[0005] インプリント可能媒体に正確かつ一定のパターンを付与するために、基板(例えば、基板を保持する基板ホルダ)に対するインプリントテンプレートを正確に位置決め可能であることが望ましく、および/またはその逆も同様に望ましい。さらに、インプリント可能媒体に正確かつ一定のパターンを付与するために、インプリントテンプレートと基板との任意の相対回転、または(加熱されるインプリントテンプレートなどに起因する)インプリントテンプレートの膨張を監視し、決定し、考慮することが可能であることが望ましい。
[0006] インプリントテンプレートは、インプリントテンプレートを保持するインプリントテンプレートホルダを移動させることによって移動可能である。同様に、基板は、基板を保持する基板ホルダを移動させることによって移動可能であり得る。基板または基板ホルダとインプリントテンプレートまたはインプリントテンプレートホルダとの相対的な位置決めは、少なくとも部分的に干渉アレンジメントを用いて行われ得る。例えば、1つ以上の干渉計が、固定フレームから基板ホルダまでの距離を決定するために使用されてよく、別の干渉計が、同一の固定フレームからインプリントテンプレートホルダまでの距離を決定するために使用されてよい。1つより多い次元においてそのようなアレンジメントが実施されると、フレームに対するインプリントテンプレートホルダの位置、さらにフレームに対する基板ホルダの位置、つまりは基板ホルダとインプリントテンプレートホルダとの相対位置を決定することが可能となり得る。
[0007] 干渉アレンジメントの使用は、単一のインプリントテンプレートホルダまたは単一のインプリントテンプレートがパターンをインプリント可能媒体にインプリントする(すなわち、基板上にパターンフィーチャをインプリントする)ために使用されるときに限って十分であり得る。しかし、1つより多いインプリントテンプレートホルダが使用されたり、1つより多いインプリントテンプレートが使用されると、それらインプリントテンプレートまたはインプリントテンプレートホルダのうちの1つ以上が、干渉アレンジメントによって使用される1つ以上の放射ビームを妨害したり遮断することがある。この妨害または遮断により、上記インプリントテンプレートホルダまたはインプリントテンプレートのうちの1つ以上に関する位置または回転情報を得ることが困難または不可能となることがある。さらに、そのような妨害または遮断は、その1つ以上のインプリントテンプレートホルダまたはインプリントテンプレートの任意の膨張または収縮に関する情報を得ることを困難または不可能にすることがある。特にインプリントテンプレートの任意の膨張または収縮に関する情報は、インプリントリソグラフィにおいて重要である。というのは、インプリントテンプレートのあらゆる膨張または収縮は、関連する、そのインプリントテンプレートに設けられるパターン付けされた表面の膨張または収縮につながるからである。パターン付けされた表面のそのような膨張または収縮は、その収縮または膨張したインプリントテンプレートを使用して基板に付与されるパターンの変形につながり得る。そのような変形は、オーバーレイ要件を満たす際などにおける困難性をもたらし得る。さらに、干渉アレンジメントは非常に高価である。
[0008] 例えば、本明細書内またはそれ以外で特定されるか否かに拘わらず、少なくとも1つの問題を回避または軽減する、あるいは既存のインプリントリソグラフィ装置の代替物を提供する、インプリントリソグラフィ装置を提供することが望ましい。
[0009] 本発明の一態様に従い、パターンをインプリント可能媒体にインプリントする際に使用するインプリントテンプレートアレンジメントと、使用中に前記インプリントテンプレートアレンジメントによってパターン付けされるインプリント可能媒体が設けられた基板を保持するように構成された基板ホルダと、前記基板ホルダから離れて配置され、かつ前記基板ホルダにわたって延在する構造であって、前記インプリントテンプレートアレンジメントが使用中に前記構造と前記基板ホルダとの間に配置される構造と、を含み、前記構造は構成決定アレンジメントの第1部分を有し、前記基板または基板ホルダおよび前記インプリントテンプレートは前記構成決定アレンジメントの第2部分を含み、前記構成決定アレンジメントの前記第1部分または前記構成決定アレンジメントの前記第2部分は、1つ以上のラインアレイを含み、前記構成決定アレンジメントの前記第1部分および前記構成決定アレンジメントの前記第2部分のうちの他方は、前記1つ以上のラインアレイのうちの1つ以上のラインアレイに対向する1つ以上のエンコーダを含み、前記構成決定アレンジメントは、前記基板または基板ホルダと前記構造との相対的な構成、前記インプリントテンプレートアレンジメントと前記構造との相対的な構成、または前記インプリントテンプレートアレンジメントと前記基板または基板ホルダとの相対的な構成、から選択される少なくとも1つを決定するように構成される、インプリントリソグラフィ装置が提供される。
[0010] 単一のラインアレイが設けられてよく、前記単一のラインアレイは前記構造の略半分以上にわたって延在する。
[0011] 複数のラインアレイが設けられてよく、前記複数のラインアレイのうちの各アレイは、前記構造上の異なる位置に配置される。
[0012] 前記構造は、前記構造が開口を有さないように前記基板にわたって連続して延在してよい。
[0013] 本発明の一態様に従い、パターンをインプリント可能媒体にインプリントする際に使用するインプリントテンプレートアレンジメントと、使用中に前記インプリントテンプレートアレンジメントによってパターン付けされるインプリント可能媒体が設けられた基板を保持するように構成された基板ホルダと、を含み、前記インプリントテンプレートアレンジメントは、適切な位置に固定され、前記基板ホルダは、前記インプリントテンプレートアレンジメントに対して移動可能であり、前記インプリントテンプレートアレンジメントは、構成決定アレンジメントの第1部分を含み、前記基板または基板ホルダは、前記構成決定アレンジメントの第2部分を含み、前記構成決定アレンジメントの前記第1部分または前記構成決定アレンジメントの前記第2部分は、1つ以上のラインアレイを含み、前記構成決定アレンジメントの前記第1部分および前記構成決定アレンジメントの前記第2部分のうちの他方は、前記1つ以上のラインアレイのうちの1つ以上のラインアレイに対向する1つ以上のエンコーダを含み、前記構成決定アレンジメントは、前記基板または基板ホルダと前記インプリントテンプレートアレンジメントとの相対的な構成を決定するように構成される、インプリントリソグラフィ装置が提供される。
[0014] パターンをインプリント可能媒体にインプリントする際に使用するインプリントテンプレートアレンジメントと、使用中に前記インプリントテンプレートアレンジメントによってパターン付けされるインプリント可能媒体が設けられた基板を保持するように構成された基板ホルダと、を含み、前記基板ホルダは、適切な位置に固定され、前記インプリントテンプレートアレンジメントは、前記基板ホルダに対して移動可能であり、前記インプリントテンプレートアレンジメントは、構成決定アレンジメントの第1部分を含み、前記基板または基板ホルダは、前記構成決定アレンジメントの第2部分を含み、前記構成決定アレンジメントの前記第1部分または前記構成決定アレンジメントの前記第2部分は、1つ以上のラインアレイを含み、前記構成決定アレンジメントの前記第1部分および前記構成決定アレンジメントの前記第2部分のうちの他方は、前記1つ以上のラインアレイのうちの1つ以上のラインアレイに対向する1つ以上のエンコーダを含み、前記構成決定アレンジメントは、前記基板または基板ホルダと前記インプリントテンプレートアレンジメントとの相対的な構成を決定するように構成される、インプリントリソグラフィ装置が提供される。
[0015] パターンをインプリント可能媒体にインプリントする際に使用するインプリントテンプレートアレンジメントと、使用中に前記インプリントテンプレートアレンジメントによってパターン付けされるインプリント可能媒体が設けられた基板を保持するように構成された基板ホルダと、を含み、前記インプリントテンプレートアレンジメントおよび前記基板ホルダは、互いに対して移動可能であり、前記インプリントテンプレートアレンジメントは、構成決定アレンジメントの第1部分を含み、前記基板または基板ホルダは、前記構成決定アレンジメントの第2部分を含み、前記構成決定アレンジメントの前記第1部分または前記構成決定アレンジメントの前記第2部分は、1つ以上のラインアレイを含み、前記構成決定アレンジメントの前記第1部分および前記構成決定アレンジメントの前記第2部分のうちの他方は、前記1つ以上のラインアレイのうちの1つ以上のラインアレイに対向する1つ以上のエンコーダを含み、前記構成決定アレンジメントは、前記基板または基板ホルダと前記インプリントテンプレートアレンジメントとの相対的な構成を決定するように構成される、インプリントリソグラフィ装置が提供される。
[0016] 上記態様のいずれかに従って、前記構成決定アレンジメントの前記第1部分は、1つ以上のラインアレイを含み、前記構成決定アレンジメントの前記第2部分は、前記1つ以上のラインアレイのうちの1つ以上のラインアレイに対向する1つ以上のエンコーダを含む。
[0017] 上記態様のいずれかに従って、前記構成決定アレンジメントの前記第2部分は、1つ以上のラインアレイを含み、前記構成決定アレンジメントの前記第1部分は、前記1つ以上のラインアレイのうちの1つ以上のラインアレイに対向する1つ以上のエンコーダを含む。
[0018] 上記態様のいずれかに従って、ラインアレイの数および/または配置ならびにエンコーダの数および/または配置は、合わせて、3または4自由度での相対的な構成を決定し得るのに十分であってよく、前記3または4自由度は、第1方向の並進、もしくは第2方向の並進、もしくは回転、もしくは膨張または収縮(負の膨張と同等である)、とから選択される3つまたは4つである。前記1つ以上のラインアレイは、第1方向に延在するラインおよび第2方向に延在するラインを含み、前記1つ以上のエンコーダは、少なくとも4つのエンコーダであって、当該少なくとも4つのエンコーダのうちの少なくとも2つのエンコーダのそれぞれは第1方向に対する方向の移動を決定し、当該少なくとも4つのエンコーダのうちの少なくとも他の2つのエンコーダのそれぞれは第2方向に対する方向の移動を決定する、少なくとも4つのエンコーダ、もしくは少なくとも3つまたは4つのエンコーダであって、当該少なくとも3つまたは4つのエンコーダのうちの1つのエンコーダは第1方向に対する方向の移動を決定し、残りのエンコーダのうちの少なくとも1つのエンコーダは第2方向に対する方向の移動を決定する、少なくとも3つまたは4つのエンコーダ、もしくは少なくとも2つのエンコーダであって、当該少なくとも2つのエンコーダのそれぞれは第1方向に対する方向の移動および第2方向に対する方向の移動を決定するように構成される、少なくとも2つのエンコーダ、を含む。前記第1方向は前記第2方向に略直交してよい。
[0019] 上記態様のいずれかに従って、複数のインプリントテンプレートアレンジメントが設けられてよく、当該インプリントテンプレートアレンジメントのそれぞれが前記構成決定アレンジメントの前記第1部分または前記構成決定アレンジメントの前記第2部分を含む。
[0020] 上記態様のいずれかに従って、前記相対的な構成は、相対的な並進位置、相対的な回転位置、または相対的な膨張の程度(すなわち、相対位置または配向)から選択される1つ以上であり得る。
[0032] インプリントリソグラフィへの2つのアプローチの例が図1a〜図1bに概略的に示されている。
[0033] 図1aは、いわゆるホットインプリントリソグラフィ(またはホットエンボス)の例を示す。典型的なホットインプリントプロセスにおいて、テンプレート2は、基板6の表面上に流し込まれた熱硬化性または熱可塑性インプリント可能媒体4にインプリントされる。インプリント可能媒体4は、例えば樹脂であり得る。樹脂は、例えば、スピンコートされて基板表面上にベークしてよく、あるいは、図示されている例のように、基板6の平坦化・転写層8上にベークしてもよい。熱硬化性ポリマ樹脂を使用する場合、樹脂は、テンプレートと接触した際に、テンプレート上に画定されたパターンフィーチャ内へと流入するのに十分に流動可能であるような温度まで加熱される。その後、樹脂が固まり、かつ不可逆的に所望のパターンを取り込むべく樹脂を熱硬化(架橋)させるために、樹脂の温度は高められる。次いで、テンプレート2を除去して、パターン付けされた樹脂を冷却してよい。熱可塑性ポリマ樹脂の層を使用するホットインプリントリソグラフィにおいては、テンプレート2を用いるインプリントの直前に熱可塑性樹脂が流動自在な状態となるように、熱可塑性樹脂を加熱する。樹脂のガラス転移温度を大幅に上回る温度まで熱可塑性樹脂を加熱することが必要な場合がある。テンプレートは流動可能な樹脂に接触し、次いで、テンプレート2が適切な位置にある状態で、その樹脂を樹脂のガラス転移温度よりも低温まで冷却し、パターンを硬化させる。その後、テンプレート2は除去される。パターンは、インプリント可能媒体の残留層から浮き彫りになっているフィーチャからなり、その残留層は、その後パターンフィーチャのみを残すように適切なエッチングプロセスによって除去され得る。ホットインプリントリソグラフィプロセスで使用される熱可塑性ポリマ樹脂の例は、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリスチレン、ポリ(ベンジルメタクリレート)またはポリ(シクロヘキシルメタクリレート)である。ホットインプリントに関するより詳細な情報については、例えば、米国特許第4,731,155号および米国特許第5,772,905号を参照されたい。
[0034] 図1bは、UVインプリントリソグラフィの例を示し、これは、UV(紫外線)を透過させる透明または半透明テンプレートおよびインプリント可能媒体としてのUV硬化性液体の使用を伴う(ここで使用される「UV」という用語は、便宜上のものであり、インプリント可能媒体の硬化に適したあらゆる化学線を含むものとして解釈されるべきである)。UV硬化性液体は、多くの場合、ホットインプリントリソグラフィで使用される熱硬化性および熱可塑性樹脂よりも粘性が低く、従って、より一層速く動いてテンプレートパターンフィーチャを埋めることができる。クォーツテンプレート10は、図1aのプロセスと同様の方法でUV硬化性インプリント可能媒体12に当てられる。しかしながら、ホットプリントのように加熱または温度サイクリングを用いる代わりに、クォーツテンプレートを介してインプリント可能媒体に当てられるUV放射14を用いてインプリント可能媒体を硬化させることによって、パターンを硬化させる。テンプレートを除去した後、パターンは、インプリント可能媒体の残留層から浮き彫りになっているフィーチャからなり、その残留層は、その後パターンフィーチャのみを残すように適切なエッチングプロセスによって除去され得る。UVインプリントリソグラフィによって基板にパターン付けをする特定の方法は、いわゆる「ステップアンドフラッシュインプリントリソグラフィ(SFIL)」と呼ばれ、これは、IC製造において従来使用されている光ステッパと同様の態様で複数の小さなステップで基板のパターン付けをするために使用することができる。UVインプリントに関するより詳細な情報については、例えば、米国特許出願公開第2004−0124566号、米国特許第6,334,960号、PCT国際公開公報第WO02/067055号、および"Mold-assisted nanolithography: A process for reliable pattern replication"と題した、J. Vac. Sci. Technol. B14(6)、1996年11月/12月号のJ. Haismaによる論文を参照されたい。
[0035] 上記のインプリント技術の組み合わせも可能である。例えば、インプリント可能媒体の加熱とUV硬化の組み合わせについて言及する米国特許出願公開第2005−0274693号を参照されたい。
[0036] 図2は、インプリント装置の一実施形態を概略的に示している。この装置は、使用中のインプリントテンプレートアレンジメント20を含む。基板ホルダ22が設けられる。基板ホルダ22は、基板24を保持(すなわち、支持)するように設けられる。基板24には、インプリント可能媒体26の層が設けられる。インプリントテンプレートアレンジメント20は、インプリント可能媒体26にインプリントされるように移動可能であり、従ってインプリント可能媒体26にパターンフィーチャを形成する。それに加えて、または、その代わりに、基板ホルダ22は、インプリント可能媒体26をインプリントテンプレートアレンジメント20に接触させるように移動可能であり、従ってインプリント可能媒体26にパターンフィーチャを形成する。他の実施形態においては、インプリント可能媒体は、基板上の、基板とインプリントテンプレートアレンジメントまたは複数のインプリントテンプレートアレンジメントとの間の領域のみに位置し得る(すなわち、インプリント可能媒体は、基板全体にわたって延在しなくてよい)。
[0037] 放射源28が設けられる。放射源28は、インプリントテンプレートアレンジメント20によってインプリント可能媒体26にインプリントされるパターンを硬化する(すなわち固定する)ための放射30を供給する。
[0038] 基板24に正確かつ一定のパターンを付与することを可能とするために、基板およびインプリントテンプレートアレンジメントの位置、ならびに基板またはインプリントテンプレートアレンジメントの任意の回転または膨張を正確に決定し得ることが望ましい。また、その上にまたは中にパターンがインプリントされる基板の一部とインプリントテンプレートとの正確な位置合わせが可能であることが望ましく、および/またはその逆も同様に望ましい。
[0039] 再び図2を参照すると、1つ以上の干渉計32が、1つの側に沿ってまたは基板ホルダ22の周囲に延在する、フレームまたは他の支持構造に取り付けられ得る。干渉計32は、基板ホルダ22、つまりは基板ホルダ22が保持する基板24の位置または位置変化を決定するために使用され得る。1つより多い干渉計32が使用される場合、1つより多い次元で基板ホルダ22の位置変化を決定する、ならびに基板ホルダ22および(場合により)基板24の膨張または回転を決定することが可能であり得る。同様に、1つ以上の追加干渉計36が支持構造34に取り付けられ得る。追加干渉計36は、インプリントテンプレートアレンジメント20に対するものであってよく、また、インプリントテンプレートアレンジメント20の位置変化およびインプリントテンプレートアレンジメント20の回転または膨張を検出するために使用され得る。一般には、干渉計36はインプリントテンプレートアレンジメントの位置、回転または膨張/収縮の程度を決定するために使用することができ、このインプリントテンプレートアレンジメントは、インプリントテンプレート、インプリントテンプレートホルダ、またはインプリントテンプレートを保持しているインプリントテンプレートのうちの少なくとも1つである。
[0040] 干渉計32、36は、インプリントテンプレートアレンジメント20、基板ホルダ22および/または基板24の位置を決定するために使用され得る。そのような決定により、基板24に対してインプリントテンプレートアレンジメント20が位置決めされ、またはインプリントテンプレートアレンジメント20に対して基板24が位置決めされ、またはこれら両方が行われる。関連技術において知られているように、インプリンティングが行われるほぼ適正な位置にインプリントテンプレートアレンジメント20および基板24が存在する場合、アライメントシステム40とともに1つ以上のアライメントマーカ38を用いて、インプリントテンプレートアレンジメント20とパターンがインプリントされる基板24の一部との正確な位置合わせが行われ得る。
[0041] 干渉計アレンジメントを用いたインプリントテンプレートアレンジメントの位置、回転、または膨張の程度を決定可能とするために、インプリントプレート構成と干渉計アレンジメントを形成する1つ以上の干渉計との間に遮るもののない経路が存在することが必要である。単一のインプリントテンプレートアレンジメント20を示す図2を参照すると、インプリントテンプレートアレンジメント20の位置、回転、または膨張を決定するために使用される各干渉計36とインプリントテンプレートアレンジメント20自体との間に遮るもののない経路が存在することがわかる。これは、インプリントテンプレートアレンジメントの位置、回転、および膨張の程度の決定が可能であるはずであることを意味する。しかし、複数のインプリントテンプレートアレンジメントが使用される場合、各インプリントテンプレートアレンジメントの位置、回転、および膨張の程度の決定が可能であることは困難または不可能であり得る。この困難性は、図3との関連でより詳細に説明する。
[0042] 図3は、図2に示し、かつ図2を参照して説明したインプリントリソグラフィ装置と同様のインプリントリソグラフィ装置を概略的に示している。従って、図2にも記載されている図3に記載の特徴には、同じ参照符号が与えられる。図3のインプリントリソグラフィ装置と図2のインプリントリソグラフィ装置の違いは、図3のインプリントリソグラフィ装置において、追加の(第2の)インプリントテンプレートアレンジメント42が設けられる点にある。従って、図3は、第1インプリントテンプレートアレンジメント20および第2インプリントテンプレートアレンジメント42を示している。
[0043] インプリントテンプレートアレンジメント20、42の位置、回転、および膨張の程度を決定するための干渉計36が示されている。各干渉計36は、当該干渉計36からその干渉計36に直接隣接するインプリントテンプレートアレンジメント20、42までの距離を決定することができる。これにより、例えば、インプリントテンプレートアレンジメント20、42の位置、ならびに、場合により各インプリントテンプレートアレンジメント20、42の回転の程度の決定が可能となり得る。このことは、実際に実施されるように、インプリントテンプレートアレンジメント20、42の1つ以上の側に沿った異なる位置において追加干渉計が各インプリントテンプレートアレンジメント20、42までの距離を決定するために使用される場合について特に当てはまる。
[0044] 干渉計36から隣接するインプリントテンプレートアレンジメント20、42までの距離は決定できるが、この距離は、干渉計と隣接する側の単一のインプリントテンプレートアレンジメント20、42との間においてのみ決定することができる。図3に示す装置を使用すると、特定の干渉計36から別の反対側のインプリントテンプレートアレンジメント20、42までの距離を決定することはできない。さらに、この反対側のインプリントテンプレートアレンジメント20、42の位置は、別の干渉計36を使用しても決定できない。これは、同一線上に存在する2つ以上のテンプレートの存在(図3に示す)が、干渉計からの放射ビームが反対側のインプリントテンプレートアレンジメント20、42に到達するのを妨げるからである。反対側のインプリントテンプレートアレンジメントまでの距離が決定できない(すなわち、2つの反対側のテンプレートの位置が測定できない)ので、図3に示すインプリントテンプレートアレンジメント20、42のどちらか(もしあるとすれば)の膨張の程度を決定することができない。
[0045] インプリントリソグラフィでは、インプリントテンプレートアレンジメントの膨張を補償してパターンが基板上に正確かつ一様にインプリントされることを確実にする、およびあらゆるオーバーレイ要件が満たされることを確実にすることを可能とするべく、その膨張を決定できることは重要である。従って、インプリントテンプレートアレンジメントの膨張の程度を測定することが可能なインプリントリソグラフィ装置を設けることが望ましい場合がある。
[0046] 1つ以上のインプリントテンプレートアレンジメントならびに/もしくは基板または基板ホルダの位置、あるいは、それらのインプリントテンプレートアレンジメントならびに/もしくは基板または基板ホルダの(単一のインプリントテンプレートアレンジメントを使用する場合)の回転または膨張の程度の正確な決定を可能とするために、上述の通り、多数の干渉計の使用が求められ得る。干渉計は高価であり、それによってインプリントリソグラフィ装置の費用が高額になることがあり、また、場合により、高価すぎて商業的に実施可能でないことがある。従って、インプリントテンプレートアレンジメントならびに/もしくは基板または基板ホルダの位置、回転、または膨張の程度を決定するための干渉計(または干渉計のみ)を使用しないインプリントリソグラフィ装置を提供することが望ましい場合がある。
[0047] 一般に、図2および/または図3に示す装置のアレンジメントの使用と関連する1つ以上の問題または欠点を回避または軽減することが可能であることが望ましい。
[0048] 本発明の一実施形態に従い、インプリントリソグラフィ装置が設けられる。この装置は、使用中の、インプリント可能媒体にパターンをインプリントするために使用可能なパターン付けされた表面が設けられた面を有するテンプレートを含む。インプリントテンプレートホルダが設けられ、インプリントテンプレートを保持するように構成される。基板ホルダが設けられ、インプリントテンプレートによってパターン付けされる基板を保持するように構成される。構造(例えば、プレート、または平面構造などの他の構造)が設けられる。この構造は、基板ホルダから離れて配置され、また、基板ホルダにわたって(例えば、基板ホルダに略平行に)延在する。構造は、インプリントテンプレートが、使用中に、構造と基板ホルダとの間に位置するように配置される。構造には、構成決定アレンジメントの第1部分が設けられ、基板または基板ホルダ、ならびにインプリントテンプレートおよび/またはインプリントテンプレートホルダには、構成決定アレンジメントの第2部分が設けられる。決定される構成は、例えば、位置、回転の程度、または膨張の程度(収縮、すなわち負の膨張を含み得る)から選択される少なくとも1つであり得る。構成決定アレンジメントの第1部分または構成決定アレンジメントの第2部分は、1つ以上のラインアレイ(例えば、平行ラインアレイ、または互いに90度で配向してグリッドを形成する2つの平行ラインアレイ)を含む。構成決定アレンジメントの第1部分および構成決定アレンジメントの第2部分のうちの他方は、1つ以上のラインアレイのうちの1つ以上のラインアレイに対向する1つ以上のエンコーダを含む。エンコーダは、ラインアレイを使用してラインアレイとエンコーダ自体との相対移動を決定することができる。エンコーダが物体に取り付けられると、これによって、ラインアレイに対する物体の移動が決定される。物体(例えば、インプリントプレート、インプリントテンプレートホルダ、または基板ホルダ)の周りの多数の位置においてこの移動(すなわち、位置変化)を決定することによって、物体の位置変化だけでなくその物体の回転の程度、ならびに十分な数のエンコーダにより、その物体の膨張の程度を決定することが可能である。
[0049] 構成決定アレンジメントは、基板ホルダと基板との相対的な構成、インプリントテンプレートまたはインプリントテンプレートホルダと基板との相対的な構成、ならびにインプリントテンプレートまたはインプリントテンプレートホルダと基板または基板ホルダとの相対的な構成のうちの少なくとも1つを決定するように構成される。
[0050] 本発明の具体的な実施形態を、単なる例として、図4〜図10を参照して以下に説明する。
[0051] 図4は、本発明の一実施形態に係るインプリント装置を概略的に示している。この装置は、第1インプリントテンプレートアレンジメント50と第2インプリントテンプレートアレンジメント52とを含む。インプリントテンプレートアレンジメント50、52は、基板56に設けられたインプリント可能媒体54の層にインプリントされ得る。基板56は、基板ホルダ58によって適切な位置に保持され得る。放射62(すなわち、UV放射)を供給するために、1つ以上の放射源60が設けられ得る。放射62は、インプリントテンプレートアレンジメント50、52によってインプリント可能媒体54にインプリントされているパターンを硬化(すなわち、固定)するために使用され得る。
[0052] インプリントテンプレートアレンジメント50、52は、インプリントテンプレート、インプリントテンプレートホルダ、または各々がインプリントテンプレートを保持する(場合により、使用中のみ)インプリントテンプレートホルダであり得る。
[0053]他の実施形態(図示なし)においては、インプリント可能媒体は、基板とインプリントテンプレートアレンジメントまたは複数のインプリントテンプレートアレンジメントとの間の、基板上の領域のみに配置され得る(すなわち、インプリント可能媒体は、基板全体にわたって延在し得ない)。
[0054] プレートの形態をとる構造64が、基板ホルダ58および基板56から離れて配置され、かつ基板ホルダ58および基板56にわたって延在するように示されている。構造64は、基板56および基板ホルダ58に略平行に延在する。構造64は、基板ホルダ58、基板56、およびインプリントテンプレートアレンジメント52、52を少なくとも部分的に取り囲むサポートフレーム66などによって支持され得る。あるいは、構造は基板の上方に配置されるサポートなどによって支持(保持)され得る。構造は、インプリントテンプレートアレンジメント50、52が構造64と基板56および基板ホルダ58との間に位置するように配置され得る。インプリントテンプレートアレンジメント50、52の移動または変形(例えば、膨張または収縮)は、構造64と基板56および基板ホルダ58との間に少なくとも部分的に配置され得る1つ以上のアクチュエータ(図示なし)を使用することによって行われ得る。
[0055] 構造64は、インプリントテンプレートアレンジメント50、52によってインプリント可能媒体54に設けられるパターンを硬化または固定するために必要である放射を実質的に透過させるべきである。例えば、構造64は、UV放射を実質的に透過させ得る。構造64は、その代わりに、または、それに加えて、例えば追加のアライメントシステムによって使用される放射を透過させ得る。他の実施形態においては、アライメント、またはインプリントされたパターンの固定に使用される放射は、構造を通過しなくてもよい。例えば、そのような放射は、ミラーまたは光ファイバなどを用いて適切に方向付けられ得る。
[0056] 構造64には構成決定アレンジメントの第1部分が設けられ、基板ホルダ58およびインプリントテンプレートアレンジメント50、52のそれぞれに、構成決定アレンジメントの第2部分が設けられる。この実施形態においては、構成決定アレンジメントは、エンコーダアレンジメントである。エンコーダアレンジメントは、基板ホルダ58およびインプリントテンプレートアレンジメント50、52に設けられる構成決定アレンジメントの第2部分を形成する1つ以上のエンコーダ68を含む。構造64には、2次元ラインアレイ(すなわち、グリッド)が設けられ、このラインアレイは構成決定アレンジメントの第1部分を形成する。
[0057] エンコーダ68は、2次元ラインアレイが設けられた構造64に対向する。各エンコーダ68と構造64との間に障害物は存在しない。従って、十分な数のエンコーダ68が使用される場合、基板ホルダ58および各インプリントテンプレートアレンジメント50、52の位置、回転の程度、および/または膨張/収縮の程度を決定することができる。
[0058] 十分に多数のエンコーダが使用される場合、一部のエンコーダと構造との間に障害物が存在し得るが、基板ホルダおよび各インプリントテンプレートアレンジメントの位置、回転の程度、および膨張/収縮の程度は他のエンコーダを使用して決定することができる(すなわち、システムはある程度の冗長性を有し得る)。
[0059] 基板56、基板ホルダ58、およびインプリントテンプレートアレンジメント50、52は、構造64に対して移動可能である。従って、構造64は、基板ホルダ58および/またはインプリントテンプレートアレンジメント50、52の位置、回転、または膨張(または収縮)の相対的な変化を決定および測定できる固定参照を提供する。構造64が提供する固定参照によって、基板ホルダ58(または基板ホルダ58が保持する基板56)の位置、回転、および/または膨張(または収縮)を、インプリントテンプレートアレンジメント50、52に対して決定することが可能になる。位置、回転の程度、または膨張の程度の変化は、エンコーダのうちの1つ以上のエンコーダの相対移動を測定することによって決定することができる。
[0060] 図4は、構造64に、構造64の略全体にわたって延在する単一の(2次元)ラインアレイが設けられ得ることを示している。そのような構成は、光リソグラフィにおいて不可能であろう。というのは、ラインアレイは、基板上に投影されたパターン付与された放射ビームに付与されるパターンに影響を及ぼす可能性があるからであって、このことは、基板に設けられるパターンフィーチャに悪影響を及ぼすことになるであろう。しかし、このことはインプリントリソグラフィにおいては問題にならない。というのは、パターン付与されたビームが基板上に投影されないからである。代わりに、インプリントテンプレートアレンジメントによってインプリント可能媒体にインプリントされるパターンを硬化または固定するために、特定のドーズ量が必要である。さらに、構造64は、基板56および基板ホルダ58にわたって連続して延在し得る。この構造には開口がなくてよい。再び、光リソグラフィにおいて、このことはあり得ない。構造64は、基板上に投影されるパターン付与された放射ビームの透過率に悪影響を及ぼし、これによって基板に設けられるパターンフィーチャに悪影響を及ぼすおそれがある。従って、光リソグラフィにおいて、図4に示し、かつ図4を参照して説明した構造と同様の構造に開口を設けることは必要であり得る。しかし、これはインプリントリソグラフィにおいては問題にならない。というのは、パターン付与されたビームは基板上に投影されないからである。代わりに、インプリントテンプレートアレンジメントによってインプリント可能媒体にインプリントされるパターンを硬化または固定するために、特定のドーズ量が必要である。
[0061] 本明細書記載の構造64およびその実施は、インプリントリソグラフィに特に適している。これは、構造64が、例えば、構造の略半分またはそれ以上にわたって延在し得る1つ以上のラインアレイが設けられた板状の構造であり得るという点において、比較的簡単なものであり得るからである。正確に構成された、または複雑な開口を、基板に設ける必要はなく、グリッドラインを有さない領域も構造内に必要ない。従って、インプリントリソグラフィにおいて使用される構造は、光リソグラフィにおいて使用される同様の構造(実際にそのような構造が作成されるのであれば)と比較して、製造しやすくかつ使用しやすくなり得る。この製造の容易さは、費用効果をもたらし得る。
[0062]上述の通り、インプリントテンプレートアレンジメントの位置、回転の程度および/または膨張(または収縮)の程度の決定が可能であることが望ましい。従って、構成決定アレンジメントの第1部分がラインアレイの数および/または配置を含み、構成決定アレンジメントの第2部分がエンコーダの数および/または配置を含むことを確実にすることが望ましく、これらは合わせて、インプリントテンプレートアレンジメントと構造との4自由度での相対的な構成を決定し得るために十分である。4自由度は、インプリントテンプレートアレンジメントと構造との相対位置の決定を可能とするための第1方向の並進(例えば、図のx方向)および第2方向の並進(例えば、図のy方向)、ならびに回転および膨張/収縮の程度(例えば、第1および第2の(場合により直交する)方向―すなわち、xおよびy方向)である。これは、構造に設けられるラインアレイが第1方向に延在するラインおよび第2方向に延在するライン(例えば、第1方向は第2方向に直交してグリッドを形成する)を含むことを確実にすることによって達成され得る。ここで、エンコーダは、少なくとも4つのエンコーダを含み、これらの少なくとも4つのエンコーダのうちの少なくとも2つのエンコーダのそれぞれが、第1方向に対する方向の移動を決定するように構成され、少なくとも4つのエンコーダのうちの他の2つのエンコーダのそれぞれが、第2方向に対する方向の移動を決定するように構成され、これらの少なくとも4つのエンコーダはインプリントテンプレートアレンジメントの周りに設けられる。あるいは、エンコーダは、少なくとも2つのエンコーダを含んでよく、これらの少なくとも2つのエンコーダのそれぞれは第1方向に対する方向の移動および第2方向に対する方向の移動を決定するように構成され、これらのエンコーダはインプリントテンプレートアレンジメントの周りに設けられる。第1方向に対する方向は、第1方向に略直交してよく、第2方向に対する方向は、第2方向に略直交してよい。
[0063] また、エンコーダの数および/または配置ならびにラインアレイの数および/または配置は、さらなる自由度、例えば第1および第2方向に直交する第3方向(例えば、図のz方向)でのインプリントテンプレートアレンジメントと構造との相対的な構成を決定し得るのに十分であってよい。これは、上述したラインおよびエンコーダの構成によって達成され得る。例えば、エンコーダがラインアレイに向かうまたはラインアレイから離れる(すなわち、図のz方向などの第3方向)移動は、第1および第2方向(すなわち、図のxおよびy方向)の移動を決定するように構成されるエンコーダを用いて検出可能である。その代わりに、または、それに加えて、より不均一な性質の膨張も決定され得る(例えば、ピンクッション状、平行四辺形状などでの膨張)。
[0064] 図5a〜図5eは、エンコーダ68に関するさまざまな数および構成の例を概略的に示している。図5aは、インプリントテンプレートアレンジメント50の平面図を概略的に示している。インプリントテンプレートアレンジメント50の各コーナに配置されるのはエンコーダ68である。合計で少なくとも4つのエンコーダ68が存在する。4つのエンコーダのうちの少なくとも2つのエンコーダは、y方向のインプリントテンプレートアレンジメント50の相対移動を決定するように配置される。4つのエンコーダ68のうちの少なくとも2つの他のエンコーダは、x方向のインプリントテンプレートアレンジメント50の相対移動を決定するように構成される(ライン格子の異なる配向によって示される)。そのような移動は、特定方向の移動の検出を容易にするフィーチャが設けられるエンコーダ68、例えば、yまたはx方向に対して平行または直交(または別の角度を有する)であるなどの特定の配向に配置されるラインまたは検出エレメントによって決定され得る。
[0065] 図5bおよび図5cは、エンコーダ68がインプリントテンプレートアレンジメント50の各コーナに配置される必要がないことを示している。図5bに示すように、少なくとも4つのエンコーダ68のうちの少なくとも2つのエンコーダを、インプリントテンプレートアレンジメント50の1つのコーナに配置することができ、少なくとも2つの他のエンコーダを、インプリントテンプレートアレンジメント50の別のコーナに配置することができる。あるいは、図5cに示すように、エンコーダ68を、インプリントテンプレートアレンジメント50の1つ以上の辺に沿って配置することができる。
[0066] 同一方向(例えば、x方向またはy方向)の移動を検出するように構成されたエンコーダ68は、より正確な測定の実行が可能であることを確実にするために、理想的には互いに離れて配置されるべきである。そのようなエンコーダが隣接して配置されると、あらゆる測定の解像度が減少し得る。測定が可能な限り正確かつ有用であることを確実なものとするべく、同一方向の移動を測定するエンコーダは、xおよびy方向に互いにオフセットされることが望ましい。例えば、エンコーダがインプリントテンプレートアレンジメント上で同一のxまたはy位置を有する場合、エンコーダは、より多くのまたは任意の有用な情報を提供し得ない、xまたはy方向の同一の移動を決定し得る。しかし、エンコーダのxまたはy位置がオフセットされる場合、より有用な情報を得ることができる。
[0067] それぞれが単一の方向の移動を検出することが可能な4つのエンコーダを設ける代わりに、1つまたは2つの方向の移動を決定するように構成されたエンコーダを設けることが可能である。これは、例えば、1つまたは2つの方向の移動の検出を可能にするフィーチャを有するエンコーダを設けることによって達成され得る。例えば、これらのエンコーダには、yまたはx方向に対して平行または直交(または別の角度を有する)であるなどの特定方向に延在するラインアレイまたは検出エレメントが設けられてよい。図5dは、2つのそのようなエンコーダ70がインプリントテンプレートアレンジメント50の対向するコーナに設けられ得ることを示している。図5eは、エンコーダ70がインプリントテンプレートアレンジメント50の対向する辺に設けられ得ることを示している。各コーナの位置は、測定が可能な限り正確かつ有用であることを確実にするべく、xおよびy方向にオフセットされることが望ましい。例えば、エンコーダがインプリントテンプレートアレンジメント上で同一のxまたはy位置を有する場合、エンコーダは、より多くのまたは任意の有用な情報を提供し得ない、xまたはy方向の同一の移動を決定し得る。しかし、エンコーダのxまたはy位置がオフセットされる場合、より有用な情報を得ることができる。
[0068] 他の実施形態においては、エンコーダが任意の適切な方法で配置され得ることが明らかである。例えば、エンコーダは、図5a〜図5eに示す位置の1つ以上の組合せまたは部分的な組合せで配置されてよい。その位置は対称でなくてもよい。このことは、例えばインプリントテンプレートアレンジメントが対称でない場合、またはインプリントテンプレートアレンジメントの構造またはインプリントテンプレートアレンジメントへの付属装置が、エンコーダが対照的に設けられるのを妨げる場合に利用され得る。例えば、1つのエンコーダがインプリントテンプレートアレンジメントの1つの辺に沿って半分の位置に設けられ、別のエンコーダがインプリントテンプレートアレンジメントに隣接して、またはインプリントテンプレートアレンジメントのコーナに設けられ得る。
[0069] 図6aは、構造64に設けられる2次元ラインアレイ(例えば、グリッド)がxおよびy方向に延在し得ることを示している。図6bは、構造64とインプリントテンプレートアレンジメント50との間の移動を検出するために、エンコーダ68がxおよび/またはy方向の移動を検出することが可能であるべきであることを示し、このことは、xおよび/またはy方向に延在する検出フィーチャまたはエレメントを有するエンコーダ68を設けることによって容易にされ得る。別の構成において、図7aは、構造64に設けられる2次元ラインアレイ(例えば、グリッド)がxおよびy方向に対して45度の角度で延在し得ることを示している。図7bは、そのようなラインアレイとインプリントテンプレートアレンジメント50との間の移動の検出が可能であるために、xおよびy方向に対して45度の角度で延在する検出エレメントまたはフィーチャがエンコーダ68に設けられ得ることを示している。
[0070] 上述の通り、基板に対してパターンフィーチャが正確に付与されることを確実にするために、インプリントテンプレートの膨張が考慮される必要がある。実際に、インプリントテンプレートが基板ホルダよりはるかに高い割合で膨張することが多く、かつ、より一般的である。ゆえに、基板ホルダの膨張の程度を決定しなくてもよい。従って、構成決定アレンジメントの第1部分はラインアレイの数および/または配置を含むことができ、構成決定アレンジメントの第2部分は、エンコーダの数および/または配置を含むことができ、これらは、合わせて、基板ホルダと構造との3自由度のみ(すなわち、4自由度ではない)での相対的な構成を決定し得るのに十分である。3自由度は、第1方向の並進、第2方向の並進、および回転(すなわち、膨張ではない)であり得る。
[0071] エンコーダの数および/または配置、ならびにラインアレイの数および/または配置もまた、さらなる自由度、例えば第1および第2方向に直交する第3方向(例えば、図のz方向)での基板と構造との相対的な構成を決定し得るのに十分であってよい。これもまた、上述したラインおよびエンコーダの構成によって達成され得る。例えば、エンコーダがラインアレイに向かうまたはラインアレイから離れる(すなわち、図のz方向などの第3方向)移動を、第1および第2方向(すなわち、図のxおよびy方向)の移動を決定するように構成されるエンコーダを用いて検出することが可能である。
[0072] 図8は、本発明の他の実施形態を概略的に示している。図8のインプリントリソグラフィ装置は、図4に示し、かつ図4を参照して説明したインプリントリソグラフィ装置と同様であり、従って、両図に記載の同じ特徴には、同じ参照符号が与えられる。しかし、図4とは異なり、図8の構造72(図4の構造64と同様である)には、構造72の略全体にわたって延在するラインアレイが設けられない。代わりに、構造72には複数のラインアレイ74が設けられ、各アレイは構造72の異なる位置に配置される。ラインアレイ74の位置は、ラインアレイ74に対向するエンコーダ68の位置と実質的に一致するように選択され得る。ラインアレイ74は、固定構造72上に設けられるので、依然として上述した固定参照点を提供する。構造72上の異なる位置に位置するラインアレイを設けることによって、構造72の一部にはラインが設けられないことになる。ラインが設けられない構造72の部分によって、より多くの放射が構造72を通過することができ、例えば、インプリントテンプレートアレンジメント50、52によってインプリント可能媒体にパターンが固定される。このことは、放射源60の出力がより低くなる必要があり、それによってエネルギーおよび費用を節減したり、システム内の迷走放射量を減少させることを意味し得る。
[0073] その代わりに、または、それに加えて、構造72には構造72の略全体にわたって延在するラインアレイが設けられない(すなわち、図4の構造と比較して、より少ないラインが設けられる)ので、構造72は製造または維持するのにより安価となり得る。
[0074] 図4〜図8に示し、かつ図4〜図8を参照して説明した実施形態において、構造に設けられる構成決定アレンジメントの第1部分は1つ以上のラインアレイを含むと説明されている。基板ホルダおよびインプリントテンプレートアレンジメントに設けられる構成決定アレンジメントの第2部分は、1つ以上のラインアレイのうちの1つ以上のラインアレイに対向する1つ以上のエンコーダを含むと説明されている。別の構成においては、構成決定アレンジメントの第2部分は1つ以上のラインアレイを含んでよく、構成決定アレンジメントの第1部分は1つ以上のラインアレイのうちの1つ以上のラインアレイに対向する1つ以上のエンコーダを含んでよい。構造には1つ以上のエンコーダが設けられてよく、基板ホルダとインプリントテンプレートアレンジメントには1つ以上のラインアレイが設けられてよい。図9は、そのようなインプリントリソグラフィ装置を概略的に示している。
[0075] 図9に示すインプリントリソグラフィ装置は、図4に示すインプリントリソグラフィ装置と同様であり、従って図4および図9に記載の同じ特徴には、同じ参照符号が与えられる。図4とは異なり、図9の装置において、構造80(図4の構造64と同様である)にはエンコーダ82が設けられる。エンコーダ82は、インプリントテンプレートアレンジメント50、52および基板ホルダ58上、またはインプリントテンプレートアレンジメント50、52および基板ホルダ58に取り付けられる構造上に設けられるラインアレイ84に対向する。この構造上の違いを除いて、インプリントリソグラフィ装置の動作は、図4〜図8に示し、かつ図4〜図8を参照して説明したインプリントリソグラフィ装置の動作と実質的に同一である。
[0076] しかし、図4のインプリントリソグラフィ装置は、図9に示すインプリントリソグラフィ装置に対して少なくとも1つの利点を有する。この利点は、図9の装置に関連する欠点を説明することによって理解することができる。図9において、エンコーダ82が基板ホルダ58またはインプリントテンプレートアレンジメント50、52上に設けられるグリッドライン84に対向しない程度に、基板テーブル58またはインプリントテンプレートアレンジメント50、52が移動される場合、基板ホルダ58またはインプリントテンプレートアレンジメント50、52の位置は決定できない。この問題は、エンコーダ82の検出領域を拡大することによって、および/またはより多くのエンコーダ82を設けることによって、および/またはラインアレイのより広い領域または多数の領域を設けることによってのみ克服され得る。一実施形態が、図10に概略的に示されている。図10は、エンコーダ82の物理的な検出範囲外でのラインアレイ84の移動の問題の回避を目的とする、ラインアレイ84のおおよその位置に対向するより多くのエンコーダ82以外は、図9に示す構成と同一である構成を概略的に示す。再び図4を参照すると、本明細書記載のインプリントリソグラフィ装置にはこの問題がないことが明らかである。これは、構造64によって提供されるラインアレイがインプリントテンプレートアレンジメント50、52、基板56、および基板ホルダ58の全体にわたって延在するという理由で、エンコーダ68が、構造64によって提供されるラインアレイに常に対向することになるからである。従って、図4のインプリントリソグラフィ装置は、図9または図10のインプリントリソグラフィ装置よりも実用的な実施例であり得る。さらに、エンコーダアレンジメントのエンコーダはグリッドラインを設けることよりも高価である可能性があるので、図9および図4のインプリントリソグラフィ装置は、図10に示すインプリントリソグラフィ装置よりも安価であり得る。
[0077] 本発明の他の実施形態を以下に説明する。
[0078] そのような他の実施形態において、インプリントテンプレートアレンジメントは適切な位置に固定されてよく、そして移動可能でなくてよい。ラインアレイ(例えば、上述した通り構造上にある)は、インプリントテンプレートアレンジメントの一部を形成したり、インプリントテンプレートアレンジメントに取り付けられ得る。あるいは、1つ以上のエンコーダが、インプリントテンプレートアレンジメントに取り付けられたり、インプリントテンプレートアレンジメントの一部を形成してもよい。インプリントテンプレートアレンジメントは、固定の、かつ絶対的な参照点を提供する。
[0079] 他の実施形態において、基板ホルダは適切な位置に固定されてよく、そして移動可能ではなくてよい。ラインアレイ(例えば、上述した通り構造上にある)は、基板ホルダの一部を形成したり、基板ホルダに取り付けられ得る。あるいは、1つ以上のエンコーダが、基板ホルダに取り付けられたり、基板ホルダの一部を形成してもよい。基板ホルダは、固定の、かつ絶対的な参照点を提供する。
[0080] 他の実施形態において、インプリントテンプレートアレンジメントおよび基板ホルダはともに移動可能であってよい。インプリントテンプレートアレンジメントには、ラインアレイ(例えば、上述した通り構造上にある)またはエンコーダが設けられてよく、基板ホルダには対応するエンコーダまたはラインアレイ(例えば、上述した通り構造上にある)が設けられてよい。この構成によって、インプリントテンプレートアレンジメントと基板ホルダとの相対移動に関する情報を決定することが可能になる。位置の絶対測定値は、干渉計または追加のエンコーダシステム(例えば、移動可能なインプリントテンプレートアレンジメントおよび基板ホルダに対して固定される固定フレームなどに少なくとも部分的に取り付けられる)によって得られ得る。
[0081] 本発明の上述の実施形態において、複数のインプリントテンプレートを説明してきた。本発明の一実施形態は、単一のインプリントテンプレートアレンジメントの使用にも適用可能である。
[0082] いくつかの実施形態において、構造は、ラインまたはラインアレイであってよく、これらのラインが設けられた本体ではない。いくつかの実施形態において、構造は、インプリントテンプレートアレンジメントまたは基板ホルダ、例えば、インプリントテンプレートアレンジメントまたは基板ホルダの表面であり得る。
[0083] 上述の実施形態において、エンコーダおよびラインアレイがともに、基板ホルダとインプリントテンプレートアレンジメントとの相対的な構成(例えば、位置または配向)などを決定するために使用されると説明してきた。実際に、このことは、インプリントテンプレートアレンジメントおよび基板ホルダの異なる場所間または位置間の相対的な構成を決定することによって達成される。
[0084] 説明および図示した実施形態は、例示的なものであり、制限的な性質のものではないとみなされるべきであって、単に好ましい実施形態が図示および説明されたものであること、および請求の範囲に定義された本発明の範囲に入る全ての変更および変形は保護されることが望まれることを理解されたい。本明細書で「好ましい(preferable)」、「好ましくは(preferably)」、「好ましい(preferred)」「より好ましい(more preferred)」などの語を使用することは、そのように記述されたある特徴が望ましいことがあることを示唆するとはいえ、その特徴が必要ではないこともあり、このような特徴を欠いている実施形態が、添付の特許請求の範囲に定義された本発明の範囲内にあるとして企図されうることを理解されたい。特許請求の範囲に関連して、「1つの(a, an)」、「少なくとも1つの(at least one)」、または「少なくとも1つの部分(at least one portion)」などの語が、ある特徴の前置きに使用された場合、このような1つの特徴だけに特許請求の範囲を限定する意図は、特許請求の範囲に逆のことが特に提示されない限り、ないものとする。「少なくとも一部分(at least a portion)」および/または「一部分(a portion)」という言葉が使用された場合、その項目は、逆のことが特に提示されない限り、一部分および/または項目全体を含み得る。