JP5055144B2 - パイロットノズル、ガスタービン燃焼器およびガスタービン - Google Patents
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Description
ガスタービン燃焼器の壁面は高温の燃焼ガスから自身を守るためにフィルム空気を流し断熱層を形成し、かつ、表面に遮熱コーティング処理するという断熱対策が採られている。
しかし、燃焼器中央に位置するパイロットノズルの先端部は高温の拡散炎がすぐ近くに形成され、この拡散炎にさらされることで焼損しやすいという問題がある。
この対策として、たとえば、特許文献1に示されるように、パイロットノズルの先端部に空気を流して断熱層を形成するようにしている。
この噴射孔が形成されている部分は、最も拡散炎に近接しているので、その輻射熱によって焼損する恐れがある。
すなわち、本発明にかかるパイロットノズルは、燃料通路を形成する本体と、該本体の外周側先端部および先端側外周部を冷却媒体が通過する間隙を空けて覆うカバーリングと、該カバーリングの先端側に、周方向に間隔を空けて装着され、前記燃料通路と連通する燃料噴射孔を有する複数のノズルチップと、を備えるパイロットノズルであって、前記ノズルチップの先端に周囲よりも突出した先端突出部を備え、前記カバーリングの外周側に冷却媒体が通る間隙を有するように取り付けられ、その先端側は内側に向けて折曲されているスリーブを備え、該スリーブの先端部は前記先端突出部の先端部位置よりも冷却媒体流れ方向上流側に位置していることを特徴とする。
また、ノズルチップの先端に周囲よりも突出した先端突出部を備えているので、噴出孔から噴射される燃料がカバーリングの先端側表面から先端突出部の高さだけ離れることになる。燃料が離れると、それによって形成される炎もカバーリングの先端側表面から離れることになるので、カバーリングの先端側表面に対する炎の輻射熱の影響が小さくなる。これにより、カバーリングの先端側表面の温度上昇を抑制することができる。
なお、先端突出部は、噴射される燃料が冷却機能を発揮するので、比較的炎の影響を受け難い。
これらにより、パイロットノズルの先端部分の焼損を効果的に抑制することができる。
なお、冷却媒体としては、ガスタービン圧縮機からの圧縮空気の一部分を抽気して昇圧した後の空気や、排熱回収ボイラからの蒸気等が挙げられる。
また、スリーブの先端部は前記先端突出部の先端部位置よりも冷却媒体流れ方向上流側、すなわち、本体側、に位置しているので、冷却媒体は先端突出部から噴射される燃料を押し流すことがない。
このように、燃焼性に影響せずにカバーリングの先端側表面に冷却媒体層を形成することができるので、パイロットノズルの先端部分の焼損を一層効果的に抑制することができる。
したがって、本体の軸線中心を目指し下流側に向かうカバーリングの内側から本体の先端部に流れる冷却媒体の流れとは進行方向が異なることになり、その流れを変動させることがないので、燃焼性に与える影響を少なくすることができる。
このようにすると、冷却媒体の流れの方向を効率よく傾斜させることができる。
また、カバーリングの少なくともノズルチップの周辺部分には、厚さ方向に貫通した小径の複数の貫通孔が備えられているので、カバーリングと本体との間を通過する冷媒媒体がこの貫通孔を通ってカバーリングの先端側表面に滲みだし、冷却媒体層を形成する。
これにより、カバーリングの先端側表面の温度上昇を抑制することができる。
なお、貫通孔の大きさは、滲みだす冷却媒体が燃料等の流れに影響しないように調整することが望ましい。
[第一実施形態]
以下、本発明の第一実施形態について、図1〜図3を用いて説明する。
図1は、本実施形態にかかるガスタービン1の全体概略構成を示す部分断面側面図である。
ガスタービン1は、圧縮機3と、燃焼器(ガスタービン燃焼器)5と、タービン7とにより構成され、このタービン7に図示しない発電機が連結されている。
圧縮機3は、空気を取り込む空気取入口9を有し、圧縮機車室11内に複数の静翼13と動翼15が交互に配設されてなり、その外側に抽気マニホールド17が設けられている。
燃焼器5は、圧縮機3で圧縮された圧縮空気に対して燃料を供給し、バーナで点火することで燃焼可能となっている。
タービン7は、タービン車室19内に複数の静翼21と動翼23が交互に設けられている。
また、圧縮機3、燃焼器5、タービン7および排気室25の中心部を貫通するようにロータ29が位置しており、圧縮機3側の端部が軸受部31により回転自在に支持される一方、排気室25側の端部が軸受部33により回転自在に支持されている。
ロータ29には複数のディスクプレートが固定されており、各動翼15,23が連結されると共に、排気室25側の端部に図示しない発電機の駆動軸が連結されている。
燃焼器内筒37によって囲まれた空間内に燃焼ガスの流れが形成される。
燃焼器内筒37内には、その中心部にパイロットノズル41が設けられると共に、燃焼器内筒37の内周面に周方向に沿ってパイロットノズル41を取り囲むように複数の予混合ノズル43が設けられている。パイロットノズル41の先端部にはパイロットコーン45が装着されている。
一方、パイロットノズル41内では、圧縮空気がパイロット燃料棒から噴射された燃料と混合され、この混合気は図示しない種火により着火されて燃焼し、燃焼ガスとなって燃焼器内筒37内に噴出する。
そして、燃焼ガスの一部が燃焼器内筒37内に火炎を伴って周囲に拡散するように噴出することで、各予混合ノズル43から燃焼器内筒37および燃焼器尾筒39に流れ込んだ予混合気に着火されて燃焼する。
また、燃焼器5には、予混合ノズル35にメイン燃料を供給する燃料供給ライン47およびパイロットノズル41にパイロット燃料を供給する燃料供給ライン49が連結されている。
先端部分51は、燃料供給ライン49から供給されるパイロット燃料と圧縮空気との混合気の燃料通路53を構成する略中空円筒形状をした本体55が備えられている。本体55の外周側には、本体55の外周部57から間隙を空けて略中空円筒形状のスリーブ61が設置されている。
本体55とスリーブ61とで形成される空気通路63には、冷却媒体として昇圧された圧縮空気が先端側に向かって流れるように供給されている。
スリーブ61は、カバーリング65の周方向に間隔を空けて複数設けられた外側スペーサ73によってカバーリング55から所定の間隔を保持するように取り付けられている。
ノズルチップ75の先端に周囲よりも突出した先端突出部79が設けられている。
燃料噴射孔77の直径は、たとえば、1〜2mmであり、先端突出部79の突出量は、たとえば、2mmとされている。言い換えると、先端突出部79の突出量は燃料噴射孔77の最大の直径と略同等程度とされている。
噴射孔77から噴射される混合気(燃料)85は図示しない種火により着火されて燃焼し、高温の燃焼ガス87となって火炎を伴って周囲に拡散するように噴出する。
このとき、ノズルチップ75の先端に周囲よりも突出した先端突出部79を備えているので、噴出孔77から噴射される混合気85がカバーリング65の先端側表面から先端突出部79の突出量(高さ)だけ離れることになる。
なお、先端突出部79は、噴射される混合気が冷却機能を発揮するので、比較的炎の影響を受け難い。
燃焼ガス87がカバーリング65の先端側表面から離れると、カバーリングの先端側表面に対する燃焼ガス87の輻射熱の影響が小さくなるので、カバーリング65の先端側表面の温度上昇を抑制することができる。これにより、カバーリング65の先端側表面の温度上昇を抑制することができる。
先端冷却空気81は、カバーリング65の内側に案内されるので、先端側の折曲部で内側に方向を変えて進行する。すなわち、先端冷却空気は本体55の先端部59に沿って進行し、本体55の軸線中心Cの近傍を通って下流側に流れる。
したがって、先端冷却空気81は本体55の先端部59に断熱効果を有する空気層を形成するので、本体55の先端部59の温度上昇を抑制することができる。
外側空気通路69を通る外側冷却空気83は、燃焼ガス87の外周側における断熱を行う。
メンテナンス性のよい、また、燃焼温度を高くし得る燃焼器5および高効率なガスタービン1を提供することができる。
次に、本発明の第二実施形態について、図4〜6を用いて説明する。
本実施形態は、第一実施形態に比べて、パイロットノズル41の先端部分51冷却構造の構成が異なり、その他は同様なので、以下では、この相違点を主体として説明し、その他の重複するものについては説明を省略する。
なお、第一実施形態と同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
鍔部89先端の内側位置は、先端突出部79の先端側位置よりも本体55側(すなわち、外側冷却空気83の流れ方向上流側)に位置させられている。
また、外側スペーサ73は、図5に示されるように、外周側から見た形状が翼形とされている。外側スペーサ73をこのようにしたのは、外側冷却空気83の進行方向を効率的に傾斜させるためであり、この目的に合う構造であれば翼形に限定されず適宜形状とされてよい。たとえば、直方体を傾斜した方向に延在するようにしてもよい。
また、鍔部89は先端突出部79の先端側位置よりも本体55側(すなわち、外側冷却空気83の流れ方向上流側)に位置させられているので、外側冷却空気83は先端突出部79の先端部から噴射される混合気85を押し流すことがない。
このように、燃焼性に影響せずにカバーリング65の先端側表面に冷却媒体層を形成することができるので、パイロットノズルの先端部分の焼損を一層効果的に抑制することができる。
したがって、本体55の軸線中心Cを目指し下流側に向かう先端冷却空気81の流れとは進行方向が異なることになり、両者は合流することがない。したがって、外側冷却空気83が先端冷却空気81の流れを変動させることがないので、パイロットノズル41の燃焼性に与える影響を少なくすることができる。
次に、本発明の第一参考実施形態について、図7および図8を用いて説明する。
本参考実施形態は、第一実施形態に比べて、パイロットノズル41の先端部分51冷却構造の構成が異なり、その他は同様なので、以下では、この相違点を主体として説明し、その他の重複するものについては説明を省略する。
なお、第一実施形態と同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
カバーリング65の少なくともノズルチップ75の周辺部分には、カバーリング65の厚さ方向に貫通、すなわち、内側空気通路67と外部とを連通する小径の複数の貫通孔91が備えられている。
これにより、カバーリング65の先端側表面の温度上昇を抑制することができる。
なお、貫通孔91の大きさおよび個数は、滲みだす空気が燃料等の流れに影響しないように調整することが望ましい。
たとえば、上記各実施形態では、冷却媒体として圧縮機から抽気した圧縮空気を用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、たとえば排熱回収ボイラから抽気した蒸気を用いても良い。
3 圧縮機
5 燃焼器
7 タービン
41 パイロットノズル
43 予混合ノズル
53 燃料通路
55 本体
57 外周部
59 先端部
61 スリーブ
65 カバーリング
73 外側スペーサ
75 ノズルチップ
77 燃料噴射孔
79 先端突出部
89 鍔部
91 貫通孔
Claims (5)
- 燃料通路を形成する本体と、
該本体の外周側先端部および先端側外周部を冷却媒体が通過する間隙を空けて覆うカバーリングと、
該カバーリングの先端側に、周方向に間隔を空けて装着され、前記燃料通路と連通する燃料噴射孔を有する複数のノズルチップと、を備えるパイロットノズルであって、
前記ノズルチップの先端に周囲よりも突出した先端突出部を備え、
前記カバーリングの外周側に冷却媒体が通る間隙を有するように取り付けられ、その先端側は内側に向けて折曲されているスリーブを備え、該スリーブの先端部は前記先端突出部の先端部位置よりも冷却媒体流れ方向上流側に位置していることを特徴とするパイロットノズル。 - 前記カバーリングおよび前記スリーブは、周方向に間隔を空けて複数設けられたスペーサによって間隔を保持されるとともに該スペーサによって通過する冷却媒体の進行方向が傾斜させられることを特徴とする請求項1に記載のパイロットノズル。
- 前記スペーサは、外周側から見た形状が翼形とされていることを特徴とする請求項2に記載のパイロットノズル。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のパイロットノズルと、
該パイロットノズルの外周側に周方向に間隔を空けて配置された予混合燃焼させる複数の予混合ノズルと、
を備えていることを特徴とするガスタービン燃焼器。 - 請求項4に記載のガスタービン燃焼器と、
該燃焼器に圧縮空気を供給する圧縮機と、
前記燃焼器からの燃焼ガスによって回転させられるタービンと、
を備えていることを特徴とするガスタービン。
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