JP5051523B2 - ポリエステル樹脂材料の製造方法及びその方法により得られる樹脂成形体 - Google Patents
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Description
最近では、通常のポリ乳酸の熱安定性の向上のために、生分解性では無いが自然界に存在する物質である粘土層状化合物であるクレイをフィラーとして、生分解性ポリエステルの混連し、融点は変化しないものの、軟化点を10℃以上上昇させものもある(非特許文献2参照)。
また、ポリエステル製造用重合モノマーにフラン環又はヒドロ化フラン環を含有する化合物を加えて前記重合モノマーからポリエステル樹脂を製造し、そのポリエステル樹脂から成形体を作製すると、成形温度がさほど高温でなくとも機械的性質が優れた成形体であるという知見も得た。それらの知見に基づいてさらに研究を重ね、ついに本発明に到達した。
(1)フラン環を含有する化合物とポリエステル樹脂を混合し、加熱して溶融成形することを特徴とするポリエステル樹脂材料の製造方法。
(2)充填剤をフラン環を含有する化合物とポリエステル樹脂と混合することを特徴とする上記(1)記載のポリエステル樹脂材料の製造方法。
(3)ポリエステル樹脂が生分解性ポリエステルである上記(1)又は(2)記載のポリエステル樹脂材料の製造方法。
(4)生分解性ポリエステルが微生物産生系生分解性ポリエステル、天然物系生分解性ポリエステル、化学合成系生分解性ポリエステルからなる群から選ばれた少なくとも1種の生分解性ポリエステルである上記(3)記載のポリエステル樹脂材料の製造方法。
(6)フラン環を含有する化合物とポリエステル樹脂との混合物からなることを特徴とするポリエステル樹脂成形材料。
(7)フラン環を含有する化合物と生分解性ポリエステル樹脂との混合物からなることを特徴とするポリエステル樹脂成形材料。
(8)生分解性ポリエステルが微生物産生系生分解性ポリエステル、天然物系生分解性ポリエステル、化学合成系生分解性ポリエステルからなる群から選ばれた少なくとも1種の生分解性ポリエステルである請求項8記載のポリエステル樹脂材料。
(9)上記(6)〜(8)のいずれか記載のポリエステル樹脂成形材料から得られるポリエステル樹脂成形体。
(10)上記(6)〜(8)のいずれか記載のポリエステル樹脂成形材料を加熱し、成形することを特徴とするポリエステル樹脂成形体の製造方法。
本発明が用いるフラン環又はヒドロ化フラン環を含有する化合物は、フラン環フラン環を含有する化合物、又はヒドロ化フラン環を含有する化合物である。フラン環を含有する化合物はフラン環に置換基が結合された化合物あるいはフランをいう。前記置換基としては、炭素数が1〜6のアルキル基、アルデヒド基、水酸基、炭素数が1〜6のアルコキシ基、アセタール基等が挙げられる。ヒドロ化フラン環を含有する化合物は、水素化されたフラン環に置換基が結合された化合物あるいはテトラヒドロフランをいう。前記置換基としては、前記と同じである。フラン環又はヒドロ化フラン環を含有する化合物の中では、前記フラン環を含有する化合物及びテトラヒドロフランが好ましい。
フラン環又はヒドロ化フラン環を含有する化合物としての具体例は、フルフラール、フルフリールアルコール、テトラヒドロフルフリールアルコール、テトラヒドロフラン、フルフラールジエチルアセタール、5−ヒドロキシメチル−2−フルフラール、5−メチルフルフラール等が挙げられるが、それらに限定されない。
フラン環又はヒドロ化フラン環を含有する化合物の中では、植物由来のフラン環又はヒドロ化フラン環を含有する化合物が好ましい。その中でも下記式(1)で表されるフルフラールが特に好ましい。
(C4H3O)CHO (1)
本発明が用いるフラン環又はヒドロ化フラン環を含有する化合物は、公知の方法を用いて調製することが出来るが、市販品を購入してもよい。
本発明で用いるフルフラールは、トウモロコシ及びエン麦殻の芯を代表とする各種農産物、木工品の副産物でもある。
本発明で用いる生分解性ポリエステルは微生物産生系生分解性ポリエステル、天然物系生分解性ポリエステル、化学合成系生分解性ポリエステルからなる群から選ばれた少なくとも1種である。それらの中では、特に下記生分解性ポリエステルが好ましいが、それら例示されたポリエステルに限定されない。
PBSは石油原料から製造されるが、バイオマス原料から得られるコハク酸と1,4ブタンジオールを出発原料として製造することも出来る。PBSは比較的柔軟なPE(ポリエチレン)に近似した結晶性プラスチックであり、ナチュラル色が薄い乳白色の半透明プラスチックである。弾力感有る手触りは軟質塩ビにも近いものがあり、これら多くの市場を占めるポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)の代替素材として、PBS系プラスチックは特に有望である。更に、タルク、ベントナイト、ガラスファイバー、植物性ファイバー類など、無機・有機の材料をそれぞれ混合することにより、物性や分解性を変化させることも容易であり、その効果も比較的大きい生分解性ポリエステルである。
石油を原料として製造される脂肪族ポリエステルの1種であり、疎水性及び親油性の両方の性質を有し、融点70℃であり、耐衝撃性、熱融着性に優れているポリエステルである。
植物原料から生産できるL−ラクチドをモノマー原料として重合し、製造することができる。
[ORCO] A
(式中、Rは−CH(R1)−CH2−を示し、R1はメチル基、エチル基、プロピル基を示す)。
微生物ポリエステルの代表例として、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)(PHB)(ホモポリマー)または、ポリ(3−ヒドロキシブチレート、3−ヒドロキシバリレート)共重合体などがあげられる。
かくして得られたフラン環又はヒドロ化フラン環を含有する化合物とポリエステル樹脂と混合物を加熱する。加熱する温度は、前記フラン環又はヒドロ化フラン環を含有する化合物とポリエステル樹脂との混合物から溶融物が得られる程度の温度であれば特に限定されない。
加熱する手段は特に制限されないのであり、前記混合物から溶融物が得られる限り、どのような加熱手段を採用してもよい。
ポリエステル樹脂成形材料の硬度、機械的強度等を高めるため用いるフィラーとしては、生分解性あるいは非生分解性のいずれでもよく、また、形状についても特に制限されないのであり、例えば繊維状のものあるいは粒子状のいずれでもよい。
これら配合材の量は特に限定されない。
非生分解性の繊維状フィラーとしては、炭素繊維、グラスファイバー、金属ファイバー等が挙げられ、非生分解性の粒子としては、鉱物由来のマイカ、シリカ等、粘土鉱物であるクレイ、カオリン、あるいは活性炭粒子、金属粒子等が挙げられる。
ポリエステル樹脂の原料モノマーは、特に限定されないが、特に生分解性ポリエステルの原料となりうるモノマーが好ましい。具体的には例えば、
(a)ラクトン
(b)ラクチド
(c)ジカルボン酸及びジオール
(d)ジカルボン酸無水物及び環状エーテルを例示できる。
(式2)
(式中、Rは同一でも異なっていてもよく、炭素数が1〜2のアルキレン基、炭素数が1〜2のアルキル基で置換された炭素数が1〜2のアルキレン基を示す)
具体的な化合物としては、グリコリド、ラクチド等が挙げられる。特にラクチドはポリ乳酸の原料モノマーとして用いることができる。
(式3)
(式中、Rは炭素数が2〜4のアルキレン基を示す)
(式4)
(式中、Rは炭素数が2〜6のアルキレン基を示す)
また、本発明はフラン環含有化合物の存在下に、ポリエステル樹脂の原料モノマーを重合して得られるポリエステル樹脂からなることを特徴とするポリエステル樹脂成形材料でもある。
さらに、本発明によれば、省エネルギーでかつ簡便な方法によって、高品質のポリエステル材料及びポリエステル複合材料を得ることが可能となる。
シートは金型ごと室温まで急冷し、ダンベルカッターを用いてダンベル型の試験片を作製した。得られた試験片を用いてJIS K 7217(ISO 527-3)の「図2 試験片タイプ5」に準拠して引張試験を行い、応力−ひずみ曲線から最大応力である強度及び破断時のひずみを求めた。その結果得られた引張強度及び破断ひずみを表1に示した。
mmのシートを作製した。
シートを実施例1と同様に操作し、応力−ひずみ曲線から最大応力である強度及び破断時のひずみを求めた。得られた結果を表2に示した。
g加えて混合した後秤量し、表3記載の配合比となる量の実施例1で用いたフルフラールを加え、乳鉢を用いてよく混合してから、実施例1と同様に操作し、厚さ0.5 mmのシートを作製した。
シートは実施例1と同様に操作し、応力−ひずみ曲線から最大応力である強度及び破断時のひずみを求めた。得られた結果を表3に示した。
シートを比較例1と同様に操作し、応力−ひずみ曲線から最大応力である強度及び破断時のひずみを求めた。得られた結果を表4に示した。
シートは実施例1と同様に操作し、応力−ひずみ曲線から最大応力である強度及び破断時のひずみを求めた。得られた結果を表5に示した。
シートを比較例1と同様に操作し、応力−ひずみ曲線から最大応力である強度及び破断時のひずみを求めた。得られた結果を表6に示した。
実施例1と同様に操作し、応力−ひずみ曲線から最大応力である強度及び破断時のひずみを求めた。得られた結果を表7に示した。
シートを比較例1と同様に操作し、応力−ひずみ曲線から最大応力である強度及び破断時のひずみを求めた。得られた結果を表8に示した。
シートは実施例1と同様に操作し、応力−ひずみ曲線から最大応力である強度及び破断時のひずみを求めた。得られた結果を表9に示した。
シートを比較例1と同様に操作し、応力−ひずみ曲線から最大応力である強度及び破断時のひずみを求めた。得られた結果を表10に示した。
シートは実施例1と同様に操作し、応力−ひずみ曲線から最大応力である強度及び破断時のひずみを求めた。得られた結果を表11に示した。
シートを比較例1と同様に操作し、応力−ひずみ曲線から最大応力である強度及び破断時のひずみを求めた。得られた結果を表12に示した。
シートは実施例1と同様に操作し、応力−ひずみ曲線から最大応力である強度及び破断時のひずみを求めた。得られた結果を表13に示した。
シートを比較例1と同様に操作し、応力−ひずみ曲線から最大応力である強度及び破断時のひずみを求めた。得られた結果を表14に示した。
プラスチックチューブから取り出したサンプルを、直径及び高さが約12 mmの円柱型試験片に加工し、JIS K 7181(ISO 604)に準拠して圧縮試験を行い、応力−歪み曲線の最大応力から圧縮強度、初期の比例部分から弾性率、及び最大応力でのひずみをそれぞれ求めた。得られた試験片の圧縮強度、弾性率、及び最大応力時ひずみを表15に示した。
プラスチックチューブから取り出したサンプルを、実施例8と同様に操作し、応力−歪み曲線の最大応力から圧縮強度、初期の比例部分から弾性率、及び最大応力でのひずみをそれぞれ求めた。得られた結果を表16に示した。
得られたPBS試料をクロロホルムに溶解させ、メタノールで再沈させることにより精製し、減圧乾燥した7 gを金型に注型し、実施例1と同様に操作し、厚さ0.5 mmのシートを作製した。シートを実施例1と同様に操作し、応力−ひずみ曲線から最大応力である強度及び破断時のひずみを求めた。得られた結果を表17に示した。
Claims (10)
- フラン環を含有する化合物とポリエステル樹脂を混合し、加熱して溶融成形することを特徴とするポリエステル樹脂材料の製造方法。
- 充填剤をフラン環を含有する化合物とポリエステル樹脂と混合することを特徴とする請求項1記載のポリエステル樹脂材料の製造方法。
- ポリエステル樹脂が生分解性ポリエステルである請求項1又は2記載のポリエステル樹脂材料の製造方法。
- 生分解性ポリエステルが微生物産生系生分解性ポリエステル、天然物系生分解性ポリエステル、化学合成系生分解性ポリエステルからなる群から選ばれた少なくとも1種の生分解性ポリエステルである請求項3記載のポリエステル樹脂材料の製造方法。
- フラン環を含有する化合物の存在下にポリエステル樹脂の原料モノマーを重合することを特徴とするポリエステル樹脂の製造方法。
- フラン環を含有する化合物とポリエステル樹脂との混合物からなることを特徴とするポリエステル樹脂成形材料。
- フラン環を含有する化合物と生分解性ポリエステル樹脂との混合物からなることを特徴とするポリエステル樹脂成形材料。
- 生分解性ポリエステルが微生物産生系生分解性ポリエステル、天然物系生分解性ポリエステル、化学合成系生分解性ポリエステルからなる群から選ばれた少なくとも1種の生分解性ポリエステルである請求項7記載のポリエステル樹脂材料。
- 請求項6〜8のいずれか記載のポリエステル樹脂成形材料から得られるポリエステル樹脂成形体。
- 請求項6〜8のいずれか記載のポリエステル樹脂成形材料を加熱し、成形することを特徴とするポリエステル樹脂成形体の製造方法。
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