JP5091497B2 - TBCE遺伝子またはCITED2遺伝子に特異的なsiRNAおよびその用途 - Google Patents

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Description

本発明は、TBCE遺伝子またはCITED2遺伝子に特異的なsiRNAおよびその用途に関する。
現在、様々なガンの治療薬として、オキサリプラチン等のプラチナを含む薬剤(以下、「抗ガン性白金複合体」ともいう)が臨床に使用されている(特許文献1、特許文献2参照)。しかしながら、これらの抗ガン性白金複合体は、優れた効能が期待されているものの、ガン細胞によっては、前記複合体に耐性を示すものがある。このため、抗ガン性白金複合体を用いた治療において、十分な効果が得られない場合が生じている。
現在、RNA干渉(RNA interference:RNAi)技術は、ライフサイエンスの研究において盛んに利用されており、特に、医薬品への応用やガンを含む種々の疾患治療への応用が期待されている。RNAiとは、二本鎖RNA(siRNA)によって、配列特異的にmRNAが分解され、その結果、遺伝子発現が抑制される現象をいい、標的遺伝子の発現抑制方法として確立されつつある。
特表2005−5152号公報 特開平6−211883号公報
本発明者らは、抗ガン性白金複合体に耐性を示すガン細胞に対してsiRNAを使用し、遺伝子レベルで前記耐性による影響を解除することにより、前記抗ガン性白金複合体の効果を発揮させることに着目した。
そこで、本発明は、抗ガン性白金複合体に耐性を示すガン細胞に対しても、前記複合体の効果を発揮することを可能とするsiRNAの提供を目的とする。
前記目的を達成するために、本発明のsiRNAは、TBCE遺伝子またはCITED2遺伝子を標的とする二本鎖siRNAであり、19塩基対と2塩基の3'末端オーバーハングとからなる21塩基の二本鎖siRNAであって、前記19塩基対の配列が、配列表の配列番号1から6のいずれかであることを特徴とする。なお、本発明において、前記19塩基対の配列が配列番号1から3のいずれかの配列であるsiRNAは、TBCE遺伝子を標的とし、前記19塩基対の配列が配列番号4から6のいずれかの配列であるsiRNAは、CITED2遺伝子を標的とする。
本発明者らは、抗ガン性白金複合体に耐性を示すガン細胞について鋭意研究を重ねた。その結果、(1)抗ガン性白金複合体であるシスプラチンに耐性を示す卵巣ガン細胞(KFR)において、Tublin specific chaperone E(TBCE)遺伝子およびCBP/P300−interacting transactivator(CITED2)遺伝子の発現量が、感受性卵巣ガン細胞(KF−1)と比較して、特異的に増加していること、ならびに、(2)抗ガン性白金複合体であるオキサリプラチンに耐性を示す胃ガン細胞(MKN74)において、TBCE遺伝子およびCITED2遺伝子の発現量が、感受性胃ガン細胞(MKN28)と比較して、特異的に増加していることをそれぞれ見出した。そこで、本発明者らは、これらの遺伝子の発現を抑制するsiRNAを設計し、これと共に抗ガン性白金複合体を前記耐性ガン細胞に投与することによって、抗ガン性白金複合体による効果を向上できることを確認し、本発明に到達した。なお、TBCE遺伝子およびCITED2遺伝子と、抗ガン性白金複合体に対するガン細胞の耐性との関係は、本発明者らが初めて見出したことである。
本発明の二本鎖siRNAによれば、抗ガン性白金複合体に対する耐性ガン細胞であっても、RNAi効果によりTBCE遺伝子やCITED2遺伝子の発現を抑制できるため、これによって前記耐性ガン細胞の抗ガン性白金複合体に対する耐性能を抑制できる。このため、前記抗ガン性白金複合体の効果を前記耐性ガン細胞に対しても十分に発揮させることができる。したがって、本発明の二本鎖siRNAによれば、抗ガン性白金複合体の十分な効果を発揮できなかった耐性ガン細胞に対しても適用が可能となるため、ガンの治療、ガン治療用の医薬組成物等として、臨床面で極めて有用である。
本発明における二本鎖siRNAは、前述のように、TBCE遺伝子またはCITED2遺伝子を標的とする二本鎖siRNAであり、19塩基対と2塩基の3'末端オーバーハングとからなる21塩基の二本鎖siRNAであり、前記19塩基対の配列が、配列表の配列番号1から6のいずれかであることを特徴とする。
TBCE遺伝子およびCITED2遺伝子としては、好ましくはヒトTBCE遺伝子、ヒトCITED2遺伝子である。TBCE遺伝子の配列は、例えば、GenBankアクセッション番号NM_001079515及びNM_003193等から入手可能である。また、CITED2遺伝子の配列は、例えば、GenBankアクセッション番号NM_006079等から入手可能である。
本発明において、「siRNA」とは、RNAiを媒介可能な短鎖のRNA分子であって、一般には、21塩基〜27塩基の二本鎖低分子RNAをいう。
本発明の二本鎖siRNAとしては、TBCE遺伝子を標的とする3種類の二本鎖siRNA、CITED2遺伝子を標的とする3種類の二本鎖siRNAがあげられる。これらのsiRNAは、それぞれ、19塩基対と2塩基の3'末端オーバーハングとからなる二本鎖siRNAである。TBCE遺伝子を標的とする2本鎖siRNAにおける前記19塩基対の配列、および、CITED2遺伝子を標的とする2本鎖siRNAにおける前記19塩基対の配列を、下記表1にそれぞれ示す。表1において、左欄が、それぞれのsiRNAのコードネームであり、中欄が、siRNAにおける19塩基対の配列、右欄が、配列表の配列番号を示す。
Figure 0005091497
本発明の21塩基オーバーハング二本鎖siRNAにおいて、前記3'末端のオーバーハングとは、5'末端から19merが相補的な配列である2本の21merのRNA鎖が対合して二本鎖を形成したとき、19塩基対の両端から突出する3'末端の2merの部分をいう。前記3'末端オーバーハングの2塩基の配列は、特に制限されないが、TT(−チミン・チミン)、AU(−アデニン・ウラシル)、AG(−アデニン・グアニン)等があげられる。また、siRNAのセンス鎖とアンチセンス鎖におけるオーバーハング部分が、同じ塩基配列でも、異なる塩基配列でもよい。例えば、センス鎖のオーバーハングがAG、アンチセンス鎖のオーバーハングがAUでもよいし、センス鎖のオーバーハングがAU、アンチセンス鎖のオーバーハングがAGでもよい。
なお、前記3’オーバーハングの2塩基の配列は、これに制限されず、RNAi効果や細胞増殖抑制効果に実質的に影響を及ぼさない範囲であれば、任意の天然核酸塩基(アデニン、グアニン、チミン、シトシン、ウラシシル)、並びに、天然及び人工の公知の修飾塩基であってもよい。また、前記3’末端オーバーハング部分のヌクレオチドは、通常、リボヌクレオチドを使用できるがこれに制限されず、RNAi効果や細胞増殖抑制効果に実質的に影響を及ぼさない範囲であれば、デオキシリボヌクレオチド、修飾リボヌクレオチド、その他の公知のヌクレオチド類似体を使用してもよい。さらに、本発明の21塩基オーバーハング二本鎖siRNAは、必要に応じて、前記3’末端オーバーハングに代えて、5’末端オーバーハングとしてもよい。
本発明の二本鎖siRNAは、例えば、その他の態様として、前記表1の配列番号1から6の配列において、1又は数個の塩基が修飾、置換、付加若しくは欠失し、かつ、TBCE遺伝子特異的またはCITED2遺伝子特異的なRNA干渉を誘導する二本鎖siRNAがあげられる。前記数個とは、例えば、2、3、4個である。
本発明の21塩基オーバーハング二本鎖siRNAの19塩基対の配列は、前記表1に記載のとおりであるが、この中でも、TBCE−3、CITED2−6が好ましい。また、これらのsiRNAは、いずれか一種類を使用してもよいし、二種類以上を併用してもよい。
本発明の二本鎖siRNAの製造方法は、インビトロで化学的又は酵素的に合成してもよく、また、インビボで合成してもよく、特に制限されないが、従来公知の方法により化学合成して製造することが好ましい。合成二本鎖siRNAであれば、例えば、濃度調節が容易であり、また、コンタミネーションの防止が容易であるため、安全性においても利点がある。例えば、本発明の21塩基オーバーハング二本鎖siRNAのTBCE−3を製造する場合、まず、配列番号3の配列の3’末端に2塩基のオーバーハングを加えた21merのRNA鎖と、前記配列番号3の配列と相補的な配列の3’末端に2塩基のオーバーハングを加えた21merのRNA鎖とをそれぞれ化学合成する。次に、前記2本のRNA鎖が対合する条件で対合させ、21塩基のオーバーハング二本鎖siRNAを得る。使用に際しては、必要に応じて、従来公知の方法により適宜精製することが好ましい。
このように、本発明の二本鎖siRNAは、配列表の配列番号1から6のいずれかの配列およびその相補配列に、それぞれ2塩基のオーバーハングを加えた2本のRNA鎖を合成する合成工程と、合成した前記2本のRNA鎖を対合して二本鎖RNAとする対合工程とを含む製造方法により製造できる。
次に、本発明の二本鎖siRNAの使用方法について説明する。本発明の二本鎖siRNAは、インビトロにおいて細胞や組織に対して使用できることに加えて、ヒトやヒトを除く哺乳類に対して臨床への応用が可能である。ヒトへの投与方法は、特に制限されず、目的部位に応じて、例えば、患部への注射、局所投与、患部や皮下へ埋め込む外科的処置等による投与が選択できる。また、投与部位に応じた従来公知のデリバリーシステムを利用してもよい。さらに、必要に応じて、本発明の二本鎖siRNAを発現するsiRNA発現ベクターを構築し、遺伝子治療技術を利用したデリバリーシステムを利用することもできる。
したがって、本発明の他の形態としては、本発明の二本鎖siRNAを使用することを特徴とするガンの治療方法があげられる。治療対象としては、特に制限されないが、ヒトおよびヒトを除く哺乳類等があげられ、ガン細胞としては、後述の通りである。
つぎに、本発明の阻害剤は、TBCE遺伝子またはCITED2遺伝子特異的阻害剤であって、本発明の前記二本鎖siRNAを含み、RNA干渉によりTBCE遺伝子またはCITED2遺伝子の発現を特異的に阻害することを特徴とする。本発明の阻害剤は、インビトロ、インビボのいずれで使用してもよく、その形態も特に制限されない。
本発明の医薬組成物は、ガン治療用の医薬組成物であって、本発明の二本鎖siRNAを含む医薬組成物である。本発明の医薬組成物は、本発明の二本鎖siRNAが、抗ガン性白金複合体に対する耐性を抑制することで、前記白金複合体の効果を発揮させることができる。このため、本発明の医薬組成物は、さらに抗ガン性白金複合体を含むことが好ましい。前記抗ガン性白金複合体としては、例えば、オキサリプラチン(以下、「L−OHP」という)、シスプラチン(以下、「CDDP」という)、Diplatin、カルボプラチン等があげられる。Diplatinは、オキサリプラチンをシスプラチンと反応させることによって合成した抗ガン性白金複合体であって、(cis−diammine)(l−1,2−cyclohexanediamine)(mu−dichloro)−diplatinum(II)oxalate、又は、[Pt2Cl2(NH32(L−dach)](COO)2(L−OHP/CDDP)で表される。なお、L−dachとは、1R,2R−cyclohexanediamineである。
本発明の医薬組成物において、治療対象となるガンは、特に制限されず、例えば、使用する抗ガン性白金複合体の種類に応じて適宜決定できる。具体例としては、直腸ガン、結腸ガン、睾丸腫瘍、膀胱ガン、腎盂腫瘍、尿管腫瘍、前立腺ガン、卵巣ガン、頭頚部ガン、肺ガン、食道ガン、子宮顎ガン、線維芽細胞種、胃ガン、乳ガン、肝臓ガン、悪性リンパ腫等があげられる。
本発明の医薬組成物は、さらに、薬学的に許容されるキャリアを含んでもよい。前記薬学的キャリアとしては、特に制限されないが、例えば、本発明の二本鎖siRNAが、標的の部位、組織、細胞等に侵入する効率を高めることができるキャリア(例えば、リポソーム、カチオンリポソーム等)があげられる。本発明の医薬組成物の剤形は、特に制限されず、例えば、注射剤、クリーム剤、軟膏、錠剤、懸濁剤等があげられる。また、投与方法も特に制限されず、例えば、注射、経口、局所、鼻内、直腸投与等があげられる。
つぎに、本発明のマーカーは、ガン細胞における抗ガン性白金複合体に対する耐性を示すマーカーであって、TBCE遺伝子のTBCEmRNA、CITED2遺伝子のCITED2mRNA、TBCEタンパク質、および、CITED2タンパク質からなる群から選択された少なくとも一つであることを特徴とする。本発明において「マーカー」とは、ガン細胞の抗ガン性白金複合体に対する耐性の目印になる物質を意味する。TBCEmRNAの塩基配列は、GenBankアクセッション番号NM_001079515及びNM_003193に登録されている。また、CITED2mRNAの塩基配列は、GenBankアクセッション番号NM_006079に登録されている。
本発明のマーカーの使用方法は、被検試料を準備する準備工程と、前記被検試料中における本発明のマーカーを検出する検出工程と、前記マーカーが陽性か否かを判定する判定工程とを含む。本発明において「陽性」とは、マーカーの測定値が、所定のしきい値より大きいことを意味する。このしきい値は、例えば、抗ガン性白金複合体に対する耐性ガン細胞と感受性ガン細胞とにおけるマーカーを測定し、これを統計的に処理することによって求めることができる。例えば、抗ガン性白金複合体(CDDP)に耐性を示す卵巣ガン細胞(KFR)は、感受性卵巣ガン細胞(KF−1)に比べて、TBCEmRNAの発現量が約13倍程度高く、CITED2mRNAの発現量が約2倍程度高くなるため、この値をしきい値とすることもできる。したがって、例えば、被検試料におけるmRNAマーカーの発現量を測定すれば、抗ガン性白金複合体に耐性(陽性)であるか、感受性(陰性)であるかを判定することが可能である。
マーカーの検出手段としては、特に制限されないが、mRNAの検出の場合、例えば、in situハイブリダイゼーション、ノーザンブロッティング、ドットプロット、RNaseプロテクションアッセイ、マイクロアレイを用いる方法、リアルタイムPCR法等のPCRを利用する方法等、従来公知の方法があげられる。タンパク質の検出の場合は、例えば、特異的な抗体を用いた免疫学的測定方法(例えば、ウエスタンブロット、ELISA、サンドウィッチELISA、免疫組織化学染色等)等があげられる。
本発明の検出キットは、本発明のマーカーを検出するための検出キットであって、前記TBCEmRNAまたはCITED2mRNAを検出するためのプローブ及びプライマーの少なくとも一方であるポリヌクレオチド、および、前記TBCEタンパク質またはCITED2タンパク質を検出するための抗体からなる群から選択される少なくとも一つを含む検出キットである。
以下に、本発明について、実施例を用いて説明する。
TBCE遺伝子を標的とするsiRNAまたはCITED2遺伝子を標的とするsiRNAと共に、抗ガン性白金複合体を耐性ガン細胞に投与し、抗ガン性白金複合体の効果の向上を確認した。なお、抗ガン性白金複合体としては、L−OHPおよびDiplatinを使用した。耐性ガン細胞としては、CDDP耐性卵巣ガン細胞(KFR)を使用した。
(siRNA)
使用した二本鎖siRNAについて、19塩基対の配列とオーバーハング部分の2塩基の配列とを、下記表2および表3に示す。下記表2は、TBCE遺伝子を標的とする二本鎖siRNA、表3は、CITED2遺伝子を標的とする2本鎖siRNAの配列である。また、表2および3において、コードネームとは、それぞれのsiRNAのコードネームであり、コードネームにおいて「S」がセンス鎖、「AS」がアンチセンス鎖を示し、「OH」とは、3'末端のオーバーハングの2塩基を示し、配列番号とは、19塩基対の配列番号を示す。
Figure 0005091497
Figure 0005091497
(抗ガン性白金複合体溶液)
L−OHPを溶媒に混合し、L−OHP液を調製した。また、Diplatinを溶媒に混合し、Diplatin液を調製した。
(方法)
細胞へのsiRNAトランスフェクションは、QIAGEN社のRNAi Starter kitを用いて、そのプロトコールに従って行った。
まず、トランスフェクション前日、細胞を培地に懸濁し、懸濁液0.5mlを24ウェルプレートに撒き、5%CO2雰囲気下で培養した。
トランスフェクション当日、1μgのsiRNAを培地で100μlに希釈し、これに前記キットの試薬RNAiFect Transfection Reagent(6μl)を混合した。この混合液を、トランスフェクションコンプレックス形成のため、室温で10〜15分間インキュベートした。他方、細胞を培養しているプレートのウェルより培地を吸引除去し、新たな培地300μlを添加した。そして、ウェル中の細胞に、インキュベートにより得られたトランスフェクションコンプレックス(1滴)と、抗ガン性白金複合体溶液とを添加し、プレートを静かにまわしてトランスフェクションコンプレックスと抗ガン性白金複合体の分布を均一にした。そして、5%CO2雰囲気下、細胞をトランスコンプレックスとインキュベートした。そして、細胞の生存率を確認した。
siRNAは、TBCE−1、TBCE−2、TBCE−3、CITED2−4、CITED2−5、CITED2−6をそれぞれ単独で、または、2種類もしくは3種類組合せて使用した。siRNAを2種類以上組合せた場合には、合計1μgのsiRNAを培地で100μlに希釈した。
トランスフェクションコンプレックスおよび抗ガン性白金複合体溶液を添加しない以外は同様に培養を行ったものをコントロールとし、トランスフェクションコンプレックスを添加しない以外は同様に培養を行ったものを比較例とした。そして、コントロールの生存細胞を100%とした場合の相対的な割合を生存率(%)とした。この結果を図1および図2のグラフに示す。図1は、siRNAとL−OHP(0.2μg/ml)を併用した際のKFR細胞の生存率を示すグラフである。また、図2は、siRNAとDiplatin(4μg/ml)を併用した際のKFR細胞の生存率を示すグラフである。また、両図において「siRNA(−)」は、抗ガン性白金複合体を添加し、siRNAを添加していない比較例である。
両図に示すように、TBCE遺伝子を標的とするsiRNAまたはCITED2遺伝子を標的とするsiRNAを、L−OHPまたはDiplatinと併用した場合、コントロールおよび比較例siRNA(−)に比べて、細胞の生存率が減少した。すなわち、siRNAとの併用によって、L−OHPやDiplatinに対する耐性が抑制され、効率よく抗ガン作用が発揮されているといえる。
以上のように、本発明の二本鎖siRNAによれば、抗ガン性白金複合体に対する耐性ガン細胞であっても、RNAi効果によりTBCE遺伝子やCITED2遺伝子の発現を抑制し、これによって前記耐性ガン細胞の抗ガン性白金複合体に対する耐性能を抑制できる。このため、前記抗ガン性白金複合体の効果を前記耐性ガン細胞に対しても十分に発揮させることができる。したがって、本発明の二本鎖siRNAによれば、抗ガン性白金複合体の十分な効果を発揮できなかった耐性ガン細胞に対しても適用が可能となるため、ガンの治療、ガン治療用の医薬組成物等として、臨床面で極めて有用である。
図1は、本発明の二本鎖siRNAを併用することによるL−OHPの抗ガン作用を、細胞の生存率により確認した結果を示すグラフである。 図2は、本発明の二本鎖siRNAを併用することによるDiplatinの抗ガン作用を、細胞の生存率により確認した結果を示すグラフである。
配列番号1 オーバーハングsiRNA TBCE−1
配列番号2 オーバーハングsiRNA TBCE−2
配列番号3 オーバーハングsiRNA TBCE−3
配列番号4 オーバーハングsiRNA CITED2−4
配列番号5 オーバーハングsiRNA CITED2−5
配列番号6 オーバーハングsiRNA CITED2−6

Claims (7)

  1. 抗ガン性白金複合体に耐性を有するガン細胞の耐性能を抑制するためのガン治療用の医薬組成物であって、
    TBCE遺伝子またはCITED2遺伝子を標的とする二本鎖siRNAを含み、
    前記二本鎖siRNAは19塩基対と2塩基の3'末端オーバーハングとからなる21塩基の二本鎖siRNAであり、
    前記19塩基対の配列が配列表の配列番号1から6のいずれかである、
    医薬組成物。
  2. 前記3'末端オーバーハング部分の2塩基の配列が、TT、AUおよびAGからなる群から選択された少なくとも一つの配列である請求項1記載の医薬組成物
  3. 配列表の配列番号1から6の配列において、1もしくは数個の塩基が修飾、置換、付加もしくは欠失し、かつ、TBCE遺伝子特異的またはCITED2遺伝子特異的なRNA干渉を誘導する請求項1または2に記載の医薬組成物
  4. さらに、抗ガン性白金複合体を含む請求項1から3のいずれかに記載の医薬組成物。
  5. 前記抗ガン性白金複合体が、オキサリプラチン、シスプラチン、Diplatinおよびカルボプラチンからなる群から選択された少なくとも一つの複合体である請求項4記載の医薬組成物。
  6. 治療対象のガンが、直腸ガン、結腸ガン、睾丸腫瘍、膀胱ガン、腎盂腫瘍、尿管腫瘍、前立腺ガン、卵巣ガン、頭頚部ガン、肺ガン、食道ガン、子宮顎ガン、線維芽細胞種、胃ガン、乳ガン、肝臓ガンおよび悪性リンパ腫からなる群から選択された少なくとも一つである請求項1から5のいずれかに記載の医薬組成物。
  7. ガン細胞が抗ガン性白金複合体に耐性(陽性)であるか感受性(陰性)であるかを判定する方法であって、
    被検試料におけるTBCE遺伝子のTBCEmRNA又はCITED2遺伝子のCITED2mRNAの発現量を測定し、その値が、所定のしきい値より大きい場合に陽性と判定することを含む、判定方法。
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