JP5086203B2 - 衝突装置 - Google Patents

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本発明は、硬質体に原料液の高圧流体を衝突させて乳化、分散、微粒化処理を行う衝突装置に関するものである。
従来から、原料液の分散、乳化を含む微粒化処理を行う際には、噴射ノズルから処理対象である原料液を高圧で噴射させ、その高速ジェットを硬質体に衝突させることによって衝突時に発生する衝突エネルギーを利用する固体−処理流体衝突タイプの装置が用いられている。
このような衝突装置としては、原料液の高速ジェットが導入される流路の内壁を衝突対象とするものや、衝突対象として板状や球状の硬質体を用いたものがある。
流路内壁に衝突させるタイプでは、溝や貫通孔が形成された硬質プレートの組合せを装置内の衝突空間に配置して屈曲流路を形成し、該流路内に高圧流体を導入し、流路の屈曲部で流路壁面衝突を生じさせて微粒化処理を行うものである(例えば、特許文献1参照。)。
また、衝突対象として硬質体を用いるタイプでは、装置内の衝突空間に板状あるいは球状の硬質体を設置し、それらの硬質体に向かって噴射ノズルから原料液の高圧流体を噴射して衝突させ、衝突時の衝突エネルギーによって微粒化処理を行うものである(例えば、特許文献2参照。)。
特開平1−144930号公報 特開2000−448号公報
しかしながら、上記の如く流路内壁に衝突させるタイプの装置では、流路内壁面の同一箇所に衝突が集中するため、局所的な損傷が生じやすく、この損傷による構造変化で微粒化性能も低下する恐れがあるため、良好な微粒化性能を維持するために頻繁なプレート交換が必要であった。このように部材寿命が短く、交換のための手間が掛かるため、製品の製造効率が悪く、コスト高となってしまう。また、装置構造の変更ができないため、流量を変化させた場合、各流量に応じて構造を最適化することが困難である。
そこで、球状の硬質体を衝突対象とし、装置内の衝突空間内にこの硬質体を回転自在に支承された状態で設置したものがある。この場合、硬質球体は、高速噴流の衝突によって常に回転するため、集中的な損傷が軽減され、流路内壁に衝突させるタイプと比べて耐久性は向上した。しかし高速噴流の衝突力のみを用いているため充分な微粒化性能が得られなかった。
この微粒化性能を高めるために噴射圧力を上昇させると発熱や耐久性、消費エネルギーの増加などの問題も生じる。さらに、このタイプの装置では、ノズル径以外装置構造の変更はできず、流量変化に応じた最適化条件で微粒化を行うことはできていなかった。
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、噴射ノズルから衝突対象までの空間の内径、長さを最適化することによって、高速噴流の減衰を抑えると共に良好なキャビテーション効果を同時に得て、常に高い衝突エネルギーで充分な微粒化性能が発揮できる衝突装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明に係る衝突装置は、衝突用チャンバ内に支承された硬質体に高圧流体を衝突させる衝突装置において、
原料液を噴射する噴射ノズルと、該噴射ノズルへ原料液の高圧流体を供給する導入流路と、前記噴射ノズルから噴射された高速噴流を受け入れて通過させた後に出口開口から噴出して前記硬質体の表面へ衝突させる円筒状の高速流路と、衝突後の流体を装置外へ排出するための流出流路とを有し、
前記高速流路は、前記噴射ノズルの口径をD1,該噴射ノズルから流体を噴射させる噴射圧力をP1とし、P1が100MPa以上で、レイノルズ数Reが45000以上120000以下の範囲にて、高速流路直径D2が以下の数式1を満たすものであると共に、
高速流路長L2が25mm≦L2≦55mmを満たすものであり、
前記高速流路の出口開口から、該流路の中心軸の延長線が交わる硬質体表面上の衝突点までの衝突距離L3が、5mm以下であり、
前記高速流路の中心軸の延長線と、該延長線が交わる硬質体表面上の衝突点における法線とが成す角度のうち、小さい方の角度を衝突角度θとし、該衝突角度θが0度以上15度以下であることを特徴とする
Figure 0005086203
本発明は、噴射ノズルから噴射された原料液の高速噴流を円筒状の高速流路を通過した後に硬質体に衝突させる衝突装置において、高速流路の直径D2と流路長さL2とを特定の条件に設定することによって、高速流路内を進む高速噴流の減衰を抑えると共に、良好なキャビティの発生、成長を促進することができ、高速流路から噴出した高速噴流の硬質体衝突時には、高い衝突エネルギーと効果的なキャビテーションによる衝撃エネルギーとを同時に得ることができ、従来にない優れた微粒化性能を実現させることができるという効果がある。
本発明の衝突装置においては、噴射ノズルから噴射された原料液の高速噴流が円筒状の高速流路を通過した後に硬質体に衝突するものであり、高速流路の直径D2と流路長さL2とを特定の条件に設定することによって、従来にない優れた微粒化性能を実現させたものである。
本発明における噴射ノズルは、高圧流体が流れる最も断面積の狭い流路であり、高圧流体がここを通過する際に圧力エネルギーが速度エネルギーに変換される流路である。この噴射ノズルから噴射された高圧流体はその噴射力により高速噴流となり、噴射ノズルと連続的に配置された円筒状の高速流路に受け入られ、この流路内を通過する。
この高速流路内を通過する際に、高速噴流が出口開口までその高速を維持すると共に、高速流路内を流れる過程でキャビティを発生、成長させることができれば、高速流路から噴出した高速噴流は、出口付近での硬質体との衝突時に大きな衝突エネルギーとキャビテーションによる衝撃エネルギーとを同時に発生させることができ、相乗的に優れた微粒化性能を得ることができる。
即ち、本発明は、このような高速噴流の高速を維持すると共に衝突時に効果的なキャビテーションが得られるようなキャビティの発生、成長を促進することのできる高速流路の設計条件を特定したものである。
前記のような優れた流体状態を得るための高速流路設計を特定するため、本発明者等は、まず、レイノルズ数Reに着目し、後述する実施例に示すとおり、所定の物性(密度ρ、粘性係数μ、比重γ)を持つ原料液での種々の高速流路条件における衝突実験にて、レイノルズ数Reと微粒化性能との関係を検討した。
レイノルズ数Reは、Re=UD/(μ/ρ)で表され(U:代表速さ、D:代表長さとしての管直径)流体の円管内流れを特徴付ける指標の一つであるが、上記衝突実験の検討の結果、高速流路のレイノルズ数Reが45000≦Re≦120000、より好ましくは50000≦Re≦85000の範囲内となる場合において、優れた微粒化性能が発揮されることを見出し、噴射圧力P1と噴射ノズル口径D1によって決定される任意の流量に対して、前記レイノルズ数が得られる高速流路直径D2を以下の数式1により特定すると共に、高速流路長L2を25mm≦L2≦55mm、より好ましくは30mm≦L2≦50mmとするという本発明に至ったものである。
Figure 0005086203
本装置では、原料液が高速噴流として高速度で噴射ノズル及び高速流路を通過する。この場合、水系乳化物、スラリーは高速せん断下では見かけの粘度は急激に低下し、水と大差ない粘性係数となる。なお、原料液とは流体中に液体又は固体を分散させたものである。
上記の如く特定された径と長さを備えた高速流路により、本発明の衝突装置においては、噴射ノズルから噴射された高速噴流は、高速流路内壁との間での摩擦による圧力損失をほとんど発生することなく、且つ高速流路内にある液体との剪断による噴流の減衰、速度低下も最小限に抑えられながら高速を維持したまま出口開口まで達することができ、大きな衝突エネルギーを発生させることができる。
また、高速噴流は、前記範囲内に設定された高速流路長により、高速流路内を出口開口に向かってキャビティを良好に発生、成長させることができる距離を進む。即ち、高速噴流は、上記数式1により径が特定された細い円筒状の高速流路内を適切な長さ分流れることによりキャビティを充分に発生、成長させることができ、高速流路から噴出された際には、広い空間に開放されると同時に硬質体に衝突した際に、キャビティの崩壊、所謂キャビテーションにより発生する衝撃力を最大限に高めることができる。
従って、本発明においては、高速流路から噴出する高速噴流の衝突時には、噴流が維持していた高速噴射力による衝突エネルギーと効果的なキャビテーションによる衝撃エネルギーとが同時に得られ、優れた微粒化性能が発揮される。
また、本発明においては、一次圧力(噴射圧力)P1や噴射ノズル口径D1に応じて上記数式1により高速流路直径D2を決定できるため、使用したい噴射ノズルに対応させた高速流路直径とすることで、スケールアップ時など、それぞれ異なる各流量に応じて最適化を図ることができ、様々な流量条件において常に高い微粒化性能を実現することができる。
本衝突装置において、流量は、噴射ノズル口径D1によって概略決定する。例えば噴射圧力180MPaにおいて、ノズル係数α=0.5の場合、D1=0.35mmで流量2.6L/min、D1=0.42mmで流量3.8L/min、D1=0.5mmで流量5.4L/min、D1=0.68mmで流量9.9L/minとなる。
なお、高速流路から噴出された高速噴流が硬質体に衝突するまでの間も、噴流が減速することがない距離以下に設定することが望ましい。即ち、高速流路の出口開口から、該流路の中心軸の延長線が交わる硬質体表面上の衝突点までの衝突距離L3を5mm以下、より好ましくは1.6mm以下とすることによって、高速噴流の速度を充分維持することができ、優れた微粒化性能が得られる。このとき、硬質体が球状であるなど、衝突表面が曲面で衝突点周辺に流体を逃がすことのできる空間が形成されるのであれば、衝突距離L3を実質的に0mmとして高速流路の出口開口を硬質体衝突点に接する構成も可能であり、この場合は最大の衝突エネルギーが得られるため、微粒化性能も高い。
さらに、高速流路から噴出する噴流の噴射軸が高速流路の中心軸の延長線に沿ったものとすると、該延長線が交わる硬質体表面上の衝突点における法線とが成す角度のうち、小さい方の角度を衝突角度θとした場合、この衝突角度θが大きすぎると、噴流は硬質体表面上を滑るように流れ、衝突力が弱まってしまうため、充分な衝突力を確保するため、衝突角度θは好適な角度範囲に設定することが望まれる。即ち、衝突角度θが0度以上15度以下、より好ましくは0度以上10度以下の範囲内とすることにより、高速噴流の良好な衝突エネルギーを確保することができる。
なお、本発明の噴射ノズルは、高硬質材料に形成されるものであり、超硬合金、SUS440C等の金属材料耐摩耗性を向上させた材料や、窒化珪素、ジルコニア、アルミナ等のセラミックス、あるいはダイヤモンド、サファイア、ルビーなどが挙げられ、特に、高硬質材料として耐摩耗性に優れるダイヤモンドを用いることが好ましい。ダイヤモンドには、最も硬度の高い天然ダイヤモンドの他、人工単結晶ダイヤモンド、人工多結晶ダイヤモンド、焼結ダイヤモンドがあり、いずれも採用可能であるが、最も硬度の高い天然ダイヤモンドがより望ましい。
また、噴射ノズルから噴射された高速噴流が流れる高速流路を形成する部材については、流路内にキャビティが発生、成長するため、流路の内壁にもキャビテーションによる大きな衝撃が生じる可能性があるため、ステンレス鋼、コバルト合金などの耐摩耗性合金、セラミックス、超硬合金など、大きな部品を製作可能で且つ耐摩耗性の高い材質が望ましい。
また、衝突対象である硬質体は、高速噴流との衝突やキャビテーション効果による強い衝撃を受けるため、高硬質材料で構成することが望ましく、例えば、超硬合金、セラミックス、ダイヤモンドなどが好適である。なお、硬質体は、表面に高速噴流の衝突とキャビテーションによる衝撃を連続的に長期に亘って受けるため、高い耐久性が求められるが、同一箇所への衝撃が集中すると、部分的な摩耗、損傷が著しく生じる可能性があることから、回転可能に支承された球体とすることが望ましい。球形にすることによって、高速噴流の衝突の間、硬質体は連続的に回転して表面の被衝突部位が経時的に変化するため、平板状硬質体のように衝突部位が一点に集中することによる著しい摩耗損傷が生じることもなく、全体的に摩耗速度が低くなるため、結果として高い耐久性が得られ、部品交換までの寿命が長期化する。
本発明の一実施例として、球状の硬質体を備えた衝突装置を図1の側断面図に示す。本衝突装置1は、ハウジング2内で、原料液を供給するための導入流路3が形成されたノズル押さえ4と衝突後の流体を装置外へ排出するための排出流路11が形成されたサポート部材12の間に、噴射ノズル5が形成されたノズル部材6と、円筒状の高速流路7が形成された鞘部材8と、内部に球状硬質体9が回転可能に支承された衝突室10とを挟む配置でそれぞれ交換可能に組み込み、噴射ノズル5と高速流路7が同軸上に連続した状態に構成したものである。
従って、この衝突装置1においては、外部の原料液供給源から加圧供給された高圧流体が、導入流路3を介してノズル部材6へ導入されて噴射ノズル5から噴射され、高速噴流となって高速流路7内を通過し、高速流路7の出口開口から噴出されて球状硬質体9に衝突し、微粒化処理がなされる。衝突後の流体は、排出流路11を介して衝突装置1外の回収部へ回収される。なお、微粒化処理工程中は、衝突室10内は原料液で満たされた状態となる。
上記の構成を備えた本衝突装置1においては、噴射ノズル5のノズル口径D1を変更した場合、それに応じた設計の高速流路7が形成された鞘部材8を交換することで、原料液の処理流量に応じて構造を最適化することができる。なお、鞘部材8の交換に伴いサポート部材12も適切な長さの部品に交換し、鞘部材8とサポート部材12の合計長さを一定とすることで、その他の装置部分は同一のもののまま、簡便に幅広い範囲で互いに異なる流量条件毎に優れた微粒化性能を実現することができる。
次に、図1に示した衝突装置1において、繰り返し衝突による微粒化処理テストを行い、本装置1に組み込まれた噴射ノズル5の口径D1、高速流路内径D2,高速流路長L2の微粒化性能への影響を検討した結果を以下に示す。
まず、本微粒化処理テストは、流動パラフィン250g、セチルトリメチルアンモニウムクロリド20g、精製水730gを混合し、80℃に加熱混合し、ホモジナイザーで撹拌して得た粗乳化液1000gを原料液として原料タンクに収容して用いた(原料液密度は20℃において970kg/m)。即ち、この原料液を原料タンクから高圧ポンプを介して操作圧力180MPaで衝突装置1へ送り、衝突装置1内にて衝突処理された後、排出流路11から排出される衝突済み処理液を背圧調整バルブ(背圧0〜15MPa)を介して冷却器(冷却水入口温度15℃)へ送り、冷却後に再び原料タンクへ回収し、次の微粒化処理のために衝突装置1へ加圧供給する、という微粒化処理工程を繰り返した。
本テストでは、以上の微粒化処理工程を6回繰り返し、その後回収した液体を室温まで冷却して水中油型乳化組成物を得た。該組成物を水で5倍に希釈して粒径測定試料とし、微粒化性能を評価した。油滴がより微細に分散されているほど乳化組成物の透明性が高くなるため、本テストによる微粒化性能は外観透明性により評価できることから、本テストにおける評価方法としては、各試料を透過率測定セルに2mL入れ、紫外線可視吸光光度計(株式会社島津製作所製、UV−160)にて波長550nmの光の透過率を測定し純水の透過率を100%とした比透過率(%)で示し、比透過率60%以上を微粒化性能の良好なものとして評価した。これは、比透過率が60%未満となる乳化組成物では、比透過率が60%以上の乳化組成物と比べて大粒径の油滴が多いため合一等が起こり易く、経時的な安定性が低くなるためである。
まず、図1に示した衝突装置1において、異なる各噴射ノズル口径D1について、高速流路長L2を固定し、高速流路内径D2をパラメータとして変化させて、操作圧力180MPaにおいて前記微粒化処理テストを行い、主に高速流路直径の微粒化性能への影響を検討した。その評価結果は、それぞれレイノルズ数Reと共に表1に示す。比透過率が60%未満で微粒化性能評価の低いものには黒星(★)を付けた。
Figure 0005086203
なお、No1およびNo2は硬質体と高速噴流の衝突の影響を検討したものであり、衝突装置1に硬質体が組み込まれた状態でテストを行ったNo1に対して、No2はNo1と同設計条件で硬質体を取り外した状態でテストを行った結果である。この結果から、高い微粒化性能を示す構造であっても、高速噴流と硬質体の衝突が無ければ高い衝突エネルギーおよびキャビテーション効果が得られず微粒化性能が低くなることがわかる。
本テストでは、噴射ノズル口径D1を0.5mm(No1〜7)、0.6mm(No8〜12)、0.68mm(No13〜17)の3種について、D1=0.5mmの場合に高速流路直径D2を1〜12mm、D1=0.6mmとD1=0.68mmの場合はそれぞれ高速流路直径D2を1〜6mmの範囲内でそれぞれ変化させて検討した。表1のNo1、3、4、9、10、14〜16の結果からレイノルズ数Re=52556〜113659となる場合において良好な微粒化性能が確認され、特にRe=81835の場合に優れた微粒化性能が確認された。
一方、No8、13の結果からRe≧163669と噴射ノズル口径D1に対して高速流路直径D2が小さすぎる設計条件では、高速流路の内壁との摩擦による圧力損失から高速噴流のエネルギーが低下し、微粒化性能が劣る。逆にNo5〜7、11、12、17の結果からRe≦40917と噴射ノズル口径D1に対して高速流路直径D2が大きすぎると高速流路内に満たされた原料液との剪断によって高速噴流の速度が減衰し、衝突エネルギーが低下し、また同時にキャビティの崩壊による衝撃エネルギーも減少するため微粒化性能が低くなる。
以上の結果から、噴射ノズル口径と噴射圧力に応じて高速流路内のRe数が望ましい範囲内になるよう高速流路直径D2の値を決定することによって良好な微粒化性能が得られることが判った。具体的には、原料液の高圧流体を噴射する噴射圧力を100MPa以上とし、高速流路内のRe数が45000≦Re≦120000の範囲内、より好ましくは50000≦Re≦85000の範囲内となるように前記数式1に基づいて高速流路直径D2を規定するとき、良好な微粒化性能が得られる。
次に、異なる各噴射ノズル口径D1について、高速流路直径D2を前記の好ましいRe数範囲以内となる数値に固定し、高速流路長L2をパラメータとして変化させて、操作圧力180MPaにおいて前記微粒化処理テストを行い、主に高速流路長の微粒化性能への影響を検討した。その評価結果は、それぞれレイノルズ数Reと共に表2に示す。なお、比透過率60%未満で微粒化性能評価の低いものには黒星(★)を付けた。
Figure 0005086203
本テストでは、噴射ノズル口径D1を0.42mm(No21〜24)、0.5mm(No25〜36)、0.6mm(No37〜40)の3種について、D1=0.42mmの場合は高速流路直径D2=1.5mmとし高速流路長L2を20〜50mmの範囲内で、D1=0.5mmの場合は、高速流路直径D2=1.5mmとして高速流路長L2を10〜50mmの範囲内と、高速流路直径D2=2mmとして高速流路長L2を10〜80mmの範囲内で、流量を増やしたD1=0.6mmの場合は高速流路直径D2=3mmとして高速流路長L2を40〜80mmの範囲内でそれぞれ変化させて検討した。
表2のNo22〜24、27〜29、32〜34、37、38の結果から、どの噴射ノズル口径の場合もL2=30〜50mmにおいて良好な微粒化性能が確認された。しかしながらNo21、25、26、30、31の結果から、L2が20mm以下の場合に微粒化性能が劣っていることが確認された。これは、高速流路長L2が短いと、高速流路内で発生するキャビティが充分に成長できない状態で高速噴流が硬質体に衝突するため、高いキャビテーション効果が得られないためである。
また、No35、36、39、40のように高速流路長L2=60〜80mmの場合も微粒化性能が劣っていた。これは、高速流路長が長すぎると、高速噴流が硬質体に衝突する位置が効果的なキャビテーション効果を得るのに最適である位置とずれて、キャビティが充分に崩壊しきれないためだと思われる。
以上の結果として、高速流路長L2を適切な値とすることで、効率よくキャビテーション効果を確保すると共に高速噴流の高速を維持し、高い衝突、衝撃エネルギーを得ることができる。具体的には、高速流路長L2を25mm≦L2≦55mm、より好ましくは30mm≦L2≦50mmとすることによって高い微粒化性能を実現できる。
次に、図1の衝突装置1において、噴射ノズル口径D1=0.5mmのノズル部材6を組み込み、該ノズル口径に対応して高い微粒化性能が既に確認された高速流路直径D2および高速流路長L2において、高速流路の出口開口から該流路の中心軸の延長線が交わる硬質体表面上の衝突点Aまでの衝突距離L3を変化させて、操作圧力180MPaにおいて前記微粒化処理テストを行い、衝突距離L3の微粒化性能への影響を検討し、その結果を表3に示した。なお、比透過率60%未満で微粒化性能評価が低くかったものには黒星(★)を付けた。
Figure 0005086203
本テストにおいては、噴射ノズル口径D1=0.5mm、高速流路直径D2=2mm、および高速流路長さL2=30〜40mmにおいて、衝突距離L3を0〜11.5mmの範囲で変化させて検討した。表3のNo51〜54に示すように、衝突距離L3が3.0mm以下の短い場合に高い微粒化性能が得られ、No55〜57に示すように衝突距離L3が6.5mm以上と長い場合には微粒化性能が劣ることが確認された。
以上の結果から、衝突距離L3が短く、高速流路出口開口から硬質体までの距離が近いほど、高速流路から噴出された高速噴流はその速度を維持した状態で硬質体に衝突できるため、出口開口まで維持された高速噴流による衝突エネルギーと効率的なキャビテーション効果による大きな衝撃エネルギーをそのまま得ることができるが、衝突距離L3が5mmを超えるような硬質体までの距離が遠くなると、その間に開放空間において高速噴流は周囲の原料液との剪断によって急激に速度が落ちるため、衝突エネルギーも大幅に低下し、微粒化性能も低くなってしまう。
従って、衝突距離L3をできるだけ短く設定することで、高速流路から噴出された高速噴流の大きなエネルギーを硬質体に衝突するまで良好に維持することができる。具体的には、衝突距離L3を5mm以下、より好ましくは3.0mm以下とすることによって高い微粒化性能が確保される。なお、表3に記載した以外のテストは全て衝突距離L3を0〜2mmの範囲で行った。
次に、図1の衝突装置において、表1のNo3で示したように良好な微粒化性能が得られる条件、噴射ノズル口径D1=0.5mm、高速流路直径D2=2mm、高速流路長L2=40mm、において、図2に示すように高速噴流の衝突角度θ(高速流路の中心軸の延長線と交わる硬質体表面上の衝突点Aにおける法線とが成す角度のうち、小さい方の角度)を0度〜31度の範囲内で変化させ、それぞれ操作圧力180MPaで微粒化処理テストを行い、衝突角度θの微粒化性能への影響を検討し、その結果を表4に示した。比透過率60%未満で微粒化性能評価が低かったものには黒星(★)を付けた。
Figure 0005086203
硬質体が球形状である場合、衝突角度θを大きくすることは、硬質体の回転力を高めることとなり、結果として高速噴流の集中的な衝突による局所的摩耗を防ぎ、硬質体自身の耐久性を向上させ、部材寿命の長期化が図れるが、衝突角度θが大きすぎると、高速噴流が硬質体に衝突する際のエネルギーが低下してしまい、微粒化性能が低下してしまう。
表4のNo61〜64の結果から、衝突角度θが0度〜10度の範囲内であれば、硬質体を回転させながらも高い微粒化性能を確保できるが、No66、67に示されるように衝突角度θが22度以上と大きすぎる場合、微粒化性能は低下してしまう。
従って、高速流路の直径、長さを優れた微粒化性能が得られる条件範囲内に設定していても、その微粒化性能を生かすためには衝突角度θを適切な範囲内にすることが重要である。具体的には、衝突角度θを0度以上15度以下、より好ましくは0度以上10度以下に設定することにより、本衝突装置1は高い微粒化性能を発揮することができる。なお、表4に記載した以外のテストは全て衝突角度θを0度〜3度として行った。
次に、図1に示した衝突装置1において、以上の操作圧力180MPaで微粒化テストを行った際の各種条件において、操作圧力を220MPaに変更して同様の微粒化処理テストを行い、噴射圧力の微粒化性能への影響を検討し、その結果を表5に示した。比透過率60%未満で微粒化性能評価が低くかったものには黒星(★)を付けた。
Figure 0005086203
本テストでは、各種噴射ノズル口径D1(0.42mm、0.5mm、0.6mm、0.68mm)について、高速流路直径D2を1.5〜6mm、高速流路長L2を40〜60mmの範囲内で変化させ、それぞれ操作圧力220MPaで微粒化処理テストを行った。
表5のNo71〜74、77、78の結果に示されるように、既に衝突処理装置の設計として好ましい条件であることが確認された高速流路直径D2および高速流路長L2においては、操作圧力を上げることによりさらに微粒化性能が向上することが確認できた。しかし、操作圧力を上げても、No76の結果に示されるように、高速流路直径D2が大きくてレイノルズ数Reが好ましい範囲内に入らない場合、またNo75に示されるように高速流路長L2が長すぎて好ましい範囲内に入らない場合には、操作圧力の上昇分だけ微粒化性能はやや向上するが、結果的に望ましい良好な微粒化性能を発揮するには至らない。
本発明の一実施例による衝突装置の概略全体構成を示す側断面図である。 図1の衝突装置における高速噴流の硬質体に対する衝突角度θを示す衝突点A付近の部分拡大側断面図である。
符号の説明
1:衝突装置
2:ハウジング
3:導入流路
4:ノズル押さえ
5:噴射ノズル
6:ノズル部材
7:高速流路
8:鞘部材
9:硬質体(球状)
10:衝突室
11:排出流路
12:サポート部材
D1:噴射ノズル口径
D2:高速流路直径
L2:高速流路長
L3:衝突距離
A:衝突点

Claims (1)

  1. 衝突用チャンバ内に支承された硬質体に高圧噴流を衝突させる衝突装置において、
    原料液を噴射する噴射ノズルと、該噴射ノズルへ原料液の高圧流体を供給する導入流路と、前記噴射ノズルから噴射された高速噴流を受け入れて通過させた後に出口開口から噴出して前記硬質体の表面へ衝突させる円筒状の高速流路と、衝突後の流体を装置外へ排出するための流出流路とを有し、
    前記高速流路は、前記噴射ノズルの口径をD1,該噴射ノズルから流体を噴射させる噴射圧力をP1とし、P1が100MPa以上で、レイノルズ数Reが45000以上120000以下の範囲にて、高速流路直径D2が以下の数式1を満たすものであると共に、
    高速流路長L2が25mm≦L2≦55mmを満たすものであり、
    前記高速流路の出口開口から、該流路の中心軸の延長線が交わる硬質体表面上の衝突点までの衝突距離L3が、5mm以下であり、
    前記高速流路の中心軸の延長線と、該延長線が交わる硬質体表面上の衝突点における法線とが成す角度のうち、小さい方の角度を衝突角度θとし、該衝突角度θが0度以上15度以下であることを特徴とする衝突装置。
    Figure 0005086203
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