JP5056905B2 - 記録条件の調整方法、光ディスク装置および情報の記録方法 - Google Patents
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(1)非特許文献2に記載の方法
非特許文献2では、特許文献1に記載の技術に基づいて、エッジシフトに注目して、ユークリッド距離差の分布の平均値が、理想ユークリッド距離となるように調整する技術が記載されている。「非特許文献2の式(1)」では、特定のエッジのシフト量MDは以下として定義される。
(2)特許文献2に記載の方法
特許文献2に記載の方法も、エッジシフトだけに注目して記録調整の指標を得る方法であるが、仮想的な1Tマークやスペースを導入することによって、2Tが2個連続する箇所についても、記録調整が可能である。しかしながら、上と同様に、エッジシフトのみに注目することから、SbER(またはビットエラー率)との相関が良好とは言えないため、本方法も要求性能(1)に照らして十分ではないことが判る。
(3)特許文献5に記載の方法
特許文献5に記載の方法は、誤ビット列についてもラン長制限を満たすように選択しているため、エッジシフトだけでなく2Tが連続してシフトするケースについても、指標とSbER(またはビットエラー率)との相関に優れた方法である。本方法では「特許文献5の図3」に示されるように、2Tマークを含む記録条件を調整するために、注目するマークエッジが左側にシフトする場合と右側にシフトする場合とで、評価する誤ビット列と正ビット列とのハミング距離が異なる。例えば、非特許文献2の表記に従って、Tsfp(3s、2m)について見てみると、記載されるビット列は以下である。
(4)従来技術の組み合わせによる方法
非特許文献2では、特許文献1に記載の技術に基づいて、エッジシフトに注目して、ユークリッド距離差の分布の平均値が、理想ユークリッド距離となるように調整する技術が記載されている。これを「特許文献5の図3」に示される評価ビット列に適応して、各分布の平均値が理想ユークリッド距離となるように調整する方法が容易に類推される。しかしながら、図5に示したように、記録密度を高めると各分布の平均値が理想ユークリッド距離から小さくなる方向にずれてしまう。同様にSNRに応じても各分布の平均値は変化する。図8この現象を実験的に確かめた結果を示すものである。これは、前述の試作3層ディスクのL0において、再生パワーを変化させながら再生実験を実施して得た実験結果である。図の横軸は再生パワー1.2mWを100%として表したものである。再生信号振幅は再生パワーに比例するが光検出器のノイズ(アンプノイズ)は一定であるため、本実験は、再生パワーを変化させることによって再生信号のSNRを変化させた結果である。図に見られるように、各分布の平均値は理想ユークリッド距離(=1)よりも小さく、かつ再生パワーが小さくなるのに応じて小さくなることが判る。この方法についても、ドライブ装置の状態によるSNRの違いが、記録調整に用いる指標に影響してしまうことは明らかである。
(5)SbERを最小とする方法
図4に示したように、33GB/面の実験においてSbERはビットエラー率と良好な相関を示す。したがって、記録調整のための評価指標を用いずに、記録条件の全ての組み合わせに対して、記録再生を行い最小のSbERが得られる条件を選択する方法が考えられる。しかしながら、光ディスク媒体のように、記録調整用の領域(試し書きエリア)の大きさが限られている場合、無作為に記録条件を変化させながら、SbERが最小になる条件を検索することは実質的に不可能である。なぜなら、記録するマークのエッジを理想的な状態に近づけるための方向に対する情報を得ることができないためである。上に示した従来の技術のように、記録パルスの各パラメータに応じて、それぞれ独立に目標値からのずれを定量化できる方法でなければ、光ディスク装置に応用して試し書きを実施可能な方法とはならない。また、ディスクの試作を繰り返しながら、その性能向上を図るような場合においても、短時間で記録条件の調整が完了することが望まれる。この意味においても、前述の要求性能(1)と(2)を満たし、かつ記録パラメータに応じてそれぞれ独立に調整が可能となる新規な記録調整のための指標とその調整方法が望まれていた。
(課題1)調整結果に基づいて記録したデータの再生互換性について
SNRの変化に依存せずに調整目標点が一定となる評価指標と調整方法である必要がある。
(課題2)調整結果に基づいて記録したデータの品質について
SbERが十分に小さいことを保証するためには、少なくとも連続する2Tの数が2個までの評価ビット列が、SbERの評価ビット列と一致、もしくは実質的に一致する必要がある。
(課題3)短時間での記録調整の実現に関して
記録パルスの条件,もしくは適応型記録パルスの各パラメータに対応して、それぞれ独立に評価可能な評価指標と調整方法である必要がある。
(課題1)調整結果に基づいて記録したデータの再生互換性について
前述のように,記録調整用の評価指標ではSNRの変化に依存せずにエッジシフトの評価指標が一定である必要がある。各ユークリッド距離差の分布はSNRに応じて平均値が変化する。W,T,L,Rは複数の時刻t(t=t0+1,t0+2,t0+3,t0+4,t0+5)に対する信号レベルであるので、これを多次元空間の座標として考えてみる。簡単のため、ハミング距離1の右シフト誤りついて考えると、PR(1,2,2,2,1)方式では、T(T1,T2,T3,T4,T5)、W(T1+δ1,T2+δ2,T3+δ3,T4+δ4,T5+δ5)、R(T1+1,T2+2,T3+2,T4+2,T5+1)とすることができる。さらに、この5次元空間の原点をTとする座標系を考えると、W,Rの位置ベクトル(=座標)を改めてW,Rとすると、W(δ1,δ2,δ3,δ4,δ5)、R(1,2,2,2,1)となる。T,L,Rを含む平面におけるこれらの関係を摸式的に図9に示す。図においてx軸は線分TRの方向に取っており、点Rが1となるように規格化している。また、y軸はx軸に直行する方向としているため、Wの値によってy軸は変化するものであって一定の方向を示すものではないことに注意されたい。W,T,Rに関するユークリッド距離には以下の関係がある。
(課題2)調整結果に基づいて記録したデータの品質について
本発明による記録条件の調整の結果、SbERが十分に小さい必要がある。これを実現するためには、記録パルスの調整によってdEDLとdEDRが最小になり,かつT、L、Rの評価ビット列とSbERの評価ビット列が実質的に等価である必要がある。
図15は,拘束長5のPR(1,2,2,2,1)方式に対応した評価ビット列の例であり,同様なものは特許文献4に記載されている。図に見られるように,拘束長5のPRML方式を用い,PRMLデコーダ2値化ビット列の中から評価ビット列を検索・抽出して再生信号の品質評価を実施する場合,ハミング距離ごとに18組で合計54組,すなわち108個の評価ビット列が列挙される。再生信号の評価を行う場合、これらの評価ビット列の検索・抽出処理を並行して実施する必要がある。
による評価ビット列との親和性を説明することができる。
(課題3)短時間での記録調整の実現に関して
記録パルスの条件,もしくは適応型記録パルスの各パラメータに対応して、それぞれ独立に評価可能な評価指標と調整方法を提供する必要がある。一般の光ディスク装置としては,単一の規格だけに対応するだけでなく,CD,DVD,BD,あるいはBDを基本とした高密度の光ディスクについても,同様に対応する必要がる。これらの規格に応じて,適応型記録パルスはそれぞれ異なるものである。また,記録調整のための評価指標としても,タイム・インターバル・アナライザーで測定する時間軸方向のエッジシフトおよびジッター,V−SEAT,本発明のL−SEAT等,それぞれに適したものを使うことが望まれる。これを実現するためには,先ず,記録調整用のパラメータ・テーブルとして選択すればよい。その上で,再生信号の各エッジごとにそのエッジシフトやSNRファクタのような評価値を算出する回路を前段に配置することによって,包括的な対応が可能になる。こうした,記録条件の調整用の回路のブロック構成の例を図22に示す。図において,光ディスク媒体から再生され,図示しないアナログフィルター処理を施された再生信号51はA/D変換器21によって6から8ビットのデジタル・データに変換され,自動等化器22によって等化された後PRMLデコーダ23によって2値化され,2値化ビット列52が出力される。記録条件調整用の信号品質の評価回路30はエッジ品質評価回路40,41,42,とセレクタ60,及び記録パルス品質評価テーブル35,およびタイミング調整器36から構成される。エッジ品質評価回路40はエッジごとにCD/DVD用の時間軸方向のエッジシフトの評価を行い,エッジ品質評価回路41はBD用にV−SEATの評価を行い,エッジ品質評価回路42は高密度BD用にL−SEATの評価を行う。各エッジ品質評価回路ではエッジごとにエッジシフト量,あるいは拡張エッジシフトやSNRファクタの算出を行う。セレクタ60では記録再生を行うディスクの種別に対応して,エッジ品質評価回路の出力を選択する。記録パルス品質評価テーブル35では,2値化ビット列52と,エッジ品質評価回路から出力されたエッジの評価指標を同期して,適応型記録パルスに応じたパターンの仕分けを行い,4x4テーブル等に分離して,各テーブル要素ごとに平均値や標準偏差の算出を行う。CPU140ではこの結果を参照しながら,適応型記録パルスの各パラメータの調整処理を実施する。以上の構成によって,複数の光ディスク媒体に対応した適応型記録パルスのパラメータ調整が可能になる。こうした構成によって,複数の適応型記録パルスのパラメータを並列して調整することが可能となり,単一の再生信号品質の評価指標を用いた方法に比較して,短時間の内に,かつ限られた試し書き領域を用いて記録パルスの条件調整が実施できる。
本発明の骨子は、BDのように最短ラン長が2Tの符号を用いた光ディスクにおいて、3種以上のハミング距離(N2T=0,1,2に対応)に対する目標信号を用いて、再生信号を評価する方法において、着目するエッジの品質の評価を各時刻において拡張エッジシフトを評価する方法、もしくは独立に算出したユークリッド距離差の分布の平均値を評価する方法によって評価し、これに基づいて記録条件を調整する方法とこの方法を実装した光ディスク装置である。
22 自動等化器
23 PRMLデコーダ
30 再生信号の評価回路
31 主ビット列判別回路
32 評価ビット列生成回路
33 ユークリッド距離計算回路
34 記録パルス対応パターン仕分け器
35 評価値集計回路
51 再生信号
52 2値化信号
53 等化再生信号
100 光ディスク
101 光スポット
110 光ヘッド
111 対物レンズ
112 半導体レーザ
113 光検出器
114 レーザ光
115 反射光
116 レーザドライバ
120 レーザパワー/パルス制御器
130 再生信号処理器
140 CPU
160 スピンドルモータ
Claims (4)
- 最短ラン長が2Tであるラン長制限の符号を用いて情報の記録を行い、適応等化方式とPRML方式を用い前記情報の再生を行う光ディスクにおける記録条件の調整方法であって、
前記PRML方式は、拘束長が5以上であり、
前記適応等化方式として、タップ係数Cnは、LMS法によって更新されたタップ係数anの時間軸方向に対称な位置の間で平均化された値が設定されるものであり、
前記光ディスクから得た前記適応等化された再生信号波形を前記PRML方式によって2値化し、第1の2値化ビット列を得る工程と、
前記第1の2値化ビット列の中から、着目するエッジを左右に1Tシフトさせたビット列として第2及び第3の2値化ビット列を生成する工程と、
前記第1から第3の2値化ビット列に対応する第1から第3の目標信号波形を生成する工程と、
前記再生信号波形をW、前記第1の目標信号波形をT、前記第2の目標信号波形をL、前記第3の目標信号波形をRとし、W、T、R、L間のユークリッド距離をED(a,b)(a,bはW・T・R・Lの何れか)と表し、注目するエッジが左方向にシフトする誤りについての評価値をxL、右方向にシフトする誤りについての評価値をxRとし、注目するエッジのエッジシフト量を拡張エッジシフトDとし、
xLを
xRを
前記拡張エッジシフトDを
前記第2の目標信号波形Lと前記第1の目標信号波形Tとのハミング距離、及び前記第3の目標信号波形Rと前記第1の目標信号波形Tとのハミング距離のうち、少なくとも1つは2以上であって、かつ、前記2の目標信号波形L、前記第1の目標信号波形T、前記第3の目標信号波形Rは前記ラン長制限を満たし、
前記拡張エッジシフトDの統計平均値△を用いて、前記記録条件を調整することを特徴とする記録条件の調整方法。 - 請求項1の記録条件の調整方法において、ディスクのラジアルチルト、タンジェンシャルチルト、フォーカスずれ、光ヘッドのビームエキスパンダの操作による球面収差の少なくとも一つを予め定めた後、記録条件を調整することを特徴とする記録条件の調整方法。
- 最短ラン長が2Tであるラン長制限の符号を用いて光ディスク媒体へ情報の記録を行い、適応等化方式とPRML方式を用いて前記情報の再生を行う機能を有する光ディスク装置において、
前記PRML方式は、拘束長が5以上であり、
前記適応等化方式として、タップ係数Cnは、LMS法によって更新されたタップ係数anの時間軸方向に対称な位置の間で平均化された値が設定されるものであり、
前記光ディスクから得た前記適応等化された再生信号波形を前記PRML方式によって2値化し、第1の2値化ビット列を得る手段と、
前記第1の2値化ビット列の中から、着目するエッジを左右に1Tシフトさせたビット列として第2及び第3の2値化ビット列を生成する手段と、
前記第1から第3の2値化ビット列に対応する第1から第3の目標信号波形を生成する手段と、
前記再生信号波形をW、前記第1の目標信号波形をT、前記第2の目標信号波形をL、前記第3の目標信号波形をRとし、W、T、R、L間のユークリッド距離をED(a,b)(a,bはW・T・R・Lの何れか)と表し、注目するエッジが左方向にシフトする誤りについての評価値をxL、右方向にシフトする誤りについての評価値をxRとし、注目するエッジのエッジシフト量を拡張エッジシフトDとし、
xLを
xRを
前記拡張エッジシフトDを
前記第2の目標信号波形Lと前記第1の目標信号波形Tとのハミング距離、及び前記第3の目標信号波形Rと前記第1の目標信号波形Tとのハミング距離のうち、少なくとも1つは2以上であって、かつ、前記2の目標信号波形L、前記第1の目標信号波形T、前記第3の目標信号波形Rは前記ラン長制限を満たし、
前記拡張エッジシフトDの統計平均値△を算出する手段と、
前記統計平均値△を用いて、前記記録条件を調整する手段を有することを特徴とする光ディスク装置。 - 適応等化方式として、タップ係数Cnが、LMS法によって更新されたタップ係数anの時間軸方向に対称な位置の間で平均化された値が設定されるものを用いる工程と、
光ディスクから得た前記適応等化された再生信号波形を拘束長が5以上のPRML方式によって2値化し、第1の2値化ビット列を得る工程と、
前記第1の2値化ビット列の中から、着目するエッジを左右に1Tシフトさせたビット列として第2及び第3の2値化ビット列を生成する工程と、
前記第1から第3の2値化ビット列に対応する第1から第3の目標信号波形を生成する工程と、
前記再生信号波形をW、前記第1の目標信号波形をT、前記第2の目標信号波形をL、前記第3の目標信号波形をRとし、W、T、R、L間のユークリッド距離をED(a,b)(a,bはW・T・R・Lの何れか)と表し、注目するエッジが左方向にシフトする誤りについての評価値をxL、右方向にシフトする誤りについての評価値をxRとし、注目するエッジのエッジシフト量を拡張エッジシフトDとし、
xLを
xRを
前記拡張エッジシフトDを
前記第2の目標信号波形Lと前記第1の目標信号波形Tとのハミング距離、及び前記第3の目標信号波形Rと前記第1の目標信号波形Tとのハミング距離のうち、少なくとも1つは2以上であって、かつ、前記2の目標信号波形L、前記第1の目標信号波形T、前記第3の目標信号波形Rはラン長制限を満たし、
前記拡張エッジシフトDの統計平均値△を用いて、前記記録条件を調整する工程と、
前記調整された記録条件に基づいて、最短ラン長が2Tの符号を用いて、情報の記録を行うことを特徴とする情報の記録方法。
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