JP5051406B2 - キャンドル収容容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、剛性、耐衝撃性に優れたキャンドル収容容器(以下容器、または成形体という)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、キャンドル収容容器成型用の素材として、ガラス、金属、陶器、合成樹脂などが使用されていた。上記素材からなるキャンドル収容容器は、例えば、ガラス瓶の底部にろうそく立てを設けたキャンドル収容容器(特許文献1参照)や、ろうそくを収容する透明なガラス製のカップ状ホルダーの表面に塗り絵シールを貼着したガラス製のキャンドル収容容器がある(特許文献2参照)。
また、パラフィンからなる上部に開口を有する卵の殻状のキャンドルスタンド本体に蓄光剤と蛍光顔料を混入した装飾効果を発揮するワックス製のキャンドル収容容器がある(特許文献3参照)。
さらに、筒状容器の底面に設置した固定板に燃焼芯を立設させた状態で容器内に蝋を充填した容器入りキャンドル用の金属製のキャンドル収容容器(特許文献4参照)がある。
本出願人は、合成樹脂薄膜状体からなる袋状、カップ状の薄状体からなる容器内に燃焼芯を立設させ、容器内に蝋を充填した、水面を浮遊する合成樹脂製のキャンドルを提案した(特許文献5参照)。
中でも、溶融温度が比較的低く、しかも溶融粘度が低いため成形型に流し入れて容易に成形できるワックスや、薄肉でも剛性、耐衝撃性が優れた合成樹脂製のキャンドル収容容器が広く使用されている。
【特許文献1】
特開平8−148026号
【特許文献2】
特開2000−67640号
【特許文献3】
特開平11−162251号
【特許文献4】
特開2000−8076号
【特許文献5】
特開平11−279588号
【0003】
しかし、合成樹脂は一般に粘度が高く注型成形不可能なものが多く、合成樹脂製の薄肉成形体はもっぱらインジェクション成形やブロー成形等の成形法で作られ、その際高額の金型を要したり、高額の成形設備が必要である。また、不飽和ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などの常温硬化タイプの合成樹脂は粘度が低く注型成形可能であり、少量生産に適した成形素材であるが、成形作業時及び硬化中に体に 害のある揮発性の有機溶剤が雰囲気中に放出され作業環境を悪化させ、 さらには作業者の健康被害をもたらす場合も起こり得る、と云った難点がある。また、パラフィンワックスを代表とするワックスは、容易に溶かすことができ溶融粘度が低いため、シリコンゴム等の原型に容易に流し込み注型成形やディッピングによる成形が可能であるため、少量生産がきわめて容易であり、多くの種類の少ない数の成形体を成形する際に優れた成形素材といえる。
ワックス成形体は、剛性が低く、耐衝撃性が乏しく、40〜50℃程度の熱で熱変形するため、合成樹脂製の薄肉成形体の様な実用的な使用用途には不向きと言える。また、従来ワックスの脆弱性の改善としてパラフィンワックス等のワックスに相溶性のある酢酸ビニル含有量25〜30%のエチレンー酢酸ビニル共重合体(EVA樹脂)を適当量配合することで耐衝撃性を付与させることはされていたが、パラフィンワックスに相溶性のあるEVA樹脂の融点が該ワックスの融点と同程度であり、さらに成形体の硬度が十分ではないため、成形体表面にキズがつきやすく、合成樹脂製の薄肉成形体のような実用性はない。高融点のポリエチレンワックスやフィッシャー・トロプシュワックスは、70〜80℃程度でも熱軟化することはない。また溶融粘度が低いため、成形型に流し込んで注型成形が容易であるが、該ワックスは硬く脆いために成形時に亀裂を生じたり、成形体が温度変化により亀裂を生じやすかった。また、柔軟性が乏しいため落下等の衝撃で破損しやすかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
合成樹脂は一般に粘度が高く注型成形不可能なものが多く、合成樹脂製の薄肉成形体はもっぱらインジェクション成形やブロー成形等の成形法で作られ、その際高額の金型を要したり、高額の成形設備が必要である。したがって、何十万、何百万個という極めて多数の成形体を得るにはポリエチレン、ポリプロピレン等の凡用合成樹脂は、安価に製造でき、優れた成形素材といえる。しかしながら、何十、何百個という少量生産品においては高額の金型や高額の成形設備を必要としていては高価なものになってしまい、実際的とはいえない。また、不飽和ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などの常温硬化タイプの合成樹脂は粘度が低く注型成形可能であり、少量生産に適した成形素材であるが、成形作業時及び硬化中に体に害のある揮発性の有機溶剤が雰囲気中に放出され作業環境を悪化させ、さらには作業者の健康被害をもたらす場合も起こり得る、と云った難点がある。また、パラフィンワックスを代表とするワックスは、容易に溶かすことができ溶融粘度が低いため、シリコンゴム等の原型に容易に流し込み注型成形やディッピングによる成形が可能であるため、何十、何百個という少量生産がきわめて容易であり、多くの種類の少ない数の成形体を成形する際に優れた成形素材といえる。しかしながら、通常のキャンドルをはじめとするワックス成形体は、剛性が低く、耐衝撃性が乏しく、40〜50℃程度の熱で熱変形するため、合成樹脂製の薄肉成形体の様な実用的な使用用途には不向きと言える。また、従来ワックスの脆弱性の改善としてパラフィンワックス等のワックスに相溶性のある酢酸ビニル含有量25〜30%のエチレンー酢酸ビニル共重合体(EVA樹脂)を適当量配合することで耐衝撃性を付与させることはされていたが、パラフィンワックスに相溶性のあるEVA樹脂は融点が該ワックスと同程度であるので、熱変形温度は元の該ワックス成形体と同程度であり、さらに成形体表面の硬度が十分ではないため、成形体表面にキズつきやすく、合成樹脂製の薄肉成形体のごとき実用性はない。高融点の合成ワックスの代表とされるポリエチレンワックスやフィッシャー・トロプシュワックスは、70〜80℃程度でも熱軟化することはない。また溶融粘度が低いため、溶融し成形型に流し込んで注型成形により成形体を得ることが容易にできるが、該ポリエチレンワックスやフィッシャー・トロプシュワックスは硬く脆いために成形時に亀裂を生じたり、成形体が温度変化により亀裂を生じやすかった。さらには、柔軟性が乏しいため落下等の際の衝撃で容易に破損しやすかった。
【0005】
したがって、本発明の目的は、剛性、耐衝撃に優れた成形体を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、ポリエチレンワックス及び/又はフィッシャー・トロプシュワックスとメルトフローレートが400g/10min以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体及び/又はエチレン−アクリル酸エチル共重合体を主成分とする、融点が80℃以上の成形用組成物からなる柔軟性、剛性、耐衝撃性に優れたキャンドル収容容器である。更に、該キャンドル収容容器が薄肉のカップ形状のキャンドル収容容器である。
【0007】
本発明の成形体に使用する組成物は、合成ワックスとエチレン系共重合体を主たる成分としていることより溶融粘度が低いことを特徴とする合成ワックスの特性と、柔軟性、耐衝撃性を特徴とする合成樹脂であるエチレン系共重合体の特性を併せ持つ成形用素材となる。また、該合成ワックスは、通常のパラフィンワックスと比較して熱変形温度、融点が高く、70〜80℃程度でも熱により軟化しないことより、本発明の成形用組成物により成形された成形体は、ワックス成形体のように容易に熱変形することなく、さらに合成樹脂製の薄肉成形体の様な使用用途にも十分対応できる実用的な成形体である。さらに上記成形用組成物を用いることにより、多様なデザイン、形状の成形体を、少量生産することが可能となり、消費ニーズに対応した決めこまやかな商品作りを行うことを可能にする。
【0008】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の成形体に使用する成形用組成物について、図面にて説明する。図1は、本発明の成形体の一例であり、該成形体は、合成ワックスとエチレン系共重合体とを所定の割合で配合し主たる成分とした該成形用組成物を素材として、成形されている。本発明の成形体の主成分の一つであるエチレン系共重合体は、エチレンとエチレン性不飽和単量体(例えば酢酸ビニル、カルボン酸ビニルエステル、アクリル酸エステル等)の1種あるいは2種以上の共重合体でよく、公知の各種エチレン系共重合体が使用できる。さらにはエチレン系共重合体の酢酸ビニル、カルボン酸ビニルエステルやアクリル酸エステル等の極性共重合成分は、もう一つの主成分である合成ワックスとの相溶性が十分にあるものであれば良く、特に限定されない。しかしながら、エチレン共重合体は該極性共重合成分の含有量が多くなるにつれて剛性は低下し、柔軟性、耐衝撃強度特性、接着性が向上する特性がある。そこで、該極性共重合成分の含有量は、約3〜60重量%程度、好ましくは10〜45重量%である。また、エチレン系共重合体のメルトフローレートMFR(JIS k6730、単位がg/10min.)は、高くなるにつれて溶融粘度が低下して注型やディッピングによる成形が行いやすくなる一方で、物理強度の低下や熱軟化温度、融点を低下させる傾向がある。このことより、MFRが約10〜10000程度の該エチレン系共重合体が使用可能であるが、注型等の成形の際の低溶融粘度あるいは適正な溶融粘度の確保上、約100〜5000のものが良く、好ましくは約1000〜3000程度のものである。また、該エチレン系共重合体の融点範囲は、配合されるもう一つの主成分である合成ワックスの融点との兼ね合いで、成形体の使用雰囲気温度等を考慮して選択すれば良く、通常、70℃以上、好ましくは80℃以上、さらに好ましくは100℃程度以上である。さらには、本発明の成形体の主成分の一つであるエチレン系共重合体として、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)とエチレン−エチルアクリル酸共重合体(EEA)などの複数種類のエチレン系共重合体を所定比率で配合しても良いし、該エチレン−酢酸ビニル共重合体における異なるグレードのものを複数混合して使用することもできる。さらには、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)は廉価、各種グレードの豊富さより凡用性があり、配合するには都合の良い素材であるといえる。
【0009】
また、本発明の成形体の主成分の一つである合成ワックスは、ポリエチレンワックス、フィッシャー・トロプシュワックス、α−オレフィン系ワックス、ポリプロピレンワックス等が挙げられ、さらに、これらの酸化変性タイプや酸変性等の合成ワックスでも良い。中でもポリエチレンワックスやフィッシャー・トロプシュワックスは高融点かつ低溶融粘度特性に優れており好ましい。さらには、成形体の耐熱変形性を付与させるため該合成ワックスの融点範囲は、成形体の使用雰囲気温度等を考慮して決定すればよい。通常は少なくとも70℃程度以上のものでよく、さらには80℃程度以上のものであれば、実用上好ましく、より耐熱性を付与させる場合は100℃以上のものがより好ましい。さらに、成形する際の成形用組成物の流動性を確保するため、該合成ワックスの140℃における溶融粘度は、通常150cP以下であれば良く、好ましくは50cP以下、さらに20cP以下であれば一層好ましい。また、本発明の成形体の主成分の一つである合成ワックスとして、例えばポリエチレンワックスとフィッシャー・トロプシュワックスなどの複数種類の合成ワックスを所定比率で配合しても良いし、ポリエチレンワックスにおける異なるグレードのものを複数混合して使用することもできる。
【0010】
また、本発明の成形体の主成分である合成ワックスとエチレン系共重合体の配合割合は、合成ワックスが硬く、脆い反面、低溶融特性に優れており、エチレン系共重合体が、溶融粘度が高い反面、配合割合を増すにつれ成形体に耐衝撃等の機械特性を付与できる特性を鑑み、成形性の難易を反映する、成形体の形状、大きさ等、さらには成形体の想定される使用雰囲気温度、要求される耐衝撃性等の機械的性能等により決定されれば良い。さらには、注型成形の際にはより低溶融粘度を有するほうが都合の良い場合が多く、ディッピングによる成形の場合は、適度の溶融粘度を有するほうが都合の良い場合がある。通常、注型成形の場合であれば、例えば合成ワックスを多めの配合割合70〜90重量%程度、エチレン系共重合体を少な目の配合割合10〜30重量%程度にしたほうが都合の良い場合が多い。また、薄肉の成形体を成形する場合には、例えば合成ワックスを少なめの配合割合10〜40重量%程度、エチレン系共重合体を多めの配合割合60〜90重量%程度としたほうが都合の良い場合が多い。このように、通常、合成ワックスが10〜90重量%、エチレン共重合体が10〜90重量%の配合割合とすることで、多様な成形法で多様な成形体を得る事ができる。
【0011】
また、本発明の成形体は、発明の目的を満たす範囲で、染料顔料等の着色剤、酸化防止剤、耐候安定剤、ロジン系やテルペン系等の天然樹脂あるいは石油樹脂類、ポリエチレン等の合成樹脂、炭酸カルシウム等のフィラー、ケイ光剤、蓄光剤、可塑剤、オイル、パラフィンワックス等のワックスなどを添加できる。
【0012】
本発明の成形体の使用用途の一つであるキャンドル及びキャンドル収容容器、燭台等に関する説明を行う。キャンドル収容容器としては、例えばガラス製容器、陶器製容器が幅広く使用されているが、いずれも少量生産向きではなく、コスト高であり、合成樹脂容器は、多量生産を前提とすれば使い捨てできるほどに安価に、手軽に使用できる素材といえるが、概して燃えやすい素材であるため、キャンドル収容容器としては使用に際し、限定される。その点、本発明の成形体は、キャンドル収容容器とした場合、少量生産に優位性があり、様々な形状の容器を容易に簡便に成形できる上、溶融粘度が合成樹脂に比較すると低く設定されているため、例え炎が容器に接触したとしても溶融するのみで燃える事がない。この特性は、キャンドルの収容容器の素材材質として極めて都合よく、安全に使用できることとなり、合成樹脂製容器の使用限定を大幅に解除できることとなる。
【0013】
例えば、図2に示すようなキャンドルの台座は、注型成形により容易に成形できるし、図3に示すような成形体の場合には、溶融させた成形用組成物を成形型に流し入れた後に、流し出すことで、中空のキャンドル形状で中空の成形体を容易に作成できる。また、図4に示すような凹凸の在る複雑なパターンのある成形体の場合には、成形型に溶融した成形用組成物を所定量流し入れ、成形型を回転させることで容易に成形体を得ることができる。さらに、図5(a)及び(b)に示すような薄肉のカップ形状の成形体の場合は、溶融させた成形用組成物の中に成形型をディッピングした後に、成形型から外すことで容易に成形体を得ることができる。さらにまた、例えば適度な粘度を有する溶融させた成形用組成物を細孔より回転させた成形型表面に流し付着させることで図6に示すような斬新な容器を容易に成形でき、回転させたキャンドル表面に流し付着させることで図7に示すような意匠性に優れたキャンドルとすることも可能である。
【0014】
さらに、上記成形体の一例以外に、図8に示すような多様な成形体を簡易に成形することができる。
【0015】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
実施例1ないし実施例5及び比較例1ないし比較例4:
合成ワックスとしてポリエチレンワックス(融点109℃、溶融粘度20cP(140℃:三井石油化学工業(株)製、三井ハイワックス110P)及びフィッシャー・トロプシュワックス(融点98℃、溶融粘度8cP(135℃):シェル社製、FT−100)を使用した。またエチレン系共重合体としてエチレン−酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含量14%、MFR2500:東ソー(株)製、ウルトラセン685)、エチレン酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含量28%、MFR400:日本ユニカー(株)製、NUC−3185)及びエチレン−エチルアクリレート共重合体(エチルアクリレート含量25%、MFR250:日本ユニカー(株)製、NUC−6070)を使用した。
実施例1:
三井ハイワックス110Pを90重量%とウルトラセン685を10重量%を溶融混和させ、溶融混合物を約130℃の温度にて、シリコン樹脂製の成形型に注型した後、自然放冷し、直径50mm高さ40mmの円筒形状の成形体の成形を試みた。さらに、約130℃に保った該溶融混合物中に、中空の球形風船状のシリコンゴム製の成形型をディッピングして肉厚が約1mmの図1に示すような直系80mmの半球形状の成形体の成形を試みた。
比較例1:三井ハイワックス110Pを100重量%を用い、それ以外の条件は実施例1と同様に2種の成形体の成形を試みた。
比較例2:
FT−100を100重量%を用い、それ以外の条件は実施例1と同様に2種の成形体の成形を試みた。
比較例3:
三井ハイワックス110Pを92重量%とNUC−6070を8重量%を用い、それ以外の条件は実施例1と同様に2種の成形体の成形を試みた。
比較例4:ウルトラセン685を100重量%を用い、それ以外の条件は実施例1と同様に2種の成形体の成形を試みた。
実施例2:
三井ハイワックス110Pを75重量%、NUC−3185を20重量%とNUC6070を5重量%を用い、それ以外の条件は実施例1と同様に2種の成形体の成形を試みた。
実施例3:
三井ハイワックス110Pを30重量%、FT−100を30重量%とウルトラセン685を40重量%を用い、それ以外の条件は実施例1と同様に2種の成形体の成形を試みた。
実施例4:
三井ハイワックス110Pを40重量%、ウルトラセン685を55重量%とNUC−3185を5重量%を用い、それ以外の条件は実施例1と同様に2種の成形体の成形を試みた。
実施例5:
FT−100を10重量%とウルトラセン685を90重量%を用い、それ以外の条件は実施例1と同様に2種の成形体の成形を試みた。
【0016】
成形組成物の配合比率及び評価結果を表1に示す。
【表1】
【0018】
比較例1、比較例2及び比較例3においてはサンプル組成物は溶融粘度が低く、容易に成形できたものの、比較例1と比較例2サンプルは、成形体中央に大きな亀裂を生じ、比較例3は全体に細かな亀裂を生じた。また、比較例1、比較例2及び比較例3においてはサンプル組成物は、ディッピング成形するには溶融粘度が低く、成形型へのディッピングの際の付着量は少なく、さらに、冷却に伴い四方八方より亀裂を生じ、まともな成形体とはならなかった。さらに、比較例4においてはサンプル組成物は、溶融粘度が大き過ぎるため、気泡の巻き込みが多く、注型成形はもちろんのこと、ディッピング成形も困難であった。
【0019】
一方、実施例1及び実施例2においてはサンプル組成物は、溶融粘度が低く、容易に注型でき、成形された成形体においても亀裂発生することなく良好な成形体を得ることができた。しかしながら、ディッピング成形の際、実施例1サンプルでは四方より亀裂を生じ、実施例2サンプルではなお僅かに亀裂を認めた。また実施例3及び4においてはサンプル組成物を注型成形する際、実施例3サンプルは、注型するに支障のない溶融粘度で良好な成形体が得られたが、実施例4サンプルは注型するには溶融粘度が大きく、やや不満足ながら良好な注型成形体が得られた。さらに、ディッピングの付着量が少ないものの、成形時における亀裂の発生もなく良好な成形体が得られた。実施例4のサンプル組成物は、ディッピングに程よい溶融粘度であり、極めて良好な成形体が得られた。さらにまた、実施例5のサンプル組成物は、注型成形には溶融粘度が大き過ぎるため満足な成形ができなかったが、ディッピング成形では、厚肉傾向となりながらも可能であった。
【0021】
実施例1ないし5サンプルで得られた、注型成形による成形体、ディッピング成形による成形体は、いずれも80℃以上の融点を有しており、耐熱変形性、剛性等に優れており、木床1m上方より落下させても、全く亀裂損傷を生じることなく、耐衝撃性を確認した。
【0022】
【発明の効果】
上記構成により、本発明の成形体は、合成ワックスとエチレン系共重合体を主たる成分としていることより溶融粘度が低いことを特徴とするワックスの特性と、柔軟性、剛性、耐衝撃性を特徴とする合成樹脂であるエチレン系共重合体の特性を併せ持つ成形用素材となる。また、該合成ワックスは、通常のパラファンワックスと比較して熱変形温度、融点が高く、70〜80℃程度でも熱により軟化しないことより、本発明の成形体は、ワックス成形体のように容易に熱変形することはなく、さらに合成樹脂製の薄肉成形体の様な使用用途にも十分対応できる実用的な成形体である。さらに多様なデザイン、形状の成形体を、少量生産することが可能となり、消費ニーズに対応した決めこまやかな商品作りを行うことを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【図1】半球形状のキャンドル収容容器の斜視図である。
【図2】皿状のキャンドル収容容器の斜視図である。
【図3】円筒カップ状のキャンドル収容容器の斜視図である。
【図4】カップ状のキャンドル収容容器の斜視図である。
【図5】表面に特殊模様を付けたカップ状のキャンドル収容容器の斜視図である。
Claims (2)
- ポリエチレンワックス及び/又はフィッシャー・トロプシュワックスとメルトフローレートが400g/10min以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体及び/又はエチレン−アクリル酸エチル共重合体を主成分とする、融点が80℃以上の成形用組成物からなる柔軟性、剛性、耐衝撃性に優れたキャンドル収容容器
- 該キャンドル収容容器が薄肉のカップ形状である請求項1記載のキャンドル収容容器
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