JP5044765B2 - 新規ペプチド、これを用いたエンドトキシン由来疾患治療剤およびこの治療剤の探索方法 - Google Patents

新規ペプチド、これを用いたエンドトキシン由来疾患治療剤およびこの治療剤の探索方法 Download PDF

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Description

関連出願の相互参照
本出願は、2006年1月31日出願の日本特許出願2006−21779号の優先権を主張し、その全記載は、ここに特に開示として援用される。
本発明は、マクロファージ活性化阻害効果を有し、エンドトキシン由来疾患予防および/または治療剤等として有用な新規ペプチド、並びにこのペプチドを用いたエンドトキシン由来疾患予防および/または治療剤等に関する。さらに本発明は、上記ペプチドをリード化合物として用いたエンドトキシン由来疾患予防および/または治療剤等を探索する方法に関する。
全てのグラム陰性細菌の外膜に存在するエンドトキシン(物質名lipopolisaccharide:LPS)はナノグラムオーダーで発熱をはじめ多様な作用を引き起こし敗血症、ショック、多臓器不全、播種性血管内凝固症候群などの原因となり、実際に米国ではこれに起因する年間死亡者は20万人に達するものと推察されている。グラム陰性細菌による敗血症の主な原因物質はLPSと考えられており、LPSや同刺激により誘発されるメディエーターの作用の中和を目指してそれらのアンタゴニストやブロッキング抗体による治療薬が開発されているが、臨床での有用性において未だ十分なものは得られていない。また血清からのLPSの吸着、除去を目的としてポリミキシンB固定化ファイバーが考案されてはいるものの、効果及び実用性においてより満足できる治療方法の開発が望まれている。
LPSの作用の抑制に関連するペプチドについて記載している文献として、以下の非特許文献1から3がある。
Yang QW et al., Novel TLR4-antagonizing peptides inhibit LPS-induced release of inflammatory mediators by monocytes, Biochem Biophys Res Commun. 2005 Apr 15;329(3):846-54. Nagaoka I et al., Augmentation of the lipopolisaccharide-neutralizing activities of human cathelicidin CAP18/LL-37-derived antimicrobial peptides by replacement with hydrophobic and cationic amino acid residues, Clin Diagn Lab Immunol. 2002 Sep;9(5):972-82. Gruber A et al., Structural model of MD-2 and functional role of its basic amino acid clusters involved in cellular LPS recognition, J Biol Chem. 2004 Jul;279(27):28475-82.
1〜3の全記載は、ここに特に開示として援用される。
非特許文献1には、以下の2種類のペプチド配列が提示されている。
No. 9:KRGISPGGGSDAQGEV (16aa)(配列番号15)
No. 24:GIPKQSTSNSTYTPTL (16aa) (配列番号16)
しかし、非特許文献1には、マウスの細胞を用いたin vitroの結果及び動物実験での効果の検討は提示されていない。
非特許文献2には、ペプチド配列KLFKRIVKRILKFLRKLV(18aa)(配列番号17)が示されている。さらに、エンドトキシンショックモデルの実験では、ペプチド1μg/mouseの投与により生存率がおよそ5%から65%程度に回復させ得るとの結果が示されている。しかし、本ペプチドは細胞膜に作用し傷害を惹起する可能性があり、マウスマクロファージ様細胞のRAW264.7では10μg/ml以上濃度で毒性を発揮するとの記載がある。
非特許文献3には、ペプチド配列CRGSDDDYSFC(11aa)(配列番号18)が示されている。
同ペプチドのLPS刺激に対する効果は両端のシステイン同士がS-S結合をしている場合にのみ認められ、その抑制レベルはペプチド濃度25μg/mlにおいてLPS刺激により活性化される転写因子NF-κBの活性化レベルを約40から60%程度抑制するに留まり、さらに高濃度におけるペプチドの効果また動物実験で検討結果は提示されていない。
上記のように、LPSの作用の抑制に関連するペプチドに関する報告はある。しかし、薬効および毒性の点で、エンドトキシン由来疾患の予防および/または治療剤として実用し得る程度のペプチドは見いだされていないのが現状である。
そこで本発明の目的は、エンドトキシン由来疾患の予防および/または治療剤として実用し得る程度の薬効、即ち、LPSの作用に対する抑制効果を示す新規ペプチドを提供することにある。
さらに、本発明の目的は、上記新規ペプチドを用いてさらに優れた物性等を有するエンドトキシン由来疾患の予防および/または治療剤等を探索する方法並びに手段を提供することにある。
近年、LPSの受容体としてショウジョウバエの真菌感染症防御にかかわるToll分子のホモログであるToll-like receptor 4(TLR4)が同定された。そこでまず本発明者らはYeast two-hybridによりヒトTLR4の細胞外ドメインに結合するペプチドを探索した結果、17アミノ酸からなるペプチド(配列番号1)を単離することに成功した。得られたペプチドは、ヒト及びマウスのマクロファージにおいてLPSにより誘導されるNF-κBの転写活性化を濃度依存的に抑制した。またNF-κBの転写活性化により誘導されるメディエーターでエンドトキシンショックの原因となるTNF-αの産生も阻害した。本ペプチドはTLR4以外のTLRのリガンドとなる他の病原微生物特有の分子(PAMPs)によるNF-κB の活性化には影響を及ぼさなかったことからTLR4シグナル特異的に作用することが示唆された。
さらに、ペプチドの構成アミノ酸について解析したところ、配列番号1のペプチドをN末端側より順次6アミノ酸まで欠失した各ペプチド(No. 28D1 〜 D6)でもLPSにより誘導されるNF-κBの転写活性化を抑制した。さらに、No. 28D5については、N末端側より2番目に存在するリシンとC末端側のアルギニン以外のいずれのアミノ酸を欠失させても同様の効果があることが判明した。尚No. 28D5のN末端側のVVVのモチーフについては2個のバリンを欠失させても同様の効果が確認された。また、配列番号1のペプチドをビオチン修飾したペプチド(Biotin-Peptide)等においても同様の結果が得られたことから、各種修飾ペプチドもTLR4シグナルの阻害効果を持つものと推察された。
さらに、in vivoでのペプチドの効果をマウスのエンドトキシンショックモデルを用いて検討したところ、本ペプチドは濃度依存的にLPSによる誘導性致死を抑制し、かつその効果は致死を示すLPS量の1000倍まで保持することが明らかとなった。またペプチドをLPS刺激後5時間経過後投与した場合でも誘導性致死を抑制する効果が確認された。以上の知見に基づいて本発明は完成された。
本発明は、以下のとおりである。
[1]下記アミノ酸配列(1)
X0X1X2X3X4X5X6KVVVLLVWGSRX20
(式中、X0およびX20は、独立に任意の修飾基であるか、欠失してもよく、
X1、X2、X3、X4、X5およびX6は、独立に任意のアミノ酸であるか、あるいはX1、X2、X3、X4、X5およびX6は、一部または全部が欠失する。)
で示され、LPSによるNF-κBの活性化を阻害するペプチド。
[2] [1]に記載のペプチドにおいて、X1、X2、X3、X4、X5およびX6は、独立に任意のアミノ酸であることができる。
[3] [1]または[2]に記載のペプチドにおいて、X1はP(プロリン)であり、X2はG(グリシン)であり、X3はL(ロイシン)であり、X4はA(アラニン)であり、X5はS(セリン)であり、および/またはX6はR(アルギニン)であることができる。
[4] [1]〜[3]のいずれかに記載のペプチドにおいて、X1、X2、X3、X4、X5およびX6は、一部または全部が欠失することができる。
[] [1]〜[]のいずれかに記載のペプチドにおいて、X0およびX20は欠失しており、ペプチドのN末端側のアミノ酸はアセチル化されており、かつC末端側のアミノ酸はアミド化されていることができる。
[] [1]〜[]のいずれかに記載のペプチドにおいて、配列表に示された配列番号1〜14のいずれか一つのアミノ酸配列を有することができる。
[] [1]〜[]のいずれかに記載のペプチドにおいて、X0および/またはX20は、結合性基または標識基であることができる。
[][1]〜[]のいずれかに記載のペプチドを有効成分として含有するエンドトキシン由来疾患予防および/または治療剤。
[][1]〜[]のいずれかに記載のペプチドを有効成分として含有するグラム陰性菌感染症予防および/または治療剤。
[10][1]〜[]のいずれかに記載のペプチドを有効成分として含有する敗血症予防および/または治療剤。
[11][1]〜[]のいずれかに記載のペプチドを有効成分として含有するマクロファージ活性化阻害剤。
[12][1]〜[]のいずれかに記載のペプチドを有効成分として含有するメディエーター産生阻害剤。
[13][1]〜[]のいずれかに記載のペプチドを有効成分として含有する歯周病疾患予防および/または治療剤。
[14][1]〜[]のいずれかに記載のペプチドを有効成分として含有するエンドトキシン非感受性剤。
[15][1]〜[]のいずれかに記載のペプチドを有効成分として含有するエンドトキシン検出試薬。
[16][1]〜[]のいずれかに記載のペプチドは、エンドトキシン由来疾患予防および/または治療剤を探索するためのリード化合物として用いられることができる。
[17][1]〜[]のいずれかに記載のペプチドは、グラム陰性菌感染症予防および/または治療剤を探索するためのリード化合物として用いられることができる。
[18][1]〜[]のいずれかに記載のペプチドは、血症予防および/または治療剤を探索するためのリード化合物として用いられることができる。
[19][1]〜[]のいずれかに記載のペプチドは、マクロファージ活性化阻害剤を探索するためのリード化合物として用いられることができる。
[20][1]〜[]のいずれかに記載のペプチドは、メディエーター産生阻害剤を探索するためのリード化合物として用いられることができる。
[21][1]〜[]のいずれかに記載のペプチドをリード化合物としてエンドトキシン由来疾患予防および/または治療剤を探索する方法。
[22][1]〜[]のいずれかに記載のペプチドをリード化合物としてグラム陰性菌感染症予防および/または治療剤を探索する方法。
[23][1]〜[]のいずれかに記載のペプチドをリード化合物として敗血症予防および/または治療剤を探索する方法。
[24][1]〜[]のいずれかに記載のペプチドをリード化合物としてマクロファージ活性化阻害剤を探索する方法。
[25][1]〜[]のいずれかに記載のペプチドをリード化合物としてメディエーター産生阻害剤を探索する方法。
[26][21]〜[25]のいずれかに記載の方法において、前記リード化合物を化学修飾することでリード化合物の最適化を行うことができる。
[27][26]に記載の方法において、化学修飾が、一部のアミノ酸の変更および/若しくは除去、並びに/または少なくとも1つのアミノ酸の付加、挿入であることができる。
[28][26]または[27]に記載の方法において、リード化合物の最適化を行うことで、アミノ酸配列(1)で示すペプチドより、物性、薬物動態、および毒性の少なくとも一部が優れる物質を探索することができる。
本発明のペプチドはLPS刺激による無秩序なメディエーター産生を阻害する作用を持ちエンドトキシン由来疾患さらには敗血症等の治療に応用できる可能性がある。本ペプチドは検討した濃度ではアゴニスト作用が認められず、毒性についてもin vivoレベルにおいて認められないことから、敗血症等の治療薬として開発を進め得る可能性が高い。加えて本ペプチドの効果はin vivo試験から発症後においても効果を発揮することが想定され臨床レベルで高い有用性も期待できる。
[ペプチド]
本発明のペプチドは、下記アミノ酸配列(1)で示される。
X0X1X2X3X4X5X6KVVVLLVWGSRX20
(式中、X0およびX20は、独立に任意の修飾基であるか、欠失してもよく、
X1、X2、X3、X4、X5およびX6は、独立に任意のアミノ酸であるか、あるいはX1、X2、X3、X4、X5およびX6は、一部または全部が欠失する。)
尚、上記ペプチド中のKはリシン、Vはバリン、Lはロイシン、Wはトリプトファン、Gはグリシン、Sはセリン、Rはアルギニンである。
X0は、アミノ酸配列のN末端に結合した修飾基であり、修飾基は、X0を含むペプチドの所定の薬理効果を有する範囲であれば、ペプチド修飾用として知られている基のなかから適宜選択することができる。X20は、アミノ酸配列のC末端に結合した修飾基であり、修飾基は、X20を含むペプチドの所定の薬理効果を有する範囲であれば、ペプチド修飾用として知られている基のなかから適宜選択することができる。そのような修飾基は、例えば、結合性基または標識基であることができる。結合性基としては、例えば、ビオチンを挙げることができ、標識基としては、例えば、蛍光標識基(例えば、FITC等)を挙げることができる。但し、X0およびX20の一方または両方とも欠失していてもよい。
X1、X2、X3、X4、X5およびX6は、独立に任意のアミノ酸である。後述の実施例で示すように、本発明のペプチドによるLPS刺激による無秩序なメディエーター産生を阻害する作用は、少なくともアミノ酸配列KVVVLLVWGSRを有するペプチド(配列番号7)であれば見られ、かつKVVVLLVWGSRのN末端に1〜6個のアミノ酸がさらに結合したペプチドにおいても同様に観測された。即ち、一般式(1)においてX1、X2、X3、X4、X5およびX6は、独立に任意のアミノ酸であっても、アミノ酸配列KVVVLLVWGSRを有するペプチドと同様のLPS刺激による無秩序なメディエーター産生を阻害する作用を示す。X1、X2、X3、X4、X5およびX6のアミノ酸は、20種類あるアミノ酸のいずれであっても良いが、例えば、プロリン(P)、グリシン(G)、ロイシン(L)、アラニン(A)、セリン(S)、アルギニン(R)であることができ、他にもシステイン(C)、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸E)、フェニルアラニン(F)、ヒスチジン(H)、イソロイシン(I)、リシン(K)、メチオニン(M)、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、トレオニン(T)、バリン(V)、トリプトファン(W)、チロシン(Y)であることができる。特に、X1はP(プロリン)であり、X2はG(グリシン)であり、X3はL(ロイシン)であり、X4はA(アラニン)であり、X5はS(セリン)であり、および/またはX6はR(アルギニン)であることが好ましい。
さらに、一般式(1)においてX1、X2、X3、X4、X5およびX6は、一部または全部が欠失したペプチドも本発明のペプチドとして包含される。上記のように、後述の実施例で示すように、本発明のペプチドによるLPS刺激による無秩序なメディエーター産生を阻害する作用は、少なくともアミノ酸配列KVVVLLVWGSRを有するペプチド(配列番号7)であれば見られ、かつKVVVLLVWGSRのN末端に1〜6個のアミノ酸がさらに結合したペプチドにおいても同様に観測されており、X1、X2、X3、X4、X5およびX6の一部または全部が欠失しても、アミノ酸配列KVVVLLVWGSRを有するペプチドと同様のLPS刺激による無秩序なメディエーター産生を阻害する作用を示す。
さらに参考例として、下記アミノ酸配列(2)で示されるペプチドを示す。
X0RKX7X8X9X10X11X12X13X14X15RX20
(式中、X0およびX20は、独立に任意の修飾基あるか、欠失してもよく、
X7、X8およびX9は、少なくとも1つはV(バリン)であり、残りは独立に任意のアミノ酸であるか、あるいは一部または全部が欠失し、X10およびX11は、少なくとも1つはL(ロイシン)であり、残りは任意のアミノ酸であるか、あるいは欠失し、X12、X13、X14 およびX15は、独立に任意のアミノ酸であるか、あるいは一部または全部が欠失する。)
尚、上記ペプチド中のRはアルギニン、Kはリシン、Rはアルギニンである。
X0およびX20はアミノ酸配列(1)と同様である。
X7、X8およびX9は、少なくとも1つはV(バリン)であり、残りは独立に任意のアミノ酸であるか、あるいは一部または全部が欠失してもよい。アミノ酸配列RKVVVLLVWGSRを有するペプチド(配列番号6)のVVVモチーフの1つおよび2つのVが欠失したRKVVLLVWGSR(配列番号8)およびRKVLLVWGSR(配列番号14)は、いずれもアミノ酸配列RKVVVLLVWGSRを有するペプチド(配列番号6)と同様のLPS刺激による無秩序なメディエーター産生阻害活性を有する。したがって、X7、X8およびX9は、少なくとも1つがV(バリン)であれば、残りの1つまたは2つは独立に任意のアミノ酸であるか、あるいは残りの1つまたは2つは欠失してもよい。任意のアミノ酸のアミノ酸は、V(バリン)であるか、あるいは上記したV(バリン)以外のアミノ酸から適宜選択できる。
X10およびX11は、少なくとも1つはL(ロイシン)であり、残りの1つは任意のアミノ酸であるか、あるいは欠失してもよい。アミノ酸配列RKVVVLLVWGSRを有するペプチド(配列番号6)のLLモチーフの1つのLが欠失したRKVVVLVWGSR(配列番号9)は、アミノ酸配列RKVVVLLVWGSRを有するペプチド(配列番号6)と同様のLPS刺激による無秩序なメディエーター産生阻害活性を有する。したがって、X10およびX11は、少なくとも1つはL(ロイシン)であり、残りの1つは任意のアミノ酸であるか、あるいは欠失してもよい。任意のアミノ酸のアミノ酸は、L(ロイシン)であるか、あるいは上記したL(ロイシン)以外のアミノ酸から適宜選択できる。
X12、X13、X14およびX15は、独立に任意のアミノ酸であるか、あるいは一部または全部が欠失してもよい。アミノ酸配列RKVVVLLVWGSRを有するペプチド(配列番号6)のVVVモチーフ以外のVが欠失したRKVVVLLWGSR(配列番号10)、アミノ酸配列RKVVVLLVWGSRを有するペプチド(配列番号6)のW、GまたはS が欠失したRKVVVLLVGSR(配列番号11)、RKVVVLLVWSR(配列番号12)、およびRKVVVLLVWGR(配列番号13)は、いずれもアミノ酸配列RKVVVLLVWGSRを有するペプチド(配列番号6)と同様のLPS刺激による無秩序なメディエーター産生阻害活性を有する。したがって、X12、X13、X14およびX15は、独立に任意のアミノ酸であるか、あるいは一部または全部が欠失してもよい。X12についての任意のアミノ酸は、V(バリン)であるか、あるいは上記したV(バリン)以外のアミノ酸から適宜選択できる。X13についての任意のアミノ酸は、W(トリプトファン) であるか、あるいは上記したW(トリプトファン)以外のアミノ酸から適宜選択できる。X14についての任意のアミノ酸は、G(グリシン)であるか、あるいは上記したG(グリシン)以外のアミノ酸から適宜選択できる。X15についての任意のアミノ酸は、S(セリン)であるか、あるいは上記したS(セリン)以外のアミノ酸から適宜選択できる。
本発明のペプチドの具体例としては、以下のアミノ酸配列を有するペプチドを挙げることができる。
PGLASRKVVVLLVWGSR(配列番号1)
GLASRKVVVLLVWGSR(配列番号2)
LASRKVVVLLVWGSR(配列番号3)
ASRKVVVLLVWGSR(配列番号4)
SRKVVVLLVWGSR(配列番号5)
RKVVVLLVWGSR(配列番号6)
KVVVLLVWGSR(配列番号7)
RKVVLLVWGSR(配列番号8)
RKVVVLVWGSR(配列番号9)
RKVVVLLWGSR(配列番号10)
RKVVVLLVGSR(配列番号11)
RKVVVLLVWSR(配列番号12)
RKVVVLLVWGR(配列番号13)および
RKVLLVWGSR(配列番号14)
上記アミノ酸配列(1)および(2)により表されるペプチドであって、X0およびX20が欠失しているペプチドは、例えば、ペプチドのN末端側のアミノ酸のアミノ基はアセチル化されており、かつC末端側のアミノ酸のカルボキシル基はアミド化されているものであることができる。あるいは、ペプチドのN末端側のアミノ酸のアミノ基はアセチル化等の修飾がされておらず、および/またはC末端側のアミノ酸のカルボキシル基はアミド化等の修飾がさていないものであることもできる。ペプチドのN末端側のアミノ酸のアセチル化、およびC末端側のアミノ酸のアミド化は、いずれも公知の方法に従って行うことができる。これらアセチル化およびアミド化による修飾により、ペプチドの両端の電荷が失われる。この修飾は、主にペプチドを用いた抗体の作成時に用いられる。本発明のペプチドが、in vivoで用いられる場合、アセチル化およびアミド化により電荷を失わせる修飾を施したものであることが好ましい場合がある。
さらに、アミノ酸配列のN末端に修飾基を結合したペプチドとしては、以下のアミノ酸配列を有するペプチドを挙げることができる。
Biotin-PGLASRKVVVLLVWGSR
FITC-linker-PGLASRKVVVLLVWGSR
いずれも上記配列番号1で示されるアミノ酸配列のN末端に修飾基としてビオチン(Biotin)またはリンカーを介して蛍光色素であるFITC(FITC-linker)を結合したペプチドである。リンカーは、例えば、ペプチド合成時のリンカーとして一般的によく用いられる6-アミノヘキサン酸であることができる。
さらに本発明のペプチドは、アミノ酸配列(1)で示されるアミノ酸配列のC末端および/またはN末端に1〜100個のアミノ酸が付加されたペプチドであって、LPS刺激による無秩序なメディエーター産生を阻害する作用を有するペプチドであることもできる。付加されるアミノ酸の数は、例えば、1〜100個、好ましくは1〜90個、さらに好ましくは1〜80個、より好ましくは1〜70個、最も好ましくは1〜60個である。付加されるアミノ酸の種類は、20種類あるアミノ酸のいずれであっても良いが、例えば、プロリン(P)、グリシン(G)、ロイシン(L)、アラニン(A)、セリン(S)、アルギニン(R)であることができ、他にもシステイン(C)、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、フェニルアラニン(F)、ヒスチジン(H)、イソロイシン(I)、リシン(K)、メチオニン(M)、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、トレオニン(T)、バリン(V)、トリプトファン(W)、チロシン(Y)であることができる。
本発明のペプチドは、上記アミノ酸配列に基づいて、例えば、公知のペプチド合成法を用いて適宜合成することができる。ペプチド合成法には、一般にFmoc法およびBoc法による固相・液相合成法があり、いずれの方法を用いても本発明のペプチドを合成することは可能である。ペプチド合成法により合成されたペプチドは、公知の方法により精製したものであることが適当である。また、N末端および/またはC末端に修飾基結合したペプチドも同様の方法により合成することができる。
「LPS刺激による無秩序なメディエーター産生を阻害する作用」は、転写因子NF-κBの活性化を指標として評価することができる。即ち、NF-κBは、LPSによる種々のメディエーターの産生誘導に重要な役割を持つ。そこでLPSにより誘導される炎症性メディエーターに対するペプチドの産生阻害能(LPS刺激による無秩序なメディエーター産生を阻害する作用)を、ヒトもしくはマウス由来マクロファージ様細胞におけるLPS誘導性NF-κBのレポーター活性に対する抑制作用を指標に評価した。具体的には、後述する実施例2に「LPSによるNF-κBの活性化に及ぼすペプチドの効果」の項で記載した方法により測定することができる。
[エンドトキシン由来疾患治療剤等]
本発明は、上記本発明のペプチドを有効成分として含有する(1)エンドトキシン由来疾患予防および/または治療剤、(2)グラム陰性菌感染症予防および/または治療剤、(3)敗血症予防および/または治療剤、(4)歯周病疾患予防および/または治療剤、(5)マクロファージ活性化阻害剤、(6)メディエーター産生阻害剤、 (7)エンドトキシン非感受性剤、および(8)エンドトキシン検出試薬に関する。
(1)エンドトキシン由来疾患予防および/または治療剤
医薬品製剤等の溶液により引き起こされるエンドトキシン誘導性炎症反応の阻害などに利用することができる。
(2)グラム陰性菌感染症予防および/または治療剤、並びに(3)敗血症予防および/または治療剤、(4)歯周病疾患予防および/または治療剤
グラム陰性細菌により惹起されるヒト及び脊椎動物のグラム陰性細菌感染症に対する治療に利用することができる。例えば同感染症により引き起こされる敗血症及びその合併症である播種性血管内凝固症候群、多臓器不全等や歯周病に対する治療に利用することができる。さらに、ヒト及び脊椎動物のグラム陰性細菌感染症の予防。例えば感染症を発症する可能性が高い外科手術前の患者、あるいは外傷を有する患者さらには歯周病への予防的処置に利用できる。
(5)マクロファージ活性化阻害剤、および(6)メディエーター産生阻害剤、(7)エンドトキシン非感受性剤、および(8)エンドトキシン検出試薬
新たなエンドトキシン試験法の開発に利用できる。例えば、ヒト由来マクロファージ等を用いて検体のマクロファージ活性化作用に対するペプチドの阻害効果から含まれるエンドトキシン量を定量化するシステムの開発に利用できる。またエンドトキシン刺激を阻害する必要のある処理全般に用いることができる。
本発明の上記(1)〜(4)の治療剤等は、投与形態が、粉末、溶液、懸濁液、クリーム、軟膏またはスプレーであることができ、さらに、非経口的に投与されることができる。本発明の上記(1)〜(4)の治療剤等は、エンドトキシンによる炎症反応の抑止全般に使用される。投与としては粉末・溶液・懸濁液・クリーム・軟膏・スプレーとして、また非経口的に腹腔内または筋肉等に無菌注射液の方法があり得る。またエンドトキシンの阻害活性等が必要とされる製品への混合・噴霧・付着・塗布・注入、エンドトキシン阻害活性が必要とされるあらゆる製品の処理に使用される。治療使用の場合、本ペプチドは医薬用組成物の形態で、ペプチドの薬理動態学及び疾患の重篤度または患者の条件(体重及び年齢)に従って臨床医により容易に決定される用量で、非経口的に投与されると考えられる。1日の用量は筋注射または皮下ルートで場合により複数回投与に分割されて通常は0.1から100mgの範囲と推定される。
[スクリーニング方法]
本発明は、上記本発明のペプチドをリード化合物として上記(1)〜(8)の治療剤等を探索する方法(スクリーニング方法)に関する。本発明で探査する対象は、(1)エンドトキシン由来疾患予防および/または治療剤、(2)グラム陰性菌感染症予防および/または治療剤、(3)敗血症予防および/または治療剤、(4)歯周病疾患予防および/または治療剤、(5)マクロファージ活性化阻害剤、および(6)メディエーター産生阻害剤、(7)エンドトキシン非感受性剤、および(8)エンドトキシン検出試薬である。
「リード化合物」とは、一般に、薬理活性のプロファイルが明らかであり、これを化学的に修飾することで活性の向上、毒性の減弱が期待できる新規化合物を言う。本発明のペプチドは、上述のようにエンドトキシン由来疾患抑制効果という薬理活性を有し、これをさらに化学的に修飾することで活性の向上、毒性の減弱が期待できる。
本発明のスクリーニング方法では、特に、アミノ酸配列の短いペプチドをリード化合物として用いることが好ましく、そのようなペプチドとしては、配列番号7〜14で示されるいずれかのペプチドを挙げることができる。
本発明のスクリーニング方法においては、前記リード化合物を化学修飾することでリード化合物の最適化を行うことができる。化学修飾は、例えば、一部のアミノ酸の変更および/若しくは除去、並びに/または少なくとも1つのアミノ酸の付加、挿入であることができる。また各アミノ酸の官能基の変更および/若しくは除去および/若しくは挿入、および/若しくは各アミノ酸のD体アミノ酸および/若しくは人工アミノ酸への置換等ができる。
本発明のスクリーニング方法においては、リード化合物の最適化を行うことで、アミノ酸配列(1)で示すペプチドより、物性、薬物動態、および毒性の少なくとも一部が優れる物質を探索する。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
実施例1
ペプチドスクリーニング方法
(方法)
CLONTECH(Palo Alto, CA)より購入したMATCHMAKER Random Peptide Libraryを用いて、yeast two-hybrid法でヒトTLR4細胞外領域に相互作用するペプチドをスクリーニングした。yeast two-hybrid法は、in vivoで相互作用を検討したい2種類のタンパク質を酵母細胞内で各々転写因子GAL4のDNA結合領域と転写活性化領域との融合タンパク質として発現させて、両タンパク質が相互作用した場合にGAL4の転写活性化機能が回復することを指標に相互作用を検証する方法である。CLONTECH(Palo Alto, CA)より購入したMATCHMAKER GAL4 Two-Hybrid System 3にあるpGBKT7 DNA-BD VectorにヒトTLR4細胞外領域のcDNAを挿入して、GAL4のDNA結合領域とヒトTLR4細胞外領域の融合タンパク質発現用プラスミド(pGhT4E)を構築した。次にロイシン・トリプトファン・ヒスチジンに対して栄養要求性を示す酵母AH109株に、pGhT4EとMATCHMAKER Random Peptide Library にあるGAL4の転写活性化領域のC末端側にランダムな16アミノ酸(ペプチド)が融合されたプラスミド(AD/libraryプラスミド)を形質転換した後、ロイシン・トリプトファン・ヒスチジン未添加の合成培地(synthetic minimal medium ; SD)のプレートに塗布した。pGhT4Eプラスミドにはトリプトファン栄養要求性を相補する遺伝子が、AD/libraryプラスミドにはロイシン栄養要求性を相補する遺伝子があり2つのプラスミドが同時に形質転換された酵母細胞はロイシンとトリプトファン未添加のSDプレート上で生育可能となる。またAH109株にはGAL4応答性プロモーターを持つヒスチジン栄養要求性を相補する遺伝子がゲノムに挿入されているため、酵母細胞内でGAL4が機能する場合には同株はヒスチジン未添加のSDプレート上で生育できる特徴を持つ。従ってロイシン・トリプトファン・ヒスチジン未添加のSD(SD/-Leu/-Trp/-His)プレート上でコロニーを形成した酵母細胞は、ヒトTLR4細胞外領域と相互作用するペプチドをコードしたプラスミドを保持している可能性がある。そこでコロニーを形成した酵母からプラスミドを抽出してペプチドをコードする塩基配列を決定することでTLR4に相互作用するペプチドの同定を行った。
(結果)
酵母AH109株にpGhT4EとAD/libraryプラスミドを形質転換して得られた形質転換体は推定で約74,000個であった。配列番号1で示されるペプチドはこのうちSD/-Leu/-Trp/-Hisプレート上でコロニーを形成した酵母から同定したものであり、約1/74,000の確率で単離されたものである。
合成例
表1に示すペプチドをFmoc法により合成した。即ち、Nα位のFmoc基を外しながらペプチドの伸長を行い、所定のアミノ酸配列のペプチドが得られたら、各アミノ酸の保護基の切断および除去を行い、最後に、固相(樹脂)から、ペプチドを遊離させた。尚、No.28BおよびNo.28Fのペプチドを除いて、各ペプチドのN末端側のアミノ酸のアミノ基はアセチル化されており、かつC末端側のアミノ酸のカルボキシル基はアミド化されている。No.28BおよびNo.28Fは、N末端側のアミノ酸にビオチンまたはFITCを修飾し、C末端側のアミノ酸のカルボキシル基はアミド化されている。C末端側のアミノ酸のカルボキシル基のアミド化は、上記Fmoc法の固相(樹脂)にアミド樹脂を用いることで行った。TFAにより固相(樹脂)からペプチドを遊離(切断)することでC末端側がアミド化されたペプチドを得た。N末端側のアミノ酸のアミノ基のアセチル化は、N末端のFmoc基を外した後に20%無水酢酸NMP溶液を加え、30分間反応させることで実施した。N末端側のアミノ酸のFITC修飾は、N末端のFmoc基を外した後に、FITC(4.0当量)およびピリジン(4.0当量)を含むDMF溶液を加え攪拌下、一晩反応させて行った。N末端側のアミノ酸のビオチン修飾は、N末端のFmoc基を外した後に、ビオチンカルボン酸、HOBt、HBTUおよびNMMの混合物を加え、攪拌下、一晩反応させて行った。
合成ペプチドは、HPLCで精製しMassにより目的物であることを確認したものを実験に使用した。HPLC精製は溶媒A=0.1%TFA/水、溶媒B=0.1%TFA/ACNによるグラジエン分離精製(温度:室温)とした。Massの計算値、実測値およびHPLC精製物の純度を以下の表1に示す。
実施例2
LPS刺激によるマクロファージ活性化に及ぼすペプチドの効果
LPSによるNF-κBの活性化に及ぼすペプチドの作用
ヒト単球由来株化細胞THP-1を用いて配列番号1で示されるペプチド(No. 28)によるLPS誘導性シグナルの阻害効果を転写因子NF-κBの活性化レベルを指標に検討した。まずSigma(St. Louis, MO)より購入したphorbol myristate acetateとWako Pure Chemical Industries (Osaka, Japan)より購入した1,25-dihydroxy vitamin D3を各々100 ng/ml、100 nMを含むDMEM培地にて1-3 x 105 cells/mlとなるよう調製した細胞溶液を12穴プレートに各ウェルあたり1.0 ml加え37℃にて72時間培養することによりマクロファージ様細胞に分化したTHP-1細胞を得た。得られた細胞をphosphate-buffered saline(PBS)で洗浄後、各ウェル当たりDMEM培地0.5mlを加えFuGene6試薬(Roche, Mannheim, Germany)3.0μlを用いNF-κB応答性ルシフェラーゼ遺伝子が挿入されているプラスミド(pELAM-L)0.5μgと内部標準としてphRL-TK (Promega, Madison, WI)0.025μgをトランスフェクトした。24時間後PBSで洗浄した細胞に上記ペプチドを含むDMEM培地0.5 mlを加え1時間培養したのちSigma(St. Louis, MO)より購入した精製LPS(E. coli O111:B4)を添加し6時間後Dual-LuciferaseTM Reporter Assay System(Promega, Madison, WI)を用いルシフェラーゼ活性を測定しNF-κB活性化の指標とした。その結果、溶媒のみ(0.4% DMSO)ではLPSの濃度依存的にレポーター活性の上昇が認められ10 ng/mlで最大反応に達した。本条件下では配列番号1で示されるペプチド(No. 28)はLPS誘導性NF-κBの活性化を濃度依存的に抑制し、ペプチド20μM存在下では10 ng/mlのLPSによるNF-κBの活性化をほぼ完全に阻害した。一方、ペプチド単独刺激ではルシフェラーゼ活性の上昇は認められなかった(図1)。これより上記ペプチドは単独ではNF-κBの活性化作用を持たずLPSによるNF-κBの活性化を濃度依存的に阻害することが明らかとなった。
LPSにより誘導されるTNF-α産生に及ぼすペプチドの効果
ヒト単球由来株化細胞THP-1を用いてLPS誘導性TNF-α産生に及ぼす配列番号1で示されるペプチド(No. 28)の効果を検討した。図1と同様にTHP-1細胞をマクロファージに分化させPBSで洗浄した細胞にペプチドを含むDMEM培地0.5 mlを加え1時間培養したのちSigma(St. Louis, MO)より購入した精製LPS(E. coli O111:B4)を添加し16時間後に上清を回収し測定時まで-80℃に保存した。サンプル中のTNF-α量はヒトTNF-αELISA kit (TECHNE Corporation, Minneapolis, MN)を用いて定量した。コントロール(0.4% DMSO)では加えたLPS の濃度の増加に伴いTNF-α産生量は増大したが、その増大はペプチドの濃度依存的に抑制されペプチド40μM存在下では100 ng/mlのLPS刺激により誘導されるTNF-αの産生を完全に阻害した。尚、図1と同様にペプチド単独処理によるTNF-αの産生作用は認められなかった(図2)。
実施例3
NF-κB応答性ルシフェラーゼ遺伝子およびネオマイシン耐性遺伝子を含むレポータープラスミド(pcELAM-L)6μgをBgl IIで直鎖状にし、25cm2のフラスコに約40%コンフルエントにまいたRAW 264細胞にFuGene6試薬(Roche, Mannheim, Germany)18μlを用いてトランスフェクトし、24時間後 Sigma(St. Louis, MO)より購入したG418を1.0 mg/ml含むDMEM培地中でプラスミドを取り込んだ細胞を選別した。得られた細胞を0.5 mg/mlのG418を含むDMEM培地にて1-3 x 105 cells/mlとなるよう調製した細胞溶液を12穴プレートに各ウェルあたり1.0 ml加え37℃にて24時間培養後PBSで洗浄したのち、ペプチドを含むDMEM培地0.5 mlを加え1時間培養し次に細胞にSigma(St. Louis, MO)より購入した精製LPS(E. coli O111:B4)を添加し6時間培養後Dual-LuciferaseTM Reporter Assay System(Promega, Madison, WI)を用いルシフェラーゼ活性を測定した。得られた数値はBio-Rad Protein Assay試薬(BIO-RAD, Hercules, CA)を用いて測定したタンパク質濃度で補正しタンパク質濃度あたりのルシフェラーゼ活性を求めNF-κBの活性化の指標とした。配列番号1に示すペプチドをN末端側より3アミノ酸欠失したDelta 3aaにおいても濃度依存的にLPS誘導性NF-κBの活性化が抑制された(図4)。ビオチン修飾したペプチドのLPS誘導性NF-κBの活性化抑制試験結果は図5に示す。
実施例4
図1と同様の方法により抑制作用を示す配列番号1関連ペプチドの抑制効果を検討した。方法は、図1(実施例2)と同様とし、以下の条件で求めた。
ペプチド使用濃度:40 M
刺激時のLPS濃度:10 ng/ml
残存活性:ペプチド非存在下におけるNF-κBレポーター活性を100%として算出した。尚、N.D.はNot Detectedの略であり、検出限界以下を意味し、活性をほぼ完全に抑制したことを意味する。
その結果、配列番号1に示すペプチドのN末端側にビオチン若しくはFITC修飾したペプチドも明確なLPS誘導性NF-κB活性化の抑制作用を持つことが明らかとなった。配列番号1に示すペプチドのN末端側から順次6アミノ酸を欠失したペプチドについても本条件下では全ての配列において明確なLPS誘導性NF-κB活性化の抑制作用が確認された。さらに配列番号6内の各種1アミノ酸欠失したペプチドにおいても、さらに配列番号6アミノ酸配列内のVVVモチーフのVVを欠失させたペプチド(配列番号14)においても同様の抑制作用が確認された(表2)。
比較のため、表3に示す各ペプチド(前述の合成例に記載したと同様の方法で合成した)についても同様の実験を行った。各効果の評価は、○が効果あり、×が効果なし、である。配列番号1で示されるペプチド(No. 28)についての結果と併せて示す。
実施例5
LPS以外のPAMPsによるマクロファージの活性化に及ぼすペプチドの影響
マウスマクロファージ由来細胞株であるRAW 264を用いて各種PAMPs刺激により誘導されるNF-κBの活性化に対する配列番号1で示されるペプチド(No. 28)の効果を検討した。RAW 264細胞をDMEM培地にて1-3 x 105 cells/mlとなるよう調製した細胞溶液を12穴プレートに各ウェルあたり1.0 ml加え37℃にて24時間培養後上清を除去したのち、各ウェル当たりDMEM培地0.5 ml を加えてFuGene6試薬(Roche, Mannheim, Germany)3.0μlを用いNF-κB応答性ルシフェラーゼ遺伝子が挿入されているプラスミド(pELAM-L)0.5μgと内部標準としてphRL-TK (Promega, Madison, WI)0.025μgをトランスフェクトした。24時間培養後PBSで洗浄した細胞に0.4%DMSOもしくはペプチド40μMを含むDMEM培地0.5 mlを加え1時間培養したのち各種PAMPsとしてTLR4リガンドにSigma(St. Louis, MO)より購入した精製LPS(E. coli O111:B4)、TLR9リガンドにQiagen(Valencia, CA)に合成依頼したCpG-DNA(配列:5'-TCCATGACGTTCTTGACGTT-3')(配列番号19)、TLR1/TLR2複合体のリガンドにBachem(Bubendorf, Switzerland)より購入したリポペプチド(Pam3CSK4)、TLR3のリガンドにAmersham Pharmacia Biotech(Buckinghamshire, UK)より購入したPoly I:Cを用いて細胞を刺激し6時間後Dual-LuciferaseTM Reporter Assay System(Promega, Madison, WI)を用いルシフェラーゼ活性を測定した。その結果図1と同様に配列番号1で示されるペプチド(No. 28)は検討した各LPS濃度に対してNF-κBの活性化を抑制したことから、マウス由来のマクロファージ様細胞に対しても本ペプチドはLPS誘導性NF-κBの活性化を阻害する効果を持つことが明らかとなった。一方、その他のPAMPsに対してペプチドは抑制効果を示さなかった。これよりペプチドはTLR4を介したNF-κBの活性化に特異的であることが強く示唆された(図3)。
実施例6
エンドトキシン由来疾患に及ぼすペプチドの効果
エンドトキシン由来疾患抑制効果
ガラクトサミン負荷マウスのLPS誘導性致死をエンドトキシンショックモデルとしてペプチドの効果を検討した。Specific Pathogen Free のオス6週齢のC57BL/6マウスを1週間馴化し実験を開始した。Sigma(St. Louis, MO)より購入したLPS(E. coli O111:B4)、Wako Pure Chemical Industries (Osaka, Japan)より購入したガラクトサミン塩酸塩及び化学合成した配列番号1に示すペプチドをマウスあたりの投与量が各々10 ng、12 mg、0.02 〜 20 μgとなるよう注射用水に混合した。次に1群あたり5 〜 10匹のマウスに対して同混合溶液100μlを腹腔内投与しその後7日間における生存率を観察した。尚、ペプチド非投与群においてはペプチド投与群同様の溶媒(2.13% DMSO)を投与した。ペプチド未投与のLPS処理マウスでは生存率は20%であったが、ペプチドの投与量の増加に従い生存率は上昇し、20μg/mouseではガラクトサミンのみで処理したコントロールと同じ100%に達した(図6)。LPS未投与のペプチド処理群も同様に生存率100%を示した。これよりペプチドは濃度依存的にマウスのエンドトキシンショックに対し防御能を有することが明らかとなった。一方、ペプチド単独によるマウスの致死作用は認められなかった。
ペプチドのエンドトキシン由来疾患防御能
図6と同様の実験系でペプチドのエンドトキシン由来疾患防御能を検討した。LPSを10 ng/mouse投与した群は致死率80%であるが、同時に20 μgの配列番号1に示すペプチドを投与することで致死率は0%となった。このペプチドによる致死率の抑制効果はLPSの投与量を10 μg/mouseまで増加しても観察され、20μgのペプチド投与により致死率は100%から20%に低下した(図7)。従って、致死率80%を示す10 ngの1000倍量、つまり10μgのLPSに対してもペプチド20μgの投与は有効であることが明らかとなった。
エンドトキシン由来疾患抑制効果に及ぼすペプチド投与時期の影響
図6と同様の実験系で各群5匹のマウスを用いてペプチドによるエンドトキシン由来疾患抑制効果に与えるペプチド投与時期の影響を検討した。LPS及び配列番号1に示すペプチド投与量は各々10 ng/mouse、20 μg/mouseとし、ペプチドの投与方法については図6と同様の方法でLPSとガラクトサミン塩酸塩の混合溶液を投与後、各時間後に新たにペプチド溶液のみを腹腔内投与した。LPSの投与により生存率が0%となる条件下で20 μgのペプチドを同時投与した群(0 h)は生存率100%を示すが、LPS投与後5時間経過した後にペプチドを投与しても生存率は60%を維持し、ペプチドによるエンドトキシンショック抑制作用が確認された(図8)。この結果から本ペプチドは既にエンドトキシンショック症状を呈する状態で投与した場合でも治療効果を有することが期待された。
実施例7
生理的条件下におけるペプチドとTLR4の相互作用の確認
実施例1において酵母細胞内で予想された本発明のペプチドとTLR4間の相互作用を、哺乳類動物細胞に発現させたTLR4で確認した。あわせてTLR4と相互作用しLPSの認識に関与するMD-2とCD14についても本発明のペプチドとの相互作用の可能性を検証した。ペプチドとしては、ビオチン化したNo. 28(No. 28B)およびNo. 28D5PD8(No. 28D5PD8B)を用いた。
培地にDMEM培地を用いたヒト胚性腎細胞HEK 293の細胞溶液を6穴プレートに各ウェルあたり2.0 ml加え、37度にて約24時間培養して約50%コンフルエントの状態とした。その後リン酸-カルシウム法にてEIAV-tag(amino acid sequence: ADRRIPGTAEE)標識したヒトTLR4並びに同様に標識されたヒトMD-2もしくはヒトCD14発現用の各種プラスミドを、TLR4及びMD-2については各々1.0μg、CD14は0.04μgトランスフェクトした。次にトランスフェクト後約30時間経過した培養上清を除去し、40μMのビオチン化したNo. 28(No. 28B)もしくはNo. 28D5PD8(No. 28D5PD8B)を含むDMEM培地1.0 mlを加えさらに1時間培養した。ペプチドで処理した細胞をPBSで洗浄しSigma(St. Louis, MO)より購入したIGEPAL CA-630(Nonidet P-40)を0.5%とRoche(Mannheim, Germany)より購入したprotease inhibitor cocktailを含む100μlのPBSにて細胞を破砕することにより細胞抽出液を得た。得られた抽出液にAmersham Biosciences(Buckinghamshre, England)より購入したStreptavidin-Sepharose を加え最終容量を500μlとなるよう0.5% Nonidet P-40を含むPBSにて調整し4度にて1時間転倒撹拌を行った。反応後500μl の0.5% Nonidet P-40を含むPBSで3回Streptavidin-Sepharoseを洗浄し、Pierce(Rockford, IL)より購入した30μl のsulfo-NHS-biotinによりビオチン化ペプチドを溶出した。得られたサンプルは10%濃度のSDS-PAGEに供し、抗EIAV抗体を用いたWestern blotによりTLR4・CD14・MD-2を検出した。結果を図9に示す。
図9において、No. 28D5PD8のpull downした結果を示すゲル写真の左から2つのレーン(内左が共発現、右が単独発現)の上部に薄いながらもバンドが認められた。また、No. 28の左から2つのレーンの上部には明確なバンドが認められた。即ち、No. 28Bで処理した細胞抽出液をStreptavidin-Sepharoseによりpull downした場合ではTLR4単独もしくはTLR4・CD14・MD-2共発現細胞においてTLR4が検出された。一方、No. 28D5PD8Bも同様にTLR4が検出されるものの、そのレベルはNo. 28Bと比較し極めて微弱であった。なお、No. 28BはMD-2およびCD14単独に対しても相互作用する可能性が示唆された。このことは、No. 28Bは、TLR4/CD14/MD-2複合体の形成阻害についても効果を示す可能性を示唆する。
実施例8
エンドトキシンショックに及ぼすペプチドの効果
エンドトキシンショックモデルとしてガラクトサミン負荷マウスのLPS誘導性致死を用いて、ペプチドとLPS/ガラクトサミンを別途に腹腔内投与(ip)した場合におけるNo. 28とNo. 28D5PD8の効果を比較検討した。Specific Pathogen Free のオス6週齢のC57BL/6マウスを1〜3週間馴化し実験を開始した。Sigma(St. Louis, MO)より購入後再精製したLPS(E. coli O111:B4)、Wako Pure Chemical Industries (Osaka, Japan)より購入したガラクトサミン塩酸塩及び化学合成したペプチドを表に示す用法・容量にて投与した。なお、溶媒にはOtsuka Pharmaceutical(Tokyo, Japan)より購入した注射用水を使用した。
各種処理後の1日目のマウスの生存率を検討した。結果を表4に示す。ペプチド未投与マウスでは生存率10%となった。この条件下において、20μg/mouseの用量の No. 28D5PD8を投与後ガラクトサミン塩酸塩とLPSの混合液を投与したマウスの生存率は20%を示した。一方、No. 28で同様の処置を施したマウスの生存率は50%であり、さらにペプチド投与量を100μg/mouseとした場合は100%に達した。なお3種混合投与においてはNo. 28とNo. 28D5PD8は共にほぼ生存率100%を示した(表4)。
以上の結果から、ipによりペプチドとLPSを別途に投与する場合においては、No. 28D5PD8と比較しNo. 28はエンドトキシンショック抑制効果が高い可能性が示唆された。
実施例9
微生物の増殖に及ぼすペプチドの作用
抗菌作用を示す物質の一つとして、これまでに抗菌ペプチドの存在が報告されている。そこで微生物の増殖に対する本発明のペプチドの影響を検証するために、大腸菌を例にペプチドNo. 28D5PD8の作用を検討した。なお本実験では、抗菌ペプチドのポジティブコントロールとしてSigma(St. Louis, MO)より購入したPolymyxin B Sulfate(Polymyxin B)を使用した。
Invitrogen(CA, USA)より購入した大腸菌DH5αをLuria-Bertani培地にて定常期まで培養後、Invitrogen(CA, USA)より購入したhigh glucose DMEM without phenol red培地に接種した。その際、各濃度のNo. 28D5PD8もしくはPolymyxin Bを同時に培地に添加し37℃にて好気培養し、39時間後のOD600を測定することで菌の増殖を評価した。なお、ペプチド0μg/mlとは溶媒として使用したDMSOの0.4%溶液となる。
結果を図10に示す。10もしくは100μg/mlのNo. 28D5PD8存在下においてはDH5αの増殖が阻害されることが明らかとなった。これより本発明のペプチドは微生物に対して増殖阻害作用を有することが示された。この結果は、本発明のペプチドがグラム陰性菌感染症の予防および治療剤として有効であることを示すものである。
本発明は、エンドトキシン由来疾患さらには敗血症等の予防および治療の分野に有用である。
実施例2におけるマクロファージでのLPSによるNF-κBの活性化に及ぼすペプチドの効果の試験結果。 実施例2におけるLPSにより誘導されるTNF-α産生に及ぼすペプチドの効果の試験結果。 実施例5における各種PAMPsによるNF-κBの活性化に及ぼすペプチドの効果の試験結果。 実施例3における、配列番号1に示すペプチドをN末端側より3アミノ酸欠失したDelta 3aa(配列番号3)の、LPSによるNF-κBの活性化に及ぼすペプチドの効果の試験結果。 実施例3における、ビオチン修飾したペプチドの、LPSによるNF-κBの活性化に及ぼすペプチドの効果の試験結果。 実施例6における、エンドトキシン由来疾患に及ぼすペプチドの効果(エンドトキシン由来疾患抑制効果)の試験結果。 実施例6における、エンドトキシン由来疾患に及ぼすペプチドの効果(ペプチドのエンドトキシン由来疾患防御能)の試験結果。 実施例6における、ペプチドのエンドトキシン由来疾患抑制効果に及ぼすペプチド投与時期の影響についての試験結果。 ペプチドとTLR4の相互作用についての試験結果。 ペプチドの大腸菌に対する増殖抑制効果。

Claims (28)

  1. 下記アミノ酸配列(1)
    X0X1X2X3X4X5X6KVVVLLVWGSRX20
    (式中、X0およびX20は、独立に任意の修飾基であるか、欠失してもよく、
    X1、X2、X3、X4、X5およびX6は、独立に任意のアミノ酸であるか、あるいはX1、X2、X3、X4、X5およびX6は、一部または全部が欠失する。)
    で示され、LPSによるNF-κBの活性化を阻害するペプチド。
  2. X1、X2、X3、X4、X5およびX6は、独立に任意のアミノ酸である請求項1に記載のペプチド。
  3. X1はP(プロリン)であり、X2はG(グリシン)であり、X3はL(ロイシン)であり、X4はA(アラニン)であり、X5はS(セリン)であり、および/またはX6はR(アルギニン)である請求項1または2に記載のペプチド。
  4. X1、X2、X3、X4、X5およびX6は、一部または全部が欠失する請求項1〜3のいずれか1項に記載のペプチド。
  5. X0およびX20は欠失しており、ペプチドのN末端側のアミノ酸はアセチル化されており、かつC末端側のアミノ酸はアミド化されている請求項1〜のいずれか1項に記載のペプチド。
  6. 配列表に示された配列番号1〜14のいずれか一つのアミノ酸配列を有する請求項1〜のいずれか1項に記載のペプチド。
  7. X0および/またはX20は結合性基または標識基である請求項1〜のいずれか1項に記載のペプチド。
  8. 請求項1〜のいずれか1項に記載のペプチドを有効成分として含有するエンドトキシン由来疾患予防および/または治療剤。
  9. 請求項1〜のいずれか1項に記載のペプチドを有効成分として含有するグラム陰性菌感染症予防および/または治療剤。
  10. 請求項1〜のいずれか1項に記載のペプチドを有効成分として含有する敗血症予防および/または治療剤。
  11. 請求項1〜のいずれか1項に記載のペプチドを有効成分として含有するマクロファージ活性化阻害剤。
  12. 請求項1〜のいずれか1項に記載のペプチドを有効成分として含有するメディエーター産生阻害剤。
  13. 請求項1〜のいずれか1項に記載のペプチドを有効成分として含有する歯周病疾患予防および/または治療剤。
  14. 請求項1〜のいずれか1項に記載のペプチドを有効成分として含有するエンドトキシン非感受性剤。
  15. 請求項1〜のいずれか1項に記載のペプチドを有効成分として含有するエンドトキシン検出試薬。
  16. エンドトキシン由来疾患予防および/または治療剤を探索するためのリード化合物として用いられる、請求項1〜のいずれか1項に記載のペプチド。
  17. グラム陰性菌感染症予防および/または治療剤を探索するためのリード化合物として用いられる、請求項1〜のいずれか1項に記載のペプチド。
  18. 敗血症予防および/または治療剤を探索するためのリード化合物として用いられる、請求項1〜のいずれか1項に記載のペプチド。
  19. マクロファージ活性化阻害剤を探索するためのリード化合物として用いられる、請求項1〜のいずれか1項に記載のペプチド。
  20. メディエーター産生阻害剤を探索するためのリード化合物として用いられる、請求項1〜のいずれか1項に記載のペプチド。
  21. 請求項1〜のいずれか1項に記載のペプチドをリード化合物としてエンドトキシン由来疾患予防および/または治療剤を探索する方法。
  22. 請求項1〜のいずれか1項に記載のペプチドをリード化合物としてグラム陰性菌感染症予防および/または治療剤を探索する方法。
  23. 請求項1〜のいずれか1項に記載のペプチドをリード化合物として敗血症予防および/または治療剤を探索する方法。
  24. 請求項1〜のいずれか1項に記載のペプチドをリード化合物としてマクロファージ活性化阻害剤を探索する方法。
  25. 請求項1〜のいずれか1項に記載のペプチドをリード化合物としてメディエーター産生阻害剤を探索する方法。
  26. 前記リード化合物を化学修飾することでリード化合物の最適化を行う請求項2125のいずれか1項に記載の方法。
  27. 化学修飾が、一部のアミノ酸の変更および/若しくは除去、並びに/または少なくとも1つのアミノ酸の付加、挿入である請求項26に記載の方法。
  28. リード化合物の最適化を行うことで、アミノ酸配列(1)で示すペプチドより、物性、薬物動態、および毒性の少なくとも一部が優れる物質を探索する請求項26または27に記載の方法。
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