JP5052101B2 - 接合方法 - Google Patents

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Description

本発明は、光学ガラスレンズ,樹脂レンズ,プリズム等の光学素子やガラス磁気ディスク基板の成形型などに用いる接合体に関するものである。
ガラス成形型材としてガラス状カーボンを使用することは(特許文献1)などで知られている。ガラス製光学素子の場合、成型温度が600℃を超えることも稀でなく、温度が高いことによる成形型の高温劣化や、ガラスと成型部との融着が生じにくい点からガラス状カーボンが型材として有効である。
光学素子の成形に使用するガラス成形型をガラス状カーボンで構成するには、ある程度物理的な大きさがある方が好都合である。それは成型面の形状変更等をする場合、追加工すれば容易にできるからである。しかしながら、ガラス成形に適したガラス状カーボンは、10mm厚み以下の板状の素材しか工業的に製造されていない。それ故にガラス状カーボンが耐熱性、ガラス素材との反応性の少なさ、離型性の良さなど、ガラスの成形に使用する上でのメリットを有することが古くから知られていたにも関わらず、工業的にも利用されていなかった。
現在、工業的に利用されたガラス成形型素材としては、耐熱性、強度面から、超硬やセラミックスが基材として使用され、ガラスと接する成形面には白金系の合金膜やDLC(ダイヤモンドライクカーボン)、カーボン系の薄膜が形成されている。しかし、型の基材として耐熱性と強度に優れた材料を使用していても、ガラスと接する成形面の薄膜が剥がれたりするため、成形型の寿命が短いという問題がある。
そこで、元に立ち返って(特許文献2)〜(特許文献5)などでは、バルク材のガラス状カーボンを成形型として使用する試みがなされている。
(特許文献2)においては、カーボン系材料からなる基材と、成形面となるガラス状カーボンを、カーボン系の接着剤を用いて接合するアイデアである。基材、接着剤、ガラス状カーボンの三者の熱膨張率は比較的近く、熱による応力の発生は比較的少ないと考えられる。
(特許文献3)(特許文献4)では、ガラス状カーボンと基材とをろう付けすることが提案されている。
(特許文献5)では、SiC基材の上に中間材を設けて、ホットプレス法により接合を行い、ガラス成形型とした例がある。
このような構成では基材と成形材とで機能を分けることが可能となり、より高性能な成形型を構成することができる。基材と成形用材料との接合部を連続的に変化するように基材と成形用材料を一体で作り込むことが可能とされている。
特開昭47−11277号公報 特許第2626880号 特開平6−340435号公報 特開2005−112672号公報 特開2001−335334号公報
しかしながら、(特許文献2)のように基材となるカーボン材とガラス状カーボンを炭素系接着剤で結合するのは、型構成の上で問題がある。一つに基材の強度が弱すぎて、実用上問題が生じる。第二に、カーボン系接着剤とガラス状カーボンの接合力が弱く、実用に供しない。
次に(特許文献3)のようにガラス状カーボンと基材となる金属をろう付けすることは、技術的に困難である。まず第一にガラス状カーボンは濡れ性が低く、ろう材がそのままでは結合力を持たない。
(特許文献4)の方法では接合は可能であり、接合強度も十分であるが、接合面積が大きくなると、熱応力が高くなり破壊する可能性がある。これは、基材となる炭化珪素とガラス状カーボンの熱膨張係数は3〜4×10−6/℃と小さく、かつほぼ等しいのに対して、ろう材の熱膨張係数は18×10−6/℃と大きい組合せであることに起因している。
このような接合体をガラス成形型に用いると、昇温と降温の成形サイクルを繰り返すことで熱疲労破壊することが容易に推察できる。特に、SiCとろう材の界面は、SiCのヤング率が高いために発生する応力も大きくなり、この界面で熱疲労破壊する可能性が高い。
次にSiC基材とガラス状カーボンをホットプレス法で接合する構成は、複合体を作る工程が複雑すぎて、実用的でない。基材と成形部となる機能材とを接合する目的で構成する中間材は、多元素により構成されているので、高価な成膜装置を複雑な管理の下で成膜する必要がある。かつ中間材の厚みが1ミクロン以上と厚いので、実施するにあたって時間も要するという課題を有している。
基材となるSiCとガラス状カーボンを一体で作り込もうとしても、SiCの焼成条件とガラス状カーボンの焼成条件は異なり、同時に作り込めたとしてもそれぞれの機能が十分満たされない。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、従来に比べて容易にガラス状カーボンと炭化珪素などの基材との接合体を構成できる、実用的な接合体とその接合方法を提供することを目的とする。
本発明の請求項1記載の接合方法は、炭素材料と前記炭素材料との接合面に炭素を構成元素の一つとする炭化物系セラミックス材料とを積層して接合するに際し、前記炭素材料と前記炭化物系セラミックス材料との間に前記炭化物系セラミックス材料の炭素以外の構成元素より成る層を挟んで積層する工程と、積層した前記炭素材料と前記炭化物系セラミックス材料を接合装置のチャンバーにセットして前記チャンバーの内部を真空引きする工程と、積層した前記炭素材料と前記炭化物系セラミックス材料の接合面に圧力を付与する工程と、接合装置の前記チャンバーを昇温して前記炭化物系セラミックス材料の炭素以外の構成元素より成る層と前記炭化物系セラミックス材料の間で原子拡散を誘起する工程とを有し、前記炭化物系セラミックス材料は炭化珪素であり、前記接合面に付与する圧力が少なくとも5MPa以上であることを特徴とする。この構成によると、容易でかつ強固に接合できる。
本発明の請求項2記載の接合方法は、請求項1において、前記炭化物系セラミックス材料の炭素以外の構成元素より成る層の接合温度は、1100℃〜1350℃であることを特徴とする。
本発明の請求項3記載の接合方法は、請求項2において、前記炭素材料と前記炭化物系セラミックス材料との間に前記炭化物系セラミックス材料の炭素以外の構成元素より成る層を挟んで積層する工程は、前記炭素材料または前記炭化物系セラミックス材料の接合面の少なくとも一方に、前記炭化物系セラミックス材料の炭素以外の構成元素より成る層を成膜してから積層することを特徴とする。この構成によると、炭素材料と炭化物系セラミックス材料との間に、前記炭化物系セラミックス材料の炭素以外の構成元素を容易に挟むことができる。
本発明の請求項4記載の接合方法は、請求項1〜請求項3の何れかにおいて、前記炭素材料が、ガラス状カーボン、ダイヤモンド、グラファイトあるいはフラーレン結晶体であることを特徴とする。
本発明の請求項5記載の接合方法は、請求項1〜請求項4の何れかにおいて、前記炭化物系セラミックス材料の炭素以外の構成元素より成る層の成膜厚みが1マイクロメートル以下であることを特徴とする。この構成によると、炭化物系セラミックス材料の炭素以外の構成元素と炭素材料が良好に反応し、より強固な接合が可能となる。
本発明の請求項6記載の接合方法は、請求項1〜請求項5の何れかにおいて、前記チャンバーの内部を真空引きする工程では、前記チャンバーの内部を真空引きし雰囲気圧力を1×10 −1 Pa以上の真空度に高め、前記原子拡散を誘起する工程の後に、前記チャンバーの内部の雰囲気圧力を、1×10 −1 Pa以上の真空度から大気圧に戻す大気開放工程を、さらに有することを特徴とする。
このように、従来に比べて容易に炭素材料と炭化物系セラミックス材料の基材との接合体を構成でき、製作された接合体の炭素材料側を成形面とした光学素子用成形型を製作することが可能となる。また、成形型によれば、成形時の高温と取出し時の常温を繰り返しても、接合部での発生応力も小さく、熱疲労に耐えることができ実用的である。また、実用的に入手可能なガラス状カーボンなどの炭素材料を成形部に使用することが可能となるので、高温での耐久性や離型性の点でも優れる。
以下、本発明の接合方法を具体的な実施の形態に基づいて説明する。
図1は、本発明の接合方法による接合体の製作プロセスフローである。
1は炭素材料としてのガラス状カーボンである。2は基材としてのセラミックスで、具体的には炭化物系セラミックスとしての炭化珪素である。ガラス状カーボン1の接合面1aとセラミックス2の接合面2aは、あらかじめ平滑に研磨しておくと接合時に有効である。図では平面のように描いているが、曲面であってもかまわない。
平滑研磨の後、炭化珪素2の接合面2aに前記セラミックス2である炭化珪素の炭素以外の構成元素より成る層としての珪素膜3を薄膜プロセスで形成する。珪素膜3の厚みは1マイクロメートル以下が有効である。成膜方法はスパッタリングや蒸着でもかまわない。
成膜後、接合面1aとの接合面2aが珪素膜3を介して接するようにして、接合装置5に入れる。接合装置5は、チャンバー内を真空にする機能と、試料を加圧する機能および加熱する機能を備えている必要がある。実際の接合プロセスは、試料投入後、接合装置5のチャンバー内を所定の圧力まで真空にする。
これ以降、試料を加熱する。加熱開始のタイミングは、真空度が所定の値に達してからが望ましい。ガラス状カーボン1を酸素雰囲気中で加熱すると、酸素と反応し一酸化炭素、二酸化炭素が発生するためである。一般的に酸素との反応は400℃付近より上の温度で生じる。真空にする意味は、酸素の排出であるため、酸素置換すれば窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気でも接合できる可能性がある。
次に所定の温度に到達後、ガラス状カーボン1とセラミックス2を上下から加圧して接合面1a,2aに圧力を掛け、一定時間保持する。高温下で圧力を掛けることで、珪素膜3とガラス状カーボン1が界面反応により炭化珪素が形成される。即ち、接合完了後は中間材の珪素膜3の層はほぼ消失する。また、高温下で圧力を掛けることで、珪素膜3はカーボンと反応し部分的に炭化珪素を形成することで、接合面2aから積層方向に炭化珪素の割合が変化し炭化珪素になった部分とカーボンとが混じり合った混合層4が形成されている。
この高温下で加圧した後は、常温まで冷却し、大気開放して試料を接合装置5から取り出す。
前述した概略の工程を、各工程毎に詳述する。
図2は本発明のプロセスで使用した試料のサイズを示す。ここではガラス状カーボン1として厚みが3mmのCG23(東海カーボン株式会社・商品名)を使用した。セラミックス2として厚みが4mmの炭化珪素SC1000(京セラ株式会社・商品名)を使用した。
ガラス状カーボン1の接合面1a,セラミックス2の接合面2aを、ラッピングにより加工した。接合面1a,2aともに、平均粒径2ミクロンのダイヤモンドスラリーを使用し、錫ラップ盤で加工した。図3(a)(b)に平滑研磨後の接合面の顕微鏡拡大図を示す。
ガラス状カーボン1の接合面1aは、最大高さ29ナノメートルの面となった。同じ加工条件で施したセラミックス2の接合面2aは、最大高さ54ナノメートルである。接合面2aは、材料内部に存在する気孔が現れるので、部分的に凹んだ加工面となっていることがわかる。
本発明の接合を実施する上で、接合面をどの程度平滑にする必要があるか、その詳細は不明であるが、本発明のメカニズムから鑑みて、より平滑である方が実質の接合面積が増えて有効であることが予想される。言い換えれば、接合する面のあらさが大きくなると、実質的に接触している部分は接合できるが、部分的未接合の部分が増えるので全体としての所定の接合強度に達しない場合があることが考えられる。
次に、セラミックス2の接合面2aに珪素膜3の膜を形成する。今回のプロセスの中では、珪素をスパッタリングして形成した。珪素膜3の厚みは、1マイクロメートル以下で十分である。接合後に、この珪素膜3はカーボンと反応して炭化珪素となるので、必要以上に厚いと反応時間を要し、接合不十分になることが考えられる。
上記接合の理論的な検討を図9(a)〜図9(d)に基づいて説明する。
炭素材料(例えばガラス状カーボン)と炭化物系セラミックス材料(例えば炭化珪素)を、真空中で珪素薄膜を介して密に接触させ、適度に温度を上げると、各材料の構成原子の拡散が活発に生じるようになる。しかし、原子間の結合エネルギー(=原子の拘束力:移動のしにくさの指標)が材料によって大きく異なるため、拡散による原子の移動速度は材料によって大きく異なる。炭化珪素中の炭素と珪素は非常に強く共有結合し、化学的に安定化しているのに対して、珪素は温度を上げることで著しく活性化し、材料自身の中での原子拡散(自己拡散と呼ばれる現象)が活発に生じるようになる。また、珪素中への炭素の溶解度、炭化珪素中への珪素の溶解度は、いずれも非常に微々たるものであることが知られている。したがって、珪素中への炭素、および炭化珪素中への珪素の拡散溶解はほとんど生じないと考えられる。以上のことから、接合界面で生じる原子移動は、珪素薄膜からガラス状カーボンへの原子拡散がほとんどであることが分かる。
ガラス状カーボン中に拡散した珪素原子は、直ちにガラス状カーボンの炭素原子と強固な共有結合を形成して炭化珪素を生成する。炭化珪素を形成した領域では、以降の原子移動が著しく拘束されるようになる。そのため、珪素原子は接合界面の未接合部(空隙となっている領域)を表面拡散することでガラス状カーボンの未反応領域に達し、反応するようになる。このように、接合の極めて初期の段階では接合界面に対して垂直な方向への珪素原子の拡散が主であるが、これは次第に速度を減じ、界面の未接合部に沿った(界面に平行な方向への)原子拡散が支配的に生じるようになる。
ガラス状カーボン、珪素薄膜、炭化珪素は、いずれも金属材料に比べると塑性変形がほとんど期待できない脆性材料であるので、接合面を平滑に仕上げたとしても初期段階で実際に接触している面積は極めて少ないことが分かる(図9(a))。接合時の界面に平行な方向への原子拡散は、このような未接合部(=空隙)に向かう原子の流れと捉えることができる。この機構によって、空隙が充填されることで実質の接合面積が拡大して行く(図9(b)〜(c))。そして、最終的には珪素薄膜が完全にガラス状カーボンと反応して炭化珪素となり、大きな空隙がごくわずかに残留した接合界面が形成される(図9(d))。図9(a)から図9(c)への過程は非常に高速で進行するが、図9(c)から図9(d)への過程はかなり時間を要するものとなる。
図4に本発明で使用した接合装置5の概略図を示す。
本発明は必ずしも図4と同じ構成でなくとも実現できるが、一例として使用した接合装置について説明する。
接合装置5は、チャンバー6と、本図では詳述していないがチャンバー6内を所定の真空度にするための真空ポンプ7を備える。また、チャンバー6の内部には試料を加熱する加熱装置8と、圧力を加える油圧シリンダ9を備えている。
加熱装置8は、誘導コイル10によって、カーボン製の加熱体11を誘導加熱する。加熱体11内には、熱電対12を設けて、誘導コイルを制御するためのコントローラ(図示せず)にフィードバックして温度制御するように構成されている。加熱体11の内側に試料を設置する構成となっている。また、加熱温度が高いので誘導コイル10の保護のために断熱材13が設けられている。
加熱装置8は、以下のように動作する。
所定の温度プロファイルに基づいて制御すると、誘導コイル10に電流が流れ、加熱体11が昇温する。その結果、加熱体11のさらに内側に設けた試料(ガラス状カーボン1、セラミックス2と図示していない珪素膜3)を輻射で加熱する。温度は加熱体11の温度を熱電対12で測定し、制御できるようになっている。
接合面1a,2aに圧力を付与する加圧機構は、前記試料を挟み付けるように上下にある。本実験装置の場合、加圧は油圧シリンダ9で行っている。前記試料の上下には、カーボン製のプレス治具14を通して加圧するようになっている。プレス治具14は、高温下で前記試料と強く接しても、接合されることの無いようにカーボン製の治具が良い。
また、前記試料の近傍の温度を測定するために、プレス治具14の中央部に穴を開けて、試料の直下の温度が測定できるように熱電対15が設けてある。
図5に本発明の接合プロセスの一例を、図4の接合装置によるプロセスフローの概念図を示した。
先ず、ガラス状カーボン1とセラミックス2の接合面が珪素膜3を介して接するように接合装置5内に入れる。同図においてP1で示すように試料加圧力が少し高くなっているのは、試料が動かないようにするためである。
次に、チャンバー6内の真空度を高める。真空度が概ね1×10−1Pa以上になったら、加熱する。図4の実験装置では、図5中に示すように熱電対12の温度表示値と熱電対15のそれとでは、同じ値を示さない。熱電対12の方が、熱電対15よりある割合で高い値を示す。2ヶ所の温度は、接合装置5の構成や測定部位によって異なることが予想できる。
ここでは、温度制御が容易な熱電対12の温度表示値を基準に実験した。設定温度によって異なるが、熱電対12の表示値より、熱電対15の方が、100〜150℃低い値を示した。
温度が所定の値になったら、設定圧力となるように加圧する。その状態で一定時間保持する。
その後、加熱を止める。ここでは圧力を保持した状態で、自然冷却した。温度計測部が200℃以下になった段階で、真空度を下げて大気圧に戻し、試料への加圧を解除した。
下記の(表1)に示す各条件で接合試験を実施した。同表中の各実験条件は、条件1を例にとると、以下の通りである。直径6mmの炭化珪素とガラス状カーボン(GC)を、真空度1×10−3Paの雰囲気で、加熱体11が1300℃となるように制御し、接合面(φ6)の応力が50MPaとなるように加圧する。接合面には珪素(Si)を炭化珪素(SiC)基材側に50nmの厚みとなるよう成膜して実験したことを意味する。
Figure 0005052101
(表1)中の条件2、条件3の接合時の加熱体11の実験温度が1100℃の条件を除き、強固に接合できた。珪素(Si)の成膜は、条件10,条件11の通りガラス状カーボン側に施しても同様の効果があることが確認できた。また同表中の条件12に示す通り接合面に珪素が無いと、全く接合できないことが確認できた。
(表1)内の条件1での接合面のSEM(走査電子顕微鏡)の拡大図を、図6に示す。図6(a)は接合後の接合面をFIB(Focused Ion Beam)で加工し、界面を明瞭にした状態を示しており、図6(b)は、図6(a)に四角で囲った区域の界面を深さ方向にFIBで加工し、矢印A方向から見た状態である。図6(a)の倍率は3000倍,図6(b)の倍率は7500倍である。
図6(a)からは、接合面に幅2マイクロメートル程度の領域にわたって、コントラストの異なる部分が観察され、ここが炭化珪素とカーボンの混じり合った混合層4であると考えられる。すなわち、条件1の試料の場合、セラミックス(炭化珪素)2の表面に50ナノメートルの珪素膜3を形成したことで、ガラス状カーボン1の炭素と反応したことが予想される。
図6(b)は深さ方向に観察しても同様の混合層4の存在が確認できた。矢印Bで示す位置が、ガラス状カーボン1の接合面1aとセラミックス2の接合面2aとの接合面の位置である。
図7に、図6(b)の顕微鏡拡大図に示した各部を元素分析した結果を示す。
図7中のポイントXは、セラミックス2の炭化珪素部である。炭化珪素中の元素比率は、珪素と炭素が50対50となる。しかしながら本測定では、見かけ上、炭素に比べて珪素の割合が多く見えるが、軽元素である炭素の検出感度が低いためである。またガリウムが検出されているが、FIBで加工したためであり、本来は無い元素である。酸素も若干検出されているが、詳細は不明である。ガリウム、酸素の存在は、ポイントX,Y,Zともに共通である。
ポイントYは、ガラス状カーボン部である。主成分の炭素が大部分を占める。ポイントZは、混合層4である。本来、50ナノメートルの珪素膜3が、接合条件によって反応したと考えられる。組成分析の結果から考えると、検出感度の低い炭素のピークが高いので、炭素が主たる成分と考えられる。しかしながら珪素のピークも明瞭なことから、部分的に炭化珪素が生成しているものと考えられる。炭化珪素の存在割合は、セラミックス2の側からガラス状カーボン1の側に近づくほど減少した混合層になっている。
なお、上記の具体例では、ガラス状カーボン1の接合面1aとセラミックス2の接合面2aのうちの、炭化珪素2の接合面2aに珪素膜3を形成したが、ガラス状カーボン1の接合面1aに珪素膜3を薄膜プロセスで形成しても良い。珪素膜3の厚みは1マイクロメートル以下が有効である。成膜方法はスパッタリングや蒸着でもかまわない。または、ガラス状カーボン1の接合面1aと炭化珪素2の接合面2aにそれぞれ珪素膜3を薄膜プロセスまたはスパッタリングや蒸着で形成する。
なお、この場合のそれぞれの膜厚は、両方の膜の合算値が1マイクロメートル以下が有効である。
(表1)に示した実験例では、真空度が1×10−3Pa、接合面に付与する圧力が50〜65MPa、加熱体11の温度が1100〜1450℃であったが、真空度が少なくとも1×10−1Pa以上、接合面に付与する圧力が少なくとも5MPa以上で良好な結果が得られた。
このようにして作成された接合体は、例えば、ガラス状カーボン1の接合面1aとは反対側の面1bに、図8に示すように成形用凹部(成形面)16を形成することによって、光学ガラスレンズ,樹脂レンズ,プリズム等の光学素子やガラス磁気ディスク基板の成形型などに用いることができる。
図8は、本発明の接合体を使ったガラスレンズ成型機の一例を示している。
上パンチ17と下パンチ18は一対の構成であり、本発明によるところの接合体からなる。すなわち、レンズ19の成形用凹部(成形面)16がガラス状カーボン1の面1bに形成されている。
図8の例では、精度良く内径加工された胴型20の中に沿うように、上パンチ17と下パンチ18が挿入されている。そして、成形面となる対向するガラス状カーボン型内にレンズ素材を入れた状態で、本例では誘導加熱ユニット21により昇温され、所定の温度に達したところで加圧軸22を制御して、ベース23との間で上パンチ17と下パンチ18を加圧して、型形状をレンズ面に転写するように動作させる。
上記の各実施の形態では、ガラス状カーボンと炭化珪素の接合の場合を例に挙げて説明したが、様々の炭素材料と炭化物系セラミックス材料の接合に適用することができる。炭素材料としては、ガラス状カーボンの他にダイヤモンドやグラファイト、フラーレン結晶体、炭化物系セラミックス材料としては、炭化珪素の他に炭化硼素を選択して、これらの組み合わせに対して適用できる。炭化物系セラミックス材料として炭化硼素を選択した場合には、炭素材料と炭化物系セラミックス材料との間に前記炭化物系セラミックス材料の炭素以外の構成元素より成る層を挟んで積層する工程では、中間層として硼素(ボロン)を挟んで積層することで、同様に接合できる。
本発明の接合体とその製造方法と接合体を用いた成形型は、昇温と降温を繰り返す使用環境においても剥離することの無い信頼性の高い成形型を提供できる。したがって、ガラスレンズ、樹脂レンズの成形型に限ること無く、ガラス製ハードディスクの製造装置や通信用光学デバイス分野の製造装置として、広範に適用できる。
本発明の実施の形態における複合体とその製造方法のプロセスフロー図 本発明の実施の形態における試料の一例の図 本発明の実施の形態における接合面の前処理状態の図 本発明の実施の形態における接合装置の図 本発明の実施の形態における接合プロセスの概念図 本発明の実施の形態における接合体の接合面の図 本発明の実施の形態における接合体の成分分析例の図 本発明の実施の形態における接合体を使用したガラス成形金型の図 本発明の接合プロセスの理論説明図
符号の説明
1 ガラス状カーボン
2 セラミックス(炭化珪素)
3 珪素膜(中間材)
4 混合層
7 真空ポンプ
9 油圧シリンダ
10 誘導コイル
11 加熱体
12 熱電対
13 断熱材
14 プレス治具
15 熱電対
17 上パンチ
18 下パンチ
19 レンズ
20 胴型
21 誘導加熱ユニット
22 加圧軸
23 ベース

Claims (6)

  1. 炭素材料と前記炭素材料との接合面に炭素を構成元素の一つとする炭化物系セラミックス材料とを積層して接合するに際し、
    前記炭素材料と前記炭化物系セラミックス材料との間に前記炭化物系セラミックス材料の炭素以外の構成元素より成る層を挟んで積層する工程と、
    積層した前記炭素材料と前記炭化物系セラミックス材料を接合装置のチャンバーにセットして前記チャンバーの内部を真空引きする工程と、
    積層した前記炭素材料と前記炭化物系セラミックス材料の接合面に圧力を付与する工程と、
    接合装置の前記チャンバーを昇温して前記炭化物系セラミックス材料の炭素以外の構成元素より成る層と前記炭化物系セラミックス材料の間で原子拡散を誘起する工程と
    を有し、前記炭化物系セラミックス材料は炭化珪素であり、前記接合面に付与する圧力が少なくとも5MPa以上である
    接合方法。
  2. 前記炭化物系セラミックス材料の炭素以外の構成元素より成る層の接合温度は、1100℃〜1350℃である
    請求項1記載の接合方法。
  3. 前記炭素材料と前記炭化物系セラミックス材料との間に前記炭化物系セラミックス材料の炭素以外の構成元素より成る層を挟んで積層する工程は、
    前記炭素材料または前記炭化物系セラミックス材料の接合面の少なくとも一方に、前記炭化物系セラミックス材料の炭素以外の構成元素より成る層を成膜してから積層することを特徴とする
    請求項1または請求項2記載の接合方法。
  4. 前記炭素材料が、ガラス状カーボン、ダイヤモンド、グラファイトあるいはフラーレン結晶体であることを特徴とする
    請求項1〜請求項3の何れかに記載の接合方法。
  5. 前記炭化物系セラミックス材料の炭素以外の構成元素より成る層の成膜厚みが1マイクロメートル以下であることを特徴とする
    請求項1〜請求項4の何れかに記載の接合方法。
  6. 前記チャンバーの内部を真空引きする工程では、
    前記チャンバーの内部を真空引きし雰囲気圧力を1×10 −1 Pa以上の真空度に高め、前記原子拡散を誘起する工程の後に、前記チャンバーの内部の雰囲気圧力を、1×10 −1 Pa以上の真空度から大気圧に戻す大気開放工程を、さらに有する
    請求項1〜請求項5の何れかに記載の接合方法。
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