JP5089607B2 - 病理組織において利用可能な生物学的マーカーをスクリーニングするインビトロ方法 - Google Patents

病理組織において利用可能な生物学的マーカーをスクリーニングするインビトロ方法 Download PDF

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Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、病理組織において細胞外空間から到達可能な特定の疾患生物学的マーカーをスクリーニングするインビトロ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
疾患の正確な検出及び選択的な処置のために臨床的に適している生物学的マーカーの発見は、重大な医療の課題である。病理組織を、それらの正常な相対物に影響を与えることなく標的にすることは、処置の効率及び安全性を改善する最も重要な手法の一つである(Wu, A. M. & Senter, P. D. Arming antibodies: prospects and challenges for immunoconjugates(抗体を武装する:免疫複合体の展望及び挑戦). Nat Biotechnol 23, 1137-1146 (2005); Adams, G. P. & Weiner, L. M. Monoclonal antibody therapy of cancer(癌のモノクローナル抗体療法). Nat Biotechnol 23, 1147-1157 (2005); Carter, P. Improving the efficacy of antibody-based cancer therapies(抗体に基づく癌治療の効果の改善). Nat Rev Cancer 1, 118-129 (2001))。議論の余地のないことには、そのような進歩は、癌及び他の疾患の治療にとって飛躍的な躍進を示す。したがって、罹患組織において特異的に発現するタンパク質を含む有効な生物学的マーカーの同定が、この上なく重要になってきた(Hortobagyi, G. N. Opportunities and challenges in the development of targeted therapies(標的化療法の開発の機会及び挑戦). Semin Oncol 31, 21-27 (2004); Neri, D. & Bicknell, R. Tumour vascular targeting(腫瘍血管標的化). Nat Rev Cancer 5, 436-446 (2005))。それにもかかわらず、最先端のハイスループット技術に基づく最新の標的発見戦略は、ヒトの組織において、生体活性分子に結合しているヒトモノクローナル抗体のような適切な高親和性リガンドが到達できる抗原についての制限に対処してこなかった(Adams, G. P. & Weiner, L. M. Monoclonal antibody therapy of cancer(癌のモノクローナル抗体療法). Nat Biotechnol23, 1147-1157 (2005); Neri, D. & Bicknell, R. Tumour vascular targeting(腫瘍血管標的化). Nat Rev Cancer 5, 436-446 (2005))。
【0003】
特定の病理学的過程に特有の生物学的マーカーの同定は、正確な検出(例えば、画像化研究において)及び癌を含む疾患の選択的治療のために最も重要である。例えば、癌に罹患している患者は、そのような発展により当然のことながら利益を得る。事実、通常、高繁殖率のような腫瘍細胞の性質を利用して設計されている化学療法剤は、残念ながら、造血前駆細胞を含む正常な循環細胞も標的にする。組み換えヒト抗体のような分子に結合することによるこれらの薬剤及び他の生体活性分子(例えば、放射線同位体、サイトカイン)の腫瘍微環境(例えば、腫瘍の間質又は血管区画に特異的に発現するタンパク質)への標的送達は、かなりの治療上の改善を表す。この選択的戦略は、宿主の健康な組織にほとんど毒性を与えない又は毒性を与えないで、腫瘍に到達する薬剤の量を増加させる。質量分析法のようなハイスループットプロテオミクス技術の最近の発展は、小規模であるが複雑な生物学的試料混合物の迅速で正確な同定を促進し、プロテオーム分析における二次元ゲル電気泳動における多くの制限を克服し(Peng, J. & Gygi, S. P. Proteomics: the move to mixtures(プロテオミクス:混合物への移動). J Mass Spectrom36, 1083-91 (2001))、標的の同定をかつてないほど容易にした。このハイスループットプロテオミクス技術の最近の発展は、特に癌研究において、新規標的の発見の速度を上げるのに大いに有望である。例えば、ゲルのないショットガンタンデム型質量分析法は、最近、ヒト乳房上皮正常及び癌細胞株における世界的なタンパク質発現プロフィールを比較するのに使用された(Sandhu, C. et al., Global protein shotgun expression profiling of proliferating mcf-7 breast cancer cells(繁殖しているmcf−7乳癌細胞の世界的なタンパク質ショットガン発現プロファイリング). J Proteome Res 4, 674-89 (2005))。残念なことに、そのような手法に関連する重大な落とし穴としては、目的のタンパクが、全身的に送達されたモノクローナル抗体のような適切な高親和性リガンドに対し、ヒト組織において到達可能かについての手がかりを提供しないことである。事実、特異的であるが、到達可能性の乏しい、病理組織に発現したタンパク質は、抗体に基づく抗癌治療の発展のためにはほとんど価値がないと予測される。病理組織に特異的に発現するばかりでなく、細胞外液から到達可能である、疾患生物学的マーカーを明らかにすることは、この制限を克服するのを助ける。
【0004】
更に、ヒト病理器官のインビボ末端潅流によるか又はエキソビボ潅流により、タンパク質を標識化できる方法が知られている。しかし、潅流技術は、実験動物(例えば、齧歯類)又は外科的に切除した、カテーテル処置動脈により血管新生化した器官(例えば、肝臓)に限定されており、多くの種類の病理組織、すなわち潅流することができないものを調査から除外している。
【発明の開示】
【0005】
したがって、本発明の目的は、生検及び潅流不可器官由来のヒト組織(例えば、乳房切除又は根治的前立腺摘除試験片に存在する癌病変部)において、細胞外空間から到達可能な特定の疾患生物学的マーカーを同定する、新たな簡単で素早い効率的な方法を提供することである。
【0006】
この目的は、病理組織において細胞外空間から高親和性リガンドが到達可能である特定の疾患生物学的マーカーをスクリーニングするインビトロ方法であって、
−未変性病理組織試料を、タンパク質を標識化する標識化試薬を含有する溶液に浸漬し、到達可能なタンパク質を標識化試薬により標識する工程;
−標識タンパク質を精製する工程;
−標識タンパク質又はそのフラグメントを分析する工程;
−正常組織と比較して、未変性病理組織試料における標識タンパク質の異なる発現パターンを決定する工程;
−正常組織と比較して未変性病理組織試料においてより高い発現を有するか、又は正常組織と比較してそれぞれの病理組織試料においてより頻繁に発現している標識タンパク質が、病理組織の生物学的マーカーであり、細胞外空間から高親和性リガンドが到達できるかを判断する工程
を含む方法により解決される。
【0007】
未変性病理組織試料を、タンパク質を標識化する標識化試薬を含有する溶液に浸漬する工程において、到達可能なタンパク質のみが標識化試薬により標識され、一方、到達可能ではないタンパク質は、標識されない又は実質的に標識されないことが理解される。この方法の好ましい実施態様において、前記標識タンパク質は、未変性組織における細胞外空間から高親和性リガンドが到達できるか、最も好ましくは、インビボで細胞外空間から高親和性リガンドが到達できるかが判断される。
【0008】
したがって、本発明は、インビボで細胞外液から、したがって血流から到達可能である、標的タンパク質を罹患組織から信頼性をもって同定するための新たな化学プロテオミクス法を提供する。この手順を、例えば小規模で外科的に得た正常及び癌性のヒト乳房組織の試料に適用することによって、乳癌に選択的に発現している一連の到達可能なタンパク質が同定される。これらの乳癌関連抗原のうちの幾つかは、細胞外基質及び分泌タンパク質を含む細胞外タンパク質に相当し、抗体に基づく抗癌処置のための興味深い標的であると思われる。この強力な技術は、理論的には事実上あらゆる組織及び病理学的状態に適用することができ、カスタムメイド標的治療の基礎となることができる。
【0009】
本発明によると、少なくとも病理組織試料は、浸漬工程までは未変性であり、好ましくは正常組織試料も浸漬工程までは未変性である。本明細書で使用されるとき、用語「未変性組織試料」は、組織試料が変性及び固定されていないことを意味する。本明細書で使用されるとき、用語「未変性組織」は、未変性組織試料、並びにインビボでの対応する組織を含む。
【0010】
本発明によると未変性組織試料において細胞外空間から到達可能ではない(また、インビボにおいて細胞外空間から到達可能ではない)病理疾患の生物学的マーカーは、標識されない又は実質的に標識されない。
【0011】
本発明の重要な特徴は、未変性組織試料を、未変性組織を介した簡単な拡散により細胞外空間から到達可能であるマーキング及び標識化タンパク質である反応性化合物を含む溶液に、浸漬することである。これは、組織試料が溶液に浸漬されると、その中に含まれている反応性化合物が、未変性組織試料の細胞外空間を介して拡散し、それによって到達可能なタンパク質と接触して、それらと反応することを意味する。標識タンパク質を、プロテオミクス法によって容易に精製及び分析、並びに同定することができる。標識タンパク質の同定は、例えば、液体クロマトグラフィー、続く質量分析によって達成される。一つの大きな利点は、本発明の方法は、使用される(未変性)組織試料を潅流することができるか又はできないかの可能性に依存していないことである。したがって、本発明の方法によると、到達可能な生物学的マーカーを探すために、あらゆる組織を調査及び探求することができる。
【0012】
本明細書で使用されるとき、用語「生物学的マーカー」は、所定の病理組織に発現し、正常組織に実質的に発現しないか、又は正常組織よりも高いレベルで所定の病理組織に発現するタンパク質又はポリペプチドを表し(これは、例えばグリコシル化により修飾されていることができる)、生物学的マーカーは、正常組織の正常な生理学的状態と比較して、病理学的状態を示す。
【0013】
本明細書で使用されるとき、用語「正常組織」は、同じ個体からの病理組織に対応する正常組織か、又は他の個体からの病理組織に対応する正常組織か、又は同じ個体から若しくは他の個体からの病理組織と無関係である(詳細には、身体の異なる位置からの、若しくは異なる組織学型の)正常組織を表す。
【0014】
好ましい実施態様において、用語「正常組織」は、同じ個体からの病理組織に対応する正常組織を意味する。
【0015】
本発明によると、正常組織試料と比較して病理組織試料における標識タンパク質の「異なる発現パターン」を決定する工程とは、例えば、所定の標識タンパク質が、病理又は正常のいずれかの組織において全て発現しているか又は全く発現していないかを試験することを意味する。この分析は、病理組織対正常組織における発現レベルの関係を評価することも含む。更に、この分析は、どれくらいの(最終的には異なる個体からの)数の、所定の種類の病理組織の試料に、所定のタンパク質の発現が見出されるかを、どれくらいの(最終的には異なる個体からの)数の、所定の種類の対応する又は無関係の正常組織に、所定のタンパク質の発現が見出されるかを比較する評価も含む。
【0016】
本発明によると、正常組織試料と比較して未変性病理組織試料においてより高い発現を有するか、又は正常組織試料と比較してそれぞれの未変性病理組織試料においてより頻繁に発現している標識タンパク質が、病理組織の生物学的マーカーであり、未変性差組織の細胞外空間から高親和性リガンドが到達できるかを判断する工程が存在する。最も好ましくは、病理組織試料において発現を有するが、対応する及び/又は無関係の正常組織において発現しない若しくは実質的に発現しない標識タンパク質が、病理組織の生物学的マーカーであり、未変性組織の細胞外空間から高親和性リガンドが到達できるかが判断される。
【0017】
好ましい実施態様において、本方法は、
−正常組織試料を、タンパク質を標識化する標識化試薬を含有する溶液に浸漬し、到達可能なタンパク質を標識化試薬により標識する工程;
−未変性病理組織試料を、タンパク質を標識化する標識化試薬を含有する溶液に浸漬し、到達可能なタンパク質を標識化試薬により標識する工程;
−各試料の標識タンパク質を分離精製する工程;
−正常組織と病理組織それぞれの標識タンパク質又はそのフラグメントを分析する工程;
−正常組織試料と比較して、未変性病理組織試料における標識タンパク質の異なる発現パターンを決定する工程;
−正常組織試料と比較して未変性病理組織試料においてより高い発現を有するか、又は正常組織試料と比較してそれぞれの未変性病理組織試料においてより頻繁に発現している標識タンパク質が、病理組織の生物学的マーカーであり、細胞外空間から高親和性リガンドが到達できるかを判断する工程
を含む。
【0018】
更に好ましくは、タンパク質を標識化するための標識化試薬は、反応性ビオチン、好ましくはビオチン反応性エステル誘導体である。
【0019】
なお別の好ましい実施態様において、精製工程は、標識タンパク質の標識を選択的マーカーとして使用する。標識タンパク質は、標識により仲介されるアフィニティー精製により精製されることが好ましい。
【0020】
好ましくは、標識は、ビオチン残基であり、精製は、樹脂に結合しているストレプトアビジンを使用して実施され、ビオチン標識タンパク質は、ストレプトアビジンを介して樹脂に結合している。
【0021】
更に好ましい実施態様によると、精製工程の後、標識タンパク質は、好ましくはタンパク質分解性消化により切断され、ペプチドとなる。
【0022】
更に好ましくは、分析工程は、質量分析、好ましくはタンデム型質量分析によるマイクロシークエンシングを含む。
【0023】
好ましくは、未変性病理組織試料は、腫瘍組織、炎症組織、アテローム組織、又は変性、代謝及び遺伝子疾患の結果として得られたものから選択される組織から誘導される。
【0024】
更に好ましくは、生物学的マーカーの到達可能性は、細胞外空間から高親和性リガンドが到達できることを意味する。これは、物質(高親和性リガンド)は、インビトロにおいて、所定の未変性組織の細胞外空間を介して、到達可能な生物学的マーカー(これは、正常組織の細胞外空間から到達可能であり、したがって、インビボでも到達可能である)に向かって拡散することができることを意味する。その結果、標識化する特定の物質が、所定の病理組織の細胞外空間を介してインビトロで拡散し、生物学的マーカーに到達することができる場合(これは病理学的状態を示す)、前記生物学的マーカー(本発明に従って決定することができる)は、細胞外空間(細胞外液)を介してインビボでも同様に到達可能であり、したがって、疾患を検出する(疾患の存在(診断)及び/又は延展(病期)及び/又は進展(モニタリング)を検出する)、並びに前記到達可能なタンパク質(生物学的マーカー)を発現する細胞及び組織を薬剤の標的にする、候補標的タンパク質(生物学的マーカー)であると考慮することができる。好ましくは、所定の組織の細胞外空間を介して、到達可能な生物学的マーカーに向かってインビトロで拡散することができる物質(高親和性リガンド)は、抗体、抗体フラグメント、薬剤、プロドラッグ、リガンド、ビオチン、並びにその誘導体及び複合体、好ましくは抗体又は抗体フラグメントと薬剤又はプロドラッグとの複合体からなる群より選択される。
【0025】
更に好ましい実施態様において、生物学的マーカーは、タンパク質又はポリペプチドであり、これは所定の病理組織において発現し、対応する正常組織では発現しないか、又は対応する正常組織よりも高いレベルで所定の病理組織において発現し、ここで生物学的マーカーは、対応する正常組織の正常な生理学的状態と比較して、病理学的状態を示す。
【0026】
本発明の目的は、病理組織の生物学的マーカーに向けられている高親和性リガンドが、医薬に含まれており、前記生物学的マーカーが、細胞外空間から高親和性リガンドが到達可能である、ヒト又は動物の疾患の治療及び/又は予防処理のための医薬の製造における上記に記述された方法の使用により解決される。好ましくは、高親和性リガンドは、生物学的マーカーに向けられている抗体、より好ましくは、モノクローナル抗体又は組み換え抗体である。好ましくは、方法は、病理組織の生物学的マーカーに向けられている高親和性リガンドが、医薬に含まれており、前記生物学的マーカーが、細胞外空間から高親和性リガンドが到達可能である、ヒト又は動物の疾患の治療及び/又は予防処理のための医薬の製造を提供し、ここでこの方法は、
−未変性病理組織試料を、タンパク質を標識化する標識化試薬を含有する溶液に浸漬し、到達可能なタンパク質を標識化試薬により標識する工程;
−標識タンパク質を精製する工程;
−標識タンパク質又はそのフラグメントを分析する工程;
−正常組織と比較して、未変性病理組織試料における標識タンパク質の異なる発現パターンを決定する工程;
−正常組織と比較して未変性病理組織試料においてより高い発現を有するか、又は正常組織と比較してそれぞれの未変性病理組織試料においてより頻繁に発現している標識タンパク質が、病理組織の生物学的マーカーであり、未変性組織の細胞外空間から高親和性リガンドが到達できるかを判断する工程;
−薬剤標的により病理細胞及び組織を処置するために適切な薬剤によって前記生物学的マーカー及び複合体に対して抗体を生じる工程
を含む。
【0027】
本発明は、病理組織の検出のための技術を開発する上記に記述した方法の使用も提供する。好ましくは、本発明による生物学的マーカーの選択(判断工程)の後、抗体を生物学的マーカーに対して生じ、例えば、シンチグラフィー、PETスキャン、NMR又はX線により検出可能である、当該技術で周知の検出可能な標識と結合させる。好ましくは、方法は病理組織の検出のための技術を開発するために提供され、ここでその方法は、
−未変性病理組織試料を、タンパク質を標識化する標識化試薬を含有する溶液に浸漬し、到達可能なタンパク質を標識化試薬により標識する工程;
−標識タンパク質を精製する工程;
−標識タンパク質又はそのフラグメントを分析する工程;
−正常組織と比較して、未変性病理組織試料における標識タンパク質の異なる発現パターンを決定する工程;
−正常組織と比較して未変性病理組織試料においてより高い発現を有するか、又は正常組織と比較してそれぞれの病理組織試料においてより頻繁に発現している標識タンパク質が、病理組織の生物学的マーカーであり、未変性組織の細胞外空間から高親和性リガンドが到達できるかを判断する工程;
−抗体を前記生物学的マーカーに対して生じ、シンチグラフィー、PETスキャン、NMR又はX線により検出可能である、検出可能な標識と結合させる工程
を含む。
【0028】
本発明は、ヒト又は動物の疾患の治療及び/又は予防処理のための、特定のリガンド、好ましくは抗体及び抗体−薬剤複合体の使用に基づく医薬の開発における、上記に記述された方法の使用を更に提供する。好ましくは、本発明による生物学的マーカーの選択(判断工程)の後、抗体を生物学的マーカーに対して生じ、薬剤標的により病理細胞及び組織を処置するのに適切な薬剤と結合させる。好ましくは、方法は、ヒト又は動物の疾患の治療及び/又は予防処理のための、特定のリガンド、好ましくは抗体及び抗体−薬剤複合体の使用に基づく医薬の開発のために提供され、ここでこの方法は、
−未変性病理組織試料を、タンパク質を標識化する標識化試薬を含有する溶液に浸漬し、到達可能なタンパク質を標識化試薬により標識する工程;
−標識タンパク質を精製する工程;
−標識タンパク質又はそのフラグメントを分析する工程;
−正常組織と比較して、未変性病理組織試料における標識タンパク質の異なる発現パターンを決定する工程;
−正常組織と比較して病理組織試料においてより高い発現を有するか、又は正常組織と比較してそれぞれの病理組織試料においてより頻繁に発現している標識タンパク質が、病理組織の生物学的マーカーであり、未変性組織の細胞外空間から高親和性リガンドが到達できるかを判断する工程;
−薬剤標的により病理細胞及び組織を処置するために適切な薬剤によって前記生物学的マーカー及び複合体に対して抗体を生じる工程
を含む。
【0029】
本発明は、個別の処置プロトコールの開発のための、個別の患者の病理組織の到達可能な生物学的マーカーのスクリーニングにおける、上記に記述された方法の使用を更に提供する。好ましくは、本発明による生物学的マーカーの選択(判断工程)の後、抗体を生物学的マーカーに対して生じ、薬剤標的により病理細胞及び組織を処置するのに適切な薬剤と結合させる。好ましくは、方法は、ヒト又は動物の疾患の治療及び/又は予防処理のための、特定のリガンド、好ましくは抗体及び抗体−薬剤複合体の使用に基づく医薬の開発のために提供され、ここでこの方法は、
−個別の患者の未変性病理組織試料を、タンパク質を標識化する標識化試薬を含有する溶液に浸漬し、到達可能なタンパク質を標識化試薬により標識する工程;
−標識タンパク質を精製する工程;
−標識タンパク質又はそのフラグメントを分析する工程;
−正常組織と比較して、未変性病理組織試料における標識タンパク質の異なる発現パターンを決定する工程;
−正常組織と比較して未変性病理組織試料においてより高い発現を有するか、又は正常組織と比較してそれぞれの病理組織試料においてより頻繁に発現している標識タンパク質が、病理組織の生物学的マーカーであり、未変性組織の細胞外空間から高親和性リガンドが到達できるかを判断する工程;
−薬剤標的により病理細胞及び組織を処置するために適切な薬剤によって前記生物学的マーカー及び複合体に対して抗体を生じる工程
を含む。
【0030】
本目的は、病理組織の生物学的マーカーに向けられている高親和性リガンドが、使用され、前記生物学的マーカーが、細胞外空間から高親和性リガンドが到達可能である、ヒト又は動物の疾患の治療及び/又は予防処理のための方法により解決され、ここでこの方法は、本発明の上記に記述された手順を含む。好ましくは、方法は、病理組織の生物学的マーカーに向けられている高親和性リガンドが使用され、前記生物学的マーカーが、細胞外空間から高親和性リガンドが到達可能である、ヒト又は動物の疾患の治療及び/又は予防処理のために提供され、ここでこの方法は、
−未変性病理組織試料を、タンパク質を標識化する標識化試薬を含有する溶液に浸漬し、到達可能なタンパク質を標識化試薬により標識する工程;
−標識タンパク質を精製する工程;
−標識タンパク質又はそのフラグメントを分析する工程;
−正常組織と比較して、未変性病理組織試料における標識タンパク質の異なる発現パターンを決定する工程;
−正常組織と比較して未変性病理組織試料においてより高い発現を有するか、又は正常組織と比較してそれぞれの未変性病理組織試料においてより頻繁に発現している標識タンパク質が、病理組織の生物学的マーカーであり、未変性組織の細胞外空間から高親和性リガンドが到達できるかを判断する工程;
−薬剤標的により病理細胞及び組織を処置するために適切な薬剤によって前記生物学的マーカー及び複合体に対して抗体を生じる工程
を含む。
【0031】
本発明の出願において、ヒト組織の生検において、細胞外空間から特定の疾患生物学的マーカーを同定する、新たな簡単で素早い効率的な方法が提供される。本発明の方法は、好ましくは、反応性ビオチンエステル誘導体の溶液と接触する到達可能なタンパク質の第一級アミンへのビオチン共有結合を利用する。本発明の方法は、予め溶解又は均質化することなく、好ましくは変性又は固定することもなく、ビオチン化溶液に簡単に浸漬することによって、生検又は潅流不可器官由来のヒト組織(例えば、乳房切除又は前立腺摘除試料に存在する癌病変部)のエキソビボビオチン化を許容する。ビオチン化タンパク質は、強力な洗剤を含有する溶解緩衝液中であっても、ビオチンとストレプトアビジンとの極めて高度で特異的な相互作用のおかげで容易に精製され、したがって、アフィニティー精製工程の際に非特異的結合を最小限にする。精製したビオチン化タンパク質のタンパク質分解性消化は、好ましくは、ショットガン型質量分析の前に、樹脂上で直接実施される。
【0032】
まとめると、本発明の方法は、病理及び健康組織試料で差次的に発現している幾つかの到達可能なタンパク質の同定を可能にする。この方法は、腫瘍組織試料、並びに炎症、変性、代謝、さらには遺伝子疾患から生じる他の病理組織を含む、事実上あらゆる組織に適用可能である。本発明は、米国女性において最も頻繁な形態の癌であり、癌死亡の2番目に多い原因である、ヒト乳癌の特定の生物学的マーカーを探求した。候補マーカーのリストのなかで、それらのうちの2つ、バーシカン及びペリオスチンは、本発明の化学プロテオミクスに基づく手法により乳癌において同定され、免疫組織化学により更に確認された。これらの細胞外基質タンパク質の到達可能性は、静脈内経路を使用する標的戦略に特に適切でありうる。本方法は実施するのが容易であり、信頼性があることが実証された。注目すべきは、結果を1週間未満で得ることができる。本方法は、原発性腫瘍及び関連する転移の完全なマッピングのために将来利用できるほど応用が利く。罹患組織において有効に発現する到達可能なタンパク質のみを標的にする、カスタムメイド処置の開発を可能にする。患者の疾患に特異的な最も関連性のある到達可能な生物学的マーカーが同定されると、組み換えヒト抗体及びそれらのフラグメントのような高親和性リガンドを調製して、病理病変部の正確な位置を判定し、それらを選択的に破壊できることが予想されうる。例として、フィブロネクチンのEDBドメインの特異的リガンドであり、幾つかの癌型の生物学的マーカーであるヒト抗体L19(Zardi, L. et al. Transformed human cells produce a new fibronectin isoform by preferential alternative splicing of a previously unobserved exon(形質移入ヒト細胞は、以前には観察されていないエクソンを優先的に選択スプライシングすることにより新たなフィブロネクチンアイソフォームを産生する). Embo J 6, 2337-2342 (1987); Pini, A. et al. Design and use of a phage display library(ファージディスプレーライブラリーの設計及び使用). Human antibodies with subnanomolar affinity against a marker of angiogenesis eluted from a two-dimensional gel(二次元ゲルから溶離された血管形成のマーカーに対してナノモル以下の親和性を有するヒト抗体). J Biol Chem 273, 21769-21776 (1998); Castellani, P. et al. Differentiation between high- and low-grade astrocytomausing a recombinant antibody to the extra domain-B of fibronectin(フィブロネクチンの外ドメインBに対する組み換え抗体を使用した高分化型及び低分化型の星細胞腫の差). Am J Pathol161, 1695-1700 (2002))は、現在、画像化ツール(放射性ヨウ素と結合している(Berndorff, D. et al. Radioimmunotherapyof solid tumors by targeting extra domain B fibronectin: identification of the best-suited radioimmunoconjugate(外ドメインBフィブロネクチンを標的にした固形腫瘍の放射免疫療法:最適な放射線免疫複合体の同定). Clin Cancer Res 11, 7053s-7063s (2005); Borsi, L. et al. Selective targeting of tumoral vasuclature: comparison of different formats of an antibody (L19- to the ED-B domain of fibronectin(腫瘍血管の選択的標的化:抗体の異なるフォーマット(L−19からフィブロネクチンのED−Bドメイン)の比較). Int J Cancer 102, 75-85 (2002))と治療剤(ヒトインターロイキン2と融合している(Ebbinghaus, C. et al. Engineered vascular-targeting antibody-interferon-gamma fusion protein for cancer therapy(癌治療のために操作した血管標的抗体インターフェロン−ガンマ融合タンパク質).Int J Cancer 116, 304-313 (2005); Menrad, A. & Menssen, H. D. ED-B fibronectin as a target for antibody-based cancer treatments(抗体に基づいた癌治療における標的としてのED−Bフィブロネクチン). Expert Opin Ther Targets 9, 491-500 (2005); Carnemolla, B. et al. Enhancement of the antitumor properties of interleukin-2 by its targeted delivery to the tumor blood vessel extracellular matrix(腫瘍血管外マトリックスへの標的送達によるインターロイキン2の抗癌特性の強化). Blood 99, 1659-1665 (2002)))の両方として、臨床試験において試験されている。本発明の新たな技術は、選択的標的治療の開発を促進し、したがって、疾患、特に癌に対する清浄で有効な戦いに向かって前例のない工程を示すことができる。
【0033】
発明を実施するための最良の形態
好ましい実施態様において、本目的は、病理組織において細胞外空間から高親和性リガンドが到達可能である特定の疾患生物学的マーカーをスクリーニングするインビトロ方法であって、
−未変性正常組織試料を、タンパク質を標識化する反応性ビオチンを含有する溶液に浸漬し、到達可能なタンパク質を反応性ビオチンにより標識(ビオチン化)する工程;
−未変性病理組織試料を、タンパク質を標識化する反応性ビオチンを含有する溶液に浸漬し、到達可能なタンパク質を反応性ビオチンにより標識(ビオチン化)する工程;
−ストレプトアビジン部分がビオチン基に結合しているストレプトアビジン結合樹脂を使用して、各試料のビオチン化タンパク質を分離精製する工程;
−液体クロマトグラフィー、その後で質量分析を使用して、正常組織と病理組織それぞれの標識タンパク質又はそのフラグメントを分析する工程;
−未変性正常組織試料と比較して、未変性病理組織試料における標識タンパク質の異なる発現パターンを決定する工程;
−未変性病理組織試料において発現を有するが、対応する正常組織において発現しない又は実質的に発現しない標識タンパク質が、病理組織の生物学的マーカーであり、未変性組織の細胞外空間から高親和性リガンドが到達できるかを判断する工程、を含む方法により解決される。図1は、この方法のこれらの工程をまとめる。
【0034】
実施例
1.ビオチン溶液中の組織の浸漬時間の評価
最初に、標識化の程度及び強度に対するビオチン溶液中の浸漬時間の効果を、組織化学により調査した。拡散の程度は、浸漬時間ばかりでなく、組織の厚さ及び組成によっても左右される。浸漬時間の増加(40分間まで)を、多様な厚さの乳房組織試験辺で試験した。組織へのビオチン浸透の表示である標識化の程度は、経時的に増加した(図2)。20分間の浸漬時間は、2mm厚のヒト乳房組織片にとって適当であることが見出され、この手順を更なる実験の全てにおいて使用した。同じ腫瘍試験片からの異なる試料の標識タンパク質パターンを検査することにより評価したビオチン化工程の再現性は、一貫していることが見出された(図4c)。
【0035】
2.乳癌における到達可能なタンパク質の発現プロフィール
7個の管及び3個の小葉ヒト乳癌(表2)及びそれらとマッチした非腫瘍性相対物におけるビオチン化された到達可能なタンパク質の発現プロフィールを、エレクトロスプレータンデム型質量分析と連結しているナノフロー液体クロマトグラフィーを使用したトリプシンペプチドの2次元分離に基づくMudPIT(多次元タンパク質同定技術)技術を使用して決定した。タンパク質の完全なリストには、高い信頼度で同定された670個のタンパク質が含まれる(表3)。本方法の再現性は、同じ試料での多重実施により生成されたタンパク質のリストを比較すること、及び同じ腫瘍からの3つの異なる試料から生成されたタンパク質のリストを比較することによって評価した(図4c)。ビオチン化乳房試料で同定されたタンパク質の数(>250個のタンパク質)は、非ビオチン化対照試料で見出されたものよりも明らかに多かった(正常又は腫瘍試料において10個以下のタンパク質、データ示されず)。非ビオチン化試料で見出されたタンパク質は、ストレプトアビジンビーズに非特異的に結合し、かつ、主に血清タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン、ヘモグロビン鎖及び免疫グロブリン)並びにケラチンから構成される「粘着性」タンパク質である可能性が高かった。ビオチン化タンパク質には、細胞外、原形質膜及び細胞内タンパク質が含まれた(表3)。従来技術において既に記載されているように、i)細胞内タンパク質は、組織が薄切りにされるとき、ビオチン化の前に損傷を受けた細胞により放出される可能性が高く、ii)細胞質タンパク質を、膜タンパク質との強力な相互作用のために共精製することができ、iii)陰荷電されているが、長鎖ビオチンエステルは細胞の中に進入することができる(Scheurer, S. B. et al., Identification and relative quantification of membrane proteins by surface biotinylation and two-dimensional peptide mapping(表面ビオチン化及び二次元ペプチドマッピングによる膜タンパク質の同定及び相対的定量化). Proteomics 5, 2718-28 (2005); Peirce, M. J. et al., Two-stage affinity purification for induciblyphosphorylated membrane proteins(誘発的にリン酸化された膜タンパク質の二段階アフィニティー精製). Proteomics 5, 2417-21 (2005))。
【0036】
非腫瘍性及び癌性乳房組織の比較分析は、細胞外区画に優先的に局在化することが知られている幾つかのタンパク質を同定した。癌組織に選択的に発現する間質タンパク質は、(i)細胞外タンパク質よりも到達可能であることが予測される、(ii)多くの場合に多量に存在する、及び(iii)腫瘍細胞が間質区画において頻繁に変化を誘発するので、腫瘍標的戦略における第一候補である。この「反応性間質」は、癌の進行に寄与する許容的及び支持的環境を作り出す(Walker, R. A. The complexities of breast cancer desmoplasia(乳癌結合組織形成の複雑性). Breast Cancer Res 3, 143-145 (2001); De Wever, O. & Mareel, M. Role of tissue stroma in cancer cell invasion(癌細胞侵入における組織間質の役割). J Pathol 200, 429-447 (2003))。これらの理由から、特異的に癌と関わる新たな間質タンパク質の同定が、極めて興味深い。到達可能な細胞外基質(ECM)タンパク質を探求すると、バーシカンは、乳癌微環境のみに系統的に発現することが同定された(表1)。他の潜在的な細胞外生物学的マーカーのうち、ペリオスチン及びフィブロネクチンが、分析した癌性組織においてより頻繁に検出された。更に、これらの潜在的なマーカーの幾つかのその場での発現を、一連のヒト乳癌において、その正常な相対物と一緒に免疫組織化学により調査した。
【0037】
表1は、高い信頼度で同定された10個の到達可能なタンパク質の選択肢を示す。このリストの幾つかのタンパク質は、癌−又は乳癌関連タンパク質(例えば、とりわけサイトケラチン、前勾配タンパク質相同体2、ペリオスチン及びバーシカン)であると思われる。興味深いことに、膜抗原ErbB2も、日常的な免疫組織化学評価によりErbB2陽性と考えられた、(試験した10個の腫瘍のうちの)単一の腫瘍においてMSにより同定された。ビオチン化タンパク質には、細胞外及び原形質膜のタンパク質が含まれたが、無視できない画分の細胞内タンパク質も含まれた。この観察の理由には、組織が薄切りされたときの細胞内タンパク質の漏れ、ビオチン浸透、及び細胞質と膜タンパク質との強力な相互作用が含まれる。それにもかかわらず、非腫瘍性対癌性の乳房組織の比較分析は、細胞外区画に優先的に局在化することが知られている幾つかのタンパク質を同定した。
【0038】
到達可能な細胞外基質(ECM)タンパク質を探求すると、バーシカンが、乳癌試料において系統的及び特異的(試験された10個の試料対のうち10個)に検出されが、マッチした正常な相対物では検出されないことが、この研究において同定された(表1)。ECMの間質細胞により分泌される大型のプロテオグリカンであるバーシカンは、腫瘍細胞侵入及び転移を促進しうる、確認されている細胞接着及び運動性モジュレーターである(Yamagata, M., et al., Regulation of cell-substrate adhesion by proteoglycans immobilized on extra cellular substrates(細胞外基質に固定化されたプロテオグリカンによる細胞−基質付着の調節). J Biol Chem 264, 8012-8 (1989); Evanko, S. P. et al., Formation of hyaluronan- and versican-rich pericellular matrix is required for proliferation and migration of vascular smooth muscle cells(ヒアルロナン及びバーシカンが豊富な細胞周囲マトリックスの形成が、血管平滑筋細胞の繁殖及び移動に必要である). Arterioscler Thromb Vasc Biol19, 1004-13 (1999); Ricciardelli, C. et al., Regulation of stromal versican expression by breast cancer cells and importance to relapse-free survival in patients with node-negative primary breast cancer(乳癌細胞による間質バーシカン発現の調節及びリンパ節陰性原発性乳癌を有する患者の再発のない生存における重要性). Clin Cancer Res 8, 1054-60 (2002))。抗バーシカン免疫反応性は、乳房の腫瘍周囲間質基質(Suwiwat, S. et al., Expression of extra cellular matrix components versican, chondroitin sulfate, tenascin, and hyaluronan, and their association with disease outcome in node-negative breast cancer(細胞外マトリックス成分のバーシカン、コンドロイチン硫酸、テネイシン及びヒアルロナンの発現、並びにリンパ節陰性乳癌の疾患転帰とのそれらの関連性). Clin Cancer Res 10, 2491-8 (2004))、肺((Pirinen, R. et al., Versican in nonsmallcell lung cancer: relation to hyaluronan, clinicopathologic factors, and prognosis(非小型細胞肺ガンにおけるバーシカン:ヒアルロナン、臨床病理学的要因及び予後との関連性). Hum Pathol 36, 44-50 (2005))、前立腺(Ricciardelli, C. et al., Elevated levels of versican but not decorin predict disease progression in early-stage prostate cancer(デコリンではなくバーシカンのレベルの上昇は、初期前立腺癌の疾患進行を予測する). Clin Cancer Res 4, 963-71 (1998))、及び結腸(Mukaratirwa, S. et al., Versicanand hyaluronan expression in canine colonic adenomas and carcinomas: relation to malignancy and depth of tumourinvasion(イヌの大腸腺腫及び大腸癌におけるバーシカン及びヒアルロナン発現:悪性度及び腫瘍侵入の深さとの関連性). J Comp Pathol131, 259-70 (2004)))の癌において増加する。加えて、乳癌を囲んでいる間質におけるバーシカンの蓄積の増加は、リンパ節陰性の原発性乳癌の再発のより高い危険性と関連する(Ricciardelli, C. et al. Regulation of stromal versican expression by breast cancer cells and importance to relapse-free survival in patients with node-negative primary breast cancer(乳癌細胞による間質バーシカン発現の調節及びリンパ節陰性原発性乳癌を有する患者の再発のない生存における重要性). Clin Cancer Res 8, 1054-60 (2002); Suwiwat, S. et al., Expression of extra cellular matrix components versican, chondroitin sulfate, tenascin, and hyaluronan, and their association with disease outcome in node-negative breast cancer(細胞外マトリックス成分のバーシカン、コンドロイチン硫酸、テネイシン及びヒアルロナンの発現、並びにリンパ節陰性乳癌の疾患転帰とのそれらの関連性). Clin Cancer Res 10, 2491-8 (2004))。バーシカンを、幾つか(5個まで)のペプチドで同定し、バーシカンペプチドのMSスペクトルを、十分に検査した(図4b)。更に、この潜在的な標的の確認は、免疫組織化学を使用して行った。図3は、ヒト乳房組織における抗バーシカン免疫染色の代表的な例を示す。正常な乳腺及び管の周りにおけるバーシカンの発現は一般に不在であり、タンパク質は、分析した10個の異なる乳癌病変部の間質区画において強力な免疫反応性を持った。したがって、これらの結果、並びに上記に参照された文献からのものは、新生物性組織においてのみバーシカンを検出した本研究の質量分析と完全に一致する。これら全てのデータを考慮すると、バーシカンは、ヒト乳癌の処置において潜在的な標的タンパク質として提案される。しかし、理想的な標的タンパク質は、腫瘍に特異的に発現するべきであるのみならず、正常組織には不在であるべきである。正常なヒトの身体におけるバーシカン発現の分布はほとんど不明であるので、本発明者たちは、多種多様な正常ヒト組織及び器官を含む組織マイクロアレイを使用して、このECMプロテオグリカンの存在について詳細な検査を実施した。免疫ペルオキシダーゼ染色によるバーシカン発現の分析は、抗バーシカン免疫反応性が大多数の正常組織(例えば、副腎、羊膜、乳房、臍帯、子宮内膜、子宮筋層、子宮頸部、心臓、腎臓、食道、膵臓、抹消神経、肝臓、脾臓、胸腺、甲状腺、舌)において不在であり、中程度の反応性しか胎盤及び中枢神経系の一部の領域において検出されなかったことを明らかにした。中枢神経系は、血液脳関門が破壊されていない限り循環結合抗体には到達可能ではないので、これらのその場での発現分析は、更に、抗体に基づく抗癌処置のために有望な標的としてバーシカンを同定した。
【0039】
ペリオスチンは、病巣接着部位でインテグリンにより局在化する、可溶性の分泌されたECM関連タンパク質(Takeshita, S. et al., Osteoblast-specific factor 2: cloning of a putative bone adhesion protein with homology with the insect protein fasciclin I(骨芽細胞特異的因子2:昆虫タンパク質ファシクリンIと相同性を有する推定骨付着タンパク質のクローニング). Biochem J 294 (Pt 1), 271-8 (1993))であり、したがってこのタンパク質の細胞接着及び運動性への寄与が示唆される(Gillan, L. et al. Periostinsecreted by epithelial ovarian carcinoma is a ligand for alpha(V)beta(3) and alpha(V)beta(5) integrins and promotes cell motility(上皮卵巣癌により分泌されたペリオスチンは、アルファ(V)ベータ(3)及びアルファ(V)ベータ(5)インテグリンのリガンドであり、細胞の運動性を促進する). Cancer Res 62, 5358-64 (2002))。ヒトペリオスチンは、結腸直腸癌(Bao, S. et al., Periostinpotently promotes metastatic growth of colon cancer by augmenting cell survival via the Akt/PKB pathway(ペリオスチンは、Akt/PKB経路を介して細胞の生存を増強することにより結腸癌の転移性増殖を強力に促進する). Cancer Cell 5, 329-39 (2004); Tai, I. T. et al., Periostin induction in tumor cell line explants and inhibition of in vitro cell growth by anti-periostinantibodies(腫瘍細胞株外植片におけるペリオスチンの誘発及び抗ペリオスチン抗体によるインビトロ細胞増殖の阻害). Carcinogenesis 26, 908-15 (2005))、乳腺癌(Shao, R. et al., Acquired expression of periostin by human breast cancers promotes tumor angiogenesis through up-regulation of vascular endothelial growth factor receptor 2 expression(ヒト乳癌によるペリオスチンの後天性発現は、血管内皮増殖因子レセプター2発現の上方制御を介して腫瘍血管形成を促進する). Mol Cell Biol24, 3992-4003 (2004))、非小型細胞肺癌(Sasaki, H. et al., Expression of Periostin, homologous with an insect cell adhesion molecule, as a prognostic marker in non-small cell lung cancers(非小型細胞肺癌の予後マーカーとしての、昆虫細胞付着分子と相同性のあるペリオスチンの発現). Jpn J Cancer Res 92, 869-73 (2001))、グリア芽細胞腫(Lal, A. et al., A public database for gene expression in human cancers(ヒト癌の遺伝子発現の公共データベース). Cancer Res 59, 5403-7 (1999))、及び上皮卵巣癌(Ismail, R. S. et al., Differential gene expression between normal and tumor-derived ovarian epithelial cells(正常と腫瘍由来の卵巣上皮細胞の遺伝子発現の差). Cancer Res 60, 6744-9 (2000))を含む幾つかの癌型において過剰発現していることが最近示されている。加えて、癌病変部におけるペリオスチンの過剰発現は、疾患の進行(Bao, S. et al., Periostinpotently promotes metastatic growth of colon cancer by augmenting cell survival via the Akt/PKB pathway(ペリオスチンは、Akt/PKB経路を介して細胞の生存を増強することにより結腸癌の転移性増殖を強力に促進する). Cancer Cell 5, 329-39 (2004))及び不良転帰(Sasaki, H. et al., Expression of Periostin, homologous with an insect cell adhesion molecule, as a prognostic marker in non-small cell lung cancers(非小型細胞肺癌の予後マーカーとしての、昆虫細胞付着分子と相同性のあるペリオスチンの発現). Jpn J Cancer Res 92, 869-73 (2001))と関連する場合がある。ペリオスチンは、血管形成を促進することによって腫瘍侵入及び転移を促進する場合がある(Bao, S. et al., Periostinpotently promotes metastatic growth of colon cancer by augmenting cell survival via the Akt/PKB pathway(ペリオスチンは、Akt/PKB経路を介して細胞の生存を増強することにより結腸癌の転移性増殖を強力に促進する). Cancer Cell 5, 329-39 (2004); Shao, R. et al., Acquired expression of periostinby human breast cancers promotes tumor angiogenesis through up-regulation of vascular endothelial growth factor receptor 2 expression(ヒト乳癌によるペリオスチンの後天性発現は、血管内皮増殖因子レセプター2発現の上方制御を介して腫瘍血管形成を促進する). Mol Cell Biol24, 3992-4003 (2004))。腫瘍転移におけるペリオスチンの推定される役割を考慮すると、この分泌タンパク質は、魅力的な癌の生物学的マーカー及び標的を表す。現行の研究において、分析した10個の乳癌及びマッチした非腫瘍性組織で得られたタンパク質発現プロフィールは、ペリオスチンが、腫瘍試料において同定された最も搬出する細胞外タンパク質(評価した10個の乳癌のうちの10個)であることを明らかにした。このことは、非腫瘍性乳腺/管区画に関連する間質と比較して、この研究で分析された乳癌と関連する間質におけるペリオスチンの上方制御を実証する、免疫組織化学実験により更に確認した(データ示されず)。
【0040】
3.図の説明
図1は、ヒト病理組織における到達可能なタンパク質の同定方法の概略図を示す。正常及び罹患ヒト組織試料のエキソビボビオチン化は、組織の、遊離第一級アミンを標識するビオチンの反応性エステル誘導体を含有する溶液への浸漬により達成される。各組織試料からのビオチン化タンパク質を洗剤で抽出し、ストレプトアビジンで捕獲し、洗浄した後、樹脂上でのタンパク質分解性消化に付す。ビオチン化された到達可能なタンパク質は、最終的に、nLC−ESI MS/MSを使用するショットガン型質量分析により配列決定される。組織試料において差次的に発現した同定された到達可能タンパク質は、例えば免疫組織化学分析により更に確認される。
図2は、組織ビオチン化の深さにおける浸漬時間の増加についての評価を示す。乳癌組織の薄片を、示されているように多様な時間で、ビオチン化溶液に浸けた。組織ビオチン化の程度を、組織化学を使用して評価した。組織化学実験を、製造会社(Vector Laboratories, Burlingame, CA, USA)の指示に従って、ABC Vectastainキットを使用して実施した。元の倍率:×100。
図3:その場での発現分析によるバーシカンの確認。a:免疫組織化学により評価した、癌性及びマッチした非腫瘍性ヒト乳癌組織におけるバーシカン発現の代表例。ヒト乳房組織のパラフィン切片を、免疫ペルオキシダーゼ染色に付した。元の倍率:×100。b:示されているように、組織マイクロアレイを使用した、多様な正常ヒト組織及び器官における免疫ペルオキシダーゼ染色によるバーシカン発現の代表例。
図4:試料処理概略。a:ビオチン化タンパク質の精製。上側のブロットは、下側のパネルに表されているクマシーブルー(CB)染色ゲルからのビオチン化タンパク質を示す。全腫瘍溶解産物がレーン1に示されている。ヒト血清アルブミン及び免疫グロブリンは、レーン2(CBゲル)において明白に示されているように、試料から取り除かれている。この溶解産物がストレプトアビジン樹脂に適用される。レーン3は樹脂と結合しなかったタンパク質を示し、有意な量のタンパク質が結合しなかったが、僅かなタンパク質は、実際にビオチン化された。レーン4、5及び6は、異なる(それぞれ、洗剤、高塩濃度及びアルカリ性緩衝液による)洗浄の流通画分を示す。樹脂に結合したタンパク質がレーン7に示されており、これらのタンパク質は、樹脂上で消化され、MSにより分析されたものを表す。b:バーシカンコアタンパク質前駆体において見出されるペプチドLLASDAGLYRのMS/MSフラグメンテーション、続くMascotソフトウエアにより注釈を付けられたMS/MSフラグメンテーション。中性ペプチドのモノアイソトピック質量は、1077.58であり、(二重荷電イオン539.775000からの)測定質量は、1077.535448である。下記の表のフラグメンテーションスペクトルは、b及びyシリーズ(37の最も強力なピークを使用して74フラグメントイオンのうちの20)のイオンを示す。m/z:質量電荷比。c:ビオチン化工程及びMS分析の再現性。乳癌試験片を4つの試料に切断し、別々にビオチン化した。各試料を、試料番号4で示しているように(元の倍率:×100)、アビジン−HRP複合体で組織化学により染色した。第1、第2及び第3試料からのビオチン化タンパク質のパターンを、ウエスタンブロッティングの後で、ニュートラビジン−HRPにより明らかにした。レーン3は、より弱い染色を示すが、レーン1及びレーン2と比較すると、全体的に同一のパターンを示す。試料番号1は、MSにより3回分析した。図の左側のヒストグラムは、同じ試料の1、2又は3回の反復分析の後で同定されたタンパク質の平均数を示し(エラーバーは、それぞれ一対の反復比較における平均に対する標準誤差を示す)、3回実施した反復において同定されたタンパク質の重複を示す。試料番号1、2及び3はMSにより分析した。同定の平均数及びタンパク質同定の重複率がヒストグラムに報告されている。
【0041】
4.組織採取
癌性及び非腫瘍性ヒト乳房組織試料を乳房切除試験片から得て、すぐに薄く切り、新たに調製したビオチン化溶液(PBSに即座に溶解した1mg.ml-1のEZ-結合Sulfo NHS-LCビオチン(Pierce)〔pH7.4〕)に浸けた。手術室での摘出からビオチン化工程までの時間は、典型的には10分未満を必要とした。それぞれのビオチン化反応は、第一級アミン含有緩衝溶液(例えば、50mMのトリス〔pH7.4〕)で5分間インキュベートすることによって停止させた。次に、それぞれの試料の、ホルマリンに直接浸漬し、次に更なる組織学的及び組織化学的調査のために処理した少量部分を除外して、組織試料を液体窒素で素速く凍結した。ビオチン化手順に含まれなかった追加の組織試料を、組織病理学的診断のために日常的に処理した。対照には、PBSに浸漬した隣接組織片が含まれた。Liegeの大学病院の倫理委員会が、この研究で使用される特定のプロトコールを再検討及び承認し、全ての患者から書面でインフォームドコンセントを入手した。
【0042】
5.組織化学及び免疫組織化学
ビオチン化組織における反応性ビオチンエステル誘導体の拡散深さを評価するために、ホルマリン固定、パラフィン包埋乳房組織切片を、製造会社の説明書に従ってVectastain ABCキット(Vector Labortories, Burlingame, CA, USA)を使用して、アビジン−ペルオキシダーゼ複合体と共にインキュベートした。免疫組織化学実験を、Waltregnyらにより以前に記載されたように実施した(Waltregny, D. et al. Prognostic value of bone sialoprotein expression in clinically localized human prostate cancer(臨床的に局在化した前立腺癌の骨シアロタンパク質発現の予後の価値). J Natl Cancer Inst 90, 1000-1008 (1998))。バーシカンの免疫組織化学的検出のために、スライドをコンドロイチナーゼと共にインキュベートすることによって、抗原検索を実施した。抗バーシカン(クローン12C5、Developmental Studies Hybridoma Bank at the University of Iowa, Iowa City, IA, USA)抗体を、1:200の希釈で切片に適用した。対照実験には、手順において第一級アミンを省くことが含まれた。
【0043】
6.試料処理
冷凍したビオチン化生検の粉砕は、Mikro-Dismembrator U(Braun Biotech, Melsungen, Germany)を使用して実施して、組織粉末を精製し、それをプロテアーゼインヒビターカクテル(Complete, Roche Diagnostics, Mannheim, Germany)を含有するPBS緩衝液に最初に再懸濁した。ホモジネートを2mmのマイクロプローブで音波処理し(2×3″)、可溶性のタンパク質を、ヒト血清アルブミン(HSA)及び免疫グロブリン(IgG)枯渇から構成される(Qproteome HSA and IgGsRemoval Kit, Quiagen)前清浄工程に付した。この工程には、MSにより検出された限定された数のHSA及びIgGペプチドが含まれたが、少量のタンパク質の検出を妨げなかった(データ示されず)。不溶性ペレットを、PBS中2%SDSに再懸濁し、溶解産物を音波処理した(3×3″)。HSA−及びIgG枯渇可溶性タンパク質画分及び洗剤可溶化タンパク質をプールし、5分間沸騰させた。タンパク質濃度を、BCAタンパク質アッセイ試薬キット(Pierce Chemical Co.)を使用して決定した。ストレプトアビジン−セファローススラリー(Amersham Biosciences、総タンパク質1mgあたり150μl)を、緩衝液A(PBS中1%NP40及び0.1%SDS)での3回の洗浄により平衡にして、タンパク質の結合を、回転ミキサー中、室温で2時間許容した。次に樹脂を緩衝液Aで2回、緩衝液B(PBS中0.1%NP40及び1M NaCl)で3回、そして炭酸水素アンモニウム(50mM、pH7.8)で1回洗浄した。ビオチン化タンパク質の樹脂への結合及び洗浄効率を、SDS−PAGEで調べ、更に、ストレプトアビジン−ホースラディッシュペルオキシダーゼによるビオチン後検出のために、クマシーブルー染色により又はブロッティングにより調べた。樹脂上の消化を、炭酸水素アンモニウムの最終容量の100μl中(pH7.8)、改質プロシントリプシン(Promega)を使用して、撹拌しながら37℃で一晩実施した。上澄みを収集し、タンパク質濃度を決定し、一回蒸発させ、ペプチドを0.1%ギ酸に再懸濁した。試料を、ナノ毛管液体クロマトグラフィー−エレクトロスプレータンデム型質量分析(nLC−ESI MS/MS)により分析した。
【0044】
7.質量分析
逆相液体クロマトグラフィーによるペプチド分離を、試料の浄化、分別及び予備濃縮のために、Famos自動試料採取器及びSwichos II Microcolumnスイッチング装置を完備した“Ultimate LC”システム(LC Packings)で実施した。試料(0.25μg/μLの0.1%ギ酸を20μL)を、最初にSCXマイクロプレカラム(内部直径500μM、長さ15mm、5μmのMCA50 bioX-SCXを充填)により流量200nL/分で、続いてマイクロプレカラムカートリッジ(内部直径300μM、長さ5mm、5μmのC18 PepMap100を充填;LC Packings)により捕捉した。5分後、プレカラムを、移動相A(アセトニトリル:脱ガスmilliQ水の2:98中の0.1%ギ酸)で平衡にした分離ナノカラム(内部直径75μM、長さ15cm、3μmのC18 PepMap100を充填;LC Packings)と連結した。線状溶離勾配を、移動相B(アセトニトリル:脱ガスmilliQ水の80:20中の0.1%ギ酸)により、95分間で10%から40%の範囲で適用した。LCシステムの出口を、Esquire HCTイオントラップ質量分析計(Bruker Daltonics, Germany)のナノエレクトロスプレー供給源に直接接続した。質量データ取得は、標準−増強モード(1秒あたり8100m/z)を使用する、50〜2000m/zの質量範囲で実施した。それぞれの質量走査において、データ依存性スキームは、3個の最も強力な二重又は三重荷電イオンをトラップに選択的に単離し、細分化するために選んだ。得られたフラグメントを、Ultra Scanモード(1秒あたり26000m/zで50〜3000のm/z範囲)を使用して分析した。SCX捕捉ペプチドを、5塩濃度で段階的に溶離し(10mM、20mM、40mM、80mM及び200mM)、それぞれ、移動相Bの同じ勾配に従った。
【0045】
8.データ処理及びmgfファイル生成
未処理のスペクトルをDataAnalysisソフトウエア(Bruker Daltonics)でフォーマットした。信号を含有するクロマトグラムの部分(すなわち、50000超の任意の単位のベースピーククロマトグラム信号)を処理して、平滑化又はバックグラウンド減算をすることなく、MS/MSスペクトルを抽出及び解析した。信号/雑音比の3を、MS/MSスペクトル及び生成された質量リストにおける濾過された関連データに適用した。電荷解析を、MSとMS/MSスペクトルの両方で実施した。保持時間の1.5分間を化合物溶離のために認めて、同一質量及び電荷状態の親の検出重複を最小限にした。解析と未解析データの両方を、mgfファイルに組み込んだ。
【0046】
9.データベース検索
タンパク質同定は、異なるデータベースと、異なる組み込みアルゴリズムを特徴とする異なるソフトウエアとを使用して実施した。タンパク質を、最初に、Phenyxウエブインターフェース(GeneBio, Geneva, Switzerland)を介したNCBI非重複データベース(NCBInr、リリース20060131)を使用して同定した。前駆体イオンの質量許容差を、0.6に設定し、許容される改質は、メチオニンの部分酸化及びLCビオチンによる部分溶解改質であった。1つのミスカットも許容された。各腫瘍試料において、400個を超えるタンパク質の同定が得られた。追加的な検索を、マルチプロセッサーコンピュータークラスターで作動させるMascot検索エンジンのMS/MSイオン検索アルゴリズムを介して((Mascot and Mascot Daemon v2.1.0) (Perkins, D. N. et al., Electrophoresis 20, 3551-67 (1999))、最小限重複SWISS−PROTヒトタンパク質データベース(Nesvizhskii, A. I. & Aebersold, R. Interpretation of Shotgun Proteomic Data: The Protein Inference Problem(ショットガンプロテオミクスデータの解釈:タンパク質の推定おける問題). Mol Cell Proteomics 4, 1419-1440 (2005))によって実施した。前駆体及び細分化イオンの質量許容差を、それぞれ0.6及び0.3に設定し、許容される改質は、メチオニンの部分酸化であった。厳密な濾過を恣意的に使用し、絶対確率(P)を0.01(すなわち、ランダムマッチの1%未満の確率)に設定し、MudPITスコア付けを使用し、イオンスコアが15より劣っているペプチドを区別した。この「攻撃的な」濾過にもかかわらず、タンパク質のヒットを、特に1つのペプチドだけで同定されたタンパク質を手動で検査した。これらの予防措置を行って、表1に報告されているタンパク質同定の正確性を確実にした。目的のタンパク質を、PhenyxとMascotの両方の検索エンジンにより同定し、配列の適用範囲は、通常、Phenyxの方が多かった(データ示されず)。
【0047】
10.組織マイクロアレイ
多様な正常ヒト組織の0.6mmコアを含む中密度組織マイクロアレイ(TMA)を、以前に記載されたように作製した(Kononen, J. et al. (1998) Tissue microarrays for high-throughput molecular profiling of tumor specimens(腫瘍試験片のハイスループット分子プロファイリング用の組織マイクロアレイ). Nat Med 4, 844-847; Perrone, E. E. et al. (2000) Tissue Microarray Assessment of Prostate Cancer Tumor Proliferation in African- American and White Men(アフリカ系アメリカ人及び白人の男性における前立腺癌の腫瘍繁殖の組織マイクロアレイ評価). J Natl Cancer Inst 92, 937-939)。正常ヒト組織のホルマリン固定、パラフィン包埋ブロックを、リエージュ大学病院の病理学部からの回収した。大部分の正常組織は、剖検から得た神経組織以外は外科的試験片からのものである。最初の切片をヘマトキシリン及びエオシンにより染色して、組織学を確認した。2つのTMAを、手動組織整列器(Beecham Instruments)の使用により生成した。分析したそれぞれの特定の組織又は器官のために、複製コアをTMAに含めた。合計120個のコアを、バーシカンの免疫組織化学的発現について検査した。免疫染色強度を、不在、弱、中程度又は強力として2人の観察者によりスコア付けした。
【0048】
【表1】
【表2】
【表3】

【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】図1は、ヒト病理組織における到達可能なタンパク質の同定方法の概略図を示す。
【図2】図2は、組織ビオチン化の深さにおける浸漬時間の増加についての評価を示す。
【図3】図3:その場での発現分析によるバーシカンの確認。a:免疫組織化学により評価した、癌性及びマッチした非腫瘍性ヒト乳癌組織におけるバーシカン発現の代表例。b:示されているように、組織マイクロアレイを使用した、多様な正常ヒト組織及び器官における免疫ペルオキシダーゼ染色によるバーシカン発現の代表例。
【図4a】図4:試料処理概略。a:ビオチン化タンパク質の精製。上側のブロットは、下側のパネルに表されているクマシーブルー(CB)染色ゲルからのビオチン化タンパク質を示す。全腫瘍溶解産物がレーン1に示されている。ヒト血清アルブミン及び免疫グロブリンは、レーン2(CBゲル)において明白に示されているように、試料から取り除かれている。この溶解産物がストレプトアビジン樹脂に適用される。レーン3は樹脂と結合しなかったタンパク質を示し、有意な量のタンパク質が結合しなかったが、僅かなタンパク質は、実際にビオチン化された。レーン4、5及び6は、異なる(それぞれ、洗剤、高塩濃度及びアルカリ性緩衝液による)洗浄の流通画分を示す。樹脂に結合したタンパク質がレーン7に示されており、これらのタンパク質は、樹脂上で消化され、MSにより分析されたものを表す。
【図4b】図4:試料処理概略。b:バーシカンコアタンパク質前駆体において見出されるペプチドLLASDAGLYRのMS/MSフラグメンテーション、続くMascotソフトウエアにより注釈を付けられたMS/MSフラグメンテーション。中性ペプチドのモノアイソトピック質量は、1077.58であり、(二重荷電イオン539.775000からの)測定質量は、1077.535448である。下記の表のフラグメンテーションスペクトルは、b及びyシリーズ(37の最も強力なピークを使用して74フラグメントイオンのうちの20)のイオンを示す。m/z:質量電荷比。
【図4c】図4:試料処理概略。c:ビオチン化工程及びMS分析の再現性。乳癌試験片を4つの試料に切断し、別々にビオチン化した。各試料を、試料番号4で示しているように(元の倍率:×100)、アビジン−HRP複合体で組織化学により染色した。第1、第2及び第3試料からのビオチン化タンパク質のパターンを、ウエスタンブロッティングの後で、ニュートラビジン−HRPにより明らかにした。レーン3は、より弱い染色を示すが、レーン1及びレーン2と比較すると、全体的に同一のパターンを示す。試料番号1は、MSにより3回分析した。図の左側のヒストグラムは、同じ試料の1、2又は3回の反復分析の後で同定されたタンパク質の平均数を示し(エラーバーは、それぞれ一対の反復比較における平均に対する標準誤差を示す)、3回実施した反復において同定されたタンパク質の重複を示す。試料番号1、2及び3はMSにより分析した。同定の平均数及びタンパク質同定の重複率がヒストグラムに報告されている。

Claims (23)

  1. 病理組織において細胞外空間から高親和性リガンドが到達可能である特定の疾患生物学的マーカーをスクリーニングするインビトロ方法であって、
    変性されておらずかつ固定されていない病理組織試料を、タンパク質を標識化する標識化試薬を含有する溶液に浸漬し、到達可能なタンパク質を標識化試薬により標識する工程;
    −標識タンパク質を精製する工程;
    −標識タンパク質又はそのフラグメントを分析する工程;
    −対応する及び/又は無関係の正常組織と比較して、変性されておらずかつ固定されていない病理組織試料における標識タンパク質の異なる発現パターンを決定する工程;
    −対応する及び/若しくは無関係の正常組織試料と比較して、変性されておらずかつ固定されていない病理組織試料においてより高い発現を有するか、又は対応する及び/若しくは無関係の正常組織試料と比較してそれぞれの変性されておらずかつ固定されていない病理組織試料においてより頻繁に発現している標識タンパク質が、病理組織の生物学的マーカーであり、細胞外空間から高親和性リガンドが到達できるかを判断する工程
    を含む方法。
  2. 変性されておらずかつ固定されていない正常組織試料を、タンパク質を標識化する標識化試薬を含有する溶液に浸漬し、到達可能なタンパク質を標識化試薬により標識する工程;
    変性されておらずかつ固定されていない病理組織試料を、タンパク質を標識化する標識化試薬を含有する溶液に浸漬し、到達可能なタンパク質を標識化試薬により標識する工程;
    −各試料の標識タンパク質を分離精製する工程;
    −正常組織と病理組織それぞれの標識タンパク質又はそのフラグメントを分析する工程;
    −正常組織試料と比較して、変性されておらずかつ固定されていない病理組織試料における標識タンパク質の異なる発現パターンを決定する工程;
    −正常組織試料と比較して変性されておらずかつ固定されていない病理組織試料においてより高い発現を有するか、又は正常組織試料と比較してそれぞれの変性されておらずかつ固定されていない病理組織試料においてより頻繁に発現している標識タンパク質が、病理組織の生物学的マーカーであり、細胞外空間から高親和性リガンドが到達できるかを判断する工程
    を含む、請求項1記載の方法。
  3. 変性されておらずかつ固定されていない病理組織試料において発現を有するが、正常組織において発現しない又は実質的に発現しない標識タンパク質が、病理組織の生物学的マーカーであり、細胞外空間から高親和性リガンドが到達可能であると判断される、請求項1又は2記載の方法。
  4. 変性されておらずかつ固定されていない病理組織試料において発現を有するが、正常組織において発現しない又は実質的に発現しない標識タンパク質が、病理組織の生物学的マーカーであり、変性されておらずかつ固定されていない組織の細胞外空間から高親和性リガンドが到達可能であると判断される、請求項1又は2記載の方法。
  5. 変性されておらずかつ固定されていない病理組織試料において発現を有するが、正常組織において発現しない又は実質的に発現しない標識タンパク質が、病理組織の生物学的マーカーであり、インビボで細胞外空間から高親和性リガンドが到達可能であると判断される、請求項1又は2記載の方法。
  6. タンパク質を標識化するための標識化試薬が、反応性ビオチンである、請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
  7. 反応性ビオチンがビオチン反応性エステル誘導体である、請求項6記載の方法。
  8. 精製工程が、標識タンパク質の標識を選択的マーカーとして使用する、請求項1〜7のいずれか1項記載の方法。
  9. 標識がビオチン残基であり、精製が、樹脂に結合しているストレプトアビジンを使用して実施され、ビオチン標識タンパク質が、ストレプトアビジンを介して樹脂に結合している、請求項1〜8のいずれか1項記載の方法。
  10. 精製工程の後、標識タンパク質をペプチドに切断する、請求項1〜9のいずれか1項記載の方法。
  11. 標識タンパク質が、タンパク質分解性消化により、ペプチドに切断される、請求項10記載の方法。
  12. 分析工程が、質量分析によるマイクロシークエンシングを含む、請求項1〜11のいずれか1項記載の方法。
  13. 分析工程が、タンデム型質量分析によるマイクロシークエンシングを含む、請求項1〜11のいずれか1項記載の方法。
  14. 変性されておらずかつ固定されていない病理組織試料が、腫瘍組織、炎症組織、アテローム組織、又は変性、代謝及び遺伝子疾患の結果として得られたものから選択される組織から誘導される、請求項1〜13のいずれか1項記載の方法。
  15. 生物学的マーカーの到達可能性が、変性されておらずかつ固定されていない組織の細胞外空間から高親和性リガンドが到達できることを意味する、請求項1〜14のいずれか1項記載の方法。
  16. 変性されておらずかつ固定されていない組織試料の細胞外空間から高親和性リガンドが到達可能ではない病理疾患の生物学的マーカーが、標識されない又は実質的に標識されない、請求項1〜15のいずれか1項記載の方法。
  17. 高親和性リガンドが、抗体、抗体フラグメント、薬剤、プロドラッグ、リガンド、ビオチン、並びにその誘導体及び複合体からなる群より選択される、請求項15又は16の方法。
  18. 高親和性リガンドが抗体又は抗体フラグメントと薬剤又はプロドラッグとの複合体である、請求項15又は16の方法。
  19. 生物学的マーカーが、タンパク質又はポリペプチドであり、所定の病理組織において発現し、正常組織では発現しないか、又は正常組織よりも高いレベルで所定の病理組織において発現し、生物学的マーカーが、対応する正常組織の正常な生理学的状態と比較して、病理学的状態を示す、請求項1〜18のいずれか1項記載の方法。
  20. 病理組織の生物学的マーカーに向けられている高親和性リガンドが、医薬に含まれており、前記生物学的マーカーが、細胞外空間から高親和性リガンドが到達可能である、ヒト又は動物の疾患の治療及び/又は予防処理のための医薬の製造における請求項1〜19のいずれか1項記載の方法の使用。
  21. 病理組織の検出のための技術の開発における、請求項1〜19のいずれか1項記載の方法の使用。
  22. 特定のリガンドの使用に基づく、ヒト又は動物の疾患の治療及び/又は予防処理のための医薬の開発における、請求項1〜21のいずれか1項記載の方法の使用。
  23. 特定のリガンドが抗体及び抗体−薬剤複合体である、請求項22記載の方法の使用。
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