JP6632074B2 - 癌細胞増殖抑制剤、癌細胞移動抑制剤、及び医薬 - Google Patents

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Description

本発明は、癌の予防乃至治療に好適に用いることができる二本鎖核酸分子、該二本鎖核酸分子を含むDNA及びベクター、該二本鎖核酸分子、DNA、及びベクターの少なくともいずれかを含む癌細胞増殖抑制剤及び癌細胞移動抑制剤、並びに該癌細胞増殖抑制剤及び癌細胞移動抑制剤の少なくともいずれかを含む医薬に関する。
癌の中で、乳癌は女性が罹患する最も頻度の高い癌であり、食生活の欧米化及び人口の高齢化に伴い、患者数は近年増加し続けている。
乳癌の治療技術として、臨床的には、乳腺摘出術を始めとする外科的治療、抗癌剤による化学療法、及び放射線治療が広く応用されている。
乳腺上皮は、女性ホルモンであるエストロゲンの作用により増殖するため、エストロゲン受容体陽性の乳癌においても、エストロゲン依存性に増殖が刺激される。そのため、一般に、エストロゲン感受性が予想されるエストロゲン受容体陽性又はプロゲステロン受容体陽性の腫瘍に対しては、抗エストロゲン薬や、エストロゲン産生阻害をもたらすアロマターゼ阻害薬によるホルモン療法が行われている。また、進行乳癌においてもホルモン療法が行われている。
一方、当初ホルモン療法に有効性が認められる乳癌であっても、治療過程において耐性を獲得することが問題となっている(例えば、非特許文献1参照)。その原因として、エストロゲン枯渇状態後に起こりうるエストロゲン受容体の過剰発現や活性化、本来エストロゲン受容体標的因子であって癌増殖をもたらす分子の作用が耐性獲得後も増強するなどが考えられている。
よって、エストロゲンシグナルの下流分子であって、特に癌増殖に結びつく因子を標的とした治療は、従来のホルモン療法に代わる効果的な治療技術として期待されている。
しかしながら、ホルモン療法耐性の詳細な分子メカニズムは未だ明らかではなく、耐性獲得後の乳癌及び治療抵抗性乳癌に対する十分な治療法は、未だ開発されていない。
また、エストロゲン受容体陰性乳癌のうち、増殖因子のHER2分子が陽性の腫瘍に対しては、HER2に対するモノクローナル抗体療法などの分子標的療法も行われている。しかし、エストロゲン受容体陰性、プロゲステロン受容体陰性、HER2陰性の乳癌に対しては、有効な治療法がないのが現状である。
以上のように、従来の治療技術だけでは限界があり、従来の乳癌治療技術に対して有効性が認められない難治性乳癌を含む乳癌を抑制する方法の速やかな開発が強く求められているのが現状である。
また、乳癌以外の癌についても、癌を抑制する方法の速やかな開発が強く求められているのが現状である。
Musgrove EA, Sutherland RL. Biological determinants of endocrine resistance in breast cancer. Nat Rev Cancer. 9:631−643, 2009
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、配列番号:1〜4で表される塩基配列及びその一部の少なくともいずれかを含む非コードRNAを標的として、これらの非コードRNAの発現を抑制することにより、癌細胞の増殖を効果的に抑制することができ、癌の予防乃至治療に好適に用いることができる二本鎖核酸分子、該二本鎖核酸分子を含むDNA及びベクター、該二本鎖核酸分子、DNA、及びベクターの少なくともいずれかを含む癌細胞増殖抑制剤及び癌細胞移動抑制剤、並びに該癌細胞増殖抑制剤及び癌細胞移動抑制剤の少なくともいずれかを含む医薬を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 非コードRNAの発現を抑制するための二本鎖核酸分子であって、
前記二本鎖核酸分子が、
(a)配列番号:5〜11、及び26〜31のいずれかで表される標的配列に対応するヌクレオチド配列を含むセンス鎖と、
(b)前記(a)のセンス鎖と二本鎖を形成する該センス鎖に相補的なヌクレオチド配列を含むアンチセンス鎖とを含み、
前記非コードRNAが、配列番号:1〜4で表される塩基配列及びその一部の少なくともいずれかを含むことを特徴とする二本鎖核酸分子である。
<2> 前記<1>に記載の二本鎖核酸分子をコードするヌクレオチド配列を含むことを特徴とするDNAである。
<3> 前記<2>に記載のDNAを含むことを特徴とするベクターである。
<4> 前記<1>に記載の二本鎖核酸分子、前記<2>に記載のDNA、及び前記<3>に記載のベクターの少なくともいずれかを含むことを特徴とする癌細胞増殖抑制剤である。
<5> 癌細胞に、前記<4>に記載の癌細胞増殖抑制剤を作用させることを特徴とする癌細胞の増殖抑制方法である。
<6> 前記<1>に記載の二本鎖核酸分子、前記<2>に記載のDNA、及び前記<3>に記載のベクターの少なくともいずれかを含むことを特徴とする癌細胞移動抑制剤である。
<7> 癌細胞に、前記<6>に記載の癌細胞移動抑制剤を作用させることを特徴とする癌細胞の移動抑制方法である。
<8> 癌を予防乃至治療するための医薬であって、前記<4>に記載の癌細胞増殖抑制剤、及び前記<6>に記載の癌細胞移動抑制剤の少なくともいずれかを含むことを特徴とする医薬である。
<9> 個体に、前記<8>に記載の医薬を投与することを特徴とする癌の予防乃至治療方法である。
本発明によると、従来における前記諸問題を解決することができ、配列番号:1〜4で表される塩基配列及びその一部の少なくともいずれかを含む非コードRNAを標的として、これらの非コードRNAの発現を抑制することにより、癌細胞の増殖を効果的に抑制することができ、癌の予防乃至治療に好適に用いることができる二本鎖核酸分子、該二本鎖核酸分子を含むDNA及びベクター、該二本鎖核酸分子、DNA、及びベクターの少なくともいずれかを含む癌細胞増殖抑制剤及び癌細胞移動抑制剤、並びに該癌細胞増殖抑制剤及び癌細胞移動抑制剤の少なくともいずれかを含む医薬を提供することができる。
図1Aは、試験例2−1−1におけるTMPO−AS1の発現を解析した結果を示す図である。 図1Bは、試験例2−1−2におけるTMPO−AS1の発現を解析した結果を示す図である。 図1Cは、試験例2−1−3におけるTMPO−AS1の発現を解析した結果を示す図である。 図1Dは、試験例2−1−4におけるTMPO−AS1の発現を解析した結果を示す図である。 図1Eは、試験例2−1−5におけるTMPO−AS1の発現を解析した結果を示す図である。 図2Aは、試験例2−2−1におけるCOL18A1−ASxの発現を解析した結果を示す図である。 図2Bは、試験例2−2−2におけるCOL18A1−ASxの発現を解析した結果を示す図である。 図2Cは、試験例2−2−3におけるCOL18A1−ASxの発現を解析した結果を示す図である。 図2Dは、試験例2−2−4におけるCOL18A1−ASxの発現を解析した結果を示す図である。 図2Eは、試験例2−2−5におけるCOL18A1−ASxの発現を解析した結果を示す図である。 図3Aは、試験例3−1におけるTMPO−AS1(配列番号:1)の発現レベルの結果を示すグラフである。 図3Bは、試験例3−2の細胞増殖試験の結果を示すグラフである。 図3Cは、試験例3−3におけるTMPO−AS1(配列番号:1)の発現レベルの結果を示すグラフである。 図3Dは、試験例3−4の細胞増殖試験の結果を示すグラフである。 図3Eは、試験例3−5におけるTMPO−AS1(配列番号:1)の発現レベルの結果を示すグラフである。 図3Fは、試験例3−6の細胞増殖試験の結果を示すグラフである。 図4Aは、試験例4−1におけるCOL18A1−ASx(配列番号:2〜4)の発現レベルの結果を示すグラフである。 図4Bは、試験例4−2の細胞増殖試験の結果を示すグラフである。 図4Cは、試験例4−3におけるCOL18A1−ASx(配列番号:2〜4)の発現レベルの結果を示すグラフである。 図4Dは、試験例4−4の細胞増殖試験の結果を示すグラフである。 図4Eは、試験例4−5におけるCOL18A1−ASx(配列番号:2〜4)の発現レベルの結果を示すグラフである。 図4Fは、試験例4−6の細胞増殖試験の結果を示すグラフである。 図5Aは、試験例5で撮影した代表的な腫瘍の状態を示す図である。 図5Bは、試験例5における腫瘍体積の推移を示すグラフである。 図6Aは、試験例6−1の細胞移動試験の結果を示すグラフである。 図6Bは、試験例6−2の細胞移動試験の結果を示すグラフである。 図7Aは、試験例7で撮影した代表的な腫瘍の状態を示す図である。 図7Bは、試験例7における腫瘍体積の推移を示すグラフである。
(二本鎖核酸分子)
本発明の二本鎖核酸分子は、非コードRNAの発現を抑制するための二本鎖核酸分子であって、(a)配列番号:5〜11、及び26〜31のいずれかで表される標的配列に対応するヌクレオチド配列を含むセンス鎖と、(b)前記(a)のセンス鎖と二本鎖を形成する該センス鎖に相補的なヌクレオチド配列を含むアンチセンス鎖とを含むことを特徴とする。
なお、本発明において「二本鎖核酸分子」とは、所望のセンス鎖とアンチセンス鎖とがハイブリダイズしてなる二本鎖の核酸分子をいう。
<非コードRNA>
前記非コードRNAは、配列番号:1〜4で表される塩基配列及びその一部の少なくともいずれかを含む。
前記非コードRNAは、後述する試験例で示すように、エストロゲン依存性に発現誘導される。
−TMPO−AS1−
前記配列番号:1で表される塩基配列は、TMPO−AS1の塩基配列である。前記TMPO−AS1は、TMPO(thymopoietin)遺伝子のアンチセンス転写物と考えられる。
前記TMPO−AS1の配列情報は、RefSeqデータベース(NCBI Reference Sequence database)などの公共のデータベースを通じて容易に入手することができる。前記配列番号:1で表される塩基配列は、RefSeqデータベースにおいて、「Homo sapiens TMPO antisense RNA 1(TMPO−AS1), long non−coding RNA」として登録されており(NR_027157.1;gi 224548948)、RNA長が3,161bp、ゲノム位置がchr12:98906751−98910004(hg19)である。
−COL18A1−ASx−
前記配列番号:2〜4で表される塩基配列は、COL18A1−ASxの塩基配列である。前記COL18A1−ASxは、COL18A1遺伝子のアンチセンス転写物であるCOL18A1−AS2の近傍でCOL18A1の転写開始点のすぐ上流にアンチセンス方向に位置し、かつエストロゲン受容体α結合領域上に存在する。
前記COL18A1−ASxの配列情報は、RefSeqデータベース(NCBI Reference Sequence database)などの公共のデータベースを通じて容易に入手することができる。
前記COL18A1−ASxは、RefSeqデータベースに「Homo sapiens uncharacterized LOC101928745」として、以下の3種類のバリアント体が登録されている。
(1)LOC101928745, transcript variant X1, ncRNA(XR_254050.1;gi 530438803)
推定RNA長が746bp(配列番号:2参照)、ゲノム位置がchr21:46823724−46825332である。
(2)LOC101928745, transcript variant X2, ncRNA(XR_254051.1;gi 530438804)
推定RNA長が1,121bp(配列番号:3参照)、ゲノム位置がchr21:46823724−46826253である。
(3)LOC101928745, transcript variant X3, misc_RNA(XR_254052.1;gi 530438805)
推定RNA長が806bp(配列番号:4参照)、ゲノム位置がchr21:46823724−46824845である。
なお、後述する試験例で示すように、前記COL18A1−ASxは、RNAシーケンスにおいて、配列番号:2の170番目〜746番目の領域、配列番号:3の545番目〜1,121番目の領域、又は配列番号:4の230番目〜806番目の領域の発現が確認された。
そのため、前記非コードRNAは、前記配列番号:2〜4で表される塩基配列の一部である、配列番号:2の170番目〜746番目の領域、配列番号:3の545番目〜1,121番目の領域、又は配列番号:4の230番目〜806番目の領域を含むものであってもよい。
本発明では、前記配列番号:1〜4で表される塩基配列及びその一部の少なくともいずれかを含む非コードRNAが、前記二本鎖核酸分子の標的となり、前記二本鎖核酸分子によってその発現が抑制されることから、本明細書中において前記非コードRNAを、前記二本鎖核酸分子の「標的RNA」と称することがある。
前記配列番号:1〜4で表される塩基配列及びその一部の少なくともいずれかを含む非コードRNAは、前記配列番号:1〜4で表される塩基配列及びその一部の少なくともいずれかからなるものであってもよい。
<センス鎖、アンチセンス鎖>
本発明者らは、鋭意検討の結果、前記配列番号:1〜4で表される塩基配列及びその一部の少なくともいずれかを含む非コードRNA配列の中でも、ある特定の標的配列(配列番号:5〜11、及び26〜31のいずれか)に相補的なヌクレオチド配列を含むアンチセンス鎖を含む二本鎖核酸分子が、前記非コードRNAに対して顕著に優れた発現抑制効果を有することを見出した。したがって、本発明の二本鎖核酸分子は、(a)配列番号:5〜11、及び26〜31のいずれかで表される標的配列に対応するヌクレオチド配列を含むセンス鎖と、(b)前記(a)のセンス鎖と二本鎖を形成する該センス鎖に相補的なヌクレオチド配列を含むアンチセンス鎖とを含むものである。
ここで、前記センス鎖及び前記アンチセンス鎖は、RNA鎖であってもよいし、RNA−DNAキメラ鎖であってもよい。前記センス鎖と前記アンチセンス鎖とは、互いにハイブリダイズすることで前記二本鎖核酸分子を形成することができる。
なお、前記配列番号:5〜11、及び26〜31のうち、配列番号:5〜11は前記TMPO−AS1の一部であり、配列番号:26〜31は前記COL18A1−ASxの一部である。
前記二本鎖核酸分子の中でも、前記センス鎖が、配列番号:5、6、9、10、27、28、29、30、及び31のいずれかで表される標的配列に対応するヌクレオチド配列を含むセンス鎖であることが好ましく、配列番号:6、及び28のいずれかで表される標的配列に対応するヌクレオチド配列を含むセンス鎖であることがより好ましい。
前記センス鎖が、前記好ましいセンス鎖であると、前記二本鎖核酸分子の使用量が少量であっても、前記標的RNAに対する強い発現抑制効果が得られる点で、有利である。
なお、前記二本鎖核酸分子におけるセンス鎖は、前記所定の配列番号の標的配列に対応するヌクレオチド配列を含んでいればよく、その他のヌクレオチド配列を含んでいてもよいが、前記所定の配列番号の標的配列に対応するヌクレオチド配列からなることが好ましい。
また、前記二本鎖核酸分子におけるアンチセンス鎖は、前記センス鎖とハイブリダイズすることができる程度に相補的なヌクレオチド配列を含んでいればよく、その他のヌクレオチド配列を含んでいてもよいが、前記センス鎖に相補的なヌクレオチド配列を70%以上含むことが好ましく、80%以上含むことがより好ましく、90%以上含むことが特に好ましい。
<種類>
前記二本鎖核酸分子の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、二本鎖RNA(double−stranded RNA:dsRNA)、二本鎖RNA−DNAキメラなどが挙げられる。これらの中でも、二本鎖RNAが好ましい。
ここで、「二本鎖RNA」とは、センス鎖及びアンチセンス鎖のいずれもがRNA配列で構成されてなる二本鎖核酸分子をいい、「二本鎖RNA−DNAキメラ」とは、センス鎖及びアンチセンス鎖のいずれもがRNAとDNAとのキメラ配列で構成されてなる二本鎖核酸分子をいう。
前記二本鎖RNAは、siRNA(small interfering RNA)であることが特に好ましい。ここで、siRNAとは、18塩基長〜29塩基長の小分子二本鎖RNAであり、前記siRNAのアンチセンス鎖(ガイド鎖)と相補的な配列をもつ標的RNAを切断し、標的RNAの発現を抑制する機能を有する。
前記siRNAは、前記したようなセンス鎖及びアンチセンス鎖を有し、かつ前記標的RNAの発現を抑制し得るものであれば、その末端構造に特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記siRNAは、平滑末端を有するものであってもよいし、突出末端(オーバーハング)を有するものであってもよい。中でも、前記siRNAは、各鎖の3’末端が2塩基〜6塩基突出した構造を有することが好ましく、各鎖の3’末端が2塩基突出した構造を有することがより好ましい。
前記siRNAの具体例としては、配列番号:12と配列番号:13とからなるsiRNA、配列番号:14と配列番号:15とからなるsiRNA、配列番号:16と配列番号:17とからなるsiRNA、配列番号:18と配列番号:19とからなるsiRNA、配列番号:20と配列番号:21とからなるsiRNA、配列番号:22と配列番号:23とからなるsiRNA、配列番号:24と配列番号:25とからなるsiRNA、配列番号:32と配列番号:33とからなるsiRNA、配列番号:34と配列番号:35とからなるsiRNA、配列番号:36と配列番号:37とからなるsiRNA、配列番号:38と配列番号:39とからなるsiRNA、配列番号:40と配列番号:41とからなるsiRNA、配列番号:42と配列番号:43とからなるsiRNAなどが挙げられる。
これらの中でも、配列番号:12と配列番号:13とからなるsiRNA、配列番号:14と配列番号:15とからなるsiRNA、配列番号:20と配列番号:21とからなるsiRNA、配列番号:22と配列番号:23とからなるsiRNA、配列番号:34と配列番号:35とからなるsiRNA、配列番号:36と配列番号:37とからなるsiRNA、配列番号:38と配列番号:39とからなるsiRNA、配列番号:40と配列番号:41とからなるsiRNA、配列番号:42と配列番号:43とからなるsiRNAが好ましく、配列番号:14と配列番号:15とからなるsiRNA、配列番号:36と配列番号:37とからなるsiRNAがより好ましい。
また、前記二本鎖RNAは、shRNA(short hairpin RNA)であってもよい。ここで、shRNAとは、18塩基〜29塩基程度のdsRNA領域と3塩基〜9塩基程度のloop領域を含む一本鎖RNAであるが、shRNAは、生体内で発現されることにより、塩基対を形成してヘアピン状の二本鎖RNAとなる。その後、shRNAはDicer(RNase III酵素)により切断されてsiRNAとなり、標的RNAの発現抑制に機能することができる。
前記shRNAの末端構造としても、前記siRNA同様、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、平滑末端を有するものであってもよいし、突出末端(オーバーハング)を有するものであってもよい。
また、前記二本鎖RNA−DNAキメラは、キメラsiRNAであることが特に好ましい。ここで、キメラsiRNAとは、siRNAのRNA配列の一部がDNAに変換された、18塩基長〜29塩基長の小分子二本鎖RNA−DNAキメラをいう。中でも、siRNAのセンス鎖の3’側の8塩基、及び、アンチセンス鎖の5’側の6塩基がDNAに変換された、21塩基長〜23塩基長の小分子二本鎖RNA−DNAキメラであることが好ましい。前記キメラsiRNAは、前記siRNAと同様に、標的RNAの発現を抑制する機能を有する。なお、前記キメラsiRNAには、DNAに変換された配列の一部をRNAに再度変換した態様も含まれる。
前記キメラsiRNAの末端構造としても、前記siRNA同様、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、平滑末端を有するものであってもよいし、突出末端(オーバーハング)を有するものであってもよい。
前記キメラsiRNA(二本鎖RNA−DNAキメラ)は、血中安定性が高い、免疫応答誘導性が低い、製造コストが低いなどの点で、有利である。
<修飾>
また、前記二本鎖核酸分子は、目的に応じて、適宜修飾を有していてもよい。例えば、核酸分解酵素(ヌクレアーゼ)に対する耐性を付与し、培養液中や生体中における安定性を向上させる等の目的から、前記二本鎖核酸分子に、2’O−methyl化修飾や、ホスホロチオエート化(S化)修飾、LNA(Locked Nucleic Acid)修飾等を施すことができる。また、例えば、細胞への導入効率を高める等の目的から、前記二本鎖核酸分子のセンス鎖の5’端、或いは3’端に、ナノ粒子、コレステロール、細胞膜通過ペプチド等の修飾を施すこともできる。なお、前記二本鎖核酸分子にこのような修飾を施す方法としては、特に制限はなく、従来公知の手法を適宜利用することができる。
<入手方法>
前記二本鎖核酸分子の入手方法としては、特に制限はなく、それぞれ従来公知の手法に基づき作製することができる。
例えば、前記siRNAは、所望のセンス鎖とアンチセンス鎖とに相当する18塩基長〜29塩基長の一本鎖RNAを、それぞれ既存のDNA/RNA自動合成装置等を利用して化学的に合成し、それらをアニーリングすることにより作製することができる。また、アニーリング済の二本鎖siRNAの市販品を入手することもできるし、siRNA合成受託会社に合成を依頼することにより入手することもできる。また、後述する本発明のベクターのような、所望のsiRNA発現ベクターを構築し、前記発現ベクターを細胞内に導入することにより、細胞内の反応を利用してsiRNAを作製することもできる。
また、前記キメラsiRNAは、例えば、キメラ核酸分子であるセンス鎖とアンチセンス鎖とをそれぞれ化学合成し、それらをアニーリングすることにより、作製することができる。
(DNA、ベクター)
本発明のDNAは、前記した本発明の二本鎖核酸分子をコードするヌクレオチド配列を含むDNAであり、また、本発明のベクターは、前記DNAを含むベクターである。
<DNA>
前記DNAとしては、前記した本発明の二本鎖核酸分子をコードするヌクレオチド配列を含むDNAであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記二本鎖核酸分子をコードするヌクレオチド配列の上流(5’側)に、前記二本鎖核酸分子の転写を制御するためのプロモーター配列が連結されていることが好ましい。前記プロモーター配列としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、CMVプロモーター等のpol II系プロモーター、H1プロモーター、U6プロモーター等のpol III系プロモーターなどが挙げられる。
また、更に、前記二本鎖核酸分子をコードするヌクレオチド配列の下流(3’側)に、前記二本鎖核酸分子の転写を終結させるためのターミネーター配列が連結されていることがより好ましい。前記ターミネーター配列としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記プロモーター配列、前記二本鎖核酸分子をコードするヌクレオチド配列、及び前記ターミネーター配列を含む転写ユニットは、前記DNAにおける好ましい一態様である。なお、前記転写ユニットは、従来公知の手法を用いて構築することができる。
<ベクター>
前記ベクターとしては、前記DNAを含むものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、プラスミドベクター、ウイルスベクターなどが挙げられる。前記ベクターは、前記二本鎖核酸分子を発現可能な発現ベクターであることが好ましい。
前記二本鎖核酸分子の発現様式としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば二本鎖核酸分子としてsiRNAを発現させる方法として、短い一本鎖RNAを二本発現させる方法(タンデム型)、shRNAとしての一本鎖RNAを発現させる方法(ヘアピン型)等が挙げられる。
前記タンデム型siRNA発現ベクターは、前記siRNAを構成するセンス鎖をコードするDNA配列と、アンチセンス鎖をコードするDNA配列とを含み、かつ、各鎖をコードするDNA配列の上流(5’側)にプロモーター配列がそれぞれ連結され、また、各鎖をコードするDNA配列の下流(3’側)にターミネーター配列がそれぞれ連結されたDNAを含む。
また、前記ヘアピン型siRNA発現ベクターは、前記siRNAを構成するセンス鎖をコードするDNA配列と、アンチセンス鎖をコードするDNA配列とが逆向きに配置され、前記センス鎖DNA配列とアンチセンス鎖DNA配列とがループ配列を介して接続されており、かつ、それらの上流(5’側)にプロモーター配列が、また、下流(3’側)にターミネーター配列が連結されたDNAを含む。
前記各ベクターは、従来公知の手法を用いて構築することができ、例えば、前記DNAを、予め制限酵素で切断したベクターの切断部位に連結(ライゲーション)することにより構築することができる。
前記DNA又は前記ベクターを細胞に導入(トランスフェクト)することにより、プロモーターが活性化され、前記二本鎖核酸分子を生成することができる。例えば、前記タンデム型ベクターにおいては、前記DNAが細胞内で転写されることにより、センス鎖及びアンチセンス鎖が生成され、それらがハイブリダイズすることによりsiRNAが生成される。前記ヘアピン型ベクターにおいては、前記DNAが細胞内で転写されることにより、まずヘアピン型RNA(shRNA)が生成され、次いで、ダイサーによるプロセシングにより、siRNAが生成される。
(癌細胞増殖抑制剤)
本発明の癌細胞増殖抑制剤は、癌細胞の増殖を抑制するための癌細胞増殖抑制剤(「腫瘍増殖抑制剤」と称することがある)であり、前記した本発明の二本鎖核酸分子、DNA、及びベクターの少なくともいずれかを含み、更に必要に応じてその他の成分を含む。
<二本鎖核酸分子、DNA、ベクター>
前記二本鎖核酸分子の詳細としては、前記した本発明の二本鎖核酸分子の項目に記載した通りである。前記二本鎖核酸分子は、標的とする前記非コードRNAの少なくともいずれかの発現を効果的に抑制することができるので、癌細胞の増殖を抑制するための前記癌細胞増殖抑制剤の有効成分として好適である。また、前記DNA、ベクターの詳細としても、前記した本発明のDNA、ベクターの項目に記載した通りである。
前記癌細胞増殖抑制剤中の前記二本鎖核酸分子、DNA、及びベクターの少なくともいずれかの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。また、前記癌細胞増殖抑制剤としては、前記二本鎖核酸分子、DNA、及びベクターの少なくともいずれかそのものであってもよい。
<その他の成分>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記二本鎖核酸分子、DNA、及びベクターの少なくともいずれかを所望の濃度に希釈するための生理食塩水、培養液等の希釈用剤や、対象とする細胞内に前記二本鎖核酸分子、DNA、及びベクターの少なくともいずれかを導入(トランスフェクト)するためのトランスフェクション試薬などが挙げられる。
前記癌細胞増殖抑制剤中の前記その他の成分の含有量としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
<癌細胞>
前記癌細胞増殖抑制剤の適用対象となる癌細胞としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、乳癌細胞、子宮内膜癌細胞、子宮頸癌細胞、前立腺癌細胞、肝癌細胞、膀胱癌細胞、骨肉腫細胞、横紋筋肉腫細胞などが挙げられる。これらの中でも、乳癌細胞が好ましく、ホルモン療法抵抗性の乳癌細胞がより好ましい。
前記癌細胞は、体外で培養されている細胞であってもよいし、また、癌を患う患者の体内に存在する細胞であってもよい。
これらの細胞は、例えば、ATCC(American Type Culture Collection)や、JCRB細胞バンクより入手することができる。
<作用>
前記癌細胞増殖抑制剤は、例えば、癌細胞に導入(トランスフェクト)することによって、前記細胞に作用させることができる。前記導入の方法としては、特に制限はなく、従来公知の手法の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トランスフェクション試薬を用いる方法、エレクトロポレーションによる方法、磁気粒子を用いる方法、ウイルス感染を利用する方法などが挙げられる。
癌細胞に対して作用させる前記癌細胞増殖抑制剤の量としても、特に制限はなく、細胞の種類や所望の効果の程度等に応じて適宜選択することができるが、例えば、1×10個の細胞数に対し、有効成分(前記二本鎖核酸分子)の量として、0.1μg程度が好ましく、5μg程度がより好ましく、15μg程度が特に好ましい。
<癌細胞増殖抑制方法>
前記癌細胞増殖抑制剤は、前記二本鎖核酸分子、DNA、及びベクターの少なくともいずれかを含むので、癌細胞に作用させることにより、前記非コードRNAの少なくともいずれかの発現抑制を介して、癌細胞の増殖を効果的に抑制することができる。したがって、本発明は、前記二本鎖核酸分子、DNA、及びベクターの少なくともいずれかを癌細胞に作用させることを特徴とする、癌細胞の増殖抑制方法(「腫瘍増殖抑制方法」と称することがある)にも関する。前記癌細胞としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、乳癌細胞、子宮内膜癌細胞、子宮頸癌細胞、前立腺癌細胞、肝癌細胞、膀胱癌細胞、骨肉腫細胞、横紋筋肉腫細胞などが挙げられる。これらの中でも、乳癌細胞が好ましく、ホルモン療法抵抗性の乳癌細胞がより好ましい。
(癌細胞移動抑制剤)
本発明の癌細胞移動抑制剤は、癌細胞の移動を抑制するための癌細胞移動抑制剤(「癌細胞遊走抑制剤」と称することがある)であり、前記した本発明の二本鎖核酸分子、DNA、及びベクターの少なくともいずれかを含み、更に必要に応じてその他の成分を含む。
<二本鎖核酸分子、DNA、ベクター>
前記二本鎖核酸分子の詳細としては、前記した本発明の二本鎖核酸分子の項目に記載した通りである。前記二本鎖核酸分子は、標的とする前記非コードRNAの少なくともいずれかの発現を効果的に抑制することができるので、癌細胞の移動を抑制するための前記癌細胞移動抑制剤の有効成分として好適である。また、前記DNA、ベクターの詳細としても、前記した本発明のDNA、ベクターの項目に記載した通りである。
前記癌細胞移動抑制剤中の前記二本鎖核酸分子、DNA、及びベクターの少なくともいずれかの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。また、前記癌細胞移動抑制剤としては、前記二本鎖核酸分子、DNA、及びベクターの少なくともいずれかそのものであってもよい。
<その他の成分>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記二本鎖核酸分子、DNA、及びベクターの少なくともいずれかを所望の濃度に希釈するための生理食塩水、培養液等の希釈用剤や、対象とする細胞内に前記二本鎖核酸分子、DNA、及びベクターの少なくともいずれかを導入(トランスフェクト)するためのトランスフェクション試薬などが挙げられる。
前記癌細胞移動抑制剤中の前記その他の成分の含有量としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
<癌細胞>
前記癌細胞移動抑制剤の適用対象となる癌細胞としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、乳癌細胞、子宮内膜癌細胞、子宮頸癌細胞、前立腺癌細胞、肝癌細胞、膀胱癌細胞、骨肉腫細胞、横紋筋肉腫細胞などが挙げられる。これらの中でも、乳癌細胞が好ましく、ホルモン療法抵抗性の乳癌細胞がより好ましい。
前記癌細胞は、体外で培養されている細胞であってもよいし、また、癌を患う患者の体内に存在する細胞であってもよい。
これらの細胞は、例えば、ATCC(American Type Culture Collection)や、JCRB細胞バンクより入手することができる。
<作用>
前記癌細胞移動抑制剤は、例えば、癌細胞に導入(トランスフェクト)することによって、前記細胞に作用させることができる。前記導入の方法としては、特に制限はなく、従来公知の手法の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トランスフェクション試薬を用いる方法、エレクトロポレーションによる方法、磁気粒子を用いる方法、ウイルス感染を利用する方法などが挙げられる。
癌細胞に対して作用させる前記癌細胞移動抑制剤の量としても、特に制限はなく、細胞の種類や所望の効果の程度等に応じて適宜選択することができるが、例えば、1×10個の細胞数に対し、有効成分(前記二本鎖核酸分子)の量として、0.1μg程度が好ましく、5μg程度がより好ましく、15μg程度が特に好ましい。
<癌細胞移動抑制方法>
前記癌細胞移動抑制剤は、前記二本鎖核酸分子、DNA、及びベクターの少なくともいずれかを含むので、癌細胞に作用させることにより、前記非コードRNAの少なくともいずれかの発現抑制を介して、癌細胞の移動を効果的に抑制することができる。したがって、本発明は、前記二本鎖核酸分子、DNA、及びベクターの少なくともいずれかを癌細胞に作用させることを特徴とする、癌細胞の移動抑制方法にも関する。前記癌細胞としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、乳癌細胞、子宮内膜癌細胞、子宮頸癌細胞、前立腺癌細胞、肝癌細胞、膀胱癌細胞、骨肉腫細胞、横紋筋肉腫細胞などが挙げられる。これらの中でも、乳癌細胞が好ましく、ホルモン療法抵抗性の乳癌細胞がより好ましい。
(医薬)
本発明の医薬は、癌を予防乃至治療するための医薬であり、前記した本発明の癌細胞増殖抑制剤及び癌細胞移動抑制剤の少なくともいずれかを含み、更に必要に応じてその他の成分を含む。
<癌細胞増殖抑制剤及び癌細胞移動抑制剤の少なくともいずれか>
前記癌細胞増殖抑制剤及び癌細胞移動抑制剤の詳細としては、前記した本発明の癌細胞増殖抑制剤及び癌細胞移動抑制剤の項目に記載した通りである。
前記癌細胞増殖抑制剤は、前記した本発明の二本鎖核酸分子、DNA、及びベクターの少なくともいずれかを含むので、標的とする前記非コードRNAの少なくともいずれかの発現抑制を介して、癌細胞の増殖を効果的に抑制することができる。
前記癌細胞移動抑制剤は、前記した本発明の二本鎖核酸分子、DNA、及びベクターの少なくともいずれかを含むので、標的とする前記非コードRNAの少なくともいずれかの発現抑制を介して、癌細胞の移動を効果的に抑制することができる。
即ち、前記癌細胞増殖抑制剤及び癌細胞移動抑制剤は、癌を予防乃至治療するための医薬として好適に利用可能である。前記癌としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、乳癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、前立腺癌、肝癌、膀胱癌、骨肉腫、横紋筋肉腫などが挙げられる。これらの中でも、乳癌が好ましく、ホルモン療法抵抗性の乳癌がより好ましい。
前記医薬中の前記癌細胞増殖抑制剤及び癌細胞移動抑制剤の少なくともいずれかの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。また、前記医薬は、前記癌細胞増殖抑制剤及び癌細胞移動抑制剤の少なくともいずれかそのものであってもよい。
ここで、前記医薬の有効成分となる前記二本鎖核酸分子としては、非修飾の状態の二本鎖核酸分子そのものを用いてもよいが、適切に予防乃至治療効果が得られるよう、生体への投与に適した形態の二本鎖核酸分子を用いることが好ましい。
例えば、前記二本鎖核酸分子は、生体内における二本鎖核酸分子の安定性を高めることができる点で、修飾が施されていることが好ましい。前記二本鎖核酸分子に施し得る修飾の種類としては、特に制限はなく、例えば、2’O−methyl化修飾、ホスホロチオエート化(S化)修飾、LNA(Locked Nucleic Acid)修飾などが挙げられる。また、標的細胞への導入効率を高める等の目的から、例えば、前記二本鎖核酸分子のセンス鎖の5’端、或いは3’端に、ナノ粒子、コレステロール、細胞膜通過ペプチド等の修飾を施すこともまた好ましい。前記二本鎖核酸分子に前記修飾を施す方法としては、特に制限はなく、従来公知の手法を適宜利用することができる。
また、前記二本鎖核酸分子は、標的細胞への導入効率を高めることができる点で、リポソームや高分子マトリックス等と複合体を形成していることも好ましい。前記複合体を形成する方法としても、特に制限はなく、従来公知の手法を適宜利用することができる。
<その他の成分>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、医薬的に許容され得る担体などが挙げられる。前記担体としても、特に制限はなく、例えば、剤型等に応じて適宜選択することができる。また、前記医薬中の前記その他の成分の含有量としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
<剤型>
前記医薬の剤型としては、特に制限はなく、例えば、後述するような所望の投与方法に応じて適宜選択することができ、例えば、経口固形剤(錠剤、被覆錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤等)、経口液剤(内服液剤、シロップ剤、エリキシル剤等)、注射剤(溶液、懸濁液、用事溶解用固形剤等)、軟膏剤、貼付剤、ゲル剤、クリーム剤、外用散剤、スプレー剤、吸入散剤などが挙げられる。
前記経口固形剤としては、例えば、前記有効成分に、賦形剤、更には必要に応じて結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味・矯臭剤等の添加剤を加え、常法により製造することができる。
前記賦形剤としては、例えば、乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、微結晶セルロース、珪酸などが挙げられる。前記結合剤としては、例えば、水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン液、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、メチルセルロース、エチルセルロース、シェラック、リン酸カルシウム、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。前記崩壊剤としては、例えば、乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、乳糖などが挙げられる。前記滑沢剤としては、例えば、精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ砂、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。前記着色剤としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄などが挙げられる。前記矯味・矯臭剤としては、例えば、白糖、橙皮、クエン酸、酒石酸などが挙げられる。
前記経口液剤としては、例えば、前記有効成分に、矯味・矯臭剤、緩衝剤、安定化剤等の添加剤を加え、常法により製造することができる。
前記矯味・矯臭剤としては、例えば、白糖、橙皮、クエン酸、酒石酸などが挙げられる。前記緩衝剤としては、例えば、クエン酸ナトリウムなどが挙げられる。前記安定化剤としては、例えば、トラガント、アラビアゴム、ゼラチンなどが挙げられる。
前記注射剤としては、例えば、前記有効成分に、pH調節剤、緩衝剤、安定化剤、等張化剤、局所麻酔剤等を添加し、常法により皮下用、筋肉内用、静脈内用等の注射剤を製造することができる。
前記pH調節剤及び前記緩衝剤としては、例えば、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウムなどが挙げられる。前記安定化剤としては、例えば、ピロ亜硫酸ナトリウム、EDTA、チオグリコール酸、チオ乳酸などが挙げられる。前記等張化剤としては、例えば、塩化ナトリウム、ブドウ糖などが挙げられる。前記局所麻酔剤としては、例えば、塩酸プロカイン、塩酸リドカインなどが挙げられる。
前記軟膏剤としては、例えば、前記有効成分に、公知の基剤、安定剤、湿潤剤、保存剤等を配合し、常法により混合し、製造することができる。
前記基剤としては、例えば、流動パラフィン、白色ワセリン、サラシミツロウ、オクチルドデシルアルコール、パラフィンなどが挙げられる。前記保存剤としては、例えば、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピルなどが挙げられる。
前記貼付剤としては、例えば、公知の支持体に前記軟膏剤としてのクリーム剤、ゲル剤、ペースト剤等を、常法により塗布し、製造することができる。前記支持体としては、例えば、綿、スフ、化学繊維からなる織布、不織布、軟質塩化ビニル、ポリエチレン、ポリウレタン等のフィルム、発泡体シートなどが挙げられる。
<投与>
前記医薬は、癌の予防乃至治療に好適である。したがって、前記医薬は、癌に罹患した患者に投与することにより好適に使用することができる。
前記医薬の投与対象動物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヒト、マウス、ラット、ウシ、ブタ、サル、イヌ、ネコなどが挙げられるが、これらの中でも、ヒトが特に好ましい。
前記医薬の投与方法としては、特に制限はなく、例えば、前記医薬の剤型、疾患の種類、患者の状態等に応じて、局所投与、全身投与のいずれかを選択することができる。例えば、局所投与においては、前記医薬の有効成分(前記二本鎖核酸分子)を、所望の部位(例えば、腫瘍部位)に直接注入することにより投与することができる。前記注入には、注射等の従来公知の手法を適宜利用することができる。また、全身投与(例えば、経口投与、腹腔内投与、血液中への投与等)においては、前記医薬の有効成分(前記二本鎖核酸分子)が所望の部位(例えば、腫瘍部位)まで安定に、かつ効率良く送達されるよう、従来公知の薬剤送達技術を適宜応用することが好ましい。
前記医薬の投与量としては、特に制限はなく、投与対象である患者の年齢、体重、所望の効果の程度等に応じて適宜選択することができるが、例えば、成人への1日の投与あたり、有効成分(前記二本鎖核酸分子)の量として、1mg〜100mgが好ましい。
また、前記医薬の投与回数としても、特に制限はなく、投与対象である患者の年齢、体重、所望の効果の程度等に応じて、適宜選択することができる。
前記医薬の投与時期としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記疾患に対して、予防的に投与されてもよいし、治療的に投与されてもよい。中でも、前記医薬は、癌細胞の増殖及び移動の少なくともいずれかを阻害し、前記癌細胞の増殖及び移動の少なくともいずれかによる腫瘍の増大を防ぐ効果に優れることから、前記医薬は前記疾患の出来る限り早期の段階に投与されることが望ましいと考えられる。
<予防乃至治療方法>
前記医薬は、前記癌細胞増殖抑制剤及び癌細胞移動抑制剤の少なくともいずれかを含むので、癌を患う個体に投与することにより、標的とする前記非コードRNAの少なくともいずれかの発現抑制を介して、癌細胞の増殖及び移動の少なくともいずれかを効果的に抑制し、癌を予防乃至治療することができる。したがって、本発明は、個体に前記医薬を投与することを特徴とする癌の予防乃至治療方法にも関する。前記癌としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、乳癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、前立腺癌、肝癌、膀胱癌、骨肉腫、横紋筋肉腫などが挙げられる。これらの中でも、乳癌が好ましく、ホルモン療法抵抗性の乳癌がより好ましい。
以下に本発明の試験例等を説明するが、本発明は、これらの試験例等に何ら限定されるものではない。
(調製例1:細胞及び培養方法)
後述する各試験例では、以下の細胞を用いた。これらの細胞は、ATCC、又はJCRB細胞バンクより入手した。
<細胞>
・ MCF−7細胞(ヒト乳癌細胞)
・ MDA−MB−231細胞(ヒト乳癌細胞)
・ T47D細胞(ヒト乳癌細胞)
・ Ishikawa細胞(ヒト子宮内膜癌細胞)
・ HHUA細胞(ヒト子宮内膜癌細胞)
・ Hec1A細胞(ヒト子宮内膜癌細胞)
・ HeLa細胞(ヒト子宮頸癌細胞)
・ LNCaP細胞(ヒト前立腺癌細胞)
・ VCaP細胞(ヒト前立腺癌細胞)
・ 22Rv1細胞(ヒト前立腺癌細胞)
・ DU145細胞(ヒト前立腺癌細胞)
・ PC3細胞(ヒト前立腺癌細胞)
・ HepG2細胞(ヒト肝癌細胞)
・ EJ細胞(ヒト膀胱癌細胞)
・ T24細胞(ヒト膀胱癌細胞)
・ RT4細胞(ヒト膀胱癌細胞)
・ MG63細胞(ヒト骨肉腫細胞)
・ SaoS細胞(ヒト骨肉腫細胞)
・ HOS細胞(ヒト骨肉腫細胞)
・ SJCRH30細胞(ヒト横紋筋肉腫細胞)
・ RD細胞(ヒト横紋筋肉腫細胞)
<細胞培養>
前記各細胞は、空気中に5%の炭酸ガスを含む培養器内にて37℃で培養した。
細胞培養液は、MCF−7細胞、T47D細胞、Ishikawa細胞、HeLa細胞、VCaP細胞、22Rv1細胞、HepG2細胞、EJ細胞、MG63細胞、SaoS細胞、HOS細胞、及びRD細胞は、10%ウシ胎児血清(FBS、Sigma社製)、100μg/mL ストレプトマイシン、100U/mL ペニシリン(Invitrogen社製)を含むDMEM培地(ナカライテスク株式会社製)を用い、MDA−MB−231細胞、LNCaP細胞、DU145細胞、PC3細胞、SJCRH30細胞は、10%ウシ胎児血清(FBS、Sigma社製)、100μg/mL ストレプトマイシン、100U/mL ペニシリン(Invitrogen社製)を含むRPMI1640培地(ナカライテスク株式会社製)を用い、HHUA細胞は、10%ウシ胎児血清(FBS、Sigma社製)、100μg/mL ストレプトマイシン、100U/mL ペニシリン(Invitrogen社製)を含むHamF12培地(ナカライテスク株式会社製)を用い、Hec1A細胞、T24細胞、RT4細胞は、10%ウシ胎児血清(FBS、Sigma社製)、100μg/mL ストレプトマイシン、100U/mL ペニシリン(Invitrogen社製)を含むMcCoy’s 5A培地(LifeTechnologies社製)を用いた。
(調製例2:乳癌腫瘍組織の臨床サンプル)
乳癌腫瘍組織の臨床サンプル(BC1〜BC10)は、学校法人埼玉医科大学国際医療センター乳腺腫瘍科より提供を受けた。前記サンプルはプライバシー、人権、個人の利益の保護等を念頭に置いたインフォームドコンセントを得た上で採取された。本研究は、学校法人埼玉医科大学国際医療センター治験審査委員会において承認されている(申請番号675)。
(試験例1:非コードRNA(TMPO−AS1及びCOL18A1−ASx)の同定)
<RNAシーケンス解析>
MCF−7細胞を以下のホルモン欠乏細胞培養液にて1日間培養後、以下のいずれかの薬剤を以下の濃度で添加して4時間刺激した後、ISOGEN(株式会社ニッポンジーン製)を用いて全RNAを前記細胞より回収した。
−ホルモン欠乏細胞培養液−
チャーコールデキストラン処理(Sigma社製)によりホルモン除去を行った10%ウシ胎児血清(dccFBS)、100μg/mLストレプトマイシン、及び100U/mLペニシリン(Invitrogen社製)を含むフェノールレッド非含有DMEM培地(Sigma社製)。
−薬剤−
(1)17β−エストラジオール(以下、「E2」と称することがある):100nM。
(2)4−ヒドロキシタモキシフェン(以下、「OHT」と称することがある):1μM。
(3)エタノール(以下、「溶媒コントロール」と称することがある):最終濃度0.1%。
得られたRNAを、次世代シーケンサーであるGAIIx(イルミナ株式会社製)を用いてライブラリー作製を行い、RNAシーケンス解析を行った。
得られたシーケンス情報をRefSeqデータベース(NCBI Reference Sequence database)上にマッピングし、タグカウントがいずれかのサンプルにおいて50以上であり、既報のエストロゲン受容体α(ERα)結合領域(以下、「ERBS」と称することがある、Carroll JS et al., Nature Genetics. 38, 1289−97, 2006)データベースの近傍(5kb以内)に位置する非コードRNAデータ(RefSeq遺伝子NRシリーズ)約2,000転写物を選択した。
前記非コードRNAのうち、ショートRNA(short RNA)とコード遺伝子の非コードRNAバリアント遺伝子を除く約300転写物を選択した。
約300転写物のうち、E2により溶媒コントロールの2倍以上の発現上昇を示す長鎖非コードRNAの1つで、TMPO(thymopoietin)遺伝子のアンチセンス転写物と考えられるTMPO−AS1を選択した。
また、約300転写物の集団の1つとして、COL18A1遺伝子のアンチセンス転写物であるCOL18A1−AS2があり、その近傍でCOL18A1の転写開始点のすぐ上流にアンチセンス方向に位置し、かつERBS上に存在し、E2により発現上昇する新規非コードRNAを新たに発見し、COL18A1−ASxと命名した。
シーケンスの視覚化解析にはIGV(Integrative Genomics Viewer) browser(Broad Institute)、又はGenome Explorer(国立遺伝学研究所)を利用した。
前記TMPO−AS1は、前記RefSeqデータベースに「Homo sapiens TMPO antisense RNA 1(TMPO−AS1), long non−coding RNA」として登録されており(NR_027157.1;gi 224548948)、RNA長が3,161bp(配列番号:1参照)、ゲノム位置がchr12:98906751−98910004(hg19)である。
前記COL18A1−ASxは、前記RefSeqデータベースに「Homo sapiens uncharacterized LOC101928745」として3種類のバリアント体が登録されている。
前記3種類のバリアント体は、以下のとおりである。
(1)LOC101928745, transcript variant X1, ncRNA(XR_254050.1;gi 530438803)
推定RNA長が746bp(配列番号:2参照)、ゲノム位置がchr21:46823724−46825332である。
なお、前記RNAシーケンスでは、配列番号:2の170番目〜746番目の領域の発現が確認された。
(2)LOC101928745, transcript variant X2, ncRNA(XR_254051.1;gi 530438804)
推定RNA長が1,121bp(配列番号:3参照)、ゲノム位置がchr21:46823724−46826253である。
なお、前記RNAシーケンスでは、配列番号:3の545番目〜1,121番目の領域の発現が確認された。
(3)LOC101928745, transcript variant X3, misc_RNA(XR_254052.1;gi 530438805)
推定RNA長が806bp(配列番号:4参照)、ゲノム位置がchr21:46823724−46824845である。
なお、前記RNAシーケンスでは、配列番号:4の230番目〜806番目の領域の発現が確認された。
(試験例2−1:TMPO−AS1の各種癌細胞、及び乳癌臨床サンプルにおける発現)
<試験例2−1−1>
MCF−7細胞を以下のホルモン欠乏細胞培養液にて1日間培養後、以下のいずれかの薬剤を以下の濃度で添加して4時間刺激した後、ISOGEN(株式会社ニッポンジーン製)を用いて全RNAを前記細胞より回収した。
−ホルモン欠乏細胞培養液−
チャーコールデキストラン(Sigma社製)を用いて処理することによってホルモン除去を行った10%ウシ胎児血清(dccFBS)、100μg/mLストレプトマイシン、及び100U/mLペニシリン(Invitrogen社製)を含むフェノールレッド非含有DMEM培地(Sigma社製)。
−薬剤−
(1)17β−エストラジオール(以下、「E2」と称することがある):100nM。
(2)4−ヒドロキシタモキシフェン(以下、「OHT」と称することがある):1μM。
(3)エタノール(以下、「溶媒コントロール」と称することがある):最終濃度0.1%。
得られたRNAを、次世代シーケンサーであるGAIIx(イルミナ株式会社製)を用いて解析した。シーケンスの視覚化解析には、Genome Explorerを利用した。
図1Aに、MCF−7細胞におけるTMPO−AS1の発現を解析した結果を示す。図1Aでは、上段から順に、ヒトゲノムにおける「Refseq遺伝子(+鎖)」、「Refseq遺伝子(−鎖)」、「Refseq mRNA(+鎖)」、「Refseq mRNA(−鎖)」の領域を模式的に示しており、その下段に、「溶媒で処理したMCF−7細胞(+鎖)」(MCF−7 Vehicle 4h(+))、「溶媒で処理したMCF−7細胞(−鎖)」(MCF−7 Vehicle 4h(−))、「E2で処理したMCF−7細胞(+鎖)」(MCF−7 E2 4h(+))、「E2で処理したMCF−7細胞(−鎖)」(MCF−7 E2 4h(−))、「OHTで処理したMCF−7細胞(+鎖)」(MCF−7 OHT 4h(+))、「OHTで処理したMCF−7細胞(−鎖)」(MCF−7 OHT 4h(−))の結果を示す。
図1Aの結果から、MCF−7細胞では、OHTによってTMPO−AS1の発現が抑制された。
<試験例2−1−2>
MDA−MB−231細胞、MCF−7細胞、又はT47D細胞から、ISOGEN(株式会社ニッポンジーン製)を用いて全RNAを回収した。
得られたRNAを、次世代シーケンサーであるGAIIx(イルミナ株式会社製)を用いて解析した。シーケンスの視覚化解析には、IGV(Integrative Genomics Viewer) browserを利用した。
図1Bに、MDA−MB−231細胞、MCF−7細胞、又はT47D細胞におけるTMPO−AS1の発現を解析した結果を示す。図1Bでは、上段から順に、「MDA−MB−231(+鎖)」(MDA−MB−231(+))、「MDA−MB−231(−鎖)」(MDA−MB−231(−))、「MCF−7(+鎖)」(MCF−7(+))、「MCF−7(−鎖)」(MCF−7(−))、「T47D(+鎖)」(T47D(+))、「T47D(−鎖)」(T47D(−))の結果を示す。
図1Bの結果から、MCF−7細胞以外にも、MDA−MB−231細胞、T47D細胞においてもTMPO−AS1の発現が確認された。
<試験例2−1−3>
Ishikawa細胞、HHUA細胞、Hec1A細胞、LNCaP細胞、VCaP細胞、22Rv1細胞、DU145細胞、又はPC3細胞から、ISOGEN(株式会社ニッポンジーン製)を用いて全RNAを回収した。
なお、Ishikawa細胞は、E2による処理(24時間)を行った後にISOGEN(株式会社ニッポンジーン製)を用いて全RNAを回収し、22Rv1細胞は、ジヒドロテストステロン(DHT)による処理(24時間)を行った後にISOGEN(株式会社ニッポンジーン製)を用いて全RNAを回収した。
得られたRNAを、次世代シーケンサーであるGAIIx(イルミナ株式会社製)を用いて解析した。シーケンスの視覚化解析には、IGV(Integrative Genomics Viewer) browserを利用した。
図1Cに、Ishikawa細胞、HHUA細胞、Hec1A細胞、LNCaP細胞、VCaP細胞、22Rv1細胞、DU145細胞、又はPC3細胞におけるTMPO−AS1の発現を解析した結果を示す。図1Cでは、上段から順に、Ishikawa細胞(Ishikawa E2)、HHUA細胞(HHUA)、Hec1A細胞(Hec1A)、LNCaP細胞(LNCaP)、VCaP細胞(VCaP)、22Rv1細胞(22Rv1 DHT)、DU145細胞(DU145)、PC3細胞(PC3)の結果を示す。
図1Cの結果から、子宮内膜癌細胞であるIshikawa細胞、HHUA細胞、及びHec1A細胞、並びに前立腺癌細胞であるLNCaP、VCaP、22Rv1、DU145、及びPC3においてもTMPO−AS1の発現が確認された。
<試験例2−1−4>
HeLa細胞、HepG2細胞、EJ細胞、T24細胞、RT4細胞、MG63細胞、SaoS細胞、HOS細胞、SJCRH30細胞、又はRD細胞から、ISOGEN(株式会社ニッポンジーン製)を用いて全RNAを回収した。
得られたRNAを、次世代シーケンサーであるGAIIx(イルミナ株式会社製)を用いて解析した。シーケンスの視覚化解析には、IGV(Integrative Genomics Viewer) browserを利用した。
図1Dに、HeLa細胞、HepG2細胞、EJ細胞、T24細胞、RT4細胞、MG63細胞、SaoS細胞、HOS細胞、SJCRH30細胞、又はRD細胞におけるTMPO−AS1の発現を解析した結果を示す。図1Dでは、上段から順に、HeLa細胞(HeLa)、HepG2細胞(HepG2)、EJ細胞(EJ)、T24細胞(T24)、RT4細胞(RT4)、MG63細胞(MG63)、SaoS細胞(SaoS)、HOS細胞(HOS)、SJCRH30細胞(SJCRH30)、RD細胞(RD)の結果を示す。
図1Dの結果から、子宮頸癌細胞であるHeLa細胞、肝癌細胞であるHepG2細胞、膀胱癌細胞であるEJ細胞、T24細胞、及びRT4細胞、骨肉腫細胞であるMG63細胞、SaoS細胞、及びHOS細胞、並びに横紋筋肉腫細胞であるSJCRH30細胞、及びRD細胞においてもTMPO−AS1の発現が確認された。
<試験例2−1−5>
乳癌腫瘍組織の臨床サンプル(BC1〜BC10)から、ISOGEN(株式会社ニッポンジーン製)を用いて全RNAを回収した。
得られたRNAを、次世代シーケンサーであるGAIIx(イルミナ株式会社製)を用いて解析した。シーケンスの視覚化解析には、IGV(Integrative Genomics Viewer) browserを利用した。
図1Eに、乳癌腫瘍組織の臨床サンプル(BC1〜BC10)におけるTMPO−AS1の発現を解析した結果を示す。図1Eでは、上段から順に、BC1〜BC10の結果を示す。
図1Eの結果から、乳癌腫瘍組織の臨床サンプルにおいてもTMPO−AS1の発現が確認された。
(試験例2−2:COL18A1−ASxの各種癌細胞、及び乳癌臨床サンプルにおける発現)
<試験例2−2−1>
MCF−7細胞を以下のホルモン欠乏細胞培養液にて1日間培養後、以下のいずれかの薬剤を以下の濃度で添加して4時間刺激した後、ISOGEN(株式会社ニッポンジーン製)を用いて全RNAを前記細胞より回収した。
−ホルモン欠乏細胞培養液−
チャーコールデキストラン(Sigma社製)を用いて処理することによりホルモン除去を行った10%ウシ胎児血清(dccFBS)、100μg/mLストレプトマイシン、及び100U/mLペニシリン(Invitrogen社製)を含むフェノールレッド非含有DMEM培地(Sigma社製)。
−薬剤−
(1)17β−エストラジオール(以下、「E2」と称することがある):100nM。
(2)4−ヒドロキシタモキシフェン(以下、「OHT」と称することがある):1μM。
(3)エタノール(以下、「溶媒コントロール」と称することがある):最終濃度0.1%。
得られたRNAを、次世代シーケンサーであるGAIIx(イルミナ株式会社製)を用いて解析した。シーケンスの視覚化解析には、Genome Explorerを利用した。
図2Aに、MCF−7細胞におけるCOL18A1−ASxの発現を解析した結果を示す。図2Aでは、上段から順に、ヒトゲノムにおける「Refseq遺伝子(+鎖)」、「Refseq遺伝子(−鎖)」、「Refseq mRNA(+鎖)」、「Refseq mRNA(−鎖)」の領域を模式的に示しており、その下段に、「溶媒で処理したMCF−7細胞(+鎖)」(MCF−7 Vehicle 4h(+))、「溶媒で処理したMCF−7細胞(−鎖)」(MCF−7 Vehicle 4h(−))、「E2で処理したMCF−7細胞(+鎖)」(MCF−7 E2 4h(+))、「E2で処理したMCF−7細胞(−鎖)」(MCF−7 E2 4h(−))、「OHTで処理したMCF−7細胞(+鎖)」(MCF−7 OHT 4h(+))、「OHTで処理したMCF−7細胞(−鎖)」(MCF−7 OHT 4h(−))の結果を示す。
図2Aの結果から、MCF−7細胞では、エストロゲンによってCOL18A1−ASxの発現が誘導された。
<試験例2−2−2>
MDA−MB−231細胞、MCF−7細胞、又はT47D細胞から、ISOGEN(株式会社ニッポンジーン製)を用いて全RNAを回収した。
得られたRNAを、次世代シーケンサーであるGAIIx(イルミナ株式会社製)を用いて解析した。シーケンスの視覚化解析には、IGV(Integrative Genomics Viewer) browserを利用した。
図2Bに、MDA−MB−231細胞、MCF−7細胞、又はT47D細胞におけるCOL18A1−ASxの発現を解析した結果を示す。図2Bでは、上段から順に、「MDA−MB−231(+鎖)」(MDA−MB−231(+))、「MDA−MB−231(−鎖)」(MDA−MB−231(−))、「MCF−7(+鎖)」(MCF−7(+))、「MCF−7(−鎖)」(MCF−7(−))、「T47D(+鎖)」(T47D(+))、「T47D(−鎖)」(T47D(−))の結果を示す。
図2Bの結果から、MDA−MB−231細胞においてもCOL18A1−ASxの発現が確認された。
<試験例2−2−3>
Ishikawa細胞、HHUA細胞、Hec1A細胞、LNCaP細胞、VCaP細胞、22Rv1細胞、DU145細胞、又はPC3細胞から、ISOGEN(株式会社ニッポンジーン製)を用いて全RNAを回収した。
なお、Ishikawa細胞は、E2処理(24時間)を行った後にISOGEN(株式会社ニッポンジーン製)を用いて全RNAを回収し、22Rv1細胞は、DHT処理(24時間)を行った後にISOGEN(株式会社ニッポンジーン製)を用いて全RNAを回収した。
得られたRNAを、次世代シーケンサーであるGAIIx(イルミナ株式会社製)を用いて解析した。シーケンスの視覚化解析には、IGV(Integrative Genomics Viewer) browserを利用した。
図2Cに、Ishikawa細胞、HHUA細胞、Hec1A細胞、LNCaP細胞、VCaP細胞、22Rv1細胞、DU145細胞、又はPC3細胞におけるCOL18A1−ASxの発現を解析した結果を示す。図2Cでは、上段から順に、Ishikawa細胞(Ishikawa E2)、HHUA細胞(HHUA)、Hec1A細胞(Hec1A)、LNCaP細胞(LNCaP)、VCaP細胞(VCaP)、22Rv1細胞(22Rv1 DHT)、DU145細胞(DU145)、PC3細胞(PC3)の結果を示す。
図2Cの結果から、子宮内膜癌細胞であるIshikawa細胞、HHUA細胞、及びHec1A細胞、並びに前立腺癌細胞であるLNCaP、VCaP、22Rv1、DU145、及びPC3においてもCOL18A1−ASxの発現が確認された。
<試験例2−2−4>
HeLa細胞、HepG2細胞、EJ細胞、T24細胞、RT4細胞、MG63細胞、SaoS細胞、HOS細胞、SJCRH30細胞、又はRD細胞から、ISOGEN(株式会社ニッポンジーン製)を用いて全RNAを回収した。
得られたRNAを、次世代シーケンサーであるGAIIx(イルミナ株式会社製)を用いて解析した。シーケンスの視覚化解析には、IGV(Integrative Genomics Viewer) browserを利用した。
図2Dに、HeLa細胞、HepG2細胞、EJ細胞、T24細胞、RT4細胞、MG63細胞、SaoS細胞、HOS細胞、SJCRH30細胞、又はRD細胞におけるCOL18A1−ASxの発現を解析した結果を示す。図2Dでは、上段から順に、HeLa細胞(HeLa)、HepG2細胞(HepG2)、EJ細胞(EJ)、T24細胞(T24)、RT4細胞(RT4)、MG63細胞(MG63)、SaoS細胞(SaoS)、HOS細胞(HOS)、SJCRH30細胞(SJCRH30)、RD細胞(RD)の結果を示す。
図2Dの結果から、肝癌細胞であるHepG2細胞、膀胱癌細胞であるEJ細胞、及びT24細胞、骨肉腫細胞であるMG63細胞、SaoS細胞、及びHOS細胞、並びに横紋筋肉腫細胞であるRD細胞においてもCOL18A1−ASxの発現が確認された。
<試験例2−2−5>
乳癌腫瘍組織の臨床サンプル(BC1〜BC10)から、ISOGEN(株式会社ニッポンジーン製)を用いて全RNAを回収した。
得られたRNAを、次世代シーケンサーであるGAIIx(イルミナ株式会社製)を用いて解析した。シーケンスの視覚化解析には、IGV(Integrative Genomics Viewer) browserを利用した。
図2Eに、乳癌腫瘍組織の臨床サンプル(BC1〜BC10)におけるCOL18A1−ASxの発現を解析した結果を示す。図2Eでは、上段から順に、BC1〜BC10の結果を示す。
図2Eの結果から、乳癌腫瘍組織の臨床サンプルにおいてもCOL18A1−ASxの発現が確認された。
(製造例1:二本鎖核酸分子の作製)
配列番号:1〜4で表される塩基配列及びその一部の少なくともいずれかを含む非コードRNAの発現を抑制するための本発明の二本鎖核酸分子を、以下のようにして準備した。
配列番号:1で表される塩基配列を含む非コードRNAに対する本発明の二本鎖核酸分子siRNA(siTMPO−AS1−1、2、3、5、7、8、10)と、配列番号:2〜4で表される塩基配列及びその一部の少なくもいずれかを含む非コードRNAに対する本発明の二本鎖核酸分子(siCOL18A1−ASx−1、2、5、6、7、9)は、それぞれの二本鎖核酸分子の標的配列(以下に記載)とそれに相補的な部分を含む配列を、3’末端が2塩基オーバーハングするようなRNA、又はRNA−DNAキメラの二本鎖として合成した(Sigma−Aldrich社製)。これらは、センス鎖由来のオフターゲット効果を防ぐことができるものである。
また、陰性コントロールとして、全既知遺伝子へのオフターゲット効果がないsiRNA(siControl(RNAi社製))を用意した。
それぞれの二本鎖核酸分子の標的配列、及び作製したsiRNA、又はキメラsiRNAの配列を以下に示す。
<siTMPO−AS1−1(siRNA)>
−標的配列−
5’−gaagactagtgacctataatt−3’(配列番号:5)
−siRNAの配列−
−−センス鎖−−
5’−gaagacuagugaccuauaauu−3’(配列番号:12)
−−アンチセンス鎖−−
5’−uuauaggucacuagucuuccu−3’(配列番号:13)
なお、前記配列番号:5で表される標的配列は、配列番号:1で表される塩基配列における1,379番目〜1,399番目に対応する。
<siTMPO−AS1−2(siRNA)>
−標的配列−
5’−gagccgaactacgaaccaact−3’(配列番号:6)
−siRNAの配列−
−−センス鎖−−
5’−gagccgaacuacgaaccaacu−3’(配列番号:14)
−−アンチセンス鎖−−
5’−uugguucguaguucggcucug−3’(配列番号:15)
なお、前記配列番号:6で表される標的配列は、配列番号:1で表される塩基配列における455番目〜475番目に対応する。
<siTMPO−AS1−3(siRNA)>
−標的配列−
5’−ggacaggtcgtactgcttttg−3’(配列番号:7)
−siRNAの配列−
−−センス鎖−−
5’−ggacaggucguacugcuuuug−3’(配列番号:16)
−−アンチセンス鎖−−
5’−aaagcaguacgaccugucccu−3’(配列番号:17)
なお、前記配列番号:7で表される標的配列は、配列番号:1で表される塩基配列における755番目〜775番目に対応する。
<siTMPO−AS1−5(siRNA)>
−標的配列−
5’−gaatcctaaacctaacgtttg−3’(配列番号:8)
−siRNAの配列−
−−センス鎖−−
5’−gaauccuaaaccuaacguuug−3’(配列番号:18)
−−アンチセンス鎖−−
5’−aacguuagguuuaggauucuu−3’(配列番号:19)
なお、前記配列番号:8で表される標的配列は、配列番号:1で表される塩基配列における1,281番目〜1,301番目に対応する。
<siTMPO−AS1−7(siRNA)>
−標的配列−
5’−cctaacgtttgataacaaaac−3’(配列番号:9)
−siRNAの配列−
−−センス鎖−−
5’−ccuaacguuugauaacaaaac−3’(配列番号:20)
−−アンチセンス鎖−−
5’−uuuguuaucaaacguuagguu−3’(配列番号:21)
なお、前記配列番号:9で表される標的配列は、配列番号:1で表される塩基配列における1,291番目〜1,311番目に対応する。
<siTMPO−AS1−8(siRNA)>
−標的配列−
5’−cccgtattaccgatccaaatt−3’(配列番号:10)
−siRNAの配列−
−−センス鎖−−
5’−cccguauuaccgauccaaauu−3’(配列番号:22)
−−アンチセンス鎖−−
5’−uuuggaucgguaauacggguu−3’(配列番号:23)
なお、前記配列番号:10で表される標的配列は、配列番号:1で表される塩基配列における1,421番目〜1,441番目に対応する。
<siTMPO−AS1−10(siRNA)>
−標的配列−
5’−cgcgaacgcttcttttgttcc−3’(配列番号:11)
−siRNAの配列−
−−センス鎖−−
5’−cgcgaacgcuucuuuuguucc−3’(配列番号:24)
−−アンチセンス鎖−−
5’−aacaaaagaagcguucgcgag−3’(配列番号:25)
なお、前記配列番号:11で表される標的配列は、配列番号:1で表される塩基配列における1,051番目〜1,071番目に対応する。
<siCOL18A1−ASx−1(キメラsiRNA)>
−標的配列−
5’−gcactgtgaggaaggaaat−3’(配列番号:26)
−キメラsiRNAの配列−
−−センス鎖−−
5’−gcacugugaggaaggaaautt−3’(配列番号:32)
−−アンチセンス鎖−−
5’−auuuccuuccucacagugctt−3’(配列番号:33)
なお、前記配列番号:26で表される標的配列は、配列番号:2で表される塩基配列における673番目〜691番目、配列番号:3で表される塩基配列における1,048番目〜1,066番目、配列番号:4で表される塩基配列における733番目〜751番目に対応する。
<siCOL18A1−ASx−2(siRNA)>
−標的配列−
5’−gcttgacggctttctctgaaa−3’(配列番号:27)
−siRNAの配列−
−−センス鎖−−
5’−gcuugacggcuuucucugaaa−3’(配列番号:34)
−−アンチセンス鎖−−
5’−ucagagaaagccgucaagcca−3’(配列番号:35)
なお、前記配列番号:27で表される標的配列は、配列番号:2で表される塩基配列における216番目〜236番目、配列番号:3で表される塩基配列における591番目〜611番目、配列番号:4で表される塩基配列における276番目〜296番目に対応する。
<siCOL18A1−ASx−5(siRNA)>
−標的配列−
5’−ggaccaaacagcgtagtctcc−3’(配列番号:28)
−siRNAの配列−
−−センス鎖−−
5’−ggaccaaacagcguagucucc−3’(配列番号:36)
−−アンチセンス鎖−−
5’−agacuacgcuguuugguccag−3’(配列番号:37)
なお、前記配列番号:28で表される標的配列は、配列番号:2で表される塩基配列における301番目〜321番目、配列番号:3で表される塩基配列における676番目〜696番目、配列番号:4で表される塩基配列における361番目〜381番目に対応する。
<siCOL18A1−ASx−6(siRNA)>
−標的配列−
5’−cttcaaacctggagtccttcc−3’(配列番号:29)
−siRNAの配列−
−−センス鎖−−
5’−cuucaaaccuggaguccuucc−3’(配列番号:38)
−−アンチセンス鎖−−
5’−aaggacuccagguuugaaggc−3’(配列番号:39)
なお、前記配列番号:29で表される標的配列は、配列番号:2で表される塩基配列における637番目〜657番目、配列番号:3で表される塩基配列における1,012番目〜1,032番目、配列番号:4で表される塩基配列における697番目〜717番目に対応する。
<siCOL18A1−ASx−7(siRNA)>
−標的配列−
5’−gcctgcttgggattctcctct−3’(配列番号:30)
−siRNAの配列−
−−センス鎖−−
5’−gccugcuugggauucuccucu−3’(配列番号:40)
−−アンチセンス鎖−−
5’−aggagaaucccaagcaggccc−3’(配列番号:41)
なお、前記配列番号:30で表される標的配列は、配列番号:2で表される塩基配列における515番目〜535番目、配列番号:3で表される塩基配列における890番目〜910番目、配列番号:4で表される塩基配列における575番目〜595番目に対応する。
<siCOL18A1−ASx−9(siRNA)>
−標的配列−
5’−gccagggctcatctcctatgc−3’(配列番号:31)
−siRNAの配列−
−−センス鎖−−
5’−gccagggcucaucuccuaugc−3’(配列番号:42)
−−アンチセンス鎖−−
5’−auaggagaugagcccuggccg−3’(配列番号:43)
なお、前記配列番号:31で表される標的配列は、配列番号:2で表される塩基配列における278番目〜298番目、配列番号:3で表される塩基配列における653番目〜673番目、配列番号:4で表される塩基配列における338番目〜358番目に対応する。
陰性コントロールに用いたsiControlの配列を以下に示す。
<siControl>
−センス鎖−
5’−guaccgcacgucauucguauc−3’(配列番号:44)
−アンチセンス鎖−
5’−uacgaaugacgugcgguacgu−3’(配列番号:45)
(試験例3−1:二本鎖核酸分子による標的非コードRNA発現抑制効果の検討)
前記製造例1で得られたsiTMPO−AS1−1、2、3、5、7、8、又は10を、乳癌細胞にトランスフェクションし、48時間培養後に全RNAを回収してquantitative real−time PCRを行うことにより、各二本鎖核酸分子の乳癌細胞におけるTMPO−AS1(配列番号:1)発現に対する抑制効果(ノックダウン効果)を検討した。
なお、コントロールとして、siControlを用いた。
実験方法の詳細を以下に示す。
[細胞]
前記乳癌細胞として、ヒト乳がん細胞株であるMCF−7細胞を用いた。
[細胞培養]
MCF−7細胞は、10%ウシ胎児血清(FBS、Sigma社製)、100μg/mL ストレプトマイシン、100U/mL ペニシリン(Invitrogen社製)を含むDMEM(ナカライテスク株式会社製)を細胞培養液として用い、空気中に5%の炭酸ガスを含む培養器内にて37℃で培養した。
[トランスフェクション]
6穴プレートに、MCF−7細胞を1×10個/穴となるようにまき、その翌日に、OPTI−MEM(Invitrogen社製)及びトランスフェクション試薬であるRNAi MAX(Invitrogen社製)を用いて二本鎖核酸分子をトランスフェクションした。導入した二本鎖核酸分子の量は、培地中で1nMとなるように調整した。
[非コードRNA発現レベルの測定]
トランスフェクションし48時間培養した後に、ISOGEN(株式会社ニッポンジーン製)を用いて全RNAを細胞より回収した。前記全RNA 1μgを用いて、SuperScript(登録商標) III Reverse Transcriptase(Life Technologies社製)により、cDNAを合成した。
前記cDNAを10倍希釈し、そのうちの2μLを用いてquantitative real−time PCRを行った。前記quantitative real−time PCRは、StepOnePlus(登録商標) Real−Time PCR Systems(Life Technologies社製)、及びKAPA SYBR Fast PCR kit(日本ジェネティクス株式会社製)を用いて行い、TMPO−AS1(配列番号:1)及び内部コントロールであるGAPDH遺伝子の発現レベルを測定した。
前記TMPO−AS1(配列番号:1)の発現レベルは、前記GAPDH遺伝子に対する発現レベルをCycle数からΔΔCt法を用いて算出した。
なお、quantitative real−time PCRに用いたプライマーは、以下のとおりである。
−GAPDH遺伝子−
GAPDH_FW:
5’−ggtggtctcctctgacttcaaca−3’(配列番号:46)
GAPDH_RV:
5’−gtggtcgttgagggcaatg−3’(配列番号:47)
−TMPO−AS1−
TMPO−AS1_FW:
5’−tctccacccttccccttagac−3’(配列番号:50)
TMPO−AS1_RV:
5’−aacggcgcacaaaagca−3’(配列番号:51)
結果を図3Aに示した。図3A中、「(−)」は、無処理の結果を示し、「Reagent」は、二本鎖核酸分子をトランスフェクションしなかったもの(試薬のみ)の結果を示し、「siControl」は、「siControl」をトランスフェクションしたものの結果を示し、「siTMPO−AS1−1、2、3、5、7、8、10」は、それぞれ「siTMPO−AS1−1、2、3、5、7、8、10」をトランスフェクションしたものの結果を示す。
図3Aの結果から、本発明の「siTMPO−AS1−1、2、3、5、7、8、10」は、siControlに比べてRNAレベルでのTMPO−AS1の発現を抑制することが明らかになった。
(試験例3−2:二本鎖核酸分子によるin vitroにおける細胞増殖抑制効果の検討)
前記製造例1で得られたsiTMPO−AS1−1、2、3、5、7、8、又は10を、乳癌細胞にトランスフェクションし、その後の細胞増殖を測定することにより、各二本鎖核酸分子の乳癌細胞増殖抑制効果(ノックダウン効果)を検討した。
なお、コントロールとして、siControlを用いた。
実験方法の詳細を以下に示す。
[細胞]
前記乳癌細胞として、ヒト乳がん細胞株であるMCF−7細胞を用いた。
[細胞培養]
MCF−7細胞は、10%ウシ胎児血清(FBS、Sigma社製)、100μg/mL ストレプトマイシン、100U/mL ペニシリン(Invitrogen社製)を含むDMEM(ナカライテスク株式会社製)を細胞培養液として用い、空気中に5%の炭酸ガスを含む培養器内にて37℃で培養した。
[トランスフェクション]
96穴プレートに、MCF−7細胞を3×10個/穴となるようにまき、その翌日に、OPTI−MEM(Invitrogen社製)及びトランスフェクション試薬であるRNAi MAX(Invitrogen社製)を用いて二本鎖核酸分子をトランスフェクションした。導入した二本鎖核酸分子の量は、培地中で1nMとなるように調整した。
[細胞増殖試験]
細胞増殖試験は、トランスフェクション1日後、5日後にCell Count Reagent SF(ナカライテスク株式会社製)を用いて2時間反応させ、マイクロプレートリーダーにて吸光度450nmで細胞増殖能を測定することにより行った。前記試験は、テトラゾリウム塩WST−8[2−(2−methoxy−4−nitrophenyl)−3−(4−nitrophenyl)−5−(2,4−disulfophenyl)−2H−tetrazolium]を高水溶性ホルマザン色素に還元する際の酵素活性を比色定量することによって生細胞数を測定するものである。
結果を図3Bに示した。図3B中、「(−)」は、無処理の結果を示し、「Reagent」は、二本鎖核酸分子をトランスフェクションしなかったもの(試薬のみ)の結果を示し、「siControl」は、「siControl」をトランスフェクションしたものの結果を示し、「siTMPO−AS1−1、2、3、5、7、8、10」は、それぞれ「siTMPO−AS1−1、2、3、5、7、8、10」をトランスフェクションしたものの結果を示す。また、「Day1」、「Day5」は、それぞれトランスフェクション1日後、5日後の結果を示す。また、「**」は、「P<0.01」を示す。
図3Bの結果から、siTMPO−AS1−2が最も細胞増殖抑制能に優れており、次いで、siTMPO−AS1−1、8、7の順に、有意(P< 0.01)に細胞増殖を抑制することが明らかになった。
(試験例3−3:二本鎖核酸分子による標的非コードRNA発現抑制効果の検討)
前記試験例3−1において、siTMPO−AS1−1、2、3、5、7、8、又は10を用いていた点を、siTMPO−AS1−1、又は2に代え、乳癌細胞としてMCF−7細胞を用いていた点を下記OHTR細胞に代えた以外は、前記試験例3−1と同様にして、各二本鎖核酸分子のOHTR細胞におけるTMPO−AS1(配列番号:1)発現に対する抑制効果(ノックダウン効果)を検討した。
[細胞]
前記OHTR細胞は、前記MCF−7細胞から以下のようにして作出した乳癌治療抵抗性モデルである、タモキシフェン耐性細胞である。
<OHTR細胞の作出>
前記MCF−7細胞を抗エストロゲン剤である4−ヒドロキシタモキシフェン(1μM)を含有するDMEM培地で3カ月以上培養することにより、4−ヒドロキシタモキシフェンに対して耐性を獲得した細胞(OHTR細胞)を作出した。
[細胞培養]
OHTR細胞は、10%ウシ胎児血清(FBS、Sigma社製)、100μg/mL ストレプトマイシン、100U/mL ペニシリン(Invitrogen社製)を含むDMEM(ナカライテスク株式会社製)を細胞培養液として用い、空気中に5%の炭酸ガスを含む培養器内にて37℃で培養した。
非コードRNA発現レベルを測定した結果を図3Cに示した。図3C中、「(−)」は、無処理の結果を示し、「Reagent」は、二本鎖核酸分子をトランスフェクションしなかったもの(試薬のみ)の結果を示し、「siControl」は、「siControl」をトランスフェクションしたものの結果を示し、「siTMPO−AS1−1、2」は、それぞれ「siTMPO−AS1−1、2」をトランスフェクションしたものの結果を示す。
図3Cの結果から、本発明の「siTMPO−AS1−1、2」は、いずれもOHTR細胞において、TMPO−AS1の発現を抑制することが示された。
(試験例3−4:二本鎖核酸分子によるin vitroにおける細胞増殖抑制効果の検討)
前記試験例3−2において、siTMPO−AS1−1、2、3、5、7、8、又は10を用いていた点を、siTMPO−AS1−1、又は2に代え、乳癌細胞としてMCF−7細胞を用いていた点を前記試験例3−2と同様にして調製したOHTR細胞に代えた以外は、前記試験例3−2と同様にして、各二本鎖核酸分子のOHTR細胞増殖抑制効果(ノックダウン効果)を検討した。
細胞増殖試験の結果を図3Dに示した。図3D中、「(−)」は、無処理の結果を示し、「Reagent」は、二本鎖核酸分子をトランスフェクションしなかったもの(試薬のみ)の結果を示し、「siControl」は、「siControl」をトランスフェクションしたものの結果を示し、「siTMPO−AS1−1、2」は、それぞれ「siTMPO−AS1−1、2」をトランスフェクションしたものの結果を示す。また、「Day1」、「Day5」は、それぞれトランスフェクション1日後、5日後の結果を示す。また、「**」は、「P<0.01」を示す。
図3Dの結果から、siTMPO−AS1−1及びsiTMPO−AS1−2は、siControlよりも有意(P< 0.01)に細胞増殖を抑制することが明らかになった。
(試験例3−5:二本鎖核酸分子による標的非コードRNA発現抑制効果の検討)
前記試験例3−3において、乳癌細胞としてMCF−7細胞を用いていた点を子宮内膜癌細胞であるIshikawa細胞に代えた以外は、前記試験例3−3と同様にして、各二本鎖核酸分子のIshikawa細胞におけるTMPO−AS1(配列番号:1)発現に対する抑制効果(ノックダウン効果)を検討した。
[細胞培養]
Ishikawa細胞は、10%ウシ胎児血清(FBS、Sigma社製)、100μg/mL ストレプトマイシン、100U/mL ペニシリン(Invitrogen社製)を含むDMEM(ナカライテスク株式会社製)を細胞培養液として用い、空気中に5%の炭酸ガスを含む培養器内にて37℃で培養した。
非コードRNA発現レベルを測定した結果を図3Eに示した。図3E中、「(−)」は、無処理の結果を示し、「Reagent」は、二本鎖核酸分子をトランスフェクションしなかったもの(試薬のみ)の結果を示し、「siControl」は、「siControl」をトランスフェクションしたものの結果を示し、「siTMPO−AS1−1、2」は、それぞれ「siTMPO−AS1−1、2」をトランスフェクションしたものの結果を示す。
図3Eの結果から、本発明の「siTMPO−AS1−1、2」は、いずれもIshikawa細胞において、TMPO−AS1の発現を抑制し、特に、siTMPO−AS1−2がその効果が高いことが示された。
(試験例3−6:二本鎖核酸分子によるin vitroにおける細胞増殖抑制効果の検討)
前記試験例3−4において、乳癌細胞としてMCF−7細胞を用いていた点を子宮内膜癌細胞であるIshikawa細胞に代えた以外は、前記試験例3−4と同様にして、各二本鎖核酸分子のIshikawa細胞増殖抑制効果(ノックダウン効果)を検討した。
なお、Ishikawa細胞の培養は、前記試験例3−5と同様にして行った。
細胞増殖試験の結果を図3Fに示した。図3F中、「(−)」は、無処理の結果を示し、「Reagent」は、二本鎖核酸分子をトランスフェクションしなかったもの(試薬のみ)の結果を示し、「siControl」は、「siControl」をトランスフェクションしたものの結果を示し、「siTMPO−AS1−1、2」は、それぞれ「siTMPO−AS1−1、2」をトランスフェクションしたものの結果を示す。また、「Day1」、「Day5」は、それぞれトランスフェクション1日後、5日後の結果を示す。また、「**」は、「P<0.01」を示す。
図3Fの結果から、siTMPO−AS1−1及びsiTMPO−AS1−2は、siControlよりも有意(P< 0.01)に細胞増殖を抑制することが明らかになった。
(試験例4−1:二本鎖核酸分子による標的非コードRNA発現抑制効果の検討)
前記試験例3−1において、標的非コードRNAをTMPO−AS1(配列番号:1)としていた点をCOL18A1−ASx(配列番号:2〜4)に代え、siTMPO−AS1−1、2、3、5、7、8、又は10を用いていた点をsiCOL18A1−ASx−1、2、5、6、7、又は9に代え、quantitative real−time PCRにおいてTMPO−AS1(配列番号:1)の発現レベルを測定していた点を、COL18A1−ASx(配列番号:2〜4)の発現レベルを測定した以外は、前記試験例3−1と同様にして、各二本鎖核酸分子のMCF−7細胞におけるCOL18A1−ASx(配列番号:2〜4)発現に対する抑制効果(ノックダウン効果)を検討した。
なお、quantitative real−time PCRに用いたCOL18A1−ASx(配列番号:2〜4)のプライマーは、以下のとおりである。
−COL18A1−ASx(配列番号:2〜4)−
COL18A1−ASx_FW:
5’−gccagggctcatctcctatg−3’(配列番号:48)
COL18A1−ASx_RV:
5’−ggagatcagggagactggagact−3’(配列番号:49)
結果を図4Aに示した。図4A中、「(−)」は、無処理の結果を示し、「Reagent」は、二本鎖核酸分子をトランスフェクションしなかったもの(試薬のみ)の結果を示し、「siControl」は、「siControl」をトランスフェクションしたものの結果を示し、「siCOL18A1−ASx−1、2、5、6、7、9」は、それぞれ「siCOL18A1−ASx−1、2、5、6、7、9」をトランスフェクションしたものの結果を示す。
図4Aの結果から、本発明の「siCOL18A1−ASx−1、2、5、6、7、9」は、siControlに比べてRNAレベルでのCOL18A1−ASx(配列番号:2〜4)の発現を抑制することが明らかになった。
(試験例4−2:二本鎖核酸分子によるin vitroにおける細胞増殖抑制効果の検討)
前記試験例3−2において、siTMPO−AS1−1、2、3、5、7、8、又は10を用いていた点をsiCOL18A1−ASx−1、2、5、6、7、又は9に代えた以外は、前記試験例3−2と同様にして、各二本鎖核酸分子のMCF−7細胞増殖抑制効果(ノックダウン効果)を検討した。
結果を図4Bに示した。図4B中、「(−)」は、無処理の結果を示し、「Reagent」は、二本鎖核酸分子をトランスフェクションしなかったもの(試薬のみ)の結果を示し、「siControl」は、「siControl」をトランスフェクションしたものの結果を示し、「siCOL18A1−ASx−1、2、5、6、7、9」は、それぞれ「siCOL18A1−ASx−1、2、5、6、7、9」をトランスフェクションしたものの結果を示す。また、「Day1」、「Day5」は、それぞれトランスフェクション1日後、5日後の結果を示す。また、「**」は、「P<0.01」を示す。
図4Bの結果から、siCOL18A1−ASx−2、5、6、7、9は、siControlよりも有意(P<0.01)に細胞増殖を抑制した。このうち、siCOL18A1−ASx−5が最も細胞増殖抑制能に優れていることが明らかになった。
(試験例4−3:二本鎖核酸分子による標的非コードRNA発現抑制効果の検討)
前記試験例4−1において、乳癌細胞としてMCF−7細胞を用いていた点を前記試験例3−2と同様にして調製したOHTR細胞に代えた以外は、前記試験例4−1と同様にして、各二本鎖核酸分子のOHTR細胞におけるCOL18A1−ASx(配列番号:2〜4)発現に対する抑制効果(ノックダウン効果)を検討した。
非コードRNA発現レベルを測定した結果を図4Cに示した。図4C中、「(−)」は、無処理の結果を示し、「Reagent」は、二本鎖核酸分子をトランスフェクションしなかったもの(試薬のみ)の結果を示し、「siControl」は、「siControl」をトランスフェクションしたものの結果を示し、「siCOL18A1−ASx−1、2、5、6、7、9」は、それぞれ「siCOL18A1−ASx−1、2、5、6、7、9」をトランスフェクションしたものの結果を示す。
図4Cの結果から、本発明の「siCOL18A1−ASx−1、2、5、6、7、9」は、いずれもOHTR細胞において、COL18A1−ASx(配列番号:2〜4)の発現を抑制することが示された。
(試験例4−4:二本鎖核酸分子によるin vitroにおける細胞増殖抑制効果の検討)
前記試験例4−2において、乳癌細胞としてMCF−7細胞を用いていた点を前記試験例3−2と同様にして調製したOHTR細胞に代えた以外は、前記試験例4−2と同様にして、各二本鎖核酸分子のOHTR細胞増殖抑制効果(ノックダウン効果)を検討した。
細胞増殖試験の結果を図4Dに示した。図4D中、「(−)」は、無処理の結果を示し、「Reagent」は、二本鎖核酸分子をトランスフェクションしなかったもの(試薬のみ)の結果を示し、「siControl」は、「siControl」をトランスフェクションしたものの結果を示し、「siCOL18A1−ASx−1、2、5、6、7、9」は、それぞれ「siCOL18A1−ASx−1、2、5、6、7、9」をトランスフェクションしたものの結果を示す。また、「Day1」、「Day5」は、それぞれトランスフェクション1日後、5日後の結果を示す。また、「**」は、「P<0.01」を示す。
図4Dの結果から、siCOL18A1−ASx−1、2、5は、siControlよりも有意(P<0.01)に細胞増殖を抑制することが明らかになった。
(試験例4−5:二本鎖核酸分子による標的非コードRNA発現抑制効果の検討)
前記試験例4−1において、乳癌細胞としてMCF−7細胞を用いていた点を子宮内膜癌細胞であるIshikawa細胞に代えた以外は、前記試験例4−1と同様にして、各二本鎖核酸分子のIshikawa細胞におけるCOL18A1−ASx(配列番号:2〜4)発現に対する抑制効果(ノックダウン効果)を検討した。
なお、Ishikawa細胞の培養は、前記試験例3−5と同様にして行った。
非コードRNA発現レベルを測定した結果を図4Eに示した。図4E中、「(−)」は、無処理の結果を示し、「Reagent」は、二本鎖核酸分子をトランスフェクションしなかったもの(試薬のみ)の結果を示し、「siControl」は、「siControl」をトランスフェクションしたものの結果を示し、「siCOL18A1−ASx−1、2、5、6、7、9」は、それぞれ「siCOL18A1−ASx−1、2、5、6、7、9」をトランスフェクションしたものの結果を示す。
図4Eの結果から、本発明の「siCOL18A1−ASx−1、2、5、6、7、9」は、いずれもIshikawa細胞において、COL18A1−ASx(配列番号:2〜4)の発現を抑制することが示された。
(試験例4−6:二本鎖核酸分子によるin vitroにおける細胞増殖抑制効果の検討)
前記試験例4−2において、乳癌細胞としてMCF−7細胞を用いていた点を子宮内膜癌細胞であるIshikawa細胞に代えた以外は、前記試験例4−2と同様にして、各二本鎖核酸分子のIshikawa細胞増殖抑制効果(ノックダウン効果)を検討した。
なお、Ishikawa細胞の培養は、前記試験例3−5と同様にして行った。
細胞増殖試験の結果を図4Fに示した。図4F中、「(−)」は、無処理の結果を示し、「Reagent」は、二本鎖核酸分子をトランスフェクションしなかったもの(試薬のみ)の結果を示し、「siControl」は、「siControl」をトランスフェクションしたものの結果を示し、「siCOL18A1−ASx−1、2、5、6、7、9」は、それぞれ「siCOL18A1−ASx−1、2、5、6、7、9」をトランスフェクションしたものの結果を示す。また、「Day1」、「Day5」は、それぞれトランスフェクション1日後、5日後の結果を示す。また、「**」は、「P<0.01」を示す。
図4Fの結果から、siCOL18A1−ASx−1、5、6、7、9は、siControlよりも有意(P<0.01)に細胞増殖を抑制することが明らかになった。
(試験例5:二本鎖核酸分子によるin vivoにおける腫瘍増殖抑制効果の検討)
前記製造例1で用意した二本鎖核酸分子のうち、siTMPO−AS1−2、及びsiCOL18A1−ASx−5のそれぞれについて、マウスの皮下に腫瘍細胞を移植し、その腫瘍に対する増殖抑制効果を検討した。
前記siTMPO−AS1−2及びsiCOL18A1−ASx−5は、MCF−7細胞において、RNAレベルでの発現抑制効果と細胞増殖抑制効果とが共に高かったものである。
なお、コントロールとして、siControlを用いた。
実験方法の詳細を以下に示す。
[細胞]
前記腫瘍細胞として、ヒト乳がん細胞株であるMCF−7細胞を用いた。
[マウス]
前記マウスとして、日本クレア株式会社より購入したメスの8週齢のヌードマウス(BALB/cAJcl−nu/nu)を用いた。
[腫瘍細胞の皮下移植]
前記MCF−7細胞をヌードマウス一匹あたり4×10個になるようにDMEM(ダルベッコ変法イーグル培地)75μL中に調整し、更に、マトリゲル(BD bioscience社製)75μLと混合した。前記混合物をマウスの皮下に注入した。
[二本鎖核酸分子の投与(注入)]
マウスへ腫瘍細胞を移植後、腫瘍体積が100mmを超えたところから、前記各二本鎖核酸分子の注入を週2回行った。
前記二本鎖核酸分子腫瘍内への注入は、RNAi MAX(Invitrogen社製)を用いて行った。即ち、二本鎖核酸分子 5μgをOpti−MEM(GIBCO社製)50μLに懸濁したものと、RNAi MAX 15μLをOpti−MEM 50μLに懸濁したものとを混合したものをマウスの腫瘍内へ局注した。
[腫瘍増殖の測定、評価]
マウスの腫瘍の大きさは、週2回計測した。
腫瘍体積は、長径(r1)と、短径(r2,r3)を2か所とを計測し、「{長径(r1)(mm)×短径(r2)(mm)×短径(r3)(mm)}/2〕の式により算出した。
結果を図5A及び5Bに示した。
図5Aは、二本鎖核酸分子投与開始6週間後に撮影した代表的な腫瘍の状態を示す図である(上段:siControlを投与、中段:siTMPO−AS1−2を投与、下段:siCOL18A1−ASx−5を投与)。
図5Bは、腫瘍体積の変化を表したグラフである。図5B中、「■」は、「siControl」を投与したマウス(n=8)における結果を示し、「○」は、「siTMPO−AS1−2」を投与したマウス(n=9)における結果を示し、「▲」は、「siCOL18A1−ASx−5」を投与したマウス(n=8)における結果を示す。また、同図中、「*」は、p<0.05を表す。
図5A及び5Bの結果から、siTMPO−AS1−2又はsiCOL18A1−ASx−5の投与により、マウスにおけるMCF−7細胞由来の腫瘍の増殖が有意に抑制されることが明らかになった。
(試験例6−1:二本鎖核酸分子によるin vitroにおける細胞移動抑制効果の検討)
前記製造例1で得られたsiTMPO−AS1−1、又は2を、乳癌細胞にトランスフェクションし、その後、細胞の移動を測定することにより、各二本鎖核酸分子の乳癌細胞移動抑制効果を検討した。
なお、コントロールとして、siControlを用いた。
実験方法の詳細を以下に示す。
[細胞]
前記乳癌細胞として、ヒト乳がん細胞株であるMCF−7細胞を用いた。
[細胞培養]
MCF−7細胞は、10%ウシ胎児血清(FBS、Sigma社製)、100μg/mL ストレプトマイシン、100U/mL ペニシリン(Invitrogen社製)を含むDMEM(ナカライテスク株式会社製)を細胞培養液として用い、空気中に5%の炭酸ガスを含む培養器内にて37℃で培養した。
[トランスフェクション]
96穴プレートに、MCF−7細胞を3×10個/穴となるようにまき、その翌日に、OPTI−MEM(Invitrogen社製)及びトランスフェクション試薬であるRNAi MAX(Invitrogen社製)を用いて二本鎖核酸分子をトランスフェクションした。導入した二本鎖核酸分子の量は、培地中で10nMとなるように調整した。
[細胞移動試験]
細胞移動試験は、トランスフェクションの2日後又は3日後に、細胞を培養チャンバー(Cell Culture Insert with 8.0−μm pore size PET filter(BD bioscience社製))内に、50,000個/穴の濃度で播種し、更に3日間インキュベーションした。その後、培養チャンバーをメタノール固定後、ギムザ染色液により染色し、培養チャンバーのフィルターを通過した細胞を顕微鏡下で少なくとも5視野以上計測することにより行った。
結果を図6Aに示した。図6A中、「TF(−)」は、無処理の結果を示し、「siControl」は、「siControl」をトランスフェクションしたものの結果を示し、「siTMPO−AS1−1、2」は、それぞれ「siTMPO−AS1−1、2」をトランスフェクションしたものの結果を示す。また、「**」は、「p<0.01」を示す。
図6Aの結果から、siTMPO−AS1−1又は2で処理したMCF−7細胞は、コントロールであるsiControlで処理したMCF−7細胞よりも細胞移動数が少ないことが明らかになり、本発明の二本鎖核酸分子は、癌細胞の移動を抑制することが示された。
(試験例6−2:二本鎖核酸分子によるin vitroにおける細胞移動抑制効果の検討)
前記試験例6−1において、siTMPO−AS1−1、又は2を用いていた点をsiCOL18A1−ASx−1、又は5に代えた以外は、前記試験例6−1と同様にして、各二本鎖核酸分子の細胞移動抑制効果を検討した。
結果を図6Bに示した。図6B中、「TF(−)」は、無処理の結果を示し、「siControl」は、「siControl」をトランスフェクションしたものの結果を示し、「siCOL18A1−ASx−1、5」は、それぞれ「siCOL18A1−ASx−1、5」をトランスフェクションしたものの結果を示す。また、「*」は、「P<0.05」を示し、「**」は、「P<0.01」を示す。
図6Bの結果から、siCOL18A1−ASx−1又は5で処理したMCF−7細胞は、コントロールであるsiControlで処理したMCF−7細胞よりも細胞移動数が少ないことが明らかになり、本発明の二本鎖核酸分子は、癌細胞の移動を抑制することが示された。
(試験例7:二本鎖核酸分子によるin vivoにおける腫瘍増殖抑制効果の検討)
前記製造例1で用意した二本鎖核酸分子のうち、siTMPO−AS1−2、siCOL18A1−ASx−1、及びsiCOL18A1−ASx−5のそれぞれについて、マウスの皮下に腫瘍細胞を移植し、その腫瘍に対する増殖抑制効果を検討した。
なお、コントロールとして、siControlを用いた。
実験方法の詳細を以下に示す。
[細胞]
前記腫瘍細胞として、乳癌治療抵抗性モデルである、タモキシフェン耐性細胞であるOHTR細胞を用いた。なお、前記OHTR細胞は、前記試験例3−3と同様にして作出した。
[マウス]
前記マウスとして、日本クレア株式会社より購入したメスの8週齢のヌードマウス(BALB/cAJcl−nu/nu)を用いた。
[腫瘍細胞の皮下移植]
前記OHTR細胞をヌードマウス一匹あたり20,000,000個になるようにDMEM(ダルベッコ変法イーグル培地)75μL中に調整し、更に、マトリゲル(BD bioscience社製)75μLと混合した。前記混合物をマウスの皮下に注入した。
[二本鎖核酸分子の投与(注入)]
マウスへ腫瘍細胞を移植後、腫瘍体積が300mmを超えたところから、前記各二本鎖核酸分子の注入を週2回行った。
前記二本鎖核酸分子腫瘍内への注入は、RNAi MAX(Invitrogen社製)を用いて行った。即ち、二本鎖核酸分子 5μgをOpti−MEM(GIBCO社製)50μLに懸濁したものと、RNAi MAX 15μLをOpti−MEM 50μLに懸濁したものとを混合したものをマウスの腫瘍内へ局注した。
[腫瘍増殖の測定、評価]
マウスの腫瘍の大きさは、週2回計測した。
腫瘍体積は、長径(r1)と、短径(r2,r3)を2か所とを計測し、「{長径(r1)(mm)×短径(r2)(mm)×短径(r3)(mm)}/2〕の式により算出した。
結果を図7A及び7Bに示した。
図7Aは、二本鎖核酸分子投与開始6週間後に撮影した代表的な腫瘍の状態を示す図である(左上:siControlを投与、左下:siCOL18A1−ASx−1を投与、右上:siCOL18A1−ASx−5を投与、右下:siTMPO−AS1−2を投与)。
図7Bは、腫瘍体積の変化を表したグラフである。図7B中、「■」は、「siControl」を投与したマウス(n=7)における結果を示し、「○」は、「siTMPO−AS1−2」を投与したマウス(n=6)における結果を示し、「□」は、「siCOL18A1−ASx−1」を投与したマウス(n=8)における結果を示し、「▲」は、「siCOL18A1−ASx−5」を投与したマウス(n=7)における結果を示す。また、同図中、「*」は、「P<0.05」を示し、「**」は、「P<0.01」を示す。
図7A及び7Bの結果から、siTMPO−AS1−2、siCOL18A1−ASx−1、又はsiCOL18A1−ASx−5の投与により、マウスにおけるOHTR細胞由来の腫瘍の増殖が有意に抑制されることが明らかになった。
以上の試験例1〜試験例7により、乳癌細胞MCF−7を用いて、新たな非コードRNAとして同定されたTMPO−AS1及びCOL18A1−ASxは、MCF−7細胞以外の乳癌細胞や乳癌以外の癌由来細胞においても発現しており、更に、乳癌の臨床サンプルを用いた解析によってもその発現が明らかになった。そのため、TMPO−AS1及びCOL18A1−ASxは、臨床においても乳癌をはじめとする様々な癌に関与していることが示唆された。
また、TMPO−AS1、COL18A1−ASxに対して、ノックダウン効果が高い二本鎖核酸分子が得られた。
前記二本鎖核酸分子は、MCF−7細胞、乳癌治療抵抗性モデルであるOHTR細胞、子宮内膜癌由来のIshikawa細胞において細胞増殖を抑制することが確かめられた。前記二本鎖核酸分子が同じ配列でも細胞間による効果の違いが認められたのは、トランスフェクション効率や、遺伝子発現量の差によるものと思われる。
非コードRNAの発現抑制効率及び細胞増殖抑制効果の優れていた前記siTMPO−AS1−2及びsiCOL18A1−ASx−5では、顕著な腫瘍増殖抑制効果が認められた。そのため、その他の細胞レベルで効果が認められた二本鎖核酸分子についても癌治療に役立つと考えられる。
また、本発明の二本鎖核酸分子は、乳癌細胞の移動を抑制することが示された。
更に、前記二本鎖核酸分子は、治療耐性乳癌細胞を移植したマウスにおける腫瘍の増殖を抑制することも確認された。
したがって、前記非コードRNAは、ホルモン療法抵抗性の乳癌を含む乳癌をはじめとする各種癌において、腫瘍増殖を促進する働きを有し、乳癌治療及び診断の分子標的となり得ることが示された。更に、これら非コードRNAの発現の抑制剤、特にsiRNAは、ホルモン療法抵抗性の乳癌細胞を含む乳癌細胞をはじめとする各種癌細胞において増殖抑制効果を有し、これら癌の治療に臨床応用可能である。
また、前記非コードRNAを標的とする二本鎖核酸分子は、現存のエストロゲン作用及びHER2に対する乳癌治療薬とは作用機構が異なる新しい治療分子標的となりうると考えられる。
また、前記非コードRNAの作用から癌の増殖メカニズムを解き明かし、病態解明へ応用することも可能となると考えられる。
本発明の態様としては、例えば、以下のものなどが挙げられる。
<1> 非コードRNAの発現を抑制するための二本鎖核酸分子であって、
前記二本鎖核酸分子が、
(a)配列番号:5〜11、及び26〜31のいずれかで表される標的配列に対応するヌクレオチド配列を含むセンス鎖と、
(b)前記(a)のセンス鎖と二本鎖を形成する該センス鎖に相補的なヌクレオチド配列を含むアンチセンス鎖とを含み、
前記非コードRNAが、配列番号:1〜4で表される塩基配列及びその一部の少なくともいずれかを含むことを特徴とする二本鎖核酸分子である。
<2> センス鎖が、配列番号:5、6、9、10、27、28、29、30、及び31のいずれかで表される標的配列に対応するヌクレオチド配列を含むセンス鎖である前記<1>に記載の二本鎖核酸分子である。
<3> センス鎖が、配列番号:6、及び28のいずれかで表される標的配列に対応するヌクレオチド配列を含むセンス鎖である前記<1>から<2>のいずれかに記載の二本鎖核酸分子である。
<4> 二本鎖RNA及び二本鎖RNA−DNAキメラのいずれかである前記<1>から<3>のいずれかに記載の二本鎖核酸分子である。
<5> siRNA及びキメラsiRNAのいずれかである前記<1>から<4>のいずれかに記載の二本鎖核酸分子である。
<6> siRNAである前記<1>から<5>のいずれかに記載の二本鎖核酸分子である。
<7> 前記<1>から<6>のいずれかに記載の二本鎖核酸分子をコードするヌクレオチド配列を含むことを特徴とするDNAである。
<8> 前記<7>に記載のDNAを含むことを特徴とするベクターである。
<9> 前記<1>から<6>のいずれかに記載の二本鎖核酸分子、前記<7>に記載のDNA、及び前記<8>に記載のベクターの少なくともいずれかを含むことを特徴とする癌細胞増殖抑制剤である。
<10> 癌細胞が、乳癌細胞である前記<9>に記載の癌細胞増殖抑制剤である。
<11> 乳癌細胞が、ホルモン療法抵抗性の乳癌細胞である前記<10>に記載の癌細胞増殖抑制剤である。
<12> 癌細胞に、前記<9>から<11>のいずれかに記載の癌細胞増殖抑制剤を作用させることを特徴とする癌細胞の増殖抑制方法である。
<13> 癌細胞が、乳癌細胞である前記<12>に記載の癌細胞の増殖抑制方法である。
<14> 乳癌細胞が、ホルモン療法抵抗性の乳癌細胞である前記<13>に記載の癌細胞の増殖抑制方法である。
<15> 前記<1>から<6>のいずれかに記載の二本鎖核酸分子、前記<7>に記載のDNA、及び前記<8>に記載のベクターの少なくともいずれかを含むことを特徴とする癌細胞移動抑制剤である。
<16> 癌細胞が、乳癌細胞である前記<15>に記載の癌細胞移動抑制剤である。
<17> 乳癌細胞が、ホルモン療法抵抗性の乳癌細胞である前記<16>に記載の癌細胞移動抑制剤である。
<18> 癌細胞に、前記<15>から<17>のいずれかに記載の癌細胞移動抑制剤を作用させることを特徴とする癌細胞の移動抑制方法である。
<19> 癌細胞が、乳癌細胞である前記<18>に記載の癌細胞の移動抑制方法である。
<20> 乳癌細胞が、ホルモン療法抵抗性の乳癌細胞である前記<19>に記載の癌細胞の移動抑制方法である。
<21> 癌を予防乃至治療するための医薬であって、前記<9>から<11>のいずれかに記載の癌細胞増殖抑制剤、及び前記<15>から<17>のいずれかに記載の癌細胞移動抑制剤の少なくともいずれかを含むことを特徴とする医薬である。
<22> 癌が、乳癌である前記<21>に記載の医薬である。
<23> 乳癌が、ホルモン療法抵抗性の乳癌である前記<22>に記載の医薬である。
<24> 個体に、前記<21>から<23>のいずれかに記載の医薬を投与することを特徴とする癌の予防乃至治療方法である。
<25> 癌が、乳癌である前記<24>に記載の癌の予防乃至治療方法である。
<27> 乳癌が、ホルモン療法抵抗性の乳癌である前記<25>に記載の癌の予防乃至治療方法である。

Claims (9)

  1. 二本鎖核酸分子、DNA、及びベクターの少なくともいずれかを含む癌細胞増殖抑制剤であって、
    前記二本鎖核酸分子が、配列番号:1〜4で表される塩基配列及びその一部の少なくともいずれかを含む非コードRNAの発現を抑制するための二本鎖核酸分子であって、
    (a)配列番号:5〜11、及び26〜31のいずれかで表される標的配列に対応するヌクレオチド配列を含むセンス鎖と、
    (b)前記(a)のセンス鎖と二本鎖を形成する該センス鎖に相補的なヌクレオチド配列を含むアンチセンス鎖とを含む二本鎖核酸分子であり、
    前記DNAが、前記二本鎖核酸分子をコードするヌクレオチド配列を含むDNAであり、
    前記ベクターが、前記DNAを含むベクターであることを特徴とする癌細胞増殖抑制剤。
  2. 前記二本鎖核酸分子のセンス鎖が、配列番号:5、6、9、10、27、28、29、30、及び31のいずれかで表される標的配列に対応するヌクレオチド配列を含むセンス鎖である請求項1に記載の癌細胞増殖抑制剤
  3. 前記二本鎖核酸分子が、二本鎖RNA及び二本鎖RNA−DNAキメラのいずれかである請求項1から2のいずれかに記載の癌細胞増殖抑制剤
  4. 前記二本鎖核酸分子が、siRNA及びキメラsiRNAのいずれかである請求項1から3のいずれかに記載の癌細胞増殖抑制剤
  5. 二本鎖核酸分子、DNA、及びベクターの少なくともいずれかを含む癌細胞移動抑制剤であって、
    前記二本鎖核酸分子が、配列番号:1〜4で表される塩基配列及びその一部の少なくともいずれかを含む非コードRNAの発現を抑制するための二本鎖核酸分子であって、
    (a)配列番号:5〜11、及び26〜31のいずれかで表される標的配列に対応するヌクレオチド配列を含むセンス鎖と、
    (b)前記(a)のセンス鎖と二本鎖を形成する該センス鎖に相補的なヌクレオチド配列を含むアンチセンス鎖とを含む二本鎖核酸分子であり、
    前記DNAが、前記二本鎖核酸分子をコードするヌクレオチド配列を含むDNAであり、
    前記ベクターが、前記DNAを含むベクターであることを特徴とする癌細胞移動抑制剤。
  6. 前記二本鎖核酸分子のセンス鎖が、配列番号:5、6、9、10、27、28、29、30、及び31のいずれかで表される標的配列に対応するヌクレオチド配列を含むセンス鎖である請求項5に記載の癌細胞移動抑制剤。
  7. 前記二本鎖核酸分子が、二本鎖RNA及び二本鎖RNA−DNAキメラのいずれかである請求項5から6のいずれかに記載の癌細胞移動抑制剤。
  8. 前記二本鎖核酸分子が、siRNA及びキメラsiRNAのいずれかである請求項5から7のいずれかに記載の癌細胞移動抑制剤。
  9. 癌を予防乃至治療するための医薬であって、請求項1から4のいずれかに記載の癌細胞増殖抑制剤、及び請求項5から8のいずれかに記載の癌細胞移動抑制剤の少なくともいずれかを含むことを特徴とする医薬。
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