JP5095182B2 - 顔分類装置、顔分類プログラム、及び該プログラムが記録された記録媒体 - Google Patents
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Description
本発明は、顔の立体感の調整がメーキャップによる美の演出に効果を有するという点に着目し、個々の顔の立体感を評価し、その結果を予め設定された分類マップにより分類し、分類したタイプにより立体感の調整を簡単に、且つ効率よく行い得るようにするものである。
次に、本発明における顔分類方法、顔分類装置、分類マップ、顔分類プログラム、及び該プログラムが記録された記録媒体を好適に実施した形態について、図面を用いて説明する。
まず、被験者の顔に関する評価情報を入力し、予め作成された分類マップに基づいて、マップ上のどの分類に属しているかを分析、評価し、更にメーキャップによる立体感の調整方法を表示するための顔分類装置の装置構成例について説明する。なお、後述する顔分類装置は、後述する分類マップの作成に係る解析処理等を行う際にも利用することができる。
次に、本発明における顔の分類法、及びメーキャップによる立体感の調整方法のガイドラインとして利用される分類マップについて、本発明に至るまでの各検討内容も含めて具体的に説明する。
<1−1.評価用語抽出のためのサンプル収集>
まず、顔を分類するための指標を構築する。顔全体の立体感を捉えるのにどのような表現が用いられているかを検討するため、顔の特徴が異なる人物の顔写真を収集した。具体的には、化粧品会社に勤務する20代から40代の女性21名の顔を、正面と斜め45度の向きから撮影をしたサンプルを収集した。
<1−2−1.立体感の認識の共通理解の検討>
本発明では、顔の立体感の特徴にしたがって、個々の顔を評価、分類することを特徴としている。そのために、立体感の認識に共通理解があることが前提となる。そこで、研究担当者4人の各自の基準で、「顔の立体感が似ている」と感じる顔写真同士をグループとしてまとめ、更に似ているグループを近くに配置し、その結果に共通性が認められるかを検討した。なお、検討には収集した上述の21名のサンプルの正面顔写真を用いた。
次に、グループ分けの際に着目した顔の類似特徴について、各自の写真分類を撮影しプリントした用紙に書き込みを行った。その結果、「顔全体の肉付き感と骨格感」、「顔の横幅と長さ」、「フェースラインの形状」、「ほおやひたいのスペースの広さ」等が着目されていることがわかった。また、標準的と判断される顔があることもわかった。この検討は、後の分析結果との整合性を考察する参考情報とした。
<1−3−1.表現用語の想起>
次に、顔の立体感の評価に適する表現用語について検討した。上述した21名分の顔写真を研究担当者4人で1枚ずつ観察し、顔の立体感、陰影感の特徴を主とし、顔を見て想起する事項を口頭で述べ、それを記録した。例えば「鼻が高い」、「ほおがぽっちゃり」、「顔が長い」等である。このとき、立体感に該当しないものでも、想起を抑制しないように自由に発言をさせた。ここで、図2は、顔写真から想起された特徴表現用語の一例を示す図である。実際には、想起された語数は282語であった。
次に、評価用語の適切性を検討するため、49の形容詞対と顔の輪郭形状の9表現を用いて、実際に顔の評価を行った。なお、評価は、上述した21名の顔画像のサンプルから、上述した<1−2−2.評価指標の推測>で仮定された指標の差が顕著な9名を対象とした。まず、図3に示す評価シートを用い、研究担当者4人で対象の評価を行った。なお、評価の段階は、中央(3)を「どちらともいえない」とする5段階とした。
ここで、実物と写真との評価の対応についても検討を行った。実物評価を行った対象9名について、同じ評価者4名が、同一人の写真を用いて評価した。ここで、図5は、実物と写真との評価結果の一例を示す図である。なお、図5は、対象者Ngに関する評価を示している。ここで、実物と写真との評価の結果、写真撮影時に顔の下に置いた反射板の反射率によっては、凹凸感がない方向に評価される傾向があった。また、反射率を弱めた撮影の場合、実物との乖離は小さくなることがわかった。
<1−5−1.顔評価実験>
ここで、顔の立体感を分析する指標を抽出するために、更に検討を行った。具体的には、選定した語による評価シートを用い、20代を中心とする40代までの一般モニターの34名の顔を実際に評価した。ここで、図6は、選定語に基づいた立体感の評価シートの一例を示す図である。なお、評価は、上述した研究担当者に加え美容技術者、商品開発担当者を含む4〜6名で行った。評価者の人数を増やしたのは、個人による評価のばらつきを回避するためである。ただし、評価項目については定義を共有し、評価のばらつきが小さくなるよう予め確認を行った。
次に、各評価者の評価結果の数値を入力し、表計算ソフト等で各対象者の平均評価得点を項目毎に算出した。また、この値を用いて因子分析を行った。ここで、因子分析とは、互いに相関のある変量の持つ情報を、少数個の潜在的な因子に縮約する統計的手法である。なお、ここでいう変量としては各項目の平均評価得点が該当する。したがって、因子分析を行うことで、相関のある項目をまとめ、少数個の評価因子を抽出することができる。
以上の結果を総合し、顔の立体感を評価するための分類マップを作成する。なお、作成に際しては、美容カウンセリング等の利便性、汎用性を考慮し、得られた指標を更に整理した。第1因子の立体感と第2因子の肉付き骨格感の因子は奥行き・骨格肉付き感とし、複合要素として一つにまとめた。また、第3因子の幅と第4因子の長さは、幅と長さの掛け合わせでスペースを表すと考え、スペースの要素として一つにまとめた。
<2−1.目指す立体感の抽出>
次に、立体感を調整し、美しさを演出する方法を抽出するため、どのような立体感が美しいと評価されるのかについて検討を行った。検討に際しては、(a)素顔、(b)肌の色むらを自然に整えた素顔風ベースメーク、(c)顔全体が平均顔のバランスに見えるよう立体感を調整した卵型ベースメークの各顔を用いる。
ここで、一般的な美人顔の条件として、卵型のフェースラインと黄金バランスがある。その黄金バランスでは、例えば目の位置は全頭高の約1/2、髪の生え際からあご先までのうち、生え際から1/3の位置に眉頭が、生え際から2/3の位置に小鼻が位置する。
次に、フェースラインの内側の立体感、すなわちインナーフェースラインを卵型に整える美容法を作成するため、調整仮説を立てた。ここで、平均顔で得られるアウターフェースラインとインナーフェースラインの形状を「ベストオーバル」と定義する。アウターフェースラインは、横幅対縦幅比がほぼ1:1.4の卵型形状(標準アウターフェースライン)である。「平均顔」のインナーフェースラインは、この標準アウターフェースラインと相似し、所定比率で縮小させた形状であり、横幅対縦幅比もほぼ1:1.4である。ここで、図17は、ベストオーバルの一例を示す図である。
上述した<1−5−1.顔評価実験>の顔評価を行った対象者について、調整仮説を適用して、フェースパウダーを用いて立体感を調整するメーキャップを施した。ここで用いたフェースパウダーは、光を注入し、骨格、肉付きを調整するフォーカスカラー2色、及び影で骨格、肉付きを矯正し、すっきりとした立体顔を作るモデリングカラー2色である。なお、フォーカスカラーについては、肌の色の明るさに応じて3種を用いた。また、メーキャップは、美容技術者が行った。
ここで、上述した検証を通じ、マップ上で判断される顔の位置によって、調整の方向性が異なることがわかった。つまり、メーキャップによる調整については、上述した図10に示したマップの軸に対応して示すことができ、これにより各顔の位置と調整方向を示すことができることがわかった。図21は、顔の奥行き・骨格肉付き感とスペースに基づいて分類した分類マップの第2の実施例を示す図である。
最後に、対象者にメーキャップによるベストオーバル調整法の仕上がりの評価をしてもらった。図23は、メーク仕上がりについての対象者の評価の一例を示す図である。図23に示すように、ベストオーバル調整法の仕上がりの評価をしてもらったところ、高い嗜好があることがわかった。仕上がりの好みは25名中23名が好ましい方向に評価し(好き:11名、やや好き:12名)と回答し、どちらともいえないが2名、嫌いとの回答者は0であった。
次に、本発明における分類マップを利用して、顔分類装置10により実行される被験者の顔の分類と、分類結果に基づくメーキャップの調整方法の表示までの一連のメーキャップ手順の一例についてフローチャートを用いて説明する。
11 入力装置
12 出力装置
13 ドライブ装置
14 補助記憶装置
15 メモリ
16 CPU
17 ネットワーク接続装置
18 撮像装置
19 記録媒体
20 アウターフェースライン
21 インナーフェースライン
22 ゾーン
Claims (7)
- 被験者の顔の立体感を分類する顔分類装置において、
前記被験者の顔画像を撮影する撮影手段と、
撮影した顔画像から少なくとも顔のスペース及び顔全体の奥行き・骨格肉付き感の2つの指標に基づいて、予め分類された少なくとも4種類のタイプの何れかに位置付けるための制御を行う制御手段と、
前記制御手段により分類された分類結果を、前記4種類のタイプが平面座標空間の各象限に位置付けられたマップ上に対応させて表示する表示手段とを有することを特徴とする顔分類装置。 - 前記制御手段は、
前記被験者の顔を評価するため、予め設定される平均顔と前記4種類のタイプの各代表顔を用いることを特徴とする請求項1に記載の顔分類装置。 - 前記制御手段は、
前記顔のスペースとしてのひたい、ほお、又はあごの縦幅と横幅のバランスを反映する顔の縦幅と横幅の比率の度合いを前記平均顔に基づいて評価し、また前記奥行き・骨格肉付き感がすっきりシャープである度合い又はふっくらソフトである度合いにより評価することを特徴とする請求項2に記載の顔分類装置。 - 前記表示手段は、
分類された顔の形態に基づいて前記平均顔が有する立体感の見え方に近づけるため、前記4種類の各タイプ毎に立体感をメーキャップで調整するための調整方法を表示することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の顔分類装置。 - 前記調整方法は、
前記平均顔の輪郭と相似し、所定比率で縮小させた横幅対縦幅比が1:1.35〜1.45となる形状に基づく調整を行うことを特徴とする請求項4に記載の顔分類装置。 - コンピュータを、請求項1乃至5の何れか1項に記載の顔分類装置が有する各手段として機能させるための顔分類プログラム。
- 請求項6に記載の顔分類プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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