ音声を出力する一対のスピーカを備えたラックにおいて、上記音声信号処理装置を備え、上記音声信号処理装置によって処理されたステレオ音声信号を上記一対のスピーカに供給する、ことを特徴としている。
なお、上記音声信号処理装置は、デジタルシグナルプロセッサ(DSP:digital signal processor)として実現されていてもよい。この場合、デジタルシグナルプロセッサを上記各手段(イコライザ、および、フィルタ)として機能させることにより、そのデジタルシグナルプロセッサを上記音声信号処理装置として動作させる音声信号処理プログラム、および、そのプログラムを記録した記録媒体も、本発明の範疇に含まれる。
本発明の他の目的、特徴、および優れた点は、以下に示す記載によって十分分かるであろう。また、本発明の利点は、添付図面を参照した次の説明で明白になるであろう。
本発明の第1の実施形態を示すものであり、音声信号処理回路の構成を示すブロック図である。 本発明の第1の実施形態を示すものであり、パラメトリックイコライザの増幅特性を示すグラフである。 本発明の第1の実施形態を示すものであり、オールパスフィルタの構成例を示したブロック図である。 本発明の第1の実施形態を示すものであり、オールパスフィルタのフィルタ特性を示すグラフである。(a)は、オールパスフィルタにおける利得の周波数特性を示し、(b)は、オールパスフィルタにおける位相遅延量の周波数特性を示す。 本発明の第1の実施形態の変形例を示すものであり、音声信号処理回路の構成を示すブロック図である。 本発明の第1の実施形態の他の変形例を示すものであり、音声信号処理回路の構成を示すブロック図である。 本発明の第2の実施形態を示すものであり、テレビの構成を示す正面図である。 本発明の第2の実施形態を示すものであり、リスナが知覚する音像の配置を示す図である。 従来技術を示すものであり、2つのスピーカから発せられた音波によってリスナが知覚する音像の配置を示す図である。 従来技術を示すものであり、両耳間時間差および両耳間レベル差の有効帯域を示す図である。 従来技術を示すものであり、音源を正中面内で仰角方向に移動したときに0度を基準にして得られる音圧レベルの変化を周波数毎にプロットした頭部伝達関数のグラフである。 従来技術を示すものであり、8kHz帯が強調された音波の音源を、リスナは実際の音源より上にあると錯覚することを実証した実験結果を示すグラフである。(a)は、音源が後方に位置していると回答した被験者の相対頻度を示し、(b)は、上方に位置していると回答した被験者の相対頻度を示し、(c)は、前方に位置していると回答した被験者の相対頻度を示す。
符号の説明
100 音声信号処理回路(音声信号処理装置)
110L イコライザ
110R イコライザ
120 フィルタ
121、122 乗算器
123、124 加算器
125 遅延器
130 スイッチ
141L、141R 設定信号入力端子
142 設定信号入力端子
200 テレビ(表示装置)
210 表示パネル
220L、220R スピーカ
〔実施形態1〕
本発明に係る音声信号処理装置の一実施形態について、図面に基づいて説明すれば以下のとおりである。なお、本実施形態に係る音声信号処理装置は、AV機器に内蔵される回路として実現されているので、以下、これを「音声信号処理回路」と呼称し、参照符号100を付す。
音声信号処理回路100の構成について、図1を参照して説明する。
図1は、音声信号処理回路100の構成を示すブロック図である。音声信号処理回路100は、総体的に言うと、入力部Linと入力部Rinとから入力されたステレオ音声信号を処理し、処理済のステレオ音声信号を出力部Loutと出力部Routとから出力する音声信号処理回路である。当該音声信号処理回路100を内蔵するAV機器においては、映像信号に付随するステレオ音声信号を当該音声信号処理回路100によって処理し、処理済みのステレオ音声信号を外部に出力したり、あるいは、内蔵スピーカから出力したりすることになる。なお、音声信号処理回路100が処理する音声信号は、アナログ音声信号であってもよいが、以下では、デジタル音声信号、特に、PCM(Pulse Code Modulation)信号を想定する。
図1に示したように、音声信号処理回路100は、入力部Linと、入力部Linに接続されたイコライザ110Lと、イコライザ110Lに接続されたフィルタ120と、フィルタ120に接続された出力部Loutとを備えている。入力部Linから入力された音声信号#1Lは、イコライザ110Lによって8kHz帯を強調される。そして、イコライザ110Lによって8kHz帯を強調された音声信号#2Lは、フィルタ120によってその位相を遅延され、出力部Loutから出力される。
また、図1に示したように、音声信号処理回路100は、入力部Rinと、入力部Rinに接続されたイコライザ110Rと、イコライザ110Rに接続された出力部Routとを備えている。入力部Rinから入力された音声信号#1Rは、イコライザ110Rによって8kHz帯を強調される。イコライザ110Rによって8kHz帯を強調された音声信号#2Lは、そのまま、出力部Routから出力される。
このように、音声信号処理回路100においては、音声信号#1Lを処理する左チャンネル処理系統と、音声信号#1Rを処理する右チャンネル処理系統とが互いに独立しており、左チャンネルの位相のみを遅延することによって、両チャンネルに等しく含まれる音声信号間の相関を低下させる構成となっている。
次に、音声信号処理回路100が備えているイコライザ110Lおよびイコライザ110Rについて、図1に加えて、図2を参照して説明する。
イコライザ110Lは、左チャンネルの音声信号#1Lに作用し、8kHz帯を選択的に増幅するための手段である。また、イコライザ110Rは、右チャンネルの音声信号#1Rに作用し、8kHz帯を選択的に増幅するための手段である。なお、イコライザ110Lおよびイコライザ110Rが選択的に増幅する帯域は、8kHzを含む共通の帯域であればよく、その上限および下限は任意に特定された値でよい。
イコライザ110Lおよびイコライザ110Rは、例えば、図1に示したように、パラメトリックイコライザ(PEQ)によって構成することができる。パラメトリックイコライザとは、増幅特性が可変なイコライザのことを指す。パラメトリックイコライザにおいては、通常、増幅特性を規定するパラメータとして、中心周波数f、尖鋭度Q、および、利得Gを設定することができるようになっている。ここで、先鋭度Qは、中心周波数fにおける周波数特性の鋭さを表すパラメータであり、中心周波数fに対して−3dB減衰する周波数をf1およびf2としたときに(f1<f2)、Q=f/(f2−f1)によって定義される。
本実施形態においては、イコライザ110Lおよびイコライザ110Rとして、f=8kHz、Q=1、G=6dBに設定されたパラメトリックイコライザを用いる。図2は、このパラメトリックイコライザの増幅特性を示すグラフである。図2から分かるように、このパラメトリックイコライザは、8kHzを中心に1kHz以上11kHz以下の周波数成分を選択的に増幅する。
なお、イコライザ110Lおよびイコライザ110Rは、上記のごときパラメトリックイコライザに限らず、他のイコライザによっても構成することができる。例えば、8kHzを含む特定帯域内の周波数成分を選択的に増幅する増幅型のイコライザの代わりに、当該帯域外の周波数成分を選択的に減衰する減衰型のイコライザを用いてもよい。また、パラメトリックイコライザのような増幅特性(減衰特性)が可変なイコライザの代わりに、増幅特性(減衰特性)が固定されたイコライザを用いてもよい。
次に、音声信号処理回路100が備えているフィルタ120について、図1に加えて、図3および図4を参照して説明する。
フィルタ120は、イコライザ110Lによって処理された音声信号#2に作用し、8kHz帯の位相を遅延するための手段である。フィルタ120は、例えば、図1に示したように、オールパスフィルタ(APF)によって構成することができる。オールパスフィルタとは、振幅を変化させることなく、位相を遅延させるフィルタのことを指す。
本実施形態においては、フィルタ120として、図3に示すオールパスフィルタを用いる。図3は、オールパスフィルタの構成例を示したブロック図である。このオールパスフィルタは、2つの乗算器121および122と、2つの加算器123および124と、遅延器125とを備えたデジタルフィルタであり、フィルタ特性を規定するパラメータとして、乗算器121の係数a、および、乗算器122の係数−aを設定することができるようになっている。
図3に示したデジタルフィルタの構成において、乗算器121は、時刻n−1における出力値y(n−1)に係数aを乗じ、得られた積ay(n−1)を加算器123に与える。加算器123は、時刻n−1における入力値x(n−1)と、乗算器121から得たay(n−1)とを加算し、得られた和x(n−1)+ay(n−1)を遅延器125に与える。遅延器125は、加算器123から得た和x(n−1)+ay(n−1)を1サンプルだけ遅延し、時刻nにおいて加算器124に与える。乗算器122は、時刻nにおける入力値x(n)に係数−aを乗じ、得られた積−ax(n)を加算器124に与える。加算器124は、遅延器125から得た和x(n−1)+ay(n−1)と、乗算器122から得た積−ax(n)とを加算し、時刻nにおける出力値y(n)=−ax(n)+x(n−1)+ay(n−1)を得る。
図4(a)は、図3に示したオールパスフィルタにおける利得の周波数特性を示すグラフである。図4(a)からも分かるように、このオールパスフィルタは、全可聴帯域に渡って音声信号#1Lの振幅を不変に保つ。したがって、音声信号#1Lのレベルと音声信号#1Rのレベルとが同一であれば、音声信号#3Lのレベルと音声信号#2Rのレベルとが同一となり、両耳間音圧レベル差よる音像の移動を生じさせることはない。
図4(b)は、図3に示したオールパスフィルタにおける位相遅延量の周波数特性を示すグラフである。図4(b)からも分かるように、このオールパスフィルタの位相遅延量は、20kHzにおける180°をピークに、周波数が低下するにつれて単調に減少する。このため、8kHz帯においては、音像を拡散にするのに十分な位相遅延量を得ることができ、同時に、両耳間時間差が音像の知覚に影響を与える帯域(1.6kHz以下)においては、位相遅延量を小さく抑えることができる。例えば、a=0.5に設定した場合、8kHzにおいて約120°の位相遅延量を得ることができ、同時に、1kHzにおける位相遅延量を20°程度に抑えることができる。
なお、図3に示した構成を有するオールパスフィルタに限らず、他の構成を有するオールパスフィルタをフィルタ120として用いてもよい。すなわち、例えば、バイクアッドフィルタ(双一次フィルタ)をフィルタ120として用いてもよい。また、フィルタ120は、厳密な意味でのオールパスフィルタ、すなわち、全帯域に渡って振幅を全く変化させないフィルタであることを要さない。つまり、音像定位に影響を与えない程度であれば、振幅を変化させるものであってもよい。
なお、図1においては、フィルタ120を、イコライザ110Lの後段に設けるようにしたが、イコライザ110Lの前段にフィルタ120を設けるようにしてもよい。すなわち、フィルタ120によって、左チャンネルの入力音声信号の位相を遅延した後、イコライザによって8kHz帯を強調するようにしてもよい。
以下、音声信号処理回路100の2つの変形例について説明する。
図5は、音声信号処理回路100の第1の変形例を示すブロック図である。
図5に示した音声信号処理回路100は、図1に示した音声信号処理回路100に、音像上昇機能をキャンセルするためのスイッチ130を付加したものである。スイッチ130は、入力端子131L、入力端子131R、バイパス端子132L、バイパス端子132R、および、制御信号入力端子133を備えている。
制御信号入力端子133から音像上昇機能を有効にするための有効信号が入力されると、スイッチ130は、入力端子131Lを入力部Linに接続し、入力端子131Lから入力された音声信号#1Lをイコライザ110Lに供給する。同時に、入力端子131Rを入力部Rinに接続し、入力端子131Rから入力された音声信号#1Lをイコライザ110Rに供給する。
一方、制御信号入力端子133から音像上昇機能を無効にするための無効信号が入力されると、スイッチ130は、入力端子131Lをバイパス端子132Lに接続し、入力端子131Lから入力された音声信号#1を、そのまま外部に出力する。同時に、入力端子131Rをバイパス端子132Rに接続し、入力端子131Rから入力された音声信号#1Rを、そのまま外部に出力する。これによって、音声信号処理回路100が有する音像上昇機能をキャンセルすることができる。
図6は、音声信号処理回路100の第2の変形例を示すブロック図である。
図6に示した音声信号処理回路100は、図5に示した音声信号処理回路100に、イコライザ110Lおよびイコライザ110Rの増幅特性を設定するための設定信号入力端子141Lおよび設定信号入力端子141R、ならびに、フィルタ120のフィルタ特性を設定するための設定信号入力端子142を付加したものである。
イコライザ110Rおよびイコライザ110Lは、上述したように、増幅特性を規定するパラメータとして中心周波数f、先鋭度Q、および、利得Gを設定可能なパラメトリックイコライザにより構成することができる。設定信号入力端子141Lは、イコライザ110Lにおいてこれらのパラメータを設定する設定信号を入力するための入力端子であり、設定信号入力端子141Rは、イコライザ110Rにおいてこれらのパラメータを設定する設定信号を入力するための入力端子である。
また、フィルタ120は、上述したように、フィルタ特性を規定するパラメータa(乗算器121の係数)を設定可能なオールパスフィルタにより構成することができる。設定信号入力端子142は、フィルタ120においてこのパラメータaを設定する設定信号を入力するための入力端子である。
図6に示した構成によれば、音声信号処理回路100を搭載する装置は、単に音声信号処理回路100の音像上昇機能をキャンセルするのみならず、イコライザ110Rおよびイコライザ110Lの増幅特性、および、フィルタ120のフィルタ特性を適宜調整することができ、音声信号処理回路100の音像上昇機能を制御することができる。
以上のように、本実施形態に係る音声信号処理装置(音声信号処理回路100)は、第1の音声信号の8kHzを含む帯域を強調する第1のイコライザと、第2の音声信号の上記帯域を強調する第2のイコライザと、上記第1のイコライザから出力された上記第1の音声信号、または、上記第1のイコライザに入力される上記第1の音声信号の位相を遅延するフィルタと、を備えている。
換言すれば、本実施形態に係る音声信号処理装置(音声信号処理回路100)は、8kHzを含む帯域が強調され、かつ、位相が遅延された第1の音声信号と、8kHzを含む帯域が強調され、かつ、位相が遅延されていない第2の音声信号とを出力する。
このため、音像の十分な上昇量を得ることができ、しかも、第1の音声信号と第2の音声信号との加算または減算に起因する音色の変化などの音質劣化が起こったり、リスナが左右に移動することによって音像定位が破綻したりすることがなく、また、アンダースピーカ型のテレビや、スピーカを内蔵したテレビ用ラックに適用した場合に、表示パネルの下方に配置された左右2つのスピーカの外側に音像が定位してしまうこともない。
〔実施形態2〕
本発明に係る表示装置の一実施形態について、図面に基づいて説明すれば以下のとおりである。なお、本実施形態の表示装置は、テレビジョン受像機として実現されているので、以下、これを「テレビ」と呼称し、参照符号200を付す。
図7は、テレビ200の正面図である。テレビ200は、図7に示したように、表示パネル210と、スピーカ220Lと、スピーカ220Rとを備えている。また、図示されてはいないが、図1に示した音声信号処理回路100を内蔵している。
図7に示したとおり、テレビ200は、アンダースピーカ型のテレビである。すなわち、スピーカ220Lとスピーカ220Rとは、表示パネル210の下方(正規の設置状態において床側)に配置されている。テレビ200は、表示パネル210に表示する映像に付随したステレオ音声を、これらのスピーカ220Lとスピーカ220Rとから出力する。
テレビ200は、チューナにて受信したステレオ音声信号(または、音声入力端子から入力されたステレオ音声信号)を音声信号処理回路100によって処理し、処理済のステレオ音声信号をスピーカ220Lとスピーカ220Rとに供給するよう構成されている。もちろん、音声信号処理回路100とスピーカ220Lおよびスピーカ220Rとの間にアンプ等が介在していてもよい。
左右のチャンネルの音声信号に共通のモノラル音声が含まれている場合、このモノラル音声の音像は、スピーカ220Lとスピーカ220Rの中央に定位にし、所謂ファントムセンターを形成する。しかも、スピーカ220Lとスピーカ220Rとに供給される音声信号は、音声信号処理回路100によって8kHz帯を強調された音声信号なので、視聴者は、上記モノラル音声の音像を、スピーカ220Lとスピーカ220Rの中点より上方に定位していると感じ易くなる。
しかも、左チャンネルの音声信号は、音声信号処理回路100によって位相を遅延されている。このため、スピーカ220Lから出力される上記モノラル音声とスピーカ220Rから出力される上記モノラル音声との相関が1より小さくなり、上記モノラル音声の音像は拡大される。したがって、視聴者は、上記モノラル音声の音像を、図8(a)にIMG10として示したように、表示パネル210と重なる位置に知覚する。
一方、左チャンネルの音声信号にのみ含まれているモノラル音声は、左側のスピーカ220Lのみから出力される。したがって、図8(a)にIMG11Lとして示したように、スピーカ220Lの周辺に定位する。また、右チャンネルの音声信号にのみ含まれているモノラル音声は、右側のスピーカ220Rからのみ出力される。したがって、図8(a)にIMG11Rとして示したように、スピーカ220Rの周辺に定位する。つまり、擬似サラウンドを利用した場合のように、音像IMG11Lおよび音像IMG11Rが表示パネル210の両翼に拡がり過ぎて映像との整合が崩れる虞はない。
また、視聴者がスピーカ220Lとスピーカ220Rとを底角とする二等辺三角形の頂点の位置から右に(または左)にずれた場合でも、左チャンネルの音声信号にのみ含まれているモノラル音声の音像は、図8(b)にIMG12Lとして示したように、やはり左側のスピーカ220Lの周辺に定位する。右チャンネルの音声信号のみに含まれているモノラル音声の音像も、図8(b)にIMG12Rとして示したように、やはり右側のスピーカ220Rの周辺に定位する。したがって、擬似サラウンドを利用した場合のように、音像IMG12Lおよび音像IMG12Rが右側(または左側)のスピーカ220L(または220R)の周辺に縮退して、視聴者に不自然な感じを抱かせる虞はない。
なお、本実施形態において、テレビ200は、音声信号処理回路100によって処理されたステレオ音声信号を出力するスピーカ220Lおよび220Rを内蔵しているものとしたが、テレビ200は、必ずしも、これらのスピーカ220Lおよび220Rを内蔵している必要はない。すなわち、音声信号処理回路100によって処理されたステレオ音声信号を外部に出力する出力端子を備え、これらの出力端子を介して出力したステレオ音声信号を、外付けのアンプや外付けのスピーカに供給するようにしてもよい。
なお、本実施形態においては、音声信号処理回路100を利用したAV機器の一例としてテレビを例示したが、音声信号処理回路100を利用可能なAV機器はテレビに限らない。例えば、テレビ(表示装置)を載置するためのラック、特に、そのテレビに表示する映像に付随したステレオ音声を出力するため一対のスピーカを内蔵したラック(「シアターラックシステム」あるいは「ラックスタイルオーディオ」などとも呼称されている)にも利用することができる。このようなラックに内蔵されたスピーカは、必然的にテレビの下方に位置することになる。このため、音声信号処理回路100をこのようなラックに内蔵するとともに、音声信号処理回路100によって処理されたステレオ音声信号を、このラックに内蔵されたスピーカから出力するようにすれば、アンダースピーカ型のテレビの場合と同様の効果を得ることができる。
〔付記事項〕
音声信号処理回路100は、デジタルシグナルプロセッサにより実現することができる。すなわち、音声信号処理回路100は、高速積和演算器やALU(arithmetic logical unit)等の演算装置と、その演算装置をイコライザ110L、イコライザ110R、および、フィルタ120として機能させる音声信号処理プログラムを担持したプログラムメモリ等の記憶装置とを備えたデジタルシグナルプロセッサとして構成することができる。
そして、本発明の目的は、上記音声信号処理プログラムがデジタルシグナルプロセッサのプログラムメモリに固定的に担持されている場合に限らず、上記音声信号処理プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、または、ソースプログラム)を汎用的なデジタルシグナルプロセッサに供給し、そのデジタルシグナルプロセッサが上記プログラムコードを実行することによっても、あるいは、上記プログラムコードを記録した記録媒体をAV機器に供給し、このAV機器が備えている汎用的なデジタルシグナルプロセッサが上記記録媒体に記録されている上記プログラムコードを読み出して実行することによっても、達成可能である。
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
また、デジタルシグナルプロセッサ(あるいは、デジタルシグナルプロセッサを備えたAV機器)を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して、そのデジタルシグナルプロセッサに供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態によっても実現され得る。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
すなわち、発明の詳細な説明の項においてなされた具体的な実施形態または実施例は、あくまでも、本発明の技術内容を明らかにするものであって、そのような具体例にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではなく、本発明の精神と次に記載する請求の範囲内で、いろいろと変更して実施することができるものである。
本発明は、ステレオ音声信号を処理する各種AV機器に対して、広く利用することができる。特に、アンダースピーカ型のテレビ、および、スピーカシステムを内蔵したテレビ用ラックに対して、とりわけ好適に利用することができる。

Claims (10)

  1. 第1の音声信号と第2の音声信号とを含むステレオ音声信号を処理する音声信号処理装置であって、
    上記第1の音声信号における8kHzを含む帯域を強調する第1のイコライザと、上記第2の音声信号における上記帯域を強調する第2のイコライザと、
    上記第1のイコライザから出力された上記第1の音声信号、または、上記第1のイコライザに入力される上記第1の音声信号の位相を遅延するフィルタと、を備えている、ことを特徴とする音声信号処理装置。
  2. 上記フィルタは、上記第1の音声信号の振幅を全可聴帯域に渡って不変に保つ、ことを特徴とする請求の範囲第1項に記載の音声信号処理装置。
  3. 上記フィルタは、周波数が低下するにつれて位相遅延量が単調に減少する周波数特性を有する、ことを特徴とする請求の範囲第1項または第2項に記載の音声信号処理装置。
  4. 第1の音声信号と第2の音声信号とを含むステレオ音声信号を処理する音声信号処理装置であって、
    8kHzを含む帯域が強調され、かつ、位相が遅延された第1の音声信号と、8kHzを含む帯域が強調され、かつ、位相が遅延されていない第2の音声信号とを含むステレオ音声信号を出力することを特徴とする音声信号処理装置。
  5. 第1の音声信号と第2の音声信号とを含むステレオ音声信号を処理する音声信号処理方法であって、
    上記第1の音声信号における8kHzを含む帯域を強調する第1のイコライジング工程と、上記第2の音声信号における上記帯域を強調する第2のイコライジング工程と、
    上記第1のイコライジング工程を経た後の上記第1の音声信号、または、上記第1のイコライジング工程を経る前の上記第1の音声信号の位相を遅延するフィルタリング工程と、を含んでいる、ことを特徴とする音声信号処理方法。
  6. 映像を表示する表示パネルと、上記映像に付随したステレオ音声を出力する一対のスピーカであって、上記表示パネルの下方に配置された一対のスピーカとを備えた表示装置において、
    請求の範囲第1項から第4項までの何れか1項に記載の音声信号処理装置を備え、上記音声信号処理装置によって処理されたステレオ音声信号を上記一対のスピーカに供給する、ことを特徴とする表示装置。
  7. 映像を表示する表示装置を載置するためのラックであって、上記映像に付随したステレオ音声を出力する一対のスピーカを備えた表示装置用ラックにおいて、
    請求の範囲第1項から第4項までの何れか1項に記載の音声信号処理装置を備え、上記音声信号処理装置によって処理されたステレオ音声信号を上記一対のスピーカに供給する、ことを特徴とするラック。
  8. デジタルシグナルプロセッサを、請求の範囲第1項から第3項までの何れか1項に記載の音声信号処理装置として動作させるためのプログラムであって、
    上記デジタルシグナルプロセッサを、上記音声信号処理装置が備えているイコライザおよびフィルタとして機能させるプログラム。
  9. 請求の範囲第8項に記載のプログラムが記録されている、デジタルシグナルプロセッサ読み取り可能な記録媒体。
  10. 請求の範囲第3項に記載の音声信号処理装置であって、上記フィルタは、1kHzにおいて位相遅延量が20°以下となる周波数特性を有するオールパスフィルタであることを特徴する音声信号処理装置。
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