JP5066421B2 - 前頭連合野リハビリテーションプログラムおよび前頭連合野リハビリテーションシステム - Google Patents

前頭連合野リハビリテーションプログラムおよび前頭連合野リハビリテーションシステム Download PDF

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Description

本発明は、前頭連合野の機能を回復させるためのリハビリテーション技術に関し、特に、患者の興味や回復具合に合わせてカスタマイズしたリハビリテーションを実施するのに好適な前頭連合野リハビリテーションプログラムおよび前頭連合野リハビリテーションシステムに関するものである。
従来、認知症やアルツハイマー病等の脳疾患を有する患者に対してリハビリテーションを行うための技術が提案されている。例えば、特開2000−268118号公報には、リハビリサーバ装置に予め記憶されている訓練用アプリケーションおよびデータを構内通信回線を経由してリハビリ制御装置で受信し、当該アプリケーションおよびデータにより訓練を実行する痴呆リハビリシステムが開示されている(特許文献1)。
特開2000−268118号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載された発明を含め、従来のリハビリテーション技術においては、近年、人間の思考や判断を司る司令塔として注目されている前頭連合野の機能を回復させることに焦点を合わせたリハビリテーション内容にはなっていないという問題がある。
ここで、前頭連合野は、大脳皮質前頭葉の前部に位置する脳領域であって、人間のさまざまな認知機能の実行に不可欠な部位である。特に、目的とする行為に必要な情報を一時的に貯蔵し、それらの情報を処理するとともに、必要とする行為の実行に関わるという重要な機能(ワーキングメモリ機能)を備えている。つまり、前頭連合野は、頭の中の作業スペースともいえるワーキングメモリ機能と関連し、図7に示すように、思考・判断・意思決定、会話や文章の理解、暗算、および目的志向的行動の発現や制御に深く関与している部位である。人間は、このような前頭連合野の働きによって、思いつきや行き当たりばったりの行動ではなく、過去の経験や外界の様々な情報に基づいて、物事を適切に選択・判断し、不必要な行動を抑制しながら、目的とする行為をスムーズに実行できるとされている。
一方、脳卒中や交通事故による頭部損傷により、高次脳機能障害と総称される認知・情動面の深刻な問題が生じることがある。このような問題は、家庭生活や職場復帰に際して大きな障害になるが、この問題の多くは前頭連合野の損傷が原因であると考えられている。また、前頭連合野は、他の脳部位に比べて加齢に伴う機能低下傾向が著しいことから、近年の認知症の急増の要因は、高齢化により前頭連合野機能が著しく低下した人の増加にあると考えられている。
特に、加齢や脳障害による前頭連合野機能への影響としては、脳の作業スペースであるワーキングメモリに必要な情報を貯蔵できる時間が短くなり、「今、何していた?」という物忘れが生じたり、目的とする行為の実行に必要な事柄や手順がわからなくなるという計画性の低下、あるいは、単一の情報は処理できるが、複数の情報を同時に並行して処理できなくなる等の問題が挙げられる。従来、これらの問題に対する解決策として、メモやカレンダー、手帳の利用を促し記憶を補うといった外的手段の提供や、買物行動や調理動作といった実際の行動を通じたリハビリテーションが行われている。例えば、認知症患者に対して、手順の想起や必要なものの準備作業などを取り入れた調理活動を実施したところ、エピソードを思い出すことや発語が増加し、他者への関心や自信の回復などが得られたことが報告されている(横山:入院痴呆高齢者の調理活動における認知・行動評価と看護者の役割−アルツハイマー型痴呆と脳血管型痴呆の比較から−.看護総合科学研究会誌4:3-14,2001)
しかし、メモや手帳の利用といった外的手段の提供は、間接的な代償手段であり、前頭連合野の機能の回復を直接促すものではない。また、買物行動や調理動作といった実際の行動を通じたリハビリテーションも、その動作場面では改善が見られても、他の場面に汎化しにくいという大きな問題点がある。また、身体障害などにより料理や外出等が実際にできない患者に対しては実施できないという問題もある。さらに、リハビリテーションは、短時間でも毎日実施することが重要であるが、上記のリハビリテーションを日常的に実施することは困難である。
また、近年のさまざまな基礎研究により、ワーキングメモリ等の認知機能に関連した前頭連合野の神経活動は、動機付けが高いときや好きなものが報酬として与えられたときに強く生じること(Watanabe 1996, 2002 ; Kobayashi et al. 1998, 2006)や、与えられる課題が難しいときや簡単すぎるときではなく、各人にとって適切な難易度の場合に前頭連合野が最も強く活動すること(Callicott et al. 1999)が明らかにされている。
このような見地から、上記特許文献1に記載された発明のように、全ての患者に同じ問題を提供する場合、設問に対する興味や関心を全ての患者に同程度に喚起することが難しく、一様に前頭連合野が活性化していないおそれがある。また、同じ問題を繰り返し実施しても前頭連合野の効果的な活性化には繋がらない可能性が高い。つまり、最初は不慣れで試行錯誤するため前頭連合野を活性化することができたとしても、慣れて容易に実行できるようになると、前頭連合野ではなく、他の脳領域の活性化により実行している可能性がある。このため、前頭連合野の機能を効果的に、かつ継続的に活性化させることが可能なリハビリテーション技術の開発が切望されている。
また、上述したように、人間が一度に覚えられる情報量や覚えていられる時間は、加齢と共に減少する。そして、意識的な注意を向けずに触れた情報は、非常に忘れ易いことが知られている。その一方で、人間は、興味・関心のある情報や印象の強かった出来事は、記憶に残り易いことを生活の中でしばしば経験する。
しかしながら、従来の記憶機能に対するリハビリテーションでは、「課題を忘れずに覚えておく」ことを訓練する際、覚えておく時間間隔を増減する方法(間隔伸張法)が用いられている。この方法では、覚えるべき内容は、検者側で予め設定するため、その内容が単調かつ退屈なものになり易く、患者の意欲や内的動機付けといった情動機能を喚起させ難い。このため、結果的に記憶機能の向上や機能の定着に結びつかないことが多い。特に、意欲の低下が著しい患者に対しては、記憶時間間隔をいくら短く設定してもリハビリテーションの遂行が困難であるという問題がある。
また、前頭連合野の機能障害に関しては、「必要な情報を一定時間保持し続けられない」「保持できる情報の数が少なくなる」「頭の中での情報の操作・処理(暗算など)が困難になる」「並列情報の処理が困難になる」等の各種の症状が知られている。ただし、前頭連合野の機能に障害を有する患者全員が、これら全ての症状を呈するわけではなく、患者個々人によって呈する症状のタイプは様々である。従って、個々の患者が呈する症状のタイプに合わせてリハビリテーションのやり方や重点の置き方を変えるべきである。
しかしながら、上述した買物行動や紙上訓練等による従来のリハビリテーションでは、各患者の症状やタイプに合わせて課題の難易度を細かく設定し、患者に対応することは困難である。したがって、例えば「カレーの材料を買う」という買物訓練において、「カレーの材料」という基本情報を買い物行動を行っている間保持できない患者にとっては、途中で何を買ったらいいのかわからなくなる。このため、同行者が介助することになったり、メモなどを利用することを優先してしまい、直接的に前頭連合野を活性化させ、前頭連合野機能を活用するリハビリ行為(「目的に必要なものを考え、選ぶ」「暗算を行う」等)には至らないことが多い。よって、患者の症状やタイプに合わせた適切なリハビリテーションがなされていないのが現実である。
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、身体的な疾患を有する患者であっても自宅や病院のベッドサイドで簡単に一人で利用でき、前頭連合野の活性化や前頭連合野機能の活用と患者の興味や関心といった情動機能との相互作用を意図的に取り入れてリハビリ効果を向上させるとともに、前頭連合野の機能の向上や回復に必要な要素を組み合わせた課題を患者の症状、能力および興味に合わせてカスタマイズして前頭連合野に効果的に作用させることができる前頭連合野リハビリテーションプログラムおよび前頭連合野リハビリテーションシステムを提供することを目的としている。
本発明に係る前頭連合野リハビリテーションプログラムの特徴は、前頭連合野の機能回復のリハビリに使用するための各種の目的別カテゴリー毎に設定されたリハビリ用課題に応じて、関連するキーワードと、リハビリ用課題文と、このリハビリ用課題文に解答するために必要な計算の難易度と、前記リハビリ用課題文に解答するための解答用選択肢と、前記リハビリ用課題文に対する解答の適否を判定するための判定用選択肢と、前記計算の正答とをそれぞれ記憶しているリハビリ用課題データ記憶部と、前記リハビリ用課題や前記解答用選択肢を選択するための入力手段と、前記リハビリ用課題文や前記解答用選択肢を表示する表示手段とを有するコンピュータを、前記リハビリ用課題を選出するにあたって前記入力手段から入力される、前記キーワード、前記計算の難易度、および前記表示手段において前記リハビリ用課題文の表示が消えてから前記解答用選択肢が表示されるまでの時間間隔である表示遅延時間をそれぞれ含む各選出項目を取得するリハビリ用課題データ取得部と、前記リハビリ用課題データ取得部によって取得された各選出項目に基づいて前記リハビリ用課題データ記憶部から好適なリハビリ用課題を選出するリハビリ用課題選出部と、前記リハビリ用課題選出部が選出したリハビリ用課題の課題文を前記表示手段に表示させるリハビリ用課題文表示部と、前記リハビリ用課題文の表示を消した後に経過する時間を測定し、前記表示遅延時間が経過したか否かを判定する表示遅延時間判定部と、この表示遅延時間判定部が前記表示遅延時間が経過したと判定したとき、前記解答用選択肢を前記表示手段に表示させる選択肢表示部と、この選択肢表示部が表示した解答用選択肢のうち、患者が前記入力手段によって選択した解答を取得する解答取得部と、前記リハビリ用課題データ記憶部に記憶された前記判定用選択肢に基づいて、前記解答取得部が取得した解答の適否を判定する正誤判定部と、この正誤判定部が判定した結果を前記表示手段に表示させる判定結果表示部として機能させる点にある。
また、本発明において、前記リハビリ用課題データ記憶部は、リハビリ用課題を構成するリハビリ用課題文の数を記憶しており、前記入力手段は、前記リハビリ用課題文の数を入力可能に構成されており、前記リハビリ用課題データ取得部が、前記入力手段から入力された前記リハビリ用課題文の数を取得すると、前記リハビリ用課題選出部が、そのリハビリ用課題文の数を有するリハビリ用課題を選出し、前記リハビリ用課題文表示部が、当該選出されたリハビリ用課題に含まれるリハビリ用課題文を前記表示手段に表示させるとともに、前記リハビリ用課題文が複数存在する場合には、前記表示遅延時間判定部によって前記表示遅延時間が経過したと判定されたとき、次のリハビリ用課題文を前記表示手段に表示することが好ましい。
さらに、本発明において、リハビリを受ける各患者の患者識別データを記憶しているとともに、この患者識別データに対応付けて過去に行ったリハビリ用課題およびその解答に対する判定結果の履歴を記憶する患者リハビリ履歴記憶部を有するコンピュータを、入力手段によって入力された前記患者識別データを取得する患者識別データ取得部と、この患者識別データ取得部が取得した患者識別データに基づいて前記患者リハビリ履歴記憶部から該当する履歴を読み出して、リハビリ用課題の難易度およびその判定結果の正答率を基準として当該患者に好適な選出項目を自動的に検索する選出項目自動検索部として機能させるとともに、前記リハビリ用課題選出部は、前記選出項目自動検索部が検索した選出項目に基づいて、前記リハビリ用課題データ記憶部から好適なリハビリ用課題を選出することが好ましい。
また、本発明において、前記判定結果表示部による判定結果の表示前に、前記リハビリ用課題の内容を改めて患者に想起させる想起画面を前記表示手段に表示させる想起画面表示部と、前記想起画面に従って患者が前記入力手段によって入力した想起情報を取得する想起情報取得部としてコンピュータを機能させ、前記正誤判定部は、前記リハビリ用課題選出部により選出されたリハビリ用課題のリハビリ用課題文や、前記解答取得部により取得された解答に基づいて、前記想起情報の正誤を判定することが好ましい。
また、本発明に係る前頭連合野リハビリテーションシステムの特徴は、前頭連合野の機能回復のリハビリに使用するための各種の目的別カテゴリー毎に設定されたリハビリ用課題に応じて、関連するキーワードと、リハビリ用課題文と、このリハビリ用課題文に解答するために必要な計算の難易度と、前記リハビリ用課題文に解答するための解答用選択肢と、前記リハビリ用課題文に対する解答の適否を判定するための判定用選択肢と、前記計算の正答とをそれぞれ記憶しているリハビリ用課題データ記憶部と、前記リハビリ用課題や前記解答用選択肢を選択するための入力手段と、前記リハビリ用課題文や前記解答用選択肢を表示する表示手段と、前記リハビリ用課題を選出するにあたって前記入力手段から入力される、前記キーワード、前記計算の難易度、および前記表示手段において前記リハビリ用課題文の表示が消えてから前記解答用選択肢が表示されるまでの時間間隔である表示遅延時間をそれぞれ含む各選出項目を取得するリハビリ用課題データ取得部と、前記リハビリ用課題データ取得部によって取得された各選出項目に基づいて前記リハビリ用課題データ記憶部から好適なリハビリ用課題を選出するリハビリ用課題選出部と、前記リハビリ用課題選出部が選出したリハビリ用課題の課題文を前記表示手段に表示させるリハビリ用課題文表示部と、前記リハビリ用課題文の表示を消した後に経過する時間を測定し、前記表示遅延時間が経過したか否かを判定する表示遅延時間判定部と、この表示遅延時間判定部が前記表示遅延時間が経過したと判定したとき、前記解答用選択肢を前記表示手段に表示させる選択肢表示部と、この選択肢表示部が表示した解答用選択肢のうち、患者が前記入力手段によって選択した解答を取得する解答取得部と、前記リハビリ用課題データ記憶部に記憶された前記判定用選択肢に基づいて、前記解答取得部が取得した解答の適否を判定する正誤判定部と、この正誤判定部が判定した結果を前記表示手段に表示させる判定結果表示部とを有している点にある。
また、本発明において、前記リハビリ用課題データ記憶部は、リハビリ用課題を構成するリハビリ用課題文の数を記憶しており、前記入力手段は、前記リハビリ用課題文の数を入力可能に構成されており、前記リハビリ用課題データ取得部が、前記入力手段から入力された前記リハビリ用課題文の数を取得すると、前記リハビリ用課題選出部が、そのリハビリ用課題文の数を有するリハビリ用課題を選出し、前記リハビリ用課題文表示部が、当該選出されたリハビリ用課題に含まれるリハビリ用課題文を前記表示手段に表示させるとともに、前記リハビリ用課題文が複数存在する場合には、前記表示遅延時間判定部によって前記表示遅延時間が経過したと判定されたとき、次のリハビリ用課題文を前記表示手段に表示することが好ましい。
さらに、本発明において、リハビリを受ける各患者の患者識別データを記憶しているとともに、この患者識別データに対応付けて過去に行ったリハビリ用課題およびその解答に対する判定結果の履歴を記憶する患者リハビリ履歴記憶部と、入力手段によって入力された前記患者識別データを取得する患者識別データ取得部と、この患者識別データ取得部が取得した患者識別データに基づいて前記患者リハビリ履歴記憶部から該当する履歴を読み出して、リハビリ用課題の難易度およびその判定結果の正答率を基準として当該患者に好適な選出項目を自動的に検索する選出項目自動検索部とを有し、前記リハビリ用課題選出部は、前記選出項目自動検索部が検索した選出項目に基づいて、前記リハビリ用課題データ記憶部から好適なリハビリ用課題を選出することが好ましい。
また、本発明において、前記判定結果表示部による判定結果の表示前に、前記リハビリ用課題の内容を改めて患者に想起させる想起画面を前記表示手段に表示させる想起画面表示部と、前記想起画面に従って患者が前記入力手段によって入力した想起情報を取得する想起情報取得部とを有し、前記正誤判定部は、前記リハビリ用課題選出部により選出されたリハビリ用課題のリハビリ用課題文や、前記解答取得部により取得された解答に基づいて、前記想起情報の正誤を判定することが好ましい。
本発明によれば、身体的な疾患を有する患者であっても自宅や病院のベッドサイドで簡単に一人で利用でき、前頭連合野の活性化や前頭連合野機能の活用と患者の興味や関心といった情動機能との相互作用を意図的に取り入れてリハビリ効果を向上させるとともに、前頭連合野の機能の向上や回復に必要な要素を組み合わせた課題を患者の症状、能力および興味に合わせてカスタマイズして前頭連合野に効果的に作用させることができる。
以下、本発明に係る前頭連合野リハビリテーションプログラムおよび前頭連合野リハビリテーションシステムの実施形態について図面を用いて説明する。
本発明者らは、上述した課題を解決するために鋭意研究し、下記の(1)〜(4)の特徴を備えたリハビリテーションが、上述した課題の解決に効果的であることを見出した。
(1)実生活に密着した内容の問題を使用すること。
(2)ワーキングメモリ、目的志向性、情報の保持・操作等のように、前頭連合野と密接に関係する機能要素を備えること。
(3)患者の能力や興味に合わせて、目的、金額、選択肢などの内容や難易度を調整できる汎用性を持つこと。
(4)前頭連合野のワーキングメモリ機能(情報の保持・暗算)と、患者の情動機能(興味・関心)とを組み合わせて相互作用させることができること。
ただし、リハビリテーションに使用する問題の内容を患者の能力や興味・関心に合わせて無制限に変更可能にした場合、下記の(a)〜(d)の問題点がある。
(a)個々の患者の前頭連合野の機能レベルに最適な問題の選定が困難となる。
(b)課題を作成した者以外は課題の意図や内容が分からず、最適な問題の選定ができない。つまり、課題を作成した人は、課題の内容を把握しているため、患者に適した問題を容易に選定できるが、作成者以外の者が選定しようとすると、なかなか好適な問題を見つけ難い。
(c)選択できる問題数が膨大になるため、問題の管理が困難となる。
(d)患者が一人で実施できない。
以上より、本発明に係る前頭連合野リハビリテーションプログラムおよび前頭連合野リハビリテーションシステムは、上記(1)〜(4)の特徴を備え、かつ、上記(a)〜(d)の問題点を解消したリハビリテーション技術として発明されたものである。
図1は、本発明の前頭連合野リハビリテーションプログラム1aを搭載した前頭連合野リハビリテーションシステム1の全体構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態の前頭連合野リハビリテーションシステム1は、主として、キーボードやマウス等からなる入力手段2と、液晶ディスプレイ等からなる表示手段3と、本実施形態の前頭連合野リハビリテーションプログラム1aや各種のデータ等を記憶する記憶手段4と、これら各構成手段を制御するとともに各種のデータを取得して演算処理を実行する演算処理手段5とから構成されている。
なお、本実施形態では、入力手段2と表示手段3とを別個に設けているが、この構成に限られるものではなく、タッチパネルのように入力手段2と表示手段3の両方の機能を兼ね備えた入力・表示手段を設けてもよい。
記憶手段4は、ハードディスクやRAM(Random Access Memory)等から構成されており、図1に示すように、プログラム記憶部41と、リハビリ用課題データ記憶部42と、患者リハビリ履歴記憶部43とを有している。
以下、記憶手段4の各構成部についてより詳細に説明する。プログラム記憶部41には、本実施形態の前頭連合野リハビリテーションプログラム1aがインストールされている。そして、演算処理手段5によって実行されることにより、本実施形態の前頭連合野リハビリテーション方法を実現するようになっている。
リハビリ用課題データ記憶部42は、前頭連合野の機能回復のリハビリテーションに使用するためのリハビリ用課題を記憶するものである。リハビリ用課題は、日常生活に密接した実践的内容から構成されており、特定の目的を達成するという目的志向性を有している。また、本実施形態において、リハビリ用課題データ記憶部42には、図2に示すように、各種の目的別カテゴリー毎に設定されたリハビリ用課題に応じて、関連するキーワードと、リハビリ用課題文と、このリハビリ用課題文に解答するために必要な計算の難易度と、リハビリ用課題文に解答するための解答用選択肢と、リハビリ用課題文に対する解答の適否を判定するための判定用選択肢と、前記計算の正答と、リハビリ用課題を構成するリハビリ用課題文の数とが記憶されている。
具体的には、キーワードは、各リハビリ用課題を検索する際の索引となる語である。キーワードとしては、例えば、「日常生活動作」「お茶」「花」「家族」等のように、各リハビリ用課題の内容に関連するキーワードが登録されている。また、1つのリハビリ用課題に対しては、複数のキーワードが登録できるようになっている。
リハビリ用課題は、「お茶を入れるのに必要なもの」や「母への花束を買う」というように、患者の興味や関心を喚起しやすい「目的」を示すリハビリ用課題文を有している。また、複数のリハビリ用課題文からなるリハビリ用課題では、上記のような「目的」を示すリハビリ用課題文の他、例えば、「予算○○円」のような追加のリハビリ用課題文が登録されている。さらに、便宜上、これらのリハビリ用課題に対する正解枝および誤答枝からなる複数の解答用選択肢が登録されている。
また、リハビリ用課題文の数は、上記のようにリハビリ用課題として患者に提示するリハビリ用課題文の数を定めるものであって、後述するように記憶領域に情報を保持する能力等の訓練に必要な難易度の調整に使われる。このリハビリ用課題文数が「1」のリハビリ用課題は、上記のような「目的」を示すリハビリ用課題文のみから構成される。また、リハビリ用課題文数が「2」のリハビリ用課題は、上記「目的」のリハビリ用課題文に加えて、追加のリハビリ用課題文が登録されている。
計算の難易度は、図4に示すように、例えば、計算を必要としない「計算無し」、100円単位の計算が必要となる「100円単位」、50円単位の計算が必要となる「50円単位」、掛け算が必要となる「掛け算込み」等のように、患者の能力に合わせて段階的にレベルが設定されている。そして、リハビリ用課題には、その難易度に応じた計算問題が含まれるようになっている。
判定用選択肢には、各リハビリ用課題に対する解答のうち、「なくてはならないもの」や「あってはおかしいもの」が登録されている。なぜなら、本実施形態のリハビリテーションは、一つの正解に定めることが目的ではなく、一定の制限の中で自由に発想してもらうことに主眼を置いているからである。また、本実施形態のようなリハビリ用課題に対しては、個人の嗜好や状況に応じて様々な解答が正解となり得るため、正解例を予め登録しておくことは難しいからである。
一方、本実施形態のリハビリテーションにおいて患者に気付いて欲しいのは、「必ず必要なもの(例えば、カレー料理であればカレー粉等)」や「明らかにおかしいもの(例えば、カレー料理であれば豆腐等)」である。したがって、これらを登録しておくことで、後述するように「なくてはならないもの」が入っていなかったときや、「あってはおかしいもの」が入っていたときに、その結果を患者へフィードバックするようになっている。
また、本実施形態において、リハビリ用課題に含まれる計算は、所定の予算内で買い物をさせる形式を採用している。したがって、計算に対する正答としては、患者の選択した品物の合計金額が、当該予算に合致したときだけを正解としてもよく、当該予算に対して所定の金額範囲内である場合に正解とする等、適宜設定してよい。
患者リハビリ履歴記憶部43は、患者が過去に実施したリハビリの履歴を記憶するものである。本実施形態において、患者リハビリ履歴記憶部43は、リハビリを受ける各患者の患者識別データに対応付けて、当該患者が過去に行ったリハビリ用課題と、その解答に対する判定結果、および後述する想起情報の判定結果の履歴が記録されている。したがって、この履歴を参照することで、過去に実施したリハビリ用課題のリハビリ用課題文数、難易度、キーワードおよび正答率等を取得できるようになっている。
つぎに、演算処理手段5は、CPU(Central Processing Unit)等から構成されており、プログラム記憶部41にインストールされた前頭連合野リハビリテーションプログラム1aを実行させることにより、図1に示すように、患者識別データ取得部51と、リハビリ用課題データ取得部52と、選出項目自動検索部53と、リハビリ用課題選出部54と、リハビリ用課題文表示部55と、表示遅延時間判定部56と、選択肢表示部57と、解答取得部58と、想起画面表示部59と、想起情報取得部60と、正誤判定部61と、判定結果表示部62と、判定結果記録部63としてコンピュータを機能させるものである。
以下、演算処理手段5の各構成部についてより詳細に説明する。
患者識別データ取得部51は、患者が入力手段2によって入力した患者識別データを取得するものである。なお、患者識別データとしては、各患者を個別に識別しうるものであれば、患者の名前やニックネーム、あるいはID番号等を用いることができる。
リハビリ用課題データ取得部52は、患者に最適なリハビリ用課題を選出するにあたって入力された各種の選出項目を取得するものである。選出項目はリハビリの目的に応じて増減させてよいが、本実施形態における選出項目は、前頭連合野の機能に直結するパラメータとして、上述したキーワード、計算の難易度、リハビリ用課題文数に加え、表示手段においてリハビリ用課題文の表示が消えてから、次のリハビリ用課題文あるいは解答用選択肢が表示されるまでの表示遅延時間によって構成されている。そして、リハビリ用課題データ取得部52は、患者が入力手段2によって入力した各選出項目を取得するようになっている。
なお、リハビリ用課題文数は、前頭連合野における複数情報の保持能力や処理能力、あるいは並列情報の処理能力に関わるパラメータである。計算の難易度は、前頭連合野の活動量に影響を与えるパラメータである。キーワードは、前頭連合野の活動量に影響を与える患者の興味や関心を示すパラメータである。そして、表示遅延時間は、前頭連合野が、必要な情報を一時的に保持できる時間を示すパラメータである。
選出項目自動検索部53は、患者に最適な選出項目を自動的に検索するものである。本実施形態では、オプション的機能として選出項目自動検索部53を備えている。この選出項目自動検索部53は、患者識別データ取得部51が取得した患者識別データに基づき、当該患者識別データに対応付けられた履歴を患者リハビリ履歴記憶部43から参照する。そして、当該患者識別データに対応する患者に最適な選出項目を自動的に検索するようになっている。
具体的には、選出項目自動検索部53は、患者が過去に実施した全てのリハビリ用課題を履歴から参照し、各選出項目(リハビリ用課題文数、難易度、キーワード、表示遅延時間)の組合せごとに正答率の分布を算出する。そして、正答率が高過ぎず、かつ、低過ぎない選出項目の組合せを当該患者に最適な選出項目として自動的に選択するようになっている。これにより、当該患者にとって難しすぎず、かつ、易しすぎない課題が抽出される。
また、本実施形態では、特にキーワードの選出に関し、選出項目自動検索部53が、正答率の高いキーワードを自動検索する好適モードに加えて、ランダムにキーワードを自動選択するランダムモードを有している。好適モードに設定される場合、正答率の高いキーワードに関連する課題は、患者の興味や好奇心に適当な課題であると考えられるため、これを優先的に提供する便宜を図ることが可能である。
一方、前記ランダムモードに設定されている場合、選出項目自動検索部53は、正答率の高いキーワードに加えて、患者の履歴とは無関係に乱数を発生させて、リハビリ用課題データ記憶部42に格納されている全キーワードの中からランダムに選択したキーワードを含めるようにする。これによって、好適モードだけでは好みのキーワードが固定されてマンネリ化してしまうのを防止し、常に新鮮な状況の下で興味や関心を持続させられる。このように、2つの検索モードを適宜設定可能とすることで、患者の興味や関心に重点を置きながら、飽きを防止し、患者の秘めている可能性を引き出すことができる。なお、ランダムモードでは、正答率を一切考慮することなく、キーワードを完全にランダムに選択するモードを設定してもよい。
リハビリ用課題選出部54は、複数のリハビリ用課題の中から患者に好適なリハビリ用課題を選出するものである。本実施形態において、リハビリ用課題選出部54は、リハビリ用課題データ取得部52または選出項目自動検索部53によって取得された各選出項目(リハビリ用課題文数、計算の難易度、キーワードおよび表示遅延時間)に基づいて、リハビリ用課題データ記憶部42に記憶されているリハビリ用課題を検索し、好適なリハビリ用課題を選出するようになっている。なお、リハビリ用課題選出部54が選出する課題数は、1問であってもよいし、複数問であってもよい。
また、本実施形態において、計算を含むリハビリ用課題は、その数値部分がブランクな状態でリハビリ用課題データ記憶部42に記憶されている。したがって、リハビリ用課題選出部54は、計算を含むリハビリ用課題を選出する際、乱数を発生させランダムな数値を当てはめて選出するようになっている。これにより、同じリハビリ用課題が繰り返し出題される確立が低下する。
リハビリ用課題文表示部55は、リハビリ用課題文を表示手段3に表示させるものである。具体的には、リハビリ用課題文表示部55は、リハビリ用課題選出部54が選出したリハビリ用課題を構成するリハビリ用課題文を表示させるための表示用データを取得し、所定時間だけ表示手段3に表示させる。また、複数のリハビリ用課題文からなるリハビリ用課題の場合、表示遅延時間判定部56からの出力信号に基づいて、各リハビリ用課題文を順次、表示させるようになっている。なお、リハビリ用課題文を表示させる時間は、患者がリハビリ用課題文の内容を理解できるのに十分な時間に設定することが好ましい。
表示遅延時間判定部56は、上述した表示遅延時間が経過したか否かを判定するものである。具体的には、リハビリ用課題文表示部55が最初のリハビリ用課題文の表示を消した後に経過する時間を測定し、リハビリ用課題データ取得部52によって取得された表示遅延時間が経過するまで待機する。そして、リハビリ用課題文が複数存在する場合には、当該表示遅延時間が経過したとき、次のリハビリ用課題文を表示させるための命令信号をリハビリ用課題文表示部55に出力する。また、全てのリハビリ用課題文が表示された後は、当該表示遅延時間が経過したとき、解答用選択肢を表示させるための命令信号を選択肢表示部57に出力するようになっている。
選択肢表示部57は、リハビリ用課題を構成する解答用選択肢を表示手段3に表示させるものである。具体的には、選択肢表示部57は、表示遅延時間判定部56からの出力信号に基づいて、リハビリ用課題選出部54が選出したリハビリ用課題を構成する解答用選択肢を表示させるための表示用データを取得し、解答用選択肢を表示手段3に表示させる。そして、患者が解答用選択肢のいずれかを解答として選択するまで、表示させるようになっている。
解答取得部58は、患者が入力手段2によって選択した解答を取得するものである。具体的には、解答取得部58は、選択肢表示部57が表示した解答用選択肢のうち、患者が入力手段2によって選択した解答用選択肢に関するデータを取得するようになっている。なお、複数の解答用選択肢を解答として選択可能なリハビリ用課題の場合、解答取得部58は、複数の解答用選択肢データを取得する。
想起画面表示部59は、リハビリ用課題の内容を改めて患者に想起させる想起画面を表示手段3に表示させるものである。具体的には、想起画面表示部59は、判定結果表示部62による判定結果が表示される前に、リハビリ用課題選出部54により選出されたリハビリ用課題に基づいて、図5に示すように、出題されたリハビリ用課題文(目的や予算)を想起させる画面を表示する。また、リハビリ用課題に計算が含まれる場合、想起画面表示部59は、その合計金額を想起させる項目を表示するようになっている。
想起情報取得部60は、患者が入力手段2によって入力した想起情報を取得するものである。具体的には、想起情報取得部60は、想起画面表示部59が表示した想起画面に従って、患者が入力手段2によって入力した想起情報に関するデータ(目的、予算、合計金額)を取得するようになっている。なお、本実施形態では、オプション的機能として想起画面表示部59および想起情報取得部60を備えている。
正誤判定部61は、患者の解答の適否を判定するものである。具体的には、正誤判定部61は、解答取得部58によって取得された解答と、リハビリ用課題データ記憶部42に記憶された判定用選択肢とを比較し、当該解答に「なくてはならないもの」が入っているか否か、および当該解答に「あってはおかしいもの」が入っていないか否かを判定するようになっている。また、計算問題については、患者によって選択された解答用選択肢(品物)の合計金額が、リハビリ用課題文の予算に合致した場合、あるいは当該予算に対して所定の金額範囲内である場合に正解と判定する。
また、本実施形態において、想起画面表示部59および想起情報取得部60を機能させる場合、正誤判定部61は、リハビリ用課題選出部54により選出されたリハビリ用課題のリハビリ用課題文や、患者によって選択された解答用選択肢(品物)の合計金額に基づき、想起情報の正誤を判定するようになっている。
判定結果表示部62は、患者の解答に対する判定結果を表示させるものである。本実施形態において、判定結果表示部62は、解答取得部58が取得した解答用選択肢データに基づいて、患者が実際に選択した解答用選択肢を表示手段3に表示させるとともに、正誤判定部61により得られた判定結果を表示手段3に表示させるようになっている。また、計算を含むリハビリ用課題の場合には、患者が選択した解答用選択肢(品物)の合計金額も表示する。さらに、想起画面表示部59および想起情報取得部60を機能させる場合には、想起情報の判定結果を表示する。
判定結果記録部63は、患者の解答に対する判定結果を記録するものである。具体的には、判定結果記録部63は、患者が実施したリハビリ用課題と、その判定結果とを当該患者の患者識別データに対応付けて患者リハビリ履歴記憶部43に記録する。また、想起画面表示部59および想起情報取得部60を機能させる場合には、想起情報の判定結果を患者リハビリ履歴記録部43に記録する。この履歴データは、好適モードに設定された選出項目自動検索部53に供され、自動検索する際に参照される。
つぎに、本実施形態の前頭連合野リハビリテーションプログラム1aによって実行される前頭連合野リハビリテーションシステム1の作用および前頭連合野リハビリテーション方法について図3を参照しつつ説明する。
まず、患者が前頭連合野のリハビリテーションを実施する場合、本実施形態の前頭連合野リハビリテーションシステム1を起動する(ステップS1)。これにより、表示手段3には、図示しない患者識別データ入力画面が表示される。したがって、患者は入力手段2を用いて自分の患者識別データを入力すると(ステップS2)、患者識別データ取得部51によって当該患者識別データが取得される。なお、判定結果を記録しない場合や、自動検索機能を使用しない場合には、患者識別データを入力しなくてもよい。
つづいて、表示手段3には、図4に示すような選出項目入力画面が表示されるため、患者はリハビリ用課題を自動的に検索するか否かを選択する(ステップS3)。そして、手動で選出項目を選択する場合(ステップS3:NO)、患者は、入力手段2を用いて各選出項目(表示遅延時間、リハビリ用課題文数、計算の難易度およびキーワード)を選択する(ステップS4)。これにより、リハビリ用課題データ取得部52によって各選出項目に関するデータが取得される。なお、リハビリ用課題文数として「1つ」を選択した場合、計算は含まれないため、計算の難易度を選択するボタンは選択不能状態となる。
一方、リハビリ用課題を自動的に検索する場合(ステップS3:YES)、患者は選出項目を入力することなく自動検索ボタンを選択する。これにより、選出項目自動検索部53が、患者識別データ取得部51によって取得された患者識別データに基づき、当該患者識別データに対応付けられた履歴データを患者リハビリ履歴記憶部43から参照する。そして、当該患者識別データに対応する患者に好適な選出項目を自動的に選択する(ステップS5)。これにより、患者が過去に実施したリハビリ用課題の正答率に基づき、当該患者のリハビリテーションに好適な選出項目が選択される。
以上のように、本実施形態では、前頭連合野のワーキングメモリ機能に密接に関連する選出項目(表示遅延時間、課題文数、計算の難易度)が、患者の症状に合わせて手動あるいは自動で設定される。このため、患者固有の問題点に焦点をあて、その機能を集中的に訓練することができると同時に、得意な分野も伸ばしていくという訓練が可能となる。これにより、問題点の改善と患者の眠っている機能に光を当てることができることに加え、前連連合野の活性化を促し、前連連合野が司る種々機能の相互作用を誘起し、問題点のスムーズな改善を可能にする。
また、本実施形態において、選出項目自動検索部53が、正答率に基づいて選択する好適モードに設定されている場合、患者の興味や関心を示すキーワードを優先的に自動選択する。一方、ランダムに自動検索するランダムモードに設定されている場合、選出項目自動検索部53は、正答率の高いキーワードだけに限らず、患者の興味や関心とは無関係にキーワードをランダムで選択する。
したがって、リハビリ当初は、患者の興味や関心を示すキーワードを自動選択することにより、記憶と情動の相互作用が意識的に利用される。そして、正答率の上昇に応じて、段階的に一定の割合で患者の興味や関心とは無関係なキーワードをランダムに選択する。これにより、繰り返し実施することによるリハビリのマンネリ化や患者の飽きを防止し、新たな発想を行わせる機会に繋げられる。そして、「興味があるから覚えられる」という段階から、最終的には「興味や関心がなくても課題文を忘れずに覚え、それに基づいて選択できる」という段階へと徐々に訓練される。
つぎに、リハビリ用課題選出部54が、リハビリ用課題データ取得部52または選出項目自動検索部53によって取得されたリハビリ用課題文数、計算の難易度、キーワードおよび表示遅延時間に基づいて、リハビリ用課題データ記憶部42に記憶されているリハビリ用課題を検索し、最適なリハビリ用課題を選出する(ステップS6)。これにより、患者の症状に適した難易度であって、かつ、患者の嗜好性に近接し情動機能に強く訴えるリハビリ用課題が選出される。また、リハビリ用課題が多数存在し、その概要が把握できていなくても、患者は簡単な選出項目を選択するだけで、あるいは自動検索ボタンを押すだけで、自分の前頭連合野の機能レベルに好適なリハビリ用課題が自動的に選出される。
リハビリ用課題が選出されると、図5(a)〜(c)に示すように、リハビリ用課題文表示部55が、当該リハビリ用課題を構成するリハビリ用課題文のうち、最初のリハビリ用課題文(「目的」)を所定時間だけ表示手段3に表示させる(ステップS7)。そして、表示遅延時間判定部56が、当該リハビリ用課題文の表示が消えてから表示遅延時間が経過したか否かを判定する(ステップS8)。
この判定の結果、表示遅延時間が経過するまで待機し(ステップS8:NO)、表示遅延時間が経過したとき(ステップS8:YES)、次のリハビリ用課題文があるか否かを判定する(ステップS9)。そして、次のリハビリ用課題文がある場合(ステップS9:YES)、当該リハビリ用課題文を表示させるための命令信号をリハビリ用課題文表示部55に出力する。これにより、図5(b),(c)に示すように、次のリハビリ用課題文となる「予算」が所定時間だけ表示される(ステップS7)。
一方、全てのリハビリ用課題文が表示された後は(ステップS9:NO)、解答用選択肢を表示させるための命令信号を選択肢表示部57に出力し、図5(a)〜(c)に示すように、選択肢表示部57によって当該リハビリ用課題に関する解答用選択肢を表示させる(ステップS10)。これにより、患者は、「目的」を覚えながら「予算」内で必要項目を選択するという並列情報の処理能力が訓練される。つまり、表示遅延時間の間、各リハビリ用課題文を覚えていなければ、正しい解答用選択肢を選択することができないため、前頭連合野のワーキングメモリ的機能や複数情報保持機能が訓練される。
解答用選択肢が表示された後、患者が入力手段2を用いて解答用選択肢を選択すると、解答取得部58が、当該解答用選択肢に関するデータを解答として取得する(ステップS11)。このとき、リハビリ用課題は、実生活に密着しており、かつ、患者の興味や関心を喚起させるような内容で構成されているため、前頭連合野を効果的に活性化させる。
つづいて、本実施形態では、図5(a)〜(c)に示すように、想起画面表示部59が、リハビリ用課題の内容を患者に改めて想起させる想起画面を表示手段3に表示する(ステップS12)。これにより、患者は、今、実施しているリハビリ用課題に関する目的や予算、および計算した合計金額を改めて想起し、再確認する。そして、想起画面が表示された後、患者が入力手段2を用いて想起情報を入力すると、想起情報取得部60が、当該想起情報に関するデータを取得する(ステップS13)。
つづいて、正誤判定部61が、リハビリ用課題データ記憶部42に記憶された判定用選択肢を参照し、解答取得部58によって取得された解答の適否を判定する(ステップS14)。また、計算問題については、患者が選択した解答用選択肢(品物)の合計金額が、リハビリ用課題文の予算に合致した場合、あるいは当該予算に対して所定の金額範囲内である場合に正解と判定する。さらに、本実施形態では、正誤判定部61が、患者により入力された想起情報の正誤を判定する。これにより、患者が、リハビリ用課題をきちんと理解した上で、解答を選択したか否かが判別される。つまり、解答が適切であるにも関わらず、想起情報が誤っている場合には、偶然、適切な解答を選択したことがわかるため、より正確にリハビリの結果が検証される。
正誤判定部61による判定の結果、図5(a)〜(c)に示すように、判定結果表示部62が、患者が実際に選択した解答用選択肢とともに、その適否を表示手段3に表示する(ステップS15)。例えば、図5(c)においては、「カレーの材料」として選択された患者の解答のうち、「たまねぎ、じゃがいも、にんじん、豚肉、カレー粉」は適切である旨、および「豆腐」は不適切である旨が表示される。また、本実施形態では、入力した想起情報(合計金額、目的、予算)の正誤が表示される。これにより、患者は、自分が選択・入力した解答の適否が即座にわかるため、リハビリ効率が向上する。
一方、検者側にとっては、上記判定結果に基づき、患者が前頭連合野の障害のうち、どのようなタイプの症状を呈するのかを評価でき、当該タイプに合わせた訓練内容の設定が可能になる。具体的には、「必要な情報を一定時間保持し続けられない」「保持できる情報数が少なくなる」「頭の中での内的な情報の操作・処理(暗算など)が困難になる」「並列情報の処理が困難になる」等のような前頭連合野の機能障害タイプのうち、患者がどのタイプに属するのかが明らかにされる。そして、「必要な情報を一定時間保持し続けられない」タイプの患者に対しては、当初は「表示遅延時間」を短く設定し、徐々に長い時間保持できるように導く調整をしたり、暗算が得意な患者に対しては、「計算の難易度」を高めに設定する等、患者の障害タイプに合わせて訓練内容が設定される。
その後、判定結果記録部63によって、患者が実施したリハビリ用課題と、その判定結果とが当該患者の患者識別データに対応付けて患者リハビリ履歴記憶部43に記録される(ステップS16)。また、本実施形態では、想起情報の判定結果が患者リハビリ履歴記録部43に記録される。これにより、各患者について、リハビリテーションの実施状況が時系列に沿って詳細に履歴として記録されるため、患者は一人でも実施可能となる。また、記録された患者データによって、選出項目自動検索部53による選出項目の自動選択が可能となる。
以上のような本実施形態によれば、
1.前頭連合野のワーキングメモリ機能と、患者の興味や関心といった情動機能との相互作用を意図的に取り入れてリハビリ効果を向上させることができる。
2.前頭連合野の機能の向上や回復に必要な要素を組み合わせたリハビリ用課題を患者の症状、タイプ、能力および興味に合わせてカスタマイズし、前頭連合野に効果的に作用させることができる。
3.患者固有の問題点に焦点をあて、その機能を集中的に訓練すると同時に、得意な分野・機能も伸ばしていくことができる。
4.前頭連合野の機能障害のうち、患者がどのタイプの症状を呈するのかを評価でき、当該タイプに合わせたリハビリテーションを実施することができる。
5.身体的な疾患を有する患者であっても、実生活に密着した内容のリハビリ用課題を自宅や病院のベッドサイドで簡単に一人で実施することができる。
6.患者の潜在的な興味や関心を喚起することや、今後の生活に対するニーズを引き出し、行動を起こすきっかけとして効果的に作用する等の効果を奏する。
なお、本発明に係る前頭連合野リハビリテーションプログラム1aおよび前頭連合野リハビリテーションシステム1を利用したリハビリテーションによれば、以下のような利用用途が見込まれる。
(イ)認知症やアルツハイマー病の進行防止や遅滞及び代償機能の促進
(ロ)健常高齢者の認知・記憶機能の低下予防
(ハ)頭部外傷、脳腫瘍による前頭連合野障害の軽減や機能改善
(ニ)注意欠陥多動性障害や自閉症などをもつ子供の機能改善
上記のような障害を有する患者にとっては、予め定められた訓練や形式化された訓練を行うよりも、日常生活に直結した馴染みの深い内容で、患者の興味や関心に重点を置きながら、楽しく訓練を実施することが有効であると考えられている。具体的には、認知症患者の場合、新しいことを全く覚えられないというわけではないが、記銘の効率が非常に悪いため、何度も繰り返し楽しく経験することが、新しいことの記憶に有効であるとされている(柳(2003))。また、認知症でも日々の暮らしを営む中で、馴染みの深い作業を通じて、その人らしい所作を引き出し、秘められた沢山の能力を日々の生活の中で発揮できるようになるアプローチが重要であるとされている(永田(2003))。
このようなことから、患者の持っている興味や関心を引き出し、日常生活に直結した内容を用いることにより、目的志向的行動の発現やワーキングメモリ機能という前頭連合野機能の活用や改善に直結する本発明は、上記のような障害をもつ人の認知機能の改善に有効であると考えられる。さらに、興味や関心あるいは能力が明確でない患者や、潜在的な能力があっても難易度が合わないことで能力を発揮する機会を奪われていた患者に対しても、本発明によるリハビリ用課題の検索機能を用いることにより、最適なリハビリ用課題を容易に実施することやきっかけ作りを行うことが可能となり、多くの患者に対するリハビリテーションとして効果的な利用が期待できる。
『本発明に係る前頭連合野リハビリテーションシステム1の有効性』
本実施例1では、認知機能の低下が見られる軽度認知症患者11名に対して、本システム1によるリハビリテーションを実施した。実施に際しては、各患者に事前面接を行い、各患者の興味や関心、認知機能や生活機能に関する評価を行った。そして、本システム1によるリハビリテーションの実施前後において、各患者の前頭連合野の機能を評価することにより、当該機能の回復効果を検証した。
前頭連合野の機能を評価する方法としては、一般的に前頭葉の機能評価に使われる前頭葉機能検査と、前頭連合野の評価で重要な流暢性検査のほか、ワーキングメモリ機能を評価する方法として数の順唱・逆唱検査、認知機能の一般的な評価テストとしてミニメンタルステート検査(Mini-mental state examination:以下、「MMSE」という)、および一般的な記憶検査である三宅式記銘力検査を採用した。
本実施例1では、患者と作業療法士が1対1の環境下において、1回30分のリハビリテーションを週2回のペースで3ヶ月間(計24回)実施した。また、ベースラインの安定性を確かめるため、リハビリテーションを開始する1ヶ月前に上記の各検査を行い、リハビリテーション開始直前、リハビリテーション中(開始後1ヶ月)、およびリハビリテーション実施後の検査結果と比較した。また、コントロール群として普段どおりの生活をしている11名の軽度認知症患者に、実施群と同じ時期に上記の各検査のみを行った。なお、実施群とコントロール群との間には、平均年齢、男女比、開始前の認知機能テストの結果に有意差はなかった(p>0.05)。
本実施例1の結果を図6に示す。図6に示すように、上述した全ての検査結果において、リハビリテーションを実施する1ヶ月前と、リハビリテーション開始直前の成績に有意差がなく、両群のベースラインの状態は安定していた(paired t-test, p>0.05)。一方、前頭葉機能検査、流暢性検査、数の逆唱検査、およびMMSEについては、リハビリテーション前に比べてリハビリテーション中やリハビリテーション実施後に評価点が有意に上昇していた。また、コントロール群にはこのような変化は見られなかった。
また、図6(c)、(d)に示すように、数唱検査については、前頭連合野の特徴であるワーキングメモリ機能を必要とする逆唱検査で成績に有意差が見られたが、ワーキングメモリ機能への負荷が少ない順唱検査では、有意差が見られなかった。なお、三宅式記銘力検査では、リハビリテーション実施前後で成績に有意差が認められなかった。
また、患者からは「これをやるようになって生活に緊張感がでてきて、とてもいい」「頭の切り替えが速くなった」「言われることにピンときやすくなった」「他人に腹が立たなくなり、おおらかになった気がする」などの、前頭連合野の機能向上に沿うような感想が得られた。
以上のように、本実施例1では、本システムによるリハビリテーションが、前頭連合野の機能の改善に有効であることが実証された。特に、流暢性検査での改善は著しく、本システムが思考の柔軟性や発想力の向上に寄与している可能性が高いことが明らかになった。
『検索機能がリハビリテーションの効率性や患者の自主性に与えた影響』
本実施例2では、軽度の認知症患者であるA氏(70歳代、男性)に対して、本システムを使った場合と使わなかった場合のリハビリテーションの効果を検討した。まず、課題の内容を熟知している検者が、検索機能を使わず、A氏の興味や難易度に相応しい内容を探しながら実施した場合、課題を探すまでに平均19秒かかり、30分間で実施できた課題数は8〜9題であった。一方、課題の内容を熟知していない検者の場合、A氏の興味に近いものは選択できるが、A氏のレベルに最適な難易度の課題を選ぶまでに、ファイルの内容を全て開くなどして、1課題につき平均3分50秒かかり、30分間で4題しかできなかった。さらに、A氏が自分自身で実施した場合、沢山の課題の中から自分に相応しいものを選ぶことはできず、数回試しているうちに混乱を示し、中断した。
一方、検者が検索機能を使った場合、課題を探し出すまでに平均5秒しかかからず、30分間で12〜15題の課題を実施することができた。また、検者がA氏に難易度等を伝えることで、A氏自身が選出項目を打ち込み、自分に相応しい課題を実行することができた。A氏は、「基準に沿って課題が出てくるので統一感があっていい」と話し、患者自身が能動的に混乱なく課題に取り組んでいけることが確認できた。また、課題作成者以外の検者が実施したところ、難易度の一致率は100%であった。
以上のように、本実施例2によれば、本実施形態の課題検索機能により、各患者に最適なリハビリ用課題を簡単かつ迅速に探し出すことができ、リハビリテーション効率を向上できることが示された。
『検索機能が患者の興味や意欲の喚起を促した症例』
本実施例3では、多発性脳梗塞の後遺症により前頭葉の萎縮が顕著なB氏(60歳代、男性)に対して、本システムによるリハビリテーションを実施した。リハビリ実施前は、度重なる脳梗塞のため意欲の低下が著しく、発語もなく、毎日を車椅子の上で無為に過ごしていた。B氏の妻からの依頼で本内容に関して承諾を得てリハビリテーションを実施した。
B氏に検索用のキーワードを見せると、しばらくして小声で「魚」と述べた。その後、川釣りが趣味だったことなどが明らかになるなど魚に関する話題が広がった。「焼いたらおいしい魚」という課題では、「鮎」を選び、余市川でやまべを釣ったことを楽しそうに話した。その後も、検索キーワードを見て、「肉料理が好き」とか、「妻と旅行に行った」などの思い出がよみがえり、興味のある課題に意欲的に取り組むようになった。検者を見ると「頭の体操だね、行くよ」と自ら発語するようになり、今日まで毎回出席している。妻や介護者は「こんなに色々なことをしゃべることができるとは知らなかった」と話している。
以上のように、本実施例3の結果から、能力があっても覚醒や意欲の低下などで、能力を発揮できない状態の患者に対し、本システムは興味や記憶を喚起し、患者の意欲の向上、思考の柔軟性や発想力の向上に寄与することが示された。
『リハビリ用課題に患者の興味・関心を組み合わせたことによる効果』
本実施例4では、アルツハイマー病のC氏(53歳、女性)に対して、本システムによるリハビリテーションを実施した。C氏は、他院受診時(平成14年)に、長谷川式簡易知能検査(認知症スクリーニングテスト:HDS-R)が20点であり、当院受診時(平成15年)にはHDS-Rが11点であった。また、会話の疎通性の低下、エピソードや日時の記銘力低下、道具の操作困難、計算困難、書字・読字困難を呈していた。
C氏は、約1年間、会話の促進、メモをつける、道具操作の反復練習、計算、音読といった一般的なリハビリテーションを行ってきた。しかし、平成16年には、HDS-Rが3点となり、数分前に実施したことの内容や、住所や息子の名前といった身近な事柄の想起も困難となり、施設への入所が検討された。C氏自身も日常生活においてできないことが増えていることを自覚し、活気を無くしていた。
本発明に係るリハビリテーションを導入したところ、C氏が大好きな花の写真が出てきた時に良好な反応を示したことから、「1000円で花束をつくる」という課題にしてリハビリテーションを実施した。C氏は、「花束をつくるんだ」「予算は1000円」と、良好に記憶し、花の選択を適切に実施した。また、花の名前を想起することも可能となった。さらに「娘さんにプレゼントする花束」という課題を実施すると、「○○子は赤いバラが好きだから、これを選ぶ。かすみ草も入れるともっときれいになる。」と自然な形での花や子供の名前の想起に繋がった。これを見ていた娘は「こんな母の姿は最近久しぶりでびっくりした」と涙を浮かべていた。
次の段階では、簡単な金額も入れて実施したところ、机上の訓練では計算ができなかったが、100円単位の計算がスムーズに実施できた。これをきっかけに本訓練の料理編にも取り組んだ。本リハビリ実施前は、自宅にヘルパーが来て調理援助を実施していたが、C氏はヘルパーに作ってもらったものをただ食べるだけであった。しかし、本訓練を始めてから材料選びなどに積極的かつ楽しそうに参加するようになり、活動性が増加し、活気が出てきた。家族やヘルパーから「とても楽しそうで元気になった」と良好な反応を得ており、現在も在宅生活を続けている。本訓練を実施して1ヶ月後、HDS-Rは5点となり、若干だが回復傾向を示している。
以上のように、アルツハイマー病など進行性の疾患は、できないことが増え、患者は活気や積極性を失う。このため、患者はさらに記憶、遂行機能の著しい低下を招く。本実施例4では、C氏の興味あることを引き出し、その興味が記憶や計算機能、計画、選択という機能に良好に作用したと考えられる。このことは、本訓練が興味を引き出しながら、自発性、記憶、遂行機能の向上、活動性や興味の幅の拡大に寄与できることを示している。
多くの患者は「興味のあるもの・好きなもの」に対する反応が良い。したがって、本実施例4のように、特に、意欲の低下した患者、訓練に対する抵抗感を示す患者、あるいは認知・記憶機能が著しく低下した患者に対して、興味・関心に配慮したリハビリテーションを行うことにより、訓練の導入時に非常に有効な結果が得られることがわかる。また、患者にとって「興味があって覚えられる、課題ができる」という経験が、次の挑戦を喚起し、次第にどんな課題が表示されても集中して課題に取り組めるようになった。これにより、「興味のあるもの・好きなもの」に関連した課題以外にも挑戦することができるようになり、記憶機能の強化に繋がると同時に、新たな興味や可能性の発見に繋がり、患者の生活の幅の広がりに寄与すること示された。
『リハビリ用課題の内容による効果』
本実施例5では、健常高齢者であるが加齢による軽度の脳萎縮があるD氏(82歳、男性)に対して、本システムによるリハビリテーションを実施した。D氏は、家族にアルツハイマー病患者がいた為、自分もアルツハイマー病ではないかと心配して来院した。D氏は、「毎日、計算、音読のドリルをやろうと思っているのだか、どうも簡単すぎるし、面白くない、毎日、病気になりはしないかと不安だ、何か良い方法はないか」と相談してきた。
D氏は、趣味が旅行と写真撮影であったため、自分で撮影した旅先の写真を使用しながら旅行プランを立て、予算を計算するというリハビリテーションを提案した。D氏は、リハビリを続けていくうちに、「今度は名古屋に行こうと思うから、名古屋旅行編を作る」といって意欲的に情報収集しながらプランを作成するなど、実際の行動と結びつけながら自ら楽しそうに課題の作成や実行をするようになった。
当初は「病気にならないか?」と深刻に相談する様子が顕著であったが、最近では旅先での出来事や自分の実施している訓練を楽しそうに話す様子に変わっている。また、D氏に関する分析結果から、訓練に慣れるに従い、通常レベルの課題を容易にこなすようになっていることがわかった。そこで、解答用選択肢の数を増やすこと、計算の難易度を上げるようアドバイスした。その結果、計算能力の向上、予算の範囲内での工夫した金銭の使用の様子が見られるようになった。したがって、前頭連合野の機能である自発性、安定した情動機能の維持、数字の操作に効果があることが示された。
近年、認知症の増加に伴い、認知症にならないようにと心配する高齢者も増え始め、効果的な訓練を期待する声が増している。しかし、本実施例5によれば、特別な訓練を特別に実施するよりも、生活の中に溶け込む形の訓練のほうが、楽しく長続きすることが示された。また、本訓練は、日常生活に密着しているため、実際の行動に生かされやすいという優位性があり、閉じこもりや無為を防止するきっかけになっていることが分かった。さらに、本訓練は、時系列に沿った詳細な結果の記録が可能であるため、在宅で実施でき、その結果を医療者が分析することで、遂行状況に沿ったアドバイスが可能である。つまり、時系列に沿った詳細な結果データの出力を自動化することで、医療者が常に患者と一緒に訓練に関わっていなくとも、患者に最も効果的な方向性を折々にアドバイスすることができるようになった。
『「課題文数」「計算の難易度」「表示遅延時間」「情報の並列処理」を組み合わせたことによる効果』
本実施例6では、M氏(73歳、女性)に対して、本システムによるリハビリテーションを実施した。M氏は、脳梗塞により左片麻痺を呈しており、その後、記銘力低下、見当識低下を呈し脳血管性認知症と診断された。M氏は、脳梗塞の発症前は飲食店を一人で切り盛りしていた。本訓練導入以前のM氏は、前頭葉機能検査が18点満点中7点であり、「覚えておかないといけないと思ってもなんでもすぐ忘れる」「何をどうしたらいいのか分からない」「言葉がなかなか出てこない」等と、ワーキングメモリ、目的志向性、発動性、流暢性など前頭連合野機能に障害を呈していた。
一方、M氏は「目的」および「予算」を覚えておくという点で困難を呈したが、暗算は50円単位の計算でも問題なく遂行した。そこで、リハビリ当初は表示遅延時間を短く設定した簡単な段階から始め、目的と予算を意識的に覚えさせ、それに基づいて選択行為ができるように訓練した。一方、暗算の難易度は高い設定のままで維持し、正答が続いた場合には賞賛を与えた。その結果、目的・予算の想起で正答が続くようになり、「覚えておく」ということに対する集中力が増し、徐々に表示遅延時間を長くした内容でも遂行可能になった。M氏は「自分がこんなに計算ができるとは思わなかった。正解が続くと嬉しいし、覚えることにも集中できるようになった」と話し、3ヵ月後の評価では、前頭葉機能検査が18点満点中13点へと向上していた。
以上のように、本実施例6では、前頭連合野機能の中でも、どの機能に問題があるのかを「表示遅延時間の長短」「課題文の数」「暗算の難易度」といったパラメータで評価できることが示された。また、その評価結果に基づいて、必要な情報をある一定時間保持し続けることが困難であるが暗算が良くできる患者に対し、暗算場面をしっかり経験しながら、情報保持の時間を短くした段階から始め、「覚える」ということに集中して訓練し、情報保持の時間を徐々に長くするという訓練を実現できた。すなわち、患者固有の長所を伸ばしながら、その問題点を集中的に訓練するために必要な内容を瞬時に検索し、訓練できることが示された。また、前頭連合野機能の中でも、利点を伸ばしながら行うことは、他の前頭連合野の機能障害の改善に有効であるといった前頭連合野機能の相互作用を促進することが示された。
なお、本発明に係る前頭連合野リハビリテーションプログラム1aおよび前頭連合野リハビリテーションシステム1は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜変更することができる。
例えば、上述した本実施形態において、リハビリ用課題を自動検索するか手動検索するかは、患者や検者に選択させているが(ステップS3)、この構成に限られるものではない。例えば、患者リハビリ履歴記憶部43内の履歴データに、自動検索する旨を設定しておくことにより、患者識別データを入力するだけで(ステップS2)、自動的にリハビリ用課題を選出するようにしてもよい。あるいは、自動検索(ステップS5)を基本機能として、ステップS3における選択は、オプション機能として患者または検者に選択させるようにしてもよい。
また、上述した本実施形態では、ランダムモードに設定された選出項目自動検索部53は、患者の履歴を参照することなくランダムにキーワード選択しているがこの構成に限られるものではない。例えば、選出項目自動検索部53が、患者の履歴を参照し、過去に一度も選択したことのないキーワードの中からランダムで選択するようにしてもよい。また、患者の履歴を参照し、正答率の高いキーワードを優先的に選択したり、あるいは正答率の低いキーワードについては選出される確率を低減させるようにしてもよい。
本発明に係る前頭連合野リハビリテーションシステムの実施形態を示すブロック図である。 本実施形態のリハビリ用課題データ記憶部に記憶されているリハビリ用課題を示す図である。 本実施形態の前頭連合野リハビリテーションシステムによる処理を示すフローチャート図である。 本実施形態において、選出項目入力画面を示す図である。 本実施形態において、(a)課題文数が1の場合、および(b),(c)課題文数が2の場合のリハビリ用課題文と、その判定結果の表示例を示す図である。 本実施例1において、(a)前頭葉機能検査、(b)流暢性検査、(c)数の逆唱検査、(d)数の順唱検査、(e)MMSEおよび(f)三宅式記銘力検査の結果を示すグラフである。 前頭連合野の機能を説明する概念図である。
符号の説明
1 前頭連合野リハビリテーションシステム
1a 前頭連合野リハビリテーションプログラム
2 入力手段
3 表示手段
4 記憶手段
5 演算処理手段
41 プログラム記憶部
42 リハビリ用課題データ記憶部
43 患者リハビリ履歴記憶部
51 患者識別データ取得部
52 リハビリ用課題データ取得部
53 選出項目自動検索部
54 リハビリ用課題選出部
55 リハビリ用課題文表示部
56 表示遅延時間判定部
57 選択肢表示部
58 解答取得部
59 想起画面表示部
60 想起情報取得部
61 正誤判定部
62 判定結果表示部
63 判定結果記録部

Claims (8)

  1. 前頭連合野の機能回復のリハビリに使用するための各種の目的別カテゴリー毎に設定されたリハビリ用課題に応じて、関連するキーワードと、リハビリ用課題文と、このリハビリ用課題文に解答するために必要な計算の難易度と、前記リハビリ用課題文に解答するための解答用選択肢と、前記リハビリ用課題文に対する解答の適否を判定するための判定用選択肢と、前記計算の正答とをそれぞれ記憶しているリハビリ用課題データ記憶部と、
    前記リハビリ用課題や前記解答用選択肢を選択するための入力手段と、
    前記リハビリ用課題文や前記解答用選択肢を表示する表示手段とを有するコンピュータを
    前記リハビリ用課題を選出するにあたって前記入力手段から入力される、前記キーワード、前記計算の難易度、および前記表示手段において前記リハビリ用課題文の表示が消えてから前記解答用選択肢が表示されるまでの時間間隔である表示遅延時間をそれぞれ含む各選出項目を取得するリハビリ用課題データ取得部と、
    前記リハビリ用課題データ取得部によって取得された各選出項目に基づいて前記リハビリ用課題データ記憶部から好適なリハビリ用課題を選出するリハビリ用課題選出部と、
    前記リハビリ用課題選出部が選出したリハビリ用課題の課題文を前記表示手段に表示させるリハビリ用課題文表示部と、
    前記リハビリ用課題文の表示を消した後に経過する時間を測定し、前記表示遅延時間が経過したか否かを判定する表示遅延時間判定部と、
    この表示遅延時間判定部が前記表示遅延時間が経過したと判定したとき、前記解答用選択肢を前記表示手段に表示させる選択肢表示部と、
    この選択肢表示部が表示した解答用選択肢のうち、患者が前記入力手段によって選択した解答を取得する解答取得部と、
    前記リハビリ用課題データ記憶部に記憶された前記判定用選択肢に基づいて、前記解答取得部が取得した解答の適否を判定する正誤判定部と、
    この正誤判定部が判定した結果を前記表示手段に表示させる判定結果表示部と
    て機能させることを特徴とする前頭連合野リハビリテーションプログラム。
  2. 請求項1において、前記リハビリ用課題データ記憶部は、リハビリ用課題を構成するリハビリ用課題文の数を記憶しており、
    前記入力手段は、前記リハビリ用課題文の数を入力可能に構成されており、
    前記リハビリ用課題データ取得部が、前記入力手段から入力された前記リハビリ用課題文の数を取得すると、前記リハビリ用課題選出部が、そのリハビリ用課題文の数を有するリハビリ用課題を選出し、
    前記リハビリ用課題文表示部が、当該選出されたリハビリ用課題に含まれるリハビリ用課題文を前記表示手段に表示させるとともに、前記リハビリ用課題文が複数存在する場合には、前記表示遅延時間判定部によって前記表示遅延時間が経過したと判定されたとき、次のリハビリ用課題文を前記表示手段に表示することを特徴とする前頭連合野リハビリテーションプログラム。
  3. 請求項1において、リハビリを受ける各患者の患者識別データを記憶しているとともに、この患者識別データに対応付けて過去に行ったリハビリ用課題およびその解答に対する判定結果の履歴を記憶する患者リハビリ履歴記憶部を有するコンピュータを
    入力手段によって入力された前記患者識別データを取得する患者識別データ取得部と、
    この患者識別データ取得部が取得した患者識別データに基づいて前記患者リハビリ履歴記憶部から該当する履歴を読み出して、リハビリ用課題の難易度およびその判定結果の正答率を基準として当該患者に好適な選出項目を自動的に検索する選出項目自動検索部として機能させるとともに、
    前記リハビリ用課題選出部は、前記選出項目自動検索部が検索した選出項目に基づいて、前記リハビリ用課題データ記憶部から好適なリハビリ用課題を選出することを特徴とする前頭連合野リハビリテーションプログラム。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかにおいて、
    前記判定結果表示部による判定結果の表示前に、前記リハビリ用課題の内容を改めて患者に想起させる想起画面を前記表示手段に表示させる想起画面表示部と、
    前記想起画面に従って患者が前記入力手段によって入力した想起情報を取得する想起情報取得部としてコンピュータを機能させ、
    前記正誤判定部は、前記リハビリ用課題選出部により選出されたリハビリ用課題のリハビリ用課題文や、前記解答取得部により取得された解答に基づいて、前記想起情報の正誤を判定することを特徴とする前頭連合野リハビリテーションプログラム。
  5. 前頭連合野の機能回復のリハビリに使用するための各種の目的別カテゴリー毎に設定されたリハビリ用課題に応じて、関連するキーワードと、リハビリ用課題文と、このリハビリ用課題文に解答するために必要な計算の難易度と、前記リハビリ用課題文に解答するための解答用選択肢と、前記リハビリ用課題文に対する解答の適否を判定するための判定用選択肢と、前記計算の正答とをそれぞれ記憶しているリハビリ用課題データ記憶部と、
    前記リハビリ用課題や前記解答用選択肢を選択するための入力手段と、
    前記リハビリ用課題文や前記解答用選択肢を表示する表示手段と、
    前記リハビリ用課題を選出するにあたって前記入力手段から入力される、前記キーワード、前記計算の難易度、および前記表示手段において前記リハビリ用課題文の表示が消えてから前記解答用選択肢が表示されるまでの時間間隔である表示遅延時間をそれぞれ含む各選出項目を取得するリハビリ用課題データ取得部と、
    前記リハビリ用課題データ取得部によって取得された各選出項目に基づいて前記リハビリ用課題データ記憶部から好適なリハビリ用課題を選出するリハビリ用課題選出部と、
    前記リハビリ用課題選出部が選出したリハビリ用課題の課題文を前記表示手段に表示させるリハビリ用課題文表示部と、
    前記リハビリ用課題文の表示を消した後に経過する時間を測定し、前記表示遅延時間が経過したか否かを判定する表示遅延時間判定部と、
    この表示遅延時間判定部が前記表示遅延時間が経過したと判定したとき、前記解答用選択肢を前記表示手段に表示させる選択肢表示部と、
    この選択肢表示部が表示した解答用選択肢のうち、患者が前記入力手段によって選択した解答を取得する解答取得部と、
    前記リハビリ用課題データ記憶部に記憶された前記判定用選択肢に基づいて、前記解答取得部が取得した解答の適否を判定する正誤判定部と、
    この正誤判定部が判定した結果を前記表示手段に表示させる判定結果表示部と
    を有していることを特徴とする前頭連合野リハビリテーションシステム。
  6. 請求項5において、前記リハビリ用課題データ記憶部は、リハビリ用課題を構成するリハビリ用課題文の数を記憶しており、
    前記入力手段は、前記リハビリ用課題文の数を入力可能に構成されており、
    前記リハビリ用課題データ取得部が、前記入力手段から入力された前記リハビリ用課題文の数を取得すると、前記リハビリ用課題選出部が、そのリハビリ用課題文の数を有するリハビリ用課題を選出し、
    前記リハビリ用課題文表示部が、当該選出されたリハビリ用課題に含まれるリハビリ用課題文を前記表示手段に表示させるとともに、前記リハビリ用課題文が複数存在する場合には、前記表示遅延時間判定部によって前記表示遅延時間が経過したと判定されたとき、次のリハビリ用課題文を前記表示手段に表示することを特徴とする前頭連合野リハビリテーションシステム。
  7. 請求項5において、リハビリを受ける各患者の患者識別データを記憶しているとともに、この患者識別データに対応付けて過去に行ったリハビリ用課題およびその解答に対する判定結果の履歴を記憶する患者リハビリ履歴記憶部と、
    入力手段によって入力された前記患者識別データを取得する患者識別データ取得部と、
    この患者識別データ取得部が取得した患者識別データに基づいて前記患者リハビリ履歴記憶部から該当する履歴を読み出して、リハビリ用課題の難易度およびその判定結果の正答率を基準として当該患者に好適な選出項目を自動的に検索する選出項目自動検索部とを有し、
    前記リハビリ用課題選出部は、前記選出項目自動検索部が検索した選出項目に基づいて、前記リハビリ用課題データ記憶部から好適なリハビリ用課題を選出することを特徴とする前頭連合野リハビリテーションシステム。
  8. 請求項5から請求項7のいずれかにおいて、
    前記判定結果表示部による判定結果の表示前に、前記リハビリ用課題の内容を改めて患者に想起させる想起画面を前記表示手段に表示させる想起画面表示部と、
    前記想起画面に従って患者が前記入力手段によって入力した想起情報を取得する想起情報取得部とを有し、
    前記正誤判定部は、前記リハビリ用課題選出部により選出されたリハビリ用課題のリハビリ用課題文や、前記解答取得部により取得された解答に基づいて、前記想起情報の正誤を判定することを特徴とする前頭連合野リハビリテーションシステム。
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