JP5051507B2 - 積層型超伝導接合及びその製造方法 - Google Patents

積層型超伝導接合及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、特に、積層型超伝導接合及びその製造方法に関し、特に、超伝導物質である二硼化マグネシウムを用い、電流電圧特性としてRSJ特性を有する積層型の積層型超伝導接合及びその製造方法に関する。
近年、SQUID(超伝導量子干渉素子)の応用範囲がますます拡大している。SQUIDを作成するためには、RSJ(Resistivity Shunted Junction)様の電流電圧特性を示す接合を形成する必要がある。その一例として、サファイア基板上に段差型SQUIDを形成することが提案されている(特許文献1参照)。
一方、超伝導物質である二硼化マグネシウムMgBは、高い臨界温度(Tc=39K)、小さい常伝導抵抗率(数μΩ)、小さい磁場侵入長(100nm程度)、比較的長いコヒーレンス長(数nm)と言う優れた特徴を持つため、エレクトロニクスの応用分野において大きな関心と期待が寄せられている。
例えば、本発明者は、基板上に成膜されたMgBからなる下部電極と、下部電極上に成膜された窒化アルミニウム(AlN)からなる絶縁層と、絶縁層上に成膜されたMgBからなる上部電極とを有するSIS接合を提案している(特許文献2参照)。
特開2003−224311号公報 特開2006−237384号公報
前述のように、MgB/AlN/MgBからなるSIS接合によれば、高い臨界温度を持つMgBを上部電極及び下部電極に用いることにより、高いギャップ電圧、高い電流密度及び高い高周波応答特性等を持つ優れたジョセフソン素子を得ることができる。これは、特許文献2の図6に示すような特性に依存する。
このようなSIS接合について更に研究を進める過程において、本発明者は、MgBからなる上部電極の上に形成されたAlNからなる絶縁層上に、更に、同一真空中においてAlからなる導体層を形成することにより、積層型超伝導接合の電流電圧特性としてほぼ理想的なRSJ特性を得ることができることを見出した。
なお、従来の超伝導接合においては、積層型であって、RSJ特性を備え、高い臨界温度を持つMgBを上部電極及び下部電極に用いるものは存在しなかった。
本発明は、超伝導物質である二硼化マグネシウムを用い、電流電圧特性としてRSJ特性を有する積層型の積層型超伝導接合を提供することを目的とする。
また、本発明は、超伝導物質である二硼化マグネシウムを用い、電流電圧特性としてRSJ特性を有する積層型の積層型超伝導接合の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の積層型超伝導接合は、基板上に形成された二硼化マグネシウム層からなる下部電極と、前記下部電極上に形成された窒化アルミニウム層からなる絶縁層と、前記絶縁層上に形成されたアルミニウム層からなる導体層と、前記導体層上に形成された二硼化マグネシウム層からなる上部電極とを備え、当該積層型超伝導接合がその電流電圧特性としてRSJ特性を備える。
また、好ましくは、本発明の積層型超伝導接合においては、前記絶縁層の膜厚が0.64nmであり、前記導体層の膜厚が50nmである。
本発明の積層型超伝導接合の製造方法は、基板上に二硼化マグネシウム層からなる下部電極を形成し、前記下部電極上に窒化アルミニウム層からなる絶縁層を形成し、前記絶縁層上にアルミニウム層からなる導体層を形成し、前記導体層上に二硼化マグネシウム層からなる上部電極を形成し、更に、少なくとも前記窒化アルミニウム層からなる絶縁層と前記アルミニウム層からなる導体層とを同一真空中で形成する。
また、好ましくは、本発明の積層型超伝導接合の製造方法においては、前記絶縁層を、雰囲気ガスとして窒素を用い、基板温度を室温としたアルミニウムのスパッタリングにより形成し、前記導体層を、雰囲気ガスとしてアルゴンを用い、基板温度を室温としたアルミニウムのスパッタリングにより形成する。
本発明の積層型超伝導接合によれば、積層型超伝導接合の絶縁層として、下部電極上に形成された窒化アルミニウム層からなる本来の絶縁層上に、アルミニウム層からなる導体層(金属層)を備える。即ち、絶縁層と上部電極との間に、導体層が挿入される。これにより、当該積層型超伝導接合がその電流電圧特性としてRSJ特性を備える。この結果、積層型であって、RSJ特性を備え、高い臨界温度を持つMgBを上部電極及び下部電極に用いる積層型超伝導接合を得ることができる。
また、本発明の積層型超伝導接合によれば、絶縁層の膜厚が0.64nmであり、導体層の膜厚が50nmであり、絶縁層に比べて導体層が十分に(例えば、約100倍)厚い。これにより、当該積層型超伝導接合がその電流電圧特性として、ほぼ理想的なRSJ特性を得ることができる。
また、本発明の積層型超伝導接合の製造方法によれば、積層型超伝導接合の絶縁層としての窒化アルミニウム層からなる絶縁層とアルミニウム層からなる導体層とを、少なくとも同一真空中で形成する。これにより、均一なジョセフソン接合にあたかも均一に抵抗をシャント接続したようなほぼ理想的なRSJ特性を得ることができる。
また、本発明の積層型超伝導接合の製造方法によれば、絶縁層及び導体層を、雰囲気ガスを変更するのみで、アルミニウムのスパッタリングにより形成する。これにより、絶縁層と導体層との間の界面を極めて平坦で欠陥無く均一に形成し、ほぼ理想的なRSJ特性を得ることができる。
図1は本発明の積層型超伝導接合の構成図であり、その電流電圧特性として、ほぼ理想的なRSJ特性を備える本発明の積層型超伝導接合の構成の一例を示す。
本発明の積層型超伝導接合は基板1上に形成される。基板1は、例えばサファイアからなる絶縁性の基板1からなる。基板1の積層型超伝導接合が形成される面(主表面)としては、サファイアのC−面が用いられる。
本発明の積層型超伝導接合は、超伝導層としての下部電極2と、絶縁物層としての絶縁層3及び導体層4と、超伝導層としての上部電極5とを備える。下部電極2は、基板1上に形成された二硼化マグネシウム(MgB)層からなる。絶縁層3は、下部電極2上に形成された窒化アルミニウム(AlN)層からなる。絶縁層3の膜厚は0.64nmである。導体層4は、絶縁層3上に形成されたアルミニウム(Al)層からなる。導体層4の膜厚は50nmである。上部電極5は、導体層4上に形成された二硼化マグネシウム層からなる。
このように、本発明の積層型超伝導接合は、超伝導層からなる上下の電極の間に、絶縁物層として、本来の絶縁層3であるAlN層の他に、導体層4であるAl層を備える。即ち、本来の絶縁層3である金属窒化物層の他に、当該金属窒化物を構成する金属からなる導体層4を備える。更に、導体層4であるAl層は、本来の絶縁層3であるAlN層のおよそ2桁(50÷0.64≒78)程度も厚い。これにより、本発明の積層型超伝導接合は、後述するように、その電流電圧特性としてRSJ特性を備える。
図2は、本発明の積層型超伝導接合の製造に用いる製造装置の構成図であり、カルーセルスパッタリング装置の平面構成の概略を示す。
カルーセルスパッタリング装置は、メインチャンバ(主反応室)21とサブチャンバ(副反応室)22を備える。メインチャンバ21は基板1上に薄膜を形成するための真空室である。サブチャンバ22はメインチャンバ21へこれと同等の真空状態で基板1を出し入れするための真空室である。メインチャンバ21とサブチャンバ22は、ゲートバルブ34により、相互に連結され又は隔離される。
メインチャンバ21は、ターボ分子ポンプ等の高真空ポンプ23と荒引き用のロータリポンプ24を備え、所定の真空度まで排気される。これらによる到達真空度は1.5×10−5Paである。メインチャンバ21は、ガス供給パイプ27及び28を備える。ガス供給パイプ27は、アルゴン(Ar)ガスや窒素(N)ガスを供給する。ガス供給パイプ28はArガスを供給する。イオンビームソース29は、ガス供給パイプ28から供給されたArガスからArイオンを生成して基板1に照射する。サブチャンバ22は、メインチャンバ21と同様に、高真空ポンプ25と荒引き用のロータリポンプ26を備える。
メインチャンバ21は、紙面に垂直な方向に延びる中空の六角柱の形状とされ、六角形の器壁の内壁面の一面毎に、ホウ素純度99.5%のBターゲット30、マグネシウム純度99.9%のMgターゲット31、Alターゲット32、Nbターゲット33を備える。他の六角形の壁面に、イオンビームソース29及びゲートバルブ34が設けられる。
中空の六角柱状のメインチャンバ21の中心に、紙面に垂直な方向に延びる中空の六角柱の形状の基板ホルダ35が設けられる。六角柱状の基板ホルダ35の外壁面毎に、基板1が保持される。従って、基板1は、Bターゲット30、Mgターゲット31、Alターゲット32及びNbターゲット33と、相互に対向するように配置される。六角柱状の基板ホルダ35の内壁面毎に、2個のランプヒータ36が設けられる。これにより、基板1がその裏面から加熱される。
基板ホルダ35は、その中心軸(図示せず)を中心に回転可能に設けられる。即ち、カルーセルスパッタ装置は、多角形筒型の基板ホルダが回転しながら薄膜作成を行う。これにより、膜質や膜厚の均一化される。
なお、図2においては図示していないが、カルーセルスパッタ装置は、マグネトロンスパッタリングを行うために、高周波電源、直流電源、高周波を印加するための高周波電極、直流を印加するための直流電極を備える。また、基板ホルダ35が基準電位側の電極として用いられる。
図3〜図8は積層型超伝導接合の製造方法の構成図であり、本発明の積層型超伝導接合の製造方法の構成の一例を示す。
最初に、図3に示すように、基板1上に二硼化マグネシウム層からなる下部電極2を形成し、下部電極2上に窒化アルミニウム層からなる絶縁層3を形成し、絶縁層3上にアルミニウム層からなる導体層4を形成し、導体層4上に二硼化マグネシウム層からなる上部電極5を形成する。
即ち、図2に示すスパッタリング装置において、サブチャンバ22に基板1をセットして、メインチャンバ21及びサブチャンバ22を高真空ポンプ23及び25とロータリポンプ24及び26を到達真空度まで排気し、基板1をゲートバルブ34を介してメインチャンバ21に搬送して基板ホルダ35にセットする。
次に、基板1の表面をクリーニングする。即ち、基板1をランプヒータ36によって290℃に加熱し、基板ホルダ35を矢印方向に50rpmで回転させ、Arガスを供給パイプ28より供給し、基板1の表面に対してイオンビームソース29から放出されるイオンビームを照射する。イオンビームのパワーは300V×100mA、クリーニング時間は5分間である。
次に、メインチャンバ21を到達真空度まで排気した後、Arガスを供給パイプ27から供給し、Mg及びBのマグネトロンスパッタによりMgB膜2を基板1上に160nmの膜厚で形成する。この時の成膜条件は、基板温度が290℃、供給されるArガスの純度が99.9999%、真空度が5mTorr、基板ホルダ35の回転速度が50rpm、Bターゲット30の印加電力が交流電力800W、Mgターゲット31の印加電力が直流電力300Wである。
メインチャンバ21の真空中においてMgとBが反応してMgBが高速で回転している基板1上に均一に堆積され、又は、基板1上に被着したMgとBが反応してMgBが堆積される。この時、Mg及びBとArとは反応しないため、MgBの成膜においてArは考慮しなくて良い。薄膜の組成比は、Mg(DCスパッタ)とB(RFスパッタ)の放電電力を独立に制御することによって定めることができる。
このMgBの成膜技術は、例えば、本発明者等の出願による特開2003−158307号公報に開示されている。これにより、低温プロセスにより積層型超伝導接合を作成することができる。
次に、再度メインチャンバ21を到達真空度まで排気し、基板1の温度を室温(例えば25℃)とした後、Nガスを供給パイプ27から供給し、AlのマグネトロンスパッタによりAlN膜3をMgB膜2上に0.64nmの膜厚で形成する。この時の成膜条件は、基板温度が室温、供給されるNガスの純度が99.9999%、真空度が5mTorr、Alターゲット32の印加電力が直流電力200Wである。基板ホルダ35の回転速度は、2個のターゲットからの元素の化合物を生成する必要がないので、0rpmとされる。AlNは、MgBと同じ六方晶構造を持ち、a軸長が近いので、このAlN膜を絶縁層として用いることにより、面内配向性や結晶性が改善され、より良好なジョセフソン接合を得ることができる。
AlとNは容易に反応する。このため、メインチャンバ21の真空中においてAlとNが反応してAlNがMgB膜2上に均一に堆積され、又は、MgB膜2上に堆積したAlとNが反応したAlNが堆積される。
次に、再度メインチャンバ21を到達真空度まで排気し、基板1の温度は維持したままで、Arガスを供給パイプ27から供給し、AlのマグネトロンスパッタによりAl膜4をAlN膜3上に50nmの膜厚で形成する。この時の成膜条件は、基板温度が室温、供給されるArガスの純度が99.9999%、真空度が2mTorr、Alターゲット32の印加電力が直流電力300Wである。従って、この場合における直流電力は、AlN膜3の形成時より大きく(50%増と)される。基板ホルダ35の回転速度は、前述のように、0rpmとされる。AlとArは反応しないため、Alの成膜においてArは考慮しなくて良い。
次に、MgB膜2と同様にして、メインチャンバ21を到達真空度まで排気した後、Arガスを供給パイプ27から供給し、Mg及びBのマグネトロンスパッタによりMgB膜5をAl膜4上に160nmの膜厚で形成する。この時の成膜条件は、MgB膜2の場合と同様である。
なお、この後、図示は省略しているが、保護膜として、基板1上の全体に窒化ニオブ(NbN)層をスパッタリングにより形成する。この時の成膜条件は、基板温度が室温、供給されるNガスの純度が99.9999%、真空度が2mTorr、Nbターゲット33の印加電力が直流電力700Wである。基板ホルダ35の回転速度は、0rpmとされる。
NbとNは容易に反応する。このため、メインチャンバ21の真空中においてNbとNが反応してNbNがMgB膜5上に均一に堆積され、又は、MgB膜5上に堆積したNbとNが反応したNbNが堆積される。
以上により、図3に示すように、基板1の主表面上に、超伝導層としてのMgB膜2と、絶縁物層としてのAlN層3及びAl層4と、超伝導層としてのMgB膜5とからなる積層型超伝導接合が形成される。この過程において、試料表面を大気中にさらすことなく、同一真空中で積層型超伝導接合を形成することができるので、界面を清浄に保ったまま積層型超伝導接合を形成することができる。また、絶縁物層としてのAlN層3とAl層4との界面を、清浄に保ったまま界面を形成することができる。
次に、図4に示すように、フォトレジスト(図示せず)を用いたフォトリソグラフィにより、MgB膜5、Al層4、AlN層3、MgB膜2を順にエッチングする。エッチングはArイオンを用いたイオンビームエッチングにより行う。これにより、MgB膜2からなる下部電極2が形成される。この後、フォトレジストを除去する。
次に、図5に示すように、新たなフォトレジスト(膜)6を用いたフォトリソグラフィにより、MgB膜5、Al層4、AlN層3を順にエッチングする。エッチングはArイオンを用いたイオンビームエッチングにより行う。この時、図4に示すエッチングの工程においてMgB膜5、Al層4、AlN層3までのエッチング時間を測定しておき、当該時間だけエッチングを行うことにより、MgB膜2がエッチングされずに残される。これにより、積層型超伝導接合の接合部(Al層4及びAlN層3)及び上部電極5の形状が決定される。
次に、図6に示すように、フォトレジスト6を残した状態で、SiOの真空蒸着により、基板1上の全体にSiO膜7を形成する。SiO膜7の膜厚は、図6に示すように、MgB膜5、Al層4及びAlN層3の側面を完全に覆い、更に、フォトレジスト6の側面の一部(下部)を覆うような膜厚とされる。なお、フォトレジスト6の側面の上部も極めて薄いSiO膜7で覆われるが、図示を省略している。
次に、図7に示すように、基板1の全体を例えばアセトンのような有機溶剤に含侵することにより、フォトレジスト6を溶解してリフトオフする。これにより、基板1上のSiO膜7の中で、図6に示すフォトレジスト6上のSiO膜7のみが除去され、図7に示すように、上部電極5(図7では見えない)へのコンタクトホール8が形成される。
次に、図2のカルーセルスパッタリング装置を用いて、基板1上の全体にニオブ(Nb)層9(図8参照)をスパッタリングにより形成する。この時の成膜条件は、基板温度が室温、供給されるArガスの純度が99.9999%、真空度が2mTorr、Nbターゲット33の印加電力が直流電力1.5KWである。基板ホルダ35の回転速度は、0rpmとされる。NbとArは反応しないため、Nbの成膜においてArは考慮しなくて良い。この後、図8に示すように、フォトレジスト(図示せず)を用いたフォトリソグラフィにより、Nb膜9をエッチングする。エッチングはArイオンを用いたイオンビームエッチングにより行う。これにより、Nb膜9からなる配線層9が形成される。この後、フォトレジストを除去する。
図9は、本発明の積層型超伝導接合の特性を示す特性図であり、特に、本発明の積層型超伝導接合の電流電圧特性を示す。積層型超伝導接合のサイズは20μm角であり、測定時の温度は4.2Kである。図9において、縦軸は電流(mA)を示し、横軸は電圧(mV)を示す。
図9から判るように、本発明の積層型超伝導接合は、その絶縁層に抵抗性のインピーダンスがシャント接続された電流電圧特性モデル(RSJモデル)を示す。換言すれば、図9に示す電流電圧特性がRSJ特性である。特に、ほぼ理想的なRSJ特性を示すことが判る。これにより、設計通りの特性を持つ積層型超伝導接合デバイスを製造することができる。
図10は、本発明の積層型超伝導接合の特性を示す特性図であり、特に、本発明の積層型超伝導接合の磁場臨界電流特性を示す。積層型超伝導接合のサイズは20μm角であり、測定時の温度は4.2Kである。図10において、縦軸は臨界電流(mA)を示し、横軸は磁場(arb.unit)を示す。
図10から判るように、本発明の積層型超伝導接合は、磁場を与えられた状態において、臨界電流が周期的に変化し、その変化の様子がほぼ理想的なフラウンホーファー曲線(理論値)にほぼ一致することが判る。これにより、本発明の積層型超伝導接合がジョセフソン接合の性質を持つことが判り、その内部においてジョセフソン電流がほぼ均一に流れることが判る。従って、本発明の積層型超伝導接合における各々の接合面(界面)が、極めて平坦で欠陥なく均一に形成されていることが判る。特に、絶縁層(I層)を構成するAlN層3とAl層4との接合面が、極めて平坦で欠陥なく均一に形成されていることが判る。これにより、積層型超伝導接合のサイズ(面積比)により、これを流れる電流を設計することができる。
図11は、本発明の積層型超伝導接合の特性を示す特性図であり、特に、本発明の積層型超伝導接合の接合面積―臨界電流特性及びI積特性を示す。図11において、縦軸は、その左辺が単位面積当りの臨界電流J(A/cm)を、その右辺がI積(μV)を示し、横軸は接合面積(μm)を示す。Iは臨界電流であり、Rはノーマル抵抗である。即ち、図11は、積層型超伝導接合のサイズを変化させた場合における当該特性を示す。また、四角形の点が単位面積当りの臨界電流Jを示し、三角形の点がI積を示す。
図11から判るように、本発明の積層型超伝導接合においては、グラフ中における上部の実線で示すように、積層型超伝導接合の接合面積を変化させた場合でも、単位面積当りの臨界電流Jはあまり大きく変化せず、およそ一定であることが判る。従って、本発明の積層型超伝導接合によれば、積層型超伝導接合を均一に形成することができる。また、およそ600A/cmのような大きな電流密度を得ることができる。
また、図11から判るように、本発明の積層型超伝導接合においては、グラフ中における下部の実線で示すように、積層型超伝導接合の接合面積を変化させた場合でも、I積はあまり大きく変化せず、およそ一定であることが判る。
図12は、本発明の積層型超伝導接合の特性を示す特性図であり、特に、本発明の積層型超伝導接合のマイクロ波照射特性を示す。積層型超伝導接合のサイズは5μm角であり、測定時の温度は4.2Kであり、照射周波数は95.622GHzである。図12において、縦軸は電流(mA)を示し、横軸は電圧(mV)を示す。
図12から判るように、本発明の積層型超伝導接合は、マイクロ波を照射された状態において、所定の電圧の間隔で、シャピロステップを示すことが判る。これにより、本発明の積層型超伝導接合がジョセフソン接合の性質を持つことが判る。特に、4次のシャピロステップまでが現れているので、照射周波数の4倍の周波数(約400GHz)までの周波数応答が可能であることが判る。従って、本発明の積層型超伝導接合は極めて高速なデバイスとして用いることが可能である。
以上説明したように、本発明によれば、積層型超伝導接合及び積層型超伝導接合の製造方法において、積層型超伝導接合の絶縁層として、窒化アルミニウム層からなる本来の絶縁層上にアルミニウム層からなる十分に厚い導体層を同一真空中で形成するので、積層型であって、その電流電圧特性としてほぼ理想的なRSJ特性を備え、高い臨界温度を持つMgBを上部電極及び下部電極に用いる積層型超伝導接合を得ることができる。この結果、本発明の積層型超伝導接合を用いることにより、微小な磁界の測定を行うSQUIDデバイスや通信分野における超高速デバイスを形成することができる。
本発明の積層型超伝導接合の構成図である。 本発明の積層型超伝導接合の製造に用いる製造装置の構成図である。 本発明の積層型超伝導接合の製造方法の一例を示す図である。 本発明の積層型超伝導接合の製造方法の一例を示す図である。 本発明の積層型超伝導接合の製造方法の一例を示す図である。 本発明の積層型超伝導接合の製造方法の一例を示す図である。 本発明の積層型超伝導接合の製造方法の一例を示す図である。 本発明の積層型超伝導接合の製造方法の一例を示す図である。 本発明の積層型超伝導接合の特性を示す特性図である。 本発明の積層型超伝導接合の特性を示す特性図である。 本発明の積層型超伝導接合の特性を示す特性図である。 本発明の積層型超伝導接合の特性を示す特性図である。
符号の説明
1 基板
2 下部電極(MgB層)
3 絶縁層(AlN層)
4 導体層(Al層)
5 上部電極(MgB層)

Claims (4)

  1. 基板上に形成された二硼化マグネシウム層からなる下部電極と、
    前記下部電極上に形成された窒化アルミニウム層からなる絶縁層と、
    前記絶縁層上に形成されたアルミニウム層からなる導体層と、
    前記導体層上に形成された二硼化マグネシウム層からなる上部電極とを備え、
    当該積層型超伝導接合がその電流電圧特性としてRSJ特性を備える
    ことを特徴とする積層型超伝導接合。
  2. 前記絶縁層の膜厚が0.64nmであり、前記導体層の膜厚が50nmである
    ことを特徴とする請求項1記載の積層型超伝導接合。
  3. 基板上に二硼化マグネシウム層からなる下部電極を形成し、
    前記下部電極上に窒化アルミニウム層からなる絶縁層を形成し、
    前記絶縁層上にアルミニウム層からなる導体層を形成し、
    前記導体層上に二硼化マグネシウム層からなる上部電極を形成する積層型超伝導接合の製造方法であって、
    少なくとも前記窒化アルミニウム層からなる絶縁層と前記アルミニウム層からなる導体層とを同一真空中で形成する
    ことを特徴とする積層型超伝導接合の製造方法。
  4. 前記絶縁層を、雰囲気ガスとして窒素を用い、基板温度を室温としたアルミニウムのスパッタリングにより形成し、
    前記導体層を、雰囲気ガスとしてアルゴンを用い、基板温度を室温としたアルミニウムのスパッタリングにより形成する
    ことを特徴とする請求項3記載の積層型超伝導接合の製造方法。
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