JP5067110B2 - ガス燃焼式打込み工具 - Google Patents

Description

本発明は、工具本体の内部に装着されたガス缶からのガス燃料を燃焼室に供給するガス燃焼式打込み工具の改良に関する。

一般に、ガス燃焼式打込み工具は、ガス缶と燃焼室との間にガス管路を設け、打撃時には、燃焼室を密閉状態としてガス缶内に充填されたガス燃料を一定量だけ噴出させてガス管路から燃焼室内に供給し、空気と混合させて得た混合ガスに点火プラグで着火して爆発的に燃焼させ、その燃焼圧力によって打撃シリンダ内の打撃ピストンを駆動し、打撃ピストンと一体に結合したドライバによって工具本体の下部に設けられたノーズ部からファスナーを打ち出すように構成されている。

打込み工具本体には、ガス缶のガス燃料の噴出口の近傍には一定量のガス燃料を溜める計量室が配置され、計量室の出口には噴射バルブが設けられている。そして、通常はガス缶から噴出されたガスをその計量室に溜め、噴射バルブによってガス燃料の噴出口を遮断しておく。打撃時にはトリガの作動と連動して噴射バルブによりガス管路を燃焼室に対して開く（ガス缶に対しては遮断する）ことによって計量室内のガス燃料をガス管路から燃焼室に送るように構成されている。このとき同時に上記噴射バルブはガス缶内のガス燃料が計量室に供給されないように、ガス缶と計量室とを遮断する（特許文献１参照）。

ところで、使用されるガス缶は、ガス燃料の入った内側の容器と内側容器の内圧よりも２、３気圧高いプロペラントガスが充填された外側の容器との２重構造になっており、プロペラントガスのガス圧により内側の容器を圧迫してガス燃料を噴出させるようにしている。この構造では、プロペラントガスの圧力が作用するのは噴射バルブがガス管路を燃焼室に対して閉じ、ガス缶に対しては開いている状態のときで、燃料噴射時に上述のように噴射バルブが計量室とガス缶内部との間を遮断すると、プロペラントガスの圧力は作用しなくなり、計量室からはガス燃料の気化圧力のみによって燃焼室へ供給される。
特許第２９５６００４号

しかしながら、低温環境下で使用するときなどのようにガス燃料の気化圧力が低下してしまうような場合は、計量室内のガス燃料が燃焼室へ流入するまでに時間がかかったり、あるいは一部が計量室内に残ったりしてしまう。そのため、噴出バルブが開いてから時間が経たないと着火しなかったり、着火できなかったりするおそれがある。

本発明は上記問題点を解消し、計量室から燃焼室へのガス燃料のガス管路が開いた後も、ガス燃料に圧力をかけて燃焼室へのガス燃料を安定して確実に供給することができるガス燃焼式打込み工具を提供することをその課題とする。

前記課題を解決するため、請求項１に係る発明は燃焼室にガス燃料を供給して空気と攪拌混合した混合ガスに点火し、この燃焼圧により打撃機構を駆動してファスナーを打出すガス燃焼式打込み工具において、ガス缶と燃焼室との間のガス管路の中途部に計量室を設け、該計量室に上記ガス管路を開閉する電磁バルブを設けるとともに、上記計量室をエア供給手段に接続し、上記燃焼室内にガス燃料を供給するときは、上記電磁バルブによって上記下流側のガス管路を開くと同時に上流側のガス管路を閉じるとともに上記エア供給手段から圧縮エアを上記計量室内に供給して計量室内のガス燃料を燃焼室に供給することを特徴とする。

請求項２に係る発明は、請求項１において、上記エア供給手段を上記計量室に接続することに代え、上記燃焼室に通じる下流側のガス管路の中途部に接続したことを特徴とする。

請求項３に係る発明は、請求項１又は２において、上記エア供給手段は、打込み工具本体の先端を被打ち込み材に押し付けることにより押し込まれて相対的に移動するコンタクト部材と連動してエアを供給することを特徴とする。

請求項１に係る発明によれば、ガス缶と燃焼室との間のガス管路の中途部に計量室を設け、該計量室に上記ガス管路を開閉する電磁バルブを設けるとともに、上記計量室をエア供給手段に接続し、上記燃焼室内にガス燃料を供給するときは、上記電磁バルブによって上記下流側のガス管路を開くと同時に上流側のガス管路を閉じるとともに上記エア供給手段から圧縮エアを上記計量室内に供給して計量室内のガス燃料を燃焼室に供給する構成であるから、上記下流側のガス管路が開くと、エア供給手段から圧縮エアが上記計量室内に供給されるので、圧縮エアのエア圧が加わって計量室内のガス燃料は勢いよく燃焼室内に噴出される。したがって、燃焼室へのガス燃料を安定して確実に供給することができる。

請求項２に係る発明によれば、エア供給手段は燃焼室に通じる下流側のガス管路の中途部に接続する構成であるから、計量室内のガス燃料はガス管路をエア供給手段が接続した部分までは気化圧によって送られる。その後、所定量のガス燃料が送りだされた後、バルブ本体がガス管路を閉じると、エア供給手段が作動して圧縮エアがエア管路に送られる。したがって、燃焼室へのガス燃料を安定して確実に供給することができる。

請求項３に係る発明によれば、エア供給手段は、打込み工具本体の先端を被打ち込み材に押し付けることにより押し込まれて相対的に移動するコンタクト部材と連動してエアを供給する構成であるから、電気的手段によらずに自動的にエア供給手段を作動させることができる。

以下に本発明に係るガス燃焼式打込み工具を釘打ち機について説明する。

図１及び図２において符号１はガス燃焼式打ち込み工具（釘打機）の工具本体を示す。この工具本体１にはグリップ１ａとマガジン１ｂとが連接されているとともに、内部には燃焼室２と打撃ピストン・シリンダ機構が設けられている。工具本体１の下方には釘を打ち出すノーズ部３が設けられている。

打撃ピストン・シリンダ機構は、打撃シリンダ４内に打撃ピストン５を摺動自在に収容するとともに、打撃ピストン５の下方にドライバ６を一体的に結合させたものである。

シリンダヘッド部８には点火プラグ１２と回転ファン１３が設けられている。点火プラグ１２は燃焼室２内のガス燃料と空気との混合ガスに点火して燃焼させるためのものであり、また回転ファン１３は、上記ガス燃料と空気とを撹拌混合するためのものであり、可動スリーブ１５の中央に配置されている。１４は回転ファン１３の駆動用モータである。

また、工具本体１には、上記打撃シリンダ４の後方にはガス缶７の収納部１０が形成され、該収納部１０にはガス燃料が充填されたガス缶７が収納保持されている。そして、シリンダヘッド部８にはガス缶７と燃焼室２とを接続するガス燃料のガス管路１１が開口している。上記ガス缶７は、前述のように液化ガス燃料の入った内側の容器と内側容器の内圧よりも２、３気圧高いプロペラントガスが充填された外側の容器との２重構造になっており、プロペラントガスのガス圧により内側の容器を圧迫してガス燃料を噴出させるようにしている。

さらに、打撃シリンダ４の外側上部には燃焼室２を構成する可動スリーブ１５が配置されている。可動スリーブ１５は円筒状に形成され、打撃シリンダ４と上部ハウジング７の内部に形成されたシリンダヘッド部８との間に上下方向に摺動可能に配置されている。そして、図１のように下動したときは可動スリーブ１５の内部に構成された燃焼室２は開放され、図２のように上動したときは、可動スリーブ１５の内部には密閉した燃焼室２が形成されるようになっている。

可動スリーブ１５は筒状の部材で、打撃シリンダ４よりも大径に形成され、その下端は上記打撃シリンダ４の上部開口端よりも下方に延出されている。可動スリーブ１５は図示しないリンク部材を介してノーズ部３の先端に摺動自在に設けられたコンタクト部材１６に連結している。コンタクト部材１６はノーズ部３の先端から突出するようにバネ付勢されている。したがって、ノーズ部３を被打ち込み材に押し付けると、コンタクト部材１６は押し込まれて上動するので、リンク部材を介して可動スリーブ１５も上動し、図２のように密閉した燃焼室２が構成される。逆に、ノーズ部３を被打ち込み材から離すと、コンタクト部材１６は元の位置に移動するので、可動スリーブ１５も下方に移動し、燃焼室２が開放されるのである。

次に、上記構成の釘打機の作動態様について説明する。まず釘の打ち込みに当たり、ノーズ部３を下方の被打ち込み材に強く押しつけて工具本体１に対して相対的に上動させると、これに連動してコンタクト部材１６とともに可動スリーブ１５が上方に移動し、図２に示されるように、シリンダヘッド部８に設けられた上部Ｏリング１７と打撃シリンダ４の上端外周に設けられた下部Ｏリング１８によって密閉した燃焼室２が形成される。この燃焼室２内にガス缶路１１からガス燃料を噴射し、モータ１４により回転ファン１３を回転させて可燃性ガスと空気とを撹拌混合した後、トリガ２０を引いて点火プラグ１２で点火して爆発的に燃焼させる。これにより、打撃ピストン５が駆動され、ノーズ部３内に供給された釘が打ち出される。

これに対し、打ち込み終了後に、打撃ピストン５が復帰し、さらに上記コンタクトアームを被打ち込み材から離反させることにより、図１に示されるように可動スリーブ１５を下方に移動させ、上記上部Ｏリング１７と下部Ｏリング１８によるシールが解除されて燃焼室２が開放され、上部の開口溝２１からは新鮮な空気が入り込み、次の打ち込みが準備される。

ところで、図３に詳しく示されるように、ガス缶７と燃焼室２との間のガス管路１１の中途部には燃料供給バルブ１９が配置されている。燃料供給バルブ１９には計量室２２が設けられ、計量室２２には電磁バルブ２３が設けられている。すなわち、計量室２２の中央部にはバルブ本体２４を配置し、このバルブ本体２４を弾力性のある金属製支持板２５によってガス管路１１の計量室２２より下流側の開口端を閉じるように保持するとともに、上記ガス管路１１の計量室２２より上流側のガス管路１１ａは鉄芯２７で形成され、鉄芯２７の周囲にはコイル２９が巻き回されている。なお、支持板２５には貫通孔３０が形成されている。これにより、コイル２９に電流を流すと、図４に示されるように、支持板２５が引き付けられるからバルブ本体２４が計量室２２より下流側のガス管路１１ｂの開口端を開放し、計量室２２内のガス燃料が気化圧によりガス缶７から燃焼室２内に噴出される。バルブ本体２４は鉄芯２７のガス管路１１ａの開口端を遮断しない位置で止まり、ガス管路１１の上流側と下流側とを開放して連通するように構成されている。２８はフィルタである。

なお、釘打込み作動させるにあたり、工具本体１を被打ち込み材に押し付けてコンタクト部材１６が工具本体１内に押し込まれると、これに連動してコイル２９に通電されるようになっている。

したがって、釘打込み作動させるときに、コイル２９に通電してバルブ本体２４が開き作動させると、計量室２２内のガス燃料だけでなく上流側のガス管路１１ａ内のガス燃料も支持板２５の貫通孔３０を通って噴出されるから、下流側のガス管路１１ｂが開いている間はガス缶７内のガス燃料の噴射圧により計量室２２内のガス燃料は勢いよく燃焼室２内に噴出される。

このときのガス燃料の計量は、バルブ本体２４の開放時間によって定める。一定の時間にガス管路１１ｂを流れるガス燃料の流量は決まっているから、バルブ本体２４の開放時間を調整することにより、燃焼室２に噴射されるガス燃料の量を制御することができる。

なお、気温が低いときはガス燃料の流量が低下するが、この場合は、バルブ本体２４の開放時間を機械的又は電気的に調整できるようにすればよい。例えば、開放時間を調整レバー（図示せず）で調整できるようにしておき、気温が低くて打込み力が不足し、釘の打込み深さが十分でないときは、調整レバーによって開放時間を長くすればよい。電気的に制御するときは、気温と流量との関係を予めテーブルに持たせておき、実際の外気温に対応してコイル２９の通電時間を制御するように構成すればよい。

次に、図５はガス燃料供給バルブに関する別の実施形態で、ガス管路１１ａ、１１ｂと計量室２２と鉄芯２７とコイル２９の構成は前述の形態と同じ構成であるが、コイル２９の通電を解除したとき、バルブ本体２４を保持する金属製の支持板２５は、上流側のガス管路１１ａの開口端３２から離れて開放すると同時に鉄芯２７の下流側のガス管路１１ｂの開口端３１を遮断するように構成されている。

また、計量室２２はエア管路３３を介してエアプランジャ（エア供給手段）３４に接続している。エアプランジャ３４は開閉弁３５を備えたシリンジ３６の内部にプランジャ３７を摺動可能に設け、プランジャ３７を前進移動させると、シリンジ３６内のエアが圧縮されてエア管路３３を通って計量室２２に圧送され、プランジャ３７を後退移動させると、開閉弁３５が開いてシリンジ３６内にエアが入り込むように構成されている。プランジャ３７は工具本体１を被打ち込み材に向けて下方に押し付けることによりコンタクト部材１６が相対的に上方に移動して工具本体１内に押し込まれたときに、この動作と連動して機械的又は電気的に作動するようになっている。

機械的に作動させるときは、例えば上記プランジャ３７の端部を図１のコンタクト部材１６と一体的に上下方向に作動する作動部材（図示せず）の上端に連結させ、釘の打込みにあたり工具本体１を被打ち込み材に向けて下方に押し付けることによりコンタクト部材１６とともに作動部材が相対的に上方に移動したときに、これと連動してプランジャ３７を上動させてシリンジ３６内に押し込んで内部のエアを圧送し、釘打込み後にコンタクト部材１６とともに作動部材が下方に移動したときに、これと連動してプランジャ３７を下方に引き出すとともにシリンジ３６内部にエアを取り込み、次のエアの圧送を準備するように構成すればよい。

電気的に作動させるには、ソレノイドまたはモータを利用してプランジャを上下動すればよい。

なお、電磁バルブ２３はエア管路３３の開口端も開閉するように形成されている。

コイル２９の通電タイミングは、釘打込み作動させるにあたり、工具本体１を被打ち込み材に押し付けてコンタクト部材１６が工具本体１内に押し込まれたときである。

したがって、釘打込み作動させるときに、コイル２９に通電してバルブ本体２４を作動させると、図６に示されるように、上記下流側のガス管路１１ｂとエア管路３３が開き、上流側のガス管路１１ａが閉じる。計量室２２内のガス燃料は気化圧によって下流側のガス管路１１ｂを通じて燃焼室２内に送り出される。同時に、エアプランジャ３４が作動してシリンジ３６内のエアが圧縮されてエア管路３３を通って計量室２２に圧送される。このため、計量室２２内のガス燃料にはエア圧が加わるから、計量室２２内のガス燃料は勢いよく燃焼室２内に噴出される。したがって、燃焼室２へのガス燃料を安定して確実に供給することができる。

次に、図７はガス燃料の供給に関するさらに別の実施形態で、ほとんどの構成は図５に示したものと同じであり、上記エアプランジャ３４を上記計量室２２に接続することに代え、上記燃焼室２に通じる下流側のガス管路１１ｂの中途部に接続されている点が異なる。

上記構成によれば、釘打込み作動させるときに、図８に示されるように、コイル２９に通電してバルブ本体２４を作動させると、上記下流側のガス管路１１ｂとエア管路３３ａが開き、上流側のガス管路１１ａが閉じる。計量室２２内のガス燃料は気化圧によって下流側のガス管路１１ｂを通じて燃焼室２内に送り出される。その後、所定量のガス燃料が送りだされた後、コイル２９の通電を解除すると図９に示されるようにバルブ本体２４が開口端３１を閉じると、エアプランジャ３４が作動してシリンジ３６内のエアが圧縮されてエア管路３３ａに送られる。エア管路３３ａは燃焼室２に通じる下流側のガス管路１１ｂの中途部に接続しているから、計量室２２内のガス燃料は下流側のガス管路１１ｂをエア管路３３ａが接続した部分までは気化圧によって送られ、それ以上はエアプランジャ３４からの圧縮エアのエア圧が加わって勢いよく燃焼室２内に噴出される。したがって、燃焼室２へのガス燃料を安定して確実に供給することができる。

本発明に係る実施形態のガス燃焼式釘打機の要部を示す縦断面図 燃焼室が密閉された状態を示す要部の縦断面図 燃料供給バルブの計量室と電磁バルブを示す断面図 上記電磁バルブの作動態様説明図 燃料供給バルブの他の実施形態の断面図 上記燃料供給バルブの作動態様説明図 燃料供給バルブのさらに他の実施形態の断面図 上記燃料供給バルブの燃料供給の前半の作動態様説明図 上記燃料供給バルブの燃料供給の後半の作動態様説明図

２ 燃焼室
７ ガス缶
１１ ガス管路
２２ 計量室
２３ 電磁バルブ

Claims (3)

1. 燃焼室にガス燃料を供給して空気と攪拌混合した混合ガスに点火し、この燃焼圧により打撃機構を駆動してファスナーを打出すガス燃焼式打込み工具において、
   ガス缶と燃焼室との間のガス管路の中途部に計量室を設け、該計量室に上記ガス管路を開閉する電磁バルブを設けるとともに、上記計量室をエア供給手段に接続し、
   上記燃焼室内にガス燃料を供給するときは、上記電磁バルブによって上記下流側のガス管路を開くと同時に上流側のガス管路を閉じるとともに上記エア供給手段から圧縮エアを上記計量室内に供給して計量室内のガス燃料を燃焼室に供給することを特徴とするガス燃焼式打込み工具。
2. 上記エア供給手段を上記計量室に接続することに代え、上記燃焼室に通じる下流側のガス管路の中途部に接続したことを特徴とする、請求項１に記載のガス燃焼式打込み工具。
3. 上記エア供給手段は、打込み工具本体の先端を被打ち込み材に押し付けることにより押し込まれて相対的に移動するコンタクト部材と連動してエアを供給することを特徴とする、請求項１又は２記載のガス燃焼式打込み工具。

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