JP5078075B2 - グリップ加温装置 - Google Patents

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本発明は、車両が具備するハンドルバー先端のハンドルグリップに内蔵され、バッテリからの電流が流れることにより当該ハンドルグリップを加温するためのグリップ加温装置に関するものである。
二輪車やATV、雪上車などハンドルバーを具備した車両においては、そのハンドルバーの先端に運転者が把持し得るハンドルグリップが形成されている。かかるハンドルグリップには、従来より、運転者が把持する際に暖かい状態であるよう車両に搭載されたバッテリから電流を流し得る電熱線(加温手段)を内蔵させたものが提案されるに至っている。このようなグリップ加温装置は、例えば特許文献1にて開示されている。
すなわち、バッテリから電熱線(加温手段)に電流を流すことにより発熱させ、ハンドルグリップを加温することにより、冬期や寒冷地において、運転者が当該ハンドルグリップを把持し易いようになっているのである。然るに、ハンドルグリップは通常、外気に曝されているため、その加温には比較的多くの電流の付与が必要とされることから、電熱線(加温手段)に電流を付与させた状態のバッテリの電圧を検出し、その検出値に基づいて伝熱線(加温手段)への電流の付与を調整していた。
特開2003−175874号公報
しかしながら、上記従来のグリップ加温装置においては、加温手段に電流を付与させた状態でバッテリの電圧を検出し、その検出値に基づいて加温手段への電流の付与を調整していたので、例えば、バッテリが寿命に近いとき、当該バッテリが実際に電流を流し得る能力を正確には判断できない虞があった。この場合、バッテリによる加温手段への電流の付与が可能であると判断したとしても、実際には電流を付与できない可能性があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、加温手段への電流の付与の可否について正確に判断することができるグリップ加温装置を提供することにある。
請求項1記載の発明は、車両が具備するハンドルバー先端のハンドルグリップに内蔵され、バッテリからの電流が流れることにより当該ハンドルグリップを加温する加温手段と、前記バッテリの状態に応じて前記加温手段に対する電流の付与を制御する制御手段とを備えたグリップ加温装置において、前記制御手段は、前記加温手段に対して前記バッテリからの電流を瞬間的に付与し得る負荷付与手段と、前記加温手段に対して電流を付与しない無負荷状態のバッテリの電圧を検出するとともに、前記負荷付与手段により当該加温手段に対して瞬間的に電流を付与した際のバッテリの電圧を検出する電圧検出手段と、該電圧検出手段で検出された無負荷状態の電圧と瞬間的に電流を付与した際の電圧とを比較して、その差を演算し得る比較演算手段と、該比較演算手段で演算された無負荷状態の電圧と電流を瞬間的に付与した際の電圧との差に応じて前記バッテリから前記加温手段に付与すべき電流を調整し又は通電を停止する調整手段とを具備し、前記調整手段は、前記比較演算手段で演算された無負荷状態の電圧と電流を瞬間的に付与した際の電圧との差を複数に区分けして、その区分けに応じて、通電を停止し、又は前記加温手段に付与すべき電流を設定値より低下させるとともに、前記加温手段への電流の負荷について問題がないと把握されるべき区分けとされたとき、前記加温手段に付与すべき電流を設定値とすることを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載のグリップ加温装置において、前記制御手段は、前記負荷付与手段による加温手段に対する瞬間的な電流の付与、電圧検出手段による電圧の検出、及び比較演算手段による比較・演算を一定周期で断続的に行い得ることを特徴とする。
請求項1の発明によれば、無負荷状態の電圧と瞬間的に電流を付与した際の電圧とを比較して、その差を演算し、当該差に応じてバッテリから加温手段に付与すべき電流を調整し又は通電を停止するので、加温手段への電流の付与の可否について正確に判断することができる。
また、調整手段は、比較演算手段で演算された無負荷状態の電圧と電流を瞬間的に付与した際の電圧との差を複数に区分けして、その区分けに応じて、通電を停止し、又は加温手段に付与すべき電流を設定値より低下させるとともに、加温手段への電流の負荷について問題がないと把握されるべき区分けとされたとき、加温手段に付与すべき電流を設定値とするので、制御手段によるきめ細かい制御を可能とすることができる。
請求項2の発明によれば、負荷付与手段による加温手段に対する瞬間的な電流の付与、電圧検出手段による電圧の検出、及び比較演算手段による比較・演算を一定周期で断続的に行い得るので、加温手段への電流の付与の可否について継続的に判断することができる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係るグリップ加温装置は、図2に示すように、二輪車(車両)が具備するハンドルバーHにおける先端のハンドルグリップG(運転者が把持する左右の把持グリップ)を加温するためのものであり、図1に示すように、バッテリ(不図示)からの電流が流れることにより当該ハンドルグリップGを加温する加温手段1と、バッテリの状態に応じて加温手段1に対する電流の付与を制御する制御手段2と、ハンドルバーHに固定された操作手段3とから主に構成されている。
加温手段1は、バッテリからの通電により発熱する電熱線などの発熱手段1a、1bを有して成り、ハンドルグリップGに内蔵されて当該ハンドルグリップGを加温し得るものである。この加温手段1は、制御手段2と電気的に接続されており、当該制御手段2による制御により発熱手段1a、1bに対する通電又は通電の停止、或いは通電の際の電流値の調整がなされるようになっている。
制御手段2は、電源部4と、負荷付与手段7及び比較演算手段8を有した制御部5と、電圧検出手段6と、調整手段9と、PWM部10とを具備して構成されている。このうち制御部5は、マイコンから成るもので、電圧検出手段6、調整手段9及びPWM部10の他、操作手段3のホールIC12a〜12dと電気的に接続されており、操作ノブ11の操作に応じて加温手段1における発熱手段1a、1bによる発熱量を調整し得るようになっている。
操作手段3は、図2〜図5に示すように、ハンドルバーHにおけるハンドルグリップG近傍に固定されたケースCを筐体として成るもので、当該ケースCの溝3aに沿って操作され得る操作ノブ11を有して構成されている。尚、このケースCには、固定部15が形成されており、該固定部15にてハンドルバーHに固定可能とされている。また、ケースCの表面には、操作ノブ11の各ポジションの表示がなされており、本実施形態においては「OFF」及び「L」「LH」「M」「HI」「MAX」の5段階のポジションを有している。
更に、操作ノブ11には、図4に示すように、磁石Mが形成されるとともに、内部にスプリング13及びボール14が配設されており所定の節度が付与されるよう構成されている。そして、運転者が操作ノブ11を操作すると、ボール14がケースC内部に形成された面上を摺動する一方、先端の操作部11aが当該ケースCの表面に沿って移動し得るようになっている。
而して、操作ノブ11を「OFF」の位置とすれば、加温手段1の発熱手段1a、1bに対する通電は行われず停止した状態となるとともに、「L」「LH」「M」「HI」「MAX」の何れかの位置とすれば、加温手段1の発熱手段1a、1bに対する通電が行われ、ハンドルグリップGの加温が行われることとなる。尚、「L」から「MAX」方向に操作ノブ11を摺動させると、加温手段1に付与される電流が次第に大きくなって発熱手段1a、1bの発熱量が順次高くなるよう設定されており、反対に、「MAX」から「L」方向に操作ノブ11を摺動させると、加温手段1に付与される電流が次第に小さくなって発熱手段1a、1bの発熱量が順次小さくなるよう設定されている。
ここで、ケースC内には、操作ノブ11の各ポジションに応じてホールIC(12a〜12d)が形成されており、当該操作ノブ11の位置を検出し得るよう構成されている。このホールIC(12a〜12d)は、磁石Mの磁気の強弱に対してオン・オフ動作するものであり、当該磁石Mが近接するとオンする一方、離間するとオフすることにより操作ノブ11の位置を検出し得るようになっている。
本実施形態においては、図5に示すように、操作ノブ11が「OFF」「L」「LH」「M」「HI」「MAX」の位置にあるとき、磁石Mが位置P1〜P6となるよう設定されており、位置P2と位置P3との間(12a)、位置P3と位置P4との間(12b)、位置P4と位置P5との間(12c)、及び位置P5と位置P6との間(12d)にそれぞれ磁気センサとしてのホールIC(12a〜12d)が設置されている。
そして、操作ノブ11が「L」の位置にあるとき、磁石Mが位置P2となるので、ホールIC(12a)がオン、且つ、ホールIC(12b〜12d)がオフとなり、操作ノブ11が「LH」の位置にあるとき、磁石Mが位置P3となるので、ホールIC(12a、12b)がオン、且つ、ホールIC(12c、12d)がオフとなる。また、操作ノブ11が「M」の位置にあるとき、磁石Mが位置P4となるので、ホールIC(12b、12c)がオン、且つ、ホールIC(12a、12d)がオフとなり、操作ノブ11が「HI」の位置にあるとき、磁石Mが位置P5となるので、ホールIC(12c、12d)がオン、且つ、ホールIC(12a、12b)がオフとなる。
更に、操作ノブ11が「MAX」の位置にあるとき、磁石Mが位置P4となるので、ホールIC(12d)がオン、且つ、ホールIC(12a〜12c)がオフとなる。尚、操作ノブ11が「OFF」の位置にあるとき、何れのホールIC(12a〜12d)もオフとなる。従って、ホールIC(12〜12d)のオン・オフ状態を検出すれば、操作ノブ11が何れの操作位置にあるかを把握することができる。
然るに、制御部5は、ホールIC(12〜12d)のオン・オフ状態から操作ノブ11が何れの操作位置にあるかを把握し、それに応じて加温手段1の発熱手段1a、1bに付与する電流を制御し得るようになっている。ところで、本実施形態においては、制御部5に電圧検出手段6及び調整手段9が接続されるとともに、負荷付与手段7及び比較演算手段8が形成されている。
負荷付与手段7は、加温手段1に対してバッテリからの電流を瞬間的に付与し得るものである。また、電圧検出手段6は、加温手段1に対して電流を付与しない無負荷状態のバッテリの電圧を検出するとともに、負荷付与手段7により当該加温手段1に対して瞬間的に電流を付与した際のバッテリの電圧を検出するものである。比較演算手段8は、電圧検出手段6で検出された無負荷状態の電圧と瞬間的に電流を付与した際の電圧とを比較して、その差を演算し得るものである。
即ち、比較演算手段8により、加温手段1に通電した状態(負荷をかけた状態)と通電しない状態(無負荷の状態)との電圧の変動を求めることができるので、オルタネータの出力が小さい旧い車両の場合や寿命に近いバッテリを搭載した車両の場合などでも、当該オルタネータやバッテリの寿命を加味して加温手段1への通電が可能であるか否かを把握することができるのである。
調整手段9は、比較演算手段8で演算された無負荷状態の電圧と電流を瞬間的に付与した際の電圧との差に応じてバッテリから加温手段1に付与すべき電流を調整し又は通電を停止するものである。これにより、加温手段1への電流の付与の可否について正確に判断することができる。即ち、本実施形態においては、加温手段1に負荷を付与した場合を動的に監視しているので、バッテリが寿命に近い場合であっても加温手段1への電流の付与の可否について正確に判断ができるとともに、旧い車両に適用したとしても安定した動作が期待でき、市場にある多くの車両に対する取付けが容易となる。
また、制御手段2は、負荷付与手段7による加温手段1に対する瞬間的な電流の付与、電圧検出手段6による電圧の検出、及び比較演算手段8による比較・演算を一定周期で断続的に行い得るよう構成されている。即ち、例えば車両のイグニッションスイッチがオンのとき、上記の如き制御(負荷付与手段7による加温手段1に対する瞬間的な電流の付与、電圧検出手段6による電圧の検出、及び比較演算手段8による比較・演算)を繰り返し行うことで、加温手段1への電流の付与の可否について継続的に判断することができる。
更に、本実施形態においては、調整手段9は、比較演算手段8で演算された無負荷状態の電圧と電流を瞬間的に付与した際の電圧との差を大、中、小に区分けして、当該差が大のとき通電を停止し、当該差が中のとき加温手段1に付与すべき電流を設定値より低下させるとともに、当該差が小のとき加温手段1に付与すべき電流を設定値とするよう構成されている。これにより、制御手段2によるきめ細かい制御を可能とすることができる。
次に、本実施形態に係るグリップ加温装置における作用につき、図6のフローチャートに基づいて説明する。
まず、車両のメインスイッチがオンとされると、操作手段3のホールIC(12a〜12d)により操作ノブ11が何れの位置にあるかを検出する(S1)。操作ノブ11が「OFF」以外の操作位置にあると判断されると、電圧検出手段6にて、加温手段1に対して電流を付与しない無負荷状態のバッテリの電圧を検出する(S2)。
その後、負荷付与手段7にて、加温手段1に対してバッテリからの電流を瞬間的に付与するとともに、電圧検出手段6にて、その際(瞬間的に電流を付与した際)のバッテリの電圧を検出する(S3)。そして、比較演算手段8にて、電圧検出手段6で検出された無負荷状態の電圧と瞬間的に電流を付与した際の電圧とを比較して、その差を演算する(S4)。
而して、調整手段9にて、比較演算手段8で演算された無負荷状態の電圧と電流を瞬間的に付与した際の電圧との差を大、中、小に区分けし(S5)、当該差が大のとき加温手段1への通電を停止し、当該差が中のとき加温手段1に付与すべき電流を設定値より低下させる(S7)。また、当該差が小のときは、加温手段1への電流の負荷については何ら問題がないと把握されるので、加温手段1への設定値での電流付与が行われる(S8)。尚、上記の如き一連の工程は、一定周期で断続的に行い得るようになっており、加温手段1への電流の付与の可否について継続的に判断することができるよう構成されている。
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば操作手段3を他の形態のものとしてもよく、例えば操作ノブ11を操作することにより可動接点と固定接点とが接触又は離間することにより当該操作ノブ11の操作位置が検出されるものであってもよい。また、磁石Mの位置に1対1で対応させてホールICを複数設置してもよい。尚、本実施形態においては、二輪車のハンドルグリップを加温するものに適用されているが、他の車両(ATV、雪上車などハンドルバーを具備した車両)に適用してもよい。
制御手段が、加温手段に対して前記バッテリからの電流を瞬間的に付与し得る負荷付与手段と、加温手段に対して電流を付与しない無負荷状態のバッテリの電圧を検出するとともに、負荷付与手段により当該加温手段に対して瞬間的に電流を付与した際のバッテリの電圧を検出する電圧検出手段と、電圧検出手段で検出された無負荷状態の電圧と瞬間的に電流を付与した際の電圧とを比較して、その差を演算し得る比較演算手段と、比較演算手段で演算された無負荷状態の電圧と電流を瞬間的に付与した際の電圧との差に応じてバッテリから加温手段に付与すべき電流を調整し又は通電を停止する調整手段とを具備し、調整手段は、比較演算手段で演算された無負荷状態の電圧と電流を瞬間的に付与した際の電圧との差を複数に区分けして、その区分けに応じて、通電を停止し、又は加温手段に付与すべき電流を設定値より低下させるとともに、加温手段への電流の負荷について問題がないと把握されるべき区分けとされたとき、加温手段に付与すべき電流を設定値とするグリップ加温装置であれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等にも適用することができる。
本発明の実施形態に係るグリップ加温装置を示すブロック図 同グリップ加温装置における操作手段の外観を示す正面図 同グリップ加温装置における操作手段の外観を示す斜視図 図2におけるIV−IV線断面図 図2におけるV−V線断面図 同グリップ加温装置における作用を示すフローチャート
符号の説明
1 加温手段
2 制御手段
3 操作手段
4 電源部
5 制御部
6 電圧検出手段
7 負荷付与手段
8 比較演算手段
9 調整手段
10 PWM部
11 操作ノブ
12a〜12d ホールIC
13 スプリング
14 ボール
15 固定部
G ハンドルグリップ
H ハンドルバー

Claims (2)

  1. 車両が具備するハンドルバー先端のハンドルグリップに内蔵され、バッテリからの電流が流れることにより当該ハンドルグリップを加温する加温手段と、
    前記バッテリの状態に応じて前記加温手段に対する電流の付与を制御する制御手段と、
    を備えたグリップ加温装置において、
    前記制御手段は、
    前記加温手段に対して前記バッテリからの電流を瞬間的に付与し得る負荷付与手段と、
    前記加温手段に対して電流を付与しない無負荷状態のバッテリの電圧を検出するとともに、前記負荷付与手段により当該加温手段に対して瞬間的に電流を付与した際のバッテリの電圧を検出する電圧検出手段と、
    該電圧検出手段で検出された無負荷状態の電圧と瞬間的に電流を付与した際の電圧とを比較して、その差を演算し得る比較演算手段と、
    該比較演算手段で演算された無負荷状態の電圧と電流を瞬間的に付与した際の電圧との差に応じて前記バッテリから前記加温手段に付与すべき電流を調整し又は通電を停止する調整手段と、
    を具備し、前記調整手段は、前記比較演算手段で演算された無負荷状態の電圧と電流を瞬間的に付与した際の電圧との差を複数に区分けして、その区分けに応じて、通電を停止し、又は前記加温手段に付与すべき電流を設定値より低下させるとともに、前記加温手段への電流の負荷について問題がないと把握されるべき区分けとされたとき、前記加温手段に付与すべき電流を設定値とすることを特徴とするグリップ加温装置。
  2. 前記制御手段は、前記負荷付与手段による加温手段に対する瞬間的な電流の付与、電圧検出手段による電圧の検出、及び比較演算手段による比較・演算を一定周期で断続的に行い得ることを特徴とする請求項1記載のグリップ加温装置。
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