JP5083257B2 - ステータの製造装置 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、回転電機用のステータの製造装置に係り、詳しくは、コイルの巻線(マグネットワイヤ)を構成する断面矩形の平角線を、分布巻きでステータコアに配置するステータの製造装置に関する。
一般に、誘導モータ、直流モータ(ジェネレータを含む)等の回転電機は、産業用又は車輌用の動力源として広く用いられており、そのステータのコイルのレイアウトは、比出力が高い分布巻きが多用されている。近時、ハイブリット駆動車輌及び電気自動車に用いられるモータとして、出力/寸法要求等からスロットの占積率の高い平角線をマグネットワイヤとして用いることが提案されている。
ステータコアにコイルを配置してステータとする場合、ステータコアの円周方向複数個所に径方向に形成したスロット内にコイルの一部を配置する。コイルのレイアウトとして集中巻きを使用する場合には、予め配置するスロットの形状に合わせてコイルを成形し、成形したコイルを軸方向からステータコア内に挿入した後、コイルの端部を所定の形状に折り曲げる構造が知られている(特許文献1参照)。
特開2003−153478号公報
上述の特許文献1に記載された発明は、集中巻きのコイルをステータコアに配置する方法であり、分布巻きのコイルに適用することは難しい。即ち、分布巻きのコイルは、複数の直線部、及び、隣り合う各直線部の一端部同士と他端部同士とを交互に連続させる複数の連続部を有する金属線からなり、複数の直線部を各スロット内にそれぞれ配置してステータを構成する。一方、集中巻きのコイルは、2個所の直線部分をそれぞれスロットに配置するだけであり、複数のスロットに各直線部を配置する分布巻きとは、大きく構成が異なる。したがって、このように構成が異なる集中巻きのコイルの配置方法を、分布巻きのコイルに適用することは容易ではない。
特に、コイルを構成する金属線を断面矩形の平角線とした場合、該平角線はスロットに挿入する際に方向性を有するため、ステータコアへの配置が、断面円形の丸線に比べて難しくなる。即ち、平角線の側面とスロットの内側面とを平行に保ちつつ、該平角線を該スロット内に挿入する必要がある。このため、平角線を分布巻きでスロット内に配置する場合、平角線の方向性を考慮する必要があり、配置作業が難しくなる。これに対して、丸線の場合、方向性がなく自由に変形させつつスロット内への配置が可能であるため、平角線ほど配置作業が難しくなることはない。
また、ステータコアにコイルを分布巻きで配置する作業を手作業で行うことが考えられる。具体的には、各連続部を弾性変形させつつ各直線部を各スロット内に径方向から順次配置していき、この作業を繰り返すことによりコイルをステータコアに分布巻きで配置することが考えられる。但し、このような作業は時間が掛かり、製造コストが高くなると考えられる。
また、コイルを予め分布巻きの形状とした後に、手作業で各直線部を該ステーコア内に径方向から配置することは、各連続部の弾性変形量が多くなるため難しい。特に、コイルを平角線により構成した場合、剛性が高いため弾性変形させいにくい。また、コイルの軸方向寸法を短くするために各直線部の一端部を径方向内方に折り曲げる構造が考えられるが、このような構造で、上述のような手作業でコイルをステータコアに配置することは、折り曲げ部分の存在により弾性変形させにくいため、より難しくなる。
そこで、本発明は、コイルを構成する平角線を、分布巻きでステータコアに容易に配置できるステータの製造装置を提供することを目的とするものである。
本発明は、それぞれが内周面に開口するように径方向に形成されたスロット(5)を円周方向複数個所に有するステータコア(2)と、
コイルの巻線(3)を構成し、前記各スロット(5)内に配置される該各スロット(5)と平行な複数の直線部(32)と、隣り合う各直線部(32)の一端部同士と他端部同士とを交互に連続させる複数の連続部(33a,33b)と、前記各直線部(32)の一端側を径方向内方に折り曲げた複数の折り曲げ部(34)とを有し、全体を略円筒状に形成した断面矩形の平角線(W)と、を備え、該平角線(W)を前記ステータコア(2)に分布巻きで配置してなるステータの製造装置において、
全体を略円筒状に形成し、前記平角線(W)を軸方向に着脱自在とした挿入治具(14)を備え、
前記挿入治具(14)は、外周面の前記各スロット(5)に整合する複数個所に径方向に突出するように設けられた突部(15)と、円周方向の該各突部(15)から外れた位置で前記ステータコア(2)の前記各スロット(5)の間部分に存在するティース(6)の内接円よりも内径側に、軸方向一端側にそれぞれ突出するように設けられた一端側規制部材(16)と、を有し、
前記平角線(W)を前記挿入治具(14)の一端側から配置し、前記各直線部(32)を前記各突部(15)に径方向に重ねることにより該各直線部(32)の径方向位置を規制すると共に、前記各折り曲げ部(34)を前記各一端側規制部材(16)の間に配置することにより前記各直線部(32)の円周方向位置を規制し、該各直線部(32)と前記各スロット(5)とを整合させた状態で、前記挿入治具(14)を、一端側から前記ステータコア(2)内に挿入し、該ステータコア(2)から他端側に引き抜くことにより、前記各スロット(5)内の所定位置に前記各直線部(32)を配置可能としたことを特徴とするものである。
前記挿入治具(14)は、軸方向他端側外周面の前記各突部(15)から外れた位置に、径方向に突出するように着脱自在に設けた他端側規制部材(27)を備え、
前記平角線(W)を前記挿入治具(14)に配置してから、前記各他端側規制部材(27)を該挿入治具(14)に装着し、該各他端側規制部材(27)により前記各直線部(32)の他端側の円周方向位置を規制した状態で、前記挿入治具(14)を前記ステータコア(2)内に挿入し、前記各他端側規制部材(27)を該挿入治具(14)から外して、該挿入治具(14)を該ステータコア(2)から引き抜く。
前記挿入治具(14)の軸方向一端側に配置され、前記各直線部(32)を所定の突部(15)に案内すると共に、前記各折り曲げ部(34)を所定の一端側規制部材(16)の間に案内するガイド部材(29)を備える。
なお、上記カッコ内の符号は、図面と対照するためのものであるが、これにより各請求項の構成に何等影響を及ぼすものではない。
請求項1に係る本発明によると、挿入治具に平角線を分布巻きとなるように配置した後、ステータコアに軸方向に挿入することにより、該ステータコア内に前記平角線を分布巻きで配置する作業を容易に行える。特に、前記平角線は方向性を有し、重ねられる方向が限られるため、各直線部を各突部に重ねることにより、各直線部の方向性を容易に定められる。また、該各突部により該各直線部の径方向位置を規制すれば、該各直線部を径方向に突出させることなく各スロットの所定位置に容易に配置できる。また、各折り曲げ部を利用して、各一端側規制部材により前記各直線部の円周方向の位置規制を容易に図れる。さらに、該各折り曲げ部は径方向内方に折り曲げられているため、前記挿入治具を該各折り曲げ部が存在する軸方向一端側から挿入すれば、前記平角線を干渉することなく前記ステータコアに配置できる。
請求項2に係る本発明によると、各直線部の他端側の円周方向位置を各他端側規制部材により規制しているため、より確実に該各直線部の円周方向位置を軸方向に亙って規制でき、挿入治具のステータコアへの挿入時に、該各直線部と該ステータコアの各スロットが干渉することを防止でき、円滑に挿入作業を行える。また、前記挿入治具の引き抜き時には、前記各他端側規制部材を外すため、平角線の他端側の連続部が該各他端側規制部材に干渉することはない。
請求項3に係る本発明によると、ガイド部材により各直線部及び各折り曲げ部を所定位置に案内するため、平角線の挿入治具への装着作業を容易、且つ、確実に行える。
本発明により製造されるステータを示す斜視図。 そのコイル(U相)を示す斜視図。 本発明の実施の形態に係るステータの製造装置を示す、平面図及びa−a断面図。 図3の構造にガイド部材を設けた構造を示す、平面図及びb−b断面図。 図4の構造にコイルを配置した状態を示す、平面図及びc−c断面図。 ガイド部材を外し、他端側規制部材であるピンを装着した状態を示す、図5(A)のc−c断面に相当する図。 本発明の実施の形態に係るステータの製造装置により、コイルをステータコアに配置する第一工程を示す斜視図。 同じく第二工程を示す斜視図。 同じく第三工程を示す斜視図。 同じく第四工程を示す斜視図。 同じく第五工程を示す斜視図。 同じく第六工程を示す斜視図。 同じく第七工程を示す斜視図。 同じく第八工程を示す斜視図。 同じく第九工程を示す斜視図。
本発明の実施の形態を図面に沿って説明する。まず、本発明のステータの製造装置により製造される対象となる回転電機(モータ、ジェネレータ等)のステータの1例について、図1及び図2に沿って説明する。本ステータ1は、ロータと共に電気モータ(ジェネレータを含む)を構成し、該電気モータは、電気自動車及びハイブリッド車輌の駆動源となる電気モータ(含むジェネレータ)、特にブラシレスDCモータに適用して好適である。ステータ1は、図1に示すように、多数の珪素鋼板の薄板を積層したステータコア2、及び、所定の素材であるマグネットワイヤ(導体、巻線)3を巻回したコイル4からなる。ステータコア2は、リング状からなり、内径側に開口するスロット5及びティース6が交互に多数形成されている。そして、所定ピッチ離れた2個のスロット5の間を分布巻きにて3相U,V,Wの各コイル4(4U,4V,4W)が巻かれている。
マグネットワイヤ3は、断面矩形状の平角線からなり、銅等からなる導体部の全周に絶縁樹脂等の絶縁被膜が形成されている。上記ワイヤ3からなる3相のコイル4U,4V,4Wは、同相のスロット5内においては、同相の複数本(例えば4本)のワイヤ3がステータコア2の径方向に並んで配置されており、かつステータコア2の軸方向Lの一端面7(図1の上端面)から突出した一端側コイルエンド部8においては、同相の複数本のワイヤ3がステータコア2の径方向内径側に屈曲すると共にステータコア2の径方向に並んで配置され、ステータコア2の軸方向Lの他端面9(図1の下端面)から突出した他端側コイルエンド部10においては、同相の複数本のワイヤ3がステータコア2の径方向(又は軸方向)に並んで配置されている。
代表してU相のコイル4Uを示すと、コイル4Uは、図2に示すように、隣接する2個のスロット5,5を占めるように、2組4U1,4U2がセットとなって、隣接する2個のスロット5,5の近い方同士、遠い方同士が所定間隔隔てて連結するようかつ上記2組が交互に連結するように構成されている。各組のコイル4U1,4U2は、スロット5内に配置されるスロット導体部11と、ステータコア2の一端面7から突出して、所定間隔離れたスロット導体部11と連結するように、内径方向R1に屈曲して周方向Mに延びる一端側コイルエンド部8(図2の上側のコイルエンド部)と、ステータコア2の他端面9から突出して、所定間隔隔てたスロット導体部11を連結するように、周方向Mに延びる他端側コイルエンド部10(図2の下側のコイルエンド部)と、からなる。両コイルエンド部8,10は、それぞれが軸方向L又は径方向Rに互いに干渉することなく並ぶように、周方向に(例えばY)又は軸方向に(例えばX)複数に屈曲して(折り曲げて)いる。
上述のコイル4を構成する各平角線Wは、複数の直線部32と、複数の連続部33a,33bと、複数の折り曲げ部34とを有し、全体を略円筒状に形成している。このうちの各直線部32は、前述のスロット導体部11に相当し、ステータコア2の各スロット5内に配置されるもので、それぞれ該各スロット5と平行に形成されている。また、前記各連続部33a,33bは、隣り合う各直線部32の一端部同士と他端部同士とを交互に連続させるもので、該各直線部32の各端部から直角に折り曲げることにより形成されている。また、前記各折り曲げ部34は、前記各直線部32の一端側を径方向内方に折り曲げることにより形成されている。前記各連続部33a,33b及び各折り曲げ部34が、前述のコイルエンド部8,10に相当する。
したがって、各折り曲げ部34の一端部同士は前記一端側の連続部33aにより連続しており、該一端側の連続部33aは、前記各直線部32よりも径方向内方に存在する。これに対して、前記他端側の連続部33bは、前記各直線部32を結ぶ同一円周上に位置するか、該各直線部32よりも径方向外方に位置する。
上述のようなコイル4をステータコア2に配置するステータの製造装置12について、図3ないし図6により説明する。製造装置12は、基板13上に、例えばステンレス鋼等の十分な剛性を有する材料製の挿入治具14を固定してなる。該挿入治具14は、全体を略円筒状に形成し、前述のコイル4の巻線(マグネットワイヤ3)を構成する平角線Wを軸方向に着脱自在としている(後述する図5ないし15参照)。また、前記挿入治具14は、外周面の複数個所に径方向に突出するように設けられた複数の突部15と、円周方向の該各突部15から外れた部分から軸方向一端側{図3(B)、図4(B)、図5(B)、図6の上側}に突出する一端側規制部材である、突出ピン16とを備える。
このうちの各突部15は、挿入すべきステータコア2のスロット5に整合する位置に設けられている。このため、該各突部15は、該各スロット5と円周方向に関して同位相且つ同数存在する。また、該各突部15は、前記挿入治具14の軸方向{図3(B)、図4(B)、図5(B)、図6の上下方向}に亙って、軸方向に直交する断面が矩形となるように形成されている。また、前記各突部15の外径側の側面の向きを、前記各スロット5の形成方向と対応させている。即ち、該各スロット5の形成方向は、前記ステータコア2の径方向であるため、前記各突部15の外径側の側面は、該径方向と直交する面となる。なお、外径側の側面(外周面)を、表面粗さを良好にすることなどにより前記ステータコア2の各スロット5の表面よりも滑り易くして、後述するように、平角線Wの直線部32の着脱を容易にすることが好ましい。
また、前記各突部15の突出量は、前記ステータコア2の各ティース6の内接円の直径よりも僅かに大きくなるようにしている。そして、後述するように、各突部15に重ねて配置した平角線Wのうち最内径の平角線Wを構成する各直線部32の径方向内側面を、前記各スロット5内に配置した状態で前記各ティース6の先端面よりも径方向外方に位置させる。これにより、例えば、各スロット5の開口部に磁性ウェッジを配置したり、各直線部32と各ティース6の先端面との沿面距離を確保する。このため、前記各突部15の突出量は、コイル4の最内径に存在する平角線Wの各スロット5内の径方向位置に応じて調整する。また、前記各突部15の円周方向の幅は、該各スロット5の円周方向の幅よりも僅かに小さくしている。
また、前記挿入治具14の外周面のうち、前記各突部15から外れた部分は、凹部17としている。該各凹部17の底面の外接円の直径は、前記各ティース6の内接円の直径よりも僅かに小さくし、該各凹部17の円周方向の幅は、該各ティース6の円周方向の幅よりも僅かに大きくしている。そして、該各凹部17内に該各ティース6を配置可能としている。このように、前記挿入治具14の外周面に突部15及び凹部17を形成することにより、該挿入治具14の外周面に円筒状に形成された平角線Wとステータコア2とを配置した場合に、該平角線Wの円筒中心と該ステータコア2の内周面の円筒中心とを精度良く一致させることができ、該平角線Wを、該ステータコア2の各スロット5内に、径方向にばらつくことなく均等に配置できる。
また、前記各突出ピン16は、前記挿入治具14の軸方向一端面で、前記各ティース6の内接円よりも内径側に配置されている。即ち、前記各突出ピン16は、前記各凹部17と整合する位置に、その外接円が該各凹部17の底面の内接円と同一或は該内接円よりも小さい直径を有するように、それぞれ設けられている。また、前記各突出ピン16の軸方向の突出量は、後述する図11ないし図15に示すように、全ての平角線Wを前記挿入治具14に配置してコイル4とした状態で、該各平角線Wの各折り曲げ部34が軸方向に重なった状態(軸方向高さ)よりも突出する量とする。なお、本実施の形態の場合、前記各突出ピン16の突出量は、後述するように、ガイド部材29を固定する部分を見込んだ量としている。
また、本実施の形態の場合、前記各突出ピン16の直径を前記各凹部17の円周方向の幅よりも小さくしているため、円周方向に関する位置を該各凹部17のそれぞれの円周方向中央位置から片側にずらして、平角線Wを装着した場合に該平角線Wの各折り曲げ部34の円周方向側面が前記各突出ピン16に当接或は近接するようにしている。例えば、該各突出ピン16を、それぞれ前記各凹部17の円周方向中央位置から、図3(A)の反時計方向にずらし、該各突出ピン16の外周面の反時計方向側が、前記各突部15の同図の時計方向側の側面に当接或は近接するように配置する。なお、前記各突出ピン16に代えて、前記各ティース6の円周方向の幅と同じ幅を有する部材を設けても良い。
また、前記挿入治具14の軸方向一端面中央部には、軸方向に突出する円筒状の突出円筒部18を固定している。即ち、該挿入治具14の軸方向一端面中央部に設けた円柱部19に、該突出円筒部18の内周面を嵌合し、ボルト等により該突出円筒部18と前記挿入治具15の軸方向一端面とを固定している。該突出円筒部18の外周面の直径は、前記コイル4の一端側コイルエンド部8の内接円(最内径の連続部33aの内接円)の直径と同じか該内接円よりも僅かに小さくしている。そして、後述するように、コイル4を構成する平角線Wを前記挿入治具14に装着する際に、該平角線Wの一端側の径方向位置を規制する。なお、前記突出円筒部18の一端面には、外周面を部分円錐状に形成した案内板21をボルト等により固定している。そして、該案内板21の外周面により、前記平角線Wの一端側を所定位置に案内する。
なお、図示の例の場合、挿入治具14は、外周面に各突部15を形成した円筒状の本体部23と、前記突出円筒部18を固定する蓋部24とを、ボルト等により固定してなるが、これらを一体的に形成しても良い。更に、該各部材23,24,18を一体に形成しても良い。
また、前記挿入治具14の外周面の軸方向他端側外周面で、前記各凹部17と整合する位置に、後述する他端側規制部材であるピン27(例えば、図6参照)を嵌合固定するための嵌合孔28を、それぞれ形成している。該各ピン27を固定する軸方向位置(即ち、嵌合孔28の軸方向位置)は、後述するように、挿入治具14にステータコア2を配置した状態で、該ステータコア2の他端面9よりも他端側で、該挿入治具14に平角線Wを配置した状態で、該平角線Wを構成する他端側の連続部33bよりも一端側とする。前記各嵌合孔28は、有底円筒状で前記各ピン27を締まり嵌めで固定する。但し、締め代を小さくして該各ピン27の着脱を容易にしている。なお、該各ピン27の直径は、前記各凹部17の周方向の幅と同じか該幅よりも小さくする。
また、図4に示すように、前記挿入治具14の軸方向一端側の複数個所に、ガイド部材29を配置する。該各ガイド部材29は、図4(A)に示すように、前記挿入治具14の円周方向に8個並べて配置される。そして、円周方向両側に、配置された状態で内径側に向かう程円周方向の幅が小さくなる傾斜面30を形成している。また、図4(B)に示すように、内径側側面と軸方向一端面とを円弧により連続させている。前記各傾斜面30により、後述するように、前記平角線Wの装着の案内をする。
また、前記各ガイド部材29の軸方向他端面には、位置決め突部31をそれぞれ2個所、軸方向他側に突出するように形成している。該各位置決め突部31は、それぞれの円周方向の幅を、前記各突出ピン16の円周方向に関する間隔とほぼ同じとしている。そして、前記各位置決め突部31を該各突出ピン16の間に配置することにより、該各ガイド部材29の円周方向に関する位置決めを図っている。また、該各ガイド部材29の軸方向他端面の複数個所に、前記各突出ピン16を嵌合固定する、有底円筒状の嵌合孔を設け、該各嵌合孔に該各突出ピン16の先端部を嵌合固定することにより、前記各ガイド部材29を前記挿入治具14の所定位置に固定している。なお、前記各嵌合孔と前記各突出ピン16との締め代も小さくして、前記各ガイド部材29の着脱を容易にしている。そして、後述するように、各ガイド部材29を平角線Wの挿入位置に適合した位置への固定、及び、適合した位置から外れた部分の分離を交互に繰り返して、該平角線Wを前記挿入治具14に装着する。
上述の挿入治具14に、図5に示すように、平角線Wを分布巻きとなるように、順次装着したら、図6に示すように、各ガイド部材29を分離すると共に、前記ピン27を嵌合孔28にそれぞれ嵌合固定する。これにより、前記平角線Wの一端側の円周方向位置を前記各突出ピン16により、他端側の円周方向位置を前記各ピン27により規制すると共に、径方向位置を前記各突部15により規制する。
次に、前述の挿入治具14にコイル4を構成する平角線Wを装着し、該平角線Wをステータコア2内に配置する工程について、図7ないし図15により説明する。本実施の形態の場合、コイル4を構成する平角線Wを、1周する毎に分断し、図7ないし図15に示すように、各平角線Wを順次、挿入治具14の一端側(図7ないし図15の上側)から他端側(図7ないし図15の下側)に向けて軸方向に装着する。
このような平角線Wを、順次、挿入治具14に装着すべく、図7に示すように、該挿入治具14の一端側の所定位置に、まず4個のガイド部材29を配置する。該各ガイド部材29を配置する位置は、各ガイド部材29の円周方向両側に、前記平角線Wの直線部32を装着すべき突部15が存在する位置で、且つ、該平角線Wの他端側の各連続部33bと円周方向の位相がずれた位置とする。言い換えれば、前記各ガイド部材29と一端側の各連続部33aとの円周方向の位相を一致させる。
そして、図8に示すように、該平角線Wの他端側の連続部33bを前記各ガイド部材29の間に位置させた状態で、該平角線Wを前記挿入治具14の一端側から他端側に向けて軸方向に移動させる。この際、前記各直線部32が、前記各ガイド部材29の傾斜面30により案内されて、所定の突部15の外径側の側面上を移動し、該側面に径方向に重なるように配置される。
次いで、前記他端側の連続部33bが前記挿入治具14の一端側に設けられた各突出ピン16を越えてから、図9に示すように、残りの4個のガイド部材29も該挿入治具14の一端側に配置する。該残りの各ガイド部材29も、両側に前記各直線部32を装着すべき突部15が存在するように配置する。これにより、各ガイド部材29同士の間に前記各直線部32が配置された状態となり、該各直線部32が該各ガイド部材29に案内されつつ、前記挿入治具14に装着される。そして、前記平角線Wを該挿入治具14の所定位置まで移動させ、前記各折り曲げ部34を前記各突出ピン16同士の間に配置する。なお、前記平角線Wの装着位置は、前記各折り曲げ部34が前記挿入治具14の一端面に当接する位置とする。即ち、該各折り曲げ部34と該挿入治具14の一端面とを当接させることにより、前記平角線Wの該挿入治具14に対する軸方向の位置を規制している。
このように、各折り曲げ部34を各突出ピン16同士の間に配置すると共に、各直線部32を各突部15に径方向に重ねたら、図10に示すように、各ガイド部材29を挿入治具14から取り外す。
上述のような作業を、コイル4の巻線を構成する各平角線Wについて、順次繰り返す。この際、各平角線Wを構成する各直線部32の外径側の側面に、次に装着すべき平角線Wの各直線部32の内径側の側面を重ねるように当接させる。また、各ガイド部材29の位置を、該各直線部32を装着すべき各突部15の位置に合わせて移動させる。これにより、図11に示すように、平角線Wを挿入治具14に分布巻きとなるように配置し、U相、V相、W相からなるコイル4とする。そして、図12に示すように、該挿入治具14の他端側外周面の各凹部17に形成された嵌合孔28に、ピン27を嵌合固定する。これにより、各直線部32の軸方向他端側が該各ピン27同士の間に配置され、該各直線部32の軸方向他端側の円周方向位置が規制される。
この状態で、図13に示すように、ステータコア2を前記挿入治具14の一端側に配置し、前記各直線部32と該ステータコア2の各スロット5とを整合させた状態で、図13→図14に示すように、該ステータコア2を前記挿入治具14の一端側から他端側に向けて移動させ、該ステータコア2を該挿入治具14に外嵌する。言い換えれば、該挿入治具14を、一端側から該ステータコア2内に挿入する。そして、前記各直線部32を前記各スロット5内に配置する。
次いで、図15に示すように、前記各ピン27を前記挿入治具14から外す。そして、前記ステータコア2を、平角線Wから構成されるコイル4と共に、該挿入治具14から一端側に持ち上げることにより、言い換えれば、該挿入治具14を前記ステータコア2から他端側に引き抜くことにより、前記コイル4が配置されたステータコア2と前記挿入治具14とを分離する。これにより、前記各直線部32が前記各スロット5内の所定位置に配置され、図1に示したようなステータ1を得る。
上述の本実施の形態によると、挿入治具14に平角線Wを分布巻きとなるように配置した後、ステータコア2に軸方向に挿入することにより、該ステータコア2内に前記平角線Wを分布巻きで配置する作業を容易に行える。即ち、予め、前記挿入治具14に分布巻きとなるように平角線Wを配置し、しかも、各スロット5内に挿入する各直線部32の径方向位置を各突部15により、円周方向位置を各突出ピン16及びピン27によりそれぞれ規制しているため、前記挿入治具14を前記ステータコア2内に軸方向に挿入する際に、前記各直線部32が円周方向にずれることがなく、該各直線部32を前記各スロット5の径方向所定位置に、容易に配置できる。
特に、前記平角線Wは方向性を有し、重ねられる方向が限られるため、前記各直線部32を前記各突部15に重ねることにより、各直線部32の方向性を容易に定められる。即ち、前記平角線Wは断面矩形状であるため、該各突部15の外径側の側面上に該各直線部32の内径側の側面を重ねるように当接させることにより、該各直線部32の方向が自ずと定まる。また、該各直線部32の外径側の側面に、次に装着すべき平角線Wの各直線部32の内径側の側面を重ねるように当接させれば、該次に装着すべき各直線部32の方向も自ずと定まる。したがって、前記各突部15の外径側の側面の向きを各スロット5の形成方向と対応させれば、前記各直線部32の方向を容易に規制でき、該各直線部32の側面と前記各スロット5の内側面とを平行にできる。
また、前記各突部15により前記各直線部32の径方向位置を規制すれば、該各直線部32を径方向に突出させることなく各スロット5の所定位置に容易に配置できる。また、各折り曲げ部34を利用して、各突出ピン16により前記各直線部32の円周方向の位置規制を容易に図れる。即ち、該各直線部32の一端側を折り曲げることにより前記各折り曲げ部34を形成しているため、該各折り曲げ部34の円周方向の位置を規制すれば、前記各直線部32の円周方向の位置も、容易に規制できる。なお、本実施の形態の場合、前記挿入治具14を軸方向一端側から前記ステータコア2内に挿入するため、前記各直線部32の一端側の円周方向の位置規制を、例えば、他端側のピン27と同様に行えば、挿入時にステータコア2と干渉する。このため、他端側と同様の構成は採用できない。これに対して、前記各折り曲げ部34を利用すれば、ステータコア2との干渉を生じることなく、前記挿入治具14の挿入を行える。
また、本実施の形態の場合、前記各直線部32の他端側の円周方向位置を各ピン27により規制しているため、より確実に該各直線部32の円周方向位置を軸方向に亙って規制でき、前記挿入治具14のステータコア2への挿入時に、該各直線部32と該ステータコア2の各スロット5が干渉することを防止でき、円滑に挿入作業を行える。即ち、前記平角線Wは、連続部33a,33bの存在により円周方向の剛性が高い。したがって、各直線部32が各スロット5に対して円周方向に傾斜して配置された場合、該各直線部32の傾斜が戻りにくい。そして、該各直線部32が傾斜したまま挿入作業を行った場合、該各直線部32と前記各スロット5とが干渉し、円滑に挿入作業が行えないばかりか、該各直線部32に損傷が生じる可能性がある。これに対して、本実施の形態のように、該各直線部32を軸方向一端側と他端側とで円周方向位置を規制すれば、該各直線部32の傾斜を生じにくくし、上述のような問題を生じにくくできる。
また、前記挿入治具14の前記ステータコア2からの引き抜き時には、前記各ピン27を該挿入治具14から外すため、前記平角線Wの他端側の連続部33bが該各ピン27に干渉することはない。また、各ガイド部材29により各直線部32及び各折り曲げ部34を所定位置に案内するため、前記平角線Wの挿入治具14への装着作業を容易、且つ、確実に行える。即ち、前記各ガイド部材29同士の間に各直線部32を案内しつつ、前記平角線Wの装着作業を行うため、該各直線部32を装着すべき各突部15との位相を容易に合わせることができ、更に、装着時に、該各直線部32が傾斜する等して該各突部15から外れることを防止できる。
なお、上述の実施の形態では、挿入治具14に他端側規制部材であるピン27とガイド部材29とを設けた構造について説明したが、これら各部材の少なくとも一方を省略しても良い。また、各突出ピン16、各ピン27及び各ガイド部材29の形状は、上述の実施の形態で示した構造に限定されるものではなく、同様の効果を得られる他の形状としても良い。例えば、突出ピン16及びピン27は、略矩形状として側面を各折り曲げ部34或は各直線部32の側面に沿わせるようにしても良い。また、コイル4を構成する各平角線Wは、複数巻回させたものを使用しても良いし、例えば、2/3周させたもの等、1周に満たないものとしても良い。但し、半周よりも大きくして挿入治具14に外嵌装着可能とする。
1 ステータ
2 ステータコア
3 巻線(マグネットワイヤ)
4 コイル
5 スロット
6 ティース
7 一端面
8 一端側コイルエンド部
9 他端面
10 他端側コイルエンド部
11 スロット導体部
12 製造装置
13 基板
14 挿入治具
15 突部
16 一端側規制部材(突出ピン)
17 凹部
18 突出円筒部
19 円柱部
20 ボルト
21 案内板
23 本体部
24 蓋部
27 他端側規制部材(ピン)
28 嵌合孔
29 ガイド部材
30 傾斜面
31 位置決め突部
32 直線部
33a,33b 連続部
34 折り曲げ部
W 平角線

Claims (3)

  1. それぞれが内周面に開口するように径方向に形成されたスロットを円周方向複数個所に有するステータコアと、
    コイルの巻線を構成し、前記各スロット内に配置される該各スロットと平行な複数の直線部と、隣り合う各直線部の一端部同士と他端部同士とを交互に連続させる複数の連続部と、前記各直線部の一端側を径方向内方に折り曲げた複数の折り曲げ部とを有し、全体を略円筒状に形成した断面矩形の平角線と、を備え、該平角線を前記ステータコアに分布巻きで配置してなるステータの製造装置において、
    全体を略円筒状に形成し、前記平角線を軸方向に着脱自在とした挿入治具を備え、
    前記挿入治具は、外周面の前記各スロットに整合する複数個所に径方向に突出するように設けられた突部と、円周方向の該各突部から外れた位置で前記ステータコアの前記各スロットの間部分に存在するティースの内接円よりも内径側に、軸方向一端側にそれぞれ突出するように設けられた一端側規制部材と、を有し、
    前記平角線を前記挿入治具の一端側から配置し、前記各直線部を前記各突部に径方向に重ねることにより該各直線部の径方向位置を規制すると共に、前記各折り曲げ部を前記各一端側規制部材の間に配置することにより前記各直線部の円周方向位置を規制し、該各直線部と前記各スロットとを整合させた状態で、前記挿入治具を、一端側から前記ステータコア内に挿入し、該ステータコアから他端側に引き抜くことにより、前記各スロット内の所定位置に前記各直線部を配置可能としたことを特徴とするステータの製造装置。
  2. 前記挿入治具は、軸方向他端側外周面の前記各突部から外れた位置に、径方向に突出するように着脱自在に設けた他端側規制部材を備え、
    前記平角線を前記挿入治具に配置してから、前記各他端側規制部材を該挿入治具に装着し、該各他端側規制部材により前記各直線部の他端側の円周方向位置を規制した状態で、前記挿入治具を前記ステータコア内に挿入し、前記各他端側規制部材を該挿入治具から外して、該挿入治具を該ステータコアから引き抜く、請求項1に記載したステータの製造装置。
  3. 前記挿入治具の軸方向一端側に配置され、前記各直線部を所定の突部に案内すると共に、前記各折り曲げ部を所定の一端側規制部材の間に案内するガイド部材を備えた、請求項1又は2に記載のステータの製造装置。
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