JP5052527B2 - 顕微鏡下における眼科手術用点眼装置 - Google Patents

顕微鏡下における眼科手術用点眼装置 Download PDF

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Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、顕微鏡下における眼科手術に用いられる点眼装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
白内障手術等のような顕微鏡下で行われる手術は、一般に患者を仰向けに寝かせ、手術を行う眼部のみが露出するように顔を清潔な不織布で覆って行われる。このとき、瞼を開く器具を使用して瞬きを抑制し、眼球の上方約20cmの位置にレンズが配置されるように顕微鏡を設置して行われる。
【0003】
眼科手術、特に白内障の手術においては、麻酔の方法として主に痛覚の抑制を目的とした局所麻酔を行うことが多い。このような局所麻酔では、患者は眼球を動かすことができる状態となっている。一方、手術時には手術部位が動かないように患者に眼球を固定してもらうことが必要となる。このため、従来は術者が口頭で患者に対して特定の方向を注視するように指示をして眼球を固定してもらっていた。
【0004】
しかしながら、このような指示では、患者は注視するための目標が無いために的確な方向を注視することが難しかった。また、白内障手術においては、眼球内部の水晶体を処置する必要がある等の理由により輝度の高い照明を必要とするため、患者の負担が大きく、眼球の固定が困難な状態となる。さらに、手術時には患者は極度の緊張状態に陥っているため、手術を行う眼球の動きは不規則になりやすいという問題があった。
【0005】
ところで、例えば日本国特開平9−173351号公報には、顕微鏡下の眼科手術において、患者が注視できるような目標が患者の目の網膜に映るようにした手術用顕微鏡が提案されている。当該手術用顕微鏡によれば、患者が注視できるような目標を患者に認識させることができる。
【0006】
しかしながら、上記公報に開示された顕微鏡は、眼球の表面を覆う角膜を手術する際に用いられるものであり、照明の輝度が低い。従って、当該顕微鏡は白内障手術では照明の輝度が不足するため用いることはできない。また、白内障手術に用いることができる顕微鏡に上記構成を採用する場合、既存の顕微鏡に上記構成を用いることはできないため、顕微鏡自体を交換する必要が生じ、膨大なコストがかかるという不都合がある。
【0007】
一方、眼科手術においては、手術部位の乾燥の防止、術野を妨げる血液の洗浄、細菌感染の防止等を目的として、手術助手が注射器を用いて術野への点眼液の滴下を行っている。この手術助手による点眼液の滴下は、術者の指示によって行われるが、滴下のタイミング、滴下位置、滴下量等が術者の期待する作業と異なることが多く、的確な滴下とならない場合があった。
【0008】
そこで、本願発明者は、日本国特開2003−250832号公報に示すように、術野の所望の位置への点眼液の滴下を、術者自身の片手の操作のみで簡便かつ確実に達成することができる眼科手術用点眼装置を提案した。当該点眼装置によれば、所定量の点眼液を所定のタイミングで正確な位置に滴下することが可能となった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本願発明者は、日本国特開2003−250832号公報に示す点眼装置の改良を行う中で、日本国特開平9−173351号公報に開示されたような特殊な顕微鏡を用いることなく患者に見やすい注視目標を見せることができることを知見した。さらに、本願発明者は、上記公報に開示された点眼装置の改良を行う中で、さらに誤操作が生じにくく、さらに清潔に使用できる点眼装置の構成を知見した。
【0010】
そこで、本発明は、顕微鏡下における眼科手術に用いられる点眼装置の改良を目的とする。さらに詳しくは、高輝度の照明を有する顕微鏡下の眼科手術においても患者に見やすい注視目標を標示させることができる点眼装置を提供することを目的とする。また、本発明の他の目的は、術者が滴下位置を変更する際に誤操作が生じにくい点眼装置を提供することを目的とする。また、本発明の他の目的は、術者が点眼装置を操作した際に作動が円滑であり、内部に汚れ等が進入しない点眼装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
[0011]
かかる目的を達成するために、本発明の点眼装置は、処置部に光を照射するための照明を備えた顕微鏡下において手術が行われる患者の眼球に点眼液を滴下する点眼装置であって、点眼液貯蔵部から供給される点眼液を滴下する滴下口を有する滴下管と、点眼液が患者の眼球中心に落下するように前記滴下管を固定対象に固定する固定部材とを備え、前記滴下管は透光性を有する素材で形成されると共に前記照明と前記患者の眼球とを結ぶ線上に遮光性を有する識別標識を備えていることを特徴とする。
[0012]
本発明の点眼装置によれば、前記滴下管が透光性を有しており、前記滴下管には顕微鏡の照明と患者の眼球とを結ぶ線上に遮光性を有する識別標識が設けられているため、患者は前記識別標識を認識することが可能となる。従って、本発明によれば、顕微鏡の交換等を伴うことなく、既存の顕微鏡に点眼装置を取り付けるだけで患者に認識可能な識別標識を提供することができる。
[0013]
また、本発明の点眼装置においては、前記識別標識は、前記顕微鏡の照明によって生じる前記識別標識自身の影が前記滴下口から滴下される点眼液の水滴に投影される位置に設けられていることが好ましい。本発明の点眼装置では、前記点眼液貯蔵部に貯蔵された点眼液は前記滴下口から滴下されるときは、滴下口から出た点眼液が水滴となり、その水滴の径が徐々に大きくなり、水滴の径が最大径となったときに重力により落下して患者の眼球に滴下される。その後、また滴下口に水滴ができ、その水滴が徐々に大きくなって滴下されるという状態を繰り返す。
[0014]
このため、患者側から見ると、点眼液の水滴は、徐々に大きくなり、ある程度大きくなったら落下して見えなくなり、また徐々に大きくなることを繰り返す点のように見える。ここで、前記滴下管の滴下口近傍には遮光性の識別標識が設けられているため、顕微鏡からの照明はこの識別標識で遮断されて点眼液の水滴に投影される。すると、点眼液の水滴は、患者側から見ると黒い円のように見える。一方、前記滴下管は透光性を有しており、顕微鏡の照明は滴下管を通過して患者に照射される。従って、患者から点眼液の水滴を見たときは、この水滴が黒く見え、その周囲は顕微鏡の照明によって明るく見える。
[0015]
このように、本発明の点眼装置によれば、患者側からは点眼液の水滴が徐々に大きくなって小さくなり、また徐々に大きくなる黒い円に見える。一般に、人は動かない物よりもある程度動きがある物の方が注視しやすい。また、前記黒い円は顕微鏡照明による周囲の明るさと比較してコントラストが高い。このため、本発明の点眼装置によれば、患者に注視しやすい注視目標を提供することができる。これは、特に白内障患者のように視力が低下している患者に有効である。また、患者が近視や遠視、或いは乱視の症状を有している場合であっても、前記水滴を注視目標として認識しやすい。
【0016】
また、本発明の点眼装置においては、前記識別標識の軸方向の長さが前記水滴の最大径の40%以上200%以下であることが好ましい。前記識別標識の長さが前記水滴の最大径の40%であれば前記水滴を患者側から見たときにほぼ黒色となる。一方、前記識別標識の長さが前記水滴の最大径の40%未満であるときは、前記水滴を患者側から見たときに照明の光が水滴内にみえ易くなるため、水滴のコントラストが低下する。従って、この水滴が識別しづらくなる。また、前記識別標識が前記滴下管の下流端部或いはその近傍に設けられている場合、前記識別標識の軸方向の長さが前記水滴の最大径の150%を越えると、患者側から水滴を見たときに水滴から識別標識が飛び出して見える部分が大きくなるため、水滴の大きさが相対的に小さくなり、患者から水滴を見たときに水滴の変化の度合が認識しづらくなる。また、前記滴下口が前記滴下管の下流端部ではなく前記滴下管の途中に設けられ、識別標識が前記滴下管の上流側及び下流側に設けられる場合を考慮すると、前記識別標識の長さは前記水滴の最大径の40%以200%以下であることが好ましい。また、前記識別標識を水滴部のみの識別標識として患者に認識させたい場合は、前記識別標識の長さを前記水滴の最大径の50%以上80%以下とすることが好ましい。
【0017】
また、本発明の点眼装置においては、前記識別標識は保水構造を備えていることが好ましい。前記識別標識を保水構造とすることにより、滴下される点眼液の水滴が大きくなる。このため、患者に見やすい注視目標を提供することができる。この保水構造は、前記識別標識の表面を粗面化したり、表面積を大きくすることにより構成してもよく、液切れの悪い(保水力或いは保水性の高い)素材を前記滴下管に固定することにより構成してもよい。
【0018】
また、本発明の点眼装置においては、前記識別標識は、マンセル表色系で、色相がRP乃至YRの赤系であり、明度が4乃至2に着色されていることが好ましい。高い輝度の照明の中で行う白内障手術においては、顕微鏡で患者の眼球を見ると、主に結膜血管に由来する赤色と黒目部分でも網脈絡膜血流の影響等の理由で暗い赤色が見える。前記識別標識に赤系の着色をすることにより、術者から患者の眼球を見たときに、前記識別標識が眼球の赤色と渾然一体となるため、術者に違和感を与えることが少ない。この赤系の着色はマンセル表色系でRとなるが、その周囲の紫色を含むRPや、黄色を含むYRであってもよい。また、前記識別標識の明度が高いと顕微鏡の視野に前記識別標識の反射光が入って術者の視野の妨げとなることがあるので、前記識別標識の色彩の明度を顕微鏡視野において反射光が気にならない明度とし、さらにマット調に仕上げることが好ましい。この明度は、マンセル表色系で4を超えると明度が高くなりすぎて反射光が多くなり、2未満となると色が黒に近くなるため、術者に違和感を与えるおそれがある。
【0019】
また、本発明の点眼装置においては、患者に見やすい注視目標とするために、前記滴下管を、前記滴下口から滴下される点眼液の水滴の最大径が3mm乃至4mmとなるように形成することが好ましい。また、同様に前記滴下口近傍の前記滴下管の直径が1mm乃至2mmであることが好ましい。
【0020】
また、本発明の点眼装置においては、前記識別標識は、前記顕微鏡からの照明により生じる影が前記滴下口から滴下される点眼液の水滴に投影される位置に設けられている主標識と、前記主標識の近傍で前記顕微鏡からの照明により生じる影が前記水滴に投影されない位置に設けられている補助標識とからなるものとしてもよい。当該構成によれば、前記主標識を患者側から見ると点眼液の水滴が滴下されることにより、黒い円が徐々に大きくなって落下して消え、また徐々に大きくなるという変化を繰り返すものとなる。一方、前記補助標識は、前記顕微鏡からの照明により生じる影が前記水滴に投影されない位置に設けられているため、患者側から見ると、点眼液の水滴の滴下には連動せず、常に一定の大きさに見える。従って、患者からは動きのある注視目標と、静止した注視目標とを認識することができる。このため、術者は動きのある前記主標識と静止した前記補助標識とを基準として患者に注視の方向を指示しやすく、患者もその指示に正確に対応することが可能となる。
【0021】
また、本発明の点眼装置においては、前記識別標識を、前記滴下管とは別個の部材で形成し、前記滴下管の軸方向に移動自在に装着してもよい。例えば、顕微鏡の角度を傾けた状態で本発明の点眼装置を使用した場合等に、前記滴下口が前記照明と前記患者の眼球とを結ぶ線上から外れることがある。このような場合であっても、前記識別標識は前記滴下管に対して軸方向に移動自在であるため、前記識別標識を前記照明と前記患者の眼球とを結ぶ線上に移動させることができる。従って、前記識別標識を確実に患者の見やすい位置に配置することができる。また、術者が注視位置を変更したい場合も容易に移動させることができる。
【0022】
また、本発明の点眼装置においては、前記点眼液貯蔵部に接続される導管を備え、前記点眼液貯蔵部側を上流側、前記患者の眼球側を下流側としたときに、前記滴下管は上流側が前記導管に外挿されると共に下流側に前記滴下口が設けられ、前記導管及び前記滴下管が、術者が前記滴下管に触れた状態で前記滴下管を前記導管に対して軸方向に移動させた際に、前記滴下管の上流端部近傍が前記導管の下流端部近傍に接近したことを触覚により識別できる触覚識別構造を備えていることが好ましい。
【0023】
当該構成によれば、前記滴下管の上流端部近傍が前記導管の下流端部近傍に移動された際には、術者が前記滴下管を介して触覚により前記識別構造を識別可能であるので、前記識別構造を識別したときに前記滴下管の進退を停止することにより、前記滴下管が前記導管の下流端から脱落することを防ぐことができる。また、前記識別構造は視覚ではなく触覚により識別可能なものであるので、前記滴下管の脱落防止のために術者が処置部から前記滴下管に目を移動する必要がなく手術を中断する必要もない。
【0024】
また、本発明の点眼装置においては、前記導管に設けられた触覚識別構造が、前記導管の外周面に設けられた連続した螺旋状の溝であることが好ましい。このような連続螺旋構造の溝は、前記導管の表面に連続した1度の加工で形成することができる。従って、例えば前記導管の外周に複数円周状の溝を設ける等の場合に比べて加工が容易となる。
【0025】
また、本発明の点眼装置においては、前記滴下管に設けられた触覚識別構造が、前記滴下管の上流端部に形成され内部に向けて突出する小径部であることが好ましい。当該構成により、前記小径部が前記導管側の触覚識別構造に係合したときは、前記滴下管の前記導管に対する摺動抵抗が変化するため、術者は前記滴下管の上流端部が前記導管の下流端部近傍に近づいたことを容易に認識することができる。
【0026】
また、本発明の点眼装置においては、前記点眼液貯蔵部側を上流側、前記患者の眼球側を下流側としたときに、上流側が前記点眼液貯蔵部に接続される筒状の胴部と、上流側が前記胴部の内部において胴部の軸方向に摺動自在且つ胴部の軸回りに回動自在に挿入された筒状の摺動筒と、上流側が前記摺動筒の下流端に接続されたL字状の導管とを備え、前記滴下管は上流側が前記導管に外挿され、下流側に前記滴下口が設けられ、前記摺動筒は、上流端部近傍の外周面に周方向に設けられ前記胴部の内面に摺動自在に密着するOリングを備えていることが好ましい。
【0027】
胴部と摺動筒とが摺動自在の構成において、両者間で点眼液が漏れるのを防止する構成としては、前記摺動筒の上流端部近傍にOリングを設ける場合の他に、例えば前記Oリングを前記胴部の下端部近傍の内周面に設けることも考えられる。しかしながら、前記胴部の下端部近傍の内周面に前記Oリングを設けたのでは、一度摺動筒が胴部の外側に出されると、摺動筒の外周面が外部に晒されることになる。そして、再度摺動筒が胴部内に挿入されると、一度外部に晒された摺動筒の外周面が胴部の内部にある点眼液に触れることになるので好ましくない。本発明においては、前記Oリングを前記摺動筒の上流端部近傍に設けたので、前記摺動筒を一度前記胴部の外側に出した場合であっても、前記胴部内の点眼液は胴部の内面に触れるのみとなる。従って、前記摺動筒を前記胴部から出し入れした場合であっても、これらの内部の点眼液は、外気中を漂う微生物等に汚染されにくく、また術者が前記摺動筒に触れたとしても、術者が触れた部分と点眼液の接触はないため、より清潔な状態に保たれる。
【0028】
また、本発明の点眼装置においては、前記固定部材は、前記固定対象物の表面に接着される固定板と、前記胴部を着脱自在に把持する把持部と、前記把持部の前記固定板に対する角度を変更可能な自在継手部とを備え、前記固定板は前記固定対象物の形状に合わせて変形可能なように可撓性を備えていることが好ましい。前記固定部材が固定される固定対象物は、主に顕微鏡の側面であるが、顕微鏡には多くの機種があり、その側面の形状も一様ではない。本発明の点眼装置の固定部材は、固定板が可撓性を有しており、変形可能であるため、多くの種類の顕微鏡に対応することができる。また、前記自在継手部によって前記固定板に対する前記把持部の角度が変更自在であるため、術者は容易に前記胴部の角度を変更することができる。
[0029]
また、本発明の点眼装置の使用方法は、処置部に光を照射するための照明を備え対物レンズの角度を術者から離反する方向に変更可能な顕微鏡下において、手術が行われる患者の眼球に点眼液貯蔵部から供給される点眼液を滴下する点眼装置を使用する方法であって、前記点眼装置は、前記点眼液貯蔵部惻を上流側、前記患者の眼球側を下流側としたときに、上流側が前記点眼液貯蔵部に接続される筒状の胴部と、上流側が前記胴部の内部において胴部の軸方向に摺動自在且つ胴部の軸回りに回動自在に挿入された筒状の摺動筒と、上流側が前記摺動筒の下流端に接続されたL字状の導管と、前記導管に外挿され下流側に滴下口が設けられた滴下管と、前記胴部の軸方向が上下方向となるように前記胴部を前記対物レンズ近傍の顕微鏡側面に固定する固定部材とを備え、前記滴下管は透光性を有する素材で形成されると共に前記照明と前記患者の眼球とを結ぶ線上に遮光性を有する識別標識をさらに備え、前記固定部を前記対物レンズ近傍の顕微鏡側面のうち、前記対物レンズの角度が変更される方向に前記滴下管の軸方向を一致させて固定することを特徴とする。
[0030]
顕微鏡の対物レンズ近傍の側面に本発明の点眼装置を固定した場合、顕微鏡の角度が変更されると滴下口の位置は患者の眼球の鉛直線上からずれることになる。このような場合であっても、本発明の点眼装置を対物レンズの角度が変更される方向に前記滴下管の軸方向を一致させて固定することにより、術者が前記滴下口の位置を患者の眼球の鉛直線上に移動させる際には、前記滴下管を前記導管に対して軸方向に移動させるだけでよい。従って、顕微鏡の対物レンズの角度を移動させた場合であっても、点眼装置の調整を容易に行うことができ、また、前記滴下管の何処かを患者から見える顕微鏡照明内に進入させることが可能になる。
発明を実施するための最良の形態
[0031]
次に、添付の図面を参照しながら本発明の実施形態についてさらに詳しく説明する。図1は、本実施形態の点眼装置の一構成例を示す説明図である。図2は、図1示の点眼装置における胴部及び滴下管の内部構造を示す断面図である。図3は、図1示の点眼装置における固定部材を示す斜視図である。図4(a)乃至(c)は滴下口から点眼液が滴下される状態を示す説明図であり、図4(a’)乃至(c’)は滴下口から点眼液が滴下される状態を患者側から見た説明図である。図5は顕微鏡の対物レンズの角度を変更した状態を示す説明図である。図6(a)乃至(c)及び(a’)乃至(c’)は本発明の点眼装置の第1変形例の使用状態を示す説明図である。図7は、本発明の点眼装置の第2変形例を示す説明図である。図8は、図7示の第2変形例の使用状態を示す説明図である。図9は、本発明の点眼装置の第3変形例を示す説明図である。図10は、本発明の点眼装置の第4変形例を示す説明図である。なお、本実施形態においては、点眼液貯蔵袋側を上流側、患者の眼球側を下流側として説明する。
【0032】
図1に示すように、点眼装置1は、顕微鏡60の下で行われる眼科手術において、患者の眼球2に点眼液3を滴下する装置であり、術者或いはその補助者により使用される。この点眼装置1は、図2に示すように、筒状の胴部10と、胴部10に対して軸方向に進退自在且つ胴部10の軸に対して回動自在に装着された摺動筒20と、摺動筒20の下流端部に設けられた針基22に接続された略L字状の導管30と、導管30の外周に挿入され導管30の軸方向に移動自在の滴下管40と、胴部10を固定対象物に固定する固定部材50とを備えている。
【0033】
胴部10は、図1及び図2に示すように、点眼液貯蔵袋72に輸液チューブ71を介して接続される接続口11と、内部に摺動筒20が挿入された胴部本体12と、胴部本体12の下流側に取り付けられたキャップ部13とを備えている。本実施形態では、接続口11と胴部本体12とは合成樹脂により一体成形されている。キャップ部13の下流端部13aは、後述する摺動筒20のシャフト21の外周面に向けて径が縮小されており、その端縁がシャフト21の表面に軽く接触し、シャフト21と摺動自在となっている。このキャップ部13も合成樹脂で形成されている。本実施形態では、胴部10の素材としてABS樹脂を用いている。
【0034】
摺動筒20は、ステンレススチール製のシャフト21と、シャフト21の下流端部に設けられたABS脂製の針基22を備えている。また、シャフト21の上流端部近傍には周方向に係止溝23が設けられ、この係止溝23にはシリコーンゴム製のOリング24が取り付けられている。このOリング24は、胴部10の内周面に摺動自在に密着しており、点眼液3が胴部10から漏れ出さない構成となっている。また、Oリング24の胴部10の内面との接触抵抗と、シャフト21と胴部10のキャップ部との摺動抵抗は、胴部10を固定した状態で術者が摺動筒20を片手で持って容易に摺動できるように低く抑えられている。
【0035】
また、摺動筒20を図2において下方に摺動させたときは、下端部においてOリング24がキャップ部13の下流端部13aと係合するため、Oリング24と下流端部13aとにより摺動筒20の抜け止めがなされる。また、胴部10と摺動筒20とはOリング24とキャップ部13の下流端部13aの2箇所が接触して摺動するため、摺動筒20の胴部10内での摺動が安定して行われる。
【0036】
導管30は、ステンレススチール製の管を略L字状に折り曲げることにより形成され、上流側の上流部31と下流側の下流部32とからなる。本実施形態では、この導管30の外径は0.9mmとなっている。上流部31は、摺動筒20の針基22の内部に連通するように固定されている。また、下流部32には、その下流端部から上流側に向けて所定の長さで識別溝33が設けられている。この識別溝33は、導管30の下流部32の外周面に連続した螺旋状の溝加工をすることにより形成されている。
【0037】
滴下管40は、可撓性を有する合成樹脂製(本実施形態ではポリプロピレン)の管であり、その下流端部は滴下口41となっている。この滴下管40は、図2の拡大図に示すように、その内径が導管30の外径よりも若干大径に形成され、導管30の外周に摺動自在に装着されている。本実施形態では、滴下管40の外径は約1.4mmである。また、その上流端部には、その下流側の内径よりも小径となるように加工された小径部42が設けられている。
【0038】
また、滴下管40の滴下口41には、所定の長さの識別標識43が設けられている。本実施形態では、この識別標識43の長さを、図4(c)の符号Dで示すように、約2.4mmとしている。この識別標識43は、滴下口41の周囲に遮光性を有する塗料により、表面が粗いつや消し塗装を施すことにより形成されている。本実施形態では、この識別標識43は、マンセル表色系で色相が赤系のRであり、明度が3となるように彩色されている。
【0039】
固定部材50は、図3に示すように、胴部10を把持する略U字状の把持部51と、顕微鏡60等の固定対象に貼着される固定板52と、この把持部51と固定板52とを接続するボールジョイント部53とを備えている。これらの部材は、本実施形態ではポリカーボネイトにより形成されている。また、固定板52の裏面には粘着テープ54が貼着されている。ボールジョイント部53は、固定部材50に対する把持部51の角度を変更自在となるように両者を連結している。このボールジョイント部53の角度変更の際の摺動抵抗は、固定板52が固定対象物に固定されている状態で、把持部51に把持された胴部10等が安定して保持されると共に、使用者が把持部51を持って容易に角度変更できるようなものとなっている。
【0040】
また、固定板52はポリカーボネイト製で可撓性を有しており、図3に示すように、表面に凹凸が設けられている。当該構成により、固定板52は、顕微鏡60の側面等の固定対象物に応じて湾曲させることが可能となっている。例えば、顕微鏡60は一般に多種多様な形状を有しているが、本実施形態における固定部材50の固定板52は、上記構成によってこれらの多種多様な形状の顕微鏡60に対応することができる。
【0041】
また、一般に、眼科手術に用いられる顕微鏡60は、図1に示すように、対物レンズ61及び接眼レンズ62を備えると共に、対物レンズ61の近傍に処置部(本実施形態では患者の眼球2)に光を照射する照明63を備えている。なお、図1に示す照明63から延びる破線は、照明63の照明光線を示している(図5、図8も同様)。また、照明63は、通常ハロゲンランプやキセノンランプが用いられており、その出力は12Vで50〜150Wのものが多く用いられている。これらの照明は、光を直接処置部に照射したり、光ファイバーを介して処置部に照射される。
【0042】
また、眼科手術に用いられる顕微鏡は、多くの場合、図1に示す矢印の方向に対物レンズ61の角度を変更することが可能となっており、術者に対して前後方向に対物レンズ61を回動させて角度を変更できるものが一般的である。本願では、以下に、このような一般的な構成である角度調整可能な顕微鏡60を例にして本実施形態の点眼装置1の使用方法の説明を行う。
【0043】
次に、図1を参照して、本実施形態の点眼装置1の使用状態について説明する。点眼装置1は、図1に示すように、胴部10の接続口11が輸液チューブ71を介して点眼液貯蔵袋72に接続される。この輸液チューブ71には点滴筒73、クレンメ74、三方活栓75等の公知の医療用具が取り付けられている。そして、点眼液貯蔵袋72内の点眼液3は、胴部10、摺動筒20、導管30及び滴下管40の内部を通過して滴下口41から滴下され、患者の眼球2に点眼される。なお、患者の眼球2は、手術時には、図1に示すように、瞼を開く器具である開瞼器76により瞬きが抑制されている。
【0044】
本実施形態の点眼装置1の使用方法は、次の通りである。まず、予め輸液チューブ71等に接続された点眼装置1を顕微鏡60の側面に固定する。一般に、眼科手術を行う術者は、顕微鏡60の角度を変更する際、手術を行う領域を広げるため、或いは手術をしやすくするため等の理由により、対物レンズ61を自身から遠ざける方向に回動させて角度を変更することが多い。このように、対物レンズ61を術者から遠ざける方向に回動させて顕微鏡60を使用する場合は、点眼装置1の固定位置を顕微鏡60の対物レンズ61近傍の側面であって術者に近い側とする。このとき、輸液チューブ71等は術者の手術の邪魔にならないように顕微鏡60の側面等に適宜固定する。
【0045】
次に、滴下管40の滴下口41を顕微鏡60と患者の眼球2との間であって、患者の眼球2の中心から鉛直線上の所定の高さに移動させる。この滴下口41の位置は、顕微鏡60の対物レンズ61の焦点を患者の眼球2中心に合わせた際に、滴下口41が対物レンズ61の焦点から外れ、術者が接眼レンズ62を見た際に滴下口41が像として映りにくい位置とする。
【0046】
この滴下口41の位置の移動は次のようにして行われる。まず、胴部10の位置調整が必要なときは、補助者が胴部10を持って固定部材50のボールジョイント部53の角度を変更させておく。続いて、滴下口41の高さ方向の移動は、術者が胴部10に対して摺動筒20を上下動させることにより行う。また、滴下口41の水平方向の移動は、胴部10に対して摺動筒20を回動させ、導管30に対して滴下管40を軸方向に摺動させることにより行う。本実施形態においては、胴部10に対する摺動筒20の移動、及び導管30に対する滴下管40の移動はすべて術者が片手で調整が可能となるように構成されているため、術者は上述のような位置の移動を片手で容易に行うことができる。特に、滴下管40の移動は、術者が滴下管40の側面に指で触れた状態で導管30の軸方向に動かすことにより行うことができるように形成されているため、術者による細かい調整が可能となっている。
【0047】
次に、手術時に顕微鏡60の対物レンズ61の近傍から照明63が照射された状態で滴下口41から患者の眼球2に点眼液3を滴下させる。この点眼液3の滴下は、クレンメ74、三方活栓75等を操作して点眼液貯蔵袋72から点眼液3を点眼装置1に供給することにより行う。
【0048】
本実施形態では、図4(c)の符号dで示すように、滴下口41から滴下される点眼液3の最大径が患者から見て約3mmとなるように構成されている。この点眼液3の直径の大きさは、滴下口41近傍の外径の大きさ、あるいは滴下管40や識別標識43に保水構造を持たせること等により変更が可能である。患者に対する見やすさを考慮すると、この点眼液3の直径の大きさは2mm乃至5mmが好ましく、特に3mm乃至4mmとなることが好ましい。また、点眼液3の滴下タイミングは、処置部の状態等、本来の手術眼への点眼機能の観点から適宜調節されるが、患者に対する注視指標(視標とも呼ばれる)としての見やすさをも考慮すると毎分10滴乃至30滴が好ましい。
【0049】
ここで、患者側から上方を見た状態について図4を参照して説明する。図4の(a)乃至(c)は、滴下口41と識別標識43と点眼液3との状態を側方から見た状態を示す。また、図4の(a’)乃至(c’)は、図4の(a)乃至(c)の状態の滴下口41等を患者側から見た状態を示す。図4(a)に示すように、滴下口41に点眼液3が付着していない状態では、図4(a’)に示すように、患者からは顕微鏡60の照明63による照明が円63aとなって見えており、その中に識別標識43が四角形の状態で見えている。ここで、滴下管40は透光性を有するため、患者からは滴下管40の輪郭がぼやけて見える程度となっている。一方、識別標識43は遮光性を有しており顕微鏡60の照明が遮断されるため、輪郭がくっきりと見える。このように、本実施形態の点眼装置1では、患者からは識別標識43のコントラストが高い状態で見えている。
【0050】
この状態から滴下口41に点眼液3が徐々に供給されると、図4(b)のように滴下口41の下方に点眼液3の水玉が形成され、その直径が徐々に大きくなる。この点眼液3の水玉には、顕微鏡60の照明63による識別標識43の影が投影されるため、患者からこの水玉を見ると、図4(b’)に示すように黒い円に見える。従って、患者側からは、最初は識別標識43が黒い四角形に見えており、その後点眼液3の水玉が大きくなるのに伴って黒い円が徐々に大きくなるように見える。そして、図4(c)のように点眼液3の水滴が最大径となり、その後滴下口41から落下して患者の眼球2に滴下されると、患者からは図4(c’)に示す状態から、点眼液の落下により一度視界が乱れ、また図4(a’)のように識別標識43の黒い四角形が見える。このように、患者からは点眼液3の滴下に伴って、識別標識43が動きのある黒い円となって見える。従って、白内障患者等の視力が低下した患者であっても、この識別標識43を識別することができる。
【0051】
本実施形態の点眼装置1によれば、視力が低下した患者であっても、注視目標となる識別標識43が動くものであり、識別がしやすいため、術者は患者に対して当該識別標識43を注視目標として指示することが容易となる。また、この識別標識43を基準として、患者に対してどちらの方向に目を向けるのかという指示を出すことも容易となる。
【0052】
ここで、図5に示すように、手術中に術者が顕微鏡60の対物レンズ61を遠ざける方向に回動させて顕微鏡60の角度を変更したときは、滴下口41の位置が患者の眼球2の鉛直線上(図5における一転鎖線)から外れることになる。この場合であっても、点眼装置1はこの対物レンズ61の移動方向と滴下管40の軸方向とが一致するように設置してあるため、術者は滴下管40に触れた状態で導管30に対して軸方向、即ち術者から遠ざかる方向に移動させるだけで滴下口41を患者の眼球2の鉛直線上に移動させることができるので、調整が容易となる。また、顕微鏡60の対物レンズ61を元の位置に戻す場合は、滴下管40を術者に近づける方向に移動させればよい。
【0053】
ここで、導管30の下流端部近傍には識別溝33が設けられており、滴下管40の上流端部には小径部42が設けられているため、この小径部42が識別溝33に係合したときは、滴下管40の導管30に対する摺動抵抗が変化するため、術者は滴下管40の上流端部が導管30の下流端部近傍に近づいたことを認識することができる。従って、術者が誤って導管30から滴下管40を引き抜いてしまうことを防止することができる。また、術者は触覚により滴下管40の上流端部が導管30の下流端部近傍に近づいたことを認識することができるため、術者は目で確認する必要がないため、接眼レンズ62から目を離さずに滴下管40の移動を行うことができる。
【0054】
次に、本発明の点眼装置における第1変形例について説明する。この第1変形例の点眼装置は、滴下管40に設けられた識別標識の構成が上記実施形態と異なっている。一方、その他の構成については、上記実施形態と同様の構成を備えている。第1変形例における識別標識は、図6(a)乃至(c)に示すように、滴下口41の近傍に設けられている主標識43aと、主標識43aとは所定の間隔を存して設けられた補助標識43bとからなる。主標識43aは、照明が上方から照射されたときに滴下口41に形成された点眼液の水玉に影が投影される標識である。補助標識43bは、照明が上方から照射されたときに滴下口41に形成された点眼液の水玉に影が投影されない位置に設けられている。これら主標識43a及び補助標識43bは、上記実施形態と同様に、遮光性を有する塗料でつや消し塗装をすることにより形成されている。また、色相と明度についても上記実施形態と同様である。
【0055】
この第1変形例における点眼装置を使用した場合、患者からは、図6(a’)に示すように、識別標識、即ち、主標識43aと補助標識43bとが見えている。そして、滴下口41から点眼液3の滴下が行われると、主標識43aは、その影が点眼液3の水滴に投影されるため、上記実施形態の識別標識43と同様に、図6(b’)乃至(c’)に示すように黒い四角形の状態から黒い円となって徐々にその円が大きくなり、図6(a’)に示すように再び四角形に戻るように見える。即ち、主標識43aは形状が変化する識別標識として患者に認識される。一方、補助標識43bの場合は、その影が点眼液3の水滴には投影されないため、黒い四角形の固定した識別標識として患者に認識される。
【0056】
このように、第1変形例における識別標識によれば、患者から見たときに形状の変化がある主標識43aと形状に変化のない補助標識43bを患者に認識させることができる。このため、術者は、患者に対して主標識43aと補助標識43bを指標(視標とも呼ばれる)として注視する方向を指示することができるため、1点のみの識別標識に比べて注視方向を正確に指示することができる。この補助標識43bは、上記第1変形例のように1個でもよいが、複数設けてもよい。
【0057】
次に、本発明の点眼装置における第2変形例について説明する。この第2変形例の点眼装置は、滴下管の構成と、この滴下管に設けられた識別標識の構成が上記実施形態と異なっている。一方、その他の構成については、上記実施形態と同様の構成を備えている。この第2変形例における識別標識43cは、図7に示すように、滴下管40aとは別個に設けられた筒状の部材により形成されている。この識別標識43cは、赤系に着色された合成樹脂により形成され、表面はつや消しとなるように粗面加工が施されている。この着色の色相と明度は上記実施形態と同様である。
【0058】
第2変形例における滴下管40aは、図7に示すように、外周面に識別標識43cが摺動自在に装着され、上流端部と下流端部に外周面に突出する突起44が設けられている。この突起44の外径は識別標識43cの内径よりも若干大径になっている。このため、識別標識43cは滴下管40aから容易には抜けない構成となっている。
【0059】
第2変形例の点眼装置は、上記構成を備えているため、識別標識43cを滴下管40aの下流端部、即ち滴下口41の近傍に位置させたときは、図4に示す場合と同様に、顕微鏡60の照明によって生じる識別標識43cの影が、滴下口41から滴下される点眼液3の水滴に投影されるため、上記実施形態の識別標識43と同様に、形状の変化を生じる識別標識として患者に認識させることができる。
【0060】
また、例えば、図8に示すように、術者が顕微鏡60の角度を大きく変化させて手術を行う場合、顕微鏡60の照明63の位置等によっては照明63と患者の眼球2とを結ぶ線上に滴下口41(眼球の鉛直線上)が位置しない場合がある。このような場合であっても、第2変形例の点眼装置によれば、識別標識43cを照明63と患者の眼球2とを結ぶ線上に移動させることができるため、患者に識別標識43cを認識させることができる。この第2変形例においては、識別標識43cを1個としているが、これに限らず、識別標識43cを複数設けてもよい。
【0061】
本発明の点眼装置における第3変形例について説明する。この第3変形例の点眼装置は、滴下管に設けられた識別標識の構成が上記実施形態と異なっている。一方、その他の構成については、上記実施形態と同様の構成を備えている。この第3変形例における識別標識43dは、図9に示すように、滴下管40の下流端部において、下方に濾紙や不織布、或いは液切れの悪い(保水力の良い)素材が垂れ下がるように形成している。この識別標識43dは、滴下管40とは別個に設けられた筒状の部材により形成されている。このように、識別標識として、表面積を大きくしたり、濾紙等の保水力(保水性)の高い素材を用いて保水力を高める構造とすることにより、滴下口41から滴下される点眼液3の水滴の径を大きくすることができる。但し、識別標識43dの素材、形態はこれらに限定されるものではない。
【0062】
次に、本発明の点眼装置における第4変形例について説明する。この第4変形例の点眼装置は、滴下管の構成と、この滴下管に設けられた識別標識の構成が上記実施形態と異なっている。一方、その他の構成については、上記実施形態と同様の構成を備えている。この第4変形例における滴下口41aは、滴下管40bの下流端部ではなく、滴下管40aの側面に設けられている。また、滴下管40aの下流端部は閉塞されている。第4変形例における識別標識43eは、図10に示すように、滴下口41aの上流側のみならず下流側にも設けられている。このような構成とすることによっても、上記実施形態と同様に、患者に動きのある識別標識を見せることができる。なお、この第4変形例においても、補助標識43bを併設してもよい。例えば、図10において点線で示すように、補助標識43bを識別標識43eの上流側及び下流側に併設してもよい。また、補助標識43bを識別標識43eの上流側のみに設けてもよく、下流側のみに設けてもよい。
【0063】
なお、上記実施形態及び各変形例において示された材質や寸法、色調、構造等は一例であり、これに限られるものではない。また、上記実施形態及び各変形例において、各識別標識は塗料を滴下管に塗ることにより形成しているが、これに限らず、遮光性を有する粘着テープのようなものを用いて識別標識としてもよく、滴下管内面に加工処理を施してもよい。また、識別標識は、滴下管の下流端部に設ける場合の他、下流端部から若干上流側にずれた位置に設けるようにしてもよい。また、滴下管は、用途に応じて長さおよび識別標識の形態の異なるものを複数用意しておき、適宜必要な長さの滴下管を選択して使用するようにしてもよい。
【0064】
また、上記各点眼装置は、顕微鏡60の側面に取り付けられているが、これに限らず、顕微鏡とは別個のスタンド(図示せず)等に取り付けてもよい。また、上記各点眼装置は、導管30に設けられた触覚識別構造として螺旋状の溝を採用しているが、これに限らず、導管30の表面に凹凸を設けて触覚識別構造としてもよい。また、滴下管40は、術者が外部から指で触れた際に導管30の触覚識別構造を識別可能なように、柔らかい素材で形成してもよく、その厚さを薄いものとしてもよい。また、上記各店目装置は、輸液チューブ71やコネクタ(図示せず)が胴部10に固定されているものであってもよく、輸液チューブ71等が別体のものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本実施形態の点眼装置の一構成例を示す説明図。
【図2】図1示の点眼装置における胴部及び滴下管の内部構造を示す断面図。
【図3】図1示の点眼装置における固定部材を示す斜視図。
【図4】(a)乃至(c)は滴下口から点眼液が滴下される状態を示す説明図、(a’)乃至(c’)は滴下口から点眼液が滴下される状態を患者側から見た説明図。
【図5】顕微鏡の対物レンズの角度を変更した状態を示す説明図。
【図6】(a)乃至(c)及び(a’)乃至(c’)は本発明の点眼装置の第1変形例の使用状態を示す説明図。
【図7】本発明の点眼装置の第2変形例を示す説明図。
【図8】図7示の第2変形例の使用状態を示す説明図。
【図9】本発明の点眼装置の第3変形例を示す説明図。
【図10】本発明の点眼装置の第4変形例を示す説明図。

Claims (15)

  1. 処置部に光を照射するための照明を備えた顕微鏡下において手術が行われる患者の眼球に点眼液を滴下する点眼装置であって、
    点眼液貯蔵部から供給される点眼液を滴下する滴下口を有する滴下管と、
    点眼液が患者の眼球中心に落下するように前記滴下管を固定対象に固定する固定部材とを備え、
    前記滴下管は透光性を有する素材で形成されると共に前記照明と前記患者の眼球とを結ぶ線上に遮光性を有する識別標識を備えていることを特徴とする点眼装置。
  2. 前記識別標識は、前記顕微鏡の照明によって生じる前記識別標識自身の影が前記滴下口から滴下される点眼液の水滴に投影される位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の点眼装置。
  3. 前記識別標識の軸方向の長さが前記水滴の最大径の40%以上200%以下であることを特徴とする請求項2に記載の点眼装置。
  4. 前記識別標識は、保水構造を備えていることを特徴とする請求項2又は3に記載の点眼装置。
  5. 前記識別標識は、マンセル表色系で、色相がRP乃至YRの赤系であり、明度が4乃至2に着色されていることを特徴とする請求項1に記載の点眼装置。
  6. 前記滴下管が、前記滴下口から滴下される点眼液の水滴の最大径が3mm乃至4mmとなるように形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の点眼装置。
  7. 前記滴下口近傍の前記滴下管の直径が1mm乃至2mmである請求項1乃至5のいずれか1項に記載の点眼装置。
  8. 前記識別標識は、前記顕微鏡からの照明により生じる影が前記滴下口から滴下される点眼液の水滴に投影される位置に設けられている主標識と、前記主標識の近傍で前記顕微鏡からの照明により生じる影が前記水滴に投影されない位置に設けられている補助標識とからなることを特徴とする請求項1に記載の点眼装置。
  9. 前記識別標識は、前記滴下管とは別個の部材で形成され、前記滴下管の軸方向に移動自在に装着されていることを特徴とする請求項1に記載の点眼装置。
  10. 請求項1に記載の点眼装置であって、
    前記点眼液貯蔵部に接続される導管を備え、
    前記点眼液貯蔵部側を上流側、前記患者の眼球側を下流側としたときに、
    前記滴下管は上流側が前記導管に外挿されると共に下流側に前記滴下口が設けられ、
    前記導管及び前記滴下管は、術者が前記滴下管に触れた状態で前記滴下管を前記導管に対して軸方向に移動させた際に、前記滴下管の上流端部近傍が前記導管の下流端部近傍に接近したことを触覚により識別できる触覚識別構造を備えていることを特徴とする点眼装置。
  11. 前記導管に設けられた触覚識別構造が、前記導管の外周面に設けられた連続した螺旋状の溝であることを特徴とする請求項10に記載の点眼装置。
  12. 前記滴下管に設けられた触覚識別構造が、前記滴下管の上流端部に形成され内部に向けて突出する小径部であることを特徴とする請求項10又は11に記載の点眼装置。
  13. 請求項1に記載の点眼装置であって、
    前記点眼液貯蔵部側を上流側、前記患者の眼球側を下流側としたときに、
    上流側が前記点眼液貯蔵部に接続される筒状の胴部と、
    上流側が前記胴部の内部において胴部の軸方向に摺動自在且つ胴部の軸回りに回動自在に挿入された筒状の摺動筒と、
    上流側が前記摺動筒の下流端に接続されたL字状の導管とを備え、
    前記滴下管は上流側が前記導管に外挿され、下流側に前記滴下口が設けられ、
    前記摺動筒は、上流端部近傍の外周面に周方向に設けられ前記胴部の内面に摺動自在に密着するOリングを備えていることを特徴とする点眼装置。
  14. 前記固定部材は、前記固定対象物の表面に接着される固定板と、前記胴部を着脱自在に把持する把持部と、前記把持部の前記固定板に対する角度を変更可能な自在継手部とを備え、前記固定板は前記固定対象物の形状に合わせて変形可能なように可撓性を備えていることを特徴とする請求項13に記載の点眼装置。
  15. 処置部に光を照射するための照明を備え対物レンズの角度を術者から離反する方向に変更可能な顕微鏡下において、手術が行われる患者の眼球に点眼液貯蔵部から供給される点眼液を滴下する点眼装置を使用する方法であって、
    前記点眼装置は、前記点眼液貯蔵部側を上流側、前記患者の眼球側を下流側としたときに、上流側が前記点眼液貯蔵部に接続される筒状の胴部と、上流側が前記胴部の内部において胴部の軸方向に摺動自在且つ胴部の軸回りに回動自在に挿入された筒状の摺動筒と、上流側が前記摺動筒の下流端に接続されたL字状の導管と、前記導管に外挿され下流側に滴下口が設けられた滴下管と、前記胴部の軸方向が上下方向となるように前記胴部を前記対物レンズ近傍の顕微鏡側面に固定する固定部材とを備え、
    前記滴下管は透光性を有する素材で形成されると共に前記照明と前記患者の眼球とを結ぶ線上に遮光性を有する識別標識をさらに備え、
    前記固定部を前記対物レンズ近傍の顕微鏡側面のうち、前記対物レンズの角度が変更される方向に前記滴下管の軸方向を一致させて固定することを特徴とする点眼装置の使用方法。
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